JP2009194308A - 熱拡散性シート - Google Patents
熱拡散性シート Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009194308A JP2009194308A JP2008036099A JP2008036099A JP2009194308A JP 2009194308 A JP2009194308 A JP 2009194308A JP 2008036099 A JP2008036099 A JP 2008036099A JP 2008036099 A JP2008036099 A JP 2008036099A JP 2009194308 A JP2009194308 A JP 2009194308A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- heat
- thermal
- layer
- diffusion layer
- plane
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Cooling Or The Like Of Semiconductors Or Solid State Devices (AREA)
Abstract
【解決手段】マトリクス材料(a)100体積部および、メソフェーズピッチを原料とし、平均繊維径5〜20μm、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率(CV値)が5〜20%、平均アスペクト比が2〜10000であって、走査型電子顕微鏡での観察表面が実質的に平滑であり、かつ透過型電子顕微鏡での端面観察においてグラフェンシートが閉じている黒鉛化炭素短繊維フィラー(b)10〜300体積部とからなり、層の面内の少なくとも一つの方向における面内方向熱伝導率が20W/(m・K)以上であり、面内方向熱伝導率と層厚との積が1000W・μm/(m・K)以上となる層厚を有する熱拡散層を、少なくとも構成要素の一つとして含む事を特徴とする熱拡散性シート。
【選択図】なし
Description
[マトリクス材料(a)]
本発明の熱拡散性シートはその応用用途においてデバイスや熱源、熱配管等におおよそ70〜300℃前後の温度で熱的に融着させて好ましく用いられるものである。したがって、本発明におけるマトリクス材料(a)は上記温度域で熱融着が可能な樹脂材料とする事が好ましい。樹脂としては、特に大きな限定はなく、各種のものを用いる事が可能であるが、その中でも特に好ましくは、溶融押し出し等によるシート成形性や、熱プレスによる厚み方向への圧着性、もしくは熱延伸による面内方向への伸張性に優れた熱可塑性樹脂および/または熱可塑性エラストマー樹脂が好ましく挙げられる。
本発明における黒鉛化炭素短繊維フィラー(b)は、メソフェーズピッチを原料とし、平均繊維径5〜20μm、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率(CV値)が5〜20%、平均アスペクト比が平均2〜10000であって、走査型電子顕微鏡での観察表面が実質的に平滑であり、かつ透過型電子顕微鏡での端面観察においてグラフェンシートが閉じている黒鉛化炭素短繊維フィラーである。
本発明における黒鉛化炭素短繊維フィラー(b)の好ましい作製方法を以下に示す。
原料ピッチは溶融法により紡糸され、その後不融化、焼成、ミリング、黒鉛化によってピッチ系炭素短繊維フィラーとなる。場合によっては、ミリングの後、分級工程を入れることもある。本発明のピッチ系炭素短繊維フィラーは透過型電子顕微鏡によるフィラー端面観察においてグラフェンシートが閉じていることを特徴とするが、このようなピッチ系炭素短繊維フィラーは、ミリングを行った後に黒鉛化処理を実施することによって、好ましく得ることができる。これは、黒鉛化後にミリングを行うと、黒鉛化に伴い生成したグラフェンシートが切断端面にて開いたままになるのに対して、炭化ピッチ繊維ウェブをミリングしピッチ系炭化短繊維とした後で黒鉛化を行うと、ピッチ系炭化短繊維端面のグラフェンシートがループ状に閉じるという黒鉛の成長過程を用いたものである。以下各工程の好ましい態様について説明する。
また前述のように、炭素繊維切断断面においてグラフェンシートが閉じており、高い反応活性を有する結晶エッジ面が殆ど露出していない特徴も有す。
本発明における熱拡散層は、マトリクス材料(a)100体積部および、黒鉛化炭素短繊維フィラー(b)10〜300体積部とからなる。マトリクス材料(a)100体積部に対してフィラーが10体積部未満では十分に高い面内方向熱伝導率が得られない場合が多い。またフィラーが300体積部を超えると、マトリクス内へのフィラーの均一分散が困難になると同時に、熱拡散層の成形性が大きく低下するので好ましくない。
すなわちマトリクス材料は、パウダー状もしくはあらかじめパウダー状に粉砕してなる形態で用い、黒鉛化炭素短繊維フィラーとパウダー状態でまず均一に混合した後に、マトリクス材料のパウダーが熱変形可能であるが、実質的には流動性を持たないような温度域に加熱するようにする。この過程では必要に応じ、混合槽内に外部から圧力を制御しながら加えても良く、熱変形可能なパウダー状態のマトリクス材料に、黒鉛化炭素短繊維フィラーが融合、一体化するようにする。
このように本発明を構成する熱拡散層は、層の面内の少なくとも一つの方向において20W/(m・K)以上の面内方向熱伝導率を有し、25W/(m・K)以上、もしくは30W/(m・K)を超える熱拡散層とする事もできる。
面内方向熱伝導率は好ましくは25W/(m・K)以上、より好ましくは30W/(m・K)以上、更に好ましくは35W/(m・K)以上である。
本発明における熱拡散層を構成する熱伝導性フィラーとして、黒鉛化炭素短繊維フィラー(b)に加え金属化合物フィラーを用いても良い。金属化合物フィラーとしては、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、銅、鉄、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化ホウ素、石英、炭化珪素、酸化珪素、窒化珪素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物、金属合金、等が挙げられる。中でも、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、銅、鉄、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化ホウ素、石英、炭化珪素、酸化珪素、および窒化珪素からなる群より選ばれる少なくとも1種を好適に用いることができる。
尚、これらのフィラーを併用した場合、特に熱拡散層の厚み方向の熱伝導率を向上する事が可能であり、必要に応じて好ましく用いられる。
ところで熱伝導率の値は一般に、プローブ法、ホットディスク法、レーザーフラッシュ法等の方法によって測定できるが、本発明においてはレーザーフラッシュ法を採用した。熱伝導率は測定法によってその値が大きく相違する場合もある。したがって本発明と従来技術との比較においては同様の測定された熱伝導率の値にて比較検討が為されるべきである。
面内方向熱伝導率の測定法としては、熱伝導層を面内方向に垂直な方向で切り出し、切り出したサンプルの切断断面の一方にレーザー光を照射して昇温させ、そこから他方に流れる熱流の熱拡散率を測定し、別途測定したサンプルの比重、比熱の値とともに公知の方法で熱伝導率を計算するものである。
本発明の熱拡散性シートは上述の熱拡散層を、少なくとも構成要素の一つとして含む事を特徴とする。さらに必要に応じて、熱拡散層に電気絶縁層を積層したり、補強基板を積層したりする事も好ましく行われる。すなわち本発明は熱拡散層に電気絶縁層を積層した熱拡散性シート、および熱拡散層に補強基板を積層した熱拡散性シートを包含する。
また補強基板は、以下において詳述するが、応用用途において熱拡散層の機械的特性(剛性、強度等)を高めたり、耐熱性、寸法安定性等の特性を高める必要がある場合に積層される。
尚、熱拡散層および/または熱拡散層以外の層には、必要に応じ、各種の耐候安定剤、難燃剤を適量添加しても構わない。
前述の通り、用途上の必要において、熱拡散層の電気絶縁性を高める必要がある場合には熱拡散層に電気絶縁層を積層する事が好ましい。
尚、用途にもよるが、熱拡散層が以下の用件を満足した場合には、電気絶縁層を必ずしも積層する必要がないケースもある。
1)熱拡散層上の面内方向に所定の距離を隔てて電極を設けて測定した体積抵抗の値として、少なくとも1×10E6(Ω・cm)以上、より好ましくは1×10E9(Ω・cm)以上、更に好ましくは1×10E12(Ω・cm)以上、最も好ましくは1×10E15(Ω・cm)である事。
2)熱拡散層の面内方向に0.5mmの距離を隔てて長さ5cmの平行電極を設け、両電極間に少なくとも50V、より好ましくは100V、更に好ましくは300V、最も好ましくは500Vの直流電圧を1分間印加した後に、絶縁破壊現象もしくは電気的短絡現象の発生が観られない事。
これら電気絶縁層のマトリクス材料としては、特に大きな限定はないが、本発明においては熱拡散層に用いられるものと同じマトリクス材料や、その共重合材料および/または変性材料が最も好適である。
ここで電気絶縁層の厚み方向熱伝導率は、0.5W/(m・K)以上である事が好ましく、より好ましくは1W/(m・K)以上、更に好ましくは1.5W/(m・K)以上、最も好ましくは2W/(m・K)以上である。
前述の通り、用途上の必要において、熱拡散層の機械的特性(剛性、強度)や耐熱性、寸法安定性等を高める必要がある場合には熱拡散層に補強基板を積層する事が好ましい。
補強基板は、機械的補強の観点から、剛性の高い層である事が好ましく、引張弾性率が少なくとも1GPa以上の樹脂材料からなる層である事が好ましい。
引張弾性率はより好ましくは2GPa以上、更に好ましくは3GPa以上、最も好ましくは4GPa以上である。
補強基板の厚みはより好ましくは10〜1000μm、更に好ましくは20〜300μm、最も好ましくは30〜200μmである。
補強基板の面内方向の熱収縮率はその一方向について、自由収縮、250℃5分間の測定条件において、少なくとも3%以下、より好ましくは2%以下、更に好ましくは1%以下である事が好ましい。
尚、これら熱延伸、熱固定等の工程は、熱拡散層および/または熱拡散層と電気絶縁層等と積層一体化を行った後に行うことも可能であり、生産性の観点においてより好ましい。
本発明の熱拡散性シートは面内方向に高効率な熱拡散、熱輸送が可能なシート材料であり、その用途について特に大きな制限はないが、例えば以下のようなものが好ましく例示される。
1)各種デバイスに直接的に積層もしくは貼り合わせて用い、デバイスの熱を面内方向に広く拡散、散逸させ、デバイスの温度上昇を抑制する機能を有する放熱シート。特に温度によって素子動作の効率や寿命等に悪影響が出る事の多いCPU、MPU、パワートランジスタ、LED、レーザーダイオード、各種電池(リチウムイオン電池などの各種2次電池、各種燃料電池、キャパシタ、アモルファスシリコン、結晶シリコン、化合物半導体、湿式太陽電池等の各種太陽電池など)等の各種電気、電子デバイス用の放熱シートとして好適である。
2)放熱性電子実装基板用部材。各種デバイスが実装される積層基板を構成する層(カバーレイを含む)の少なくとも一層として用いられ、デバイスの熱を基板面内方向に拡散、散逸する事により、デバイスの温度上昇を抑制する機能を有する放熱性電子実装基板用部材として好適である。
3)加熱冷却装置用部材。工業用の加熱冷却装置(各種ヒーター、ペルチェ素子、ヒートパイプ等)や冷暖房用等の加熱冷却装置(床暖房用の温水配管、電気ヒーター等)の部材として用いられ、局所的に設けられた熱源の熱を広い面積に熱拡散、熱輸送する事により、熱の有効利用を促進する機能を有する加熱冷却装置用部材として好適である。
(1)黒鉛化炭素短繊維フィラー(b)の平均繊維径及び繊維径分散:
黒鉛化を経た炭素短繊維フィラーをJIS R7607に準じ、光学顕微鏡下でスケールを用いて60本測定し、その平均値から求めた。
平均繊維長は、個数平均繊維長であり、黒鉛化を経た炭素短繊維フィラーを光学顕微鏡下で測長器で2000本以上測定し、その平均値から求めた。倍率は繊維長に応じて適宜調整した。
X線回折法にて求め、六角網面の厚み方向に由来する結晶子サイズは(002)面からの回折線を用いて求め、六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズは(110)面からの回折線を用いて求めた。また、求め方は学振法に準拠して実施した。
粉砕工程以外を同じ条件で作製した、黒鉛化後のピッチ系炭素繊維ウェブから糸を抜き出し抵抗率を測定し、特開平11−117143号公報に開示されている熱伝導率と電気比抵抗との関係を表す下記式(1)より求めた。
K=1272.4/ER−49.4 (1)
ここで、Kは熱伝導率W/(m・K)、ERは電気比抵抗μΩmを表す。
炭素短繊維フィラーを透過型電子顕微鏡にて50,000倍で観察した像の視野中の閉じているグラフェンシートの数を計測した。
黒鉛化炭素短繊維フィラー(b)を走査型電子顕微鏡にて1000倍で観察した像に、凹凸のような欠陥が何箇所あるかを数えた。10箇所以下の場合平滑とした。
直径10mm、厚み2mmに切り出したサンプルを用い、公知のレーザーフラッシュ法を用い、周囲温度25℃にて測定を行った。レーザーフラッシュ測定装置としては、真空理工製熱定数測定装置TC−7000型を用いた。
尚、面内方向熱伝導率の測定は、実施例と同条件を用いて作成したフィルム状のサンプルを、10mm厚みになるように複数層を積層一体化したサンプルを別途作成した上で、サンプル面に2mmの間隔で平行な切れ目を入れて切り出してなるフィルムを直径10mmに切り抜いたものを用いて測定を行った。
また厚み方向熱伝導率の測定は、実施例と同条件を用いて作成したフィルム状のサンプルを、2mm厚みになるように複数層を積層一体化したサンプルを作成した上で、サンプル面で直径10mmに切り抜いたものを用いて測定を行った。
尚、積層一体化は熱圧着法もしくは層間に接着剤を薄膜形成する事によって実施した。
ダイヤインスツルメント社製の電気抵抗測定装置「ロレスタEP」を用いて、測定を行った。
サンプルを所定の形状に切り出した後、TAインスツルメント社製の熱機械分析装置(TMA)を用いて測定を行った。測定温度範囲は40〜60℃、昇温レートは1℃/分とした。尚、必要に応じてサンプルは前記熱伝導率測定時同様の方法で複数層を積層一体化して測定サンプルとした。
縮合多環炭化水素化合物よりなるピッチを主原料とした。光学的異方性割合は100%、軟化点が285℃であった。直径0.2mmの孔径の紡糸口金を使用し、スリットから加熱空気を毎分5000mの線速度で噴出させて、溶融ピッチを牽引して平均繊維径が15μmのピッチ系炭素繊維を製糸した。紡出された繊維をベルト上に捕集してマットとし、さらにクロスラッピングにより目付320g/m2のピッチ系炭素繊維からなるウェブとした。
C=1272.4/ER−49.4 (1)
(ERは電気比抵抗を示し、ここでの単位はμΩ・mである)
熱拡散層のマトリクス材料としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、すなわち、酢酸ビニル含有量15%、融点約93℃でパウダー状のエチレン−酢酸ビニル共重合体(ダウケミカル日本社製PES410)を用いた。尚、本パウダーはペレット状のエチレン−酢酸ビニル共重合体(ダウケミカル日本社製NUC3758)を粉砕して得られるパウダーでも代用可能である。
黒鉛化炭素短繊維フィラー(b)としては、参考例1記載の炭素繊維Aを単体で用いた。
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂100体積部に対して、炭素繊維A67体積部を均一に粉体混合した後、T型ダイを有する溶融押し出し装置に投入し、約230℃でT型ダイから押し出した後、冷却ローラーにキャストして、厚み約800μmの固化したシートを得た。
尚、ここで両粉体は粉体混合後、まず80〜120℃前後の温度領域において外力下で融合、一体化されて、一旦混合体を為した後、220〜240℃前後の温度で完全溶融され、Tダイから押し出される。また押し出し装置では1軸式のスクリューが用いられる。
次にこのシートを120〜130℃前後に加熱してロール軸延伸機により約2倍の縦延伸を施し、目的とした熱拡散性シートを得た。
この熱拡散性シートの厚みは約450μmで、延伸方向に平行な面内方向熱伝導率は約21W/(m・K)、面内方向熱伝導率と層厚との積は約9500W・μm/(m・K)、厚み方向熱伝導率は約2.1W/(m・K)、延伸方向に平行な面内方向熱膨張率は約25ppmであった。
熱拡散層のマトリクス材料としては、実施例1と同様のエチレン−酢酸ビニル共重合体、すなわち酢酸ビニル含有量15%、融点約93℃でパウダー状のエチレン−酢酸ビニル共重合体(ダウケミカル日本社製PES410)を用いた。
黒鉛化炭素短繊維フィラー(b)としては、参考例1記載の炭素繊維Aと炭素繊維Bとを併用した。
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂100体積部に対して、炭素繊維A18体積部重量%、B35体積部を均一に粉体混合した後、T型ダイを有する溶融押し出し装置に投入し、約240℃でT型ダイから押し出した後、冷却ローラーにキャストして、厚み約800μmの固化したシートを得た。
次にこのシートを110〜120℃前後に加熱してロール延伸機により約2倍の縦延伸を施し、目的とした熱拡散性シートを得た。
この熱拡散性シートの厚みは約430μmで、延伸方向に平行な面内方向熱伝導率は約26W/(m・K)、面内方向熱伝導率と層厚との積は約11200W・μm/(m・K)、厚み方向熱伝導率は約1.9W/(m・K)、延伸方向に平行な面内方向熱膨張率は約20ppmであった。
熱拡散層のマトリクス材料として、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(三菱化学社製プリマロイA1600N、融点160℃)を用い、ペレットを粉砕してパウダー状として使用した。
また黒鉛化炭素短繊維フィラー(b)としては、参考例1に記載の炭素繊維Aを単体で用いた。
ポリエステル系熱可塑性エラストマー樹脂100体積部に対して、炭素繊維A67体積部を均一に粉体混合した後、T型ダイを有する溶融押し出し装置に投入し、約310℃でT型ダイから押し出した後、冷却ローラーにキャストして、厚み約600μmの固化したシートを得た。
尚、ここで両粉体は粉体混合後、まず150〜190℃前後の温度領域において外力下で融合、一体化されて、一旦混合体を為した後、270〜310℃前後の温度で完全溶融され、Tダイから押し出される。また押し出し装置内では1軸式のスクリューが用いられる。
次にこのシートを175〜185℃前後に加熱してロール延伸機により約2倍に縦延伸を施し、目的とした熱拡散性シートを得た。
この熱拡散性シートの厚みは約340μmで、延伸方向に平行な面内方向熱伝導率は約21W/(m・K)、面内方向熱伝導率と層厚との積は約7100W・μm/(m・K)、厚み方向熱伝導率は約2.0W/(m・K)、延伸方向に平行な面内方向熱膨張率は約16ppmであった。
熱拡散層は、実施例1と同様のものを用い、熱拡散層と電気絶縁層が積層された熱拡散性シートを作成した。
すなわち電気絶縁層のマトリクス材料としては、酢酸ビニル含有量25%、融点約74℃のペレット状のエチレン−酢酸ビニル共重合体(ダウケミカル日本社製NUC−3195)を用いた。
複数のルーダー、フィードブロックを組み合わせてなり、Tダイを有する共押し出し装置を用い、熱拡散層の材料と電気絶縁層の材料を個別のルーダーで溶融後、フィードブロックにおいて溶融状態で積層一体化して、Tダイから押し出し、冷却ロールにキャストして、固化した積層シートを得た。尚、溶融押し出しの温度は約220℃とした。
積層シートの厚みは熱拡散層が約630μm、電気絶縁層が約120μmとした。
次にこのシートを110〜120℃前後に加熱してロール延伸機により約2倍に縦延伸を施し、目的とした熱拡散性シートを得た。
この熱拡散性シートの厚みはトータルで約420μmで、熱拡散層の厚みは350μm、電気絶縁層の厚みは約70μmであった。熱拡散層は延伸方向に平行な面内方向熱伝導率は約22W/(m・K)、面内方向熱伝導率と層厚との積は約7700W・μm/(m・K)、厚み方向熱伝導率は約2.0W/(m・K)、延伸方向に平行な面内方向熱膨張率は約26ppmであった。また電気絶縁層は、体積抵抗が5×10E12(Ω・cm)であった。尚、これら測定は熱拡散層、電気絶縁層を、前記同様の溶融押し出し/延伸条件下でそれぞれ単体でTダイから押し出し、シート化したものを測定サンプルとした。
実施例2において、黒鉛化炭素短繊維フィラー(b)とエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を均一に粉体混合した後、内寸が約400mm角、高さが約200mmの直方体の圧力容器内に移し、高さ方向にゆっくり圧力をかけながら、80〜120℃に徐々に温度を上昇させながら、多少パウダーの形状を保った状態のエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂と黒鉛化炭素短繊維フィラーとを融合、一体化させた混合体を得た。その後、更にゆっくりと温度を上昇し、混合体を溶融流動させて、容器内に完全充填させた後に、室温に冷却して、縦横約400mm角、高さが約27mmの直方体状の成形体を得た。
この直方体状の成形体の面内方向(圧力をかけた方向に垂直の方向)の熱伝導率は、約23W/(m・K)であり、面内方向熱膨張率は約25ppmであった。
次に、この直方体を高さ方向に対して約2mmの厚みでスライスした後、シートを110〜120℃前後に加熱してロール延伸機により約2倍の縦延伸を施し、厚み約1000μmの目的とした熱拡散性シートを得た。
この熱拡散性シートの、延伸方向に平行な面内方向熱伝導率は、約28W/(m・K)であり、面内方向熱伝導率と層厚との積は約28000W・μm/(m・K)、厚み方向熱伝導率は約1.6W/(m・K)、延伸方向に平行な面内方向熱膨張率は約22ppmであった。
実施例1において用いた熱伝導性フィラーを、炭素繊維Aに代えて、平均粒径約3μmの酸化アルミニウム微粒子(株式会社マイクロン製「AX−3」)と、平均粒径6μmの窒化硼素微粒子(電気化学工業製「HGP」)とを組み合わせて用いた以外は、実施例1とほぼ同様にして熱拡散性シートを作成した。
尚、ここではエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂100体積部に対して、酸化アルミニウム微粒子47体積部、窒化硼素微粒子20体積部を均一に粉体混合して用いた。
この熱拡散性シートの厚みは約430μmで、延伸方向に平行な面内方向熱伝導率は約3.8W/(m・K)、延伸方向に平行な面内方向熱膨張率は約58ppmであった。
実施例3において用いた熱伝導性フィラーを、炭素繊維Aに代えて、平均粒径約3μmの酸化アルミニウム微粒子(株式会社マイクロン製「AX−3」)と、平均粒径6μmの窒化硼素微粒子(電気化学工業製「HGP」)とを組み合わせて用いた以外は、実施例1とほぼ同様にして熱拡散性シートを作成した。
尚、ここではポリエステル系エラストマー樹脂100重量部に対して、酸化アルミニウム微粒子50体積部、窒化硼素微粒子17体積部を均一に粉体混合して用いた。
この熱拡散性シートの厚みは約320μmで、延伸方向に平行な面内方向熱伝導率は約3.5W/(m・K)、、延伸方向に平行な面内方向熱膨張率は約45ppmであった。
Claims (12)
- マトリクス材料(a)100体積部および、メソフェーズピッチを原料とし、平均繊維径5〜20μm、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率(CV値)が5〜20%、平均アスペクト比が2〜10000であって、走査型電子顕微鏡での観察表面が実質的に平滑であり、かつ透過型電子顕微鏡での端面観察においてグラフェンシートが閉じている黒鉛化炭素短繊維フィラー(b)10〜300体積部とからなり、層の面内の少なくとも一つの方向における面内方向熱伝導率が20W/(m・K)以上であり、該面内方向熱伝導率と層厚との積が1000W・μm/(m・K)以上となる層厚を有する熱拡散層を、少なくとも構成要素の一つとして含む事を特徴とする熱拡散性シート。
- 熱拡散層の面内の少なくとも一つの方向における熱伝導率が25W/(m・K)以上である事を特徴とする請求項1に記載の熱拡散性シート。
- 熱拡散層の面内の少なくとも一つの方向における熱膨張率が30ppm/K以下である事を特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の熱拡散性シート。
- 熱拡散層に層の電気抵抗が体積抵抗として少なくとも1×10E6(Ω・cm)以上である電気絶縁層が積層されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱拡散性シート。
- 熱拡散層のマトリクス材料(a)が熱可塑性樹脂および/または熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱拡散性シート。
- 電気絶縁層のマトリクス材料(a)が熱可塑性樹脂および/または熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項4〜5のいずれかに記載の熱拡散性シート。
- 熱拡散層を、少なくとも面内の一方方向に1.2倍以上の倍率で熱延伸を施す工程を含んで製造する事を特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱拡散性シートの製造方法。
- 熱拡散層と電気絶縁層とを、共押し出し成形法により一体積層する事を特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の熱拡散性シートの製造方法。
- 熱拡散層と電気絶縁層とが、一体積層された状態で、少なくとも面内の一方方向に1.2倍以上の倍率で熱延伸を施す工程を含んで製造される事を特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の熱拡散性シートの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の熱拡散性シートを構成要素として含むデバイス放熱用部材。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の熱拡散性シートを構成要素として含む放熱性電子実装基板用部材。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の熱拡散性シートを構成要素として含む加熱冷却装置用部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008036099A JP2009194308A (ja) | 2008-02-18 | 2008-02-18 | 熱拡散性シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008036099A JP2009194308A (ja) | 2008-02-18 | 2008-02-18 | 熱拡散性シート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009194308A true JP2009194308A (ja) | 2009-08-27 |
Family
ID=41076028
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008036099A Withdrawn JP2009194308A (ja) | 2008-02-18 | 2008-02-18 | 熱拡散性シート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009194308A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016062989A (ja) * | 2014-09-16 | 2016-04-25 | 日本グラファイトファイバー株式会社 | 放熱シート |
-
2008
- 2008-02-18 JP JP2008036099A patent/JP2009194308A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016062989A (ja) * | 2014-09-16 | 2016-04-25 | 日本グラファイトファイバー株式会社 | 放熱シート |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Feng et al. | Electrically insulating POE/BN elastomeric composites with high through-plane thermal conductivity fabricated by two-roll milling and hot compression | |
TWI645981B (zh) | 石墨片材、其製造方法、配線用積層板、石墨配線材料及配線板之製造方法 | |
JP4538502B2 (ja) | ピッチ系炭素繊維、マットおよびそれらを含む樹脂成形体 | |
WO2008013252A1 (en) | Heat conductive adhesive | |
JP2011165792A (ja) | 放熱性二軸延伸フィルム | |
JP2009188172A (ja) | 熱拡散性シート | |
JP2008049607A (ja) | 電気絶縁性薄膜を貼合わせてなる熱伝導性積層材 | |
JP2008208316A (ja) | 炭素繊維複合材料 | |
JP2008069474A (ja) | 補強材・放熱材に適する炭素繊維集合体 | |
JP2010064391A (ja) | グラファイト複合フィルム | |
JP2009191392A (ja) | ピッチ系炭素繊維フィラー及びそれを用いた成形体 | |
JP2009215404A (ja) | シート状熱伝導性成形体 | |
JP2010056299A (ja) | 熱伝導ゴムシートの製造方法 | |
JP2009108424A (ja) | 熱伝導性フィラー及びそれを用いた成形体 | |
JP2010264740A (ja) | 熱伝導性樹脂成形体 | |
JP2008248462A (ja) | ピッチ系炭素繊維フィラー及びそれを用いた成形体 | |
JP2008189867A (ja) | 炭素繊維補強熱可塑性樹脂複合材料 | |
JP5015490B2 (ja) | 熱伝導性フィラー及びそれを用いた複合成形体 | |
JP2009108425A (ja) | 炭素繊維およびそれを用いた複合材料 | |
JP2002097371A (ja) | 熱伝導性高分子組成物及び熱伝導性成形体 | |
JP2021008629A (ja) | 放熱シート | |
TW201016911A (en) | Pitch-derived graphitized short fiber and molded object obtained using same | |
JP2009194308A (ja) | 熱拡散性シート | |
JP4971958B2 (ja) | シート状熱伝導性成形体 | |
JP2009108423A (ja) | 熱伝導性フィラー及びそれを用いた成形体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20101215 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20110706 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20110706 |
|
A977 | Report on retrieval |
Effective date: 20120117 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Effective date: 20120404 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 |