JP2009194050A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

【課題】長時間の使用(発光)によっても、発光輝度が急速に低下すること無く、しかも、駆動電圧が上昇することが無い有機EL素子を提供する。
【解決手段】有機EL素子は、(A)下部電極21、(B)有機発光材料から成る発光層を備えた積層構造体23、及び、(C)上部電極22を具備しており、積層構造体23と上部電極22との間に、下から電荷注入層41A及び電荷輸送層41Bから成る2層構造層41が形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
有機材料のエレクトロルミネッセンス(Electroluminescence:以下、ELと略称する)を利用した有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置と略称する)を構成する有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子と略称する)においては、例えば、有機材料から成る正孔輸送層、発光層及び電子輸送層を積層させた積層構造体が、下部電極と上部電極との間に設けられており、低電圧直流駆動による高輝度発光が可能な発光素子として注目されている(例えば、特開平9−017574号公報参照)。
特開平9−017574号公報
ところで、このような従来の有機EL素子にあっては、長時間の使用(発光)によって発光輝度が急速に低下することが判明してきた。また、長時間の使用(発光)によって駆動電圧が上昇することも判明してきた。そして、このような現象が発生したのでは、有機EL表示装置の長期安定性が損なわれてしまい、安定した画像表示が困難となってしまう。
従って、本発明の目的は、長時間の使用(発光)によっても、発光輝度が急速に低下すること無く、しかも、駆動電圧が上昇することが無い有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、本発明の有機EL素子と略称する)は、
(A)下部電極、
(B)有機発光材料から成る発光層を備えた積層構造体、及び、
(C)上部電極、
を具備しており、
積層構造体と上部電極との間に、下から電荷注入層及び電荷輸送層から成る2層構造層が形成されていることを特徴とする。
本発明の有機EL素子にあっては、下部電極はアノード電極であり、上部電極はカソード電極であり、電荷注入層は電子注入層から成り、電荷輸送層は電子輸送層から成る形態とすることができる。但し、このような形態に限定するものではなく、下部電極はカソード電極であり、上部電極はアノード電極であり、電荷注入層は正孔注入層から成り、電荷輸送層は正孔輸送層から成る構成とすることもできる。これらの各層を構成する材料は、有機EL素子において、電子注入層、電子輸送層、正孔注入層、正孔輸送層を構成する周知の材料と同じとすればよく、一例として、電子注入層を構成する材料として、LiFを挙げることができるし、電子輸送層を構成する材料として、バソフェナントロリン、バソクプロイン(BCP)、アントラセン系電子輸送材料を挙げることができる。これらの各層を構成する材料は、積層構造体における同じ機能を有する層を構成する材料と、同じであってもよいし、異なっていてもよい。2層構造層は、積層構造体に対して影響を及ぼすことのない程度に成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法である真空蒸着法に基づき形成することが好ましい。
そして、上述した好ましい形態にあっては、上部電極は、マグネシウム(Mg)を含む導電材料、例えば、Mg−Ag合金から成り、上部電極の厚さは、4nm乃至20nm、好ましくは、6nm乃至12nmである構成とすることができる。
更には、以上に説明した好ましい形態、構成において、上部電極の直下には、第2の電荷注入層が上部電極と同じパターンで形成されている形態とすることができる。尚、2層構造層を構成する電荷注入層と、第2の電荷注入層とは、同じ材料から形成されていてもよいし、異なる材料から形成されていてもよい。
本発明の有機EL素子が組み込まれた有機EL表示装置を上面発光型とし、下部電極をアノード電極として用いる場合、下部電極は、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、白金(Pt)、金(Au)といった、仕事関数の値が大きく、且つ、光反射率の高い導電材料から構成することが望ましい。更に、アルミニウム(Al)及びアルミニウムを含む合金等の仕事関数の値が小さく、且つ、光反射率の高い導電材料の場合には、適切な正孔注入層を設けるなどして正孔注入性を向上させることで、下部電極をアノード電極として用いることができる。また、光反射性の高い導電材料上にインジウムとスズの酸化物(ITO)やインジウムと亜鉛の酸化物(IZO)等の正孔注入特性に優れた透明導電材料を積層した構造とすることもできる。具体的には、例えば、銀−サマリウム−銅の合金層とITO層との積層体とすることもできる。一方、下部電極をカソード電極として用いる場合、下部電極は、仕事関数の値が小さく、且つ、光反射率の高い導電材料から構成することが望ましいが、アノード電極として用いられる光反射率の高い導電材料に適切な電子注入層を設けるなどして電子注入性を向上させることで、下部電極をカソード電極として用いることができる。下部電極の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法といった蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)やイオンプレーティング法とエッチング法との組合せ;スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、メタルマスク印刷法といった各種印刷法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法;レーザアブレーション法;ゾル−ゲル法等を挙げることができる。
一方、本発明の有機EL素子が組み込まれた有機EL表示装置を上面発光型とし、上部電極をカソード電極として用いる場合、上部電極は、発光光を透過し、しかも、積層構造体に対して電子を効率的に注入できるように仕事関数の値の小さな導電材料から構成することが望ましい。具体的には、上述したとおり、Mg−Ag合金薄膜のような光透過率の高い導電膜(例えば、光透過率が30%以上の金属あるいは合金材料)を上部電極として用いることが好ましい。尚、Mg−Ag合金から成る上部電極の厚さが4nm以上でないと、電極として十分に機能しなくなる虞がある。一方、厚さが20nmを越えると、光透過率が低下するため、電極としては不適当となる虞がある。また、上部電極をアノード電極として用いる場合、上部電極は、発光光を透過し、しかも、仕事関数の値の大きな導電材料から構成することが望ましい。上部電極は、特に真空蒸着法のような成膜粒子のエネルギーが小さな成膜方法、あるいは又、MOCVD法といった成膜方法に基づき形成することが、積層構造体のダメージ発生を防止するといった観点から好ましい。積層構造体にダメージが発生すると、リーク電流の発生による「滅点」と呼ばれる非発光画素(あるいは非発光副画素)が生じる虞がある。また、積層構造体の形成から上部電極の形成までを大気に暴露することなく実行することが、大気中の水分による積層構造体の劣化を防止するといった観点から好ましい。上部電極をカソード電極として用いる場合、上述したとおり、上部電極の直下に、上部電極と同じパターンを有する電子注入層(例えば、厚さ0.3nmといった極薄のLiFから成る第2の電荷注入層)を形成することが好ましく、これによって、電子注入性を高めて、有機EL素子の低駆動電圧化と高効率、長寿命化を図ることができる。
本発明の有機EL素子において、積層構造体は、有機発光材料から成る発光層を備えているが、具体的には、例えば、正孔輸送層と発光層と電子輸送層との積層構造、正孔輸送層と電子輸送層を兼ねた発光層との積層構造、正孔注入層と正孔輸送層と発光層と電子輸送層と電子注入層との積層構造から構成することができる。
本発明の有機EL素子において、積層構造体や2層構造層の形成方法として、真空蒸着法等の物理的気相成長法(PVD法);スクリーン印刷法やインクジェット印刷法といった印刷法;転写用基板上に形成されたレーザ吸収層と積層構造体や2層構造層との積層構造に対してレーザを照射することでレーザ吸収層上の積層構造体や2層構造層を分離して、積層構造体や2層構造層を転写するといったレーザ転写法、各種の塗布法を例示することができる。積層構造体や2層構造層を真空蒸着法に基づき形成する場合、例えば、所謂メタルマスクを用い、係るメタルマスクに設けられた開口を通過した材料を堆積させることで積層構造体や2層構造層を得ることができる。
有機EL素子を構成する下部電極は、例えば、層間絶縁層上に設けられている。そして、この層間絶縁層は、例えば、第1基板上に形成された有機EL素子駆動部を覆っている。有機EL素子駆動部は、1又は複数の薄膜トランジスタ(TFT)から構成されており、TFTと下部電極とは、層間絶縁層に設けられたコンタクトプラグを介して電気的に接続されている。層間絶縁層の構成材料として、SiO2、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、SiON、SOG(スピンオングラス)、低融点ガラス、ガラスペーストといったSiO2系材料;SiN系材料;ポリイミド等の絶縁性樹脂を、単独、あるいは、適宜、組み合わせて使用することができる。層間絶縁層の形成には、CVD法、塗布法、スパッタリング法、各種印刷法等の公知のプロセスが利用できる。
上部電極の上には、積層構造体への水分の到達防止を目的として、絶縁性あるいは導電性の保護膜を設けることが好ましい。保護膜は、特に真空蒸着法のような成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法、あるいは又、MOCVD法といった成膜方法に基づき形成することが、下地に対して及ぼす影響を小さくすることができるので好ましい。あるいは又、積層構造体の劣化による輝度の低下を防止するために、成膜温度を常温に設定し、更には、保護膜の剥がれを防止するために保護膜のストレスを最小になる条件で保護膜を成膜することが望ましい。また、保護膜の形成は、上部電極を大気に暴露することなく形成することが好ましく、これによって、大気中の水分や酸素による積層構造体の劣化を防止することができる。更には、有機EL表示装置が上面発光型である場合、保護膜は、積層構造体で発生した光を例えば80%以上、透過する材料から構成することが望ましく、具体的には、無機アモルファス性の絶縁性材料、例えば、アモルファスシリコン(α−Si)、アモルファス炭化シリコン(α−SiC)、アモルファス窒化シリコン(α−Si1-xx)、アモルファス酸化シリコン(α−Si1-yy)、アモルファスカーボン(α−C)を例示することができる。このような無機アモルファス性の絶縁性材料は、グレインを生成しないため、透水性が低く、良好な保護膜を構成する。尚、保護膜を導電材料から構成する場合、保護膜を、ITOやIZOのような透明導電材料から構成すればよい。保護膜の上には第2基板を配するが、保護膜と第2基板とは、例えば、紫外線硬化型接着剤や熱硬化型接着剤を用いて接着すればよい。
第1基板や第2基板の構成材料として、高歪点ガラス、ソーダガラス(Na2O・CaO・SiO2)、硼珪酸ガラス(Na2O・B23・SiO2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、鉛ガラス(Na2O・PbO・SiO2)、各種プラスチック基板を例示することができる。第1基板と第2基板の構成材料は、同じであっても異なっていてもよい。
通常、下部電極は、絶縁層によって覆われている。また、絶縁層には開口部が設けられており、開口部の底部に露出した下部電極の部分の上から、開口部を取り囲む絶縁層の部分に亙り、積層構造体が設けられている。絶縁層は、平坦性に優れ、しかも、積層構造体の水分による劣化を防止して発光輝度を維持するために、吸水率の低い絶縁材料から構成することが好ましく、具体的には、ポリイミド樹脂やフォトレジスト材料等の有機絶縁材料を挙げることができる。
以上に説明した好ましい形態、構成を含む本発明の有機EL素子を組み込んだ有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置と略称する)において、有機EL表示装置をカラー表示の有機EL表示装置としたとき、有機EL表示装置を構成する有機EL素子のそれぞれによって、副画素が構成される。ここで、1画素は、例えば、赤色を発光する赤色発光副画素、緑色を発光する緑色発光副画素、及び、青色を発光する青色発光副画素の3種類の副画素から構成されている。従って、この場合、有機EL表示装置を構成する有機EL素子の数をN×M個とした場合、画素数は(N×M)/3である。そして、限定するものではないが、N×M個の(即ち、全ての)有機EL素子を構成する積層構造体が、1枚の上部電極によって覆われている構成とすることが好ましい。
本発明においては、上部電極と積層構造体とは、下から電荷注入層及び電荷輸送層から成る2層構造層を介して電気的に接続されているので、電荷(電子あるいは正孔)が、高い移動度をもって、上部電極から2層構造層を介して積層構造体に注入される。それ故、有機EL素子の長時間に亙る使用(発光)によっても、発光輝度が急速に低下することがないし、駆動電圧が上昇することもなく、長期に亙り高い信頼性を有する有機EL素子を提供することができる。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
実施例1は、本発明の有機EL素子に関する。実施例1の有機EL素子の模式的な一部断面図を図1の(A)に示す。また、実施例1の有機EL素子が組み込まれた有機EL表示装置の模式的な一部断面図を図1の(B)に示す。実施例1の有機EL表示装置は、アクティブマトリックス型のカラー表示の有機EL表示装置であり、上面発光型である。即ち、上部電極を通して光が出射される。
有機EL表示装置は、有機EL素子10を、複数(例えば、N×M=2880×540)、有する。尚、1つの有機EL素子10は、1つの副画素を構成する。従って、有機EL表示装置は、(N×M)/3の画素を有する。ここで、1画素は、赤色を発光する赤色発光副画素、緑色を発光する緑色発光副画素、及び、青色を発光する青色発光副画素の3種類の副画素から構成されている。
有機EL素子10は、
(A)下部電極21、
(B)有機発光材料から成る発光層を備えた積層構造体23、及び、
(C)上部電極22、
を具備している。そして、積層構造体23と上部電極22との間に、下から電荷注入層41A及び電荷輸送層41Bから成る2層構造層41が形成されている。
ここで、下部電極21はアノード電極であり、上部電極22はカソード電極であり、電荷注入層41Aは電子注入層から成り、電荷輸送層41Bは電子輸送層から成る。具体的には、下部電極21は、銀−サマリウム−銅の合金層とITO層との積層体(図面では1層で表す)から成り、上部電極22は、マグネシウム(Mg)を含む導電材料、具体的には、厚さ10nmのMg−Ag合金から成り、複数(具体的には、N×M個)の有機EL素子を構成する積層構造体23の全面を覆っている。尚、上部電極22の波長450nmから650nmにおける平均光透過率は50.3%である。2層構造層41と上部電極22との間には、積層構造体23への電子注入性を高め、有機EL素子の低駆動電圧化と高効率、長寿命化のために、第2の電荷注入層26(例えば、厚さ0.3nmのLiFから成る電子注入層)が形成されている。第2の電荷注入層26を、図1の(A)にのみ、図示した。下部電極21は、真空蒸着法とエッチング法との組合せに基づき形成されている。上部電極22は、特に真空蒸着法のような成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法によって成膜されている。
積層構造体23は、例えば、正孔輸送層、及び、電子輸送層を兼ねた発光層の積層構造、あるいは又、正孔輸送層、発光層、及び、電子輸送層の積層構造から構成されているが、図面では1層で表した。各積層構造体23は、具体的には、赤色発光副画素を構成する有機EL素子における積層構造体、緑色発光副画素を構成する有機EL素子における積層構造体、及び、青色発光副画素を構成する有機EL素子における積層構造体から構成されている。
2層構造層41(図1の(A)以外の図面では1層で示す)を構成する電荷注入層41Aは、電子注入層、より具体的には、厚さ0.3nmのLiFから成り、電荷輸送層41Bは、電子輸送層、より具体的には、厚さ15nmのバソクプロイン(BCP)から成る。2層構造層41も、特に真空蒸着法のような成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法によって成膜されている。
有機EL素子を構成する下部電極21は、CVD法に基づき形成されたSiO2から成る層間絶縁層16(より具体的には、上層層間絶縁層16B)上に設けられている。そして、この層間絶縁層16は、第1基板11上に形成された有機EL素子駆動部を覆っている。有機EL素子駆動部は、複数のTFTから構成されており、TFTと下部電極21とは、層間絶縁層(より具体的には、上層層間絶縁層16B)に設けられたコンタクトプラグ18、配線17、コンタクトプラグ17Aを介して電気的に接続されている。尚、図面においては、1つの有機EL素子駆動部につき、1つのTFTを図示した。
下部電極21は、絶縁層24によって覆われている。また、絶縁層24には開口部25が設けられており、開口部25の底部に露出した下部電極21の部分の上から、開口部25を取り囲む絶縁層24の部分24’に亙り、積層構造体23が設けられている。絶縁層24は、平坦性に優れ、しかも、積層構造体23の水分による劣化を防止して発光輝度を維持するために吸水率の低い絶縁材料、具体的には、ポリイミド樹脂から構成されている。
上部電極22上には、積層構造体23への水分の到達防止を目的として、真空蒸着法に基づき、窒化シリコン(Si1-xx)から成る絶縁性の保護膜31が設けられている。保護膜31の上には第2基板33が配されているが、保護膜31と第2基板33とは、紫外線硬化型接着剤から成る接着層32によって接着されている。また、第1基板11や第2基板33は、ソーダガラスから構成されている。
実施例1の有機EL素子の製造方法の概要を、以下、図2の(A)〜(C)、図3の(A)〜(B)、及び、図4を参照して説明する。
[工程−100]
先ず、第1基板11上に、副画素毎にTFTを、周知の方法で作製する。TFTは、第1基板11上に形成されたゲート電極12、第1基板11及びゲート電極12上に形成されたゲート絶縁膜13、ゲート絶縁膜13上に形成された半導体層に設けられたソース/ドレイン領域14、並びに、ソース/ドレイン領域14の間であって、ゲート電極12の上方に位置する半導体層の部分が相当するチャネル形成領域15から構成されている。尚、図示した例にあっては、TFTをボトムゲート型としたが、トップゲート型であってもよい。TFTのゲート電極12は、走査回路(図示せず)に接続されている。次に、第1基板11上に、TFTを覆うように、SiO2から成る下層層間絶縁層16AをCVD法にて成膜した後、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき、下層層間絶縁層16Aに開口16’を形成する(図2の(A)参照)。
[工程−110]
次いで、下層層間絶縁層16A上に、真空蒸着法とエッチング法との組合せに基づき、アルミニウムから成る配線17を形成する。尚、配線17は、開口16’内に設けられたコンタクトプラグ17Aを介して、TFTのソース/ドレイン領域14に電気的に接続されている。配線17は、信号供給回路(図示せず)に接続されている。そして、全面にSiO2から成る上層層間絶縁層16BをCVD法にて成膜する。次いで、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき、上層層間絶縁層16B上に開口18’を形成する(図2の(B)参照)。
[工程−120]
その後、上層層間絶縁層16B上に、真空蒸着法とエッチング法との組合せに基づき、銀−サマリウム−銅の合金層とITO層(厚さ10nm)との積層体から成る下部電極21を形成する(図2の(C)参照)。尚、下部電極21は、開口18’内に設けられたコンタクトプラグ18を介して、配線17に電気的に接続されている。
[工程−130]
次いで、開口部25を有し、開口部25の底部に下部電極21が露出した絶縁層24を、下部電極21を含む層間絶縁層16上に形成する(図3の(A)参照)。具体的には、スピンコーティング法及びエッチング法に基づき、厚さ1μmのポリイミド樹脂から成る絶縁層24を、層間絶縁層16の上、及び、下部電極21の周辺部の上に形成する。尚、開口部25を囲む絶縁層24の部分24’は、なだらかな斜面を構成していることが好ましい。
[工程−140]
次に、開口部25の底部に露出した下部電極21の部分の上から、開口部25を取り囲む絶縁層24の部分24’に亙り、積層構造体23を形成する(図3の(B)参照)。尚、積層構造体23は、例えば、有機材料から成る正孔輸送層、電子輸送層を兼ねた発光層が順次積層されている。あるいは又、積層構造体23は、例えば、有機材料から成る正孔輸送層、発光層、電子輸送層が順次積層されている。具体的には、絶縁層24を一種のスペーサとし、各副画素を構成する積層構造体23を形成するためのメタルマスク(図示せず)を絶縁層24の突起部の上に載置した状態で、抵抗加熱に基づき、有機材料を真空蒸着する。有機材料は、メタルマスクに設けられた開口を通過し、副画素を構成する開口部25の底部に露出した下部電極21の部分の上から、開口部25を取り囲む絶縁層24の部分24’の上に亙り堆積する。
青色発光副画素を構成する有機EL素子における積層構造体(有機層)にあっては、正孔注入層として、例えば、m−MTDATA[4,4',4"-tris(3-methylphenylphenylamino)triphenylamine]を18nmの膜厚で蒸着した。次に、正孔輸送層として、例えば、α−NPD[4,4-bis(N-1-naphthyl-N-phenylamino)biphenyl]を15nmの膜厚で蒸着した。次いで、発光層として、例えば、ADN(9,10-di-(2-naphthyl)anthracene)にペリレンを1重量%混合した共蒸着膜を35nmの膜厚で蒸着し、電子輸送層として、例えば、バソクプロイン[Bathocuproine:2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1,10phenanthroline]を115nmの膜厚で成膜した。これらの層は、同一の真空蒸着装置内で連続して蒸着した。
また、緑色発光副画素を構成する有機EL素子における積層構造体(有機層)にあっては、正孔注入層として、例えば、m−MTDATAを25nmの膜厚で蒸着した。次いで、正孔輸送層を兼ねる発光層として、例えば、α−NPDを20nmの膜厚で蒸着した。次に、発光層として、例えば、ADNにクマリン6を1重量%混合した共蒸着膜を30nm成膜した。更に、電子輸送層として、例えば、バソクプロインを140nmの膜厚で蒸着した。これらの層は、同一の真空蒸着装置内で連続して蒸着した。
更には、赤色発光副画素を構成する有機EL素子における積層構造体(有機層)にあっては、正孔注入層として、例えば、m−MTDATAを25nmの膜厚で蒸着した。次いで、正孔輸送層として、例えば、α−NPDを30nmの膜厚で蒸着した。その後、発光層として、例えば、BSB−BCN[2,5-bis{4-(N-methoxyphenyl-N-phenylamino)styryl}benzene-1,4-dicarbonitrile]を30nmの膜厚で蒸着した後、電子輸送層として、例えば、バソクプロインを180nmの膜厚で蒸着した。これらの層は、同一の真空蒸着装置内で連続して蒸着した。
[工程−150]
その後、表示領域の全面に、下から電荷注入層41A及び電荷輸送層41Bから成る2層構造層41を、抵抗加熱に基づき有機材料を真空蒸着することで形成する(図4参照)。2層構造層41を全面に形成すればよいので、2層構造層41を形成するためのマスク等は不要であり、製造工程の簡素化、使用するマスク数の低減を図ることができる。また、2層構造層41は、積層構造体23に対して影響を及ぼすことのない程度に成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法である真空蒸着法に基づき形成されている。
[工程−160]
その後、表示領域の全面に、即ち、2層構造層41上に、積層構造体23への電子注入性を高めるために、第2の電荷注入層26(例えば、厚さ0.3nmのLiFから成る電子注入層)を形成し、更に、第2の電荷注入層26の上に上部電極22を形成する。第2の電荷注入層26及び上部電極22は、N×M個の有機EL素子を構成する積層構造体23の全面を覆っている。第2の電荷注入層26及び上部電極22は、積層構造体23に対して影響を及ぼすことのない程度に成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法である真空蒸着法に基づき形成されている。また、積層構造体23を大気に暴露することなく、積層構造体23の形成と同一の真空蒸着装置内において連続して、2層構造層41、第2の電荷注入層26及び上部電極22の形成を行うことで、大気中の水分や酸素による積層構造体23の劣化を防止することができる。具体的には、Mg−Ag(体積比10:1)の共蒸着膜を厚さ10nm成膜することで、上部電極22を得ることができる。
[工程−170]
次いで、上部電極22上に、窒化シリコン(Si1-xx)から成る絶縁性の保護膜31を真空蒸着法に基づき形成する。保護膜31の形成は、上部電極22を大気に暴露することなく、上部電極22の形成と同一の真空蒸着装置内において連続して行うことで、大気中の水分や酸素による積層構造体23の劣化を防止することができる。その後、保護膜31と第2基板33とを、紫外線硬化型接着剤から成る接着層32によって接着する。最後に、外部回路との接続を行うことで、実施例1の有機EL素子、有機EL表示装置を完成させることができる。
比較のために、2層構造層41を形成しない点を除き、実施例1の有機EL素子と同じ構成、構造を有する比較例1の有機EL素子を作製した。尚、積層構造体全体の厚さを、実施例1の有機EL素子と同じとした。
得られた実施例1及び比較例1の有機EL素子の発光特性を評価したところ、以下のとおりとなった。
電流効率(cd/A) 色度(x,y)
実施例1 5.3 (0.134,0.100)
比較例1 4.0 (0.137,0.087)
図5の(A)及び(B)に、実施例1及び比較例1の有機エレクトロルミネッセンス素子における輝度の経時変化及び駆動電圧の経時変化を測定した結果を示すグラフを示す。尚、有機EL素子の駆動条件を、温度・電流加速状態において、周波数60Hz、25%デューティー発光とした。測定結果から、実施例1の方が、比較例1よりも、輝度の経時変化が少なく、しかも、駆動電圧の上昇が小さく、長期間に亙り、安定して高い表示品位を保つことができることが判った。
特に、従来においては、専ら、発光効率の低下が少ない有機EL素子に着目されていたが、本発明の有機EL素子においては、発光効率の長期安定性に加えて、駆動電圧の長期安定性が優れている。このように、安定した駆動電圧特性を有するということは、有機EL表示装置のアクティブマトリックス型駆動において、駆動電圧の上昇による電流低下と、これに起因した輝度の急速なる低下を防止することができ、長期に亙って安定して画像を表示し得る有機EL表示装置を提供することができる。
以上、好ましい実施例に基づき本発明を説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。実施例における有機EL表示装置や有機EL素子の構成、構造、有機EL表示装置や有機EL素子を構成する材料等は例示であり、適宜、変更することができる。実施例においては、絶縁層の形状を突起部を有する形状としたが、絶縁層の形状はこれに限定するものではなく、絶縁層の頂面が積層構造体の頂面と略同じレベルにある構成とすることもできる。
有機EL表示装置を透過型とすることもできる。そして、下部電極をアノード電極として用いる場合、下部電極は、ITOやIZOのように、仕事関数の値が大きく、且つ、光透過率の高い導電材料から構成することが望ましい。一方、下部電極をカソード電極として用いる場合、下部電極は、仕事関数の値が小さく、且つ、光透過率の高い導電材料から構成することが望ましい。更には、上部電極をカソード電極として用いる場合、上部電極は、仕事関数の値が小さく、且つ、光反射率の高い導電材料から構成することが望ましい。一方、上部電極をアノード電極として用いる場合、上部電極は、仕事関数の値が大きく、且つ、光反射率の高い導電材料から構成することが望ましい。
実施例1においては、積層構造体を副画素毎に形成したが、場合によっては、赤色を発光する赤色発光副画素、及び、緑色を発光する緑色発光副画素のそれぞれについては、副画素を規定する領域毎に積層構造体を形成し、青色を発光する青色発光副画素については、表示領域全面に青色を発光する積層構造体を形成する形態とすることもできる。尚、上部電極は、係る青色を発光する積層構造体の上に、青色を発光する積層構造体の全面を覆うように形成する。この場合、赤色発光副画素に関しては、赤色を発光する積層構造体と青色を発光する積層構造体の積層構造となるが、下部電極と上部電極との間で電流を流すと赤色を発光する。同様に、緑色発光副画素に関しては、緑色を発光する積層構造体と青色を発光する積層構造体の積層構造となるが、下部電極と上部電極との間で電流を流すと緑色を発光する。
図1の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1の有機エレクトロルミネッセンス素子の模式的な一部断面図、及び、実施例1の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の模式的な一部断面図である。 図2の(A)、(B)及び(C)は、実施例1の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法の概要を説明するための第1基板等の模式的な一部端面図である。 図3の(A)及び(B)は、図2の(C)に引き続き、実施例1の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法の概要を説明するための第1基板等の模式的な一部端面図である。 図4は、図3の(B)に引き続き、実施例1の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法の概要を説明するための第1基板等の模式的な一部端面図である。 図5の(A)及び(B)は、実施例1及び比較例1の有機エレクトロルミネッセンス素子における輝度の経時変化及び駆動電圧の経時変化を測定した結果を示すグラフである。
符号の説明
10・・・有機エレクトロルミネッセンス素子、11・・・第1基板、12・・・ゲート電極、13・・・ゲート絶縁膜、14・・・ソース/ドレイン領域、15・・・チャネル形成領域、16・・・層間絶縁層、16A・・・下層層間絶縁層、16’,18’・・・開口、16B・・・上層層間絶縁層、17・・・配線、17A,18・・・コンタクトプラグ、21・・・下部電極、22・・・上部電極、23・・・積層構造体、24・・・絶縁層、24’・・・開口部を取り囲む絶縁層の部分、25・・・開口部、26・・・第2の電荷注入層、31・・・保護膜、32・・・接着層、33・・・第2基板、41・・・2層構造層、41A・・・電荷注入層、41B・・・電荷輸送層

Claims (4)

  1. (A)下部電極、
    (B)有機発光材料から成る発光層を備えた積層構造体、及び、
    (C)上部電極、
    を具備した有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    積層構造体と上部電極との間に、下から電荷注入層及び電荷輸送層から成る2層構造層が形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 下部電極はアノード電極であり、上部電極はカソード電極であり、
    電荷注入層は電子注入層から成り、電荷輸送層は電子輸送層から成ることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 上部電極はマグネシウムを含む導電材料から成り、上部電極の厚さは4nm乃至20nmであることを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 上部電極の直下には、第2の電荷注入層が上部電極と同じパターンで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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