JP2006048905A - 光記録媒体 - Google Patents

光記録媒体 Download PDF

Info

Publication number
JP2006048905A
JP2006048905A JP2005196381A JP2005196381A JP2006048905A JP 2006048905 A JP2006048905 A JP 2006048905A JP 2005196381 A JP2005196381 A JP 2005196381A JP 2005196381 A JP2005196381 A JP 2005196381A JP 2006048905 A JP2006048905 A JP 2006048905A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
transparent resin
recording
recording medium
resin layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005196381A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006048905A5 (ja
Inventor
Shigeyuki Furomoto
滋行 風呂本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2005196381A priority Critical patent/JP2006048905A/ja
Priority to TW094122889A priority patent/TW200606935A/zh
Publication of JP2006048905A publication Critical patent/JP2006048905A/ja
Publication of JP2006048905A5 publication Critical patent/JP2006048905A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

【課題】 高速記録用途で良好な記録再生特性が得られる光記録媒体を提供する。
【解決手段】 基板(1)101上に反射層(1)102及び記録層(1)103を積層したディスク基板(逆積層体11)と、透明な基板(2)109上に記録層(2)108及び反射層(2)107を順次積層したディスク基板(正積層体12)とを、透明樹脂層105を介して貼り合わせた2層型の光記録媒体100は、透明樹脂層105の25±5℃における弾性率(E)と厚さ(t)との積(E×t)が2.0×10MPa・μm以上30.0×10MPa・μm以下の範囲に調製されることにより、逆積層体11の記録層(1)103に光情報を記録する際に、隣接するトラック部におよぶ過度の変形が抑制されてクロストークが低減し、高速記録用途で良好な記録再生特性が得られる。
【選択図】 図1

Description

本発明は光記録媒体に関し、より詳しくは、高速記録が可能で、且つ良好な記録再生特性が得られる光記録媒体に関する。
近年、CD−R、CD−RW、MO等の各種光記録媒体は、大容量の情報を記憶することができ、また、DVD−RAMのように、ランダムアクセスが容易な媒体も開発され、コンピュータ等の情報処理装置における外部記憶装置として広く認知されている。例えば、有機色素含有記録層を有する代表的なCD−R等は、透明ディスク基板上に色素記録層と反射層とをこの順に有し、これらの記録層や反射層を覆う保護層を有する積層構造であり、基板を通してレーザ光にて記録・再生が行われる。また、これら光記録媒体の記録容量をさらに大容量化するために、1枚の媒体に複数の記録層を設けた多層型光記録媒体が開発され、例えば、ディスク状の透明な第1の基板上に、紫外線硬化性樹脂からなる中間層を挟んで2個の色素記録層を有する2層型光記録媒体が報告されている(特許文献1参照)。
このような、2層型光記録媒体は、透明スタンパを用いる2P(Photo Polymerization)法と、記録層及び反射層を積層したディスク基板を2枚形成し、光硬化性樹脂層を介して貼着する方法とが知られている。例えば、2P法では、第1の記録層及び第1の反射層が設けられた第1の基板上に、光硬化性樹脂原料を塗布し、この塗布面上に凹凸形状を有する透明スタンパを載置した後、光硬化性樹脂原料を硬化させ、次に透明スタンパを剥離して光硬化性樹脂の表面に凹凸を転写させ、さらにこの凹凸表面に、第2の記録層と第2の反射層とを順次に形成し、最後に第2の基板を接着することにより製造する。2個の記録層には、第1の基板側から入射する記録再生光を用いて光情報を記録・再生する。
記録層及び反射層を積層したディスク基板を2枚貼着する方法では、記録トラック用の案内溝が形成された基板上に記録層と反射層とをこの順に積層(以下、「順積層体」ということがある。)した第1のディスク基板と、これに対して、基板上に反射層と記録層とをこの順に積層(以下、「逆積層体」ということがある。)した第2ディスク基板と、を形成し、それぞれのディスク基板に光硬化性樹脂を塗布した後、この塗布面同士を合わせて光硬化性樹脂を硬化させることにより製造する。2個の記録層には、第1のディスク基板側から入射する記録再生光を用いて光情報が記録・再生される。このようなディスク基板を2枚貼着する方法は、2P法のように、透明スタンパの凹凸形状を転写する工程が不要であり、生産性に優れ、低コスト化が図れると考えられる。
特開2000−311384号公報((0008)欄〜(0019)欄等参照)
ところで、有機色素を含有する記録層を備えた光記録媒体においては、高速記録用途におけるクロストークの発生をより抑制したいという課題がある。
即ち、有機色素を含有する記録層は、通常、集光された記録用レーザ光を吸収した色素が分解し、その部分の膜厚が減少すると共に圧力が高まり、高温に曝された記録層周辺が変形して記録部が形成される。この場合、変形した記録部が隣接トラック部に拡大し、また、複数トラックに記録が行われるとクロストークが増大する傾向があり、良好なジッターが得られにくくなるという現象が生じる。
ここで、複数トラックに情報を記録し、隣接する両側のトラックに記録された信号を再生したときのジッターをMT(%)と称する。また、隣接するトラックに記録がない状態で1つのトラックのみに記録した部分を再生して得られるジッターをST(%)と称する。MT(%)には、クロストークの影響が含まれるのに対し、ST(%)にはクロストークの影響は含まれない。
さらに、高速記録の場合、記録パルスが短小化するため、低速記録の場合より高パワーの記録用レーザ光を用いて色素を分解する必要がある。その結果、記録層が低速記録の場合より高温にさらされるため、クロストークの増大が顕著となりやすい。
このようなクロストークの発生は、特に、2枚のディスク基板を貼着する方法により形成される2層型光記録媒体において、記録再生光の入射面から奥側の第2層目の記録層において顕著に見られる。前述したように、2枚のディスク基板を貼着する方法により形成される2層型光記録媒体の第2層目の記録層は、基板上に反射層と記録層とを積層した逆積層体のディスク基板に設けられている。このような逆積層体において、基板の溝間部に光情報を記録をする場合は、記録変調度を確保するために、溝間部の記録層の膜厚を厚くする必要がある。その場合、記録部の隣接トラックは基板の溝部であるために、溝間部よりも記録層膜厚が厚くなりやすい。このために、溝部の記録層膜厚が厚くなる分、記録マークが横に広がり、クロストークが増大しやすくなる。このような溝部と溝間部との記録膜厚の差は、有機色素溶液を塗布する場合に発生しやすい。
また、2層型光記録媒体における記録再生光の入射面から奥側に設けた第2の基板は、記録再生光の反射率を確保するために、案内溝の深さが従来よりも浅く設定されている。このため、案内溝の物理的障壁効果が小さくなり、記録時に基板の樹脂の流動変形等による過度の変形が生じ、クロストークが増大しやすい。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものである。
即ち、本発明の目的は、高速記録用途において良好な記録再生特性が得られる光記録媒体を提供することにある。
かかる課題を解決するために、本発明においては、逆積層体に接する透明樹脂層の弾性率(E)と厚さ(t)との積(E×t)を、特定の範囲に調節している。
即ち、本発明によれば、基板と、反射層と記録層とをこの順に有する逆積層体と、逆積層体の記録層側に設けられる透明樹脂層と、を具え、透明樹脂層の厚さ(t)と25±5℃における弾性率(E)との積(E×t)が2.0×10MPa・μm以上である光記録媒体が提供される。
ここで、透明樹脂層の厚さ(t)と25±5℃における弾性率(E)との積(E×t)は、30.0×10MPa・μm以下であることが好ましい。
また、透明樹脂層を構成する樹脂の25±5℃における弾性率(E)が、3.0×10MPa以上6.0×10MPa以下であることが好ましい。
さらに、本発明が適用される光記録媒体において、逆積層体を構成する記録層が、有機色素を含有するものであることが好ましい。特に、後述する図1に示すような2層型の光記録媒体において、基板、反射層及び記録層からなる逆積層体に記録したときのクロスストークが低減し、MT(%)が改善される。尚、基板と反射層との間、または反射層と記録層との間に、適宜他の層を設けてもよい。
また、本発明が適用される光記録媒体において、逆積層体を構成する記録層と接する透明樹脂層との間に、中間層をさらに設けることが好ましい。中間層を設けることにより、透明樹脂層からしみ出る成分が、透明樹脂層と接する記録層を汚濁または溶解することを防止することができる。
さらに、本発明が適用される光記録媒体において、逆積層体と接する透明樹脂層の、逆積層体側とは反対側に、第2の反射層と第2の記録層と透明基板とを順番に設けることにより、多層型の光記録媒体に展開することができる。
一方、本発明は、光照射により光情報の記録・再生が行われる記録層と、記録層の光入射面側に設けられた透明樹脂層と、記録層の光入射面とは反対側に設けられた反射層と、を有し、透明樹脂層の厚さ(t)と25±5℃における弾性率(E)との積(E×t)が2.0×10MPa・μm以上である光記録媒体として把握することができる。
即ち、光入射面とは反対側に反射層を有する記録層の光入射面側に、特定の(E×t)の数値を示す透明樹脂層を設けた構成を有する光記録媒体において、隣接するトラック部に及ぶ過度の変形が抑制され、高速記録でのクロストークが低減し、さらにジッターを改善することが可能である。このような性能の改善は、膜面入射型の光記録媒体に限らず、多層型の光記録媒体において、光入射面から奥側に設けられた記録層において顕著である。
ここで、透明樹脂層が、ガラス転移温度150℃以上を有する透明樹脂から構成されることが好ましい。このような透明樹脂を用いて透明樹脂層を構成することにより、透明樹脂層の硬さを増大させ、ジッターを改善すると考えられる。
また、本発明によれば、基板、反射層、記録層及び透明樹脂層をこの順番に有する光記録媒体であって、反射層は、銀(Ag)を主成分とする金属を含み、且つ、膜厚が30nm以上80nm以下であることを特徴とする光記録媒体が提供される。
即ち、本発明が適用される光記録媒体は、基板、反射層、記録層及び透明樹脂層をこの順番に有する逆積層体構造を有し、銀を主成分とする金属を含む反射層の膜厚を30nm以上80nm以下とすると、記録層側から反射層に入射した光ビームの一部を透過させることができる。そうすると、記録層に情報を記録する際のエネルギーが拡散するため、例えば、有機色素を含む記録層に記録マークが形成される追記型光記録媒体の場合、隣接トラックに記録マークがはみ出す(クロストーク)現象が抑制され、その結果、ジッターを改善することが可能である。
ここで、反射層が、Agを50%以上含むことが好ましく、さらに、Agを主成分とし、Ti、Bi、Zn、Cu、Pd及び希土類金属のうち1種以上の元素を0.1原子%〜15原子%含有することが好ましい。
かくして本発明によれば、高速記録用途において良好な記録再生特性が得られる光記録媒体が得られる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。
(第1の実施形態)
図1は、本実施の形態が適用される光記録媒体の第1の実施形態(この例では、片側入射2層型DVD)を説明する図である。図1には、透明基板上に反射層及び記録層を積層したディスク基板(逆積層体11)と、透明基板上に記録層及び反射層を順次積層したディスク基板(正積層体12)と、からなる2層型の光記録媒体100が示されている。
図1に示すように、光記録媒体100は、逆積層体11として、溝及びランド又はプリピットが形成されたディスク状の光透過性の基板(1)101と、この基板(1)101のレーザ光110の入射面側に設けられた反射層(1)102と、色素を含む記録層(1)103と、中間層104と、を有している。また、正積層体12として、溝及びランド又はプリピットが形成されたディスク状の光透過性の基板(2)109と、基板(2)109上に設けられた色素を含む記録層(2)108と、基板(2)109側から入射したレーザ光110のパワーを振り分ける半透明の反射層(2)107と、反射層(2)107上に設けられた保護コート層106と、を有する。そして、逆積層体11と正積層体12とは、中間層104と保護コート層106とが対向するように、透明樹脂層105を介して積層され、2層型の光記録媒体100を構成している。また、記録層(1)103及び記録層(2)108は、正積層体12の基板(2)109側から入射したレーザ光110により、光情報の記録再生が行われる。
(逆積層体)
次に、光記録媒体100を構成する逆積層体11の各層について説明する。図1に示すように、逆積層体11は、基板(1)101と、基板(1)101上に積層された反射層(1)102、記録層(1)103及び中間層104(以下、L1層ということがある。)とから構成される。
(基板(1))
基板(1)101を構成する材料は、光透過性を有し、複屈折率が小さい等光学特性に優れることが望ましい。また射出成形が容易である等成形性に優れることが望ましい。さらに、吸湿性が小さいことが望ましい。さらに、光記録媒体100がある程度の剛性を有するよう、形状安定性を備えるのが望ましい。このような材料としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に非晶質ポリオレフィン)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ガラス等が挙げられる。また、ガラス等の基体上に、光硬化性樹脂等の放射線硬化樹脂からなる樹脂層を設けたもの等も使用できる。これらの中でも、光学特性、成形性等の高生産性、コスト、低吸湿性、形状安定性等の点からはポリカーボネートが好ましい。また、耐薬品性、低吸湿性等の点からは、非晶質ポリオレフィンが好ましい。また、高速応答性等の点からは、ガラス基板が好ましい。
また、基板(1)101は、必ずしも光透過性が必要ではないので、機械的安定性を高め、剛性を大きくするために、適当な材料からなる裏打ちを設けることができる。このような材料としては、例えば、Alを主成分としたAl−Mg合金等のAl合金基板;Mgを主成分としたMg−Zn合金等のMg合金基板;シリコン、チタン、セラミックス、紙等の基板またはこれらの組み合わせが挙げられる。
逆積層体11を構成する基板(1)101の案内溝部の溝深さは、記録再生波長をλとして、通常、λ/100以上、好ましくは、2λ/100以上、さらに好ましくは、3λ/100以上であり、但し、λ/6以下が好ましい。例えば、記録再生光の波長(記録再生波長)がλ=660nmの場合、基板(1)101の溝深さは、通常、6.6nm以上、好ましくは13nm以上、さらに好ましくは、20nm以上である。
また、基板(1)101の溝深さの上限は、この例の場合には、110nm以下とすることが好ましい。特に、本実施の形態が適用される光記録媒体100の場合、基板(2)109及び透明樹脂層105を介して記録層(1)103に入射するレーザ光110の光量及び反射光量は、記録層(2)108及び反射層(2)107により減衰され、反射率が低くなるために、7λ/100以下が好ましい溝深さの上限となる。例えば記録再生波長をλ=660nmとすると、基板(1)101の溝深さは、46.2nm以下とするのが好ましい。より好ましくは6λ/100以下である。
逆積層体11における基板(1)101の溝幅は、トラックピッチをTとして、通常、T/10以上、好ましくは、2T/10以上、さらに好ましくは、3T/10以上である。但し、通常、8T/10以下、好ましくは7T/10以下、さらに好ましくは6T/10以下である。基板(1)101の溝幅がこの範囲であれば、トラッキングを良好に行うことができ、十分な反射率を得ることができる。例えば、トラックピッチを740nmとすると、基板(1)101の溝幅は、通常、74nm以上、好ましくは148nm以上、さらに好ましくは222nm以上とする。また、上限は、この例の場合には、通常、592nm以下、より好ましくは518nm以下、さらに好ましくは444nm以下とする。基板(1)101はある程度厚いことが好ましく、基板(1)101の厚さは、通常、0.3mm以上が好ましい。但し、3mm以下、好ましくは1.5mm以下である。
(反射層(1))
逆積層体11の反射層(1)102を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Pd、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi、希土類金属等の金属及び半金属を単独または合金にして用いることが可能である。これらの中でも、Au、Al、Agが好ましく、特に、Agを50%以上含有する金属材料はコストが安い点、反射率が高い点から好ましい。
また、Agを主成分とし、Ti、Zn、Cu、Pd、Au及び希土類金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1原子%〜15原子%含有することが好ましい。Ti、Bi、Zn、Cu、Pd、Au及び希土類金属のうち2種以上の元素を含む場合は、各々の含有量を0.1〜15原子%としてもかまわないが、それらの合計含有量が0.1原子%〜15原子%であることが好ましい。
さらに好ましい合金組成は、Agを主成分とし、Ti、Bi、Zn、Cu、Pd、Auよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1原子%〜15原子%含有し、必要に応じ、少なくとも1種の希土類元素を0.1原子%〜15原子%含有するものである。希土類金属の中では、ネオジウムが特に好ましい。具体的には、AgPdCu、AgCuAu、AgCuAuNd、AgCuNd、AgBi、AgBiNd等である。尚、本実施の形態において使用される合金の組成比は上述した範囲のものである。
尚、「Agを主成分とする」とは、合金組成中のAgが、通常50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上のことをいう。また、純Agを用いることも可能である。
反射層(1)102としては、Auのみからなる層は結晶粒が小さく、耐食性に優れ好適である。また、反射層(1)102としてSiからなる層を用いることも可能である。さらに、金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
反射層(1)102を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。
逆積層体11における反射層(1)102は、高反射率、かつ高耐久性であることが望ましい。高反射率を確保するために、反射層(1)102の厚さは、通常、30nm以上、好ましくは、40nm以上、さらに好ましくは50nm以上である。但し、生産上のタクトタイムを短縮しコストを低減するためには、通常、400nm以下、好ましくは300nm以下である。
ここで、本実施の形態が適用される光記録媒体100において、逆積層体11の反射層(1)102が銀を主成分とする金属を含む場合は、反射層(1)102の膜厚は、30nmから80nmの範囲とすることがさらに好ましい。特に、銀を主成分とする反射層(1)102の膜厚が30nmから80nmの範囲の場合は、反射層(1)102の反射率の低下と透過率の上昇とがバランスすることによりエネルギー拡散が生じ、その結果、クロストークが改善できる傾向にある。
逆積層体11において、反射層(1)102が銀を主成分とする金属を含み、且つ、膜厚が上述した特定の範囲の場合に、クロストークが改善できる傾向にある理由は、以下のように考えられる。即ち、反射層(1)102の膜厚を薄くするほど、反射層(1)102の反射率(R)は低下し、一方、反射層(1)102の透過率(T)は上昇する。ここで、図5は、反射層の膜厚と透過率(T)、反射層の膜厚と反射率(R)との関係を説明する図である。図5(a)は反射層の膜厚と透過率(T)との関係を示し、図5(b)は反射層の膜厚と反射率(R)との関係を示す。図5(a)に示すように、反射層の膜厚が80nm付近より薄くなると透過率(T)が上昇し、膜厚が30nmより薄くなると透過率(T)は5%を超える。また、図5(b)に示すように、反射層の膜厚が80nm付近より薄くなると反射率(R)が低下し、膜厚が30nmより薄くなると反射率(R)は85%未満となる。尚、図5において、反射率(R)及び透過率(T)は、波長650nmの光の場合に、単層の銀反射層(但し、屈折率n=0.05、消衰係数k=4.25)について計算したものである。
このように、反射層(1)102の透過率(T)が上昇するに伴いエネルギー拡散が生じる。そうすると、記録層(1)103における記録時の記録マーク内や記録マーク間の熱干渉が低減し、その結果、記録層(1)103における過度の蓄熱や変化が抑制され、クロストークが低減されると考えられる。
また、反射層(1)102の膜厚を従来よりも薄く形成することにより、その反射層(1)102が基板の溝の形状をより厳密にカバーする(トレースする)傾向がある。そのため、トラックピッチを狭くした場合においても、溝部と溝間部とが明確に分けられるため、クロストークが低減される可能性がある。
尤も、反射層(1)102の膜厚が過度に薄いと、反射率(R)が急激に低下するため好ましくない。そのため、記録層(1)103の膜厚は30nm以上であることが好ましく、より好ましくは40nm以上である。また、通常、銀を主成分とする金属を含む反射層の膜厚は100nm以上であるが、この場合は、透過率(T)が低いのでエネルギー拡散がほとんど生じない。このため、記録層(1)103の膜厚は80nm以下であることが好ましい。
また、反射層(1)102を、通常の100nmより薄い膜厚で形成する場合は、スパッタ時間が短縮できるとともに、スパッタの際に、基板(1)101の温度上昇が低減される。このため、スパッタされる原子の凝集(migration)が緩和されるために、粒径が小さく、良質で表面粗さの小さい反射層(1)102が形成できる可能性があり、コストパフォーマンスも改善される。
(記録層(1))
逆積層体11における記録層(1)103は、通常、例えば、CD−R、DVD−R、DVD+R等の片面型記録媒体に用いられる記録層と同程度の感度の色素を含有する。このような色素は、350nm〜900nm程度の可視光〜近赤外域に最大吸収波長λmaxを有し、青色〜近マイクロ波レーザでの記録に適する色素化合物が好ましい。中でも、通常CD−Rに用いられるような波長770nm〜830nm程度の近赤外レーザ(例えば、780nm、830nm)、DVD−Rに用いられるような波長620nm〜690nm程度の赤色レーザ(例えば、635nm、660nm、680nm)、波長410nm又は515nm等のいわゆるブルーレーザ等による記録に適する色素がより好ましい。尚、相変化型材料を使用することも可能である。
記録層(1)103に使用される色素としては、特に限定されないが、通常、有機色素材料が使用される。有機色素材料としては、例えば、大環状アザアヌレン系色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素等)、ピロメテン系色素、ポリメチン系色素(シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素等)、アントラキノン系色素、アズレニウム系色素、含金属アゾ系色素、含金属インドアニリン系色素等が挙げられる。これらの中でも、含金属アゾ系色素は、記録感度に優れ、かつ耐久性、耐光性に優れるため好ましい。これらの色素は1種又は2種以上混合して用いても良い。
また、記録層(1)103には、記録層の安定や耐光性向上のために、一重項酸素クエンチャーとして遷移金属キレート化合物(例えば、アセチルアセトナートキレート、ビスフェニルジチオール、サリチルアルデヒドオキシム、ビスジチオーαージケトン等)等や、記録感度向上のために金属系化合物等の記録感度向上剤を含有していても良い。ここで金属系化合物とは、遷移金属等の金属が原子、イオン、クラスター等の形で化合物に含まれるものを言い、例えば、エチレンジアミン系錯体、アゾメチン系錯体、フェニルヒドロキシアミン系錯体、フェナントロリン系錯体、ジヒドロキシアゾベンゼン系錯体、ジオキシム系錯体、ニトロソアミノフェノール系錯体、ピリジルトリアジン系錯体、アセチルアセトナート系錯体、メタロセン系錯体、ポルフィリン系錯体のような有機金属化合物が挙げられる。金属原子としては特に限定されないが、遷移金属であることが好ましい。
さらに、記録層(1)103には、必要に応じて、バインダー、レベリング剤、消泡剤等を併用することもできる。好ましいバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ケトン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられる。
記録層(1)103の成膜方法としては、特に限定されないが、通常、真空蒸着法、スパッタリング法、ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等一般に行われている薄膜形成法が挙げられるが、量産性、コスト面からはスピンコート法等の湿式製膜法が好ましい。また、均一な記録層が得られるという点から、真空蒸着法が好ましい。
スピンコート法による成膜の場合、回転数は10rpm〜15000rpmが好ましく、スピンコートの後、一般的に加熱処理を行い、溶媒を除去する。ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等の塗布方法により記録層を形成する場合の塗布溶媒としては、基板を侵さない溶媒であればよく、特に限定されない。例えば、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;n−ヘキサン、n−オクタン等の鎖状炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、シクロオクタン等の環状炭化水素系溶媒;テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロブタノール等のパーフルオロアルキルアルコール系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシカルボン酸エステル系溶媒等が挙げられる。
これらの溶媒を除去するための加熱処理は、溶媒を除去し、且つ、簡便な設備により行うという観点から、通常、使用する溶媒の沸点よりやや低い温度で行われ、通常、60℃〜100℃の範囲で行われる。また、加熱処理の方法は、特に限定されないが、例えば、基板(1)101上に記録層(1)103を形成するために色素を含有する溶液を塗布して成膜した後、所定の温度で所定時間(通常、5分間以上、好ましくは10分間以上、但し、通常、30分間以内、好ましくは20分間以内)保持する方法が挙げられる。また、赤外線、遠赤外線を短時間(例えば、5秒間〜5分間)照射し、基板(1)101を加熱する方法も可能である。
真空蒸着法の場合は、例えば、有機色素と、必要に応じて各種添加剤等の記録層成分を、真空容器内に設置されたるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−2〜10−5Pa程度にまで排気した後、るつぼを加熱して記録層成分を蒸発させ、るつぼと向き合って置かれた基板上に蒸着させることにより行われる。
逆積層体11の記録層(1)103の厚さは、通常、50nm以上、好ましくは、60nm以上であり、但し、通常、150nm以下、好ましくは、100nm以下である。記録層(1)103の厚さがこの範囲とすれば、充分な記録信号振幅を確保しつつ、感度の低下を抑制することができる。また、記録層(1)103の厚さが過度に大きいと、感度が低下する場合がある。
(中間層)
中間層104は、必要に応じて、逆積層体11に設けられる。一般的に、中間層104は、透明樹脂層105からしみ出る成分が記録層(1)103を汚濁または溶解することを防止するため、記録層(1)103と透明樹脂層105の間に設けられる。中間層104の厚さは、通常、1nm以上、好ましくは、2nm以上である。中間層104の厚さがこの範囲とすれば、透明樹脂層の105からしみ出る成分を効果的に抑制できる。但し、中間層104の厚さは、2000nm以下が好ましく、より好ましくは500nm以下である。中間層104の厚さがこの範囲とすれば、光の透過率の低下を防止できる。また、中間層104を無機物からなる層とする場合には、成膜に時間を要する場合があるので、生産性の低下を抑制し、膜応力が高くなることを良好な範囲にするために、200nm以下とすることが好ましい。特に、中間層104に金属を用いる場合は、光の透過率が過度に低下することを防止するために、中間層104の厚さを20nm以下とすることが好ましい。
中間層104を構成する材料としては、例えば、金属薄膜、酸化ケイ素、窒化ケイ素、MgF、SnO2、ZnS−SnO等の誘電体が挙げられる。
尚、基板(1)101と記録層(1)103との間、基板(2)109と記録層(2)108との間、記録層(2)108と反射層(2)107との間等に、それぞれ中間層104と同様な材料からなる層を設けても良い。
(透明樹脂層)
次に、逆積層体11のレーザ光110の入射面側に接して設けられた透明樹脂層105について説明する。
本実施の形態が適用される2層型の光記録媒体100における透明樹脂層105は、基板(2)109側から入射するレーザ光110が記録層(1)103に到達する程度の光透過性材料から構成される。特に、逆積層体11との関係においては、透明樹脂層105の弾性率(E)(単位:MPa)と透明樹脂層105の厚さ(t)(単位:μm)との積(E×t)(単位:MPa・μm)が、所定の数値以上の大きさを有することにより、逆積層体11の記録層(1)103の光情報の記録において、隣接するトラック部におよび過度の変形を抑制することができる。その結果、光記録媒体100は、L1層の高速記録におけるクロストークが低減し、ジッターが改善される。ここで、透明樹脂層105の「透明」とは、光記録媒体100に入射するレーザ光110を散乱する構造を有しない、という意味である。ここで、「散乱」は、光記録媒体100の記録再生特性に大きな影響を与える程度の散乱をいう。
本実施の形態が適用される2層型の光記録媒体100において、透明樹脂層105の弾性率(E)(単位:MPa、但し、温度25±5℃における測定値。)と透明樹脂層105の厚さ(t)(単位:μm)との積(E×t)(単位:MPa・μm)は、2.0×10MPa・μm以上、好ましくは、2.5×10MPa・μm以上、より好ましくは4.0×10MPa・μm以上、さらに好ましくは5.0×10MPa・μm以上、特に好ましくは7.0×10MPa・μm以上であり、より特に好ましくは9.0×10MPa・μm以上であり、最も好ましくは10.0×10MPa・μm以上である。(E×t)が2.0×10MPa・μm以上の場合は、透明樹脂層105の機械強度(剛直性)を確保することができ、L1層(図1)の記録層(1)103の光情報の記録において、隣接するトラック部におよび過度の変形を抑制することができる。
但し、透明樹脂層105の弾性率(E)(単位:MPa)と透明樹脂層105の厚さ(t)(単位:μm)との積(E×t)(単位:MPa・μm)の上限は、通常、30.0×10MPa・μm以下、好ましくは21.0×10MPa・μm以下、より好ましくは17.5×10MPa・μm以下、さらに好ましくは13.5×10MPa・μm以下である。(E×t)の上限が30.0×10MPa・μm以下の場合、2層型の光記録媒体100のL1層(図1)に対してフォーカスを良好にかけることが可能となり、記録層(1)103を適切に記録再生できる。また、例えば、膜面入射型の光記録媒体の場合に、対物レンズの焦点距離を小さくでき、高密度記録を良好に行うことができる。
透明樹脂層105を構成する樹脂として、通常、弾性率(E)が、1.0×10MPa以上、好ましくは、2.0×10MPa以上、より好ましくは、3.0×10MPa以上、さらに好ましくは、4.0×10MPa以上とする。弾性率(E)が1.0×10MPa以上の樹脂を用いて(E×t)が2.0×10MPa・μm以上となるように透明樹脂層105を構成することにより、L1層(図1)の記録・再生において、いわゆる閉じこめ効果がより高められる。但し、弾性率(E)の上限は、通常、6.0×10MPa以下である。弾性率(E)が6.0×10MPa以下の樹脂を用いることにより、例えば、塗布等の溶液法により透明樹脂層105を製膜することが可能となり、工業的に有利である。
次に、透明樹脂層105の厚さ(t)について説明する。図3は、透明樹脂層の厚さ(t)について説明する図である。図3(a)は、透明樹脂層が単一樹脂で構成されている場合であり、図3(b)は、透明樹脂層が複数の樹脂層から構成されている場合である。即ち、透明樹脂層105の厚さ(t)は、透明樹脂層105が単一樹脂で構成されている場合(ケースa)と、透明樹脂層105が複数の樹脂層から構成されている場合(ケースb)とで、以下のように説明される。
(ケースa)
図3(a)に示すように、逆積層体に接する透明樹脂層が単一樹脂で構成されている場合は、透明樹脂層の膜厚(h)の2分の1(h/2)であって、逆積層体に接する側の部分の膜厚を透明樹脂層の厚さ(t)とする。
透明樹脂層105が単一の樹脂から構成される場合、逆積層体11のL1層のクロストークに大きな影響をもたらすのは、透明樹脂層105の逆積層体11に接している部分であると考えられる。即ち、透明樹脂層105の逆積層体11に接していない側の部分は、L1層の記録層(1)103に光情報を記録する場合に、隣接トラック方向への拡大を抑制する局所的な拘束力を与える働きに乏しいと考えられる。従って、透明樹脂層105が単一樹脂で構成されている場合は、L1層とL0層(図1参照)との間隔の2分の1であって、逆積層体11に接する側の部分の膜厚を透明樹脂層105の厚さ(t)とする。
図1に示す2層型の光記録媒体100の場合、透明樹脂層105の膜厚(h)は、通常、200μm以下、好ましくは100μm、より好ましくは80μm以下である。特に、DVD2層ディスク規格においては、L1層とL0層との間隔は40μm〜70μmが好ましいとされているため、この場合、透明樹脂層105の膜厚(h)は、70μm以下が好ましい。例えば、(ケースa)の場合の透明樹脂層105の厚さ(t)は、通常、20μm以上である。尚、もし、透明樹脂層105の膜厚(h)が5μm以下の場合は、透明樹脂層105の厚さ(t)は、5μmとする。また、透明樹脂層105の膜厚(h)が35μm以上の場合は、透明樹脂層105の厚さ(t)は35μmとする。
(ケースa)の場合において、透明樹脂層105の厚さ(t)が、この範囲の場合は、2層型の光記録媒体100のL1層に良好にフォーカスをかけることが可能となり、L0層とL1層を光学的に分けて良好に再生することができ、且つ、記録層(1)103を適切に記録再生できる。また、例えば、後述するように、図2に示すような、膜面入射型の光記録媒体の場合に、対物レンズの焦点距離を小さくでき、高密度記録を良好に行うことができる。特に、2層型の光記録媒体100において、(ケースa)の場合の透明樹脂層105の厚さ(t)は、20μm〜28μmであることが最も好ましい。(ケースa)の場合の透明樹脂層105の厚さ(t)がこのような範囲である場合に、透明樹脂層105の弾性率(E)と透明樹脂層105の厚さ(t)との積(E×t)を2.0×10(MPa・μm)以上とすれば、安定なL1層記録が可能となる。
(ケースb)
次に、図3(b)に示すように、透明樹脂層が複数の樹脂層(透明樹脂層(1)、透明樹脂層(2)・・・透明樹脂層(n))から構成される場合は、これら複数の樹脂層の中、逆積層体に接する樹脂層の膜厚を透明樹脂層の厚さ(t)とする。但し、逆積層体に接する透明樹脂層(1)の膜厚が35μm以上の場合には、透明樹脂層の厚さ(t)は35μmとする。
2層型の光記録媒体100を製造方法として、例えば、L1層を有する逆積層体11の上に、光透過性の樹脂Aを塗布し、一方、L0層を有する正積層体12の上に樹脂Bを塗布し、樹脂Aと樹脂Bとを接触させて硬化し、2層ディスクを調製する方法が挙げられる。この場合、前述したように、透明樹脂層105の逆積層体11に接していない側の樹脂層(樹脂Bから構成される樹脂層)は、L1層の記録層(1)103に光情報を記録する場合に、隣接トラック方向への拡大を抑制する局所的な拘束力を与える働きに乏しいと考えられる。従って、L0層を有する正積層体12側の樹脂層には、逆積層体11に接する側の樹脂層とは異なる紫外線硬化樹脂、紫外線硬化接着剤等を使用することができる。また、透明樹脂層105は、全体の応力を緩和できるような柔軟な樹脂層と(E×t)が所定の数値以上である樹脂層とを積層することが好ましい。
また、(ケースb)の場合、2層型の光記録媒体100の透明樹脂層105の全体の膜厚は、通常、200μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下である。特に、DVD2層ディスク規格においては、L1層とL0層との間隔は40μm〜70μmである。また、複数の樹脂層から構成される透明樹脂層105の中、逆積層体11に接する樹脂層(図3(b)透明樹脂層(1))の膜厚が35μm以上の場合は、透明樹脂層105の厚さ(t)は35μmとする。逆積層体11に接する樹脂層(図3(b)透明樹脂層(1))の膜厚は、通常、3μm以上が好ましく、より好ましくは4μm以上、さらに好ましくは10μm、特に好ましくは15μm以上である。透明樹脂層105の厚さ(t)が過度に小さい場合は、クロストークの低減効果が十分に発揮されないおそれがある。
尚、複数の樹脂層から構成される透明樹脂層105の中、逆積層体11に接する樹脂層(図3(b)透明樹脂層(1))の膜厚が5μm以下の場合には、厚さ(t)を5μmとして、以下の方法により(E×t)を計算する。即ち、透明樹脂層105の弾性率(E)と透明樹脂層105の厚さ(t)との積(E×t)は、厚さ(t)5μmに相当する樹脂層の複合体として透明樹脂層(1)と透明樹脂層(2)とから計算する。即ち、例えば、逆積層体11に接する樹脂層(図3(b)透明樹脂層(1))の弾性率をE1、膜厚が1μm、逆積層体11に接する樹脂層(図3(b)透明樹脂層(1))に隣接する樹脂層(図3(b)透明樹脂層(2))の弾性率E2とすると、(E×t)は、E1×1+E2×4と計算される。尚、この例は、透明樹脂層(1)と透明樹脂層(2)との合計膜厚が5μm以上となる例である。例えば、透明樹脂層(1)、透明樹脂層(2)、透明樹脂層(3)が5μmとなる場合も上述した計算例に準じて(E×t)を計算すればよい。
次に、透明樹脂層105を構成する材料の具体例について説明する。
透明樹脂層105を構成する材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂(遅延硬化型を含む)等を挙げることができる。透明樹脂層105を構成する材料は、これらの中から適宜選択される。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等は、必要に応じて適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、これを塗布し、乾燥(加熱)することによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂は、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、紫外光を照射して硬化させることによって形成することができる。これらの材料は単独または混合して用いても良い。
塗布方法としては、スピンコート法やキャスト法等の塗布法等の方法が用いられ、この中でもスピンコート法が好ましい。高粘度の樹脂はスクリーン印刷等によっても塗布形成できる。紫外線硬化性樹脂は、20℃〜40℃において液状であるものを用いることが好ましい。これは、溶媒を用いることなく塗布できるため生産性が良好となるからである。また、塗布液の粘度は20mPa・s〜1.0×10mPa・sとなるように調製するのが好ましい。
透明樹脂層105を構成する材料の中でも、紫外線硬化性樹脂は、透明度が高く、硬化時間が短く製造上有利な点で好ましい。紫外線硬化性樹脂としては、ラジカル系紫外線硬化性樹脂とカチオン系紫外線硬化性樹脂が挙げられ、いずれも使用することができる。ラジカル系紫外線硬化性樹脂は、紫外線硬化性化合物と光重合開始剤を必須成分として含む組成物が用いられる。紫外線硬化性化合物としては、単官能(メタ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレートを重合性モノマー成分として用いることができる。これらは、各々、単独または2種類以上併用して用いることができる。ここで、アクリレートとメタアクリレートとを併せて(メタ)アクリレートと称する。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、置換基としてメチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、フェノキシエチル、ノニルフェノキシエチル、テトラヒドロフルフリル、グリシジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル、イソボルニル、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、ジシクロペンテニロキシエチル等の基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては例えば、1、3−ブチレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、3−メチル−1、5ーペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1、8ーオクタンジオール、1、9−ノナンジオール、トリシクロデカンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、これらの重合性モノマーと同時に併用できるものとしては、重合性オリゴマーとして、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
さらに、ラジカル系紫外線硬化性樹脂には、通常、光重合開始剤を配合する。光重合開始剤としては、分子開裂型または水素引き抜き型のものが好ましい。このような光重合開始剤として、分子開裂型としては、例えば、ベンゾインイソブチルエーテル、2、4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2、4、6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2、4、4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
さらに、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンおよび2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を併用しても良い。水素引き抜き型光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド等が挙げられる。
また、これらの光重合開始剤とともに、増感剤を併用することができる。増感剤としては、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N、N−ジメチルベンジルアミンおよび4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
カチオン系紫外線硬化性樹脂としては、例えば、カチオン重合型の光開始剤を含むエポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA−エピクロールヒドリン型、脂環式エポキシ、長鎖脂肪族型、臭素化エポキシ樹脂、グリシジルエステル型、グリシジルエーテル型、複素環式系等が挙げられる。エポキシ樹脂としては、遊離した塩素および塩素イオン含有率が少ないものを用いるのが好ましい。塩素の量が1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.5重量%以下である。
カチオン重合型の光開始剤としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩等が挙げられる。ヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェード、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
さらに、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
カチオン型紫外線硬化性樹脂100重量部当たりのカチオン重合型光開始剤の割合は通常、0.1重量部〜20重量部であり、好ましくは0.2重量部〜5重量部である。なお、紫外線光源の波長域の近紫外領域や可視領域の波長をより有効に利用するため、公知の光増感剤を併用することができる。この際の光増感剤としては、例えばアントラセン、フェノチアジン、ベンジルメチルケタール、ベンゾフェノン、アセトフェノン等が挙げられる。
また、紫外線硬化性樹脂には、必要に応じてさらにその他の添加剤として、熱重合禁止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ホスファイト等に代表される酸化防止剤、可塑剤およびエポキシシラン、メルカプトシラン、(メタ)アクリルシラン等に代表されるシランカップリング剤等を、各種特性を改良する目的で配合することもできる。これらは、紫外線硬化性化合物への溶解性に優れたもの、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いる。
本実施の形態が適用される光記録媒体100において、透明樹脂層105の弾性率(E)と厚さ(t)との積(E×t)が、2.0×10MPa・μm以上とするための具体的な手段は、特に限定されないが、適度な硬さの樹脂を最適な膜厚範囲に調製する中で、膜厚の調整範囲を拡げるためには、以下の方法が挙げられる。例えば、上述した紫外線硬化性樹脂として、分子内にメタアクリロイル基を2個以上、好ましくは3個以上有するモノマー成分の組成を増大する方法;直鎖高分子ジオールと混合するポリエステルジオール等の側鎖含有高分子ジオール成分の組成を増大する方法;主鎖がハードセグメントであるオリゴマー成分の側鎖を低分子量とし、分子内結合を増大させる方法;ポリイソシアネート化合物、アミノ樹脂、エポキシ化合物、シラン化合物、金属キレート化合物等の架橋剤を所定量添加する方法等が挙げられる。このような手段により、透明樹脂層105自体の弾性率を増大し、透明樹脂層105を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)を、例えば、150℃を超える程度迄に高くすることができる。
また、紫外線硬化性樹脂の中でも、低光散乱性且つ低粘度であることにより、スピンコートにより塗布可能なカチオン型紫外線硬化性樹脂が好ましい。さらに、透明樹脂層105の厚さが10μm以上の場合は、酸素による硬化阻害を考慮する必要がないため、種類が多く、配合比、組成の自由度が大きいことにより、ラジカル系紫外線硬化樹脂を使用することが好ましい。
尚、光記録媒体(商品)からも、以下の方法により透明樹脂層を検出することが可能である。
(1)光ディスクを破壊し、取り出したディスク断面を、2次電子顕微鏡(SEM)で観察し、透明樹脂層の微細構造(組織)を観察する。もし、透明樹脂層の前記微細構造の違いが、厚さ方向の透明樹脂層間で観察されれば、その透明樹脂層が異なる樹脂の積層であることがわかる。
(2)透明樹脂層の断面を、顕微FT−IR法により測定し、透明樹脂層の赤外吸収スペクトルを得る。参照サンプルとなる樹脂の上記方法による赤外吸収スペクトルと比較すれば、樹脂の組成を、その参照スペクトルと関連させて、ある程度特定することができる。厚さ方向の透明樹脂層間で、前記赤外吸収スペクトルに差が見られれば、異なる樹脂の積層であることがわかる。それらの組成も、上記の参照サンプルとの比較により、ある程度特定することができる。
(3)透明樹脂層を熱分解GC−MS法で分析し、樹脂の組成を知ることができる。
(4)透明樹脂層を剥離して取り出し、そのTg、弾性率を、動的粘弾性率測定装置により直接測定することができる。
(正積層体)
次に、本実施の形態が適用される光記録媒体100を構成する正積層体12について説明する。図1に示すように、正積層体12は、記録再生光としてのレーザ光110の入射面を有する基板(2)109と、基板(2)109上に、記録層(2)108、反射層(2)107及び保護コート層106とが順次積層(以下、L0層ということがある。)されている。
正積層体12の基板(2)109は、逆積層体11の基板(1)101と同様な材料により構成される。但し、基板(2)109は、光透過性であることが必要である。基板(2)109の溝幅(半値幅)は、トラックピッチをTとして、通常、2T/10以上、好ましくは3T/9以上である。この範囲であれば反射率を十分に確保できる。例えば、トラックピッチを740nmとすると、基板(2)109の溝幅は、通常、148nm以上、好ましくは246nm以上とする。但し、基板(2)109の溝幅は、通常、7T/10以下、好ましくは、6T/10以下である。例えば、トラックピッチを740nmとすると、光透過性の基板(2)109の溝幅は、通常、518nm以下、好ましくは444nm以下とすると、溝形状の転写性を良好にできるので好ましい。
基板(2)109の溝深さは、記録再生光波長をλとした場合、通常、λ/10以上とするのが、反射率を十分確保できるので好ましい。より好ましくは、λ/8以上、さらに好ましくはλ/6以上である。例えば、記録再生光の波長(記録再生波長)がλ=660nmの場合、基板(2)109の溝深さは、通常、66nm以上、好ましくは83nm以上、さらに好ましくは、110nm以上である。ただし、基板(2)109の溝深さの上限は、通常、2λ/5以下とするのが溝形状の転写性を良好にできるため好ましく、より好ましくは2λ/7以下である。例えば、記録再生波長が660nmの場合、通常、264nm以下、好ましくは189nm以下である。
(記録層(2))
正積層体12の記録層(2)108には、逆積層体11の記録層(1)103と同様な色素が含有されている。正積層体12の記録層(2)108の厚さは、記録方法等により適した膜厚が異なるため、特に限定されないが、十分な変調度を得るために、通常、20nm以上、好ましくは30nm以上であり、特に好ましくは40nm以上である。但し、光を透過させる必要があるため、通常、200nm以下であり、好ましくは180nm以下、より好ましくは150nm以下である。尚、記録層(2)108の厚さは、厚膜部の膜厚(基板(2)109の溝部の記録層(2)108の厚さ)を示す。
(反射層(2))
正積層体12の反射層(2)107は、逆積層体11の反射層(1)102と同様な材料から構成されている。正積層体12の反射層(2)107は、基板(2)109側から入射する記録再生光であるレーザ光110の吸収が小さく、光透過率が、通常、40%以上あり、且つ、通常、30%以上の適度な光反射率を有する必要がある。例えば、反射率の高い金属を薄く設けることにより適度な透過率を持たせることができる。また、ある程度の耐食性があることが望ましい。さらに、反射層(2)107の上層(ここでは、透明樹脂層105)からしみ出る他の成分により、反射層(2)107の下層に位置する記録層(2)108が影響されないような遮断性を持つことが望ましい。
反射層(2)107の厚さは、光透過率が通常40%以上を確保するために、通常、50nm以下、好ましくは30nm以下、さらに好ましくは25nm以下である。但し、記録層(2)108が反射層(2)107の上層からしみ出る成分により影響されないために、通常3nm以上、好ましくは5nm以上である。
(保護コート層)
正積層体12の保護コート層106は、反射層(2)107の酸化の防止、防塵又は防傷等を目的として、反射層(2)107の透明樹脂層105側に設けられている。保護コート層106の材料としては、反射層(2)107を保護するものであれば特に限定されない。有機物質の材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を挙げることができる。また、無機物質としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、MgF、SnO等の誘電体が挙げられる。なかでも、紫外線硬化樹脂層を積層することが好ましい。尚、保護コート層106は、必ずしも設ける必要はなく、反射層(2)107に、直接透明樹脂層105を形成してもよい。
(第2の実施形態)
次に、図2は、本実施の形態が適用される光記録媒体の第2の実施形態を説明する図である。図2には、基板側とは反対側から入射する記録再生光により光情報の記録再生が行われる膜面入射型の光記録媒体200が示されている。図2に示されたように、光記録媒体200は、基板201と、基板201上に設けられた反射層202と、反射層202上に積層された記録層203と、記録層203を保護するために設けられた中間層204と、からなる逆積層体に、さらにレーザ光210の入射面側に透明樹脂層205が積層されている。光記録媒体200は、透明樹脂層205側から記録層203に照射されるレーザ光210により、情報の記録・再生が行われる。尚、中間層204は、必要に応じて設けられ、必ずしも必須ではない。
逆積層体を構成する基板201は、第1の実施形態の光記録媒体100における逆積層体11の基板(1)101と同様な材料を用いて形成される。また、同様に、反射層202、記録層203及び中間層204を構成する材料は、それぞれ、第1の実施形態の光記録媒体100の逆積層体11の、反射層(1)102、記録層(1)103及び中間層104において説明した材料と同様なものを使用することができる。また、各層の厚さ等は、前述した光記録媒体100において説明した範囲と同様な範囲である。
さらに、透明樹脂層205は、前述した光記録媒体100における透明樹脂層105と同様な材料を用いて構成され、また、透明樹脂層205の弾性率(E)及び厚さ(t)との積(E×t)は、第1の実施形態の光記録媒体100における透明樹脂層105と同様な範囲に調製されている。即ち、透明樹脂層205の厚さ(t)は、第1の実施形態の光記録媒体100における透明樹脂層105と同様に、透明樹脂層205が単一樹脂で構成されている場合は、透明樹脂層205の膜厚(h)の2分の1(h/2)であって、逆積層体に接する側の部分の膜厚を透明樹脂層の厚さ(t)とする。透明樹脂層205が複数の樹脂層から構成される場合は、これらの複数の樹脂層の中、逆積層体に接する樹脂層の膜厚を透明樹脂層205の厚さ(t)とする。但し、逆積層体に接する樹脂層の膜厚が35μm以上の場合には、透明樹脂層205の厚さ(t)は35μmとする。
以下、実施例に基づき本実施の形態をさらに具体的に説明する。尚、本実施の形態は、その要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜実施例7)
以下の通り、逆積層体を有する2層型の光記録媒体を調製し、逆積層体を構成する記録層(1)に記録された光情報のMT(%)及びST(%)を測定した。
(光記録媒体の調製)
(1)(逆積層体の調製)
先ず、表面に溝が形成されたNiスタンパを用いて、ポリカーボネートを射出成形することにより、ピッチ0.74μm、幅330nm、深さ30nmの溝が形成された直径120mm、厚さ0.60mmの基板(1)を形成した。次に、基板(1)の上に、Ag−Bi−Nd合金を80nmスパッタして反射層(1)を形成した。次いで、有機色素化合物として、下記化学式で表される含金属アゾ色素の色素Aと色素Bとの混合物(A:B=60:40重量%)のテトラフルオロプロパノール溶液(濃度2重量%)を調製し、反射層(1)上に滴下し、スピンコートした後、70℃で30分間乾燥し記録層(1)を形成した。記録層(1)の厚さは、溝部の膜厚(図1における逆積層体の溝部の記録層膜厚)と溝間部の膜厚(図1における逆積層体の溝間部の記録層膜厚)とも、約80nmであった。
Figure 2006048905
Figure 2006048905
続いて、記録層(1)上に、ZnS−SiO(組成比は、80:20原子%)を130nmスパッタし中間層を形成し、逆積層体のディスク1を調製した。
(2)(正積層体の調製)
深さ160nm、幅300nm、トラックピッチ740nmの案内溝を形成したポリカーボネート製の基板(2)を調製し、この基板(2)の案内溝を形成した面上に、前述した含金属アゾ色素の色素Aと色素Bとの混合物(A:B=60:40重量%)のテトラフルオロプロパノール溶液(濃度1重量%〜2重量%)を滴下し、スピンコートした後、70℃で30分間乾燥し、記録層(2)を形成した。記録層(2)の厚さ(図1:正積層体の溝部の記録層膜厚)は約100nmであった。次いで、記録層(2)上に、Ag−Bi合金(Bi:1.0原子%)を17nmスパッタして反射層(2)を形成し、さらに、反射層(2)上に紫外線硬化樹脂(SD347)をスピンコートして硬化させ、膜厚3μmの保護コート層を形成し、正積層体のディスク2を調製した。
(3)(2層型光記録媒体の調製)
上述した方法で調製した逆積層体であるディスク1の中間層の上に、樹脂A(大日本インキ(株)製ラジカル系紫外線硬化樹脂:弾性率(E)=4.0×10MPa、ガラス転移温度(Tg)=174℃)を、膜厚23μmになるようにスピンコート回転数を調節して塗布した。また、正積層体であるディスク2の保護コート層の上に、樹脂F(大日本インキ(株)製ラジカル系紫外線硬化樹脂SD−6036:弾性率(E)=680MPa、ガラス転移温度(Tg)=50℃)を、同様に膜厚23μmになるようにスピンコート回転数を調節して塗布した。次に、それぞれ樹脂を塗布したディスク1とディスク2とを、樹脂が塗布された面が対向するように重ね合わせ、続いて、ディスク2(正積層体)の基板(2)側から紫外線を照射して、樹脂A及び樹脂Fを硬化させ、樹脂Aからなる透明樹脂層及び樹脂Fからなる透明樹脂層をそれぞれ形成して2層型の光記録媒体を調製した(サンプル1)。
続いて、サンプル1と同様に、正積層体であるディスク2の保護コート層上に樹脂Fを膜厚23μmになるように塗布した。一方、逆積層体であるディスク1については、表1に示すように、所定の弾性率(E)を有する樹脂B、樹脂C、樹脂Dを、それぞれ逆積層体の中間層上に、表1に示す所定の厚さ(t)になるように塗布し、これらの樹脂を塗布したディスク1と、樹脂Fを塗布したディスク2とを、サンプル1と同様に、樹脂が塗布された面が対向するように重ね合わせ、続いて、ディスク2(正積層体)の基板(2)側から紫外線を照射して、それぞれ塗布された樹脂を硬化させ、2種類の樹脂からなる透明樹脂層を形成して2層型の光記録媒体を調製した(サンプル3、サンプル5、サンプル6、サンプル7)。
また、正積層体であるディスク2の上には樹脂を塗布せず、一方、逆積層体であるディスク1については、ディスク1の中間層上に、表1に示すように、樹脂B、樹脂Cを、表1に示す所定の厚さ(t)になるように塗布し、樹脂を塗布したディスク1と、樹脂を塗布しないディスク2とを重ね合わせ、続いて、ディスク2(正積層体)の基板(2)側から紫外線を照射して、それぞれ塗布された樹脂を硬化させ、単一樹脂からなる透明樹脂層を形成して2層型の光記録媒体を調製した(サンプル2、サンプル4)。
尚、表1に示した透明樹脂層の厚さ(t)は、2種類の樹脂からなる透明樹脂層を有するサンプル1、サンプル3、サンプル5、サンプル6及びサンプル7の光記録媒体については、逆積層体に接する樹脂層の厚さ(ケースb)であり、単一樹脂からなる透明樹脂層を有するサンプル2及びサンプル4の光記録媒体については、透明樹脂層全体の膜厚の2分の1の厚さである(ケースa)。また、サンプル1〜サンプル7の光記録媒体における透明樹脂層の全体の膜厚は46μmである。
このように調製した光記録媒体(サンプル1〜サンプル7)における逆積層体を構成する記録層(1)に、以下の高速記録条件で光情報を記録し、記録された光情報を再生し、MT(%)及びST(%)を測定した。結果を表1に示す。
尚、光情報の高速記録条件は以下の通りである。
評価機:パルステック製DDU−1000(波長662nm、NA=0.65)
記録速度:DVDの4倍速(線測度15.3m/s)
記録パルスストラテジー:DVD−Rの規格書Ver.2.1の記載に準拠した。
記録パワー:26mW〜27.5mW
記録パワーマージン:3mW以上
ジッター測定:1倍速にて再生した。
(参考例1〜参考例3)
以下の通り、逆積層体を有する2層型の光記録媒体を調製し、実施例1と同様に、光情報のMT(%)及びST(%)を測定した。
実施例1で用いたサンプル1と同様に、正積層体であるディスク2の保護コート層上に樹脂Fを膜厚23μmになるように塗布した。一方、逆積層体であるディスク1については、表1に示すように、所定の弾性率(E)を有する樹脂Eと樹脂Cとを、それぞれ逆積層体の中間層上に、表1に示す所定の厚さ(t)になるように塗布し、これらの樹脂を塗布したディスク1と、樹脂Fを塗布したディスク2とを、サンプル1と同様に、樹脂が塗布された面が対向するように重ね合わせ、続いて、ディスク2(正積層体)の基板(2)側から紫外線を照射して、それぞれ塗布された樹脂を硬化させ、2種類の樹脂からなる透明樹脂層を形成して2層型の光記録媒体を調製した(サンプル8、サンプル9)。
また、正積層体であるディスク2の上には樹脂を塗布せず、一方、逆積層体であるディスク1については、ディスク1の中間層上に、表1に示すように、樹脂Fを表1に示す所定の厚さ(t)になるように塗布し、樹脂Fを塗布したディスク1と、樹脂を塗布しないディスク2とを重ね合わせ、続いて、ディスク2(正積層体)の基板(2)側から紫外線を照射して塗布された樹脂を硬化させ、単一樹脂からなる透明樹脂層を形成して2層型の光記録媒体を調製した(サンプル10)。
また、サンプル8〜サンプル10の透明樹脂層の厚さ(t)は、2種類の樹脂からなる透明樹脂層を有するサンプル8及びサンプル9の光記録媒体については、逆積層体に接する樹脂層の厚さ(ケースb)であり、単一樹脂からなる透明樹脂層を有するサンプル10の光記録媒体については、透明樹脂層全体の膜厚の2分の1の厚さである(ケースa)。また、サンプル8〜サンプル10の光記録媒体における透明樹脂層の全体の膜厚は46μmである。
このように調製した光記録媒体(サンプル8〜サンプル10)について、実施例1と同様に、逆積層体を構成する記録層(1)に高速記録条件で光情報を記録し、記録された光情報を再生し、MT(%)及びST(%)を測定した。結果を表1に示す。
尚、表1には、サンプル1〜サンプル10における透明樹脂層の調製に使用した樹脂の弾性率(E(単位:MPa))、透明樹脂層の厚さ(t(単位:μm))、ガラス転移温度(Tg(単位:℃))を併せて示した。尚、弾性率(E)は、動的粘弾性試験機(レオバイブロン社製:DDVシリーズ)を使用し、測定周波数3.5Hz、昇温速度3℃/minの条件で測定した。
また、透明樹脂層の厚さは、走査型電子顕微鏡による2次電子線観察像(SEM像)、又は透過電子顕微鏡による断面像に基づき測定した。厚さ(t)は5ポイント測定結果の平均値である。
Figure 2006048905
尚、表1中、透明樹脂層を調製するために使用した樹脂は以下のとおりである。
樹脂A:大日本インキ(株)製ラジカル系紫外線硬化樹脂(弾性率:1.4×10MPa/(150℃))
樹脂B:大日本インキ(株)製ラジカル系紫外線硬化樹脂(弾性率:1.05×10MPa/(150℃))
樹脂C:大日本インキ(株)製ラジカル系紫外線硬化樹脂SDー347(弾性率:340MPa/(150℃))
樹脂D:大日本インキ(株)製ラジカル系紫外線硬化樹脂SDー394(弾性率:66MPa/(150℃))
樹脂E:大日本インキ(株)製ラジカル系紫外線硬化樹脂SDー318(弾性率:280MPa/(150℃))
樹脂F:大日本インキ(株)製ラジカル系紫外線硬化樹脂SDー6036(弾性率:0MPa/(150℃))
特に、樹脂A及び樹脂Bにおいては、前述した方法により、架橋密度が高くなるようなアクリルモノマーと架橋構造に剛直な構造を有するアクリルモノマーとを組み合わせて所定の弾性率(E)、ガラス転移温度(Tg)を制御した。
次に、表1に示した結果について説明する。
図4は、サンプル1〜サンプル10の、(E×t)とMT(%)との関係を説明する図である。図4には、表1に示した結果に基づき、サンプル1〜サンプル10において、逆積層体に接する透明樹脂層の弾性率(E)と透明樹脂層の厚さ(t)との積(E×t)(横軸)に対して、逆積層体の記録層(1)に記録された光情報の再生信号に基づくMT(%)の数値をプロットしたものである。
図4に示すように、(E×t)が2.0×10MPa・μm以上で、MT(%)が8%以下となり、4.0×10MPa・μmを超えると7.5%、6.0×10MPa・μmで7%前後となる。さらに、6.9×10Pa・μmを超えるとMT(%)が6.5%前後となり、9.0×10MPa・μm以上で、MT(%)は安定に6.5%前後という良好な値が得られる。さらに、10.0×10MPa・μm以上では、ほぼMT(%)が最小値を保持する理想的な状態になることが示されている。
また、表1に示された樹脂のガラス転移温度を考慮すると、逆積層体に接する透明樹脂層のガラス転移温度は、150℃以上が好ましい。ガラス転移温度が高い樹脂ほど、硬い透明樹脂層が形成され得ると考えられる。
尚、評価方法の好ましい条件は、評価機として、波長662nmの半導体レーザを搭載し、対物レンズの開口数(NA)0.65の評価機を使用し、記録は、DVDの4倍速で記録(記録線速度:15.3m/s)し、再生は、同じ評価機を用いて、DVDの1倍速で再生する。また、記録の最短マーク長は0.44μmである。
図4に示す結果から、逆積層体に接する透明樹脂層の弾性率(E)と厚さ(t)との積(E×t)が、一定の数値以上の場合、逆積層体における記録層(1)に高速で記録をした場合に、隣接トラックに記録しない単一トラック記録の場合のST(%)に比べ、トラックを空かさずに連続トラック記録をした場合のMT(%)が悪化するという問題を回避することができる。
即ち、逆積層体に接する透明樹脂層の弾性率(E)と厚さ(t)との積(E×t)で指標されるバルクとしての硬さ、強度を、特定の範囲に調節することにより、逆積層体の構造において、隣接するトラック部に及ぶ過度の変形を抑制し、高速記録でのクロストークが小さい、良好なジッターを有する光記録媒体を提供することが可能である。高密度記録が可能となる例としては、たとえば記録最短マーク長0.44μm以下の記録条件において、良好な記録特性を確保できることがある。
通常の光ディスク製品は、トラックを空かさず記録されるので、MT(%)が、その光ディスクの信号品質を反映する値となる。MT(%)は、一般的には10%未満である必要があり、8%以下が好ましく、さらに好ましくは7%以下である。10%を超えると、エラーが増大する傾向となる。
サンプル1〜サンプル10を評価したように、民生機器とは異なり、ピックアップに搭載された半導体レーザの個体差等変動要因を含まない評価機で記録再生する場合には、MT(%)は、通常、8%以下、好ましくは7.5%以下、さらに好ましくは7%以下とする。MT(%)が8%を超えると、製造マージンが十分に保証できなくなる場合がある。
同様に、上記評価機で記録再生した場合のST(%)は、通常、7%以下とすることが必要である。この値を超える場合には、連続記録でMT(%)が8%以上になりやすい。
尚、MT(%)のパワーマージンは広いほど良い。例えば、MT(%)9%以下が得られるパワーマージンは、2.5mW以上が好ましく、より好ましくは、3mW以上、さらに好ましくは、4mW以上である。パワーマージンが過度に小さい場合は、温度変化等に伴うレーザ光源の光量変動がパワーマージンよりも大きくなり、良好な記録特性が得られないおそれがある。尚、サンプル1〜サンプル10は、いずれも記録パワーマージンが3mW以上と良好であった。
(実施例8)
以下の通り、逆積層体を有する2層型の光記録媒体を調製し、逆積層体を構成する記録層(1)に記録された光情報のMT(%)及びST(%)を測定した。
先ず、表面に溝が形成されたNiスタンパを用いて、ポリカーボネートを射出成形することにより、トラックピッチ0.74μm、溝幅330nm、溝深さ30nmの溝が形成された直径120mm、厚さ0.60mmの基板(1)を形成した。次に、基板(1)の上に、Ag−Bi(0.35原子%)−Nd(0.2原子%)合金を、80nmスパッタして反射層(1)を形成した。次いで、実施例1のアゾ色素と類似の色素の混合物(重量配合比50:50)のテトラフルオロプロパノール溶液(濃度2重量%)を調製し、反射層(1)上に滴下し、スピンコートした後、70℃で30分間乾燥し記録層(1)を形成した。記録層(1)の厚さは、溝部の膜厚(図1において、逆積層体11の溝部の記録層膜厚)と溝間部の膜厚(図1において、逆積層体11の溝間部の記録層膜厚)とも、約80nmであった。続いて、記録層(1)上に、無機物からなる中間層を形成し、逆積層体のディスク1を調製した。
また、実施例1と同様にして正積層体の調製を行った。
上述した方法で調製した逆積層体であるディスク1の中間層の上に、樹脂B(大日本インキ株式会社製ラジカル系紫外線硬化樹脂:弾性率(E)=3.0×10MPa、ガラス転移温度(Tg)=181℃)を、膜厚25μmになるようにスピンコート回転数を調節して塗布した。また、正積層体であるディスク2の膜面上に、前記樹脂Bを、ディスク1と同様に膜厚25μmになるようにスピンコート回転数を調節して塗布した。次に、それぞれ樹脂を塗布したディスク1とディスク2とを、樹脂が塗布された面が対向するように重ね合わせ、続いて、ディスク2(正積層体)の基板(2)側から紫外線を照射して、樹脂Bを硬化させ、透明樹脂層を形成して2層型の光記録媒体を調製した。
このように調製した光記録媒体における逆積層体を構成する記録層(1)に、以下の記録条件で光情報を記録し、記録された光情報を再生し、MT(%)及びST(%)を測定した。尚、光情報の記録条件は以下の通りである。
評価機:2,4X記録/パルステック製DDU−1000(波長662nm、NA=0.65)
8X記録/パルステック製ODU−1000T5(波長658.5nm、NA=0.65)
記録速度:DVDの2.4倍速(線速度9.22m/s:以下で2.4Xと記載される。尚、1倍速は線速度3.84m/sとする。)と8倍速(線速度30.72m/s:以下で、8Xと記載される。)
記録パルスストラテジー:DVD+Rの規格書Ver.2.1の記載に準拠した。
ジッター測定:1倍速にて再生した。
尚、記録パワーは、2.4X記録が21.6mW、8X記録がP0=50mW、Pm=29.5mWであった。結果を、以下の比較例1及び比較例2の結果とともに表2に示す。
(比較例1、比較例2)
実施例8において、反射層(1)の膜厚を、それぞれ100nm(比較例1)と120nm(比較例2)とし、それ以外は同様の条件で2層の光記録媒体(比較例1と比較例2の2つのサンプル)を調製し、実施例8と同様に、2.4X記録と8X記録を行った。結果を表2に示す。
尚、記録パワーは、比較例1は、2.4X記録で21.6mW、8X記録でP0=50mW、P0=29.5mWである。比較例2は、2.4X記録で22.2mW、8X記録でP0=52mW、P0=30.5mWである。
Figure 2006048905
図6は、表2に示した結果に基づき、反射層(1)の膜厚に対して、(MT(%)−ST(%))の値をプロットした図である。図6に示すように、反射層(1)の膜厚が厚くなるほど(MT(%)−ST(%))の値が増大し、クロストークが低下する傾向があることが分かる。(MT(%)−ST(%))の値は、膜厚100nm以上でほぼ飽和するが、膜厚80nmの場合よりクロストークが低下している。
図6に示す結果から、反射層(1)の膜厚を、従来の反射層の膜厚(通常、100nm以上)を下回る厚さにすることにより、クロストーク(MT(%)−ST(%))が改善される傾向が見られる。
尚、既に図5(b)を用いて説明したように、反射層の膜厚が40nm以下の場合は反射率が低下する傾向が見られ、さらに膜厚が30nm以下では、反射率が大きく低下する傾向にある。そのため、反射層(1)の膜厚は30nmを下回るほど薄くすることは好ましくない。
尚、本実施の形態においては、2枚のディスク基板を貼着して2層型の光記録媒体の製造方法について説明したが、透明スタンパを用いる2P法により2層型の光記録媒体を製造することも可能である。
2P法の場合は、例えば、正積層体の反射層(2)の上に紫外線硬化性樹脂層をスピンコート等により塗布して形成し、さらにその樹脂層に透明樹脂スタンパを載置し、この状態で透明樹脂スタンパ側から紫外線を照射する等して紫外線硬化性樹脂層を硬化させ、十分硬化したところで樹脂スタンパを剥離し、表面に案内溝やプリピット等を有する透明樹脂層を形成する。このようにして形成された透明樹脂層の上に、スピンコート法等により有機色素を含む記録層(1)を形成し乾燥し、その記録層(1)の上に、金属からなる反射層(1)を成膜し、さらにその反射層(1)上に接着層を設け、接着剤を介して基板(1)を貼り合わせることにより2層型光記録媒体を調製する。
以上、説明したように、本実施の形態が適用される光記録媒体100は、透明樹脂層105を設け、逆積層体11の基板(1)101の溝間部(ランド部)に記録マークを形成する場合に、溝間部に隣接する溝部にある色素厚膜部に記録マークがはみ出ることによるクロストークの増大を抑制することができる。
さらに、本発明者らは、本検討において、反射層(1)102を特定の膜厚の範囲で薄くすることにより、熱伝導性とは異なるパラメータにより、クロストークを低減する可能性があることを見出した。
尚、本出願は、2004年7月6日付きで出願された日本出願(特願2004−199770)に基づいており、その全体が引用により援用される。
本実施の形態が適用される光記録媒体の第1の実施形態を説明する図である。 本実施の形態が適用される光記録媒体の第2の実施形態を説明する図である。 透明樹脂層の厚さ(t)について説明する図である。図3(a)は、透明樹脂層が単一樹脂で構成されている場合であり、図3(b)は、複数の樹脂層から構成されている場合である。 サンプル1〜サンプル10の、(E×t)とMT(%)との関係を説明する図である。 反射層の膜厚と透過率(T)、反射層の膜厚と反射率(R)との関係を説明する図である。 表2に示した結果に基づき、反射層(1)の膜厚に対して、(MT(%)−ST(%))の値をプロットした図である。
符号の説明
11…逆積層体、12…正積層体、100,200…光記録媒体、101…基板(1)、102…反射層(1)、103…記録層(1)、104,204…中間層、105,205…透明樹脂層、106…保護コート層、107…反射層(2)、108…記録層(2)、109…基板(2)、110,210…レーザ光、201…基板、202…反射層、203…記録層

Claims (14)

  1. 基板と、反射層と、記録層とをこの順に有する逆積層体と、
    前記逆積層体の前記記録層側に設けられる透明樹脂層と、を備え、
    前記透明樹脂層の厚さ(t)と25±5℃における弾性率(E)との積(E×t)が2.0×10MPa・μm以上であることを特徴とする光記録媒体。
  2. 前記透明樹脂層の厚さ(t)と25±5℃における前記弾性率(E)との積(E×t)が30.0×10MPa・μm以下であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  3. 前記透明樹脂層を構成する樹脂の25±5℃における前記弾性率(E)が、3.0×10MPa以上6.0×10MPa以下であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  4. 前記透明樹脂層の膜厚(h)が20μm以上200μm以下であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  5. 前記記録層が、有機色素含有記録層であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  6. 前記記録層と前記透明樹脂層との間に中間層をさらに有することを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  7. 前記透明樹脂層の前記逆積層体側とは反対側に、第2の反射層と第2の記録層と透明基板とを順番に更に設けたことを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  8. 光照射により情報の記録及び/または再生が行われる記録層と、
    前記記録層の光入射面側に設けられた透明樹脂層と、
    前記記録層の前記光入射面とは反対側に設けられた反射層と、を有し、
    前記透明樹脂層の厚さ(t)と25±5℃における弾性率(E)との積(E×t)が2.0×10MPa・μm以上であることを特徴とする光記録媒体。
  9. 前記透明樹脂層が、ガラス転移温度150℃以上を有する透明樹脂から構成されることを特徴とする請求項8記載の光記録媒体。
  10. さらに、前記透明樹脂層の前記光入射面側に直接または他の層を介して第2の反射層と第2の記録層とをこの順番に有し、前記記録層と当該第2の記録層との間隔が40μm〜70μmであることを特徴とする請求項8記載の光記録媒体。
  11. 基板、反射層、記録層及び透明樹脂層をこの順番に有する光記録媒体であって、
    前記反射層は、銀(Ag)を主成分とする金属を含み、且つ、膜厚が30nm以上80nm以下であることを特徴とする光記録媒体。
  12. 前記反射層が、Agを50%以上含むことを特徴とする請求項11記載の光記録媒体。
  13. 前記記録層が、有機色素材料を含むことを特徴とする請求項11記載の光記録媒体。
  14. 前記透明樹脂層は、25±5℃における弾性率(E)が、3.0×10MPa以上6.0×10MPa以下の樹脂から構成されることを特徴とする請求項11記載の光記録媒体。
JP2005196381A 2004-07-06 2005-07-05 光記録媒体 Pending JP2006048905A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005196381A JP2006048905A (ja) 2004-07-06 2005-07-05 光記録媒体
TW094122889A TW200606935A (en) 2004-07-06 2005-07-06 Optical recording medium

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004199770 2004-07-06
JP2005196381A JP2006048905A (ja) 2004-07-06 2005-07-05 光記録媒体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006048905A true JP2006048905A (ja) 2006-02-16
JP2006048905A5 JP2006048905A5 (ja) 2006-05-11

Family

ID=36027250

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005196381A Pending JP2006048905A (ja) 2004-07-06 2005-07-05 光記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006048905A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7715304B2 (en) 2006-06-02 2010-05-11 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US7778144B2 (en) 2006-06-02 2010-08-17 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method

Cited By (25)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7715304B2 (en) 2006-06-02 2010-05-11 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US7778144B2 (en) 2006-06-02 2010-08-17 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US7864654B2 (en) 2006-06-02 2011-01-04 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US7995442B2 (en) 2006-06-02 2011-08-09 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US8134899B2 (en) 2006-06-02 2012-03-13 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US8139459B2 (en) 2006-06-02 2012-03-20 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US8149674B2 (en) 2006-06-02 2012-04-03 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US8149672B2 (en) 2006-06-02 2012-04-03 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US8154970B2 (en) 2006-06-02 2012-04-10 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US8154971B2 (en) 2006-06-02 2012-04-10 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US8159921B2 (en) 2006-06-02 2012-04-17 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US8159920B2 (en) 2006-06-02 2012-04-17 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US8165001B2 (en) 2006-06-02 2012-04-24 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US8165000B2 (en) 2006-06-02 2012-04-24 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US8169872B2 (en) 2006-06-02 2012-05-01 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US8169874B2 (en) 2006-06-02 2012-05-01 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US8169873B2 (en) 2006-06-02 2012-05-01 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US8174948B2 (en) 2006-06-02 2012-05-08 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US8179765B2 (en) 2006-06-02 2012-05-15 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US8179764B2 (en) 2006-06-02 2012-05-15 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US8184517B2 (en) 2006-06-02 2012-05-22 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US8264931B2 (en) 2006-06-02 2012-09-11 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US8339916B2 (en) 2006-06-02 2012-12-25 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US8355306B2 (en) 2006-06-02 2013-01-15 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method
US8593930B2 (en) 2006-06-02 2013-11-26 Kabushiki Kaisha Toshiba Optical recording medium, information recording method, and information reproducing method

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI360122B (ja)
EP2063425A1 (en) Optical recording medium and recording/reproducing method therefor
JP4642539B2 (ja) 光記録媒体
WO2005104116A1 (ja) 光記録媒体
US8075972B2 (en) Optical recording medium
JP4238170B2 (ja) 光記録媒体
TWI377572B (ja)
JP2006048905A (ja) 光記録媒体
JP2004247024A (ja) 光記録媒体及びその記録再生方法
JP4171674B2 (ja) 光記録媒体、光記録媒体の膜厚測定方法、膜厚制御方法、製造方法、膜厚測定装置及び膜厚制御装置
JP4050993B2 (ja) 光記録媒体、光記録媒体の膜厚測定方法、膜厚制御方法及び製造方法
JP4238518B2 (ja) 光記録媒体及びその製造方法
JP3978402B2 (ja) 光記録媒体の製造方法及び光記録媒体用積層体の製造方法
JP2004288264A (ja) 光記録媒体、光記録媒体の製造方法
JP4398512B2 (ja) 光記録媒体
JP4603996B2 (ja) 光記録媒体
JP2006236476A (ja) 光記録媒体
JP2003331473A (ja) 光記録媒体
JP4794467B2 (ja) 光記録媒体
JP2005071396A (ja) 光記録媒体の記録方法及び記録装置
JP2008217955A (ja) 光記録媒体及びその製造方法
JP2005339769A (ja) 光記録媒体
JP2007066354A (ja) 光記録媒体及びその製造方法
JP2004318985A (ja) 光記録媒体,光記録媒体の記録再生方法及び光記録媒体の製造方法
JP2008226328A (ja) 光情報記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060317

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080612

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090911

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090924

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091110

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20091203

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091215