JP2008208316A - 炭素繊維複合材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱伝導が優れた黒鉛化率の高い炭素繊維を含む樹脂組成の成形体に電気的絶縁性を賦与すること。
【解決手段】炭素繊維集合体と樹脂マトリクスとの組成からなる成形体の断面又は表面に、電気絶縁性フィルムを積層するか、又は金属酸化物の薄膜、無機高分子の塗膜若しくは有機高分子の塗膜からなる電気絶縁性フィルム層を形成することにより得られる熱伝導性複合材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、部分黒鉛化炭素繊維からなる熱伝導性材料の改良、殊に電気絶縁性を賦与する改良技術に関する。更に詳しくは、ピッチ系炭素繊維を原料に用い、これに黒鉛化処理を施し、マトリクス樹脂を含浸せしめて複合材料化し、更にこの炭素繊維含有複合材料を成形して成形物とした後、成形物の表面に電気絶縁処理を加えた電気絶縁性かつ熱伝導性の複合体積層物に関わる。
炭素繊維は、その原料の構造に由来して、鎖状(線状)高分子であるセルロース繊維やポリアクリロニトリル(PAN)を原料とする線状炭素繊維と、環状縮合高分子を原料とする平面状炭素繊維とに分類できる。従来から、鎖状炭素繊維は強度・弾性率が通常の合成高分子に比較して著しく高いという特徴を利用し、航空・宇宙機材用途、建築・土木資材用途、産業用ロボット、スポーツ・レジャー用具など広い分野に用いられている。殊にPAN系炭素繊維はその機械的強度を利用する用途に、そしてピッチ系炭素繊維は弾性率を利用する分野に用いられることが多い。
炭素繊維は、上述の原料を紡糸工程において繊維化し、ついで不融化処理を施し、さらに高温度で結晶化処理を加えて得られる。この結晶化熱処理によって、炭素繊維は部分的に黒鉛結晶となる。線状高分子由来の炭素繊維に較べてピッチを原料とした網面構造の炭素繊維の方が黒鉛化され易く、結晶化度が高く、結晶サイズも大きく成長する。
ところで、昨今、通信・情報産業の分野では、高速化されたCPUによる発熱や電子回路のジュール熱による発熱が重篤な問題として認識されつつある。これら問題を解決するためには、熱を効率的に処理する技術、所謂サーマルマネジメントを配慮する必要があることが、夙に指摘されている。
このサーマルマネジメントを具現化するには、金属・金属酸化物・金属窒化物・金属酸窒化物・合金のような高い熱伝導性有する金属系材料を用いることが一般的である。その典型的な例として、金属ダイカストを挙げることができる。しかしながら、複雑な形状をした電気部品の筐体を作製するには、上述した黒鉛繊維材料を熱伝導材として利用し、これに何らかのマトリクスとなる耐熱性材料を配合して、複合材として用いることが好ましい態様となる。もっとも、マトリクスに適用できる合成樹脂の熱伝導率は黒鉛繊維の1//100程度以下であり、その結果、複合材料として多量の黒鉛繊維を配合する必要が生じる。
しかるに、複合材料において多量の部分黒鉛化炭素繊維フィラーの添加は、成形性の不安定性を招き、成形物としても実用性を損なってしまう。そのような事由から、効率的に熱伝導性を発現できる形状にまで配慮がなされた高熱伝導性炭素繊維フィラーが求められている。
炭素繊維は他の合成高分子に比較して熱伝導率が高いものであるが、サーマルマネジメント用途に向け、さらなる熱伝導の向上が検討されている。ところが、市販されているPAN系炭素繊維の熱伝導率は通常100W/(m・K)よりも小さい。これは、PAN系炭素繊維が所謂「難黒鉛化」炭素繊維であり、熱伝導を担う黒鉛化度を高めることが非常に困難なことに由来している。これに対して、ピッチ系炭素繊維は「易黒鉛化」炭素繊維と呼ばれ、PAN系炭素繊維に較べて、黒鉛化度を高くすることができるため、高熱伝導率を達成しやすい。したがって、高い熱伝導性を発現でき、炭素繊維集合体としての形状にまで検討したうえでの高熱伝導性炭素繊維充填材が得られる期待がある。
尤も、炭素繊維単体での熱伝導性部材への直接的加工は困難であるため、特殊な手段を用いる必要がある。そこで、金属性フィラー等と同様に、何らかのマトリクスと炭素繊維を複合材化し、それを成形して成形体と為し、その成形体の熱伝導度を向上させることが求められる。
そして、成形体が所定の熱伝導を達成するためには、熱伝導を主として担う炭素繊維フィラーが三次元的にネットワークを形成している必要がある。例えばサイズの揃った球体フィラーの場合、成形体中のフィラーのネットワークは分散状態にも依存するが、均一分散を仮定すると、パーコレーション的な挙動となることが判る。このように、成形体として充分な熱伝導性や電気伝導性を得るためには一定量のフィラーの添加が必要になる。ところが、成形体を形成する際に、媒質とフィラーとの間に増粘作用や不均一分散状態が起こり、媒体とフィラーとを所定の濃度で分散せしめることが困難となる場合がある。フィラー添加量が少な目であっても効果的な組成となることが望まれる。
このような背景により、三次元的な架橋をフィラーに与える検討がされている。例えば金属を網目状にすることで、熱流を輸送する試みが特許文献1に開示されている。しかし、マトリクスへの分散に極めて高度な技術を要すると考えられる。また、特許文献2には、合金化することでマトリクスとフィラーとが同時に熔融し、その結果、成形性を維持しながら高熱伝導性が達成されることが開示されている。
しかしながら、比重が樹脂に比して大きい金属材料の添加は、樹脂組成物の比重をも高くし、1gのオーダーで軽量化を議論するような集積回路の放熱板や電気計算機のCPU等の用途には、不利と言わざるを得ない。
さらに、用途によっては、熱伝導性を維持したままで、電気絶縁性を求められる用途もある。黒鉛化された炭素繊維は電気伝導性に富むため絶縁材料によって確実に導電部分を遮断する必要がある。
特開平6−196884号公報 国際公開第03/029352号パンフレット
高い熱伝導性を備えると同時に電気的絶縁性を有する樹脂組成物を得る必要がある。この課題を達成するためには、熱伝導が高い物質である黒鉛成分の多い炭素繊維が求められており、さらに最終的な使用状態において充分な熱伝導性を発現すると共に、電気絶縁性をも備える必要がある。
本発明者らは、例えば放熱部材の如き最終的な成形体において、熱伝導率を向上させることを目的とし、熱伝導性材料として熱伝導率の高いピッチ系炭素繊維を主材とし、黒鉛結晶サイズ、表面形状及び微細構造を制御し、さらにマトリクスに適切に分散させることにより、高い熱伝導性を維持しながら、同時に電気絶縁性を満足できることを見出し本発明に到達した。
基本的には、黒鉛化度の高い炭素繊維を素材としたとき、マトリクスの含浸、絶縁処理等々は、熱伝導性を妨げる作用を伴い、決して熱伝導性を向上させるものではない。したがって、極めて高い水準に熱伝導性を押し上げた後、電気絶縁処理を施し、成形物・積層物の熱伝導性を確保する手段が適応できる。
即ち、本発明の第1の実施態様は、請求項1の成形用途の複合材料として、マトリックス自体が電気絶縁性を備えたものを、そのままその絶縁性を発現できる状態を維持するものであり、炭素繊維集合体と該炭素繊維集合体が含浸されたマトリクス(樹脂)とからなる熱伝導性材料であって、その端面を含む該炭素繊維集合体の全表面が該マトリクスによって被覆(囲尭)された電気絶縁層を形成してなる炭素繊維複合材料である。
また、本発明の第2の実施態様となる請求項10又は請求項11又は請求項12の発明は、上述の複合材料を成形して得た成形物における電気絶縁性を保障するものであって、成形物表面に電気絶縁材を塗設化、又は成形物のある断面に電気絶縁膜を形成し、外見上電気絶縁膜を挿入した様相を呈するものである。したがって、本明細書では、この状態を成形物に電気絶縁膜を挿入すると表示する。さらに、電気絶縁性とは、表面抵抗が1E6Ω/□(Ω/sq.)以上のこととする。要するに、炭素繊維集合体とマトリクスとを含む熱伝導性の炭素繊維複合材料を成形してなる成形物の表面又は任意の断面に、金属酸化物の薄膜、電気絶縁性の無機高分子の塗膜又は有機高分子の塗膜からなる電気絶縁層を形成(積層又は挿入)してなる炭素繊維複合体積層物である。
本発明における好ましい実施態様として、熱伝導性に優れた黒鉛化度の高い炭素繊維を選択すべきこと、縮合され複素環を有する環状炭化水素、即ちピッチ系の炭素原料を使用すべきことを明示している。
紡糸工程を経て得られるマット状に集積された炭素繊維集合体は、例えば、走査型電子顕微鏡による観察表面が実質的に平坦であるピッチ系炭素繊維フィラーからなり、光学顕微鏡で観測した平均繊維径(D1)が5μm乃至20μmの範囲であり、平均繊維径(D1)に対する平均繊維径の分散(S1)の百分率が5〜18%であると共に、該炭素繊維フィラーの端面が閉じており、平均繊維長(L1)が10μm以上700μm以下の範囲であり、D1に対するL1のアスペクト比が1〜100の範囲であるものが最適な黒鉛化率を呈することを明示している。
黒鉛化率が高い場合、炭素繊維の真密度は1.5〜2.2g/ccの範囲となり、繊維軸方向の熱伝導率が300W/(m・K)以上を呈する。そして、六角網面の厚さ方向の結晶サイズが10nm以上となり、また六角網面の成長方向の結晶サイズも8nm以上に成長している。
本発明では、炭素繊維集合体として、上述の表面が平坦かつ滑らかな炭素繊維フィラーであって、その端面がグラフェンシートとして閉じているものに限らない。つぎのマトリクスと熱伝導性の炭素繊維集合体とからなる組成物であって、該マトリクスは電気絶縁性を呈し、また該炭素繊維集合体は繊維径及び/又は繊維長の異なるピッチ系炭素繊維からなり、マトリクスと複合したとき、高い炭素繊維充填率を有する組成となる炭素繊維複合材料も好ましい材料である。
本発明のこれらの複合材料は、炭素繊維集合体とマトリクスとを含み、マトリクスに対して体積分率で3〜60体積%の前記炭素繊維材料を含有する特徴がある。
マトリクスは熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂であり、例えば、熱可塑性樹脂は、ポリカーボネート類、ポリエチレンテレフタレート類、ポリエチレン2,6ナフタレート類、ナイロン類、ポリプロピレン類、ポリエチレン類、ポリエポキシエーテルケトン類、ポリフェニレンスルフィド類の群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である。また、例えば、熱硬化性樹脂はエポキシ類、アクリル類、ウレタン類、シリコーン類、フェノール類の群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である。そして、平板状に成形した状態における複合材料又はその成形物の熱伝導率は2W/(m・K)以上である。
本発明の複合材料を、射出成形法、プレス成形法、カレンダー成形法、ロール成形法、押出成形法、注型成形法、ブロー成形法の群より選ばれる少なくとも1種の成形手段によって成形物を成形することができる。
さらに、炭素繊維複合材料を成形してなる複合成形物が電気絶縁性を維持していない場合、絶縁処理を施すことができる。この絶縁処理は、成形物の表面に、要すれば成形体の任意の断面に、金属酸化物の薄膜、無機高分子の塗膜又は有機高分子の塗膜からなる電気絶縁層を形成する加工法によって達成される。詳細は既に述べている。
本発明の複合成形物・積層物を主たる材料とする電子部品用放熱部材、電波遮蔽板又は熱交換器が適当な用途の例である。
本発明の複合成形物を主たる材料として電子部品の放熱部材に加工し、集積回路のための放熱板や電気計算機のCPU等の放熱筐体に利用できる。また、ピッチ系原料由来の炭素繊維が、数GHzの周波数帯域の電波遮蔽性に優れることにより、電波遮蔽板に適用できる。
さらに、用途によっては、熱伝導性を維持したままで、電気絶縁性を求められる用途もある。黒鉛化された炭素繊維は電気伝導性に富むため絶縁材料によって確実に導電部分を遮断できる。
本発明に供し得るピッチ系炭素繊維フィラーは、特定の形状を有し、さらにサイズが制御されていることにより、マトリクスの粘度増大を抑制しつつ、高い熱伝導率を複合成形体に付与することが可能になり、成形性が良好で熱伝導率の高い複合成形材料にすることが可能である。
次に、本発明の実施の形態について詳しく説明する。
本発明の炭素繊維集合体は、ピッチ系炭素繊維からなる。そして、用い得る炭素繊維集合体のピッチ系炭素繊維の原料としては、例えば、ナフタレンやフェナントレンといった縮合多環炭化水素化合物、石油系ピッチや石炭系ピッチといった縮合複素環化合物等が挙げられる。なかんずくナフタレンやフェナントレンの如き縮合多環炭化水素化合物が好ましい。殊に光学的異方性ピッチ、即ちメソフェーズピッチが好ましい。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよいが、メソフェーズピッチを単独で用いることが黒鉛化処理において黒鉛化率を高めることができるため、結果的に炭素繊維の熱伝導性を向上でき、好ましい態様となる。
原料ピッチの軟化点はメトラー法により求めることができ、230℃以上340℃以下の範囲のものが好ましい。軟化点が230℃より低いと、不融化の際に繊維同士の融着や大きな熱収縮が発生する。また、340℃より高いものでは、紡糸工程において、ピッチの熱分解が生じ紡糸成形が困難になる傾向がある。さらに、高温度の紡糸条件では、ガス成分が発生し、紡出繊維内部に気泡が発生し強度劣化を招くほか断糸も起き易い。
原料ピッチはメルトブロー法により紡糸され、その後、不融化、焼成、ミリング、篩い分け、黒鉛化の諸工程によって繊維長の比較的短いピッチ系炭素繊維となる。
以下各々の工程について説明する。
本発明においては、ピッチ系炭素繊維の原料となるピッチ繊維を紡糸する際、紡糸ノズルの形状については特に制約はない。もっとも、ノズル孔の長さと孔径の比が3よりも小さいものが好ましく用いられ、更に好ましくは1.5程度のものが用いられる。
紡糸時のノズルの温度についても特に制約はなく、安定した紡糸状態が維持できる温度であれば問題がない。原料ピッチの粘度が適切な範囲であれば、紡糸状態が安定する、即ち、紡糸時のピッチ粘度が0.1〜20Pa・S、好ましくは8〜16Pa・Sに、さらに好ましくは10〜14Pa・Sになる温度であればよい。
ノズル孔から出糸されたピッチ繊維は、100〜370℃に加温された毎分100〜10000mの線速度のガスを細化点近傍に吹き付けることによって短繊維化される。吹き付けるガスとしては空気、窒素、アルゴン等々を用いることができるが、コストパフォーマンスの点から空気が望ましい。
ピッチ繊維は、金網ベルト上に捕集され、連続的なマット状になり、さらにクロスラップされることで所定の目付(単位面積あたりの重量)のウェブとなる。
このようにして得られたピッチ繊維よりなるウェブは、繊維同士が交絡することで3次元的なランダム性を有している。このウェブは公知の方法で不融化できる。この不融化温度は200〜300℃である。
不融化は、空気又はオゾン、二酸化窒素、窒素、酸素、ヨウ素若しくは臭素を空気に添加した混合ガスを用いて200〜300℃の温度において一定時間の熱処理を付与することで達成される。安全性、利便性を考慮すると空気中で実施することが望ましい。
不融化したピッチ繊維は、次いで真空中又は窒素、アルゴン、クリプトン等の不活性ガス中において、700〜900℃の温度範囲で焼成される。通常、焼成は常圧においてコストの安い窒素を用いて実施される。
不融化・焼成されたピッチ繊維よりなるウェブは、さらに短繊維化を進め、所定の繊維長にするために、ミリング、篩分けを実施する。ミリングには、ビクトリーミル、ジェットミル、高速回転ミル等の粉砕機又は切断機等が使用される。ミリングを効率よく行うためには、ブレードを取付けたロータを高速に回転させることにより、繊維軸に対して直角方向に繊維を寸断する方法が適切である。
ミリングによって生じる繊維の平均繊維長は、ロータの回転数、ブレードの角度等を調整することにより制御される。さらに、篩により、10〜60μm、より好ましくは15〜50μmに分けられる。或いは、100〜700μm、より好ましくは100〜300μmに分けられる。このような平均繊維長の調整は篩の目の粗さを組み合わせることによって実施できる。
上記のミリング処理、篩分けを終えた繊維を2300〜3500℃に加熱して黒鉛化し、最終的なピッチ系炭素短繊維とする。黒鉛化は、アチソン炉等にて非酸化性雰囲気下で実施される。
次に、本発明のピッチ系炭素繊維フィラーの形状について述べる。本発明のピッチ系炭素繊維は、透過型電子顕微鏡でフィラー端面の形状を観察すると、グラフェンシートが閉じた構造になっている。フィラーの端面がグラフェンシートとして閉じている場合には、余分な官能基の発生や、形状に起因する電子の局在化が起こらないので、水のような不純物の濃度を低減することができる。特に、本発明では繊維長が1mmよりも短いフィラーにも適用できるが、フィラー表面積に占める端面の割合が高くなることより、グラフェンシートが閉じている構造が特に好ましい。
なお、グラフェンシートが閉じているとは、炭素繊維を構成するグラフェンシートそのものの端部が炭素繊維端部に露出することなく、グラファイト層が略U字上に湾曲し、湾曲部分が炭素繊維端部に露出している状態である。
また、本発明に供するピッチ系炭素繊維フィラーは走査型電子顕微鏡での観察表面が実質的に平坦である。ここで、実質的に平坦であるとは、フィブリル構造のような激しい凹凸を表面に有しないことを云い、フィラーの表面に激しい凹凸が存在する場合には、マトリクス樹脂との混練に際して表面積の増大に伴う粘度の増大を惹起し、成形性を低下させることから、表面凹凸はできるだけ小さい状態が望ましい。
上述のピッチ系炭素繊維フィラーは、ミリングを行った後に黒鉛化処理を実施することによって、容易に得ることができる。
本発明のピッチ系炭素繊維フィラーの光学顕微鏡で観測した平均繊維径(D1)は5〜20μmであることが望ましく、より望ましくは7〜12μmである。繊維径が20μmより大きい場合は、不融化工程で近接する繊維同士の融着が起きやすく、7μm未満の場合は、ピッチ系炭素繊維フィラーの重量当たりの表面積が増大し、繊維表面が実質的に平坦であっても、表面に凹凸を有する繊維と同様に成形性を低下させてしまい、実際面で不適切となる。また、光学顕微鏡で観測した平均繊維径(D1)に対する繊維径の分散である繊維径分散(S1)の百分率は5〜18%の範囲が好ましい。より好ましくは5〜15%の範囲である。
本発明のピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維長(L)は、10〜700μmであることが好ましい。繊維長は用途によって最適な値があるが、当該フィラーが副次的に発現する補強効果を狙う場合には、300〜700μmの範囲が好ましい。より好ましくは300〜500μmの範囲である。一方、当該フィラーを伝熱経路作成用、即ち放熱部材に用いる場合には、繊維長は10〜300μmの範囲が好ましい。より好ましくは、10〜100μmの範囲である。L1が10μmより短い場合は、繊維状が維持し難い。L1が700μmを超える場合には、嵩真密度が小さくなり、マトリクス成分との混合が困難になる。また、D1に対するL1の比(L/D)は1〜100の範囲である。
L/Dは平均繊維長にも依存するが、一方、L/Dが1より小さいときには最終的な成形品における粉落ちが顕著になる。他方、L/Dが100を超えると、折れる繊維の割合が高くなるため、本来の性能を発現させることが困難になる。より好ましい態様では、平均繊維長が10〜100μmの場合にはアスペクト比は1.5〜10程度であり、平均繊維長が300〜500μmの場合にはアスペクト比は30〜50である。
本発明においてピッチ系炭素繊維フィラーの真密度は、黒鉛化温度に強く依存するが、1.5〜2.2g/ccの範囲のものが好ましい。より好ましくは、1.8〜2.2g/ccである。また、ピッチ系炭素繊維の繊維軸方向の熱伝導率は300W/(m・K)以上であり、より好ましくは、400W/(m・K)以上である。
また、ピッチ系炭素繊維フィラーは、六角網面の厚さ方向の結晶サイズが10nm以上であり、さらに六角網面の成長方向の結晶サイズが8nm以上である。
結晶サイズは六角網面の厚さ方向、六角網面の成長方向、いずれにおいても、黒鉛化に対応するものであり、熱物性を発現するためには、一定サイズ以上の大きさの結晶粒が必要である。六角網面の厚さ方向の結晶サイズ及び六角網面の成長方向の結晶サイズは、X線回折法で求めるこができる。測定手法は集中法とし、解析手法としては、学振法を用いるとよい。六角網面の厚さ方向の結晶サイズは、(002)面からの回折線を用いて求め、六角網面の成長方向の結晶サイズは、(110)面からの回折線を用いて夫々求めることができる。
本発明において炭素繊維集合体はピッチ系炭素繊維フィラーをサイジングした後に作成してもよい。サイジング剤をフィラーに対し0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜2.5重量%添着させることで収束性を向上させることができる。サイジング剤としては通常用いられるものが使用でき、具体的にはエポキシ化合物、水溶性ポリアミド化合物、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、水、アルコール、グリコールを単独又はこれらの混合物として用いることができる。このような表面処理では、嵩密度を高くできることから有効な手段となる。ただし、過剰のサイジング剤の添着は、伝熱を妨げる熱抵抗となるため、必要とされる物性に応じてサイジング材の添着量を調製することが要求される。
なお、炭素繊維集合体をピッチ系炭素繊維フィラーで作成する場合には、表面処理したのちサイジング剤を添着させてもよい。表面処理の方法としては電解酸化などによる酸化処理や、無電解メッキ法、電解メッキ法、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの物理的蒸着法、化学的蒸着法、塗装、浸漬、微細粒子を機械的に固着させるメカノケミカル法などの手段によって金属やセラミックスを表面に被覆させたものでもよい。
本発明では、ピッチ系炭素繊維集合体とマトリクスとを混合し、複合成形体を作製する。この際、ピッチ系炭素繊維集合体は、マトリクスに対して体積分率で3〜60%を添加させる。一方、3体積%より少ない添加量では、熱伝導性を充分に確保することが難しい。他方、60体積%より多いピッチ系炭素繊維集合体をマトリクスに対し添加することは実際面で困難となる場合が多い。
マトリクスは、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のいずれかを適用する。さらに、マトリクスとしては、複合成形物に所望の物性を発現させるために熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂を適宜混合して用いることもできる。
熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート類、ポリエチレンテレフタレート類、ポリエチレン2,6ナフタレート類、ナイロン類、ポリプロピレン類、ポリエチレン類、ポリエーテルエーテルケトン類、ポリフェニレンスルフィド類の群より選ばれる少なくとも1種から選定することができる。
より具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、変性PPE樹脂、脂肪族ポリアミド類、芳香族ポリアミド類、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリメタクリル酸類(ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリル酸エステル)、ポリアクリル酸類、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルケトン、ポリケトン、液晶ポリマー、アイオノマー等が挙げられる。そして、マトリクスとしては、これらから1種を単独で用いても、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよく、2種以上の高分子材料からなるポリマーアロイを使用してもよい。
また、熱硬化性樹脂としては、エポキシ類、アクリル類、ウレタン類、シリコーン類、フェノール類、イミド類、熱硬化型変性PPE類、熱硬化型PPE類等が挙げられ、これらから1種を単独で用いても、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
本発明の複合成形物は、炭素繊維集合体とマトリクスとを混合して作製するが、混合の際には、ニーダー、ミキサー、ブレンダー、ロール、押出機、ミリング機、自公転式の撹拌機などの混合装置又は混練装置が好適に用いられる。そして、複合成形体は、射出成形法、プレス成形法、カレンダー成形法、ロール成形法、押出製刑法、注型成形法、ブロー成形法等の成形方法によって成形することが可能である。
成形条件は、マトリクスと成形技術手段により変動するが、熱可塑性樹脂の場合は、当該樹脂の溶融温度より温度を上げた状態で成形を実施する。マトリクスが熱硬化性樹脂の場合は、適切な型において、当該樹脂の硬化温度に加温する方法を挙げることができる。
また、マトリクス樹脂をあらかじめ平面状などの形状に整形し、炭素繊維の分散されたピッチ系炭素繊維シートと積層させた状態でプレス成形することによっても炭素繊維強化複合材料が得られる。
炭素繊維複合材料を成形してなる成形物の表面又は断面に、金属酸化物の薄膜、無機高分子の塗膜又は有機高分子の塗膜からなる電気絶縁層を形成して、炭素繊維複合体積層物を得ることができ、この製品は言うまでもなく電気的に絶縁物である。電気絶縁性能は、炭素繊維複合材料を成形して得られる成形物と電気絶縁層とを積層しても得られる。金属酸化物の薄膜の厚みは0.002〜2μmが望ましい。無機高分子の塗膜、有機高分子の塗膜の厚みは1μm〜100μmの範囲であれば良い。より好ましくは、1μm〜30μmの範囲である。
本発明の炭素繊維複合材料を形成してなる成形物の表面には、アルミニウム、珪素、ホウ素、亜鉛からなる群より選ばれてなる金属の酸化物及び/又は窒化物及び/又は酸窒化物及び/又は炭化物の微粒子を含む有機高分子の塗膜からなる電気絶縁層を形成することができる。当該微粒子のサイズは1〜20μmであることが好ましいが、1〜10μmがさらに好ましい。有機高分子として制約は無いが、マトリクスに用いる材料と同じ、或いは熱硬化性樹脂がハンドリングの観点より好ましい。特に硬化前の粘度の低い材料は、加工工程の自由度が高く好ましい。
当該微粒子を含む有機高分子材料は、厚みが1〜100μmであることが好ましい。この高分子材料は公知の方法で塗布することが可能であり、ディッピング法やマイヤーバー法、グラビア法、マイクログラビア法などが挙げられる。当該微粒子を含む有機高分子材料は厚みの調整のために溶剤で希釈することができる。溶剤は有機高分子材料によって決まるが、例えばシリコーン系樹脂を有機高分子材料に用いる場合には、ヘキサン・ヘプタンを用いることができる。また、溶剤の蒸発速度の調整のためにメチルイソブチルケトン(MIBK)や1−メトキシ−2−プロパノール(1M2P)を用いても構わない。
100μmを超えると、熱伝導性を著しく損なうことがある。また、1μmより薄い場合は、ハンドリングが極めて困難である。
炭素繊維集合体とマトリクスとを含む熱伝導性の炭素繊維複合材料を成形してなる成形物の表面は、表面処理したのち電気絶縁層を形成しても構わない。表面処理の方法としては電解酸化などによる酸化処理やカップリング剤やサイジング剤で処理することで、表面を改質させたものでもよい。また、無電解メッキ法、電解メッキ法、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの物理的蒸着法、化学的蒸着法、塗装、浸漬、微細粒子を機械的に固着させるメカノケミカル法などの手段によって金属やセラミックスを表面に被覆させたものでもよい。
本発明の複合成形物を平板状に成形し、熱伝導率を測定すると2W/(m・K)以上の熱伝導率を示す。2W/(m・K)の熱伝導率は、マトリクスとして用いている高分子材料に比較すると約1桁(約10倍)高い熱伝導率である。より好ましくは5W/(m・K)以上であり、さらに好ましくは10W/(m・K)以上である。上限としては、特に設けることができないが、ピッチ系炭素繊維フィラーの熱伝導である500W/(m・K)以上にすることはできないと考えられる。
本発明の複合成形物は、その熱伝導率の高さを利用することで、電子部品用放熱板として用いることができる。また、ピッチ系炭素繊維フィラーの添加量を多くすることで、高い熱伝導度が得られるため、電子部品においても、比較的耐熱性が要求される自動車や大電流を必要とする産業用パワーモジュールのコネクタ等に好適に用いることができる。より具体的には、放熱板、半導体パッケージ用部品、ヒートシンク、ヒートスプレッダー、ダイパッド、プリント配線基板、冷却ファン用部品、筐体等に用いることができる。また、熱交換器の部品として用いることもできる。ヒートパイプに用いることができる。さらに、ピッチ系炭素繊維フィラーの電波遮蔽性を利用し、特にGHz帯の電波遮蔽用部材として好適に用いることができる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
(1)ピッチ系炭素短繊維フィラーの平均繊維径及び繊維径分散:
黒鉛化を経たピッチ系炭素繊維フィラーを光学顕微鏡下400倍で10視野撮影し求めた。
(2)ピッチ系炭素短繊維フィラーの平均繊維長:
黒鉛化を経たピッチ系炭素短繊維フィラーを光学顕微鏡下で10視野撮影し求めた。倍率は糸長さに応じて適宜調整した。
(3)ピッチ系炭素短繊維フィラーの真密度:
比重法を用いて求めた。
(4)結晶サイズ:
X線回折にて求め、六角網面の厚み方向に由来する結晶子サイズは(002)面からの回折線を用いて求め、六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズは(110)面からの回折線を用いて求めた。また、求め方は学振法に準拠して実施した。
(5)ピッチ系炭素短繊維フィラーの熱伝導率:
粉砕工程以外を同じ条件で作製した、黒鉛化後のピッチ系炭素短繊維の抵抗率を測定し、特開平11−117143号公報に開示されている熱伝導率と電気比抵抗との関係を表す下記式(1)より求めた。
[数1]
K=1272.4/ER−49.4 (1)
ここで、Kは黒鉛化後のピッチ系炭素短繊維の熱伝導率W/(m・K)、ERは同じピッチ系炭素短繊維の電気比抵抗μΩmを表す。
(6)平板状成形体の熱伝導率:
京都電子製QTM−500で測定した。
(7)表面抵抗:
ダイヤインスツルメンツ社製ロレスタEPで測定した。
[実験例1]
縮合多環炭化水素化合物よりなるピッチを主原料とした。光学的異方性割合は100%、軟化点が281℃であった。直径0.2mmの円形孔のスピナレットを使用し、スリットから加熱空気を毎分5000mの線速度で噴出させて、溶融ピッチを牽引して平均繊維径が15μmのピッチ系繊維を作製した。紡出された繊維をベルト上に捕集してマットとし、さらにクロスラッピングで目付320g/mのピッチ系繊維からなるウェブとした。
このウェブを空気中で175℃から290℃まで平均昇温速度7℃/分で昇温して不融化を行った。不融化したウェブを窒素雰囲気中700℃で焼成した後、ミリングし、平均繊維長が25μmの炭素繊維フィラーに篩い分けを行った。その後、非酸化性雰囲気とした電気炉にて3000℃で熱処理することで黒鉛化し、ピッチ系炭素短繊維フィラーとした。平均繊維径は9.7μmであった。繊維径分散の平均繊維径に対する百分率は14%であった。真密度は、2.16g/ccであった。
透過型電子顕微鏡で100万倍の倍率で観察し、400万倍に写真上で拡大した。ピッチ系炭素短繊維フィラーの端面はグラフェンシートが閉じていることを確認した。また、走査型電子顕微鏡で4000倍の倍率で観察した、ピッチ系炭素繊維フィラーの表面は、大きな凹凸はなく平滑であった。
X線回折法によって求めた六角網面の厚さ方向の結晶サイズは15nmであった。また、六角網面の成長方向の結晶サイズは20nmであった。
焼成までを同じ工程で作製し、ミリングを実施しなかったウェブを、非酸化性雰囲気とした電気炉にて3000℃で熱処理した黒鉛化ウェブより、単糸を抜き取り、電気比抵抗を測定したところ、2.5μΩmであった。下記式(1)を用いて求めた熱伝導度は460W/(m・K)であった。
[数2]
K=1272.4/ER−49.4 (1)
[実験例2]
縮合多環炭化水素化合物よりなるピッチを主原料とした。光学的異方性割合は100%、軟化点が287℃であった。直径0.2mmの円形孔の紡糸口金を使用し、スリットから加熱空気を毎分6000mの線速度で噴出させて、溶融ピッチを牽引して平均繊維径が11μmのピッチ系繊維を作製した。紡出された繊維をベルト上に捕集してマットとし、さらにクロスラッピングで目付280g/mのピッチ系繊維からなるウェブとした。
このウェブを空気中で175℃から285℃まで平均昇温速度7℃/分で昇温して不融化を行った。不融化したウェブを窒素雰囲気中700℃で焼成した後、ミリングし、平均繊維長が30μmの短繊維フィラーに篩い分けを行った。その後、非酸化性雰囲気とした電気炉にて3000℃で熱処理することで黒鉛化し、ピッチ系炭素短繊維フィラーとした。平均繊維径は8.1μmであった。繊維径分散の平均繊維径に対する百分率は16%であった。真密度は、2.13g/ccであった。透過型電子顕微鏡で100万倍の倍率で観察し、400万倍に写真上で拡大した。ピッチ系炭素短繊維フィラーの端面はグラフェンシートが閉じていた。また、走査型電子顕微鏡で4000倍の倍率で観察した、ピッチ系炭素短繊維フィラーの表面は、大きな凹凸はなく平滑であった。
X線回折法によって求めた六角網面の厚さ方向の結晶サイズは14nmであった。また、六角網面の成長方向の結晶サイズは28nmであった。
焼成までを同じ工程で作製し、ミリングを実施しなかったウェブを、非酸化性雰囲気とした電気炉にて3000℃で熱処理した黒鉛化ウェブより、単糸を抜き取り、電気比抵抗を測定したところ、2.3μΩmであった。上記式(1)を用いて求めた熱伝導度は510W/(m・K)であった。
[実験例3]
実験例1と同じウェブでミリング後の篩い分けの目開きを調整し、平均繊維長が350μmのピッチ系炭素短繊維フィラーを得た。
平均繊維径は9.9μmであった。繊維径分散の平均繊維径に対する百分率は16%であった。真密度は、2.15g/ccであった。透過型電子顕微鏡で100万倍の倍率で観察し、400万倍に写真上で拡大した。ピッチ系炭素繊維フィラーの端面はグラフェンシートが閉じていた。また、走査型電子顕微鏡で4000倍の倍率で観察した、ピッチ系炭素短繊維フィラーの表面は、大きな凹凸はなく平滑であった。
X線回折法によって求めた六角網面の厚さ方向の結晶サイズは16nmであった。また、六角網面の成長方向の結晶サイズは21nmであった。
熱伝導率は、ミリング前のウェブをそのまま、黒鉛化した材料を使用しているので、実験例1と同じである。
[実験例4]
実験例2と同じウェブでミリング後の篩い分けの目開きを調整し、平均繊維長が400μmのピッチ系炭素短繊維フィラーを得た。
平均繊維径は7.9μmであった。繊維径分散の平均繊維径に対する百分率は15%であった。真密度は、2.13g/ccであった。透過型電子顕微鏡で100万倍の倍率で観察し、400万倍に写真上で拡大した。ピッチ系炭素短繊維フィラーの端面はグラフェンシートが閉じていた。また、走査型電子顕微鏡で4000倍の倍率で観察した、ピッチ系炭素短繊維フィラーの表面は、大きな凹凸はなく平滑であった。
X線回折法によって求めた六角網面の厚さ方向の結晶サイズは15nmであった。また、六角網面の成長方向の結晶サイズは29nmであった。
熱伝導率は、ミリング前のウェブをそのまま、黒鉛化した材料を使用しているので、実験例2と同じである。
炭素繊維集合体の製造例の概略を以下に示す。
生産コストを抑えて、合理的に長短2種類の繊維長を有する炭素繊維集合体を得るには、同一のピッチ原料を用い、ほぼ同一の条件でピッチ繊維を紡糸する。ここでいう長繊維は連続繊維ではなく、平均繊維長が比較的長い繊維という意味である。スピナレット、紡糸温度、時間当たりの吐出量、スリットからの加熱ガスの温度・噴出速度、噴出位置等の条件をほとんど変更しないで、金網ベルト上にピッチ繊維を捕集し、要すれば、クロスラッピングにより目付けを調整し、さらにバインダーで軽く接着して、圧延プレスを加え、不融化処理して、さらに焼成処理を施してから、ミリング装置を用いてこのピッチ繊維を短繊維化して、短繊維Aを得る。
ついで、長繊維と短繊維との炭素繊維集合体の調製を行った。先に金網ベルト上に捕集してある長繊維Bからなるピッチ系炭素繊維とブレンドして、平坦状の混合繊維シートを得る。このシートに調整する際、ポリビニルアルコール(PVA)繊維等の水膨潤性有機高分子をバインダーに替えて部分的に使用する湿式抄紙法を適用すること、又は空気量を利用して短繊維と長繊維とをバインダー代わりの熱可塑性樹脂を介在させて混合して融着せしめる乾式抄紙法を適用できる。爾後、要すれば、不融化、焼成処理、黒鉛化処理等の諸工程を経て、マトリクスと混用できる複合化材料用炭素繊維集合体が得られる。
[実験例5]
縮合多環炭化水素化合物よりなるピッチを主原料とした。その主原料は光学的異方性割合が100%で、軟化点が285℃であった。直径0.2mmの孔径を有する紡糸口金を使用し、スリットから加熱空気を毎分5000mの線速度で噴出させて、溶融ピッチを牽引して平均直径11μmのピッチ系長繊維を紡出した。紡出された繊維をベルト上に捕集してマット状とし、さらにクロスラッピングを施し目付250g/mの三次元ランダム形状を有するピッチ繊維シートに整形した。
このピッチ繊維シートの一部を次の処理を施して炭素短繊維を得る。即ち、このピッチ系繊維シートを空気中において、170℃から300℃まで、平均昇温速度5℃/分で昇温して不融化を行った。不融化したピッチ繊維シートを900℃で焼成処理し、その後粉砕装置にて短繊維化し、その後更に3000℃で焼成することによりピッチ系炭素短繊維を得た。ピッチ系炭素短繊維の平均直径(D1)は10μm、D1に対する繊維直径分散の比(CV1)は16%であった。平均繊維長(L1)は0.5mmであった。六角網面の厚さ方向の結晶サイズは22nmであった。六角網面の成長方向の結晶サイズは36nmであった。同一処理を行ったマットより単糸を抜きとり、電気抵抗を測定したところ、2.1μΩmであった。繊維軸方向の熱伝導率は530W/(m・K)であった。また、ピッチ系炭素短繊維の真密度は2.18g/ccであった。
残りのピッチ系繊維シートを炭素長繊維とするため、不融化したピッチ繊維シートを3000℃で焼成・黒鉛化して三次元ランダム形状を有するピッチ系炭素繊維シートを得た。ピッチ系炭素繊維シートを構成するピッチ繊維径は平均で11μmであり、その変動率CVは13%であり、繊維長は平均100mmであった。六角網面の厚さ方向の結晶サイズは20nmであった。六角網面の成長方向の結晶サイズは39nmであり、また熱伝導率は530W/(m・K)であった。
次にピッチ系炭素繊維シート100重量部に対し、粉砕処理した炭素短繊維50重量部をドライブレンドの要領で分散させ、混合してピッチ系炭素繊維強化材を得た。
ついで、マトリクス樹脂として株式会社三洋化成製マレイン酸変性ポリプロピレンフィルムを用い、ピッチ系炭素繊維強化材を成形体の体積比率として40%になるように設定し、北川精機株式会社製真空プレス機にて、内のり650mmの金型で1mm厚さになるようにプレス成形を実施した。成形された炭素繊維複合材の熱伝導率を測定したところ、10.5W/(m・K)であった。表面抵抗は0.7Ω/□(Ω/sq.)であった。
[実験例6]
実験例5でマトリクス樹脂として、熱硬化性シリコーン樹脂である東レダウコーニング社製のSE1740を用いた。樹脂成分の粘度は1.1Pa・Sであった。ピッチ系炭素繊維強化材を成形体の体積比率として35%になるように設定し、北川精機株式会社製真空プレス機にて、内のり300mmの金型で0.5mm厚さになるようにプレス成形を実施した。成形された炭素繊維複合材の熱伝導率を測定したところ、9.5W/(m・K)であった。表面抵抗は10Ω/□(Ω/sq.)であった。
[実験例7]
縮合多環炭化水素化合物よりなるピッチを主原料とした。この主原料の光学的異方性割合は100%であり、軟化点が285℃であった。直径0.2mmの孔径を有する紡糸口金を使用し、スリットから加熱空気を毎分4800mの線速度で噴出させて、溶融ピッチを牽引して平均直径12μmのピッチ系繊維を紡糸した。紡出された繊維をベルト上に捕集してマット状とし、さらにクロスラッピングで目付250g/mの三次元ランダム形状を有するピッチ繊維マットとした。
このピッチ繊維マットを空気中において、170℃から300℃まで、平均昇温速度5℃/分の条件で昇温して不融化処理を行った。不融化したピッチ繊維マットを3000℃で焼成・黒鉛化して、三次元ランダム形状を有するピッチ系炭素繊維シートを得た。ピッチ系炭素繊維シートを構成するピッチ系炭素繊維の繊維径は平均で10μmであり直径の変動率CVは19%であった。繊維長は平均で150mmであった。六角網面の厚さ方向の結晶サイズは30nmであった。六角網面の成長方向の結晶サイズは41nmであった。電気伝導率は2.0μΩmであり、熱伝導率は590W/(m・K)であった。
上記不融化処理の終了したピッチ繊維マットを700℃で焼成し、その後粉砕装置にて短繊維化し、その後さらに3000℃で焼成・黒鉛化処理することにより炭素繊維を得た。この炭素繊維の繊維径は平均で10μm、CVは17%であった。なおこの短繊維の繊維長は平均で0.2mmであった。
次にマトリックス樹脂として帝人化成株式会社製ポリカーボネート樹脂を用い、製膜用ダイの具備された二軸押出機を用いてポリカーボネート樹脂100重量部に対して炭素繊維20重量部を溶融混練したのち、フィルム状成形物とした。
さらに、上記方法にて得られた炭素短繊維Bを含むポリカーボネートフィルムおよび帝人化成株式会社製ポリカーボネートフィルム及びピッチ系炭素繊維強化材を用い、ピッチ系炭素繊維強化材として使用されるピッチ系炭素繊維シートと炭素繊維短繊維の重量比を100重量部:50重量部とし、炭素繊維強化材を成形体の体積比率として30%になるように設定し、北川精機株式会社製真空プレス機にて、内のり650mmの金型を使用して1mm厚さになるようにプレス成形を実施した。成形された炭素繊維複合材の熱伝導率を測定したところ、7.7W/(m・K)であった。表面抵抗は1.9Ω/□(Ω/sq.)であった。
電気絶縁処理
実験例1〜4により得られた炭素繊維集合体を用いて作成した実験例5〜7の炭素繊維複合材料に下記に示す種々の電気絶縁処理を施して炭素繊維複合体積層物を作成した。そして、表面抵抗、熱伝導率を測定した。
[実施例1]
実験例5、6、7で作成した炭素繊維複合材料の両面にヘプタンで40phr(per hundred resin、以下、同じ。)に希釈した熱硬化性シリコーン樹脂(東レダウコーニング社製SE1740)を30番のマイヤーバーで塗工した。130℃30分の硬化乾燥後の塗工厚みは18μmであった。表面抵抗は全ての炭素繊維複合材料で1×10Ω/□(Ω/sq.)以上であった。熱伝導率は、夫々9.3、8.7、7.0W/(m・K)であった。僅かに熱伝導率が低下したが、表面抵抗は1×10Ω/□(Ω/sq.)以上になっていた。
[実施例2]
実験例5、6、7で作成した炭素繊維複合材料の両面にMIBKで30phrに希釈した熱硬化性エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製エピコート871と硬化剤)を30番のマイヤーバーで塗工した。130℃30分の硬化乾燥後の塗工厚みは13μmであった。表面抵抗は全ての炭素繊維複合材料で1×10Ω/□(Ω/sq.)以上であった。熱伝導率は、夫々9.0、8.8、6.9W/(m・K)であった。僅かに熱伝導率が低下したが、表面抵抗は1×10Ω/□(Ω/sq.)以上になっていた。
[実施例3]
実験例5、6、7で作成した炭素繊維複合材料の両面にヘプタンで40phrに希釈した熱硬化性シリコーン樹脂(東レダウコーニング社製SE1740)に体積分率で30%の窒化ホウ素(GEケミカル社製:平均粒径1μm)を混合した塗液を50番のマイヤーバーで塗工した。130℃30分の硬化乾燥後の塗工厚みは20μmであった。表面抵抗は全ての炭素繊維複合材料で1×10Ω/□(Ω/sq.)以上であった。熱伝導率は、夫々9.6、8.6、7.2W/(m・K)であった。僅かに熱伝導率が低下したが、表面抵抗は1×10Ω/□(Ω/sq.)以上になっていた。特に、実験例6で作成した炭素繊維複合材料では、高い柔軟性を維持していた。
[実施例4]
実験例5、6、7で作成した炭素繊維複合材料の両面にヘプタンで30phrに希釈した熱硬化性シリコーン樹脂(東レダウコーニング社製SE1740)に体積分率で30%の窒化ホウ素(GEケミカル社製:平均粒径1μm)を混合した液をディッピング法で形成した。130℃1時間の硬化乾燥後の厚みは50μmであった。表面抵抗は全ての炭素繊維複合材料で1×10Ω/□(Ω/sq.)以上であった。熱伝導率は、夫々9.0、8.1、6.7W/(m・K)であった。僅かに熱伝導率が低下したが、表面抵抗は1×10Ω/□(Ω/sq.)以上になっていた。特に、実験例6で作成した炭素繊維複合材料では、高い柔軟性を維持していた。
[実施例5]
実験例5、6、7で作成した炭素繊維複合材料の両面にヘプタンで40phrに希釈した熱硬化性シリコーン樹脂(東レダウコーニング社製SE1740)に体積分率で30%の酸化アルミニウム(電気化学社製:平均粒径1μm)を混合した塗液を50番のマイヤーバーで塗工した。130℃30分の硬化乾燥後の塗工厚みは20μmであった。表面抵抗は全ての炭素繊維複合材料で1×10Ω/□(Ω/sq.)以上であった。熱伝導率は、夫々9.2、8.1、6.8W/(m・K)であった。僅かに熱伝導率が低下したが、表面抵抗は1×10Ω/□(Ω/sq.)以上になっていた。特に、実験例6で作成した炭素繊維複合材料では、高い柔軟性を維持していた。
[実施例6]
実験例5、6、7で作成した炭素繊維複合材料の両面にスパッタリングにより20nmの酸化ケイ素膜を作成した。表面抵抗は全ての炭素繊維複合材料で1×10Ω/□(Ω/sq.)以上であった。熱伝導率は、夫々10.3、9.2、7.5W/(m・K)であった。僅かに熱伝導率が低下したが、表面抵抗は1×10Ω/□(Ω/sq.)以上になっていた。
[実施例7]
実験例5、6、7で作成した炭素繊維複合材料の両面にアルコキシシランを原料とし、プラズマ増幅を用いた化学的気相成長法により300nmの酸化ケイ素膜を作成した。表面抵抗は全ての炭素繊維複合材料で1×10Ω/□(Ω/sq.)以上であった。熱伝導率は、夫々10.2、9.1、7.3W/(m・K)であった。僅かに熱伝導率が低下したが、表面抵抗は1×10Ω/□(Ω/sq.)以上になっていた。
[比較例1]
実施例1において、熱硬化性シリコーン樹脂を直接200μm厚みで塗工した。硬化乾燥は130℃1時間で実施した。絶縁性は達成されたが、熱伝導率は1.4、0.9、0.8W/(m・K)と著しく小さくなり、熱伝導率が十分ではなくなってしまった。
[比較例2]
実施例6において、スパッタリング厚みを2nmとした。熱伝導率は10.5、9.5、7.7W/(m・K)と変わらなかったが、電気伝導性は1×10Ω/□(Ω/sq.)以下であった。
[実施例8]
実施例1で作製した、電気絶縁性付与の炭素繊維複合材料を70℃の発熱体の上に貼付したところ、放熱性が向上し、熱伝導性シートとして作用していた。
[比較例3]
比較例1で作製した、炭素繊維複合材料を70℃の発熱体の上に貼付したところ、放熱性は悪くなり、熱伝導性シートとして作用しなかった。
[実施例9]
実施例1で作製した、電気絶縁性付与の炭素繊維複合材料の電波遮蔽能力を、近傍界において周波数3GHzに対して調べたところ効果があり、電波遮蔽性があることがわかった。

Claims (20)

  1. マトリクスと熱伝導性の炭素繊維集合体とからなる組成物であって、該マトリクスは電気絶縁性を呈し、また該炭素繊維集合体はその端面を含む全表面が該マトリクスによって被覆されて電気絶縁層を形成し得る炭素繊維複合材料。
  2. マトリクスと熱伝導性の炭素繊維集合体とからなる組成物であって、該マトリクスは電気絶縁性を呈し、また該炭素繊維集合体は繊維径及び/又は繊維長の異なるピッチ系炭素繊維からなり、マトリクスと複合したとき、高い炭素繊維充填率を有する組成となる、請求項1に記載の炭素繊維複合材料。
  3. 請求項1に記載の炭素繊維集合体は走査型電子顕微鏡による観察表面が実質的に平坦であるピッチ系炭素繊維フィラーからなり、光学顕微鏡で観測した平均繊維径(D1)が5μm乃至20μmの範囲であり、平均繊維径(D1)に対する平均繊維径の分散(S1)の百分率が5〜18%であると共に、該炭素繊維フィラーの端面が閉じており、平均繊維長(L1)が10μm乃至700μmの範囲であり、D1に対するL1のアスペクト比が1〜100の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維複合材料。
  4. ピッチ系炭素繊維フィラーの真密度が1.5〜2.2g/ccの範囲であり、繊維軸方向の熱伝導率が300W/(m・K)以上である請求項3に記載のピッチ系炭素繊維フィラーを含む炭素繊維複合材料。
  5. 六角網面の厚さ方向における結晶サイズが10nm以上であり、六角網面の成長方向における結晶サイズが8nm以上である請求項3又は請求項4に記載のピッチ系炭素繊維フィラーを含む炭素繊維複合材料。
  6. 炭素繊維集合体とマトリクスとからなる組成物であって、マトリクスに対して体積分率で3〜60体積%の前記炭素繊維集合体を含有する、請求項1に記載の炭素繊維複合材料。
  7. マトリクスとして熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂を含む請求項5記載の炭素繊維複合材料。
  8. 熱可塑性樹脂としてポリカーボネート類、ポリエチレンテレフタレート類、ポリエチレン2,6ナフタレート類、ナイロン類、ポリプロピレン類、ポリエチレン類、ポリエポキシエーテルケトン類、ポリフェニレンスルフィド類の群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む請求項7に記載の炭素繊維複合材料。
  9. 熱硬化性樹脂としてエポキシ類、アクリル類、ウレタン類、シリコーン類、フェノール類の群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む請求項7に記載の炭素繊維複合材料。
  10. 請求項7乃至9のいずれかに記載の炭素繊維複合材料を成形してなる成形物の表面に、金属酸化物の薄膜、無機高分子の塗膜又は有機高分子の塗膜からなる電気絶縁層を形成してなる炭素繊維複合体積層物。
  11. 請求項7乃至9のいずれかに記載の炭素繊維複合材料を成形してなる成形物の表面に、アルミニウム、珪素、ホウ素、亜鉛からなる群より選ばれてなる金属の酸化物及び/又は窒化物及び/又は酸窒化物及び/又は炭化物の微粒子を含む有機高分子の塗膜からなる電気絶縁層を形成してなる炭素繊維複合体積層物。
  12. 請求項7乃至9のいずれかに記載の炭素繊維複合材料を成形して得られる成形物と電気絶縁層とを積層してなる炭素繊維複合体積層物。
  13. 平板状に成形した状態における成形物の熱伝導率が2W/(m・K)以上であることを特徴とする請求項10乃至12に記載の炭素繊維複合体積層物。
  14. 炭素繊維集合体とマトリクスとを含む熱伝導性の炭素繊維複合材料を成形してなる成形物の表面に、無電解メッキ法、電解メッキ法、真空蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングにより電気絶縁性の金属酸化物又はセラミックスを蒸着せしめる請求項10に記載の炭素繊維複合体成形物の加工法。
  15. 炭素繊維集合体とマトリクスとを含む熱伝導性の炭素繊維複合材料を成形してなる成形物の表面に、化学的気相成長法、塗装、浸漬又は微細粒子を機械的に固着させるメカノケミカル法によって金属又はセラミクスを被覆させる請求項10に記載の炭素繊維複合体成形物の加工法。
  16. 炭素繊維集合体とマトリクスとを含む熱伝導性の炭素繊維複合材料を成形してなる成形物の表面に、ディッピング法、マイヤーバー法、グラビア法、マイクログラビア法、押出法の群より選ばれるいずれかの方法により積層する請求項11に記載の炭素繊維複合体成形物の加工法。
  17. 請求項6〜9のいずれかに記載の複合成形材料を、射出成形法、プレス成形法、カレンダー成形法、ロール成形法、押出成形法、注型成形法、ブロー成形法の群より選ばれる少なくとも1種の成形手段によって成形する炭素繊維複合体成形物の製造方法。
  18. 請求項6〜12のいずれかに記載の炭素繊維複合体成形物を主たる材料とする電子部品用放熱部材。
  19. 請求項6〜12のいずれかに記載の炭素繊維複合体成形物を主たる材料とする電波遮蔽板。
  20. 請求項6〜12のいずれかに記載の炭素繊維複合体成形物を主たる材料とする熱交換器。
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