JP2009186632A - 音律制御方法、音律制御のためのコンピュータプログラム及び音律制御装置。 - Google Patents

音律制御方法、音律制御のためのコンピュータプログラム及び音律制御装置。 Download PDF

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Abstract

【課題】伴奏鍵盤で指示された和音に基づいて伴奏鍵盤の音律だけでなく、メロディ鍵盤の音律も変更され、両鍵盤の演奏の調和をはかる。
【解決手段】図4及び図6のステップ12で検出されたコードに基づいて、伴奏鍵盤22の音律t2が設定/変更される(ステップ46)。この伴奏音律t2が純正律などでなければ(ステップ47)、メロディ音律t1は平均律に設定/変更され(ステップ58)、伴奏音律t2が純正律などであれば(ステップ47)、メロディ音律t1は中間音律などに設定/変更され(ステップ48〜55)。ここで伴奏音律t2とメロディ音律t1との音程差がチェックされ(ステップ50、52)、最も音程差の少ない音律が選ばれる(ステップ52〜55)。
【選択図】図7

Description

本発明は、音律制御方法、音律制御のためのコンピュータプログラム及び音律制御装置に関し、特に複数の発音指示手段にわたって音律が調和のとれるものに関する。
従来、音律の設定/変更にあたっては、所定の切換えスイッチまたは設定スイッチが設けられ、このスイッチの切換えまたは設定によって、電子鍵盤楽器などの音律タイプと音律キーとが変更されていた。このような音律タイプには、純正律、ピタゴラス音律、平均律、これらの中間の音程の中間音律などがある。また音律キーには音名に沿ってC、C#、…、Bの12種類がある。
特許第2598634号公報
ところが、これでは、音律を変更したいとき、いちいちスイッチ操作をしなくてはならず、音律の変更に手間がかかっていた。そこで、自動的に音律を変更することも考えられるが、何を根拠にしてどのように音律を自動的に変更すべきか不明であった。
上記目的を達成するため、本件発明では、発音の指示をする複数の第一の発音指示手段と、 この第一の発音指示手段と音域または鍵域が異なる、発音の指示をする複数の第二の発音指示手段と、に対して、 発音指示がなされた上記第一の発音指示手段で指示された和音に基づいて第一の発音指示手段の音律を変更し、 上記第二の発音指示手段の音律を、上記変更された第一の発音指示手段の音律に対して音程差の少ない音律に変更または規制する。
これにより、第一の発音指示手段で指示された和音に基づいて第一の発音指示手段の音律を変更することができるし、さらには第二の発音指示手段の音律も、第一の発音指示手段の音律に対して音程差の少ない音律に変更または規制され、両発音指示手段の両演奏に違和感が生じず、両演奏の調和をはかり、両演奏の楽音相互の調和をはかることができる。
第一の発音指示手段の演奏コード/演奏和音に応じて第一の発音指示手段の音律を変化させ、これに追随して第二の発音指示手段の音律を音程差の少ないものに切替えていくことができる。
メロディ鍵盤などの第二の発音指示手段の音律は伴奏鍵盤の第一の発音指示手段の音律と同じ音律に選択されることもあるが、若干異なる音律にとどまることもある。しかし、音感としては、この方が優れていることもある。純正律やピタゴラス音律は、通常の平均律との差が大きく、音階として演奏した場合に、不自然に聞こえるためである。また、若干異なる音律の方が伴奏音とメロディ音との共鳴に揺らぎが生じて、人間の耳には逆に心地よく聞こえることが多いためである。
また、第一の発音指示手段または上記第二の発音指示手段のいずれかが指示中のときは、 上記第一の音律変更手段または/及び第二の音律変更手段による音律の変更または規制が禁止される、または当該指示が終了するまで待機または延期される。
これにより、メロディ鍵盤などの第二の発音指示手段が指示中のとき、第一の音律変更手段による音律変更が禁止/待機/延期され、伴奏などの第一の発音指示手段の音律が変更されないので、異なる発音指示手段にわたって、操作中によって音律変更の禁止/待機/延期が可能となる。
検出/選択/変更/待機/延期される音律は、純正律、ピタゴラス音律または平均律、これらの中間音律のほか、さらに細分化された、これら以外の音律などである。中間音律は純正律またはピタゴラス音律と平均律との中間の音律を指し、中全音律(中音律)、キルンベルガーの第3調律(以下キルンベルガー音律と呼ぶ)、ヴェルクマイスターの調律法(以下ヴェルクマイスター音律と呼ぶ)、ヤングの音律(以下ヤング音律という)などの複数種類が存在する。
(1)全体回路
図1は、音律制御方法を実現する全体回路、音律制御方法のためのコンピュータプログラムを実行する全体回路、並びに音律制御装置、楽音装置または電子楽器などの全体回路1を示す。
キーボード11の複数のキーよりなり、各キーは楽音の発音及び消音を指示するもので、キースキャン回路12によってスキャンされ、キーオン、キーオフを示すデータが検出され、コントローラ2(CPU、DSP:デジタルシグナルプロセッサ)によってプログラム/データ記憶部4に書き込まれる。そして、それまでプログラム/データ記憶部4に記憶されていた各キーのオン、オフの状態を示すデータと比較され、各キーのオンイベント、オフイベントの判別が、コントローラ2によって行われる。
このキーボード11の各キーには段差タッチスイッチなどの速度センサー、加速度センサー、圧力センサーが設けられ、段差スイッチごとに上記スキャンが行われ、各段差スイッチの先頭のオン/オフごとにオンイベント/オフイベントの検出が行われる。この段差スイッチなどのセンサーによってタッチの速さと強さを示す上記タッチ情報つまりイニシャルタッチデータとアフタタッチデータとが発生される。なお、キーボード11は、電子弦楽器、電子吹奏(管)楽器、電子打楽器(パッド等)、コンピュータのキーボード等で代用される。
このキーボード11は伴奏鍵盤(下鍵盤)21とメロディ鍵盤(上鍵盤)22とに分割されている。伴奏鍵盤22はメロディ鍵盤21より音域/鍵域/オクターブが低く、伴奏が手動または自動で演奏され、メロディ鍵盤21ではメロディが手動で演奏される。このキーボード11には、場合によって、足鍵盤、ソロ鍵盤、MIDIを通じた外部鍵盤などが含まれる。
自動で演奏される自動伴奏は、発音指示された複数のキーのうち一番低音のキーまたは最初に指示されたキーをコードルート/根音とし、発音指示されているキーの数に応じて、コードタイプが決定される。このコードルートは例えばC、D、A#などを指す。コードタイプは例えばメジャー、マイナー、セブンスなどを指す。上記メロディ鍵盤21のいずれかのキーがオン中であれば、当該オン(指示)が終了するまで、音律の変更が待機される。
パネルスイッチ群13の各スイッチは、スイッチスキャン回路14によって、スキャンされる。このスキャンにより、各スイッチのオン、オフを示すデータが検出され、コントローラ2によってプログラム/データ記憶部4に書き込まれる。そして、それまでプログラム/データ記憶部4に記憶されていた各スイッチのオン、オフの状態を示すデータと比較され、各スイッチのオンイベント、オフイベントの判別が、コントローラ2によって行われる。
ミディ(MIDI)回路15は、外部接続された電子楽器との間で演奏情報や楽音波形信号の送受を行うためのインターフェースである。この演奏情報はMIDI(ミュージカルインスツルメントデジタルインターフェース)規格のもので、この演奏情報に基づいた発音も行われる。
ミディ回路15に情報が外部から送り込まれると、外部インタラプト信号OINがミデイィ回路15からコントローラ2に送り込まれる。この外部インタラプト信号OINはミディ回路15に限らず、本命令処理装置に接続された外部接続機器からも送られてくる。
上記キーボード11またはミディ回路15には、自動演奏装置も含まれる。これらキーボード11、パネルスイッチ群13、ミディ回路15及び自動演奏装置から発生された演奏情報(楽音発生情報)は、楽音を発生させるための情報である。
上記演奏情報(楽音発生情報)は、音楽的ファクタ(因子)情報であり、音高(音域/鍵域)情報(音高決定因子)、発音時間情報、演奏分野情報、発音数情報、共鳴度情報などである。発音時間情報は楽音の発音開始からの経過時間を示す。演奏分野情報は、演奏パート情報、楽音パート情報、楽器パート情報等を示し、例えばメロディ、伴奏、コード、ベース、リズム、MIDI等に対応したり、または上鍵盤、下鍵盤、足鍵盤、ソロ鍵盤、MIDI等に対応したりしている。
上記音高情報はキーナンバデータKNとして取り込まれる。このキーナンバデータKNはオクターブデータ(音域データ/鍵域データ)と音名データとからなる。演奏分野情報は、パートナンバデータPNとして取り込まれ、このパートナンバデータPNは各演奏エリアを識別するデータであって、発音操作された楽音がどの演奏エリアからのものかによって設定される。
発音時間情報は、トーンタイムデータTMとして取り込まれ、キーオンイベントからのタイムカウントデータに基づいたり、またはエンベロープフェーズなどが転用されたりする。この発音時間情報は特願平6−219324号明細書及び図面に発音開始からの経過時間情報として詳しく示される。
発音数情報は同時に発音している楽音の数を示し、例えばアサインメントメモリ40のオン/オフデータが「1」の楽音の数に基づき、この数は特願平6−242878号の図9及び図15、特願平6−2476855号の図8及び図18、特願平6−276857号の図9及び図20、特願平6−276858号の図9及び図21のフローチャートに基づいて求められる。
さらに、上記パネルスイッチ群13には各種スイッチが設けられ、この各種スイッチは音色タブレット、エフェクトスイッチ、リズムスイッチ、ペダル25、ホイール、レバー、ダイヤル、ハンドル、タッチスイッチ等であって楽器用のものである。このペダル25はダンパーペダル、サスティンペダル、ミュートペダル、ソフトペダル等である。このペダル25が操作される/踏まれると、音律の変更が禁止される。
この各種スイッチより、楽音制御情報が発生され、この楽音制御情報は発生された楽音を制御する情報であって音楽的ファクタ(因子)情報であり、音色情報(音色決定因子)、タッチ情報(発音指示操作の速さ/強さ)、発音数情報、共鳴度情報、エフェクト情報、リズム情報、音像(ステレオ)情報、クオンタイズ情報、変調情報、テンポ情報、音量情報、エンベロープ情報等である。これら音楽的ファクタ情報も上記演奏情報(楽音情報)に合体され、上記各種スイッチより入力されるほか、上記自動演奏情報に合体されたり、上記インターフェースで送受される演奏情報に合体されたりする。
このパネルスイッチ群13の中のデフォルト(初期設定)音律キースイッチ23によって、設定する音律(デフォルト音律)のキーがC、C#、…、Bの12種類のいずれかが選択される。パネルスイッチ群13の中のデフォルト(初期設定)音律タイプスイッチ24によって、伴奏鍵盤22の音律(デフォルト音律)または/及びメロディ鍵盤21の音律(デフォルト音律)が、例えば「平均律」に設定される。
このデフォルト音律タイプは、平均律、純正律、ピタゴラス音律、中間音律から選ばれる。中間音律は上述のように複数のタイプの音律が含まれてもよい。このデフォルト音律キーとデフォルト音律タイプとは、後述の和音検出でコードタイプが検出されなかった場合に代替の音律データとして設定される。
上記音色情報は、鍵盤楽器(ピアノ等)、管楽器(フルート等)、弦楽器(バイオリン等)、打楽器(ドラム等)の楽器(発音媒体/発音手段)の種類等に対応しており、トーンナンバデータTNとして取り込まれる。上記エンベロープ情報は、エンベロープレベルEL、エンベロープタイムET、エンベロープフェーズEFなどである。
このような音楽的ファクタ情報は、コントローラ2へ送られ、後述の各種信号、データ、パラメータの切り換えが行われ、楽音の内容が決定される。上記演奏情報(楽音発生情報)及び楽音制御情報はコントローラ2で処理され、各種データが楽音波形発生部5へ送られ、楽音波形信号MWが発生される。コントローラ2はCPU、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)、ROM及び/またはRAMなどからなっている。このようなコントローラ2は、図1の回路ごとに分散されて設けられてもよい。
プログラム/データ記憶部4には、楽音波形信号が記憶され、場合によってミディ回路15から送られてきた楽音波形信号が書き込まれる。このプログラム/データ記憶部4の楽音波形信号は、情報記憶部7に直接またはバスラインを介してコピーされて、他の装置に組み込まれ、楽音信号発生部5に転送される。
プログラム/データ記憶部4(内部記憶媒体/手段)はROMまたは書き込み可能なRAM、フラッシュメモリまたはEEPROM等の記憶装置からなり、光ディスクまたは磁気ディスク等の着脱自在な情報記憶部7(外部記憶媒体/手段)に記憶されるコンピュータのプログラムが書き写され記憶される(インストール/転送される)。またプログラム/データ記憶部4には外部の電子楽器またはコンピュータから上記ミディ回路15または送受信装置を介して送信されるプログラムも記憶される(インストール/転送される)。このプログラムの記憶媒体は通信媒体も含む。
このインストール(転送/複写)は、情報記憶部7が本楽音生成装置にセットされたとき、または本楽音生成装置の電源が投入されたとき自動的に実行され、または操作者による操作によってインストールされる。上記プログラムは、コントローラ2が各種処理を行うための後述するフローチャートであるまたは対応している。
なお、本装置に予め別のオペレーティングシステム、システムプログラム(OS)、その他のプログラムが記憶され、上記プログラムはこれらのOS、その他のプログラムとともに実行されてもよい。このプログラムは本装置(コンピュータ本体)にインストールされ実行されたときに、別のプログラムとともにまたは単独で請求項(クレーム)に記載された処理・機能を実行させることができればよい。なお、このようなシステムプログラム(OS)などは後述するフローチャートであるまたは対応する。
また、これらのプログラムの一部又は全部が本装置以外の1つ以上の別装置に記憶されて実行され、本装置と別装置との間には通信手段を介して、これから処理するデータ/既に処理されたデータ/プログラムが送受され、本装置及び別装置全体として、本発明が実行されてもよい。
このプログラム/データ記憶部4には、上述した音楽的ファクタ情報、上述した各種データ及びその他の各種データも記憶される。この各種データには時分割処理に必要なデータや時分割チャンネルへの割当のためデータ等も含まれる。
楽音信号発生部5では、上記楽音波形信号がいったん記憶され、指定された音高に応じた速度で読み出され、エンベロープ波形信号が合成されて、サウンドシステム6で楽音として出力され放音される。この楽音信号発生部5またはサウンドシステム6にDSPが設けられてもよい。この楽音信号発生部5では、上記エフェクトに応じた処理が実行され、エフェクト制御された楽音がサウンドシステム6から出力され放音される。
このような楽音波形信号の波形は、上述の音色、タッチ、音高、音域、鍵域、発音時間、演奏分野、発音数、共鳴度などの情報によって、切り換えられ変化される。このような楽音波形信号は伸張再生前の圧縮記憶状態のものが楽音信号発生部5に記憶され、楽音信号発生部5で伸張再生されてもよい。
タイミング発生部3からは、楽音生成装置の全回路の同期を取るためのタイミングコントロール信号が各回路に出力される。このタイミングコントロール信号は、各周期のクロック信号のほか、これらのクロック信号を論理積または論理和した信号、時分割処理のチャンネル分割時間の周期を持つ信号、チャンネルナンバデータCHNo、タイムカウントデータTIなどを含む。
また、このタイミング発生部3から一定周期ごとの周期インタラプト信号が上記コントローラ2に送られる。上記タイムカウントデータTIは、絶対時間つまり時間の経過を示し、このタイムカウントデータTIのオーバーフローリセットから次のオーバーフローリセットまでの周期は、各楽音のうち最も長い発音時間、または最も長い楽音制御処理または楽音イベント処理より長く、場合によって数倍に設定される。
(2)プログラム/データ記憶部4
図2は上記プログラム/データ記憶部4またはコントローラ2内のRAMを示す。このプログラム/データ記憶部4(またはRAM)には、メロディ鍵盤21に設定された音律タイプデータt1、伴奏鍵盤22に設定された音律タイプデータt2、音律変更フラグ、コードルート、コードタイプ、オンキー数、オンキーコード、仮音律Ti、デフォルト音律タイプ、デフォルト音律キー、実測音律間差値JS、最小音律間差値MSなどが記憶される。
音律タイプデータt1、t2には、純正律T1、平均律T2、これら両者の中間音律T0がある。ピタゴラス音律T4は純正律T1とほぼ同じなので、場合によって純正律T1で代用されてもよいし、平均律T2で代用されてもよい。中間音律T0は、さらに中全音律T0a、キルンベルガーT0b、ヴェルクマイスターT0c、ヤングT0dなどに細分される。
電源投入時(初期化時)ではメロディ鍵盤21及び伴奏鍵盤22の各音律データt1、t2はともに「平均律T2」に設定される。音律キーデータk1、k2には、C、C#、…、Bのいずれかが設定される。電源投入時(初期化時)ではメロディ鍵盤21及び伴奏鍵盤22の各音律キーデータk1、k2はともに「C」に設定される。音律変更フラグは、ペダル25がオンされたとき、またはメロディ鍵盤21が操作中のときに、音律変更が延期されていることを示す。
デフォルト音律タイプは、デフォルト音律タイプスイッチ24で入力された、デフォルト時(初期状態時)の音律タイプである。デフォルト音律キーは、デフォルト音律キースイッチ23で入力された、デフォルト時(初期状態時)の音律のキーであって、C、C#、…、Bの12音名のいずれかとなる。
コードルートは伴奏鍵盤22で検出されたコード/和音のルート/根音であり、コードタイプはコード/和音の種類を示す。電源投入時ではコードルートは「C」、コードタイプはメジャーに設定される。このコードルートは音律キーとして使用されるが、コードが検出できなかった場合には、上記デフォルト音律キースイッチ23の入力が音律キーとして使用される。オンキー数は伴奏鍵盤22で同時押しされているキーの数を示す。オンキーコードは、伴奏鍵盤22で同時押しされているキーの全てのキーコード(音高)を示す。
仮音律Tiタイプ、仮音律Tiキーは、メロディ鍵盤21の音律を求める場合に仮に設定される音律のタイプとキーとを示す。仮音律Tiタイプは、上記中間音律T0のいずれか、つまり中全音律T0a、キルンベルガーT0b、ヴェルクマイスターT0c、ヤングT0dのいずれかとなる。仮音律Tiキーは、C、C#、…、Bの12音名のいずれかとなる。
実測音律間差値JSは伴奏鍵盤22の音律とメロディ鍵盤21の音律との1オクターブにわたる音程差/周波数値差の累算値を示す。最小音律間差値MSは、別の音律で求めた実測音律間差値JSを示し、実測音律間差値JSと最小音律間差値MS(基準音律間差値KS)とが対比されて、最も音程差/周波数値差の少ない音律が選択/規制される。
(3)全体処理
図3は上記コントローラ(CPU)2によって実行される全体処理のフローチャートを示す。この全体処理は、本音律制御装置の電源オンによって開始され、電源オフまで繰り返し実行される。まず、プログラム/データ記憶部4の初期化など種々のイニシャライズ処理が行われる(ステップ01)。
このイニシャライズ処理では、上記プログラムの命令を実行/処理するのに必要な初期データ、音律データまたは音楽的ファクタ(音色、タッチ、音高、発音時間)データなどが上記プログラム/データ記憶部4、コントローラ2内の上記RAM、楽音信号発生部5またはサウンドシステム6に書き込まれる等され、次述するそれぞれの音律決定または音律規制の起動/準備がなされる。
このイニシャライズ処理では、メロディ鍵盤21及び伴奏鍵盤22の各音律はともに「平均律T2」、各音律キーは「C」に設定される。コードルートは「C」、コードタイプはメジャーに設定される。
次いで、キーボード11のキーのオンイベントまたはオフイベントがあると(ステップ02)、オンキーの音高に応じた音高情報とオンイベントが楽音信号発生部5に送り込まれまたはミディ回路15を通じて外部接続機器に送信され、楽音が発音開始される、またはオフキーに応じた楽音信号発生部5で発音中の楽音がリリースされ、またはオフキーの音高に応じた音高情報とオフイベントがミディ回路15を通じて外部接続機器に送信される(ステップ03)。
さらに、上記パネルスイッチ群13の各種スイッチの操作があれば(ステップ04)、このスイッチに対応する音楽的ファクタ情報が取り込まれ、プログラム/データ記憶部4に記憶されまたは外部接続機器に送信され、音楽的ファクタ情報が設定/変更される(ステップ05)。
次いで、ミディ回路15に送信すべきデータ/情報または受信するデータ/情報があれば(ステップ06)、送信データ/受信情報を送信し、受信データ/受信情報を取り込む(ステップ07)。さらに、その他の処理が実行され(ステップ08)、以上のステップ02〜08の処理が電源オフまで繰り返される。
上記ステップ01のイニシャライズ処理では、伴奏鍵盤22の音律も、メロディ鍵盤21の音律も、平均律に設定される。上記ステップ05のパネル処理では、音量の制御、トランスポーズなどの音高の制御、伴奏鍵盤22またはメロディ鍵盤21の音色、サスティーンなどの発音継続時間などの設定/変更がなされる。
(4)キー処理(ステップ03)
図4は上記ステップ03のキー処理のフローチャートを示す。まず、伴奏鍵盤22で指示/操作されているオンキーが変更されてコード/和音が変更されると(ステップ11)、コード変更処理が実行される(ステップ12)。
また、上記ステップ11、12でコードの変更があり、これに基づく音律の変更があると(ステップ13)、音律変更処理が実行される(ステップ14)。この後、その他の処理が実行され(ステップ15)、処理がリターンされる。
(5)パネル処理(ステップ05)
図5は上記ステップ05のパネル処理のフローチャートを示す。デフォルト音律キースイッチ23が押されてデフォルト音律キーが選択されると(ステップ21)、デフォルト音律キーが、選択されたキー、例えば「D#」に設定される(ステップ22)。
次いで、デフォルト音律タイプスイッチ24が押されてデフォルト音律タイプが選択されると(ステップ23)、伴奏鍵盤22とメロディ鍵盤21のデフォルト音律タイプが、選択された音律タイプ、例えば「ヴェルクマイスター音律T0c」に設定される(ステップ24)。この後、その他の処理が実行され(ステップ25)、処理がリターンされる。このその他の処理では、例えば、設定コードルートが「C」、コードタイプが「メジャー」の初期状態に戻されたり、上記音律が「平均律」の初期状態に戻される。
(6)コード変更処理(ステップ12)
図6は上記ステップ12のコード変更処理のフローチャートを示す。まず、伴奏鍵盤22で同時に押されているキーの数が検出され(ステップ31)、例えば、この数が1つであればメジャー、2つであればマイナー、3つであればセブンス、4つであればディミニッシュというように、コードタイプが決定される(ステップ32)。
次いで、伴奏鍵盤22で押されているある一つのキーの音高が検出され、他の押されているキーの音高も検出され(ステップ35)、これら検出された各音高が比較され(ステップ36)、低いほうの音高がRAMなどにメモリされ(ステップ37)、これが押されている全てのキーについて繰り返される(ステップ38)。これにより、コードルート/根音が決定される。
そして、上記パネルスイッチ群13のペダル25が操作/押されていれば(ステップ39)、音律変更フラグがRAMなどにストアされる(ステップ42)。また、メロディ鍵盤21のいずれかのキーが操作中/指示中のときも(ステップ40)、音律変更フラグがRAMなどにストアされる(ステップ42)。
ペダル25もメロディ鍵盤21のキーも操作/押されていなければ(ステップ39、40)、音律変更フラグがリセット/クリアされる(ステップ41)。この後、その他の処理が実行され(ステップ43)、処理がリターンされる。
なお、上記パネルスイッチ群13のペダル25が操作/押されているとき(ステップ39)、ステップ42を経ず、音律変更フラグがストアされないで、処理がリターンされてもよい。この場合には、ペダル25が開放されても、音律の変更はなされない。
また同様に、上記メロディ鍵盤21のキーが操作中/指示中のとき(ステップ40)、ステップ42を経ず、音律変更フラグがストアされないで、処理がリターンされてもよい。この場合には、メロディ鍵盤21のキーがオフされても、音律の変更はなされない。
なお、このコードタイプとコードルートの決定は、上記のものに限られない。例えば、伴奏鍵盤22の下位1オクターブでC、C#、D、D#、…、A#、Bのコードルートが指定され、伴奏鍵盤22の上位1オクターブの各キーには、メジャー、マイナー、セブンス、ナインス、ディミニッシュ、ドミナント、…のコードが割り当てられ、これらのいずれかのキーが指示されることによってコードタイプが指定されても良い。
このように、伴奏鍵盤22の発音指示されたキーの位置または数に応じて自動的にコード/和音が伴奏されることになる。なお、このようなコードの入力は、伴奏鍵盤22以外に、コードタイプとコードルートを入力するスイッチ群、タッチスイッチ群、レバー、ダイヤル、コンピュータのキーボードなどでもよい。
また、実際に押されているキーボード11の音名から直接コードルーとコードタイプとが検出/判読されてもよい。さらに、キーボード11の多くのキーが押されるなどして、コードが検出不能のとき、コードルート及び/またはコードタイプが検出不能とされノーコードが選択されてもよい。
(7)音律変更処理(ステップ14)
図7は上記ステップ14の音律変更処理のフローチャートを示す。まず、音律変更フラグがストアされていなければ(ステップ44)、本件音律変更処理は行なわれず、処理がリターンされる。
これにより、音律の変更を禁止、待機または延期したいときは、ペダル25を押せばよく(上記ステップ39)、音律の変更を禁止したり許容したりできる。この音律の変更の禁止、待機または延期には、ペダル25のほか、スイッチ、キーボード11の特定キー、ホイール、レバー、ダイヤル、ハンドル、タッチスイッチ等であってもよい。
また、メロディ鍵盤21が操作中/指示中のときも(上記ステップ40)、音律の変更が禁止、待機または延期される。したがって、メロディ鍵盤21の楽音が発音中のときに、音律が変更されず、メロディ音が発音中に音高が変更してしまわず、聴覚上の違和感が生じない。この音律変更の禁止または待機は、メロディ鍵盤21だけでなく、伴奏鍵盤22の音律変更についても同様に禁止または待機される(ステップ46)。
上記ペダル25が開放されれば(ステップ39)、及び/またはメロディ鍵盤21の操作中/指示中のキーがオフされれば(ステップ40)、上記ストアされた音律変更フラグはクリアされる(ステップ41)。これにより、上記音律の変更は、ペダル25開放までまたはメロディ鍵盤21のオンキーのオフまで「延期」される。
次いで、上記コードルートの検出結果に応じて音律キーが決定され(ステップ45)、伴奏鍵盤22の音律キーとして設定され、音律タイプも設定される(ステップ46)。ここで、上記コード検出の結果がノーコードであった場合、伴奏鍵盤22の音律タイプはデフォルト音律タイプスイッチ24で選択された音律タイプに、音律キーはデフォルト音律キースイッチ23で選択された音律キーに設定される。上述の例では、音律タイプが「ヴェルマイスターT0c」に、音律キーが「D#」に設定される。
一方、上記コード検出の結果が分数コード、ディミニッシュdim、オーギュメントaug、サスフォーsus4であった場合、音律タイプは平均律T2となる。また、上記コード検出の結果で、コードタイプがイレブンス以上のテンションを有していれば、中間音律T0a、T0b、T0c、T0dのいずれかになる。これ以外の場合には、純正律T1またはピタゴラス音律T4となる。
このような中間音律T0a、T0b、T0c、T0dのいずれが選択されるか、または純正律T1とピタゴラス音律T4とのどちらが選択されるかは、メジャーかマイナーかなどの上記コードタイプに応じてもよいし、予め操作者がパネルスイッチ群13で選択されてもよいし、機械的均一にならないように乱数が用いられてランダムに選択されてもよい。
そして、伴奏鍵盤22の音律t2が「純正律」「ピタゴラス音律」などの「純正系」に設定されていなければ、つまり「平均律」または「中間音律」に設定されていれば(ステップ47)、メロディ鍵盤21の音律t1が「平均律」に設定される(ステップ58)。これにより、伴奏鍵盤22の設定音律t2とメロディ鍵盤21の設定音律t1との周波数差または音程差が少なくなり、伴奏鍵盤22とメロディ鍵盤21との楽音が調和する。
また、伴奏鍵盤22の音律t2が「純正律」「ピタゴラス音律」などの「純正系」に設定されていれば(ステップ47)、メロディ鍵盤21の仮音律Ti=T0として「中間音律」のひとつである「中全音律(中音律)」が設定され、音律キーとして「C」が設定され(ステップ48)、最小音律間差値MSが仮想の最大値、例えば1200セントに設定される(ステップ49)。
そして、上記設定された伴奏鍵盤22の音律t2の1オクターブ12鍵の相対対数周波数値(セント)と上記仮の「中間音律」Ti=T0における12鍵の周波数値との実測音律間差値JSが、同じ音名C、C#、…、Bどうしで、順次求められ累積される(ステップ50)。
上記音律は平均律からの相対周波数値として表現され、通常音律キーの音程からの相対音程に対するオフセット値として記憶媒体に記憶される。オフセットのデータは、同じ音名であれば、どのオクターブでも同じなので、通常1オクターブ分のデータが保持される。このデータは、d0、d1、d2、…、d11とされる。オフセットのd0を加える音名が「音律キー」の音名を有する音程である。
例えば、ト長調の純正律の場合、音律タイプは「純正律」、音律キーは「G」となり、オフセットデータとして、純正律のデータが選ばれ、G音にd0、G#音にd1、F#音にd11のオフセットが加算されて発音される。
同様にニ長調の純正律の場合、音律タイプは「純正律」、音律キーは「F」となり、オフセットデータとして、純正律のデータが選ばれ、F音にd0、F#音にd1、E音にd11のオフセットが加算されて発音される。短調の場合には、平行調の主音を用いることができる。
音律キーの音名の音に加えられるオフセット値d0は常に「0」である。このため、オフセット値のデータが記憶媒体に記憶される際にはd0が省略されて、d1〜d11の11音分だけが記憶されること楽音可能となる。
次いで、累積された実測音律間差値JSが最小音律間差値MS未満となれば、つまり上記検査された仮の「中間音律」Ti=T0と伴奏鍵盤22の音律t2との音程差が少なければ(ステップ51)、この仮の「中間音律」Ti=T0がメロディ鍵盤22の音律t1とされ(ステップ52)、上記最小音律間差値MSがこの実測音律間差値JSに更新される(ステップ53)。
そして、メロディ鍵盤21の仮音律Tiが+1されT1として別の「音律タイプ及び音律キー」が設定され(ステップ54)、上記ステップ50〜53が繰り返され、音程差がさらに少ない音律が検索されていく(ステップ55)。
こうして、仮の音律Tiについて、全ての中間音律タイプ(T0a、T0b、T0c、T0d)、全ての音律キーC、C#、…、Bの組み合わせの中で、伴奏鍵盤22の音律t2に対して最も対数周波数(セント)の差が小さい中間音律の音律タイプと音律キーの組み合わせが検索され、この検索で発見された音律がメロディ鍵盤22の音律t1に設定される(ステップ54、55)。
なお、場合によって、仮の音律Tiに純正系が含まれて検索されてもよい。そうすると、メロディ鍵盤21の音律t1として、「平均律」よりは、「純正律」「ピタゴラス音律」などの「純正系」が選択される可能性が高くなる。「平均律」と「純正系」との音程差が大きいからである。
こうして、伴奏鍵盤22の音律t2が「純正律」「ピタゴラス音律」などの「純正系」であれば、メロディ鍵盤21の音律t1が「中間音律」に設定/変更/規制され、場合によって、「純正律」「ピタゴラス音律」に設定/変更/規制される。また、伴奏鍵盤22の音律t2が「純正系」でない「平均律」または「中間音律」などであれば、メロディ鍵盤21の音律t1が「平均律」に設定/変更/規制される。
メロディ鍵盤21の音律t1は伴奏鍵盤22の音律t2と同じ音律に選択されることもあるが、若干異なる音律にとどまることもある。しかし、音感としては、この方が優れていることもある。純正律またはピタゴラス音律は平均律との差が大きく、音階として演奏した場合に不自然に聞こえるためである。若干異なる音律の方が伴奏音とメロディ音との共鳴に揺らぎが生じて、人間の耳には逆に心地よく聞こえることが多いためである。
いずれにせよ、伴奏鍵盤22の演奏コードに応じて音律t2を変化させ、これに追随してメロディ鍵盤21の音律t1を音程差の少ないものに切替えていくことに本件発明/本件実施例の特徴がある。
(8)他の実施の形態
本件発明は上記実施例に限定されず、本件発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、図7のステップ58で設定されるメロディ鍵盤21の音律t1は「中間音律T0a、T0b、T0c、T0d」のいずれかでもよい。また、図7のステップ48〜55の音程差の少ない音律の検索処理では、メロディ鍵盤21の音律t1として、「平均律」が選択されてもよい。
上記ステップ48〜55の音程差の少ない音律の検索処理の代わりに、伴奏鍵盤22の音律タイプとメロディ鍵盤21の音律タイプとの最適な対応・組み合わせがテーブルに記憶され、検出された伴奏鍵盤22の音律からメロディ鍵盤21の音律タイプが決定されてもよい。
上記ステップ48〜55の音程差の少ない音律の検索処理は省略され、伴奏鍵盤22の音律t2として、「中間音律」または「純正律」「ピタゴラス音律」などの「純正系」に固定的に設定されてもよい。
上記ステップ42の音律変更の禁止/延期/待機は、メロディ鍵盤21の操作中に限らず、足鍵盤、ソロ鍵盤、伴奏鍵盤22の操作中であってもよい。これにより、伴奏鍵盤22などがオン中でも、メロディ鍵盤21の音律変更が禁止または待機されるし、伴奏鍵盤22の音律変更が禁止または待機される。
ステップ40によって音律変更が禁止/延期/待機される鍵盤は、メロディ鍵盤21だけでもよいし、伴奏鍵盤22だけでもよい。この場合、ステップ45〜46の伴奏音律変更処理がステップ42の前に実行される、またはステップ47〜55のメロディ音律変更処理がステップ42の前に実行される。
ステップ39のペダル25によって音律変更が禁止/延期/待機される鍵盤は、メロディ鍵盤21だけでもよいし、伴奏鍵盤22だけでもよい。この場合、ステップ45〜46の伴奏音律変更処理がステップ41の前に実行される、またはステップ47〜55のメロディ音律変更処理がステップ41の前に実行される。
上記ステップ47〜55の音律変更処理は、足鍵盤、ソロ鍵盤に対して実行されても良い。これにより、一つの鍵盤で検出されたコード/和音に基づいて、複数の鍵盤の音律が変更される。ステップ12の図4及び図6のコード検出処理は、足鍵盤、ソロ鍵盤、場合によってメロディ鍵盤21で実行されてよい。
足鍵盤で優先的にコードルートが検出される場合、足鍵盤以外による鍵盤によってコードタイプが検出され、これにより分数コードが検出されてもよい。例えば、足鍵盤によってDが検出され、足鍵盤以外による鍵盤によってEmが検出されれば、Em/Dの分数コードが検出される。
上記ステップ50で累積される音程差は1オクターブの範囲ではなく、半オクターブ、5音、4音、3音、1.5オクターブ、2オクターブ、…、の範囲にわたっていてもよい。また、ステップ50で音程差が求められるオクターブは同じ音高域ではなく、異なる音高域であってもよい。この場合でも差値は大きくなるが、音程差の寄り少ない音律が選ばれることに違いはない。
上記イニシャライズ処理では、メロディ鍵盤21及び伴奏鍵盤22の各音律はともに「平均律」に設定され、検出コードルートは「C」、検出コードタイプはメジャーに設定される。しかし、これ以外の音律に設定されてもよいし、メロディ鍵盤21と伴奏鍵盤22とで異なる音律に設定されてもよいし、これ以外のコードルート、コードタイプに設定されてもよい。
上記ステップ45では、伴奏鍵盤22のオンキーに応じて決定される音律データが取得され、上記ステップ46では、伴奏鍵盤22の音律t2が設定されてもよい。ここで、伴奏鍵盤22でコードが検出されなければ、デフォルト音律タイプスイッチ24が押されたときと同じ、すなわち「平均律」に設定され、分数コードのときも「平均律」に設定され、伴奏鍵盤22で上記検出されたコードがメジャー、マイナー、セブンス、ナインスなら「純正律」に設定され、これ以外ならば純正律またはピタゴラス音律と平均律との「中間音律」、場合によって「平均律」に設定される。
伴奏鍵盤22でコードが検出されなければ、デフォルト音律タイプスイッチ24が押されたときと同じ、すなわち「平均律」に設定され、分数コードのときも「平均律」に設定され、伴奏鍵盤22で上記検出されたコードがメジャー、マイナー、セブンス、ナインスなら「純正律」に設定され、これ以外ならば純正律またはピタゴラス音律と平均律との「中間音律」、場合によって「平均律」に設定されてもよい。
上記ステップ47〜58の音律決定処理では、伴奏鍵盤22とメロディ鍵盤21とは音域または鍵域が異なり、同じ音名でも、オクターブが異なって、周波数比が2倍、4倍、8倍、16倍、…、1/2倍、1/4倍、1/8倍、1/16倍、…、となるが、この音程差の少ない音律の検索にあたっては、同じオクターブ/同じ音域/同じ鍵域の上で処理されてもよい。
上記コード検出は、鍵盤以外に、電子弦楽器の弦、電子吹奏(管)楽器の管、電子打楽器(パッド等)の打、コンピュータのキーボードで行なわれてもよいし、上記音律の変更は電子弦楽器の弦、電子吹奏(管)楽器の管、電子打楽器(パッド等)の打、コンピュータのキーボードで行なわれてもよい。
検出/選択/変更される音律は、純正律、ピタゴラス音律または平均律、これらの中間音律のほか、さらに細分化された、これら以外の音律でもよい。なお、中間音律は純正律またはピタゴラス音律と平均律との中間の音律を指し、中全音律(中音律)、キルンベルガー音律、ヴェルクマイスター音律、ヤング音律を含むほか、これ以外の音律でも良いし、これらの音律の全てまたは一部であっても良い。
キルンベルガー音律はキルンベルガー音律I、II、IIIのいずれか、すべて、一部でもよい。ヴェルクマイスター音律はヴェルクマイスター音律のいずれか、すべて、一部でもよい。ヤング音律はヴァロッティ・ヤング律、ヤング律IIのいずれか、すべて、一部でもよい。更には、各音名ごとにチューニングをして操作者が任意に音律を設定してもよい。純正系には、純正律、ピタゴラス音律のほか、これらの変法などが含まれてもよい。
仮音律Tiは、上記中間音律T0の中全音律T0a、キルンベルガーT0b、ヴェルクマイスターT0c、ヤングT0dのいずれかとなるほか、場合によって上記純正律T1、平均律T2、これらの中間音律T0、ピタゴラス音律T4のいずれかになってもよい。
本発明は電子楽器またはコンピュータなどにおいて実施され得る。上記各図の回路の機能はソフトウエア(フローチャート)によって実施されても良いし、上記各図のフローチャートの機能はハードウエア(回路)によって実施されてもよい。各請求項記載の発明は、当該発明をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを記憶した媒体、コンピュータプログラムの通信装置(方法)、楽音発生装置(方法)、楽音制御装置(方法)としても実現可能である。
(9)他の発明の効果
[1]発音の指示をする複数の第一の発音指示手段と、 この第一の発音指示手段と音域または鍵域が異なる、発音の指示をする複数の第二の発音指示手段と、に対して、 発音指示がなされた上記第一の発音指示手段で指示された和音に基づいて第一の発音指示手段の音律を変更し、 上記第二の発音指示手段の音律を、上記変更された第一の発音指示手段の音律に対して音程差の少ない音律に変更または規制することを特徴とする音律制御方法。
[2]発音の指示をする複数の第一の発音指示手段と、 この第一の発音指示手段と音域または鍵域が異なる、発音の指示をする複数の第二の発音指示手段と、に対して、 発音指示がなされた上記第一の発音指示手段で指示された和音に基づいて第一の発音指示手段の音律を変更させる処理と、 上記第二の発音指示手段の音律を、上記変更された第一の発音指示手段の音律に対して音程差の少ない音律に変更または規制する処理とを実行させる音律制御のためのコンピュータプログラム。
[3]発音の指示をする複数の第一の発音指示手段と、 この第一の発音指示手段と音域または鍵域が異なる、発音の指示をする複数の第二の発音指示手段と、 発音指示がなされた上記第一の発音指示手段で指示された和音に基づいて第一の発音指示手段の音律を変更する第一の音律変更手段と、 上記第二の発音指示手段の音律を、上記変更された第一の発音指示手段の音律に対して音程差の少ない音律に変更または規制する第二の音律変更手段とを備えたことを特徴とする音律制御装置。
[4]上記第一の音律変更手段または第二の音律変更手段による音律の変更または規制は、所定の操作で禁止され、またはこの所定の操作が解除されるまで待機または延期されることを特徴とする請求項3記載の音律制御装置。
これにより、音律変更をしなくない演奏の時には、所定の操作で禁止/待機/延期できる。また、演奏の切れ目など音律の変更に支障がないタイミングまで、音律の変更を待機または延期でき、演奏に違和感が生じない。
[5]上記第一の発音指示手段または上記第二の発音指示手段のいずれかが指示中のときは、 上記第一の音律変更手段または/及び第二の音律変更手段による音律の変更または規制が禁止される、または当該指示が終了するまで待機または延期されることを特徴とする請求項3または4記載の音律制御装置。
これにより、メロディ鍵盤などの第二の発音指示手段が指示中のとき、第一の音律変更手段による音律変更が禁止/待機/延期され、伴奏などの第一の発音指示手段の音律が変更されないので、異なる発音指示手段にわたって、操作中によって音律変更の禁止/待機/延期が可能となる。また、演奏の途中で音律が変化せず、演奏音に違和感が生じない。さらに、演奏の切れ目など音律の変更に支障がないタイミングまで、音律の変更を待機または延期でき、演奏に違和感が生じない。
[6]上記第一の発音指示手段は伴奏鍵盤であり、しかも発音指示された発音指示手段の位置または数に応じて自動的に和音が伴奏され、上記第二の発音指示手段はメロディ鍵盤であることを特徴とする請求項3、4または5記載の音律制御装置。
これにより、メロディ演奏と伴奏との演奏の調和をはかり、メロディ演奏と伴奏との楽音相互の調和をはかることができる。
[7]上記第一の発音指示手段は伴奏鍵盤であり、上記第二の発音指示手段はメロディ鍵盤であり、メロディ鍵盤の音律は、伴奏鍵盤の音律と異なる音律であって、中間音律に変更され、この中間音律は、純正律またはピタゴラス音律と平均律との中間の音律であることを特徴とする請求項3、4、5または6記載の音律制御装置。
これにより、伴奏の音律が純正律(ピタゴラス音律)または平均律のいずれに変更されても、メロディの音律がこれらの音律の中間の音律にされ、伴奏とメロディの一方が純正律(ピタゴラス音律)または平均律のいずれかの音律、他方が残りの音律になるという、極端な差が生じてしまわず、伴奏の音律が激しく変化しても、メロディの音律が追随でき、伴奏とメロディの両演奏に違和感が生じず、演奏の調和をはかり、メロディ演奏と伴奏との楽音相互の調和をはかることができる。
[8]上記第一の発音指示手段は伴奏鍵盤であり、上記第二の発音指示手段はメロディ鍵盤であり、伴奏鍵盤の音律が純正律またはピタゴラス音律であれば、中間音律若しくは純正律またはピタゴラス音律にされ、伴奏鍵盤の音律が純正律またはピタゴラス音律でなければ、平均律または中間音律にされ、この中間音律は、純正律またはピタゴラス音律と平均律との中間の音律であることを特徴とする請求項3、4、5、6または7記載の音律制御装置。
これにより、伴奏の音律が純正律(ピタゴラス音律)または平均律のいずれに変更されても、メロディの音律がこれらの音律の中間の音律または伴奏と同一の音律にされ、伴奏とメロディの一方が純正律(ピタゴラス音律)または平均律のいずれかの音律、他方が残りの音律になるという、極端な差が生じてしまわず、伴奏の音律が激しく変化しても、メロディの音律が追随でき、伴奏とメロディの両演奏に違和感が生じず、演奏の調和をはかり、メロディ演奏と伴奏との楽音相互の調和をはかることができる。
伴奏鍵盤の検出和音で伴奏鍵盤の音律が決定される。伴奏鍵盤の検出和音でメロディ鍵盤の音律が決定される。伴奏鍵盤の音律でメロディ鍵盤の音律が決定される。伴奏鍵盤で指示された和音に基づいて伴奏鍵盤の音律だけでなく、メロディ鍵盤の音律も変更され、両鍵盤の演奏の調和をはかる。図4及び図6のステップ12で検出されたコードに基づいて、伴奏鍵盤22の音律t2が設定/変更される(ステップ46)。
この伴奏音律t2が純正律などでなければ(ステップ47)、メロディ音律t1は平均律に設定/変更され(ステップ58)、伴奏音律t2が純正律などであれば(ステップ47)、メロディ音律t1は中間音律などに設定/変更され(ステップ48〜55)。ここで伴奏音律t2とメロディ音律t1との音程差がチェックされ(ステップ50、52)、最も音程差の少ない音律が選ばれる(ステップ52〜55)。
音律制御を実現する全体回路1を示す。 プログラム/データ記憶部4にストアされる情報を示す。 全体処理のフローチャートを示す。 上記ステップ03のキー処理のフローチャートを示す。 上記ステップ05のパネル処理のフローチャートを示す。 上記ステップ12のコード変更処理のフローチャートを示す。 上記ステップ14の音律変更処理のフローチャートを示す。
符号の説明
1…全体回路、2…コントローラ(CPU)、
3…タイミング発生部、4…プログラム/データ記憶部、
5…楽音信号発生部、6…サウンドシステム、7…情報記憶部、
11…キーボード、12…キーボードスキャン回路、
13…パネルスイッチ群、14…スイッチスキャン回路、
15…ミディ回路、21…メロディ鍵盤、22…伴奏鍵盤、
23…デフォルト音律キースイッチ、
24…デフォルト音律タイプスイッチ、25…ペダル。

Claims (8)

  1. 発音の指示をする複数の第一の発音指示手段と、 この第一の発音指示手段と音域または鍵域が異なる、発音の指示をする複数の第二の発音指示手段と、に対して、
    発音指示がなされた上記第一の発音指示手段で指示された和音に基づいて第一の発音指示手段の音律を変更し、
    上記第二の発音指示手段の音律を、上記変更された第一の発音指示手段の音律に対して音程差の少ない音律に変更または規制することを特徴とする音律制御方法。
  2. 発音の指示をする複数の第一の発音指示手段と、 この第一の発音指示手段と音域または鍵域が異なる、発音の指示をする複数の第二の発音指示手段と、に対して、
    発音指示がなされた上記第一の発音指示手段で指示された和音に基づいて第一の発音指示手段の音律を変更させる処理と、
    上記第二の発音指示手段の音律を、上記変更された第一の発音指示手段の音律に対して音程差の少ない音律に変更または規制する処理とを実行させる音律制御のためのコンピュータプログラム。
  3. 発音の指示をする複数の第一の発音指示手段と、
    この第一の発音指示手段と音域または鍵域が異なる、発音の指示をする複数の第二の発音指示手段と、
    発音指示がなされた上記第一の発音指示手段で指示された和音に基づいて第一の発音指示手段の音律を変更する第一の音律変更手段と、
    上記第二の発音指示手段の音律を、上記変更された第一の発音指示手段の音律に対して音程差の少ない音律に変更または規制する第二の音律変更手段とを備えたことを特徴とする音律制御装置。
  4. 上記第一の音律変更手段または第二の音律変更手段による音律の変更または規制は、所定の操作で禁止され、またはこの所定の操作が解除されるまで待機または延期されることを特徴とする請求項3記載の音律制御装置。
  5. 上記第一の発音指示手段または上記第二の発音指示手段のいずれかが指示中のときは、 上記第一の音律変更手段または/及び第二の音律変更手段による音律の変更または規制が禁止される、または当該指示が終了するまで待機または延期されることを特徴とする請求項3または4記載の音律制御装置。
  6. 上記第一の発音指示手段は伴奏鍵盤であり、しかも発音指示された発音指示手段の位置または数に応じて自動的に和音が伴奏され、上記第二の発音指示手段はメロディ鍵盤であることを特徴とする請求項3、4または5記載の音律制御装置。
  7. 上記第一の発音指示手段は伴奏鍵盤であり、上記第二の発音指示手段はメロディ鍵盤であり、メロディ鍵盤の音律は、伴奏鍵盤の音律と異なる音律であって、中間音律に変更され、この中間音律は、純正律またはピタゴラス音律と平均律との中間の音律であることを特徴とする請求項3、4、5または6記載の音律制御装置。
  8. 上記第一の発音指示手段は伴奏鍵盤であり、上記第二の発音指示手段はメロディ鍵盤であり、伴奏鍵盤の音律が純正律またはピタゴラス音律であれば、中間音律若しくは純正律またはピタゴラス音律にされ、伴奏鍵盤の音律が純正律またはピタゴラス音律でなければ、平均律または中間音律にされ、この中間音律は、純正律またはピタゴラス音律と平均律との中間の音律であることを特徴とする請求項3、4、5、6または7記載の音律制御装置。
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