JP2009178673A - 排ガス浄化装置 - Google Patents

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Tomoyuki Kayama
智之 香山
Yuji Sakakibara
雄二 榊原
Nobuyuki Takagi
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Abstract

【課題】内燃機関から排出される排ガス中の粒子状物質を低温の温度領域で効率的に酸化することができ、硫黄被毒後においても排ガス中に含まれる一酸化炭素(CO)を利用した再生処理を施すことで酸化活性を十分に再生させることが可能な排ガス浄化装置を提供すること。
【解決手段】排ガス中に含有される粒子状物質を酸化して除去する排ガス浄化装置であって、
セリア、チタニア及びジルコニアからなる群から選択される少なくとも1種を含有する触媒担体並びに該触媒担体に担持された貴金属を備えるCOシフト反応用触媒と、銀を含有する粒子状物質浄化用触媒とを備え、且つ、
前記排ガスが流通するガス流路の上流側に前記COシフト反応用触媒が配置され、前記ガス流路の下流側に前記粒子状物質浄化用触媒が配置されていること、
を特徴とする排ガス浄化装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、排ガス浄化装置に関し、より詳しくは、排ガス中に含有される粒子状物質を酸化して除去する排ガス浄化装置に関する。
ガソリンエンジンについては、排気の厳しい規制とそれに対処できる技術の進歩とにより、排気中の有害成分は確実に減少している。しかし、ディーゼルエンジンについては、PM(粒子状物質:パティキュレート マター)が含まれていることから、排気浄化のための技術的課題が多く残されている。そこで、近年では、PM、なかでもスート成分を低温から酸化して除去することが可能な排ガス浄化装置の開発が行われてきた。
例えば、特開2004−42021号公報(特許文献1)においては、銀(Ag)及び/又はコバルト(Co)で安定化されたセリア(CeO)を5〜90mol%の範囲のAg当量で有する白金族金属非含有触媒が開示されている。また、特開2006−177346号公報(特許文献2)においては、内燃機関から排出される粒子状物質を捕集可能な基材と、前記基材に含まれ又は前記基材上に存在する、酸性化合物を吸着する酸性化合物吸着手段と、前記酸性化合物吸着手段に吸着した酸性化合物を脱離させる酸性化合物脱離手段とからなり、前記酸性化合物吸着手段がCeとAgを含む組成物である排ガス浄化装置が開示されている。
しかしながら、特許文献1〜2に記載のような従来の排ガス浄化装置においては、硫黄成分に被毒された場合に排ガス中に含まれる一酸化炭素(CO:還元性ガス)を利用した再生処理を施しても粒子状物質の酸化活性を必ずしも十分に回復させることができなかった。
特開2004−42021号公報 特開2006−177346号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、内燃機関から排出される排ガス中の粒子状物質を低温の温度領域で効率的に酸化することができ、硫黄被毒後においても排ガス中に含まれる一酸化炭素(CO)を利用した再生処理を施すことで酸化活性を十分に再生させることが可能な排ガス浄化装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、セリア、チタニア及びジルコニアからなる群から選択される少なくとも1種を含有する触媒担体並びに該触媒担体に担持された貴金属を備えるCOシフト反応用触媒と、銀を含有する粒子状物質浄化用触媒とを用い、且つ、記排ガスが流通するガス流路の上流側に前記COシフト反応用触媒を配置し、前記ガス流路の下流側に前記粒子状物質浄化用触媒を配置した排ガス浄化装置により、内燃機関から排出される排ガス中の粒子状物質を低温の温度領域で効率的に酸化することができ、硫黄被毒後においても排ガス中に含まれる一酸化炭素(CO:還元性ガス)を利用した再生処理を施すことで酸化活性を十分に再生させることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の排ガス浄化装置は、排ガス中に含有される粒子状物質を酸化して除去する排ガス浄化装置であって、
セリア、チタニア及びジルコニアからなる群から選択される少なくとも1種を含有する触媒担体並びに該触媒担体に担持された貴金属を備えるCOシフト反応用触媒と、銀を含有する粒子状物質浄化用触媒とを備え、且つ、
前記排ガスが流通するガス流路の上流側に前記COシフト反応用触媒が配置され、前記ガス流路の下流側に前記粒子状物質浄化用触媒が配置されていること、
を特徴とするものである。
上記本発明の排ガス浄化装置においては、前記粒子状物質浄化用触媒が、核となる銀粒子と、前記銀粒子の周囲を覆っている平均一次粒径が1〜100nmのセリア微粒子とからなる凝集体を備えることが好ましい。なお、ここにいう「セリア微粒子」とは、CeO又はCeを含む複合酸化物からなる金属酸化物微粒子をいう。
また、上記本発明の排ガス浄化装置においては、前記粒子状物質浄化用触媒が、基材と、前記凝集体とを備えることがより好ましく、前記基材が1〜300μmの細孔を有するものであり且つ前記細孔内に前記凝集体の平均粒径の0.5〜50倍の平均厚さを有するコート層が前記凝集体により形成されていることが更に好ましい。
また、上記本発明の排ガス浄化装置においては、前記基材の気孔率が30〜70%であることが好ましい。
さらに、上記本発明の排ガス浄化装置においては、前記触媒担体がセリアを含有することが好ましく、セリアとアルミナとがnmスケールで分散している混合物を含有することがより好ましい。
なお、本発明の排ガス浄化装置によって内燃機関から排出される排ガス中の粒子状物質を低温の温度領域で効率的に酸化することができ、硫黄被毒後においても排ガス中に含まれる一酸化炭素(CO:還元性ガス)を利用した再生処理を施すことで酸化活性を十分に再生させることが可能となる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明においては、銀(Ag)を含有する粒子状物質浄化用触媒を備えている。このような粒子状物質浄化用触媒によりPMを酸化する機構は以下のような機構であると推察される。すなわち、先ず、Agにより比較的低温でも含酸素物質から酸素が遊離される。次に、遊離されて生成した活性酸素種(O:例えば酸素イオン)がPMの表面に移動し、そこで表面酸化物が形成される。なお、このような表面酸化物のCとOの結合は、主にC=O、C=C及びC−Oに分類できることが知られている(Applied Catalysis B,50,185−194(2004))。次いで、このようにして形成された表面酸化物が気相の酸素等により酸化される。このようにして、PMの周囲から酸化された部分が除去、縮小されていき、最終的に完全に酸化されて消失させることが可能であると推察される。そして、このようなAgを含有する粒子状物質浄化用触媒によって、比較的低温の温度領域においても粒子状物質を効率的に酸化することが可能となるものと推察される。
また、一般に、Agを含有する触媒においては、触媒が硫黄成分を含有する排ガスに曝されて多量の硫黄成分が付着した場合に、触媒中の銀と前記硫黄成分とにより硫酸銀が生成される。そして、このような硫酸銀が生成されると、銀の酸素活性種生成性能が低下して触媒の酸化活性が低下してしまう。そのため、銀を含有する触媒においては、一般に、硫黄成分供給が一定量になった段階で触媒に還元性ガスを供給する硫黄再生処理が施される。そして、このような還元性ガスは主としてCOが利用されている。しかしながら、還元性ガスとしてCOを用いた場合には、触媒中で生成された硫酸銀は十分に分解されず、硫黄成分はほとんど脱離しない。そのため、従来のAgを含有する触媒においては、硫黄被毒後に十分に酸化活性を回復させることができなかった。そこで、本発明においては、前記粒子状物質浄化用触媒の上流側に、セリア、チタニア及びジルコニアからなる群から選択される少なくとも1種を含有する触媒担体並びに該触媒担体に担持された貴金属を備えるCOシフト反応用触媒を備える。このようにCOシフト反応用触媒がガス流路の上流側に配置されると、ガス流路の上流側において排ガス中にHを添加することが可能となる。すなわち、このようなCOシフト反応用触媒によって、排ガス中のCOとHO(水蒸気)からCOシフト反応によりHが生成され(CO+HO→CO+H)、ガス流路の上流側において排ガス中にHを添加することが可能となる。そのため、ガス流路の下流側に配置された粒子状物質浄化用触媒には、Hが添加された排ガスが接触することとなる。そして、Hは粒子状物質浄化用触媒の中に生成された硫酸銀を効率よく分解することができる還元性ガスであることから、本発明においては、触媒に堆積した硫黄成分を十分に脱離させることが可能となる。従って、本発明の排ガス浄化装置においては、硫黄成分が含有されている排ガスに接触した場合においても、排ガス中のCOを利用してガス流路の上流側でHを生成し、そのHにより下流側の粒子状物質浄化用触媒の酸化活性を効率よく回復させることが可能であり、十分に高い粒子状物質の酸化活性を保持できるものと本発明者らは推察する。
本発明によれば、内燃機関から排出される排ガス中の粒子状物質を低温の温度領域で効率的に酸化することができ、硫黄被毒後においても排ガス中に含まれる一酸化炭素(CO:還元性ガス)を利用した再生処理を施すことで酸化活性を十分に再生させることが可能な排ガス浄化装置を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の排ガス浄化装置は、排ガス中に含有される粒子状物質を酸化して除去する排ガス浄化装置であって、
セリア、チタニア及びジルコニアからなる群から選択される少なくとも1種を含有する触媒担体並びに該触媒担体に担持された貴金属を備えるCOシフト反応用触媒と、銀を含有する粒子状物質浄化用触媒とを備え、且つ、
前記排ガスが流通するガス流路の上流側に前記COシフト反応用触媒が配置され、前記ガス流路の下流側に前記粒子状物質浄化用触媒が配置されていること、
を特徴とするものである。
先ず、本発明にかかるCOシフト反応用触媒について説明する。このようなCOシフト反応用触媒は、セリア、チタニア及びジルコニアからなる群から選択される少なくとも1種を含有する触媒担体と、前記触媒担体に担持された貴金属を備える。このようなCOシフト反応用触媒はCOシフト反応に対する活性が十分に高い。なお、このようなCOシフト反応用触媒によって十分に高いCOシフト反応活性が得られる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、先ず、セリア、チタニア及びジルコニアからなる群から選択される少なくとも1種を含有する触媒担体は、親水性が高く、水蒸気(HO)の吸着性が高い。また、前記触媒担体に担持されている貴金属は、COを吸着し易い。そのため、これらを備える前記COシフト反応用触媒によれば、触媒表面に多くのCOとHOとを吸着させることが可能であり、触媒表面でCOとHOが反応する確率を向上させることができる。そのため、本発明にかかるCOシフト反応用触媒においては、十分に高いCOシフト反応活性を有するものと本発明者らは推察する。そして、本発明においては、このようなCOシフト反応用触媒をガス流路の上流側に配置することで、下流側に流通する排ガス中に効率よくHを添加することを可能とし、下流側に配置された前記粒子状物質浄化用触媒の酸化活性を十分に保持することを可能とする。
また、このような触媒担体としては、セリア、チタニア及びジルコニアからなる群から選択される少なくとも1種を含有するものであればよく、例えば、セリアの単体、チタニアの単体、ジルコニアの単体、これらの複合酸化物(例えばセリア−ジルコニア複合酸化物等)が挙げられ、中でも、担体中の金属酸化物の熱安定性及び担持される貴金属の粒成長の抑制効果の向上の観点から、セリアを含有するものを用いることが好ましい。
また、このような触媒担体においては、セリア、チタニア及びジルコニアの他に、セリア、チタニア及びジルコニアと固溶しない金属酸化物を含有することが好ましい。このような金属酸化物を更に含有させることによって、触媒担体中において、セリア、チタニア及びジルコニアからなる群から選択される少なくとも1種と、前記金属酸化物とが互いの拡散の障壁となるため、同種の酸化物どうしの凝集が抑制されるばかりか、担持させた貴金属の粒成長も抑制することができる傾向にある。このようなセリア、チタニア及びジルコニアと固溶しない金属酸化物としては特に制限されず、例えば、アルミナ、シリカ等が挙げられ、中でも、担体中の金属酸化物の熱安定性の向上の観点から、アルミナが好ましい。
また、このような触媒担体の中でも、高温に晒された後においてもより高いCOシフト反応活性を発現させることが可能であるという観点から、セリアとアルミナとがnmスケールで分散している混合物(複合酸化物)を含有する触媒担体が好ましい。また、このような混合物においては、セリアとアルミナとがnmスケールで分散されていることが好ましい。このようにしてnmスケールで各粒子が分散された複合酸化物を用いることで、触媒活性をより十分に維持できる傾向にある。また、セリアとアルミナとがnmスケールで分散されている触媒担体としては、例えば、特開2002−211908号公報に記載されているようなセリアとアルミナとがnmスケールで分散した複合酸化物が挙げられる。なお、nmスケールの分散とは、1nm程度の高分解能を有するミクロ分析装置を用いて測定しても、独立した粒子として観察されないレベルの分散状態のことをいう。このようなミクロ分析装置としては、例えば日立製作所(株)製の「HD−2000」などのFE−STEM走査形透過電子顕微鏡を用いてもよい。
さらに、このような触媒担体の形態は特に制限されないが粉末状であることが好ましい。このような触媒担体が粉末状である場合には、含有されている各金属酸化物の一次粒子の平均粒子径が2〜50nmであることが好ましく、5〜20nmであることがより好ましい。このような平均粒子径が前記下限未満では、担体中の金属酸化物の熱安定性が低下し、粒成長し易くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、担持する貴金属の分散性が低下する傾向にある。
また、このような触媒担体の製造方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。このような触媒担体の製造方法の一例として、以下において、セリアとアルミナとがnmスケールで分散されている混合物(複合酸化物)を含有する触媒担体を製造する方法を説明する。
このような複合酸化物を含有する触媒担体を製造する方法においては、セリウムの化合物と、アルミニウムの化合物とが溶解した水溶液又は水を含む溶液からセリウムの酸化物前駆体及びアルミニウムの酸化物前駆体又はそれらの前駆体の化合物の沈殿を析出させる。また、前記セリウムの化合物又はアルミニウムの化合物としては、特に制限されず、セリウム又はアルミニウムの塩が用いられる。このような塩としては、硫酸塩、硝酸塩、塩酸塩、酢酸塩などが利用できる。また、沈殿を析出させる方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができ、例えば、アンモニア水等の添加によってpHを調節しながら沈殿を析出させる方法等を採用してもよい。
また、前記触媒担体に担持させる貴金属としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)が挙げられ、CO吸着能力が高いという観点から、少なくともPtを用いることが好ましい。このような貴金属の担持量としては特に制限されないが、前記触媒担体100質量部に対して0.05〜30質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましい。このような貴金属の担持量が前記下限未満では十分な触媒活性が得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、触媒活性が飽和し、経済性が低下する傾向にある。なお、このような貴金属は1種を単独であるいは2種以上を併用して用いてもよい。また、貴金属を担持する方法としては特に制限されず、例えば、貴金属の塩(例えば、ジニトロジアミン塩)や錯体(例えば、テトラアンミン錯体)を含有する水溶液を前記触媒担体に接触させた後に乾燥し、焼成する方法を採用することができる。
さらに、COシフト反応用触媒の形態としては特に制限されず、ハニカム形状のモノリス触媒、ペレット形状のペレット触媒等の形態とすることができる。ここで用いることが可能なCOシフト反応用の触媒基材も特に制限されず、パティキュレートフィルタ基材(DPF基材)、モノリス状基材、ペレット状基材、プレート状基材等が好適に採用することができる。また、このような触媒基材の材質も特に制限されないが、コーディエライト、炭化ケイ素、ムライト等のセラミックスからなる基材や、クロム及びアルミニウムを含むステンレススチール等の金属からなる基材を好適に採用することができる。なお、このような形態のCOシフト反応用触媒の製造方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、前記触媒担体を前記基材にウォッシュコートした後、前記触媒担体に貴金属を担持する方法等を採用することができる。
なお、このような触媒基材にCOシフト反応用触媒を担持する場合には、前記触媒担体を触媒基材1Lあたり10〜400g担持することが好ましく、50〜200g担持することが好ましい。前記触媒担体の担持量が前記下限未満では、効率よくCOシフト反応を行うことが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、モノリス状基材等の基材のセル(通気孔)が閉塞され、排ガスの圧力損失が大きくなる傾向にある。さらに、このような触媒基材にCOシフト反応用触媒を担持する場合には、触媒活性と経済性の観点から、前記貴金属を触媒基材1Lあたり0.05〜30g担持することが好ましく、0.1〜10g担持することがより好ましい。
次に、本発明にかかる粒子状物質浄化用触媒について説明する。本発明にかかる粒子状物質浄化用触媒は銀(Ag)を含有する触媒である。このようなAgを含有することで、含酸素物質から酸素を遊離させ酸素活性種を効率良く生成することが可能である。また、このような粒子状物質浄化用触媒としては、金属担体中にAgを含有させ、その金属担体上に、第一金属の酸化物からなる平均一次粒径が1〜400nmの金属酸化物微粒子を更に備えるものが好ましい。
また、このようなAgを含有する金属担体としてはAgを含有するものであればよく特に制限されないが、その金属担体中にAg以外の金属を更に含有していてもよく、例えば、AgとAg以外の金属との合金を利用してもよい。このような金属担体に用いることが可能なAg以外の金属としては、含酸素物質から酸素を遊離させ酸素活性種を効率良く生成するという観点から、Pt、Rh、Pd、Ru、Ir、Os、Au及びCuからなる群から選択される少なくとも一種が好ましい。また、このような金属担体がAg以外の成分を含有する場合、Agの含有率が0.3質量%以上であることが好ましい。また、このような金属担体中の金属の大きさは、電子状態がメタルとしての性質(例えば酸化物になっていないこと)を維持できるようにある程度大きいことが好ましい。イオン化傾向が小さい金属ほど、金属が小さくてもメタルとしての性質を維持しやすい傾向にある。このようにAgやAg以外の金属がメタルとしての性質を維持することにより、吸着酸素種をより効率的に生成することが可能となる傾向にある。
また、このような金属担体の形状は特に限定されず、膜状であっても粒子状であってもよい。このような金属担体が膜状の場合、その厚さは3nm以上であることが好ましく、コスト低減の観点から3〜1000nmであることがより好ましい。また、このような金属担体が粒子状である場合、その平均一次粒径は7nm以上であることが好ましく、コスト低減の観点から7〜1000nmであることがより好ましい。なお、このような金属担体は、複数の粒子が接触した状態で存在することにより形成されていてもよい。
また、前記第一金属としては、酸素活性種を移動及び/又は貯蔵することが可能な酸素活性種移動材であるという観点から、価数変動可能な金属が好適に用いられる。このような第一金属の酸化物としては、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Zr、Fe、Ti、Al、Mg、Co、Ni、Mn、Cr、Mo、W及びVの酸化物、これらの固溶体、並びにこれらの複合酸化物からなる群から選択される少なくとも一種が好ましく、CeO、Fe、ZrO、Y、TiO、Al、MgO、Co、Pr、Nd、これらの固溶体、及びこれらの複合酸化物からなる群から選択される少なくとも一種がより好ましく、中でもCeO及びCeを含む複合酸化物が特に好ましい。また、第一金属の酸化物においては、酸素活性種を移動させるためにある程度の欠陥を有するものが好ましい。
なお、このようなCeO又はCeを含む複合酸化物からなる金属酸化物微粒子(以下、単に「セリア微粒子」という。)は、前記金属担体(酸素遊離材)により生成された酸素活性種を移動させることが可能なものであり、触媒中において酸素活性種移動材として機能するものと推察される。このようなセリア微粒子中のCeの酸化物は、その価数変化等を通じて酸素活性種(例えば酸素イオン)を移動することを可能とする。そのため、前記Ag粒子(酸素遊離材)により生成された酸素活性種をセリア微粒子が受け取ると、酸素活性種はセリア微粒子(酸素活性種移動材)を移動して接触しているPMに到達する。このような酸素活性種が移動する経路は、セリア微粒子のバルク内部を通る必要はなく、例えば、前記微粒子の表面を移動できればよい。
また、前記第一金属の酸化物がCeO又はCeを含む複合酸化物の場合には、酸素活性種の移動度を高めると共に前記セリア微粒子の粗大化をより確実に防止するために、La、Nd、Pr、Sm、Y、Ca、Ti、Fe、Zr及びAlからなる群から選択される少なくとも一種(特に好ましくはLa及び/又はNd)を添加金属として更に含有していることがより好ましい。なお、このような添加成分を前記セリア微粒子に含有させる場合、Ceと添加成分の合計量に対して添加成分の含有量が1〜30mol%程度が好ましく、5〜20mol%程度がより好ましい。
このような第一金属の酸化物からなる金属酸化物微粒子の平均一次粒径は、1〜400nmであることが必要であり、1〜100nmであることがより好ましい。前記金属酸化物微粒子の平均一次粒径が1nm未満では、微粒子の空隙を含酸素物質が通過しにくくなり、前記金属担体における活性酸素種の生成が阻害される。他方、前記金属酸化物微粒子の平均一次粒径が400nmを超えると、微粒子の空隙を粒子状物質が通過し易くなり、金属酸化物微粒子と粒子状物質の接触性が低下し、活性酸素種の粒子状物質への供給が阻害される。
また、第一金属の酸化物からなる金属酸化物微粒子は、大気中500℃で5時間焼成した後の平均粒径が2〜100nm(より好ましくは10〜50nm)であることが好ましく、また、酸素10容量%及び窒素90容量%からなる雰囲気中800℃で5時間焼成した後の平均粒径が2〜400nm(より好ましくは10〜80nm)であることが好ましい。前記金属酸化物微粒子の上記平均粒径が上記下限未満ではスート等の粒子状物質との接触が阻害される傾向にあり、他方、上記上限を超えると微粒子の空隙を粒子状物質が通過し易くなり、金属酸化物微粒子と粒子状物質の接触性が低下し、活性酸素種の粒子状物質への供給が阻害される傾向にある。
また、前記金属担体上に配置される前記第一金属の酸化物微粒子からなる層は、微粒子の空隙をO等の含酸素物質が通過して金属担体に到達可能な構造であることが必要である。このような構造になっているか否かは、電子顕微鏡により確認できるほか、金属担体中の金属に対する露出金属量測定(O及びHによる酸化還元滴定)によっても確認可能である。
このような第一金属の酸化物微粒子からなる層の厚さは、特に限定されないが、粒子状物質への活性酸素種の効率的な供給の観点、及び粒子状物質の酸化時に生じた電子の金属担体への効率的な移動の観点から、10μm以下であることが好ましく、400nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらにより好ましく、30nm以下であることが特に好ましく、10nm以下であることがさらに特に好ましい。他方、前記第一金属の酸化物微粒子からなる層の厚さが1nm未満となると、粒子同士が成長して金属担体とOの接触が阻害されるとともに、活性酸素種の貯蔵量が少なくなるため好ましくない。
また、本発明にかかる粒子状物質浄化用触媒としては、前記金属担体が粒子状のものである場合、核となる銀粒子(金属担体)と、前記金属担体の周囲を覆っている前記第一金属の酸化物からなる平均一次粒径が1〜100nmの金属酸化物微粒子とからなる凝集体であることが好ましい。なお、このような凝集体中において、銀(Ag)粒子及び金属酸化物微粒子そのものは一次粒子であり、前者が後者により覆われてなる二次粒子を「凝集体(又は一次凝集体)」と称する。また、ここにいう「銀粒子(Ag粒子)」は上述の金属担体が粒子状となったものを示し、Ag以外にも他の金属を含有していてもよい。
また、前記凝集体中の金属酸化物微粒子としては、前述のセリア微粒子がより好ましい。このような凝集体中における前記セリア微粒子の粒径は特に限定されないが、大気中500℃で5時間焼成した後の平均粒径が2〜75nm(より好ましくは8〜20nm、更に好ましくは8〜15nm)であることが好ましく、また、酸素10容量%及び窒素90容量%からなる雰囲気中800℃で5時間焼成した後の平均粒径が8〜100nm(より好ましくは8〜60nm、更に好ましくは8〜40nm)であることが好ましい。前記セリア微粒子の上記平均粒径が上記下限未満ではスート等のPMとの接触が阻害される傾向にあり、他方、上記上限を超えるとAg粒子(酸素遊離材粒子)を覆うことが困難となる傾向にある。
また、このような凝集体中の金属酸化物微粒子が前記セリア粒子である場合には、大気中500℃で5時間焼成した後、並びに、酸素10容量%及び窒素90容量%からなる雰囲気中800℃で5時間焼成した後のいずれにおいても、前記Ag粒子の平均粒径が前記金属酸化物微粒子の平均粒径の1.3倍以上であることが好ましく、2.0倍以上であることがより好ましい。Ag粒子及びセリア微粒子の平均粒径が上記条件を満たさないと、Ag粒子の周囲が十分にセリア微粒子により覆われず、PMや、HC、CO又はNO等の成分を酸化する能力が低下する傾向にある。
また、このような凝集体中のAg粒子と前記セリア微粒子との比率は特に限定されないが、Ag粒子とセリア微粒子との比率(モル比)が4:1〜1:9であることが好ましく、35:65〜60:40であることがより好ましく、40:60〜60:40であることが特に好ましい。Ag粒子の量が上記下限より少ないと、気相から遊離される活性酸素種の量が低下してPMや、HC、CO又はNO等の成分を酸化する能力が低下する傾向にあり、他方、CeO微粒子の量が上記下限より少ないと、PMや、HC、CO又はNO等の成分に移動できる活性酸素種の量が低下してPMを酸化する能力が低下する傾向にある。そして、上記の比率が40:60〜60:40であると、Ag粒子の周囲をセリア微粒子が覆い易く、且つ、それらの凝集体を形成しない両成分の割合が低下するため特に好ましい。
また、このような粒子状物質浄化用触媒においては、前記第一金属からなる金属酸化物微粒子の表面に担持されている第二金属超微粒子を更に備えていてもよい。かかる第二金属超微粒子が存在すると、価数変動可能な金属と吸着酸素種と金属超微粒子との間での電荷のやり取りによりさらに吸着酸素種が生成し、さらに被酸化物への吸着酸素種の供給が容易になる傾向にある。
このような第二金属超微粒子を構成する第二金属としては、Hのイオン化傾向より小さいイオン化傾向を有するもの(例えば、Au,Pt,Pd,Rh,Ru,Ag,Hg,Cu,Bi,Sb,Ir,Os)であることが好ましく、Agのイオン化傾向以下のイオン化傾向を有するもの(貴金属:例えば、Au,Ag,Cu,Pt,Pd,Rh,Ru,Ir,Os)であることがより好ましく、前記金属担体中の金属と同一のものであることが特に好ましい。また、第二金属超微粒子は、1〜1000個の原子からなることが好ましい。
このような第二金属超微粒子としては、FE−TEM観察によっても粒子として観察できないものが好ましく、Agの場合には孤立して存在し、価数変動可能な金属との間で電荷をやり取りしてAg2+として検出されるものが例示される。
また、このような粒子状物質浄化用触媒においては、HC、CO及びNOの酸化との両立を目的として、通常の含浸法等によりPt、Rh、Pd等の貴金属を更に担持していてもよい。
また、このような粒子状物質浄化用触媒の形態としては特に制限されず、例えばハニカム形状に成型した触媒、ペレット形状のペレット触媒等の形態とすることができるが、基材と、前記凝集体とを備えるものがより好ましい。このような基材としては特に制限されず、DPF基材、モノリス状基材、ハニカム状基材、ペレット状基材、プレート状基材、発泡状セラミック基材等が好適に採用される。また、このような基材の材質も特に制限されないが、コージエライト、炭化ケイ素、ムライト等のセラミックスからなる基材や、クロム及びアルミニウムを含むステンレススチール等の金属からなる基材が好適に採用される。
また、このような粒子状物質浄化用触媒において、前記基材に付与する凝集体の量は特に制限されず、対象とする内燃機関等に応じてその量を適宜調整することができるが、基材体積1リットルに対して凝集体の量が10〜300g程度となる量が好ましい。
また、このような粒子状物質浄化用触媒においては、前記基材が1〜300μmの細孔を有するものであり、前記細孔内に前記凝集体の平均粒径の0.5〜50倍の平均厚さを有するコート層が前記凝集体により形成されていることが好ましい。なお、このような粒子状物質浄化用触媒においては、その効果を損なわない限りにおいて、前記凝集体とともに他の成分を更に備えていてもよい。このような他の成分としては、核となるPt、Rh、Pd、Ru、Ir、Os、Au等の金属粒子と、前記金属粒子の周囲を覆っている平均一次粒径が1〜100nmのLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd等の金属酸化物微粒子とからなる他の凝集体であってもよい。
また、このような粒子状物質浄化用触媒においては、前記基材の気孔率が30〜70%(より好ましくは50〜65%)であることが好ましい。ここにいう「気孔率」とは、基材内部の空洞部分の体積率をいう。また、このような気孔率が前記下限未満では、排ガス中の粒子状物質により閉塞し易くなるとともに前記凝集体のコート層を形成しにくくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、排ガス中の粒子状物質を捕集しにくくなるとともに基材の強度が低下する傾向にある。
このような粒子状物質浄化用触媒の製造方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。例えば、前記金属担体を形成する方法としては、金属板、めっき、ペースト、蒸着法(例えば、化学蒸着法、物理蒸着法、スパッタ蒸着法)等を用いることにより形成する方法を採用してもよい。また、金属担体の表面上に金属酸化物微粒子の層を形成する方法も特に限定されず、金属酸化物微粒子又はその前駆体の分散液やゾルを用いて被覆(その後必要に応じて焼成)する方法や、蒸着法(例えば、化学蒸着法、物理蒸着法、スパッタ蒸着法)等を用いることにより形成する方法を採用してもよい。以下、本発明の粒子状物質浄化用触媒を製造するための方法の一例として、本発明において好適に用いられる前記凝集体を製造するための方法を説明する。
このような凝集体を製造するための好適な方法としては、Agの塩と第一金属の塩とを含有する溶液から、Agの塩に由来するAg粒子が第一金属の塩に由来する第一金属の化合物微粒子により覆われている凝集体前駆体を生成せしめる工程と、得られた凝集体前駆体を焼成することによって、核となるAg粒子と、前記Ag粒子の周囲を覆っている平均一次粒径が1〜100nmの第一金属の酸化物微粒子とからなる凝集体を得る工程とを含む方法が挙げられる
このようなAgや第一金属の塩としては、Agや第一金属の硝酸塩、酢酸塩、塩化物、硫酸塩、亜硫酸塩、無機錯塩等の水溶性の塩が挙げられ、中でも硝酸塩(例えば、硝酸銀や硝酸セリウム)が好適に用いられる。また、Agの塩と第一金属の塩とを含有する溶液を調製するための溶媒としては、特に制限されず、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール等の単独又は混合系溶媒)等の各種溶媒が挙げられるが、水が特に好ましい。
なお、Agの塩と第一金属の塩との配合量(仕込み量)は、得られるAg粒子と第一金属の酸化物微粒子(例えばCeO微粒子)との比率と完全には一致する必要はなく、得ようとする凝集体におけるAg粒子と第一金属の酸化物微粒子との組み合わせや比率の好適条件に応じてAgの塩と第一金属の塩との組み合わせや配合量の条件が適宜設定される。また、第一金属の塩に対してAgの塩が過剰に存在するようにすると、溶液中に生成する第一金属の酸化物微粒子を全て凝集体の一部とさせ易くなる傾向にあり、凝集体以外の成分が溶液中に生成しないので好ましい。
また、このような凝集体の製造方法においては、前記凝集体前駆体を生成せしめる工程において、pH調整剤の存在下で第一金属の化合物微粒子を生成せしめ、前記第一金属の化合物微粒子の還元作用によって前記Ag粒子を析出させることによって前記凝集体前駆体を生成せしめることが好ましい。
酸化還元反応が起きるための要件はAgと第一金属との電位で説明することができるが、電位はpH依存性がある。一般的に、pHが大きくなるほど電位は低下する。したがって、このような凝集体の製造方法においては、適宜pH調整剤を添加して酸化還元反応を制御することが好ましい。また、pH調整剤を添加することによって、活性化エネルギーも変化することから、酸化還元反応を最適条件にすることが可能である。このようなpH調製剤としては、NaOH、KOH、NH、HNO、HSOが例示されるが、一般的な酸やアルカリを用いれば足りる。
なお、Agは酸性側では、電位が高く反応が早く進行し過ぎるため粗大なAgが析出し易くなる傾向があることから、塩基の存在下でアルカリ性とすることが好ましい。その際、pH調整剤としてNaOHを用いると沈殿が生じてしまうことから、アンモニアでアルカリ性とすることが好ましい。この場合には、アンモニアは錯化剤としても機能している。また、このような塩基の濃度は特に限定されないが、塩基としてアンモニアを用いる場合には一般的には1〜50%程度のアンモニア濃度を有する溶液を用いることが好ましい。さらに、この場合における第一金属の化合物微粒子は、第一金属の水酸化物であると考えられる。
また、このような凝集体の製造方法においては、前記凝集体前駆体を生成せしめる工程において、錯化剤の存在下で前記Agの塩に由来する第一の金属化合物を生成せしめ、前記第一金属の化合物微粒子の還元作用によって前記第一の金属化合物を還元して前記銀粒子を析出させることがより好ましい。
さらに、酸化還元反応を最適な条件にするためには、上記のようにpH調整剤を添加することが好ましいが、その場合、特にpHによっては沈殿物を生じることがある。そこで、錯化剤を用いない場合に沈殿物が生成する条件であっても、錯化剤を添加することにより、金属塩の状態とすることができる。このようにすることにより、電位や活性化エネルギーも変化するため、適宜条件を合わせることが可能となる。例えば、Agを[Ag(NHとすることが好ましい。このような錯化剤としては、アンモニア、有機酸(グリコール酸、クエン酸、酒石酸等)のアルカリ塩、チオグリコール酸、ヒドラジン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、グリシン、ピリジン、シアン化物が例示される。
また、このような凝集体の製造方法においては、前記凝集体前駆体を生成せしめる工程において、温度調整することが好ましい。反応溶液の温度条件は、酸化還元反応を支配する重要な因子である。溶媒が液体として機能している範囲で溶液の温度を適宜調整することが好ましい。例えば、30℃以上とすることが好ましく、60℃以上とすることがより好ましい。そして、1〜3気圧、100〜150℃程度の条件とすると確実に反応を起こすことができる傾向にあり、また反応時間を短縮できることから産業への応用上も好ましい。
なお、前記凝集体前駆体を生成せしめる工程において、Ag及び第一金属の塩溶液にpH調整剤含有溶液(例えば塩基性溶液)を添加・混合するいわゆる「沈殿法」であっても、pH調整剤含有溶液(例えば塩基性溶液)にAg及び第一金属の塩溶液を添加・混合するいわゆる「逆沈殿法」であってもよい。この場合において、Agの塩、第一金属の塩の順、又はその逆の順序で逐次添加・混合してもよい。また、反応時間は特に限定されないが、好ましくは0.1〜24時間程度、より好ましくは0.1〜3時間程度かけて凝集させることが好ましい。また、錯化剤を用いる場合には、予め錯化剤により金属塩としてから上記操作を行ってもよい。
また、このような前記凝集体前駆体を生成せしめる工程における反応溶液中の固形分濃度は特に制限されないが、1質量%〜50質量%であることが好ましく、10質量%〜40質量%であることがより好ましく、15〜30質量%であることが更に好ましい。固形分濃度が前記下限未満では、凝集処理の促進効果が低下する傾向にあり、他方、上記上限を超えると銀粒子を核とした凝集体を得ることが困難となる傾向にある。このように凝集処理を行うことで、前述のように銀粒子が第一金属の化合物微粒子により覆われている凝集体前駆体が効率良く且つ確実に得られるようになる。
さらに、このような凝集体前駆体の平均粒径は特に制限されないが、0.05〜0.5μmであることが好ましく、0.07〜0.2μmであることがより好ましい。また、かかる凝集体前駆体の均一性が高いことが好ましく、全凝集体前駆体のうちの60容量%以上のものが前記平均粒径±50%の範囲内の粒径を有していることが好ましい。凝集体前駆体の均一性がこのように高いと、得られる凝集体の均一性が高くなり、DPF等の基材により均一に担持させることが可能となる傾向にある。
そして、このような凝集処理によって得られた凝集体前駆体を、必要に応じて洗浄した後に、焼成することによって、前述の凝集体を得ることができる。かかる焼成の際の条件は特に限定されないが、一般的には酸化雰囲気(例えば、空気)中において300〜600℃で1〜5時間程度かけて焼成することが好ましい。
さらに、このような凝集体の製造方法においては、前記第一金属の化合物微粒子又は前記第一金属の酸化物微粒子の表面に第二金属超微粒子を担持せしめる工程が更に含まれていてもよい。このように第二金属超微粒子を担持せしめる方法としては、(i)前記凝集処理によって得られた凝集体前駆体を焼成した後に第一金属の酸化物微粒子の表面に第二金属超微粒子を担持せしめる方法と、(ii)前記凝集処理と同時に第一金属の化合物微粒子の表面に第二金属超微粒子を析出させる方法が例示される。
方法(i)においては、前述の第二金属の硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩等を用いて、いわゆる含浸担持させる方法、或いは、金属酸化物表面での酸化還元反応を利用する方法を採用することができる。前者の含浸担持法は、触媒等を得る際に用いられる一般的な金属超微粒子の担持法である。
一方、後者の方法は、例えばAgを第一金属の酸化物微粒子中の欠陥サイト(例えば、第一金属がCeである場合、CeOが部分的にCe3+となっている部分)により還元させることにより金属超微粒子を析出させる方法である。その際、析出反応速度を制御して金属超微粒子の粒径を制御するために、必要に応じて錯化剤を添加することが好ましい。例えば、AgNOにアンモニア水を滴下することにより[Ag(NHを生成させると、酸化還元電位が変化して析出速度が低下するため、より微細な金属超微粒子が得られる傾向にある。
また、方法(ii)は、前述の凝集処理時の酸化還元反応を利用するものであり、第三の金属がAgである場合に特に好ましい方法である。この方法においては、前述の凝集体前駆体を生成せしめる工程において、第一金属の化合物微粒子によりAg粒子が析出されると同時に、第一金属の化合物微粒子の表面にも第三の金属超微粒子が析出されるものである。
また、このような凝集体を基材上に配置する方法は特に限定されず、例えば、以下に説明する第一の凝集体分散液又は第二の凝集体分散液を基材に接触させた後に焼成する方法が好適に挙げられる。
第一の凝集体分散液は、前記凝集体と、分散媒とを含有するものである。このような第一の凝集体分散液は、バインダーを更に含有していることが好ましい。ここで用いるバインダーとしては特に制限されず、例えばセリアゾル等が好適に用いられる。また、凝集体とバインダーとの混合比率も特に制限されず、凝集体とバインダーとの混合比率が重量比で99:1〜80:20程度であることが好ましい。例えば、バインダーを用いた場合であっても、超音波処理により容易に分散性の高い分散液(スラリー)を得ることができる。
また、第二の凝集体分散液は、上記凝集体の製造方法の過程で得られた凝集体前駆体と、分散媒とを含有するものである。このような第二の凝集体分散液においては、上述の凝集体の製造過程で得られた凝集体前駆体を含有する溶液から、系中の残存イオンを50〜99.9%分離して得られた凝集体前駆体を含有していることが好ましい。凝集する段階でもある程度の分散性はあるが、塩や錯化剤に起因する残存イオンを除去することにより非常に分散性の高い分散液を得ることができるようになる。
ここで、前記第一及び第二の凝集体分散液を基材に接触させる方法は特に制限されないが、例えばDPF等のフィルタ基材の細孔内に入り込ませる際には超音波をかけながら接触させることが好ましい。また、この場合の焼成条件は、前述の焼成条件と同様の条件が好ましい。なお、第二の凝集体分散液を用いた方法によれば、粒子状物質を酸化できる成分が凝集体自身であるゆえ、それ自身がバインダーの役割を果たし、より効果的な粒子状物質浄化用触媒を提供できる傾向にある。
以上、本発明の排ガス浄化装置に用いられるCOシフト反応用触媒と粒子状物質浄化用触媒とについて説明したが、本発明においては、前記COシフト反応用触媒が、排ガスが流通するガス流路の上流側に配置され、前記粒子状物質浄化用触媒が前記ガス流路の下流側に配置される。このようにしてガス流路の上流側に前記COシフト反応用触媒を配置し、ガス流路の下流側に前記粒子状物質浄化用触媒を配置することで、排ガスをCOシフト反応用触媒に接触させた後に粒子状物質浄化用触媒に接触させることが可能となり、粒子状物質浄化用触媒の接触する排ガス中にCOシフト反応により生成されたHを添加することができる。そのため、本発明においては、粒子状物質浄化用触媒を硫黄被毒から効率よく再生させることができ、十分に高い粒子状物質酸化活性を保持することが可能となる。
また、前記ガス流路の上流側と下流側にそれぞれ配置される前記COシフト反応用触媒と前記粒子状物質浄化用触媒は、それらを隣接させて配置してもよく、離間させて配置させてもよい。また、一つの触媒基材の上流側の部位をCOシフト反応用触媒用の基材として利用し、下流側の部位を粒子状物質浄化用触媒用の基材として利用して、一つの基材を用いて前記COシフト反応用触媒と前記粒子状物質浄化用触媒とをそれぞれ上流側と下流側に配置してもよい。
また、本発明の排ガス浄化装置においては、強制再生処理が必要となる粒子状物質浄化用触媒へのPM堆積量の第一の基準(A)と、第一の基準(A)よりも低い基準であるPM堆積量の第二の基準(B)とに基づいて、
求められた粒子状物質浄化用触媒へのPM堆積量が第一の基準(A)と第二の基準(B)との間にある場合に、強制再生処理のための第一の再生処理温度よりも低い第二の再生処理温度で低温再生処理を施し、
求められた粒子状物質浄化用触媒へのPM堆積量が第一の基準(A)を超えた場合に、粒子状物質浄化用触媒への強制再生処理を施す、
ように前記排ガス浄化装置を制御する制御手段を更に備えることが好ましい。このような制御手段を備えることによって、前記粒子状物質浄化用触媒に堆積したPMを効率よく除去することができ、排ガス浄化装置を再生させて連続的に使用することが可能となる。
このような前記制御手段としては、例えばエンジンコントロールユニット(ECU)が挙げられる。このようなECUは、マイクロプロセッサ及びその動作に必要なROM、RAM等の周辺装置を組み合わせたコンピュータとして構成されているものである。
また、前述の第一の再生処理温度としては、600℃以上(より好ましくは600〜650℃)の温度であることが好ましい。また、第二の再生処理温度は、前記第一の再生処理温度よりも低い温度であり、200〜500℃であることが好ましく、250〜400℃程度であることが好ましい。更に、「強制再生処理」とは、前記第一の再生処理温度による熱処理をいい、「低温再生処理」とは、前記第二の再生処理温度による熱処理をいう。なお、このような熱処理の時間は、再生処理を目的として排ガス温度を上昇させる際に生じる燃費悪化を抑制するという観点から、不必要に長くすることは好ましくなく、1〜10分程度とすることが好ましい。
また、第一の基準(A)及び第二の基準(B)は、用いている触媒の大きさ、形態、基材の種類等に応じて適宜その値を設定することができる。また、本発明においては、第一の基準(A)の方が第二の基準(B)よりも大きな値となる。さらに、このような第二の基準(B)の好適な値は、基材の種類等によって異なるものであることから特に制限されるものではないが、例えば、気孔率が65%の基材を用いた場合には、第二の基準(B)は基材1Lあたり1.5g/L以下であることが好ましく、1.0g/L以下であることがより好ましく、0.5g/L以下であることが更に好ましい。
このような粒子状物質浄化用触媒へのPMの堆積量を測定する方法としては特に制限されず、例えば、以下のような方法を採用できる。すなわち、このような粒子状物質浄化用触媒へのPMの堆積量を測定する方法としては、内燃機関の運転状況及び排ガス浄化装置の使用履歴等と粒子状物質浄化用触媒へのPMの堆積量とに関するマップを予め作成しておき、そのマップに基づいて粒子状物質浄化用触媒へのPMの堆積量を算出する方法、前記粒子状物質浄化用触媒を排ガス管等に配置した場合には前記粒子状物質浄化用触媒を配置した位置の前後の位置の排ガスの圧力差と粒子状物質浄化用触媒へのPMの堆積量とに関するマップを予め作成しておき、そのマップに基づいて圧力差を測定してPMの堆積量を算出する方法、圧力差を吸入空気量で補正することによりPM堆積量を算出する方法、及び、それらの方法をすべて採用する方法等を適宜採用することができる。なお、このような粒子状物質浄化用触媒へのPMの堆積量の測定においては、それに必要な各種センサーを適宜用いてもよい。
以下、このような制御手段を用いた場合について、フローチャートを参照しながら説明する。図1は、このような制御の好適な一実施形態を示すフローチャートである。図1に示すステップ1ではコントロールユニットにおいて粒子状物質浄化用触媒へのPMの堆積量を算出し、ステップ2では、そのPMの堆積量が第二の基準(B)以上であるか否かを判断する。そして、PMの堆積量が第二の基準(B)以上であればステップ3へ進み、PMの堆積量が第二の基準(B)未満であれば再生処理を施さずにそのまま終了する。そして、ステップ3では、PM堆積量が第一の基準(A)を超えたか否かを判断する。そして、PMの堆積量が第一の基準(A)以下である場合、すなわち、PMの堆積量が第一の基準(A)と第二の基準(B)との間にある場合には、ステップ4に進み低温再生処理が施される。また、ステップ3でPMの堆積量が第一の基準(A)を超えたと判断された場合には、ステップ5に進み強制再生処理が施される。
また、このような低温再生処理等を施す場合においては、第二の再生処理温度として複数の温度条件が設定し、求められたPM堆積量が第一の基準(A)と第二の基準(B)との間にある場合に、低温側の第二の再生処理温度で低温再生処理を施し、その後のPM堆積量が第二の基準(B)未満となった場合は低温再生処理を終了し、該PM堆積量が未だ第一の基準(A)と第二の基準(B)との間にある場合は、順次高温側の第二の再生処理温度に変更して低温再生処理を繰り返すように前記排ガス浄化装置を制御することがより好ましい。
このようにして繰り返して低温再生処理を施すことで、強制再生処理を施すことなく、より低温で排ガス浄化装置を再生することが可能となり、強制再生処理を施す回数を大幅に減らすことができるため、再生時の内燃機関の燃費の低下を低減することができ、更には、基材を更に備える場合に、基材の溶損、割れ等を十分に抑制することができる。なお、低温再生処理を繰り返す際には、第一の基準(A)と第二の基準(B)との間にある場合に第二の再生処理温度を順次高温側に変更していくこととなるが、複数設定されている第二の再生処理温度のうちのより低い温度で再生処理を終了させることが好ましい。なお、このような第二の再生処理温度として設定される複数の温度の条件は、特に制限されず、前述のように200〜500℃の温度範囲内にあることが好ましく、基材の種類やPMの性状等によってPMを浄化するのに最適な温度に適宜設定することができる。
以下、このようにして繰り返して低温再生処理を施すように制御する場合の好適な例を、フローチャートを参照しながら説明する。図2は、このような制御の好適な一実施形態を示すフローチャートである。このような制御を行う場合においては、先ず、コントロールユニットにおいて粒子状物質浄化用触媒へのPMの堆積量を算出し、粒子状物質浄化用触媒へのPMの堆積量が第一の基準(A)と第二の基準(B)との間にある場合に、図2に示すステップ1に進む。このようなステップ1においては、低温再生処理の回数iが1であると認定する。次に、ステップ2に進み第二の再生処理温度をT(iは低温再生処理の回数を示し、例えば、第二の再生処理温度がT、T、T、Tと4段階に設定されていた場合であってi=1の場合にはTが採用される。なお、温度は、T<T<T<Tの関係にある。)に設定して昇温し、低温再生処理を施す。そして、低温再生処理後にステップ3に進み、粒子状物質浄化用触媒へのPMの堆積量Xi(iは低温再生処理の回数を示す)を算出する。その後、ステップ4において、このようにして算出されたPMの堆積量Xiが第二の基準(B)未満であるか否かを判定し、Xiが第二の基準(B)未満である場合には低温再生処理を終了する。そして、PMの堆積量Xiが未だ第二の基準(B)以上である場合、すなわち、未だXiが第一の基準(A)と第二の基準(B)との間にある場合には、ステップ5に進み、それまでに施された低温再生処理の回数iと、第二の再生処理温度として設定されている温度の設定数e(例えば、第二の再生処理温度がT、T、T、Tと4段階に設定されていた場合にはe=4となる)とが同一であるか否かを判定し、i=eである場合には、低温再生処理を終了する。また、それまでに施された低温再生処理の回数iの値が、第二の再生処理温度の設定数e未満である場合(e>iの場合)には、ステップ6に進み、低温再生処理の回数iをi+1回と認定して、再度ステップ2に進み、i+1回目の低温再生処理を施す。なお、このようなi+1回目の低温再生処理は、i回目の処理よりも高い温度のTi+1まで昇温する再生処理である。そして、このような制御の下では、ステップ4又はステップ5において終了条件を満たすものと判断されるまで、ステップ2〜6が順次繰り返され、繰り返し低温再生処理が施される。
また、本発明の排ガス浄化装置においては、前記粒子状物質浄化用触媒を配置した後の位置(粒子状物質浄化用触媒が配置された位置よりもガス流路の下流側の位置)にNOx浄化触媒を更に配置させてもよい。このようにしてNOx浄化触媒を配置することで、排ガス浄化の際に、粒子状物質(PM)が十分に除去された排ガスがNOx浄化触媒に接触することとなるため、NOx浄化触媒のPMによる被毒劣化を十分に抑制できる。
なお、このような本発明の排ガス浄化装置は、内燃機関から排出される排ガスを接触させることで、PMを含む排ガスを十分に浄化することができる。そして、このような排ガス浄化装置により、気相中の酸素を酸化剤としてPMを除去することが可能となり、より低温の温度領域で十分にPMを酸化することができる。また、PMが堆積した場合においても比較的低温の再生処理で排ガス浄化装置を十分に再生させることが可能である。更に、本発明の排ガス浄化装置は、前記制御手段を更に備えた場合には、触媒活性の劣化を防止しながら、より長期間の使用が可能となる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
以下のようにして、COシフト反応用触媒及び粒子状物質浄化用触媒を調製した後、排ガス管(直径30mm)のガス流路の上流側(ガスを流通させた際に上流となる部位)にCOシフト反応用触媒を配置し、その下流側に粒子状物質浄化用触媒を配置して、COシフト反応用触媒及び粒子状物質浄化用触媒を直列に連結させた形態の本発明の排ガス浄化装置を製造した。
〈COシフト反応用触媒の調製方法〉
先ず、硝酸アルミニウム9水和物0.37モル(139g)を2000mlのイオン交換水に混合して得られた混合液に、濃度28質量%の硝酸セリウム水溶液202g(CeO換算で0.33モル相当)を更に混合し、5分間撹拌して混合水溶液を得た。次に、得られた混合水溶液に、濃度25質量%のアンモニア水177gを加えて10分間撹拌し、沈殿物を含む水溶液を得た。その後、前記沈殿物を含む水溶液を、2気圧の加圧下にて、120℃の温度条件で2時間熱処理し(熟成工程)、沈殿物を熟成させた。次いで、このようにして熟成された沈殿物を含む水溶液を100℃/時間の昇温速度で加熱した後、400℃で5時間仮焼成し、更に600℃で5時間焼成してCeO−Alからなる複合酸化物粉末を得た。なお、このようにして得られた複合酸化物粉末は、約75質量%のCeOと約25質量%のAlから構成されており、その比表面積は125m/gであった。また、前記複合酸化物粉末をFE−STEM走査形透過電子顕微鏡(日立製作所製の「HD−2000」)により直径0.5nmのビーム径で微少範囲のEDS分析(組成分析)を行った結果、各分析点の90%以上でCeOとAlとが仕込み組成の±20%以内の組成比で検出され、独立した粒子として観察されなかった。このような結果から、前記前記複合酸化物粉末において、CeOとAlとがnmスケールで分散していることが分かった。
次に、上述のようにして得られた複合酸化物粉末180gと、セリアゾルバインダ(固形分15質量%)133gとイオン交換水70gとを混合し、ボールミルを用いて粒度が3μmとなるまで粉砕してスラリーを得た。次いで、得られたスラリーを、直径30mm、長さ15mm、体積10.5mlのコージェライト製ハニカムモノリス基材に、基材体積1L当たり100gの割合でコーティングした後、500℃で3時間焼成して触媒担体担持基材を得た。その後、前記触媒担体担持基材に対して、Pt担持量が基材体積1L当たり2gとなるようにしてPt(NO(NH水溶液を含浸させ、300℃で3時間焼成することによりPtを担持し、COシフト反応用触媒を得た。
〈粒子状物質浄化用触媒の調製方法〉
Ceと添加成分の合計量に対する添加成分(La)の含有率(mol%)がLa10mol%となるようにCe、Ag及び添加成分を含有する硝酸塩溶液を調製し、以下のようにして、CeO−Ag−La凝集体がDPF基材にコートされた粒子状物質浄化用触媒を得た。すなわち、先ず、50.46gのCe(NO・6HOと、5.59gのLa(NOと、29.62gのAgNOとを120mLの水で溶解せしめた溶液を調製した。次に、25%アンモニア水38.21gを水100gに希釈したアンモニア水を調製した。そして、上記アンモニア水を撹拌しているところに前述のようにして調製した溶液を投入し(逆沈殿)、10分間撹拌を継続した後、水の存在下、閉鎖系において2気圧の条件下にて120℃に加熱して2時間の凝集処理を行って凝集体を調製した。
次に、上述のようにして得られた凝集体を、テストピースサイズ(直径30mm、長さ50mm、35ml)のDPF(コージェライト製、気孔率65%、平均細孔径30μm)に、以下のコート方法で被覆せしめて、粒子状物質浄化用触媒を得た。すなわち、逆沈殿、凝集処理後の沈殿(凝集体)を遠心分離により回収し、水を加えることによって15質量%濃度のスラリーを得た。次いで、そのスラリーをDPFの細孔内に入り込むように接触させ、その状態で吸引した後、大気中500℃で1時間の焼成を施す工程を凝集体の担持量(被覆量)が75g/Lとなるまで繰り返した。この方法のメリットは、焼成時に沈殿自身が焼結してバインダーの役割を果たすため、スート酸化に有効な成分のみからなる被覆を十分に形成できる点にある。また、上記のスラリーの粒度分布を測定したところ、約0.1μmの凝集体が安定に分散していたことから、DPFへの被覆が容易であることが確認された。
(比較例1)
実施例1で採用されている粒子状物質浄化用触媒の調製方法と同様の方法を採用して粒子状物質浄化用触媒を製造し、排ガス管のガス流路に前記粒子状物質浄化用触媒を配置して比較のための排ガス浄化装置を得た。
(比較例2)
前記COシフト反応用触媒の代わりに、以下に示す調製方法を採用して得られた比較のためのCOシフト反応用触媒を用いた以外は実施例1と同様にして、比較のためのCOシフト反応用触媒が上流側に配置され、粒子状物質浄化用触媒が下流側に配置された比較のための排ガス浄化装置を得た。
〈比較のためのCOシフト反応用触媒の調製方法)〉
先ず、γ−アルミナ粉末(日揮ユニバーサル社製の商品名「TN−4」、比表面積150m/g)150g、濃度40質量%硝酸アルミニウム水溶液60g、ベーマイト3.0gおよびイオン交換水50gを混合し、ボールミルを用いて粒度が3μmとなるまで粉砕してスラリーを得た。次に、得られたスラリーを、直径30mm、長さ15mm、体積10.5mlのコージェライト製ハニカムモノリス基材に、基材体積1L当たり120gの割合でコーティングした後、500℃で3時間焼成して、アルミナ担持基材を得た。その後、前記アルミナ担持基材に対して、Pt担持量が基材体積1L当たり2gとなるようにしてPt(NO(NH水溶液を含浸させ、300℃で3時間焼成することによりPtを担持し、比較のためのCOシフト反応用触媒を得た。
[実施例1及び比較例1〜2で得られた排ガス浄化装置の特性の評価]
<硫黄再生試験>
実施例1及び比較例1〜2で得られた排ガス浄化装置を用い、先ず、各装置に対して排ガス管内に空気を流通させながら750℃の温度条件で5時間保持する処理(熱処理)を行った。次に、前記熱処理後の各排ガス浄化装置の排ガス管内に、SO(32ppm)、O(10%)、CO(10%)、HO(3%)及びN(残部)からなる混合ガス(入りガス)を、350℃(入りガス温度)、20時間、ガス流量1.3L/分の条件で供給した(硫黄被毒処理)。なお、このような硫黄被毒処理において供給された硫黄成分の全供給量は2.0g/Lである。
次に、硫黄被毒処理後の排ガス浄化装置の排ガス管内に、O(10%)、CO(10%)、HO(10%)及びN(残部)からなる混合ガスをガス流量30L/分の条件で供給し、粒子状物質浄化用触媒の触媒床温度が550℃になるまで昇温した後、供給するガス種をCO(1.4%)、O(0.4%)、CO(8%)、HO(10%)及びN(残部)からなるリッチ雰囲気混合ガスに切り替えて、前記触媒床温度を550℃に保持しながら前記リッチ雰囲気混合ガスを10分間供給する処理を行った(硫黄被毒再生処理)。そして、リッチ雰囲気混合ガスの供給開始から10分間、各排ガス浄化装置の排ガス管から排出される出ガス中に含まれる全硫黄成分の濃度を測定した。このようなリッチ雰囲気混合ガスの供給時間と出ガス中の硫黄成分の濃度(図中、「S濃度」と示す。)との関係を示すグラフを図3に示す。また、実施例1及び比較例2で得られた排ガス浄化装置においては、リッチ雰囲気混合ガスの供給開始から10分間の出ガス中に含まれているHとCOの平均濃度をそれぞれ測定した。実施例1及び比較例2で得られた排ガス浄化装置からの出ガス中に含まれているHとCOの平均濃度のグラフを図4に示す。
図3に示す結果からも明らかなように、本発明の排ガス浄化装置(実施例1)においては、リッチ雰囲気混合ガスの供給により硫黄成分を多量に脱離させることが可能であることが分かる。一方、比較のための排ガス浄化装置(比較例1〜2)においては、リッチ雰囲気混合ガスを供給してもほとんど硫黄成分を脱離させることができなかった。また、図4に示す結果からも明らかなように、本発明の排ガス浄化装置(実施例1)においては、出ガス中のHの濃度が十分に高いのに対して、比較のための排ガス浄化装置(比較例2)においては、Hの濃度が十分なものではないことが確認された。このような結果から、本発明の排ガス浄化装置(実施例1)においては、上流側のCOシフト反応用触媒によって効率よくHを生成でき、下流側の粒子状物質浄化触媒から硫黄成分を十分に除去でるものと推察される。
<PM酸化性能評価試験>
上述の熱処理のみを行った前記硫黄被毒処理前の実施例1及び比較例1〜2で得られた排ガス浄化装置と、上述の硫黄再生試験後の実施例1及び比較例1〜2で得られた排ガス浄化装置のそれぞれに対して、以下のようなPM酸化性能評価試験を行った。すなわち、先ず、モデルPMであるカーボン粉末(デグサ製の商品名「Printex−U」)0.10gを特級エタノール50mlに混合し、超音波洗浄機を用いて十分に分散させて分散液を得た。次いで、各排ガス浄化装置の上流側を上方にして、前記分散液を流し込んだ後、通過した分散液を回収し、通過した分散液を再び上方から流し込む工程を、分散液がほぼ透明になるまで繰り返し、その後、乾燥させて前記カーボン粉末を排ガス浄化装置内の触媒に付着せしめた(PM付着処理)。なお、このようなPM付着処理によって、前記分散液中のほぼ全量のカーボン粉末がDPFに濾過され、各排ガス浄化装置におけるカーボン付着量は2.8g/Lとなった。
次に、PM付着処理後の各排ガス浄化装置に対してN(入りガス)を500℃(入りガス温度)、15分間、ガス流量30L/分の条件で供給して加熱した後、Nガスを供給しながら200℃になるまで排ガス管内を自然冷却した。次いで、各排ガス浄化装置に対して、O(10%)、HO(10%)およびN(残部)からなる混合ガス(入りガス)を、ガス温度を20℃/分の昇温速度で200℃から740℃まで昇温しながら、ガス流量30L/分の条件で供給した。そして、前記混合ガスの供給開始から供給終了までの間に、各排ガス浄化装置の排ガス供給管から排出される出ガス中に含まれるCOの濃度を測定した。そして、このような出ガス中のCOの濃度と、入りガスの温度とに基づいて、各排ガス浄化装置に付着したカーボンの80%が酸化されるのに必要な混合ガスの温度(80%PM酸化温度)を算出し、PM酸化活性の指標とした(80%PM酸化温度が低いほど、PM酸化活性が高いと言える)。図5に硫黄被毒処理前及び硫黄再生試験後の各排ガス浄化装置の80%PM酸化温度のグラフを示す。
図5に示す結果からも明らかなように、硫黄再生試験後の本発明の排ガス浄化装置(実施例1)のPM酸化活性が、比較のための排ガス浄化装置(比較例1〜2)よりもはるかに高いものであることが確認された。このような結果は、図3に示すように、本発明の排ガス浄化装置(実施例1)においては、硫黄再生試験によって粒子状物質浄化用触媒に付着した硫黄成分を十分に除去して酸化活性を十分に生成することが可能であるのに対して、比較のための排ガス浄化装置(比較例1〜2)においては、硫黄再生試験によっても付着した硫黄成分を十分に除去できず、酸化活性を十分に再生できないことに起因するものと推察される。また、このような結果から、本発明の排ガス浄化装置(実施例1)は、粒子状物質を低温の温度領域で効率的に酸化することができ、硫黄被毒後においてもガス中に含まれるCOを利用した硫黄被毒再生処理を施すことで、PMの酸化活性を十分に再生させることが可能であることが分かった。
以上説明したように、本発明によれば、内燃機関から排出される排ガス中の粒子状物質を低温の温度領域で効率的に酸化することができ、硫黄被毒後においても排ガス中に含まれる一酸化炭素(CO)を利用した再生処理を施すことで酸化活性を十分に再生させることが可能な排ガス浄化装置を提供することが可能となる。
したがって、本発明の排ガス浄化装置は、ディーゼルエンジンからの排ガスを浄化するための排ガス浄化装置等として特に有用である。
制御手段によって行われる制御の好適な一実施形態を示すフローチャートである。 制御手段によって行われる制御の好適な他の実施形態を示すフローチャートである。 硫黄被毒処理後の各排ガス浄化装置(実施例1及び比較例1〜2)に対するリッチ雰囲気混合ガスの供給時間と、出ガス中の硫黄成分の濃度との関係を示すグラフである。 。実施例1及び比較例2で得られた排ガス浄化装置からの出ガス中に含まれているHとCOの平均濃度のグラフである。 硫黄被毒処理前の各排ガス浄化装置(実施例1及び比較例1〜2)及び硫黄再生試験後の各排ガス浄化装置(実施例1及び比較例1〜2)の80%PM酸化温度のグラフである。

Claims (7)

  1. 排ガス中に含有される粒子状物質を酸化して除去する排ガス浄化装置であって、
    セリア、チタニア及びジルコニアからなる群から選択される少なくとも1種を含有する触媒担体並びに該触媒担体に担持された貴金属を備えるCOシフト反応用触媒と、銀を含有する粒子状物質浄化用触媒とを備え、且つ、
    前記排ガスが流通するガス流路の上流側に前記COシフト反応用触媒が配置され、前記ガス流路の下流側に前記粒子状物質浄化用触媒が配置されていること、
    を特徴とする排ガス浄化装置。
  2. 前記粒子状物質浄化用触媒が、核となる銀粒子と、前記銀粒子の周囲を覆っている平均一次粒径が1〜100nmのセリア微粒子とからなる凝集体を備えることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化装置。
  3. 前記粒子状物質浄化用触媒が、基材と、前記凝集体とを備えることを特徴とする請求項2に記載の排ガス浄化装置。
  4. 前記基材が1〜300μmの細孔を有するものであり、前記細孔内に前記凝集体の平均粒径の0.5〜50倍の平均厚さを有するコート層が前記凝集体により形成されていることを特徴とする請求項3に記載の排ガス浄化装置。
  5. 前記基材の気孔率が30〜70%であることを特徴とすることを特徴とする請求項3又は4に記載の排ガス浄化装置。
  6. 前記触媒担体がセリアを含有することを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化装置。
  7. 前記触媒担体がセリアとアルミナとがnmスケールで分散している混合物を含有することを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化装置。
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