JP2009206150A - 基材、ディスプレイ用フィルタ、および表示装置 - Google Patents

基材、ディスプレイ用フィルタ、および表示装置 Download PDF

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公彦 齊藤
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博之 黒田
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【課題】基材を通して対象物を視る際に、対象物の視認性を阻害しない基材を提供する。
【解決手段】基材1は、透明基材11と、この透明基材11の一方の面(基材が取り付けられる取り付け対象側の面、すなわち、ディスプレイD側の面)に設けられ、所定の形状にパターニングされた導電パターン部12とを有する。透明基材11の表面は、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル樹脂、脂環式構造を含むイソシアネートをモノマーとして重合したウレタン樹脂から選ばれる一種以上の高分子を含む。透明基材11の表面の導電パターン部12に接する部分は、遮光部111Aとされており、黒色物質を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディスプレイ用フィルタや窓材等に使用され、電磁波カット機能を有する基材に関する。
従来、ディスプレイ用フィルタや、窓等において、電磁波をカットするための基材が使用されている。
たとえば、特許文献1には、導電性の網体をガラスと一体化した電磁波遮蔽ガラスが開示されている。
また、特許文献2には、透明基材と、この透明基材上にメッシュ状金属導電層を設けた光透過性電磁波シールド性窓材が開示されている。
さらには、特許文献3においては、透明基材と、透明基材上に設けられた導電性金属部とを有するものが開示されている。
このような基材においては、特許文献3に開示されているように透過光の反射防止のために、導電性金属部を、黒色化したものとすることが提案されている。
導電性金属部を黒色化するためには、導電性金属部を銅で構成し、HSにて硫化処理する方法や、透明基材上に金属製のパターンを形成し、このパターン上に黒色めっきを施す方法があげられている。
特開2001−177291号公報 特開2007−42887号公報 WO2006/088059
特許文献3に開示されたような方法では導電性金属部を黒色化するために、硫化処理を施したり、金属パターン上に黒色めっきを施したりしなくてはならないため、手間を要する。
そこで、導電パターン部を形成する際に、透明基材の表面上に所定の金属または金属化合物を含むペーストを塗布し、このペースト中の金属または金属化合物を透明基材表面にしみこませることで、黒色の遮光部を形成する方法が考えられる。
この方法では、基材を、透明基材の導電パターン部と反対側の面からみた場合に、黒色の遮光部が形成されているため、基材を透過する透過光の反射を抑制できると考えられる。
しかしながら、本発明者が検討した結果、透明基材表面の材質によっては、基材を、透明基材の導電パターン部と反対側の面側から見た場合に、遮光部の色が黒色に見えない場合があることがわかった。そのため、基材を透過する光が遮光部にて反射され、基材を通して対象物をみた場合に、対象物の視認性が低下してしまう可能性があった。
また、基材の製造プロセスにおいて、基材に対し熱が加わることがある。このとき、透明基材表面層が変色してしまう場合があることがわかった。そのため、基材を通して対象物をみた場合に、対象物の視認性が低下してしまう可能性があった。
本発明は、基材を通して対象物を視る際に、対象物の視認性を阻害しない基材、この基材を備えたディスプレイ用フィルタ、表示装置を提供するものである。
本発明によれば、透明基材と、この透明基材の表面に設けられ、所定の形状にパターニングされた導電パターン部とを有し、前記透明基材表面は、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル樹脂、および脂環式構造を含むイソシアネートをモノマーとして重合したウレタン樹脂から選ばれる一種以上の高分子を含み、前記透明基材表面の前記導電パターン部に接する部分は、黒色物質を含む基材が提供される。
この発明によれば、透明基材表面は、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル樹脂、および脂環式構造を含むイソシアネートをモノマー(重合成分)として重合したウレタン樹脂から選ばれる一種以上の高分子を含んでいる。
これにより、基材に熱が加わった場合であっても、透明基材表面の変色、特に黄変を防止できる。そのため、基材を介して対象物を視る際に、対象物の視認性を阻害してしまうことを防止できる。
さらに、透明基材表面を、前述した特定の高分子を含む構成とすることで、透明基材表面の導電パターン部に接する部分を、透明基材の導電パターン部と反対側からみた場合に、確実に黒色にみえるものとすることができる。これにより、基材を透過する光が反射されてしまうことを防止でき、基材を介して対象物を視る際に、対象物の視認性を阻害してしまうことを防止できる。
ここで、黒色物質としては、金属酸化物や、金属硫化物等の金属化合物があげられるが、なかでも、金属酸化物や微粒子状態で分散した金属化合物あるいは金属であることが好ましい。
また、本発明における透明基材とは、基材の用途に応じて、所定の波長領域で、透明であるとされるものであればよく、たとえば、基材が窓材、ディスプレイ等に使用される場合には、可視光領域において透明であればよい。
ここで、透明基材表面は、ヒドロキシプロピルセルロースを含むことが好ましい。
このようにすることで、透明基材表面の導電パターン部に接する部分をより、確実に黒色化することができるとともに、透明基材表面の熱による変色を確実に防止できる。
さらに、透明基材表面は、脂環式構造を含むアクリル樹脂、あるいは芳香族基を含むアクリル樹脂を含むものであってもよい。
このようにすることで、透明基材表面の導電パターン部に接する部分をより、確実に黒色化することができるとともに、透明基材表面の熱による変色を確実に防止できる。
さらに、前記黒色物質は、前記導電パターン部に含まれる金属の化合物であることが好ましい。
黒色物質を、導電パターン部に含まれる金属の化合物とすることで、たとえば、導電パターン部を構成する材料を、透明基材表面に塗布し、この材料を透明基材に浸透させることで、導電パターン部に接する黒色の部分を形成することができる。
たとえば、前記導電パターン部は、有機金属化合物を含む金属化合物を塗布し、前記金属化合物を分解還元することにより形成されたものであり、前記透明基材表面層に、前記有機金属化合物の一部が入り込むことにより、前記黒色物質が形成されることが好ましい。
黒色物質と、導電パターン部とを同じ原料から構成することができるので、基材にかかるコストを低減させることができる。また、透明基材表面の導電パターン部に接する黒色の部分を容易に形成することができる。
さらに、前記透明基材は、透明基材本体と、この透明基材本体上に設けられ、前記透明基材表面を構成する層とを有し、前記層は、多孔質構造であることが好ましい。
透明基材表面を構成する層を多孔質構造とすることで、この層の孔を介して、黒色物質を浸透させて、固定化することが可能となる。
また、前記層を多孔質構造とすることで、導電パターン部を形成する際に、導電パターン部がにじまず、細く、均一な線幅の導電パターン部を形成することができる。
また、前記層は、前記黒色物質と異なる無機粒子を含むことが好ましい。
層中に無機粒子を分散させることで、無機粒子間の隙間が孔となり、層を多孔質化することができる。
さらに、上述した基材は、ディスプレイ用のフィルタに使用されるものであることが好ましい。
また、本発明では、以上のような基材を使用したディスプレイ用フィルタを提供することができる。さらには、このディスプレイ用フィルタを使用した表示装置も提供される。
本発明によれば、基材を通して対象物を視る際に、対象物の視認性を阻害しない基材、ディスプレイ用フィルタおよび表示装置が提供される。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
はじめに、本実施形態の基材の概要について説明する。
この基材1は、電磁波をカットするためのものであり、たとえば、窓材、ディスプレイ用フィルタに使用される。なかでも、図1に示すように、プラズマディスプレイDに使用されることが好ましい。プラズマディスプレイDおよび基材1を有するディスプレイ用フィルタを含んで表示装置が構成される。
基材1は、透明基材11と、この透明基材11の一方の面(基材が取り付けられる取り付け対象側の面、すなわち、本実施形態ではディスプレイD側の表面)に設けられ、所定の形状にパターニングされた導電パターン部12とを有する。
透明基材11の表面は、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル樹脂、脂環式構造を含むイソシアネートをモノマーとして重合したウレタン樹脂から選ばれる一種以上の高分子を含む。
透明基材11の表面の導電パターン部12に接する部分は、遮光部111Aとされており、黒色物質を含む(図3参照)。
次に、基材1について詳細に説明する。
基材1の透明基材11は、板状の透明基材本体112と、この透明基材本体112の一方の面(ディスプレイD側の面)上に設けられた下地層111とを備える。下地層111は、透明基材11表面を構成する層である。
透明基材本体112は、可視光波長領域において透明であればよく、たとえば、ガラス、樹脂等があげられる。機械的強度や、軽さ、割れにくさからは、樹脂が好ましいが、熱による変形等の少ない熱的安定性からガラスも好適に使用できる。樹脂の具体例を挙げると、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)をはじめとするアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、透明ABS樹脂等が使用できるが、これらの樹脂に限定されるものではない。特にPMMAはその広い波長領域での高透明性と機械的強度の高さから好適に使用できる。樹脂の厚みは十分な機械的強度と、たわまずに平面性を維持する剛性が得られればよく、特に限定されるものではないが、通常1mm〜10mm程度である。ガラスは、機械的強度を付加するために化学強化加工または風冷強化加工を行った半強化ガラスまたは強化ガラスが好ましい。重量を考慮すると、その厚みは1〜4mm程度である事が好ましいが、特に限定されない。
透明基材本体112の下地層111と反対側の面には、機能性フィルム16が設けられている。
機能性フィルム16は、ディスプレイ用フィルタに必要な機能を有するフィルムである。具体的には、反射防止機能、防眩機能、耐擦傷機能、静電気帯電防止機能、防汚機能、近赤外線遮蔽機能、調色機能等が挙げられる。これらの機能を有する層であってもよく、これらの機能を有する基材を貼り合せたものでもよい。
機能性フィルム16は、反射防止層13を有している。反射防止層13としては、たとえば、可視域において屈折率が1.5以下、好適には1.4以下と低い、フッ素系透明高分子樹脂やフッ化マグネシウム、シリコン系樹脂や酸化珪素の薄膜等を例えば1/4波長の光学膜厚で単層形成したもの、屈折率の異なる、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、窒化物、硫化物等の無機化合物またはシリコン系樹脂やアクリル樹脂、フッ素系樹脂等の有機化合物の薄膜を2層以上多層積層したものがあるが、これらに限定されるものではない。反射防止層13の表面の可視光線反射率は2%以下、好ましくは1.3%以下、さらに好ましくは0.8%以下である。尚、可視光線反射率はJIS R 3106の方法による波長380nmから780nmの分光反射率から測定される値を指す。
本実施形態では、反射防止層13と、透明基材11とは、所定の波長の光を選択的に吸収する色素を含有する粘着層14を介して接着されている。
この粘着層14は、近赤外線およびその他の不要発光を低減させるものである。
粘着層14の粘着材としては、たとえば、アクリル系接着剤、シリコン系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリビニルブチラール接着剤(PVB)、エチレン−酢酸ビニル系接着剤(EVA)等、ポリビニルエーテル、飽和無定形ポリエステル、メラミン樹脂等が挙げられる。
ここで、本実施形態では、粘着層14および反射防止層13は、機能性フィルム16として構成されている。
具体的には、機能性フィルム16は、粘着層14および反射防止層13、粘着層14と反射防止層13との間に設けられた透明の樹脂フィルム15を有する。樹脂フィルム15の一方の面に粘着層14が形成され、他方の面に反射防止層13が形成されている。
樹脂フィルム15は、可視波長領域において透明であればよく、その種類を具体的にあげれば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
下地層111は、導電パターン部12の下地となる層であり、導電パターン部12に直接接触する層である。
下地層111は、基材1をディスプレイDに設置した際に、透明基材本体112のディスプレイ側に設けられる層である。
下地層111は、多孔質構造であることが好ましく、孔の径は、例えば0.01μm以上、1μm以下である。前記孔の径は、好ましくは、0.03μm以上であり、また、0.3μm以下である。
下地層111としては、たとえば、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル樹脂、脂環式構造を含むイソシアネートをモノマーとして重合したウレタン樹脂から選ばれる一種以上の高分子を主成分(マトリクス)として構成されるものである。
ここで、アクリル樹脂としては、以下のようなモノマーを重合成分として重合させて得られる樹脂が使用できる。
アクリル酸、メタクリル酸等のエチレン性不飽和カルボン酸;
グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート;
ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート等のヒドロキシ基含有モノマー;
エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート;
アミノエチルアクリレート、アミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N,N−トリメチルアミノエチルアクリレート、N,N,N−トリメチルアミノエチルメタクリレート等のアミン系モノマー又はその塩等が挙げられる。
さらに、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ターシャリーブチルアクリレート、ターシャリーブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル;
トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、パーフルオロオクチルメタクリレート、パーフルオロオクチルアクリレート等のフッ素系モノマー;
が挙げられる。
上述した、モノマーを重合させる際に、
アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミド、N−ダイアセトンアクリルアミド等のアミド系モノマー;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;
を添加して、重合を行ってもよい。
また、アクリル樹脂としては、脂環式構造(骨格)を含むアクリル樹脂、あるいは芳香族基を含むアクリル樹脂が好ましく、上述した、モノマーを重合させる際に、以下のような化合物を導入することが好ましい。
スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族モノ及びジビニル化合物;
また、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの脂環式化合物(シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等)をモノマーとして重合したり、上述した、モノマーを重合させる際に、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの脂環式化合物(シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等)を導入してもよい。
ここで、脂環式構造(骨格)を含むアクリル樹脂、あるいは芳香族基を含むアクリル樹脂は、繰り返し単位中に脂環式構造(骨格)あるいは、芳香族基を含んでいることが好ましい。
また、下地層111は、ヒドロキシプロピルセルロースを主成分とする層とすることがより好ましい。
さらには、下地層111は、脂環式構造を含むイソシアネートをモノマーとして重合したウレタン樹脂を主成分とする層であってもよい。
ウレタン樹脂は、イソシアネートと、ポリオールとをモノマー(重合成分)として重合したものであり、脂環式骨格を含むイソシアネートは、たとえば、:1,3-ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルジイソシアネートである。
また、ウレタン樹脂のモノマーとしてエーテル、エステル、カーボネートのポリオールを使用することができるが、耐熱性の観点からポリオールとして、カーボネート、エステルを使用することが好ましい。なかでも、耐熱性の観点から、カーボネートを使用することが特に好ましい。
なお、下地層111に材料として上記材料が好ましい点については、後述する。
下地層111中には、TEOS(テトラエトキシシラン)や、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子等の無機粒子(後述する黒色物質とは異なる)が分散していることが好ましい。
無機粒子としては、可視光の波長よりも平均粒径が小さい無機粒子が好ましく、なかでも、コロイダルシリカ粒子やヒュームドシリカ粒子を使用することが好ましい。シリカはチタニアやアルミナなどの他の無機粒子と比べて、屈折率が一般的な樹脂と近いため、下地層111の透明化が容易になる。
無機粒子の平均粒径は、0.005μm以上、1μm以下であることが好ましい。
無機粒子の平均粒径を0.005μm以上とすることで、無機粒子間の隙間に所定の大きさの孔を形成することができ、下地層111を確実に多孔質構造とすることができる。
また、無機粒子の平均粒径は、50nm以下であることが特に好ましい。このようにすることで、無機粒子間の隙間に所定の大きさの孔を形成することができ、後述する導電ぺーストのにじみを確実に防止できる。
なお、無機粒子は、一次粒子ではなく、凝集した二次粒子であってもよい。
また、無機粒子の含有量は下地層111全体に対し10wt%以下であることが望ましい。このようにすることで、無機粒子間の隙間に所定の大きさの孔を形成することができ、後述する導電ぺーストのにじみを確実に防止できる。
下地層111中に無機粒子を分散させることで、無機粒子間の隙間が細孔となり、下地層111は多孔質構造となる。
下地層111は多孔質構造であるため、孔に存在する空気と、下地層111に使用した材料である樹脂および無機粒子との屈折率差から、下地層111が白色に見えることがある。
そこで、下地層111の光透過性を確保するために、下地層111に使用した高分子および無機粒子の屈折率と屈折率が近い材料でできた樹脂層を、下地層111と接するように形成する。そして、下地層111の孔を前記樹脂層にて封孔する。これより、下地層111の光透過性を高めることができる。この層は、導電パターン部12を形成後に形成する。
下地層111の厚みは、0.1μm以上、20μm以下であることが好ましい。なかでも、下地層111の厚みを1μm以上とすることがより好ましく、また、10μm以下とすることがより好ましい。下地層111の厚みを1μm以上とすることで、溶媒を吸収する受容層という効果が高まる。一方で、下地層111の厚みを10μm以下とすることで厚みムラ等による光学的な悪影響を抑制することが容易になる。
このような下地層111のうち、導電パターン部12に接する部分は、導電パターン部12を遮光する黒色の遮光部111Aとなっている(図3)。
この黒色の遮光部111Aは、導電パターン部12のパターンに沿って選択的に形成されており、導電パターン部12の開口部は被覆せず、導電パターン部12のメッシュ部分のみを選択的に被覆し、遮光している。本実施形態では、導電パターン部12のメッシュの線幅と、遮光部111Aのメッシュの線幅とは同じである。
この遮光部111Aは、下地層111中に黒色物質を偏在させることで形成されたものである。黒色物質とは、金属化合物、たとえば、金属の酸化物、有機金属化合物が分解した金属微粒子の凝集体、有機金属化合物が分解、酸化した金属酸化物の凝集体である。
具体的には、黒色物質は、銀を含む金属化合物や銀微粒子である。
遮光部111Aは、黒色であるため、金属色を呈する導電パターン部12よりも可視光吸収率が高く、導電パターン部12よりも可視光線反射率が低い。また、遮光部111Aは、光沢がないものとなっている。
導電パターン部12は、電磁波を電流に変換し、電磁波を遮蔽するためのものであり、所定の形状にパターニングされたものである。本実施形態では、導電パターン部12は透明基材11のディスプレイD側の面に設けられる。
導電パターン部12は、図2に示すように、平面視においてメッシュ形状に設けられた導電性細線を含む。メッシュ形状としては、格子状、ハニカム状であってもよく、特に限定されない。
導電パターン部12の厚さとしては、0.5〜20μmであることが好ましい。例えば、プラズマディスプレイの電磁波遮蔽に必要な導電性は、要求される電磁波規格やプラズマディスプレイからの放射強度にもよるが、面抵抗で好ましくは0.01〜1Ω/□、さらに好ましくは0.01〜0.5Ω/□である。導電パターン部12の厚さが薄すぎると導電性が不足し、厚すぎるとコストアップや重量増につながる為、好適には0.5〜8μmである。面抵抗は4探針法、4端子法等の方法で測定できる。ここでの値は、4探針法で測定した値である。
また、導電パターン部12のパターンは、線幅は細いほど、開口率つまりは光線透過率が高くなり好適である。しかしながら、開口率を上げすぎると導電パターン部12の持つ導電性が不足する為、線幅は5〜25μm、ピッチは150〜400μmが好適に採用できる。
導電パターン部12が、例えば格子状のメッシュパターンを有する場合、縦横に並んで配置されたディスプレイ画素からの発光と光学的に干渉することによって視認される、干渉縞(モアレ)を起こさないように、画素が並んだ線に対してメッシュパターンの線がある程度の角度(バイアス角)を有していることが好ましい。干渉縞を起こさないバイアス角は画素ピッチや、メッシュパターンのピッチ・線幅により変化するので、特には限定されない。
この導電パターン部12は、導電粒子と、該導電粒子を結着させるバインダとを含むものであってもよく、また、導電粒子同士が融着したものであってもよい。
導電粒子としては、たとえば、Ag粒子、Ni粒子、Cu粒子等の金属粒子があげられる。なかでも、導電粒子としては、Ag粒子、なかでも、平均粒子径が0.1μm以上1μm以下の銀粒子を使用することが好ましい。
ここで、本実施形態では、導電パターン部12を印刷により、形成する。このとき、金属酸化物粒子および有機金属化合物を含む導電ペーストを使用する。例えば、酸化銀粒子および有機銀化合物を含む導電ペーストが挙げられる。
この導電ペーストは、たとえば、還元剤と、酸化銀粒子とを含むものであってもよく、また、還元剤を含まず、自己還元反応を起こす酸化銀を含むものであってもよく、特に有機銀化合物を含有するものが好ましい。
自己還元反応を起こす酸化銀を含む導電ペーストとしては、たとえば、粒子状の酸化銀(AgO)と、有機銀化合物とを含有するものがあげられる。
酸化銀としては特に制限はないが、好ましくは粒子径が500nm以下である。酸化銀 の粒子径が500nm以下であると、より低温で自己還元反応が生ずる。
有機銀化合物は、加熱処理時に分解して銀を析出する。そして、酸化銀から還元して発生した銀粒子どうしを融着させる。このような有機銀化合物としては、たとえば、三級脂肪酸銀塩があげられる。三級脂肪酸銀塩を使用することで、酸化銀粒子周囲に存在して酸化銀の凝集を抑制し、酸化銀の分散安定性を向上させることができる。また、三級脂肪酸銀塩を導電ペースト中に含有させることで、導電ペーストに対し、所定の粘性を持たせることができる。このような三級脂肪酸としては、例えば、ピバリン酸、ネオヘプタン酸、ネオノナン酸、ネオデカン酸、エクアシッド13(商品名:出光石油化学社製)などが挙げられる。三級脂肪酸銀塩の中でも、10個以上の炭素を有しているものが好ましい。三級脂肪酸銀塩が10個以上の炭素を有したものであると、より低温で分解するので、酸化銀から形成された銀粒子の融着がより促進される。10個以上の炭素を有する三級脂肪酸としては、例えば、ネオデカン酸、エクアシッド13などが挙げられる。
さらに、導電ペースト中には、溶媒が含まれていてもよい。溶媒としては、酸化銀、有機銀化合物と反応を起こさずに、分散することができるものであればよい。
このような自己還元反応を起こす酸化銀をふくむ導電ペーストから導電パターン部12を形成するためには、塗布した導電ペーストを加熱処理する。
加熱前には、粒子径が約500nm以下であった微粒子状の酸化銀は、加熱することにより自己還元反応を起こし、酸素が分離して金属銀粒子が形成される。そして、隣接している生成した銀粒子同士が、還元と同時に起こる有機銀化合物の分解によって生成した析出銀により融着される。これにより、導電パターン部12が形成されることとなる。
なお、詳しくは後述するが、導電ペーストを、下地層111上に印刷した際に、導電ペーストの一部は、下地層111中に入り込む。従って、下地層111中には、金属酸化物および有機金属化合物が存在することとなる。
そして、導電パターン部12を形成する際に、加熱処理をするが、この加熱処理工程にて、黒色物質を構成する。
次に、本実施形態の基材1の製造方法について説明する。
本実施形態の基材1の製造方法は、
(A)透明基材本体112の表面に下地層111を形成する工程
(B)下地層111上に導電パターン部12を設けるとともに、この導電パターン部12に接する下地層111に遮光部111Aを設ける工程を含む。
(B)の工程では、下地層111上に導電パターン部12の原料である、金属酸化物粒子および有機金属化合物を含む導電ペーストを塗布する。
このとき、導電ペーストが下地層111に浸透する。そして、導電パターン部12を形成する際の加熱処理により、金属酸化物、有機金属化合物が酸化したもの、微粒子分散した金属等の黒色物質が前記下地層111中に存在することとなり、さらには、前記下地層111上の金属酸化物粒子を還元、および、有機金属化合物が分解することとなる。これにより、遮光部111Aおよび導電パターン部12が形成されることとなる。
次に、本実施形態の基材1の製造方法について詳細に説明する。
(A)の工程では、透明基材本体112を用意し、この透明基材本体112のディスプレイ側に配置される面上に下地層111を形成する。
下地層111を構成する組成物をバーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法等の湿式塗工法により塗布する。
その後、下地層111上に前述した導電ペーストをスクリーン印刷、グラビア印刷等の公知の印刷法によりパターン印刷する。
たとえば、導電ペーストが、金属酸化物粒子と還元剤とを含むものである場合、導電ペースト中の金属酸化物粒子のうち、一部は、下地層111に入り込む。
その後、印刷された導電ペーストを所定の温度、たとえば、200℃程度で焼成する。このとき、下地層111に入り込んだ金属酸化物粒子と、還元剤とはほとんど接触しないため、金属酸化物粒子は還元されず、黒色のままとなる。
一方で、下地層111上に位置する金属酸化物粒子は、導電ペースト中に含まれる還元剤により、表面の酸化膜が除去され、たとえば、銀色の導電粒子となり、導電パターン部12を構成することとなる。
また、導電ペーストが自己還元反応を起こす金属酸化物粒子を含有する場合においても、導電ペースト中の金属酸化物粒子のうち、一部は、下地層111に入り込む。
その後、印刷された導電ペーストを所定の温度、たとえば、200℃程度で焼成する。このとき、下地層111に入り込み、微粒子分散した金属酸化物粒子は、自己還元反応して黒色となる。
微粒子になった金属や金属化合物は、通常の金属固体と電子状態が異なるために金属固体の物理挙動を取らないことが知られている。ここでは、微粒子分散した金属酸化物粒子は、還元して金属微粒子となるが、通常の金属固体と電子状態が異なるため、銀色ではなく、黒色となると推測される。
一方で、下地層111上に位置する金属酸化物粒子は、自己還元反応をおこし、表面の酸化膜が除去され、たとえば、銀色の導電粒子となり、導電パターン部12を構成することとなる。
さらに、導電ペーストに含まれる有機金属化合物は、有機金属化合物が下地層111内に浸透して分解し、黒色物質を形成する。有機金属化合物は、下地層111内にて、金属粒子あるいは金属化合物粒子として、微粒子状態(たとえば、一次粒径2〜100nm)で分散する。これにより黒色物質が形成されると考えられる。
一方で、下地層111上に位置する有機金属化合物は分解して、金属酸化物粒子が自己還元して生成した金属粒子の間に融着するため、導電パターン部12の密度を高めて抵抗を低くすることとなり、非常に好ましい様態となる。
ここで、下地層111は、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル樹脂、脂環式構造を含むイソシアネートをモノマーとして重合したウレタン樹脂から選ばれる一種以上の高分子を主成分(マトリクス)として構成されるものであるとした。
これらの材料が下地層111に適していると考えられる理由について説明する。
ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル樹脂、脂環式構造を含むイソシアネートをモノマーとして重合したウレタン樹脂は、いずれも、耐熱性が高く、200℃以下、30分の熱処理において、黄変しないことが確認された。
基材1をディスプレイ用フィルタや、窓に使用する場合、下地層111が黄変してしまうと、基材1を介して視る対象物の色が本来の色と異なって見えるなどの問題が生じる。特に、基材1をプラズマディスプレイ等のディスプレイ用フィルタとして使用する場合には、対象物の色の変化は大きな問題となる。
前述したように、導電パターン部12を形成する際に、印刷された導電ペーストを所定の温度、たとえば、200℃程度で焼成する工程が必要となるので、下地層111に耐熱性が高く、変色しない材料(ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル樹脂、脂環式構造を含むイソシアネートをモノマーとして重合したウレタン樹脂)を使用することは有用である。
また、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル樹脂、脂環式構造を含むイソシアネートをモノマーとして重合したウレタン樹脂を下地層111に使用した場合には、基材1を、ディスプレイと反対側の面から見て、遮光部111Aが黒色に見えるという利点がある。
遮光部111Aが黒色に見えない場合には、遮光部111Aにて透過光を反射し、基材1を介してみる対象物の視認性を阻害するおそれがある。
遮光部111Aが黒色に見える理由については、明らかではないが、以下のような点が推測される。
前述したように、遮光部111Aは、
・導電ペースト中に含まれる金属酸化物が下地層111に入り込み、還元反応が起こらず、存在すること、
および、
・導電ペーストに含まれる有機金属化合物が下地層111内に浸透、分散して分解し、微粒子分散した金属、金属化合物を形成すること
によって、形成されている。
微粒子になった金属や金属化合物は、通常の金属固体と電子状態が異なるために金属固体の物理挙動を取らないことが知られている。ここでは、下地層111内の有機金属化合物は、還元して金属微粒子あるいは金属化合物微粒子となるが、通常の金属固体と電子状態が異なるため、銀色ではなく、黒色となると推測される。
なお、このような例は、銀塩フィルムの現像の際にも観察される。銀塩フィルム内には塩化銀化合物が分散しており、感光した部分の銀は電離する。このあと現像によって金属銀への還元を加速させた結果、その部分は銀微粒子の分散状態となり、黒色となる。このような現象が下地層内部で起きていると推察される。
ここで、有機金属化合物や、金属酸化物粒子が、十分に下地層111に浸透しなかった場合には、遮光部111Aが黒色に見えないことがあることがわかっている。
上述したヒドロキシプロピルセルロース、アクリル樹脂、脂環式構造を含むイソシアネートをモノマーとして重合したウレタン樹脂は、いずれも、有機金属化合物や、金属酸化物粒子を浸透させ、分散させやすい隙間が形成されていると推測される。
特に有機金属化合物を分散させ、この有機金属化合物が分解還元することにより形成される金属微粒子あるいは金属化合物微粒子状態で分散させやすい隙間が形成されていると推測される。
また、上述したヒドロキシプロピルセルロース、アクリル樹脂、脂環式構造を含むイソシアネートをモノマーとして重合したウレタン樹脂は、いずれも有機溶剤に可溶であり、導電ペースト中に含まれる有機溶剤に溶解すると考えられる。下地層111の表面が有機溶剤に溶けることで、有機金属化合物や、金属酸化物粒子を浸透させやすくなり、有機金属化合物や、金属酸化物粒子が、十分に下地層111に浸透することとなるとも考えられる。
なお、下地層111として、アクリル樹脂のうち、脂環式構造を含むアクリル樹脂あるいは芳香族基を含むアクリル樹脂を使用することで、遮光部111Aの黒色化を図ることができるとともに、下地層111の変色を確実に防止できる。
また、下地層111として、ヒドロキシプロピルセルロースを使用した場合には、遮光部111Aの黒色化をより図ることができるとともに、下地層111の変色をよりいっそう確実に防止できる。
次に、以下に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態では、下地層111を、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル樹脂、脂環式構造を含むイソシアネートをモノマーとして重合したウレタン樹脂を主成分としているので、透明基材表面の変色、特に黄変を防止できる。
また、下地層111の透明基材11表面の導電パターン部12に接する部分、すなわち、遮光部111Aを、透明基材11の下地層111と反対側からみた際に、確実に黒色とすることができる。
以上より、基材1の可視光線反射率を抑制することができる。これにより、基材1をディスプレイに取り付けた際に、ディスプレイの視認性を向上させることができる。
また、本実施形態では、金属酸化物粒子および有機金属化合物を含む導電ペーストを下地層111上に塗布することにより、下地層111の孔内に金属酸化物粒子および、有機金属化合物が入り込み、黒色の遮光部111Aを形成することができる。
従って、導電パターン部12の透明基材11側の面を黒色にするための工程を別途もうける必要がなく、製造にかかる手間を省くことができる。
また、黒色の遮光部を形成した後、そのうえに、導電パターン部を形成したのでは、線幅と線の間隔によっては、印刷技術の点から、黒色の遮光部と、導電パターン部との位置ずれが問題となり、導電パターン部および遮光部の線間の間隔を密に形成することが困難となる。
これに対し、本実施形態では、金属酸化物粒子および有機金属化合物を含む導電ペーストを下地層111上に塗布することにより、下地層111の孔内に金属酸化物粒子および、有機金属化合物が入り込み、黒色の遮光部111Aを形成している。そのため、遮光部111Aと導電パターン部12を別々に形成する必要がなく、遮光部111Aと導電パターン部12との位置ずれが生じることがないため、導電パターン部12および遮光部11の線間の間隔を密に形成することが可能となる。
また、本実施形態では、下地層111を多孔質構造としているため、導電ペーストを印刷した際に、孔内に導電ペースト中の溶剤等を吸収させることが可能となる。これにより、導電パターン部12のにじみを防止することができる。
さらに、金属酸化物として酸化銀粒子かつ有機金属化合物として有機銀化合物を使用することで、遮光部111Aを確実に黒色とすることができる。
また、金属酸化物粒子として、平均粒子径が0.1μm以上1μm以下の粒子を使用することで、多孔質構造の下地層111内に粒子を確実に入り込ませることができる。
また、無機粒子の平均粒径を、0.005μm以上とすることで、無機粒子間の所定の大きさの孔を形成することができ、下地層111を確実に多孔質構造とすることができる。
また、本実施形態では、透明基材11の一方の面に導電パターン部12が設けられており、他方の面に反射防止層13が設けられているので、導電パターン部12を直接ディスプレイに接続することが可能となる。もちろん、導電パターン部の一部に導電性物質で電極を形成し、該電極とディスプレイとで電気的に接続してもよい。
これにより、従来のように導電パターン部とディスプレイとを接続する導電テープや、導電性の枠材が不要となるため、ディスプレイ用フィルタ1の部材点数の削減を図ることができ、ディスプレイ用フィルタ1の製造コストの低下を図ることができる。
さらには、透明基材11のディスプレイ側となる面に導電パターン部12を設けているので、透明基材のディスプレイ側と反対側の面に導電パターン部を設ける場合に比べ、ディスプレイとの導通をとりやすくすることができる。
また、導電パターン部12は、透明基材11上に導電粒子を含む導電ペーストをスクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷法により、印刷することで形成することができる。このような印刷法を使用すれば、透明基材11上に印刷するだけでよく、導電パターン部を形成するための、エッチング工程等が不要となるので、導電パターン部12の形成に手間を要しない。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
たとえば、前記実施形態では、基材1はディスプレイ用のフィルタであるとしたが、これに限らず、基材を窓材として使用してもよい。
さらに、前記実施形態では、機能性フィルムは、反射防止層、透明フィルム、粘着層を有するものとしたが、これに限らず、基材の用途に応じて、たとえば、鏡像の映り込みを防止する防眩(AG:アンチグレア)性を有する層等をさらに備えていてもよい。
また、前記実施形態では、導電パターン部12のメッシュの線幅と、遮光部111Aのメッシュの線幅とは同じであるとしたが、これに限られるものではない。
次に、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
(基材の作製)
1120mm×620mmのガラス(透明基材本体)を洗浄・乾燥した。
次に、ヒドロキシプロピルセルロース(東京化成工業社製 3−6cps 2%aq)に対し、平均一次粒子径12nmのシリカ微粒子(トクヤマ社製HM−20L)を混合分散した溶液(当該溶液中のシリカ微粒子の含有量は4重量%、ヒドロキシプロピルセルロースの含有量は4重量%)を用意した。(なお、当該溶液中の固形分濃度は8重量%であり、固形分中のシリカ微粒子の割合は50重量%であった。)
この溶液をガラスの片面にカーテンコート塗工し、60℃30分乾燥させて、下地層を形成した。この下地層の厚みは、5μmである。
次に、下地層上に、平均一次粒子径約200nmの酸化銀微粒子、有機銀化合物、溶剤としてテルピネオール、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテルが混合されたAgペースト(藤倉化成社製:ナノドータイト XA-9053)を用いて、メッシュ状のパターンをスクリーン印刷により形成した。
印刷版には、640メッシュ、線径15μmの紗を用い、乳剤厚10μmとして線幅20μm、ピッチ300μmのメッシュ状の乳剤パターンを形成したスクリーン版を用いた。
スクリーン印刷後、200℃に昇温したオーブンに30分間保持することにより、Agペーストの焼成を行った。
これらの工程を経て得た導電パターン部付透明基材の厚み、メッシュ線幅・ピッチを計測したところ厚み6μm、線幅28μmであった。また、4探針法を用いて導電パターン部のシート抵抗を評価したところ、0.2Ω/□であった。
得られた導電パターン部付き透明基材を、透過電子顕微鏡(TEM)で観察した。まず試料表面のカーボン蒸着を施した後、FIB加工装置(セイコーインスツルメンツ社製SMI2050)でカーボンデポジションを施し、保護層を形成した。この後イオンビームで薄片化して観察用サンプルを得た。
観察用サンプルをTEMで観察した(測定機器:日本電子社製 JEM−2200FS、加速電圧:200kV)。
下地層中に、銀を含む粒径2〜100nmの微粒子が観察された。この微粒子は、下地層の断面方向でガラス近傍から導電パターン近傍に向けて、粒径が小さいものから大きいものへと分布していることが観察された。
(実施例2)
下地層の材料として、ヒドロキシプロピルセルロースにかえて、アクリル樹脂を使用した。このアクリル樹脂は、メタクリル酸メチルにスチレンを添加し、メラミン架橋させたものである(繰り返し単位中にスチレン由来の構造を含む)。具体的には、商品名:オレスターQ612(三井化学社製)80重量部と商品名:ユーバン(三井化学社製)20重量部とを混合し、重合させた。
次に、下地層の原料として、アクリル樹脂と、実施例1と同様のシリカ微粒子とを含む溶液を用意した。溶液中のシリカの含有量は、4重量%であり、アクリル樹脂の含有量は、4重量%であった。
この溶液を実施例1と同様に、ガラスに塗布し、下地層を形成した。他の点は実施例1と同じである。
(実施例3)
下地層の材料として、ヒドロキシプロピルセルロースにかえて、アクリル樹脂を使用した。このアクリル樹脂は、メタクリル酸メチルをメラミン架橋させたものである(商品名:アルマテックスHC166(三井化学社製)80重量部と商品名:ユーバン(三井化学社製)20重量部を混合し、重合させた。他の点は実施例2と同じである。
(実施例4)
下地層の材料として、ヒドロキシプロピルセルロースにかえて、ウレタン樹脂を使用した。ウレタン樹脂は、脂環式構造を含むイソシアネートをモノマー(重合成分)として重合したものである。具体的には、商品名:W−6010(三井化学社製)をウレタン樹脂として使用した。
このウレタン樹脂と、実施例1と同様のシリカ微粒子とを含む溶液を用意した。溶液中のシリカの含有量は、4重量%であり、ウレタン樹脂の含有量は、4重量%であった。
この溶液を実施例1と同様に、ガラスに塗布し、下地層を形成した。他の点は実施例1と同じである。
(比較例1)
下地層の材料として、実施例1のヒドロキシプロピルセルロースにかえて、以下の材料をそれぞれ用いた下地層を作製した(図4〜6においては、括弧内の略記で結果を示している)。
ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルセルロース(EC)、メチルセルロース(MC)、プロピオン酸セルロース(PC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ニトロセルロース(NC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、酢酸セルロース(CA)、ゼラチン(Gel)
下地層の原料となる溶液は、実施例1と同様のシリカ微粒子と、上記各材料のいずれか1つを含んでいる。溶液中のシリカ微粒子の割合、上記各材料の含有量は、実施例1のヒドロキシプロピルセルロースと同じである。すなわち、溶液中には、シリカ4重量%と、上述したいずれか1つの材料が4重量%含まれている。
さらに、下地層として、実施例1のヒドロキシプロピルセルロースにかえて、芳香族イソシアネート(具体的にはトリレンジイソシアネート類(商品名:コスモネート(三井化学社製))を、モノマーとして重合したウレタン樹脂を使用した比較例も行った(図4〜6においては、ウレタンとして表示している)。
下地層の原料となる溶液は、実施例1と同様のシリカ微粒子と、前記ウレタン樹脂を含んでいる。溶液中のシリカの含有量は4重量%、芳香族イソシアネートの含有量は4重量%であった。
また、下地層として、実施例1のヒドロキシプロピルセルロースにかえて、ポリビニルアルコール(PVA)、あるいは、ポリビニルブチラール(PVB)を使用した比較例も行った(図4〜6においては、括弧内の略記で結果を示している)。
下地層の原料となる溶液は、実施例1と同様のシリカ微粒子と、前記PVA,あるいはPVBを含んでいる。溶液中のシリカの含有量は4重量%、PVA,あるいはPVBの含有量は4重量%であった。
本比較例における下地層の溶液の塗布方法、乾燥方法、下地層の厚み、さらには、導電パターン部の作成方法は、実施例1と同様である。
(基材の評価)
(遮光部の黒色度)
基材を透明基材の下地層と反対側からみた際に、遮光部が黒色となっているかどうかを以下のようにして評価した。
島津製作所製の積分球を用いた可視紫外光光度計(UV−3100)を使用し、基材の透明基材の下地層と反対面における全光線反射率を測定し、この全光線反射率から算出した色度(明度を示すL値、L値が100の場合、白、L値が0の場合、黒)を測定した。なお、白色反射標準としては、硫酸バリウム粉末を押し固めたものを使用した。
L値は、C光源における反射色から求めている。
ここで、L値が30以下であれば、基材を透過する光が遮光部にて反射せず、対象物の視認性に影響がないと考えられ、遮光部が黒色となっていると考えられる。
そこで、L値の値が30以下であるものを合格とした。
(下地層の変色)
実施例1〜4,比較例で使用した透明基材本体上に、実施例1〜4および比較例の下地層を形成し、サンプルを作製した。このサンプルの全光線透過率を測定した。下地層の厚みは約3μmとした。
次に、サンプルに対し、200℃30分の加熱処理を行い、再度、全光線透過率を測定した。
全光線透過率の測定には、島津製作所製の積分球を用いた可視紫外光光度計(UV−3100)を使用し、白色反射標準としては、硫酸バリウム粉末を押し固めたものを使用した。スペクトルから、C光源における透過色を算出し、加熱前後の色差を比較し、変色の程度を算出した。
具体的には、以下の式より算出した。
ΔE={(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2
ここで、Lは、明度、a、bは、色相を示す(aは+が赤、−が緑、bは+が黄、−が青)。
ΔEが1以下であるものは、変色しておらず、また、実用上影響がないと考えられるため、ΔEが1以下であるものを合格とした。
結果を図4〜図6に示す。図4〜図6では、比較例に関しては、各下地層の材料を略記している。
実施例1〜4では、L値が30以下であり、ΔEが1以下であった。実施例1〜4で得られた基材をディスプレイ用フィルタとして使用した場合、実用上問題なかった。具体的には、透過光の反射がほとんどなく、ディスプレイの視認性に優れたディスプレイ用フィルタとなった。
なかでも、ヒドロキシプロピルセルロース、あるいは、メタクリル酸メチルにスチレンを添加し、メラミン架橋させたアクリル樹脂を使用した場合(実施例1,2)では、L値が22以下となり、遮光部が確実に黒色化しているといえ、基材を透過する透過光を遮光部にて反射してしまうことを確実に防止できた。
これに対し、比較例では、L値が30を超える、および/またはΔEが1を超えてしまった。比較例で得られた基材をディスプレイ用フィルタとして使用した場合、ディスプレイの視認性を阻害してしまった。
本発明の一実施形態にかかる基材を示す断面図である。 基材の導電パターン部を示す平面図である。 基材の要部を示す図である。 実施例および比較例の結果を示す図である。 実施例および比較例の結果を示す図である。 実施例および比較例の結果を示す図である。
符号の説明
1 基材
11 透明基材
12 導電パターン部
13 反射防止層
14 粘着層
15 樹脂フィルム
16 機能性フィルム
111 下地層
111A 遮光部
112 透明基材本体
D ディスプレイ

Claims (10)

  1. 透明基材と、
    この透明基材の表面に設けられ、所定の形状にパターニングされた導電パターン部とを有し、
    前記透明基材表面は、ヒドロキシプロピルセルロース、アクリル樹脂、および脂環式構造を含むイソシアネートをモノマーとして重合したウレタン樹脂から選ばれる一種以上の高分子を含み、
    前記透明基材表面の前記導電パターン部に接する部分は、黒色物質を含む基材。
  2. 請求項1に記載の基材において、
    前記透明基材表面は、ヒドロキシプロピルセルロースを含む基材。
  3. 請求項1に記載の基材において、
    前記透明基材表面は、脂環式構造を含むアクリル樹脂、あるいは芳香族基を含むアクリル樹脂を含む基材。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の基材において、
    前記黒色物質は、前記導電パターン部に含まれる金属の化合物である基材。
  5. 請求項4に記載の基材において、
    前記導電パターン部は、前記透明基材表面上に有機金属化合物を含む金属化合物を塗布し、前記金属化合物を分解還元することにより形成されたものであり、
    前記透明基材表面層に、前記有機金属化合物の一部が入り込むことにより、前記黒色物質が形成される基材。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の基材において、
    前記透明基材は、透明基材本体と、この透明基材本体上に設けられ、前記透明基材表面を構成する層とを有し、
    前記層は、多孔質構造である基材。
  7. 請求項6に記載の基材において、
    前記層は、前記黒色物質と異なる無機粒子を含む基材。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の基材において、
    当該基材は、ディスプレイ用のフィルタに使用されるものである基材。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の基材を使用したディスプレイ用フィルタ。
  10. 請求項9に記載のディスプレイ用フィルタを備えた表示装置。
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