JP2009196533A - 回転電機制御システム及び当該回転電機制御システムを備えた車両駆動システム - Google Patents
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Abstract
【課題】ABS作動時にAMD制御を実施可能なトルクを回転電機が発生可能で、AMD制御時に昇圧回路の出力側の電圧変動を抑制可能な回転電機制御システムを提供する。
【解決手段】回転電機制御システムは、直流電源と、車両を駆動するための回転電機と、直流電源と回転電機との間に介在される周波数変換部と、直流電源と周波数変換部との間に介在され、回転電機の目標トルクに応じて設定される昇圧指令値に基づいて直流電源の出力を昇圧する電圧変換部と、周波数変換部及び電圧変換部を制御し、車両のアンチロック・ブレーキ・システムの作動時に、アクティブ・モータ・ダンピング制御を行う制御部とを備える。制御部は、アクティブ・モータ・ダンピング制御の実行時には、昇圧指令値を目標トルクに拘わらず一定のAMD時昇圧指令値VFに設定する。
【選択図】図6
【解決手段】回転電機制御システムは、直流電源と、車両を駆動するための回転電機と、直流電源と回転電機との間に介在される周波数変換部と、直流電源と周波数変換部との間に介在され、回転電機の目標トルクに応じて設定される昇圧指令値に基づいて直流電源の出力を昇圧する電圧変換部と、周波数変換部及び電圧変換部を制御し、車両のアンチロック・ブレーキ・システムの作動時に、アクティブ・モータ・ダンピング制御を行う制御部とを備える。制御部は、アクティブ・モータ・ダンピング制御の実行時には、昇圧指令値を目標トルクに拘わらず一定のAMD時昇圧指令値VFに設定する。
【選択図】図6
Description
本発明は、駆動源に回転電機を含む車両の当該回転電機を制御する回転電機制御システムに関する。また、本発明は、当該回転電機制御システムを備えた車両駆動システムに関する。
近年、化石燃料の消費による環境負荷を軽減する試みが広く実施されている。産業界においても、内燃機関により駆動される自動車と比べて環境負荷が小さい自動車が提案されている。回転電機である電気モータにより駆動される電気自動車や、内燃機関及び電気モータにより駆動されるハイブリッド自動車は、その一例である。電気自動車やハイブリッド自動車に搭載される電気モータには、広い速度範囲(回転数範囲)に亘って、乗用駆動に適した良好なトルクを発揮することが期待されている。
回転電機(モータやジェネレータ)としての電気モータは、磁界と電流とによって力(トルク)を発生させる原理に基づいて動作する。しかし、電気モータが回転中には、磁界の中で力が作用することにもなり、いわゆる逆起電力が生じることになる。逆起電力は、トルクを発生させる電流の流れを妨げる方向に生じるため、電気モータを回転させるために磁界の中を流れる電流が減少し、力(トルク)が低下する。電気モータの回転数が上がるに従って、逆起電力も増加するため、回転数がある値に達すると、逆起電力により生じる電流が駆動電流に達してしまい、電気モータが制御できなくなる。そこで、磁界を発生させている界磁の力を弱め、逆起電力の発生を抑制する「弱め界磁制御」が行われる。但し、弱め界磁制御を行うと、界磁の力を弱めるために、磁界の強さも低下し、得られる最大トルクは低下することになる。下記に出典を示す特許文献1では、損失の増加による効率の低下が指摘されている。
この課題に対し、特許文献1において、電気モータに駆動電力を供給するバッテリの電圧を昇圧して、弱め界磁制御に移行する回転数をより高い回転数へと移行させる技術が提案されている。この技術によれば、トルクと回転数とにより設定される電気モータの目標動作点の位置に応じて、昇圧回路(コンバータ)によりバッテリの電圧を昇圧させる。これによって、弱め界磁制御を行う領域を高出力側(高回転数側)へと移行させることが可能となる。特許文献1に記載された例では、複数段階の昇圧電圧値を設定することによって、段階的に、弱め界磁制御を行わない通常界磁制御(一般的には最大トルク制御)の領域が拡大されている。
一方、駆動方式に関係なく、自動車の急制動時において、車輪がロックされることによって、却って制動距離が長くなったり、操舵性が損なわれたりする場合がある。これに対して、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS : anti-lock brake system)が搭載された自動車も増加している。ABSの作動中は、車輪のロック状態とアンロック状態とが短いサイクルで繰り返されるため、急激なサイクル振動が発生する。このサイクル振動が大きく反映される電気モータの慣性と組み合わされると、トランス・アクスル(trans-axle)などの駆動系にたわみを生じさせ、損傷を生じさせる可能性がある。
これに対して、下記に出典を示す特許文献2には、ABS作動中に電気モータの慣性による駆動系のたわみに起因して生じる駆動系の振動を電気モータの制御により能動的に減衰させるアクティブ・モータ・ダンピング(AMD : active motor damping)という技術が提案されている。AMDは、電気モータの速度と平均車輪速度との差、電気モータの角加速度、車輪の角加速度の平均、電気モータの角加速度と車輪の平均角加速度との差や、これらの因数の組合せの少なくとも1つに比例するモータトルクを発生させることによって達成される。
ところで、電気モータの効率を向上させるために特許文献1に記載されたようなコンバータ(昇圧回路)を用いたモータ制御と、特許文献2に記載されたAMD制御とが併用される場合がある。上述したように、コンバータによる昇圧電圧の値は、要求される目標動作点において過不足なく最大トルク制御が可能なように設定される。AMD制御においては、ABS作動時の激しい振動を能動的に減衰させるためのトルクを発生させるために、目標動作点が激しく変動するのに伴い、昇圧電圧も激しく変動させる必要がある。しかしながら、昇圧指令値を変更し、実際にコンバータが追従するにはタイムラグが生じる。従って、昇圧電圧が高い側から低い側に変動する際に不必要に高い電圧が印加されたり、逆に昇圧電圧が低い側から高い側に変動する際に電圧不足が生じたりする場合がある。
また、ハイブリッド自動車には、特許文献2の図1に例示されるように、複数の電気モータを有し、少なくとも1つの電気モータを内燃機関が発生するエネルギーでバッテリを充電することが可能な発電機として用いることができるスプリット方式が採用されるものもある。この場合には、車輪の回転により発電機として機能する電気モータから回生電力がバッテリ側に供給される。この際、コンバータは回生回路あるいは必要に応じて降圧回路として機能する。このようなスプリット方式のハイブリッド自動車にAMD制御が適用され、電気モータの動作が力行と回生との間で頻繁に切り替わる際には、コンバータも昇圧動作と回生動作との間で頻繁に切り替わることになる。よく知られたように、コンバータには、昇圧動作時に中核となるスイッチング素子と、回生動作時に中核となるスイッチング素子とが、昇圧後の出力のプラス側とマイナス側(多くの場合グラウンド)との間に直列接続されている。コンバータが昇圧動作から回生動作に切り替わる際には、スイッチング素子の直列回路が共にオン状態となって、コンバータの出力のプラス側とマイナス側とが短絡しないように、両スイッチング素子が遷移時間を含めて共にオフ状態となるデッドタイムが設定される。このデットタイムの期間には、バッテリへの電力回生が行えないため、コンバータの出力側に並列接続された平滑コンデンサに発電されたエネルギーが蓄えられる。発電量が多い場合、コンバータの出力側の電位が上昇し、平滑コンデンサや、コンバータ、コンバータの後段に接続される交流変換用のインバータなど、制御回路の許容電圧を超える場合がある。
本発明は、昇圧回路を備えた回転電機制御システムに関する上記課題に鑑みて創案されたもので、ABS作動時にAMD制御を実施可能なトルクを回転電機が発生可能であり、AMD制御時に昇圧回路の出力側の電圧変動を抑制可能な回転電機制御システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る回転電機制御システムの特徴構成は、
直流電源と、
車両を駆動するための回転電機と、
前記直流電源と前記回転電機との間に介在され、前記回転電機が力行する際に前記直流電源の出力を交流に変換し、前記回転電機が回生する際に前記回転電機からの出力を直流に変換する周波数変換部と、
前記直流電源と前記周波数変換部との間に介在され、前記回転電機の目標トルクに応じて設定される昇圧指令値に基づいて前記直流電源の出力を昇圧する電圧変換部と、
前記周波数変換部及び前記電圧変換部を制御し、車両のアンチロック・ブレーキ・システムの作動時に発生する前記車両の駆動系の振動を抑制させる方向のトルクを前記回転電機に発生させるアクティブ・モータ・ダンピング制御を行う制御部と、を備えた回転電機制御システムであって、
前記制御部が、前記アクティブ・モータ・ダンピング制御の実行時には、前記昇圧指令値を前記目標トルクに拘わらず一定のAMD時昇圧指令値に設定する点にある。
直流電源と、
車両を駆動するための回転電機と、
前記直流電源と前記回転電機との間に介在され、前記回転電機が力行する際に前記直流電源の出力を交流に変換し、前記回転電機が回生する際に前記回転電機からの出力を直流に変換する周波数変換部と、
前記直流電源と前記周波数変換部との間に介在され、前記回転電機の目標トルクに応じて設定される昇圧指令値に基づいて前記直流電源の出力を昇圧する電圧変換部と、
前記周波数変換部及び前記電圧変換部を制御し、車両のアンチロック・ブレーキ・システムの作動時に発生する前記車両の駆動系の振動を抑制させる方向のトルクを前記回転電機に発生させるアクティブ・モータ・ダンピング制御を行う制御部と、を備えた回転電機制御システムであって、
前記制御部が、前記アクティブ・モータ・ダンピング制御の実行時には、前記昇圧指令値を前記目標トルクに拘わらず一定のAMD時昇圧指令値に設定する点にある。
この特徴構成によれば、アクティブ・モータ・ダンピング制御の実行時には、昇圧指令値が目標トルクに拘わらず一定のAMD時昇圧指令値に設定される。従って、回転電機のトルクと回転数とに応じて定められる目標トルクが、アクティブ・モータ・ダンピング制御により短時間で切り替わっても、当該目標トルクを実現させるための昇圧指令値は変動することなく一定の値となる。従って、電圧変換部の出力は、変動する昇圧指令値に追従して変化することがなくなる。その結果、電圧変換部の出力が昇圧指令値に追従する際に生じるタイムラグがなくなり、電圧変換部の出力側における実際の電圧が昇圧指令値に対して過大となったり、過小となったりするという不整合が抑制される。つまり、アクティブ・モータ・ダンピング制御時に昇圧回路の出力側の電圧変動を抑制可能な回転電機制御システムを提供することが可能となる。
また、本発明に係る回転電機制御システムの前記AMD時昇圧指令値は、前記アクティブ・モータ・ダンピング制御を実施する前記回転電機の最大回転数以内の全域において、前記回転電機が前記アクティブ・モータ・ダンピング制御のための所定のAMD時最大トルクを正負両方向に出力可能な値に設定されると好適である。
AMD時昇圧指令値がこのように設定されると、回転電機はアンチロック・ブレーキ・システムの作動時にアクティブ・モータ・ダンピング制御を実施可能なトルクを、不足なく出力することができる。
また、本発明に係る回転電機制御システムの前記AMD時昇圧指令値は、前記電圧変換部及び周波数変換部の許容電圧と前記AMD時昇圧指令値との差が、前記回転電機が前記アクティブ・モータ・ダンピング制御される際に前記周波数変換部の直流側に生じる電圧変動の振幅値よりも大きくなるように設定されると好適である。
上述したように電圧変換部の出力の電圧は、電圧変換部及び周波数変換部の許容電圧を超える可能性がある。電圧変換部及び周波数変換部の許容電圧と、AMD時昇圧指令値との差は、昇圧指令値に基づいて電圧変換部により適切に昇圧された場合には、当該許容電圧と電圧変換部の出力電圧との差にほぼ等しい。この差が、回転電機がアクティブ・モータ・ダンピング制御される際に周波数変換部の直流側に生じる電圧変動の振幅値(振幅中心から一方の波高までの値)よりも大きければ、周波数変換部の直流側(電圧変換部の出力側)の電圧は、当該許容電圧を超えない。従って、AMD制御時に昇圧回路の出力側の過電圧を抑制可能な回転電機制御システムを提供することが可能となる。
また、本発明に係る回転電機制御システムの前記AMD時昇圧指令値は、前記目標トルクに応じて設定される前記昇圧指令値の最大値よりも低い値に設定されると好適である。
昇圧電圧指令値が最大値の場合には、電圧変換部の出力と、電圧変換部及び周波数変換部の許容電圧との差が最も小さくなる。この状態で、電圧変換部の出力側に電圧変動が生じると、許容電圧を超える可能性がある。しかし、AMD時昇圧指令値が目標トルクに応じて設定される通常時の昇圧指令値の最大値よりも低い値に設定されると、電圧変換部の出力と、当該許容電圧との差が広がるため、電圧変動によって当該許容電圧を超える可能性が抑制される。
また、本発明に係る回転電機制御システムは、前記制御部が、前記車両の駆動系の共通軸において換算した、車輪の速度と回転電機の回転速度との差分に基づいて、前記アクティブ・モータ・ダンピング制御の実施時に前記回転電機に発生させる前記目標トルクとして、当該差分を縮小する方向へのトルクを演算すると好適である。
この構成によれば、車輪の速度と回転電機の回転速度との差分を縮小する方向へのトルクが目標トルクとして演算される。これにより、車両の駆動系の振動を好適に抑制することができる。
本発明に係る車両駆動システムは、上述した本発明に係る回転電機制御システムを備えるとともに、
前記回転電機として、第1回転電機と第2回転電機とを備え、
前記第1回転電機および前記第2回転電機以外の駆動源から発生される駆動力を分配する動力分配機構を備え、前記動力分配機構により分配された一方の駆動力が車輪に、他方の駆動力が前記第1回転電機に伝達されるとともに、前記第2回転電機により発生される駆動力が前記車輪に伝達される構成を採ることができる。
前記回転電機として、第1回転電機と第2回転電機とを備え、
前記第1回転電機および前記第2回転電機以外の駆動源から発生される駆動力を分配する動力分配機構を備え、前記動力分配機構により分配された一方の駆動力が車輪に、他方の駆動力が前記第1回転電機に伝達されるとともに、前記第2回転電機により発生される駆動力が前記車輪に伝達される構成を採ることができる。
この構成の車両駆動システムは、一対の回転電機と、当該一対の回転電機以外の駆動源(例えばエンジン)とを備えた、いわゆるスプリット形態の動力分配を行うハイブリッド車両を実現することができる。そして、当該ハイブリッド車両は、一対の回転電機の運転を、それら回転電機に要求される回転数及びトルクを満たす形態で実現し、さらに、単一の電圧変換部により、一対の回転電機のそれぞれで必要となる電圧を得る形態のシステムを容易に実現できる。
本発明の車両駆動システムは、
前記動力分配機構が、回転速度の順に、第1回転要素、第2回転要素および第3回転要素を有する遊星歯車機構を含んで構成され、
前記第1回転電機が前記第1回転要素に接続され、前記回転電機以外の駆動源が前記第2回転要素に接続され、前記第2回転電機及び前記第3回転要素が車輪に接続されている構成であると好適である。
前記動力分配機構が、回転速度の順に、第1回転要素、第2回転要素および第3回転要素を有する遊星歯車機構を含んで構成され、
前記第1回転電機が前記第1回転要素に接続され、前記回転電機以外の駆動源が前記第2回転要素に接続され、前記第2回転電機及び前記第3回転要素が車輪に接続されている構成であると好適である。
この構造を採用することで、単一の遊星歯車機構を使用して、スプリット形態の動力分配を行うハイブリッド車両を容易に実現できる。
以下、本発明に係る回転電機制御システムの一実施形態について図面を参照しながら説明する。当該回転電機制御システムは、車両駆動システムに組み込まれて、当該車両駆動システムに備えられる回転電機の運転制御の用を果すものである。図1は、車両駆動システム200の駆動系の構成を模式的に示すブロック図であり、図2は、回転電機MG1、MG2を制御するために設けられる回転電機駆動装置Inを主とする回転電機制御系の構成を模式的に示すブロック図である。図3は、車輪W及びブレーキ30を中心とする車両駆動システム200の駆動系の構成を模式的に示すブロック図である。
図1及び図3に示すように、車両には内燃機関であるエンジンEと、一対の回転電機MG1、MG2とが備えられている。この車両駆動システム200は、いわゆるハイブリッドシステムであり、エンジンEと車輪Wとの間に、ハイブリッド駆動装置1を備えて構成されている。エンジンEとしては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の公知の各種の内燃機関を用いることができる。後述するように、回転電機MG1、MG2は、それぞれモータ(電動機)又はジェネレータ(発電機)として作動する。従って、以下の説明において、特に何れかの回転電機を特定する必要がない場合、符号MG1、MG2を省略することがある。車両は、エンジンE若しくはモータとして働く回転電機から駆動力を得て走行可能である。また、エンジンEにより発生される駆動力の少なくとも一部は、ジェネレータとして働く回転電機において電力に変換され、バッテリBの充電、あるいはモータとして働く回転電機の駆動の用に供される。さらに、制動時には、制動力を利用して回転電機により発電し、バッテリBに電力を回生することも可能である。
ハイブリッド駆動装置1の入力軸Iは、エンジンEのクランクシャフト等の出力回転軸に接続されている。なお、入力軸IがエンジンEの出力回転軸との間にダンパやクラッチ等を介して接続された構成としても好適である。ハイブリッド駆動装置1の出力は、ディファレンシャル装置D等を介して車輪Wに伝達される。さらに、入力軸Iは動力分配機構P1のキャリアcaに連結されており、車輪Wにディファレンシャル装置Dを介して接続される中間軸Mはリングギヤrに連結されている。
第1回転電機MG1は、ステータSt1と、このステータSt1の径方向内側に回転自在に支持されたロータRo1と、を有している。この第1回転電機MG1のロータRo1は、動力分配機構P1のサンギヤsと一体回転するように連結されている。また、第2回転電機MG2は、ステータSt2と、このステータSt2の径方向内側に回転自在に支持されたロータRo2とを有している。この第2回転電機MG2のロータRo2は、出力ギヤOと一体回転するように連結され、ディファレンシャル装置Dの入力側に接続されている。
第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2は、図1に示すように、回転電機駆動装置(インバータ装置)Inを介してバッテリBに電気的に接続されている。第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2は、それぞれ電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを果すことが可能に構成されている。
本実施形態における構成例では、第1回転電機MG1は、主に動力分配機構P1のサンギヤsを介して入力された駆動力により発電を行うジェネレータとして機能し、バッテリBを充電し、或いは第2回転電機MG2を駆動するための電力を供給する。ただし、車両の高速走行時等には第1回転電機MG1がモータとして機能する場合もある。一方、第2回転電機MG2は、主に車両の走行用の駆動力を補助するモータとして機能する。また、車両の減速時等には、第2回転電機MG2は、車両の慣性力を電気エネルギーとして回生するジェネレータとして機能する。このような第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2の運転は、TCU(trans-axle control unit)10(図2参照)により制御される。TCU10は、本発明の制御部として機能し、後述するように電圧変換部4及び周波数変換部5を含む回転電機駆動装置Inを介して、回転電機MG1及びMG2を制御する。
図1に示すように、動力分配機構P1は、入力軸Iと同軸状に配置されたシングルピニオン型の遊星歯車機構により構成されている。すなわち、動力分配機構P1は、複数のピニオンギヤを支持するキャリアcaと、前記ピニオンギヤにそれぞれ噛み合うサンギヤs及びリングギヤrとを回転要素として有している。第1回転要素としてのサンギヤsは、第1回転電機MG1のロータRo1と一体回転するように接続される。第2回転要素としてのキャリアcaは、エンジンEの出力回転軸に接続された入力軸Iと一体回転するように接続されている。第3回転要素としてのリングギヤrは、中間軸Mと一体回転するように接続されており、リングギヤrは、中間軸Mを介してディファレンシャル装置Dに接続される。
図1に示す構成においては、第1回転電機MG1が第1回転要素としてのサンギヤsに接続され、回転電機MG1及びMG2以外の駆動源であるエンジンEが第2回転要素としてのキャリアcaに接続されている。そして、第2回転電機MG2及び第3回転要素としてのリングギヤrは、ディファレンシャル装置Dを経て車輪Wに接続されている(図3参照)。しかし、駆動系の構成は、この構成に限定されるものではない。第2回転電機MG2は、ディファレンシャル装置Dに直接接続される形態でもよいし、第3回転要素又はその他の駆動伝達要素に接続され、それらの回転要素や駆動伝達要素を介してディファレンシャル装置Dに接続される形態でもよい。
図2は、回転電機駆動装置Inを中核とする回転電機制御系の構成を模式的に示すブロック図である。この回転電機制御系は、バッテリBと各回転電機MG1,MG2と、両者の間に介装される回転電機駆動装置Inとを備えて構成されている。また、回転電機駆動装置Inは、バッテリB側から、電圧変換部(コンバータ)4、周波数変換部(インバータ)5を備えている。図2に示すように、本実施形態では周波数変換部5として、一対の回転電機MG1,MG2に対して、それぞれ周波数変換部51と52とが個別に設けられている。周波数変換部5と各回転電機MG1,MG2との間には、回転電機を流れる電流を計測するための電流センサ13が備えられている。尚、本例では、3相全ての電流を計測する構成を示しているが、3相は平衡状態にあり瞬時値の総和は零であるので2相のみの電流を計測して、TCU10において残りの一相の電流を演算により求めてもよい。尚、バッテリBは、回転電機MG1,MG2へ電力の供給が可能なものであるとともに、回転電機MG1,MG2から電力の供給を受けて蓄電可能なものである。
電圧変換部4は、リアクトル4a、フィルタコンデンサ4b、上下一対のスイッチング素子4c,4d、放電用抵抗器4e、平滑コンデンサ4fを有して構成されている。スイッチング素子4c、4dとしては、IGBT(insulated gate bipolar transistor)や、MOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor)を適用すると好適である。本実施形態では、IGBTを用いて構成される場合を例として説明する。
電圧変換部4の上段のスイッチング素子4cのソースは下段のスイッチング素子4dのドレインに接続されるとともに、リアクトル4aを介してバッテリBのプラス側に接続されている。上段のスイッチング素子4cのドレインは、周波数変換部5の入力プラス側に接続される。下段のスイッチング素子4dのソースはバッテリBのマイナス側(グラウンド)に接続される。周波数変換部5の入力マイナス側もグラウンドであるので、下段のスイッチング素子4dのソースは周波数変換部5の入力マイナス側と接続される。
上段のスイッチング素子4c及び下段のスイッチチング素子4dのゲートは、ドライバ回路7(7C)を介してTCU10に接続される。スイッチング素子4c、4dは、TCU10により制御され、バッテリBからの電圧を昇圧して周波数変換部5に供給する。TCU10は、回転電機の目標トルクに応じて設定される昇圧指令値に基づいて、スイッチング素子4c、4dを制御する。具体的には、TCU10は、上段のスイッチング素子4cをオフ状態にし、下段のスイッチング素子4dを例えばPWM制御することによってオン/オフを切り替えて、バッテリBの電圧を昇圧して出力する。一方、回転電機が回生運転する場合には、電圧変換部4は、回転電機により発電された電力をバッテリBへ回生する。例えば、TCU10は、下段のスイッチング素子4dをオフ状態にし、上段のスイッチング素子4cをオン状態に制御することによって、電圧変換部4を介して電力を回生させる。尚、回転電機により発電された電力を降圧してバッテリBに回生させる場合には、上段のスイッチング素子4cがPWM制御されてもよい。
周波数変換部5は、ブリッジ回路により構成されている。周波数変換部5の入力プラス側と入力マイナス側との間に2つのスイッチング素子が直列に接続され、この直列回路が3回線並列接続される。つまり、回転電機MG1、MG2のステータコイルU相、V相、W相のそれぞれに一組の直列回路が対応したブリッジ回路が構成される。図2において、
符号8aは、U相の上段側スイッチング素子であり、
符号8bは、V相の上段側スイッチング素子であり、
符号8cは、W相の上段側スイッチング素子であり、
符号8dは、U相の下段側スイッチング素子であり、
符号8eは、V相の下段側スイッチング素子であり、
符号8fは、W相の下段側スイッチング素子である。尚、周波数変換部5のスイッチング素子8a〜8fについても、IGBTやMOSFETを適用すると好適である。本実施形態では、IGBTを用いる場合を例示している。
符号8aは、U相の上段側スイッチング素子であり、
符号8bは、V相の上段側スイッチング素子であり、
符号8cは、W相の上段側スイッチング素子であり、
符号8dは、U相の下段側スイッチング素子であり、
符号8eは、V相の下段側スイッチング素子であり、
符号8fは、W相の下段側スイッチング素子である。尚、周波数変換部5のスイッチング素子8a〜8fについても、IGBTやMOSFETを適用すると好適である。本実施形態では、IGBTを用いる場合を例示している。
図2に示すように、各相の上段側スイッチング素子8a、8b、8cのドレインは電圧変換部4の出力プラス側(周波数変換部5の入力プラス側)に接続され、ソースは各相の下段側スイッチング素子8d、8e、8fのドレインに接続されている。また、各相の下段側スイッチング素子8d、8e、8fのソースは、電圧変換部4の出力マイナス側(周波数変換部5の入力マイナス側)、即ち、バッテリBのマイナス側(グラウンド)に接続されている。各スイッチング素子8a〜8fのゲートは、ドライバ回路7(7A、7B)を介してTCU10に接続されており、それぞれ個別にスイッチング制御される。
対となる各相のスイッチング素子(8a,8d),(8b,8e),(8c,8f)による直列回路の中間点(スイッチング素子の接続点)9u、9v、9wは、回転電機MG1及びMG2のU相、V相、W相のステータ巻線にそれぞれ接続されている。各巻線へ供給される駆動電流は、電流センサ13によって検出される。電流センサ13による検出値は、TCU10が受け取り、フィードバック制御に用いられる。
また、回転電機MG1、MG2には、回転検出部の一部として機能するレゾルバなどの回転検出センサ11、12が備えられており、ロータ70rの回転角(機械角)を検出する。回転検出センサ11、12は、ロータ70rの極数(極対数)に応じて設定されており、ロータ70rの回転角を電気角θに変換し、電気角θに応じた信号を出力することも可能である。TCU10は、この回転角に基づいて回転電機MG1及びMG2の回転数(角速度ω)や、周波数変換部5の各スイッチング素子8a〜8fの制御タイミングを演算する。
TCU10は、これらスイッチング素子8a〜8fを、回転電機MG1及びMG2に対する目標トルク及び回転数に基づいてPWM制御することで、各回転電機MG1、MG2に三相の交流駆動電流を供給する。これにより、各回転電機MG1,MG2は、目標回転数、目標トルクに応じて力行する。回転電機MG1及びMG2が発電機として働き、回転電機側から電力を受ける場合は、TCU10は、所定周波数の交流を直流に変換するように周波数変換部5を制御する。
本実施形態においては、車両は、図3に示すような二輪駆動構成である。車輪W1、W2は駆動輪であり、車輪W3、W4は非駆動輪である。図3に示すように、各車輪W1〜W4には、ブレーキ30(32、34、36、38)のような機械式摩擦ブレーキが備えられる。これら、機械式のブレーキ30は、油圧、気体、電気などにより作動する。本実施形態のようなハイブリッド駆動システムが搭載された車両の場合、回生制動と摩擦制動とを適当な比率で作用させるために、制動が電子制御されると好適である。
本実施形態において、制動システムは、車両の制動時に車輪のロックを抑制して、操舵性を保つと共に最適な制動距離に制御するアンチロック・ブレーキ・システム(ABS : anti-lock brake system)を備えている。具体的には、図3に示すように、ABSコントローラ60が備えられ、当該ABSコントローラ60が車輪Wの初期ロックを検出して、ブレーキ30の車輪への作用を変化させる。
乗員により、ブレーキペダル20が操作されると、その操作力は、ブレーキブースタ(不図示)を介してマスタシリンダ(MC)22、ABSコントローラ60に伝達される。各車輪Wには、回転センサ40(42、44、46、48)が備えられており、各車輪の回転速度及び回転方向が検出される。ABSコントローラ60は、これら回転センサ40の検出結果に基づいて、車輪Wの初期ロック状態など、アンチロック・ブレーキ制御の作動の必要性を判断し、アンチロック・ブレーキ制御を実行する。尚、回転センサ40の検出結果は、ABSコントローラ60を介して、あるいは直接にTCU10にも伝達される。
アンチロック・ブレーキ制御が実施される直前は、車両は走行中であり、車輪は回転している。制動時には、車輪の回転が急激に減速されるため、反動で駆動系、即ちトランス・アクスルが動くことになる。アンチロック・ブレーキ制御の際には、ブレーキ30による車輪の係止・開放が繰り返されるため、トランス・アクスルが振動する。また、図1を利用して説明したように、特に第2回転電機MG2は車両の走行用の駆動力を補助するモータとして機能しているため、車輪と同期して回転している。この状態から車輪が急減速されても、回転電機MG2のロータRo2は慣性力により回転しようとするため、駆動系の軸にねじれが生じ、やはりトランス・アクスルを振動させる要因となる。
そこで、アンチロック・ブレーキ制御の実行時に、トランス・アクスルの振動方向とは逆方向のカウンタ・トルクを回転電機MG2に出力させて、トランス・アクスルの振動を減衰させるアクティブ・モータ・ダンピング(AMD)制御がTCU10により実行される。AMD制御に当たり、TCU10は、回転センサ40から検出信号を取得する。この検出信号は、TCU10が直接回転センサ40から受け取ってもよいし、ABSコントローラ60を介して受け取ってもよい。TCU10は、例えば左右の車輪Wの平均回転速度から、車輪速度を演算する。
また、TCU10は、回転電機の回転検出センサ11、12から検出信号を取得し、回転電機の回転数を演算する。本実施形態のAMD制御においては、第2回転電機MG2にカウンタ・トルクを発生させるので、回転検出センサ12の検出結果に基づいて、第2回転電機MG2の回転数が演算される。ここで、車輪速度と、回転電機の回転数とは、両者を直接比較することが可能なように、共通軸換算での速度情報である換算速度として演算される。例えば、第2回転電機MG2の回転数に駆動系のギヤ比なども考慮して、換算速度が演算される。
次に、TCU10は、共通軸換算での、車輪速度と回転電機の換算速度との差分を求める。この差分が、カウンタ・トルクの基となる。TCU10は、求められた差分に、所定のトルク・ゲイン、例えば5Nm/rpmなどのトルク・ゲインを乗じてカウンタ・トルクの目標値である目標トルクを演算する。尚、車輪速度と回転電機の換算速度との差分は、例えば±100rpmなど、所定の範囲内に収められる。当該範囲を逸脱するような大きな差分が生じている場合には、それぞれ最大値又は最小値に制限される。また、目標トルクは、例えば±100Nmなど、所定の範囲内に収められる。演算の結果、当該範囲を逸脱するような大きなトルクが算出される場合には、それぞれ最大値又は最小値に制限される。これらの制限は、差分が大きすぎるような場合に非現実的なカウンタ・トルクが目標トルクとして算出されることを防ぐためである。
図4は、第2回転電機MG2の回転速度と、トルクとの相関図である。上述したように、回転電機駆動装置Inは、電圧変換部4を備えており、バッテリBの直流電圧を昇圧可能である。即ち、回転電機に駆動電力を供給するバッテリBの電圧を昇圧して、弱め界磁制御に移行する回転数をより高い回転数へと移行させる。本実施形態では、バッテリBの電圧を低い方からV4、V3、V2、V1に昇圧する。図4には、回転速度とトルクとの相関関係と昇圧指令値との関係を示している。図中、V4のラインは、電圧変換部4により昇圧後の電圧をV4にする必要が生じる境界を示している。即ち、昇圧指令値として、V4が設定される境界を示している。同様に、V3、V2、V1のラインは、電圧変換部4により昇圧後の電圧をそれぞれV3、V2、V1にする必要が生じる境界を示している。TV1のラインは、昇圧後の電圧がV1の場合に、弱め界磁制御を含めて第2回転電機MG2が出力可能なトルク領域を示している。
図4において、TAMDで指示されるラインは、AMD制御時の目標トルクの推移を示している。AMD制御の初期にはトランス・アクスルの振動も大きく、大きなカウンタ・トルクが必要とされる。その後、次第にAMD制御の効果によってトランス・アクスルの振動が減衰し、カウンタ・トルクの要求値も小さくなる。TAMDのライン上に矢印で示すように、AMD制御時の目標トルクは、次第に小さくなる。
図5は、昇圧指令値の推移を模式的に示すタイミングチャートである。図4及び図5(a)から明らかなように、AMD制御時の目標トルクは短時間の間に大きく変動するので、電圧変換部4への昇圧指令値の境界を頻繁に越えることになる。昇圧指令値の変動により電圧変換部4の出力電圧は、電圧変換部4の回路遅延を含んで追従する。AMD制御時の目標トルクの変化は高速であるため、昇圧指令値に対して昇圧後の実電圧が過大・過小となる場合がある。そして、昇圧後の実電圧が過大となる場合には、回転電機駆動装置Inの許容電圧Vmaxを超えてしまう可能性がある。
回転電機駆動装置Inの許容電圧Vmaxとは、例えば電圧変換部4のスイッチング素子4c及び4dの耐圧、特に上段のスイッチング素子4cの耐圧、周波数変換部5のスイッチング素子8a〜8f、特に上段側スイッチング素子8a〜8cの耐圧、電圧変換部4の出力側の平滑コンデンサ4fの耐圧などである。また、回転電機駆動装置Inは、通常配線基板や、配線基板が格納されたユニットとして構成されるが、これら基板やユニットにおける絶縁距離により規定される最大電圧も許容電圧となる。
尚、図5においては、昇圧指令値を太い実線で示し、過大・過小となる昇圧後の実電圧の変動要素を点線で模式的に示している。図5(b)に示すように、実電圧が過大となる場合に、許容電圧Vmaxを超えてしまう場合がある。
また、AMD制御時の目標トルクは、正負のトルクの間においても変動するため、第2回転電機MG2は、短時間の間に力行と回生とを頻繁に繰り返すことになる。図2に示す構成の電圧変換部4の場合、バッテリBの電圧を昇圧する際には、スイッチング素子4cが常時オフ状態に制御され、昇圧指令値に応じてスイッチング素子4dが例えばPWMによりスイッチング制御される。一方、周波数変換部5の側から、バッテリBへ電力が回生される際には、スイッチング素子4dが常時オフ状態に制御され、スイッチング素子4cが必要に応じてスイッチング制御される。
ここで、スイッチング素子4c及び4dが同時にオン状態となると、周波数変換部5の入力プラス側とマイナス側とが短絡する。従って、電圧変換部4が昇圧から回生、あるいは回生から昇圧へと、その動作モードを切り替える際には、スイッチング素子4c及び4dが共にオフ状態となるデッドタイムが設けられる。このデットタイムの期間には、バッテリBへの電力回生が行えないため、平滑コンデンサ4fに回転電機が発電した電力が蓄えられることになる。この際、発電される電力が大きいと、上述したように回転電機駆動装置Inの許容電圧Vmaxを超える場合がある。
そこで、本発明では、図5(b)に示すように、TCU10が、AMD制御の実行時に、昇圧指令値を目標トルクに拘わらず一定のAMD時昇圧指令値VFに設定する。AMD時昇圧指令値VFは、昇圧指令値の最大値よりも低い値であると好適である。従来と同様の大きさの過大電圧が生じた場合であっても、回転電機駆動装置Inの許容電圧Vmaxを超えないようにすることができる。具体的には、AMD時昇圧指令値VFは、回転電機駆動装置In(電圧変換部4及び周波数変換部5)の許容電圧Vmaxと、AMD時昇圧指令値との差に基づいて定められると好適である。回転電機駆動装置Inの許容電圧とAMD時昇圧指令値との差は、電圧変換部4により適切に昇圧された場合には、許容電圧Vmaxと電圧変換部4の出力電圧との差にほぼ等しい。この差が、回転電機がAMD制御される際に周波数変換部5の直流側に生じる電圧変動の振幅値よりも大きければ、電圧変換部4の出力側の電圧は回転電機駆動装置Inの許容電圧Vmaxを超えない。従って、回転電機駆動装置Inの許容電圧VmaxとAMD時昇圧指令値VFとの差が、周波数変換部5の直流側に生じる電圧変動の振幅値よりも大きくなるようにAMD時昇圧指令値VFが設定されると好適である。
また、AMD時昇圧指令値VFは、AMD制御が実施される際の回転電機の最大回転数以内の全域において、回転電機が正負両方向に所定のAMD時最大トルクを出力可能な値に設定される。ここで、回転電機が第2回転電機MG2の場合を例として、図4に基づいて具体的に説明する。「AMD制御が実施される際の回転電機の最大回転数」は、図4における「回転数S」に相当する。従って、「最大回転数以内の全域」は、図4において、回転数S以下の領域に相当する。「正負両方向に所定のAMD時最大トルク」は、図4における「±T1のトルク」に相当する。従って、回転数Sにおいて±T1のトルクを発生可能なトルク領域TVFに対応する昇圧指令値が、AMD時昇圧指令値VFとなる。
図6は、昇圧指令値を設定する手順を示すフローチャートである。TCU10は、回転電機の回転数及び目標トルクに基づいて、通常制御時(通常走行時)の昇圧指令値VNを取得する(#1)。本例においては、図4に示したようなV1〜V4の複数段階の昇圧指令値の内の1つが通常制御時の昇圧指令値として取得される。ここで、TCU10は、自ら当該回転数及び当該目標トルクを変数として演算を実行して、昇圧指令値VNを取得してもよいし、メモリなどの記憶媒体に格納されたテーブルから、当該回転数及び当該目標トルクを引数として昇圧指令値を読み出すことによって取得してもよい。また、昇圧指令値は複数段階にすることなく、回転電機の回転数と目標トルクに対して徐々に変化するように設定することもできる。
次に、TCU10は、AMD制御が作動中であるか否かを判定する(#2)。AMD制御が作動中である場合には、ステップ#1で取得した通常制御時の昇圧指令値VNは使用せず、一定値であるAMD時昇圧指令値VFを昇圧指令値として設定する(#3)。一方、ステップ#2において、AMD制御が作動中でないと判定された場合、即ち、車両が通常走行中であれば、ステップ#1で取得した昇圧指令値VNを昇圧指令値として設定する(#4)。
尚、本実施形態においては、回転電機として、第1回転電機MG1と第2回転電機MG2とを備えている。そして、第1回転電機MG1と第2回転電機MG2とは、ともにモータ及びジェネレータとして動作可能であり、それぞれの動作に適した通常制御時の昇圧指令値VNが設定される。上記説明においては、理解を容易にするために、主として第2回転電機MG2のトルクと回転数とに基づいて通常制御時の昇圧指令値VNを取得する例を示した。しかし、常に、第2回転電機MG2の昇圧指令値が第1回転電機MG1の昇圧指令値を上回るとは限らない。従って、TCU10が、第1回転電機MG1のトルク及び回転数に基づいて取得される通常制御時の昇圧指令値と、第2回転電機MG2のトルク及び回転数に基づいて取得される通常制御時の昇圧指令値との内、大きい方の値を通常制御時の昇圧指令値VNとして取得すると好適である。
〔別実施形態〕
(1) 図6に基づいて説明した上記実施形態では、ステップ#2においてAMD制御が作動中であるか否かを判定する前に、ステップ#1において、回転数及び目標トルクに基づいて通常制御時の昇圧指令値VNを取得する例を示した。しかし、TCU10は、一連の処理のはじめにAMD制御が作動中であるか否かを判定してもよい。即ち、AMD制御が作動中であれば、昇圧指令値を一定値であるAMD時昇圧指令値VFに設定し、非作動中であれば、回転数及び目標トルクに基づいて通常制御時の昇圧指令値VNを取得し、これを昇圧指令値として設定するようにしてもよい。
(1) 図6に基づいて説明した上記実施形態では、ステップ#2においてAMD制御が作動中であるか否かを判定する前に、ステップ#1において、回転数及び目標トルクに基づいて通常制御時の昇圧指令値VNを取得する例を示した。しかし、TCU10は、一連の処理のはじめにAMD制御が作動中であるか否かを判定してもよい。即ち、AMD制御が作動中であれば、昇圧指令値を一定値であるAMD時昇圧指令値VFに設定し、非作動中であれば、回転数及び目標トルクに基づいて通常制御時の昇圧指令値VNを取得し、これを昇圧指令値として設定するようにしてもよい。
(2) 上記の実施形態にあっては、車両が駆動源として回転電機と、この回転電機以外の駆動源(エンジン)を備えたハイブリッド車両である例を示した。しかし、本願の対象は、電圧変換部を有する回転電機駆動装置により駆動制御される回転電機を備えたシステムを対象とする。従って、駆動源が回転電機のみであってもよく、回転電機を駆動源とする電気車両にも本発明を適用することができる。
(3) 上記の実施形態にあっては、ハイブリッド車両に一対の回転電機を備え、一方の回転電機がモータとして、他方の回転電機がジェネレータとして働く例を示した。しかし、本発明は、単一の回転電機を備え、この回転電機がモータ及びジェネレータとして働くモードを備えた、任意のハイブリッド車両にも適用することができる。
本発明は、駆動源に回転電機を含む電気自動車、ハイブリッド車両に適用することができる。
4:電圧変換部
5:周波数変換部
10:TCU(制御部)
B:バッテリ(直流電源)
E:エンジン
In:回転電機駆動装置
MG1:第1回転電機
MG2:第2回転電機
P1:動力分配機構
W:車輪
VN:通常時昇圧指令値
VF:AMD時昇圧指令値
5:周波数変換部
10:TCU(制御部)
B:バッテリ(直流電源)
E:エンジン
In:回転電機駆動装置
MG1:第1回転電機
MG2:第2回転電機
P1:動力分配機構
W:車輪
VN:通常時昇圧指令値
VF:AMD時昇圧指令値
Claims (7)
- 直流電源と、
車両を駆動するための回転電機と、
前記直流電源と前記回転電機との間に介在され、前記回転電機が力行する際に前記直流電源の出力を交流に変換し、前記回転電機が回生する際に前記回転電機からの出力を直流に変換する周波数変換部と、
前記直流電源と前記周波数変換部との間に介在され、前記回転電機の目標トルクに応じて設定される昇圧指令値に基づいて前記直流電源の出力を昇圧する電圧変換部と、
前記周波数変換部及び前記電圧変換部を制御し、車両のアンチロック・ブレーキ・システムの作動時に発生する前記車両の駆動系の振動を抑制させる方向のトルクを前記回転電機に発生させるアクティブ・モータ・ダンピング制御を行う制御部と、を備えた回転電機制御システムであって、
前記制御部は、前記アクティブ・モータ・ダンピング制御の実行時には、前記昇圧指令値を前記目標トルクに拘わらず一定のAMD時昇圧指令値に設定する回転電機制御システム。 - 前記AMD時昇圧指令値は、前記アクティブ・モータ・ダンピング制御を実施する前記回転電機の最大回転数以内の全域において、前記回転電機が前記アクティブ・モータ・ダンピング制御のための所定のAMD時最大トルクを正負両方向に出力可能な値に設定される請求項1に記載の回転電機制御システム。
- 前記AMD時昇圧指令値は、前記電圧変換部及び周波数変換部の許容電圧と前記AMD時昇圧指令値との差が、前記回転電機が前記アクティブ・モータ・ダンピング制御される際に前記周波数変換部の直流側に生じる電圧変動の振幅値よりも大きくなるように設定される請求項1又は2に記載の回転電機制御システム。
- 前記AMD時昇圧指令値は、前記目標トルクに応じて設定される前記昇圧指令値の最大値よりも低い値に設定される請求項1〜3の何れか一項に記載の回転電機制御システム。
- 前記制御部は、前記車両の駆動系の共通軸において換算した、車輪の速度と回転電機の回転速度との差分に基づいて、前記アクティブ・モータ・ダンピング制御の実施時に前記回転電機に発生させる前記目標トルクとして、当該差分を縮小する方向へのトルクを演算する請求項1〜4の何れか一項に記載の回転電機制御システム。
- 請求項1〜5の何れか一項に記載の回転電機制御システムを備えるとともに、
前記回転電機として、第1回転電機と第2回転電機とを備え、
前記第1回転電機および前記第2回転電機以外の駆動源から発生される駆動力を分配する動力分配機構を備え、前記動力分配機構により分配された一方の駆動力が車輪に、他方の駆動力が前記第1回転電機に伝達されるとともに、前記第2回転電機により発生される駆動力が前記車輪に伝達される車両駆動システム。 - 前記動力分配機構が、回転速度の順に、第1回転要素、第2回転要素および第3回転要素を有する遊星歯車機構を含んで構成され、
前記第1回転電機が前記第1回転要素に接続され、前記回転電機以外の駆動源が前記第2回転要素に接続され、前記第2回転電機及び前記第3回転要素が車輪に接続されている請求項6に記載の車両駆動システム。
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