JP2009215789A - 補強構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】せん断補強と曲げ補強の両方を簡易に行うことを可能とした補強構造を提供する。
【解決手段】既設の壁部材10を貫通するように形成された上下2つの補強部材挿入孔11,11を貫通して壁部材10に巻き付けられた補強線材20と、この補強部材挿入孔11,11に充填された充填材30と、を有する補強構造1であって、補強線材20が、補強部材挿入孔11,11内に定着されているとともに壁部材10の表面に密着している。
【選択図】図1

Description

本発明は、既設コンクリート部材の補強構造に関する。
従来、柱部材や梁部材に対する耐震補強として、鉄板や繊維シート等を部材の外周囲に巻き立てることでせん断耐力および曲げ耐力の増強を同時に行う場合がある。
ところが、壁部材に対しては、このような鋼板や補強繊維等を巻きたてることができないため、曲げ補強とせん断補強とをそれぞれ別途行うのが一般的である。
例えば、特許文献1には、壁部材のせん断補強方法として、壁部材に所定長さの削孔部を形成する削孔工程と、該削孔部に充填材の充填および補強部材の挿入を行う補強部材設置工程と、を備える既存建物のせん断補強方法が開示されている。
また、特許文献2には、コンクリート部材の一面側から補強部材挿入孔を削孔し、補強部材挿入孔にせん断補強材の挿入および充填材の充填を行うとともに、コンクリート部材の一面側を鋼板等の補強用板状体で覆うことで、せん断補強材によりせん断耐力の増強、補強用板状体で曲げ耐力の増強を図る補強方法が開示されている。
特開2000−34842号公報 特開2001−110365号公報
ところが、特許文献1に記載の補強方法は、せん断耐力の増強がなされているものの、曲げ耐力の増強がなされていないため、曲げ耐力の増強が求められる場合には、別途補強構造を構成する必要があるという問題点を有していた。
また、特許文献2に記載の補強方法は、補強部材挿入孔の削孔、補強用板状体の仮固定、せん断補強材の挿入、充填材の充填および養生により作業に手間がかかるという問題点を有していた。
また、コンクリート部材の表面を覆う補強用板状体の製造、搬入等に手間がかかるとともに、鋼棒などからなるせん断補強材や鋼板等からなる補強用板状体等の材料費が嵩むという問題点も有していた。
本発明は、前記の問題点を解決することを目的とするものであり、せん断補強と曲げ補強の両方を簡易に行うことを可能とした補強構造を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、第1の発明に係る補強構造は、既設のコンクリート構造物に形成された2つの補強部材挿入孔に挿入された補強線材と、前記補強部材挿入孔に充填された充填材と、を有していて、前記補強線材が、前記補強部材挿入孔内に定着されるとともに前記コンクリート構造物の表面に密着していることを特徴としている。
かかる補強構造によれば、補強線材の補強部材挿入孔内に配設された部分で主としてせん断補強がなされ、コンクリート構造物の表面に密着された部分により主として曲げ補強がなされるため、簡易にコンクリート構造物の補強を行うことが可能となる。
また、前記補強構造において、前記補強部材挿入孔が、前記コンクリート構造物を貫通する貫通孔である場合には、前記補強線材を、前記補強部材挿入孔を貫通した状態で前記コンクリート構造物に巻きつけていてもよい。
また、前記補強構造において、前記2つの補強部材挿入孔が、上下に配置されていれば、壁部材や柱等に作用する曲げモーメントに対して十分な補強を行うことが可能となる。
また、第2の発明に係る補強構造は、既設のコンクリート構造物に形成された2つの補強部材挿入孔に挿入された補強線材と、前記補強部材挿入孔に充填された充填材と、を有する補強構造であって、複数の前記補強線材が、横方向に並設されていて、それぞれ前記補強部材挿入孔内に定着されるとともに前記コンクリート構造物の表面に密着していることを特徴としている。
また、第3の発明に係る補強構造は、既設のコンクリート構造物に形成された2つの補強部材挿入孔に挿入された補強線材と、前記補強部材挿入孔に充填された充填材と、を有する補強構造であって、複数の前記補強線材が、千鳥状に配設されていて、それぞれ前記補強部材挿入孔内に定着されるとともに前記コンクリート構造物の表面に密着していることを特徴としている。
かかる補強構造によれば、壁部材や床版などの面材や版材について、効果的に補強を行うことが可能となる。
本発明の補強構造によれば、せん断補強と曲げ補強との両方を簡易に行うことを可能となる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
<第1の実施の形態>
第1の実施の形態に係る補強構造1は、図1(a)および(b)に示すように、既設のコンクリート構造物の一部である壁部材10に形成された2つの補強部材挿入孔11,11に挿入された補強線材20と、補強部材挿入孔11に充填された充填材30とを有して構成されている。
本実施形態では、壁部材10を補強する場合について説明するが、本実施形態の補強構造1が適用可能なコンクリート構造物は、壁に限定されるものではなく、例えば床版、柱、梁であってもよい。
壁部材10は、図1(a)に示すように、縦筋R1および横筋R2(既設の鉄筋)が配筋された鉄筋コンクリート部材であって、縦筋R1および横筋R2に直交する方向にせん断補強筋R3が所定の位置に配筋されている。なお、壁部材10の構成は限定されるものではなく、縦筋R1、横筋R2またはせん断補強筋R3の有無や配筋ピッチ等は、適宜設定されているものとする。
補強部材挿入孔11は、図1(a)および(b)に示すように、壁部材10を貫通する貫通孔であって、縦筋R1、横筋R2およびせん断補強筋R3に接触しないように、これらから離間した位置に設けられている。本実施形態では、複数の補強部材挿入孔11,11,…が配置されているが、その縦横の間隔は、それぞれ縦筋R1および横筋R2と同間隔である。
補強部材挿入孔11の断面形状は限定されるものではなく適宜設定することが可能である。また、補強部材挿入孔11の内幅(内径)は、補強線材20の外幅(外径)よりも大きく、補強線材20が挿入された状態で充填材30の充填が可能な大きさに形成されていれば、限定されるものではない。
補強線材20は、図1(b)に示すように、2つの補強部材挿入孔11を貫通した状態で、壁部材10に巻き付けられている。本実施形態では、補強線材20を上下に隣り合う補強部材挿入孔11,11を貫通させた状態で、巻き付けられており、補強線材20の壁部材10の表面に配設された部分は、横筋R2と交差している。
補強線材20を構成する材料は、2つの補強部材挿入孔11を貫通して巻きつけることが可能なものであれば限定されるものではなく、適宜公知の材料が採用可能である。
ここで、補強線材として、炭素繊維や耐アルカリ性ガラス繊維などを使用すれば、壁部材10の表面において露出する部分が錆びることがないので、錆止対策工等を省略することが可能となる。
補強線材20は、壁部材10に巻き付けた状態でその一端と他端とが結束部材21により結束されており、補強部材挿入孔11から出ている部分が壁部材10の表面に密着している。また、補強線材20が貫通された補強部材挿入孔11では、充填材30が固化されていることにより、補強線材20が定着されている。
本実施形態では、壁部材10に対して、複数の補強線材20を配設するものとし、図1(a)に示すように、各補強線材20は横方向で並設されている。つまり、横方向に隣り合う補強線材20は、同じ高さに配設されている。
充填材30は、グラウトからなり、補強線材20が貫通された補強部材挿入孔11に充填されている。
なお、充填材30を構成する材料は、硬化することで補強線材20を固定することが可能であればグラウトに限定されるものではなく、例えば樹脂接着剤等、適宜公知の充填材が採用可能である。
補強構造1の施工方法は、(1)補強部材挿入孔を穿孔する穿孔工程と、(2)補強線材を巻き付ける巻付け工程と、(3)充填材を充填する充填工程と、を主要部として構成されている。
(1)穿孔工程
穿孔工程は、壁部材10の一面側から他面側に向けて補強線材20を貫通させるための貫通孔(補強部材挿入孔11)を形成する工程である。
補強部材挿入孔11は、図1(a)に示すように、壁部材10の施工時の配筋図や非破壊試験の情報をもとに、穿孔時に縦筋R1および横筋R2に損傷を与えることのないように、縦間隔は横筋R2と、横間隔は縦筋R1と同間隔で両鉄筋の中央に形成する。
図1(b)に示すように、補強部材挿入孔11の穿孔は、壁部材10の表面に略垂直な方向に、インパクト・ドリルやロータリーハンマ・ドリル、コア・ドリルなどの穿孔手段を用いて行う。
(2)巻付け工程
巻付け工程では、まず、壁部材10の一面側から補強部材挿入孔11に補強線材20を挿入する。次に、他面側において補強部材挿入孔11から引き出された補強線材20を、その直下(直上)の補強部材挿入孔11に挿入し貫通させる。そして、壁部材10の一面側表面において、補強線材20の両端を締め上げつつ結束部材21により結束することで、補強線材20を壁部材10に巻き付ける。
なお、補強線材20の締め上げは、専用工具等を利用して、締め上げ力を管理しながら所定の締め上げ力にて行う。
(3)充填工程
充填工程は、補強線材20が貫通された補強部材挿入孔11の隙間に、グラウト注入(充填材30の充填)を行う工程である。
グラウト注入方法は限定されるものではなく、適宜公知の方法により行えばよい。
以上、本実施形態に係る補強構造1によれば、2つの補強部材挿入孔11を介して壁部材10に巻き付けられた補強線材20により、壁部材10のせん断補強および曲げ補強を一度に行うことが可能となる。
つまり、補強線材20の補強部材挿入孔11に挿入された部分により、主として壁部材10のせん断補強が行われ、補強線材20の壁部材10の表面に露出された部分により、主として壁部材10の曲げ補強が行われる。
また、補強構造1は、施工を穿孔工程、巻付け工程および充填工程により、比較的簡易に行うことが可能なため、施工性に優れている。
また、補強線材20および結束部材21は、軽量でかさばらないため、搬送等が容易で取り扱い性に優れているとともに、材料の資材置き場として、ひろいスペースを確保する必要がない。
また、補強線材20の巻き付けは、人力にて行うことが可能なため、別途施工機械等を搬入する必要がない。
なお、本実施形態では、補強部材挿入孔11を、壁部材10の縦筋R1および横筋R2と同間隔で形成するものとしたが、図2(a)に示す補強構造1aのように、補強部材挿入孔11の縦方向の間隔を大きくして複数の横筋R2を跨ぐようにしてもよい。このようにすると、補強線材20の壁部材10の内部への挿入部分と比較して、壁部材10の表面への密着部分が大きくなるので、せん断補強と比較して曲げ補強が卓越した補強構造が構成される。なお、補強部材挿入孔11の縦間隔および横間隔は限定されるものではない。
また、本実施形態では、補強線材20を横方向で並設させるものとしたが、図2(b)に示す補強構造1bのように、補強線材20を千鳥状に配設することで、せん断補強および曲げ補強により効果的な補強構造を構成するものとしてもよい。
また、本実施形態では、上下に配置された補強部材挿入孔11,11に補強線材20を貫通させた場合を例示したが、図2(c)に示す補強構造1cのように、斜め方向に配置された二つの補強部材挿入孔11,11を貫通させることで、補強線材20を縦筋R1および横筋R2と交差させてもよい。
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態に係る補強構造2は、図3(a)および(b)に示すように、既設のコンクリート構造物の一部である柱部材40に形成された2つの補強部材挿入孔41,41に挿入された補強線材20と、補強部材挿入孔41に充填された充填材30とを有して構成されている。
本実施形態では、柱部材40を補強する場合について説明するが、本実施形態の補強構造2が適用可能なコンクリート構造物は、柱に限定されるものではなく、例えば梁であってもよい。
柱部材40は、図3(a)に示すように、主筋R4および帯筋R5(既設の鉄筋)が配筋された鉄筋コンクリート部材である。
補強部材挿入孔41は、図3(a)および(b)に示すように、柱部材40を貫通する貫通孔であって、主筋R4,R4間に形成されている。本実施形態では、複数の補強部材挿入孔41,41が配置されており、縦間隔は帯筋R5の2倍の間隔で形成されている。
なお、補強部材挿入孔41の間隔は限定されるものではなく、適宜設定することが可能である。
この他、補強部材挿入孔41に関する事項は、第1の実施の形態で示した補強部材挿入孔11と同様なため、詳細な説明は省略する。
補強線材20は、図3(b)に示すように、上下に配置された2つの補強部材挿入孔41を貫通した状態で、柱部材40に巻き付けられており、補強線材20の柱部材40の表面に配設された部分が、帯筋R5と交差するように配設されている。
本実施形態では、柱部材40に対して、複数の補強線材20を配設するものとし、図3(a)に示すように、一の面につき2本の補強線材20が同じ高さに並設されている。また、一の面と直交する他の面に配設される補強線材20は、一の面に配設された補強線材20とぶつかり合うことがないように、高さ方向でずれた位置に配設されている。
この他、補強線材20に関する事項は第1の実施の形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
充填材30は、グラウトからなり、補強線材20が貫通された補強部材挿入孔41に充填されている。なお、この他の充填材30に関する事項は、第1の実施の形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
補強構造2の施工方法は、(1)補強部材挿入孔を穿孔する穿孔工程と、(2)補強線材を巻き付ける巻付け工程と、(3)充填材を充填する充填工程と、を主要部として構成されている。なお、補強構造2の施工方法は、第1の実施の形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
以上、本実施形態に係る補強構造2によれば、2つの補強部材挿入孔41を介して柱部材40に巻き付けられた補強線材20により、柱部材40のせん断補強および曲げ補強を一度に行うことが可能となる。
つまり、補強線材20の補強部材挿入孔41に挿入された部分により、柱部材40のせん断補強が行われ、補強線材20の柱部材40の表面に露出された部分により、柱部材40の曲げ補強が行われる。
また、補強構造2は、施工を穿孔工程、巻付け工程および充填工程により、比較的簡易に行うことが可能なため、施工性に優れている。
なお、第2の実施の形態に係る補強構造2のその他の作用効果は、第1の実施の形態の補強構造1と同様なため、詳細な説明は省略する。
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態に係る補強構造3は、図4(a)および(b)に示すように、既設のコンクリート構造物の一部である壁部材10に形成された2つの補強部材挿入孔12,13に挿入された補強線材20と、補強部材挿入孔12,13に充填された充填材30とを有して構成されている。
本実施形態では、背面が地山Gに面していることで、背面側からの施工ができない壁部材10を補強する場合について説明するが、本実施形態の補強構造3が適用可能なコンクリート構造物は、壁に限定されるものではなく、例えば床版、柱、梁であってもよい。また、壁部材10は必ずしも地山に接している必要はない。
壁部材10は、図4(a)に示すように、縦筋R1および横筋R2(既設の鉄筋)が配筋された鉄筋コンクリート部材であって、縦筋R1および横筋R2に直交する方向にせん断補強筋R3が所定の位置に配筋されている。
2つの補強部材挿入孔12,13は、図4(b)に示すように、上下に配設されている。上側の補強部材挿入孔12は壁部材10の表面から斜め下向きに形成された有底の孔であり、下側の補強部材挿入孔13は、斜め上向きに形成された有底の孔である。そして、補強部材挿入孔12,13は、壁部材10の背面側において、接続されていることで、連通している。なお、本実施形態では、壁部材10の背面側(地山G側)の鉄筋(縦筋R1および横筋R2)よりも表面側(地山Gと反対側)において補強部材挿入孔12,13同士を接続させている。
補強部材挿入孔12,13の断面形状は限定されるものではなく適宜設定することが可能である。また、補強部材挿入孔12,13の内幅(内径)は、補強線材20の外幅(外径)よりも大きく、補強線材20が挿入された状態で充填材30の充填が可能な大きさに形成されていれば、限定されるものではない。また、本実施形態では、補強部材挿入孔12,13の底部(背面側先端)の内幅(内径)を拡幅させている。
補強線材20は、図4(b)に示すように、2つの補強部材挿入孔12,13を貫通した状態で、壁部材10に巻き付けられている。
そして、補強線材20の壁部材10の表面に配設された部分は、横筋R2と交差している。
補強線材20は、壁部材10に巻き付けた状態で結束部材21により結束し、この補強線材20が貫通された補強部材挿入孔12,13に充填された充填材30が固化することで、補強部材挿入孔12,13内に定着されているとともに壁部材10の表面に密着している。
この他、補強線材20に関する事項は、第1の実施の形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
充填材30は、グラウトからなり、補強線材20が貫通された補強部材挿入孔11に充填されている。この他の充填材30に関する事項は、第1の実施の形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
補強構造3の施工方法は、(1)補強部材挿入孔を穿孔する穿孔工程と、(2)補強線材を巻き付ける巻付け工程と、(3)充填材を充填する充填工程と、を主要部として構成されている。
(1)穿孔工程
穿孔工程は、壁部材10の一面側から他面側に向けて斜め向きに削孔することで補強部材挿入孔12,13を形成する工程である。
補強部材挿入孔12,13は、図4(a)に示すように、壁部材10の施工時の配筋図や非破壊試験の情報をもとに、穿孔時に縦筋R1および横筋R2に損傷を与えることの無いように、縦筋R1と横筋R2との中央から穿孔を開始する。
図4(b)に示すように、補強部材挿入孔12の穿孔は壁部材10の表面から斜め下方向に、補強部材挿入孔13の穿孔は壁部材10の表面から斜め上方向に、インパクト・ドリルやロータリーハンマ・ドリル、コア・ドリルなどの穿孔手段を用いて行う。
(2)巻付け工程
巻付け工程では、まず、壁部材10の一面側から補強部材挿入孔12(13)に補強線材20を挿入し、補強部材挿入孔13(12)から出てきた補強線材20の先端を、補強部材20の基端とともに結束することで、補強線材20を壁部材10に巻き付ける。
なお、補強線材20の締め上げは、専用工具等を利用して、締め上げ力を管理しながら所定の締め上げ力にて行う。
(3)充填工程
充填工程は、補強線材20が貫通された補強部材挿入孔12,13の隙間に、グラウト注入(充填材30の充填)を行う工程である。
グラウト注入方法は限定されるものではなく、適宜公知の方法により行えばよい。
以上、本実施形態に係る補強構造3によれば、一方からのみの作業により、壁部材10の補強を行うことが可能となる。
この他、第3の実施の形態に係る補強構造3による作用効果は、第1の実施の形態の補強構造1と同様なため、詳細な説明は省略する。
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態に係る補強構造4は、図5(a)および(b)に示すように、既設のコンクリート構造物の一部である壁部材10に形成された2つの補強部材挿入孔15,15に挿入された補強線材20と、補強部材挿入孔15に充填された充填材30とを有して構成されている。
本実施形態では、壁部材10を補強する場合について説明するが、本実施形態の補強構造4が適用可能なコンクリート構造物は、壁に限定されるものではなく、例えば床版、柱、梁であってもよい。
壁部材10は、図5(a)に示すように、縦筋R1および横筋R2(既設の鉄筋)が配筋された鉄筋コンクリート部材であって、縦筋R1および横筋R2に直交する方向にせん断補強筋R3が所定の位置に配筋されている。
補強部材挿入孔15は、図5(a)および(b)に示すように、有底の孔であって、縦筋R1、横筋R2およびせん断補強筋R3に接触しないように、これらから離間した位置に設けられている。本実施形態では、底部が背面側(図5(b)において左側)の縦筋と同等の深さまで形成されている。
なお、補強部材挿入孔15の深さは限定されるものではなく適宜設定することが可能である。また、補強部材挿入孔15の断面形状は限定されるものではなく適宜設定することが可能である。また、補強部材挿入孔15の内幅(内径)は、補強線材20の外幅(外径)よりも大きく、補強線材20が挿入された状態で充填材30の充填が可能な大きさに形成されていれば、限定されるものではない。
補強線材20は、図5(b)に示すように、2つの補強部材挿入孔15,15の内部に定着された状態で、壁部材10の表面に密着している。本実施形態の補強線材20は、一方の補強部材挿入孔15に挿入された線材20aと他方の補強部材挿入孔15に挿入された線材20bとからなる。
補強線材20の補強部材挿入孔15内側の先端には、定着部22が形成されており、補強部材挿入孔15内での定着効果の向上が図られている。
なお、定着部22の構成は限定されるものでなく、適宜設定することが可能であり、例えば、定着部22aのように、定着板を一体に固定してもいいし、定着部22bにように、補強線材20の先端に結び目を形成することで構成してもよい。
本実施形態では、上下に配置された補強部材挿入孔15に挿入された線材20a,20bを、補強部材挿入孔11,11内に定着し、壁部材10の表面において両線材20a,20bを結束することで、補強線材20が形成される。
充填材30は、グラウトからなり、補強線材20が貫通された補強部材挿入孔11に充填されている。なお、充填材30は、第1の実施の形態で使用したものと同様なものを使用するため、詳細な説明は省略する。
補強構造4の施工は、(1)補強部材挿入孔を穿孔する穿孔工程と、(2)補強線材を配設する配設工程と、を主要部として構成されている。
(1)穿孔工程
穿孔工程は、壁部材10の一面側から他面側に向けて補強線材20を挿入するための有底の補強部材挿入孔15を形成する工程である。
補強部材挿入孔15は、図5(a)に示すように、壁部材10の施工時の配筋図や非破壊試験の情報をもとに、穿孔時に縦筋R1および横筋R2に損傷を与えることの無いように、縦筋R1と横筋R2との中央に形成するものとする。
図5(b)に示すように、補強部材挿入孔15の穿孔は、壁部材10の表面に略垂直な方向に、インパクト・ドリルやロータリーハンマ・ドリル、コア・ドリルなどの穿孔手段を用いて行う。
(2)配設工程
配設工程は、まず、上下の補強部材挿入孔15,15に定着部22が形成された線材20a,20bをそれぞれ挿入する。
次に、線材20a,20bが挿入された補強部材挿入孔15,15の隙間に、グラウト注入(充填材30の充填)を行う。
そして、充填材30が固化して、線材20a,20bが補強部材挿入孔15,15に定着されたら、線材20a,20bの壁部材10の表面側の先端を締め上げつつ結束部材21により結束することで、補強線材20を形成し、本実施形態では線材20bを壁部材10の表面に密着させている。
なお、補強線材20の締め上げは、専用工具等を利用して、締め上げ力を管理しながら所定の締め上げ力にて行う。
以上、本実施形態に係る補強構造4によれば、一方からのみの作業により、壁部材10の補強を行うことが可能となる。
この他、第4の実施の形態に係る補強構造4による作用効果は、第1の実施の形態の補強構造1と同様なため、詳細な説明は省略する。
以上、本発明の補強構造によれば、補強線材を回し込んだ区間において、せん断補強とともに曲げ補強を行うことが可能となり、作業性および経済性に優れた補強構造を構築することが可能である。
また、補強線材の配置を変化させることにより、曲げ補強とせん断補強の程度を変化させることも可能である。
以上、本発明について、好適な実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の各実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜設計変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、前記各実施形態では、既存のコンクリート構造物に削孔を行い補強部材挿入孔を形成し、この補強部材挿入孔に補強線材を定着させるものとしたが、図6(a)に示す補強構造5のように柱部材40や梁部材などの周囲にロービング状の補強線材を巻いて、締め上げながら結束し、樹脂接着剤等により柱部材40(梁部材)の表面に定着させることにより構成してもよい。この補強構造5によれば、柱部材40のせん断補強を行うことが可能となる。また、従来の炭素繊維シートを利用した補強構造のように、炭素繊維の端部に接着長を確保する必要がなく、経済性に優れている。
また、図6(b)に示す補強構造6のように、1本の補強線材20を3つ以上の補強部材挿入孔11,11,…に貫通させた(挿入した)状態で、壁部材10(コンクリート構造物)の表面に密着させてもよい。
また、第1の実施の形態では、1本の線材を2つの補強部材挿入孔11,11に貫通させて結束するものとしたが、図6(c)に示すように、2本以上の線材を補強部材挿入孔11に貫通させて、2箇所以上で結束して、補強線材20を構成してもよい。
また、前記各実施形態では、鉄筋コンクリート構造物の補強について本発明の補強構造を採用するものとしたが、無筋コンクリート部材や鉄骨鉄筋コンクリート部材に採用するなど、本発明の補強構造が適用可能な既存のコンクリート構造物は限定されるものではない。
また、本発明の補強構造が適用可能なコンクリート構造物は限定されるものではなく、建築物、橋梁、トンネル、ボックスカルバート等、あらゆるコンクリート構造物に採用可能である。
また、補強線材の表面に露出した部分を被覆することにより、補強線材を目立たなくしてもよい。
第1の実施の形態に係る補強構造の概略を示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A断面図である。 (a)〜(c)は、第1の実施の形態に係る補強構造の変形例を示す正面図である。 第2の実施の形態に係る補強構造の概略を示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のB−B断面図である。 第3の実施の形態に係る補強構造の概略を示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のC−C断面図である。 第4の実施の形態に係る補強構造の概略を示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)のD−D断面図である。 (a)〜(c)は本発明に係る補強構造の変形例を示す断面図である。
符号の説明
1,2,3,4,5,6,7 補強構造
10 壁部材(コンクリート構造物)
11 補強部材挿入孔
20 補強線材
30 充填材
40 柱部材(コンクリート構造物)
41 補強部材挿入孔
R1 縦筋(鉄筋)
R2 横筋(鉄筋)
R4 主筋(鉄筋)
R5 帯筋(鉄筋)

Claims (5)

  1. 既設のコンクリート構造物に形成された2つの補強部材挿入孔に挿入された補強線材と、
    前記補強部材挿入孔に充填された充填材と、を有する補強構造であって、
    前記補強線材が、前記補強部材挿入孔内に定着されるとともに前記コンクリート構造物の表面に密着していることを特徴とする、補強構造。
  2. 前記補強部材挿入孔が、前記コンクリート構造物を貫通する貫通孔であって、
    前記補強線材が、前記補強部材挿入孔を貫通した状態で前記コンクリート構造物に巻きつけられていることを特徴とする、請求項1に記載の補強構造。
  3. 前記2つの補強部材挿入孔が、上下に配置されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の補強構造。
  4. 既設のコンクリート構造物に形成された2つの補強部材挿入孔に挿入された補強線材と、
    前記補強部材挿入孔に充填された充填材と、を有する補強構造であって、
    複数の前記補強線材が、横方向に並設されていて、それぞれ前記補強部材挿入孔内に定着されるとともに前記コンクリート構造物の表面に密着していることを特徴とする、補強構造。
  5. 既設のコンクリート構造物に形成された2つの補強部材挿入孔に挿入された補強線材と、
    前記補強部材挿入孔に充填された充填材と、を有する補強構造であって、
    複数の前記補強線材が、千鳥状に配設されていて、それぞれ前記補強部材挿入孔内に定着されるとともに前記コンクリート構造物の表面に密着していることを特徴とする、補強構造。
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JP2011184859A (ja) * 2010-03-04 2011-09-22 Minoru Kunieda 複数微細ひび割れ型繊維補強セメント複合材料を用いたライニング方法および構造体
JP2012211440A (ja) * 2011-03-30 2012-11-01 Taisei Corp 既設鉄筋コンクリート壁の補強構造および既設鉄筋コンクリート壁の補強方法
CN110195480A (zh) * 2019-05-29 2019-09-03 武汉理工大学 具有耗能及自恢复能力的装配式剪力墙竖向连接结构

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