JP2009184872A - フェライト焼成体及びその製造方法 - Google Patents

フェライト焼成体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009184872A
JP2009184872A JP2008026188A JP2008026188A JP2009184872A JP 2009184872 A JP2009184872 A JP 2009184872A JP 2008026188 A JP2008026188 A JP 2008026188A JP 2008026188 A JP2008026188 A JP 2008026188A JP 2009184872 A JP2009184872 A JP 2009184872A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ferrite
produce
sintered
fired
spiral antenna
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008026188A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4752849B2 (ja
Inventor
Nobuaki Nagai
伸明 永井
Hideji Fujimoto
秀次 藤本
Koji Yasumura
浩治 安村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2008026188A priority Critical patent/JP4752849B2/ja
Publication of JP2009184872A publication Critical patent/JP2009184872A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4752849B2 publication Critical patent/JP4752849B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Magnetic Ceramics (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Abstract

【課題】リーダ/ライタ交信用スパイラルアンテナと携帯端末筐体セルの金属面との間にフェライト焼成体を挿入した携帯端末用RFIDシステムにおいて、良好な通信機能が発現されるフェライト焼成体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】所定の合成温度T1で製造されたNi−Zn系フェライト粉末を樹脂、可塑剤及び有機溶剤と共に混合してスラリーを作製する工程と、前記スラリーをフィルム上に塗工して生シートを作製する工程と、前記生シートを積層して積層体を作製する工程と、前記積層体を所定の寸法に切断した後所定の焼成温度T2で焼成してフェライト焼成体を作製する工程とを順次行い、T1<T2、且つ10≦|T2−T1|≦50の関係にあることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、良好な通信機能を確保するために利用され、リーダ/ライタ交信用スパイラルアンテナを有する携帯端末に搭載されるフェライト焼成体及びその製造方法に関するものである。
リーダ/ライタ交信用スパイラルアンテナよりなる13.56MHz帯RFIDシステム(ICタグ、ICカードによる無線通信)は、ICタグを薄い樹脂製カードに組み込んだ構造体としてコンビニエンスストア仕様電子マネーカード等に適用されている。そして、次の展開として近年爆発的に普及した携帯端末に13.56MHz帯RFIDシステムを搭載する取り組みが本格化してきた。
13.56MHz帯RFIDシステムは、リーダ/ライタと無線タグの双方に備えられたスパイラルアンテナ間に生じる電磁誘導で電力供給と交信を行っている。
しかしながら、当該13.56MHz帯RFIDシステムを携帯端末に搭載するべく多方面において検討が成されていたが、薄い樹脂製カードに組み込む場合と異なり、携帯端末の交信用スパイラルアンテナの近傍に位置する筐体セルの金属面により、その通信機能が著しく損なわれていた。すなわち、スパイラルアンテナに発生した磁束が金属面を貫通すると、ファラデーの法則により磁束を軸とした渦電流が金属面に流れるが、その回転方向はスパイラルアンテナを流れる電流の向きと反対の向きに流れる。つまり、スパイラルアンテナに発生した磁束が金属面に発生した渦電流による反対方向の磁束により打ち消されるためRFIDシステムの通信機能が大きく減衰してしいた。そこで、このような事態を未然防止するためにフェライト等の透磁率を有する磁性材料が適用されている。すなわち、スパイラルアンテナと筐体セルの金属面との間に透磁率を有する磁性材料を挿入することにより、スパイラルアンテナに発生した磁束が金属面を貫通する前に当該磁性材料により磁束を集束させて金属面での渦電流の発生を抑制するものである。
例えば、(特許文献1)にはリーダ/ライタと金属面との間にフレキシブル状の磁性体を配した比接触型ICカードリーダ/ライタが開示されている。これによると、金属面による上記不具合を抑制するためにフレキシブル状の磁性体を適用してICカードリーダ/ライタの安定した読み取りと書き込みを確保している。
また、(特許文献2)には、Fe2O3、NiO、及びZnOからなるNi−Zn系フェライト粉末においてSiO2を含有したフェライト粉末が開示されており、当該フェライト粉末を1100〜1300℃で焼成したフェライト焼成体をインダクタンス素子へ適用する例が記載されている。
特開2002−298095号公報 特開2007−145703号公報
しかしながら、上記した従来の磁性体を適用したRFIDシステムは、磁性体の製造条件やその組織及び微細構造により通信機能が大きく変動していた。
例えば、(特許文献1)に開示されているフレキシブルシート状の磁性体は、軟磁性体粉末を有機結合材で練り固めたものをシート状にしたフェライトコンポジットであるが、この場合有機結合材のマトリックス中に軟磁性体粉末が分散された微細構造となるため、高い透磁率が得られず、当該フレキシブルシート状の磁性体を携帯端末用RFIDシステムに適用した場合、スパイラルアンテナに発生した磁束の集束効果が十分ではなく、良好な通信機能が取得できない懸念があった。
また、(特許文献2)に開示されているフェライト焼成体は、Fe23、NiO、及びZnOからなるNi−Zn系フェライト粉末にSiO2を含有させたものをグリーンシートにした後、1100〜1300℃で焼成したものであり、SiO2添加と高い焼成温度により焼結が進行して結晶粒子が大きく成長した緻密質な微細構造を有する高透磁率の焼成体となり、当該焼成体を携帯端末用RFIDシステムに適用した場合、過度に成長した結晶粒子による緻密質微細構造のため高い透磁率が取得されるものの、13.56MHzの高周波帯域において導電率が高くなり、スパイラルアンテナに発生した磁束の集束効果が発揮されず、上記同様十分な通信機能が取得できない恐れがあった。
この様に従来の技術は、フェライト焼成体及びフェライトコンポジットを携帯端末用RFIDシステムに適用する上において、焼成体やコンポジットの微細構造や製造条件と通信機能との関連が詳細に把握されていなかった。すなわち、スパイラルアンテナと携帯端末筐体セルの金属面との間にフェライト焼成体を挿入して構成されるRFIDシステムにおいて、最大の通信機能が発現されるフェライト焼成体の微細構造及びその製造条件が確立されていなかった。
そこで、本発明は以上のような課題を解決するものであり、リーダ/ライタ交信用スパイラルアンテナと携帯端末筐体セルの金属面との間にフェライト焼成体を挿入した携帯端末用RFIDシステムにおいて、良好な通信機能が発現されるフェライト焼成体及びその製造方法を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明のフェライト焼成体の製造方法は、所定の合成温度T1で製造されたNi−Zn系フェライト粉末を樹脂、可塑剤及び有機溶剤と共に混合してスラリーを作製する工程と、スラリーをフィルム上に塗工して生シートを作製する工程と、生シートを積層して積層体を作製する工程と、積層体を所定の寸法に切断した後所定の焼成温度T2で焼成してフェライト焼成体を作製する工程とを順次行い、T1<T2、且つ10≦|T2−T1|≦50の関係にあることを特徴とする。
以上の様に本発明によれば、磁束の集束効果が高いフェライト焼成体及びその製造方法を提供するものであり、当該フェライト焼成体をリーダ/ライタ交信用スパイラルアンテナと携帯端末筐体セルの金属面との間に挿入することにより良好な通信機能を有する携帯端末用RFIDシステムを実現することができる。
請求項1記載の発明によれば、所定の合成温度T1で製造されたNi−Zn系フェライト粉末を樹脂、可塑剤及び有機溶剤と共に混合してスラリーを作製する工程と、スラリーをフィルム上に塗工して生シートを作製する工程と、生シートを積層して積層体を作製する工程と、積層体を所定の寸法に切断した後所定の焼成温度T2で焼成してフェライト焼成体を作製する工程とを順次行い、T1<T2、且つ10≦|T2−T1|≦50の関係にあることにより、良好な通信機能を有する携帯端末用RFIDシステムを実現することができる。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載のフェライト焼成体の製造方法であって、所定の合成温度T1は880℃であることにより、良好な通信機能を有する携帯端末用RFIDシステムを実現することができる。
請求項3記載の発明によれば、リーダ/ライタ交信用スパイラルアンテナを有する携帯端末において、リーダ/ライタ交信用スパイラルアンテナと携帯端末筐体セルの金属面との間に挿入するフェライト焼成体であって、1〜5μmのNi−Zn系フェライト結晶粒子がネック部を介して3次元的に連結した微細構造を有することにより、良好な通信機能を有する携帯端末用RFIDシステムを実現することができる。
(実施例1)
以下、本発明の実施例について具体例を上げながら図面を用いて説明する。
図1は、焼成温度に対するフェライト焼成体の微細構造図である。なお、本実施例のフェライト焼成体の製造に使用したフェライト粉末は、880℃の温度で合成したNi−Zn系フェライト粉末である。図1において、本発明のフェライト焼成体の微細構造は、890〜930℃の焼成温度で焼成したものであり、1〜5μmのNi−Zn系フェライト結晶粒子がネック部を介して3次元的に連結した微細構造を有していた。一方、焼成温度が890℃に満たない880℃で焼成したフェライト焼成体は、フェライト結晶粒子同士にネック部の形成と粒成長が見られず、ほとんど焼結が進行していない微細構造を有していた。本微細構造を有するフェライト焼成体は、透磁率が低く、且つ機械的強度の小さいものとなる。従って、RF−IDシステムにおいて十分な通信機能が得られないことや、製造の組み立て工程においてフェライト焼成体に割れやカケ等の不具合が発生する。一方、焼成温度が940℃以上になると、図1の微細構造より明らかなように、液相生成と同時にフェライト結晶粒子ネック部及びフェライト結晶粒子の成長が進行した微細構造を有しており、特に1000℃で焼成した焼成体において異常粒成長が見られた。このような微細構造を有するフェライト焼成体は、高透磁率を有するものの高周波帯での導電率が増加するため十分な磁束の集束効果が得られず、RF−IDシステムにおける通信機能に不具合が発生することが予測された。すなわち、RF−IDシステムにおいて最良の通信機能が得られる微細構造は、図1における890〜930℃の焼成体である。
図2は、本発明のフェライト焼成体の微細構造の模式図である。図2に示すように粒子径平均粒子径が1〜5μmのNi―Zn系フェライ結晶粒子21がそれぞれ、ネック部22を介して連結した構造になっている。
図3は、フェライト焼成体の製造工程図であり、Fe23、NiO、ZnO及びCuOよりなる組成物を所定の合成温度T1で加熱して合成したNi−Zn系フェライト粉末を樹脂、可塑剤及び有機溶剤と共に混合してスラリーを作製する工程と、当該スラリーをPETフィルム上に製膜してグリーンシートを作製する工程と、当該グリーンシートを積層して積層体を作製する工程と、当該積層体を所定の寸法に切断した後所定の焼成温度T2で焼成してフェライト焼成体を作製する工程とを順次行うものである。なお、本発明のフェライト焼成体の微細構造は、T1とT2の関係において、T1<T2、且つ10≦|T2−T1|≦50の関係を満足することにより得られるものである。
次に、本発明のフェライト焼成体の具体的な製造方法について述べる。
46.0〜50.0モル%のFe23、18.0〜22.0モル%のNiO、18.0〜22.0モル%のZnO及び8.0〜12.0モル%のCuOよりなる組成物をロータリーキルンにより880℃の温度で加熱処理した後、乾式ロッドミル及び湿式アトラクションミルで粉砕することにより0.5〜1.5μmの平均粒子径を有するNi−Zn系フェライト粉末を合成した。合成したNi−Zn系フェライト粉末の粉末特性として、窒素ガス吸着法による比表面積値を測定したところ3.000〜5.500m2/gの値を有していた。
次のスラリー作製工程において、当該Ni−Zn系フェライト粉末の平均粒子径及び比表面積値に適合したスラリーを作製した。すなわち、Ni−Zn系フェライト粉末100重量部に対して、ポリビニルブチラール系樹脂を4.0〜6.5重量部、フタル酸エステル系の可塑剤を3.5〜6.0重量部及び有機溶剤を40〜60重量部の割合で配合した後、専用のミルで混合してNi−Zn系フェライト粉末を含むスラリーを作製した。作製したスラリーの粘度は20℃で1500〜2000Pa・secであり、シート成形用として適切な粘度を有していた。
次のグリーンシート作製工程において、スラリーをPETフィルム上に製膜して所定の厚みを有するNi−Zn系フェライト粉末を含むグリーンシートを作製した。すなわち、粘度が調整されたスラリーを塗工機に供給しながらギャップとライン速度を調整してPETフィルム上に製膜、乾燥した後、巻き上げてグリーンシートを作製した。作製されたグリーンシートの厚みは50〜200μmの範囲内で制御した。また、グリーンシートの積層密着性に影響を及ぼす乾燥温度は、70〜90℃に調整した。ライン速度は作製するグリーンシートの厚みにより調整する必要があり、0.5〜2.0m/minの範囲内で制御した。
次の積層体作製工程において、Ni−Zn系フェライトを含むグリーンシートをラミネート機を使用して所定の層数に積層した。すなわち、PETフィルム上に製膜したグリーンシートをラミネート機の加温ローラー圧着により2〜6層に積層して所定の厚みを有する積層体を作製した。加温ローラーの表面温度は、ポリビニルブチラール系樹脂のガラス転移温度よりも高い100〜120℃に制御して、良好な積層密着性を確保した。
次の切断工程において、積層したグリーンシートを所定の形状に切断した。すなわち、積層したグリーンシートを交信用スパイラルアンテナに適合した所定の形状が得られるように設計された専用の金型を使用して打ち抜き切断して所定の形状と厚みを有する成形体を作製した。グリーンシートが良好な積層密着性を有しているため、当該工程において層間剥離等の不具合は発生しなかった。
次の脱脂・焼成工程において、成形体をサヤ詰めした後、脱脂及び焼成してフェライト焼成体を作製した。すなわち、所定の厚みと形状を有する成形体をアルミナ質の薄板上にサヤ詰めした後、Ni−Zn系フェライト粉末の焼成前にポリビニルブチラール系樹脂及びフタル酸エステル系の可塑剤を燃焼させるための脱脂を実施した。脱脂の条件は、350〜500℃であり、トンネル型焼成炉、ベルト型焼成炉及び箱型焼成炉により実施した。そして、脱脂後焼成炉により890〜930℃の範囲内で焼成してフェライト焼成体を作製した。得られたフェライト焼成体の破断面を走査型電子顕微鏡で5000倍の倍率で観察して微細構造を撮影した。その結果、本発明のフェライト焼成体は、図1に示した890〜930℃の焼成温度域で焼成したものであり、その微細構造は模式図を図2に示した様に、平均粒子径が1〜5μmのNi―Zn系フェライ結晶粒子21がネック部22を介して3次元的に連結した微細構造を有するものであった。
上述したフェライト焼成体は、主として携帯端末の良好な通信機能を得るために適用されるものであり、図4は、フェライト焼成体を適用した携帯端末の断面斜視図である。これによると、携帯端末筐体セル42と交信用スパイラルアンテナ43との間にフェライト焼成体44が挿入された構成となる。
また、図5は、RF−IDシステムの概略図、図6は、フェライト焼成体を搭載したRF−IDシステムの概略図である。図5のRF−IDシステムは、携帯端末筐体セル51と交信用スパイラルアンテナ52により構成された図5のRF−IDシステムにおいて、交信用スパイラルアンテナ52に侵入する磁束53は携帯端末筐体セル51の金属表面に発生したうず電流による反対方向の磁束54により打ち消されて通信機能が大きく減衰する。これに対して、図6のRF−IDシステムは、リーダ/ライタ交信用スパイラルアンテナ62と携帯端末筐体セル61の金属面との間にフェライト焼成体64が挿入されたものである。これにより、交信用スパイラルアンテナ62に侵入する磁束63が当該フェライト焼成体64により集束されて携帯端末筐体セル61の金属表面のうず電流が抑制されるものである。本発明の携帯端末用RF−IDシステムは、フェライト焼成体64の微細構造を図1の890〜930℃の焼成体の微細構造としたものであり、1〜5μmのNi−Zn系フェライト結晶粒子がネック部を介して3次元的に連結したものである。これにより、最良の通信機能が得られるものである。一方、フェライト焼成体64の微細構造を図1の880℃の焼成体及び940℃以上の焼成体の微細構造としたものは、通信機能の劣化が発生する。
次に、図4と類似の構成による通信機能の測定について述べる。すなわち、フェライト焼成体を図6に示したリーダ/ライタ交信用スパイラルアンテナ62と携帯端末筐体セル61の金属面との間に挿入した携帯端末用RF−IDシステムの通信機能を測定した。ここで、通信機能としての測定項目は、タグとリーダ/ライタ間の通信距離を設定した。
実施例1に記載した方法に基づいて、880℃の温度で合成したNi−Zn系フェライト粉末を出発材料として、880〜1000℃の焼成温度で焼成した各々のフェライト焼成体を作製した。作製した各々のフェライト焼成体の両面にテープを貼り付けて通信機能測定用のサンプルとした。サンプルの寸法は、30mm×25mmで厚みが120μmであった。測定用サンプルと同サイズの銅版とスパイラルアンテナとの間にフェライト焼成体のサンプルを挿入したものをタグとしてセットして、13.56MHzの共振周波数におけるリーダ/ライタとの通信距離を測定した。
図7はフェライト焼成体を搭載したRF−IDシステムの通信距離図である。これによると、本発明の微細構造が得られる890〜930℃で焼成した焼成体において、共振周波数13.56MHzでの通信距離が最良となった。一方、880℃で焼成した焼成体、及び940℃以上で焼成した焼成体において、通信距離が低下した。これは、次のように考えることができる。
すなわち、880℃で焼成した焼成体は、十分な焼結が進行していないため個々の結晶粒子が連結することなく孤立したような状態となっている。従って、磁性体としての十分な透磁率が得られず、リーダ/ライタ側から侵入してくる磁束の集束効果が十分でないために通信距離が劣化したものと考えることができる。また、940℃以上で焼成した焼成体の微細構造は液相生成と同時に結晶粒子間のネック部の成長と結晶粒子の異常成長が発生していた。従って、透磁率は高くなるものの、13.56MHzという高周波数帯での焼成体表面の導電率が増加して磁束の集束効果が低下したために、通信距離が劣化したものと考えられる。これに対して、890〜930℃で焼成した焼成体は、1〜5μmのNi−Zn系フェライト結晶粒子がネック部を介して3次元的に連結した微細構造を有しており、880℃で焼成した焼成体のような透磁率の低下はなく、また940℃以上で焼成した焼成体のような導電率増加による磁束の集束効果の低下もないために、最良の通信距離が取得されたものと考えられる。
以上、本実施例の携帯端末用RF−IDシステムは1〜5μmのNi−Zn系フェライト結晶粒子がネック部を介して3次元的に連結した微細構造を有することを特徴とするフェライト焼成体を適用することにより、良好な通信機能が取得されるものである。
以上の様に、本発明のフェライト焼成体はNi−Zn系フェライト粉末の合成温度T1とNi−Zn系フェライト粉末を含む成形体の焼成温度T2との関係において、T1<T2、且つ10≦|T2−T1|≦50の関係にあることを特徴とする製造方法により作製されたものであるため、1〜5μmのフェライト結晶粒子がネック部を介して3次元的に連結した微細構造を有するものである。これにより、本発明のフェライト焼成体をリーダ/ライタ交信用スパイラルアンテナと携帯端末筐体セルの金属面との間に挿入することにより優れた通信特性を有する携帯端末用RFIDシステムを実現できる。
本発明のフェライト焼成体及びその製造方法は、良好な通信距離を確保できるため、リーダ/ライタ交信用スパイラルアンテナを有する通信端末、特に携帯端末に有用である。
焼成温度に対するフェライト焼成体の微細構造図 本発明のフェライト焼成体の微細構造の模式図 フェライト焼成体の製造工程図 フェライト焼成体を適用した携帯端末の断面斜視図 RF−IDシステムの概略図 フェライト焼成体を搭載したRF−IDシステムの概略図 フェライト焼成体を搭載したRF−IDシステムの通信距離図
符号の説明
21 Ni−Zn系フェライト結晶粒子
22 ネック部
41 携帯端末
42 携帯端末筐体セル
43 交信用スパイラルアンテナ
44,64 フェライト焼成体
51,61 携帯端末筐体セル
52 交信用スパイラルアンテナ
53,63 交信用スパイラルアンテナに侵入する磁束
54 うず電流による反対方向の磁束
62 リーダ/ライタ交信用スパイラルアンテナ

Claims (3)

  1. 所定の合成温度T1で製造されたNi−Zn系フェライト粉末を樹脂、可塑剤及び有機溶剤と共に混合してスラリ−を作製する工程と、前記スラリ−をフィルム上に塗工して生シートを作製する工程と、前記生シ−トを積層して積層体を作製する工程と、前記積層体を所定の寸法に切断した後所定の焼成温度T2で焼成してフェライト焼成体を作製する工程とを順次行い、T1<T2、且つ10≦|T2−T1|≦50の関係にあることを特徴とするフェライト焼成体の製造方法。
  2. 前記所定の合成温度T1は880℃であることを特徴とする請求項1記載のフェライト焼成体の製造方法。
  3. リーダ/ライタ交信用スパイラルアンテナを有する携帯端末において、前記リーダ/ライタ交信用スパイラルアンテナと携帯端末筐体セルの金属面との間に挿入するフェライト焼成体であって、1〜5μmのNi−Zn系フェライト結晶粒子がネック部を介して3次元的に連結した微細構造を有することを特徴とするフェライト焼成体。
JP2008026188A 2008-02-06 2008-02-06 フェライト焼成体の製造方法 Expired - Fee Related JP4752849B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008026188A JP4752849B2 (ja) 2008-02-06 2008-02-06 フェライト焼成体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008026188A JP4752849B2 (ja) 2008-02-06 2008-02-06 フェライト焼成体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009184872A true JP2009184872A (ja) 2009-08-20
JP4752849B2 JP4752849B2 (ja) 2011-08-17

Family

ID=41068517

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008026188A Expired - Fee Related JP4752849B2 (ja) 2008-02-06 2008-02-06 フェライト焼成体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4752849B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104766686A (zh) * 2015-01-26 2015-07-08 横店集团东磁股份有限公司 一种新型nfc磁片浆料及其制备方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06325921A (ja) * 1993-05-11 1994-11-25 Nippon Steel Corp Ni−Cu−Zn系フェライト粉末
JP2002141215A (ja) * 2000-11-07 2002-05-17 Sumitomo Metal Ind Ltd 酸化物磁性材料とその製造方法および積層チップインダクタ
JP2003272914A (ja) * 2002-03-12 2003-09-26 Sumitomo Metal Ind Ltd 酸化物磁性材料とその製造方法および積層チップインダクタ
JP2005015293A (ja) * 2003-06-27 2005-01-20 Toda Kogyo Corp 焼結フェライト基板
JP2006174223A (ja) * 2004-12-17 2006-06-29 Matsushita Electric Ind Co Ltd 磁性材及びその製造方法、それを用いた磁性シート並びにアンテナ装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06325921A (ja) * 1993-05-11 1994-11-25 Nippon Steel Corp Ni−Cu−Zn系フェライト粉末
JP2002141215A (ja) * 2000-11-07 2002-05-17 Sumitomo Metal Ind Ltd 酸化物磁性材料とその製造方法および積層チップインダクタ
JP2003272914A (ja) * 2002-03-12 2003-09-26 Sumitomo Metal Ind Ltd 酸化物磁性材料とその製造方法および積層チップインダクタ
JP2005015293A (ja) * 2003-06-27 2005-01-20 Toda Kogyo Corp 焼結フェライト基板
JP2006174223A (ja) * 2004-12-17 2006-06-29 Matsushita Electric Ind Co Ltd 磁性材及びその製造方法、それを用いた磁性シート並びにアンテナ装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104766686A (zh) * 2015-01-26 2015-07-08 横店集团东磁股份有限公司 一种新型nfc磁片浆料及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4752849B2 (ja) 2011-08-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8470194B2 (en) Ni—Zn—Cu ferrite particles, green sheet comprising the Ni—Zn—Cu ferrite particles and Ni—Zn—Cu ferrite sintered ceramics
JP5626834B2 (ja) 開磁路型積層コイル部品の製造方法
JP4872833B2 (ja) 圧粉磁心およびその製造方法
WO2009081984A1 (ja) 積層インダクタ及びこれを用いた電力変換装置
KR101890334B1 (ko) 마그네틱 보안전송용 자기장 차폐유닛, 이를 포함하는 모듈 및 이를 포함하는 휴대용 기기
JP2013133263A (ja) フェライト磁性材料及びその製造方法、それを用いたフェライト焼成体並びにアンテナモジュール
JP5582279B2 (ja) Ni−Zn−Cu系フェライト焼結体からなるインダクタンス素子
JP6127959B2 (ja) フェライト組成物、フェライトプレート、アンテナ素子用部材、およびアンテナ素子
JP6841825B2 (ja) 無線電力伝送用磁場遮蔽ユニット及びこれを含む無線電力伝送モジュール
US20140176285A1 (en) Ferrite ceramic composition, ceramic electronic component, and method for manufacturing ceramic electronic component
CN109712800B (zh) 一种基于非晶或纳米晶带材的磁性薄片及其制备方法
US9027236B2 (en) Resonator structures and method of making
JP4752849B2 (ja) フェライト焼成体の製造方法
JP4735944B2 (ja) 積層型インダクタ
JP2020083731A (ja) フェライトシート及びそれを用いたコイルモジュール
TWI820093B (zh) Ni-Zn-Cu系肥粒鐵粉末、燒結體、肥粒鐵薄片
JP2015117174A (ja) フェライトプレート、アンテナ素子用部材、およびアンテナ素子
CN112951537B (zh) 磁性薄片、和具备磁性薄片的线圈模块以及非接触供电装置
JP2001313225A (ja) 磁器コンデンサ
JP6427971B2 (ja) Mnフェライト組成物、フェライトプレート、アンテナ素子用部材、およびアンテナ素子
JP2015117172A (ja) フェライトプレート、アンテナ素子用部材、およびアンテナ素子
JP2002100509A (ja) 複合型磁性体磁器材料及びその製造方法
KR102525699B1 (ko) 무선전력 전송용 자기장 차폐유닛, 이를 포함하는 무선전력 전송모듈 및 이를 포함하는 전자기기
KR101656822B1 (ko) 세라믹 시트 제조용 압출 성형 장치, 세라믹 시트, 및 이의 제조방법
TW201940430A (zh) Ni-Zn-Cu系肥粒鐵粉末、電子零件、天線及RF標籤

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20091127

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100909

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100914

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101110

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101130

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110222

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110404

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110426

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110509

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140603

Year of fee payment: 3

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4752849

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140603

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees