JP2009203390A - 潜熱蓄熱性能を有する包接水和物、その製造方法及び製造装置、潜熱蓄熱媒体ならびに、包接水和物の潜熱蓄熱量の増加方法及び増加させる処理装置 - Google Patents

潜熱蓄熱性能を有する包接水和物、その製造方法及び製造装置、潜熱蓄熱媒体ならびに、包接水和物の潜熱蓄熱量の増加方法及び増加させる処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】4級アンモニウム化合物をゲストとし潜熱蓄熱性能を有する包接水和物であって、蓄熱密度が大きく熱輸送媒体として用いたときにも良好な流動性を保つことのできる包接水和物、該包接水和物の製造方法、該包接水和物の製造装置を得る。
【解決手段】潜熱蓄熱性能を有する包接水和物の製造装置であって、4級アンモニウム化合物と気体発生剤を含む水溶液から気体を発生させ、発生させた気体を前記水溶液に混合する気体発生混合器3と、前記気体が混合された前記水溶液を冷却して前記蓄熱性能が高められた包接水和物を生成する生成器5と、を備えることを特徴とする包接水和物の製造装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、潜熱蓄熱効果を有する包接水和物及びこれに関連する技術に関し、詳しくは当該潜熱蓄熱効果が高められた包接水和物、かかる包接水和物の製造方法及び製造装置、かかる包接水和物を組成物として含む潜熱蓄熱媒体、包接水和物の潜熱蓄熱量の増加方法及び増加させる処理装置に関する。
潜熱蓄熱媒体は、熱エネルギーの効率的利用に供され、空調設備に用いられる蓄熱材や熱輸送媒体、生鮮食料品の品質保持に用いられる保冷材といった実用例も多い。このような蓄熱蓄熱媒体又はその組成物として、4級アンモニウム化合物をゲスト(又はゲスト分子)とし、水分子をホスト(又はホスト分子)とする包接水和物が知られている(実質的に固体状のもの及び水に分散させてスラリー状のものとしてそれぞれ特許文献1及び特許文献2参照)。
なお、以下において、「4級アンモニウム化合物をゲストとし、水分子をホストとする包接水和物」を単に「4級アンモニウム化合物の包接水和物」又は「4級アンモニウム化合物をゲストとする包接水和物」という場合がある。
一般に、潜熱蓄熱媒体は、単位重量あたりの蓄熱量(蓄熱密度)は大きいものほど蓄熱効率や熱輸送効率が高くなるので好ましい。このことは、潜熱蓄熱媒体又はその組成物が4級アンモニウム化合物の包接水和物である場合であっても変わらない。この意味から、より蓄熱密度が高い当該包接水和物が求められているといえる。
特公昭57−35224号公報 特許第3309760号公報
蓄熱密度を大きくするためには、4級アンモニウム化合物の水溶液の濃度を高くすることによって生成する水和物粒子の固相率を高くして蓄熱密度を大きくすることができる。しかし、蓄熱密度を高めるために4級アンモニウム化合物の濃度又は密度を高めるとすると潜熱蓄熱媒体の材料コストが嵩むという問題が生じる。また、特に4級アンモニウム化合物の包接水和物を水に分散させたスラリーを潜熱蓄熱媒体又はその組成物とする場合には、水和物粒子の水中での存在重量比率又は固相率を高めることで蓄熱密度を高めることができるが、この比率を過度に高めるとスラリーの粘度が増加し流動性が低下して輸送性に支障が生じるという問題が生じる。
本発明は上記の問題を解決するために、4級アンモニウム化合物をゲストとする包接水和物であって潜熱蓄熱性能が高められたもの、かかる包接水和物の製造方法及び製造装置、かかる包接水和物を組成物として含む潜熱蓄熱媒体、包接水和物の潜熱蓄熱量の増加方法及び増加させる処理装置を得ることを目的としている。
発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、(1)4級アンモニウム化合物の水溶液に添加した気体発生剤から気体を発生させながら、又は気体を発生させその気体を水溶液に混合した後に冷却して生成した当該4級アンモニウム化合物をゲストとする包接水和物を採取して蓄熱量を測定すると、(1a)気体を発生させない場合に比べ蓄熱量が増加する、そして(1b)蓄熱量が増加するだけでなく融点も変化する、(2)上記(1)の操作により生成した包接水和物を融解すると、発生したものと同種の気体が放出する、(3)上記(1)の操作により生成した包接水和物を融解した後、上記(1)の操作を繰り返して包接水和物を生成させても、(1a)、(1b)及び(2)の各現象が確認できる、という新たな知見を得た。
これらの現象については、4級アンモニウム化合物の水溶液に添加した気体発生剤から気体を発生させながら、又は気体を発生させその気体を水溶液に混合した後に冷却することにより、生成する包接水和物が、(ア)4級アンモニウム化合物をゲストとする包接水和物が当該気体を内部に取り込んで形成される包接水和物、(イ)当該気体が当該4級アンモニウム化合物とともにゲスト分子として包接されて形成される包接水和物、(ウ)4級アンモニウム化合物をゲストとする包接水和物と当該気体をゲストとする包接水和物の混合物のうち少なくとも一つであると考察することで矛盾なく説明することができる。
本発明は上記の知見に基づいてなされたものであり、具体的には以下の構成を有するものである。
本発明の第1の形態に係る包接水和物は、4級アンモニウム化合物を含む水溶液を冷却することにより生成される4級アンモニウム化合物をゲストとし潜熱蓄熱性能を有する包接水和物であって、4級アンモニウム化合物を含む水溶液から発生した気体をゲストとしてさらに包接することにより潜熱蓄熱性能が高められているものである。
本発明の第2の形態に係る包接水和物は、潜熱蓄熱性能を有する包接水和物であって、4級アンモニウム化合物と気体発生剤を含む水溶液から気体を発生させながら又は発生させた気体を水溶液に混合した後、水溶液を冷却することによって生成される4級アンモニウム化合物と気体の両方をゲストとするものである。
本発明の第3の形態に係る包接水和物は、4級アンモニウム化合物をゲストとし潜熱蓄熱性能を有する包接水和物であって、4級アンモニウム化合物を含む水溶液から発生した二酸化炭素をゲストとしてさらに包接することにより潜熱蓄熱性能が高められているものである。
本発明の第4の形態に係る包接水和物は、潜熱蓄熱性能を有する包接水和物であって、4級アンモニウム化合物と、炭酸塩又は炭酸水素塩を含む水溶液から二酸化炭素を発生させながら又は発生させた二酸化炭素を前記水溶液に混合した後、水溶液を冷却することによって生成される4級アンモニウム化合物と二酸化炭素の両方をゲストとするものである。
本発明の第5の形態に係る潜熱蓄熱媒体は、第1乃至第4のいずれかの形態に係る包接水和物を組成物として含むものである。
本発明の第6の形態に係る潜熱蓄熱媒体は、4級アンモニウム化合物と気体発生剤を含む水溶液から気体を発生させながら又は発生させた気体を水溶液に混合した後、水溶液を冷却することによって生成され潜熱蓄熱性能を高められた包接水和物を組成物として含むものである。
本発明の第7の形態に係る潜熱蓄熱媒体は、4級アンモニウム化合物と、炭酸塩又は炭酸水素塩を含む水溶液から二酸化炭素を発生させながら又は発生させた二酸化炭素を水溶液に混合した後、水溶液を冷却することによって生成され潜熱蓄熱性能を高められた包接水和物を組成物として含むものである。
本発明の第8の形態に係る包接水和物の製造方法は、潜熱蓄熱性能を有する包接水和物の製造方法であって、4級アンモニウム化合物と気体発生剤を含む水溶液から気体を発生させながら又は発生させた気体を前記水溶液に混合した後、水溶液を冷却することにより前記潜熱蓄熱性能を高める工程を有するものである。
本発明の第9の形態に係る包接水和物の製造方法は、潜熱蓄熱性能を有する包接水和物の製造方法であって、4級アンモニウム化合物と、炭酸塩又は炭酸水素塩を含む水溶液から二酸化炭素を発生させながら又は発生させた二酸化炭素を前記水溶液に混合した後、水溶液を冷却することにより前記潜熱蓄熱性能を高める工程を有するものである。
本発明の第10の形態に係る潜熱蓄熱媒体は、第8または第9の形態に係る包接水和物の製造方法により製造された包接水和物を組成物として含むものである。
本発明の第11の形態に係る包接水和物の潜熱蓄熱量の増加方法は、4級アンモニウム化合物をゲストとする包接水和物の潜熱蓄熱量の増加方法であって、4級アンモニウム化合物と気体発生剤を含む水溶液から気体を発生させながら又は発生させた気体を水溶液に混合した後、水溶液を冷却する工程を有するものである。
本発明の第12の形態に係る包接水和物の潜熱蓄熱量の増加方法は、4級アンモニウム化合物をゲストとする包接水和物の潜熱蓄熱量の増加方法であって、4級アンモニウム化合物と、炭酸塩又は炭酸水素塩を含む水溶液から二酸化炭素を発生させながら又は発生させた二酸化炭素を水溶液に混合した後、水溶液を冷却する工程を有するものである。
本発明の第13の形態に係る包接水和物の製造装置は、潜熱蓄熱性能を有する包接水和物の製造装置であって、4級アンモニウム化合物と気体発生剤を含む水溶液から気体を発生させる気体発生器と、発生させた気体を前記水溶液に混合する混合器と、気体が混合された水溶液を冷却して蓄熱性能が高められた包接水和物を生成する生成器と、を備えるものである。
本発明の第14の形態に係る包接水和物の製造装置は、潜熱蓄熱性能を有する包接水和物の製造装置であって、4級アンモニウム化合物と気体発生剤を含む水溶液から気体を発生させ、発生させた気体を水溶液に混合する気体発生混合器と、気体が混合された水溶液を冷却して蓄熱性能が高められた包接水和物を生成する生成器と、を備えるものである。
本発明の第15の形態に係る包接水和物の製造装置は、潜熱蓄熱性能を有する包接水和物の製造装置であって、4級アンモニウム化合物と気体発生剤を含む水溶液から気体を発生させながら水溶液を冷却して蓄熱性能が高められた包接水和物を生成する生成器を備えるものである。
本発明の第16の形態に係る包接水和物の製造装置は、潜熱蓄熱性能を有する包接水和物の製造装置であって、4級アンモニウム化合物と気体発生剤を含む水溶液から気体を発生させる気体発生手段と、水溶液を冷却する冷却手段とを備え、冷却手段による冷却の過程で気体発生手段により水溶液から気体を発生させることにより蓄熱性能が高められた包接水和物を製造するものである。
本発明の第17の形態に係る包接水和物の製造装置は、第13乃至第16のいずれかの形態に係る包接水和物の製造装置であって、気体発生剤が炭酸塩又は炭酸水素塩であり、気体が二酸化炭素であるものである。
本発明の第18の形態に係る包接水和物の潜熱蓄熱量を増加させる処理装置は、4級アンモニウム化合物をゲストとする包接水和物の潜熱蓄熱量を増加させる処理装置であって、4級アンモニウム化合物と気体発生剤を含む水溶液から気体を発生させる気体発生手段と、水溶液を冷却する冷却手段とを備え、冷却手段による冷却の過程で気体発生手段により水溶液から気体を発生させるものである。
本発明の第19の形態に係る包接水和物の潜熱蓄熱量を増加させる処理装置は、第18の形態に係る処理装置であって、気体発生剤が炭酸塩又は炭酸水素塩であり、気体が二酸化炭素であるものである。
なお、以下に掲げる事項(1)乃至(7)に基づき、本発明が理解・解釈され、その技術的範囲が画定されるものとする。
(1)本発明における4級アンモニウム化合物の代表例は、テトラnブチルアンモニウム塩、テトラisoペンチルアンモニウム塩、トリnブチル・nペンチルアンモニウム塩などのアルキルアンモニウム塩である。
(2)本発明における潜熱蓄熱媒体は、本発明における包接水和物そのものであってもよく、当該包接水和物を必須組成物として、他の組成物を追加又は添加して構成されるものであってもよく、他の物質中に分散、内包、懸濁等して構成されるものであってもよい。また、潜熱蓄熱媒体の性状としては、固形状、液状、ゲル状、スラリー状、微小カプセル状(微小カプセル内に充填されている状態)等があり得るが、本発明における潜熱蓄熱媒体の性状には特に制限はない。例えば当初は固形状であっても、界面活性剤やゲル化剤を添加することで液状やゲル状に加工されてできる潜熱蓄熱媒体であっても、本発明における包接水和物を組成物として含む限り、本発明における潜熱蓄熱媒体に含まれる。本発明における潜熱蓄熱媒体ではその使用の態様に制限はなく、定位置で熱利用に供される潜熱蓄熱媒体も、駆動力又は自然対流による移動が伴うが故に移動先で熱利用に供される潜熱蓄熱媒体も、使用の態様という観点から本発明から排除されるものではない。
(3)本発明は、4級アンモニウム化合物を含む水溶液(以下単に水溶液という)を冷却するという包接水和物の従来の生成手法に、4級アンモニウム化合物を含む水溶液にあらかじめ気体発生剤を含ませておき、水溶液から気体を発生させながら又は発生させた気体を水溶液に混合した後、水溶液を冷却するという技術的事項が加味された新たな生成手法を基礎とする技術的思想であり、従って、水溶液から気体を発生させ水溶液に含ませること自体に技術的特徴がある。
(4)また、本発明において、気体発生剤が炭酸塩又は炭酸水素塩であり、発生させる気体が二酸化炭素であってもよい。この場合の水溶液に含まれる炭酸塩又は炭酸水素塩から二酸化炭素を発生させるには、水溶液のpHを低下させることで発生させることが好ましい。pHの低下は、酸の添加によってもよいし、電極反応による電気化学的方法によってもよい。
ここで、炭酸塩又は炭酸水素塩としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムや炭酸水素カリウムが挙げられる。
また、本発明において、気体発生剤が過酸化水素であり、発生させる気体が酸素であってもよい。この場合、触媒により過酸化水素を分解して酸素を発生させる反応を行わせる。また、気体発生剤が亜硫酸塩であり、発生させる気体が二酸化硫黄であってもよい。この場合、酸により亜硫酸塩を分解して二酸化硫黄を発生させる反応を行わせる。
(5)しかし、本発明において、水溶液に含まれる気体発生剤から発生すべき気体には水素やヘリウムは含まれない。水素やヘリウムのような小さな分子の気体を、4級アンモニウム化合物を含む水溶液中から発生させながら又は発生させ混合した後、冷却することによって生成した包接水和物では、潜熱蓄熱量の増加が起こらなかった。
他方、本発明において、水溶液に含まれる気体発生剤から発生させるべき気体には、4級アンモニウム化合物をゲストとする包接化合物に取り込まれる又は、4級アンモニウム化合物とともに水分子に包接されて包接水和物の構成要素となり得るもの、具体的には空気、窒素、酸素、二酸化炭素、アルゴン、クリプトン、キセノン、硫化水素、二酸化硫黄、メタン、エタン、プロピレン、トリメチレンオキシド、プロパン、ブタン、各種フロンといった水素やヘリウムよりも大きな分子の気体が含まれる。
従って、本発明の技術的特徴が水溶液に含まれる気体発生剤から気体を発生させること自体にあるものの、当該気体としては、水素やヘリウムよりも大きな分子の気体であって、4級アンモニウム化合物をゲストとする包接化合物に取り込まれる又は、4級アンモニウム化合物とともに水分子に包接されて包接水和物の構成要素となり得るものと整理することができる。
(6)本発明において、潜熱蓄熱性能又は潜熱蓄熱効果のより高い包接水和物を生成又は製造する際の圧力については特に制限がなく、目的とする包接水和物が生成又は製造できる限りにおいて、加圧下や常圧下で、更には減圧下でこれを行って構わない。
なお、気体の水溶液への溶解速度や最大溶解濃度に着目すると、潜熱蓄熱量が多い包接水和物をより効率的に生成又は製造するためには加圧下の方が常圧下より、常圧下の方が減圧下より好ましい。他方、設備や運転のコストに着目すると、常圧下がより好ましい。
(7)本発明の第13乃至第17の形態に係る製造装置には、包接水和物を含む潜熱蓄熱媒体を用いる熱利用システムの一部に、潜熱蓄熱量を増加させるための一手段として組み込まれる、いわば包接水和物の処理装置といった意味で使用されるものが含まれる。
本発明によれば、包接水和物の潜熱蓄熱性能が高まるので、潜熱の必要量を蓄熱するために要する包接水和物のゲスト化合物としての4級アンモニウム化合物の量を低減することができ、材料コストを低減できるとともに、当該包接水和物を収容するために必要な容器をより小さく、そして当該容器を含む設備を小型にすることができる。特に包接水和物を用いて(例えば流動性が高く粘性の低いスラリーにして)熱輸送を行う場合には、同じ潜熱蓄熱量を輸送するために必要な包接水和物の量を低減できるので、材料コストの低減のみならず、輸送配管の小型化、輸送動力の低減が可能になる。
さらに、本発明によれば、4級アンモニウム化合物を含む水溶液にあらかじめ気体発生剤を含有させておき、水溶液から気体を発生させながら又は発生させた気体を水溶液に混合した後、水溶液を冷却して、4級アンモニウム化合物と気体の両方をゲストとする包接水和物を生成するので、4級アンモニウム化合物と気体の両方をゲストとする包接水和物を簡便に製造することができ、製造装置全体をコンパクトにできる。
本発明を多面的に眺めた場合、その各形態が奏する作用効果は以下のとおりである。
本発明の第1及び第2の形態によれば、4級アンモニウム化合物を含む水溶液から発生した気体を取り込んでいない又は当該気体を包接していないものよりも高い潜熱蓄熱性能を有する包接水和物を実現することができる。
本発明の第3及び第4の形態によれば、4級アンモニウム化合物を含む水溶液から発生した二酸化炭素を取り込んでいない又は当該二酸化炭素を包接していないものよりも高い潜熱蓄熱性能を有する包接水和物を実現することができる。
本発明の第5乃至第7のいずれかの形態によれば、より高い潜熱蓄熱性能又はより高い潜熱蓄熱量を有する包接水和物を組成物として含む潜熱蓄熱媒体を実現することができる。
本発明の第8の形態によれば、4級アンモニウム化合物を含む水溶液から発生した気体を取り込んでいない又は当該気体を包接していないものよりも高い潜熱蓄熱性能を有する包接水和物を製造することができる。
本発明の第9の形態によれば、4級アンモニウム化合物を含む水溶液から発生した二酸化炭素を取り込んでいない又は当該二酸化炭素を包接していないものよりも高い潜熱蓄熱性能を有する包接水和物を製造することができる。
本発明の第10の形態によれば、より高い潜熱蓄熱性能又はより高い潜熱蓄熱量を有する包接水和物を組成物として含む潜熱蓄熱媒体を実現することができる。
本発明の第11及び第12の形態によれば、4級アンモニウム化合物を含む水溶液を冷却することで生成する当該4級アンモニウム化合物をゲストとする包接水和物の潜熱蓄熱量を増加させることができる。
本発明の第13の形態によれば、4級アンモニウム化合物を含む水溶液から気体を発生させ、発生した気体を水溶液に混合した後、その水溶液を冷却するという工程を装置の形で具現化することができ、より蓄熱性能が高められた包接水和物の製造装置を実現することができる。
本発明の第14の形態によれば、4級アンモニウム化合物を含む水溶液から気体を発生させるとともに発生した気体を水溶液に混合した後、その水溶液を冷却するという工程を装置の形で具現化することができ、より蓄熱性能が高められた包接水和物の製造装置を実現することができる。
本発明の第15の形態によれば、4級アンモニウム化合物を含む水溶液から気体を発生させながら、その水溶液を冷却するという工程を装置の形で具現化することができ、より蓄熱性能が高められた包接水和物の製造装置を実現することができる。
本発明の第16の形態によれば、4級アンモニウム化合物を含む水溶液から気体を発生させながら、その水溶液を冷却するという工程を装置の形で具現化することができ、より蓄熱性能が高められた包接水和物の製造装置を実現することができる。
本発明の第17の形態によれば、4級アンモニウム化合物を含む水溶液から二酸化炭素を発生させながら、その水溶液を冷却するという工程を装置の形で具現化することができ、より蓄熱性能が高められた包接水和物の製造装置を実現することができる。
本発明の第18の形態によれば、4級アンモニウム化合物を含む水溶液から気体を発生させながら、その水溶液を冷却するという工程を装置の形で具現化することができ、包接水和物の潜熱蓄熱量を増加させる処理装置を実現することができる。
本発明の第19の形態によれば、4級アンモニウム化合物を含む水溶液から二酸化炭素を発生させながら、その水溶液を冷却するという工程を装置の形で具現化することができ、包接水和物の潜熱蓄熱量を増加させる処理装置を実現することができる。
なお、包接水和物が融解する際にその包接水和物に取込まれた気体が放出されるが、包接水和物の製造への再利用又はその他の目的に供することができる。
また、水溶液に添加した気体発生剤から気体を発生させこれを取り込んだ包接水和物が生成される場合においては、包接水和物が融解する際にその包接水和物に取込まれた気体が放出されるが、この気体を気体発生剤を調製する際に利用することができる。
また、水溶液に添加した炭酸塩もしくは炭酸水素塩を分解させて二酸化炭素を発生させこれを取り込んだ包接水和物が生成される場合においては、包接水和物が融解する際に包接水和物に取り込まれた二酸化炭素が放出されるが、この二酸化炭素を炭酸塩もしくは炭酸水素塩を再度生成させる反応に利用することができる。
本発明の効果を確認するための実験結果について説明し、その後、具体的な実施の形態を説明する。
気体を発生させる気体発生剤をあらかじめ4級アンモニウム化合物の水溶液に添加しておき、気体発生剤から気体を水溶液中に発生させながら又は発生させ混合した後に冷却して、気体と4級アンモニウム化合物をゲストとして含む包接水和物を生成し包接水和物の蓄熱量を測定する実験を行った。
気体発生剤として、例えば炭酸塩又は炭酸水素塩を4級アンモニウム化合物の水溶液に添加しておき、炭酸塩又は炭酸水素塩から二酸化炭素を水溶液中に発生させながら、又は二酸化炭素を発生させ水溶液に混合した後に冷却して生成した当該4級アンモニウム化合物をゲストとする包接水和物を採取して蓄熱量を測定すると、気体を発生させない場合に比べ蓄熱量が増加し、融点も変化する現象が確認できる。さらに生成した包接水和物を融解すると、二酸化炭素が放出する現象が確認できる。
水溶液中の炭酸塩もしくは炭酸水素塩から二酸化炭素を発生させるには、水溶液のpHを低下させることにより行え、pHの低下は、酸の添加によってもよいし、電極反応による電気化学的方法によってもよい。
また、包接水和物を融解して包接水和物に取り込まれた二酸化炭素が放出された場合に、炭酸塩もしくは炭酸水素塩を再度生成させる反応に放出された二酸化炭素を利用することができる。
[実験]
4級アンモニウム化合物の水溶液に炭酸塩又は炭酸水素塩を添加しておき、炭酸塩又は炭酸水素塩から二酸化炭素を水溶液中に発生させながら冷却して生成した4級アンモニウム化合物をゲストとする包接水和物の蓄熱量を測定する実験を行った。4級アンモニウム化合物として臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)を用い、水和物スラリーの生成過程において、水溶液に炭酸塩または炭酸水素塩を添加して二酸化炭素を発生させた場合と、二酸化炭素を発生させない場合との実験を行い、生成された水和物スラリーの蓄熱量と融点を比較した。
実験内容は以下に示す通りである。
水に対してTBABを15.0wt%、炭酸水素ナトリウムを4.0wt%を溶解して原料水溶液を調製した。調製後の原料水溶液のpHは8.3であった。
常圧下、原料水溶液をガラスビーカーに入れ、ガラスビーカーを0℃の冷却液に浸けて冷却し水和物を生成させ水和物スラリーを生成させた。なお、冷却している間、ビーカー内部の攪拌を続けた。このとき、冷却している過程において硫酸を微量添加して原料水溶液のpHを6.8まで下げて炭酸水素ナトリウムから二酸化炭素を発生させた場合と、硫酸を添加することなく二酸化炭素を発生させなかった場合の2種類の実験を行った。
生成した水和物スラリーを、断熱容器に入れ、攪拌しながら浸漬した電気ヒータにより加熱し、水和物スラリーを溶解した。そのときに与えた熱量と水和物スラリー温度から、7℃〜10℃の温度範囲における蓄熱量を計測した。また、水和物スラリー中の固体水和物が完全に溶けきる融点を計測した。
計測結果を下記の表1に示す。なお、表1には、二酸化炭素発生による蓄熱量の増加比率について、二酸化炭素を発生させない場合を1として算出した増熱比率を示している。
Figure 2009203390
表1に示されるように、炭酸水素ナトリウムから二酸化炭素を発生させた場合は発生させない場合に比べ、約20%の増熱ができることを確認した。
また、二酸化酸素を発生させながら製造した水和物スラリーは、二酸化酸素を発生させない場合のものと同様に熱輸送媒体として十分な流動性を有していることを確認した。
また、水和物スラリーが加熱され水和物固体が融解する間、微細な気泡が発生した。気泡から捕集した気体の成分は二酸化酸素であることを確認した。
上記の実験例では、4級アンモニウム化合物として臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB)を用いたが、TBAB以外の4級アンモニウム化合物にも同様の効果が得られる。4級アンモニウム化合物の他の例としては、テトラnブチルアンモニウム塩、テトラisoペンチルアンモニウム塩、トリnブチル・nペンチルアンモニウム塩などのアルキルアンモニウム塩がある。
以下の実施形態はかかる実験による結果を基になされたものである。
[実施の形態]
図1は本実施の形態に係る包接水和物の製造装置の説明図である。以下、図1に基づいて本実施の形態に係る包接水和物の製造装置を説明する。
本実施の形態に係る包接水和物の製造装置は、4級アンモニウム化合物を含む水溶液を貯留すると共に生成された包接水和物を貯留する蓄熱槽1と、蓄熱槽1から前記水溶液の供給を受けさらに後述する気体発生剤調製器7から気体発生剤の供給を受けて気体発生剤を含有する水溶液を調製する水溶液調製器2と、水溶液調製器2から気体発生剤を含有する水溶液の供給を受けpH調整手段4により水溶液のpHが調整され水溶液から気体を発生させ、さらに水溶液に発生した気体を混合する気体発生混合器3と、気体発生混合器3で混合された4級アンモニウム化合物と気体を含む水溶液を冷却して前記気体と4級アンモニウム化合物をゲストとして含む包接水和物を生成する生成器5と、該生成器5から前記包接水和物と未反応の気体の供給を受けて前記未反応の気体を分離する分離器6と、分離器6から気体の供給を受けて気体発生剤を調製する気体発生剤調製器7とを備えている。
以下、各構成を詳細に説明する。
<蓄熱槽>
蓄熱槽1は、4級アンモニウム化合物を含む水溶液を貯留すると共に生成された包接水和物を貯留する。蓄熱槽1に貯留された4級アンモニウム化合物を含む水溶液はポンプ(図示せず)によって汲み出されて水溶液調製器2に供給される。
<水溶液調製器>
水溶液調製器2は、4級アンモニウム化合物を含む水溶液に気体発生剤調製器7から供給される気体発生剤を添加して気体発生剤と4級アンモニウム化合物を含有する水溶液を調製する。
<気体発生混合器>
気体発生混合器3は、気体発生剤と4級アンモニウム化合物を含有する水溶液のpHを、pH調整手段4により低下させ、気体発生剤から気体を発生させ、さらに水溶液に発生した気体を混合する。pH調整手段4は酸を添加するものでもよいし、電極反応による電気化学的方法によるものでもよい。
なお、気体発生混合器3を省略して生成器5内で気体発生剤から気体を発生させ、水溶液と気体を混合するようにしてもよい。また、気体発生混合器3の代わりに、気体発生器と混合器を別々に設けるようにしてもよい。
<生成器>
生成器5は冷却機能を備えており、気体発生混合器3で混合された4級アンモニウム化合物と気体を含む水溶液を冷却して気体と4級アンモニウム化合物をゲストとして含む包接水和物を生成する。生成器5には攪拌機構を設けるのが好ましい。
包接水和物が生成され、生成器5内で攪拌が行われることにより、包接水和物粒子が水溶液に分散した水和物スラリーが生成される。
生成器5においては、上記の包接水和物と共に未反応の気体が存在する。
<分離器>
分離器6は、生成器5から包接水和物と未反応の気体の供給を受けて前記未反応の気体を分離する。
分離器6の形式は任意であり、例えばサイクロンセパレータなどを利用することができるが、分離した気体中へのスラリー液滴混入を可能な限り少なくするため、例えば衝突分離式のミストセパレータを併せて用いることが望ましい。
分離器6で分離された気体は、気体発生剤調製器7に送られ、気体発生剤を生成する反応に用いられる。
以上のように構成された包接水和物の製造装置によって包接水和物を製造する方法を以下に説明する。
蓄熱槽1に4級アンモニウム化合物を含む水溶液を充填し、この水溶液をポンプ(図示せず)で汲み出して水溶液調製器2に供給する。水溶液調製器2では、供給された水溶液に気体発生剤調製器7から供給される気体発生剤を添加して水溶液を調製する。気体発生混合器3では、供給された4級アンモニウム化合物と気体発生剤を含む水溶液のpHを、pH調整手段4により低下させ、気体発生剤から気体を発生させ、さらに水溶液に発生した気体を混合し、気体を水溶液に溶解させる。気体発生混合器3で混合された4級アンモニウム化合物と気体を含む水溶液をポンプ(図示せず)によって生成器5に供給する。生成器5では、供給された水溶液を冷却して気体と4級アンモニウム化合物をゲストとして含む包接水和物が生成され、生成器5内で攪拌が行われることにより、包接水和物粒子が水溶液に分散した水和物スラリーが生成される。生成器5で生成された水和物スラリーと未反応気体が分離器6に供給され、水和物スラリーと未反応の気体が分離される。分離された水和物スラリーは蓄熱槽1に貯留される。他方、分離器6で分離された気体は、気体発生剤調製器7に送られ、気体発生剤を生成する反応に用いられる。
蓄熱槽1に貯留された気体と4級アンモニウム化合物をゲストとして含む包接水和物は、上記の実験結果にも示されるように、水溶液から発生させた気体を含まない場合に比較して蓄熱量が増大している。このように本実施の形態によれば、蓄熱量の大きな水和物スラリーを簡易な装置で生成できる。
上記の例では別途設けた気体発生混合器3によって気体を発生させその気体を水溶液を混合するようにしたが、気体発生混合器3を設けないで、生成器5内で気体発生剤から気体を発生させ水溶液に混合させながら水溶液を冷却して、気体と4級アンモニウム化合物をゲストとして含む包接水和物が生成するようにしてもよい。
上記のように構成された包接水和物の製造装置により製造した水和物スラリーを、冷房空調設備に使用する熱輸送媒体として用いることができる。
冷房空調設備においては、例えば夜間に蓄熱槽1内の水溶液を抜き出し水溶液調製器2に供給して、気体発生混合器3を経て、生成器5により水和物スラリーを生成して、昼間の冷房運転時に使用する熱輸送媒体として水和物スラリーを蓄熱槽1に貯留する。
昼間の冷房運転時において、蓄熱槽1内の水和物スラリーをポンプによって熱輸送媒体として室内空調機に流送する。室内空調機において、水和物スラリーは空気と熱交換して冷熱を供給し室内を冷房する。この熱交換により、水和物スラリーの水和物は融解して水溶液と気体の混合流体となり、戻り配管系に設けられた第2分離器に戻される。
第2分離器に戻された混合流体は水溶液と気体とに分離され、水溶液は蓄熱槽1に戻され、その一部は直接水溶液調製器2に送られる。また、第2分離器で分離された気体は、気体発生剤調製器7に送られ、気体発生剤を生成する反応に用いられる。
また、室内空調機において水和物スラリーが空気と熱交換して冷熱を供給するよりも前に、又はそれと同時に、水和物スラリーのpHを上昇させることにより、水和物スラリーの水和物が融解する際に水和物から発生する気体と水溶液中の成分とを反応させ気体発生剤に戻し、気体が水溶液から分離しないようにすることもできる。
例えば、炭酸水素ナトリウムを気体発生剤に利用した場合について説明する。水溶液を冷却して水和物スラリーを生成する前又はそれと同時に、水溶液のpHを低下することにより炭酸水素ナトリウムから二酸化炭素を発生させ、二酸化炭素をゲストとして含む水和物を生成する。この時、炭酸ナトリウムと水が生成し水溶液中に含まれる。水和物スラリーの水和物を融解する前又はそれと同時に、水和物スラリーのpHを上昇させることにより、水和物が融解するときに発生する二酸化炭素が水溶液中の炭酸ナトリウムと水と反応し、炭酸水素ナトリウムとなり二酸化炭素が水溶液から分離しないようにすることができる。
以上のように、本実施の形態によれば、簡易な構成により、蓄熱量の大きな水和物スラリーを製造でき、かつ利用できる。
また、蓄熱槽1を設けずに生成器5で生成した水和物スラリーを冷熱利用装置へ供給するようにしてもよい。この場合には、混合器の容量を大きくするのが好ましい。
また、冷熱利用装置は、室内空調機と一体化している必要は無く、例えば冷熱利用装置で水を冷却し、その冷却された水を室内空調機に導き冷熱を利用する形態であってもかまわない。
配管や容器壁等の固体面が水和物生成に寄与するほど冷却されることがなく、冷却の効果が水和物生成に直接かつ効果的に及び水和物の生成が効果的に行われる。そして、水和物の生成が主として水溶液中で進行するため、配管や容器壁等に付着することもない。
なお、冷媒としては自然冷媒、各種フロンを用いることができる。
上記の実施の形態のそれぞれにおいては、気体と4級アンモニウム化合物をゲストとして含む包接水和物を蓄熱剤としての用途に用いた場合の蓄熱量増大効果について説明したが、気体と4級アンモニウム化合物をゲストとして含む包接水和物は他の用途に用いることで異なる効果を得られる。
例えば、気体をゲストとして含む包接水和物を含む潜熱蓄熱媒体を食品等の保冷材に使う場合、保冷する対象物に応じて気体を選べば、より好ましい保存状態が保てる。すなわち、低温で保存したい魚介類や野菜類、或いは花卉類が細胞レベルで生きているような保冷対象物のように酸素を要求する場合、保冷材成分である包接水和物を生成する際に酸素をゲストとして含むようにする。このようにすれば、包接水和物が融解する際に酸素を放出するので、保冷対象物に酸素を供給しながら保冷することが可能となり、より保存に適した状態を実現することが出来る。
逆に、酸素による酸化を抑制する場合はゲストとして含まれる気体として窒素などを利用すれば、酸化を抑制しながら低温で保存できる。また、保冷雰囲気をその他の気体雰囲気とする場合も同様に対応できる。
なお、保冷容器としては、水溶液は漏洩せず気体透過性のある素材を用いた袋体などを利用すればよい。
また、気体と4級アンモニウム化合物をゲストとして含む包接水和物を含む潜熱蓄熱媒体は、熱と気体の同時輸送ができる熱・気体輸送媒体として利用することができる。
気体と4級アンモニウム化合物をゲストとして含む包接水和物を含む潜熱蓄熱媒体は、スラリー状態にて熱輸送媒体として利用できる。その場合、所望の気体を含む水和物スラリーを製造し、熱を必要とするところに送って利用するとともに、包接水和物が溶解する際に発生する気体を利用することが可能である。
本発明の一実施の形態に係る包接水和物の製造装置の説明図である。
符号の説明
1 蓄熱槽
2 水溶液調製器
3 気体発生混合器
5 生成器
6 分離器

Claims (19)

  1. 4級アンモニウム化合物を含む水溶液を冷却することにより生成される4級アンモニウム化合物をゲストとし潜熱蓄熱性能を有する包接水和物であって、
    4級アンモニウム化合物を含む水溶液から発生した気体をゲストとしてさらに包接することにより前記潜熱蓄熱性能が高められていることを特徴とする包接水和物。
  2. 4級アンモニウム化合物と気体発生剤を含む水溶液から気体を発生させながら又は発生させた気体を前記水溶液に混合した後、水溶液を冷却することによって生成される前記4級アンモニウム化合物と前記気体の両方をゲストとすることを特徴とする潜熱蓄熱性能を有する包接水和物。
  3. 4級アンモニウム化合物をゲストとし潜熱蓄熱性能を有する包接水和物であって、4級アンモニウム化合物を含む水溶液から発生した二酸化炭素をゲストとしてさらに包接することにより前記潜熱蓄熱性能が高められていることを特徴とする包接水和物。
  4. 4級アンモニウム化合物と、炭酸塩又は炭酸水素塩を含む水溶液から二酸化炭素を発生させながら又は発生させた二酸化炭素を前記水溶液に混合した後、水溶液を冷却することによって生成される前記4級アンモニウム化合物と前記二酸化炭素の両方をゲストとすることを特徴とする潜熱蓄熱性能を有する包接水和物。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の包接水和物を組成物として含むことを特徴とする潜熱蓄熱媒体。
  6. 4級アンモニウム化合物と気体発生剤を含む水溶液から気体を発生させながら又は発生させた気体を前記水溶液に混合した後、水溶液を冷却することによって生成され潜熱蓄熱性能を高められた包接水和物を組成物として含むことを特徴とする潜熱蓄熱媒体。
  7. 4級アンモニウム化合物と、炭酸塩又は炭酸水素塩を含む水溶液から二酸化炭素を発生させながら又は発生させた二酸化炭素を前記水溶液に混合した後、水溶液を冷却することによって生成され潜熱蓄熱性能を高められた包接水和物を組成物として含むことを特徴とする潜熱蓄熱媒体。
  8. 潜熱蓄熱性能を有する包接水和物の製造方法であって、
    4級アンモニウム化合物と気体発生剤を含む水溶液から気体を発生させながら又は発生させた気体を前記水溶液に混合した後、水溶液を冷却することにより前記潜熱蓄熱性能を高める工程を有することを特徴とする包接水和物の製造方法。
  9. 潜熱蓄熱性能を有する包接水和物の製造方法であって、
    4級アンモニウム化合物と、炭酸塩又は炭酸水素塩を含む水溶液から二酸化炭素を発生させながら又は発生させた二酸化炭素を前記水溶液に混合した後、水溶液を冷却することにより前記潜熱蓄熱性能を高める工程を有することを特徴とする包接水和物の製造方法。
  10. 請求項8又は9に記載の製造方法により製造された包接水和物を組成物として含むことを特徴とする潜熱蓄熱媒体。
  11. 4級アンモニウム化合物をゲストとする包接水和物の潜熱蓄熱量の増加方法であって、
    前記4級アンモニウム化合物と気体発生剤を含む水溶液から気体を発生させながら又は発生させた気体を前記水溶液に混合した後、水溶液を冷却する工程を有することを特徴とする包接水和物の潜熱蓄熱量の増加方法。
  12. 4級アンモニウム化合物をゲストとする包接水和物の潜熱蓄熱量の増加方法であって、
    前記4級アンモニウム化合物と、炭酸塩又は炭酸水素塩を含む水溶液から二酸化炭素を発生させながら又は発生させた二酸化炭素を前記水溶液に混合した後、水溶液を冷却する工程を有することを特徴とする包接水和物の潜熱蓄熱量の増加方法。
  13. 潜熱蓄熱性能を有する包接水和物の製造装置であって、
    4級アンモニウム化合物と気体発生剤を含む水溶液から気体を発生させる気体発生器と、発生させた気体を前記水溶液に混合する混合器と、前記気体が混合された前記水溶液を冷却して前記蓄熱性能が高められた包接水和物を生成する生成器と、を備えることを特徴とする包接水和物の製造装置。
  14. 潜熱蓄熱性能を有する包接水和物の製造装置であって、
    4級アンモニウム化合物と気体発生剤を含む水溶液から気体を発生させ、発生させた気体を前記水溶液に混合する気体発生混合器と、前記気体が混合された前記水溶液を冷却して前記蓄熱性能が高められた包接水和物を生成する生成器と、を備えることを特徴とする包接水和物の製造装置。
  15. 潜熱蓄熱性能を有する包接水和物の製造装置であって、
    4級アンモニウム化合物と気体発生剤を含む水溶液から気体を発生させながら前記水溶液を冷却して前記蓄熱性能が高められた包接水和物を生成する生成器を備えることを特徴とする包接水和物の製造装置。
  16. 潜熱蓄熱性能を有する包接水和物の製造装置であって、
    4級アンモニウム化合物と気体発生剤を含む水溶液から気体を発生させる気体発生手段と、前記水溶液を冷却する冷却手段とを備え、該冷却手段による冷却の過程で前記気体発生手段により前記水溶液から前記気体を発生させることにより前記蓄熱性能が高められた包接水和物を製造することを特徴とする包接水和物の製造装置。
  17. 前記気体発生剤が炭酸塩又は炭酸水素塩であり、前記気体が二酸化炭素であることを特徴とする請求項13乃至16のいずれかに記載の包接水和物の製造装置。
  18. 4級アンモニウム化合物をゲストとする包接水和物の潜熱蓄熱量を増加させる処理装置であって、
    4級アンモニウム化合物と気体発生剤を含む水溶液から気体を発生させる気体発生手段と、前記水溶液を冷却する冷却手段とを備え、該冷却手段による冷却の過程で前記気体発生手段により前記水溶液から前記気体を発生させることを特徴とする処理装置。
  19. 前記気体発生剤が炭酸塩又は炭酸水素塩であり、前記気体が二酸化炭素であることを特徴とする請求項18に記載の処理装置。
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