JP2009193046A - 光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 - Google Patents

光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】表面に微細な凹凸がない光学補償フィルムを提供する。
【解決手段】液晶組成物を配向状態に固定してなる光学異方性層を含む光学補償フィルムであって、前記光学異方性層の表面エネルギーが27mN/m以下であり、表面平均粗さ(Ra)が1.0nm以下である光学補償フィルムである。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学補償フィルム、該光学補償フィルムを用いた偏光板、及び該偏光板を有する液晶表示装置に関する。
液晶表示装置(LCD)の光学補償フィルムとして、液晶性化合物を含む光学異方性層を有する光学補償フィルムが提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
液晶化合物を含む光学異方性層は、一般にポリマーフィルム等からなる支持体上に、液晶組成物を塗布することにより形成される。均一に塗布するために、表面エネルギーを低下させるフルオロ脂肪族基含有ポリマーを添加することが知られている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、従来の膜厚均一性向上効果の大きいフルオロ脂肪族基含有ポリマーでは、径がサブミクロン〜ミクロンオーダーで深さがナノメートルオーダーのくぼみが光学異方性層表面に発生し、この様なくぼみは、透過光の偏光解消や散乱を引き起こすため、液晶表示装置のコントラスト低下の一因となっていた。一方、上記オーダーでのくぼみを発生させないフルオロ脂肪族基含有ポリマーもあるが、膜厚均一性向上効果は不十分であり、塗布液の溶媒の乾燥時などに膜厚ムラが発生していた。
特開平6−214116号公報 米国特許第5583679号明細書 米国特許第5646703号明細書 独国特許出願公開第3911620号明細書 特開2004−198511号公報
本発明は、従来における前記問題を解決し、表面に微細な凹凸が無くもしくは少なく、且つ膜厚ムラのない光学補償フィルム、及びこれを用いた偏光板を提供することを課題とする。
また、本発明は、コントラストが高く、視角特性に優れ、ムラのない高品位な画像を表示可能な、液晶表示装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 液晶組成物を配向状態に固定してなる光学異方性層を含む光学補償フィルムであって、前記光学異方性層の表面エネルギーが27mN/m以下であり、表面平均粗さ(Ra)が1.0nm以下である光学補償フィルム。
[2] 前記液晶組成物が、液晶性化合物の少なくとも一種と、下記一般式(A)で表される構成単位及びフルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される構成単位を含むポリマーの少なくとも一種とを含有する[1]の光学補償フィルム:
Figure 2009193046
一般式(A)中、Mpはポリマー主鎖の一部を構成する3価の基を表し、Lは単結合又は2価の連結基を表し、Xは置換もしくは無置換の芳香族縮合環官能基を表す。
[3] 前記一般式(A)中のXが、炭素原子数5〜30の無置換もしくは置換の芳香族縮合環官能基である[2]の光学補償フィルム。
[4]前記一般式(A)中のXが、炭素原子数10〜20の無置換もしくは置換のナフチル基である[2]又は[3]の光学補償フィルム。
[5] 前記一般式(A)において、前記Mpが下記Mp−1又はMp−2を表し、前記Lが、−O−、−NRa11−(Ra11は、水素原子、炭素原子数1〜10の脂肪族炭化水素基を表す。)、−S−、−C(=O)−、−S(=O)2−、及び、炭素原子数1〜20の置換もしくは無置換のアルキレン基、ならびに、これらの2個以上を連結して形成される基から選択される2価の連結基を表す[2]〜[4]のいずれかの光学補償フィルム:
Figure 2009193046
*は、Lとの連結位置を示す。
[6] 前記フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される構成単位が、下記一般式(B)で表される構成単位である[2]〜[5]のいずれかの光学補償フィルム:
Figure 2009193046
一般式(B)中、Mp'はポリマー主鎖の一部を構成する3価の基を表し、L'は単結合又は2価の連結基を表し、Rfは少なくとも一つのフッ素原子を含有する置換基を表す。[7] 前記光学異方性層の、波長450nmの面内レターデーション値Re(450nm)及び波長650nmの面内レターデーション値Re(650nm)が、下記式を満たす[1]〜[6]のいずれかの光学補償フィルム。
Re(450nm)/Re(650nm)<1.25
[8] 偏光子と[1]〜[7]のいずれかの光学補償フィルムを含む偏光板。
[9] [1]〜[7]のいずれかの光学補償フィルム、又は[8]の偏光板を含む液晶表示装置。
以下に、本発明に係る光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置について詳細に説明する。
なお、本実施形態の説明において、「45°」、「平行」、及び「直交」は、基準となる面や、軸、及び方向等の対象に対して、±5°未満の誤差を含む。この誤差は、4°未満であることが好ましく、3°未満であることがより好ましい。
また、角度について、「+」は時計周り方向を意味し、「−」は反時計周り方向を意味するものとする。
また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味し、「可視光領域」とは、380〜780nmの光の波長をいう。
更に、屈折率の測定波長は、特別な記述がない限り、可視光域(λ=550nm)での値である。
また、本実施形態の説明において「偏光板」とは、特別な記述がない限り、長尺の偏光板、及び液晶表示装置に組み込まれる大きさに裁断された偏光板の両者を含む意味で用いている。なお、ここでいう「裁断」には「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする。
また、本実施形態の説明では、「偏光膜」と「偏光板」とを区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する透明保護膜を有する積層体のことを意味するものとする。
また、本実施形態の説明において「分子対称軸」とは、分子が回転対称軸を有する場合は、当該対称軸を指すが、厳密な意味で、分子が回転対称性であることを要求するものではない。
一般的に、円盤状液晶性化合物において、分子対称軸は、円盤面の中心を貫く円盤面に対して垂直な軸と一致し、棒状液晶性化合物において、分子対称軸は、分子の長軸と一致する。
本明細書において、Re(λ)及びRth(λ)は、各々、波長λにおける面内のレターデーション(nm)、及び厚さ方向のレターデーション(nm)を表す。Re(λ)は、KOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50°まで10°ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と、平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値とを基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値は、その符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。
なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(A)及び式(B)よりRthを算出することもできる。
Figure 2009193046
ただし、上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
また、式(A)におけるnxは、面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dは膜厚である。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法により、Rth(λ)は算出される。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50°から+50°まで10°ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と、平均屈折率の仮定値、及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出される。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。
また、平均屈折率の値が既知でないものについては、アッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRは、nx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
[光学補償フィルム]
本発明の光学補償フィルムは、液晶組成物を配向状態に固定してなる光学異方性層を少なくとも含む。前記光学異方性層は、表面エネルギーが27mN/m以下であり、表面平均粗さ(Ra)が1.0nm以下である。前記光学異方性層の表面エネルギーは、26mN/m以下であることが好ましく、25mN/m以下であることがさらに好ましい。膜厚ムラを低減させるためには、表面エネルギーは低いほど好ましいが、一方、表面エネルギーが低すぎると、光学異方性層を形成する際にハジキが発生したり、光学異方性層に粘着剤が付き難くなる等の問題が生じる。従って、一般的には、光学異方性層の表面エネルギーは15mN/m程度以上であることが好ましい。なお、光学異方性層の表面エネルギーは、接触角法(固体表面に表面張力が既知の液滴を滴下して、固体表面との接触角を測定し、Owens and Wendtの式等を用いて算出)により求めることができる。
また、前記光学異方性層の表面平均粗さ(Ra)は0.9nm以下であることが好ましく、0.7nm以下であることがさらに好ましい。表面平均粗さは小さいほど好ましいが、一方、表面が平滑すぎると、長尺の光学補償フィルムをロール状に巻いたときに、滑り性が悪い、及び裏面との接着が生じるなどの問題が生じる。従って、一般的には、表面平均粗さは0.2nm程度以上であるのが好ましい。上記範囲の表面平均粗さは、AFMなどにより測定できる。
本発明の光学補償フィルムは、液晶化合物を配向固定化してなる光学異方性層、及び他の光学異方性層を含む2層以上の積層構造であることが、液晶表示装置を高度に補償する上で好ましい。
2層以上の光学異方性層からなる態様では、本明細書では、液晶化合物を配向固定化してなる光学異方性層を第1の光学異方性層と呼ぶ。第1の光学異方性層は、支持体上に、配向膜を介して設けることができる。このとき、該支持体は第2の光学異方性層として機能させることもできる。
<第1の光学異方性層(液晶性化合物層)>
本発明に利用する第1の光学異方性層(液晶性化合物層)は、液晶性化合物を含む。前記第1の光学異方性層(液晶性化合物層)は、支持体の表面に直接形成してもよく、支持体上に配向膜等を形成し、その上に形成してもよい。
また、第1の光学異方性層(液晶性化合物層)に用いる液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物が好ましい。
また、第1の光学異方性層のフィルム法線方向から測定した面内レターデーションReは、10〜100nmであることが好ましく、20〜80nmであることが更に好ましい。
また、第1の光学異方性層は、液晶表示装置の黒表示における液晶セル中の液晶性化合物を補償するように設計することが好ましい。液晶セル中の液晶性化合物の配向状態に関しては、IDW’00、FMC7−2、p.411〜414に記載がある。
なお、本明細書では、第1の光学異方性層の作製において、含有される液晶性化合物の配向が固定されるまでは、「液晶性化合物層」とし、該液晶性化合物の配向が固定された後は、「光学異方性層」と表記するものとする。
<<ディスコティック液晶性化合物>>
本発明におけるディスコティック液晶性化合物は、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、更に、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。
ディスコティック液晶性化合物には、ベンゼン誘導体(C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載)、トルキセン誘導体(C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載)、シクロヘキサン誘導体(B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載)及びアザクラウン系又はフェニルアセチレン系のマクロサイクル(J.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)記載)が含まれる。
前記ディスコティック液晶性化合物には、分子中心の母核に対して、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、又は置換ベンゾイルオキシ基が母核の側鎖として放射線状に置換した構造の、液晶性を示す化合物も含まれる。分子又は分子の集合体が、回転対称性を有し、一定の配向を付与できる化合物であることが好ましい。
ディスコティック液晶性化合物から光学異方性層を形成した場合、最終的に光学異方性層に含まれる化合物は、もはや液晶性を示す必要はない。
例えば、低分子のディスコティック液晶性化合物が熱又は光で反応する基を有しており、熱又は光によって該基が反応して、重合又は架橋し、高分子量化することによって光学異方性層が形成される場合などは、光学異方性層中に含まれる化合物は、もはや液晶性を失っていてもよい。
ディスコティック液晶性化合物の好ましい例は、特開平8−50206号公報に記載されており、ディスコティック液晶性化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。
ディスコティック液晶性化合物を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。
ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。
そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。
従って、重合性基を有するディスコティック液晶性化合物は、下記一般式(DI)で表わされる化合物であることが好ましい。
本発明に用いられる液晶性化合物としては、一般式(DI)で表されるものが例示される。
[一般式(DI)で表される化合物]
本発明に用いられる一般式(DI)表される化合物は、ディスコティック液晶性を示すことが好ましく、特に、ディスコティックネマチック相を示すことが好ましい。
Figure 2009193046
一般式(DI)中、Y11、Y12、Y13は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。L1、L2、L3は、それぞれ独立に単結合又は2価の連結基を表す。H1、H2、H3はそれぞれ独立に、下記一般式(DI−A)又は下記一般式(DI−B)を表す。R1、R2、R3は、それぞれ独立に下記一般式(DI−R)を表す。
一般式(DI)中、Y11、Y12及びY13はそれぞれ独立に、メチン又は窒素原子を表す。Y11、Y12及びY13がそれぞれメチンの場合、メチンが有する水素原子は置換基によって置換されていてもよい。メチンが有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子及びシアノ基を挙げることができる。これらの中では、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基がより好ましく、炭素原子数(置換基が有する炭素原子数をいう、以下、ディスコティック液晶性化合物が有していてもよい置換基について同じ)1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数2〜12アルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜12アシルオキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基がさらに好ましい。
11、Y12、Y13は、すべてメチンであることが好ましく、またメチンは無置換であることが好ましい。
一般式(DI)中、L1、L2及びL3はそれぞれ独立に、単結合又は2価の連結基である。前記2価の連結基は、−O−、−S−、−C(=O)−、−NR7−、−CH=CH−、−C≡C−、2価の環状基及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数が1〜7のアルキル基又は水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基又は水素原子であることがより好ましく、メチル基、エチル基又は水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
1、L2、L3で表される2価の環状基は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましく、6員環であることがさらに好ましい。環状基に含まれる環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、及び複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環及びナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環及びピリミジン環が含まれる。環状基は、芳香族環及び複素環を含んでいるのが好ましい。
前記2価の環状基のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイル基及びナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。
1、L2又はL3で表される前記2価の環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲン原子で置換されたアルキル基、炭素原子数が1〜16のアルコキシ基、炭素原子数が2〜16のアシル基、炭素原子数が1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数が2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数が2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2〜16のアルキル基で置換されたカルバモイル基及び炭素原子数が2〜16のアシルアミノ基が含まれる。
1、L2及びL3としては、単結合、*−O−CO−、*−CO−O−、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−2価の環状基−、*−O−CO−2価の環状基−、*−CO−O−2価の環状基−、*−CH=CH−2価の環状基−、*−C≡C−2価の環状基−、*−2価の環状基−O−CO−、*−2価の環状基−CO−O−、*−2価の環状基−CH=CH−又は*−2価の環状基−C≡C−が好ましい。特に、単結合、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−CH=CH−2価の環状基−又は*−C≡C−2価の環状基−がより好ましく、単結合がさらに好ましい。ここで、*は一般式(I)中のY11、Y12及びY13を含む6員環に結合する位置を表す。
一般式(DI)中、H1、H2及びH3はそれぞれ独立に、下記一般式(DI−A)もしくは下記一般式(DI−B)を表す。
Figure 2009193046
一般式(DI−A)中、YA1及びYA2はそれぞれ独立に、メチン又は窒素原子を表す。YA1及びYA2は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、双方が窒素原子であることがより好ましい。XAは酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表す。XAは、酸素原子であることが好ましい。*はL1〜L3と結合する位置を表し、**はR1〜R3と結合する位置を表す。
Figure 2009193046
一般式(DI−B)中、YB1及びYB2は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。YB1及びYB2は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、双方が窒素原子であることがより好ましい。XBは酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表す。XBは、酸素原子であることが好ましい。*はL1〜L3と結合する位置を表し、**はR1〜R3と結合する位置を表す。
1、R2、R3は、それぞれ独立に下記一般式(DI−R)を表す。
一般式(DI−R)
*−(−L21−F1n1−L22−L23−Q1
一般式(DI−R)中、*は一般式(DI)中のH1、H2又はH3に結合する位置を表す。F1は少なくとも1種類の環状構造を有する2価の連結基を表す。L21は単結合又は2価の連結基を表す。L21が2価の連結基の場合、−O−、−S−、−C(=O)−、−NR7−、−CH=CH−、−C≡C−、及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数が1〜7のアルキル基又は水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基又は水素原子であることがより好ましく、メチル基、エチル基又は水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
21は単結合、**−O−CO−、**−CO−O−、**−CH=CH−又は**−C≡C−(ここで、**は一般式(DI−R)中のL21の左側を表す)が好ましい。特に、単結合が好ましい。
一般式(DI−R)中のF1は少なくとも1種類の環状構造を有する2価の環状連結基を表す。環状構造は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましく、6員環であることがさらに好ましい。環状構造は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、及び複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環及びピリミジン環が含まれる。
1のうち、ベンゼン環を有するものとしては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有するものとしては、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−1,5−ジイル基、ナフタレン−1,6−ジイル基、ナフタレン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイルナフタレン−2,7−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有するものとしては1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有するものとしてはピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有するものとしては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。F1は、特に、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレンナフタレン−2,6−ジイル基及び1,4−シクロへキシレン基が好ましい。
1は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数1〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲン原子で置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル基で置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。該置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン原子で置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲン原子で置換されたアルキル基がより好ましく、特に、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基が好ましい。
n1は0〜4整数を表す。n1としては、1〜3の整数が好ましく、1又は2が好ましい。なお、n1が0の場合は、式(DI−R)中のL22が直接、前記一般式(D1)中のH1〜H3と結合する。n1が2以上の場合、それぞれの−L21−F1は同一でも異なっていてもよい。
22は、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−S−、−NH−、−SO2−、−CH2−、−CH=CH−又は−C≡C−を表す。好ましくは、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CH2−、−CH=CH−又は−C≡C−であり、より好ましくは、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−又は−CH2−である。
ここで、上記のうち水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよい。他の置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン原子で置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキル基で置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が含まれる。特に、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましい。
23は、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−及び−C≡C−並びにこれらの2個以上を連結して形成される基から選択される2価の連結基である。ここで、−NH−、−CH2−、−CH=CH−の水素原子は、他の置換基に置き換えられていてもよい。他の置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン原子で置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキル基で置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が含まれる。特に、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましい。これらの置換基に置き換えられることにより、前記一般式(DI)で表される化合物の溶媒に対する溶解性を向上させることができ、容易に、塗布液として前記液晶組成物を調製することができる。
23は、−O−、−C(=O)−、−CH2−、−CH=CH−及び−C≡C−並びにこれらの組み合わせからなる群から選ばれる連結基であることが好ましい。L23は、炭素原子を1〜20個含有することが好ましく、炭素原子を2〜14個を含有することがより好ましい。さらに、L23は−CH2−を1〜16個含有することが好ましく、−CH2−を2〜12個含有することがより好ましい。
1は重合性基又は水素原子である。一般式(DI)で表される化合物を、光学補償フィルムのような位相差の大きさが熱により変化しないことを必要とする光学フィルム等の作製に用いる場合には、Q1は重合性基であることが好ましい。重合反応は、付加重合(開環重合を含む)又は縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応又は縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
Figure 2009193046
Figure 2009193046
さらに、重合性基は付加重合反応が可能な官能基であることが特に好ましい。そのような重合性基としては、重合性エチレン性不飽和基又は開環重合性基が好ましい。
重合性エチレン性不飽和基の例としては、下記の式(M−1)〜(M−6)が挙げられる。
Figure 2009193046
式(M−3)、式(M−4)中、Rは水素原子又はアルキル基を表す。Rとしては、水素原子又はメチル基が好ましい。上記(M−1)〜(M−6)の中でも、(M−1)又は(M−2)が好ましく、(M−1)がより好ましい。
開環重合性基として好ましいのは、環状エーテル基であり、中でもエポキシ基又はオキセタニル基がより好ましく、エポキシ基が最も好ましい。
また、本発明では、ディスコティック液晶性化合物として下記一般式(DII)で表される化合物又は下記一般式(DIII)で表される化合物を用いることも好ましい。
Figure 2009193046
(一般式(DII)中、Y31、Y32、Y33はそれぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。R31、R32、R33はそれぞれ独立に下記一般式(DII−R)で表される。)
一般式(DII)中、Y31、Y32、Y33はそれぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。Y31、Y32及びY33は各々、一般式(DI)中のY11、Y12及びY13の定義とそれぞれ同一であり、好ましい範囲も同義である。
31、R32、R33はそれぞれ独立に一般式(DII−R)で表される。
Figure 2009193046
一般式(DII−R)中、A31、A32は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。A31及びA32としては、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、双方が窒素原子であることがより好ましい。
3は酸素原子、硫黄原子、メチレン、又はイミノを表す。X3としては、酸素原子であることが好ましい。
一般式(DII−R)中、F2は6員環状構造を有する2価の環状連結基を表す。F2に含まれる6員環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。F2に含まれる6員環は、芳香族環、脂肪族環及び複素環のいずれでもよい。
芳香族環の例には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環及びフェナントレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環及びピリミジン環が含まれる。
2価の環状基のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基及び1,3−フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−1,5−ジイル基、ナフタレン−1,6−ジイル基、ナフタレン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基及びナフタレン−2,7−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。2価の環状基としては、特に、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基及び1,4−シクロへキシレン基が好ましい。
2は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲン原子で置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル基で置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。2価の環状基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン原子で置換されたアルキル基が好ましく、さらに、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲン原子で置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がより好ましい。
n3は、1〜3整数を表す。n3としては、1又は2が好ましい。n3が2以上の場合、それぞれのF2は同一でも異なっていてもよい。
31は−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−S−、−NH−、−SO2−、−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、を表し、上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよい。L31の好ましい範囲は、一般式(DI−R)中のL22と同一である。
32は−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−ならびにこれらの2個以上を連結して形成される基から選択される2価の連結基を表し、上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよい。L32の好ましい範囲は、一般式(DI−R)中のL23と同一である。
3は重合性基又は水素原子を表し、好ましい範囲は、一般式(DI−R)中のQ1と同一である。
次に、一般式(DIII)で表される化合物の詳細を記す。
Figure 2009193046
一般式(DIII)中、Y41、Y42及びY43は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し、Y41、Y42及びY43がそれぞれメチンの場合、メチンが有する水素原子は、置換基によって置換されていてもよい。メチンが有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子及びシアノ基を好ましい例として挙げることができる。これらの置換基の中では、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基がさらに好ましく、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、炭素原子数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜12のアシルオキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基が特に好ましい。
41、Y42及びY43は、いずれもメチンであることがより好ましく、メチンは無置換であることがより好ましい。
41、R42及びR43は、それぞれ独立に下記一般式(DIII−A)、又は下記一般式(DIII−B)、又は下記一般式(DIII−C)を表す。
波長分散性の小さい位相差板等を作製する場合は、R41、R42及びR43は、それぞれ、一般式(DIII−A)又は一般式(DIII−C)で表されるものが好ましく、一般式(DIII−A)で表されるものがより好ましい。
Figure 2009193046
一般式(DIII−A)中、A41、A42、A43、A44、A45、A46は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。A41及びA42は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、双方が窒素原子であることがより好ましい。A43、A44、A45及びA46は、少なくとも3つがメチンであることが好ましく、全てメチンであることがより好ましい。A43、A44、A45及びA46がそれぞれメチンの場合、メチンが有する水素原子は置換基によって置換されていてもよい。メチンが有する置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲン原子で置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル基で置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
41は、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し、酸素原子が好ましい。
Figure 2009193046
一般式(DIII−B)中、A51、A52、A53、A54、A55及びA56はそれぞれ独立に、メチン又は窒素原子を表す。A51及びA52は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、双方が窒素原子であることがより好ましい。A53、A54、A55及びA56は、少なくとも3つがメチンであることが好ましく、全てメチンであることがより好ましい。A53、A54、A55及びA56がそれぞれメチンの場合、メチンが有する水素原子は置換基によって置換されていてもよい。メチンが有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル基で置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン原子で置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲン原子で置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
52は、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し、酸素原子が好ましい。
Figure 2009193046
一般式(DIII−C)中、A61、A62、A63、A64、A65及びA66はそれぞれ独立に、メチン又は窒素原子を表す。A61及びA62は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、双方が窒素原子であることがより好ましい。A63、A64、A65及びA66は、少なくとも3つがメチンであることが好ましく、全てメチンであることがより好ましい。A63、A64、A65及びA36がそれぞれメチンの場合、該メチンが有する水素原子は置換基によって置換されていてもよい。メチンが有していてもよい置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル基で置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
63は、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し、酸素原子が好ましい。
一般式(DIII−A)中のL41、一般式(DIII−B)中のL51、一般式(DIII−C)中のL61はそれぞれ独立して、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−S−、−NH−、−SO2−、−CH2−、−CH=CH−又は−C≡C−を表す。好ましくは、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−であり、より好ましくは、−O−、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−又は−CH2−である。上述の基が水素原子を含む基であるときは、該水素原子は置換基で置き換わってもよい。
このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン原子で置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましい。
一般式(DIII−A)中のL42、一般式(DIII−B)中のL52、一般式(DIII−C)中のL62はそれぞれ独立して、−O−、−S−、−C(=O)−、−SO2−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−及び−C≡C−ならびにこれらの2個以上を連結して形成される基から選択される2価の連結基を表す。ここで、−NH−、−CH2−、−CH=CH−の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。このような置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン原子で置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基及び炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましい。
42、L52及びL62はそれぞれ独立して、−O−、−C(=O)−、−CH2−、−CH=CH−及び−C≡C−ならびにこれらの2個以上を連結して形成される基から選択される2価の連結基であることが好ましい。L42、L52、L62はそれぞれ独立して、炭素原子を1〜20個含有することが好ましく、炭素原子を2〜14個含有することがより好ましい。さらに、L42、L52、L62はそれぞれ独立して、−CH2−を1〜16個含有することが好ましく、−CH2−を2〜12個含有することがさらに好ましい。
一般式(DIII−A)中のQ4、一般式(DIII−B)中のQ5及び一般式(DIII−C)中のQ6は、それぞれ独立して、重合性基又は水素原子を表す。これらの好ましい範囲は、一般式(DI−R)中のQ1と同一である。
以下に、一般式(DI)、一般式(DII)及び一般式(DIII)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009193046
Figure 2009193046
Figure 2009193046
Figure 2009193046
以下一般式(DIII)で表される化合物を示す。
Figure 2009193046
本発明に用いられる上記一般式(DI)、一般式(DII)及び一般式(DIII)で表される化合物の合成は、既知の方法を適用して合成することができる。
本発明では、液晶性化合物として、上記一般式(DI)、一般式(DII)及び一般式(DIII)で表される化合物の1種のみを使用してよいし、2種以上を使用してもよい。前記一般式(DI)〜(DIII)で表される化合物は、その配向により複屈折性を発現した際に、複屈折性の波長分散性が低いという特徴がある。従って、例えば、該化合物を用いて光学異方性膜等を製造する場合に、可視光域の中間波長であるG光について、その光学特性を最適化すれば、R光及びB光についても、ほぼ同様に最適化された光学特性となるので、かかる液晶化合物を用いることで、可視光全域にわたって所望の光学特性を示す光学異方性膜等を容易に製造できる。また、前記一般式(DI)〜(DIII)で表される化合物は、低平均チルト角(例えば平均チルト角40°以下)でハイブリッド配向させるのが困難な化合物であるが、前記ポリマーの存在下で配向させることにより、低平均チルト角で、しかも配向欠陥のない(もしくは軽減された)ハイブリッド配向状態になる。
さらに、一般式(DI)、一般式(DII)及び一般式(DIII)で表される化合物と異なる構造を有する棒状液晶性化合物又はディスコティック液晶性化合物を少なくとも一種以上と併用してもよい。前記一般式(DI)、一般式(DII)及び一般式(DIII)に属さないディスコティック液晶性化合物との併用が特に好ましく、さらに下記一般式(T)で表される液晶性化合物との併用がより好ましい。2種類以上のディスコティック液晶性化合物を併用することにより、空気界面のチルト角度をより低減させることができ、また平均チルト角度の温度依存性が緩和しやすいという効果が得られる。
Figure 2009193046
一般式(T)中、Mは二価の連結基であり、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。Q7は重合性基又は水素原子を表し、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。
前記式において、二価の連結基(M)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−、−S−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基(M)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−及び−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることがさらに好ましい。二価の連結基(M)は、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO−及び−O−からなる群より選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基であることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、6〜10であることがさらに好ましい。アルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基は、置換基(例えば、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよい。二価の連結基(M)の例を以下に示す。左側がトリフェニレン円盤状コア(TD)に結合し、右側が重合性基(Q)に結合する。ALはアルキレン基又はアルケニレン基を意味し、ARはアリーレン基を意味する。
M1:−AL−CO−O−AL−
M2:−AL−CO−O−AL−O−
M3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
M4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
M5:−CO−AR−O−AL−
M6:−CO−AR−O−AL−O−
M7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
M8:−CO−NH−AL−
M9:−NH−AL−O−
M10:−NH−AL−O−CO−
M11:−O−AL−
M12:−O−AL−O−
M13:−O−AL−O−CO−
M14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
M15:−O−AL−S−AL−
M16:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO−
M17:−O−CO−AR−O−AL−CO−
M18:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
M19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−C
M20:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
M21:−S−AL−
M22:−S−AL−O−
M23:−S−AL−O−CO−
M24:−S−AL−S−AL−
M25:−S−AR−AL−
7は重合性基又は水素原子を表し、好ましい範囲は、一般式(DI−R)中のQ1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
以下に、一般式(T)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009193046
本発明に用いられる一般式(T)で表される化合物の合成は、既知の方法を利用して合成することができる。
本発明で用いる液晶性化合物は、上記一般式(T)で表される化合物の添加範囲は、一般式(DI)、一般式(DII)及び一般式(DIII)で表される化合物に対して、好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは、3〜20質量%であり、さらに好ましくは、5〜15質量%である。
本発明で用いる液晶性化合物は、良好なモノドメイン性を示す液晶相を発現することが望ましい。モノドメイン性を良好なものとすることにより、得られる構造が、ポリドメインとなり、ドメイン同士の境界に配向欠陥が生じ、光を散乱するようになるのを効果的に防ぐことができる。更に、良好なモノドメイン性を示すと、位相差板がより高い光透過率を有するため好ましい。
本発明で用いる液晶性化合物が発現する液晶相としては、カラムナー相、及びディスコティックネマチック相(ND相)を挙げることができる。これらの液晶相の中では、良好なモノドメイン性を示し、かつ、ハイブリッド配向が可能なディスコティックネマチック相(ND相)が特に好ましい。
本発明で用いる液晶性化合物は異方性の波長分散性が小さいほどよい。具体的には液晶性化合物が発現する位相差(波長λにおける液晶層の面内レターデーション値(nm))をRe(λ)としたとき、Re(450)/Re(650)が1.25未満であることが好ましく、1.20以下であることがより好ましく、1.15以下であることが特に好ましい。
本発明で用いる液晶化合物は、支持体上に設けられた配向膜上で配向させるために、等方相転移温度Tiso(℃)が、100<Tiso<180であることが好ましく、100<Tiso≦165℃であることがより好ましく、100<Tiso≦150℃であることが特に好ましい。
また、本発明で用いる液晶化合物は、0<|Re(Tiso−50)−Re(Tiso−30)|<10を満たすことが好ましい。
ここで、液晶化合物の等方相転移温度とは、液晶性を示す液晶分子の単体、又は混合体が、一定の方向に配列した状態(いわゆる液晶状態)になる温度から、配向秩序のない状態(いわゆる等方性状態)に切り替わる温度を示す。
この等方相転移温度は、偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって求めることができる。例えば、液晶性化合物をガラス板上に載せ、加温しながら偏光顕微鏡で観察し、視野が明るく見える液晶状態から、暗く見えるようになった液体状態(光学的に等方性を示す状態)に転移したときの温度とした。
ハイブリッド配向では、本発明の液晶性化合物の物理的な対称軸と、後述する第2の光学異方性層の面との角度、すなわち傾斜角が、第2の光学異方性層の深さ(すなわち、第2の光学異方性層に垂直な方向でかつ偏光膜の面からの距離)の増加と共に増加又は減少している。
前記傾斜角は、距離の増加と共に減少することが好ましい。更に、傾斜角の変化としては、連続的増加、連続的減少、間欠的増加、間欠的減少、連続的増加と連続的減少を含む変化、又は、増加及び減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。角度が変化しない領域を含んでいても、全体として増加又は減少していればよい。しかしながら、傾斜角は連続的に変化することが好ましい。
一般に、ディスコティック液晶性化合物の物理的な対称軸の平均方向は、ディスコティック液晶性化合物、又は配向膜の種類を選択することにより、あるいは、ラビング処理方法を選択することにより、調整することができる。また、表面側(空気側)のディスコティック液晶性化合物の物理的な対称軸方向は、一般にディスコティック液晶性化合物又はディスコティック液晶性化合物と共に使用する添加剤の種類を選択することにより調整することができる。
ディスコティック液晶性化合物と共に使用する添加剤の例としては、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー、ポリマー及び低分子化合物などを挙げることができる。長軸の配向方向の変化の程度も、上記と同様に液晶性化合物と添加剤との選択により調整できる。
本発明の液晶性化合物と共に使用する可塑剤、重合性モノマーは、本発明の液晶性化合物と相溶性を有し、ディスコティック液晶性化合物の傾斜角に変化を与えられるか、あるいは配向を阻害しないものが採用される。
[ポリマー]
前記光学異方性層は、少なくとも一種の液晶性化合物と、下記一般式(A)で表される構成単位及びフルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される構成単位を含むポリマー(以下、「本発明で用いるポリマー」ということがある)の少なくとも一種とを含有する液晶組成物から形成されるのが好ましい。前記本発明で用いるポリマーは、液晶性分子、特に、円盤状液晶性分子、を低チルト角でハイブリッド配向状態にするのに寄与する。さらに、そのチルト角は、温度の変動によって変化し難く、従って、該ポリマーを用いることで、所望の光学特性を示す光学異方性膜等を安定的に作製することができる。また、前記ポリマーを液晶組成物中に含有させることにより、塗布によって形成される膜表面に、径がサブミクロン〜ミクロンオーダーで深さがナノメートルオーダーの微細な凹凸が生じるのを抑制できるとともに、塗布液の塗布性が改善されるので、上記微細な凹凸よりも大きなオーダー(例えば、センチメートル〜メートルオーダー)の目視できるムラ(塗布液の乾燥時に発生する膜厚ムラ等)が発生するのを軽減することもできる。
以下に、本発明で用いるポリマーについて説明する。
(1)一般式(A)で表される構成単位
Figure 2009193046
一般式(A)中、Mpはポリマー主鎖の一部を構成する3価の基を表し、Lは単結合又は2価の連結基を表し、Xは置換もしくは無置換の芳香族縮合環官能基を表す。
一般式(A)中、Mpは、3価の基であり、ポリマーの主鎖の一部を構成する。Mpは、好ましくは、炭素原子数2〜20(置換基の炭素原子数は含まない、以下、Mp中のものについて同じ)の置換もしくは無置換の長鎖又は分岐のアルキレン基(例えば、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等)、炭素原子数3〜10の置換もしくは無置換の環状アルキレン基(例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロヘキシレン基等)、置換もしくは無置換のビニレン基、置換もしくは無置換の環状ビニレン基、置換もしくは無置換のフェニレン基、酸素原子を含む基(例えば、エーテル基、アセタール基、エステル基、カルボネート基等を含む基)、窒素原子を含む基(例えば、アミノ基、イミノ基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、イミド基、イミダゾール基、オキサゾール基、ピロール基、アニリド基、マレインイミド基等を含む基)、硫黄原子を含む基(例えば、スルフィド基、スルホン基、チオフェン基等を含む基)、リン原子を含む基(例えば、ホスフィン基、リン酸エステル基等を含む基)、珪素原子を含む基(例えば、シロキサン基等を含む基)の基、及びこれらの基を二つ以上連結して形成される基であって、該基に含まれる水素原子の1つが−L−X基によって置換されている基が好ましく、より好ましくは、置換もしくは無置換のエチレン基、置換もしくは無置換のメチルエチレン基、置換もしくは無置換のシクロヘキシレン基、置換もしくは無置換のビニレン基であって、該基に含まれる水素原子の1つが−L−X基によって置換されている基であり、さらに好ましくは、置換もしくは無置換のエチレン基、置換もしくは無置換のメチルエチレン基、置換もしくは無置換のビニレン基であって、該基に含まれる水素原子の1つが−L−X基によって置換されている基であり、特に好ましくは、置換もしくは無置換のエチレン基、置換もしくは無置換のメチルエチレン基であって、該基に含まれる水素原子の1つが−L−X基によって置換されている基であり、具体的には、後述する、Mp−1及びMp−2が好ましい。
以下に、Mpの好ましい具体例を示すが、Mpはこれに限定されるものではない。また、Mp中の*で表される部位はLと連結する部位を表す。
Figure 2009193046
一般式(A)中のLで表される2価の連結基としては、好ましくは、置換もしくは無置換の炭素原子数1〜20のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソプロピレン基など)、炭素原子数2〜20のアルケニレン基(例えば、ビニレン基、ブテン基等)、−O−、−NRa1−、−S−、−PRa2−、−Si(Ra3)(Ra4)−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NRa5−、−OC(=O)O−、−OC(=O)NRa6−、−NRa7C(=O)NRa8−、−(−O)2CH−ならびに、これらを2個以上連結して形成される基から選択される2価の連結基である。
ここで、上記Ra1〜Ra8は置換可能な置換基を表し、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基(1以上の環構造を含むモノシクロアルキル基、ビシクロアルキル基等のシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を除く)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられ、水素原子及びアルキル基が好ましい。
一般式(A)中のLとしてより好ましくは、−O−、−NRa11−(但し、Ra11は水素原子、炭素原子数1〜10の脂肪族炭化水素基を表す)、−S−、−C(=O)−、−S(=O)2−、及び、炭素原子数1〜20の置換もしくは無置換のアルキレン基、ならびに、これらを2個以上連結して形成される基から選択される2価の連結基であり、特に、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−O−、−OC(=O)O−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−C(=O)O(CH2mO−、−(CH2)m−、ならびに、これらを2個以上連結して形成される基から選択される2価の連結基が好ましい。
ここで、mは1〜20の整数を表す。mは、Xの自由度を適切に調整するために、好ましくは1〜16、より好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜6である。Xの自由度を適切に調整することにより、配向させる液晶との相互作用が増し、かつ、Xの方位をより制御でき、より効果的に平均チルト角度を制御できる。
また、上記連結基を2つ以上連結させて形成される、以下に示すような連結基も好ましい。また、L中の*で表される部位はMpと連結する部位を表す。下記式中、mは1〜20の整数を表し、上記「m」と同義であり、好ましい範囲も同義である。
Figure 2009193046
さらに、一般式(A)中のMpが前記Mp−1又はMp−2を表す場合には、Lは、−O−、−NRa11−(Ra11は、水素原子、炭素原子数1〜10の脂肪族炭化水素基)、−S−、−C(=O)−、−S(=O)2−、及び、炭素原子数1〜20の置換もしくは無置換のアルキレン基、ならびに、これらの2個以上を連結して形成される基から選択される2価の連結基であることが好ましく、−O−、−C(=O)O−、及び、−C(=O)NH−、ならびに、これらの1以上とアルキレン基との組み合わせからなる2価の連結基から選択される基がより好ましい。例えば、前記L−1、L−2、及び、L−3、L−6等である。
一般式(A)中のXで表される置換もしくは無置換の芳香族縮合環官能基の環数については特に制限はないが、2〜5個の環が縮合した基であるのが好ましい。環を構成している原子が炭素原子のみである炭化水素系の芳香族縮合環のみならず、ヘテロ原子を環構成原子とするヘテロ環が縮合した芳香族縮合環であってもよい。Xは、炭素原子数5〜30の置換もしくは無置換のインデニル基(メチルインデニル基、メドキシインデニル基、或いはヘテロ原子で置換されたインインデニル基、例え、ベンゾフラニル基、チオナフテニル基、インドールニル基、インダゾールニル基、ベンズイミダゾールニル基、ベンゾトリアゾールニル基、1−ピラゾールピラジニル基等)、炭素原子数6〜30の置換もしくは無置換のナフチル基(メチルナフチル基、シアノナフチル基、フルオロナフチル基、ブロモナフチル基、或いはヘテロ原子で置換されたナフチル基、例え、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリル基、キノキサリル基、6,7−ピリドピリダジニル基、ベンゾテトラジニル基、プテリル基等)、炭素原子数12〜30の置換もしくは無置換のフルオレニル基(2,7−ジメチルフルオレニル基、或いはヘテロ原子で置換されたフルオレニル基、例え、カルバゾリル基、ジベンゾフラリル基、ジベンゾチオフェニル基等)、アントリル基(5−メチルアントリル基、或いはヘテロ原子で置換されたアントリル基、例え、キサンテニル基、アクリジニル基、フェナジニル基等)、ピレニル基、ペリレニル基、フェナントレニル基などであるのが好ましい。
一般式(A)中、Xとしてより好ましくは、炭素原子数5〜30の置換もしくは無置換のインデニル基、又は、炭素原子数6〜30の置換もしくは無置換のナフチル基であり、さらに好ましくは、炭素原子数10〜30の置換もしくは無置換のナフチル基であり、特に好ましくは炭素原子数10〜20置換もしくは無置換のナフチル基である。
特に、Lが単結合又は、−O−、−NRa11−(但し、Ra11は水素原子、炭素原子数1〜10の脂肪族炭化水素基)、−S−、−C(=O)−、及び、−S(=O)2−、ならびに、これらの2個以上を連結して形成される基から選択される2価の連結基の場合には、Xが置換もしくは無置換のナフチル基を表すことが好ましい。
以下に、一般式(A)として好ましい構成単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2009193046
Figure 2009193046
Figure 2009193046
(2) フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される構成単位
本発明に用いるポリマーは、前記一般式(A)で表される構成単位とともに、フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される構成単位を有する。該構成単位は、下記一般式(B)で表される構成単位であるのが好ましい。以下に一般式(B)で表される基についての詳細を記す。
Figure 2009193046
一般式(B)中、Mp'はポリマーの主鎖を構成する3価の基を表し、L'は単結合又は2価の連結基を表し、Rfは少なくとも一つのフッ素原子を含有する置換基を表す。
Mp'は、一般式(A)中のMpと同義であり、好ましい範囲も同義である。
L'は、好ましくは、−O−、−NRa11−(但し、Ra11は水素原子、炭素原子数1〜10の脂肪族炭化水素基又は炭素原子数6〜20のアリール基を表す。)、−S−、−C(=O)−、−S(=O)2−、及び、炭素原子数1〜20の置換もしくは無置換のアルキレン基、ならびに、これらを2個以上連結して形成される基から選択される2価の連結基である。
2個以上連結して形成される2価の連結基としては、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−C(=O)NH−、−NHC(=O)−、−C(=O)O(CH2maO−(但し、maは1〜20の整数を表す)等が挙げられる。
さらに、一般式(B)中のMp'が前記Mp−1又はMp−2を表す場合には、L'は、−O−、−NRa11−(Ra11は、水素原子、炭素原子数1〜10の脂肪族炭化水素基を表す。)、−S−、−C(=O)−、−S(=O)2−、及び、炭素原子数1〜20の置換もしくは無置換のアルキレン基、ならびに、これらの2個以上を連結して形成される基から選択される2価の連結基であることが好ましく、−O−、−C(=O)O−、及び、−C(=O)NH−、ならびに、これらの1以上とアルキレン基との組み合わせからなる基から選択される2価の連結基(例えば、前記L−1、L−2、及び、L−3等)がより好ましい。
Rfは、少なくとも一つのフッ素原子が置換した炭素原子数1〜30の脂肪族炭化水素基(例えば、トリフルオロエチル基、パーフルオロヘキシルエチル基、パーフルオロヘキシルプロピル基、パーフルオロブチルエチル基、パーフルオロオクチルエチル基等)等が好ましい例として挙げられる。また、Rfは、末端に、CF3基又はCF2H基を有することが好ましく、CF3基を有することがより好ましい。
Rfとしてより好ましくは、末端にCF3基を有するアルキル基又は末端にCF2H基を有するアルキル基である。末端にCF3基を有するアルキル基は、アルキル基に含まれる水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたアルキル基である。末端にCF3基を有するアルキル基中の水素原子の50%以上がフッ素原子で置換されているアルキル基が好ましく、60%以上が置換されているアルキル基がより好ましく、70%以上が置換されているアルキル基が特に好ましい。残りの水素原子は、さらに後述の置換基群Dとして例示された置換基によって置換されていてもよい。
末端にCF2H基を有するアルキル基は、アルキル基に含まれる水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたアルキル基である。末端にCF2H基を有するアルキル基中の水素原子の50%以上がフッ素原子で置換されているのが好ましく、60%以上が置換されているのがより好ましく、70%以上が置換されているのが特に好ましい。残りの水素原子は、さらに後述の置換基群Dとして例示された置換基によって置換されていてもよい。
置換基群D
アルキル基(好ましくは炭素原子数(該置換基が有する炭素原子数をいう、以下、置換基群Dについて同じ)1〜20、より好ましくは炭素原子数1〜12、特に好ましくは炭素原子数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは炭素原子数2〜12、特に好ましくは炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは炭素原子数2〜12、特に好ましくは炭素原子数2〜8のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは炭素原子数0〜10、特に好ましくは炭素原子数0〜6のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などが挙げられる)、
アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは炭素原子数1〜12、特に好ましくは炭素原子数1〜8のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは炭素原子数1〜16、特に好ましくは炭素原子数1〜12アシル基であり、例えば、アセチル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは炭素原子数2〜16、特に好ましくは炭素原子数2〜12のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは炭素原子数2〜16、特に好ましくは炭素原子数2〜10のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基などが挙げられる)
アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは炭素原子数2〜16、特に好ましくは炭素原子数2〜10のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは炭素原子数2〜16、特に好ましくは炭素原子数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは炭素原子数1〜16、特に好ましくは炭素原子数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、エタンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは炭素原子数0〜16、特に好ましくは炭素原子数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基などが挙げられる)。
アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは炭素原子数1〜16、特に好ましくは炭素原子数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは炭素原子数1〜16、特に好ましくは炭素原子数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは炭素原子数1〜16、特に好ましくは炭素原子数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、エタンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは炭素原子数1〜16、特に好ましくは炭素原子数1〜12のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは炭素原子数1〜16、特に好ましくは炭素原子数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、シリル基(好ましくは、炭素原子数3〜40、より好ましくは炭素原子数3〜30、特に好ましくは、炭素原子数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基が二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
末端にCF3基を有するアルキル基又は末端にCF2H基を有するアルキル基の例を以下に示す。
R1:n−C817
R2:n−C613
R3:n−C49
R4:n−C817−(CH22
R5:n−C613−(CH23
R6:n−C49−(CH22
R7:H−(CF28
R8:H−(CF26
R9:H−(CF24
R10:H−(CF28−(CH22
R11:H−(CF26−(CH23
R12:H−(CF24−(CH22
R13:n−C715−(CH22
R14:n−C613−(CH23
R15:n−C49−(CH22
以下に、本発明で用いられる、フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される構成単位の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2009193046
Figure 2009193046
また、本発明で用いるポリマーには、一般式(A)で表される構造を含有する構成単位、及び、フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される構成単位の他、これらの構成単位を形成するモノマーと共重合可能なモノマーより誘導される構成単位を含有してもよい。
共重合可能なモノマーとしては、本発明の趣旨を逸脱しない限り、特に制限はない。好ましいモノマーとしては、例えば、炭化水素系ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリマレインイミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアニリド等)、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカルボナート、ポリアミド、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリウレタン及びポリウレイドを構成するモノマーでなどが、溶媒への溶解度を向上させたり、ポリマーの凝集を防止する観点で好ましく用いることができる。
さらに、主鎖構造が、一般式(A)で表される基が構成するものと、同一となる構成単位が好ましい。
以下に共重合可能な構成単位の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によってなんら制限されるものではない。特に、C−2、C−3、C−10、C−11、C−12、C−19が好ましく、C−11、C−19がさらに好ましい。
Figure 2009193046
Figure 2009193046
本発明で用いるポリマーにおける、一般式(A)で表される基の含有率としては、1〜90質量%が好ましく、3〜80質量%がより好ましい。
本発明で用いるポリマーにおけるフルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される繰り返し単位(好ましくは、一般式(B)で表される基)の含有率としては、5〜90質量%が好ましく、10〜80%がより好ましい。
上記2種以外の構成単位の含有率としては、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。
例えば、ポリマーに含まれる一般式(B)で表される基が(B−3)の場合は、その含有率は、20〜50質量%であることが好ましく、25〜40質量%であることがさらに好ましく、27〜38質量%であることが最も好ましい。
また、これらの共重合体は、各構成単位が不規則的に導入されたランダム共重合体であっても、規則的に導入されたブロック共重合体であってもよく、ブロック共重合体である場合の各構成単位は、如何なる導入順序で合成されたものであってもよく、同一の構成成分を2度以上用いてもよい。
また、一般式(A)で表される基、一般式(B)で表される基等は、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってもよい。一般式(A)の構成単位を2種以上含む場合には、Xが同一縮合環骨格(置換と無置換の組み合わせ)であるのが好ましい。2種類以上の場合、上記含有率は、合計含有率である。
例えば、ポリマーに含まれる一般式(B)で表される基として(B−1)と(B−3)の2種類を有してもよい。その合計含有率は、20〜60質量%であることが好ましく、25〜55質量%であることがさらに好ましく、30〜50質量%であることがよりさらに好ましい。
さらに、本発明で用いるポリマーの分子量範囲は、数平均分子量(Mn)で、好ましくは1000〜100万であり、より好ましくは3000〜20万であり、さらに好ましくは5000〜10万である。また、本発明で用いるポリマーの分子量分布(Mw/Mn、Mwは重量平均分子量)は、1〜4であることが好ましく、1.5〜4であることがより好ましい。
本発明で用いるポリマーの添加量範囲は、液晶性化合物に対して、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは、0.1〜5.0質量%であり、さらに好ましくは、0.5〜2.5質量%である。
本発明のポリマーとして好ましい具体例を以下の表1に示す。
Figure 2009193046
用いるポリマーは1種類のみであってもよいし、2種類以上であってもよい。2種類以上用いる場合には、一般式(A)と一般式(B)で表される基のいずれか一方もしくは両方を構成単位として共通して含むことが好ましい。例えば、表1中の化合物では、いずれもA−6を共通して含むので、2種類以上を好ましく併用できる。AD−1とAD−5、あるいは、AD−8とAD−9は、A−6及びB−3を共通して含み、さらに、B−3の組成比が共に等しいので、最も好ましい組み合わせである。
本発明で用いるポリマーの合成は、既知の方法を適用して行うことができる。本発明で用いるポリマーは、付加、縮合及び置換反応などのいずれか又はこれを組み合わせて合成することができる。特に制限はないが、本発明で用いるポリマーがエチレン性の繰り返し単位を含有する場合は、該繰り返し単位に相当するエチレン性不飽和化合物のラジカル重合反応を利用して合成するのが簡便で好ましい。
第1の光学異方性層は、ディスコティック液晶性化合物、前記ポリマー、及び必要に応じて後述の重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。
塗布液の調製に使用する溶媒は、有機溶媒が好ましい。有機溶媒の例には、アミド(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例えば、ピリジン)、炭化水素(例えば、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
塗布液の塗布は、公知の方法(例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
第1の光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.3〜10μmであることがより好ましく、0.5〜5μmであることが更に好ましい。
配向させたディスコティック液晶性化合物を、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。これらのうち、光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号明細書、及び米国特許第2367670号明細書に記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書に記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書に記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、及び米国特許第2951758号明細書に記載)、トリアリールイミダゾールダイマーと、p−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書に記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、及び米国特許第4239850号明細書に記載)、及びオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書に記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲にあることが更に好ましい。
液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20〜50J/cm2が好ましく、20〜5,000mJ/cm2がより好ましく、100〜800mJ/cm2が更に好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
また、保護層を、第1の光学異方性層の上に設けてもよい。
<第2の光学異方性層>
本発明の光学補償フィルムは、第1の光学異方性層の他に、光学異方性を呈する第2の光学異方性層を有することが好ましい。
この第2の光学異方性層は、第1の光学異方性層の支持体として機能するとともに、光学補償フィルムとしての光学特性の制御幅を広げ、液晶表示装置の表示特性を向上させる機能を有する。すなわち、第2の光学異方性層は、光学異方性を持たせた前述の「支持体」とみなすこともできる。
本発明における第2の光学異方性層は、少なくとも1枚のポリマーフィルムからなる。ここで、ポリマーフィルムからなるとは、ポリマーのみから構成されているものの他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の物質を含んでいてもよい。すなわち、ポリマーを主成分とするフィルムを含む趣旨である。
第2の光学異方性層は、具体的には、波長550nmの光で測定したRth値が、40〜300nmの範囲であることが好ましく、60〜200nmであることが更に好ましい。
また、第2の光学異方性層のRe値は、0〜200nmであることが好ましく、3〜100nmであることが更に好ましい。このようなRth値、及びRe値のものを採用することにより、液晶表示装置としての視野角特性などの表示特性が向上するという利点がある。
第2の光学異方性層を構成するポリマーフィルムは、1枚であっても、2枚以上でもよい。但し、上記Re値及びRth値は、1枚のポリマーフィルムで実現することが可能である。従って、第2の光学異方性層は、1枚のポリマーフィルムからなることが好ましい。
第2の光学異方性層に採用されるポリマーは、セルロース系ポリマーが好ましく、セルロースエステルがより好ましく、セルロースアシレートがより好ましい。セルロースアシレートを採用することにより、上記のような光学特性の制御が可能となるという利点がある。
特に、セルロースの低級脂肪酸エステルが好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数が2〜4のセルロースアシレートが好ましく、セルロースアセテートが更に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。
セルロースアセテートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることが更に好ましい。また、セルロースアセテートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値は、1.00〜1.70であることが好ましく、1.30〜1.65であることがより好ましく、1.40〜1.60であることが特に好ましい。
セルロースアセテートの酢化度は、55.0〜62.5%が好ましく、57.0〜62.0%が更に好ましい。酢化度は、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定及び計算によって求められる。
セルロースアセテートでは、セルロースの2位、3位、6位のヒドロキシルが均等に置換されるのではなく、6位の置換度が小さくなる傾向がある。第2の光学異方性層におけるセルロースアセテートでは、セルロースの6位置換度が、2位、3位に比べて同程度又は多い方が好ましい。
2位、3位、6位の置換度の合計に対する、6位の置換度の割合は、30〜40%であることが好ましく、31〜40%であることがより好ましく、32〜40%であることが更に好ましい。6位の置換度は、0.88以上であることが好ましい。
セルロースアシレート及びその合成方法は、例えば、発明協会公開技報(公技番号2001−1745号、9頁、2001年3月15日発行、発明協会)に記載されている方法を採用できる。
セルロースアセテートのレターデーションを調整するためには、延伸のような外力を与える方法を一例としてあげることができる。レターデーション上昇剤を、光学異方性を調節するために添加してもよい。レターデーション上昇剤は、芳香族環を少なくとも2つ有する芳香族化合物が好ましい。芳香族化合物は、ポリマー100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用することが好ましい。また、2種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。
レターデーション上昇剤については、欧州特許出願公開第0911656号明細書、特開2000−111914号公報、特開2000−275434号公報に記載のレターデーション上昇剤を好ましく採用できる。
セルロースアセテートフィルムの吸湿膨張係数は、30×10-5/%RH以下が好ましく、15×10-5/%RH以下がより好ましく、10×10-5/%RH以下が更に好ましい。
吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10-5/%RH以上の値になる。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。吸湿膨張係数を調節することで、光学補償フィルムの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇(歪みによる光漏れ)を防止することができる。
吸湿膨張係数の測定では、まず、ポリマーフィルムから幅5mm、長さ20mmの試料を切り出し、片方の端を固定して25℃、20%RH(R0)の雰囲気下にぶら下げる。
他方の端に0.5gの重りをぶら下げて、10分間放置し、長さ(L0)を測定する。次に、温度は25℃のまま、湿度を80%RH(R1)にして、長さ(L1)を測定する。吸湿膨張係数は下記式により算出する。測定は同一試料につき10サンプルで行い、平均値を採用する。
[式] 吸湿膨張係数[/%RH]={(L1−L0)/L0}/(R1−R0
セルロースアセテートフィルムの吸湿による寸度変化を小さくするには、疎水性化合物を添加することが好ましい。疎水性化合物は、微粒子の状態であってもよい。
疎水性化合物は、可塑剤又は劣化防止剤から選択して用いることが好ましい。疎水性化合物は、疎水性基として炭化水素基(脂肪族基、芳香族基)を有することが好ましい。
疎水性化合物の添加量は、調製するポリマー溶液(ドープ)の0.01〜10質量%が好ましい。
ポリマーフィルムの吸湿による寸度変化を小さくするには、ポリマーフィルム中の自由体積を小さくする方法も有効である。例えば、後述するソルベントキャスト法における残留溶剤量を少なくすると、自由体積が小さくなる。ポリマーフィルムに対する残留溶剤量が0.01〜1.00質量%となる条件で、ポリマーフィルムを乾燥することが好ましい。
ポリマーフィルムの添加剤の例には、紫外線防止剤、剥離剤、帯電防止剤、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)、赤外吸収剤が含まれる。
ポリマーフィルムが多層から形成される場合、各層における添加剤の種類や添加量が異なってもよい。添加剤については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745号、16〜22頁、2001年3月15日発行、発明協会)に記載がある。添加剤の使用量は、一般に、ポリマーフィルムの0.001〜25質量%の範囲である。
セルロースアセテートフィルムは、ソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ソルベントキャスト法では、ポリマー材料を有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
有機溶剤は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル及び炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−、及びCOO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。
有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が、3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール、及びフェネトールが含まれる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテートが含まれる。
2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール、及び2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75mol%であることが好ましく、30〜70mol%であることがより好ましく、35〜65mol%であることが更に好ましく、40〜60mol%であることが特に好ましい。メチレンクロライドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
一般的な方法でセルロースアセテート溶液を調製できる。一般的な方法では、例えば、処理温度は、0℃以上の温度(常温又は高温)である。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法及び装置を用いて実施することができる。
なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特に、メチレンクロライド)を用いることが好ましい。セルロースアセテートの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースアセテートの量は、10〜30質量%であることが更に好ましい。
有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。溶液は、常温(例えば、0〜40℃)でセルロースアセテートと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧及び加熱条件下で攪拌してもよい。
具体的には、セルロースアセテートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、例えば、40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、更に好ましくは80〜110℃である。
各成分は、予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。また、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒中にもセルロースアセテートを溶解させることができる。
なお、通常の溶解方法でセルロースアセテートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られる利点がある。
冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースアセテートを撹拌しながら徐々に添加する。セルロースアセテートの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。更に、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物を、例えば、−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、より好ましくは−50〜−20℃、更に好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。
冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。
このように冷却すると、セルロースアセテートと有機溶媒の混合物は固化する。冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがより好ましく、12℃/分以上であることが更に好ましい。
冷却速度は、速いほど好ましいが、10,000℃/秒が理論的な上限であり、1,000℃/秒が技術的な上限であり、そして、100℃/秒が実用的な上限である。
なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
更に、前記混合物を、例えば、0〜200℃(好ましくは0〜150℃、より好ましくは0〜120℃、更に好ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアセテートが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよく、温浴中で加温してもよい。加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがより好ましく、12℃/分以上であることが更に好ましい。
一方、加温速度は、速いほど好ましいが、10,000℃/秒が理論的な上限であり、1,000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。
なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を、加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却及び加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察することで判断できる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時に減圧すると、溶解時間を短縮することができる。
加圧及び減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。
したがって、この溶液は、例えば、疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保する必要がある。
ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
調製したセルロースアセテート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアセテートフィルムを製造する。
前記ドープは、ドラム又はバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。前記ドラム又はバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
ソルベントキャスト法における流延及び乾燥方法については、例えば、米国特許第2336310号明細書、米国特許第2367603号明細書、米国特許第2492078号明細書、米国特許第2492977号明細書、米国特許第2492978号明細書、米国特許第2607704号明細書、米国特許第2739069号明細書、米国特許第2739070号明細書、英国特許第640731号明細書、英国特許第736892号明細書、特公昭45−4554号公報、特公昭49−5614号公報、特開昭60−176834号公報、特開昭60−203430号公報、特開昭62−115035号公報に記載のものを採用できる。
前記ドープは、表面温度が10℃以下のドラム、又はバンド上に流延することが好ましく、流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。
また、得られたフィルムをドラム又はバンドから剥ぎ取り、更に100〜160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。
以上の方法は、例えば、特公平5−17844号公報に記載の方法に従って行うことができる。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。また、この方法を実施するためには、流延時のドラム又はバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いて2層以上の流延でフィルム化することもできる。この場合、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを作製することが好ましい。ドープは、ドラム又はバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラム又はバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
2層以上の複数のセルロースアシレート液を流延する場合、複数のセルロースアシレート溶液を流延することが可能で、支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば、特開昭61−158414号公報、特開平1−122419号公報、及び特開平11−198285号公報に記載の方法が適応できる。
また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによってもフィルム化することでもよく、例えば、特公昭60−27562号公報、特開昭61−94724号公報、特開昭61−947245号公報、特開昭61−104813号公報、特開昭61−158413号公報、及び特開平6−134933号公報に記載の方法で実施できる。
また、例えば、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高・低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押出すセルロースアシレートフィルム流延方法を採用してもよい。
また、2個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成型したフィルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行なうことでより、フィルムを作製してもよく、例えば特公昭44−20235号公報に記載されている方法である。
流延するセルロースアシレート溶液は、同一の溶液でもよいし、異なるセルロースアシレート溶液でもよく特に限定されない。複数のセルロースアシレート層に機能を持たせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。
更に、前記セルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することもできる。
従来の単層液では、必要なフィルム厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶液を押出すことが必要であり、その場合、セルロースアシレート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となることが多かった。
この解決策として、例えば、複数のセルロースアシレート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押出すことができ、平面性も良化し、優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアシレート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
セルロースアセテートフィルムには、機械的物性を改良するため、又は乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。
前記可塑剤としては、リン酸エステル、又はカルボン酸エステルが用いられる。
前記リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)及びトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステルが代表的である。
フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)及びジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。
クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)及びO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。
その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。
これらの中でも、フタル酸エステル系可塑剤(例えば、DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく、DEP及びDPPがより好ましい。
前記可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、3〜15質量%であることが更に好ましい。
セルロースアセテートフィルムには、表面処理を施すことが好ましい。
前記表面処理の例には、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、鹸化処理(好ましくは、アルカリ鹸化処理)及び紫外線照射処理が含まれる。
前記表面処理は、例えば、発明協会公開技報(公技番号2001−1745号、30〜32頁、2001年3月15日発行、発明協会)に記載の方法を採用できる。
アルカリ鹸化処理は、セルロースアセテートフィルムを鹸化液中に浸漬するか、鹸化液をセルロースアセテートフィルムに塗布することにより実施する。これらの中でも、塗布による方法が好ましい。
塗布方法には、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法、E型塗布法がある。
アルカリは、アルカリ金属(例えば、カリウム、ナトリウム)の水酸化物が好ましい。すなわち、アルカリ処理液は、アルカリ金属の水酸化物の溶液であることが好ましい。溶液中の水酸化イオンの規定濃度は、0.1〜3.0Nであることが好ましい。
アルカリ処理液には、フィルムに対する濡れ性が良好な溶媒に溶解したり、界面活性剤、湿潤剤(例えば、ジオール、グリセリン)を添加したりして、アルカリ処理液の第2の光学異方性層に対する濡れ性や処理液の安定性を改善できる。
フィルムに対する濡れ性が良好な溶媒としては、例えば、アルコール(例えば、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、メタノール、エタノール)である。
アルカリ処理液の添加剤としては、例えば、特開2002−82226号公報、国際公開WO02/46809号パンフレットに記載の方法を採用できる。
表面処理に代えて、又は表面処理に加えて、下塗り層を設けてもよい。
前記下塗り層は、例えば、特開平7−333433号公報に記載の方法により設けることができる。
また、前記下塗り層は複数層としてもよい。例えば、疎水性基と親水性基との両方を含有するポリマー層を第1下塗り層として設け、その上に配向膜とよく密着する親水性のポリマー層を第2下塗り層として設けることもできる。この場合、例えば、特開平11−248940号公報に記載の方法を採用できる。
<配向膜>
本発明の光学補償フィルムは、前記第1の光学異方性層を形成するのに利用される配向膜を有していてもよい。配向膜としては、ポリビニルアルコール膜やポリイミド膜等を利用でき、所望によりその表面をラビング処理したものを用いることができる。
ラビング処理は、液晶表示装置の液晶配向処理工程として広く採用されているラビング処理方法を応用することができる。すなわち、膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維を用いて一定方向に擦ることにより配向を得る。一般には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布を用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
(偏光板)
本発明は、本発明の光学補償フィルムと、偏光子(偏光膜)とを有する偏光板にも関する。本発明の偏光板において、前記光学補償フィルムを、偏光膜の保護膜としても利用することができる。第2の光学異方性層の裏面(第1の光学異方性層が形成されていない側の面)を、偏光膜側にして貼り合わせるのが好ましい。
偏光膜として、種々のものを用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム等のポリマーフィルムを、ヨウ素又は二色性色素で染色したものなどを使用することができる。
偏光膜の両面には、保護フィルムを配置するのが好ましく、一方の面の保護フィルムとして、本発明の光学補償フィルムを用いるのが好ましい。例えば、保護フィルム/偏光膜/第2の光学異方性層/第1の光学異方性層、又は保護フィルム/偏光膜/第2の光学異方性層/配向膜/第1の光学異方性層の順に積層された積層体が好ましい。偏光膜と、第1の光学異方性層の表面側とを貼りあわせてもよい。貼り合せには接着剤を用いることができ、該接着剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基による変性ポリビニルアルコールを含む)やホウ素化合物水溶液が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。
接着剤層の厚みは、乾燥後に0.01〜10μmであることが好ましく、0.05〜5μmであることが更に好ましい。
偏光板の表面には、光拡散フィルム、又は防眩性フィルムを貼り合わせてもよい。
偏光膜を液晶表示装置に用いる場合、視認側表面に反射防止層を設置するのが好ましい。反射防止層を偏光膜の視認側の保護層と兼用してもよい。
液晶表示装置の視角による色味変化抑制の観点から、反射防止層の内部ヘイズを50%以上にすることが好ましい。反射防止層は、例えば、特開2001−33783号公報、特開2001−343646号公報、及び特開2002−328228号公報に記載のものを採用できる。
(液晶表示装置)
本発明は、前記光学補償フィルム又は前記偏光板を有する液晶表示装置にも関する。前記光学補償フィルムや前記偏光板はTNモード、OCBモード、VAモード、IPSモード等の液晶表示装置に好ましく用いることができ、特に、TNモード又はOCBモード液晶表示装置に適する。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
(光学補償フィルムの作製)
<第2の光学異方性層(支持体)の作製>
<<セルロースアセテート溶液の調製>>
下記表1に示す組成物をミキシングタンクに投入し、30℃に加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、内層用、及び外層用のセルロースアセテート溶液(ドープ)を調製した。
Figure 2009193046
Figure 2009193046
得られた内層用ドープ、及び外層用ドープを、三層共流延ダイを用いて、0℃に冷却したドラム上に流延した。残留溶剤量が70質量%のフィルムをドラムから剥ぎ取り、両端をピンテンターにて固定して搬送方向のドロー比を110%として搬送しながら80℃で乾燥させ、残留溶剤量が10%となったところで、110℃で乾燥させた。その後、140℃の温度で30分乾燥し、残留溶剤が0.3質量%のセルロースアセテートフィルム(外層:3μm、内層:74μm、外層:3μm)を製造した。作製したセルロースアセテートフィルムについて、光学特性を測定した。
得られたセルロースアセテートの幅は1,340mmであり、厚さは、80μmであった。KOBRA 21ADHを用いて、波長550nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、6nmであった。また、波長550nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、90nmであった。
<第2の光学異方性層の鹸化処理>
作製した第2の光学異方性層の一方の面に、1.5Nの水酸化カリウムのイソプロピルアルコール溶液を25mL/m2塗布し、25℃で5秒間放置した後、流水で10秒洗浄し、25℃の空気を吹き付けることでフィルムの表面を乾燥した。このようにして、第2の光学異方性層の一方の表面のみを鹸化した。
<<配向膜の形成>>
第2の光学異方性層の鹸化処理した面に、下記の組成の配向膜塗布液を#18のワイヤーバーコーターで31mL/m2塗布した。100℃の温風で120秒乾燥した。
続いて、セルロースアセテートフィルムの長手方向に対して0°の方向に、形成した配向膜にラビング処理を行った。
[配向膜塗布液組成]
・下記一般式(B)に示す変性ポリビニルアルコール 10質量部
・水 371質量部
・メタノール 119質量部
・グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
Figure 2009193046
<第1の光学異方性層の形成>
284質量部のメチルエチルケトンに、下記に示すディスコティック液晶性化合物(D−1)90質量部、ディスコティック液晶性化合物(D−2)10質量部、下記に示すフルオロ脂肪族基含有ポリマー(F−1)0.9質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3質量部、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1質量部を溶解して塗布液(1)を調製した。
Figure 2009193046
Figure 2009193046
Figure 2009193046
上記塗布液(1)を、#2.5のワイヤーバーを1,860回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、36m/分で搬送されている上記ロールフィルムのラビング処理を施した配向膜面に連続的に塗布した。室温から100℃に連続的に加温する工程で、溶媒を乾燥させ、その後、115℃の乾燥ゾーンで、ディスコティック液晶性化合物層にあたる膜面風速がフィルム搬送方向に平行に1.5m/secとなるようにし、約90秒間加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。
次に、高圧水銀灯(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、架橋反応を進行させ、ディスコティック液晶性化合物をその配向に固定した。その後、室温まで放冷し、円筒状に巻き取ってロール状の形態にして、光学補償フィルム(1)を作製した。
第1の光学異方性層の厚みは、830mであった。KOBRA 21ADHを用いて、波長550nmでRe(550)を測定したところ、48.2nmであった。また、波長450nm、650nmでレターデーションを測定したところ、Re(450)/Re(650)は1.17であった。
光学補償フィルム(1)の第1の光学異方性層表面をAFM(SPA400、SII製)を用いて観察し、10μm×10μmの範囲の表面平均面粗さ(Ra)を求めた。また、フィルムを温度25℃、湿度60%RHの環境下に1晩以上置いた後、水及びジヨードメタンの接触角を測定し、Owens and Wendtの式を用いて表面エネルギーを求めた。結果を表3に示す。
(偏光板の作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%のヨウ素水溶液中に30℃で60秒浸漬して染色し、次いでホウ酸濃度4質量%濃度のホウ酸水溶液中に60秒浸漬している間に元の長さの5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光膜を得た。
光学補償フィルム(1)を1.5モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。
前記のように鹸化処理を行った光学補償フィルム(1)を、同じく鹸化処理を行った市販のセルロースアセテートフィルムと組合せて前記の偏光膜を挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せ偏光板を得た。
ここで、市販のセルロースアセテートフィルムとしてはフジタックTF80UL(富士フイルム(株)製)を用いた。このとき、偏光膜及び偏光膜両側の保護膜はロール形態で作製されているため各ロールフィルムの長手方向が平行となっており連続的に貼り合わされる。
したがって、光学補償フィルムロール長手方向(セルロースアセテートフィルムの流延方向)と偏光子吸収軸とは平行な方向となった。
(TN型液晶表示装置の作製)
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(AL2216W、日本エイサー(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに上記の作製した偏光板を、光学補償フィルム(1)が液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側及びバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。このとき、観察者側の偏光板の透過軸と、バックライト側の偏光板の透過軸とが直交するように配置した。
測定機(EZ−CONTRAST、ELDIM社製)を用い、黒表示(L0)及び白表示(L7)の正面輝度及び輝度や色味の視野角依存性を測定した。測定結果を表2に示す。また、第1の光学異方性層の面状に由来するムラの評価を目視により行った。
(実施例2)
(光学補償フィルムの作製)
上記実施例1において、第1の光学異方性層を形成する際に用いる塗布液(1)のフルオロ脂肪族基含有ポリマー(F−1)を、下記のフルオロ脂肪族基含有ポリマー(F−2)にする以外は、実施例1と同様にして光学補償フィルム(2)を作製した。
Figure 2009193046
(偏光板及び液晶表示装置の作製)
この光学補償フィルムを用いて、上記実施例1と同様に偏光板を作製し、続いて、TN型液晶表示装置を作製した。また、実施例1と同様の方法で、光学異方性層の表面エネルギー、表平均面粗さを測定し、また、作製した液晶表示装置について、正面コントラスト、視野角依存性、色味、面状(ムラの有無)について測定、評価した。結果を表3に示す。
(実施例3)
(光学補償フィルムの作製)
上記実施例1において、第1の光学異方性層を形成する際に用いる塗布液(1)のフルオロ脂肪族基含有ポリマー(F−1)1質量部に替えて、フルオロ脂肪族基含有ポリマー(F−1)0.45質量部及び下記のフルオロ脂肪族基含有ポリマー(F−3)0.45質量部にする以外は実施例1と同様にして光学補償フィルム(3)を作製した。
Figure 2009193046
(偏光板及び液晶表示装置の作製)
この光学補償フィルムを用いて、上記実施例1と同様に偏光板を作製し、続いて、TN型液晶表示装置を作製した。また、実施例1と同様の方法で、光学異方性層の表面エネルギー及び表面平均粗さを測定し、作製した液晶表示装置について、正面コントラスト、視野角依存性、色味、面状(ムラの有無)について測定、評価した。結果を表3に示す。
(比較例1)
(光学補償フィルムの作製)
<第1の光学異方性層の形成>
215質量部のメチルエチルケトンに、上記ディスコティック液晶性化合物(D−2)91質量部、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)9質量部、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.75質量部、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.25質量部、下記に示すフルオロ脂肪族基含有ポリマー(F−H1)0.5質量部、下記に示すフルオロ脂肪族基含有ポリマー(F−H2)0.05質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3質量部、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1質量部を溶解して塗布液(H1)を調製した。
Figure 2009193046
Figure 2009193046
上記実施例3と同様にして、第2の光学異方性層、及び配向膜をこの順に形成し、該配向膜上に、塗布液(H1)を、#3.2のワイヤーバーを1,860回転でフィルムの搬送方向と同じ方向に回転させて、36m/分で搬送されている上記ロールフィルムの配向膜面に連続的に塗布した。
その後、室温から100℃に連続的に加温する工程で、溶媒を乾燥させ、その後、135℃の乾燥ゾーンで、ディスコティック液晶性化合物層にあたる膜面風速がフィルム搬送方向に平行に1.5m/secとなるようにし、約120秒間加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。
次に、高圧水銀灯(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、架橋反応を進行させ、ディスコティック液晶性化合物をその配向に固定した。その後、室温まで放冷し、円筒状に巻き取ってロール状の形態にして、比較例1の光学補償フィルム(H1)を作製した。
<<光学特性の測定>>
上記と同様の手法でガラス板上に配向膜を作製し、その配向膜上に上記と同様の方法で第1の光学異方性層を形成し、KOBRA 21ADHを用いて、波長550nmでRe(550)を測定したところ、50.3nmであった。また、波長450nm、650nmでレターデーションを測定したところ、Re(450)/Re(650)は1.27であった。
(偏光板及び液晶表示装置の作製)
この光学補償フィルムを用いて、上記実施例1と同様に偏光板を作製し、続いて、TN型液晶表示装置を作製した。また、実施例1と同様の方法で、光学異方性層の表面エネルギー及び平均表面粗さを測定し、液晶表示装置について、正面コントラスト、視野角依存性、色味、面状(ムラの有無)について測定、評価した。結果を表3に示す。
(比較例2)
(光学補償フィルムの作製)
上記比較例1において、第1の光学異方性層を形成する際に用いる塗布液(H1)のフルオロ脂肪族基含有ポリマー(F−H1)及び(F−H2)に替えて、下記のフルオロ脂肪族基含有ポリマー(F−H3)0.3質量部にする以外は比較例1と同様にして光学補償フィルム(H2)を作製した。
Figure 2009193046
(偏光板及び液晶表示装置の作製)
この光学補償フィルムを用いて、上記実施例1と同様に偏光板を作製し、続いて、TN型液晶表示装置を作製した。また、実施例1と同様の方法で、光学異方性層の表面エネルギー及び平均表面粗さを測定し、液晶表示装置について、正面コントラスト、視野角依存性、色味、面状(ムラの有無)について測定、評価した。結果を表3に示す。
Figure 2009193046
(実施例4〜9)
実施例1と同様に第2の光学異方性層(支持体)を作製し、同様に、鹸化処理、及びその表面に配向膜を形成した。
<第1の光学異方性層の形成>
284質量部のメチルエチルケトンに、下記表4に示すディスコティック液晶性化合物Aを90質量部、ディスコティック液晶性化合物Bを10質量部、実施例1で使用したフルオロ脂肪族基含有ポリマー(F−1)0.9質量部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)3質量部、及び増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)1質量部を溶解して塗布液(4)〜(9)をそれぞれ調製した。
Figure 2009193046
(光学補償フィルムの作製)
塗布液(1)の代わりに、塗布液(4)〜(9)のそれぞれを用いた以外は、実施例1と同様にして、第1の光学異方性層を形成し、光学補償フィルム(4)〜(9)をそれぞれ作製した。
(偏光板及び液晶表示装置の作製)
この光学補償フィルムを用いて、上記実施例1と同様に偏光板を作製し、続いて、TN型液晶表示装置を作製した。また、実施例1と同様の方法で、光学異方性層の表面エネルギー、表平均面粗さを測定し、また、作製した液晶表示装置について、正面コントラスト、視野角依存性、色味、面状(ムラの有無)について測定、評価した。結果を表5に示す。
Figure 2009193046
表3及び表5に示す結果から、本発明の実施例である光学補償フィルム(1)〜(9)を使用した液晶表示装置(実施例1〜9)は、いずれも正面コントラストが高く、斜め方向の色味変化も小さく、ムラも観察されなかったことが理解できる。

Claims (9)

  1. 液晶組成物を配向状態に固定してなる光学異方性層を含む光学補償フィルムであって、前記光学異方性層の表面エネルギーが27mN/m以下であり、表面平均粗さ(Ra)が1.0nm以下である光学補償フィルム。
  2. 前記液晶組成物が、液晶性化合物の少なくとも一種と、下記一般式(A)で表される構成単位及びフルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される構成単位を含むポリマーの少なくとも一種とを含有する請求項1に記載の光学補償フィルム:
    Figure 2009193046
    一般式(A)中、Mpはポリマー主鎖の一部を構成する3価の基を表し、Lは単結合又は2価の連結基を表し、Xは置換もしくは無置換の芳香族縮合環官能基を表す。
  3. 前記一般式(A)中のXが、炭素原子数5〜30の無置換もしくは置換の芳香族縮合環官能基である請求項2に記載の光学補償フィルム。
  4. 前記一般式(A)中のXが、炭素原子数10〜20の無置換もしくは置換のナフチル基である請求項2又は3に記載の光学補償フィルム。
  5. 前記一般式(A)において、前記Mpが下記Mp−1又はMp−2を表し、前記Lが、−O−、−NRa11−(Ra11は、水素原子、炭素原子数1〜10の脂肪族炭化水素基を表す。)、−S−、−C(=O)−、−S(=O)2−、及び、炭素原子数1〜20の置換もしくは無置換のアルキレン基、ならびに、これらの2個以上を連結して形成される基から選択される2価の連結基を表す請求項2〜4のいずれか1項に記載の光学補償フィルム:
    Figure 2009193046
    *は、Lとの連結位置を示す。
  6. 前記フルオロ脂肪族基含有モノマーより誘導される構成単位が、下記一般式(B)で表される構成単位である請求項2〜5のいずれか1項に記載の光学補償フィルム:
    Figure 2009193046
    一般式(B)中、Mp'はポリマー主鎖の一部を構成する3価の基を表し、L'は単結合又は2価の連結基を表し、Rfは少なくとも一つのフッ素原子を含有する置換基を表す。
  7. 前記光学異方性層の、波長450nmの面内レターデーション値Re(450nm)及び波長650nmの面内レターデーション値Re(650nm)が、下記式を満たす請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学補償フィルム。
    Re(450nm)/Re(650nm)<1.25
  8. 偏光子と請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学補償フィルムとを含む偏光板。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学補償フィルム、又は請求項8に記載の偏光板を含む液晶表示装置。
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