JP2009176691A - プラズマジェット点火プラグ - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁碍子と接地電極とを軸線方向に互いに離間させて絶縁碍子の破損を防止すると共に、その間隙の大きさを規定することで、噴出されるプラズマのエネルギー損失を低減し、着火性の低下を抑制することができるプラズマジェット点火プラグを提供する。
【解決手段】プラズマジェット点火プラグ100を構成する絶縁碍子10の先端16と接地電極30との間に間隙(第1間隙)を設けた。キャビティ60の容積Sを0.1以上10mm以下としたので、キャビティ60内で形成されるプラズマはキャビティ60内で広がり分散されることが抑制される。また、第1間隙の大きさaを0<a≦0.5[mm]としたので、十分なエネルギーをもってキャビティ60から噴出されたプラズマが外方へ噴出するためオリフィス31へ向かう途中で、そのエネルギーが第1間隙内に漏出することが抑制される。
【選択図】図2

Description

本発明は、プラズマを形成して混合気への点火を行う内燃機関用のプラズマジェット点火プラグに関するものである。
従来、例えば自動車用の内燃機関であるエンジンの点火プラグには、火花放電により混合気への着火を行うスパークプラグが使用されている。近年、内燃機関の高出力化や低燃費化が求められており、燃焼の広がりが速く、着火限界空燃比のより高い希薄混合気に対しても確実に着火できる着火性の高い点火プラグとして、プラズマジェット点火プラグが知られている。
このようなプラズマジェット点火プラグは、中心電極と、主体金具と一体になった接地電極(外部電極)との間の火花放電間隙(ギャップ)の周囲をセラミックス等からなる絶縁碍子(絶縁体,ハウジング)で包囲して、キャビティ(チャンバー)と称する小さな容積の放電空間を形成した構造を有している。そして、中心電極と接地電極との間に高電圧を印加して火花放電を行い、このときに生じた絶縁破壊によって比較的低電圧で電流を流すことができるようになるため、更にエネルギーを供給することで放電状態を遷移させ、これによりキャビティ内で形成されるプラズマをオリフィスと呼ばれる開口部(外部電極孔)から噴出させて、混合気への着火を行うものである(例えば、特許文献1または特許文献2参照。)。
特許文献1や特許文献2に記載のプラズマジェット点火プラグは、筒状に形成された主体金具の先端側の端部を閉じ、この端部を接地電極として中央にオリフィスを開口すると共に、この接地電極の内面に、外部電極内に収容する絶縁碍子の先端面を当接させて、オリフィスとキャビティとが同軸状に連続する形態を有している。また、主体金具の先端部に別体の接地電極を接合し、その接地電極の中央にオリフィスを開口すると共に、絶縁碍子の先端面を接地電極の内面(内部側の面)に当接させた形態のものもある(特許文献1の第2図参照)。
特開平2−72577号公報 特開2006−294257号公報
しかしながら、プラズマジェット点火プラグを製造するにあたって、絶縁碍子、主体金具および接地電極を作製する際の寸法管理を厳密に行い、特許文献1や特許文献2に記載のプラズマジェット点火プラグのように、絶縁碍子の先端面と接地電極の内面とを密着させた場合、使用時に冷熱サイクルの影響を受けると、絶縁碍子や主体金具および接地電極を構成する材料の熱膨張係数差に起因して、絶縁碍子が破損してしまう虞があった。一方、製造公差によって、絶縁碍子の先端面と接地電極の内面との間に大きな間隙が生じた場合、キャビティ内で形成されたプラズマがオリフィスを介して噴出される際に、プラズマのエネルギーがその間隙へ逃げてしまい意図する方向に噴出されなかったり、噴出量(噴出長さ)が少なく(短く)なってしまったりする虞もある。更に、絶縁碍子を保持するにあたり、主体金具内に配置され加締められることにより保持されているが、絶縁碍子と主体金具の両者の製造公差によって絶縁碍子の先端面が接地電極の内面に強く押し当てられた状態で加締められると、内部応力の高まりによって絶縁碍子に破損を生じてしまう虞もある。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、絶縁碍子と接地電極とを軸線方向に互いに離間させて絶縁碍子の破損を防止すると共に、その間隙の大きさを規定することで、噴出されるプラズマのエネルギー損失を低減し、着火性の低下を抑制することができるプラズマジェット点火プラグを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明のプラズマジェット点火プラグは、中心電極と、軸線方向に延びる軸孔を有し、前記中心電極の先端面を前記軸孔内に収容すると共に前記中心電極を保持する絶縁碍子と、当該絶縁碍子の先端側で、前記軸孔の内周面と前記中心電極の先端面とを壁面とする凹部状に形成されたキャビティと、前記絶縁碍子の径方向周囲を取り囲んで保持する主体金具と、前記主体金具に接合されて前記主体金具と電気的に接続されると共に、前記絶縁碍子よりも先端側に配置される電極で、前記キャビティを外気と連通させる開口部を有する接地電極とを備え、前記中心電極と前記接地電極との間で行う放電に伴い前記キャビティ内にてプラズマを生ずるプラズマジェット点火プラグであって、前記絶縁碍子と前記接地電極とは前記軸線方向に互いに離間した状態で配置されており、前記軸線方向における前記絶縁碍子と前記接地電極との間隙の大きさをaとし、前記キャビティの容積をSとしたときに、0<a≦0.5[mm]であると共に、0.1≦S≦10[mm]であることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明のプラズマジェット点火プラグは、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記軸線方向で前記キャビティの形成位置において、前記絶縁碍子と前記主体金具とは、前記軸線方向と直交する径方向に互いに離間した状態で配置されており、前記軸線方向と直交する径方向における前記絶縁碍子と前記主体金具との間隙の大きさをbとしたときに、b≦1.1[mm]であることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明のプラズマジェット点火プラグは、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記bは、0.1≦b≦1.1[mm]であることを特徴とする。
また、請求項4に係る発明のプラズマジェット点火プラグは、中心電極と、軸線方向に延びる軸孔を有し、前記中心電極の先端面を前記軸孔内に収容すると共に前記中心電極を保持する絶縁碍子と、当該絶縁碍子の先端側で、前記軸孔の内周面と前記中心電極の先端面とを壁面とする凹部状に形成されたキャビティと、前記絶縁碍子の径方向周囲を取り囲んで保持する主体金具と、前記主体金具に接合されて前記主体金具と電気的に接続されると共に、前記絶縁碍子よりも先端側に配置される電極で、前記キャビティを外気と連通させる開口部を有する接地電極とを備え、前記中心電極と前記接地電極との間で行う放電に伴い前記キャビティ内にてプラズマを生ずるプラズマジェット点火プラグであって、前記主体金具の前記接地電極との接合部および前記接地電極のうちの少なくとも一方と、前記絶縁碍子とは前記軸線方向に互いに離間した状態で配置されており、前記主体金具の前記接地電極との接合部および前記接地電極のうちの少なくとも一方と、前記絶縁碍子との間の間隙には、それぞれと密着する第1パッキンが介在されていることを特徴とする。
また、請求項5に係る発明のプラズマジェット点火プラグは、請求項4に記載の発明の構成に加え、前記絶縁碍子の外周面のうち、前記主体金具の先端部側に設けられた取付部における当該主体金具の径方向内側に収容される部位には、自身の後端側の外径を先端側の外径よりも大きく構成した碍子段部が形成されると共に、前記主体金具の内周面には、自身と前記碍子段部との向き合う面同士が互いに対向するように前記主体金具の径方向内向きに膨出する金具段部が形成され、前記碍子段部と前記金具段部との間に両者と密着する第2パッキンが介在されており、当該第2パッキンは、前記第1パッキンよりも硬度が高いことを特徴とする。
また、請求項6に係る発明のプラズマジェット点火プラグは、請求項4または5に記載の発明の構成に加え、前記軸線方向における前記主体金具の前記接地電極との接合部および前記接地電極のうちの少なくとも一方と、前記絶縁碍子との間の間隙の大きさをaとし、前記キャビティの容積をSとしたときに、0<a≦0.8[mm]であると共に、0.1≦S≦10[mm]であることを特徴とする。
また、請求項7に係る発明のプラズマジェット点火プラグは、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記軸線方向における前記中心電極と前記接地電極との間の間隙の大きさをGとしたときに、1.0≦G≦3.0[mm]であることを特徴とする。
請求項1に係る発明のプラズマジェット点火プラグでは、軸線方向における絶縁碍子と接地電極との間に間隙(第1間隙)を有しているので、両者が密着している場合に熱膨張係数の差から生じ得る内部応力の高まりによって破損する虞がない。また、プラズマジェット点火プラグの製造過程においても、絶縁碍子と接地電極との間に第1間隙を有する(すなわち、軸線方向における絶縁碍子記接地電極との間隙の大きさa>0[mm])ように設計を行えば、両者の製造公差により絶縁碍子が接地電極に対し押圧状態のまま主体金具に保持されることが防止されるので、絶縁碍子の破損を防止することができる。
このような第1間隙を有するプラズマジェット点火プラグにおいて、キャビティの容積Sが0.1≦S≦10[mm]を満たす。よって、キャビティ内で形成されるプラズマを開口部から噴出させるのに必要な最低限のエネルギーを確保しつつ、そのエネルギーがキャビティ内で広がって分散してしまうことが抑制され、キャビティから十分なエネルギー量をもったプラズマを噴出することができる。更に、第1間隙の大きさaが0<a≦0.5[mm]を満たすので、キャビティから噴出されるプラズマが開口部へ向かう途中で、そのエネルギーが第1間隙内に漏出しにくい。このため、開口部から外方へ向けて十分に有効な大きさのプラズマを噴出することができ、良好な着火性を得ることができる。
そして、請求項2に係る発明のように、軸線方向と直交する径方向における絶縁碍子と主体金具との間隙(第2間隙)の大きさbがb≦1.1[mm]を満たせば、第1間隙と第2間隙とを含めた間隙全体の容積が大きくならないよう抑えることができる。これにより、キャビティから噴出されるプラズマが開口部へ向かう途中で、第1間隙内に漏出したプラズマのエネルギーが更に第2間隙内へ流れてしまうことでプラズマのエネルギーが大幅に奪われてしまうことを抑制することができるので、開口部から外方へ向けて十分に有効な大きさのプラズマを噴出することができ、良好な着火性を得ることができる。
プラズマジェット点火プラグ単体としての耐熱性の観点では、大きさbは、0に近いほど好ましい。一方、絶縁碍子と主体金具との組み付け挿入性や使用に伴う冷熱サイクルにより、プラズマジェット点火プラグを構成する部品が膨張・収縮する。このため、大きさbは、請求項3に係る発明のように、0.1[mm]以上であることが好ましい。大きさbの下限値を0.1[mm]と設定することにより、使用時における部品の膨張・収縮による破損の被害を軽減することができる。
また、請求項4に係る発明のプラズマジェット点火プラグでは、主体金具の接合部および接地電極のうちの少なくとも一方と絶縁碍子との間隙(第1間隙)に第1パッキンを介在させたので、この第1パッキンにより第1間隙を封止することができる。従って、キャビティから噴出されるプラズマが開口部へ向かう途中で、そのエネルギーが第1間隙内の奧へ向けて漏出することがないので、開口部から外方へ向けて十分に有効な大きさのプラズマを噴出することができ、良好な着火性を得ることができる。
また、請求項5に係る発明のように、この第1パッキンの硬度よりも、主体金具で絶縁碍子を保持する際に使用される第2パッキンの硬度を高くすれば、第1パッキンは、第2パッキンの変形(封止効果を高めるためその表面において生じ得る変形)を阻害しない。つまり、プラズマジェット点火プラグの製造過程において主体金具による絶縁碍子の保持(加締めによる保持)のため必要な力を加えた場合に、第1パッキンはその力で容易に変形し、第2パッキンの表面の変形を妨げないので、第2パッキンは主体金具および絶縁碍子の双方に密着することができ、両者間を通じた燃焼ガスの漏出を防止することができる。また、第1パッキンは、主体金具による絶縁碍子の加締め保持の際に、絶縁碍子と接地電極との間で緩衝材としても機能することができ、プラズマジェット点火プラグの製造過程において、絶縁碍子の破損を防止することができる。
そして、請求項6に係る発明のように、キャビティの容積Sが0.1≦S≦10[mm]を満たす構成とすれば、キャビティ内で形成されるプラズマのエネルギーがキャビティ内で広がって分散してしまうことがなく、十分なエネルギー量をもったプラズマを噴出することができる。更に、第1間隙の大きさaが0<a≦0.8[mm]を満たす構成とすれば、キャビティから噴出されるプラズマが開口部へ向かう途中で、そのエネルギーが第1間隙内に漏出しにくい。このため、開口部から外方へ向けて十分に有効な大きさのプラズマを噴出することができ、良好な着火性を得ることができる。
また、請求項7に係る発明のように、軸線方向における中心電極と接地電極との間の間隙(火花放電間隙)の大きさGが、G≦3.0[mm]を満たす構成とすれば、良好な着火性を得ることができる。この根拠は後述する試験(実施例2)により説明するが、火花放電間隙の大きさGが3.0mmを超えてしまうと3.0mm以下の場合と比較してその着火性が著しく低下してしまうためである。その一方で、火花放電間隙の大きさGが、1.0≦G[mm]を満たす構成とすれば、キャビティの深さを十分に確保することができ、噴出されるプラズマを有効なフレーム状とすることができ、着火性を向上させることができる。
以下、本発明を具体化したプラズマジェット点火プラグの第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、図1,図2を参照して、一例としてのプラズマジェット点火プラグ100の構造について説明する。図1は、第1の実施の形態のプラズマジェット点火プラグ100の部分断面図である。図2は、第1の実施の形態のプラズマジェット点火プラグ100の先端部分を拡大した断面図である。なお、図1において、プラズマジェット点火プラグ100の軸線O方向を図面における上下方向とし、下側をプラズマジェット点火プラグ100の先端側(前方)、上側を後端側(後方)として説明する。
図1に示す、第1の実施の形態のプラズマジェット点火プラグ100は、概略、絶縁碍子10と、この絶縁碍子10を保持する主体金具50と、絶縁碍子10内に軸線O方向に保持された中心電極20と、主体金具50の先端部65に溶接された接地電極30と、絶縁碍子10の後端部に設けられた端子金具40とから構成されている。
絶縁碍子10は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成され、軸線O方向に軸孔12を有する筒状の絶縁部材である。軸線O方向の略中央には外径が最も大きな鍔部19が形成されており、これより後端側には後端側胴部18が形成されている。後端側胴部18の後端側の外周面には、主体金具50と端子金具40との間の沿面距離を稼ぐためのコルゲーションとよばれる凹凸状の加工がなされている。また、鍔部19より先端側には後端側胴部18より外径が小さい先端側胴部17と、その先端側胴部17よりも先端側で先端側胴部17よりも更に外径の小さな脚長部13とが形成されている。この脚長部13と先端側胴部17との間は段状をなす段部14が形成されている。なお、段部14が、本発明における「碍子段部」に相当する。
軸孔12の脚長部13の内周部分は、先端側胴部17,鍔部19および後端側胴部18の内周部分よりも縮径された電極収容部15として形成されている。この電極収容部15の内部には中心電極20が保持される。図2に示すように、軸孔12は、電極収容部15の先端側において内周が更に縮径されており、先端小径部61として形成されている。この先端小径部61は、絶縁碍子10の先端(先端面)16にて開口している。
次に、中心電極20は、インコネル(商標名)600または601等のニッケル系合金等で形成された円柱状の電極棒で、内部に熱伝導性に優れる銅等からなる金属芯23を有している。中心電極20の先端部21には、貴金属やW(タングステン)を主成分とする合金からなる円盤状の電極チップ25が、中心電極20と一体となるように溶接されている。なお、第1の実施の形態では、中心電極20と一体になった電極チップ25も含め「中心電極」と称する。
また、図1に示すように、中心電極20の後端側は鍔状に拡径され、この鍔状の部分が軸孔12内において電極収容部15のうちの段状の部位に当接されており、電極収容部15内で中心電極20が位置決めされている。そして図2に示すように、中心電極20の先端部21の先端面26(より具体的には中心電極20の先端部21にて中心電極20と一体に接合された電極チップ25の先端面26)の周縁が、径の異なる電極収容部15と先端小径部61との間の段部に当接された状態となっている。この構成により、軸孔12の先端小径部61の内周面と、中心電極20の先端面26とで包囲された有底円筒状をなす容積の小さな放電空間が形成されている。プラズマジェット点火プラグ100では、接地電極30と中心電極20との間にて形成される火花放電間隙にて火花放電が行われるが、その火花放電の経路はこの放電空間内を通過することとなる。この放電空間はキャビティ60と称され、火花放電の際にはこのキャビティ60でプラズマが形成され、先端16の開口より前方へ噴出される。
また図1に示すように、中心電極20は、軸孔12の内部に設けられた金属とガラスの混合物からなる導電性のシール体4を経由して、先端側胴部17内で端子金具40と電気的に接続されている。中心電極20と端子金具40は、このシール体4によって軸孔12内で導通されつつ軸孔12内に固定される。端子金具40は軸孔12内を後方へ延び、後端部41が絶縁碍子10の後端より外部に突出されている。この後端部41には、プラグキャップ(図示外)を介して高圧ケーブル(図示外)が接続され、点火装置(図示外)から高電圧が印加されるようになっている。
次に、主体金具50について説明する。主体金具50は、内燃機関のエンジンヘッド(図示外)にプラズマジェット点火プラグ100を固定するための筒状の金具であり、絶縁碍子10の脚長部13から後端側胴部18の先端側にかけての部位の周囲を取り囲むようにして、自身の筒孔59内に絶縁碍子10を保持している。主体金具50は低炭素鋼材より形成されており、略中央から先端側にかけて太径の取付部52が形成されている。取付部52の外周面には雄ねじ状のねじ山が形成されており、エンジンヘッドの取付孔(図示外)に形成された雌ねじに螺合する。なお、主体金具50は耐熱性を重視し、ステンレスやインコネル(商標名)等を用いてもよい。
また、取付部52の後端側には、鍔状のシール部54が形成されている。そしてシール部54と取付部52との間の部位には、板体を折り曲げて形成した環状のガスケット5が嵌挿されている。ガスケット5は、プラズマジェット点火プラグ100をエンジンヘッドの取付孔(図示外)に取り付けた際に、シール部54の先端向きの面である座面55と、取付孔の開口の周縁部位との間に挟まれ変形し、両者間を封止することで、取付孔を介した燃焼ガスの流出が防止するものである。
シール部54の後端側には、図示外のプラグレンチが嵌合する工具係合部51が形成されている。工具係合部51より後端側には薄肉の加締部53が設けられており、工具係合部51とシール部54との間にも薄肉の座屈部58が設けられている。そして、工具係合部51から加締部53にかけての内周面と絶縁碍子10の後端側胴部18の外周面との間には円環状のリング部材6,7が介在されており、更に両リング部材6,7間にタルク(滑石)9の粉末が充填されている。
また、図2に示すように、取付部52の内周面には段状の段部56が形成され、絶縁碍子10を保持する際には、この段部56に、絶縁碍子10の段部14が環状の第2パッキン80を介して支持される。この第2パッキン80には、例えばニッケル材が用いられる。そして、図1に示すように、加締部53の端部を内側に折り曲げるようにして加締めることにより、リング部材6,7およびタルク9を介し、絶縁碍子10が先端側に向け押圧される。この加締めの際に座屈部58は加熱され、圧縮力の付加に伴い膨らむように変形されることで、加締部53の圧縮ストロークを稼ぐ。これにより、主体金具50の加締部53と段部56との間に、絶縁碍子10の段部14と鍔部19との間の部位が確実に挟まれ、主体金具50に絶縁碍子10が一体になるように保持される。主体金具50の筒孔59の内周面と絶縁碍子10の脚長部13の外周面との間には間隙が設けられている。第2パッキン80により主体金具50と絶縁碍子10との間の気密性は保持され、筒孔59を介した燃焼ガスの流出が防止される。なお、段部56が、本発明における「金具段部」に相当する。
また、主体金具50の先端部65には接地電極30が設けられている。接地電極30は耐熱性に優れた金属から構成されており、一例としてインコネル(商標名)600または601等のニッケル系合金が用いられる。図2に示すように、接地電極30は中央にオリフィス31とよばれる開口(厚み方向の貫通孔)を有する円盤状に形成されている。そして接地電極30は、厚み方向を軸線O方向に揃え、絶縁碍子10の先端16よりも前方に配置された状態で、すなわち絶縁碍子10との間に間隙を有した状態で、主体金具50の先端部65の内周面に形成された係合部57に係合されている。この状態で外周縁が一周にわたって係合部57にレーザ溶接され、接地電極30は主体金具50と一体に接合されている。接地電極30のオリフィス31は絶縁碍子10のキャビティ60と略同軸に連ねられた配置となり、オリフィス31を介し、キャビティ60の内部が外気と連通している。なお、オリフィス31が、本発明における「開口部」に相当する。
このように構成されたプラズマジェット点火プラグ100では、内燃機関の稼働に伴い、中心電極20と接地電極30との間の火花放電間隙に高電圧が印加されると、接地電極30と中心電極20との間の絶縁が破壊され、火花放電が生ずる(トリガー放電ともいう)。この状態で更なるエネルギーが火花放電間隙に供給されると、周囲を壁面に囲まれた小空間からなるキャビティ60内で高エネルギーのプラズマが形成される。このプラズマは、キャビティ60から噴出される際に火柱のような形状、いわゆるフレーム状となり、接地電極30のオリフィス31を介し、外方、すなわち燃焼室内に向けて噴出される。そして燃焼室内の混合気に着火し、形成された火炎核が成長して燃焼が行われる。
このような形態をなすプラズマジェット点火プラグ100は、接地電極30と絶縁碍子10の先端16との間に間隙(以下、「第1間隙」という。)を有している。第1の実施の形態では、この第1間隙の大きさをaとし、キャビティ60の容積をSとしたときに、後述する実施例1に基づいて、0<a≦0.5[mm]が満たされると共に、0.1≦S≦10[mm]が満たされることとして規定している。キャビティ60の容積Sが10[mm]より大きくなると、形成されるプラズマのエネルギーがキャビティ60内で広がり分散してしまい、開口側から噴出されるプラズマのエネルギー量が少なくなって(フレームの長さが短くなって)着火性が低下する虞がある。また、第1間隙の大きさaが0.5mmより大きいと、キャビティ60で形成されたプラズマがオリフィス31へ向かう途中でそのエネルギーが第1間隙内に漏出し、同様に、プラズマの噴出量が少なくなるため着火性が低下する虞がある。上記のように、0<a≦0.5[mm]が満たされると共に、0.1≦S≦10[mm]が満たされれば十分に良好な着火性を得られることが、後述する実施例1の結果より確認されている。
なお、接地電極30は、主体金具50の係合部57に接合されることによって主体金具50に対し位置決めされている。また、絶縁碍子10の先端16は、主体金具50の段部56に第2パッキン80を介して絶縁碍子10の段部14が支持されることによって、主体金具50に対し位置決めされる。すなわち、接地電極30と絶縁碍子10の先端16との間の第1間隙の大きさaは、加締部53の加締め具合や、第2パッキン80の厚み、硬さ等によって、製造公差を含めた管理がなされるものである。
また、プラズマジェット点火プラグ100は、絶縁碍子10の脚長部13の外周面と主体金具50の筒孔59の内周面との間に、第1間隙と繋がった間隙(以下、「第2間隙」という。)を有している。第1の実施の形態では、この第2間隙の大きさをbとしたときに、後述する実施例2に基づいて、0.1≦b≦1.1[mm]が満たされることとして規定している。第2間隙の大きさbが1.1mmより大きいと、第1間隙と第2間隙とを含めた間隙全体の容積が大きくなるため、第1間隙内に漏出したプラズマのエネルギーが第2間隙内へ流れやすくなり、その結果、プラズマのエネルギーが大幅に奪われて噴出量が少なくなり着火性が低下する虞がある。また、プラズマジェット点火プラグ単体としての耐熱性の観点では、第2間隙の大きさbは、0に近いほど好ましいが、絶縁碍子10と主体金具50との組み付け挿入性や使用に伴う冷熱サイクルにより、プラズマジェット点火プラグ100を構成する部品が膨張・収縮する。このため、第2間隙の大きさbは、0に近づけた場合、部品の膨張・収縮による破損する虞がある。上記のように、0.1≦b≦1.1[mm]が満たされれば、部品の膨張・収縮によりプラズマジェット点火プラグが破損することなく、十分に良好な着火性を得られることが、後述する実施例2の結果より確認されている。
更に、第1の実施の形態では、軸線方向における中心電極20と接地電極30との間に形成される火花放電間隙の大きさをGとしたときに、後述する実施例2に基づいて、1.0≦G≦3.0[mm]が満たされることとして規定している。火花放電間隙の大きさGが3.0mmより大きくなると、着火性が低下してしまうためである。これを解決するためには、中心電極20と接地電極30との間で火花放電を生じさせるために印加する電圧を、より高いものとすればよいが、過剰な電圧の印加により絶縁碍子10が貫通破壊してしまう虞もある。また、電源をより高価なものを用いなければならなくなったりする。このような観点からも火花放電間隙の大きさGは3.0mm以下としておくことが好ましい。一方、火花放電間隙の大きさGが1.0mm未満となると、キャビティ60の軸線O方向の長さ(キャビティ60の深さ)を十分に確保できず、噴出されるプラズマが有効なフレーム状とならず、着火性が低下する虞がある。上記のように、1.0≦G≦3.0[mm]が満たされれば火花放電の確実性を高め、十分に良好な着火性を得られることが、後述する実施例2の結果より確認されている。
なお、上述のプラズマジェット点火プラグ100の説明においては、絶縁碍子10の主体金具50による保持方法についていわゆる熱加締めによる構成を説明したが、この保持方法についてはなんら限定されることはない。例えば、加熱を行わず冷間加工にて加締めを行ってもよいし、タルク9を用いず、直接またはパッキン等を介して間接的に加締部53の端部が絶縁碍子10を押圧して絶縁碍子10を保持してもよい。更には、加締めによらずとも絶縁碍子10を保持できればよく、その方法を限定するものではない。しかしながら、保持方法として加締め等により絶縁碍子10が軸線O方向の先端側へ押圧される方法を用いる場合には、例示した熱加締めによる構成は製造過程における絶縁碍子10の破損を防ぐ効果を有する面で効果的である。
次に、本発明に係るプラズマジェット点火プラグの第2の実施の形態について、図3を参照して説明する。図3は、第2の実施の形態のプラズマジェット点火プラグ200の部分拡大断面図である。図3に示す、第2の実施の形態のプラズマジェット点火プラグ200は、第1の実施の形態のプラズマジェット点火プラグ100(図2参照)の接地電極30と絶縁碍子10の先端16との間の間隙に、第1パッキン270を介在させたものである。この第1パッキン270は、例えば冷間圧延鋼板を用いて円環状に形成したものである。第1パッキン270の内径Eはキャビティ60の内径Dよりも大きく構成され、少なくとも第1パッキン270の内径Eとキャビティ60の内径Dとの径差の1/2が、第1隙間の大きさaよりも大きくなるように規定されている。つまり、中心電極20と接地電極30との間で生じ得る沿面放電および気中放電の絶縁破壊電圧値よりも、中心電極20と第1パッキン270との間で生じ得る沿面放電の絶縁破壊電圧値の方が大きくなるように構成されている。なお、第2の実施の形態のプラズマジェット点火プラグ200の構造は、第1の実施の形態のプラズマジェット点火プラグ100の構造と比べ、第1パッキン270の有無のみ異なり、その他の部位については同一であるため、その他の部位の構造についての説明は省略または簡略化する。
このような構成のプラズマジェット点火プラグ200は、その製造過程において、第1の実施の形態と同様に、主体金具50の加締部53を加締めることによって、絶縁碍子10が主体金具50の筒孔59内に保持される。このときに、第1間隙に挟み込まれる第1パッキン270によって、段部14,56間に挟まれる第2パッキン80の変形が阻害されないように、第1パッキン270は、その硬度が第2パッキン80の硬度よりも低くなるように、自身を構成する材料が選択されている。一例として、第1パッキン270にはJIS G3141で規定される冷間圧延鋼板でビッカース硬度が110HV程度のものを用い、第2パッキン80にはJIS H4501で規定される電子管用ニッケル材でビッカース硬度が200HV程度のものを用いるとよい。
更に、第1パッキン270は、第1間隙を介したプラズマのエネルギーの漏出を防止できるように両者間を封止するため、プラズマジェット点火プラグ200への組み付け前の厚みが、第1間隙の大きさaと同じか、それよりやや大きくなるように構成されている。なお、主体金具50の筒孔59を介した燃焼ガスの流出は第2パッキン80により防止されれば十分であり、第1パッキン270ではプラズマのエネルギーの漏出を封止できるだけの抗力を、接地電極30や絶縁碍子10の先端16に対して有すればよい。
このように、第2の実施の形態のプラズマジェット点火プラグ200では、第1間隙に第1パッキン270を介在させることで、確実に、接地電極30と絶縁碍子10の先端16との間に隙間を生じさせ、第1間隙を有することができる。キャビティ60の容積Sや火花放電間隙の大きさGについての各規定は第1の実施の形態と同様であるが、第1間隙に第1パッキン270が介在されることにより、プラズマのエネルギーが第2間隙に漏出することはなく、第1間隙内に漏出するエネルギー量も低減される。従って、第1間隙の大きさaを更に拡張しても十分に、プラズマジェット点火プラグ200の着火性は維持される。具体的には第1間隙の大きさaが0.8mm以下であれば十分に良好な着火性を得られることが、後述する実施例3の結果より確認されている。
以上説明したように、プラズマジェット点火プラグに第1間隙を設けたり(第1の実施の形態)、第1間隙に第1パッキン270を介在させたり(第2の実施の形態)することで、使用時の熱応力の影響や製造時にかかる応力によって絶縁碍子10が破損することを防止できるようにしつつ、上記のように各部の大きさを規定することで良好な着火性が得られることを確認するため評価試験を行った。
[実施例1]
まず、キャビティ60の容積Sや第1間隙の大きさaと着火性の良否との関係について確認するため評価試験を行った。この評価試験では、キャビティの内径Dを異ならせ容積Sが5,10,15,20mmとなるように調整した4種類の絶縁碍子を用い、各種類ごとに、第1間隙の大きさaを0.1〜0.7mmの範囲で異ならせた複数のプラズマジェット点火プラグのサンプルを作製した。なお、各サンプルは、火花放電間隙の大きさGを3.0mmとし、第2間隙の大きさbを1.0mmとした。また、第1間隙に第1パッキンは介在させていない。
これらのサンプルを個々に加圧チャンバーに取り付け、着火性の確認を行った。具体的には、まず、サンプルをチャンバーに取り付けた後、チャンバー内を空気とCガスとの混合比(空燃比)を22とした混合気で充填し、気圧を0.05MPaとする(ガス充填工程)。次にサンプルを150mJのエネルギー量を供給可能な電源に接続し、高電圧を印加して点火を試み、混合気が着火したかどうか確認する(着火確認工程)。なお、着火したかどうかの検出は、圧力センサでチャンバー内気圧を測定し、チャンバー内の圧力変化を観察することにより行った。この一連の工程を100回試行し、着火確率を求めた。この評価試験をサンプルごとに行った結果をグラフ化したものを図4に示す。
図4のグラフに示すように、第1間隙の大きさaが大きくなるに従い、着火確率が低下する傾向がみられた。そして、キャビティの容積Sが0.1mm,5mm,および10mmのサンプルはそれぞれ、第1間隙の大きさaが0.5mm以下の場合に着火確率が100%であり、第1間隙の大きさaが0.5mmより大きくなるに従って、着火確率が低下することが確認できた。しかし、キャビティの容積Sが0.05mm,15mm,および20mmのサンプルではそれぞれ、第1間隙の大きさaが0.1mmであっても着火確率が100%とはならなかった。この評価試験の結果より、プラズマジェット点火プラグの第1間隙の大きさaを0より大きく0.5mm以下とすると共に、キャビティの容積Sを0.1以上10mm以下とすれば、プラズマジェット点火プラグを破損させることなく100%の着火確率を得られることがわかった。
[実施例2]
次に、火花放電間隙の大きさGや第2間隙の大きさbと着火性の良否との関係について確認するため評価試験を行った。この評価試験では、第2間隙の大きさbが0.5,1.0,1.1,1.5mmの4種類となるように脚長部の外径を調整すると共に、第2間隙の大きさbの種類ごとに、火花放電間隙の大きさGを1.0から4.0の範囲で異ならせた複数の絶縁碍子を用い、プラズマジェット点火プラグのサンプルを作製した。なお、いずれのサンプルも第1間隙の大きさaを0.5mmとし、火花放電間隙の大きさGの調整はキャビティの深さを調整することで行った。このとき、キャビティの容積Sが10mmとなるように、各サンプルともキャビティの内径Dを調整した。すなわち、この評価試験は、実施例1において100%の着火性を得られた限界値として確認された値を用いて行うものである。また、実施例1と同様に第1間隙に第1パッキンは介在させていない。
これらのサンプルを個々に、実施例1と同様に、空気とCガスとの混合比(空燃比)を22とした混合気を充填し、気圧を0.05MPaとしたチャンバーに取り付け、150mJのエネルギー量を供給可能な電源に接続し、上記したガス充填工程および着火確認工程を100回試行して着火確率を求めた。この評価試験をサンプルごとに行った結果をグラフ化したものを図5に示す。
図5のグラフに示すように、いずれのサンプルも、火花放電間隙の大きさGが3.0mmを超えると急激に着火確率が低下することがわかった。つまり、火花放電間隙の大きさGが3.0mmを超えると火花放電間隙における絶縁破壊が生じにくくなるといえる。なお、火花放電間隙の大きさGが1.0mm未満の場合はキャビティの深さを十分に確保できず、有効なフレーム状のプラズマが噴出できなくなる虞があるため評価していない。このことから、火花放電間隙の大きさGを1.0mm以上3.0mm以下とするとよいことがわかった。
また、図5のグラフにおいて、火花放電間隙の大きさGが3.0mm以下の場合、第2間隙の大きさbが1.0mm以下のサンプルでは100%の着火確率を得られることが確認できた。このまま第2間隙の大きさbを1.1mmとすると着火確率は100%を下回ったが、おおむね80%以上の着火確率を得られた。更に第2間隙の大きさbを1.5mmとすると、着火確率は大きく低下してしまった。この評価試験の結果より、プラズマジェット点火プラグの第2間隙の大きさbを1.1mm以下とすれば、良好な着火性を得られることが確認できた。なお、第2間隙の大きさbを1.0mm以下とすれば、100%の着火確率を得られ、より好ましい。
[実施例3]
次に、第1間隙に配置する第1パッキンの有無によって着火性が向上するか確認するため評価試験を行った。この評価試験では、第1間隙に第1パッキンを介在させたものと介在させなかったものとの2種類を、種類ごとに、第1間隙の大きさaが0.3〜0.9mmの範囲で異なるようにして作製した複数のプラズマジェット点火プラグのサンプルを用意した。各サンプルは、第2間隙の大きさbを1.0mmとした。また、第1間隙の大きさaによらず火花放電間隙の大きさGが3.0mmとなるように、各サンプルのキャビティの深さを調整した。更に、キャビティの内径Dを調整することで、いずれのサンプルもキャビティの容積Sが10mmとなるようにした。すなわちこの評価試験は、上記同様に実施例1,2において100%の着火性を得られた限界値として確認された値を用いて行うものである。
これらのサンプルを個々に、実施例1,2と同様に、空気とCガスとの混合比(空燃比)を22とした混合気を充填し、気圧を0.05MPaとしたチャンバーに取り付け、150mJのエネルギー量を供給可能な電源に接続し、上記したガス充填工程および着火確認工程を100回試行して着火確率を求めた。この評価試験をサンプルごとに行った結果をグラフ化したものを図6に示す。
図6のグラフに示すように、第1間隙に第1パッキンを介在させなかったサンプルでは、第1間隙の大きさaが0.5mm以下の場合には100%の着火確率が得られ、0.5mmを超えると着火確率が低下することは、実施例1の結果と同様である。一方、第1間隙に第1パッキンを介在させたサンプルでは、第1間隙の大きさaが0.8mmを超えるまで(0.8mm以下であれば)、100%の着火確率を維持することができることがわかった。
なお、本発明は各種の変形が可能なことはいうまでもない。第1,第2の実施の形態は、主体金具50の筒孔59の先端側の開口を接地電極30で塞ぐような形態としたが、図7に示すプラズマジェット点火プラグ300のように、筒孔359の先端側の開口周縁を延ばして径方向内側へ折り曲げた形態の接合部365を形成し、その接合部365の中央に設けた開口357に、オリフィス331が形成された接地電極330を接合してもよい。また、この接合部365と絶縁碍子10の先端16との間の間隙に第1パッキン370を介在させてもよい。もちろん、第1パッキン370は接地電極330に接していてもよい。また、プラズマジェット点火プラグ300の接地電極330がなく、主体金具350の接合部365の中央の開口357がそのままオリフィスとして構成されてもよい。なお、プラズマジェット点火プラグ300における各間隙の大きさ等の寸法は、第1,第2の実施の形態に準ずるものとする。
また、第1,第2の実施の形態では、いずれの例においても、絶縁碍子10の先端(先端面)16および先端16に対向する接地電極30の後端向き面を平面とし、互いに平行に配置した場合を例示していた。しかし、絶縁碍子10の先端16および接地電極30の後端向き面の形状や配置は種々変更可能である。例えば、先端16および接地電極30の後端向き面の少なくとも一方は、平面に変えて曲面としてもよいし、段付きの形状としてもよい。また例えば、絶縁碍子10の先端16および接地電極30の後端向き面は、互いに平行に配置されなくてもよい。本発明の趣旨は、絶縁碍子の先端面と接地電極との間へのプラズマの進入を防ぐことにあるので、上記のような変形を加えた場合、第1間隙の大きさaは、オリフィス31側(絶縁碍子の径方向において、最も内側)において測定されればよい。また、第2間隙の大きさbについては、図2に示す如く最も先端側の部位(但しC面取りやR面取り部位を除く)にて測定されればよい。
また、本発明の効果を確認する試験において、キャビティ60の深さや先端小径部61の径を変更することでその容積Sを変更させているが、任意の容積Sを設定する際に、その形態を特に限定するものではない。第1,第2の実施の形態のように先端小径部61の内周面と中心電極20の先端面26とからキャビティ60を構成する形態(図2,図3参照)でもよく、特に図示しないが、先端小径部61よりも後端側の先端小径部61の内径よりも拡径した電極収容部15の一部を含むようにキャビティ60を構成してもよい。また、先端小径部61の内径を適宜変更してもよい。無論、その際には接地電極30のオリフィス31の開口径は先端小径部61の内径よりも大きくした方が、プラズマが第1間隙へ漏出しにくく好ましいことは言うまでもない。
第1の実施の形態のプラズマジェット点火プラグ100の部分断面図である。 第1の実施の形態のプラズマジェット点火プラグ100の先端部分を拡大した断面図である。 第2の実施の形態のプラズマジェット点火プラグ200の部分拡大断面図である。 キャビティの容積Sと第1間隙の大きさaと着火確率との関係を示すグラフである。 火花放電間隙の大きさGと第2間隙の大きさbと着火確率との関係を示すグラフである。 第1間隙の第1パッキンの有無と第1間隙の大きさaと着火確率との関係を示すグラフである。 変形例としてのプラズマジェット点火プラグ300の部分拡大断面図である。
符号の説明
10 絶縁碍子
12 軸孔
14,56 段部
20 中心電極
26 先端面
30,330 接地電極
31,331 オリフィス
50 主体金具
52 取付部
60 キャビティ
80 第2パッキン
100,200,300 プラズマジェット点火プラグ
270,370 第1パッキン
331 オリフィス
357 開口
365 接合部

Claims (7)

  1. 中心電極と、
    軸線方向に延びる軸孔を有し、前記中心電極の先端面を前記軸孔内に収容すると共に前記中心電極を保持する絶縁碍子と、
    当該絶縁碍子の先端側で、前記軸孔の内周面と前記中心電極の先端面とを壁面とする凹部状に形成されたキャビティと、
    前記絶縁碍子の径方向周囲を取り囲んで保持する主体金具と、
    前記主体金具に接合されて前記主体金具と電気的に接続されると共に、前記絶縁碍子よりも先端側に配置される電極で、前記キャビティを外気と連通させる開口部を有する接地電極と
    を備え、
    前記中心電極と前記接地電極との間で行う放電に伴い前記キャビティ内にてプラズマを生ずるプラズマジェット点火プラグであって、
    前記絶縁碍子と前記接地電極とは前記軸線方向に互いに離間した状態で配置されており、
    前記軸線方向における前記絶縁碍子と前記接地電極との間隙の大きさをaとし、前記キャビティの容積をSとしたときに、
    0<a≦0.5[mm]であると共に、0.1≦S≦10[mm]であることを特徴とするプラズマジェット点火プラグ。
  2. 前記軸線方向で前記キャビティの形成位置において、前記絶縁碍子と前記主体金具とは、前記軸線方向と直交する径方向に互いに離間した状態で配置されており、
    前記軸線方向と直交する径方向における前記絶縁碍子と前記主体金具との間隙の大きさをbとしたときに、
    b≦1.1[mm]であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマジェット点火プラグ。
  3. 前記bは、
    0.1≦b≦1.1[mm]であることを特徴とする請求項2に記載のプラズマジェット点火プラグ。
  4. 中心電極と、
    軸線方向に延びる軸孔を有し、前記中心電極の先端面を前記軸孔内に収容すると共に前記中心電極を保持する絶縁碍子と、
    当該絶縁碍子の先端側で、前記軸孔の内周面と前記中心電極の先端面とを壁面とする凹部状に形成されたキャビティと、
    前記絶縁碍子の径方向周囲を取り囲んで保持する主体金具と、
    前記主体金具に接合されて前記主体金具と電気的に接続されると共に、前記絶縁碍子よりも先端側に配置される電極で、前記キャビティを外気と連通させる開口部を有する接地電極と
    を備え、
    前記中心電極と前記接地電極との間で行う放電に伴い前記キャビティ内にてプラズマを生ずるプラズマジェット点火プラグであって、
    前記主体金具の前記接地電極との接合部および前記接地電極のうちの少なくとも一方と、前記絶縁碍子とは前記軸線方向に互いに離間した状態で配置されており、
    前記主体金具の前記接地電極との接合部および前記接地電極のうちの少なくとも一方と、前記絶縁碍子との間の間隙には、それぞれと密着する第1パッキンが介在されていることを特徴とするプラズマジェット点火プラグ。
  5. 前記絶縁碍子の外周面のうち、前記主体金具の先端部側に設けられた取付部における当該主体金具の径方向内側に収容される部位には、自身の後端側の外径を先端側の外径よりも大きく構成した碍子段部が形成されると共に、
    前記主体金具の内周面には、自身と前記碍子段部との向き合う面同士が互いに対向するように前記主体金具の径方向内向きに膨出する金具段部が形成され、
    前記碍子段部と前記金具段部との間に両者と密着する第2パッキンが介在されており、
    当該第2パッキンは、前記第1パッキンよりも硬度が高いことを特徴とする請求項4に記載のプラズマジェット点火プラグ。
  6. 前記軸線方向における前記主体金具の前記接地電極との接合部および前記接地電極のうちの少なくとも一方と、前記絶縁碍子との間の間隙の大きさをaとし、前記キャビティの容積をSとしたときに、
    0<a≦0.8[mm]であると共に、0.1≦S≦10[mm]であることを特徴とする請求項4または5に記載のプラズマジェット点火プラグ。
  7. 前記軸線方向における前記中心電極と前記接地電極との間の間隙の大きさをGとしたときに、
    1.0≦G≦3.0[mm]であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のプラズマジェット点火プラグ。
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