JP2009154764A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】制動性能に優れるタイヤ2の提供。
【解決手段】このタイヤ2は、一対のビード8と、両ビード8の間に架け渡されたカーカス10と、このタイヤ2のショルダー領域24であって、かつこのカーカス10の外側に位置している一対の複合体16とを備えている。この複合体16は、支持層と、2の被覆層とを備えている。この支持層は、両被覆層の間に位置している。この支持層は、短繊維を含んでいる。好ましくは、このタイヤ2では、上記複合体16の厚さは、1.0mm以上3.0mm以下である。好ましくは、このタイヤ2では、上記被覆層の厚さは、0.3mm以上0.7mm以下である。好ましくは、このタイヤ2では、上記支持層の厚さは、0.5mm以上1.4mm以下である。好ましくは、このタイヤ2では、上記支持層の厚さは、上記被覆層の厚さよりも大きい。
【選択図】図1

Description

本発明は、主として乗用車に装着される空気入りタイヤに関する。
タイヤは、多数のゴム部材が組み合わされて構成される。これらのゴム部材の仕様、組み合わせ等が検討されて、タイヤの性能向上が図られている。
旋回時にタイヤに発生するコーナリングフォースは、求心力として作用する。その横剛性が大きいタイヤには、大きなコーナリングフォースが発生する。このタイヤは、安定に旋回しうる。このタイヤは、操縦安定性に優れる。
質量を増加させることなく操縦安定性の向上がなされたタイヤが、特開2005−239070公報に開示されている。このタイヤでは、短繊維を含んだ補強体がショルダー領域に設けられている。この短繊維は、この補強体の短繊維以外の部分からなる媒体に分散している。この短繊維は、軸方向に配向している。
特開2005−239070公報
タイヤの、トレッドの端の近傍部分(ショルダー領域)の接地圧が、その赤道の近傍部分(赤道領域)の接地圧よりも大きい場合がある。このタイヤでは、トレッドが制動性能に充分に寄与しえない。ショルダー領域にあるトレッドにおいて、摩耗が促されてしまう。このようなタイヤは、耐摩耗性及び制動性能に劣る。
トレッドの赤道領域の部分が大きな厚さを有するように構成されると、接地圧は一様となる。このタイヤでは、トレッドの偏摩耗が抑えられる上に、トレッドが制動性能に寄与しうる。このトレッドは、タイヤの質量に影響を与える。大きな質量を有するタイヤは、転がり抵抗の増加及び操縦安定性の低下を招来する。
上記公報のタイヤでは、補強体がショルダー領域を補強しうるので、一様な接地圧が得られうる。このタイヤでは、トレッドの偏摩耗が抑えられる上に、トレッドが制動性能に寄与しうる。しかし、このタイヤでは、この補強体がこの補強体に隣接するゴム部材から剥離する恐れがある。このようなタイヤの耐久性は、充分ではない。
本発明の目的は、制動性能に優れるタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、一対のビードと、両ビードの間に架け渡されたカーカスと、このタイヤのショルダー領域であって、かつこのカーカスの外側に位置している一対の複合体とを備えている。この複合体は、支持層と、2の被覆層とを備えている。この支持層は、両被覆層の間に位置している。この支持層は、短繊維を含んでいる。
好ましくは、このタイヤでは、上記複合体の厚さは、1.0mm以上3.0mm以下である。
好ましくは、このタイヤでは、上記被覆層の厚さは、0.3mm以上0.7mm以下である。
好ましくは、このタイヤでは、上記支持層の厚さは、0.5mm以上1.4mm以下である。
好ましくは、このタイヤでは、上記支持層の厚さは、上記被覆層の厚さよりも大きい。
好ましくは、このタイヤでは、上記被覆層の損失正接は、0.05以上0.07以下である。
好ましくは、このタイヤでは、上記支持層の硬度は、50以上70以下である。
好ましくは、このタイヤでは、上記支持層の短繊維は、配向している。
このタイヤでは、複合体は、短繊維を含む支持層と2の被覆層とを備えている。この複合体は、タイヤの質量増加を抑制しつつ効果的にタイヤの剛性に寄与しうる。このタイヤでは、一様な接地圧が得られうるので、トレッドの偏摩耗が抑えられる上に、このトレッドが制動性能に効果的に寄与しうる。このタイヤは、耐摩耗性及び制動性能に優れる。このタイヤでは、短繊維を含む支持層がコーナリングフォースの発生に寄与しうる。このタイヤは、操縦安定性に優れる。このタイヤでは、支持層が第一被覆層と第二被覆層との間に位置するように複合体が構成されているので、この複合体の、この複合体に隣接するタイヤの構成部材からの剥離が抑制されうる。このタイヤは、耐久性に優れる。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ2の一部が示された断面図である。この図1において、上下方向が半径方向であり、左右方向が軸方向であり、紙面との垂直方向が周方向である。このタイヤ2は、図1中の一点鎖線CLを中心としたほぼ左右対称の形状を呈する。この一点鎖線CLは、タイヤ2の赤道面を表す。このタイヤ2は、トレッド4、サイドウォール6、ビード8、カーカス10、ベルト12、バンド14、複合体16、インナーライナー18及びチェーファー20を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。本明細書では、このタイヤ2の赤道面の部分は赤道領域22と称される。このタイヤ2のトレッド4の端の近傍部分は、ショルダー領域24と称される。
トレッド4は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、トレッド面26を備えている。このトレッド面26は、路面と接地する。トレッド面26には、溝28が刻まれている。この溝28により、トレッドパターンが形成されている。トレッド4に溝28が刻まれなくてもよい。
サイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6は、架橋ゴムからなる。サイドウォール6は、撓みによって路面からの衝撃を吸収する。さらにサイドウォール6は、カーカス10の外傷を防止する。
ビード8は、サイドウォール6よりも半径方向略内側に位置している。ビード8は、コア30と、このコア30から半径方向外向きに延びるエイペックス32とを備えている。コア30は、リング状である。コア30は、複数本の非伸縮性ワイヤー(典型的にはスチール製ワイヤー)を含む。エイペックス32は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス32は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス10は、カーカスプライ34からなる。カーカスプライ34は、両側のビード8の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6の内側に沿っている。カーカスプライ34は、コア30の周りを、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。
図示されていないが、カーカスプライ34は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、通常は70°から90°である。換言すれば、このカーカス10はラジアル構造を有する。コードは、通常は有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。バイアス構造のカーカス10が採用されてもよい。
ベルト12は、カーカス10の半径方向外側に位置している。ベルト12は、カーカス10と積層されている。ベルト12は、カーカス10を補強する。ベルト12は、内側層36及び外側層38からなる。図示されていないが、内側層36及び外側層38のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、10°以上35°以下である。内側層36のコードの傾斜方向は、外側層38のコードの傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。
バンド14は、トレッド4の内側に位置している。バンド14は、ベルト12を覆っている。このバンド14は、ベルト12を拘束する。このバンド14は、フルバンド40と、このフルバンド40の半径方向内側に位置しており軸方向において離間して配置される一対のエッジバンド42とからなる。
図示されていないが、フルバンド40は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。フルバンド40は、いわゆるジョイントレス構造を有する。このコードによりベルト12が拘束されるので、ベルト12のリフティングが抑制される。コードは、通常は有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
図示されていないが、エッジバンド42は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは実質的に周方向に延びており、螺旋状に巻かれている。エッジバンド42は、いわゆるジョイントレス構造を有する。このコードによりベルト12が拘束されるので、ベルト12のリフティングが抑制される。コードは、通常は有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
複合体16は、ショルダー領域24に位置している。複合体16は、カーカス10の外側に位置している。左右の複合体16は、軸方向に離間して配置されている。この複合体16の軸方向内側の部分は、カーカス10とベルト12との間に位置している。図示されているように、この複合体16はカーカス10に沿っている。この複合体16は、カーカス10に積層されている。
このタイヤ2では、複合体16の、軸方向内側に位置する端44(内端)は、ベルト12の端46の軸方向内側に位置している。この内端44は、バンド14の端48の軸方向内側に位置している。このタイヤ2では、この内端44の部分はカーカス10とベルト12とに挟まれている。この複合体16の、軸方向外側に位置する端50(外端)は、ベルト12の端46の軸方向外側に位置している。この外端50は、バンド14の端48の軸方向外側に位置している。この外端50は、エイペックス32の先端52よりも半径方向外側に位置している。
図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。この図2には、複合体16及びカーカスプライ34の一部が示されている。この図2において、左右方向が周方向である。複合体16は、支持層54と、2の被覆層56とを備えている。この支持層54は、両被覆層56の間に位置している。本明細書では、カーカス10の側に位置する被覆層56が第一被覆層56aであり、ベルト12の側に位置する被覆層56が第二被覆層56bである。図示されているように、このタイヤ2では、第一被覆層56aはカーカスプライ34の外側に積層されている。この第一被覆層56aの外側に、支持層54が積層されている。この支持層54のさらに外側に、第二被覆層56bが積層されている。この第二被覆層56bのさらに外側に、サイドウォール6が積層されている。
支持層54は、短繊維を含むゴム組成物が架橋されて形成される。この短繊維は、支持層54を補強する。この短繊維としては、有機繊維が例示される。有機繊維としては、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びポリエステル繊維が例示される。支持層54が効果的に補強されうるという観点から、有機繊維としては、アラミド繊維が好ましい。なお、質量の軽量化及び低コスト化の観点から、この短繊維として、クラフト紙及び新聞古紙からなる原料紙が細片化されて叩解されることにより得られる紙繊維が用いられてもよい。
支持層54を構成するゴム組成物の基材ゴムとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリクロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びイソブチレン−イソプレン共重合体が例示される。汎用性及び加工性の観点から、この基材ゴムとしては、天然ゴム及びスチレン−ブタジエン共重合体が好ましい。損失正接が小さいという観点から、この基材ゴムとしては、天然ゴム及びポリブタジエンが好ましい。このタイヤ2では、この基材ゴムが天然ゴム及びポリブタジエンをブレンドすることにより構成されるのが、特に好ましい。この場合、このブレンドの質量比((天然ゴム)/(ポリブタジエン))は、20/80以上が好ましく、60/40以下であるのが好ましい。
支持層54が効果的に補強されうるという観点から、支持層54を構成するゴム組成物は充填剤としてのカーボンブラックを含むことができる。補強性の観点から、このカーボンブラックの配合量は、基材ゴム100質量部に対して、30質量部以上であるのが好ましい。良好な加工性が維持されうるという観点から、このカーボンブラックの配合量は、基材ゴム100質量部に対して、70質量部以下であるのが好ましい。
このタイヤ2では、支持層54を構成するゴム組成物に、カーボンブラック以外の他の充填剤が併用されてもよい。この他の充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミナ、クレー、タルク及び酸化マグネシウムが例示される。このゴム組成物は、軟化剤、粘着性付与剤、硫黄のような架橋剤、加硫促進剤、架橋助剤、老化防止剤等の薬品も含むことができる。タイヤ2の加工性及び性能が考慮されて、最適な薬品が最適な量でこのゴム組成物に配合される。
第一被覆層56aは、上記支持層54とは別のゴム組成物が架橋されて形成される。後述するが、この第一被覆層56aの損失正接は小さい。このタイヤ2では、この第一被覆層56aに短繊維は含まれない。
第一被覆層56aを構成するゴム組成物の基材ゴムとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリクロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びイソブチレン−イソプレン共重合体が例示される。汎用性及び加工性の観点から、この基材ゴムとしては、天然ゴム及びスチレン−ブタジエン共重合体が好ましい。損失正接が小さいという観点から、この基材ゴムとしては、天然ゴム及びポリブタジエンが好ましい。このタイヤ2では、この基材ゴムが天然ゴム及びポリブタジエンをブレンドすることにより構成されるのが、特に好ましい。この場合、このブレンドの質量比((天然ゴム)/(ポリブタジエン))は、20/80以上が好ましく、60/40以下であるのが好ましい。
加工性の観点から、第一被覆層56aを構成するゴム組成物は充填剤としてのカーボンブラックを含むことができる。この観点から、このカーボンブラックの配合量は、基材ゴム100質量部に対して、20質量部以上であるのが好ましい。小さな損失正接を有する第一被覆層56aが得られうるという観点から、このカーボンブラックの配合量は、基材ゴム100質量部に対して、30質量部以下であるのが好ましい。
このタイヤ2では、第一被覆層56aを構成するゴム組成物に、カーボンブラック以外の他の充填剤が併用されてもよい。この他の充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミナ、クレー、タルク及び酸化マグネシウムが例示される。このゴム組成物は、軟化剤、粘着性付与剤、硫黄のような架橋剤、加硫促進剤、架橋助剤、老化防止剤等の薬品も含むことができる。タイヤ2の加工性及び性能が考慮されて、最適な薬品が最適な量でこのゴム組成物に配合されている。
第二被覆層56bは、上記支持層54とは別のゴム組成物が架橋されて形成される。後述するが、この第二被覆層56bの損失正接は小さい。このタイヤ2では、この第二被覆層56bに短繊維は含まれない。このタイヤ2では、第二被覆層56bは、第一被覆層56aを構成するゴム組成物と同じゴム組成物が用いられうる。
第二被覆層56bを構成するゴム組成物の基材ゴムとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリクロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びイソブチレン−イソプレン共重合体が例示される。汎用性及び加工性の観点から、この基材ゴムとしては、天然ゴム及びスチレン−ブタジエン共重合体が好ましい。損失正接が小さいという観点から、この基材ゴムとしては、天然ゴム及びポリブタジエンが好ましい。このタイヤ2では、この基材ゴムが天然ゴム及びポリブタジエンをブレンドすることにより構成されるのが、特に好ましい。この場合、このブレンドの質量比((天然ゴム)/(ポリブタジエン))は、20/80以上が好ましく、60/40以下であるのが好ましい。
加工性の観点から、第二被覆層56bを構成するゴム組成物は充填剤としてのカーボンブラックを含むことができる。この観点から、このカーボンブラックの配合量は、基材ゴム100質量部に対して、20質量部以上であるのが好ましい。小さな損失正接を有する第二被覆層56bが得られうるという観点から、このカーボンブラックの配合量は、基材ゴム100質量部に対して、30質量部以下であるのが好ましい。
このタイヤ2では、第二被覆層56bを構成するゴム組成物に、カーボンブラック以外の他の充填剤が併用されてもよい。この他の充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミナ、クレー、タルク及び酸化マグネシウムが例示される。このゴム組成物は、軟化剤、粘着性付与剤、硫黄などの架橋剤、加硫促進剤、架橋助剤、老化防止剤等の薬品も含むことができる。タイヤ2の加工性及び性能が考慮されて、最適な薬品が最適な量でこのゴム組成物に配合されている。
図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。この図3には、支持層54の一部が示されている。この図3において、上下方向が軸方向である。支持層54は、多数の短繊維58と、マトリクス60とで構成される。図示されているように、これらの短繊維58は、マトリクス60に分散している。これらの短繊維58の長手方向は、略軸方向に沿っている。
図4は、図3の支持層54の短繊維58が示された模式図である。図4において、上下方向が軸方向である。図4において矢印θで示されているのは、短繊維58の角度である。角度θは、直線S1と直線S2とのなす角度である。直線S1は、軸方向に延びている。直線S2は、短繊維58の一端62及び他端64を通過している。この直線S2は、この短繊維58の長手方向を表している。角度θは、−90°以上90°以下である。この紙面において、直線S2は右下がりに延在している。この場合、この角度θは正の値で示される。この直線S2が左下がりに延在している場合、この角度θは負の値で示される。
本発明では、支持層54に含まれる短繊維58の配向方向は、この配向方向が軸方向に対してなす角度(以下、配向角度)で示される。この配向角度は上、記角度θを用いて以下の方法で得られうる。まず、図3で示した支持層54の断面を含んだ試料が、タイヤ2から切り出される。次に、この断面が、実体顕微鏡で観察される。この断面観察において、短繊維58の角度θが計測される。無作為に抽出された100本の短繊維58について、この角度θが計測される。次に、この角度と頻度との関係(度数分布)が求められる。この関係において、最大ピークを示す角度が、この短繊維58の配向角度とされる。
短繊維58が軸方向に配向している支持層54は、タイヤ2の横剛性の向上に寄与しうる。この観点から、上記配向角度の絶対値は45°以下であるのが好ましく、30°以下がより好ましく、15°以下がさらに好ましい。特に、好ましくは、この配向角度は0°である。
上記度数分布関数において、最大ピークの半値幅は短繊維58の配向性を表す。短繊維58の配向性が高まると、この半値幅は狭くなる。短繊維58の配向性が高められることにより、短繊維58が効果的に支持層54を補強しうる。この観点から、この半値幅は小さいことが好ましい。このタイヤ2では、この半値幅は20°以下が好ましく、10°以下がより好ましく、5°以下が特に好ましい。
前述したように、このタイヤ2では、支持層54は短繊維58を含んでいる。この短繊維58は、支持層54を補強する。この支持層54がタイヤ2の剛性に寄与しうるので、このタイヤ2は旋回時に大きなコーナリングフォースを発生しうる。このタイヤ2は、安定に旋回しうる。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。
このタイヤ2では、短繊維58は軸方向に配向している。この支持層54は、タイヤ2の横剛性の向上に効果的に寄与しうる。このタイヤ2は、旋回時に大きなコーナリングフォースが発生しうる。このタイヤ2は、安定に旋回しうる。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。
図2に示されているように、第一被覆層56aは支持層54とカーカス10との間に介在している。この第一被覆層56aは、複合体16とカーカス10との剪断による剥離の防止に寄与しうる。第二被覆層56bは、支持層54とサイドウォール6との間に介在している。この第二被覆層56bは、複合体16とサイドウォール6との剪断による剥離の防止に寄与しうる。このタイヤ2では、複合体16が支持層54が第一被覆層56aと第二被覆層56bとの間に位置するように構成されているので、この複合体16と、この複合体16に隣接するタイヤ2の構成部材との剥離が抑制されうる。このタイヤ2は、耐久性に優れる。
前述したように、複合体16はショルダー領域24に位置している。この複合体16は、ショルダー領域24を効果的に補強しうる。この補強により、タイヤ2の形状が適切に維持されうる。このタイヤ2では、ショルダー領域24の接地圧と赤道領域22の接地圧とが同等である。このタイヤ2の接地圧は、一様である。このタイヤ2では、トレッド4が制動性能に充分に寄与しうる。このタイヤ2は、制動性能に優れる。その接地圧が一様であるタイヤ2では、トレッド4の偏摩耗が抑えられる。このタイヤ2は、耐摩耗性に優れる。
このタイヤ2では、上記支持層54の厚さは上記第一被覆層56aの厚さよりも大きい。この支持層54の厚さは上記第二被覆層56bの厚さよりも大きい。この支持層54は、タイヤ2の横剛性に効果的に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。
前述したように、補強性の観点から、支持層54はカーボンブラックを含むことができる。このタイヤ2では、このカーボンブラックが支持層54を構成するマトリクス60を補強しうるので、短繊維58とマトリクス60との剥離が抑制されうる。この支持層54は、タイヤ2の耐久性を阻害しない。
このタイヤ2では、支持層54を軸方向に変形させて得られる複素弾性率E*rの、この支持層54を軸方向に対して垂直な方向に変形させて得られる複素弾性率E*cに対する比は、10以上20以下であるのが好ましい。この比が10以上に設定されることにより、支持層54がタイヤ2の横剛性に効果的に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。この比が20以下に設定されることにより、タイヤ2の剛性が適切に維持されうる。このタイヤ2では、乗り心地が維持されうる。
本発明では、支持層54の複素弾性率E*r、複素弾性率E*c及び損失正接並びに第一被覆層56aの損失正接及び第二被覆層56bの損失正接は、「JIS−K 6394」の規定に準拠して、粘弾性スペクトロメーター(岩本製作所社製)を用いて、下記に示される条件で計測される。
初期歪み:10%
振幅:±1%
周波数:10Hz
変形モード:引張
測定温度:70℃
粘弾性スペクトロメーターによる測定に供される試験片は板状であり、その長さは45mmであり、幅は4mmであり、厚さは2mmである。この試験片の両端部がチャックされて、測定がなされる。試験片の変位部分の長さは、30mmである。この試験片は、タイヤ2から切り出される。なお、複素弾性率E*rの計測には、その長さ方向が軸方向に一致するようにタイヤ2から切り出された試験片が用いられる。複素弾性率E*cの計測には、その長さ方向が軸方向に対して垂直な方向に一致するようにタイヤ2から切り出された試験片が用いられる。切り出しが困難な場合は、温度が160℃である金型内で支持層54を構成するゴム組成物が10分間保持されることで得られるスラブから、この試験片が打ち抜かれる。
過大な損失正接は、変形に伴う発熱を促す。この発熱は、耐久性に影響を与えつつ、転がり抵抗を増大させる。この観点から、支持層54の損失正接は0.013以下であるのが好ましい。変形に伴う発熱は抑制されるのが好ましいので、この支持層54の損失正接は小さいほど好ましい。充分な補強効果が維持されつつ変形に伴う発熱が抑制されうるという観点から、この支持層54の損失正接は0以上であるのが好ましい。なお、この支持層54の損失正接は、上記複素弾性率E*rの計測時に得られる損失正接で示される。
このタイヤ2では、第一被覆層56aの損失正接は小さいので、この第一被覆層56aの、変形に伴う発熱が抑制されうる。この第一被覆層56aは、タイヤ2の耐久性を阻害しない。この第一被覆層56aが転がり抵抗を低減しうるので、このタイヤ2は車両の燃費性能に寄与しうる。
過小な損失正接は、タイヤ2の制動性能を阻害する。この観点から、このタイヤ2では、第一被覆層56aの損失正接は0.05以上であるのが好ましい。この第一被覆層56aの耐久性が維持されつつ、この第一被覆層56aが転がり抵抗の低減に寄与しうるという観点から、この損失正接は0.07以下であるのが好ましい。
このタイヤ2では、第二被覆層56bの損失正接は小さいので、この第二被覆層56bの、変形に伴う発熱が抑制されうる。この第二被覆層56bは、タイヤ2の耐久性を阻害しない。この第二被覆層56bが転がり抵抗を低減しうるので、このタイヤ2は車両の燃費性能に寄与しうる。
過小な損失正接は、タイヤ2の制動性能を阻害する。この観点から、このタイヤ2では、第二被覆層56bの損失正接は0.05以上であるのが好ましい。この第二被覆層56bの耐久性が維持されつつ、この第二被覆層56bが転がり抵抗の低減に寄与しうるという観点から、この損失正接は0.07以下であるのが好ましい。
このタイヤ2では、支持層54の硬度は50以上70以下であるのが好ましい。この硬度が50以上に設定されることにより、この支持層54を備える複合体16がショルダー領域24を効果的に補強しうる。このタイヤ2では、トレッド4が制動性能に充分に寄与しうる上に、トレッド4の偏摩耗が抑えられる。複合体16がコーナリングフォースの発生に寄与しうるので、このタイヤ2は操縦安定性に優れる。この観点から、この硬度は55以上がより好ましい。この硬度が70以下に設定されることにより、タイヤ2の剛性が適切に維持されうる。このタイヤ2は、乗り心地に優れる。この観点から、この硬度は65以下がより好ましい。
本発明において硬度は、JIS−K6253に準じて、タイプAのデュロメータによって測定される。この硬度は、温度が23℃である条件下で測定される。なお、この測定には、支持層54を構成するゴム組成物が架橋されることにより形成される試験片が用いられる。この試験片は、温度が160℃である金型内でゴム組成物が10分間保持されることで、得られる。後述する、第一被覆層56a及び第二被覆層56bの硬度も同様にして測定される。
このタイヤ2では、第一被覆層56aの硬度は50以上70以下であるのが好ましい。この硬度が50以上に設定されることにより、この第一被覆層56aを備える複合体16がショルダー領域24を効果的に補強しうる。このタイヤ2では、トレッド4が制動性能に充分に寄与しうる上に、トレッド4の偏摩耗が抑えられる。複合体16がコーナリングフォースの発生に寄与しうるので、このタイヤ2は操縦安定性に優れる。この観点から、この硬度は55以上がより好ましい。この硬度が70以下に設定されることにより、この第一被覆層56aが複合体16とカーカス10との剪断による剥離の防止に効果的に寄与しうる。このタイヤ2は、耐久性に優れる。剛性が適切に維持されるので、このタイヤ2は乗り心地に優れる。この観点から、この硬度は65以下がより好ましい。
このタイヤ2では、第二被覆層56bの硬度は50以上70以下であるのが好ましい。この硬度が50以上に設定されることにより、この第二被覆層56bを備える複合体16がショルダー領域24を効果的に補強しうる。このタイヤ2では、トレッド4が制動性能に充分に寄与しうる上に、トレッド4の偏摩耗が抑えられる。複合体16がコーナリングフォースの発生に寄与しうるので、このタイヤ2は操縦安定性に優れる。この観点から、この硬度は55以上がより好ましい。この硬度が70以下に設定されることにより、この第二被覆層56bが複合体16とカーカス10との剪断による剥離の防止に効果的に寄与しうる。このタイヤ2は、耐久性に優れる。剛性が適切に維持されるので、このタイヤ2は乗り心地に優れる。この観点から、この硬度は65以下がより好ましい。
図1において、実線BBLはビード8ベースラインである。このビード8ベースラインは、タイヤ22が装着されるリムのリム径(JATMA参照)を規定する線である。両矢印線WAは、赤道面からベルト12の端46までの軸方向幅である。両矢印線WBは、赤道面から複合体16の内端44までの軸方向幅である。両矢印線HAは、ビード8ベースラインから赤道面までの半径方向高さである。両矢印線HBは、ビード8ベースラインから複合体16の外端50までの半径方向高さである。
このタイヤ2では、幅WBの幅WAに対する比率は70%以上90%以下であるのが好ましい。この比率が70%以上に設定されることにより、複合体16による剛性過大が抑制されるので、乗り心地が維持されうる。この観点から、この比率は75%以上がより好ましい。この比率が90%以下に設定されることにより、この複合体16がショルダー領域24を効果的に補強しうる。このタイヤ2では、トレッド4が制動性能に充分に寄与しうる上に、トレッド4の偏摩耗が抑えられる。複合体16がコーナリングフォースの発生に寄与しうるので、このタイヤ2は操縦安定性に優れる。この観点から、この比率は85%以下がより好ましい。
このタイヤ2では、高さHBの高さHAに対する比率は50%以上70%以下であるのが好ましい。この比率が50%以上に設定されることにより、複合体16による剛性過大が抑制されるので、乗り心地が維持されうる。この観点から、この比率は55%以上がより好ましい。この比率が70%以下に設定されることにより、この複合体16がショルダー領域24を効果的に補強しうる。このタイヤ2では、トレッド4が制動性能に充分に寄与しうる上に、トレッド4の偏摩耗が抑えられる。この複合体16がコーナリングフォースの発生に寄与しうるので、このタイヤ2は操縦安定性に優れる。この観点から、この比率は65%以下がより好ましい。
図2において、両矢印線TAは複合体16の厚さを表している。両矢印線TBは、支持層54の厚さである。両矢印線TC1は、第一被覆層56aの厚さを表している。両矢印線TC2は、第二被覆層56bの厚さを表している。
このタイヤ2では、厚さTAは1.0mm以上3.0mm以下であるのが好ましい。この厚さが1.0mm以上に設定されることにより、この複合体16がショルダー領域24を効果的に補強しうる。このタイヤ2では、トレッド4が制動性能に充分に寄与しうる上に、トレッド4の偏摩耗が抑えられる。この複合体16がコーナリングフォースの発生に寄与しうるので、このタイヤ2は操縦安定性に優れる。この観点から、この厚さは1.5mm以上がより好ましい。この厚さが3.0mm以下に設定されることにより、この複合体16による剛性過大が抑制されるので、乗り心地が維持されうる。この観点から、この厚さは2.5mm以下がより好ましい。
このタイヤ2では、厚さTBは0.5mm以上1.4mm以下であるのが好ましい。この厚さが0.5mm以上に設定されることにより、この支持層54がタイヤ2の横剛性を効果的に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。この観点から、この厚さは0.8mm以上がより好ましい。この厚さが1.4mm以下に設定されることにより、この支持層54による剛性過大が抑制されるので、乗り心地が維持されうる。この観点から、この厚さは1.1mm以下がより好ましい。
このタイヤ2では、厚さTC1は0.3mm以上0.7mm以下であるのが好ましい。この厚さが0.3mm以上に設定されることにより、第一被覆層56aが複合体16とカーカス10との剪断による剥離を防止しつつ転がり抵抗の低減に寄与しうる。この観点から、この厚さは0.4mm以上がより好ましい。この厚さが0.7mm以下に設定されることにより、この第一被覆層56aによる剛性過大が抑制されるので、乗り心地が維持されうる。この観点から、この厚さは0.6mm以下がより好ましい。
このタイヤ2では、厚さTC2は0.3mm以上0.7mm以下であるのが好ましい。この厚さが0.3mm以上に設定されることにより、第二被覆層56bが複合体16とカーカス10との剪断による剥離を防止しつつ転がり抵抗の低減に寄与しうる。この観点から、この厚さは0.4mm以上がより好ましい。この厚さが0.7mm以下に設定されることにより、この第二被覆層56bによる剛性過大が抑制されるので、乗り心地が維持されうる。この観点から、この厚さは0.6mm以下がより好ましい。
このタイヤ2では、支持層54に含まれる短繊維58の配合量は、基材ゴム100質量部に対して0.5質量部以上50質量部以下が好ましい。0.5質量部以上の短繊維58を含む支持層54は、タイヤ2の操縦安定性に寄与する。この観点から、短繊維58の量は3質量部以上がより好ましい。短繊維58の量が50質量部以下であるタイヤ2は、乗り心地に優れる。この観点から、配合量は20質量部以下がより好ましい。
このタイヤ2では、短繊維58が効果的に支持層54を補強しうるという観点から、短繊維58の平均長さL(図4参照)は、10μm以上が好ましい。平均長さLが10μm以上である短繊維58により、支持層54が十分に補強される。この観点から、平均長さLは50μm以上がより好ましく、100μm以上がさらに好ましく、300μm以上が特に好ましい。マトリクス60への分散性の観点から、平均長さLは1000μm以下が好ましく、800μm以下がより好ましく、700μm以下が特に好ましい。
短繊維58の平均直径Dは、0.05μm以上が好ましい。平均直径Dが0.05μm以上である短繊維58により、支持層54が十分に補強される。この観点から、平均直径Dは0.10μm以上がより好ましく、1μm以上がさらに好ましく、5μm以上が特に好ましい。マトリクス60への分散性の観点から、平均直径Dは50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、20μm以下が特に好ましい。
短繊維58のアスペクト比(L/D)は、10以上が好ましい。アスペクト比(L/D)が10以上である短繊維58により、支持層54が十分に補強される。この観点から、アスペクト比(L/D)は20以上がより好ましい。支持層54への分散性の観点から、アスペクト比(L/D)は300以下が好ましく、200以下がより好ましい。
本発明では、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。乗用車用タイヤ2の場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[ゴム組成物Cの調整]
40質量部の天然ゴム、60質量部のポリブタジエン及び25質量部のカーボンブラックを、密閉式混練機にて混練し、ゴム組成物Cを得た。天然ゴムは、「RSS#3」である。ポリブタジエンは、JSR株式会社製の「BR150B」である。カーボンブラックは、東海カーボン株式会社製の「シースト3」である。このゴム組成物Cが架橋されることにより得られる架橋ゴムの、硬度及び損失正接tanδが下記表1に示されている。この硬度は、その温度が23℃である条件下でタイプAのデュロメータによって測定される。損失正接は、その温度が70℃でありその振幅が±1%である条件下で測定されている。
[ゴム組成物A、B、D及びEの調整]
カーボンブラックの配合量を下記表1の通りとした他はゴム組成物Cと同様にして、ゴム組成物A、B、D及びEを得た。
Figure 2009154764
[ゴム組成物Rの調整]
40質量部の天然ゴム、60質量部のポリブタジエン、50質量部のカーボンブラック及び10質量部の短繊維を、密閉式混練機にて混練し、ゴム組成物Rを得た。天然ゴムは、「RSS#3」である。ポリブタジエンは、JSR株式会社製の「BR150B」である。カーボンブラックは、東海カーボン株式会社製の「シースト3」である。短繊維は、アラミド繊維である。この短繊維の平均長さLは500μであり、そのアスペクト比(L/D)は20である。このゴム組成物Rが架橋されることにより得られる架橋ゴムの、硬度及び損失正接tanδが下記表2に示されている。この硬度は、その温度が23℃である条件下でタイプAのデュロメータによって測定される。損失正接は、その温度が70℃でありその振幅が±1%である条件下で測定されている。
[ゴム組成物P、Q、S及びTの調整]
カーボンブラックの配合量を下記表2の通りとした他はゴム組成物Rと同様にして、ゴム組成物P、Q、S及びTを得た。
Figure 2009154764
[実施例1]
図1に示された基本構成を備え、下記表5に示された仕様を備えた実施例1の空気入りタイヤを得た。このタイヤサイズは、195/65R15である。複合体は、支持層と、第一被覆層と、第二被覆層とから構成されている。支持層は、ゴム組成物Rが架橋されて形成されている。この支持層は、第一被覆層と第二被覆層とに挟まれている。第一被覆層及び第二被覆層は、ゴム組成物Cが架橋されて形成されている。支持層を軸方向に変形させて得られる複素弾性率E*rの、この支持層を軸方向に対して垂直な方向に変形させて得られる複素弾性率E*cに対する比(E*r/E*c)は、15である。この支持層の厚さTBは、1mmである。この第一被覆層の厚さTC1は、0.5mmである。この第二被覆層の厚さTC2は、0.5mmである。
[実施例11から14]
厚さTC1及び厚さTC2を下記表5の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。
[実施例9から10及び15から16]
厚さTBを下記表4及び表5の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。
[実施例8]
厚さTB、厚さTC1及び厚さTC2を下記表4の通りとした他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。
[実施例6から7及び実施例17から18]
第一被覆層及び第二被覆層を構成するゴム組成物を下記表4及び表6の通りとした他は、実施例1と同様にして、タイヤを得た。
[実施例4から5及び実施例19から20]
支持層に含まれる短繊維の配向角度の調整により比(E*r/E*c)を変えた他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。
[実施例2から3及び21から22]
支持層を構成するゴム組成物を下記表3、表4及び表6の通りとした他は、実施例1と同様にして、タイヤを得た。
[比較例3]
複合体を、ゴム組成物Cからなる支持層のみで構成した他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。この複合体には、第一被覆層及び第二被覆層は設けられていない。なお、厚さTBは、2mmである。
[比較例4]
複合体を、ゴム組成物Rからなる支持層のみで構成した他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。この複合体には、第一被覆層及び第二被覆層は設けられていない。
[比較例5]
複合体を、ゴム組成物Pからなる支持層のみで構成した他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。この複合体には、第一被覆層及び第二被覆層は設けられていない。
[比較例6]
複合体を、ゴム組成物Rからなる支持層と、ゴム組成部Cからなる第二被覆層で構成した他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。この複合体には、カーカス側に設けられる第一被覆層が設けられていない。なお、厚さTC2は0.5mmであり、厚さTBは1.5mmである。
[比較例7]
複合体を、ゴム組成物Rからなる支持層と、ゴム組成部Cからなる第一被覆層で構成した他は実施例1と同様にして、タイヤを得た。この複合体には、ベルト側に設けられる第二被覆層が設けられていない。このタイヤでは、なお、厚さTBは0.5mmであり、厚さTC2は1.5mmである。
[比較例1]
複合体が設けられなかった他は実施例1と同等にして、タイヤを得た。この比較例1は、市販のタイヤである。
[比較例2]
複合体が設けられなかった他は実施例1と同等にして、タイヤを得た。このタイヤのトレッドは、小さな損失正接を有する架橋ゴムからなる。この比較例2は、市販の低燃費タイヤである。
[タイヤの質量評価]
試作タイヤの質量を計測し、この計測値に基づいて、評価を行った。この評価結果が、比較例1を100とした指数値で表されている。この値が大きいほど、タイヤ質量が大きいことが示される。この結果が、下記表3、表4、表5及び表6に示されている。
[タイヤの官能評価]
試作タイヤを、排気量が1800ccである乗用車(FF車)に装着した。なお、このタイヤの内圧を210kPaとした。ホイールのサイズは、15×6Jである。この乗用車を、アスファルト製路面の上で、走行テストを行い、操縦安定性、制動性能及び乗り心地についてドライバーによる官能評価を行った。この結果が、比較例1を100とした指数値で表されている。この値が大きいほど、良好であることが示される。この結果が、下記表3、表4、表5及び表6に示されている。
[転がり抵抗]
タイヤを正規リムに組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を200kPaとした。このタイヤを、転がり抵抗試験機に装着し、4.3kN(正規荷重の80%)の荷重をタイヤに負荷した。このタイヤを、80km/hの速度で走行させ、転がり抵抗を測定して、この測定値の逆数を得た。この逆数に基づいて、評価を行った。この結果が、比較例1を100とした指数値で表されている。この値が大きいほど、転がり抵抗が小さいことが示される。この結果が、下記表3、表4、表5及び表6に示されている。
[耐久性評価]
試作タイヤがドラム耐久試験機のリムに装着されて、JIS D 4230の規格に準拠して高速耐久性が評価された。この評価結果が、比較例1を100とした指数値で表されている。この値が大きいほど、良好であることが示される。この結果が、下記表3、表4、表5及び表6に示されている。
Figure 2009154764
Figure 2009154764
Figure 2009154764
Figure 2009154764
表3、表4、表5及び表6に示されるように、実施例のタイヤは、小さな転がり抵抗を有している上に、操縦安定性及び制動性能に優れる。さらに実施例のタイヤは、耐久性にも優れている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係るタイヤは、種々の車両に装着されうる。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。 図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。 図4は、図3の支持層の短繊維が示された模式図である。
符号の説明
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・ビード
10・・・カーカス
12・・・ベルト
14・・・バンド
16・・・複合体
18・・・インナーライナー
20・・・チェーファー
22・・・赤道領域
24・・・ショルダー領域
26・・・トレッド面
30・・・コア
32・・・エイペックス
34・・・カーカスプライ
36・・・内側層
38・・・外側層
40・・・フルバンド
42・・・エッジバンド
54・・・支持層
56、56a、56b・・・被覆層
58・・・短繊維
60・・・マトリクス

Claims (8)

  1. 一対のビードと、両ビードの間に架け渡されたカーカスと、このタイヤのショルダー領域であって、かつこのカーカスの外側に位置している一対の複合体とを備えており、
    この複合体が、支持層と、2の被覆層とを備えており、
    この支持層が、両被覆層の間に位置しており、
    この支持層が、短繊維を含んでいる空気入りタイヤ。
  2. 上記複合体の厚さが、1.0mm以上3.0mm以下である請求項1に記載のタイヤ。
  3. 上記被覆層の厚さが、0.3mm以上0.7mm以下である請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. 上記支持層の厚さが、0.5mm以上1.4mm以下である請求項1から3のいずれかに記載のタイヤ。
  5. 上記支持層の厚さが、上記被覆層の厚さよりも大きい請求項1から4のいずれかに記載のタイヤ。
  6. 上記被覆層の損失正接が、0.05以上0.07以下である請求項1から5のいずれかに記載のタイヤ。
  7. 上記支持層の硬度が、50以上70以下である請求項1から6のいずれかに記載のタイヤ。
  8. 上記支持層の短繊維が、配向している請求項1から7のいずれかに記載のタイヤ。
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