JP2009170017A - 光記録媒体及びスタンパ - Google Patents

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哲哉 三村
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Yukari Kirito
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Abstract

【課題】色素記録層を有するディスク状の光記録媒体において、色素記録層の膜厚の均一性を改善することを課題とする。すなわち、塗布液の基板内周側への広がりを抑制し、かつ記録層の内周側の端部近傍の膜厚分布を改善することを目的とする。
【解決手段】塗布液を滴下する位置よりも内周側に所定の溝あるいはピット等からなる内周溝領域を設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は光記録媒体等に関し、より詳しくは、有機色素材料を含有する色素記録層を有するディスク状の光記録媒体の表面形状に関する。
近年、大容量、高速のメモリ媒体として光記録媒体が注目されている。レーザ光を用いて情報の記録及び再生が可能な追記型光記録媒体(例えばCD−R、DVD−R、HDDVD−R、BD−R等)の多くは、有機色素材料を含有する色素記録層が用いられている。これらの光記録媒体の基板としては、一般にポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等の樹脂基板が用いられている。
これらの光記録媒体の基板は生産性の面から通常、射出成形法や射出圧縮成形法を用いて行われている。これらの方法は、固定金型と可動金型との間に型締め状態で形成されるキャビティー内にプリフォーマット情報を有する環状の平坦なスタンパを取付け、キャビティー内に溶融樹脂材を導入することによってスタンパの信号(ピット)やレーザ案内溝等のプリフォーマット情報が転写された光記録媒体用の基板を成形する方法である。
上記追記型光記録媒体の色素記録層は、上記基板上に有機色素材料をスピンコート法などの塗布法を利用して塗布形成することにより形成される。この他、必要に応じて反射層、保護層、中間樹脂層、カバー層等の、光記録媒体に必要とされる機能を発現するための種々の層を形成することにより光記録媒体が製造される。
上記基板上に色素記録層を形成するに際しては、有機色素材料の溶液を基板の中央付近に供給し、基板を回転させることにより、有機色素材料の溶液(以下、単に塗布液と記載)を外側に広げながら基板全体に塗布させるスピンコート法が通常用いられる。この際、塗布液が基板上に均一に広がることが重要であり、何らかの原因により塗布液の膜厚にムラが生じると、色素記録層の膜厚が不均一となり、光記録媒体の記録再生特性に重大な影響を及ぼすことが知られている。
このような塗布液のムラは、基板表面の形状や塗布液の供給時の滴下状態により、スピンコート時の塗布液の移動に乱れが生じることで発生する傾向にある。典型的には、塗布液が供給される基板中央付近にスタンパ押さえにより発生する環状の溝が存在する場合、塗布液の移動に乱れが生じ、色素記録層の膜厚ムラが発生することが知られており、これを避けるため、塗布液を環状の溝の外周側に供給することにより、塗布液が環状の溝に達しないようにすることで、色素記録層の膜厚を均一にする方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2002−260278号公報 特開平11−110819号公報 特開2001−195778号公報
しかしながら、塗布液を基板上に滴下した場合、すべての塗布液が基板の外周側に移動する訳ではなく、滴下方法によっては、滴下位置よりも更に内周側に広がる場合がある。従って、たとえ、環状の溝の外周側に塗布液を滴下したとしても、場合によっては部分的に塗布液が溝まで達してしまい、塗布ムラが生じる場合がある。
また、前記環状の溝のような、基板表面上の凹凸が存在しない場合でも、塗布液の滴下状況によっては、内周側への塗布液の広がり方に不均一が生じる場合がある。つまり、塗布液の内周側の端部が真円状に均一になっている場合は、塗布液の流れに不均一が生じにくいが、塗布液の内周側の端部が真円状ではなく波打ったようになっている場合は、塗布液の流れに不均一が生じる傾向にあり、結果として、特に色素記録層の最内周近傍の膜厚分布に影響を及ぼす場合がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、色素記録層を有するディスク状の光記録媒体において、色素記録層の膜厚の均一性を改善することを課題とする。すなわち、塗布液の基板内周側への広がりを抑制し、かつ色素記録層の内周側の端部近傍の膜厚分布を改善することを目的とする。
本発明者等は上記問題点に鑑み、その問題点を解決すべく鋭意検討した結果、塗布液を滴下する位置よりも内周側に所定の溝あるいはピット等からなる内周溝領域を設けることにより、塗布液の基板内周側への広がりを制御し、色素記録層の内周側の端部をより真円状に近い状態にすることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の要旨は、基板上に有機色素材料を含有する色素記録層を有するディスク状の光記録媒体において、内周側の非記録領域に内周溝領域を有し、該色素記録層の内周側の端部が該内周溝領域に存在することを特徴とする光記録媒体に存する(請求項1)。
ここで、前記内周溝領域が、同心円の溝の集合からなることが好ましい(請求項2)。
また、前記内周溝領域が、スパイラル状の溝からなることも好ましい(請求項3)。あるいは、前記内周溝領域が、ピットの集合からなることも好ましい(請求項4)。
また、記録領域に深さが10〜200nmの記録溝を有する光記録媒体であって、前記内周溝領域の溝深さが該記録溝の深さと略同一以上であることが好ましい(請求項5)。
また、記録領域に深さが10〜200nmの記録溝を有する光記録媒体であって、前記内周溝領域のピット深さが該記録溝の深さと略同一以上であることが好ましい(請求項6)。
また、前記内周溝領域の半径方向の幅が10μm以上であることが好ましい(請求項7)。
また、前記内周溝領域の半径方向に隣接するピットまたは溝の間隔が該内周溝領域の半径方向の幅の1/5以下であることが好ましい(請求項8)。
また、本発明の別の要旨は、上述の光記録媒体を製造するためのスタンパであって、前記内周溝領域に相当する溝もしくはピットのパターンを有するスタンパに存する(請求項9)。
本発明によれば、色素記録層の特性の均一性が高い、ディスク状の光記録媒体及びその製造に用いるスタンパを提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下「実施形態」ともいう。)について、図面を参照して説明する。ここでは、ディスク状の光記録媒体として、主にHDDVD−Rを例にとって説明するが、本発明は以下の発明の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々変形して実施することができる。また、使用する図面は、本実施形態を説明するために便宜的に使用するものであり、実際の大きさを表すものではない。
[1.内周溝領域について]
本発明の光記録媒体は、基板上に有機色素材料を含有する色素記録層を少なくとも有し、内周側の非記録再生領域に内周溝領域を有する。ここで、内周溝領域について説明する。
図1は本発明の実施形態が適用される光記録媒体の一例を説明する模式図である。本発明の光記録媒体は、記録再生用レーザ光を照射して情報を再生する領域である記録再生領域と、情報が再生されない領域である非記録再生領域を有する。非記録再生領域は、光記録媒体の外周側にも存在するが(図示せず)、クランプ部を設ける必要性等から、内周側にも存在する。この内周側の非記録再生領域は、例えば外径120mm、内径15mmのHDDVD−Rにおいては、半径22mmよりも内周側の領域に当たる。非記録再生領域の範囲は、光記録媒体の種類によって異なるが、通常は規格によって明確に規定されている。本発明の内周溝領域は、非記録再生領域に、半径方向に有限の幅を持って存在する。内周溝領域は、色素記録層を塗布する面の内周側の非記録再生領域に、部分的に凹部を設けることにより具現化される。
ここで、このような内周溝領域を設ける目的は以下の通りである。
色素記録層を有する光記録媒体においては、記録再生領域を色素記録層で完全に覆う必要がある。ここで、一般には有機色素材料の塗布液をスピンコート法で塗布するが、スピンコート法は基板を高速回転させることによる遠心力により、基板内周に供給した塗布液を基板全体に広げる塗布方法である。このため、塗布液は内周側の非記録再生領域に滴下されるが、本発明においては非記録再生領域の中の内周溝領域よりも外周側を塗布液滴下領域とし、この領域に塗布液を滴下する(図1参照)。この際、塗布液は滴下後に内周側にも若干広がるが、内周溝領域が存在するため、表面張力により内周溝領域内で塗布液の広がりが抑制される。内周溝領域は、巨視的には円周方向、半径方向ともに均一な構造を有するように形成されているため、塗布液の広がった後の色素記録層の内周側の端部はほぼ真円状に形成される傾向にある。従って、スピンコート時の塗布液の移動がより均一となり、内周溝領域を形成しない場合に比べ、色素記録層の膜厚分布が良好となる。
内周溝領域が存在しない場合は、色素記録層の内周側の端部が波打つように形成されることにより、塗布液の外周への広がりが不均一となる場合がある。この場合、特に色素記録層の内周側の端部近傍において、色素記録層膜厚の不均一が生じやすくなる。
また、基板の内周側に、例えばロットカットのような、不規則な基板表面の凹凸パターンを設ける必要がある場合には、塗布液がこの凹凸パターンにまで到達してしまうと、塗布液の内周側の端部が不均一となり、塗布液の外周方向への移動が不均一となって、色素記録層の膜厚分布に影響を与える可能性がある。このような場合に、内周溝領域を、上記の凹凸パターンの外周側に設けることにより塗布液の上記凹凸パターンへの広がりを防止することができるため、色素記録層の膜厚分布を改善することができる。
従って、内周溝領域の形状は、上記目的を達成できるものであれば、任意の形状を採用可能である。
図2は、典型的な内周溝領域を含む非記録再生領域の半径方向の断面図の例を示す。ここでは、内周溝領域がスパイラル状の溝からなる場合を例にとって説明する。HDDVD−Rの記録再生領域には、スパイラル状の案内溝(記録溝)が設けられている。この案内溝は、例えば、トラックピッチ0.40μm、幅0.26μm、深さ60nmのほぼ矩形の溝からなる。内周溝領域は、記録再生領域における案内溝と同様の溝形状が半径方向に所定の幅を有する領域である。すなわち、記録再生領域の案内溝と同様の断面形状(溝幅、溝深さ)、トラックピッチを有する連続した溝である。
内周溝領域の構成は、もちろん上記の構成には限定されない。塗布液の広がりを抑制することが出来れば任意の構成を採用可能である。
同心円の溝の集合、スパイラル状の溝あるいはピットの集合等からなる内周溝領域全体の、半径方向の幅(以下、内周溝領域の幅と記載)は、前述の目的を達成するためには広いほどよいが、非記録再生領域の幅よりは狭い必要がある。また、内周部のクランプ部には存在しないことが好ましく、ロットカット等の特殊な領域が内周部に存在する場合は当然ながらそれらよりも外周側に位置する必要がある。これらの要素により、内周溝領域の幅の上限は決定される。下限については、前述の目的を達成するために、10μm以上あることが好ましく、更に好ましくは100μm以上、特に好ましくは300μm以上である。
溝形状はスパイラル状の連続した溝である必要は無く、同心円の溝の集合でも構わないし、不連続な基板上の局所的な凹部であるピットの集合であっても良い。また、単一の真円状の溝であっても構わない。内周溝領域がピットの集合(以下、ピットパターンと記載することがある)からなる場合は、円周1周分の内、20%以上の長さ分はピットが形成されていることが好ましく、更に好ましくは50%、特に好ましくは80%以上である。ピットの場合、半径方向にピットパターンが一様である必要は無い。
また、溝の半径方向の断面形状は矩形が好ましいが、半円状や三角状等の形状でも構わない。ピットの半径方向の断面形状も同様で、ピットの基板面から見た断面形状も矩形、楕円形等特に制限は無い。
溝あるいはピットの一つ一つの深さは、深ければ深いほど塗布液の広がりを抑えることができるが、基板の機械的強度の観点から、100μm以下が好ましい。また、基板成形用スタンパの製造上の都合から、記録再生領域の案内溝(記録溝)と同等の深さであることが好ましいため、200nm以下が好ましく、更に好ましくは100nm以下である。また、前述の目的を達成するためにはより溝が深いことが好ましいため、20nm以上の深さがあることが好ましく、更に好ましくは40nm以上、特に好ましくは60nm以上である。特に、内周溝領域の幅が狭い場合には、記録再生領域の案内溝の深さよりも深くすることが好ましい。
溝あるいはピットの一つ一つの幅は、基板成形用スタンパの製造上の都合から、記録再生領域の案内溝と同等の幅であることが好ましいため、1μm以下が好ましく、更に好ましくは0.5μm以下、特に好ましくは0.3μm以下である。また、0.05μm以上の幅があることが好ましく、更に好ましくは0.1μm以上である。
内周溝領域の半径方向に隣接する溝あるいはピットの距離(以下、内周溝領域トラックピッチと記載することがある)は、基板成形用スタンパの製造上の都合から、記録再生領域の案内溝(記録溝)のトラックピッチと同等かもしくはやや広めの幅であることが好ましいが、狭くても構わない。内周溝領域の溝深さがある程度深い場合は、成形の都合上広い方が好ましい。具体的には、2μm以下が好ましく、更に好ましくは1μm以下である。また、0.1μm以上であることが好ましく、更に好ましくは0.3μm以上である。また、内周溝領域の幅が狭い場合には、半径方向の凹凸を増やした方が塗布液の広がりを抑制できるため、内周溝領域トラックピッチが小さい方が好ましい。具体的には、内周溝領域の幅の1/5以下であることが好ましい。
本発明の光記録媒体は、前述の通り、内周溝領域により塗布液の広がりを抑えるため、結果として塗布液により形成される色素記録層の内周側の端部が、内周溝領域に存在することを特徴とする。すなわち、色素記録層の内周側の端部が内周溝領域内に存在するか、もしくは内周溝領域の外周側と接している状態であることを意味する。このような状態が実現出来ていれば、光記録媒体の記録領域の構成は特に限定されず、従来公知の構成を用いることができる。
以下、光記録媒体の内周溝領域以外の構成について、主に2層型のHDDVD−Rを例に説明するが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、例えばCD−R、DVD−R、BD−R等、基板上に有機色素材料を含有する色素記録層を有するディスク状の光記録媒体全てに適用可能である。
[2.光記録媒体の構成について]
本実施形態では、多層型の光記録媒体を例に挙げ、図面を用いて説明を行なうが、この構成に限定されるものではない。
図3は、本発明の一実施形態としての片面2層の光記録媒体の要部を拡大して模式的に表わす断面図である。なお、このような片面2層の光記録媒体としては、例えば、有機色素を含む2つの色素記録層を有するデュアルレイヤタイプの片面入射型の光記録媒体(片面2層HDDVD−R又は片面2層HDDVDレコーダブル・ディスク)などが挙げられる。
図3に示すように、本実施形態の光記録媒体100は、ディスク状の光透過性の第1基板101を備えていて、この第1基板101上に、色素を含む第1色素記録層102と、半透明の第1反射層103と、紫外線硬化性樹脂からなる光透過性の中間層104と、色素を含む第2色素記録層105と、第2反射層106と、接着層107と、最外層を形成する第2基板108とが、順番に積層された構造を有している。また、光記録媒体100の第1基板101側の面(これが、データ領域への主情報の記録時に記録再生光109を照射される面となる)が情報面100Aとなり、情報面100Aの反対側に形成された、第2基板側の面が裏面100Bとなっている。
さらに、図3に示すように、第1基板101及び中間層104上にはそれぞれ凹凸が形成され、これらの凹凸がそれぞれ記録トラックを構成している。即ち、第1基板101及び中間層104がそれぞれ表面に有する凹凸形状(即ち、上記の凹凸の形状)が、記録トラックの形状となっている。
また、光記録媒体100の光情報の記録・再生は、情報面100Aから第1色素記録層102及び第2色素記録層105に照射された記録再生光109により行なわれるようになっている。
なお、本実施形態において、「光透過性(又は透明)」とは、光情報を記録・再生するために照射される光の波長に対する光透過性を意味するものである。具体的には、光透過性とは、記録再生光109や認識信号記録光などの記録・再生のための光の波長について、通常30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上の透過性があることを言う。また、記録・再生のための光の波長に対する透過性は、理想的には100%であるが、通常は、99.9%以下の値となる。
〔2−1.第1基板〕
第1基板101は通常、第1色素記録層102に隣接し、最表層を構成する。第1基板101は、光透過性を有し、複屈折率が小さい等、光学特性に優れることが望ましい。また、第1基板101は、射出成形が容易である等成形性に優れることが望ましい。さらに、第1基板101は、吸湿性が小さいことが望ましい。更に、第1基板101は、光記録媒体がある程度の剛性を有するよう、形状安定性を備えることが望ましい。
第1基板101を構成する材料は本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に非晶質ポリオレフィン)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ガラス等が挙げられる。なお、第1基板101を構成する材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
第1基板101の形状は、中央にセンターホールを有するディスク状に形成される。なお、通常はこの第1基板101の形状により光記録媒体100の形状も決定されることになる。
また、図3に示すように、本実施形態では、第1基板101の記録領域には凹凸が螺旋状又は同心円状に設けられている。そして、この凹凸が、溝及びランドを形成する。これらの凹凸は、隣接する第1色素記録層102に形成される凹凸に一致し、通常、このような凹凸により構成される溝及び/又はランドを記録トラックとして、第1色素記録層102に情報が記録・再生される。
なお、上記の溝幅は、通常100nm以上、また通常500nm以下であり、溝深さは通常20nm以上であり、通常250nm以下である。また、記録トラックが螺旋状である場合、トラックピッチは通常0.1μm以上、通常0.6μm以下であることが好ましい。
第1基板101の厚さは、通常、2mm以下、好ましくは1mm以下である。対物レンズと色素記録層との距離が小さく、また、基板が薄いほどコマ収差が小さい傾向があり、記録密度を上げやすいためである。但し、光学特性、吸湿性、成形性、形状安定性を十分得るために、通常10μm以上、好ましくは30μm以上である。
〔2−2.第1色素記録層〕
第1色素記録層102は、第1基板101に隣接して設けられた、第1基板101に近い側の色素記録層である。本実施形態の光記録媒体100は、通常波長300〜450nmのレーザ光を記録再生光109として用いて主情報を記録する媒体であるため、第1色素記録層102は、このレーザ光で記録できるように構成されている。
第1色素記録層102に使用される有機色素材料は特に限定されないが、その例を挙げると、大環状アザアヌレン系色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素等)、ピロメテン系色素、ポリメチン系色素(シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素等)、アントラキノン系色素、アズレニウム系色素、含金属アゾ系色素、含金属インドアニリン系色素等が挙げられる。なお、これらの色素は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、第1色素記録層102に使用される色素は、通常250nm以上、通常550nm以下の波長域に最大吸収波長λmaxを有し、記録再生光109での記録に適する色素化合物が好ましい。また、記録再生光109の記録レーザ波長で吸収を持つことが好ましい。
また、上記光記録媒体100のような多層光記録媒体では、CD−Rや片面型DVD−R等のような光記録媒体に用いる色素記録層に比較して、より高感度であることが望ましい。
また、光記録媒体100においては、通常、第1反射層103を半透明反射層とする。具体的には、入射した記録再生光109のうち一定の割合(25〜75%)が第1反射層103を透過するように構成する。
第1色素記録層102の膜厚は、記録方法等により適した膜厚が異なるため、特に限定されない。ただし、十分な変調度を得るために、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、特に好ましくは20nm以上である。また、光を透過させるためには、通常3μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは200nm以下である。
〔2−3.第1反射層〕
第1反射層103は、第1色素記録層102に対応する反射層である。なお、ここで第1反射層103と第1色素記録層102とは隣接しているものとする。第1反射層103は、記録再生光109の吸収が小さく、光透過率が通常40%以上あり、かつ、適度な光反射率を有することが望ましい。第1反射層103の具体的な構成の例としては、反射率の高い金属を薄く設けることにより適度な透過率を持たせた層が挙げられる。さらに、第1反射層103は、ある程度の耐食性があることが望ましい。また、第1反射層103の上層(本実施形態では中間層104)からの他の成分の浸み出しにより第1色素記録層102が影響されないような遮断性を有することが望ましい。
第1反射層103を構成する材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されないが、再生光の波長における反射率が適度に高いものが好ましい。第1反射層103を構成する材料の例を挙げると、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Pd、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi、希土類金属等の金属及び半金属を、単独あるいは任意の組み合わせの合金にして用いることが可能である。
さらに、第1反射層103の厚さは、通常50nm以下、好ましくは30nm以下、更に好ましくは25nm以下である。上記範囲とすることにより、光透過率を40%以上としやすくなる。但し、第1反射層103の厚さは、第1色素記録層102が第1反射層103上に存在する中間層104により影響されないために、通常3nm以上、好ましくは5nm以上である。
〔2−4.中間層〕
中間層104は、第1反射層103と第2色素記録層105との間に形成される層である。中間層104は、通常、透明、且つ、溝やピットの凹凸形状が形成可能であり、また、接着力が高い樹脂から構成される。さらに、硬化接着時の収縮率が小さい樹脂を用いると、媒体の形状安定性が高く好ましい。また、中間層104は、単層膜としても多層膜にしてもよい。
さらに、中間層104は、第2色素記録層105と相溶しやすい場合が多い。このため、中間層104と第2色素記録層105との相溶を防いで第2色素記録層105に与えるダメージを抑えるために、両層の間に適当なバッファー層(図示せず)を設けることが望ましい。また、中間層104は、第1反射層103との間にバッファー層を設けることもできる。
また、中間層104は、第2色素記録層105にダメージを与えない材料からなることが望ましい。中間層104を構成する材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂等の硬化性樹脂を挙げることができる。なお、中間層104の材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
中間層104の材料の中でも、放射線硬化性樹脂が好ましく、その中でも、紫外線硬化性樹脂が好ましい。これらの樹脂の採用により、製造時にスタンパ(後述する)の凹凸形状の転写が行ないやすくなる。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、ラジカル系(ラジカル重合型の)紫外線硬化性樹脂とカチオン系(カチオン重合型の)紫外線硬化性樹脂が挙げられ、いずれも使用することができる。
ラジカル系紫外線硬化性樹脂は、例えば、紫外線硬化性化合物(ラジカル系紫外線硬化性化合物)と光重合開始剤とを必須成分として含む組成物が用いられる。ラジカル系紫外線硬化性化合物としては、例えば、単官能(メタ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレートを重合性モノマー成分として用いることができる。これらは、各々、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。なお、ここで、アクリレートとメタアクリレートとを併せて(メタ)アクリレートと称する。
また、光重合開始剤に制限はないが、例えば、分子開裂型または水素引き抜き型のものが好ましい。本発明においては、ラジカル重合型のアクリル酸エステルを主体とする未硬化の紫外線硬化樹脂前駆体を用いて、これを硬化させて中間層を得ることが好ましい。
一方、カチオン系紫外線硬化性樹脂としては、例えば、カチオン重合型の光開始剤を含むエポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA−エピクロールヒドリン型、脂環式エポキシ、長鎖脂肪族型、臭素化エポキシ樹脂、グリシジルエステル型、グリシジルエーテル型、複素環式系等が挙げられる。エポキシ樹脂としては
、遊離した塩素および塩素イオン含有率が少ないものを用いるのが好ましい。塩素の量は、1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.5重量%以下である。
また、カチオン重合型の光開始剤としては、例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩等が挙げられる。
また、中間層104の材料として放射線硬化性樹脂を使用する場合、通常20℃以上、40℃以下において液状であるものを用いることが好ましい。樹脂原料層104aの形成時に、上記放射線硬化性樹脂を用いることにより溶媒を用いることなく塗布できるので、生産性が向上するためである。また、粘度は常温で20mPa・s以上、4000mPa・s以下となるように調整するのが好ましい。
さらに、中間層104には、通常、凹凸が螺旋状又は同心円状に設けられる。そしてこの凹凸が、溝及びランドを形成する。これらの凹凸は、隣接する第2色素記録層105に形成される凹凸に一致し、通常、このような凹凸により構成される溝及び/又はランドを記録トラックとして、第2色素記録層105に情報が記録・再生される。
なお、上記の溝幅は、通常100nm以上、また通常500nm以下であり、溝深さは通常20nm以上であり、通常250nm以下である。また、記録トラックが螺旋状である場合、トラックピッチは通常0.1μm以上、通常0.6μm以下であることが好ましい。
さらに、中間層104の膜厚は、正確に制御されることが好ましく、通常5μm以上、好ましくは10μm以上である。但し、通常100μm以下、好ましくは70μm以下である。厚さが前記範囲未満であると、情報再生時に第1色素記録層102と第2色素記録層105との信号の混合が起こり、層間クロストークと呼ばれる信号ノイズとなる傾向にある。一方、厚さが前記範囲超過では、中間層104を形成する樹脂による反りが激しくなったり、レーザ光の収差が大きくなり再生信号品質を損なう傾向にある。
第2色素記録層105に設けられる凹凸の形状は、中間層104に形成される凹凸の形状に一致する。
〔2−5.第2色素記録層〕
第2色素記録層105は、第1基板101に対し、第1色素記録層102よりも遠い色素記録層である。光記録媒体100は通常波長300〜450nmの記録再生光109で主情報を記録する媒体であるため、第2色素記録層105はこの記録再生光109で主情報を記録ができることが好ましい。
第2色素記録層105は、前述した第1色素記録層102の場合と同様に、通常CD−Rや片面型DVD−Rや片面型HDDVD−R等の光記録媒体に用いる色素記録層より高感度であることが望ましい。また、第2色素記録層105は、良好な記録再生特性を実現するためには低発熱で高屈折率な色素であることが望ましい。更に、第2色素記録層105と第2反射層106との組合せにおいて、光の反射及び吸収を適切な範囲とすることが望ましい。
第2色素記録層105を構成する材料については、第1色素記録層102と同様の物質から選択することが出来る。また、第1色素記録層102と第2色素記録層105とに用いる材料は、同じでも良いし、異なっていてもよい。
ところで、第1反射層103に関する説明で述べたように、通常、第1反射層103は半透明な反射層として形成され、入射した記録再生光109のうち一定の割合しか第1反射層103を透過しないようになっている。この結果、第2色素記録層105に入射する透過光のパワーは、光記録媒体100に入射する前の記録再生光109と比較して相応の減衰を生じることになる。したがって、上記の減衰した透過光で第2色素記録層105に対する記録が行なわれることになるために、第2色素記録層105は、特に感度が高いことが望ましい。
よって、色素記録層102、105、特に、裏面100Bに最も近い色素記録層である第2色素記録層105に用いる材料としては、比較的低温度で熱により分解若しくは相転移して反射率が変化する材料が望ましい。分解温度或いは相転移温度は、好ましくは350℃以下、より好ましくは300℃以下、さらに好ましくは275℃以下である。ただし、分解温度が低過ぎると保存安定性が低下する傾向にあるため、100℃以上であることが好ましい。
なお、分解温度および相転移温度は、示差走査熱量計(DSCと呼ぶ場合がある。)により測定することが出来る。測定時の昇温条件は測定装置の仕様に従うか、あるいは測定試料全体への熱拡散に必要な時間よりも十分にゆっくり昇温させれば良いが、一般的には、昇温速度は0.5℃/分〜10℃/分を目安とすれば良い。
また、中間層104の説明でも述べたように、第2色素記録層105には図3に示すような凹凸を形成することが好ましい。
また、凹凸により形成される溝のトラックピッチPは限定されないが、0.1μm以上が好ましく、0.6μm以下が好ましい。トラックピッチPが前記範囲未満である場合は、波長と比較してトラックピッチが狭く、検出可能な分解能を超えるため、記録再生時に隣接するトラックの情報が漏れこむ(クロストークが生じると言う)ことにより、目的の情報のみを記録再生できなくなる可能性がある。また、トラックピッチPが前記範囲超過である場合は、記録密度が低くなる傾向にある。
さらに、ランド幅WLの溝幅WGに対する比(WL/WG)は限定されないが、0.3以上が好ましく、1.2以下が好ましい。WL/WGが前記範囲未満である場合は、ランド幅が狭いために第2色素記録層105に媒体認識信号が十分に記録されない場合があり、WL/WGが前記範囲超過である場合は、溝幅WGが広過ぎるために反射率の差が大きくなり、第2色素記録層105へ記録された媒体認識信号のノイズとなる場合がある。
なお、ランド幅WL、溝幅WG及びトラックピッチPについては、図3に示すように、溝の半値幅を基準として測定するものとする。
また、第2色素記録層105の膜厚は、記録方法等により適した膜厚が異なるため、特に限定されないが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上である。但し、適度な反射率を得るために、第2色素記録層105の膜厚は、通常3μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは200nm以下である。
本実施形態の光記録媒体100のように、色素記録層を2層有する光記録媒体においては、主情報を記録するためのレーザ光は、通常、共通であるため、記録再生光109のエネルギー(レーザエネルギー)は、必然的に各層102〜106に分配されることになる。よって、各層での記録再生光109の吸収量、反射量、透過量を調整することが好ましい。
〔2−6.第2反射層〕
第2反射層106は、第2色素記録層105に対応する反射層である。なお、ここでは第2反射層106と第2色素記録層105とは隣接しているものとする。
第2反射層106を構成する材料としては、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta及びPd等の金属を単独または合金にして用いることができる。これらの中でも、Au、Al、Agは反射率が高く、第2反射層106の材料として適している。
また、第2反射層106は、これらの金属を主成分とする以外に他の成分を含んでいても良い。他の成分の例としては、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Cu、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi及び希土類金属などの金属、あるいは上記に記載されていない半金属を挙げることができる。なお、第2反射層106を形成する材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
中でも、Agを主成分とすることが好ましい。特に、Agを通常80原子%以上、好ましくは90原子%以上含有することが望ましい。
また、Agに対し、合金として含有できる元素としては、例えば、Au、Al、Cu、Ti、Cr、Ni、Ta、Pd、Mg、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、In、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi、及び希土類金属等が好ましい。Agに対し、このような元素を合金として含有することにより、高い反射率、良好な記録感度、良好な保存安定性の全てを確保することができる。
第2反射層106の反射率は本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、波長が405nmの光源の光に対して、通常70%以上、好ましくは80%以上あることが好ましい。反射率が前記範囲未満である場合は、特に現在の片面DVD2層媒体では反射率が不十分になり、記録再生装置が光記録媒体100を認識できなくなる可能性がある。
なお、反射率は、以下のようにして測定できる。即ち、鏡面ガラス(表面粗度Ra<5nm)の上に、第2反射層106に用いた材料と同じ材料を、第2反射層の作製条件と同一条件にて、同一厚さとなるようにスパッタし、これを、分光光度計にて波長405nmでの反射率として測定することができる。
また、高反射率を確保するために、第2反射層106の膜厚は、通常60nm以上、好ましくは80nm以上、更に好ましくは100nm以上である。
また、第2反射層106の上下に反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために、公知の無機系または有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
さらに、第2反射層106は、高耐久性であることが望ましい。
〔2−7.接着層〕
接着層107は、第2反射層106と第2基板108とを接着する層である。接着層107は、接着力が高く、硬化接着時の収縮率が小さいと、光記録媒体100の形状安定性が高くなり、好ましい。また、接着層107は、第2反射層106にダメージを与えない材料からなることが望ましい。但し、ダメージを抑えるために第2反射層106と接着層107との間に公知の無機系または有機系の保護層を設けることもできる。
接着層107の材料は、中間層104の材料と同様のものを用いることができる。
また、接着層107の膜厚は、通常2μm以上、好ましくは5μm以上である。但し、光記録媒体100をできるだけ薄くするために、また、硬化に時間を要して生産性が低下する等のことを抑制するために、接着層107の膜厚は、通常100μm以下が好ましい。
なお、接着層107としては、感圧式両面テープ等も使用可能である。感圧式両面テープを第2反射層106と第2基板108との間に挟んで押圧することにより、接着層107を形成できる。
〔2−8.第2基板〕
第2基板108は、裏面100Bに面して設けられる層である。第2基板108は、機械的安定性が高く、剛性が大きいことが好ましい。また接着層107との接着性が高いことが望ましい。
このような第2基板108の材料としては、第1基板101に用いうる材料と同様のものを用いることができる。また、上記材料としては、例えば、Alを主成分としたAl−Mg合金等のAl合金基板や、Mgを主成分としたMg−Zn合金等のMg合金基板、シリコン、チタン、セラミックスのいずれかからなる基板やそれらを組み合わせた基板等を用いることもできる。また、第2基板108の材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
なお、第2基板108の材料は、成形性等の高生産性、コスト、低吸湿性、形状安定性等の点から、ポリカーボネートが好ましい。また、第2基板108の材料は、耐薬品性、低吸湿性等の点からは、非晶質ポリオレフィンが好ましい。また、第2基板108の材料は、高速応答性等の点からは、ガラス基板が好ましい。
さらに、光記録媒体100に十分な剛性を持たせるために、第2基板108はある程度厚いことが好ましく、第2基板108の厚さは、0.3mm以上が好ましい。但し、通常は3mm以下、好ましくは1.5mm以下である。
[3.光記録媒体の製造方法について]
本発明の光記録媒体は、例えば以下に説明する方法により製造される。
光記録媒体の一般的な製造手順においては、基板や中間層に形成される記録トラックや内周溝領域の凹凸パターンの形状と相補的な形状の凹凸パターンを有するスタンパを用意し、このスタンパを用いて基板や中間層に凹凸パターンのトラックや内周溝領域を形成する。
従って、上述の内周溝領域を有する本発明の光記録媒体を製造するためには、このスタンパが有する凹凸パターンの形状を所望の形状となるようにすればよい。
よって、以下の記載では、まずスタンパの製造手順について説明した上で、次いでそのスタンパを用いた情報記録媒体の製造手順について説明することにする。
[3−1.スタンパの製造]
まず、本発明の光記録媒体を製造するためのスタンパの製造手順の一例について、図4を用いて詳細に説明する。なお、図4(a)〜(i)は、本発明の情報記録媒体を製造するためのスタンパの製造手順の一例を説明するための図である。但し、以下の製造手順はあくまでも一例であり、本発明の光記録媒体を製造するためのスタンパの製造手順は、以下の例に限定されるものではない。
まず、原盤用基板501上にフォトレジスト502を塗布してなる原盤503を用意する(図4(a)参照)。
原盤用基板501の材質は制限されないが、通常はガラス板が用いられる。
フォトレジスト502としては、いわゆるノボラック・ジアゾナフトキノン系レジストや化学増幅型レジストなど、一般的なフォトレジストを使用することができる。また、ポジ型レジストを用いてもよく、ネガ型レジストを用いてもよい。更にこれらは何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。なお、ポジ型レジスト及びネガ型レジストの定義については後述する。
フォトレジスト502は通常、いわゆるスピンコート法で原盤用基板501上に塗布され、その膜厚は原盤用基板501の面内で略均一とされる。具体的なフォトレジスト502の膜厚は、目的とするスタンパの凹凸パターンの形状に応じて設定すればよいが、通常10nm以上、また、通常100nm以下の範囲とする。
次に、原盤露光装置を用いて原盤503を露光処理し、原盤用基板501上のフォトレジスト502に、目的とする記録トラック及び内周溝領域に相当する凹凸パターンに対応する所定のパターン504を潜像として形成する(図4(b)参照)。本工程で使用する原盤露光装置の構成及び動作については、従来用いられる原盤露光装置を用いればよい。
続いて、原盤503に現像処理を施し、潜像として形成されたパターン504を、物理的な凹凸パターンとして顕在化させる(図4(c)参照)。
一般的には、原盤503を現像機のターンテーブルに載置し、ターンテーブルを回転させながら現像液を滴下させる方法が取られるが、例えばガラス板を静止した状態で現像液を液盛りする方法(いわゆるパドル現像法)等を用いることもできる。
このとき、フォトレジスト502の種類を選択することによって、潜像として形成されたパターン504側を凹にすることもできるし、逆に潜像として形成されたパターン504を凸にすることもできるが、一般的にはパターン504側が凹になるようなフォトレジスト(これを「ポジ型レジスト」と呼ぶ。)を用いる場合が多い。
本明細書では、図4を含め、主にポジ型レジストを用いた場合について説明するが、パターン504側が凸となるようなフォトレジスト(これを「ネガ型レジスト」と呼ぶ。)を用いてもよく、その選択は任意である。
以上の手順により、物理的な凹凸パターンを有する原盤(これを「凹凸原盤」という。)503'が得られる。
次いで、この凹凸原盤503'を用いて、以下の手順によりスタンパを作製する。
まず、上述の凹凸原盤503'上に、スパッタ法や無電解メッキ法等を用いて、スタンパの材料を成膜し、導電層505を形成する(図4(d)参照)。 スタンパの材料としては、通常は金属材料が用いられる。金属材料としては、例えばニッケルが挙げられる。スタンパの材料は何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
導電層505の厚さは特に制限されないが、後述する電気めっきにおいて支障をきたさない厚さであれば、任意に選択できる。
次に、導電層505が形成された凹凸原盤503'を電鋳装置に取り付け、電気めっき法等により、導電層505上に更にスタンパの材料を積層することにより、ファザー層506を形成する(図4(e)参照)。ファザー層506は導電層505と一体に形成され、その厚さは特に制限されないが、通常100μm以上、通常500μm以下である。
次いで、ファザー層506を凹凸原盤503'より剥離し、必要に応じて、ファザー層506上に付着したフォトレジストを、フォトレジスト除去液等を用いて除去する(図4(f)参照)。フォトレジスト除去液は、フォトレジスト502の種類に応じて適宜選択すればよいが、例えば、アセトンや、ナガセケムテックス株式会社製N−303Cを用いることができる。これらは何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
こうして得られたファザー層506を、ファザースタンパと呼ぶ(以下「ファザー」と称する。)。このファザー506上には凹凸パターンが写し取られているが、その凹凸パターンは凹凸原盤503'上の凹凸パターンとは逆転したものとなっている。
次いで、このファザー506の凹凸パターン表面を、酸化処理等の手法で処理することにより、剥離層507を形成する(図4(g)参照)。剥離層507の厚さは特に制限されないが、通常0.1nm以上、通常100nm以下である。
更に、この剥離層507上に、電気めっき法等によりスタンパの材料を積層し、マザー層508を形成する(図4(h)参照)。マザー層508の厚さは特に制限されないが、通常100μm以上、通常500μm以下である。 次いで、このマザー層508を剥離させる(図4(i)参照)。
こうして得られたマザー層508を、マザースタンパと呼ぶ(以下「マザー」と称する。)。このマザー508上にも凹凸パターンが写し取られており、その凹凸パターンは凹凸原盤503'上での凹凸パターンと同じものとなっている。
以上の手順により得られたファザー506又はマザー508を、何れもスタンパとして使用することが可能である。
また、これらのスタンパ506,508を型として、更に別の材料に凹凸パターンを写し取ることにより、新たなスタンパを作製することも可能である。例えばファザースタンパ506から、複数枚のマザースタンパ508を写し取っていくこともできるし、マザースタンパ508から更にサンスタンパ(図示せず)を写し取っていくこともできる。こうして得られるサンスタンパ上の凹凸パターンは、ファザースタンパ506上での凹凸パターンと同じものとなっている(以下、サンスタンパのことを単に「サン」と称する場合がある)。
また、樹脂材料からなるスタンパ(樹脂製スタンパ)を製造する場合には、上述の手順により金属材料からなるスタンパ(金属製スタンパ)を作製し、この金属製スタンパを型として樹脂材料を射出成形することにより、金属製スタンパの凹凸パターンが写し取られた樹脂製スタンパを得るという手法が有効である。
[3−2.光記録媒体の製造]
続いて、図5を用いて、本実施形態の光記録媒体100の製造方法の一例を簡単に説明する。図5(a)〜(g)は、本実施形態の光記録媒体の製造方法を説明するため、その要部の断面を模式的に示す断面図である。
本実施形態の光記録媒体100の製造方法は、第1色素記録層形成工程と、第1反射層形成工程と、中間層形成工程(樹脂原料層形成工程、樹脂原料層硬化工程、スタンパ剥離工程)と、第2色素記録層形成工程と、第2反射層形成工程と、第2基板形成工程とを有する。
[3−2−1.基板の用意]
まず、第1基板101を用意する。第1基板101としては、上述のスタンパを用いて、記録トラック及び内周溝領域に相当する凹凸パターンが形成された基板を作製する。具体的には、例えば、上述のスタンパを型として、第1基板101の材料を射出成形することにより、スタンパの凹凸パターンが写し取られた基板を形成し、得られた基板をスタンパから剥離して使用すればよい。第1基板101の材料や厚さ等は、上述の通りである。
[3−2−2.第1色素記録層形成工程]
次に、第1色素記録層形成工程において、第1基板101上に第1色素記録層102を形成する。第1色素記録層102の形成方法にはスピンコート法を用いる。即ち、有機色素を含有する塗布液を第1基板101の凹凸を有する側の表面にスピンコートにより塗布する。その後、塗布液に使用した溶媒を除去するために加熱等を行ない、第1色素記録層102を成膜する。なお、本実施形態では、上記のように第1基板101上に直接第1色素記録層102を形成した例を示して説明するが、第1色素記録層102は、光記録媒体100の種類や構成などに応じて、第1基板101上に他の層を介して形成するようにしてもよい。
本発明においては、塗布液が内周側の内周溝領域内にまで広がるように調整することが必要である。塗布液が内周側にどの程度広がるかについては、塗布液の粘度等の物性、滴下量、滴下時に基板を回転させるか否かによって影響を受けるが、同一条件で行う限り大きく変動することはないため、数回の試行で本発明を実現可能な滴下位置を見出すことが可能である。通常の場合、内周溝領域の外周側の端部から半径方向に2mm以内の範囲に滴下することが好ましい。
[3−2−3.第1反射層形成工程]
第1色素記録層102を成膜した後、第1反射層形成工程において、第1色素記録層102上に第1反射層103を形成する。第1反射層103の形成方法に制限はないが、例えば、第1色素記録層102上にAg合金等をスパッタまたは蒸着することにより、第1色素記録層102上に第1反射層103を成膜することができる。この際、第1反射層は内周溝領域を覆う範囲まで成膜することが好ましい。
このように、第1基板101上に、第1色素記録層102及び第1反射層103を順に積層することによって、データ基板111を得る。また、第1反射層103を形成する方法は、例えば、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等で行うこともできる。
[3−2−4.中間層形成工程]
次に、第1反射層103上に中間層104を形成する。中間層104の形成方法に制限はなく任意であるが、通常は、以下のようにして形成される。
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いた中間層104は、適当な溶剤に熱可塑性樹脂等を溶解して塗布液を調製し、この塗布液を塗布し、乾燥(加熱)することによって形成することができる。
一方、放射線硬化性樹脂を用いた中間層104は、そのまま若しくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、この塗布液を塗布し、適当な放射線を照射して硬化させることによって形成することができる。
なお、塗布方法に制限はなく、例えばスピンコート法やキャスト法等の塗布法等の方法が用いられる。この中でも、スピンコート法が好ましい。特に、高粘度の樹脂を用いた中間層104は、スクリーン印刷等によっても塗布形成できる。
ただし、本実施形態の光記録媒体100においては、第2色素記録層105に凹凸を形成するため、樹脂原料層形成工程、樹脂原料層硬化工程及びスタンパ剥離工程をおこなうことにより中間層を形成することが、より好ましい。以下、この方法を説明する。
[3−2−4−1.樹脂原料層形成工程]
第1反射層形成工程の後、樹脂原料層形成工程において、図5(b)に示すように、第1反射層103の表面(即ち、データ基板111の表面)全体に、樹脂原料層104aを形成する。即ち、第1色素記録層102上に、第1反射層103を介して樹脂原料層104aを形成する。
ここで形成する樹脂原料層104aは、光記録媒体100の完成時に中間層104を構成することになる層で、何らかの処理を施すことにより硬化しうる硬化性樹脂又はその前駆体により形成された層である。
上記硬化性樹脂としては光記録媒体に使用しうる硬化性樹脂を任意に用いることができる。硬化性樹脂の例としては、放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられ、中でも、放射線硬化性樹脂の一種である紫外線硬化性樹脂が好ましい。なお、本明細書においては、「放射線」を、電子線、紫外線、可視光、及び赤外線を含む意味で用いる。また、硬化性樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。ただし、樹脂原料層104aはこの後でスタンパ110(後述)により表面に凹凸が成形されることになるため、樹脂原料層硬化工程において成形される前には、不定形な状態(通常は、所定の粘度を有する液体状態)となっている。
また、樹脂原料層104aの形成方法に制限はない。例えば、樹脂原料層104aは、硬化性樹脂の前駆体をスピンコート等により塗布することで形成することができる。
本実施形態においては、放射線硬化性樹脂の一つである紫外線硬化性樹脂の前駆体をスピンコートにより塗布し、樹脂原料層(以下、説明の便宜から「紫外線硬化性樹脂原料層」と呼ぶ場合がある。)104aを形成したものとする。
ところで、本実施形態においては、上記のように第1色素記録層102上に第1反射層103を介して紫外線硬化性樹脂原料層104aを形成した例を示して説明するが、紫外線硬化性樹脂原料層104aは、光記録媒体100の種類や構成などに応じて、第1色素記録層102上に直接形成するようにしてもよく、また、第1反射層103以外のその他の層を介して形成するようにしてもよい。
[3−2−4−2.樹脂原料層硬化工程]
次に、樹脂原料層硬化工程において、図5(c)に示すように、紫外線硬化性樹脂原料層104a上にスタンパ110を載置し、紫外線硬化性樹脂原料層104aを硬化させる。つまり、第1色素記録層102とは反対側の紫外線硬化性樹脂原料層104aの表面にスタンパ110が載置された状態となる。
スタンパ110は、上述のスタンパ作製方法により作成可能であるが、紫外線透過性を有する樹脂製のスタンパとすることが好ましい。
また、第2色素記録層の塗布状態を制御するために、第1基板形成時に用いるスタンパと同様、内周溝領域に相当する凹凸パターンを有するスタンパを用いることが好ましいが、中間層上にロットカット等の内周部の不規則な凹凸パターンを設ける必要がない場合は内周溝領域を設けなくとも良い。
スタンパ110を載置する際、スタンパ110の凹凸が形成された面を紫外線硬化性樹脂原料層104aに押し付けるようにして載置する。このとき、スタンパ110を紫外線硬化性樹脂原料層104aに押し付ける程度は、紫外線硬化性樹脂原料層104aの膜厚が所定範囲になるように調節して行なう。
そして、スタンパ110を紫外線硬化性樹脂原料層104aに載置した状態で、紫外線硬化性樹脂原料層104aを硬化させる。紫外線硬化性樹脂原料層104aを硬化させるには、紫外線硬化性樹脂原料層104aに紫外線を照射すればよい。この際、紫外線は、スタンパ110を介して照射するようにしてもよい。ただし、紫外線をスタンパ110側からの照射する場合には、スタンパ110として紫外線を透過しうるもの(光透過性のもの)を用いることが、工業的に好ましい。また、紫外線硬化性樹脂原料層104aの側面から照射するようにしてもよい。さらに、第1基板101側から照射するようにしてもよい。ただし、第1基板101側から照射する場合、紫外線の照射により第1色素記録層102がダメージを受けないようにすることが好ましい。
本実施形態では、スタンパ110を介して、スタンパ110側から紫外線硬化性樹脂原料層104aに紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂の前駆体を重合させることにより、紫外線硬化性樹脂原料層104aを硬化させたものとして説明を行なう。
このようにして、前記樹脂原料層を硬化させて、データ基板111(即ち、第1基板101、第1色素記録層102及び第1反射層103)、紫外線硬化性樹脂原料層104a、並びに、スタンパ110を備えた接着体112が得られる。
[3−2−4−3.スタンパ剥離工程]
そして、スタンパ剥離工程では、図5(d)に示すように、紫外線硬化性樹脂原料層104a(図5(c)参照)からスタンパ110を剥離させる。これにより、紫外線硬化性樹脂原料層104aにスタンパ110の転写用凹凸形状が転写されて、中間層104が形成される。なお、本明細書では、紫外線硬化性樹脂原料層104aとは、塗布後、硬化され、スタンパが剥離するよりも以前のものを指す。また、中間層104とは、スタンパ110が剥離した後のものを指す。したがって、紫外線硬化性樹脂原料層104a及び中間層104は同様の位置に形成された層を指すものであるが、その状態が異なるものである。
スタンパ110を剥離させる具体的方法に制限はないが、通常は、内周を真空吸着して、光記録媒体の内周にナイフエッジを入れ、そこにエアーを吹き込みながらディスクとスタンパを引き離すという方法で剥離を行なう。
以上の操作を経て、紫外線硬化性樹脂原料層104aの表面に、スタンパ110の転写用凹凸の形状(即ち、転写用凹凸形状)が転写された中間層104を形成し、第1基板101、第1色素記録層102、第1反射層103及び中間層104を備えた光記録媒体用積層体113を得ることができる(図5(d)参照)。
[3−2−5.第2色素記録層形成工程]
続いて、第2色素記録層形成工程では、図5(e)に示すように、中間層104上に第2色素記録層105を形成する。第2色素記録層105の形成方法は、第1色素記録層と同様である。即ち、有機色素材料を含む塗布液を、スピンコートにより中間層104表面に塗布する。そして、塗布液に使用した溶媒を除去するために加熱等を行ない、第2色素記録層105を成膜する。
[3−2−6.第2反射層形成工程]
次に、第2反射層形成工程では、図5(f)示すように、第2色素記録層105上に第2反射層106を形成する。第2反射層106の形成方法は第1反射層の場合と同様であり、例えば、本請求項記載の材料をスパッタもしくは蒸着することにより第2色素記録層105上に第2反射層106を成膜することができる。
また、第2反射層106を形成する方法としては、例えば、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等を採用することもできる。
なお、中間層、色素記録層及び必要に応じて反射層を更に積層する場合には、[3−2−2.第1色素記録層形成工程]、[3−2−3.第1反射層形成工程]及び[3−2−4.中間層形成工程]と同様の操作を繰り返すことによって、色素記録層及び反射層を3層以上有する積層型多層光記録媒体を効率よく製造することができる。
[3−2−7.第2基板形成工程]
その後、第2基板形成工程において、図5(g)に示すように、第2反射層106上に第2基板108を形成する。第2基板108の形成方法に制限はないが、例えば、第2基板108を、接着層107を介して第2反射層106に貼り合わせて形成することができる。なお、第2基板108に制限はないが、ここでは、ポリカーボネートを射出成形して得られた鏡面基板を第2基板108として用いているものとする。
ここで、接着層107の構成は任意である。例えば、接着層107は、透明であっても不透明であってもよい。また、表面が多少粗くてもよい。さらに、遅延硬化型の接着剤であっても問題なく使用できる。また、例えば、第2反射層106上にスクリーン印刷等の方法で接着剤を塗布し、紫外線を照射してから第2基板108を載置し、押圧することにより接着層107を形成するようにしてもよい。また、第2反射層106と第2基板108との間に感圧式両面テープを挟んで押圧することにより接着層107を形成することも可能である。
以上のようにして、光記録媒体100の製造が完了する。
[3−2−8.その他の製造方法]
光記録媒体100の製造方法は、上述したものに限定されず、他の方法を採用してもよい。
また、上述した製造方法に変更を加えて実施してもよい。例えば、上述した各工程の前、途中、後に、上述した工程以外の他の工程を行うようにしてもよい。
また、多層型の光記録媒体100においては、光記録媒体100の反りや、中間層104上に形成される第2色素記録層105の記録特性等を考慮し、樹脂原料層104aを複数の樹脂層から形成してもよい。この場合、樹脂原料層104aを構成する複数の樹脂層のうち、スタンパ110により凹凸形状を形成される樹脂層が最外樹脂層となる。
このように樹脂原料層104aを複数の樹脂層から構成する場合、樹脂原料層104aを構成する樹脂層の数は、特に制限されない。具体的には、上記樹脂層の数は、通常10層以下、好ましくは5層以下、より好ましくは4層以下とする。一方、上記樹脂層の数は、通常2層以上とする。但し、生産効率の観点からは、樹脂原料層104aを構成する樹脂層の数は、2層以上とすることが好ましく、また5層以下とすることが好ましい。生産効率の観点から特に好ましいのは、樹脂原料層104aを構成する樹脂層の数を、2層又は3層構造とすることである。
[4.その他]
以上、本発明の光記録媒体について実施形態を示して詳細に説明したが、本発明は上記の光記録媒体に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
図3に示した層構成はあくまで一例であり、光記録媒体100は、上記の積層構造において、必要に応じて任意の他の層を挟んでもよい。或いは、光記録媒体100の最外面に任意の他の層を設けてもよい。更に、光記録媒体100には、必要に応じて、記録再生光の入射面ではない裏面100Bに、インクジェット、感熱転写等の各種プリンタ、或いは各種筆記具にて記入(印刷)が可能な印刷受容層を設けてもよい。また、例えば、図3に図示しない他の層(例えば、第1基板101と第1色素記録層102との間に下地層を挿入する。)を有する光記録媒体を製造するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、光記録媒体100の例として、有機色素材料を含む2つの色素記録層を有するデュアルレイヤタイプの片面2層HDDVD−Rを例に挙げて説明したが、本発明を適用しうる光記録媒体はこれに限られるものではない。
例えば、主情報記録用レーザ光が膜面側から入射されるBlu−rayディスクにおいても、本発明は同様に適用することができる。
また、本発明は、1層の色素記録層を有する単層型の光記録媒体に適用することもできる。その場合、前記した光記録媒体100の例から、第1色素記録層102および第1反射層103を除いた構成とすればよい。更には、中間層104を除いて、第1基板101の上に直接、第2色素記録層105を積層してもよい。1層の色素記録層を有する光記録媒体の場合の反射層は、第2反射層106のみということになる。
さらに、本発明の光記録媒体は、色素記録層を3層以上有し、中間層を2層以上有する光記録媒体に適用することもできる。この場合、2層以上の中間層のそれぞれを形成するために、上記で説明した製造方法を適用することができる。
また、例えば、光記録媒体の製造方法に関しては、光記録媒体100を2枚、第1基板101を外側にして貼合わせてもよい。光記録媒体100を2枚貼り合わせることにより、色素記録層を4層有する大容量の媒体を得ることができる。
また、上述した各構成要素は、適宜、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に組み合わせて実施することができる。
以下に実施例を示すが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)光記録媒体の作成
ニッケルスタンパを用いてポリカーボネートを射出成形し、記録再生領域にトラックピッチ0.40μm、幅260nm、深さ60nmの案内溝が形成され、内周側の非記録再生領域に記録再生領域と同じトラックピッチ、溝幅、溝深さからなるスパイラル状の溝形状を有する、幅2mmの内周溝領域を持つ、直径120mm、厚さ0.60mmの基板を得た。下記の化学式で示される分解温度250℃のシアニン色素のテトラフルオロロペンタノール溶液(濃度1重量%)を調製し、これを基板上の内周溝領域の外周側の端部から約0.1mm外周に滴下してスピナー法により塗布した。塗布後、70℃で30分間乾燥し第1色素記録層を形成した。
Figure 2009170017
さらに、第1色素記録層上に、Ag−Bi(Bi:1.0原子%)からなるAg合金を用いて、厚さ20nmの半透明の第1反射層をスパッタリング法により成膜した。更に、この反射層の上に、紫外線硬化樹脂を用いて、0.6mm厚のポリカーボネート製の第2基板を接着して、単層型の光記録媒体を作製した(実施例1の光記録媒体)。
(2)色素記録層の内周側の端部の半径位置の測定
得られた実施例1の光記録媒体に対し、光学顕微鏡(ニコン社製 工場顕微鏡20型)を用いて色素記録層の内周側の端部の半径位置の測定を行った。
その結果、端部の半径位置は内周溝領域の最外周位置より0.091mm内周の位置であった。
(3)反射率分布の測定
得られた実施例1の光記録媒体に対し、レーザ波長405nm、NA(開口数)0.65のテスター(パルステック社製ODU−1000)を用い、周方向での反射率分布の評価を行った。
反射率Rの値は、色素記録層の膜厚に影響を受けるため、反射率分布を測定することにより、色素記録層の膜厚分布状態を見積もることが出来る。各半径ごとに、ディスク1周分の反射率Rを測定し、1周内での最大反射率Rmaxと最小反射率Rminを測定し、以下の式により反射率分布を算出した。
反射率分布(%)=(Rmax−Rmin)/Rmax×100
反射率分布の値が小さいほど、色素記録層の膜厚分布が均一であることを意味する。HDDVDの規格上は反射率分布が15%以下であることが必要とされているが、マージンを考慮し、反射率分布が5%程度であれば、実用上問題ないレベルと判断する。本実施例では、色素記録層の内周側の端部の近傍は非記録再生領域に当たるが、上記の膜厚分布の評価を行うため、便宜上記録再生用レーザ光を照射して反射率測定を行った。
結果を図6及び表1に示す。色素記録層の内周側の端部からの距離がわずか0.6mm程度で、反射率分布5%が得られており、端部近傍でも良好な膜厚分布が得られていることが判る。
Figure 2009170017
(4)色素記録層膜厚分布の測定
実施例1の光記録媒体に対し、波長470nmでのOD値(Optical Density)の周分布をETA−Optik社製ETA−RTで測定した。色素記録層の内周側の端部から0.1mm刻みで1周につき8点のOD値を測定した。ここで、OD値の測定は反射層が存在すると測定できないため、OD値の測定は実施例1の反射層を成膜する前の状態において行った。以下の実施例及び比較例についても同様である。
OD値は色素記録層の膜厚と相関があり、膜厚が大きいほどOD値も大きな値となる。そこで、このOD値を用いて、以下の式でOD値分布算出した。
OD値分布(%)=(ODmax−ODmin)/ODmax×100
ここで、ODmaxは1周内でのOD値の最大値を表し、ODminは1周内でのOD値の最小値を表す。OD値分布が小さければ色素記録層の膜厚分布が均一である事を意味する。特に規格は設けられていないが、通常のHDDVDR−SLの記録再生領域では3%以下であれば特性に問題ない事が分かっている。
結果を(表2および図7)に示す。OD値の最大分布は12.8%であり、OD値分布が3%以上となる色素記録層の内周側の端部からの範囲は0.65mmであった。
Figure 2009170017
(実施例2、3)
ポリカーボネ―ト基板のトラックピッチ、溝幅、溝深さ表2の通りとした以外は実施例1と同様の条件で光記録媒体を作成した。(実施例2、3の光記録媒体)
得られた光記録媒体に対し実施例1と同様に色素記録層の内周側の境界部の半径位置を測定した結果を表3に示す。
表3に示した結果から内周溝領域をもつ光記録媒体では溝深さを深くする事で塗布液滴下位置からの塗布液の内周側への広がりを抑えることが出来ることがわかった。
Figure 2009170017
(比較例1)
内周溝領域を設けなかったこと以外は実施例1と同様の条件で光記録媒体を作成した(比較例1の光記録媒体)。実施例3、比較例1にて得られた光記録媒体に対し実施例1と同様に反射率分布を測定した結果を表1及び図6に示す。ここで、端部からの距離が0.6mm以内の領域では、反射率分布が大きすぎてフォーカスが調整できなかったため、0.7mm以上の範囲について測定を行った結果を示す。
(評価)
実施例3では、実施例1よりやや大きいものの、色素記録層の内周側の端部からの距離がわずか0.9mm程度で反射率分布5%が得られているが、内周溝領域の無い比較例1においては、反射率分布5%が得られる距離が1.7mm程度と明らかに大きい。このことから、内周溝領域を設けることにより、特に色素記録層の内周側の端部近傍の膜厚分布を改善できることが判る。
また、表2及び図7の結果より、内周溝領域の溝深さを深くするほどOD値分布が良好となっており、溝深さの最も浅い実施例3においても、OD値分布が3%以上となる色素記録層の内周側の端部からの距離が0.9mm程度であるのに対し、内周溝領域の無い比較例1においては1.3mm程度と大きな値となっていることから、内周溝領域を設けることにより、特に色素記録層の内周側の端部近傍の膜厚分布を改善できることが判る。
また、表3の結果より、内周溝領域の深さを深くすることにより、塗布液の内周側への広がりを抑えることができることが判る。
本発明の光記録媒体の一例を説明する模式図である。 本発明の内周溝領域を含む非記録再生領域の半径方向の断面図の一例である。 本発明の一実施形態としての片面2層の光記録媒体の要部を拡大して模式的に表わす断面図である。 本発明の情報記録媒体を製造するためのスタンパの製造手順の一例を説明するための図である。 本発明の光記録媒体の製造方法を説明するため、その要部の断面を模式的に示す断面図である。 実施例及び比較例の光記録媒体の、色素記録層の内周側端部からの外周方向への距離と反射率分布の関係を示すグラフである。 実施例及び比較例の光記録媒体の、色素記録層の内周側の端部からの距離とOD値分布の関係を示すグラフである。
符号の説明
100 光記録媒体
101 第1基板
102 第1色素記録層
103 第1反射層
104 中間層
105 第2記録層
106 第2反射層
107 接着層
108 第2基板
109 記録再生光
100A 情報面
100B 裏面
501 原盤用基板
502 フォトレジスト
503 原盤
504 パターン
505 導電層
506 ファザー層
507 剥離層
508 マザー層

Claims (9)

  1. 基板上に有機色素材料を含有する色素記録層を有するディスク状の光記録媒体において、内周側の非記録再生領域に内周溝領域を有し、該色素記録層の内周側の端部が該内周溝領域に存在する
    ことを特徴とする光記録媒体。
  2. 前記内周溝領域が、同心円の溝の集合からなる
    ことを特徴とする、請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 前記内周溝領域が、スパイラル状の溝からなる
    ことを特徴とする、請求項1に記載の光記録媒体。
  4. 前記内周溝領域が、ピットの集合からなる
    ことを特徴とする、請求項1に記載の光記録媒体。
  5. 記録領域に深さが10〜200nmの記録溝を有する光記録媒体であって、前記内周溝領域の溝深さが該記録溝の深さと略同一以上である
    ことを特徴とする、請求項2または3に記載の光記録媒体。
  6. 記録領域に深さが10〜200nmの記録溝を有する光記録媒体であって、前記内周溝領域のピット深さが該記録溝の深さと略同一以上である
    ことを特徴とする、請求項4に記載の光記録媒体。
  7. 前記内周溝領域の半径方向の幅が10μm以上である
    ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光記録媒体。
  8. 前記内周溝領域の半径方向に隣接するピットまたは溝の間隔が該内周溝領域の半径方向の幅の1/5以下である
    ことを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の光記録媒体。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の光記録媒体を製造するためのスタンパであって、前記内周溝領域に相当する溝もしくはピットのパターンを有する
    ことを特徴とするスタンパ。
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