JP2009179105A - 空気入りランフラットタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カーカスを1枚のカーカスプライ24で構成し、折返し部24Bの端部をタイヤサイド部14に配置する。カーカスコードをレーヨンコードの3本撚りとし、サイド補強ゴム層30の最大厚さT1を、タイヤサイド部14の厚さT0の30〜40%の範囲内に設定することで、比較的軽量な車両に用いた場合に、ランフラット耐久性を確保しながら乗り心地の向上を図ることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、比較的軽量な車両に用いた場合に、ランフラット耐久性を確保しつつ乗り心地の悪化を抑えることのできる空気入りランフラットタイヤを提供することが目的である。
請求項1に記載の空気入りランフラットタイヤでは、カーカスプライが1枚であるが、カーカスコードをレーヨンコードの3本撚りとし、サイド補強ゴム層の最大厚さT1を、タイヤサイド部の厚さT0の30〜40%の範囲内に設定することで、比較的軽量な車両(例えば、車重950kg以下)に用いた場合に、ランフラット耐久性を確保しながら乗り心地の向上を図ることができる。
カーカスプライの折返し端を、ベルト層の端部とビードフィラーのタイヤ径方向外側端との間であるタイヤサイド部に配置したことで、プライ端をベルト層にオーバーラップさせた従来品に比較して軽量で乗り心地を向上させることができる。
また、レーヨンコードは発熱が少ないため、ランフラット走行に好適である。
ここで、サイド補強ゴム層の最大厚さT1が、タイヤサイド部の厚さT0の30%未満では、ランフラット耐久性が不十分となる。一方、サイド補強ゴム層の最大厚さT1が、タイヤサイド部の厚さT0の40%を超えると、乗り心地の悪化を招く。
レーヨンコードの3本撚りとされたカーカスコードを含む本発明のカーカスプライは、2本撚りのカーカスコードを含むカーカスプライに比較してゲージが厚いため、カーカス端での歪みが、2本撚りのカーカスコードを含むカーカスプライ対比で大きくなる。このため、請求項2に記載の空気入りランフラットタイヤでは、カーカスプライの本体部と折返し部との間のゴムゲージを、カーカスコードの直径の1.0〜1.5倍の範囲内に設定した重なり領域を折返し部の端部側に設けることで該歪みを抑えることができる。これにより、カーカスの折返し部の端部からのセパレーションの発生を抑えることができる。
一方、重なり領域におけるカーカスプライの本体部と折返し部との間のゴムゲージが、カーカスコードの直径の1.5倍を超えると、ゴムの体積が増えすぎて発熱耐久性が悪化することが懸念される。
2枚のベルトプライから構成されたベルト層は、ランフラット走行時にバックリングしてベルト折れが懸念される。このため、ベルト層のタイヤ径方向外側に、ベルト層の全体を覆うように複数本のナイロンコードを含むベルト補強層が配設することで、バックリングを抑制することができる。
また、片撚りコードは、相撚りコードに比較して面外剛性を抑えて乗り心地性能の悪化を抑制しつつ、コード折れに対する耐久性を向上させることができる。
請求項2に記載の空気入りランフラットタイヤは上記の構成としたので、カーカスの折返し端からのセパレーションの発生を抑えることができる、という優れた効果を有する。
また、請求項3に記載の空気入りランフラットタイヤは上記の構成としたので、ベルトのコード折れに対する耐久性を向上させることができる、という優れた効果を有する。
図1に示すように、本実施形態の空気入りランフラットタイヤ10は、軽乗用車用であり、一対のビード部12と、一対のタイヤサイド部14と、両タイヤサイド部14に連なるトレッド部16とを有し、一対のビード部12内に埋設したビードコア18相互間をトロイド状に跨るカーカス20と、カーカス20の外周でトレッド部16を強化するベルト22とを有する。
そして、折返し部24Bは、端部分がタイヤサイド部14に位置している。
さらに、カーカスプライ24におけるカーカスコードの打ち込み数は、40〜60本/5cmとすることが好ましい。
また、重なり領域SAでは、図2に示すように、本体部24Aと折返し部24Bとの間のゴムゲージGを、カーカスコード23の直径の1.0〜1.5倍の範囲内に設定することが好ましい。なお、図2において、符号25はカーカスコード23を被覆しているコーティングゴムである。
ベルト22のタイヤ径方向外側にはトレッド部16を形成するトレッドゴム層34が配置されている。
カーカス20のタイヤ軸方向外側にはタイヤサイド部14を形成するサイドゴム層36が配置されている。
カーカスプライ24の本体部24Aと折返し部24Bとの間には、サイドゴム層36よりも硬質のゴムからなり、ビードコア18の外周面からタイヤ径方向外側に向けて先細り状に延びるビードフィラー28が配置されている。
さらに、ビード部12には、ビードトゥを形成するゴムチェーファー40が配置されており、ゴムチェーファー40の外面はカバーゴム42で覆われている。
空気入りランフラットタイヤ10の内面には、空気不透過性に優れるインナーライナー33が設けられている。
サイド補強ゴム層30は、仮にタイヤ内圧が零になったとしても、走行中の車両総重量を安定して支持し、空気入りランフラットタイヤ10を装着するリム32からの離脱を防止し、空気入りランフラットタイヤ10の破壊を阻止するために、サイドゴム層36よりも硬質のゴムにより構成されている。
軽乗用車用タイヤの場合、サイド補強ゴム層30は、ゴム硬度を90〜100(JIS A)の範囲内、最大厚さT1を4〜6mmの範囲内に設定することが好ましい。本実施形態のサイド補強ゴム層30は、硬度が98°(加硫後)、最大厚みが5mmである。
本実施形態の空気入りランフラットタイヤ10では、カーカスプライ24が1枚であるが、カーカスコードが発熱の少ないレーヨンコードの3本撚りとし、サイド補強ゴム層30の最大厚さT1を、タイヤサイド部14の厚さT0の30〜40%の範囲内に設定しているので、軽乗用車等の軽量な車両に用いた場合においても、ランフラット耐久性を確保しながら乗り心地の向上を図ることができる。
カーカスプライ24の折返し端をタイヤサイド部14に配置しているので、折返し端をベルト層にオーバーラップさせた従来品に比較して軽量で乗り心地を向上させることができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る空気入りランフラットタイヤ10を図3にしたがって説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図3に示すように、本実施形態の空気入りランフラットタイヤ10では、ベルト22のタイヤ径方向外側に、ベルト22全体を覆う様に有機繊維コード層44が設けられている。本実施形態の有機繊維コード層44は複数本のナイロンコードを互いに平行に並べてコーティングゴムで被覆したものである。
本実施形態のナイロンコードは、ナイロンフィラメントを束ねて下撚りのみを施した片撚りコードである。なお、本実施形態では、1400dtex/2のナイロンコードを用いているがこれに限るものでは無い。
本発明の効果を確かめるために、従来例の空気入りランフラットタイヤ、比較例の空気入りランフラットタイヤ、及び本発明の適用された実施例の空気入りランフラットタイヤを用意し、タイヤ重量、及びカーカス破断荷重を調べた。
実施例1:上述した第1の実施形態のタイヤ(カーカスプライのコードのコード繊度が1840dtex/3)であり、折返し端がタイヤサイド部に配置されている。
実施例2:上述した第2の実施例のタイヤ(実施例1+ベルト補強層)である。
比較例:カーカスプライのコードのコード繊度を1840dtex/2としている以外は実施例と同様の構成。
タイヤのサイズは何れも155/65RF14である。また、その他の諸元は以下の表1,2に記載した通りである。
・ランフラット耐久性:供試タイヤを4.5J×14のリムに組み、内圧0kPa、ドラム試験機にて荷重255kg、雰囲気温度38±3°Cとし速度80km/hに加速した時点からタイヤ内部で故障が起こり、振動レベルが一気に上昇するまでの走行時間を評価した。本サイズにおいて確保すべき走行時間を100として指数表示した。指数の数値が大きいほどランフラット耐久性が良好であることを示している。
・乗り心地:供試タイヤを車両に装着して、比較例をコントロールとしてテストドライバーのフィーリングで比較例を100として指数表示した。指数の数値が大きいほど乗り心地が良いことを示している。
・バックリング:供試タイヤを4.5J×14のリムに組み、内圧0kPa、荷重265kgで平板に押し付けた状態をCTスキャンで撮影し、タイヤの幅方向中心において接地面から踏面までの距離を測定。測定値の逆数を指数表示した。結果は、比較例の値を100とし、指数の数値が大きいほどバックリングが少ないことを示している。
・折返し端の耐セパレーション性能:供試タイヤを4.5×14のリムに組み、内圧300kPaでドラム試験機にて荷重775kg、雰囲気温度38°Cとし、速度60km/hで走行させ、故障発生までの時間を評価した。本サイズとして確保すべき走行時間を100として指数表記した。指数の数値が大きいほど耐セパレーションせいが良好であることを示している。
試験結果は、以下の表1,2に記載した通りである。
また、比較例は、ランフラット耐久性が必要以上あるが、実施例に比較して乗り心地が悪いことが分かる。
12 ビード部
14 タイヤサイド部
16 トレッド部
18 ビードコア
20 カーカス
22 ベルト
24 カーカスプライ
24A 本体部
24B 折返し部
SA 重なり領域
26 ベルトプライ
28 ビードフィラー
30 サイド補強ゴム層
34 トレッドゴム層
36 サイドゴム層
Claims (3)
- 一対のビードコアと、
ベルト層と、
一方のビードコアから他方のビードコアへトロイド状に跨り、端部分が前記ビードコアをタイヤ内側からタイヤ径方向外側へ折り返され、レーヨンコードの3本撚りとされた複数本のカーカスコードを互いに平行に配列してゴム被覆した1枚のカーカスプライと、
一方のビードコアから他方のビードコアへ至る前記カーカスプライの本体部と、前記カーカスプライの折返し部との間に配置され、前記ビードコアからタイヤ径方向外側へ向けて厚さを漸減させながら延びるビードフィラーと、
前記カーカスプライのタイヤ軸方向内側に配置され、ビード部側、及びトレッド部側に向けて厚さが漸減するサイド補強ゴム層と、
を備え、
前記カーカスプライの折返し端が、前記ベルト層の端部と前記ビードフィラーのタイヤ径方向外側端との間であるタイヤサイド部に位置し、
前記サイド補強ゴム層の最大厚さT1が、前記サイド補強ゴム層の最大厚さ部分で計測する前記タイヤサイド部の厚さT0の30〜40%の範囲内に設定されている、ことを特徴とする空気入りランフラットタイヤ。 - 前記カーカスプライの本体部と折返し部との間のゴムゲージが、前記カーカスコードの直径の1.0〜1.5倍の範囲内に設定されている重なり領域を、前記折返し部の端部側に設けている、ことを特徴とする請求項1に記載の空気入りランフラットタイヤ。
- 前記ベルト層は、2枚のベルトプライから構成され、
前記ベルト層のタイヤ径方向外側には、前記ベルト層の全体を覆うように複数本のナイロンコードを含むベルト補強層が配設されており、
前記ナイロンコードが、ナイロンフィラメントを束ねて下撚りのみを施した片撚りコードである、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気入りランフラットタイヤ。
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