JP2009184206A - インクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009184206A
JP2009184206A JP2008025742A JP2008025742A JP2009184206A JP 2009184206 A JP2009184206 A JP 2009184206A JP 2008025742 A JP2008025742 A JP 2008025742A JP 2008025742 A JP2008025742 A JP 2008025742A JP 2009184206 A JP2009184206 A JP 2009184206A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
composition
liquid
colored liquid
undercoat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008025742A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsutomu Umebayashi
励 梅林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2008025742A priority Critical patent/JP2009184206A/ja
Publication of JP2009184206A publication Critical patent/JP2009184206A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)

Abstract

【課題】非浸透性の被記録媒体など多種多様な被記録媒体に印刷した場合の画像の定着性、色再現性、精細性に優れたインクジェット記録方法を提供すること。さらに、高速で印刷可能なインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】被記録媒体上に組成物Aを付与する工程と、前記組成物Aを半硬化させる工程と、半硬化された前記組成物A上に組成物Bを吐出する工程とをこの順で有し、前記組成物Aがアミン化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット記録方法に関する。
インク吐出口からインクを液滴で吐出するインクジェット方式は、小型で安価であり、被記録媒体に非接触で画像形成が可能である等の理由から多くのプリンタに用いられている。これらインクジェット方式の中でも、圧電素子の変形を利用しインクを吐出させるピエゾインクジェット方式、及び、熱エネルギーによるインクの沸騰現象を利用しインクを液滴吐出する熱インクジェット方式は、高解像度、高速印字性に優れるという特徴を有する。
最近では、家庭用又はオフィス用の写真印刷や文書印刷にとどまらず、インクジェットプリンターを用いた商業用印刷機器や産業用印刷機器の開発が行われるようになってきた。従来の家庭用又はオフィス用のインクジェットインク及び記録方法に対して、商業用印刷機器や産業用印刷機器を目的としたインクジェットインク及び記録方法には、形成した画像の色再現性が広いこと、プラスチックなどの非浸透型の被記録媒体、及び、透明や金属光沢有する被記録媒体など多種多様な被記録媒体に印刷可能なことが強く要求されるようになってきた。すなわち、従来のインクジェット記録方法に対して、商業用や産業用の印刷に用いられるインクジェット記録方法としては、多種多様な記録媒体に印刷した場合の画像の定着性、色再現性、精細性の改善が必要である。
非吸収性の被記録媒体に記録を行う場合の従来の方法での画質上の問題としては下記のような事項が挙げられる。
第一は精細性の低下であり、従来の方法では打滴後の液滴の乾燥や被記録媒体への定着に時間がかかり、画像に滲みが生じやすく、また、被記録媒体上で隣接するインク液滴間で混合が生じ、鮮鋭な画像形成の妨げとなる。
第二に、色再現性の問題が挙げられる。図10は、2次色画像の断面図の例である。例えば、イエローインクとシアンインクを用いて2次色であるグリーンの画像を形成する場合、基材16上の先打滴のインク液層(例えばイエロー)30と、後打滴のインク液層(例えばシアン)32が、図10(a)に示すような断面で表される層構造を持てば高彩度な2次色を形成することが可能である。しかし、従来のインクジェット記録方法では、図10(b)に示すように、先打滴のインク液層(例えばイエロー)30の膜中に独立した後打滴のインク液滴(例えばシアン)34が形成される層構造となってしまい、2次色の彩度低下が発生し、広い色再現性が得られない。
さらに、透明な非記録媒体や金属光沢を持つ記録媒体に記録を行う場合の課題としては、十分な彩度が得られないなど、反射濃度の低下に起因した問題が挙げられる。
上記課題を解決する方法として、これまでに様々な技術が提案されている。
その例としては、ラジカル重合系の紫外線硬化型インクを用いたインクジェット記録方法が挙げられ、紫外線硬化型インクを用いることによって、非浸透型の記録媒体に対する定着性が大きく改善された。また、アミン化合物を添加した紫外線硬化型インクを用いたインクジェット記録方法によって、硬化性向上などの技術も提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
また、紫外線硬化型インクを用いて紫外線照射条件を工夫した例としては、被記録媒体上に吐出した紫外線硬化型色インクのドットにそれぞれの吐出タイミングに合わせて紫外線を照射し、増粘させて隣接するドットが互いに混合しない程度にプレ硬化させ、その後さらに紫外線を照射して本硬化させるインクジェット記録方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
さらに、透明又は金属光沢を有する非吸収性被記録媒体上に、放射線硬化型白色インクを下塗り層として均一に塗設し、放射線照射により固化させた後に、放射線硬化型色インクセットを用いたインクジェット記録を行うことにより色インクの視認性、滲み、種々の被記録媒体間での画像が異なってしまう問題を改良する技術(例えば、特許文献4及び5参照)が提案されている。
特表2000−504778号公報 特開2004−182808号公報 特開2004−42548号公報 特開2003−145745号公報 特開2004−42525号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載の方法では、非浸透性媒体に対する定着性の問題は解決可能であるが、画像の滲みや打滴干渉の発生による精細性の低下、2次色を形成した場合の彩度の低下、透明な非記録媒体や金属光沢を持つ記録媒体を用いた場合の彩度の低下などの問題は解決できない。
また、特許文献3に記載の方法では、滲みは抑制され、画像の定着性は改善されているが、2次色を形成した場合の彩度、及び、透明な非記録媒体や金属光沢を持つ記録媒体を用いた場合の彩度は不十分である。
さらに特許文献4及び5に記載の方法では、画像の定着性、及び、透明な非記録媒体や金属光沢を持つ記録媒体を用いた場合の彩度は改善されているが、2次色を形成した場合の彩度や画像の滲みや打滴干渉の発生による精細性の低下などの問題は解決できていない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、非浸透性の被記録媒体など多種多様な被記録媒体に印刷した場合の画像の定着性、色再現性、精細性に優れたインクジェット記録方法を提供することである。さらに、本発明は高速で印刷可能なインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
本発明の上記課題は下記の<1>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>から<9>と共に以下に記載する。
<1> 被記録媒体上に組成物Aを付与する工程と、前記組成物Aを半硬化させる工程と、半硬化された前記組成物A上に組成物Bを吐出する工程とをこの順で有し、前記組成物Aがアミン化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録方法、
<2> 組成物Aを付与する工程の前に、被記録媒体上に下塗り液体組成物を付与する工程を有する、上記<1>に記載のインクジェット記録方法、
<3> 組成物Aを付与する工程の前に、被記録媒体上に下塗り液体組成物を付与する工程と、該下塗り液体組成物を半硬化させる工程とを有する、上記<1>又は上記<2>に記載のインクジェット記録方法、
<4> 組成物Aを半硬化させる工程が、ピーク波長が340〜400nmである紫外光を照射する工程である、上記<1>〜上記<3>いずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
<5> 前記アミン化合物が分子内にエチレン性不飽和結合を有する化合物である、上記<1>〜上記<4>いずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
<6> 前記アミン化合物が分子内にエチレン性不飽和結合及び環状アミン構造を有する化合物である、上記<1>〜上記<5>いずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
<7> 組成物Aが下記式(I)で表される化合物を含有する、上記<1>〜上記<6>いずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
Figure 2009184206
前記式(I)において、XはO、S、又は、NRを表す。nは0又は1を表す。Rは水素原子、アルキル基、又はアシル基を表す。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8はそれぞれ独立に水素原子、又は一価の置換基を表す。R1、R2、R3、及び、R4は、それぞれ隣接する2つが互いに連結して環を形成していてもよい。
<8> 組成物Aが光重合開始剤として、アシルホスフィンオキサイド化合物、及び/又は、α−アミノアセトフェノン化合物を含有する、上記<1>〜上記<7>いずれか1つに記載のインクジェット記録方法、
<9> 組成物A及び組成物Bが着色液体組成物である、上記<1>〜上記<8>いずれか1つに記載のインクジェット記録方法。
本発明によれば、非浸透性の被記録媒体など多種多様な被記録媒体に印刷した場合の画像の定着性、色再現性、精細性に優れたインクジェット記録方法を提供することができた。さらに、本発明によれば、高速で印刷可能なインクジェット記録方法を提供することができた。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、(a)被記録媒体上に組成物Aを付与する工程と、(b)前記組成物Aを半硬化させる工程と、(c)半硬化された前記組成物A上に組成物Bを吐出する工程とをこの順で有し、前記組成物Aがアミン化合物を含有することを特徴とする。
ここで、組成物A及び/又は組成物Bは着色剤を含有することが、本発明の効果を顕著に奏しうる点で好ましく、組成物A及び組成物Bの双方が着色剤を含有することがさらに好ましい。組成物Aが着色剤を含有するとき、組成物Aを着色液体組成物Aといい、組成物Bが着色剤を含有するとき、組成物Bを着色液体組成物Bという。
すなわち、本発明のインクジェット記録方法は、(a)被記録媒体上に着色液体組成物A(以下、「着色液体組成物A」を、「着色液A」又は「組成物A」ともいう。)を吐出する工程と、(b)前記着色液体組成物Aを半硬化させる工程と、(c)半硬化された前記着色液体組成物A上に着色液体組成物B(以下、「着色液体組成物B」を「着色液B」又は「組成物B」ともいう。)を吐出する工程とをこの順で有し、前記着色液体組成物Aがアミン化合物を含有することが好ましい。
また、本発明のインクジェット記録方法は、組成物A及び組成物Bを被記録媒体上に付与する前に、あらかじめ、被記録媒体上に下塗り液体組成物(以下、「下塗り液体組成物」を「下塗り液」ともいう。)を付与する工程を有することが好ましい。特に、組成物A及び組成物Bを付与する前にあらかじめ、被記録媒体上に下塗り液を付与する工程、及び、該下塗り液を半硬化させる工程を有することが好ましい。
なお、下塗り液体組成物は、紫外線硬化可能であることが好ましく、下塗り液は、紫外線を照射することで半硬化させることが好ましい。
なお、アミン化合物を含有する組成物Aと、組成物Bとを含む本発明のインクジェット記録方法に使用される複数の組成物、並びに、必要に応じて下塗り液を総称してインクセットともいうこととする。また、着色液体組成物A及び着色液体組成物Bを総称して、着色液体組成物又は着色液ともいう。
このインクジェット記録方法によって、非浸透性の被記録媒体など多種多様な被記録媒体に印刷した場合の画像の定着性、色再現性、及び、精細性に優れた印刷が可能となる。また、高速で印刷可能となる。
以下、組成物A及び組成物Bが着色剤を含有することを想定して、本発明のインクジェット記録方法を詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、アミン化合物を含有する着色液体組成物Aを半硬化させ、その上に着色液体組成物Bを吐出するものである。なお、画像を形成するいずれかの工程で、上記の(a)〜(c)の工程が行われ、また、着色液体組成物Aがアミン化合物を含有していれば良く、他の工程を有していてもよい。また、着色液体組成物Bがアミン化合物を含有していてもよい。
なお、組成物Aを被記録媒体上に付与する工程は特に限定されず、塗布によるものであってもよいし、吐出によるものであってもよいが、インクジェット方式による吐出によって被記録媒体上に吐出されることが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法に用いる好ましいインクセットとしては、着色液体組成物Aが白色顔料を含有するホワイト液体組成物であり、着色液体組成物Bが白色以外の着色剤を含有する着色液体組成物である。好ましいインクセットの具体例としては、組成物Aがホワイト液体組成物であり、組成物Bがシアン液体組成物、マゼンタ液体組成物、イエロー液体組成物、及び、ブラック液体組成物であるインクセットが例示できる。
特に好ましい本発明のインクジェット記録方法に用いるインクセットとしては、着色液体組成物Aが白色顔料を含有するホワイト液体組成物、及び、ホワイト以外の着色剤を含有する着色液体組成物であり、着色液体組成物Bが着色液体組成物Aと色相の異なる着色剤を含有する着色液体組成物である。特に好ましいインクセットの具体例としては、着色液体組成物Aがホワイト液体組成物、シアン液体組成物、マゼンタ液体組成物であり、着色液体組成物Bがイエロー液体組成物、ブラック液体組成物が好ましく用いることができる。
なお、上記のインクセットは下塗り液を有することがより好ましい。
本発明のインクジェット記録方法の最も好ましい工程は図1に示すとおりである。図1に本発明に好適に使用できるインクジェット記録方法の概念図を示す。図1を参照しながら以下に詳説する。
最も好ましい工程に用いるインクセットとしては、アミン化合物を含有する着色液体組成物がホワイト液体組成物、シアン液体組成物、マゼンタ液体組成物であり、アミン化合物を含有しない着色液体組成物がイエロー液体組成物、ブラック液体組成物である。ホワイト液体組成物、シアン液体組成物、マゼンタ液体組成物、イエロー液体組成物、ブラック液体組成物は、図中のインクジェット記録ヘッド3W、3C、3M、3Y、3Kにそれぞれ充填される。
被記録媒体6は、被記録媒体搬送手段7A及び7Bにより搬送され、図1では、左から右方向に搬送されている。
被記録媒体及び被記録媒体搬送手段は特に限定されるものではないが、図2に示す本実施形態では被記録媒体としてプラスチックフィルムを使用しており、また、被記録媒体搬送手段としてフィルム巻き出し機(7A)、フィルム巻き取り機(7B)を使用している。
第一工程にて、下塗り液を付与する手段1により、被記録媒体6上に下塗り液を付与する。ここで、図2では、下塗り液を付与する手段1としては、ロールコーターを用いている。
第二工程にて、下塗り液の半硬化させる手段2により、被記録媒体6上に付与された下塗り液を半硬化させる。図2では、下塗り液を半硬化させる手段2としては、紫外線光源を用いている。
第三工程において、被記録媒体6上で半硬化させた下塗り液の膜上にインクジェット記録ヘッド(3W)でホワイト画像を形成する。
第四工程において、ホワイト液体組成物を半硬化させる手段(4W)により、ホワイト液体組成物を半硬化させる。
第五工程において、被記録媒体上で半硬化させた下塗り液及び/又はホワイト液体組成物の膜上にインクジェット記録ヘッド(3C)により、シアン液体組成物を付与し、シアン画像を形成する。
第六工程において、シアン液体組成物を半硬化させる手段(4C)により、下塗り液及び/又はホワイト液体組成物の膜上に付与されたシアン液体組成物を半硬化させる。
第七工程においては、インクジェット記録ヘッド(3M)にて下塗り液、ホワイト液体組成物、シアン液体組成物の何れかの膜上にマゼンタ画像を形成する。
第八工程において、マゼンタ液体組成物を半硬化させる手段(4M)により、付与したマゼンタ液体組成物を半硬化させる。
第九工程においては、下塗り液、ホワイト液体組成物、シアン液体組成物、マゼンタ液体組成物の何れかの膜上にインクジェット記録ヘッド(3Y)にてイエロー画像を形成する。
第十工程においては、下塗り液、ホワイト液体組成物、シアン液体組成物、マゼンタ液体組成物の何れかの膜上にインクジェット記録ヘッド(3K)にてブラック画像を形成する。
第十一工程において、形成されたフルカラーの画像を完全に硬化させる手段5により、形成されたフルカラーの画像を完全に硬化させる。
ここで、例えば第三工程〜第五工程において、アミン化合物を含有するホワイト液体組成物を半硬化し、この上にシアン液体組成物が吐出されれば、本発明のインクジェット記録方法に該当する。また、例えば、第七工程〜第九工程において、アミン化合物を含有するマゼンタ液体組成物を半硬化し、この上にイエロー液体組成物が吐出されれば、本発明のインクジェット記録方法に該当する。
すなわち、アミン化合物を含有する着色液体組成物Aの上に吐出される着色液体組成物Bは、アミン化合物を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。また、着色液体組成物Bをさらに半硬化する工程を有していてもよいし(例えば、第六工程)、完全に硬化させる工程のみを有していてもよい(例えば、第十一工程)。
以下、上記工程を構成する各要件について詳細に記載する。
<被記録媒体上に下塗り液体組成物を付与する工程>
前記、被記録媒体上に下塗り液体組成物(下塗り液)を付与する工程にて、下塗り液体組成物液(下塗り液)は、被記録媒体上に着色液体組成物(着色液)の液滴の吐出によって形成される画像と同一領域もしくは該画像より広い領域に付与することが好ましい。
また、下塗り液体組成物の付与量(単位面積あたりの重量比)としては、着色液体組成物の最大付与量(1色につき)を1とした場合に0.05以上5以下の範囲内であることが好ましく、0.07以上4以下の範囲内がより好ましく、0.1以上3以下の範囲内がさらに好ましい。
本発明のインクジェット記録方法においては、被記録媒体上に下塗り液体組成物を付与する手段としては、塗布装置又はインクジェットノズル等を用いることができる。
前記塗布装置としては、特に制限はなく、公知の塗布装置の中から目的等に応じて適宜選択することができ、例えば、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロットコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、押出コーター等が挙げられる。詳しくは、原崎勇次著「コーティング工学」を参照できる。
中でも、装置コストの点で、下塗り液体組成物の被記録媒体上への付与は、比較的安価なバーコーター又はスピンコーターを用いた塗布、あるいはインクジェット法による付与が好ましい。
<下塗り液体組成物(下塗り液)及び/又は着色液体組成物(着色液)を半硬化させる工程>
本発明において、「半硬化」とは、部分的な硬化(partially cured; partial curing)を意味し、下塗り液及び/又は着色液が部分的に硬化しているが完全に硬化していない状態をいう。被記録媒体(基材)上に適用された下塗り液又は下塗り液上に吐出された着色液が半硬化している場合、硬化の程度は不均一であってもよい。例えば、下塗り液及び/又は着色液は深さ方向に硬化が進んでいることが好ましい。
下塗り液及び/又は着色液を半硬化させる方法としては、(1)酸性ポリマーに対して、塩基性化合物を付与する、又は塩基性ポリマーに対して、酸性化合物、金属化合物を付与するなど、いわゆる凝集現象を用いる方法、(2)下塗り液及び/又は着色液を予め高粘度に調製し、これに低沸点有機溶媒を添加することによって低粘化しておき、低沸点有機溶媒を蒸発させて元の高粘度に戻す方法、(3)高粘度に調製した下塗り液及び/又は着色液を加熱しておき、冷却することによって元の高粘度に戻す方法、(4)下塗り液及び/又は着色液に活性エネルギー線又は熱を与えて硬化反応を起こさせる方法など、既知の増粘方法が挙げられる。中でも(4)下塗り液及び/又は着色液に活性エネルギー線又は熱を与えて硬化反応を起こさせる方法が好ましい。
活性エネルギー線又は熱を与えて半硬化反応を起こさせる方法とは、被記録媒体に付与された下塗り液及び/又は着色液の表面における重合性化合物の重合反応を不充分に行う方法である。
ラジカル重合性の下塗り液又は着色液を、空気中又は部分的に不活性ガスで置換した空気中等の酸素を多く含む雰囲気中で重合させる場合には、酸素のラジカル重合抑制作用のために、被記録媒体上に適用された下塗り液層又は着色液の液滴(以下、着色液液滴ともいう。)の表面においてラジカル重合が阻害される傾向がある。この結果、半硬化は不均一となり、下塗り液層又は着色液液滴の内部でより硬化が進行し、表面の硬化が遅れる傾向となる。ここで、下塗り液層とは、被記録媒体上に付与された下塗り液の層である。
本発明において、ラジカル光重合性の下塗り液又は着色液を、ラジカル重合抑制的な酸素の共存下で使用して、部分的に光硬化すると、下塗り液及び/又は着色液の硬化は外部よりも内部にて、より進行する。
特に、前記下塗り液の表面においてはその内部と比べて空気中の酸素の影響で重合反応が阻害され易い。したがって、活性エネルギー線又は熱の付与条件を制御することにより、下塗り液を半硬化させることができる。
これらの中でも、活性エネルギー線の照射により半硬化させることが好ましい。活性エネルギー線としては、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光又は赤外光などが使用され得る。これらの中でも紫外線又は可視光であることが好ましく、紫外線であることがより好ましい。さらに、活性放射線のピーク波長は、増感色素の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましく、340〜400nmであることがさらに好ましい。
下塗り液及び/又は着色液の半硬化に必要なエネルギー量は、重合開始剤の種類や含有量などによって異なるが、活性エネルギー線によりエネルギーを付与する場合には、1〜500mJ/cm2程度が好ましい。また、加熱によりエネルギーを付与する場合は、被記録媒体の表面温度が40〜80℃の温度範囲となる条件で0.1〜1秒間加熱することが好ましい。
活性光や加熱などの活性エネルギー線又は熱の付与により、重合開始剤の分解による活性種の発生が促進されると共に、活性種の増加や温度上昇により、活性種に起因する重合性又は架橋性材料の重合もしくは架橋による硬化反応が促進される。
また、増粘(粘度上昇)も、活性光の照射、又は加熱によって好適に行うことができる。
半硬化の状態の下塗り液上に着色液が打滴され、又は、半硬化の状態の着色液上に、これとは異なる着色液(特に色相の異なる着色液)が打滴されると、得られる印刷物の品質に好ましい技術的効果をもたらす。また、その作用機構を印刷物の断面観察により確認できる。
被記録媒体(基材)上に設けられた、厚さが約5μmの厚さの半硬化状態の下塗り液上に約12pL(ピコリットル;以下同様)の着色液を打滴した場合の高密度に打滴された部分(高濃度部分)を一例として説明する。
図2は、半硬化状態の下塗り液層上に着色液を打滴して得られた印刷物の一実施態様を示す断面模式図である。図2に示す印刷物の作製において、下塗り液は半硬化され、基材16側の方が表面層よりも硬化が進行している。図2では、半硬化状態の下塗り液層に着色液を付与された下塗り層14が示されている。
この場合には、得られる画像10の断面には、以下の3つの特徴が観察される。
(1)着色液硬化物12の一部は表面に出ている、
(2)着色液硬化物12の一部は下塗り層14に潜り込んでいる、かつ、
(3)着色液硬化物12の下側と基材16の間には下塗り層14が存在する。
即ち、半硬化状態の下塗り液層上に着色液を付与することによって得られた印刷物は、図2で模式的に示されるような断面を有している。上記の(1)、(2)及び(3)の状態を満たす場合には、半硬化した下塗り液に着色液が付与されたといえる。この場合には、高密度に打滴された着色液の液滴は相互に繋がって着色膜を形成しており、均一で高い色濃度を与える。なお、下塗り層とは、下塗り液層を硬化して得られた層の意である。
図3及び図4は、未硬化状態の下塗り液層上に着色液を打滴して得られた印刷物の一実施態様を示す断面模式図である。図3及び図4では、未硬化状態の下塗り液層に着色液を付与された下塗り層18が示されている。
未硬化状態の下塗り液層に着色液を打滴した場合は、着色液の全部が下塗り液層に潜り込むか、及び/又は、着色液の下部には下塗り液が存在しない状態となる。具体的には、図3においては、得られる画像10の断面切片において、着色液硬化物12が、下塗り層18に完全に潜り込んでおり、着色液硬化物12の一部が表面に出ていない。また、図4に示すように、得られる画像10の断面切片において、着色液硬化物12の下部には、下塗り層18が存在しない。
この場合は、高密度に着色液を付与しても、液滴同士が独立するため、色濃度が低下する場合がある。
図5は、完全硬化状態の下塗り液層上に着色液を打滴して得られた印刷物の一実施態様を示す断面模式図である。図5では、完全硬化状態の下塗り液層に着色液を付与された下塗り層20が示されている。
完全に硬化した下塗り液層に着色液を打滴した場合は、着色液は下塗り液層に潜り込まない状態となる。具体的には図5に示されるように、着色液硬化物12は、下塗り層20に潜り込んでいない。
このような状態は、打滴干渉の発生の原因となり、均一な着色液膜層が形成できず、色再現性の低下を招く場合がある。
本発明において、被記録媒体上に下塗り液を付与する工程は必須ではなく、被記録媒体上に下塗り液層を形成せずに着色液体組成物を吐出することもできるが、様々な被記録媒体に画像を形成するという観点からは、下塗り液層を形成することが好ましい。
また、被記録媒体上の下塗り液を付与した後、下塗り液を半硬化させる工程は必須の工程ではないが、打滴干渉を抑制することができ、また、優れた色濃度を得ることができるので、硬化した下塗り液層に着色液を打滴することが好ましい。
高密度に着色液液滴を付与した場合に液滴同士が独立することなく、均一な着色液の液層(着色膜)を形成する観点、及び、打滴干渉の発生を抑制する観点から、単位面積当たりの下塗り液の転写量は、単位面積当たりに付与する着色液の最大液滴量よりも十分に少ないことが好ましい。即ち、下塗り液層の単位面積当たりの転写量(重量)をM(下塗り液)とし、単位面積当たりに付与する着色液の最大重量をm(着色液)とすると、M(下塗り液)、m(着色液)は、以下の関係を満たすことが好ましい。
〔m(着色液)/30〕≦〔M(下塗り液)〕≦〔m(着色液)〕
また、
〔m(着色液)/20〕≦〔M(下塗り液)〕≦〔m(着色液)/3〕
であることがより好ましく、
〔m(着色液)/10〕≦〔M(下塗り液)〕≦〔m(着色液)/5〕
であることがさらに好ましい。ここで、単位面積当たりに付与する着色液の最大重量は1色当たりの最大重量である。
〔m(着色液)/30〕≦〔M(下塗り液)〕であると、打滴干渉の発生を抑制することができ、さらにドットサイズの再現性に優れるので好ましい。また、M(下塗り液)≦m(着色液)であると、均一な着色液の液層の形成ができ、濃度の高い画像を得ることができるので好ましい。
なお、単位面積当たりの下塗り液層の転写量は、以下に述べる転写試験により求めたものである。半硬化過程の終了後(例えば、活性エネルギー線の照射後)であって着色液の液滴を打滴する前に、普通紙などの浸透媒体を半硬化状態の下塗り液層に押し当てて、浸透媒体に転写した下塗り液の量の重量測定によって定義するものである。
例えば、着色液の最大吐出量が、600×600dpiの打滴密度で、1画素(ドット)当たり12ピコリットルであったとすると、単位面積当たりに付与する着色液の最大重量m(着色液)は、0.74mg/cm2となる(ここでは、着色液の密度を約1.1g/cm3と仮定した。)。したがって、下塗り液層の転写量は、単位面積当たり0.025mg/cm2以上0.74mg/cm2以下であることが好ましく、より好ましくは0.037mg/cm2以上0.25mg/cm2以下であり、さらに好ましくは0.074mg/cm2以上0.148mg/cm2以下である。
本発明において、着色液体組成物A(着色液A)及び着色液体組成物B(着色液B)で2次色を形成する時は、半硬化状態の着色液体組成物A上に着色液体組成物Bを付与する。
図6は、半硬化状態の着色液A上に着色液Bを打滴して得られた印刷物の一実施態様を示す断面模式図である。図6では、半硬化状態の着色液Aに着色液Bを付与されて得られた着色液A硬化物24及び着色液B硬化物22が示されている。
半硬化状態の着色液A上に着色液Bを打滴した場合は、着色液Bの一部が着色液Aに潜り込み、かつ、着色液Bの下部には着色液Aが存在する状態となる。即ち、半硬化状態の着色液A上に着色液Bを付与することによって得られた印刷物は、図6で示されるように、着色液B硬化物22の一部が表面に出ており、また、着色液B硬化物22の一部は着色液A硬化物24に潜り込んでいる。また、着色液B硬化物22の下部には着色液A硬化物が存在している。着色液Aの硬化膜(着色膜A、図6の着色液A硬化物24)及び着色液Bの硬化膜(着色膜B、図6の着色液B硬化物22)が積層された状態になり、良好な色再現が可能となる。
図7及び図8は、未硬化状態の着色液A上に着色液Bを打滴して得られた印刷物の一実施態様を示す断面模式図である。図7では、未硬化状態の着色液Aに着色液Bを付与されて得られた着色液A硬化物26及び着色液B硬化物22が示されている。
未硬化状態の着色液Aに着色液Bを打滴した場合は、着色液Bの全部が着色液Aに潜り込むか、及び/又は、着色液Bの下部には着色液Aが存在しない状態となる。即ち、得られた画像の断面図を観察すると、図7に示すように、着色液B硬化物22の全部が着色液A硬化物26に潜り込んでいる、及び/又は、図8に示すように、着色液B硬化物22の下層には着色液A硬化物26が存在しない。この場合は、高密度に着色液Bの液滴を付与しても、液滴同士が独立するため、2次色の彩度が低下する。
図9は、完全硬化状態の着色液A上に着色液Bを打滴して得られた印刷物の一実施態様を示す断面模式図である。図9では、完全硬化状態の着色液Aに着色液Bを付与されて得られた着色液A硬化物28及び着色液B硬化物22が示されている。完全に硬化した着色液Aに着色液Bを打滴した場合は、着色液Bは着色液Aに潜り込まない状態となる。図9に示すように、得られる画像の断面図では、着色液B硬化物22が着色液A硬化物28に潜り込んでいない。このような状態は、打滴干渉の発生の原因となり、均一な着色液膜層が形成できず、色再現性が低下する。
高密度に着色液B液滴を付与した場合に液滴同士が独立することなく、均一な着色液Bの液層を形成する観点、及び、打滴干渉の発生を抑制する観点から、単位面積当たりの着色液Aの転写量は、単位面積当たりに付与する着色液Bの最大液滴量よりも十分に少ないことが好ましい。即ち、着色液A層の単位面積当たりの転写量(重量)をM(着色液A)とし、単位面積当たりに吐出する着色液Bの最大重量をm(着色液B)とすると、M(着色液A)とm(着色液B)は、以下の関係を満たすことが好ましい。
〔m(着色液B)/30〕≦〔M(着色液A)〕≦〔m(着色液B)〕
また、
〔m(着色液B)/20〕≦〔M(着色液A)〕≦〔m(着色液B)/3〕
であることがより好ましく、
〔m(着色液B)/10〕≦〔M(着色液A)〕≦〔m(着色液B)/5〕
であることがさらに好ましい。
〔m(着色液B)/30〕≦〔M(着色液A)〕であると、打滴干渉の発生を抑制することができ、さらに、ドットサイズ再現性に優れるので好ましい。また、〔M(着色液A)〕≦〔m(着色液B)〕であると、均一な着色液の液層の形成ができ、濃度の高い画像を得ることができるので好ましい。
なお、単位面積当たりの着色液Aの転写量(重量)は、以下に述べる転写試験により求めたものである。半硬化過程の終了後(例えば、活性エネルギー線の照射後)であって着色液Bの液滴を打滴する前に、普通紙などの浸透媒体を半硬化状態の着色液A層に押し当てて、浸透媒体に転写した着色液Aの量の重量測定によって定義するものである。
例えば、着色液Bの最大吐出量が、600×600dpiの打滴密度で、1画素当たり12ピコリットルであったとすると、単位面積当たりに吐出する着色液Bの最大重量m(着色液)は、0.74mg/cm2となる(ここでは、着色液Bの密度を約1.1g/cm3と仮定した。)。したがって、着色液A層の転写量は、単位面積当たり0.025mg/cm2以上0.74mg/cm2以下であることが好ましく、より好ましくは0.037mg/cm2以上0.25mg/cm2以下であり、さらに好ましくは0.074mg/cm2以上0.148mg/cm2以下である。
エチレン性不飽和化合物に基づく硬化反応の場合には、未重合率をエチレン性不飽和基の反応率により定量的に測定することができる(後述)。
前記下塗り液及び/又は着色液の半硬化状態を、活性エネルギー線の照射や加熱によって重合を開始する重合性化合物の重合反応によって実現する場合は、印刷物の擦過性を向上させる観点から、未重合率(A(重合後)/A(重合前))は、0.2以上0.9以下であることが好ましく、0.3以上0.9以下であることがより好ましく、0.5以上0.9以下であることが特に好ましい。
ここで、A(重合後)は、重合反応後の重合性基による赤外吸収ピークの吸光度であり、A(重合前)は、重合反応前の重合性基による赤外吸収ピークの吸光度である。例えば、下塗り液及び/又は着色液の含有する重合性化合物がアクリレートモノマーもしくはメタクリレートモノマーである場合は、810cm-1付近に重合性基(アクリレート基、メタクリレート基)に基づく吸収ピークが観測でき、該ピークの吸光度で、前記未重合率を定義することが好ましい。
また、赤外吸収スペクトルを測定する手段としては、市販の赤外分光光度計を用いることができ、透過型及び反射型のいずれでもよく、サンプルの形態で適宜選択することが好ましい。例えば、BIO−RAD社製赤外分光光度計FTS−6000を用いて測定することができる。
<被記録媒体上に着色液体組成物を付与する工程>
本発明において、着色液体組成物は、0.1pL以上100pL以下の液滴サイズにて(好ましくはインクジェットノズルにより)打滴されることが好ましい。液滴サイズが前記範囲内であると、高鮮鋭度の画像を高い濃度で描写できる点で有効である。また、より好ましくは0.5pL以上50pL以下である。
下塗り液体組成物を被記録媒体上に付与する場合、下塗り液体組成物の付与後、着色液液滴が打滴されるまでの打滴間隔としては、5μ秒以上10秒以下の範囲内であることが好ましい。打滴間隔が前記範囲内であると、本発明の効果を顕著に奏し得る点で有効である。着色液液滴の打滴間隔は、より好ましくは10μ秒以上5秒以下であり、特に好ましくは20μ秒以上5秒以下である。
着色液体組成物を付与する手段としては、インクジェットヘッドを用いることが好ましい。インクジェットヘッドとしては、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式、等のヘッドが好適である。
<画像を完全に硬化させる工程>
本発明における「完全硬化」とは、液体組成物(下塗り液体組成物及び着色液体組成物)の内部及び表面が完全に硬化した状態をいう。具体的には、完全硬化の工程の終了後(例えば、活性エネルギー線の照射後や加熱後)、普通紙などの浸透媒体を押し当てて、浸透媒体に下塗り液体組成物又は着色液体組成物表面が転写したかどうかによって判断することができる。即ち、全く転写しない場合を完全に硬化した状態という。
画像を完全硬化させる硬化手段には活性エネルギー線を照射する光源、電気ヒータやオーブン等の加熱器などを目的等に応じて選択することができる。
前記活性エネルギー線としては、紫外線のほか例えば可視光線、α線、γ線、X線、電子線などが使用可能である。これらのうち、活性エネルギー線としては、コスト及び安全性の点で、電子線、紫外線、可視光線が好ましく、紫外線が特に好ましい。
完全硬化反応に必要なエネルギー量は、組成、特に重合開始剤の種類や含有量などによって異なるが、一般には100mJ/cm2以上10,000mJ/cm2以下程度である。
活性エネルギー線を照射する好適な装置としては、メタルハライドランプ、水銀灯、LED光源等が挙げられる。
また、前記加熱によりエネルギーを付与する場合は、加熱手段として熱を発する装置を用いることができる。この場合、液体組成物(下塗り液体組成物及び着色液体組成物)が付与された基材に対し、該基材の表面温度が50℃以上100℃以下の温度範囲となる条件で0.5秒間以上10秒間以下加熱することが好ましい。
加熱による場合、温度上昇により、重合性化合物の重合もしくは架橋による硬化反応が促進され、液滴の衝突により形成された形状は、より強固となる。これにより、強固な画像が得られるので好ましい。
加熱は、非接触型の加熱手段を使用して行うことができ、オーブン等の加熱炉内を通過させる加熱装置や、紫外光〜可視光〜赤外光等の全面露光による加熱装置等が好適である。
加熱手段としての露光に好適な光源としては、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、カーボンアーク灯、水銀灯等が挙げられる。
なお、本発明において、半硬化させる工程及び完全硬化させる工程は、いずれも放射線照射により行うことが好ましく、紫外線照射により行うことがより好ましい。
なお、図1ではホワイト、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの5色の着色液体組成物を使用したが、これに限定されるものではなく、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色の着色液体組成物を使用することもできる。吐出する着色液体組成物の順番は特に限定されるわけではないが、明度の高い着色液体組成物から被記録媒体に付与することが好ましく、また、紫外線吸収の少ない着色液体組成物から被記録媒体に付与することが好ましい。イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色を使用する場合には、シアン→マゼンタ→イエロー→ブラックの順で被記録媒体上に付与することが好ましい。また、これにホワイトを加えた5色の着色液体組成物を使用する場合にはホワイト→シアン→マゼンタ→イエロー→ブラックの順で被記録媒体上に付与することが好ましい。
着色液体組成物は少なくとも2種を使用すればよいが、フルカラー画像を得るためには、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの着色液体組成物又はイエロー、シアン、マゼンタ、ブラック、ホワイトの5つの着色液体組成物を使用することが好ましい。さらに、本発明はこれに限定されず、シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、グレー、ブラック、ホワイト、イエローの8つの着色液体組成物を使用することもできる。
本発明において、インクジェット記録方法は上記のインクジェット記録方法に限定されず、本発明のインクジェット記録用インクセットは、他のインクジェット記録方法にも使用できる。
即ち、着色液にて画像を形成した後、下塗り液をオーバーコート層として吐出又は塗布する等、当業者に公知の方法を適宜選択することができる。
<被記録媒体>
本発明において、被記録媒体に用いる材料としては、特に限定されずいずれの材料を使用してもよい。例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上述した金属がラミネートされ又は蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルム及びアルミニウム板が挙げられる。
本発明において、被記録媒体として、非吸収性被記録媒体が好適に使用される。前記インクジェット記録方法では、下塗り液体組成物を付与した後に着色液体組成物を付与することにより、これまで打滴干渉によって精細な画像の形成が困難であった様々な非吸収性被記録媒体に対して高精細な画像が形成可能である。
以下、本発明で使用される着色液体組成物及び下塗り液について説明する。
(着色液体組成物)
本発明に好適に用いられる着色液体組成物A及び着色液体組成物Bは、少なくともラジカル重合性化合物、重合開始剤、及び、着色剤を含有する。さらに、着色液体組成物Aは、上記構成成分に加えてアミン化合物を含有する。ここで重合開始剤は、光重合開始剤であることが好ましい。また、これらの成分に加えて、界面活性剤、増感剤等を含有することができる。
ラジカル重合性化合物は画像定着性の観点から、着色液体組成物への添加濃度として、着色液体組成物の総重量に対して、40重量%以上98重量%以下であることが好ましく、50重量%以上95重量%以下であることがより好ましく、60重量%以上90重量%以下であることが特に好ましい。ラジカル重合性化合物の添加量が上記範囲内であると、硬化性に優れ、また、粘度が適切であるので好ましい。
重合開始剤の添加濃度としては、着色液体組成物の総重量に対して、0.1〜20.0重量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜18.0重量%、さらに好ましくは1.0〜15.0重量%である。重合開始剤の添加量が上記範囲内であると、硬化性に優れ、また、表面ベトツキ低減の観点から適切であるので好ましい。
着色剤は、該着色液体組成物の添加濃度として、着色液体組成物の総重量に対して50重量%以下であることが好ましく、1重量%以上30重量%以下であることがより好ましく、2重量%以上20重量%以下であることが特に好ましい。着色剤の添加量が上記範囲内であると良好な画像濃度及び保存安定性が得られるので好ましい。
着色液体組成物は、室温で液体であれば良いが、インクジェットによる打滴適正の観点から、25℃における粘度は100mPa・s以下又は60℃における粘度が30mPa・s以下であることが好ましく、25℃における粘度は60mPa・s以下又は60℃における粘度が20mPa・s以下であることがより好ましく、25℃における粘度は40mPa・s以下又は60℃における粘度が15mPa・s以下であることが特に好ましい。
同じく、インクジェットによる打滴適正の観点から、着色液体組成物の25℃における表面張力は18mN/m以上40mN/m以下が好ましく、20mN/m以上35mN/m以下がより好ましく、22mN/m以上32mN/m以下がさらに好ましい。
ここでの「粘度」は、東機産業(株)製のRE80型粘度計を用いて求めた粘度である。RE80型粘度計は、E型に相当する円錐ロータ/平板方式粘度計であり、ロータコードNo.1番のロータを用い、10rpmの回転数にて測定を行った。但し、60mPa・sより高粘度なものについては、必要により回転数を5rpm、2.5rpm、1rpm、0.5rpm等に変化させて測定を行った。
また、ここで、前記表面張力は、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃にて測定した値である。
(下塗り液体組成物)
本発明に好適に用いられる下塗り液としては、少なくともラジカル重合性化合物、重合開始剤を含むことを特徴とする。
ラジカル重合性化合物は画像定着性の観点から、該下塗り液体組成物への添加濃度として、下塗り液体組成物の総重量に対して、40重量%以上98重量%以下であることが好ましく、50重量%以上95重量%以下であることがより好ましく、60重量%以上90重量%以下であることが特に好ましい。ラジカル重合性化合物の添加量が上記範囲内であると、硬化性に優れ、また、粘度が適切であるので好ましい。
重合開始剤の添加濃度としては、下塗り液体組成物の総重量に対して、0.1〜20.0重量%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜18.0重量%、さらに好ましくは1.0〜15.0重量%である。重合開始剤の添加量が上記範囲内であると、硬化性に優れ、また、表面ベトツキ低減の観点から適切であるので好ましい。
被記録媒体上に均一に塗設する観点から、下塗り液体組成物の25℃における粘度は1000mPa・s以下又は60℃における粘度が300mPa・s以下であることが好ましく、25℃における粘度は600mPa・s以下又は60℃における粘度が200mPa・s以下であることがより好ましく、25℃における粘度は400mPa・s以下又は60℃における粘度が150mPa・s以下であることが特に好ましい。
同じく、被記録媒体上に均一に塗設する観点から、該下塗り液体組成物の25℃における表面張力は16mN/m以上38mN/m以下であることが好ましく、18mN/m以上33mN/m以下であることがより好ましく、20mN/m以上30mN/m以下がであることがさらに好ましい。
以下、着色液体組成物A、着色液体組成物B、及び、下塗り液に使用される各種成分について説明する。
(アミン化合物)
本発明のインクジェット記録方法に用いるインクセットを構成する着色液体組成物Aには、アミン化合物を含有する。なお、着色液体組成物B及び下塗り液がアミン化合物を含有していてもよい。
従来、着色液体組成物を半硬化させる工程において、短い露光時間で好ましい半硬化状態を形成することが困難であった。
ラジカル重合性の紫外線硬化組成物の硬化性を向上させるために酸素重合阻害の影響を低減させる手段としては、(1)重合開始剤濃度を上げて酸素濃度に対するラジカル発生濃度を十分に高めること、(2)硬化組成物の極性を上げて酸素の溶解度を下げ組成物中の酸素濃度を小さくたもつこと、(3)パーオキシラジカルの再活性を促す添加剤であるアミン化合物やエチレンオキサイド鎖を有する化合物などを添加しておくことなどが、一般的に知られている。
発明者が検討したところ、方法(1)及び(2)では、酸素濃度の低い膜内部及び酸素濃度の高い膜表層の両方の硬化性が向上し、好ましい半硬化状態の形成が困難であった。特に、例えば図1に示した実施態様では、ホワイト液体組成物は、完全に硬化させる工程までに、3回の半硬化させる工程を経る。このように、複数回半硬化させる工程を経た場合、完全に硬化してしまい、好ましい半硬化状態を維持することが困難であった。
これに対し、方法(3)では、酸素濃度の低い膜内部での硬化性が効果的に向上し、好ましい半硬化状態の形成が低エネルギーでも可能になることを見出した。
特に、パーオキシラジカルの再活性を促す添加剤としてアミン化合物が有効であり、中でも、3級アミン化合物(3級アミン構造を有する化合物)が好ましい。3級アミン化合物を用いると、好ましい半硬化状態を低い露光エネルギーで形成することが可能になり、より速い印刷速度での印刷が可能になる。
本発明において、アミン化合物として、分子内に重合性不飽和結合及び環状アミン構造を有する化合物を使用することが好ましい。
以下、本発明で特に好ましく用いることができるアミン化合物「分子内に重合性不飽和結合及び環状アミン構造を有する化合物(特定環状アミン化合物)」について詳細に説明する。
<特定環状アミン化合物>
該化合物が有する重合性不飽和結合としては、二重結合又は三重結合が挙げられ、ラジカル重合性の二重結合であることが好ましい。すなわち、アミン化合物はエチレン性不飽和結合を有することが好ましい。着色液体組成物Aとして好適な低粘度組成物とするため、及び、画像形成において柔軟な硬化膜を得ることができるという観点から、特定環状アミン化合物が有する重合性不飽和結合、好ましくはエチレン性不飽和結合の数は1〜3であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
好ましいエチレン性不飽和結合を含む官能基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等が挙げられ、着色液体組成物Aの硬化感度の観点から(メタ)アクリロイル基であることが好ましく、アクリロイル基であることが特に好ましい。なお(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基のいずれか又は両方をいう。
環状アミン構造としては、環構造を形成する原子の少なくとも1つが窒素原子である環状アミン構造であれば特に限定されずに用いることができる。
環構造の環の員数は3〜7であることが好ましく、4〜7であることがより好ましく、5〜6であることが特に好ましい。
該環構造を形成する結合は単結合であっても二重結合であってもよいが、単結合であることがより好ましい。結合が単結合、すなわち形成される環状アミン構造が脂環構造となることにより、硬化速度の向上効果、特に、空気中で硬化した際の酸素による重合阻害の抑制効果が顕著になり、高い硬化性を有することができる利点を有する。
該環構造内に含まれる窒素原子の数は1〜3が好ましく、1〜2がより好ましく、該環構造内に窒素原子を1つのみ有する構造が特に好ましい。
環状アミン構造を形成する環には、導入可能な場合には置換基を有していてもよく、好ましい置換基としては炭素数1〜4程度の比較的短鎖のアルキル基が挙げられ、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
また、環状アミン構造における環を形成する構成成分として、窒素原子のほかに酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子が含まれていてもよい。
環状アミン構造のうち、特に好ましいものとしては、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環が挙げられ、置換基を有する下記式(1)で示されるピペリジン環が特に好ましいものとして挙げられる。
Figure 2009184206
式(1)中、R1はアルキル基又は置換アルキル基を表す。
1は炭素数1以上のアルキル基であり、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることが特に好ましい。好ましいアルキル基としては、より具体的には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ノニル基などが挙げられ、メチル基、エチル基及びブチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。また窒素原子に隣接する炭素原子上に水素原子を有することが好ましく、水素原子の数は2以上であることが好ましい。
1が置換アルキル基の場合、導入可能な置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が好ましく挙げられる。
2〜R5はそれぞれ独立にメチル基又はエチル基を表すが、メチル基であることが好ましく、中でも、R2〜R5の全てがメチル基であることがより好ましい。
特定環状アミン化合物において、環状アミン構造は連結基を介して重合性不飽和結合と連結されるが、連結される部位は、環状アミン構造である前記式(1)におけるR2〜R5が存在する部位を除けば、いずれの部位が重合性不飽和結合と連結されていてもよい。
特定環状アミン化合物としては、より具体的には、下記式(2)、(3)及び(4)で表される如き化合物、すなわち環状アミン構造に、所定の連結基を介して重合性二重結合が結合している化合物が好ましい。
Figure 2009184206
式(2)〜(4)中、R1〜R5はそれぞれ式(1)におけるR1〜R5と同義であり、好ましい範囲も同様である。
6はメチル基又は水素原子を表し、水素原子であることが好ましい。
Zは二価の連結基又は単結合を表し、酸素原子又は上述のR1で表されるアルキル基から水素原子を除したアルキレン基が好ましく、炭素数1〜20のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数3〜12のアルキレン基であることが特に好ましい。
該Zで表されるアルキレン基は、メチレン基(−CH2−)からなるメチレン鎖中に、−CO−、−O−、−S−又は−NR7−から選択される二価の基を有していてもよく、メチレン基からなるアルキレン鎖中にエーテル結合(−O−)を有するものが好ましい。中でも、アルキレン基の両末端にエーテル結合(−O−)を有するものが特に好ましい。
なお、ここでR7は水素原子又は上述のR1がアルキル基である場合のR1と同義である。またR7がR1と同義である場合は、好ましい範囲も同様である。
ここで、Zで表されるアルキレン基としては、炭素数3〜12程度のアルキレン基が特に好ましく、具体的には例えば、プロピレン基、ブチレン基、オクチレン基、ノニレン基等が挙げられる。これらアルキレン基中のメチレン基からなる鎖状構造中には、上述の−CO−、−O−、−S−又は−NR7−から選択される二価の基を有していてもよい。また、これらの二価の連結基は2種以上を組み合わせて構成される二価の連結基であってもよい。
Aは二価の有機基を表し、メチレン基(−CH2−)又は酸素原子(−O−)であることが好ましい。
本発明において好適に用いることのできる、特定環状アミン化合物の具体例〔例示化合物(A−1)〜(A−26)〕を以下に示すが、本発明はこれらに制限されるものでは
ない。また、各例示化合物において立体異性体が存在する場合は、それらのいずれを用いてもよく、立体異性体の混合物を用いてもよい。
Figure 2009184206
Figure 2009184206
Figure 2009184206
これらの中でも、分子内に(メタ)アクリロイル基を有する(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−7)、(A−12)、(A−17)などが好ましく、(A−1)、(A−2)がより好ましく、(A−1)が特に好ましい。
特定環状アミン化合物は、例えば、Makromolekulare Chemie. 第181巻3号595〜634頁(1980年)、Journal of Applied Polymer Science 第69巻13号2649〜2656頁(1998年)、Journal of Applied Polymer Science 第75巻9号1103〜1114頁(2000年)、Polymers for Advanced Technologies 第13巻247〜253頁(2002年)、特開平3−251569号公報に記載されている公知の合成方法により製造することができ、また、ファンクリルFA−711MM(日立化成工業(株)製)等の市販品としても入手可能である。
アミン化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
また、アミン化合物の含有量は、着色液体組成物の総量に対し、0.1〜20重量%であることが好ましく、0.2〜10重量%であることがより好ましく、0.3〜5重量%であることがさらに好ましい。
アミン化合物の含有量が上記範囲内であると、低い露光エネルギーで良好な半硬化状態を得ることができる。
なお、2種以上のアミン化合物を使用する場合には、総量として上記範囲内とすることが好ましい。
(式(I)で表される化合物)
本発明のインクジェット記録方法に用いる着色液体組成物Aは、下記式(I)で表される化合物を含有することが好ましい。該化合物を用いると、好ましい半硬化状態を低い露光エネルギーで形成することが可能になり、より速い印刷速度での印刷が可能になる。なお、式(I)で表される化合物は、重合開始剤として機能するものではなく、増感剤として機能するものであることが好ましい。
Figure 2009184206
前記式(I)において、XはO、S、又は、NRを表す。nは0又は1を表す。Rは水素原子、アルキル基、又はアシル基を表す。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8はそれぞれ独立に水素原子、又は一価の置換基を表す。
前記式(I)において、XはO、S、又は、NRを表し、ここでRは水素原子、アルキル基、又はアシル基を表す。nは0又は1を表す。
Xとしては、O又はSであることが好ましく、Sであることがより好ましい。
nは0又は1を表す。ここで、nが0の場合、R7及びR8と結合した炭素原子は存在せず、ヘテロ原子を含むXと、R5及びR6と結合した炭素原子と、が直接結合して、Xを含む5員のヘテロ環を構成することになる。
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8はそれぞれ独立に水素原子、又は一価の置換基を表す。
1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8が一価の置換基を表す場合の、一価の置換基としては、ハロゲン原子、脂肪族基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等の非環状又は環状の炭化水素基)芳香族基、複素環基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、スルフィニル基、ホスホニル基、アシル基、カルボキシ基又はスルホ基などが挙げられ、中でも、好ましくは、アルコキシ基、アルキル基、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはアルキル基及びハロゲン原子である。
これらの一価の置換基は、さらに上記の置換基で置換されていてもよい。例えば、アルキル基は、ハロゲン原子によって置換されたハロアルキル基であってもよく、カルボキシ基で置換されたカルボキシアルキル基等であってもよい。
なお、式(I)におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8が一価の置換基を表す場合のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基のような炭素数1〜4個のものが好ましく挙げられる。
同様に、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基のような炭素数1〜4個のものが好ましく挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができる。
化合物(I)は、下記式(I−A)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2009184206
前記式(I−A)において、XはO又はSを表す。nは0又は1を表す。R1A、R2A、R3A、R4A、R5A、R6A、R7A及びR8Aはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルチオ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基を表す。
これらの一価の置換基は、さらに上記の置換基で置換されていてもよい。例えば、アルキル基は、ハロゲン原子によって置換されたハロアルキル基であってもよく、カルボキシ基で置換されたカルボキシアルキル基等であってもよい。
さらに好適に用いることのできる化合物(I)としては、下記式(I−B)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2009184206
前記式(I−B)において、XはO又はSを表す。R1B、R2B、R3B、R4B、R5B、R6B、R7B及びR8Bはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルキルチオ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基を表す。
これらの一価の置換基は、さらに上記の置換基で置換されていてもよい。例えば、アルキル基は、ハロゲン原子によって置換されたハロアルキル基であってもよく、カルボキシ基で置換されたカルボキシアルキル基等であってもよい。
さらに好適に用いることのできる化合物(I)としては、下記式(I−C)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2009184206
前記式(I−C)において、R1C、R2C、R3C、R4C、R5C、R6C、R7C及びR8Cはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、カルボキシル基又はスルホ基を表す。
これらの一価の置換基は、さらに上記の置換基で置換されていてもよい。例えば、アルキル基は、ハロゲン原子によって置換されたハロアルキル基であってもよく、カルボキシ基で置換されたカルボキシアルキル基等であってもよい。
本発明に好適に用いることのできる、式(I)で表される化合物の具体例〔例示化合物(I−1)〜(I−96)〕を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本発明において、構造式の一部は、炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載する。また、Meはメチル基、Butはtert−ブチル基、Priはイソプロピル基を意味する。
Figure 2009184206
Figure 2009184206
Figure 2009184206
Figure 2009184206
Figure 2009184206
Figure 2009184206
Figure 2009184206
Figure 2009184206
Figure 2009184206
なお、上記式(I)で表される化合物は、例えば、特開2004−189695号公報、Tetrahedron, vol.49, p.939〜 , 1993、Journal of Organic Chemistry, p.893〜, 1945、及び、Journal of Organic Chemistry, p.4939〜, 1965などに記載の公知の方法によって合成することができる。
(重合性化合物)
本発明の着色液体組成物及び下塗り液体組成物は重合性化合物を含有する。重合性化合物としてはラジカル重合性化合物及びカチオン重合性化合物が挙げられるが、本発明において、重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を使用することが好ましい。
<ラジカル重合性化合物>
本発明において、ラジカル重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物を使用することが好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド化合物、ビニル化合物(例えば、脂肪族ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、N−ビニル化合物)が例示できる。
これらの中でもエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、各種(メタ)アクリレートモノマーが好ましく使用できる。
例えば、イソアミルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、イソアミルスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイキシエチルコハク酸、2−アクリロイキシエチルフタル酸、2−アクリロイキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、ラクトン変性可とう性アクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート等の単官能モノマーが挙げられる。
また、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能モノマーが挙げられる。
この他、重合性のオリゴマー類も、モノマー同様に配合可能である。重合性オリゴマーとしては、エポキシアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、直鎖アクリルオリゴマー等が挙げられる。
本発明において、ラジカル重合性化合物として、環状構造を有するラジカル重合性モノマーを使用することが好ましく、環状構造を有するラジカル重合性モノマーとして、脂肪族環状構造を有する単官能ラジカル重合性モノマー及び/又は芳香族単官能ラジカル重合性モノマーを使用することが好ましい。
脂肪族環状構造を有する単官能ラジカル重合性モノマー及び芳香族単官能ラジカル重合性モノマーは、以下の式(A1)で表される単官能ラジカル重合性モノマーであることが好ましい。なお、脂肪族環状構造を有する単官能ラジカル重合性モノマーとは、ヘテロ原子を含んでもよい脂環式炭化水素基を有する単官能ラジカル重合性モノマーであり、芳香族単官能ラジカル重合性モノマーとは、芳香族基を有する単官能ラジカル重合性モノマーである。また、単官能ラジカル重合性モノマーは、重合性のあるエチレン性不飽和結合を1つのみ有する化合物であり、重合性のあるエチレン性不飽和結合を有する基としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基が好ましく例示できる。
なお、脂肪族環状構造を有するラジカル重合性モノマーは、脂肪族環状構造の他にラジカル重合性基を有しており、脂肪族環状構造内に有するエチレン性不飽和結合は、重合性のあるエチレン性不飽和結合に該当しない。
Figure 2009184206
上記式(A1)において、R1は水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、X1は、単結合、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−C(O)O−又は−OC(O)−)、アミド結合(―C(O)NH−、又は、−NHC(O)−)、カルボニル結合(−C(O)―)、分岐を有していてもよい炭素数20以下のアルキレン基、又はこれらを組み合わせた第2の二価の連結基が結合してもよく、第1の二価の連結基のみ又は第2の二価の連結基を有する場合はエーテル結合、エステル結合及び炭素数20以下のアルキレン基を有するものが好ましい。
2は単環芳香族基及び多環芳香族基を含む芳香族基又は脂環式炭化水素基であり、前記芳香族基及び脂環式炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、シロキサン基、炭素数30以下の置換基を有していてもよく、前記芳香族基又は脂環炭化水素基の環状構造には、O、N、S等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
上記式(A1)において、R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、より好ましくは水素原子又はメチル基であり、特に好ましくは水素原子である。
また、X1はエステル結合(−C(O)O−)を有するものであることが好ましい。
すなわち、本発明において、脂肪族環状構造を有する単官能ラジカル重合性モノマー及び芳香族単官能ラジカル重合性モノマーは、アクリレート(アクリル酸エステル)又はメタクリレート(メタクリル酸エステル)であることが好ましい。
これらの脂肪族環状構造を有する単官能ラジカル重合性モノマー及び芳香族単官能ラジカル重合性モノマーの含有量は、下塗り液体組成物の10〜70重量%であることが好ましく、より好ましくは15〜60重量%であり、さらに好ましくは20〜50重量%である。また、着色液体組成物の10〜70重量%であることが好ましく、15〜60重量%であることがより好ましく、20〜50重量%であることがさらに好ましい。含有量が上記範囲内であると、良好な硬化性及び硬化膜の柔軟性を得ることができるので好ましい。 なお、脂肪族環状構造を有する単官能ラジカル重合性モノマーと、芳香族単官能ラジカル重合性モノマーとを併用することもできるし、いずれか一方のみを用いることも好ましい。
〔脂肪族環状構造を有する単官能ラジカル重合性モノマー〕
式(A1)のR2は脂環式炭化水素基でもよい。また、O、N、Sなどのヘテロ原子を含む脂環式炭化水素基を有する基でもよい。
脂環式炭化水素基は、炭素数3〜12のシクロアルカン類を有する基でもよい。
上記O、N、Sなどのヘテロ原子を含む脂環式炭化水素基は、具体的には、ピロリジン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、イソオキサゾリジン、イソチアゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、チオモルフォリン、ジアゾール、トリアゾール、テトラゾールから1つ以上の水素を除いた基が例示できる。
これらの脂環式炭化水素基及びヘテロ環を有する脂環式炭化水素基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、シロキサン基、さらに置換基を有していてもよい総炭素数30以下の炭化水素基若しくはO、N、S等のヘテロ原子を含む複素環基、又は、二価の置換基としてオキシ基(=O)であることが好ましい。
脂肪族環状構造を有する単官能ラジカル重合性モノマーは、下記式(A2)で表されるノルボルネン骨格を有する化合物であることがより好ましい。
Figure 2009184206
式(A2)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、X1は二価の連結基を表し、エーテル基(−O−)、エステル基(−C(O)O−若しくは−OC(O)−)、アミド基(−C(O)NR’−)、カルボニル基(−C(O)−)、窒素原子(−NR’−)、置換基を有していてもよい炭素数1〜15のアルキレン基、又は、これらを2以上組み合わせた二価の基であることが好ましい。なお、R’は水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状アルキル基、又は、炭素数6〜20のアリール基を表す。R2は置換基を表し、rは0〜5の整数を表し、qは環状炭化水素構造を表し、前記環状炭化水素構造として炭化水素結合以外にカルボニル結合(−C(O)−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)を含んでいてもよく、r個存在するR2はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよく、また、ノルボルネン骨格中の一炭素原子をエーテル結合(−O−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)で置換してもよい。
式(A2)中、R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、より好ましくは水素原子又はメチル基である。
式(A2)におけるX1のビニル基と結合する端部は、X1のカルボニル炭素とビニル基とが結合するエステル基又はアミド基であることが好ましく、より好ましくはエステル結合である。特に、H2C=C(R1)−C(O)O−の構造を有するものであることが好ましい。その場合、ノルボルネン骨格と結合するX1の他の部分は、単結合であっても、前記の基から任意に選択したものであってもよい。
1及びX1を含むビニル部分(H2C=C(R1)−X1−)は、脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。なお、「各脂環式炭化水素構造上」とは、式(A2)におけるノルボルネン構造上及びqを含む環状炭化水素構造上を指す。
また、着色剤との親和性を向上させるという観点から、式(A2)におけるX1の脂環式炭化水素構造と結合する端部は、酸素原子であることが好ましく、エーテル性酸素原子であることがより好ましく、式(A2)におけるX1は−C(O)O(CH2CH2O)p−(pは1又は2を表す。)であることがさらに好ましい。
式(A2)におけるR2はそれぞれ独立に置換基を表し、脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。また、r個存在するR2はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
r個存在するR2は、それぞれ独立に一価又は多価の置換基であってもよく、一価の置換基として水素原子、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、チオール基、シロキサン基、さらに置換基を有していてもよい総炭素数30以下の炭化水素基若しくは複素環基、又は、二価の置換基としてオキシ基(=O)であることが好ましい。
2の置換数rは0〜5の整数を表す。
式(A2)におけるqは、環状炭化水素構造を表し、その両端はノルボルネン骨格の任意の位置で置換していてもよく、単環構造であっても、多環構造であってもよく、また、前記環状炭化水素構造として炭化水素結合以外に、カルボニル結合(−C(O)−)及び/又はエステル結合(−C(O)O−)を含んでいてもよい。
前記式(A2)で表されるモノマーとしては、式(A3)又は式(A4)で表されるモノマーであることが好ましい。なお、式(A4)中の環状炭化水素構造中の不飽和結合は、ラジカル重合性が低く、本発明において、式(A4)で表される化合物は単官能ラジカル重合性モノマーである。
Figure 2009184206
式(A3)及び式(A4)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、X1は二価の連結基を表し、R3及びR4はそれぞれ独立に置換基を表し、s及びtはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、また、s個存在するR3及びt個存在するR4はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
式(A3)又は式(A4)におけるR1及びX1は、式(A2)におけるR1及びX1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(A3)又は式(A4)におけるR1及びX1を含むビニル部分は、式(A3)又は式(A4)における下記に示す各脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。
Figure 2009184206
式(A3)又は式(A4)におけるR3及びR4はそれぞれ独立に置換基を表し、式(A3)、又は式(A4)における上記各脂環式炭化水素構造上の任意の位置で結合することができる。R3及びR4における置換基は、式(A2)のR2における置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(A3)又は式(A4)におけるs及びtはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、また、s個存在するR3及びt個存在するR4はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
式(A2)で表されるモノマーとして、単官能アクリレートの好ましい具体例を以下に示す。
なお、下記例示化合物の一部において、炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載する。
Figure 2009184206
式(A2)で表されるモノマーとして、単官能メタクリレートの好ましい具体例を以下に示す。
Figure 2009184206
式(A2)で表されるモノマーとして、単官能アクリルアミドの好ましい具体例を以下に示す。
Figure 2009184206
〔芳香族単官能ラジカル重合性モノマー〕
芳香族単官能ラジカル重合性モノマーは、以下の式(A5)で表される重合性モノマーであることが好ましい。
Figure 2009184206
(式(A5)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、X1は二価の連結基を表し、R6は置換基を表し、uは0〜5の整数を表し、また、u個存在するR5はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよく、複数のR5がお互いに結合して環を形成してもよく、その環は芳香環であってもよい。)
式(A5)中、R1として好ましくは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは水素原子又はメチル基であり、さらに好ましくは水素原子である。
1は式(A2)におけるX1と同義であり、その好ましい範囲も同じである。
u個存在するR5は、それぞれ独立に一価又は多価の置換基であってもよく、一価の置換基として水素原子、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、チオール基、シロキサン基、又は、さらに置換基を有していてもよい総炭素数30以下の炭化水素基若しくは複素環基であることが好ましい。
式(A5)中、複数のR5は、お互いに結合して環を形成している場合には、芳香環を形成していることが好ましい。
すなわち、式(A5)中、芳香族基として好ましいものは、単環芳香族であるベンゼンから1つ以上の水素を除いた基(フェニル基、フェニレン基等)のほか、2〜4つの環を有する多環芳香族基であり、限定されるものではない。具体的には、ナフタレン、アントラセン、1H−インデン、9H−フルオレン、1H−フェナレン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、ナフタセン、テトラフェニレン、ビフェニレン、as−インダセン、s−インダセン、アセナフチレン、フルオランテン、アセフェナントリレン、アセアントリレン、クリセン、プレイアンデン等から1つ以上の水素原子を除いた基が例示できる。
これらの芳香族基は、O、N、S等のヘテロ原子を含む芳香族複素環基であってもよい。具体的には、フラン、チオフェン、1H−ピロール、2H−ピロール、1H−ピラゾール、1H−イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、2H−ピラン、2H−チオピラン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール等の単環芳香族複素環化合物から、少なくとも1つの水素原子を除いた基が挙げられる。
また、チアントレン、イソベンゾフラン、イソクロメン、4H−クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、4H−キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、β−カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピロリジン、等の多環芳香族複素環化合物から、少なくとも1つの水素原子を除いた基が挙げられる。
上記の芳香族基は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基、シロキサン基、炭素数30以下の置換基を1又は2以上有していてもよい。例えば無水フタル酸や無水フタルイミドのように芳香族基が有する2以上の置換基でO、N、S等のヘテロ原子を含む環状構造を形成してもよい。
本発明において、多環芳香族基としてさらに好ましいものは、2〜3つの環を有する多環芳香族基であり、特に好ましいものは、ナフチル基である。
芳香族単官能ラジカル重合性モノマーの具体例として[L−1]〜[L−71]が好ましく挙げられるが、下記に限定されたものではない。
Figure 2009184206
Figure 2009184206
Figure 2009184206
Figure 2009184206
Figure 2009184206
Figure 2009184206
Figure 2009184206
なお、前述したアミン化合物が重合性化合物に該当する場合がある。例えば、アミン化合物がエチレン性不飽和結合を有する場合が例示できる。本発明において、ラジカル重合性化合物として、アミン化合物に該当しない、その他のラジカル重合性化合物を含有するものであり、特に3級アミン化合物に該当しない、その他の重合性化合物を含有することが好ましい。また、前述した重合性化合物の好ましい含有量には、アミン化合物に該当する化合物の含有量は含まない。
(重合開始剤)
着色液体組成物A、着色液体組成物B及び下塗り液体組成物は、重合開始剤を含有する。重合開始剤としては、光重合開始剤及び熱重合開始剤が例示できるが、本発明において、半硬化する工程及び完全硬化する工程において放射線(好ましくは紫外線)を照射することが好ましいことから、重合開始剤は光重合開始剤であることが好ましい。なお、光重合開始剤と熱重合開始剤を併用することもできる。
着色液体組成物A、着色液体組成物B、及び、下塗り液体組成物が含有する光重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤を使用することができる。本発明に用いることができる光重合開始剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いることのできる光重合開始剤は、活性放射線の照射により重合開始種を生成する化合物である。活性放射線としては、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できるが、装置コストや操作上の安全性の観点から、紫外線又は可視光線が好ましい。
具体的な光重合開始剤は当業者間で公知のものを制限なく使用でき、具体的には、例えば、Bruce M. Monroeら著、Chemical Review, 93, 435 (1993)や、R. S. Davidson著、Journal of Photochemistry and Biology A: Chemistry, 73. 81(1993)や、J. P. Faussier, Photoinitiated Polymerization-Theory and Applications: Rapra Review vol.9, Report, Rapra Technology (1998) や、M. Tsunooka et al., Prog. Polym. Sci., 21, 1 (1996) に多く記載されている。また、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)(187〜192ページ参照)に化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が多く記載されている。さらには、F. D. Saeva, Topics in Current Chemistry, 156, 59 (1990)、G. G. Maslak, Topics in Current Chemistry, 168, 1 (1993)、H. B. Shuster et al, JACS, 112, 6329 (1990)、I. D. F. Eaton et al, JACS, 102, 3298(1980) 等に記載されているような、増感剤の電子励起状態との相互作用を経て、酸化的もしくは還元的に結合解裂を生じる化合物群も知られる。
さらに前述の通り、本発明の光重合開始剤としては、アシルホスフィンオキサイド化合物、α−アミノアセトフェノン化合物よりなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有することが好ましい。より好ましくは、アシルホスフィンオキサイド化合物及びα−アミノアセトフェノン化合物を含有する。
好ましく用いることができるアシルホスフィンオキサイド化合物及びα−アミノアセトフェノン化合物は以下の通りである。
<アシルホスフィンオキサイド化合物>
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、下記式(2)又は下記式(3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2009184206
前記式(2)中のR1及びR2は、それぞれ独立に脂肪族基、芳香族基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、複素環基を表し、R3は、脂肪族基、芳香族基、複素環基を表す。前記R1とR2は結合して5員環乃至9員環を形成してもよい。前記環構造は、環構造中に酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環であってもよい。
前記R1、R2又はR3で表される脂肪族基は、例えば、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基、又は置換アラルキル基等が挙げられ、中でも、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基、又は置換アラルキル基が好ましく、アルキル基、置換アルキル基が特に好ましい。また、前記脂肪族基は、環状脂肪族基でも鎖状脂肪族基でもよい。また、鎖状脂肪族基は分岐を有していてもよい。
前記アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が挙げられ、該アルキル基の炭素原子数としては、1以上30以下が好ましく、1以上20以下がより好ましい。置換アルキル基のアルキル部分の炭素原子数の好ましい範囲については、アルキル基の場合と同様である。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ネオペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基等が挙げられる。
前記置換アルキル基の置換基としては、−COOH(カルボキシル基)、−SO3H(スルホ基)、−CN(シアノ基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、−OH(ヒドロキシ基)、炭素数30以下のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基)、炭素数30以下のアルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、炭素数30以下のアシルアミノスルホニル基、炭素数30以下のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシエトキシ基、フェネチルオキシ基等)、炭素数30以下のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、メチルチオエチルチオエチル基等)、炭素数30以下のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等)、ニトロ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、炭素数30以下のアシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等)、炭素数30以下のアシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基等)、炭素数30以下のアリール基(例えば、フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、α−ナフチル基等)、置換アミノ基(例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アシルアミノ基等)、置換ウレイド基、置換ホスホノ基、複素環基等が挙げられる。ここで、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシ基、ホスホノ基は、塩の状態であってもよい。その際、塩を形成するカチオンは、陽イオンを形成し得る基であり、有機カチオン性化合物、遷移金属配位錯体カチオン(特許2791143号公報に記載の化合物等)又は金属カチオン(例えば、Na+、K+、Li+、Ag+、Fe2+、Fe3+、Cu+、Cu2+、Zn2+、Al3+等)が好ましい。
前記アルケニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルケニル基が挙げられ、該アルケニル基の炭素原子数としては、2以上30以下が好ましく、2以上20以下がより好ましい。また、該アルケニル基は、置換基を有する置換アルケニル基、無置換のアルケニル基のいずれであってもよく、置換アルケニル基のアルケニル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアルケニル基の場合と同様である。前記置換アルケニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
前記アルキニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキニル基が挙げられ、該アルキニル基の炭素原子数としては、2以上30以下が好ましく、2以上20以下がより好ましい。また、該アルキニル基は、置換基を有する置換アルキニル基、無置換のアルキニル基のいずれであってもよく、置換アルキニル基のアルキニル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアルキニル基の場合と同様である。置換アルキニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
前記アラルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル側鎖を有するアラルキル基が挙げられ、該アラルキル基の炭素原子数としては、7以上35以下が好ましく、7以上25以下がより好ましい。また、該アラルキル基は、置換基を有する置換アラルキル基、無置換のアラルキル基のいずれであってもよく、置換アラルキル基のアラルキル部分の炭素原子数の好ましい範囲はアラルキル基の場合と同様である。置換アラルキル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。また、アラルキル基のアリール部分が置換基を有していてもよく、該置換基としては前記置換アルキル基の場合と同様の置換基及び炭素数30以下の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が例示できる。
前記R1、R2又はR3で表される芳香族基としては、例えば、アリール基、置換アリール基が挙げられる。アリール基の炭素原子数としては、6以上30以下が好ましく、6以上20以下がより好ましい。置換アリール基のアリール部分の好ましい炭素原子数の範囲としては、アリール基と同様である。前記アリール基としては、例えば、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等が挙げられる。置換アリール基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基及び炭素数30以下の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が挙げられる。
前記R1又はR2で表される脂肪族オキシ基としては、炭素数1以上30以下のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、フェノキシエトキシ基等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
前記R1又はR2で表される芳香族オキシ基としては、炭素数6以上30以下のアリールオキシ基が好ましく、例えば、フェノキシ基、メチルフェニルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、オクチルオキシフェニルオキシ基等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
前記R1、R2又はR3で表される複素環基としては、N、O又はS原子を含む複素環基が好ましく、例えば、ピリジル基、フリル基、チエニル基、イミダゾリル基、ピロリル基等が挙げられる。
Figure 2009184206
前記式(3)中のR4及びR6は、それぞれ独立にアルキル基、アリール基、複素環基を表し、R5は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環基を表す。
前記R4、R5又はR6で表される、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基及びアリールオキシ基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記式(2)における場合と同様の置換基が挙げられる。
前記式(3)におけるアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基及びアリールオキシ基としては、前記式(2)における場合と同義である。
前記式(2)で表される化合物は、下記式(4)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2009184206
式(4)中、R7及びR8はそれぞれ独立に、フェニル基、メトキシ基、又は、イソプロポキシ基を表し、R9は2,4,6−トリメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2−メチルフェニル基(o−トルイル基)、イソブチル基、又は、t−ブチル基を表す。
前記式(3)で表される化合物は、下記式(5)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2009184206
式(5)中、R10及びR12はそれぞれ独立に、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、又は、2,6−ジメトキシフェニル基を表し、R11はフェニル基、又は、2,4,4−トリメチルペンチル基を表す。
前記式(2)又は(3)で表されるアシルホスフィンオキサイド化合物としては、例えば、特公昭63−40799号公報、特公平5−29234号公報、特開平10−95788号公報、特開平10−29997号公報等に記載の化合物を挙げることできる。
具体的なアシルホスフィンオキサイド化合物の例としては、以下に示す化合物(例示化合物(P−1)乃至(P−26))が挙げられるが、本発明においては、これらに限定されるものではない。
Figure 2009184206
Figure 2009184206
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、モノアシルホスフィンオキサイド化合物及びビスアシルホスフィンオキサイド化合物等を使用することができ、モノアシルホスフィンオキサイド化合物としては、公知のモノアシルホスフィンオキサイド化合物を使用することができる。例えば特公昭60−8047号公報、特公昭63−40799号公報に記載のモノアシルホスフィンオキサイド化合物が挙げられる。具体例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスインオキサイド、イソブチリル−メチルホスフィン酸メチルエステル、イソブチリル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、ピバロイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、2−エチルヘキサノイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、ピバロイル−フェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、p−トルイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、o−トルイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、2,4−ジメチルベンゾイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、p−三級ブチルベンゾイル−フェニルホスフィン酸イソプロピルエステル、アクリロイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル、イソブチリル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2−エチルヘキサノイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、o−トルイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、p−三級ブチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、3−ピリジルカルボニル−ジフェニルホスフィンオキサイド、アクリロイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイル−フェニルホスフィン酸ビニルエステル、アジポイル−ビス−ジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、p−トルイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、4−(三級ブチル)−ベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−2−エチルヘキサノイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、1−メチル−シクロヘキサノイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、ピバロイル−フェニルホスフィン酸メチルエステル及びピバロイル−フェニルホスフィン酸イソプロピルエステル等が挙げられる。
ビスアシルホスフィンオキサイド化合物としては公知のビスアシルホスフィンオキサイド化合物が使用できる。例えば特開平3−101686号、特開平5−345790号、特開平6−298818号に記載のビスアシルホスフィンオキサイド化合物が挙げられる。具体例としては、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−4−クロルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−2,4−ジメトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−デシルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロルベンゾイル)−4−オクチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロル−3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジクロル−3,4,5−トリメトキシベンゾイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メチル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−メトキシ−1−ナフトイル)−4−エトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2−クロル−1−ナフトイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
これらの中でも、本発明において、アシルホスフィンオキサイド化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(IRGACURE 819:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド(DAROCUR TPO:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、LUCIRIN TPO:BASF社製)などが好ましい。
<α−アミノアセトフェノン化合物>
α−アミノアセトフェノン化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を使用することもできる。
該α−アミノアセトフェノン化合物としては下記の式(1)で表される化合物を好ましく用いることができる。
Figure 2009184206
式中X1は下記(a)、(b)又は(c)で表される基を表す。
Figure 2009184206
式中pは0又は1である。
Figure 2009184206
式中qは0乃至3の整数であり、rは0又は1である。
Figure 2009184206
式中、Yは水素原子、ハロゲン原子、OH基、炭素数1以上12以下のアルキル基(なお、特に断りのない場合、アルキル基とは直鎖状又は分岐状のアルキル基を意味する。本発明において、以下、同様。)、炭素数1以上12以下のアルコキシ基、芳香環基、又は、複素環基を表す。前記芳香環基としては、フェニル基、又は、ナフチル基が好ましく例示できる。また、前記複素環基としては、フリル基、チエニル基、又は、ピリジル基が好ましく例示できる。
Yにおけるアルキル基、アルコキシ基、芳香環基、及び、複素環基は置換基を有していてもよい。
Yにおけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、OH基、ハロゲン原子、−N(X102(X10は水素原子、炭素数1以上8以下のアルキル基、炭素数3以上5以下のアルケニル基、炭素数7以上9以下のフェニルアルキル基、炭素数1以上4以下のヒドロキシアルキル基、もしくはフェニル基を表す。)、炭素数1以上12以下のアルコキシ基、−COOR(Rは炭素数1以上18以下のアルキル基を表す。)、−CO(OCH2OCH2nOCH3(nは1以上20以下の整数を表す。)、又は、−OCOR(Rは炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。)が挙げられる。
Yにおけるアルコキシ基が有していてもよい置換基としては、−COOR(Rは炭素数1以上18以下のアルキル基を表す。)、又は、−CO(OCH2CH2nOCH3(nは1以上20以下の整数を表す。)が挙げられる。
Yにおける芳香環基又は複素環基が有していてもよい置換基としては、−(OCH2CH2nOH(nは1以上20以下の整数を表す。)、−(OCH2CH2nOCH3(nは1以上20以下の整数を表す。)、炭素数1以上8以下のアルキルチオ基、フェノキシ基、−COOR(Rは炭素数1以上18以下のアルキル基を表す。)、−CO(OCH2CH2nOCH3(nは1以上20以下の整数を表す。)、フェニル基、又は、ベンジル基が挙げられる。
これら置換基は、可能であれば2以上有していてもよく、可能であれば、置換基をさらに置換していてもよい。
また、式中、X12は水素原子、炭素数1以上8以下のアルキル基、又は、フェニル基を表す。X13、X14及びX15は互いに独立して水素原子、又は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。X13とX14とは架橋して炭素数3以上7以下のアルキレン基を形成してもよい。
式中X2は前記X1と同じ基、炭素数5もしくは6のシクロアルキル基、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は、フェニル基を表す。
2におけるアルキル基、及び、フェニル基は置換基を有していてもよい。
2におけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、フェノキシ基、ハロゲン原子、又は、フェニル基が挙げられる。
2におけるフェニル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は、炭素数1以上4以下のアルコキシ基が挙げられる。
これら置換基は、可能であれば2以上有していてもよく、可能であれば、置換基をさらに置換していてもよい。
また、式中X1とX2とは架橋して次式で表される基を形成してもよい。
Figure 2009184206
式中X3は水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、炭素数3以上5以下のアルケニル基、炭素数5以上12以下のシクロアルキル基、又は、炭素数7以上9以下のフェニルアルキル基を表す。
3におけるアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、及び、フェニルアルキル基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、OH基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、−CN、又は、−COOR(Rは炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。)が挙げられる。
式中X4は炭素数1以上12以下のアルキル基、炭素数3以上5以下のアルケニル基、炭素数5以上12以下のシクロアルキル基、炭素数7以上9以下のフェニルアルキル基、又は、フェニル基を表す。
4におけるアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、フェニルアルキル基、及び、フェニル基は置換基を有していてもよい。
4におけるアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、及び、フェニルアルキル基が有していてもよい置換基としては、OH基、炭素数1以上4以下のアルコキシル基、−CN、又は、−COOR(Rは炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。)が挙げられる。また、X4におけるアルキル基が置換基を有する場合、置換されるアルキル基の炭素数は2以上4以下であることが好ましい。
4におけるフェニル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、又は、−COOR(Rは炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。)が挙げられる。
ここで、X2とX4とは架橋して炭素数1以上7以下のアルキレン基、炭素数7以上10以下のフェニルアルキレン基、o−キシリレン基、2−ブテニレン基、又は、炭素数2もしくは3のオキサ−もしくはアザ−アルキレン基を形成してもよい。
また、X3とX4とは架橋して炭素数3以上7以下のアルキレン基を形成してもよい。
3とX4とが架橋して形成するアルキレン基は、置換基として、OH基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、又は、−COOR(Rは炭素数1以上4以下のアルキルを表す。)を有していてもよく、また、結合中に−O−、−S−、−CO−、又は、−N(X16)−(X16は水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は、結合鎖中に1もしくは2以上の−O−を介在させた炭素数1以上12以下のアルキル基、炭素数3以上5以下のアルケニル基、炭素数7以上9以下のフェニルアルキル基、炭素数1以上4以下のヒドロキシアルキル基、−CH2CH2CN、−CH2CH2COOR(Rは炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。)、炭素数2以上8以下のアルカノイル基もしくはベンゾイル基を介在させた炭素数1以上12以下のアルキル基を表す。)を介在させてもよい。
式中X5、X6、X7、X8、X9は互いに独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、炭素数5もしくは6のシクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ベンゾイル基、−OX17基、−SX18基、−SO−X18基、−SO2−X18基、−N(X19)(X20)基、−NH−SO2−X21基、又は、次式で表される基を表す。
Figure 2009184206
式中、Zは−O−、−S−、−N(X10)−X11−N(X10)−又は次式で表される基を表す。X1、X2、X3及びX4は前記式(1)と同義である。
Figure 2009184206
式中X10は前記と同じ、X11は炭素数が2以上16以下の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、又はこれらの鎖中に1以上の−O−、−S−、もしくは−N(X10)−が介在する炭素数が2以上16以下の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基(X10は前記と同じ)を表す。
17は水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、−(CH2CH2O)nH(nは2以上20以下の整数)、炭素数2以上8以下のアルカノイル基、炭素数3以上12以下のアルケニル基、シクロヘキシル基、ヒドロキシシクロヘキシル基、フェニル基、炭素数7以上9以下のフェニルアルキル基、又は、−Si(R4r(R53-r(R4は炭素数1以上8以下のアルキル基、R5はフェニル基、rは1、2もしくは3)を表す。
17におけるアルキル基、及び、フェニル基は置換基を有していてもよい。
17におけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、−CN、−OH、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数3以上6以下のアルケニルオキシ基、−OCH2CH2CN、−CH2CH2COOR(Rは炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。)、−COOH、又は、−COOR(Rは炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。)が挙げられる。また、X17におけるアルキル基が置換基を有する場合、置換されるアルキル基の炭素数は1以上6以下であることが好ましい。
17におけるフェニル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は、炭素数1以上4以下のアルコキシ基が挙げられる。
18は水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、炭素数3以上12以下のアルケニル基、シクロヘキシル基、フェニル基、又は、炭素数7以上9以下のフェニルアルキル基を表す。
18におけるアルキル基、及び、フェニル基は置換基を有していてもよい。
18におけるアルキル基が有していてもよい置換基は、−SH、−OH、−CN、−COOR(Rは炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。)、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、−OCH2CH2CN、又は、−OCH2CH2COOR(Rは炭素数1以上4以下のアルキルを表す。)が挙げられる。
18におけるフェニル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は、炭素数1以上4以下のアルコキシ基が挙げられる。
19及びX20は互いに独立して水素原子;炭素数1以上12以下のアルキル基;炭素数2以上4以下のヒドロキシアルキル基;炭素数2以上10以下のアルコキシアルキル基;炭素数3以上5以下のアルケニル基;炭素数5以上12以下のシクロアルキル基;炭素数7以上9以下のフェニルアルキル基;フェニル基;ハロゲン原子、炭素数1以上12以下のアルキル基もしくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基により置換されたフェニル基;又は炭素数2若しくは3のアルカノイル基;又はベンゾイル基を表す。また、X19とX20とは架橋して炭素数2以上8以下のアルキレン基、又は、OH基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基もしくは−COOR(Rは炭素数1以上4以下のアルキル)基により置換された炭素数2以上8以下のアルキレン基;結合鎖中に−O−、−S−もしくは−N(X16)−を介在させた炭素数2以上8以下のアルキレン基(X16は前記と同じ)を形成してもよい。
21は炭素数1以上18以下のアルキル基;フェニル基;ナフチル基;又は、ハロゲン原子、炭素数1以上12以下のアルキル基もしくは炭素数1以上8以下のアルコキシ基によって置換されたフェニル基もしくはナフチル基を表す。
式(1)は式(d)で表されることがより好ましい。
Figure 2009184206
式(d)中、X1及びX2はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、又は、ベンジル基を表し、−NX34はジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基又は、モルフォリノ基を表し、X5は、水素原子、炭素数1以上8以下のアルキル基、炭素数1以上8以下のアルコキシ基、炭素数1以上8以下のアルキルチオ基、ジメチルアミノ基、又は、モルフォリノ基を表す。これらの中でも−NX34はジメチルアミノ基、又は、モルフォリノ基であることがより好ましい。
さらに、α−アミノアセトフェノン化合物として、上記式(1)で表される化合物の酸付加物塩を使用することもできる。
また、市販のα−アミノアセトフェノン化合物として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製からイルガキュア907(IRGACURE 907)、イルガキュア369(IRGACURE 369)、イルガキュア379(IRGACURE 379)の商品名で入手可能な重合開始剤が例示できる。
α−アミノアセトフェノン化合物として、具体的には、以下の化合物が例示できる。
例えば、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ジエチルアミノ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−(4−メチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−エチルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ブチルフェニル)−2−ジメチルアミノ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(IRGACURE 907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(IRGACURE 369)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−ジメチルアミノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォルニル)フェニル]−1−ブタノン(IRGACURE 379)などが挙げられる。
(着色剤)
本発明において、着色液体組成物は、着色剤を含有する。
本発明において用いることのできる着色剤には、特に制限はなく、用途に応じて公知の種々の顔料、染料を適宜選択して用いることができる。中でも、着色剤としては、特に耐光性に優れるとの観点から顔料であることが好ましい。
本発明に好ましく使用される顔料について述べる。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。さらに、市販の顔料分散体や表面処理された顔料、例えば、顔料を分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、あるいは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等も、本発明の効果を損なわない限りにおいて用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W. Herbst, K. Hunger, Industrial Organic Pigments、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
本発明において使用できる有機顔料及び無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等)、C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等)、C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー200(Novoperm Yellow 2HG)の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
赤あるいはマゼンタ色を呈するものとして、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン、CINQUASIA Magenta RT−355T;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
青あるいはシアン色を呈する顔料として、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3(IRGALITE BLUE GLO;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
緑色を呈する顔料として、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、C.I.ピグメントグリーン36(フタロシアニングリーン)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン8(ニトロソグリーン)等の如きアゾ金属錯体顔料等が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
黒色を呈する顔料として、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしてはSPECIAL BLACK 250(デグサ社製)が例示できる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、さらに、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。したがって、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、必要に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
着色剤の分散には、例えばビーズミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ニーダー、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル等の分散装置を用いることができる。
着色剤の分散を行う際には、界面活性剤等の分散剤を添加することができる。
また、着色剤を添加するにあたっては、必要に応じて、分散助剤として、各種着色剤に応じたシナージストを用いることも可能である。分散助剤は、着色剤100重量部に対し、1重量部以上50重量部以下添加することが好ましい。
着色剤などの諸成分の分散媒としては、溶剤を添加してもよく、また、無溶媒で、低分子量成分である前記重合性化合物を分散媒として用いてもよいが、着色液体組成物及び下塗り液体組成物は被記録媒体上に適用後、硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。これは、硬化された着色液体組成物及び下塗り液体組成物中に、溶剤が残留すると、耐溶剤性が劣化したり、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound)の問題が生じるためである。このような観点から、分散媒としては、重合性化合物を用い、中でも、最も粘度が低い重合性化合物を選択することが分散適性や液体組成物ハンドリング性向上の観点から好ましい。
ここで用いる着色剤の平均粒径は、微細なほど発色性に優れるため、0.01μm以上0.4μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.02μm以上0.2μm以下の範囲である。最大粒径は3μm以下、好ましくは1μm以下となるよう、着色剤、分散剤、分散媒の選定、分散条件、ろ過条件を設定することが好ましい。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、着色液体組成物の保存安定性、透明性及び硬化感度を維持することができる。
着色液体組成物中における着色剤の粒径は、公知の測定方法で測定することができる。具体的には遠心沈降光透過法、X線透過法、レーザー回折・散乱法、動的光散乱法により測定することができる。本発明においては、レーザー回折・散乱法を用いた測定により得られた値を採用する。
(界面活性剤)
本発明において、下塗り液体組成物及び着色液体組成物は、界面活性剤を含有することが好ましい。
本発明に使用される界面活性剤は、下記の界面活性剤が例示できる。例えば、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。具体的には、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記公知の界面活性剤として、有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8から17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
特に本発明において使用される界面活性剤は、上記界面活性剤に限定されることはなく、添加濃度に対して効率的に表面張力を低下させる能力のある添加剤であればよい。
本発明においては、被記録媒体上に目的の大きさのドットを形成する観点から、下塗り液は界面活性剤を含有することが好ましく、下記の条件(A)、(B)及び(C)の全てを満たすことが好ましい。
(A)下塗り液の表面張力は、いずれかの着色液体組成物の表面張力よりも小さい。
(B)下塗り液に含まれる界面活性剤のうち少なくとも1種類は、
γs(0)−γs(飽和)>0(mN/m)
の関係を満たす。
(C)下塗り液の表面張力は、
γs<(γs(0)+γs(飽和)最大)/2の関係を満たす。
ここで、γsは、下塗り液の表面張力の値である。γs(0)は、下塗り液の組成のうち全ての界面活性剤を除いた液の表面張力の値である。γs(飽和)は、下塗り液に含まれる界面活性剤のうち1種類の界面活性剤を前記「全ての界面活性剤を除いた液」に添加し、該界面活性剤の濃度を増加させたときに表面張力が飽和した該液の表面張力の値である。γs(飽和)最大は、下塗り液に含まれる界面活性剤のうち、前記条件(B)を満たす全ての界面活性剤に対して求めたγs(飽和)のうちの最大値である。
<条件(A)>
本発明において、前述の通り、被記録媒体上に目的の大きさのインクドット(着色液体組成物の打滴)を形成するためには、下塗り液の表面張力γsを、いずれかの着色液体組成物の表面張力γkよりも小さくすることが好ましい。
さらに、着滴から露光までの間のインクドットの拡大をより効果的に防ぐ観点から、γs<γk−3(mN/m)であることがより好ましく、γs<γk−5(mN/m)であることが特に好ましい。
また、フルカラーの画像を印字する場合は、画像の鮮鋭性を向上させる観点から、下塗り液の表面張力γsは、少なくとも視感度の高い着色剤を含有する着色液体組成物の表面張力よりも小さくすることが好ましく、全ての着色液体組成物の表面張力より小さくすることがより好ましい。なお、視感度の高い着色剤としては、マゼンタ、ブラック及びシアンの色を呈する着色剤が挙げられる。
また、着色液体組成物の表面張力γkと下塗り液の表面張力γsの値が上記の関係を満たしていても、両者の値がそれぞれ15mN/m未満であるとインクジェット打滴時に液滴の形成が困難になり不吐出が生じる場合がある。一方、50mN/mを超えると、インクジェットヘッドとの濡れ性が悪くなり不吐出の問題が生じる場合がある。したがって、吐出適正の観点から、着色液体組成物の表面張力γkと下塗り液の表面張力γsとは、それぞれ15mN/m以上50mN/m以下の範囲内であることが好ましく、18mN/m以上40mN/m以下の範囲内であることがより好ましく、20mN/m以上38mN/m以下の範囲内であることが特に好ましい。
ここで、前記表面張力は、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温20℃、60%RHにて測定した値である。
<条件(B)と条件(C)>
本発明において、被記録媒体上に目的の大きさのインクドットを形成するためには、下塗り液は少なくとも1種類以上の界面活性剤を含有することが好ましい。なお、この場合は、下塗り液に含まれる界面活性剤のうち少なくとも1種類は、下記の条件(B)を満たすことが好ましい。
γs(0)−γs(飽和)>0(mN/m) …条件(B)
さらに、下塗り液の表面張力は、下記の条件(C)の関係を満たすことが好ましい。
γs<(γs(0)+γs(飽和)最大)/2 …条件(C)
既述のように、γsは、下塗り液の表面張力の値である。また、γs(0)は、下塗り液の組成のうち全ての界面活性剤を除いた液の表面張力の値である。γs(飽和)は、下塗り液に含まれる界面活性剤のうち1種類の界面活性剤を前記「全ての界面活性剤を除いた液」に添加し、該界面活性剤の濃度を増加させたときに表面張力が飽和した該液の表面張力の値である。γs(飽和)最大は、下塗り液に含有する界面活性剤のうち、前記条件(B)を満たす全ての界面活性剤に対して求めたγs(飽和)のうちの最大値である。
なお、前記γs(0)は、下塗り液の組成のうち全ての界面活性剤を除いた液の表面張力値を測定することによって得られる。また、前記γs(飽和)は、下塗り液に含まれる界面活性剤のうち1種類の界面活性剤を前記「全ての界面活性剤を除いた液」に添加し、該界面活性剤の含有濃度を0.01質量%ずつ増加させた場合に、界面活性剤濃度の変化に対する表面張力の変化量が0.01mN/m以下になったときの該液の表面張力を測定することによって得られる。
以下、前記γs(0)、γs(飽和)、γs(飽和)最大について具体的に説明する。
例えば、下塗り液(例1)を構成する成分が、高沸点溶媒(フタル酸ジエチル、和光純薬工業(株)製)、重合性材料(ジプロピレングリコールジアクリレート、Akcros社製)、重合開始剤(TPO、下記の開始剤−1)、フッ素系界面活性剤(メガファック
F475、大日本インキ化学工業(株)製)、炭化水素系界面活性剤(スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム)とした場合、γs(0)、γs(飽和)1(フッ素系界面活性剤を添加した時)、γs(飽和)2(炭化水素系界面活性剤を添加した時)、γs(飽和)、及び、γs(飽和)最大は、下記の通りとなる。
Figure 2009184206
即ち、γs(0)は、下塗り液のうち全ての界面活性剤を除いた液の表面張力値であり、36.7mN/mとなる。また、該液に前記フッ素系界面活性剤を添加し、濃度を増加させた時の該液の表面張力の飽和値をγs(飽和)1としたとき、その値は20.2mN/mとなる。さらに、同様に該液に前記炭化水素系界面活性剤を添加し、濃度を増加させた時の該液の表面張力の飽和値をγs(飽和)2としたとき、その値は30.5mN/mとなる。
前記下塗り液(例1)は、前記条件(B)を満たす界面活性剤を2種類含有するため、γs(飽和)は、フッ素系界面活性剤を添加した時(γs(飽和)1)と炭化水素系界面活性剤を添加した時(γs(飽和)2)の2つの値をとり得る。ここでγs(飽和)最大は、前記γs(飽和)1及びγs(飽和)2のうちの最大値であることから、γs(飽和)2の値となる。
以上より、それらを纏めると下記のようになる。
γs(0)=36.7mN/m
γs(飽和)1=20.2mN/m(フッ素系界面活性剤を添加した時)
γs(飽和)2=30.5mN/m(炭化水素系界面活性剤を添加した時)
γs(飽和)最大=30.5mN/m
以上の結果から、下塗り液の表面張力γsとしては、
γs<(γs(0)+γs(飽和)最大)/2=33.6mN/m
の関係を満たすことが好ましい。
なお、前記条件(C)については、着滴から露光までの間のインク滴の拡大をより効果的に防ぐ観点から、下塗り液の表面張力としては、
γs<γs(0)−3×{γs(0)−γs(飽和)最大}/4
の関係を満たすことがより好ましく、
γs≦γs(飽和)最大
の関係を満たすことが特に好ましい。
着色液体組成物及び下塗り液は、所望の表面張力が得られるように組成を選択すればよいが、これらの液体は界面活性剤を含有することが好ましい。既述のように、被記録媒体上に目的の大きさのインクドットを形成するためには、下塗り液は少なくとも1種の界面活性剤を含有することが好ましい。
<その他添加剤>
本発明において、着色液体組成物及び下塗り液体組成物には、前記重合性化合物、重合開始剤など加え、目的に応じて種々の添加剤を併用することができる。例えば、得られる画像の耐候性向上の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。また、安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。
さらに、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤、吐出物性の制御を目的としたチオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類、下塗り液体組成物や着色液体組成物と被記録媒体(基材)との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することができる。
また、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
(着色液体組成物と下塗り液体組成物の表面張力の関係)
非記録媒体上に付与した着色液体組成物の硬化を開始するまでの間、形成された画像の滲みを長時間防止する観点から、着色液体組成物の表面張力をγAとし、下塗り液体組成物の表面張力をγBとしたとき、γAとγBとの関係は、γA>γBを満たすことが好ましく、γA−γB≧1を満たすことがさらに好ましく、γA−γB≧2を満たすことが特に好ましい。
前記表面張力は、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃にて測定される値である。
以下、本発明を、実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を表し、「%」は「重量%」を表す。
<顔料分散物の作製>
表1に示す成分を混合し、1時間スターラーで撹拌した。撹拌後の混合物をビーズミル分散にて分散し、顔料分散物を得た。分散条件は直径0.65mmのジルコニアビーズを70%の充填率で充填し、周速を9m/sとし、分散時間は、2〜4時間で行った。
Figure 2009184206
ここで、表1において使用した顔料等を以下に記載する。
・シアン顔料A:PB15:3(IRGALITE BLUE GLO;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
・マゼンタ顔料A:PV19(CINQUASIA MAGENTA RT−355D;チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
・イエロー顔料A:PY155(NOVOPERM YELLOW 4Gー01;クラリアント社製)
・カーボンブラック:SPECIAL BLACK 250(デグサ社製)
・二酸化チタン:CR60−2(石原産業(株)製)
・分散剤A:BYK−168(ビックケミー社製)
・分散剤B:ソルスパース36000(ノベオン社製)
・重合性化合物A:PEA(フェノキシエチルアクリレート;第一工業製薬(株)製)
<着色液体組成物の作製>
表2に示す成分(単位は重量部)を撹拌混合溶解し着色液体組成物を得た。なお、これらの液体組成物の表面張力を、表面張力計(協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃にて測定したところ、いずれのインク組成物(着色液体組成物)の表面張力も、24〜25mN/mの範囲内であった。
Figure 2009184206
Figure 2009184206
Figure 2009184206
Figure 2009184206
Figure 2009184206
表2〜表6で使用した各成分について以下に記載する。
・重合性化合物A:PEA(フェノキシエチルアクリレート;第一工業製薬(株)製)
・重合性化合物B:FA512AS(ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート;日立化成工業(株)製)
・重合性化合物C:DPGDA(ジプロピレングリコールジアクリレート;ダイセル・サイテック(株)製)
・重合性化合物D:A−TMPT(トリメチロールプロパントリアクリレート;新中村化学工業(株)製)
・界面活性剤A:BYK―307(ビックケミー社製、界面活性剤)
・重合禁止剤A:FIRSTCURE ST−1(Albemarle社製)
・重合開始剤A:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(アシルホスフィンオキサイド類)
・重合開始剤B:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド
・重合開始剤C:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン
・重合開始剤D:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1
・アミン化合物A:下記化合物(A−1)
・アミン化合物B:N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート
・増感剤A:下記化合物(B−1)
・増感剤B:Speedcure ITX(2−イソプロピルチオキサントンと4−イソプロピルチオキサントンの混合物;Lambson社製)
Figure 2009184206
Figure 2009184206
Figure 2009184206
Figure 2009184206
<下塗り液体組成物の作製>
表7に示す成分(単位は重量部)を撹拌混合溶解し下塗り液を得た。なお、表面張力を表面張力計(協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃にて測定したところ、表面張力は23〜24mN/mの範囲内であった。
Figure 2009184206
(画像記録装置)
調製した5色分の着色液体組成物(W1〜W5、C1〜C5、M1〜M5、Y1〜Y5、Bk1〜Bk5)は、インクジェットプリンタ(東芝テック(株)製ヘッド搭載=打滴周波数:6.2KHz、ノズル数:636、ノズル密度:300npi(ノズル/インチ、以下同様)、ドロップサイズ:6pl〜42plを7段階に可変のヘッドを2つ配列して600npi(nozzle per inch)にしたものをフルライン配列したヘッドセットを5組搭載)に装填した。
ヘッドは記録媒体搬送方向上流からホワイト、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックという順で機体に固定して、さらにホワイトインク用ヘッドの上流に下塗り液のロールコーター及び半硬化用光源を設置した。なお、ここで下塗り液としては、下塗り液(U1)を使用した。
ヘッドの直下を被記録媒体が移動可能な構造に構成すると共に、ホワイト、シアン、マゼンタ各ヘッドに対して被記録媒体の進行方向にそれぞれ半硬化用光源を配置し、イエロー及びブラックインクヘッド下流にはメタルハライドランプ(光強度3,000mW/cm2)を設置した。
印字手順は下記の通り(1)から(11)である。
(1)ロールコーターにより下塗り液(U1)を5μmの厚みに均一に付与した。
(2)下塗り液(U1)を付与後に半硬化用光源で露光を行い(光強度60mW/cm2)、付与された下塗り液(U1)を半硬化状態にした。
(3)ホワイトヘッドによって、前記下塗り液が付与された被記録媒体上にホワイト着色液を付与してホワイト画像を形成した。
(4)半硬化用光源にて露光を行い(光強度60mW/cm2)、ホワイトインクを半硬化状態にした。
(5)シアンヘッドによって、被記録媒体上にシアンインクを付与してシアン画像を形成した。
(6)半硬化用光源にて露光を行い(光強度60mW/cm2)、シアンインクを半硬化状態にした。
(7)マゼンタヘッドによって、被記録媒体上にマゼンタインクを付与してマゼンタ画像を形成した。
(8)半硬化用光源にて露光を行い(光強度60mW/cm2)、マゼンタインクを半硬化状態にした。
(9)イエローヘッドによって、被記録媒体上にイエローインクを付与してイエロー画像を形成した。
(10)ブラックヘッドによって、被記録媒体上にブラックインク(Bk1)を付与してブラック画像を形成した。
(11)メタルハライドランプにて露光を行い(光強度3,000mW/cm2)、画像を完全に硬化させた。
なお、ここで非記録媒体の搬送速度は50〜400mm/s、1ドットあたりのインク液の液量は約12ピコリットルとした。2次色(例えば、シアンとマゼンタ)の画像を形成する場合は、上記手順にて(3)、(9)及び(10)を省略した。1次色(例えば、イエロー)の画像を形成する場合は、上記手順にて(3)、(5)、(7)及び(10)を省略した。
なお、半硬化用光源としては、LED光源を使用した。LEDとしては日亜化学工業(株)製NCCU033を用いた。本LEDは1チップから波長365nmを中心とした340nm以上400nm以下の波長の紫外光を出力するものであって、約500mAの電流を通電することにより、チップから約100mWの光が発光される。これを7mm間隔に複数個配列し、被記録媒体表面での露光強度は、光が約60mW/cm2となるように、電流及び光源と被記録媒体の距離を調節した。
被記録媒体の搬送はロール搬送とし、記録媒体上には600dpi×600dpiの画像を形成した。なお、ここで被記録媒体はプラスチックフィルムA(透明PET)、プラスチックフィルムB(白色PVC)、プラスチックフィルムC(アルミ蒸着PET)を使用した。
各プラスチックフィルムに対する着色液体組成物の接触角を調べたところ、プラスチックフィルムA及びプラスチックフィルムCに対してはいずれのインク組成物(着色液体組成物)も10〜15°の範囲であり、プラスチックフィルムBに対しては27.5〜32.5°の範囲であった。ここで、接触角の測定は協和界面科学(株)製の接触角計(DropMaster−700)を用い、液滴法にて測定した。なお、ここで示す接触角の値は着滴後1,000ミリ秒後の値である。
(実施例1)
上記の実験機の各色インクジェット記録ヘッドに、インクセット1のインクを充填し、幾つかの画像を印刷した。なお、印刷速度を50〜400mm/秒の間で変更した。用いた画像と使用した基材は、表8に示す通りである。
文字画像Aは文字「Fuji」(Times New Roman、30pt、20pt、10pt、5pt)をブラックインクで600×600dpi(dot per inch)の打滴密度で印字する画像である。
ベタ画像Cは、シアン1次色のベタ画像であり600×600dpiの打滴密度で印字する画像である。同様に、ベタ画像Mはマゼンタ1次色、ベタ画像Yはイエロー1次色の画像である。
ベタ画像CWは、600×600dpiの打滴密度のホワイトベタ画像の上層に、600×600dpiの打滴密度のシアンベタ画像を印字する1次色画像である。同様に、ベタ画像MW、ベタ画像YWは、600×600dpiの打滴密度のホワイトベタ画像の上層に、600×600dpiの打滴密度のマゼンタ及びイエローのベタ画像を印字する1次色画像である。
ベタ画像MCは、600×600dpiの打滴密度のマゼンタベタ画像の上層に、600×600dpiの打滴密度のシアンベタ画像を印字する2次色画像である。同様に、ベタ画像YM、及び、ベタ画像YCは、600×600dpiの打滴密度のマゼンタ、又は、シアンベタ画像の上層に、600×600dpiの打滴密度のイエローのベタ画像を印字する2次色画像である。
ベタ画像MCWは、600×600dpiの打滴密度ホワイトベタ画像の上層に、600×600dpiの打滴密度のシアンベタ画像、及び、マゼンタ画像を印字する2次色画像である。同様に、ベタ画像YMW、及び、ベタ画像YCWは、600×600dpiの打滴密度のホワイトベタ画像の上層に、600×600dpiの打滴密度のマゼンタとイエローのベタ画像、及び、シアンとイエローのベタ画像を印字する2次色画像である。
(実施例2、3、比較例4、5)
表8に記載するように、着色液体組成物と透明液体組成物を入れ替えた以外は、実施例1と同様にして、印刷を実施した。なお、実施例3では下塗り液を使用せず、被記録媒体に直接印刷を実施した。
Figure 2009184206
(半硬化状態の確認:転写量の測定)
実施例1〜3及び比較例4、5のいずれにおいても、工程(3)、(5)、(7)、(9)、(10)で付与する単位面積当たりの着色液の最大付与量(重量)は、各色着色液とも0.74mg/cm2〜0.87mg/cm2の範囲内であった。
工程(2)、(4)、(6)、(8)における半硬化用光源での露光後でサンプルを抜き取り、転写試験によって転写する下塗り液及びインク液の重量を測定した結果を表9に示す。なお、50〜400mm/secの範囲で印刷速度を変更した。
なお、転写試験は非浸透媒体として普通紙(富士ゼロックス(株)製コピー用紙C2、商品コードV436)を用いて実施した。抜き取った被記録媒体上の半硬化状態の下塗り液又は半硬化状態の着色液に、均一な力(500〜1,000mN/cm2)で普通紙を押し付け、約1分間静置した。その後、静かに普通紙を剥がし、転写試験前後の普通紙の重量を測定し、下塗り液又は着色液を形成した面積で除することによって、求めた。
Figure 2009184206
Figure 2009184206
Figure 2009184206
Figure 2009184206
Figure 2009184206
表9〜表13の評価指標は以下の通りである。
不足(半硬化不足):下塗り液層の単位面積当たりの転写量(重量)M(下塗り液)と単位面積当たりに吐出するインクの最大重量m(着色液)の関係は、
〔M(下塗り液)〕>〔m(着色液)/5〕
であった。もしくは、半硬化したインクの未硬化部の単位面積当たりの重量M(着色液A)とその直後で付与するインクの単位面積当たりの最大重量m(着色液B)の関係は、
〔M(着色液A)〕>〔m(着色液B)/5〕
を満たしていた。
良好(半硬化良好):下塗り液層の単位面積当たりの転写量(重量)M(下塗り液)と単位面積当たりに吐出するインクの最大重量m(着色液)の関係は、
〔m(着色液)/10〕≦〔M(下塗り液)〕≦〔m(着色液)/5〕
を満たしていた。もしくは、半硬化したインクの未硬化部の単位面積当たりの重量M(着色液A)とその直後で付与するインクの単位面積当たりの最大重量m(着色液B)の関係は、
〔m(着色液B)/10〕≦〔M(着色液A)〕≦〔m(着色液B)/5〕
を満たしていた。
過剰(半硬化過剰):下塗り液層の単位面積当たりの転写量(重量)M(下塗り液)と単位面積当たりに吐出するインクの最大重量m(着色液)の関係は、
〔m(着色液)/10〕>〔M(下塗り液)〕
であった。もしくは、半硬化したインクの未硬化部の単位面積当たりの重量M(着色液A)とその直後で付与するインクの単位面積当たりの最大重量m(着色液B)の関係は、
〔m(着色液B)/10〕>〔M(着色液A)〕
であった。
(印刷物の評価結果)
表14に示す通り、印刷画像の精細性(文字の視認性)と印刷速度(十分な画像濃度が得られる印刷速度)を評価した。
−印刷画像の精細性(評価プリント画像:文字画像A)−
官能評価によって、文字がはっきり視認できる文字サイズを表14に示した。
ここに示す文字サイズが小さい方が好ましい。
−印刷速度(評価プリント画像:ベタ画像)−
印刷速度を400mm/sec、300mm/sec、200mm/sec、100mm/sec、50mm/secと変えて、印刷物を作製した。それぞれの印刷速度での画像濃度をグレタグ社製SPM100−IIにて測定した(下地に白色コートを置いて測定した)。各印刷物で表15に示す好ましい反射濃度が得られた印刷速度を表14に記入した。ここに示す印刷速度は大きい方が好ましい。
Figure 2009184206
ここで、表14中のNGは、打滴干渉が発生し均一なベタ画像がえられなかったことを示す。
半硬化露光にて半硬化状態を形成するインク(ホワイト、シアン、マゼンタ)にアミン化合物を添加することによって、より低エネルギーでの半硬化状態形成が可能になり、印刷速度のアップができた(実施例1、2、3)。とくに半硬化用光源の発光波長の365nm付近の隠蔽性の高いホワイトインクの入る組合せでは大きな効果が見られた(アミン化合物を使用しない場合は50mm/secでの印刷速度に対し、使用すると400mm/secでの印刷速度が可能であった)。
また、比較例5に示す通り、硬化性の高い開始剤(開始剤D)を添加すると一部のプリント物(例えばベタ画像CW)では、400mm/secでの印刷が可能であった。しかしながら、半硬化露光が2回以上実施される組合せ(例えばベタ画像YMW)では、3回の露光によって表面硬化が進行し、打滴干渉が発生することが分かった。このことから、硬化性をコントロールする幾つかの手段の中でも、アミン化合物の添加は、本発明のプロセスに特に有効であると考えられる。そのメカニズムは詳細には分かっていないが、酸素濃度の高い表層と比較して、酸素濃度の低い膜内部の方がアミン化合物の酸素重合阻害の低減の効果が大きいことに起因していると考えている。
さらに下塗り液を使用することによって、インクの濡れ性の悪い被記録媒体(プラスチックフィルムB)に対しても印刷速度のアップが可能になり、さらに、濡れ性の良い被記録媒体(プラスチックフィルムA及びC)でも精細な文字の印字が可能になった。
Figure 2009184206
本発明に好適に使用できるインクジェット記録装置の概念図の一例である。 半硬化状態の下塗り液層上に着色液を打滴して得られた印刷物の一実施態様を示す断面模式図である。 未硬化状態の下塗り液層上に着色液を打滴して得られた印刷物の一実施態様を示す断面模式図である。 未硬化状態の下塗り液層上に着色液を打滴して得られた印刷物の他の一実施態様を示す断面模式図である。 完全硬化状態の下塗り液層上に着色液を打滴して得られた印刷物の一実施態様を示す断面模式図である。 半硬化状態の着色液A上に着色液Bを打滴して得られた印刷物の一実施態様を示す断面模式図である。 未硬化状態の着色液A上に着色液Bを打滴して得られた印刷物の一実施態様を示す断面模式図である。 未硬化状態の着色液A上に着色液Bを打滴して得られた印刷物の他の一実施態様を示す断面模式図である。 完全硬化状態の着色液A上に着色液Bを打滴して得られた印刷物の一実施態様を示す断面模式図である。 2次色画像の断面図の例である。
符号の説明
1 下塗り液を付与する手段
2 下塗り液を半硬化させる手段
3W、3C、3M、3Y、3K インクジェット記録ヘッド
4W、4C、4M、4Y、4K 着色液体組成物を半硬化させる手段
5 フルカラーの画像を完全に硬化させる手段
6 被記録媒体
7A、7B 被記録媒体搬送手段
10 画像
12 着色液硬化物
14 半硬化状態の下塗り液層に着色液を付与された下塗り層
16 基材
18 未硬化状態の下塗り液層に着色液を付与された下塗り層
20 完全硬化状態の下塗り液層に着色液を付与された下塗り層
22 着色液B硬化物
24 半硬化状態の着色液Aに着色液Bを付与されて得られた着色液A硬化物
26 未硬化状態の着色液Aに着色液Bを付与されて得られた着色液A硬化物
28 完全硬化状態の着色液Aに着色液Bを付与されて得られた着色液A硬化物
30 先打滴のインク液層
32 後打滴のインク液層
34 独立した後打滴のインク液滴

Claims (9)

  1. 被記録媒体上に組成物Aを付与する工程と、
    前記組成物Aを半硬化させる工程と、
    半硬化された前記組成物A上に組成物Bを吐出する工程とをこの順で有し、
    前記組成物Aがアミン化合物を含有することを特徴とする
    インクジェット記録方法。
  2. 組成物Aを付与する工程の前に、被記録媒体上に下塗り液体組成物を付与する工程を有する、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 組成物Aを付与する工程の前に、被記録媒体上に下塗り液体組成物を付与する工程と、該下塗り液体組成物を半硬化させる工程とを有する、請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 組成物Aを半硬化させる工程が、ピーク波長が340〜400nmである紫外光を照射する工程である、請求項1〜3いずれか1つに記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記アミン化合物が分子内にエチレン性不飽和結合を有する化合物である、請求項1〜4いずれか1つに記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記アミン化合物が分子内にエチレン性不飽和結合及び環状アミン構造を有する化合物である、請求項1〜5いずれか1つに記載のインクジェット記録方法。
  7. 組成物Aが下記式(I)で表される化合物を含有する、請求項1〜6いずれか1つに記載のインクジェット記録方法。
    Figure 2009184206
    前記式(I)において、XはO、S、又は、NRを表す。nは0又は1を表す。Rは水素原子、アルキル基、又はアシル基を表す。R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8はそれぞれ独立に水素原子、又は一価の置換基を表す。R1、R2、R3、及び、R4は、それぞれ隣接する2つが互いに連結して環を形成していてもよい。
  8. 組成物Aが光重合開始剤として、アシルホスフィンオキサイド化合物、及び/又は、α−アミノアセトフェノン化合物を含有する、請求項1〜7いずれか1つに記載のインクジェット記録方法。
  9. 組成物A及び/又は組成物Bが着色液体組成物である、請求項1〜8いずれか1つに記載のインクジェット記録方法。
JP2008025742A 2008-02-05 2008-02-05 インクジェット記録方法 Pending JP2009184206A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008025742A JP2009184206A (ja) 2008-02-05 2008-02-05 インクジェット記録方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008025742A JP2009184206A (ja) 2008-02-05 2008-02-05 インクジェット記録方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009184206A true JP2009184206A (ja) 2009-08-20

Family

ID=41067974

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008025742A Pending JP2009184206A (ja) 2008-02-05 2008-02-05 インクジェット記録方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009184206A (ja)

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010185158A (ja) * 2009-02-13 2010-08-26 Shinshu Univ 光触媒を担持した繊維製品およびその製造方法
JP2012045908A (ja) * 2010-08-30 2012-03-08 Seiko Epson Corp 画像形成装置、及び、画像形成方法
JP2012140615A (ja) * 2010-12-17 2012-07-26 Hitachi Maxell Ltd インクジェット記録用プライマー
JP2013059974A (ja) * 2011-09-15 2013-04-04 Seiko Epson Corp 転写媒体及びその製造方法、並びに転写物
JP2013059973A (ja) * 2011-09-15 2013-04-04 Seiko Epson Corp 転写媒体、及びその製造方法、並びに転写物
JP2013095078A (ja) * 2011-11-02 2013-05-20 Seiko Epson Corp インクジェット記録方法
JP2013146895A (ja) * 2012-01-18 2013-08-01 Fujifilm Corp インクジェット記録方法
WO2013146235A1 (ja) * 2012-03-27 2013-10-03 株式会社ミマキエンジニアリング 印刷方法及び印刷装置
JP2016199044A (ja) * 2016-07-06 2016-12-01 セイコーエプソン株式会社 インクジェット記録方法
WO2018142819A1 (ja) * 2017-01-31 2018-08-09 富士フイルム株式会社 インクジェット記録方法、及び、ラミネート印刷物の製造方法
US10399363B2 (en) 2016-06-30 2019-09-03 Ricoh Company, Ltd. Print method, ink set, and inkjet print device
JP2021017033A (ja) * 2019-07-23 2021-02-15 株式会社リコー 印刷物の製造方法及び印刷物の製造装置、並びに印刷物
WO2021199794A1 (ja) * 2020-03-31 2021-10-07 東洋製罐株式会社 印刷物の製造方法、印刷装置及び印刷缶

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010185158A (ja) * 2009-02-13 2010-08-26 Shinshu Univ 光触媒を担持した繊維製品およびその製造方法
JP2012045908A (ja) * 2010-08-30 2012-03-08 Seiko Epson Corp 画像形成装置、及び、画像形成方法
JP2012140615A (ja) * 2010-12-17 2012-07-26 Hitachi Maxell Ltd インクジェット記録用プライマー
JP2013059974A (ja) * 2011-09-15 2013-04-04 Seiko Epson Corp 転写媒体及びその製造方法、並びに転写物
JP2013059973A (ja) * 2011-09-15 2013-04-04 Seiko Epson Corp 転写媒体、及びその製造方法、並びに転写物
JP2013095078A (ja) * 2011-11-02 2013-05-20 Seiko Epson Corp インクジェット記録方法
JP2013146895A (ja) * 2012-01-18 2013-08-01 Fujifilm Corp インクジェット記録方法
CN104203587A (zh) * 2012-03-27 2014-12-10 株式会社御牧工程 印刷方法及印刷装置
WO2013146235A1 (ja) * 2012-03-27 2013-10-03 株式会社ミマキエンジニアリング 印刷方法及び印刷装置
US9254687B2 (en) 2012-03-27 2016-02-09 Mimaki Engineering Co., Ltd. Printing method and printing device
US10399363B2 (en) 2016-06-30 2019-09-03 Ricoh Company, Ltd. Print method, ink set, and inkjet print device
JP2016199044A (ja) * 2016-07-06 2016-12-01 セイコーエプソン株式会社 インクジェット記録方法
WO2018142819A1 (ja) * 2017-01-31 2018-08-09 富士フイルム株式会社 インクジェット記録方法、及び、ラミネート印刷物の製造方法
JPWO2018142819A1 (ja) * 2017-01-31 2019-11-07 富士フイルム株式会社 インクジェット記録方法、及び、ラミネート印刷物の製造方法
US11331940B2 (en) 2017-01-31 2022-05-17 Fujifilm Corporation Ink jet recording method and method for manufacturing laminated printed matter
JP2021017033A (ja) * 2019-07-23 2021-02-15 株式会社リコー 印刷物の製造方法及び印刷物の製造装置、並びに印刷物
WO2021199794A1 (ja) * 2020-03-31 2021-10-07 東洋製罐株式会社 印刷物の製造方法、印刷装置及び印刷缶

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5457636B2 (ja) 光硬化性組成物、光硬化性インク組成物、光硬化物の製造方法、及び、インクジェット記録方法
JP4601009B2 (ja) インクジェット記録用インクセット及びインクジェット記録方法
JP2009184206A (ja) インクジェット記録方法
EP2832804B1 (en) Active ray-curable inkjet ink composition, inkjet recording method, and printed matter
JP5228034B2 (ja) インクジェット記録用インクセット、インクジェット記録方法及び印刷物
JP5687964B2 (ja) インクジェットインク組成物、インクジェット記録方法、及び、印刷物
JP5148235B2 (ja) インク組成物
EP2832805B1 (en) Inkjet ink composition, inkjet recording method, and printed matter
JP5240799B2 (ja) インクセット、インクジェット記録方法、及び、インクジェット記録装置
JP5563921B2 (ja) インクジェット記録用インクセット、インクジェット記録方法、及び、印刷物
JP2012140493A (ja) インク組成物、インクジェット記録方法、及び、印刷物
JP5483726B2 (ja) インクジェット記録方法
JP2010229284A (ja) 光硬化性組成物
JP5227528B2 (ja) インクジェット記録用インクセット及びインクジェット記録方法
JP2009083272A (ja) 下塗り液、インクジェット記録用インクセット及びインクジェット記録方法
JP2010012629A (ja) インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及び印刷物
JP7064091B1 (ja) 紫外線硬化型インクジェットインキ
JP2010229283A (ja) インクジェット記録用インク組成物
JP5683910B2 (ja) インク組成物、インクセットおよび画像形成方法
JP6318111B2 (ja) 光重合開始剤、及びそれを用いた、インク組成物、インクセット及び画像形成方法
JP2009221419A (ja) インクジェット記録用インクセット及びインクジェット記録方法
JP2012025912A (ja) インクジェットインク組成物、及び、インクジェット記録方法
JP2013227448A (ja) インクジェットインク組成物、インクジェット記録方法、及び、印刷物