JP2009231646A - 固体電解コンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】過大な短絡電流がコンデンサ素子に流れた場合に、電流の遮断機能を維持しつつ、小型化することが可能な固体電解コンデンサを提供する。
【解決手段】固体電解コンデンサは、陽極リード線1aが導出された陽極体1と、この陽極体1の表面に形成された誘電体層2と、誘電体層2の上に形成された電解質層3と、この電解質層3の上に形成された陰極層5と、を有するコンデンサ素子10を備える。ここで、電解質層3は、誘電体層2の上に形成された第1の電解質層3aと、この第1の電解質層3aの上に形成された第2の電解質層3bとにより構成される。そして、第2の電解質層3bにはその内部に熱負荷により膨張する熱膨張性黒鉛4が層全面にわたって含有される。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解コンデンサに関し、特にヒューズ内蔵型の固体電解コンデンサに関する。
固体電解コンデンサは、パソコン、携帯電話などの各種携帯情報端末、デジタルカメラなどの各種映像情報機器、その他の電子機器などにおいて、CPUの電源回路およびその周辺回路などに組み込まれて使用されており、故障率が小さいことが利点とされている。
近年、こうした固体電解コンデンサとして、コンデンサ素子と端子間にヒューズを接続し、そのヒューズを外装樹脂内に封入した構成のいわゆるヒューズ内蔵型の固体電解コンデンサが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のヒューズ内蔵型の固体電荷コンデンサでは、コンデンサ素子と端子間にヒューズ(300℃程度で溶断するワイヤ状の焼結体ヒューズ)を設置することにより、過大な短絡電流がコンデンサ素子に流れた場合に、電気回路を開放させて電流を遮断する。
特開2001−176374号公報
しかしながら、上記特許文献1のヒューズ内蔵型の固体電解コンデンサでは、構造が複雑になる上、ヒューズを収納するスペースの分だけ内部素子の体積効率が低下する問題があり、固体電解コンデンサの小型化および大容量化には一定の限界があった。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、過大な短絡電流がコンデンサ素子に流れた場合に、電流の遮断機能を維持しつつ、小型化することが可能な固体電解コンデンサを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る固体電解コンデンサは、陽極体の表面に、誘電体層、電解質層、及び陰極層が順次形成された固体電解コンデンサであって、電解質層は、誘電体層の上に形成された第1の電解質層と、この第1の電解質層の上に形成された第2の電解質層とを備え、第2の電解質層は、熱膨張性黒鉛を含有していることを特徴とする。
本発明によれば、過大な短絡電流がコンデンサ素子に流れた場合に、電流の遮断機能を維持しつつ、小型化することが可能な固体電解コンデンサが提供される。
以下、本発明を具現化した実施形態について図面に基づいて説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
図1は本実施形態に係る固体電解コンデンサの構成を示す概略断面図である。なお、図1(A)は固体電解コンデンサ全体の概略断面図、図1(B)は同固体電解コンデンサの電解質層近傍の部分拡大図を示す。また、図2は熱負荷により熱膨張性黒鉛が膨張する前後の状態を示す模式図である。
本実施形態の固体電解コンデンサは、図1(A)に示すように、陽極リード線1aが導出された陽極体1と、この陽極体1の表面に形成された誘電体層2と、誘電体層2の上に形成された電解質層3と、この電解質層3の上に形成された陰極層5と、を有するコンデンサ素子10を備えている。ここで、電解質層3は、図1(B)に示すように、誘電体層2の上に形成された第1の電解質層3aと、この第1の電解質層3aの上に形成された第2の電解質層3bとにより構成されている。そして、第2の電解質層3bにはその内部に熱負荷により膨張する熱膨張性黒鉛4が層全面にわたって含有されている。そして、図1(A)に示すように、コンデンサ素子10の陰極層5の上に導電性接着材(図示せず)を介して平板状の陰極端子7が接合され、陽極リード線1aに平板状の陽極端子6が接合されている。そして、陽極端子6および陰極端子7の一部が、図1(A)のように外部に引き出される形で、エポキシ樹脂などからなるモールド外装体8が成形されている。
具体的な固体電解コンデンサの構成は以下の通りである。
陽極体1は弁作用金属からなる金属粒子の多孔質焼結体で構成され、陽極リード線1aは同じ弁作用金属からなる棒状のリード線からなる。そして、陽極リード線1aはその一部が陽極体1から突出する形で、陽極体1の内部に埋め込まれている。ここで、陽極リード線1aおよび陽極体1を構成する弁作用金属としては、絶縁性の酸化膜を形成できる金属材料であり、たとえば、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)などの金属の単体が採用される。また、上述の弁作用金属同士の合金を採用してもよい。
誘電体層2は、弁作用金属の酸化物からなる誘電体で構成され、陽極体1の表面上に所定の厚さで設けられている。たとえば、弁作用金属がタンタル金属から構成される場合には、誘電体層2は酸化タンタルとなる。
電解質層3は、誘電体層2の上に形成された第1の電解質層3aと、この第1の電解質層3aの上に形成された第2の電解質層3bとにより構成されている。こうした第1の電解質層3aおよび第2の電解質層3bには、導電性を有する材料であれば特に限定されないが、導電性に優れたポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンやこれらの誘導体などの高分子材料が採用される。そして、電解質層3を構成する第2の電解質層3bにはその内部に熱膨張性黒鉛4が層全面にわたって含有されている。この熱膨張性黒鉛4は、図2に示すように、主として層状の黒鉛結晶4aと層間物4bとにより構成され、熱負荷(高温加熱)により層間物4bが分解し、そのガス圧で黒鉛結晶4aが矢印の方向に膨張する特性を有している。このように膨張した黒鉛結晶4aは結晶間に空隙(空間)を有する構造体を形成するので、本実施形態の第2の電解質層3bには、熱負荷によりその内部に熱膨張性黒鉛4に起因した電気的ギャップが形成される。
なお、電解質層3を構成する第1の電解質層3aや第2の電解質層3bには、上述の導電性高分子材料以外に、二酸化マンガンなどの導電性無機材料を採用してもよい。
熱膨張性黒鉛4は、膨張度(黒鉛を1000℃で10秒間加熱した際の1gあたりの体積:cm/g)、膨張開始温度(もとの体積の1.1倍以上に膨張した際の温度:℃)、含有量(第2の電解質層の総重量に対する熱膨張性黒鉛の重量:重量%)などを調整することにより、こうした熱膨張性黒鉛4を含有する第2の電解質層3bの電気的ギャップの形成能力を制御することができる。
陰極層5は、カーボン粒子を含む層からなる導電性カーボン層5aと、銀粒子を含む層からなる銀ペースト層5bとの積層膜で構成され、電解質層3を構成する第2の電解質層3bの上に設けられている。
コンデンサ素子10は、上述の陽極リード線1aが導出された陽極体1、誘電体層2、電解質層3(第1の電解質層3a、第2の電解質層3b)、及び陰極層5により構成される。
陽極端子6および陰極端子7は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)などの導電性材料からなる平板状の端子が採用され、固体電解コンデンサの外部リード端子としてそれぞれ機能する。陽極端子6は陽極リード線1aとスポット溶接により接合され、陰極端子7は陰極層5と導電性接着剤(図示せず)を介して接合されている。
そして、陽極端子6および陰極端子7の一部が、相反する方向の外部に引き出される形で、エポキシ樹脂などからなるモールド外装体8が成形されている。さらに、モールド外装体8から露出した陽極端子6および陰極端子7の端部は、モールド外装体8の側面および下面に沿って折り曲げられ、実装基板に本固体電解コンデンサを搭載(はんだ付け)する際の端子として機能させる。
なお、陽極体1は本発明の「陽極体」、誘電体層2は本発明の「誘電体層」、電解質層3は本発明の「電解質層」、第1の電解質層3aは本発明の「第1の電解質層」、第2の電解質層3bは本発明の「第2の電解質層」、熱膨張性黒鉛4は本発明の「熱膨張性黒鉛」、及び陰極層5は本発明の「陰極層」の一例である。
(製造方法)
次に、図1に示す本実施形態の固体電解コンデンサの製造方法について説明する。
工程1:陽極リード線1aの周囲に、陽極リード線1aの一部を埋め込むように成形された弁作用を有する金属粒子からなる成形体を真空中で焼結することにより、多孔質焼結体からなる陽極体1を形成する。この際、金属粒子間は溶着される。
工程2:陽極体1に対して電解液中において陽極酸化を行うことにより、陽極体1の周囲を覆うように弁作用金属の酸化物からなる誘電体層2を所定の厚さで形成する。
工程3:誘電体層2の表面上に、化学重合法を用いて第1の電解質層3aおよび第2の電解質層3bを連続して形成する。具体的には、モノマーおよび酸化剤を溶解させた第1の化学重合液を用いて、酸化剤によりモノマーを酸化重合することにより導電性高分子からなる第1の電解質層3aを形成する。続いて、モノマーおよび酸化剤に加え、熱膨張性黒鉛4を混合した第2の化学重合液を用いて、酸化剤によりモノマーを酸化重合することにより導電性高分子からなる第2の電解質層3bを形成する。本実施形態では、第2の化学重合液に熱膨張性黒鉛4を混合した状態で酸化重合を行うことにより、第2の電解質層3bの内部に所定の含有量で熱膨張性黒鉛4を含有させている。この際、熱膨張性黒鉛4は第1の電解質層3aの表面上に形成される第2の電解質層3bの全面にわたって添加される。
なお、熱膨張性黒鉛4には、たとえば、黒鉛を硫酸と酸化剤の混合物中に投入し反応することで得られた酸処理黒鉛に固体中和剤を混合する方法や、黒鉛を硫酸と酸化剤の混合物中で処理した後、アルカリ水溶液または水で洗浄したものに固体中和剤を混合する方法により作製したものを採用している。また、上述の処理において黒鉛(黒鉛結晶4a)に導入される層間化合物(層間物4b)を調整することにより、熱膨張性黒鉛4の膨張性能(膨張度、膨張開始温度など)を容易に制御することができる。
以上のようにして、誘電体層2の表面上に、第1の電解質層3aと、熱膨張性黒鉛4を含有する第2の電解質層3bとから構成される電解質層3が形成される。
なお、第1の電解質層3a(または/および第2の電解質層3b)には、上述のような導電性高分子からなる層に替えて、硝酸マンガンの熱分解により形成される二酸化マンガ
ン層(または/および熱膨張性黒鉛を含有する二酸化マンガン層)を採用してもよい。
工程4:電解質層3(第2の電解質層3b)の上にカーボン粒子を含む導電性カーボンペーストを塗布、乾燥することにより導電性カーボン層5aを形成する。さらに、この導電性カーボン層5a上に銀ペーストを塗布、乾燥することにより銀ペースト層5bを形成する。これにより、電解質層3上に導電性カーボン層5aと銀ペースト層5bとの積層膜からなる陰極層5が形成される。
以上の工程1〜工程4を経てコンデンサ素子10が製造される。
工程5:平板状の陰極端子7上に導電性接着剤(図示せず)を塗布した後、この導電性接着剤(図示せず)を介して陰極層5と陰極端子7とを接触させた状態で乾燥させることにより、陰極層5と陰極端子7とを接合する。また、陽極リード線1a上に平板状の陽極端子6をスポット溶接により接合する。
工程6:トランスファー法でモールドを行い、コンデンサ素子10の周囲にモールド外装体8を成形する。この際、陽極リード線1a、陽極体1、誘電体層2、電解質層3(第1の電解質層3a、第2の電解質層3b)、及び陰極層5を内部に収納するとともに、陽極端子6および陰極端子7の端部を外部(相反する方向)に引き出すように成形する。なお、モールド外装体8を成形する樹脂としては、モールド外装体として水分が出入りするのを抑制するため、また、はんだリフロー時(加熱処理時)のクラックや剥離を防止するため、吸水率の小さな樹脂(たとえば、エポキシ樹脂)が好ましく採用される。
工程7:モールド外装体8から露出した陽極端子6および陰極端子7の先端部を下方に折り曲げ、モールド外装体8の側面および下面に沿って配置する。この両端子の先端部は、固体電解コンデンサの端子として機能し、実装基板にはんだ部材を介して固体電解コンデンサを電気的に接続するために使用される。
工程8:最後に固体電解コンデンサの両端子を介して所定の電圧を印加するエージング処理を行う。これにより、固体電解コンデンサの特性を安定化させる。
以上の工程を経て、本実施形態の固体電解コンデンサが製造される。
まず、予備実験として、化学重合法を用いて形成される電解質層に含まれる熱膨張性黒鉛の含有量に関する評価を行った。
<予備実験>
重合性モノマーとしてのピロール10重量%と、ドーパント付与剤兼酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III )16重量%とを、エタノールと水の5:1混合溶媒に溶解させた化学重合液を調製し、この化学重合液に対して粒子状の熱膨張性黒鉛(膨張開始温度300℃、膨張度10cm/g)粉末25重量%を均一に混合する。その後、この混合液をガラス基板に一定量(0.1g)を塗布し、大気中で2時間放置することにより重合反応を進行させ、ガラス基板の上に導電性高分子膜(厚み:約100μm)を成膜する。そして、成膜前後のガラス基板の重量を正確に秤量したところ、成膜された導電性高分子膜の重量は0.05gであった。混合した熱膨張性黒鉛は重合反応に寄与しないので、導電性高分子膜の成膜前後で熱膨張性黒鉛の重量は変化しない。これにより、成膜された導電性高分子膜に含まれる熱膨張性黒鉛の含有量は50重量%(=0.1g×25重量%/0.05g)と算出された。なお、上述の熱膨張性黒鉛には、市販されているエア・ウォーター社製の熱膨張性黒鉛(TEG)を採用した。
以下の実施例および比較例では、上述の工程を踏まえて固体電解コンデンサを作製し、その特性評価を行った。なお、各実施例では、予備実験と同様の手順で熱膨張性黒鉛の含
有量に関する評価を行い、それらの結果を踏まえ、電解質層に含有させる熱膨張性黒鉛の含有量を制御している。
<実験1>
導電性高分子層からなる第1の電解質層3aと、熱膨張性黒鉛4を含有する導電性高分子層からなる第2の電解質層3bとにより構成される電解質層3において、第2の電解質層3bに含まれる熱膨張性黒鉛4の効果に関する評価を行った。
(実施例1)
実施例1では、上述の実施形態の製造方法における各工程(工程1〜工程8)に対応した工程を経て固体電解コンデンサA1を作製した。
工程1A:平均粒径が約2μmのタンタル金属粉末を用いて陽極リード線1aの一部を埋め込むようにして略板状に成型し、真空中において焼結する。これにより、タンタル多孔質焼結体からなる陽極体1を形成する。この際、タンタル金属粒子間は溶着される。
工程2A:焼結された陽極体1に対して、約60℃に保持した約0.1重量%のリン酸水溶液中において約8Vの定電圧で約10時間陽極酸化を行う。これにより、陽極体1の周囲を覆うように酸化タンタルからなる誘電体層2を形成する。
工程3A:重合性モノマーとしてのピロール0.5重量%と、ドーパント付与剤兼酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III )1重量%とを、エタノールと水の5:1混合溶媒に溶解させた第1の化学重合液を用意する。そして、この第1の化学重合液に誘電体層2が形成された陽極体1を浸漬し、大気中に2時間放置することにより重合反応を進行させる。このようにして、誘電体層2の上にポリピロールからなる第1の電解質層3a(厚みt1:5μm)を形成する。
次に、重合性モノマーとしてのピロール10重量%と、ドーパント付与剤兼酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III )16重量%とを、エタノールと水の5:1混合溶媒に溶解させた第2の化学重合液を調製し、この第2の化学重合液に対して所定の膨張性能(膨張開始温度300℃、膨張度10cm/g)を有する熱膨張性黒鉛粉末(粒子状粉末)25重量%を均一に混合した混合液を用意する。そして、この混合液に第1の電解質層3aが形成された陽極体1を浸漬し、大気中に2時間放置することにより重合反応を進行させる。このようにして、第1の電解質層3aの上にポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚みt2:95μm)を形成する。この際、第2の電解質層3bの内部には所定の膨張性能を有する熱膨張性黒鉛4が50重量%の含有量で添加される。なお、熱膨張性黒鉛4は第1の電解質層3aの表面上に形成される第2の電解質層3bの全面にわたって均一に添加される。
以上のようにして、誘電体層2の表面上に、ポリピロールからなる第1の電解質層3a(厚みt1:5μm)と、熱膨張性黒鉛4を含有するポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚みt2:95μm)とから構成される電解質層3(厚さ合計:100μm)が形成される。
工程4A:導電性高分子層3上に導電性カーボンペーストを塗布し、150℃で30分間乾燥することによりカーボン粒子を含む層からなる導電性カーボン層5aを形成する。さらにこの導電性カーボン層5a上に銀ペーストを塗布し、170℃で30分間乾燥することにより銀粒子を含む層からなる銀ペースト層5bを形成する。これにより、導電性高分子層3上に導電性カーボン層5aと銀ペースト層5bとの積層膜からなる陰極層5を形成する。
この後、上述の工程5〜工程8を経て実施例1における固体電解コンデンサA1が製造される。
(実施例2)
実施例2では、実施例1の工程3Aを以下の工程3Bのように変更して電解質層3(第1の電解質層3aおよび第2の電解質層3b)を形成すること以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサA2を作製した。これにより、誘電体層2の表面上には、ポリピロールからなる第1の電解質層3a(厚さt1:10μm)と、熱膨張性黒鉛4を含有するポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚さt2:90μm)とから構成される電解質層3(厚さ合計:100μm)が形成される。
工程3B:重合性モノマーとしてのピロール1重量%と、ドーパント付与剤兼酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III )2重量%とを、エタノールと水の5:1混合溶媒に溶解させた第1の化学重合液を用意する。そして、この第1の化学重合液に誘電体層2が形成された陽極体1を浸漬し、大気中に2時間放置することにより重合反応を進行させる。このようにして、誘電体層2の上にポリピロールからなる第1の電解質層3a(厚みt1:10μm)を形成する。
次に、重合性モノマーとしてのピロール9.4重量%と、ドーパント付与剤兼酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III )14重量%とを、エタノールと水の5:1混合溶媒に溶解させた第2の化学重合液を調製し、この第2の化学重合液に対して所定の膨張性能(膨張開始温度300℃、膨張度10cm/g)を有する熱膨張性黒鉛粉末(粒子状粉末)23重量%を均一に混合した混合液を用意する。そして、この混合液に第1の電解質層3aが形成された陽極体1を浸漬し、大気中に2時間放置することにより重合反応を進行させる。このようにして、第1の電解質層3aの上にポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚みt2:90μm)を形成する。この際、第2の電解質層3bの内部には所定の膨張性能を有する熱膨張性黒鉛4が50重量%の含有量で添加される。なお、熱膨張性黒鉛4は第1の電解質層3aの表面上に形成される第2の電解質層3bの全面にわたって均一に添加される。
(実施例3)
実施例3では、実施例1の工程3Aを以下の工程3Cのように変更して電解質層3(第1の電解質層3aおよび第2の電解質層3b)を形成すること以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサA3を作製した。これにより、誘電体層2の表面上には、ポリピロールからなる第1の電解質層3a(厚さt1:20μm)と、熱膨張性黒鉛4を含有するポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚さt2:80μm)とから構成される電解質層3(厚さ合計:100μm)が形成される。
工程3C:重合性モノマーとしてのピロール2重量%と、ドーパント付与剤兼酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III )3.2重量%とを、エタノールと水の5:1混合溶媒に溶解させた第1の化学重合液を用意する。そして、この第1の化学重合液に誘電体層2が形成された陽極体1を浸漬し、大気中に2時間放置することにより重合反応を進行させる。このようにして、誘電体層2の上にポリピロールからなる第1の電解質層3a(厚みt1:20μm)を形成する。
次に、重合性モノマーとしてのピロール8.5重量%と、ドーパント付与剤兼酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III )13重量%とを、エタノールと水の5:1混合溶媒に溶解させた第2の化学重合液を調製し、この第2の化学重合液に対して所定の膨張性能(膨張開始温度300℃、膨張度10cm/g)を有する熱膨張性黒鉛粉末(粒子状粉末)22重量%を均一に混合した混合液を用意する。そして、この混合液に第1の電
解質層3aが形成された陽極体1を浸漬し、大気中に2時間放置することにより重合反応を進行させる。このようにして、第1の電解質層3aの上にポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚みt2:80μm)を形成する。この際、第2の電解質層3bの内部には所定の膨張性能を有する熱膨張性黒鉛4が50重量%の含有量で添加される。なお、熱膨張性黒鉛4は第1の電解質層3aの表面上に形成される第2の電解質層3bの全面にわたって均一に添加される。
(実施例4)
実施例4では、実施例1の工程3Aを以下の工程3Dのように変更して電解質層3(第1の電解質層3aおよび第2の電解質層3b)を形成すること以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサA4を作製した。これにより、誘電体層2の表面上には、ポリピロールからなる第1の電解質層3a(厚さt1:50μm)と、熱膨張性黒鉛4を含有するポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚さt2:50μm)とから構成される電解質層3(厚さ合計:100μm)が形成される。
工程3D:重合性モノマーとしてのピロール5重量%と、ドーパント付与剤兼酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III )8重量%とを、エタノールと水の5:1混合溶媒に溶解させた第1の化学重合液を用意する。そして、この第1の化学重合液に誘電体層2が形成された陽極体1を浸漬し、大気中に2時間放置することにより重合反応を進行させる。このようにして、誘電体層2の上にポリピロールからなる第1の電解質層3a(厚みt1:50μm)を形成する。
次に、重合性モノマーとしてのピロール5重量%と、ドーパント付与剤兼酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III )8重量%とを、エタノールと水の5:1混合溶媒に溶解させた第2の化学重合液を調製し、この第2の化学重合液に対して所定の膨張性能(膨張開始温度300℃、膨張度10cm/g)を有する熱膨張性黒鉛粉末(粒子状粉末)13重量%を均一に混合した混合液を用意する。そして、この混合液に第1の電解質層3aが形成された陽極体1を浸漬し、大気中に2時間放置することにより重合反応を進行させる。このようにして、第1の電解質層3aの上にポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚みt2:50μm)を形成する。この際、第2の電解質層3bの内部には所定の膨張性能を有する熱膨張性黒鉛4が50重量%の含有量で添加される。なお、熱膨張性黒鉛4は第1の電解質層3aの表面上に形成される第2の電解質層3bの全面にわたって均一に添加される。
(実施例5)
実施例5では、実施例1の工程3Aを以下の工程3Eのように変更して電解質層3(第1の電解質層3aおよび第2の電解質層3b)を形成すること以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサA5を作製した。これにより、誘電体層2の表面上には、ポリピロールからなる第1の電解質層3a(厚さt1:90μm)と、熱膨張性黒鉛4を含有するポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚さt2:10μm)とから構成される電解質層3(厚さ合計:100μm)が形成される。
工程3E:重合性モノマーとしてのピロール9.4重量%と、ドーパント付与剤兼酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III )14重量%とを、エタノールと水の5:1混合溶媒に溶解させた第1の化学重合液を用意する。そして、この第1の化学重合液に誘電体層2が形成された陽極体1を浸漬し、大気中に2時間放置することにより重合反応を進行させる。このようにして、誘電体層2の上にポリピロールからなる第1の電解質層3a(厚みt1:90μm)を形成する。
次に、重合性モノマーとしてのピロール1重量%と、ドーパント付与剤兼酸化剤として
のp−トルエンスルホン酸鉄(III )2重量%とを、エタノールと水の5:1混合溶媒に溶解させた第2の化学重合液を調製し、この第2の化学重合液に対して所定の膨張性能(膨張開始温度300℃、膨張度10cm/g)を有する熱膨張性黒鉛粉末(粒子状粉末)3重量%を均一に混合した混合液を用意する。そして、この混合液に第1の電解質層3aが形成された陽極体1を浸漬し、大気中に2時間放置することにより重合反応を進行させる。このようにして、第1の電解質層3aの上にポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚みt2:10μm)を形成する。この際、第2の電解質層3bの内部には所定の膨張性能を有する熱膨張性黒鉛4が50重量%の含有量で添加される。なお、熱膨張性黒鉛4は第1の電解質層3aの表面上に形成される第2の電解質層3bの全面にわたって均一に添加される。
(実施例6)
実施例6では、実施例1の工程3Aを以下の工程3Fのように変更して電解質層3(第1の電解質層3aおよび第2の電解質層3b)を形成すること以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサA6を作製した。これにより、誘電体層2の表面上には、ポリピロールからなる第1の電解質層3a(厚さt1:93μm)と、熱膨張性黒鉛4を含有するポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚さt2:7μm)とから構成される電解質層3(厚さ合計:100μm)が形成される。
工程3F:重合性モノマーとしてのピロール9.7重量%と、ドーパント付与剤兼酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III )15.5重量%とを、エタノールと水の5:1混合溶媒に溶解させた第1の化学重合液を用意する。そして、この第1の化学重合液に誘電体層2が形成された陽極体1を浸漬し、大気中に2時間放置することにより重合反応を進行させる。このようにして、誘電体層2の上にポリピロールからなる第1の電解質層3a(厚みt1:93μm)を形成する。
次に、重合性モノマーとしてのピロール0.7重量%と、ドーパント付与剤兼酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III )1.4重量%とを、エタノールと水の5:1混合溶媒に溶解させた第2の化学重合液を調製し、この第2の化学重合液に対して所定の膨張性能(膨張開始温度300℃、膨張度10cm/g)を有する熱膨張性黒鉛粉末(粒子状粉末)2重量%を均一に混合した混合液を用意する。そして、この混合液に第1の電解質層3aが形成された陽極体1を浸漬し、大気中に2時間放置することにより重合反応を進行させる。このようにして、第1の電解質層3aの上にポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚みt2:7μm)を形成する。この際、第2の電解質層3bの内部には所定の膨張性能を有する熱膨張性黒鉛4が50重量%の含有量で添加される。なお、熱膨張性黒鉛4は第1の電解質層3aの表面上に形成される第2の電解質層3bの全面にわたって均一に添加される。
(比較例1)
図3は比較例1における固体電解コンデンサの電解質層近傍の部分拡大図を示す概略断面図である。比較例1では、図3に示すように、電解質層3として、第1の電解質層3aの上に熱膨張性黒鉛4を含有する第2の電解質層3bを形成していないこと以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサXを作製した。具体的には、比較例1では、実施例1の工程3Aを以下の工程3Gのように変更して電解質層3(第1の電解質層3a)を形成している。これにより、誘電体層2の表面上に、ポリピロールからなる第1の電解質層3a(厚さt1:100μm)のみが電解質層3として形成される。なお、この比較例1(固体電解コンデンサY)は、一般的な固体電解コンデンサ(ヒューズ機能をもたない固体電解コンデンサ)の一例である。
工程3G:重合性モノマーとしてのピロール10.5重量%と、ドーパント付与剤兼酸
化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III )17重量%とを、エタノールと水の5:1混合溶媒に溶解させた第1の化学重合液を用意する。そして、この第1の化学重合液に誘電体層2が形成された陽極体1を浸漬し、大気中に2時間放置することにより重合反応を進行させる。このようにして、誘電体層2の上にポリピロールからなる第1の電解質層3a(厚みt1:100μm)のみを電解質層3として形成する。
(比較例2)
図4は比較例2における固体電解コンデンサの電解質層近傍の部分拡大図を示す概略断面図である。比較例2では、図4に示すように、電解質層3として、誘電体層2の上に第1の電解質層3aを形成していないこと以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサYを作製した。具体的には、比較例2では、実施例1の工程3Aを以下の工程3Hのように変更して電解質層3(第2の電解質層3b)を形成している。これにより、誘電体層2の表面上に、熱膨張性黒鉛4を含有するポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚さt2:100μm)のみが電解質層3として形成される。
工程3H:重合性モノマーとしてのピロール10.5重量%と、ドーパント付与剤兼酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III )17重量%とを、エタノールと水の5:1混合溶媒に溶解させた第2の化学重合液を調製し、この第2の化学重合液に対して所定の膨張性能(膨張開始温度300℃、膨張度10cm/g)を有する熱膨張性黒鉛粉末(粒子状粉末)27.5重量%を均一に混合した混合液を用意する。そして、この混合液に誘電体層2が形成された陽極体1を浸漬し、大気中に2時間放置することにより重合反応を進行させる。このようにして、誘電体層2の上に熱膨張性黒鉛4を含有するポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚みt2:100μm)のみを電解質層3として形成する。この際、第2の電解質層3bの内部には所定の膨張性能を有する熱膨張性黒鉛4が50重量%の含有量で添加される。なお、熱膨張性黒鉛4は誘電体層2の表面上に形成される第2の電解質層3bの全面にわたって均一に添加される。
(評価)
まず、各固体電解コンデンサについて静電容量および等価直列抵抗(ESR:Equivalent Series Resistance)を評価した。静電容量は、各固体電解コンデンサに対してLCRメータを用いて周波数120Hzで測定した。また、ESRは、各固体電解コンデンサに対してLCRメータを用いて周波数100kHzで測定した。表1に各固体電解コンデンサにおける静電容量およびESRの評価結果をまとめる。なお、表1中の静電容量およびESRの各測定値は、固体電解コンデンサ試料100個の平均値を用い、比静電容量および比ESRの各値は、比較例1(固体電解コンデンサX)における測定結果を100として規格化したものである。
次に、各固体電解コンデンサについてヒューズ機能確認試験および燃焼確認試験を行った。ヒューズ機能確認試験は、各固体電解コンデンサをプリント基板に実装した後、工程2Aにおける陽極酸化電圧の2倍である16Vの過電圧を印加してコンデンサ素子を短絡し、5Aの過電流を印加した状態で、電気回路が開放となるか否かを観察した。また、燃焼確認試験は、同様の条件下で、コンデンサ素子が発煙・発火するか否かを確認した。表1に各固体電解コンデンサにおけるヒューズ機能確認試験および燃焼確認試験の評価結果をまとめる。なお、ヒューズ機能確認試験では、固体電解コンデンサ試料100個を使用し、そのうち電気回路が開放となった数(回路開放数)をカウントし、燃焼確認試験では、同100個を使用し、コンデンサ素子が発煙に至った数(発煙数)およびコンデンサ素子が発火に至った数(発火数)をカウントした。
なお、上述の静電容量およびESRの評価および各試験(ヒューズ機能確認試験、燃焼確認試験)では、はんだ部材として一般的なPbフリーはんだ材料を採用し、固体電解コ
ンデンサをプリント基板にはんだ部材を介して実装する際には、はんだ部材ははんだごてを用いてコンデンサ素子を過熱(具体的には、250℃以上に加熱)しないように形成した。
Figure 2009231646
表1に示すように、従来のヒューズを設けない比較例1(固体電解コンデンサX)では
、過電流を流した状態であっても電気回路は開放されず、評価試料100個すべてで発煙し、発火に至ることが確認された。これに対して、電解質層3として第1の電解質層3aの上に熱膨張性黒鉛4を含有する第2の電解質層3bを採用した実施例1〜6(固体電解コンデンサA1〜A6)では、いずれも回路開放数が100個となっており、過電流が流れた際の電流の遮断を行うヒューズ機能が働いていることが分かる。これは、第2の電解質層3bに熱膨張性黒鉛4を含有させておくことで、過電流が流れた際に、コンデンサ素子10の発熱により熱膨張性黒鉛4が膨張し、第2の電解質層3bの内部に電気的ギャップが生じる結果、固体電解コンデンサ(コンデンサ素子10)に流れる電流を遮断できたためと考えられる。
また、電解質層全体に熱膨張性黒鉛を含有した比較例2(固体電解コンデンサY)では、回路開放数(ヒューズ機能確認試験)が100個と良好な結果を示したものの、比較例1と比べて、静電容量の低下およびESRの増加が確認された。これは、比較例2では、熱膨張性黒鉛4を含有する電解質層3(第2の電解質層3b)が誘電体層2と直接接して設けられているので、熱膨張性黒鉛4が誘電体層2と接する部分が存在し、電解質層3と誘電体層2との実効的な接触面積(静電容量やESRの増減に寄与するポリピロールと誘電体層2との間の接触面積)が減少したことによると推察される。これに対して、実施例1〜6(固体電解コンデンサA1〜A6)では、こうした静電容量の低下およびESRの増加がいずれも低減されていることが分かる。これは、実施例1〜6では、第2の電解質層3bと誘電体層2との間には第1の電解質層3aが存在し、電解質層3と誘電体層2との実効的な接触面積の低下が防止されているためと推察される。
一方、実施例1(固体電解コンデンサA1)では、回路開放数(ヒューズ機能確認試験)は100個と良好な結果を示したものの、実施例2〜6と比べて、ESRの増加が確認された。これは、実施例1では、第1の電解質層3aと第2の電解質層3bとから構成される電解質層3において、導電性のない熱膨張性黒鉛4を含む第2の電解質層3bの割合が多く、電解質層3の抵抗自体が増加しているためと推察される。
また、実施例6(固体電解コンデンサA6)では、回路開放数(ヒューズ機能確認試験)が100個と良好な結果を示したものの、評価試料の一部(10個)で発煙が確認された。これは、実施例6において電解質層3を構成する第2の電解質層3bの厚さt2が7μmと薄いため、熱膨張性黒鉛4が膨張を開始して電流を遮断する前に、コンデンサ素子10の発煙が生じているためと推察される。
以上のことから、従来のヒューズを設けない固体電解コンデンサの構成を維持した状態で固体電解コンデンサにヒューズ機能を付与するには、本発明のように電解質層3として第1の電解質層3aと第2の電解質層3bとの積層膜を形成し、上層の第2の電解質層3bの内部に熱膨張性黒鉛4を含有させることが有効であることが分かる。特に、ESRの増加、静電容量の低下、及びコンデンサ素子の発煙を招くことなく、固体電解コンデンサにヒューズ機能を付与するには、電解質層3を構成する第2の電解質層3bの厚みt2に対する第1の電解質層3aの厚みt1の比(t1/t2)を0.1〜9.0の範囲とすることが好ましい。
<実験2>
次に、導電性高分子層からなる第1の電解質層3aと、熱膨張性黒鉛4を含有する導電性高分子層からなる第2の電解質層3bとにより構成される電解質層3において、第2の電解質層3bに含まれる熱膨張性黒鉛4の含有量の影響に関する評価を行った。
(実施例7〜10)
実施例7〜10では、実施例4の工程3Dにおいて、熱膨張性黒鉛4の含有量が5重量
%、10重量%、30重量%、65重量%となる第2の電解質層3bをそれぞれ形成すること以外は、実施例4と同様にして固体電解コンデンサB1〜B4を作製した。
具体的には、実施例4の工程3Dにおいて、第2の化学重合液に混合する熱膨張性黒鉛粉末の含有量を、実施例4の13重量%に代えて、1.3重量%(実施例7)、2.6重量%(実施例8)、8.0重量%(実施例9)、及び16.5重量%(実施例10)に変更することで、対応する固体電解コンデンサを製造している。
(評価)
各固体電解コンデンサについて、実験1と同様にして、静電容量およびESRの評価、ヒューズ機能確認試験、及び燃焼確認試験を行った。表2に各固体電解コンデンサの評価結果を示す。なお、表2中の静電容量およびESRの各測定値は、固体電解コンデンサ試料100個の平均値を用い、比静電容量および比ESRの各値は、比較例1(固体電解コンデンサX)における測定結果を100として規格化したものである。
Figure 2009231646
表2に示すように、所定の含有量(5重量%〜65重量%)で熱膨張性黒鉛4を含有さ
せた実施例4、7〜10(固体電解コンデンサA4、B1〜B4)では、いずれも回路開放数が100個となっており、過電流が流れた際の電流の遮断を行うヒューズ機能が働いていることが分かる。
一方、実施例7(固体電解コンデンサB1)では、回路開放数(ヒューズ機能確認試験)は100個と良好な結果を示したものの、評価試料の一部(6個)で発煙が確認された。これは、実施例7では、第2の電解質層3bに含有される熱膨張性黒鉛4の含有量が5重量%と少なく、熱膨張性黒鉛4が膨張して電流を遮断する前に、コンデンサ素子10の発煙が生じているためと推察される。
また、実施例10(固体電解コンデンサB4)では、回路開放数(ヒューズ機能確認試験)は100個と良好な結果を示したものの、実施例4、7〜9と比べて、ESRの増加が確認された。これは、実施例10では、熱膨張性黒鉛4の含有量が65重量%であり、他の実施例に比べて、(a)第2の電解質層3bに含まれる熱膨張性黒鉛4が陰極層5(導電性カーボン層5a)と接する部分が多く存在し、第2の電解質層3bと陰極層5(導電性カーボン層5a)との界面抵抗が増加しているため、あるいは(b)第2の電解質層3bにおいて、導電性のない熱膨張性黒鉛4の割合が多く、第2の電解質層3bの抵抗自体が増加しているためと推察される。
以上のことから、固体電解コンデンサにヒューズ機能を付与するには、本発明のように電解質層3として第1の電解質層3aと第2の電解質層3bとの積層膜を形成し、上層の第2の電解質層3bの内部に熱膨張性黒鉛4を含有させることが有効であり、特に熱膨張性黒鉛4を含有する第2の電解質層3bに対しては、熱膨張性黒鉛4の含有量が10重量%〜50重量%の範囲のものを採用することが好ましいことが分かる。
<実験3>
次に、二酸化マンガン層からなる第1の電解質層3aと、熱膨張性黒鉛4を含有する導電性高分子層からなる第2の電解質層3bとにより構成される電解質層3において、第2の電解質層3bに含まれる熱膨張性黒鉛4の効果に関する評価を行った。
(実施例11)
実施例11では、実施例1の工程3Aを以下の工程3Iのように変更して電解質層3(第1の電解質層3aおよび第2の電解質層3b)を形成すること以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサC1を作製した。これにより、誘電体層2の表面上には、二酸化マンガン層からなる第1の電解質層3a(厚さt1:5μm)と、熱膨張性黒鉛4を含有するポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚さt2:95μm)とから構成される電解質層3(厚さ合計:100μm)が形成される。
工程3I:誘電体層2が形成された陽極体1を、0.5重量%の硝酸マンガン溶液に浸漬し、引き上げた後、250℃で10分程度の熱処理を施す。この浸漬・引き上げ・熱処理の操作を3回繰り返し行う。引き続き、10重量%の硝酸マンガン溶液を用いて同様に浸漬・引き上げ・熱処理の操作を2回繰り返し行う。このようにして、誘電体層2の上に二酸化マンガン層からなる第1の電解質層3a(厚みt1:5μm)を形成する。
次に、重合性モノマーとしてのピロール10重量%と、ドーパント付与剤兼酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III )16重量%とを、エタノールと水の5:1混合溶媒に溶解させた化学重合液を調製し、この化学重合液に対して所定の膨張性能(膨張開始温度300℃、膨張度10cm/g)を有する熱膨張性黒鉛粉末(粒子状粉末)25重量%を均一に混合した混合液を用意する。そして、この混合液に第1の電解質層3aが形成された陽極体1を浸漬し、大気中に2時間放置することにより重合反応を進行させる。
このようにして、第1の電解質層3aの上にポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚みt2:95μm)を形成する。この際、第2の電解質層3bの内部には所定の膨張性能を有する熱膨張性黒鉛4が50重量%の含有量で添加される。なお、熱膨張性黒鉛4は第1の電解質層3aの表面上に形成される第2の電解質層3bの全面にわたって均一に添加される。
(実施例12)
実施例12では、実施例1の工程3Aを以下の工程3Jのように変更して電解質層3(第1の電解質層3aおよび第2の電解質層3b)を形成すること以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサC2を作製した。これにより、誘電体層2の表面上には、二酸化マンガン層からなる第1の電解質層3a(厚さt1:9μm)と、熱膨張性黒鉛4を含有するポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚さt2:91μm)とから構成される電解質層3(厚さ合計:100μm)が形成される。
工程3J:誘電体層2が形成された陽極体1を、0.5重量%の硝酸マンガン溶液に浸漬し、引き上げた後、250℃で10分程度の熱処理を施す。この浸漬・引き上げ・熱処理の操作を3回繰り返し行う。引き続き、10重量%の硝酸マンガン溶液を用いて同様に浸漬・引き上げ・熱処理の操作を4回繰り返し行う。このようにして、誘電体層2の上に二酸化マンガン層からなる第1の電解質層3a(厚みt1:9μm)を形成する。
次に、重合性モノマーとしてのピロール9.5重量%と、ドーパント付与剤兼酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III )15重量%とを、エタノールと水の5:1混合溶媒に溶解させた化学重合液を調製し、この化学重合液に対して所定の膨張性能(膨張開始温度300℃、膨張度10cm/g)を有する熱膨張性黒鉛粉末(粒子状粉末)24重量%を均一に混合した混合液を用意する。そして、この混合液に第1の電解質層3aが形成された陽極体1を浸漬し、大気中に2時間放置することにより重合反応を進行させる。このようにして、第1の電解質層3aの上にポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚みt2:91μm)を形成する。この際、第2の電解質層3bの内部には所定の膨張性能を有する熱膨張性黒鉛4が50重量%の含有量で添加される。なお、熱膨張性黒鉛4は第1の電解質層3aの表面上に形成される第2の電解質層3bの全面にわたって均一に添加される。
(実施例13)
実施例13では、実施例1の工程3Aを以下の工程3Kのように変更して電解質層3(第1の電解質層3aおよび第2の電解質層3b)を形成すること以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサC3を作製した。これにより、誘電体層2の表面上には、二酸化マンガン層からなる第1の電解質層3a(厚さt1:15μm)と、熱膨張性黒鉛4を含有するポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚さt2:85μm)とから構成される電解質層3(厚さ合計:100μm)が形成される。
工程3K:誘電体層2が形成された陽極体1を、0.5重量%の硝酸マンガン溶液に浸漬し、引き上げた後、250℃で10分程度の熱処理を施す。この浸漬・引き上げ・熱処理の操作を3回繰り返し行う。引き続き、10重量%の硝酸マンガン溶液を用いて同様に浸漬・引き上げ・熱処理の操作を7回繰り返し行う。このようにして、誘電体層2の上に二酸化マンガン層からなる第1の電解質層3a(厚みt1:15μm)を形成する。
次に、重合性モノマーとしてのピロール9重量%と、ドーパント付与剤兼酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III )14重量%とを、エタノールと水の5:1混合溶媒に溶解させた化学重合液を調製し、この化学重合液に対して所定の膨張性能(膨張開始温度300℃、膨張度10cm/g)を有する熱膨張性黒鉛粉末(粒子状粉末)22重量
%を均一に混合した混合液を用意する。そして、この混合液に第1の電解質層3aが形成された陽極体1を浸漬し、大気中に2時間放置することにより重合反応を進行させる。このようにして、第1の電解質層3aの上にポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚みt2:85μm)を形成する。この際、第2の電解質層3bの内部には所定の膨張性能を有する熱膨張性黒鉛4が50重量%の含有量で添加される。なお、熱膨張性黒鉛4は第1の電解質層3aの表面上に形成される第2の電解質層3bの全面にわたって均一に添加される。
(実施例14)
実施例14では、実施例1の工程3Aを以下の工程3Lのように変更して電解質層3(第1の電解質層3aおよび第2の電解質層3b)を形成すること以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサC4を作製した。これにより、誘電体層2の表面上には、二酸化マンガン層からなる第1の電解質層3a(厚さt1:50μm)と、熱膨張性黒鉛4を含有するポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚さt2:50μm)とから構成される電解質層3(厚さ合計:100μm)が形成される。
工程3L:誘電体層2が形成された陽極体1を、0.5重量%の硝酸マンガン溶液に浸漬し、引き上げた後、250℃で10分程度の熱処理を施す。この浸漬・引き上げ・熱処理の操作を3回繰り返し行う。引き続き、10重量%の硝酸マンガン溶液を用いて同様に浸漬・引き上げ・熱処理の操作を20回繰り返し行う。このようにして、誘電体層2の上に二酸化マンガン層からなる第1の電解質層3a(厚みt1:50μm)を形成する。
次に、重合性モノマーとしてのピロール5重量%と、ドーパント付与剤兼酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III )8重量%とを、エタノールと水の5:1混合溶媒に溶解させた化学重合液を調製し、この化学重合液に対して所定の膨張性能(膨張開始温度300℃、膨張度10cm/g)を有する熱膨張性黒鉛粉末(粒子状粉末)13重量%を均一に混合した混合液を用意する。そして、この混合液に第1の電解質層3aが形成された陽極体1を浸漬し、大気中に2時間放置することにより重合反応を進行させる。このようにして、第1の電解質層3aの上にポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚みt2:50μm)を形成する。この際、第2の電解質層3bの内部には所定の膨張性能を有する熱膨張性黒鉛4が50重量%の含有量で添加される。なお、熱膨張性黒鉛4は第1の電解質層3aの表面上に形成される第2の電解質層3bの全面にわたって均一に添加される。
(実施例15)
実施例15では、実施例1の工程3Aを以下の工程3Mのように変更して電解質層3(第1の電解質層3aおよび第2の電解質層3b)を形成すること以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサC5を作製した。これにより、誘電体層2の表面上には、二酸化マンガン層からなる第1の電解質層3a(厚さt1:90μm)と、熱膨張性黒鉛4を含有するポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚さt2:10μm)とから構成される電解質層3(厚さ合計:100μm)が形成される。
工程3M:誘電体層2が形成された陽極体1を、0.5重量%の硝酸マンガン溶液に浸漬し、引き上げた後、250℃で10分程度の熱処理を施す。この浸漬・引き上げ・熱処理の操作を3回繰り返し行う。引き続き、10重量%の硝酸マンガン溶液を用いて同様に浸漬・引き上げ・熱処理の操作を36回繰り返し行う。このようにして、誘電体層2の上に二酸化マンガン層からなる第1の電解質層3a(厚みt1:90μm)を形成する。
次に、重合性モノマーとしてのピロール1重量%と、ドーパント付与剤兼酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III )2重量%とを、エタノールと水の5:1混合溶媒に
溶解させた化学重合液を調製し、この化学重合液に対して所定の膨張性能(膨張開始温度300℃、膨張度10cm/g)を有する熱膨張性黒鉛粉末(粒子状粉末)3重量%を均一に混合した混合液を用意する。そして、この混合液に第1の電解質層3aが形成された陽極体1を浸漬し、大気中に2時間放置することにより重合反応を進行させる。このようにして、第1の電解質層3aの上にポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚みt2:10μm)を形成する。この際、第2の電解質層3bの内部には所定の膨張性能を有する熱膨張性黒鉛4が50重量%の含有量で添加される。なお、熱膨張性黒鉛4は第1の電解質層3aの表面上に形成される第2の電解質層3bの全面にわたって均一に添加される。
(実施例16)
実施例16では、実施例1の工程3Aを以下の工程3Nのように変更して電解質層3(第1の電解質層3aおよび第2の電解質層3b)を形成すること以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサC6を作製した。これにより、誘電体層2の表面上には、二酸化マンガン層からなる第1の電解質層3a(厚さt1:95μm)と、熱膨張性黒鉛4を含有するポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚さt2:5μm)とから構成される電解質層3(厚さ合計:100μm)が形成される。
工程3N:誘電体層2が形成された陽極体1を、0.5重量%の硝酸マンガン溶液に浸漬し、引き上げた後、250℃で10分程度の熱処理を施す。この浸漬・引き上げ・熱処理の操作を3回繰り返し行う。引き続き、10重量%の硝酸マンガン溶液を用いて同様に浸漬・引き上げ・熱処理の操作を38回繰り返し行う。このようにして、誘電体層2の上に二酸化マンガン層からなる第1の電解質層3a(厚みt1:90μm)を形成する。
次に、重合性モノマーとしてのピロール0.5重量%と、ドーパント付与剤兼酸化剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III )1重量%とを、エタノールと水の5:1混合溶媒に溶解させた化学重合液を調製し、この化学重合液に対して所定の膨張性能(膨張開始温度300℃、膨張度10cm/g)を有する熱膨張性黒鉛粉末(粒子状粉末)1.5重量%を均一に混合した混合液を用意する。そして、この混合液に第1の電解質層3aが形成された陽極体1を浸漬し、大気中に2時間放置することにより重合反応を進行させる。このようにして、第1の電解質層3aの上にポリピロールからなる第2の電解質層3b(厚みt2:5μm)を形成する。この際、第2の電解質層3bの内部には所定の膨張性能を有する熱膨張性黒鉛4が50重量%の含有量で添加される。なお、熱膨張性黒鉛4は第1の電解質層3aの表面上に形成される第2の電解質層3bの全面にわたって均一に添加される。
(比較例3)
図3は比較例3における固体電解コンデンサの電解質層近傍の部分拡大図を示す概略断面図である。比較例3では、図3に示すように、電解質層3として、第1の電解質層3aの上に熱膨張性黒鉛4を含有する第2の電解質層3bを形成していないこと以外は、実施例11と同様にして固体電解コンデンサZを作製した。具体的には、比較例3では、実施例11の工程3Iを以下の工程3Pのように変更して電解質層3(第1の電解質層3a)を形成している。これにより、誘電体層2の表面上に、二酸化マンガン層からなる第1の電解質層3a(厚さt1:100μm)が電解質層3として形成される。なお、この比較例3(固体電解コンデンサZ)は、一般的な固体電解コンデンサ(ヒューズ機能をもたない固体電解コンデンサ)の一例である。
工程3P:誘電体層2が形成された陽極体1を、0.5重量%の硝酸マンガン溶液に浸漬し、引き上げた後、250℃で10分程度の熱処理を施す。この浸漬・引き上げ・熱処理の操作を3回繰り返し行う。引き続き、10重量%の硝酸マンガン溶液を用いて同様に
浸漬・引き上げ・熱処理の操作を40回繰り返し行う。このようにして、誘電体層2の上に二酸化マンガン層からなる第1の電解質層3a(厚みt1:100μm)のみからなる電解質層3を形成する。
(評価)
各固体電解コンデンサについて、実験1と同様にして、静電容量およびESRの評価、ヒューズ機能確認試験、及び燃焼確認試験を行った。表3に各固体電解コンデンサの評価結果を示す。なお、表3中の静電容量およびESRの各測定値は、固体電解コンデンサ試料100個の平均値を用い、比静電容量および比ESRの各値は、比較例3(固体電解コンデンサZ)における測定結果を100として規格化したものである。
Figure 2009231646
表3に示すように、従来のヒューズを設けない比較例3(固体電解コンデンサZ)では
、過電流を流した状態であっても電気回路は開放されず、評価試料100個すべてで発煙し、発火に至ることが確認された。これに対して、電解質層3として、二酸化マンガン層からなる第1の電解質層3aの上に熱膨張性黒鉛4を含有する第2の電解質層3bを採用した実施例11〜16(固体電解コンデンサC1〜C6)では、いずれも回路開放数が100個となっており、過電流が流れた際の電流の遮断を行うヒューズ機能が働いていることが分かる。これは、実験1と同様、第2の電解質層3bに熱膨張性黒鉛4を含有させておくことで、過電流が流れた際に、コンデンサ素子10の発熱により熱膨張性黒鉛4が膨張し、第2の電解質層3bの内部に電気的ギャップが生じる結果、固体電解コンデンサ(コンデンサ素子10)に流れる電流を遮断できたためと考えられる。
一方、実施例11(固体電解コンデンサC1)では、回路開放数(ヒューズ機能確認試験)は100個と良好な結果を示したものの、実施例12〜16と比べて、静電容量の低下が確認された。これは、実施例11では、第1の電解質層3aと第2の電解質層3bとから構成される電解質層3において、第1の電解質層3a(二酸化マンガン層)に比べて下層との被覆率の悪い第2の電解質層3b(ポリピロール)の割合が多く、第2の電解質層3bの、第1の電解質層3aを介した誘電体層2との実効的な接触面積(静電容量の増減に寄与するポリピロールと誘電体層2との間の接触面積)が減少したことによると推察される。
また、実施例16(固体電解コンデンサC6)では、回路開放数(ヒューズ機能確認試験)は良好な結果を示したものの、評価試料の一部(7個)で発煙が確認された。これは、実施例16において電解質層3を構成する第2の電解質層3b(熱膨張性黒鉛4を含有する第2の電解質層3b)の厚さが5μmと薄いため、熱膨張性黒鉛4が膨張を開始して電流を遮断する前に、コンデンサ素子10の発煙が生じているためと推察される。
なお、上記評価とは別に、二酸化マンガン層からなる第1の電解質層3aと、導電性高分子層からなる第2の電解質層3bとにより構成される電解質層3において、第2の電解質層3bに熱膨張性黒鉛4を含有させない場合に、評価試料すべてで過電流を流した状態であっても電気回路は開放されず、発煙し、発火に至ることを確認している。
以上のことから、従来のヒューズを設けない固体電解コンデンサの構成を維持した状態で固体電解コンデンサにヒューズ機能を付与するには、本発明のように電解質層3として第1の電解質層3aと第2の電解質層3bとの積層膜を形成し、下層の第1の電解質層3aとして二酸化マンガン層を用い、上層の第2の電解質層3bの内部に熱膨張性黒鉛4を含有させることが有効であることが分かる。特に、静電容量の低下やコンデンサ素子の発煙を招くことなく、固体電解コンデンサにヒューズ機能を付与するには、電解質層3を構成する第2の電解質層3bの厚みt2に対する第1の電解質層3aの厚みt1の比(t1/t2)を0.1〜9.0の範囲とすることが好ましい。
本実施形態の固体電解コンデンサによれば、以下の効果を得ることができる。
(1)電解質層3として誘電体層2の上に第1の電解質層3aと、その上に第2の電解質層3bを設け、第2の電解質層3bの内部に熱膨張性黒鉛4を含有させたことで、固体電解コンデンサに対して、コンデンサ素子10に過電流が流れた際の電流の遮断を行うヒューズ機能を付与することができる。
(2)電解質層3として誘電体層2の上に第1の電解質層3aと、その上に第2の電解質層3bを設け、第2の電解質層3bの内部に熱膨張性黒鉛4を含有させたことにより、従来のヒューズを設けない固体電解コンデンサの構成を維持した状態で、すなわち、固体電解コンデンサを大型化することなく、上記(1)の効果を享受することができる。
(3)従来の電解質層を、第1の電解質層3aと熱膨張性黒鉛4を含有する第2の電解質層3bとの積層膜に変更するだけで、ヒューズ機能を有する固体電解コンデンサとすることができるので、従来のヒューズ内蔵型の固体電解コンデンサに比べ、こうした固体電解コンデンサの小型化を図ることができる。
(4)電解質層3として、誘電体層2の上に第1の電解質層3aと、その上に第2の電解質層3bを設け、第2の電解質層3bの内部のみに熱膨張性黒鉛4を含有させたことにより、静電容量の低下やESRの増加を抑制しつつ、上記(1)〜(3)の効果を享受することができる。
(5)第1の電解質層3aの上に形成された第2の電解質層3bの全面にわたって熱膨張性黒鉛4を分布させたことで、熱負荷によって第2の電解質層3bの全面に電気的ギャップを生じさせることができ、コンデンサ素子10に流れる電流を確実に遮断することができる。このため、上記(1)〜(4)に記載のヒューズ機能をより確実に働かせることができる。
(6)第2の電解質層3bとしてポリピロールなどの導電性高分子層を採用したことで、二酸化マンガン層を採用する場合に比べて、より低温(たとえば、室温25℃)で熱膨張性黒鉛4を含有させることができるので、固体電解コンデンサの製造歩留まりを向上させることができる。これは、第2の電解質層3bとして二酸化マンガン層を採用する場合には、その熱分解工程における高温(たとえば、250℃)により一部の熱膨張性黒鉛4が膨張して、第2の電解質層3b自体を破損することがあるためである。
(7)第2の電解質層3bとしてポリピロールなどの導電性高分子層を採用したことで、二酸化マンガン層を採用する場合に比べて、過電流が流れて発熱した際の発火性を低減することができる。このため、万一の誤接続や故障の際における固体電解コンデンサの信頼性(安全性)をさらに向上させることができる。これは、第2の電解質層3bが二酸化マンガン層で構成される場合には、過電流が流れた際に生じる熱で二酸化マンガン層から酸素が放出されるのに対し、導電性高分子層の場合には、内部に含有する酸素が少なく、二酸化マンガン層のような酸素の放出が低減されるためである。
(8)第1の電解質層3aとしてポリピロールなどの導電性高分子層を採用したことで、上記(7)と同様、二酸化マンガン層を採用する場合に比べて、過電流が流れて発熱した際の発火性を低減することができるため、固体電解コンデンサの信頼性(安全性)を向上させることができる。
(9)第1の電解質層3aとして二酸化マンガン層を採用したことで、導電性高分子層を採用する場合に比べて、ヒューズ機能を有する固体電解コンデンサにおける静電容量の増加を図ることができる。これは、二酸化マンガン層の誘電体層2に対する被覆率が、導電性高分子層に比べて高いことによる。
(10)第1の電解質層3aと第2の電解質層3bにいずれも導電性高分子層を採用したことで、二酸化マンガン層を含む場合と比較して、ヒューズ機能を有する固体電解コンデンサにおけるESRの低減を図ることができる。これは、導電性高分子層の電気伝導度が、二酸化マンガン層に比べて高いことによる。
(11)電解質層3は、第2の電解質層3bの厚みt2に対する第1の電解質層3aの厚みt1の比(t1/t2)は0.1〜9.0の範囲であることが好ましい。これにより、ESRの増加、静電容量の低下、及びコンデンサ素子の発煙を招くことなく、短絡時に電流を確実に遮断することができる。
(12)電解質層3を構成する第1の電解質層3aの厚みt1は10μm以上であることが好ましい。これにより、静電容量の低下を招くことなく、短絡時に電流を確実に遮断することができる。
(13)熱膨張性黒鉛4を含有する第2の電解質層3bには熱膨張性黒鉛4の含有量が10重量%〜50重量%の範囲のものを採用することが好ましい。これにより、ESRの増加やコンデンサ素子の発煙を招くことなく、短絡時に電流を確実に遮断することができる。
(14)従来の電解質層を、第1の電解質層3aと熱膨張性黒鉛4を含有する第2の電解質層3bとの積層膜に変更するだけで、ヒューズ機能を有する固体電解コンデンサとすることができるので、従来のヒューズ内蔵型の固体電解コンデンサに比べ、こうした固体電解コンデンサの低コスト化を図ることができる。
(15)固体電解コンデンサを構成する電解質層3(第2の電解質層3b)の内部に熱膨張性黒鉛4を含有させる場合、リフロー時にはんだ部材が溶融する温度(実装温度)よりも高い膨張開始温度を有する熱膨張性黒鉛4を採用することが好ましく、これにより熱膨張性黒鉛4を膨張させることなく、はんだ部材を溶着することができる。すなわち、はんだリフロー時に電解質層3(第2の電解質層3b)の内部に電気的ギャップが発生して固体電解コンデンサ(コンデンサ素子10)が破損することなく、固体電解コンデンサをはんだ部材を介して実装基板上に搭載することができる。このため、こうした実装基板の製造歩留まりを向上させることができる。
(16)温度300℃の環境下において、熱膨張性黒鉛4が膨張し、コンデンサ素子10(陽極端子6と陰極端子7との間)に電流が流れなくなるようにしたことで、コンデンサ素子10の発熱(過剰な発熱)を防止することができるため、万一の誤接続や故障の際における固体電解コンデンサの信頼性(安全性)を向上させることができる。なお、温度300℃の環境下とは、固体電解コンデンサ(あるいはこれを搭載する実装基板)が温度300℃に加熱された状態、あるいは温度300℃の雰囲気に晒された状態を示す。
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
上記実施形態では、弁作用金属からなる金属粒子の多孔質焼結体からなる陽極体を採用した固体電解コンデンサの例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえは、弁作用金属からなる陽極箔を採用した固体電解コンデンサであってもよい。この場合にも同様の効果を享受することができる。
上記実施形態では、化学重合法を用いて、熱膨張性黒鉛を含有する第2の電解質層を形成した例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、電解重合法を用いて形成してもよいし、化学重合法と電解重合法とを組み合わせて形成してもよい。こうした場合にも同様の効果を享受することができる。
上記実施形態では、粒子状の熱膨張性黒鉛粉末を採用した例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、フレーク状の熱膨張性黒鉛粉末を採用してもよいし、また粒子状とフレーク状の混合粉末を採用してもよい。こうした場合にも同様の効果を享受することができる。
(A)本実施形態に係る固体電解コンデンサの構成を示す概略断面図、(B)同固体電解コンデンサにおける電解質層近傍の部分拡大図。 熱負荷により熱膨張性黒鉛が膨張する前後の状態を示す模式図。 比較例1および比較例3の固体電解コンデンサにおける電解質層近傍の部分拡大図。 比較例2の固体電解コンデンサにおける電解質層近傍の部分拡大図。
符号の説明
1 陽極体、1a 陽極リード線、2 誘電体層、3 電解質層、3a 第1の電解質層、3b 第2の電解質層、4 熱膨張性黒鉛、4a 黒鉛結晶、4b 層間物、5 陰極層、5a 導電性カーボン層、5b 銀ペースト層、6 陽極端子、7 陰極端子、8
モールド外装体、10 コンデンサ素子。

Claims (9)

  1. 陽極体の表面に、誘電体層、電解質層、及び陰極層が順次形成された固体電解コンデンサであって、
    前記電解質層は、前記誘電体層の上に形成された第1の電解質層と、この第1の電解質層の上に形成された第2の電解質層とを備え、
    前記第2の電解質層は、熱膨張性黒鉛を含有していることを特徴とした固体電解コンデンサ。
  2. 前記熱膨張性黒鉛は、前記第2の電解質層のみに含有されていることを特徴とした請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記熱膨張性黒鉛は、前記第2の電解質層の全面にわたって分布していることを特徴とした請求項1または2に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 前記第2の電解質層は、導電性高分子により構成されていることを特徴とした請求項1〜3のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ。
  5. 前記電解質層は、前記第2の電解質層の厚みt2に対する第1の電解質層の厚みt1の比(t1/t2)が0.1〜9.0の範囲であることを特徴とした請求項1〜4のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ。
  6. 前記電解質層は、前記第1の電解質層の厚みが10μm以上であることを特徴とした請求項1〜5のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ。
  7. 前記熱膨張性黒鉛は、含有量が前記第2の電解質層の総重量に対して10重量%〜50重量%の範囲であることを特徴とした請求項1〜6のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ。
  8. 前記第1の電解質層は、導電性高分子により構成されていることを特徴とした請求項1〜7のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ。
  9. 温度300℃の環境下において、前記熱膨張性黒鉛が膨張し、前記陽極体と前記陰極層との間に電流が流れなくなることを特徴とした請求項1〜8のいずれか一項に記載の固体電解コンデンサ。
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