JP2009184554A - 安全走行支援システム - Google Patents
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Abstract
【課題】車両のドライバからは見え難い部分の情報をドライバに報知する技術において、ドライバにとって必要なタイミングで情報の報知を行う。
【解決手段】安全走行支援システムは、車両20の始動時等に、ドライバの死角範囲47、48を特定し、特定した死角を完全に含むように、ドライバの指定に応じて、警告範囲60を設定し、設定した警告範囲60に他の車両がいることを起因として、車載カメラによる撮影画像をヘッドアップディスプレイに表示させる。
【選択図】図7
【解決手段】安全走行支援システムは、車両20の始動時等に、ドライバの死角範囲47、48を特定し、特定した死角を完全に含むように、ドライバの指定に応じて、警告範囲60を設定し、設定した警告範囲60に他の車両がいることを起因として、車載カメラによる撮影画像をヘッドアップディスプレイに表示させる。
【選択図】図7
Description
本発明は、車両の安全走行を支援するための安全走行支援システムに関するものである。
車両の車線変更時および直進走行中の安全確認は、従来、ドライバの目視及びルームミラー・サイドミラーにて行っていた。しかし、運転時の車両スピード、ドライバーの判断力、集中力、精神状態によっては、十分な安全確認ができない場合がある。また、ミラーを用いてもドライバから死角となる範囲については、目視による安全確認が困難である。このような問題を回避しようとする技術として、ドライバから死角となる部分の画像等の情報をドライバに報知する技術がある(例えば、特許文献1〜9参照)。
特開平5−24492号公報
特開平6−258426号公報
特開平8−2356号公報
特開平10−250508号公報
特開2001−315601号公報
特開2002−204446号公報
特開2005−171904号公報
特開2006−248374号公報
特開2007−164328号公報
しかし、上記のような従来の技術では、ドライバが必ずしも必要と感じない場合にまで、ドライバに死角の情報を報知してしまうので、ドライバに煩わしさを感じさせてしまう可能性がある。
本発明は上記点に鑑み、車両のドライバからは見え難い部分の情報をドライバに報知する技術において、ドライバにとって必要なタイミングで情報の報知を行うことを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、車両(20)の側方および後方を撮影するカメラ(2a、2b、2c)を備えた安全走行支援システムが、警告範囲を、ドライバ(40)の指定に応じて設定し、設定した警告範囲に移動障害物(63)がいることを起因として、カメラ(2a、2b、2c)による撮影画像をドライバ(40)に表示することである。
このように、ドライバ(40)の指定に応じて設定された警告範囲内に移動障害物(63)がいることを起因として、、カメラ(2a、2b、2c)による撮影画像を表示するので、ドライバ(40)毎に異なる警告範囲(すなわち、ドライバ(40)にとって警告してほしい範囲)をダイレクトに反映した報知を行うことができる。すなわち、ドライバ(40)にとって必要なタイミングで、画像による情報の報知を行うことができる。
また、請求項2に記載のように、安全走行支援システムは、カメラ(2a、2b、2c)の撮影範囲をはみ出す警告範囲の設定を禁止するようになっていてもよい。このようになっていることで、警告範囲に移動障害物(63)がいることを起因とした画像表示の際に、その表示画像中に当該移動障害物(63)が表示されていないような不都合が発生することがなくなる。
また、請求項3に記載のように、安全走行支援システムは、車両(20)のドライバ(40)にとって、車両(20)の外部のドライバ(40)にとって見え難い地点に該当する視認困難範囲を特定するようになっていてもよい。この場合、安全走行支援システムは、特定された視認困難範囲を完全には含まない警告範囲の設定を禁止するようになっていてもよい。
このようになっていることで、ドライバ(40)が不用意に視認困難範囲の一部(または全部)を警告範囲から除外してしまい、その結果、視認困難範囲に移動障害物(63)が入っても画像表示をを行わなくなってしまうという事態の発生を防ぐことができる。
また、請求項4に記載のように、安全走行支援システムは、車両(20)の車線変更時に、警告範囲に移動障害物(63)がいることを起因として、撮影画像をドライバ(40)に表示するようになっていてもよい。このとき安全走行支援システムは、車両(20)のミラー(31、34、37)を用いてもドライバ(40)が視認できない領域を、視認困難範囲として特定するようになっていてもよい。
このようにするのは、車線変更時には、ドライバ(40)がミラー(31、34、37)を見て側方および後方の確認を行う可能性が高いので、そのような場合には、ミラー(31、34、37)で見える領域を視認困難範囲とする必要は必ずしもないからである。したがって、このようにすることで、ドライバ(40)にとって必要なタイミングで情報の表示を行うことができる可能性が更に向上する。
また、請求項5に記載のように、安全走行支援システムは、車両(20)の直進走行時に、警告範囲に移動障害物(63)が入ったことを起因として、撮影画像をドライバ(40)に表示するようになっていてもよい。このとき安全走行支援システムは、車両(20)のミラー(31、34、37)を用いてもドライバ(40)が視認できない領域と、ミラー(31、34、37)を見ることでしかドライバ(40)が視認できない領域との両方を、視認困難範囲として特定するようになっていてもよい。
直進走行時には、車線変更時と違い、ドライバ(40)がミラー(31、34、37)を見て側方および後方の確認を行う可能性が低い。したがって、そのような場合には、上記のように、ミラー(31、34、37)でしか見えない領域も視認困難範囲とすることで、ドライバ(40)にとって必要なタイミングで情報の表示を行うことができる可能性が更に向上する。
また、請求項6に記載ように、安全走行支援システムは、ドライバ(40)の目の位置およびミラー(31、34、37)の向きに基づいて、視認困難範囲を特定するようになっていてもよい。このようになっていることで、個々のドライバ(40)の身体的特徴に併せて適切な視認困難範囲を特定することができる。したがって、ドライバ(40)にとって必要なタイミングで情報の表示を行うことができる可能性が更に向上する。
また、請求項7に記載のように、安全走行支援システムは、移動障害物(63)が警告範囲よりも更に狭い範囲に進入したことに基づいて、車両(63)が安全な位置に移動するよう、車両(63)の走行を制御するようになっていてもよい。
このようになっていることで、ドライバ(40)が表示を受けて車両(20)の運転を行っていたのでは間に合わないような緊急の場合にでも、自動的に車両(20)を安全な位置に移動させることができる。
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車載用の安全走行支援システムの構成を示す。この安全走行支援システムは、車両用ナビゲーション装置1、車載カメラ2a〜2c、ヘッドアップディスプレイ3、レーダセンサ4、危険回避自動制御装置5、ウインカ6、および安全運転支援部7を有している。
車両用ナビゲーション装置1は、位置検出器11、モニタ12、操作部13、地図データ取得部14、制御回路17を有している。
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置、向き、および速度を特定するための情報を制御回路17に出力する。なお、GPS受信機は、DGPS、干渉測位GPS等を用いた高精度(精度1メートル以内)の現在位置情報を出力することができる。
モニタ12は、制御回路17から出力された映像信号に基づいた映像をドライバに表示する。操作部13は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、モニタ12の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ドライバによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御回路17に出力する。
地図データ取得部14は、DVD、CD、HDD等の不揮発性の記憶媒体およびそれら記憶媒体に対してデータの読み出し(および可能ならば書き込み)を行う装置から成る。当該記憶媒体は、制御回路17が実行するプログラム、経路案内用の地図データ等を記憶している。
地図データは、道路データおよび施設データを有している。道路データは、リンクの位置情報、リンクの種別情報、リンクが有する車線数情報、リンクに含まれる車線の位置情報、ノードの位置情報、種別情報、および、ノードとリンクとの接続関係の情報等を含んでいる。施設データは、施設毎のレコードを複数有しており、各レコードは、対象とする施設の名称情報、所在位置情報、土地地番情報、施設種類情報等を示すデータを有している。
制御回路(コンピュータに相当する)17は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するマイコンである。CPUは、ROMまたは地図データ取得部16から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、および地図データ取得部16から情報を読み出し、RAMおよび(可能であれば)地図データ取得部16の記憶媒体に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、モニタ12、操作部13、カメラ2a〜2c、ヘッドアップディスプレイ3、レーダセンサ4、危険回避自動制御装置5、ウインカ6、および安全運転支援部7と信号の授受を行う。
制御回路17がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、現在位置特定処理、ナビゲーション処理、車線変更支援処理、および直進走行支援処理等がある。
現在位置特定処理は、位置検出器11からの信号に基づいて、周知のマップマッチング等の技術を用いて車両の現在位置、車両が走行しているリンク、車両が走行している車線、車両の向き、車速等を特定する処理である。
ナビゲーション処理は、ドライバが操作部13を用いて入力した目的地への最適な経路を算出し、その経路に沿って車両を誘導するために、スピーカ(図示せず)を用いた音声案内およびモニタ12を用いた地図拡大表示等を行う処理である。
車線変更支援処理および直進走行支援処理は、それぞれ車両の車線変更時、および直進走行時に、必要に応じてドライバに警告報知を行う処理である。これら車線変更支援処理および直進走行支援処理の詳細については後述する。
車載カメラ2a〜2cは、車両の側方および後方の所定の撮影範囲を撮影し、撮影した結果の画像を制御回路17に出力するための装置である。具体的には、図2に示すように、右側方カメラ2aは、自車両20の右側面に取り付けられ、自車両20の右方および右側後方の領域(より具体的には、線21、22に挟まれる領域)を撮影する。また、左側方カメラ2bは、自車両20の左側面に取り付けられ、自車両20の左方および左側後方の領域(より具体的には、線23、24に挟まれる領域)を撮影する。また、後方カメラ2cは、自車両20の後部に取り付けられ、自車両20の後方の領域(より具体的には、線25、26に挟まれる領域)を撮影する。
右側方カメラ2aの撮影範囲は、右ドアミラー37を介して車両20のドライバが目視できる領域(具体的には、線38、39で挟まれる領域)のほとんどをカバーしており、かつ、ルームミラー31、左ドアミラー34、右ドアミラー37のいずれを用いても視認することができない領域もカバーしている。
左側方カメラ2bの撮影範囲は、左ドアミラー34を介してドライバが目視できる領域(具体的には、線35、36で挟まれる領域)のほとんどをカバーしており、かつ、ミラー31、左ドアミラー34、右ドアミラー37のいずれを用いても視認することができない領域もカバーしている。
後方カメラ2cの撮影範囲は、ルームミラー31を介してドライバが目視できる領域(具体的には、線32、33で挟まれる領域)のほとんどをカバーしており、かつ、ミラー31、左ドアミラー34、右ドアミラー37のいずれを用いても視認することができない領域もカバーしている。
ヘッドアップディスプレイ3は、制御回路17の制御に基づいて、車両のフロントガラス部分に画像を投影する装置である。
レーダセンサ4は、車両の前部、右側部、左側部、および後部に取り付けられ、レーザを周囲に照射してその反射波を受信することで、車両20の周囲の物体(歩行者、他車両等)の、自車両20から見た方向、自車両20からの距離、および自車両20に対する相対速度等の情報を取得し、その情報を制御回路17に出力する装置である。なお、各レーダセンサ4の検出範囲は、レーダセンサ4から100メートル程度の範囲内である。
危険回避自動制御装置5は、マイコン等の制御装置であって、自車両20と自車両20の周囲の車両の位置関係に応じて、図示しない車両のステアリング、アクセル、ブレーキ等を制御することで、車両の走行内容を制御する装置である。この危険回避自動制御装置5の作動の詳細については後述する。
ウインカ6は、ドライバの操作に応じて、車両20の右折表示用の右側ランプまたは左折表示用の左側のランプを点滅させる装置であり、どちらかの点滅があった場合には、その旨の信号を制御回路17に出力する。
安全運転支援部7は、制御部71、アイポイント計測部72、およびミラー角度計測部73を有している。
アイポイント計測部72は、図3、図4に示すように、車両20のルームミラー31の位置に取り付けられ、車両20のドライバ40の右目41および左目42の、アイポイント計測部72に対する3次元位置X、Y、Z1、Z2を特定する装置である。
具体的には、アイポイント計測部72は、ドライバ40の顔の部分を撮影するカメラと、そのカメラの撮影範囲に光を照射する発光素子と、その発光素子が照射した光の反射波を受信する受光素子と、制御部とを備えている。
そしてアイポイント計測部72は、発光素子によるドライバ40の顔への照射および受光素子による受光の際に、発光素子および受光素子を光の進行方向に微小振動させて、受光素子で受けた(その微小振動による)光の変動分と光強度に基づいて、アイポイント計測部72から目41、42までの距離Xを算出する。またアイポイント計測部72は、特定した距離X、およびカメラによる撮影画像中の目41、42の位置に基づいて、アイポイント計測部72に対する目41、42の高さの差Yおよび横方向の位置差Z1、Z2を算出する。アイポイント計測部72によるドライバ40の目41、42の位置の算出の詳細は、例えば、特開2001−21315号公報に記載されている。
なお、アイポイント計測部72の取付位置の車両20中の座標は、あらかじめ定められている。したがって、3次元位置X、Y、Z1、Z2により、ドライバ40の目41、42の車両20に対する位置を特定することができる。
ミラー角度計測部73は、ルームミラー31、左ドアミラー34、右ドアミラー37の各ミラーの向きを検出し、検出結果を制御回路17に出力する装置(例えば、ミラーの角度を変えるための回転部分の回転角度を検出するロータリーエンコーダ)である。
制御部(コンピュータに相当する)71は、CPU、RAM、ROM、I/O等を有するマイコンである。CPUは、ROMから読み出した安全運転支援部7の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROMから情報を読み出し、RAMに対して情報の書き込みを行い、アイポイント計測部72、ミラー角度計測部73、車両用ナビゲーション装置1等と信号の授受を行う。
制御回路71がプログラムを実行することによって行う具体的な処理としては、警告範囲設定処理である。図5に、この警告範囲設定処理のために制御部71が実行するプログラム100のフローチャートを示す。ドライバ40が車両用ナビゲーション装置1の操作部13に対して安全走行支援システムを利用する旨の入力を行うと、制御回路17は警告範囲設定処理の実行指令を制御部71に送信し、制御部71は、その実行指令を受信したことに基づいて、プログラム100の実行を開始する。あるいは、制御回路71は、車両始動時(例えば、イグニッションスイッチがONとなったとき)に、プログラム100の実行を開始する。
そして制御部71は、プログラム100の実行において、まずステップ105で、アイポイント計測部72から、ドライバ40の目の位置のアイポイント計測部72に対する相対位置情報を取得し、さらに、あらかじめ設定されたアイポイント計測部72の車両20中の位置座標の情報に基づいて、ドライバ40の目の位置の車両20中の3次元位置座標を特定する。
続いてステップ110では、ミラー角度計測部73から、各ミラー31、34、37の向きを示す角度情報を取得する。
続いてステップ115では、ステップ105、110で取得したドライバ40の目の位置およびミラー31、34、37の向きの情報に基づいて、視認困難範囲(すなわち、確認が困難な位置の範囲)を決定する。ここで決定する視認困難範囲は、車線変更時用の視認困難範囲と、直進走行時用の視認困難範囲の2種類である。
車線変更時用の視認困難範囲は、図6のエリア47、48に示す領域である。すなわち、ドライバが顔を前方に向けた状態で目視しても確認できず、ルームミラー31、左ドアミラー34、左ドアミラー34のいずれを介してもドライバ40が確認できず、かつ、ドライバ40が顔を横方向(すなわち左または右)に向けて目視しても確認できないような死角エリアである。
あるいは、車線変更時用の視認困難範囲は、ドライバが顔を前方に向けた状態で目視しても確認できず、ルームミラー31、左ドアミラー34、左ドアミラー34のいずれを介してもドライバ40が確認できないような死角エリアであってもよい。
また、直進走行時用の視認困難範囲は、図6のエリア44、45、46、47、48に示す領域である。すなわち、ドライバ40の顔が前方を向いている場合にルームミラー31、左ドアミラー34、右ドアミラー37のいずれかを介してしか見ることができないエリア(すなわち、図6のエリア44〜46)と、上述の車線変更時用の視認困難範囲のエリアの両方を含む領域である。
なお、ドライバ40が顔を前方に向けた状態でミラー31、34、37を介さず直接耳見て確認できる路面のエリア(以下、エリアAという)については、車両20の窓ガラスの形状および大きさ、車体の形状および大きさ、ならびに各ミラー31、34、37の大きさおよび形状等の情報(以下、車体構造情報という)が制御部71のROMに記録されている場合は、当該車体構造情報と特定したドライバ40の目の位置の情報を用いて算出するようになっていてもよい。あるいは、ドライバ40の目の位置と、エリアAの具体的範囲との対応関係のデータがあらかじめ制御部71のROMに記録されている場合は、当該対応関係データに、特定したドライバ40の目の位置の情報を適用することで、エリアAを特定するようになっていてもよい。
また、ルームミラー31、左ドアミラー34、左ドアミラー34を介してドライバ40が確認できる路面のエリア(以下、エリアBという)については、車体構造情報が制御部71のROMに記録されている場合は、当該車体構造情報、特定したドライバ40の目の位置の情報、および特定した各ミラーの向きの情報を用いて算出するようになっていてもよい。あるいは、ドライバ40の目の位置および各ミラーの向きの組み合わせと、エリアBの具体的範囲との、対応関係のデータがあらかじめ制御部71のROMに記録されている場合は、当該対応関係データに、特定したドライバ40の目の位置および各ミラーの向きの情報を適用することで、エリアBを特定するようになっていてもよい。
また、ドライバ40が顔を横方向に向けてミラー31、34、37を介さず直接耳見て確認できる路面のエリア(以下、エリアCという)については、車体構造情報が制御部71のROMに記録されている場合は、当該車体構造情報と特定したドライバ40の目の位置の情報を用いて算出するようになっていてもよい。ただしこの場合、ドライバ40が顔を横に向ける角度は、所定の値(例えば90°)とする。あるいは、ドライバ40の目の位置と、エリアCの具体的範囲との対応関係のデータがあらかじめ制御部71のROMに記録されている場合は、当該対応関係データに、特定したドライバ40の目の位置の情報を適用することで、エリアCを特定するようになっていてもよい。
また、ドライバ40が顔を前方に向けた状態でルームミラー31、左ドアミラー34、左ドアミラー34を介して確認できる路面のエリア(以下、エリアDという)については、車体構造情報が制御部71のROMに記録されている場合は、当該車体構造情報、特定したドライバ40の目の位置の情報、および特定した各ミラーの向きの情報を用いて算出するようになっていてもよい。あるいは、ドライバ40の目の位置および各ミラーの向きの組み合わせと、エリアDの具体的範囲との、対応関係のデータがあらかじめ制御部71のROMに記録されている場合は、当該対応関係データに、特定したドライバ40の目の位置および各ミラーの向きの情報を適用することで、エリアDを特定するようになっていてもよい。
続いてステップ120では、車線変更支援処理をアクティベートするか(すなわち実行可能とするか否か)をドライバ40に問い合わせる。具体的には、車線変更支援処理をアクティベートするか否かの問い合わせメッセージを制御回路17に出力する。すると制御回路17は、この問い合わせメッセージをモニタ12に表示させるかあるいは図示しないスピーカに出力させる。そして制御回路17は、この問い合わせに対する肯定または否定の応答の入力を操作部13を介して取得すると、その応答の内容を制御部71に送信する。そして71は、受信した応答が肯定を示す場合続いてステップ125を実行し、否定を示す場合続いてステップ135を実行する。
ステップ125では、車線変更用警告範囲を決定する。この車線変更用警告範囲は、後述する車線変更支援処理において、警告を行うか否かの判定基準として用いられる。車線変更用警告範囲の具体的な決定方法は、以下の通りである。すなわち、ステップ115で特定した車線変更時用の視認困難範囲に対してあらかじめ定められた所定の拡大処理を施し、その拡大処理の結果の範囲を、デフォルトの車線変更用警告範囲とする。拡大処理の例としては、車線変更時用の視認困難範囲を、その中心位置を変えずに相似的に面積を2倍にする方法がある。
なお、拡大処理の結果の範囲は、必ず車線変更時用の視認困難範囲を完全に包含し、かつ、車載カメラ2a〜2cの撮影範囲に完全に含まれるような範囲とする。なお、車載カメラ2a〜2cの撮影範囲の情報は、あらかじめ制御部71のROMに記録されている。
あるいは、車線変更時用の視認困難範囲そのものを、デフォルトの車線変更用警告範囲とするようになっていてもよい。
さらにステップ125で、制御部71は、デフォルトの車線変更用警告範囲を、ドライバの操作部13に対する操作に応じて変化させる。図7に、車線変更時用の視認困難範囲47、48を含む車線変更用警告範囲の一例を示す。この例においては、点線60が、車線変更用警告範囲の境界を示している。
この変化の処理は、モニタ12における画像表示と操作部13のタッチパネルの操作が連動するような、インタラクティブかつグラフィカルな方法で実現するようになっていてもよい。
例えば、制御部71は、制御回路17を介して、モニタ12に、車両20、車両20周辺の車線変更時用の視認困難範囲47、48、および、デフォルトの車線変更用警告範囲を、表示させる。そして、ドライバ40が、モニタ12に重ねられたタッチパネルを用い、モニタ12上の車線変更用警告範囲に設定したい範囲の境界を指でなぞると、制御部71は、制御回路17を介してそのなぞられた境界の内部を、車線変更用警告範囲として特定する。
また例えば、制御部71は、制御回路17を介して、モニタ12に、車両20、車両20周辺の車線変更時用の視認困難範囲47、48、および、デフォルトの車線変更用警告範囲の境界線を、表示させる。そして、ドライバ40が、モニタ12に重ねられたタッチパネルを用い、モニタ12上のデフォルトの車線変更用警告範囲の境界線上の一点Xをタッチして、そのタッチを維持したまま指をずらすと、制御部71は、制御回路17を介してその操作内容を検出し、そのずらした先の位置が、上記の点Xに変わる新たな境界となるように、車線変更用警告範囲を変化させるようになっていてもよい。
ただし、いずれの方法においても、制御回路17は、ドライバのタッチパネル操作によって指定された領域が、車線変更用の視認困難範囲を完全には含まないようになっている場合は、その指定を無視し、指定の直前の車線変更用警告範囲を維持する。
また制御回路17は、ドライバのタッチパネル操作によって指定された領域が、車載カメラ2a〜2cの撮影範囲を逸脱するようになっている場合は、その指定を無視し、指定の直前の車線変更用警告範囲を維持する。
すなわち、制御回路17は、車線変更用の視認困難範囲を完全には含まないような範囲、および、車載カメラ2a〜2cの撮影範囲を逸脱するような範囲を、車線変更用警告範囲として設定することを禁止する。
なお、ドライバ40が車線変更用警告範囲を変更しない旨の操作を操作部13に対して行い、その旨の信号を制御回路17を介して取得した場合は、デフォルトの車線変更用警告範囲を、使用する車線変更用警告範囲として設定する。
続いてステップ130では、制御部71のRAM中の車線変更支援フラグをオンとし、その後ステップ135を実行する。なお、車線変更支援フラグは、プログラム100の実行開始時にオフにセットされるようになっている。
ステップ135では、直進走行支援処理をアクティベートするか否か(すなわち実行可能とするか否か)をドライバ40に問い合わせる。具体的には、直進走行支援処理をアクティベートするか否かの問い合わせメッセージを制御回路17に出力する。すると制御回路17は、この問い合わせメッセージをモニタ12に表示させるかあるいは図示しないスピーカに出力させる。そして制御回路17は、この問い合わせに対する肯定または否定の応答の入力を操作部13を介して取得すると、その応答の内容を制御部71に送信する。そして71は、受信した応答が肯定を示す場合続いてステップ140を実行し、否定を示す場合プログラム100の実行を終了する。
ステップ140では、直進走行用警告範囲を決定する。この直進走行用警告範囲は、後述する直進走行支援処理において、警告を行うか否かの判定基準として用いられる。直進走行用警告範囲の具体的な決定方法は、ステップ125の車線変更用警告範囲の設定方法において、車線変更用警告範囲を直進走行用警告範囲に置き換え、車線変更用の視認困難範囲を直進走行用の視認困難範囲に置き換えたものと同じである。図8に、直進走行時用の視認困難範囲44〜48を含む直進走行用警告範囲の一例を示す。この例においては、点線70が、直進走行用警告範囲の境界を示している。
続いてステップ145では、制御部71のRAM中の直進走行支援フラグをオンとし、その後プログラム100の実行を終了する。なお、直線走行支援フラグは、プログラム100の実行開始時にオフにセットされるようになっている。
なお、プログラム100の終了の際、制御回路71は、車線変更支援フラグの値、直線走行支援フラグの値、車線変更時用の視認困難範囲、直進走行時用の視認困難範囲を、制御回路17に出力し、制御回路17は、それら出力された情報を制御回路17のRAM中に記録する。
以上のようなプログラム100を実行することで、制御部71は、ドライバ40の目の位置(ステップ105参照)およびミラー31、34、37の向き(ステップ110参照)の情報に基づいて車線変更時用の視認困難範囲および直進走行時用の視認困難範囲を算出し(ステップ115参照)、それぞれ対応する視認困難範囲を完全に包含し、かつ車載カメラ2a〜2cの撮影範囲に完全に包含されるような領域として、車線変更用警告範囲および直進走行用警告範囲を、自動的に、あるいはドライバの操作に応じて、決定する(ステップ125、140参照)。
そして、制御回路17は、RAM中の車線変更支援フラグの値がオンである場合に限り、車線変更支援処理を実行し、また、RAM中の直進走行支援フラグの値がオンである場合に限り、直進走行支援処理を実行する。したがって、ドライバ40は、車線変更支援処理および直進走行支援支援のそれぞれについて独立に、実行するしないの選択を行うことができる(図5のステップ120、130、135、145参照)。したがって、ドライバ40が必要とする場合にのみ、その必要とする支援処理のみ実行することができるので、ドライバ40に煩わしさを監視させる可能性が低くなる。
また、制御部71は、車線変更用警告範囲および直進走行用警告範囲の設定を、ドライバ40が対応する車線変更支援処理または直進走行支援支援を実行する場合にのみ、実行する。したがって、実行しない処理についての設定まで行う必要がなくなり、ドライバ40にとっての作業負担が軽減される。
制御回路17は、車線変更支援処理の実行のために図9に示すプログラム200を実行し、また、直進走行支援処理の実行のために図10に示すプログラム300を実行する。以下、この車線変更支援処理および直進走行支援処理の詳細について説明する。
制御回路17は、プログラム200の実行において、まずステップ210で、位置検出器11からの信号に基づいて、現在位置の情報を取得する。続いてステップ220で、取得した現在位置の属する道路および車線を、地図データに基づいて特定する。なお、ステップ210で取得する位置情報は、車両20の走行する車線を特定できる程度の精度(例えば、誤差が1メートル以下となる精度)を有している。
続いてステップ230で、車両20が走行している道路の車線数が片側2車線以上であるか否かを判定し、片側2車線以上であれば続いてステップ240を実行し、片側2車線未満であれば再度ステップ210を実行する。
ステップ240では、車両20が車線変更しようとしているか否かを、ウインカ6からの信号および車両20が走行している車線に基づいて判定する。具体的には、車両20が右端車線以外を走行しており、かつウインカ6の右側ランプが点滅している場合、および、車両20が左端車線以外を走行しており、かつウインカ6の左側ランプが点滅している場合にのみ、車両20が車線変更しようとしていると判定する。このようにすることで、右折または左折のためのウインカ6の点滅を、車線変更のための点滅と誤判定してしまう可能性が低下する。ステップ240の判定結果が肯定的な場合、続いてステップ250を実行し、否定的な場合再度ステップ210を実行する。
ステップ250では、レーダセンサ4を(起動していなければ)起動し、続いてステップ260で、レーダセンサ4からの信号に基づいて、車線変更用警告範囲(図7参照)内に移動障害物があるか否かを判定する。ある障害物(車両、歩行者等)が移動障害物であるか否かは、自車両20の走行速度および自車両20に対する当該障害物の相対速度から、当該障害物の路面に対する速度を算出し、それがゼロでなければ当該障害物が移動障害物であると判定する。ステップ260の判定結果が肯定的な場合続いてステップ270を実行し、否定的な場合再度ステップ250を実行する。
ステップ270では、車載カメラ2a〜2cで取得した画像を、リアルタイムでヘッドアップディスプレイ3に表示させ、かつ、スピーカ(図示せず)を用いた音声による警告を行う。音声による警告は、ドライバ40にとって視認困難となる位置に障害物が存在することを知らせる警告である。
ここで、リアルタイムの表示とは、車載カメラ2a〜2cによる画像の撮影タイミングに対する当該画像の表示のタイミングの遅れをできるだけ少なくし、かつ、車載カメラ2a〜2cによる繰り返し撮影の時間間隔と同じ時間間隔で撮影画像の繰り返し表示を行うことをいう。
図11に、車載カメラ2a〜2cによる撮影画像からヘッドアップディスプレイ3に表示させる画像を生成する方法を概略的に示す。まず制御回路17は、車載カメラ2a〜2cのそれぞれが同じタイミングで撮影した3つの画像51a〜51cを繋ぎ合わせる。
繋ぎ合わせの配置は、ドライバ40が後ろを振り返ったならば見えるであろう風景に一致するような画像となるような配置とする。具体的には、右側方カメラ2aで撮影した画像51aを左側に配置し、左側方カメラ2bで撮影した画像51bを右側に配置し、後方カメラ2cで撮影した画像51cを中央に配置して、それぞれをつなぎ合わせる。
なお、各画像51a〜51cの繋ぎ目は、同じ物が複数箇所に表示されたり、表示されない物があったりしないように、すなわち、ドライバ40に違和感を覚えさせないように、調整する。具体的には、あらかじめ制御回路17のROMに記録された車載カメラ2a〜2cのそれぞれの撮影範囲の情報を用いて、各画像中で同じ撮影対象が映っている位置(切り取り画像フィッティングポイント)を特定し、その位置を繋ぎ目として画像51a〜51cを、繋ぎ合わせる。
なお、制御回路17は、この繋ぎ合わせの際、画像51a〜51cの撮影時のゆがみを補正するようになっていてもよい。あるいは、ゆがみを補正するか否かをドライバ40の操作部13に対する選択操作に基づいて決定するようになっていてもよい。
制御回路17は、このつなぎ合わせによって合成された画像51a〜51cに対して、さらに反転加工を行うことで、ドライバ40がルームミラー31を介して後方を見た場合と向き付けが同じになるような表示用画像52a〜52cを生成し、それをヘッドアップディスプレイ3に表示させる。
この反転加工において制御回路17は、合成画像51a〜52cのうち、右側方カメラ撮影画像51aを左右反転した画像52aを右側に配置し、左側方カメラ撮影画像51bを左右反転した画像52bを左側に配置し、後方カメラ撮影画像51cを左右反転した画像52cを中央に配置し、その配置で各画像52a〜52cを繋ぎ合せる。このようにすることで、表示用画像52a〜52cが生成される。
このようにしてフロントウィンドウのヘッドアップディスプレイ3の表示部に表示された表示用画像52a〜52cをドライバ40が見た場合、ドライバ40は、左右どちら側に障害物があるかを容易に直感的に把握することができる。
続いてステップ280では、ステップ260で検出した移動障害物が危険範囲内に入ってきたか否かを判定する。図12に、点線62を境界とする危険範囲内に他車両63が進入してきた場合を概略的に示す。危険範囲は、制御回路17のROM中にあらかじめその境界が定められており、例えば、車両20の後端部を中心とする半径5メートルの円内の領域である。ステップ280の判定結果が肯定的な場合続いてステップ290を実行し、否定的な場合再度ステップ270を実行する。
ステップ290では、自動制御を危険回避自動制御装置5に行わせる。具体的には、危険回避自動制御装置5に、作動の開始を指令する信号を出力する。なお、制御回路17は、危険回避自動制御装置5から要求があった場合には、レーダセンサ4から受けた情報および車両20周囲の環境情報(道路の車線数、交差点の有無、車両20の走行車線等)の情報を危険回避自動制御装置5に出力するようになっている。ステップ290の後、再度ステップ210を実行する。
ここで、作動の開始を指令する信号を制御回路17から受けた場合の危険回避自動制御装置5の作動内容について、図13、図14、および図15を用いて説明する。危険回避自動制御装置5は、レーダセンサ4からの情報に基づく車両20の周囲の車両状況、および、自車周囲の環境情報(道路の車線数、交差点の有無等)に基づいて、加速、減速及び左右方向への移動等から最も安全と判断した自動制御パターンを選択し、その選択に応じた車両20の挙動制御を行う。
具体的には、図13に示すように、危険範囲内に入った他車両63が車両20の現在位置65の右側にあり、現在位置65の直後(すなわち後方の所定距離内の位置)に後続車両64がおり、かつ現在位置65の前方の所定距離内には他車両がいない場合には、車両20を加速させることで、車両20を前方やや左側(すなわち他車両63のいない側)に逃がす。
また、図14に示すように、危険範囲内に入った他車両63が車両20の現在位置65の右側にあり、現在位置65のすぐ前(すなわち前方の所定距離内の位置)に先行車両66がおり、かつ現在位置65の後方の所定距離内には他車両がいない場合には、車両20を減速させることで、車両20を後方やや左側(すなわち他車両63のいない側)に逃がす。
また、図15に示すように、危険範囲内に入った他車両63が車両20の現在位置65の右側にあり、現在位置65のすぐ前に先行車両66がおり、かつ現在位置65の直後に後続車両64がいる場合には、車両20を緩やかに(すなわち、図14の場合の減速率よりも少ない減速率で)減速させることで、車両20を後方やや左側(すなわち他車両63のいない側)に逃がす。
以上のようなプログラム100を実行することで、制御回路17は、車線変更支援処理において、車両20が片側2車線以上の道路で(ステップ230参照)車線変更をする場合に(ステップ240参照)、レーダセンサ4からの信号に基づいて他車両63が車線変更用警告範囲内に入っているか否かを判定し(ステップ270参照)、入っている間は、車載カメラ2a〜2cによるリアルタイム撮影画像52a〜cの表示をヘッドアップディスプレイ3に繰り返し行わせる。(ステップ270参照)。ただし、危険範囲内に他車両63が入った場合は(ステップ280参照)、危険回避のために車両20の走行内容を制御し、車両20を安全な位置に自動的に移動させる(ステップ290参照)。
次に、直進走行支援処理について説明する。制御回路17は、直進走行支援処理において、図10に示すプログラム300を実行し、まずステップ310で、レーダセンサ4を(起動していなければ)起動し、続いてステップ320で、図9のステップ210と同じ方法で車両20の現在位置を取得し、さらにステップ330で、ステップ220と同様に取得した現在位置の属する道路および車線を、地図データに基づいて特定する。
続いてステップ340では、レーダセンサ4からの信号に基づいて、直進走行用警告範囲(図8参照)内に移動障害物が進入したか否かを判定する。あるいは、直進走行用警告範囲(図8参照)内に移動障害物が進入し、かつ、当該移動障害物が車両20に近づいているか否かを判定するようになっていてもよい。ステップ340の判定結果が肯定的な場合続いてステップ350を実行し、否定的な場合再度ステップ310を実行する。
ステップ350、360、370の処理内容は、それぞれステップ270、280、および290の処理内容と同じである。
以上のようなプログラム100を実行することで、制御回路17は、直進走行支援処理において、レーダセンサ4からの信号に基づいて他車両63が直進走行用警告範囲内に入っているか否かを判定し(ステップ340参照)、入っている間は、車載カメラ2a〜2cによるリアルタイム撮影画像52a〜cの表示をヘッドアップディスプレイ3に繰り返し行わせる。(ステップ350参照)。ただし、危険範囲内に他車両63が入った場合は(ステップ360参照)、危険回避のために車両20の走行内容を制御し、車両20を安全な位置に自動的に移動させる(ステップ370参照)。
以上説明した通り、安全走行支援システムは、車両20の始動時等に、車線変更用警告範囲および直進走行用警告範囲を、それぞれ独立にドライバ40の指定に応じて設定し、設定した警告範囲に移動障害物63がいることを起因として、車載カメラ2a〜2cによる撮影画像52a〜52cをヘッドアップディスプレイ3に表示させる。
このように、ドライバ40の指定に応じて設定された警告範囲内に他車両(または歩行者、以下同じ)63がいることを起因として、車載カメラ2a〜2cによる撮影画像52a〜52cを表示するので、ドライバ40毎に異なる警告範囲(すなわち、ドライバ40にとって警告してほしい範囲)をダイレクトに反映した危険報知を行うことができる。すなわち、ドライバ40にとって必要なタイミングで、画像による情報の報知を行うことができる。
また、安全走行支援システムは、車載カメラ2a〜2cによる撮影範囲をはみ出す警告範囲の設定を禁止するようになっている。このようになっていることで、警告範囲に他車両63がいることを起因とした画像表示の際に、その表示画像中に当該他車両63が表示されていないような不都合が発生することがなくなる。
また、安全走行支援システムは、ドライバ40にとって、車両20の外部の見え難い視認困難範囲を特定するようになっている。そして、安全走行支援システムは、特定された視認困難範囲の一部または全部を含まない警告範囲の設定を禁止するようになっている。
このようになっていることで、ドライバ40が不用意に視認困難範囲の一部(または全部)を警告範囲から除外してしまい、その結果、視認困難範囲に移動障害物63が入っても画像表示をを行わなくなってしまうという事態の発生を防ぐことができる。
また、安全走行支援システムは、車両20の車線変更時には、車線変更用警告範囲に他車両63がいることを起因として、撮影画像をヘッドアップディスプレイ3に表示させるようになっている。そして安全走行支援システムは、車両20のミラー31、34、37を用いてもドライバ40が視認できない領域を、視認困難範囲として特定する。
このようにするのは、車線変更時には、ドライバ40がミラー31、34、37を見て側方および後方の確認を行う可能性が高いので、そのような場合には、ミラー31、34、37で見える領域を視認困難範囲として特定する必要は必ずしもないからである。したがって、このようにすることで、ドライバ40にとって必要なタイミングで情報の表示を行うことができる可能性が更に向上する。
また、安全走行支援システムは、車両20の直進走行時に、直進走行用警告範囲に移動障害物63が入ったことを起因として、撮影画像をヘッドアップディスプレイ3に表示させるようになっている。このとき安全走行支援システムは、車両20のミラー31、34、37を用いてもドライバ40が視認できない領域と、ミラー31、34、37を見ることでしかドライバ40が視認できない領域との両方を、視認困難範囲として特定するようになっている。
直進走行時には、車線変更時と違い、ドライバ40がミラー31、34、37を見て側方および後方の確認を行う可能性が低い。したがって、そのような場合には、上記のように、ミラー31、34、37でしか見えない領域も視認困難範囲として設定することで、ドライバ40にとって必要なタイミングで情報の表示を行うことができる可能性が更に向上する。
また、安全走行支援システムは、ドライバ40の目の位置41、42およびミラー31、34、37の向きに基づいて、視認困難範囲を特定するようになっている。このようになっていることで、個々のドライバ40の身体的特徴に併せて適切な視認困難範囲を特定することができる。したがって、ドライバにとって必要なタイミングで情報の表示を行うことができる可能性が更に向上する。
また、安全走行支援システムは、他車両63が警告範囲よりも更に狭い危険範囲に進入したことに基づいて、車両63が安全な位置に移動するよう、車両63の走行内容を制御する。このようになっていることで、ドライバ40が表示を受けて車両20の運転を行っていたのでは間に合わないような緊急の場合にでも、自動的に車両20を安全な位置に移動させることができる。
また、安全走行支援システムは、他車両63が警告範囲に入ったことに起因して、警告範囲に入って初めて、ヘッドアップディスプレイ3に表示させる。したがって、常時ヘッドアップディスプレイ3を表示している場合に比べて、ヘッドアップディスプレイ3の表示をドライバが煩わしく思う可能性が低減される。
また、ヘッドアップディスプレイ3が表示されたときのドライバの表示内容への注意の度合いも、ヘッドアップディスプレイ3が常時表示されている場合に比べて高くなる。したがって、危険な状態をドライバ40がいち速く認知することができる可能性が高くなる。
また、表示用画像52a〜52cがヘッドアップディスプレイ3に表示されることで、ドライバ40は、前方を監視しながら、表示用画像52a〜52cを確認できる。
また、安全走行支援システムは、車載カメラ2a〜2cのうち1つのみが警告範囲内の移動障害物を検知したとしても、そのカメラの撮影画像のみならず、車載カメラ2a〜2cの撮影による画像をすべて表示する。
このようにすることで、ドライバが障害物の位置を確認するのみならず、その障害物から避けるための安全な場所(すなわち、後方に他車両が近づいてきていない場所)を、表示された画像で確認することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
例えば、制御回路17は、直進走行支援処理時において、図10のステップ330で、車両20が、片側1車線の双方向道路または1車線の一方通行の道路を走行している場合、直進走行用警告範囲を、ドライバ40の設定によらず、一律に、車両20の外周から2メートル以内の範囲とするようになっていてもよい。その場合には、制御回路17は、ステップ360、370の処理は実行せず、ステップ350に続いてステップ310を実行するようになっていてもよい。
また、安全運転支援部7の制御部71は、アイポイント計測部72を用いて計測されたドライバ40の目の位置を、ドライバ40の識別情報と共に、安全運転支援部7の図示しない書き込み可能な不揮発性メモリに記録するようになっていてもよい。このとき、ドライバ40の識別情報は、例えば操作部13を用いたドライバ40の識別番号入力の操作内容に基づいて特定するようになっていてもよい。そして、制御部71は、車両の始動時に、再度操作部13を介して現在のドライバ40の識別情報を取得し、取得した識別情報と、不揮発性メモリ中のドライバの識別情報が一致する場合は、図5のステップ105において、改めてアイポイント計測部72にドライバ40の目の位置を計測させることなく、不揮発性メモリ中の当該ドライバ40の目の位置の情報を読み出すことで、現在のドライバ40の目の位置を特定するようになっていてもよい。
このようにすれば、一度計測されたドライバの目の位置は、不揮発性メモリに登録され、制御部71が同じドライバと判定した相手については、再度アイポイント計測部72を用いて目の位置を測定することがない。したがって、同じドライバについて複数回目の位置を計測する必要がなくなり、アイポイント計測部72の処理負担が軽減される。
また、撮影画像の表示範囲は、直進支援時の方が車線変更支援時よりも広くなっていてもよい。この場合、車線変更支援時においては、車載カメラ2a〜2cからの映像を合成した画像51a〜51cの左右の端部(車両20の左右部分に相当する)を切除(トリミング)して、それに反転処理を施した結果の画像をヘッドアップディスプレイ3に表示させ、直進走行支援時においては、車載カメラ2a〜2cからの映像を合成した画像51a〜51cをそのまま反転処理した画像をヘッドアップディスプレイ3に表示させるようになっていてもよい。
あるいは、車載カメラ2a〜2cの撮影範囲が可変である場合には、車線変更支援時には、撮影範囲を狭めることで、車両20の左右部分を撮影範囲から除外し、直進走行支援時には、撮影範囲を広げることで、車両20の左右部分を撮影範囲に含めるようになっていてもよい。
その場合、制御回路17は、車線変更支援時用の車載カメラ2a〜2cの撮影範囲と、直進走行支援時用の車載カメラ2a〜2cの撮影範囲の2種類の情報をあらかじめROMに記憶していてもよい。そして、車線変更用警告範囲の設定時には、その警告範囲が車線変更支援時用の車載カメラ2a〜2cの撮影範囲を逸脱するのを禁止し、直進走行用警告範囲の設定時には、その警告範囲が直進走行支援時用の車載カメラ2a〜2cの撮影範囲を逸脱するのを禁止するようになっていてもよい。
また、制御部71は、図5のステップ115で視認困難範囲を特定した後に、その視認困難範囲を含むように、車載カメラ2a〜2cの撮影範囲、またはヘッドアップディスプレイ3の表示画像の範囲を決定するようになっていてもよい。
また、車載カメラ2a〜2cの撮影範囲と、ヘッドアップディスプレイ3による表示対象の範囲とが一致しない場合には、制御回路17は、警告範囲が、ヘッドアップディスプレイ3による表示対象の範囲を逸脱するような設定を禁止するようになっていてもよい。
また、安全走行支援システムにおいては、警告範囲内への他車両63の進入以外のイベント(例えば、ドライバによる明示的な表示要求の操作)を起因として、ヘッドアップディスプレイ3に表示される場合があってもよい。すなわち、安全走行支援システムにおいては、常にヘッドアップディスプレイ3に車載カメラ2a〜2cによる撮影画像が表示されているわけではなく、かつ、警告範囲内に他車両がいることに起因してヘッドアップディスプレイ3の表示が行われる場合があれば、本発明の効果は達成される。
また、上記実施形態において、安全運転支援部7の制御回路71は、車線変更支援処理時のヘッドアップディスプレイ3への画像表示時(ステップ270)および直進走行支援時のヘッドアップディスプレイ3への画像表示(ステップ350)において、アイポイント計測部72を用いてドライバ40の目41、42の位置を検出し、その位置からドライバ40の視線方向を算出し、その算出した方向がヘッドアップディスプレイ3の方向を向いておらず、その向いていない状態が所定時間(例えば1秒)続いた場合は、さらに注意喚起の警告を、音声で行うようになっていてもよい。このようにすることで、ドライバ40が警告範囲内に入った他車両63を見逃してしまう可能性が低減される。
また、上記した制御部71の処理を制御回路17が代わって行うようになっていてもよい。また、上記の実施形態において、制御回路17、制御部71、危険回避自動制御装置5がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
1 車両用ナビゲーション装置
2a〜2c 車載カメラ
3 ヘッドアップディスプレイ
4 レーダセンサ
5 危険回避自動制御装置
20 自車両
31、34、37 ミラー
40 ドライバ
44〜46 ミラー視認範囲
47、48 死角
51a〜51c カメラ撮影画像
52a〜52c 表示用画像
60、70 警告範囲境界
63、64、66 他車両
72 アイポイント計測部
73 ミラー角度計測部
2a〜2c 車載カメラ
3 ヘッドアップディスプレイ
4 レーダセンサ
5 危険回避自動制御装置
20 自車両
31、34、37 ミラー
40 ドライバ
44〜46 ミラー視認範囲
47、48 死角
51a〜51c カメラ撮影画像
52a〜52c 表示用画像
60、70 警告範囲境界
63、64、66 他車両
72 アイポイント計測部
73 ミラー角度計測部
Claims (7)
- 車両(20)の側方および後方を撮影するカメラ(2a、2b、2c)と、
警告範囲を、ドライバの指定に応じて設定する警告範囲設定手段(125、140)と、
前記警告範囲に移動障害物(63)がいることを起因として、前記カメラ(2a、2b、2c)による撮影画像を前記ドライバ(40)に表示する表示手段(3)と、を備えた安全走行支援システム。 - 前記警告範囲設定手段(125、140)は、前記カメラ(2a、2b、2c)の撮影範囲をはみ出す警告範囲の設定を禁止することを特徴とする請求項1に記載の安全走行支援システム。
- 前記車両(20)のドライバ(40)にとって、前記車両(20)の外部の視認困難な範囲に該当する視認困難範囲を特定する視認困難範囲特定手段(115)を備え、
前記警告範囲設定手段(125、140)は、特定された前記視認困難範囲を完全には含まない警告範囲の設定を禁止することを特徴とする請求項1または2に記載の安全走行支援システム。 - 前記表示手段(3)は、前記車両(20)の車線変更時に、前記警告範囲に移動障害物(63)がいることを起因として、前記撮影画像を前記ドライバ(40)に表示し、
前記視認困難範囲特定手段(115)は、前記車両(20)のミラー(31、34、37)を用いても前記ドライバ(40)が視認できない領域を、前記視認困難範囲として特定することを特徴とする請求項3に記載の安全走行支援システム。 - 前記表示手段(5)は、前記車両(20)の直進走行時に、前記警告範囲に移動障害物(63)が入ったことを起因として、前記撮影画像を前記ドライバ(40)に表示し、
前記視認困難範囲特定手段(115)は、前記車両(20)のミラー(31、34、37)を用いても前記ドライバ(40)が視認できない領域と、前記ミラー(31、34、37)を見ることでしか前記ドライバ(40)が視認できない領域との両方を、前記視認困難範囲として特定することを特徴とする請求項3または4に記載の安全走行支援システム。 - 前記視認困難範囲特定手段(115)は、前記ドライバ(40)の目の位置および前記ミラー(31、34、37)の向きに基づいて、前記視認困難範囲を特定することを特徴とする請求項3ないし6のいずれか1つに記載の安全走行支援システム。
- 前記移動障害物(63)が前記警告範囲よりも更に狭い範囲に進入したことに基づいて、前記車両(63)が安全な位置に移動するよう、前記車両(63)の走行を制御する走行制御手段(5)を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の安全走行支援システム。
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