JP2009168107A - クラッチおよび該クラッチを備えた車両駆動装置 - Google Patents

クラッチおよび該クラッチを備えた車両駆動装置 Download PDF

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弘勝 天沼
Yasuaki Hodozuka
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Abstract

【課題】正逆両回転方向に断続を制御することができるクラッチ、および該クラッチを備えた車両駆動装置を提供する。
【解決手段】クラッチインナ152は、クラッチシュー153のカム部材161と係合するカム部材係合部164の周方向両端部に、クラッチシュー153の各遠心ウェイト154との間にカム部材161を噛み込んで遠心ウェイト154をクラッチアウタ151に押圧するカム面164a、164bを有している。クラッチインナ152が所定の回転数に達し、各遠心ウェイト154が遠心力によりクラッチアウタ151に摩擦係合した状態で、クラッチインナ152が駆動側となる場合には、カム部材161がクラッチインナ151の一方のカム面164aと遠心クラッチ154との間に噛み込まれ、クラッチインナ152が従動側となる場合には、カム部材161がクラッチインナ152の他方のカム面164bと遠心クラッチ154との間に噛み込まれる。
【選択図】図2

Description

本発明は、クラッチおよび該クラッチを備えた車両駆動装置に関する。
近年、停車時などにエンジンへの燃料の供給を停止してエンジンのアイドリング運転を停止するアイドリングストップ車や、走行中にエンジン駆動とモータ駆動とを適宜切り替えるハイブリッド車が普及してきている。このようなアイドリングストップ車やハイブリッド車において、エアコン用コンプレッサやウォータポンプなど、エンジンのクランク軸の回転に連動して動作する補機類をエンジン停止時にも動作状態に維持しておきたいとする要望がある。
そこで従来、モータジェネレータを用いて、エンジン停止時にもエンジンのクランク軸をアイドリング運転時の回転数に維持するようにした車両駆動装置が知られている。さらには、エンジンのクランク軸の回転数を維持するぶんモータジェネレータの消費電力が大きくなることに鑑み、エンジン停止時に補機類を駆動する際には、エンジンのクランク軸およびモータジェネレータの回転軸ならびに補機類の回転軸の間で回転を伝達する伝達部材からエンジンのクランク軸を分離するように構成した車両駆動装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示された車両駆動装置は、図21に示すように、エンジン1と、トランスミッション2と、モータおよび発電機として機能するモータジェネレータ3と、を備えている。エンジン1のクランク軸とモータジェネレータ3の回転軸とは、ベルト10およびプーリ11、12を介して連結されている。また、モータジェネレータ3は、インバータ7を介してバッテリー6に接続されている。インバータ7は、バッテリー6からモータジェネレータ3に供給される電力を調整し、モータジェネレータ3を回転数可変に駆動する。
上記構成の車両駆動装置では、モータジェネレータ3を駆動してエンジン1を始動させ、エンジン1が始動された後は、モータジェネレータ3を発電機として機能させている。インバータ7は、モータジェネレータ3で発電された電力をバッテリー6へ充電する。尚、インバータ7の動作はコントローラ9により制御されている。
エアコン用コンプレッサ4およびパワーステアリング用オイルポンプ5の回転軸は、ベルト10およびプーリ13、14を介してエンジン1のクランク軸およびモータジェネレータ3の回転軸に連結されている。コンプレッサ4およびオイルポンプ5は、エンジン1の運転時にはエンジン1により駆動され、また、エンジン1の停止時にはモータジェネレータ3により駆動される。
そして、エンジン1のクランク軸とプーリ11との間には電磁クラッチ8が介在しており、この電磁クラッチ8の断続はコントローラ9により制御されている。エンジン1の停止時にあってモータジェネレータ3によりコンプレッサ4およびオイルポンプ5を駆動する際には、電磁クラッチ8が切断され、ベルト10からエンジン1のクランク軸が分離される。
特開平11−147424号公報
上記特許文献1に開示されたような車両駆動装置において、エンジンのクランク軸およびモータジェネレータの回転軸ならびに補機類の回転軸の間で回転を伝達する伝達部材からエンジンのクランク軸を分離するクラッチには、少なくとも下記(1)〜(4)の動作条件が要求される。
(1)モータジェネレータによるエンジン始動時に、エンジンのクランク軸を上記伝達部材に接続する。
(2)エンジン運転時にあってエンジンによりモータジェネレータおよび補機類を駆動する際に、エンジンのクランク軸を上記伝達部材に接続する。
(3)エンジンを停止させる際に、エンジンのクランク軸を上記伝達部材に接続する。
(4)エンジン停止時にあってモータジェネレータにより補機類を駆動する際に、エンジンのクランク軸を上記伝達部材から分離する。
尚、上記(3)の動作条件は、エンジンを停止させる際に、エンジンを瞬時に停止させて車両の共振ポイントを速やかに通過させるために、モータジェネレータおよび補機類を負荷としてエンジンを停止させるためのものである。
上記(1)〜(3)の動作条件によれば、エンジンとモータジェネレータとの間で駆動側と従動側とが適宜入れ替わる。そのため、クラッチは、正逆両回転方向に接続可能であることが求められる。さらに上記(4)の動作条件によれば、クラッチは、少なくともモータジェネレータが駆動側となる回転方向に切断可能であることが求められる。
電磁クラッチは、その断続の設定自由度が高く、上記(1)〜(4)の動作条件を比較的容易に満足することができる。しかしながら、電磁クラッチでは、制御用のコントローラや電動アクチュエータが必要となる。これらのコントローラや電動アクチュエータを含めると、電磁クラッチは、そのサイズが大きくなり、また、コストも嵩む。特に、エンジンルームはスペースの制約が多く、サイズが大きいクラッチはエンジンルームへの搭載に支障をきたす。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で正逆両回転方向に断続を制御することができるクラッチ、および該クラッチを備えた車両駆動装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明のクラッチは、互いに相対回転可能に設けられたクラッチアウタおよびクラッチインナと、前記クラッチアウタおよび前記クラッチインナに対して相対回転可能に該クラッチアウタと該クラッチインナとの間に設けられたクラッチシューと、を備え、
前記クラッチシューが、半径方向に移動可能に設けられた少なくとも1つの遠心ウェイトと、前記各遠心ウェイトを前記クラッチインナ側に付勢する弾性部材と、前記各遠心ウェイトと前記クラッチインナとの間で回転を伝達するカム部材と、を含み、
前記クラッチインナが、前記各カム部材と係合するカム部材係合部の周方向両端部に、前記各遠心ウェイトとの間に該カム部材を噛み込んで該遠心ウェイトを前記クラッチアウタに押圧するカム面をそれぞれ有しており、
前記各遠心ウェイトが、前記クラッチインナの回転数の上昇に伴って作用する遠心力により前記弾性部材の付勢力に抗して前記クラッチアウタ側に変位し、該クラッチインナの回転数が所定の回転数に達した際には前記クラッチアウタに摩擦係合し、
前記各遠心ウェイトが前記クラッチアウタに摩擦係合した状態で、前記クラッチインナが駆動側で前記クラッチアウタが従動側となる場合には、前記各カム部材が該クラッチインナの一方の前記カム面と該遠心クラッチとの間に噛み込まれ、前記クラッチインナが従動側で前記クラッチアウタが駆動側となる場合には、前記各カム部材が該クラッチインナの他方の前記カム面と該遠心クラッチとの間に噛み込まれることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明のクラッチは、前記クラッチシューが、前記遠心ウェイトを複数有し、これらの遠心ウェイトが円環状に配置されていると共に、各遠心ウェイトが周方向に隣り合う遠心ウェイトと前記弾性部材で相互に連結されており、
前記クラッチインナは、前記各カム部材が干渉することなく軸方向に進入可能なカム部材挿入部を有し、
前記各カム部材挿入部の外周面が、前記クラッチインナの一方の前記カム面に連なっていることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明の車両駆動装置は、エンジンと、モータジェネレータと、前記エンジンのクランク軸と前記モータジェネレータの回転軸との間で回転を伝達する伝達部材と、前記伝達部材と前記エンジンのクランク軸との間に介在するクラッチと、前記モータジェネレータの動作を制御する制御手段と、を備え、
前記クラッチが、請求項1または請求項2に記載のクラッチであって、そのクラッチアウタが、前記エンジンのクランク軸に接続されており、また、そのクラッチインナが、前記伝達部材に接続されており、
前記エンジンを始動させる際に、前記制御手段が、前記クラッチインナの回転数が前記所定の回転数以上となるように前記モータジェネレータを駆動し、それにより前記エンジンのクランク軸を回転させ、
前記エンジンが始動した後には、前記制御手段が、前記モータジェネレータの回転軸を該エンジンのクランク軸に従動させて該モータジェネレータに発電させることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明の車両駆動装置は、前記クラッチインナの前記所定の回転数が、前記エンジンの初爆によるクランク軸の回転数もしくはその近傍の回転数であることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明の車両駆動装置は、前記クラッチアウタが、その外周面に弾性部材を介して固定された慣性質量を有しており、
前記クラッチインナが、前記エンジンのハウジングと前記クラッチアウタとの間を通って径方向に広がるフランジ部と、前記フランジ部の外周縁部から軸方向に延びて前記慣性質量の外周側に配置された伝達部材係合部と、を有し、該伝達部材係合部において前記伝達部材に接続されていることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明の車両駆動装置は、前記伝達部材を介して前記エンジンまたは前記モータジェネレータに駆動される補機をさらに備え、
前記エンジンが停止している際に、前記制御手段が、前記クラッチインナの回転数が前記所定の回転数未満となる範囲で前記モータジェネレータを駆動し、それにより前記補機の回転軸を回転させることを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明の車両駆動装置は、スタータモータと、前記モータジェネレータに電力を供給する第1電力源と、前記スタータモータに電力を供給する第2電力源と、をさらに備え、
前記エンジンを始動させる際に、前記制御手段が、前記第1電力源の電力量を検出し、該第1電力源の電力量が不足している場合に前記スタータモータを駆動し、それにより前記エンジンのクランク軸を回転させることを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明の車両駆動装置は、前記スタータモータにより前記エンジンが始動された場合に、前記制御手段が、前記クラッチインナの回転数が前記所定の回転数以上となるように前記モータジェネレータを駆動し、その後に、前記モータジェネレータの回転軸を該エンジンのクランク軸に従動させて該モータジェネレータに発電させることを特徴とする。
請求項1に記載の発明のクラッチによれば、クラッチインナの回転数を制御することによって、正逆両回転方向に断続を制御することができる。そして、正逆両回転方向の断続を、電磁クラッチにおけるコントローラや電動アクチュエータ等の装置を必要とすることなしに、純機械的な構成で達成することができる。それにより、クラッチの構成を簡素化して小型化およびコストの低減を図ることができる。
請求項2に記載の発明のクラッチによれば、各カム部材をクラッチインナのカム部材挿入部に進入させながらクラッチシューをクラッチインナに組み付けることができ、それにより、クラッチシューの径を拡大させることなく、クラッチシューをクラッチインナに組み付けることができる。そして、クラッチシューとクラッチインナとを相対回転させることにより、カム部材挿入部にあるカム部材をクラッチインナのカム部材係合部に配置することができる。よって、クラッチシューとクラッチインナとの組み付けを容易に行うことができる。
また、請求項3に記載の発明の車両駆動装置によれば、クラッチが正逆両回転方向に接続可能であることから、モータジェネレータを発電機としてだけでなくエンジンのスタータとしても機能させることができる。そして、クラッチの正逆両回転方向の接続が純機械的な構成で達成され、電磁クラッチにおけるコントローラや電動アクチュエータ等の装置を必要としないことから、車両駆動装置の小型化およびコストの低減を図ることができる。
請求項4に記載の発明の車両駆動装置によれば、モータジェネレータによりエンジンを始動させるにあって、エンジンのクランク軸の回転数がエンジンの初爆における回転数もしくはその近傍の回転数に達しており、過大な振動を発生させることなくエンジンを始動させることができる。
請求項5に記載の発明の車両駆動装置によれば、クラッチインナを伝達部材に接続する伝達部材係合部が、クラッチアウタの外周側に配置されている。そのため、伝達部材係合部とクラッチアウタとを軸方向に並べて配置する場合に比べて軸方向寸法を短縮することができる。
そして、請求項5に記載の発明の車両駆動装置によれば、弾性部材および慣性質量により構成されるトーショナルダンパをクラッチアウタの外周面に設け、クランク軸のねじり振動を吸収するようにしている。ここで、クラッチインナのフランジ部はエンジンのハウジングとクラッチアウタとの間にあり、クラッチアウタの外周面とクラッチインナの伝達部材係合部との間の空間はエンジンのハウジングとは反対側に向けて開放される。そこで、慣性質量のみを軸方向および径方向に拡大することができ、トーショナルダンパの減衰特性を種々に設定することができる。
請求項6に記載の発明の車両駆動装置によれば、クラッチは、上述のとおりクラッチインナの回転数を制御することにより正逆両回転方向に断続可能である。そこで、クラッチインナの回転数が所定の回転数未満となる範囲でモータジェネレータを駆動し、クラッチが切断された状態を維持して、即ち、エンジンのクランク軸を回転させることなく、補機の回転軸を回転させることができる。そのため、モータジェネレータの消費電力を低減することができる。さらに、各補機に独立して駆動源を備える場合に比べて、車両駆動装置の小型化を図ることができる。
さらに、請求項7に記載の発明の車両駆動装置によれば、第1電力源の電力量が不足する場合にも、確実にエンジンを始動することができる。
さらに、請求項8に記載の発明の車両駆動装置によれば、不足する第1電力源の電力量を回復させることができる。
以下、本発明に係るクラッチおよび該クラッチを備えた車両駆動装置の好適な実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明に係る車両駆動装置の一実施形態の概略構成を示すブロック図、図2は図1の車両駆動装置に好適に用いられるクラッチの分解斜視図であって、本発明に係るクラッチの一実施形態の分解斜視図、図3は図2のクラッチのクラッチシューの分解斜視図、図4は図2のクラッチの断面図、図5は図4におけるV−V線断面図、図6は図2のクラッチの変形例の分解斜視図、図7は図6のクラッチのクラッチインナの要部斜視図、図8は図6のクラッチの断面図、図9(A)および(B)は図6のクラッチの組み付け手順を説明する正面図、図10は図1の車両駆動装置におけるエンジンおよびクラッチの位置関係を示す断面図、図11はエンジンおよびクラッチの位置関係の他の例を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の車両駆動装置101は、エンジン102と、モータジェネレータ103と、エンジン102のクランク軸109とモータジェネレータ103の回転軸110との間で回転を伝達する伝達部材104と、伝達部材104とエンジン102のクランク軸109との間に介在するクラッチ105と、モータジェネレータの動作を制御するECU(制御手段)106と、を備えている。
さらに、車両駆動装置101は、伝達部材104を介してエンジン102またはモータジェネレータ103に連結され、エンジン102またはモータジュエネレータ103に駆動される補機類を備えている。図1には、補機類としてウォータポンプ111およびエアコン用コンプレッサ112が例示されているが、これらに限られず、例えばパワーステアリング用オイルポンプなども含むことができる。
ウォータポンプ111の回転軸は伝達部材104に直接接続されており、よって、ウォータポンプ111は、エンジン102が運転され、またはモータジェネレータ103が駆動されている間は、常に駆動され、動作状態に維持される。また、コンプレッサ112の回転軸と伝達部材104との間にはクラッチ113が介在しており、コンプレッサ112の回転軸は、クラッチ113の断続を制御することにより伝達部材104に適宜接続される。尚、クラッチ113としては、例えば電磁クラッチなどを用いることができ、ECU106がその断続を制御している。
この車両駆動装置101では、エンジン102を始動する際に、モータジェネレータ103を駆動し、伝達部材104を介してモータジェネレータ103の回転軸110の回転をエンジン102のクランク軸109に伝達し、エンジン102を始動させるように構成されている。また、エンジン102が始動した後は、エンジン102のクランク軸109にモータジェネレータ103の回転軸110を従動させ、モータジェネレータ103に発電させるように構成されている。
上記の構成において、エンジン102とモータジェネレータ103との間で駆動側と従動側とが適宜入れ替わる。そこで、エンジン102のクランク軸109と伝達部材104との間に介在するクラッチ105は、正逆両回転方向に接続可能に構成されている。
図2〜図5に示すように、クラッチ105は、互いに相対回転可能に設けられたクラッチアウタ151およびクラッチインナ152と、クラッチアウタ151およびクラッチインナ152に対して相対回転可能にクラッチアウタ151とクラッチインナ152との間に設けられたクラッチシュー153と、を備えている。
クラッチアウタ151およびクラッチインナ152は、回転の伝達を図る2つの回転要素にそれぞれ連結される。本実施形態においては、クラッチアウタ151はエンジン102のクランク軸109に接続され、また、クラッチインナ152は伝達部材104に接続される。
クラッチシュー153は、円弧状に成形された3つの遠心ウェイト154を有している。3つの遠心ウェイト154は、円周方向に並んで配置され、全体として円環状をなす。各遠心ウェイト154の円周方向の両端部には、内周面および端面に開口した凹部156がそれぞれ形成されている。凹部156は、円周方向に隣り合う他の遠心ウェイト154に形成された凹部156と連なって、後述する弾性部材157を収容するための弾性部材収容部158を構成している。
各弾性部材収容部158には、例えばつるまきバネなどの弾性部材157が収容されている。各弾性部材157は、弾性部材収容部158を構成している2つの凹部156をそれぞれ軸方向に貫通する2つのピン部材160により、一端部を一方の凹部156が形成された遠心ウェイト154に固定され、他端部を他方の凹部156が形成された遠心ウェイト154に固定されている。即ち、各遠心ウェイト154は、円周方向に隣り合う他の遠心ウェイト154と弾性部材157により連結されている。
また、各遠心ウェイト154の円周方向の中央部には、内周面に開口したカム部材収容部159が形成されている。各カム部材収容部159には、クラッチインナ152と遠心クラッチ154との間で回転を伝達するカム部材161が収容されている。各カム部材161は、カム部材収容部159を軸方向に貫通するピン部材162により、カム部材収容部159が形成された遠心ウェイト154に取り付けられている。そして、各カム部材161は、その一部分を遠心ウェイト154の内周面よりも内径側に突出させている。尚、カム部材161としては、クラッチインナ152とクラッチシュー153との相対回転によって焼付きが生じることがないよう、例えば転がり軸受を用いることが好ましい。
クラッチインナ152は、円環状のクラッチシュー153が外嵌する円筒部163を有している。円筒部163の外周面には、各カム部材161と係合する3つのカム部材係合部164が円周方向に略等間隔をおいて設けられている。各カム部材係合部164は、円筒部163の外周において同一円周上の2点を結ぶ弦に沿って直線的に延びる凹溝として形成されている。そして、各カム部材係合部164は、その円周方向の中央部における深さが、この中央部にクラッチシュー153のカム部材161が位置するときにカム部材161に僅かに接触するか僅かな隙間を置く程度の深さに形成されている。
上述のとおり、クラッチシュー153の各カム部材161がクラッチインナ152のカム部材係合部164の中央部に位置するときに、カム部材161とカム部材係合部164とは僅かに接触するか僅かな隙間をおいており、カム部材161を介して遠心ウェイト154が押圧されることはない。そして、クラッチインナ152とクラッチシュー153との相対回転により、各カム部材161がカム部材係合部164の円周方向のいずれかの端部に移動すると、カム部材161は、カム部材係合部164の端部と遠心ウェイト154との間に噛み込まれる。それにより、各遠心ウェイト154は、カム部材161を介して押圧され、円周方向に隣り合う他の遠心ウェイト154と連結する弾性部材157を伸張させながら外径側に変位する。即ち、各カム部材係合部164の円周方向の両端部は、遠心ウェイト154との間でカム部材161を噛み込んで、遠心ウェイト154を外径側に押圧するカム面164a、164bを構成している。各カム部材161が再びカム部材係合部164の中央部に復帰すると、外径側に変位した遠心ウェイト154は、弾性部材157の復元作用により内径側に変位し、初期位置に復帰する。
クラッチアウタ151は、エンジン102のクランク軸109に締結される軸部165を有している。この軸部165には、複列の転がり軸受166、166を介在させてクラッチインナ152の円筒部163が外嵌している。それにより、クラッチアウタ151とクラッチインナ152との相対回転が可能となっている。尚、一方の転がり軸受166は、ナットなどの固定部材167により押し止められ、軸方向の変位が規制されている。
そして、クラッチアウタ151は、軸部165の一方の端部から径方向外側に広がるフランジ部168と、フランジ部168の外周縁部から軸方向に延びる円筒状のクラッチドラム部169とを有している。クラッチドラム部169はクラッチシュー153に外嵌しており、クラッチシュー153の各カム部材161がクラッチインナ152のカム部材係合部164の中央部にあって、クラッチシュー153の各遠心ウェイト154が初期位置にあるときに、各遠心ウェイト154との間に隙間をおいている。この隙間は、各遠心ウェイト154の外径側への変位量よりも小さく設定されている。よって、各カム部材161がクラッチインナ152のカム面164aまたは164bに噛み込まれ、それにより各遠心ウェイト154が外径側に変位した際には、各遠心ウェイト154の外周面に設けられたクラッチフェーシング170がクラッチドラム部169の内周面に押し付けられて摩擦結合する。それにより、クラッチアウタ151とクラッチシュー153との間のトルク容量が確保され、クラッチアウタ151とクラッチシュー153とが一体に回転する。
クラッチインナ152は、円筒部163の一方の端部から径方向外側に広がるフランジ部171と、フランジ部171の外周縁部から軸方向に延びる円筒状の伝達部材係合部172と、を有している。伝達部材係合部172は、クラッチアウタ151のクラッチドラム部169との間に所定の隙間をおいてクラッチドラム部169に外嵌している。クラッチインナ152は、この伝達部材係合部172において伝達部材104に接続される。尚、伝達部材係合部172は、伝達部材104がベルトである場合にはプーリとして構成され、また伝達部材104がチェーンである場合にはスプロケットとして構成される。
そして、クラッチアウタ151のクラッチドラム部169とクラッチインナ152の伝達部材係合部172との間には、円環状に成形された慣性質量173が設けられている。この慣性質量173は、円環状に成形された弾性部材174を介してクラッチドラム部169の外周面に固定されている。慣性質量173および弾性部材174は、トーショナルダンパを構成し、エンジン102のクランク軸109のねじり振動を減衰するようになっている。
ここで、クラッチ105の組み付けを説明する。
まず、クラッチシュー153の各遠心ウェイト154にカム部材161が取り付けられる。また、クラッチシュー153の各弾性部材収容部158に弾性部材157が収容され、各遠心ウェイト154が相互に連結される。各遠心ウェイト154の内周面よりも内径側に突出した各カム部材161の一部分がクラッチインナ152の円筒部163の軸方向端面に干渉しないよう、クラッチシュー153は、その径を適宜拡大され、円筒部163に組み付けられる。そして、円筒部163と軸部165との間に転がり軸受166を介在させてクラッチアウタ151とクラッチインナ152とが組み付けられる。
上記のように構成されたクラッチ105の動作を説明する。
伝達部材104に接続されるクラッチインナ152に回転が伝達される。クラッチインナ152の回転に伴い、各カム部材161をクラッチインナ152のカム部材係合部164に係合させているクラッチシュー153も一体に回転する。クラッチシュー153の回転に伴い、各遠心ウェイト154に遠心力が作用する。クラッチインナ152およびクラッチシュー153の回転数の上昇に伴い、各遠心ウェイト154に作用する遠心力もまた増大し、遠心力の大きさに応じて各遠心ウェイト154は外径側に変位する。
クラッチインナ152およびクラッチシュー153の回転数が所定の回転数ω1に達すると、外径側に変位した各遠心ウェイト154が、その外周面に設けられたクラッチフェーシング170をクラッチアウタ151のクラッチドラム部169に摩擦係合させる。
クラッチドラム部169に各遠心ウェイト154を摩擦係合させたクラッチシュー153はクラッチインナ152に対して相対回転し、各カム部材161がクラッチインナ152のカム部材係合部164の中央部からいずれか一方のカム面に移動する。
ここで、各遠心ウェイト154がクラッチアウタ151のクラッチドラム部169に摩擦係合した状態で、クラッチインナ152が駆動側でクラッチアウタ151が従動側となる場合には、各カム部材161はクラッチインナ152の回転方向後方側のカム面164aに移動する。そして、各カム部材161がカム面164aと遠心ウェイト154との間に噛み込まれ、各遠心ウェイト154は、カム部材161を介してクラッチドラム部169に押圧される。それにより、各遠心ウェイト154とクラッチドラム部169とが摩擦結合し、クラッチアウタ151とクラッチインナ152とがクラッチシュー153を介して接続される。また、クラッチインナ152が従動側でクラッチアウタ151が駆動側となる場合には、各カム部材161はクラッチインナ152の回転方向前方側のカム面164bに移動する。そして、各カム部材161が、カム面164bと遠心クラッチ154との間に噛み込まれ、各遠心ウェイト154は、カム部材161を介してクラッチドラム部169に押圧される。それにより、各遠心ウェイト154とクラッチドラム部169とが摩擦結合し、クラッチアウタ151とクラッチインナ152とがクラッチシュー153を介して接続される。
このように、クラッチ105は、クラッチインナ152の回転数を制御することによって、正逆両回転方向に断続を制御することができる。そして、正逆両回転方向の断続を、電磁クラッチにおけるコントローラや電動アクチュエータ等の装置を必要とすることなしに、純機械的な構成で達成することができる。それにより、クラッチ105の構成を簡素化して小型化およびコストの低減を図ることができる。
次に図6〜9を参照して、上述したクラッチ105の変形例を説明する。尚、上述したクラッチ105と共通する要素については図中同一符号を付することにより説明を省略あるいは簡略する。
図6〜8に示すように、本変形例のクラッチ105´は、互いに相対回転可能に設けられたクラッチアウタ151およびクラッチインナ152と、クラッチアウタ151およびクラッチインナ152に対して相対回転可能にクラッチアウタ151とクラッチインナ152との間に設けられたクラッチシュー153と、を備えている。
クラッチインナ152は、円環状のクラッチシュー153が外嵌する円筒部163を有している。この円筒部163の外周面には、各カム部材161と係合する3つのカム部材係合部164が円周方向に略等間隔をおいて設けられている。
さらに、クラッチインナ152の円筒部163の外周面には、円周方向に各カム部材係合部164に隣接して3つのカム部材挿入部175が形成されている。各カム部材挿入部175は、隣接するカム部材係合部164に対して円周方向に同一側に設けられている。各カム部材挿入部175は、円筒部163の軸方向端面に開口しており、クラッチシュー153の各遠心ウェイト154の内周面より内径側に突出したカム部材161の一部分が干渉することなく軸方向に進入可能な大きさに形成されている。そして、各カム部材挿入部157の外周面は、隣接するカム部材係合部164に滑らかに連なるように成形されている。
図9を参照して、上記のように構成されたクラッチ105´の組み付けを説明する。
まず、クラッチシュー153の各遠心ウェイト154にカム部材161が取り付けられる。また、クラッチシュー153の各弾性部材収容部158に弾性部材157が収容され、各遠心ウェイト154が相互に連結される。そして、各遠心ウェイト154の内周面よりも内径側に突出したカム部材161の一部分をクラッチインナ152のカム部材挿入部175に進入させながら、クラッチシュー153は、その径を拡大されることなく、クラッチインナ152に組み付けられる。そして、クラッチシュー153とクラッチインナ152とが相対回転されることにより、各カム部材挿入部175にあるカム部材161がクラッチインナ152のカム部材係合部164に配置される。
このように、本変形例のクラッチ105´によれば、クラッチシュー153の各カム部材161をクラッチインナ152のカム部材挿入部175に進入させながら、クラッチシュー153の径を拡大させることなく、クラッチシュー153をクラッチインナ152に組み付けることができる。そして、クラッチシュー153とクラッチインナ152とを相対回転させることにより、各カム部材挿入部175にあるカム部材161をクラッチインナ152のカム部材係合部164に配置することができる。よって、クラッチシュー153とクラッチインナ152との組み付けを容易に行うことができる。
再び図1を参照して、車両駆動装置101において、クラッチ105は、エンジン102のクランク軸109と伝達部材104との間に介在し、そのクラッチアウタ151がエンジン102のクランク軸109に連結され、そのクラッチインナ152が伝達部材104に連結されている。
ここで、図10に示すように、クラッチ105は、スペースの制約が多いエンジンルームにおいて占有スペースを極力縮小するように、エンジン102のハウジング111との間に僅かな隙間をおいて配置される。本実施形態の車両駆動装置101においては、クラッチ105は、クラッチインナ152のフランジ部171がエンジン102のハウジング111に添うように配置されている。
尚、図11に示すように、クラッチアウタ151のフランジ部168がエンジン102のハウジング111に添うようにクラッチが配置される構成も採り得るが、この場合に、モータジェネレータ103や後述する他の補機類との関係で、伝達部材104と係合するクラッチインナ152の伝達部材係合部172の位置に変更がないことが求められる。かかる条件のもとでは、クラッチアウタ151のクラッチドラム部169とクラッチインナ152の伝達部材係合部172との間の空間が、エンジン102のハウジング111により閉じられてしまう。そのため、クラッチインナ152の伝達部材係合部172の径および/または軸方向長さを拡大することなしに、クラッチアウタ151の慣性質量173を大きくすることができない。
これに対して、図10に示すように、クラッチインナ152のフランジ部171がハウジング111に添うようにクラッチ105が配置される構成では、クラッチアウタ151のクラッチドラム部169とクラッチインナ152の伝達部材係合部172との間の空間は、軸方向および径方向に開放される。それにより、クラッチインナ152の伝達部材係合部172の寸法を変更することなく、慣性質量173の大きさを種々に変更することができる。それにより、占有スペースの拡大を回避しつつ、慣性質量173および弾性部材174で構成されるトーショナルダンパの設計自由度を向上させることができる。
再び図1を参照して、車両駆動装置101において、モータジェネレータ103は、インバータ108を介して高電圧バッテリー107から電力の供給を受けて駆動され、その回転軸110を回転させる。また、モータジェネレータ103は、その回転軸110が回転されることにより発電可能であり、モータジェネレータ103で発電された電力は、インバータ108を介して高電圧バッテリー107に充電される。
ECU106は、インバータ108におけるスイッチング制御を行い、モータジェネレータ103に供給される電力を調整してモータジェネレータ103を回転数可変に駆動する。そして、ECU106は、モータジェネレータ103を駆動し、エンジン102を始動させる。また、ECU106は、エンジン102が始動した後には、エンジン102にモータジェネレータ103を従動させ、モータジェネレータ103に発電させる。
ここで、図12および図13を参照して、車両駆動装置101におけるエンジン102、モータジェネレータ103、およびクラッチ105の動作を説明する。図12は、エンジン102のクランク軸109に接合されたクラッチ105のクラッチアウタ151の回転数、およびモータジェネレータ103の回転軸110に伝達部材104を介して連結されたクラッチ105のクラッチインナ152の回転数の変化を示すグラフ、図13は、図12の区間A〜Fそれぞれにおけるクラッチ105の動作状態を示す模式図である。尚、図12において、クラッチアウタ151の回転数は実線で示されており、クラッチインナ152の回転数は一点鎖線で示されている。
区間Aは、エンジン102およびモータジェネレータ103が停止した状態を示し、クラッチアウタ151およびクラッチインナ152の回転数はいずれも0である。図13(A)に示すように、クラッチシュー153の各遠心ウェイト154は初期位置にある。
区間Bは、クラッチインナ152の回転数が所定の回転数ω1未満となる範囲でモータジェネレータ103が駆動されている状態を示す。図13(B)に示すように、クラッチシュー153は各カム部材161をクラッチインナ152に係合させてクラッチインナ152と一体に回転している。クラッチシュー153の回転に伴い、各遠心ウェイト154に遠心力が作用するが、弾性部材157の弾性力が遠心力に勝り、各遠心ウェイト154は、外径側に変位するもクラッチアウタ151に摩擦係合するには至っていない。よって、クラッチアウタ151とクラッチインナ152とは接続されていない。そのため、区間Bでは、モータジェネレータ103の回転軸110からエンジン102に回転は伝達されず、エンジン102は依然停止している。
区間Cは、クラッチインナ152の回転数が所定の回転数ω1となるようにモータジェネレータ103が駆動されている状態を示す。図13(C)に示すように、クラッチシュー153の各遠心ウェイト154に作用する遠心力が弾性部材157の弾性力に勝り、各遠心ウェイト154が、クラッチアウタ151に摩擦係合するほどに外径側に変位する。
そして、クラッチアウタ151に各遠心ウェイト154を摩擦係合させたクラッチシュー153は、クラッチインナ152に対して相対回転する。エンジン102は停止した状態にあり、クラッチインナ152が駆動側でクラッチアウタ151が従動側となるため、各カム部材161は、クラッチインナ152のカム部材係合部164の中央部からカム面164aに移動する。そして、各カム部材161が、カム部材係合部164のカム面164aと遠心ウェイト154との間に噛み込まれ、各遠心ウェイト154は、カム部材161を介してクラッチアウタ151に押圧される。それにより、各遠心ウェイト154とクラッチアウタ151とが摩擦結合し、クラッチアウタ151とクラッチインナ152とがクラッチシュー153を介して接続される。
それにより、区間Cでは、モータジェネレータ103の回転軸110からエンジン102のクランク軸109に回転が伝達され、クランク軸109の回転数が所定の回転数ω1まで上昇する。この状態で、エンジン102に燃料の供給等がなされ、エンジン102が始動される。ここで、所定の回転数ω1は、エンジン102の初爆によるクランク軸109の回転数もしくはその近傍の回転数に設定されることが好ましい。これによれば、モータジェネレータ103によりエンジン102を始動させるにあって、過大な振動を発生させることなくエンジン102を始動させることができる。
区間Dは、エンジン102が始動された後にモータジェネレータ103の駆動が停止された状態を示す。即ち、区間Dでは、区間Cに対してクラッチアウタ151およびクラッチインナ152の駆動側・従動側の関係が逆転し、クラッチインナ152が従動側でクラッチアウタ151が駆動側となっている。図13(D)に示すように、クラッチシュー153の各カム部材161が、クラッチインナ152の他方のカム面164bに移動する。そして、各カム部材161は、このカム面164bと遠心ウェイト154との間に噛み込まれる。それにより、各遠心ウェイト154とクラッチアウタ151との摩擦結合が維持され、クラッチアウタ151とクラッチインナ152との接続が維持される。そこで、エンジン102のクランク軸109にモータジェネレータ103の回転軸110を従動させて、モータジェネレータ103に発電させることができる。
尚、区間Dでは、エンジン102は、クランク軸109の回転数がω2(<ω1)で運転されている。クランク軸109の回転数がω1からω2に低下するにあたり、クラッチアウタ151に摩擦結合して一体に回転している各遠心ウェイト154に作用する遠心力も低下する。しかし、各カム部材161がクラッチインナ152のカム面164bと遠心クラッチ154との間に噛み込まれ、各遠心ウェイト154はクラッチアウタ151に押圧される。それにより、モータジェネレータ103による発電、及びコンプレッサやウォータポンプなどの補機の負荷によりカム部材161は押圧され、またその負荷がエンジン102の回転数が減速に転じたときもカム面164bに負荷をかけ続けることで、クラッチシュー153とクラッチアウタ151との間のトルク容量が確保され、クラッチアウタ151とクラッチインナ152との接続が維持される。尚、図12には、エンジン102のクランク軸109の回転数がω1よりもさらに上昇する場合のクラッチアウタ151の回転数が破線で、また、クラッチインナ152の回転数が2点鎖線で示されている。この場合にも、クラッチインナ152が従動側でクラッチアウタ151が駆動側となっており、同様にしてクラッチアウタ151とクラッチインナ152との接続が維持される。
区間Eは、エンジン102が停止される過程を示す。図13(E)に示すように、クラッチインナ152が従動側でクラッチアウタ151が駆動側となって、クラッチシュー153の各カム部材161がクラッチインナ152のカム面164bと遠心ウェイト154との間に噛み込まれた状態が維持されており、クラッチアウタ151とクラッチインナ152との接続が維持されている。この状態でモータジェネレータ103による発電量を急増させることにより、モータジェネレータ103が負荷となって、エンジン102の停止に要する時間の短縮が図られる。それにより、車両の共振ポイントを速やかに通過して、車両の振動を低減することができる。
上述のように構成された車両駆動装置101において、ECU106は、ブレーキの動作状態、シフトポジション、車速、エンジン102のクランク軸109の回転数、スロットル開度、高電圧バッテリー107の電力量を検出し、それに基づいてエンジン102の始動・停止を判断する。ECU106によるエンジン102の始動・停止判断ルーチンの一例を図16に示す。
図16に示すように、ECU106は、ブレーキの動作状態を検出する(ステップS1)。これは、運転者の停車意思を確認するものである。ブレーキがかけられていない場合に、ECU106は、エンジン停止不許可と判断する。
ブレーキがかけられている場合には、次いでECU106は、シフトポジションを検出する(ステップS2)。これは、運転者の停車意思が、信号待ちや一時停止などの一時的な停車であって、アイドリングでの長時間の駐車などでないことを確認するものでる。シフトポジションがDポジションなどの走行ポジションにない場合に、ECU106は、エンジン停止不許可と判断する。
シフトポジションがDポジションなどの走行ポジションにある場合に、次いでECU106は、車速を検出する(ステップS3)。これは、極低速V0での走行ではないことを確認し、アイドリングストップが可能な状態になったかを確認するものである。車速VがV0以下となっていない場合に、ECU106は、エンジン停止不許可と判断する。
車速VがV0以下となっている場合に、次いでECU106は、エンジン102の回転数Neを検出する(ステップS4)。これは、通常の補機動作状態でのエンジン102のアイドリング回転数をNe1(例えば750rpm)として、エンジンの暖気中である場合や、エアコン等の使用で補機による負荷が非常に高くなっている場合などで、エンジン102の回転数NeがNe1を上回っている場合に、エンジン102の運転を継続するためである。エンジン102の回転数NeがNe1以下となっていない場合には、ECU106は、エンジン停止不許可と判断する。
エンジン102の回転数NeがNe1以下となっている場合に、次いでECU106は、スロットル開度θを検出する(ステップS5)。これは、スロットル開度がアクセル操作に連動することから、運転者の停車意思を確認するものである。スロットル開度θが所定の開度θ1以下となっていない場合に、ECU106は、エンジン停止不許可と判断する。
そして、スロットル開度θがθ1以下となっている場合に、次いでECU106は、高電圧バッテリー107の電力量Pvを検出する(ステップS6)。モータジェネレータ103を駆動してエンジン102を始動する際に必要となる電力量よりも若干高い電力量をPv1として、高電圧バッテリー107の電力量PvがPv1未満の場合には、ECU106は、エンジン停止不許可と判断し、エンジン102を始動させ、あるいはエンジン102の運転を継続する。そして、ECU106は、モータジェネレータ103に発電させ、高電圧バッテリー107に充電する。一方、高電圧バッテリー107の電力量PvがPv1以上の場合には、ECU106は、エンジン停止許可と判断し、エンジン102への燃料供給を停止してエンジン102を停止させる。
エンジン停止不許可の判断によりエンジン102が始動される際のモータジェネレータ103、ウォータポンプ111、およびコンプレッサ112の動作、ならびに、エンジン停止許可の判断によりエンジン102が停止される際のモータジェネレータ103、ウォータポンプ111、およびコンプレッサ112の動作について、図12〜図15、ならびに図17および図18を参照して、以下に説明する。
図14はエンジン102のクランク軸109に接合されたクラッチ105のクラッチアウタ151の回転数、およびモータジェネレータ103の回転軸110に伝達部材104を介して連結されたクラッチ105のクラッチインナ152の回転数の変化を示すグラフ、図15は図14の区間A〜Fそれぞれにおけるエンジン102、モータジェネレータ103、ウォータポンプ111、およびコンプレッサ112の動作状態を示す模式図である。尚、図14において、クラッチアウタ151の回転数は実線で示されており、クラッチインナ152の回転数は一点鎖線で示されている。また、図15において、駆動側となる要素の回転が太い矢印で示されており、従動側となる要素の回転は細い矢印で示されている。
図17は、ECU106においてエンジン停止不許可の判断がなされた際の出力処理を示すフロー図である。図17に示すように、まず、ECU106は、エンジン102が停止中であるか否かを検出する(ステップSA1)。エンジン102が停止中でない場合には、ECU106は、処理を終了する。
エンジン102が停止中である場合に、次いでECU106は、コンプレンサ112の動作状態を検出する(ステップSA2)。コンプレッサ112が運転されている場合に、ECU106は、電磁クラッチ113を切断してコンプレッサ112の回転軸を伝達部材104から分離する(ステップSA3)。
次いで、ECU106は、クラッチインナ152の回転数が所定の回転数ω1以上となるようにモータジェネレータ103を駆動する(ステップSA4)。図14の区間Aは、クラッチインナ152の回転数が所定の回転数ω1となるようにモータジェネレータ103が駆動されてエンジン102が始動される過程を示す。クラッチインナ152の回転数が所定の回転数ω1となるようにモータジェネレータ103が駆動されることによりクラッチ105が接続され(図12の区間A〜Cおよび図13(A)〜(C)参照)、クラッチアウタ151の回転数、つまりはエンジン102のクランク軸109の回転数が所定の回転数ω1まで上昇する。その際、上記のとおりコンプレッサ112の回転軸が伝達部材104から分離されているので、図15(A)に示すように、コンプレッサ112の回転軸のひきずりがなく、エンジン102の始動にあったって、モータジェネレータ103に対する負荷が軽減されている。
次いで、ECU106は、エンジン102のクランク軸109の回転数が所定の回転数ω1まで上昇したことを検出し(ステップSA5)、その後に、エンジン102の燃料バルブを開いてエンジン102への燃料の供給を開始し(ステップSA6)、エンジン102のスパークプラグを点火してエンジン102を始動する(ステップSA7)。図14の区間Bは、エンジン102が始動された後にモータジェネレータ103の駆動が停止された状態を示す。クラッチ105の接続は維持され(図12の区間Dおよび図13(D)参照)、図15(B)に示すように、モータジェネレータ103はエンジン102に従動する。そこで、モータジェネレータ103に発電させることができる。
次いで、ECU106は、コンプレッサ112の作動要求の有無を検出する(ステップSA8)。コンプレッサ112の作動要求がある場合には、電磁クラッチ113を接続してコンプレッサ112の回転軸を伝達部材104に接続する(ステップSA9)。それにより、図15(B)に示すように、コンプレッサ112がエンジン102により駆動される。
図18は、ECU106においてエンジン停止許可の判断がなされた際の出力処理を示すフロー図である。図18に示すように、まず、ECU106は、エンジン102が停止中であるか否かを検出する(ステップSB1)。エンジン102が運転されている場合に、ECU106は、エンジン102への燃料の供給を停止し(ステップSB2)、エンジン102を停止する。図14の区間Cは、エンジン102が停止される過程を示す。クラッチ105の接続は維持され(図12の区間Eおよび図13(E)参照)、図15(C)に示すように、モータジェネレータ103はエンジン102に従動する。そこで、モータジェネレータ103による発電量を急増させる(ステップSB3)。これにより、モータジェネレータ103が負荷となって、エンジン102の停止に要する時間の短縮が図られる。エンジン102の停止に伴い、クラッチ105が切断され、エンジン102のクランク軸109が伝達部材104から分離される。尚、図15(C)に示す例では、電磁クラッチ113が切断され、コンプレッサ112の回転軸が伝達部材104から分離されているが、電磁クラッチ113が接続されてコンプレッサ112の回転軸が伝達部材104に接続されていてもよい。その場合には、コンプレッサ112を負荷として、エンジン102の停止に要する時間の一層の短縮を図ることができる。
エンジン102が停止した後、ECU106は、コンプレッサ112の動作状態を検出する(ステップSB4)。コンプレッサ112が運転中である場合には、ECU106は、電磁クラッチ113を接続してコンプレッサ112の回転軸を伝達部材104に接続する(ステップSB5)。コンプレッサ112が停止中である場合には、ECU106は、電磁クラッチ113を切断してコンプレッサ112の回転軸を伝達部材104から分離する(ステップSB6)。
さらに、コンプレッサ112が停止中である場合に、ECU106は、ウォータポンプ111の作動要求を検出する(ステップSB7)。ウォータポンプ111の作動要求がない場合には、ECU106は、モータジェネレータ103の駆動を停止する(ステップSB10)
ウォータポンプ111の作動要求がある場合、およびコンプレッサ112が運転中である場合に、ECU106は、高電圧バッテリー107の電力量Pvを検出する(ステップSB8)。高電圧バッテリー107の電力量PvがPv1未満の場合には、ECU106は、モータジェネレータ103の駆動を停止する(ステップSB10)。他方、高電圧バッテリー107の電力量PvがPv1以上の場合には、ECU106は、クラッチインナ152の回転数が所定の回転数ω1未満となる範囲でモータジェネレータ103を駆動して(ステップSB9)、ウォータポンプ111および/またはコンプレッサ112を駆動する。図14の区間Dは、クラッチインナ152の回転数が所定の回転数ω1未満となる範囲でモータジェネレータ103が駆動され、エンジン102の停止時にモータジェネレータ103によりウォータポンプ111が駆動されている状態を示す。このとき、図15(D)に示すように、クラッチ152の回転数が所定の回転数ω1未満であることから、クラッチ105は接続されず、エンジン102のクランク軸109は伝達部材104から分離されている。また、図14の区間Eは、ウォータポンプ111に加えてコンプレッサ112の作動要求がある場合に、クラッチインナ152の回転数が所定の回転数ω1未満となる範囲でモータジェネレータ103が駆動され、エンジン102の停止時にモータジェネレータ103によりウォータポンプ111およびコンプレッサ112が駆動されている状態を示す。このとき、図15(E)に示すように、クラッチ152の回転数が所定の回転数ω1未満であることから、クラッチ105は接続されず、エンジン102のクランク軸109は伝達部材104から分離されている。
このように、エンジン102の停止時に、クラッチインナ152の回転数が所定の回転数ω1未満となる範囲でモータジェネレータ103を駆動することにより、クラッチ105は切断された状態に維持され、エンジン102のクランク軸109は伝達部材104から分離された状態に維持される。そこで、エンジン102のクランク軸109を回転させることなく、モータジェネレータ103によりポンプ111やコンプレッサ112を駆動することができ、モータジェネレータ103の消費電力を低減することができる。さらに、ウォータポンプ111やコンプレッサ112に独立して駆動源を備える場合に比べて、車両駆動装置の小型化を図ることができる。
ECU106による上記エンジン102の始動・停止判断によれば、高電圧バッテリー107には、モータジェネレータ103を駆動してエンジン102を始動する際に必要となる電力量が確保される。しかしながら、高電圧バッテリー107の電解液温度が極端に低下した場合などには高電圧バッテリー107の電力量が一時的に不足する場合がある。そこで、図1に示すように、車両駆動装置101は、スタータモータ114と、スタータモータ114に電力を供給する低電圧バッテリー(第2電力源)115と、を備えることが好ましい。
図19は、ECU106におけるエンジン始動機構選択判断ルーチンを示すフロー図である。図19に示すように、ECU106は、高電圧バッテリー107の電解液温度を測定して、高電圧バッテリー107の電力量の不足を検出する(ステップSC1)。そして、高電圧バッテリー107の電力量が不足する場合には、スタータモータ114を駆動し(ステップSC2)、それによりエンジン102のクランク軸109を回転させ、エンジン102を始動する。これによれば、モータジェネレータ103に電力を供給する高電圧バッテリー107の電力量が不足する場合にも、確実にエンジン102を始動することができる。尚、スタータモータ114に電力を供給する低電圧バッテリー115は、高電圧バッテリー107に接続されたダウンバータ116により充電されており、常時十分な電力量に保たれている。
尚、ECU106は、スタータモータ114を駆動してエンジン102を始動したときに、クラッチ105のクラッチインナ152の回転数が所定の回転数ω1となるようにモータジェネレータ103を駆動し、クラッチ105を接続する(ステップSC3)。詳細には、図20に示すように、ECU106は、エンジン102の回転数を検出する(ステップSD1)。エンジン102の回転数が所定の回転数以上である場合に、ECU106は、モータジェネレータ103の回転数を検出する(ステップSD2)。モータジェネレータ103の回転数が所定の回転数以下である場合には、クラッチ105が切断されている状態であることから、クラッチインナ152の回転数が所定の回転数ω1となるようにモータジェネレータ103を駆動してクラッチ105を接続する(ステップSD3)。その後に、モータジェネレータ103をエンジン102に従動させてモータジェネレータ103に発電させ(ステップSD4)、高電圧バッテリー107に充電する。これによれば、不足する高電圧バッテリー107の電力量を回復させることができ、好ましい。
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
本発明に係る車両駆動装置の一実施形態の概略構成を示すブロック図である。 図1の車両駆動装置に好適に用いられるクラッチの分解斜視図であって、本発明に係るクラッチの一実施形態の分解斜視図である。 図2のクラッチのクラッチシューの分解斜視図である。 図2のクラッチの断面図である。 図4におけるV−V線断面図である。 図2のクラッチの変形例の分解斜視図である。 図6のクラッチのクラッチインナの要部斜視図である。 図6のクラッチの断面図である。 (A)および(B)は図6のクラッチの組み付け手順を説明する正面図である。 図1の車両駆動装置におけるエンジンおよびクラッチの位置関係を示す断面図である。 エンジンおよびクラッチの位置関係の他の例を示す断面図である。 クラッチアウタおよびクラッチインナの回転数の変化を示すグラフである。 図12の区間A〜Fそれぞれにおけるクラッチの動作状態を示す模式図である。 クラッチアウタおよびクラッチインナの回転数の変化を示すグラフである。 図14の区間A〜Fそれぞれにおけるエンジン、モータジェネレータ、および補機の動作状態を示す模式図である。 制御手段におけるエンジンの始動・停止判断ルーチンを示すフロー図である。 制御手段においてエンジン停止不許可の判断がなされた際の出力処理を示すフロー図である。 制御手段においてエンジン停止許可の判断がなされた際の出力処理を示すフロー図である。 制御手段におけるエンジン始動機構選択判断ルーチンを示すフロー図である。 スタータモータによりエンジンを始動させた際のクラッチ接続処理を示すフロー図である。 従来の車両駆動装置の概略構成を示すブロック図である。
符号の説明
101 車両駆動装置
102 エンジン
103 モータジェネレータ
104 伝達部材
105 クラッチ
106 ECU(制御手段)
107 高電圧バッテリー(第1電力源)
109 モータジェネレータの回転軸
110 エンジンのクランク軸
111 ウォータポンプ(補機)
112 エアコン用コンプレッサ(補機)
114 スタータモータ
115 低電圧バッテリー(第2電力源)
151 クラッチアウタ
152 クラッチインナ
153 クラッチシュー
154 遠心ウェイト
157 弾性部材
161 カム部材
164 カム部材係合部
164a カム面
164b カム面
171 フランジ部
172 伝達部材係合部
173 慣性質量
174 弾性部材
178 カム部材挿入部

Claims (8)

  1. 互いに相対回転可能に設けられたクラッチアウタおよびクラッチインナと、前記クラッチアウタおよび前記クラッチインナに対して相対回転可能に該クラッチアウタと該クラッチインナとの間に設けられたクラッチシューと、を備え、
    前記クラッチシューが、半径方向に移動可能に設けられた少なくとも1つの遠心ウェイトと、前記各遠心ウェイトを前記クラッチインナ側に付勢する弾性部材と、前記各遠心ウェイトと前記クラッチインナとの間で回転を伝達するカム部材と、を含み、
    前記クラッチインナが、前記各カム部材と係合するカム部材係合部の周方向両端部に、前記各遠心ウェイトとの間に該カム部材を噛み込んで該遠心ウェイトを前記クラッチアウタに押圧するカム面をそれぞれ有しており、
    前記各遠心ウェイトが、前記クラッチインナの回転数の上昇に伴って作用する遠心力により前記弾性部材の付勢力に抗して前記クラッチアウタ側に変位し、該クラッチインナの回転数が所定の回転数に達した際には前記クラッチアウタに摩擦係合し、
    前記各遠心ウェイトが前記クラッチアウタに摩擦係合した状態で、前記クラッチインナが駆動側で前記クラッチアウタが従動側となる場合には、前記各カム部材が該クラッチインナの一方の前記カム面と該遠心クラッチとの間に噛み込まれ、前記クラッチインナが従動側で前記クラッチアウタが駆動側となる場合には、前記各カム部材が該クラッチインナの他方の前記カム面と該遠心クラッチとの間に噛み込まれることを特徴とするクラッチ。
  2. 前記クラッチシューが、前記遠心ウェイトを複数有し、これらの遠心ウェイトが円環状に配置されていると共に、各遠心ウェイトが周方向に隣り合う遠心ウェイトと前記弾性部材で相互に連結されており、
    前記クラッチインナは、前記各カム部材が干渉することなく軸方向に進入可能なカム部材挿入部を有し、
    前記各カム部材挿入部の外周面が、前記クラッチインナの一方の前記カム面に連なっていることを特徴とする請求項1に記載のクラッチ。
  3. エンジンと、モータジェネレータと、前記エンジンのクランク軸と前記モータジェネレータの回転軸との間で回転を伝達する伝達部材と、前記伝達部材と前記エンジンのクランク軸との間に介在するクラッチと、前記モータジェネレータの動作を制御する制御手段と、を備え、
    前記クラッチが、請求項1または請求項2に記載のクラッチであって、そのクラッチアウタが、前記エンジンのクランク軸に接続されており、また、そのクラッチインナが、前記伝達部材に接続されており、
    前記エンジンを始動させる際に、前記制御手段が、前記クラッチインナの回転数が前記所定の回転数以上となるように前記モータジェネレータを駆動し、それにより前記エンジンのクランク軸を回転させ、
    前記エンジンが始動した後には、前記制御手段が、前記モータジェネレータの回転軸を該エンジンのクランク軸に従動させて該モータジェネレータに発電させることを特徴とする車両駆動装置。
  4. 前記クラッチインナの前記所定の回転数が、前記エンジンの初爆によるクランク軸の回転数もしくはその近傍の回転数であることを特徴とする請求項3に記載の車両駆動装置。
  5. 前記クラッチアウタが、その外周面に弾性部材を介して固定された慣性質量を有しており、
    前記クラッチインナが、前記エンジンのハウジングと前記クラッチアウタとの間を通って径方向に広がるフランジ部と、前記フランジ部の外周縁部から軸方向に延びて前記慣性質量の外周側に配置された伝達部材係合部と、を有し、該伝達部材係合部において前記伝達部材に接続されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の車両駆動装置。
  6. 前記伝達部材を介して前記エンジンまたは前記モータジェネレータに駆動される補機をさらに備え、
    前記エンジンが停止している際に、前記制御手段が、前記クラッチインナの回転数が前記所定の回転数未満となる範囲で前記モータジェネレータを駆動し、それにより前記補機の回転軸を回転させることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の車両駆動装置。
  7. スタータモータと、前記モータジェネレータに電力を供給する第1電力源と、前記スタータモータに電力を供給する第2電力源と、をさらに備え、
    前記エンジンを始動させる際に、前記制御手段が、前記第1電力源の電力量を検出し、該第1電力源の電力量が不足している場合に前記スタータモータを駆動し、それにより前記エンジンのクランク軸を回転させることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載の車両駆動装置。
  8. 前記スタータモータにより前記エンジンが始動された場合に、前記制御手段が、前記クラッチインナの回転数が前記所定の回転数以上となるように前記モータジェネレータを駆動し、その後に、前記モータジェネレータの回転軸を該エンジンのクランク軸に従動させて該モータジェネレータに発電させることを特徴とする請求項7に記載の車両駆動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016044641A (ja) * 2014-08-26 2016-04-04 アイシン精機株式会社 エンジン冷却装置

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