JP2009209966A - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】減速運転時に燃料の供給が停止可能である車両用の変速制御装置5で、該常用変速制御モードより高車速側に設定され燃料の供給停止をするような減速用の変速線を用いて変速する減速用変速制御モードとを選択的に切り替えるモード切替変速制御手段と、モード切替変速制御手段による切り替えで、常用変速制御モードを起動したときの所定変速段へのアップシフト線と、前記減速用変速制御モードを起動したときの前記所定変速段からのダウンシフト線との間の領域として形成される逆転部の存在を許容し、減速用変速制御モードの起動中に車両状態が逆転部内にあり、車両状態が当該逆転部を抜けるとの予測判定をしたときに、常用変速制御モードに復帰させる常用変速制御モード復帰手段とを備える。
【選択図】図2
Description
ところが、近年における燃費向上の要請などを受けて、上記変速制御モード毎に設定される変速線(シフト線)によって上記常用変速制御モードを起動したときに所定変速段へのアップシフト線と、上記減速用変速制御モードを起動したときの上記所定変速段からのダウンシフト線との間の領域として一定の部分が形成される場合がある。この部分に車両状態が停滞するとギア段が頻繁に切り替わる現象(以下、ハンチング、と称する)や運転操作の応答遅れなどの問題発生が懸念されることになる。上記特許文献1で提案している変速制御装置は、このような問題を発生させる場合があるので運転者に違和感を与えてしまう場合がある。更には、ハンチング発生による無用なギア変更や不適切なギア設定は燃費悪化を招来してしまう。
常用の変速線を用いて変速する常用変速制御モードと、該常用変速制御モードより高車速側に設定され前記エンジンへの燃料の供給停止をするような減速運転状況で減速用の変速線を用いて変速する減速用変速制御モードと、を選択的に切り替えるモード切替変速制御手段と、
前記モード切替変速制御手段による切り替えでは、前記常用変速制御モードを起動したときの所定変速段へのアップシフト線と、前記減速用変速制御モードを起動したときの前記所定変速段からのダウンシフト線との間の領域として形成される逆転部の存在を許容し、
前記減速用変速制御モードの起動中に車両状態が前記逆転部内にあり、その後に車両状態が当該逆転部を抜けるとの予測判定をしたときに、前記常用変速制御モードに復帰させる常用変速制御モード復帰手段とを備える、ことにより特徴付けされるものである。
図1は、本発明の実施例に係る、車両にエンジンと共に搭載されて、そのエンジンに連結された自動変速機のシステム構成について示した図である。エンジン1にトルクコンバータ3を介して自動変速機2が連結されている。自動変速機2内の各種変速要素への油圧をコントロールする複数のソレノイドバルブ4A〜4Eへは、変速制御装置としてのコントローラ5から制御信号が出力され、これによって変速動作が制御されるようになっている。
一般に車両状態に応じて各変速制御モードで同時に設定される一対のアップシフト線とダウンシフト線は、そのアップシフト線の方がダウンシフト線より高車速側に配置される。そして、互いの線で画定する領域は重複しないように位置設定されている。しかしながら、常用変速制御モードと減速用変速制御モードとは選択的に起動されるので、この関係が逆転し、図2で示すように、同一スロットル開度において、常用変速制御モードの所定変速段(例えば4速)へのアップシフト線Aの高車速側に減速用変速制御モードで上記所定変速段(上記4速)からのダウンシフト線Bが設定されてしまう場合がある。これは車両の燃費向上などを配慮して、各制御モードでのアップシフト線やダウンシフト線の位置が設計されるためである。
図2で例示している場合について更に説明すると、常用変速制御モードが起動されている状態で車速が常用のアップシフト線Aを跨いで逆転部FHへ入ると所定段(例えば4段)へ(3段から)アップ変速される。これとは逆に、減速用変速制御モードが起動されされている状態で車速が減速用のダウンシフト線Bを跨いで逆転部FHへ入ると所定段(例えば4段)から(3段へ)ダウン変速される。すなわち、領域FHでは、選択起動した制御モードによりギア段が逆転する。それがために、上記のようにこの領域を逆転部FHと称している。
なお、上記のように逆転部FHを抜けると予測判定した場合であっても、その直後に再度、逆転部FHに入る車両状態となる場合も想定される。このような状況に対処するため、図2で例示しているように逆転部FHの高車速側に隣接して確実な予測判定を実行するための余裕代として機能する隣接部SHを設定しておくことが望ましい。そして、車両状態が隣接する隣接部も更に抜けた場合に、コントローラ5が常用変速制御モードへの復帰を許可するように設定しておくことで無用な判定動作を抑制できる。
尚、図2で車速VSPが(I)の状態は、車速A、C間に停滞しない走行状態(車速C以上)であり、車速VSPが(II)の状態は、車速A、C間に停滞する走行状態であることを示しているものとする。
本実施例では、図2で説明したように逆転部FHの高車速側に隣接して隣接部SHが設定してある。逆転部FHを抜ける様な状況としては、例えばドライバーが若干のアクセル踏み込みにより車速が少し上昇する矢印aの場合がある。しかし、その後、スロットル開度が低下すると矢印bの状況となり、車速が低下し再び車両状態が逆転部FHに入ってしまうような場合も予測される。逆転部FHの領域を抜けると予測判定した中に、このような場合が含まれるとその実効性が低下してしまう。そこで、常用変速制御モードへ復帰させるのが好ましい状況を、より確実に予測判定するための余裕代として隣接部SHを設定したものである。これにより、隣接部SHも抜けるような矢印cの車両状態を確認したときに、常用変速制御モードへ復帰させるので有効な予測判定を行うことができる。なお、上記隣接部SHの設定幅は、減速用変速制御モードにおけるアップシフトB(細実線)を流用するようにすれば簡単に設定できる。
一方、コントローラ5は、上記ステップ105で車速VSPが車速C未満であったとき、更に車速VSPが車速A未満となっているか確認する(S106)。このステップ106でイエス(Y)と判断した場合、減速用変速制御モードで対象とする車速以下にまで実車速が低下している。この場合も通常の変速制御を行う常用変速制御モードに復帰する(S113)。
スロットルセンサ6及び加速度センサ10の検出信号は車両状態をよく反映するものである。よって、スロットル開度TVOが所定以上かつ加速度VACが所定以上であり、スロットル開度TVO及び加速度VACが共に、車両状態が前記逆転部FH、より好ましくは前述した隣接部SHも含めて加速方向へ離脱する(抜け出る)傾向を示唆していると予測判定したときには、速やかに常用変速制御に復帰させる(S113)。
ところで、図2で矢印dで示している様にスロットル開度が増大側に抜ける状態であるが、その車速については変化しないという場合がある。例えば、アクセルを短時間踏んで開放した場合、登坂走行している場合などが相当し、このような状況では車両状態が再び第1の領域FHに入ることがある。これについては前述した隣接部を設定したのと同様の趣旨で、常用変速制御モード復帰手段が常用変速制御モードへの復帰を実行しないように設定しておくのが望ましい。すなわち、図2で矢印eで示すように車速が所定値を超える状態(図2では車速Bを超える場合)となったときに常用変速制御モードへの復帰を実行する。このようにすれば、前述したと同様に無用な判定を抑制できる。
尚、車速に対して設定される所定値は車速B以上であればよく、例えば、所定値を車速Cに設定し、車速Cを超える状態となったときに常用変速制御モードへの復帰を実行するようにしてもよい。
2 自動変速機
5 コントローラ(モード切替変速制御手段、常用変速制御モード復帰手段)
6 スロットルセンサ(スロットル操作検出手段)
6A アイドルスイッチ
7 車速センサ
8 回転数センサ
9 加速度センサ(車両加速度検出手段)
11 勾配センサ(降坂勾配検出手段)
FH 逆転部
SH 隣接部
Claims (9)
- 減速運転時に燃料の供給が停止可能である車両用のエンジンに連結されている自動変速機の変速制御装置において、
常用の変速線を用いて変速する常用変速制御モードと、該常用変速制御モードより高車速側に設定され前記エンジンへの燃料の供給停止をするような減速運転状況で減速用の変速線を用いて変速する減速用変速制御モードと、を選択的に切り替えるモード切替変速制御手段と、
前記モード切替変速制御手段による切り替えでは、前記常用変速制御モードを起動したときの所定変速段へのアップシフト線と、前記減速用変速制御モードを起動したときの前記所定変速段からのダウンシフト線との間の領域として形成される逆転部の存在を許容し、
前記減速用変速制御モードの起動中に車両状態が前記逆転部内にあり、その後に車両状態が当該逆転部を抜けるとの予測判定をしたときに、前記常用変速制御モードに復帰させる常用変速制御モード復帰手段とを備える、ことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。 - 前記逆転部の高車速側に隣接して隣接部が設定してあり、前記常用変速制御モード復帰手段は車両状態が前記逆転部に加えて前記隣接部を抜けたことに基づいて前記予測判定を行って前記常用変速制御モードに復帰させる、ことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
- 前記隣接部の設定幅は、前記減速用変速制御モードにおけるアップシフト線を用いて規定してある、ことを特徴とする請求項2に記載の自動変速機の変速制御装置。
- スロットル開度については増大側に抜ける状態であるが、車速については所定値を超えない状態である場合、前記常用変速制御モード復帰手段は前記常用変速制御モードへの復帰を実行しない、ことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御装置。
- 前記予測判定は、スロットルの開度を検出するスロットル操作検出手段及び前記車両の加速度を検出する車両加速度検出手段の出力に基づいて実行される、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の自動変速機の変速制御装置。
- 前記予測判定は、スロットルの開度を検出するスロットル操作検出手段及び前記車両の躍度を検出する車両加速度変化率検出手段の出力に基づいて実行される、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の自動変速機の変速制御装置。
- 前記予測判定は、スロットルの開度を検出するスロットル操作検出手段及び前記スロットルの操作変化率を検出するスロットル操作変化率検出手段の出力に基づいて実行される、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の自動変速機の変速制御装置。
- 前記予測判定は、スロットルの開度を検出するスロットル操作検出手段及び前記車両が走行している降坂の勾配を検出する降坂勾配検出手段の出力に基づいて実行される、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の自動変速機の変速制御装置。
- 前記予測判定は、スロットルの開度を検出するスロットル操作検出手段及び前記エンジンのトルク情報、加給圧、補機類の停止状態などを検出する車両の駆動関連情報確認手段の出力に基づいて実行される、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の自動変速機の変速制御装置。
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