JP2009155485A - ジエン系ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性、耐圧縮永久歪特性および耐久性をバランスよく改善せしめ、タイヤのリムクッション部などに好適に用いられるジエン系ゴム組成物を提供する。
【解決手段】ジエン系ゴム100重量部当り、瀝青炭粉砕物10〜70重量部、カーボンブラック0〜110重量部を配合してなり、加硫促進剤/硫黄重量比が0.8〜1.5であり、かつ瀝青炭粉砕物およびカーボンブラックの合計配合量が130重量部以下であるジエン系ゴム組成物。このジエン系ゴム組成物は、耐熱性、耐圧縮永久歪特性および耐久性をバランスよく改善せしめるので、空気入りタイヤのリムクッション部などの加硫成形材料として好適に用いられる。
【選択図】 なし
【解決手段】ジエン系ゴム100重量部当り、瀝青炭粉砕物10〜70重量部、カーボンブラック0〜110重量部を配合してなり、加硫促進剤/硫黄重量比が0.8〜1.5であり、かつ瀝青炭粉砕物およびカーボンブラックの合計配合量が130重量部以下であるジエン系ゴム組成物。このジエン系ゴム組成物は、耐熱性、耐圧縮永久歪特性および耐久性をバランスよく改善せしめるので、空気入りタイヤのリムクッション部などの加硫成形材料として好適に用いられる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ジエン系ゴム組成物に関する。さらに詳しくは、空気入りタイヤのリムクッション部の加硫成形用ゴム材料などとして好適に用いられるジエン系ゴム組成物に関する。
従来、自動車車両において空気入りタイヤとリムとの嵌合性を向上させるため、リムと当接するビード部の内周側にリムクッションゴムを配置するようにした空気入りタイヤが用いられている。このような構造の採用により、リム組みした際に圧縮変形したリムクッションゴムの反発弾性によりリムとの密着性が向上し、リム嵌合性及び耐リム滑り性を高めることができる。
このリムクッション部には、路面からの物理的な応力がかかるばかりではなく、回転トルクなどの応力が直接かかることとなる。従って、リムクッション部には、路面からの応力と、これと逆向きとなるリムからの応力がかかるため、耐久性がタイヤの他の部分に比べて損なわれやすい傾向にある。また、高速走行による発熱等による変形や熱老化も受けやすい。
このため、リムクッション部のゴムの耐熱性、耐圧縮永久歪特性、耐久性は、タイヤ内圧保持の関係上非常に重要であり、これらの性能が低いと熱による劣化、各種応力による変形、破断による空気圧の低下によるタイヤのたわみが大きくなり、これらは故障が促進されるなどの現象につながる。ここで、耐圧縮永久歪特性を向上させる方法として、カーボンブラックの増量や硫黄など加硫系配合剤の増量などの手法が用いられているが、これらの手法ではゴムの破断強度が低下し、亀裂が発生するなどの問題がある。
本出願人は先に、リムクッション部などに好適に用いられるゴム組成物として、天然ゴムおよび/またはポリイソプレンゴム18〜55重量部、ポリブタジエンゴム43〜80重量部、スチレン-ブタジエン共重合ゴム2重量部以上10重量部未満とからなるゴムを有し、前記スチレン-ブタジエン共重合ゴム中のスチレン含有量が該スチレン-ブタジエン共重合ゴム100重量%に対して35重量%以下であるゴム組成物を提案している。かかるゴム組成物より得られるリムクッション部は、耐圧縮永久歪特性にはすぐれているものの、耐熱老化性および耐久性の点でさらなる改善が望まれている。
特開2007−302715号公報
本発明の目的は、耐熱性、耐圧縮永久歪特性および耐久性をバランスよく改善せしめ、タイヤのリムクッション部などに好適に用いられるジエン系ゴム組成物を提供することにある。
かかる本発明の目的は、ジエン系ゴム100重量部当り、瀝青炭粉砕物10〜70重量部、カーボンブラック0〜110重量部を配合してなり、加硫促進剤/硫黄重量比が0.8〜1.5であり、かつ瀝青炭粉砕物およびカーボンブラックの合計配合量が130重量部以下であるジエン系ゴム組成物によって達成される。
本発明に係るジエン系ゴム組成物は、耐熱性、耐圧縮永久歪特性および耐久性をバランスよく改善せしめるので、空気入りタイヤのリムクッション部などの加硫成形材料として好適に用いられる。
ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等が単独であるいはブレンドゴムとして用いられ、好ましくはNR、BRまたはこれらのブレンドゴムが用いられる。SBRとしては、乳化重合SBR(E-SBR)、溶液重合SBR(S-SBR)のいずれをも用いることができる。
粘結炭または非粘結炭である瀝青炭粉砕物は、石炭の一種で高品位炭と呼ばれる瀝青炭(JIS M1002の石炭分類でB1、B2、C)を含む石炭一般を、平均粒径(ASTM D1511準拠;average 測定機Microtrac SRA 150を用いて測定)約0.01〜100μm、好ましくは約0.05〜50μmに粉砕したものであり、その比重を1.6以下、好ましくは1.35以下のものが用いられる。
瀝青炭粉砕物は、ジエン系ゴム100重量部当り10〜70重量部、好ましくは30〜60重量部の割合で用いられる。瀝青炭粉砕物の配合割合がこれ以外の場合には、耐久性が悪化するようになる。
また、カーボンブラックとしては、HAF、FEF等のグレードのカーボンブラックが、ジエン系ゴム100重量部当り110重量部以下、好ましくは30〜70重量部であって、かつ瀝青炭粉砕物との合計配合量(充填剤合計配合量)が10〜130重量部、好ましくは50〜90重量部となるような割合で用いられる。充填剤合計配合量が、これよりも多く用いられると、耐久性が悪化するようになる。
ジエン系ゴム組成物中には、ゴムの配合剤として加硫剤としての硫黄0.5〜3重量部、好ましくは1〜2重量部およびチアゾール系(MBT、MBTS、ZnMBT等)、スルフェンアミド系(CBS、DCBS、BBS等)、グアニジン系(DPG、DOTG、OTBG等)、チウラム系(TMTD、TMTM、TBzTD、TETD、TBTD等)、ジチオカルバミン酸塩系(ZTC、NaBDC等)、キサントゲン酸塩系(ZnBX等)等の加硫促進剤0.5〜4重量部、好ましくは1〜2.5重量部が用いられ、これらは加硫促進剤/硫黄重量比が0.8〜1.5、好ましくは1〜1.3となるような割合で添加される。加硫促進剤/硫黄重量比が、これより小さい場合には耐熱性に劣るようになり、一方これより大きい場合には耐久性が劣るようになる。
以上の各成分を必須成分とするジエン系ゴム組成物中には、さらにゴムの配合剤として一般的に用いられている配合剤、例えばタルク、クレー、グラファイト、珪酸カルシウム等の補強剤または充填剤、ステアリン酸、パラフィンワックス、アロマオイル等の加工助剤、酸化亜鉛、老化防止剤、可塑剤などが必要に応じて適宜配合されて用いられる。
組成物の調製は、ニーダ、バンバリーミキサ等の混練機およびオープンロール等を用いる一般的な方法で混練することによって行われ、得られた組成物は、用いられたジエン系ゴムに応じた加硫温度で加硫され、リムクッション部を形成する。
次に、実施例について本発明を説明する。
実施例1
天然ゴム(RSS♯3) 50重量部
ブタジエン共重合ゴム(日本ゼオン製品NIPOL BR1220) 50 〃
HAFカーボンブラック(東海カーボン製品シースト300) 60 〃
瀝青炭粉砕物(Coal Fillers Incorporated社製品Austin Black 325; 40 〃
平均粒径5.50μm、比重1.31)
ステアリン酸(日本油脂製品ビーズステアリン酸) 1 〃
酸化亜鉛(正同化学工業製品酸化亜鉛3種) 5 〃
硫黄(鶴見化学工業製品金華印油入微粉硫黄、硫黄分95%) 1.68 〃
加硫促進剤(大内新興化学工業製品ノクセラーNS) 2 〃
天然ゴム(RSS♯3) 50重量部
ブタジエン共重合ゴム(日本ゼオン製品NIPOL BR1220) 50 〃
HAFカーボンブラック(東海カーボン製品シースト300) 60 〃
瀝青炭粉砕物(Coal Fillers Incorporated社製品Austin Black 325; 40 〃
平均粒径5.50μm、比重1.31)
ステアリン酸(日本油脂製品ビーズステアリン酸) 1 〃
酸化亜鉛(正同化学工業製品酸化亜鉛3種) 5 〃
硫黄(鶴見化学工業製品金華印油入微粉硫黄、硫黄分95%) 1.68 〃
加硫促進剤(大内新興化学工業製品ノクセラーNS) 2 〃
以上の各成分の内、加硫促進剤と硫黄を除く各成分を16L密閉型ミキサで8分間混練し、160℃に達したとき放出してマスターバッチを得た。このマスターバッチに加硫促進剤と硫黄を加え、オープンロールで混練し、ジエン系ゴム組成物を得た(加硫促進剤/硫黄重量比=1.253)。
実施例2
実施例1において、瀝青炭粉砕物量が10重量部に変更されて用いられた。
実施例1において、瀝青炭粉砕物量が10重量部に変更されて用いられた。
実施例3
実施例1において、瀝青炭粉砕物量が70重量部に変更されて用いられた。
実施例1において、瀝青炭粉砕物量が70重量部に変更されて用いられた。
実施例4
実施例1において、加硫促進剤量が1.4重量部にそれぞれ変更されて用いられた(加硫促進剤/硫黄重量比=0.877)。
実施例1において、加硫促進剤量が1.4重量部にそれぞれ変更されて用いられた(加硫促進剤/硫黄重量比=0.877)。
比較例1(標準例)
実施例1において、瀝青炭粉砕物が用いられなかった。
実施例1において、瀝青炭粉砕物が用いられなかった。
比較例2
実施例1において、瀝青炭粉砕物が用いられず、またHAFカーボンブラック量が100重量部に変更されて用いられた。
実施例1において、瀝青炭粉砕物が用いられず、またHAFカーボンブラック量が100重量部に変更されて用いられた。
比較例3
実施例1において、硫黄量が4重量部に変更されて用いられた(加硫促進剤/硫黄重量比=0.526)。
実施例1において、硫黄量が4重量部に変更されて用いられた(加硫促進剤/硫黄重量比=0.526)。
比較例4
実施例1において、加硫促進剤量が2.5重量部に変更されて用いられた(加硫促進剤/硫黄重量比=1.566)。
実施例1において、加硫促進剤量が2.5重量部に変更されて用いられた(加硫促進剤/硫黄重量比=1.566)。
比較例5
実施例1において、瀝青炭粉砕物量が80重量部に変更されて用いられた。
実施例1において、瀝青炭粉砕物量が80重量部に変更されて用いられた。
以上の実施例および各比較例で得られたジエン系ゴム組成物を160℃で20分間加硫して所定の加硫ゴム試験片を得、得られた加硫ゴム試験片について、圧縮永久歪、熱老化性および耐屈曲疲労性の測定を行った。
圧縮永久歪:JIS K6262準拠、標準例で得られた値を100とする指数で示した
(この値が大きい程、圧縮永久歪が良好であることを示している)
耐熱老化性:JIS K6257 A2法準拠して空気加熱老化させたサンプルをJIS K6260-1999
に準拠して、歪40mmの条件下でサンプルが破断するまでの回数を測定し、
標準例で得られた値を100とする指数で示した
(この値が大きい程、耐熱老化性に優れていることを示している)
耐屈曲疲労性:JIS K6260-1999に準拠し、歪40mmの条件下でサンプルが破断するまで
の回数を測定し、標準例で得られた値を100とする指数で示した
(この値が大きい程、耐屈曲疲労性が良好であることを示している)
圧縮永久歪:JIS K6262準拠、標準例で得られた値を100とする指数で示した
(この値が大きい程、圧縮永久歪が良好であることを示している)
耐熱老化性:JIS K6257 A2法準拠して空気加熱老化させたサンプルをJIS K6260-1999
に準拠して、歪40mmの条件下でサンプルが破断するまでの回数を測定し、
標準例で得られた値を100とする指数で示した
(この値が大きい程、耐熱老化性に優れていることを示している)
耐屈曲疲労性:JIS K6260-1999に準拠し、歪40mmの条件下でサンプルが破断するまで
の回数を測定し、標準例で得られた値を100とする指数で示した
(この値が大きい程、耐屈曲疲労性が良好であることを示している)
得られた結果は、次の表に示される。
表
例 圧縮永久歪 耐熱老化性 耐屈曲疲労性
実施例1 110 105 105
〃 2 103 105 102
〃 3 126 105 100
〃 4 106 100 110
比較例1 100 100 100
〃 2 120 98 62
〃 3 115 85 95
〃 4 113 96 86
〃 5 127 99 95
表
例 圧縮永久歪 耐熱老化性 耐屈曲疲労性
実施例1 110 105 105
〃 2 103 105 102
〃 3 126 105 100
〃 4 106 100 110
比較例1 100 100 100
〃 2 120 98 62
〃 3 115 85 95
〃 4 113 96 86
〃 5 127 99 95
以上の結果から、次のようなことがいえる。
(1) 実施例では、耐熱老化性、耐圧縮永久歪特性および耐久性がバランスよく改善されている。
(2) 標準例である比較例1と比較して、カーボンブラックが規定量内であっても、瀝青炭粉砕物が配合されないと耐久性が悪化する(比較例2)。
(3) 加硫促進剤/硫黄重量比が規定の比率以下になると、耐熱性が悪化する(比較例3)。
(4) 加硫促進剤/硫黄重量比が規定の比率以上になると、耐久性が悪化する(比較例4)。
(5) 瀝青炭粉砕物の配合量が規定量よりも多いと、耐久性が悪化する(比較例5)。
(1) 実施例では、耐熱老化性、耐圧縮永久歪特性および耐久性がバランスよく改善されている。
(2) 標準例である比較例1と比較して、カーボンブラックが規定量内であっても、瀝青炭粉砕物が配合されないと耐久性が悪化する(比較例2)。
(3) 加硫促進剤/硫黄重量比が規定の比率以下になると、耐熱性が悪化する(比較例3)。
(4) 加硫促進剤/硫黄重量比が規定の比率以上になると、耐久性が悪化する(比較例4)。
(5) 瀝青炭粉砕物の配合量が規定量よりも多いと、耐久性が悪化する(比較例5)。
Claims (3)
- ジエン系ゴム100重量部当り、瀝青炭粉砕物10〜70重量部、カーボンブラック0〜110重量部を配合してなり、加硫促進剤/硫黄重量比が0.8〜1.5であり、かつ瀝青炭粉砕物およびカーボンブラックの合計配合量が130重量部以下であるジエン系ゴム組成物。
- リムクッション部の加硫成形用ゴム材料として用いられる請求項1記載のジエン系ゴム組成物。
- 請求項2記載のジエン系ゴム組成物から加硫成形されたリムクッション部を有する空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007335559A JP2009155485A (ja) | 2007-12-27 | 2007-12-27 | ジエン系ゴム組成物 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007335559A JP2009155485A (ja) | 2007-12-27 | 2007-12-27 | ジエン系ゴム組成物 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009155485A true JP2009155485A (ja) | 2009-07-16 |
JP2009155485A5 JP2009155485A5 (ja) | 2009-08-27 |
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ID=40959837
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2007335559A Pending JP2009155485A (ja) | 2007-12-27 | 2007-12-27 | ジエン系ゴム組成物 |
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JP (1) | JP2009155485A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014136713A (ja) * | 2013-01-15 | 2014-07-28 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | キャンバスチェーファー用ゴム組成物及び空気入りタイヤ |
-
2007
- 2007-12-27 JP JP2007335559A patent/JP2009155485A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014136713A (ja) * | 2013-01-15 | 2014-07-28 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | キャンバスチェーファー用ゴム組成物及び空気入りタイヤ |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090710 |