JP2009191213A - 環状アミド基を有するシアニン化合物及びそれを含む近赤外吸収組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規なシアニン化合物及び耐熱堅牢性に優れた実用的な近赤外吸収組成物を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表される化合物及びそれを含有する近赤外吸収組成物。
[式中、Z1及びZ2は、それぞれ独立して、−NHCO−基を含む、5または6員環を形成する非金属原子群を表わし、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、それぞれ独立して、置換基を有してもよい脂肪族基を表わし、R3とR4、及びR5とR6は、それらがそれぞれ独立して、互いに連結して5または6員環を形成してもよい。L1は、置換基を有してもよい5または7個のメチンからなるメチン鎖を表わし、X−はアニオンを表わし、cは0または1である。]
【選択図】なし
【解決手段】一般式(1)で表される化合物及びそれを含有する近赤外吸収組成物。
[式中、Z1及びZ2は、それぞれ独立して、−NHCO−基を含む、5または6員環を形成する非金属原子群を表わし、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、それぞれ独立して、置換基を有してもよい脂肪族基を表わし、R3とR4、及びR5とR6は、それらがそれぞれ独立して、互いに連結して5または6員環を形成してもよい。L1は、置換基を有してもよい5または7個のメチンからなるメチン鎖を表わし、X−はアニオンを表わし、cは0または1である。]
【選択図】なし
Description
本発明は、新規なシアニン化合物及びそれを含む近赤外吸収組成物に関する。
インドレニンシアニン化合物は種々知られている(特許文献1、2)。しかし、−NHCO−基を含む縮環型インドレニンシアニン化合物は知られていない。また、シアニン化合物の会合体は近赤外吸収組成物として知られている(特許文献1、2)。
一方、近赤外吸収色素は、熱線吸収フィルター、バンドパスフィルター、光学フィルター等のフィルター染料、不可視印刷用のインク、レーザー光反射防止用としての赤外線吸収塗料、フラッシュトナー、電子写真感光体、光重合または光架橋用の増感剤、光ディスク等の光記録材料、光センサー等の用途に有用である。
熱線吸収フィルターにおける近赤外吸収色素の使用形態としては、透明プラスチックに含有させる、透明プラスチックあるいは透明ガラスの表面に塗布する等の手段がある。これにより、透明な熱線遮断フィルターが得られる。用途としては、メガネ、自動車あるいは建材の熱線遮光剤等が挙げられる。
熱線吸収フィルターにおける近赤外吸収色素の使用形態としては、透明プラスチックに含有させる、透明プラスチックあるいは透明ガラスの表面に塗布する等の手段がある。これにより、透明な熱線遮断フィルターが得られる。用途としては、メガネ、自動車あるいは建材の熱線遮光剤等が挙げられる。
CCD等の撮像素子に近赤外線吸収フィルターを光学フィルターとして用いることも可能である。これら撮像素子に近赤外線吸収光学フィルターを用い、入射する近赤外線を遮断することにより、該撮像素子の分光感度を視感度に近づけることができる。この近赤外吸収フィルターとして近赤外吸収色素を用いることができる。
プラズマディスプレイ(PDP)の画像表示装置の表面に、誤動作防止のために、近赤外吸収フィルターとして近赤外吸収色素を用いることが出来る。
近赤外吸収色素を不可視印刷用のインクとして用いた場合、機密文書の複写防止が可能となる。
プラズマディスプレイ(PDP)の画像表示装置の表面に、誤動作防止のために、近赤外吸収フィルターとして近赤外吸収色素を用いることが出来る。
近赤外吸収色素を不可視印刷用のインクとして用いた場合、機密文書の複写防止が可能となる。
従来、近赤外線吸収色素としてシアニン色素、オキシム、またはチオールの金属錯体、ナフトキノン化合物、フタロシアニン化合物、及びナフタロシアニン化合物が知られているが、耐熱堅牢性が低いという問題点があった。
以上のように、種々の用途で近赤外吸収色素が求められているが、従来知られている近赤外吸収色素は、熱堅牢性の観点では、いまだ満足できる性能のものではなかった。
本発明は、新規なシアニン化合物(シアニン色素)及びそれを含む耐熱堅牢性に優れた近赤外吸収組成物の提供を目的とする。本発明はこの近赤外吸収組成物を用いた近赤外吸収フィルターを提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の化学構造を有するシアニン化合物が近赤外領域に吸収極大を有し、熱堅牢性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。その具体的手段は以下のとおりである。
<1> 一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする近赤外吸収組成物。
[式中、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、−NHCO−基を含む5または6員環を形成する非金属原子群を表わし、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい脂肪族基を表わし、R3とR4、及びR5とR6は、それらがそれぞれ独立に、互いに連結して5または6員環を形成してもよい。L1は、置換基を有してもよい5または7個のメチンからなるメチン鎖を表わし、X−はアニオンを表わし、cは0または1である。]
<2>一般式(2)で表される化合物を含むことを特徴とする<1>記載の近赤外吸収組成物。
<2>一般式(2)で表される化合物を含むことを特徴とする<1>記載の近赤外吸収組成物。
[式中、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12は、各々独立に、置換基を有してもよい脂肪族基を表わし、R9とR10、及びR11とR12は、それらがそれぞれ独立に、互いに結合して環を形成してもよい。L2は、置換基を有してもよい5または7個のメチンからなるメチン鎖を表わし、X−はアニオンを表わし、cは0または1である。]
<3> 一般式(3)で表される化合物を含むことを特徴とする一般式<2>記載の近赤外吸収組成物。
<3> 一般式(3)で表される化合物を含むことを特徴とする一般式<2>記載の近赤外吸収組成物。
[式中、R13、R14、R15、R16、R17、及びR18は、各々独立に、置換基を有してもよい脂肪族基を表わし、R15とR16、及びR17とR18は、それらがそれぞれ独立に、互いに結合して環を形成してもよい。R19及びR20は、水素原子を表わし、または互いに結合して5、6、または7員環を形成してもよい。R21は一価の基を表し、X−はアニオンを表わし、cは0または1である。]
<4> 前記化合物が会合体を形成している色素であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の近赤外吸収組成物。
<5> 近赤外吸収領域が、吸収波長700nm〜1000nmの領域であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の近赤外吸収組成物。
<6> シアニン化合物の固体微粒子分散体を含むことを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載の近赤外吸収組成物。
<7> 近赤外吸収フィルターであることを特徴とする<1>〜<6>のいずれかに記載の近赤外吸収組成物。
<8> 一般式(2)で表される化合物。
<4> 前記化合物が会合体を形成している色素であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の近赤外吸収組成物。
<5> 近赤外吸収領域が、吸収波長700nm〜1000nmの領域であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれかに記載の近赤外吸収組成物。
<6> シアニン化合物の固体微粒子分散体を含むことを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載の近赤外吸収組成物。
<7> 近赤外吸収フィルターであることを特徴とする<1>〜<6>のいずれかに記載の近赤外吸収組成物。
<8> 一般式(2)で表される化合物。
[式中、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12は、各々独立に、置換基を有してもよい脂肪族基を表わし、R9とR10、及びR11とR12は、それらがそれぞれ独立に、互いに結合して環を形成してもよい。L2は、置換基を有してもよい5または7個のメチンからなるメチン鎖を表わし、X−はアニオンを表わし、cは0または1である。]
<9> 一般式(3)で表される化合物。
<9> 一般式(3)で表される化合物。
[式中、R13、R14、R15、R16、R17、及びR18は、各々独立に、置換基を有してもよい脂肪族基を表わし、R15とR16、及びR17とR18は、それらがそれぞれ独立に、互いに結合して環を形成してもよい。R19及びR20は、水素原子を表わし、または互いに結合して5、6、または7員環を形成してもよい。R21は一価の基を表し、X−はアニオンを表わし、cは0または1である。]
<10> 一般式(4)で表される化合物。
<10> 一般式(4)で表される化合物。
[式中、R22は、置換基を有してもよい脂肪族基を表わし、X−はアニオンを表わし、cは0または1である。]
本発明の新規なシアニン化合物を含む近赤外吸収組成物は、近赤外領域に吸収を示し、耐熱堅牢性が高く、実用的な光学材料として良好な特性を発揮することができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
先ず、一般式(1)で表される化合物について説明する。
先ず、一般式(1)で表される化合物について説明する。
[式中、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、−NHCO−基を含む5または6員環を形成する非金属原子群を表わし、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい脂肪族基を表わし、R3とR4、及びR5とR6は、それらがそれぞれ独立に、互いに連結して5または6員環を形成してもよい。L1は、置換基を有してもよい5または7個のメチンからなるメチン鎖を表わし、X−はアニオンを表わし、cは0または1である。]
Z1及びZ2で表わされる−NHCO−基を含む非金属原子群で形成されるインドレニン環としては、次に示す化合物が挙げられる(前記一般式(1)で示される化合物中、L1(メチン鎖)の左のカチオン部のみ示す)。
前記化合物中、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい脂肪族基を表わし、R3とR4は、R5とR6から独立に、互いに連結して5または6員環を形成してもよい。これらのうち、特に好ましくは、(a)の化合物である。
本明細書において、脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、または置換アルキニル基を意味する。アルキル基は、環状であってもよい。鎖状アルキル基は、分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1乃至20が好ましく、1乃至12がさらに好ましく、1乃至8が最も好ましい。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及び2−エチルヘキシル基が含まれる。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル基が好ましく、メチル及びエチル基が特に好ましい。
置換アルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。置換アルキル基の置換基の例に、ハロゲン原子(F,Cl,Br,I)、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、ウレイド基、ウレタン基、メルカプト基、スルホ基、スルファモイル基、芳香族基、複素環基、−O−R、−CO−R、−CO−O−R、−O−CO−R、−NH−R、−N(R)2、−NH−CO−R、−CO−NH−R、−CO−N(R)2、−NH−CO−NH−R、−NH−CO−N(R)2、−NH−CO−O−R、−S−R、−SO2−R、−SO2−O−R、−NH−SO2−R、−SO2−NH−R、−SO2−N(R)2が含まれる。前記Rとしては、それぞれ独立して、脂肪族基、芳香族基、または複素環基が挙げられる。置換基として好ましくはハロゲン原子、カルボキシル基及びスルホ基が挙げられ、特に好ましくは、スルホ基が挙げられる。なお、カルボキシル基及びスルホ基は、水素原子が解離しても、塩の状態であってもよい。置換アルキル基の例には、2−ヒドロキシエチル、2−カルボキシエチル、2−メトキシエチル、2−ジエチルアミノエチル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、ベンジル、及びフェネチル基が含まれる。
アルケニル基は、環状であってもよい。鎖状アルケニル基は、分岐を有していてもよい。アルケニル基の炭素原子数は、2乃至20が好ましく、2乃至12がさらに好ましく、2乃至8が最も好ましい。アルケニル基の例には、ビニル、アリル、1−プロペニル、2ーブテニル、2−ペンテニル、及び2−ヘキセニル基が含まれる。置換アルケニル基のアルケニル部分は、上記アルケニル基と同様である。置換アルケニル基の置換基は、アルキル基の置換基と同様である。
アルキニル基は、分岐を有していてもよい。アルキニル基の炭素原子数は、2乃至20が好ましく、2乃至12がさらに好ましく、2乃至8が最も好ましい。アルキニル基の例には、エチニル及び2−プロピニル基が含まれる。置換アルキニル基のアルキニル部分は、上記アルキニル基と同様である。置換アルキニル基の置換基は、アルキル基の置換基と同様である。
本明細書において、芳香族基は、アリール基または置換アリール基を意味する。アリール基の炭素原子数は、6乃至25であることが好ましく、6乃至15であることがさらに好ましく、6乃至10であることが最も好ましい。アリール基の例には、フェニル及びナフチル基が含まれる。置換アリール基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。置換アリール基の置換基としては、前述したアルキル基の置換基と同義である置換基が挙げられる。置換アリール基の例には、4−カルボキシフェニル、4−アセトアミドフェニル、3−メタンスルホンアミドフェニル、4−メトキシフェニル、3−カルボキシフェニル、3,5−ジカルボキシフェニル、4−メタンスルホンアミドフェニル、及び4−ブタンスルホンアミドフェニル基が含まれる。
本明細書において、複素環は5員環または6員環であることが好ましく、置換基で置換されていてもよい。複素環に、脂肪族環、芳香族環、または他の複素環が縮合していてもよい。複素環(縮合環を含む)の例には、ピリジン環、ピペリジン環、フラン環、フルフラン環、チオフェン環、ピロール環、キノリン環、モルホリン環、インドール環、イミダゾール環、ピラゾール環、カルバゾール環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、インドリン環、チアゾール環、ピラジン環、チアジアジン環、ベンゾキノリン環、及びチアジアゾール環が含まれる。置換複素環基の置換基は、アルキル基の置換基と同様の置換基である。
R3とR4、及びR5とR6によって、それぞれ独立して形成される5または6員環としては、シクロペンタン、シクロヘキサン環を挙げることが出来る。
式(1)において、L1は、5または7個のメチンからなるメチン鎖であり、置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基の置換基と同義の置換基である。また、メチン鎖同士が結合して、5、6、または7員環(例えば、シクロペンテン、シクロへキセン、シクロヘプテン)を形成していてもよい。
X−は、アニオンを表し、ハライドイオン(Cl−,Br-,I-)、p−トルエンスルホン酸イオン、エチル硫酸イオン、PF6 -、BF4 -、及びClO4 -等がその例として挙げられる。cは0または1である。色素がスルホ基やカルボキシル基のようなアニオン性置換基を有して分子内塩を形成するときには、cは0である。
一般式(1)で表される化合物のうち、一般式(2)で表される化合物が好ましい。一般式(2)で表される化合物について説明する。
[式中、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12は、各々独立に、置換基を有してもよい脂肪族基を表わし、R9とR10、及びR11とR12は、それらがそれぞれ独立に、互いに結合して環を形成してもよい。L2は、置換基を有してもよい5または7個のメチンからなるメチン鎖を表わし、X−はアニオンを表わし、cは0または1である。]
一般式(2)中、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12で表される脂肪族基は、前記一般式(1)中のR1、R2、R3、R4、R5、及びR6と同義である。R9とR10、及びR11とR12は、それぞれ独立して、R9とR10、またはR11とR12が互いに結合して環を形成して、シクロペンタン、シクロヘキサン環を形成してもよい。L2で表されるメチン鎖、及び置換基は、一般式(1)中のL1と同義である。X−で表されるアニオン、及びcは、一般式(1)で前述したものと同義である。
さらには一般式(3)で表される化合物が好ましい。
[式中、R13、R14、R15、R16、R17、及びR18は、各々独立に、置換基を有してもよい脂肪族基を表わし、R15とR16、及びR17とR18は、それらがそれぞれ独立に、互いに結合して環を形成してもよい。R19及びR20は、水素原子を表わし、または互いに結合して5、6、または7員環を形成してもよい。R21は一価の基を表わす。X−はアニオンを表わし、cは0または1である。]
R13、R14、R15、R16、R17、及びR18の脂肪族基は前述したものと同義である。R15とR16、及びR17とR18は、それぞれ独立に、R15とR16、またはR17とR18が互いに結合して、シクロヘキサン環、シクロペンタン環を形成してもよい。R19及びR20は、水素原子を表わし、または互いに結合して5、6、または7員環を形成してもよい。R21で表わされる一価の基としては、アルキル基で述べた置換基を挙げることが出来る。さらには、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−O−R、−S−Rが好ましい。Rとしては、それぞれ独立して、脂肪族基、芳香族基、または複素環基が挙げられる。脂肪族基、芳香族基及び複素環基は、前述と同義である。X−のアニオン、cについては、前述と同義である。
また、本発明では、一般式(4)で表される化合物が各種色素の重要な中間体となる。
[式中、R22は、置換基を有してもよい脂肪族基を表わし、X−はアニオンを表わし、cは0または1である。]
一般式(4)中、R22の脂肪族基は、前記一般式(3)中のR13及びR14の脂肪族基と同義であり、X−のアニオン及びcは、一般式(3)のアニオン及びcと同義である。さらに好ましくは、R22は炭素数1〜12の脂肪族基であり、スルホ基またはカルボキシル基でさらに置換されていてもよい。
以下に、一般式(1)、(2)、または(3)で示される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、下記の例中、PTS−は、p−トルエンスルホナートアニオンを表わす。
一般式(1)、(2)、及び(3)の色素の合成にあたっては本明細書中の記載に加えは、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−シアニンダイズ・アンド・リレイテッド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds Cyanine Dyes and Related Compounds)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社−ニューヨーク、ロンドン、1964年刊、及びデー・エム・スターマー(D.M.Sturmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−スペシャル・トッピクス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds-Special topics in heterocyclic chemistry)」、第18章、第14節、482〜515頁、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社−ニューヨーク、ロンドン、1977年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodds Chemistry of Carbon Compounds)」2nd.Ed.vol.IV,partB,1977年刊、第15章、369〜422頁、エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing Company Inc.)社刊、ニューヨーク、及び特開平4−362932号の記載及びその参考文献を適宜参照して合成することができる。
本発明の近赤外吸収組成物には、一般式(1)、(2)、及び(3)で表される化合物(色素)が含まれる。さらには、一般式(2)、及び(3)で表される色素が好ましく、一般式(3)で表される色素が最も好ましい。その波長は、700〜900nmの範囲に吸収極大を示すものであることが好ましい。上記の吸収極大を示す波長(吸収極大波長)は、前記色素が会合体を形成したときのものであってもよい。
好ましい吸収波形を得るために、本発明の近赤外線組成物は、前記色素を水や溶剤等に溶解させた組成物としてもよいが、吸収及び耐光性向上のために前記色素を会合状態にすることが好ましく(以下、この状態の色素を「会合体色素」ともいう)、J会合体を含む会合体状態の色素を用いることがより好ましい。なお、会合体色素は、いわゆるJバンドを形成するため、シャープな吸収スペクトルピークを示す。色素の会合とJバンドについては、例えば、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photographic Science and Engineering),Vol.18,No.323-335(1974))に詳細な記載がある。J会合状態の色素の吸収極大は、溶液状態の色素の吸収極大よりも長波側に移動する。従って、近赤外吸収組成物に含まれる色素が会合状態であるか、非会合状態であるかは、吸収極大を測定することで判断することができる。
好ましい吸収波形を得るために、本発明の近赤外線組成物は、前記色素を水や溶剤等に溶解させた組成物としてもよいが、吸収及び耐光性向上のために前記色素を会合状態にすることが好ましく(以下、この状態の色素を「会合体色素」ともいう)、J会合体を含む会合体状態の色素を用いることがより好ましい。なお、会合体色素は、いわゆるJバンドを形成するため、シャープな吸収スペクトルピークを示す。色素の会合とJバンドについては、例えば、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photographic Science and Engineering),Vol.18,No.323-335(1974))に詳細な記載がある。J会合状態の色素の吸収極大は、溶液状態の色素の吸収極大よりも長波側に移動する。従って、近赤外吸収組成物に含まれる色素が会合状態であるか、非会合状態であるかは、吸収極大を測定することで判断することができる。
本発明においては、島津製作所社製、UV−3100Pc(商品名)を用いて測定した溶剤中での色素の吸収極大波長(λma)に対して、同装置により測定した会合後(例えば、膜)の吸収極大波長(λmb)が30nm以上長波長であるとき、その会合後の色素を会合状態の色素(会合体色素)という。ここで、より良好な会合状態として、溶液状態での吸収極大波長と会合後の吸収極大波長との差(λmb−λma)を、50nm以上とした会合体色素であることが好ましく、70nm以上とした会合体色素であることがより好ましい。
本発明の会合体色素の形成は、一般式(1)、(2)、または(3)で表される化合物を水に溶解し、ゼラチンまたは塩(例えば、塩化バリウム、塩化カルシウムなど)を添加して、水中で会合体色素とすることができる。また、固体微粒子(平均粒径が好ましくは0.001〜100μm、より好ましくは0.005〜50μm)として分散させて会合体色素とすることもできる。分散は、色素のカリウム塩またはナトリウム塩でも可能であり、さらに、色素の水溶液に金属塩(例えば、塩化マグネシウム,塩化亜鉛、または塩化バリウム)の水溶液を添加してレーキ顔料で行うこともできる。逆に、上記金属塩の水溶液に、一般式(1)、(2)、または(3)で表される色素の水溶液を添加してもよい。
本発明の近赤外吸収組成物における一般式(1)、(2)、または(3)で表される化合物の含有量は、必要に応じて調節することができるが、組成物中に0.1〜30質量%含有させることが好ましく、0.5〜10質量%含有させることがより好ましい。
色素の固体微粒子分散物は、例えば、株式会社技術情報協会発行の「顔料分散技術−表面処理と分散剤の使い方および分散性評価−」、株式会社朝倉書店発行の「顔料の事典」、株式会社技術情報協会発行の「最新『顔料分散』実務ノウハウ・事例集」に詳しく記載されている。固体微粒子分散物とするためには、通常の分散機を用いることができる。分散機の例には、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、及びローラミルが含まれる。分散機については、特開昭52−92716号公報、及び国際公開第88/074794号パンフレットに記載がある。縦型または横型の媒体分散機が好ましい。
分散は、適当な媒体(例、水、アルコール、シクロヘキサノン、2−メトキシー1−メチルエチル アセテート)の存在下で実施してもよい。分散用界面活性剤を用いることが好ましい。分散用界面活性剤としては、アニオン界面活性剤(特開昭52−92716号公報及び国際公開第88/074794号パンフレットに記載)が好ましく用いられる。必要に応じてアニオン性ポリマー、ノニオン性界面活性剤、あるいはカチオン性界面活性剤を用いてもよい。
本発明の色素を適当な溶媒中に溶解した後、その溶液に貧溶媒を添加して、微粒子化し、必要に応じてその粉末を得てもよい。この場合も、上記の分散用界面活性剤を用いてもよい。あるいはpHを調整することによって溶解し、次にpHを変化させて色素の微粒子を析出させてもよい。この微粒子も上述した会合体色素であることが好ましい。会合体色素が微粒子(または微結晶)である場合、その平均粒径は、1000μm以下が好ましく、0.001μm〜100μmがより好ましく、0.005μm〜50μmが特に好ましい。なお、本発明において、平均粒径とは、特に断わらない限り、体積平均粒径をいい、レーザー回折散乱法または動的光散乱法を用いて測定したものをいう。
本発明の色素の分散性を向上させる目的で、通常の顔料用分散剤や界面活性剤を添加することができる。これらの分散剤としては、多くの種類の化合物が用いられるが、例えば、フタロシアニン誘導体(市販品:EFKA−745(商品名、エフカ社製))、ソルスパース5000(商品名、ゼネカ社製);
オルガノシロキサンポリマーKP341(商品名、信越化学工業(株)社製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(商品名、共栄社油脂化学工業(株)社製)、W001(商品名、裕商(株)社製)等のカチオン系界面活性剤;
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、エマルゲンA60(商品名、花王(株)社製)等のノニオン系界面活性剤;
W004、W005、W017(商品名、裕商(株)社製)、ドデシルベンゼンスルホン酸Na、デモールSNB(商品名、花王(株)社製)等のアニオン系界面活性剤;
EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(以上、商品名、森下産業(株)製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(商品名、サンノプコ(株)社製)等の高分子分散剤;
ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(商品名、ゼネカ(株)社製);
アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123(商品名、旭電化(株)社製)及びイソネットS−20(商品名、三洋化成(株)社製)が挙げられる。
オルガノシロキサンポリマーKP341(商品名、信越化学工業(株)社製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(商品名、共栄社油脂化学工業(株)社製)、W001(商品名、裕商(株)社製)等のカチオン系界面活性剤;
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、エマルゲンA60(商品名、花王(株)社製)等のノニオン系界面活性剤;
W004、W005、W017(商品名、裕商(株)社製)、ドデシルベンゼンスルホン酸Na、デモールSNB(商品名、花王(株)社製)等のアニオン系界面活性剤;
EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(以上、商品名、森下産業(株)製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(商品名、サンノプコ(株)社製)等の高分子分散剤;
ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(商品名、ゼネカ(株)社製);
アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123(商品名、旭電化(株)社製)及びイソネットS−20(商品名、三洋化成(株)社製)が挙げられる。
上記分散剤は、単独で用いてもよくまた2種以上組み合わせて用いてもよい。上記分散剤の添加量は、色素100質量部に対して1〜150質量部程度が好ましい。
本発明の組成物は、褪色防止剤、酸化防止剤や紫外線防止剤を含んでもよい。褪色防止剤には、ハイドロキノン誘導体、ハイドロキノンジエーテル、フェノール誘導体、スピロインダン、メチレンジオキシベンゼン、クロマン、スピロクロマン、クマラン誘導体、ハイドロキノンモノエーテル、p−アミノフェノール誘導体、及びビスフェノール誘導体が含まれる。ハイドロキノン誘導体については、米国特許3935016号、同3982944号の各明細書に記載がある。ハイドロキノンジエーテルについては、米国特許4254216号明細書、特開昭55−21004号公報に記載がある。フェノール誘導体については、特開昭54−145530号公報に記載がある。スピロインダン、メチレンジオキシベンゼンについては、英国特許2062888号、同2077455号の各明細書に記載がある。クロマン、スピロクロマン、クマラン誘導体については、米国特許3432300号、同3573050号、同3574627号、同3764337号の各明細書、特開昭52−152225、同53−17729号、同53−20327号、同61−90156号の各公報に記載がある。ハイドロキノンモノエーテル、p−アミノフェノール誘導体については、英国特許1347556号、同2066975号の各明細書、特公昭54−12337号、特開昭55−6321号の各公報に記載がある。ビスフェノール誘導体については、米国特許3700455号明細書、特公昭48−31625号公報に記載がある。
金属錯体(米国特許4245018号明細書、特開昭60ー97353号公報記載のもの)や一重項酸素クウェンチャーを組成物に添加してもよい。一重項酸素クウェンチャーには、ニトロソ化合物(特開平2−300288号公報記載のもの)、ジインモニウム化合物(米国特許465612号明細書記載のもの)、ニッケル錯体(特開平4−146189号公報記載のもの)、及び酸化防止剤(欧州特許820057A1号明細書記載)が含まれる。
本発明の組成物は、前記の背景技術で述べた各用途に使用できる。
本発明の化合物を含む組成物を塗布などにより膜状とする場合の乾燥塗膜の厚さは、0.1μm〜1cmが好ましく、0.5μm〜100μmがさらに好ましい。
本発明の化合物を含む組成物を塗布などにより膜状とする場合の乾燥塗膜の厚さは、0.1μm〜1cmが好ましく、0.5μm〜100μmがさらに好ましい。
本発明の組成物は、さらにポリマーバインダーを含むことが好ましい。ポリマーバインダーとしては、天然ポリマー(例、ゼラチン、セルロース誘導体、アルギン酸)または合成ポリマー(例、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、水溶性ポリアミド)をポリマーバインダーとして用いることができる。親水性ポリマー(例、上記天然ポリマー、上記合成ポリマー中、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポビニルアルコール、水溶性ポリアミド)が特に好ましい。
本発明のフィルターは、透明支持体を用いて作成してもよい。透明支持体は、ガラス、またはポリマーフイルムからなることが好ましい。ポリマーの例には、セルロースエステル(例、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースニトレート)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリアリレート(例、ビスフェノールAとフタル酸の縮合物)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン)、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例、ポリメチルメタクリレート)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、及びポリオキシエチレンが含まれる。セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレートが好ましい。透明支持体の厚みは、5μm〜5cmが好ましく、25μm〜1cmがさらに好ましく、80μm〜1.2mmが最も好ましい。この場合の組成物よりなる塗膜の厚さは前記のとおりである。
透明支持体の波長400〜1100nmの光に対して透過率は、80%以上が好ましく、86%以上がさらに好ましい。ヘイズは、2%以下が好ましく、1%以下がさらに好ましい。屈折率は、1.45〜1.70が好ましい。
透明支持体に、紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤の添加量は、透明支持体に対し0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%がさらに好ましい。滑り剤として、不活性無機化合物の粒子を透明支持体に添加してもよい。無機化合物の例には、SiO2 、TiO2 、BaSO4 、CaCO3 、タルク、及びカオリンが含まれる。透明支持体に表面処理を施すことが好ましい。表面処理の例には、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、及びオゾン酸化処理が含まれる。グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、及び火炎処理が好ましく、コロナ放電処理がさらに好ましい。
また、本発明の近赤外吸収組成物は、光硬化性組成物中、または熱硬化性組成物中に、一般式(1)、(2)、または(3)で表される化合物を含んでなるものであってもよい。光硬化性組成物、または熱硬化性組成物として、エチレン性不飽和基を持つ化合物を含む組成物が好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能のアクリレートや、メタアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能のアクリレートやメタクリレートが挙げられる。また、更に、日本接着協会誌
Vol.20,No.7,300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものが挙げられる。
Vol.20,No.7,300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものが挙げられる。
以下に、本発明を、実施例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
実施例1:化合物(9)の合成
化合物(9)の合成ルートを次に示す。
化合物(9)の合成ルートを次に示す。
化合物cの合成
化合物a(和光純薬製)を25g、化合物b(和光純薬製)を30g、及びスルホランを140mL混合し、これを190℃で4時間加温した。反応終了後に水280mLを添加して、析出した結晶をろ過した。27gの化合物cが得られた。
化合物a(和光純薬製)を25g、化合物b(和光純薬製)を30g、及びスルホランを140mL混合し、これを190℃で4時間加温した。反応終了後に水280mLを添加して、析出した結晶をろ過した。27gの化合物cが得られた。
化合物dの合成
還元鉄を57g、NH4Clを1g、水を20mL、イソプロパノールを300mL混合し、この中に化合物aを26g添加した。5時間還流後、ろ過し、ろ液を濃縮し、21gの化合物dを得た。
還元鉄を57g、NH4Clを1g、水を20mL、イソプロパノールを300mL混合し、この中に化合物aを26g添加した。5時間還流後、ろ過し、ろ液を濃縮し、21gの化合物dを得た。
化合物eの合成
化合物dを21g、水を100mL、塩酸を34mL混合し、この溶液に、亜硝酸ソーダ9gの水溶液を5℃以下で滴下した。その溶液を、SnCl2・2H2O 73g、H2O 40mL、及び塩酸 70mLに添加し、析出した結晶をろ別し、20gの化合物e体を得た。
化合物dを21g、水を100mL、塩酸を34mL混合し、この溶液に、亜硝酸ソーダ9gの水溶液を5℃以下で滴下した。その溶液を、SnCl2・2H2O 73g、H2O 40mL、及び塩酸 70mLに添加し、析出した結晶をろ別し、20gの化合物e体を得た。
化合物f及び化合物gの合成
化合物eを16.4g、イソプロピルメチルケトンを13g、酢酸を50mL混合し、この溶液を3時間還流し、次いでPRS(プロパンサルトン)24gを加え、140℃で5時間加温し、カラムクロマトグラフィーで化合物g6.4gを得た。
1HNMR (300MHz、DMSO−D6):δ11.15(s,1H),11.21(s,1H),7.6(s,1H),7.32(s,1H),4.65(t,2H),2.86(s,3H),2.60(t,2H),2.13(m,2H),1.49(s,6H)
化合物eを16.4g、イソプロピルメチルケトンを13g、酢酸を50mL混合し、この溶液を3時間還流し、次いでPRS(プロパンサルトン)24gを加え、140℃で5時間加温し、カラムクロマトグラフィーで化合物g6.4gを得た。
1HNMR (300MHz、DMSO−D6):δ11.15(s,1H),11.21(s,1H),7.6(s,1H),7.32(s,1H),4.65(t,2H),2.86(s,3H),2.60(t,2H),2.13(m,2H),1.49(s,6H)
化合物hの合成
化合物i(和光純薬製)を25g、化合物j(東京化成製)54.6gを100℃で2時間攪拌し、アセトン200mlを添加し、析出した結晶をろ過し、化合物h 49gを得た。
化合物i(和光純薬製)を25g、化合物j(東京化成製)54.6gを100℃で2時間攪拌し、アセトン200mlを添加し、析出した結晶をろ過し、化合物h 49gを得た。
化合物(9)の合成
化合物gを1.7g、化合物hを0.8g、メタノールを15mL混合し、この溶液に、無水酢酸1mL、トリエチルアミン1.4mLを加え、2時間撹拌した。反応液に酢酸カリウム0.5gを加え、析出した結晶をろ過し、0.7gの化合物(9)を得た。λmaxはジメチルスルホキシド中で835nmだった。モル吸収係数は、ジメチルスルホキシド中、1.65×105dm3/mol cmであった。融点は300℃以上だった。
化合物gを1.7g、化合物hを0.8g、メタノールを15mL混合し、この溶液に、無水酢酸1mL、トリエチルアミン1.4mLを加え、2時間撹拌した。反応液に酢酸カリウム0.5gを加え、析出した結晶をろ過し、0.7gの化合物(9)を得た。λmaxはジメチルスルホキシド中で835nmだった。モル吸収係数は、ジメチルスルホキシド中、1.65×105dm3/mol cmであった。融点は300℃以上だった。
実施例2:化合物(8)の合成
化合物(8)の合成ルートを次に示す。
化合物(8)の合成ルートを次に示す。
化合物kの合成
化合物eを16.4g、イソプロピルメチルケトンを13g、酢酸を50mL混合し、この溶液を3時間還流し、化合物fを得、次いでp−トルエンスルホン酸エチル(PTS−Et)13gを加え、140℃で5時間加温し、カラムクロマトグラフィーで化合物k 8.4gを得た。
1HNMR(300MHz、DMSO−D6):δ11.58(s,1H),11.22(s,1H),7.6(s,1H),7.45(d,2H),7.32(s,1H),7.10(d,2H),4.42(q,2H),2.83(s,3H),2.27(s,3H),1.58(s,6H),1.40(t,3H)
化合物eを16.4g、イソプロピルメチルケトンを13g、酢酸を50mL混合し、この溶液を3時間還流し、化合物fを得、次いでp−トルエンスルホン酸エチル(PTS−Et)13gを加え、140℃で5時間加温し、カラムクロマトグラフィーで化合物k 8.4gを得た。
1HNMR(300MHz、DMSO−D6):δ11.58(s,1H),11.22(s,1H),7.6(s,1H),7.45(d,2H),7.32(s,1H),7.10(d,2H),4.42(q,2H),2.83(s,3H),2.27(s,3H),1.58(s,6H),1.40(t,3H)
化合物lの合成
前記化合物hの合成と同様にして化合物lを合成した。但し、化合物iの代わりに4-フェニルピリジンを用いた。
前記化合物hの合成と同様にして化合物lを合成した。但し、化合物iの代わりに4-フェニルピリジンを用いた。
化合物(8)の合成
化合物kを1.1g、化合物lを0.4g、メタノールを15ml混合し、この溶液に、無水酢酸0.5mL、トリエチルアミン0.7mLを加え、2時間撹拌した。反応液に酢酸カリウム0.5gを加え、析出した結晶をろ過し、0.3gの化合物(8)を得た。λmaxは、ジメチルスルホキシド中で、815nmだった。モル吸収係数は、ジメチルスルホキシド中、1.77×105dm3/mol cmであった。融点は278〜280℃だった。
化合物kを1.1g、化合物lを0.4g、メタノールを15ml混合し、この溶液に、無水酢酸0.5mL、トリエチルアミン0.7mLを加え、2時間撹拌した。反応液に酢酸カリウム0.5gを加え、析出した結晶をろ過し、0.3gの化合物(8)を得た。λmaxは、ジメチルスルホキシド中で、815nmだった。モル吸収係数は、ジメチルスルホキシド中、1.77×105dm3/mol cmであった。融点は278〜280℃だった。
実施例3:化合物(11)の合成
化合物k(Chem.Ber.;GE;110;1977;1259-1268を参考にして合成)を用いて、実施例1と同様にして、化合物(11)を合成した。λmaxは、ジメチルスルホキシド中で、704nmだった。モル吸収係数は、ジメチルスルホキシド中、1.57×105dm3/mol cmだった。融点は230〜235℃だった。
化合物k(Chem.Ber.;GE;110;1977;1259-1268を参考にして合成)を用いて、実施例1と同様にして、化合物(11)を合成した。λmaxは、ジメチルスルホキシド中で、704nmだった。モル吸収係数は、ジメチルスルホキシド中、1.57×105dm3/mol cmだった。融点は230〜235℃だった。
実施例4:化合物(5)の合成
化合物l(J.Org.Chem.USSR(Engl.Trans.);EN;14;1978;2214-2221を参考にして合成)を用いて、実施例1と同様にして、化合物(5)を合成した。λmaxは、ジメチルスルホキシド中で、875nmだった。モル吸収係数は、ジメチルスルホキシド中、1.88×105dm3/mol cmだった。融点は300℃以上だった。
化合物l(J.Org.Chem.USSR(Engl.Trans.);EN;14;1978;2214-2221を参考にして合成)を用いて、実施例1と同様にして、化合物(5)を合成した。λmaxは、ジメチルスルホキシド中で、875nmだった。モル吸収係数は、ジメチルスルホキシド中、1.88×105dm3/mol cmだった。融点は300℃以上だった。
その他の化合物も、前記と同様にして、合成することができる。
実施例5
本発明の化合物(色素)(9) 0.5g、エマルゲンA60(花王(株)社製)0.05g、ジルコニアビーズ(0.1mm)10g、蒸留水4.5gの混合物を、遊星型ボールミル(ドイツ フリッチュ社製)を用いて分散し分散物を得た。化合物(9)の平均粒径は0.30μmであった。
本発明の化合物(色素)(9) 0.5g、エマルゲンA60(花王(株)社製)0.05g、ジルコニアビーズ(0.1mm)10g、蒸留水4.5gの混合物を、遊星型ボールミル(ドイツ フリッチュ社製)を用いて分散し分散物を得た。化合物(9)の平均粒径は0.30μmであった。
4質量%ゼラチン水溶液2.0gに上記で得られた分散物0.6gを40℃にて加え、混合した。この液をガラス基板上にスピンコートし、乾燥厚さ2μmの赤外線吸収層を有する近赤外吸収フィルターAを作成した。
実施例6
実施例5で使用した本発明の色素(化合物)(9)の代わりに、本発明の色素(化合物)(5)、(11)、及び(8)を用いた以外は、実施例5と全く同様にして、分散物、及び近赤外吸収フィルターB、C、及びDを作成した。色素(5)、(11)、(8)の平均粒径はそれぞれ0.25μm、0.40μm、0.35μm、であった。
実施例5で使用した本発明の色素(化合物)(9)の代わりに、本発明の色素(化合物)(5)、(11)、及び(8)を用いた以外は、実施例5と全く同様にして、分散物、及び近赤外吸収フィルターB、C、及びDを作成した。色素(5)、(11)、(8)の平均粒径はそれぞれ0.25μm、0.40μm、0.35μm、であった。
比較例1
実施例5で使用した本発明の色素(9)の代わりに、比較色素(比較例a)を用いた以外は、実施例5と全く同様にして、分散物及び近赤外吸収フィルターEを作成した。比較例aは、下式で示される、特開平10−231435号に記載の色素である。
実施例5で使用した本発明の色素(9)の代わりに、比較色素(比較例a)を用いた以外は、実施例5と全く同様にして、分散物及び近赤外吸収フィルターEを作成した。比較例aは、下式で示される、特開平10−231435号に記載の色素である。
試験例
[フィルターの評価試験]
作成した各フィルターについて、下記評価を行った。その結果を表1に示した。
<吸収>
UV−3100Pc(商品名、島津製作所社製)を用いて、フィルターの吸収極大波長(λmb)を測定した。また、溶媒に溶解した各色素の吸収極大波長(λma)を測定した(色素1mgを溶剤100mLに溶解して測定した)。
<耐熱性>
220℃に熱したホットプレート(柴田化学製NP−6型)上にフィルターをおき、70分放置した。加熱前後の画像濃度を、上記3100PCを用いて測定し、
(加熱後濃度/加熱前濃度)×100=色素残存率(%)
として評価した。
[フィルターの評価試験]
作成した各フィルターについて、下記評価を行った。その結果を表1に示した。
<吸収>
UV−3100Pc(商品名、島津製作所社製)を用いて、フィルターの吸収極大波長(λmb)を測定した。また、溶媒に溶解した各色素の吸収極大波長(λma)を測定した(色素1mgを溶剤100mLに溶解して測定した)。
<耐熱性>
220℃に熱したホットプレート(柴田化学製NP−6型)上にフィルターをおき、70分放置した。加熱前後の画像濃度を、上記3100PCを用いて測定し、
(加熱後濃度/加熱前濃度)×100=色素残存率(%)
として評価した。
また、図1〜2に、フィルターAの吸収スペクトル(図1)、および溶媒(DMSO)に溶解した色素(9)の吸収スペクトル(図2)を示す。
表1および図1〜2から明らかなように、本発明のフィルターは、溶液吸収より吸収極大波長を長波長化しており、耐熱性に優れるものであった。
表1および図1〜2から明らかなように、本発明のフィルターは、溶液吸収より吸収極大波長を長波長化しており、耐熱性に優れるものであった。
Claims (10)
- 前記化合物が会合体を形成している色素であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の近赤外吸収組成物。
- 近赤外吸収領域が、吸収波長700nm〜1000nmの領域であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の近赤外吸収組成物。
- シアニン化合物の固体微粒子分散体を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の近赤外吸収組成物。
- 近赤外吸収フィルターであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の近赤外吸収組成物。
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JP2008035334A JP2009191213A (ja) | 2008-02-15 | 2008-02-15 | 環状アミド基を有するシアニン化合物及びそれを含む近赤外吸収組成物 |
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-
2008
- 2008-02-15 JP JP2008035334A patent/JP2009191213A/ja active Pending
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