JP2009152177A - 燃料電池用バイポーラ金属セパレータおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ステンレス鋼などからなり且つ隣接し合う金属セパレータ同士を強固に且つ確実に接合した燃料電池用バイポーラ金属セパレータおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】ステンレス鋼(SUS316L)などからなり厚さが約0.1mmの鋼板P0における基板1の表・裏面4,5を脱脂を含めて洗浄する工程S1と、係る基板1の脱脂・洗浄された表・裏面4,5に酸処理を施して、不動態皮膜2を除去する工程S2と、上記基板1の不動態皮膜2が除去された表・裏面4,5に対し、Au層(貴金属の薄膜層)3を電解メッキなどにより、0.5〜60nmの厚みで被覆して金属セパレータ用素板P1を製造する工程S3と、係る素板P1における表面4に反応ガスの流路6をプレス成形して金属セパレータP2を得る工程S4と、一対の金属セパレータP2を対向させ隣接する裏面5同士の薄膜層3,3を半田などのロウ材を介してロウ付けする工程、を含む、燃料電池用バイポーラ金属セパレータP3の製造方法。
【選択図】 図4

Description

本発明は、隣接する一対の金属セパレータ同士を強固且つ確実に接合した燃料電池用金属バイポーラ金属セパレータおよびその製造方法に関する。
一般に、単位セルの燃料電池は、固体高分子膜およびその両面に触媒層を介して形成されたガス拡散層からなる膜電極接合体と、その両面に配置され且つ反応ガス流路を有する一対のセパレータとから構成されている。係るセパレータには、プレス成形性に優れた金属セパレータが検討されおり、例えば、耐食性に優れたステンレス鋼板をプレス成形したものが有力視されている。
例えば、スタック型燃料電池の気密性を高めるため、互いに隣接する単位燃料電池のアノードセパレータとカソードセパレータとを、両者の周縁部ごとの表面に予め窒化層を形成した後、係る周縁部同士間をレーザ溶接して、前記窒化層を平滑化する燃料電池スタック、および燃料電池用セパレータの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−73422号公報(第1〜28頁、図3,4)
しかしながら、ステンレス鋼からなる金属セパレータ同士をレーザ溶接する場合、予めそれらの表面にCr酸化物(例えば、Cr、Cr(OH)など)からなる極く薄い不動態皮膜が生成されているため、形成される溶接部にCr炭化物が析出することなどに起因して、隣接する金属セパレータ同士を接合した場合、接合前の耐食性を十分に維持することができない。更に、上記溶接部付近の耐食性が低下すると共に、レーザ溶接時の高熱によって、各金属セパレータに反りが生じ易くなる。しかも、係る反りを防ぐため、溶接カ所および溶接面積を増やすと、更に耐食性が低下すると共に、製作コストおよび時間が増加する、という問題もあった。
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、ステンレス鋼、Fe−Ni系合金、またはNi基合金からなり且つ隣接し合う一対の金属セパレータ同士を強固且つ確実に接合でき、安価に製造できる燃料電池用金属バイポーラ金属セパレータおよびにその製造方法を提供する、ことを課題とする。
課題を解決するための手段および発明の効果
本発明は、前記課題を解決するため、発明者らによる鋭意研究および実験などに基づいて得られたもので、ステンレス鋼などからなり且つ隣接し合う一対の金属セパレータ同士の接合を、前記不動態皮膜がなく且つ極薄の貴金属の薄膜層を被覆した表面同士間においてロウ付けする、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の燃料電池用バイポーラ金属セパレータ素板(請求項1)は、ステンレス鋼、Fe−Ni系合金、またはNi基合金からなり、表面および裏面を有し、且つ表面に反応ガスの流路が形成された基板において、表面の全体または少なくとも該表面における反応ガスの流路同士間の凸部の一部に貴金属の薄膜層が被覆され、裏面の全体または少なくとも該裏面におけるロウ付け部分を含む一部に、厚みが0.5〜60nmである貴金属の薄膜層が被覆された一対の燃料電池用金属セパレータと、該一対の燃料電池用金属セパレータが対向する裏面同士を接合するロウ付け部分と、を備え、係るロウ付け部分におけるロウ材の直下には、上記貴金属の薄膜層がなく、且つ係るロウ材と上記基板の表層とが直に接合された接合部分が含まれている、ことを特徴とする。
これによれば、表面に反応ガスの流路が形成され且つ該表面側に必要な導電性を付与された一対の前記金属セパレータの裏面同士を隣接させて、ハンダ付けなどのロウ付けする際に、前記極く薄い貴金属の薄膜層同士を対向させ、これらの間にロウ材を挟んでロウ付けすることで、一対の金属セパレータの基板を強固且つ確実に接合できる。従って、燃料電池に用いられるバイポーラ金属セパレータを容易且つ安価に提供可能となる。
前記金属セパレータの裏面に被覆する薄膜層の厚みを0.5nm未満とすると、実用的な表面処理技術では、厚みがバラ付くおそれが生じ、且つ部分的には不動態皮膜の生成を抑止できなくなるおそれがある。一方、上記薄膜層の厚みを60nm超とすると、後述するロウ付け時に、ロウ材中に貴金属の薄膜層が厚さ全体において拡散できず、基板の裏面に一部の薄膜層が残留して、接合強度にバラツキが生じる。そのため、裏面側における貴金属の薄膜層の厚みを前記範囲とした。
尚、前記基板となるステンレス鋼には、オーステナイト系、オーステナイト・フェライト系、析出硬化系のステンレス鋼が含まれ、オーステナイト系のステンレス鋼は、例えば、SUS316L、SUS304、SUS321などである。
一方、前記基板となるFe−Ni系合金には、Fe−43質量%Ni−23質量%Cr−2.7質量%Mo(例えば、INCOLOY825)などが含まれる。更に、前記Ni基合金には、61.6質量%Ni−21.9質量%Cr−8.9質量%Mo−3.8質量%Fe−3.6質量%Nb(例えば、INCONEL625)などが含まれる。
また、前記貴金属には、Au、Pt、Pd、またはRuの何れか、あるいはこれらの何れかをベースとする合金が含まれる。
更に、前記薄膜層には、電解メッキによるメッキ層、あるいはスパッタリングによるスパッタ層などが含まれる。
また、前記基板の表面の一部とは、追って電極と接触する反応ガスの流路間の凸部の頂面全体、あるいは該凸部の頂面の一部分で且つ導電性が確保される面積を有する部分を指す。
更に、前記基板の裏面の一部とは、ロウ付けされた前記接合部を含む裏面の一部分を指す。
また、前記接合部分は、ロウ付け後のロウ材と基板との界面全体(100%)のほか、係るロウ付けされた界面のうち、少なくとも面積率で30%以上、望ましくは40%以上、より望ましくは50%以上でロウ材と基板とが直に接合されている部位を指す。
更に、前記バイポーラ金属セパレータにおいて、ロウ付けされた一対の基板の裏面には、前記ロウ付けされた接合部分以外の全面またはその一部に貴金属の薄膜層が被覆(残留)していても良い。
加えて、前記一対の金属セパレータ間に挟まれ且つそれらの裏面側の前記接合部を含む凸部間の凹部同士からなる空間は、追って形成されるスタック型燃料電池における冷却水などの循環路に活用される。
また、本発明には、前記基板の裏面に被覆される貴金属の薄膜層の厚みは、1〜20nmである、燃料電池用バイポーラ金属セパレータ(請求項2)も含まれる。
これによれば、前記金属セパレータの基板の裏面に安定した厚みの薄膜層として被覆できると共に、ロウ付け時に当該ロウ材中に、貴金属の薄膜層を厚み全体において確実に拡散させることが可能となる。
更に、本発明には、前記ロウ付け部分のロウ材と前記基板の表層とが直に接合された接合部分は、前記ロウ材と基板との界面における面積の少なくとも30%以上である、燃料電池用バイポーラ金属セパレータ素板(請求項3)も含まれる。
これによれば、基板の裏面の表層とロウ材との界面のうち、少なくとも30%以上の面積率で両者が直にロウ付けにて接合され、残部には貴金属の薄膜層が存在している。即ち、一対の金属セパレータを、それぞれの貴金属の薄膜層同士を臨接して配置し、これらの間に挟んだロウ材でロウ付けした際に、例えば、Auメッキ層からなる極薄の薄膜層のAu原子がロウ材中にほとんど拡散される部分が生じると共に、当該ロウ材と各基板とを直にロウ付けできる。従って、一対の金属セパレータが強固にロウ付けされたバイポーラ金属セパレータを、確実且つ安価に提供することが可能となる。
尚、前記基板とロウ材とが直にロウ付けされる接合部分は、望ましくは両者の界面の40%以上、より望ましくは50%以上である。
一方、本発明による第1の燃料電池用バイポーラ金属セパレータの製造方法(請求項4)は、ステンレス鋼、Fe−Ni系合金、またはNi基合金からなる基板において、追って反応ガスの流路が形成される表面の全体またはその一部、および追って前記反応ガスの流路が形成されない裏面の全体またはその一部を洗浄する工程と、上記基板の洗浄された表・裏面の全体またはこれらの一部を酸処理して、不動態皮膜を除去する工程と、上記基板の不動態皮膜が除去された表・裏面の全体またはこれらの一部に対し、貴金属の薄膜層を上記基板に直に被覆する工程と、上記貴金属の薄膜層が被覆された基板をプレス成形して、係る基板の表面に反応ガスの流路を形成する燃料電池用金属セパレータを成形する工程と、一対の前記燃料電池用金属セパレータの裏面同士を対向させ、係る裏面間で隣接する貴金属の薄膜層を含む部分同士間にロウ材を配置する工程と、係るロウ材をその融点よりも高い温度に加熱して、該ロウ材に接する貴金属の薄膜層を拡散吸収し、且つ当該ロウ材と隣接する一対の基板とを直にロウ付けする工程と、を含む、ことを特徴とする。
これによれば、前記基板における裏面側の表層と貴金属の薄膜層との間には、前記不動態皮膜がなく、上記基板と薄膜層とが直に接する部分が含まれている。このため、プレス成形された一対の金属セパレータをロウ付けする際に、反応ガス流路が形成されていない裏面に被覆された極く薄い貴金属の薄膜層同士を隣接させ、これらの間にロウ材を挟み、比較的低温度でロウ付けすることで、金属セパレータ同士を強固且つ確実に接合できる。従って、燃料電池に用いられ、反りが少ないバイポーラ金属セパレータを容易且つ安価に提供することが可能となる。
尚、前記洗浄には、脱脂処理も含まれている。また、前記不動態皮膜は、Cr酸化物(例えば、Cr、Cr(OH)など)である。更に、前記基板の裏面側に被覆する貴金属の薄膜層の厚みは、望ましくは0.5〜60nm、より望ましくは1〜20nm、更に望ましくは3〜10nmである。また、前記ロウ付けには、ハンダ(半田)付けも含まれる。
加えて、前記洗浄、酸処理、および貴金属の薄膜層を被覆する3つの工程と、プレスする工程とは、後者を先に行った後で、前者を行う順序としても良い。
更に、本発明による第2の燃料電池用バイポーラ金属セパレータの製造方法(請求項5)は、ステンレス鋼、Fe−Ni系合金、またはNi基合金からなる基板において、追って反応ガスの流路が形成される表面の全体またはその一部、および追って前記反応ガスの流路が形成されない裏面の全体またはその一部を洗浄する工程と、上記基板の洗浄された表・裏面の全体またはこれらの一部に対しイオンビームを照射して不動皮態膜を除去する工程と、上記基板の不動皮態膜が除去された表・裏面の全体またはこれらの一部に対し、貴金属をスパッタリングして、上記基板に直に貴金属の薄膜層を被覆する工程と、上記貴金属の薄膜層が被覆された基板をプレス成形して、係る基板の表面に反応ガスの流路を形成する燃料電池用金属セパレータを成形する工程と、一対の上記燃料電池用金属セパレータの裏面同士を対向させ、係る裏面間で隣接する貴金属の薄膜層を含む部分同士間にロウ材を配置する工程と、上記ロウ材をその融点よりも高い温度に加熱して、該ロウ材に接する貴金属の薄膜層を拡散吸収し、且つ当該ロウ材と隣接する一対の基板とを直にロウ付けする工程と、を含む、ことを特徴とする。
これによれば、前記基板における裏面側の表層と貴金属の薄膜層との間には、前記不動態皮膜がなく、上記基板と薄膜層とが直に接する部分が含まれている。このため、プレス成形して得られる一対の金属セパレータを隣接させ且つロウ付けする際に、前記貴金属の薄膜同士を対向・接近させ、これらの間にロウ材を挟み、比較的低温度でロウ付けすることで、係るロウ材を介して金属セパレータ同士を強固且つ確実にロウ付けできる。しかも、前記イオンビームを照射するドライエッチング工程とスパッタリング工程とは、同じスパッタ装置内で連続して行えるので、前記第1の製造方法よりも実質的少ない工程により、燃料電池に用いるバイポーラ金属セパレータを反りを少なくして容易且つ安価に製造することが可能となる。
尚、前記洗浄、ドライエッチング、およびスパッタリングの3工程と、プレスする工程とは、プレスを先に行った後で、上記3工程を行う順序としても良い。
以下において、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の燃料電池用バイポーラ金属セパレータに用いる一形態の燃料電池用金属セパレータP2を示し、その表面4と直交する視覚に沿った正面図である。図2は、図1中のX−X線の矢視に沿った断面図、図3は、図1中のY−Y線の矢視に沿った断面図である。
燃料電池用金属セパレータ(以下、単に金属セパレータと言う)P2は、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼(例えば、SUS316L)からなり板厚が約0.1mmの薄板をプレス成形したもので、図1〜図3に示すように、ほぼ正方形を呈する基板1と、その表面4と、裏面5と、を備えている。尚、係るセパレータP2の素材は、Fe−Ni系合金あるいはNi基合金でも良い。
金属セパレータP2の表面4におけるほぼ中央部には、複数の反応ガスの流路6、これらの間を区画する複数の凸部7、各流路6の両端に位置してほぼ長方形に凹んだ一対のヘッダー部10,11、一方のヘッダー部10の一端に連通し且つ中央に供給孔13を開設したガス供給部12、および他方のヘッダー部11の一端に連通し且つ中央に排出孔15を開設したガス排出部14が設けられている。
一方、金属セパレータP2の裏面5におけるほぼ中央部には、前記各凸部7および各流路6の裏返し部分である複数の凹部8および凸部9が位置している。
図1〜図3に示すように、金属セパレータP2の表面4における外周側には、幅の狭い周縁18、その内側の全周に沿って隣接する凹部17、およびその内側の全周に沿って隣接する幅の広い凸部16が形成され、係る凸部16に囲まれて、前記流路6、凸部7、ヘッダー部10,11、ガス供給部12、およびガス排出部14が位置している。
一方、金属セパレータP2の裏面5における外周側には、前記周縁18と、前記凹部17および凸部16の裏返し部分である凸部および凹部が形成され、これらに囲まれて、前記凹部8および凸部9などが位置している。
図1,図2に示すように、個々の反応ガスの流路6は、平面視でほぼ細長いN字形を呈し、その両側に位置する凸部7は、それぞれ平面視が逆向きのほぼ細長いN字形を呈している。また、各流路6の中間には、平面視がほぼU字形である一対のUターン部uが位置している。尚、上記流路6を流れる反応ガスは、水素などの燃料ガス、または空気などの酸化剤ガスである。
図1中の一点鎖線部分および図2中の一点鎖線部分Z1の模式的な部分拡大断面図で示すように、金属セパレータP2の表面4全体および裏面5全体には、前記ステンレス鋼またはFe−Ni系合金からなる基板1の両面全体に、それぞれ0.5〜60nmの厚みでAu層(貴金属の薄膜層)3が被覆されている。図2中で示すように、基板1と各Au層3との間には、通常、ステンレス鋼材などの表面に生成されるCr酸化物からなる不動態皮膜がなく、基板1と各Au層3とが直に接触している。
尚、図2中の一点鎖線部分Z2の模式的な部分拡大断面図で示すように、Au層3は、金属セパレータP2の表面4において、少なくとも、前記反応ガスの流路6を区画する凸部7の頂面全体のみ(表面の一部)、あるいは係る頂面の一部分のみ(表面の一部)に被覆した形態とし、裏面5のうち、各流路6の反対側に位置する凸部9の頂面全体のみ(裏面の一部)としたり、係る頂面で且つ後述するロウ付け部を含む一部分(裏面の一部)のみに被覆した形態としても良い。係る一部に被覆する形態の場合、Au層3が被覆された面では、該Au層3と基板1とが直に接触しているが、それ以外の面では基板1の表層に次述する不動態皮膜が生成されている。
ここで、本発明の燃料電池用バイポーラ金属セパレータP3を得るための第1および第2の製造方法を、図4〜図9に沿って説明する。尚、図4,図5中の金属セパレータP2は、若干簡略化して図示されている。
図4は、第1の製造方法の前段階に関する。図4中の最上端における左右の一点鎖線の各枠内で模式的に示すように、ステンレス鋼(例えば、SUS316L)あるいはFe−Ni系合金(例えば、INCOLOY825)からなる厚みが約0.1mmの素鋼板P0は、所定量のCrおよびNiなどを含む基板1であり、その表・裏面4,5全体には、厚みが数nm程度のCr酸化物(例えば、Cr、Cr(OH)など)からなる不動態皮膜2が形成されている。
先ず、上記素鋼板P0を界面活性剤入りの洗浄水や純水中で洗浄して、表・裏面に付着した塵埃類を除去し、更に水酸化ナトリウム水溶液中、あるいはアセトンなどの有機溶液中に浸漬して、その表・裏面4,5に付着した油脂類を除去する脱脂する洗浄工程(S1)を行う。
次に、洗浄された前記素鋼板P0を、混酸(主に硫酸、硝酸、塩酸の混合液)、塩酸、または硫酸中に浸漬する酸処理を施す工程(S2)を行う。その結果、図4中の左側の枠内に示すように、表・裏面4,5の全体から不動態皮膜2が除去された基板1のみとなる。尚、図4中の右側の枠内に示すように、マスキングによる酸洗処理を施すことで、表・裏面4,5の一部から不動態皮膜2が除去された基板1としても良い。
次いで、係る基板1の表・裏面4,5全体、または一部に対し、電解Auメッキを施し、Auメッキ層(貴金属の薄膜層)3を被覆する工程(S3)を行う。その結果、図4中の一点鎖線の各枠内および一点鎖線部分U1,U2で示すように、基板1の表・裏面4,5の全体、またはそれらの一部に、厚みが0.5〜60nmのAuメッキ層3が被覆された金属セパレータ素板P1が得られる。
尚、前記酸処理の工程(S2)からAuメッキ層3を被覆する工程(S3)までの作業は、アルゴンまたは窒素などの非酸化性雰囲気中で行われる。また、前記基板1の表面4および裏面5の一部のみにAuメッキ層3を被覆する場合には、表面4および裏面5における他の面をマスキングした状態で、前記電解Auスメッキなどを行う。
更に、表・裏面4,5にAuメッキ層3が被覆された金属セパレータ素板P1を、図示しない一対のプレス型間に挿入してプレス成形する工程(S4)を行う。その結果、図4中の最下端に示すように、表面4のほぼ中央部に反応ガスの流路6、凸部7、およびUターン部uなどが形成され、裏面5のほぼ中央部に凹部8や凸部9などが形成された前記同様の金属セパレータP2が形成される。
図5は、本発明の燃料電池用バイポーラ金属セパレータP3を得るための第2の製造方法における前段階に関する。
図5中の最上段に示すように、素鋼板P0を、界面活性剤入り洗浄液に接触させ、更に水酸化ナトリウム水溶液、あるいはアセトン中に浸漬して、表・裏面4,5を脱脂および洗浄し、表層に付着していた汚れや油脂類などを除去する洗浄工程(S1)を行う。
次いで、表・裏面4,5が洗浄された素鋼板P0を、高真空のスパッタ装置内に搬入し、Arなどのイオンガスによるイオンビームを照射して、図5中の二段目の左右の各枠内に示すように、表・裏面4,5の全体または一部に形成されている不動態皮膜2を、所要の厚み(例えば、約20nm)で除去するドライエッチング工程(S5)を行う。
引き続き、ドライエッチング直後の素鋼板P0の表・裏面4,5の全体、あるいはそれらの一部に対し、前記スパッタ装置内において、ターゲットとして配置したAu(貴金属)を蒸着させるスパッタリングを施す工程(S6)を行う。その結果、図5中の三段目の左右の各枠内に示すように、基板1の表・裏面4,5の全面、またはそれらの一部に、厚みが0.5〜60nmであるAuスパッタ層(貴金属の薄膜層)3が直に被覆された金属セパレータ素板P1が得られる。
そして、基板1の表・裏面4,5の全面、あるいはそれらの一部にAuスパッタ層3が被覆された金属セパレータ素板P1に対し、前記同様のプレス工程(S4)を施す。その結果、図5中の最下段に示すように、前記同様の金属セパレータP2が得られる。
図6〜図8は、本発明の第1および第2の製造方法に共通するバイポーラ金属セパレータP3の製造方法の後段階に関する。
先ず、図6に示すように、一対の金属セパレータP2を、それらの前記流路6が形成されていない裏面5,5が対向するように接近させる。予め、一方の金属セパレータP2の裏面5における凸部9の頂面や、ヘッダー部10の裏面には、ペースト状の半田(ロウ材)Rが線状、点状、あるいは面状に塗布されている。
尚、上記半田(ロウ材)Rは、前記Au(貴金属)の薄膜層3の上に位置している。また、本発明に用いるロウ材Rには、上記半田(Pb−Sn)に替えて、Sn−Ag系、Sn−Cu系、Sn−Ag−Cu系、Sn−Ag−Bi系、Sn−Bi系、Sn−Zn−Bi系などの低融点合金からなるペースト状あるいはプリフォーム材を用いても良い。
図6中の一点鎖線部分Vを拡大した図7の左側の部分拡大断面図で示すように、ペースト状の前記半田Rを、一対の金属セパレータP2における各裏面5の全体に被覆されたAuの薄膜層(Auメッキ層またはAuスパッタ層)3,3間に挟むように配置する。係る状態で、一対の金属セパレータP2を拘束し、約200℃で数秒間加熱した。
その結果、図7中で白抜きの矢印の右側に示すように、半田Rは、一旦溶融した後、凝固して圧縮される。同時に、上記加熱によってAuの薄膜層3中のAu原子が、隣接する半田R中に拡散するため、凝固後の半田Rは、一対の金属セパレータP2の各基板1と直にロウ付け(接合)された。
一方、図8の左側の部分拡大断面図で示するように、ペースト状の前記半田Rを、一対の金属セパレータP2における各裏面5の一部に被覆されたAuの薄膜層3,3間に挟んで配置しても良い。係る状態で、一対の金属セパレータP2を拘束し、約200℃で数秒間加熱した。
その結果、図8中で白抜きの矢印の右側に示すように、半田Rは、一旦溶融した後、凝固して圧縮されると同時に、上記加熱によってAuの薄膜層3中のAu原子が、隣接する半田R中に拡散するため、凝固後の半田Rは、一対の金属セパレータP2の各基板1と直にロウ付け(接合)された。
前記直接ロウ付けされた接合部分は、基板1と半田(ロウ材)Rとの界面で、少なくとも30%以上、望ましくは40%以上、より望ましくは50%以上あると良い。また、前記基板1と半田Rとの直接的なロウ付けは、Auメッキ層3の厚みが0.5〜60nm、望ましくは1〜20nmという極く薄い薄膜であるため、前述した拡散を可能としたことに起因している。しかも、比較的低い加熱温度帯において一対の金属セパレータP2を強固で確実にロウ付けできる。
そして、上記半田付け(ロウ付け)によって、図9の断面図で示すように、一対の金属セパレータP2を、それらの流路6が互いに直交するように対向および接近させた裏面5,5間で、低融点の半田Rを介してロウ付けしたことで、各金属セパレータP2の表面4,4側における反応ガスの流路6などを直交するように配置したバイポーラ金属セパレータP3が得られた。
以上のような本発明のバイポーラ金属セパレータP3とその製造方法によれば、前記金属セパレータ素板P1をプレス成形した一対の金属セパレータP2を隣接させ、ハンダ付けなどのロウ付けする際に、極く薄いAu(貴金属)の薄膜層3,3同士を対向させ、これらの間に半田(ロウ材)Rを挟んで半田(ロウ)付けすることで、不動態皮膜2を介することなく、且つ比較的低温度で半田付けされた半田Rのみを介して、金属セパレータP2,2の基板1,1同士を強固且つ確実に接合できる。従って、反りが少なく耐食性を有する一対の金属セパレータP2を、強固に接合したバイポーラ金属セパレータP3を容易且つ安価に提供できる。
図10は、前記バイポーラ金属セパレータP3を用いて、単位セルの燃料電池B1を製作する工程に関する。
先ず、図10中の右側の黒い矢印で示すように、一対のバイポーラ金属セパレータP3の間に、中央の高分子膜体20と、その両側に配置する一対の電極26とを挟持する。上記高分子膜体20は、全体が前記金属セパレータP2とほぼ同じ大きさの膜材で、中央部の固体高分子膜22と、その周囲を囲む枠形の補強シール部24とからなる。また、上記一対の電極26は、一方がアノード電極で、他方がカソード電極である。係る電極26は、例えば、シート状の炭素繊維からなり、上記膜体20に接する側に主にPt微粒子を担持させたカーボン触媒を塗布したもの、あるいは、上記膜体20に接する部分にPt微粒子を担持させたカーボン触媒を塗布した上にカーボン繊維を載せたものである。
前記高分子膜体20の両面に電極26をそれぞれ添着し、その外側に一対のバイポーラ金属セパレータP3を接触させ、それらの周辺部間にシール材を挟み、図示しないボルトを貫通させ、且つ当該ボルトの雄ネジ部にナットを締結する。
その結果、図10中の白抜きの矢印の左側に示すように、高分子膜体20の両面に電極26およびバイポーラ金属セパレータP3を対称に固定した単位セルの燃料電池B1が得られる。
更に、図11に示すように、単位セルの上記燃料電池B1を、複数個厚み方向に沿って積層し且つ固定することで、スタック型の燃料電池B2を得ることができる。係る燃料電池B2では、互いに隣接し合う単位セルの燃料電池B1ごとにおける一方のバイポーラ金属セパレータP3を共有している。
前記燃料電池B1,B2によれば、固体高分子膜22を挟む一方側の金属セパレータP3の流路6を流れる水素(燃料ガス:反応ガス)は、隣接するアノード電極26に接触して水素イオンと電子とに分解され、係る電子は、図示しない外部の回路を通過する際に発電に利用された後、他方側のカソード電極26に送られる。一方、固体高分子膜22を挟む他方側の金属セパレータP3の流路6を流れる空気(酸化剤ガス:反応ガス)は、隣接するカソード電極26に接触した際に、空気中の酸素がイオン化すると同時に、固体高分子膜22を通過した上記水素イオンと、上記電子とが反応して水が生成され、外部に排出される。
以上の作用を繰り返すことで、水素と空気とを用いて、発電を継続且つ安定して行うことが可能となる。
ここで、本発明の具体的な実施例について、以下に説明する。
予め、ステンレス鋼(SUS316L)からなり、厚さ:0.1mm、縦・横100×100mmの試験用素板を90枚用意した。これらのうち、76枚の素板の表・裏面4,5全体または表・裏面4,5の一部に対し、前記洗浄工程、酸処理工程、および電解Auメッキ(S1〜S3)工程を同じ条件にて施し、表1〜3に示すように、厚み3nm,5nm,8nm,10nm、15nm、20nm、または30nmのAuメッキ層(貴金属の薄膜層)3を被覆した。残り14枚の素板は、そのままとした。尚、表1〜3中の「両面一部」とは、少なくとも、素板の裏面に形成される凸部9の頂面となる部分にAuメッキ層3が被覆されることを示す。
次に、前記90枚の試験用素板に対し、それぞれ同じプレス型を用いて、表面4に同じ寸法の複数の前記流路6、凸部7、ヘッダー部10,11などを、裏面5に凹部8および凸部9などを成形して、90枚の金属セパレータを成形した。
更に、表1〜3に示すように、上記90枚の金属セパレータから、一対のセパレータA,Bの組み合わせを行い、実施例1〜18,22〜35と比較例1〜13の組を作った。各例の組ごとに、一対のセパレータA,Bの各裏面5で対向する複数の凸部9を接近させ、これらの頂面に被覆されたAuメッキ層3,3間に、0.9×0.9mmの半田ペーストを1.8mm間隔で且つ縦横40×40mmの範囲において塗布し、更に約200℃のリフロー炉に通して半田(ロウ)付けした。
そして、半田付けして得られた各例ごとのバイポーラ金属セパレータにおける一対の金属セパレータA,Bを平面方向に沿って離間するように、両手で引っ張った。その結果、一対のセパレータが簡単に離れるか、僅かの力で離れた例を「×」とし、強く引っ張っても離れなかった例を「○」として表1〜3に示した。
表1〜3に示すように、実施例1〜18,22〜35は、それぞれ一対の金属セパレータA,Bを強く引っ張っても何れも離れなかった。係る結果は、金属セパレータA,B共に、予め厚み3〜30nmのAuメッキ層3が半田付けする側の面に被覆されていたため、半田Rと金属セパレータA,Bの基板1とが直に接合された部分を有していたことによる、ものと推定される。
一方、表1〜3に示すように、比較例1〜13は、一対金属セパレータA,Bが簡単に離れるか、あるいは僅かの力で離れた。係る結果は、セパレータA,Bの半田付けした面にAuメッキ層3が被覆されておらず、且つCr酸化物を含む不動態皮膜2が生成されていたため、半田RとセパレータA,Bの基板1とが直に接合されなかった、ことによると推定される。
Figure 2009152177
Figure 2009152177
Figure 2009152177
別途に、Fe−Ni系合金(INCOLOY825)からなり、厚さ:0.1mm、縦・横100×100mmの試験用素板を32枚用意した。これらのうち、24枚の素板の両面または片面の中央部(一部)に対し、前記洗浄工程、酸処理工程、および電解Auメッキ(S1〜S3)工程を同じ条件で施し、表4に示すように、厚み3nm、10nm、または30nmのAuメッキ層(貴金属の薄膜)3を被覆した。残り8枚の素板は、そのままとした。
次に、上記32枚の試験用素板に対し、前記と同じプレス型を用いて、前記同様の前記流路6、凸部7、ヘッダー部10,11、凹部8、および凸部9などを成形して、32枚の金属セパレータを成形した。
次いで、表4に示すように、上記32枚の金属セパレータから、一対のセパレータA,Bの組み合わせを行い、実施例36〜44と比較例14〜20の組を作った。各例の組ごとに、一対のセパレータA,Bの各裏面5で対向する複数の凸部9を隣接させ、これらの頂面に被覆されたAuメッキ層3,3間に、0.9×0.9mmのPbフリー半田(Sn−Ag−Cu系合金)のペーストを1.8mm間隔で且つ縦横40×40mmの範囲において塗布し、更に約240℃のリフロー炉に通してロウ(半田)付けした。
得られた各例ごとのバイポーラ金属セパレータの一対の金属セパレータA,Bを前記同様に引っ張り、一対の素板が簡単に離れるか、僅かの力で離れた例を「×」とし、強く引っ張っても離れなかった例を「○」として、表4に示した。
表4に示すように、実施例36〜44は、それぞれ一対の金属セパレータA,Bを強く引っ張っても何れも離れなかった。係る結果は、金属セパレータA,B共に、予め厚み3〜30nmのAuメッキ層3がロウ付けする側の面に被覆されていたため、半田Rと金属セパレータA,Bの基板1とが直に接合された部分を有していたことによる、ものと推定される。
一方、表4に示すように、比較例14〜20は、一対金属セパレータA,Bが簡単に離れるか、あるいは僅かの力で離れた。係る結果は、セパレータA,Bのロウ付けした面にAuメッキ層3が被覆されておらず、且つCr酸化物を含む不動態皮膜が生成されていたため、前記半田RとセパレータA,Bの基板1とが直に接合されなかったことによる、ものと推定される。
Figure 2009152177
更に、ステンレス鋼(SUS316L)からなり、厚さ:0.1mm、縦・横100×100mmの試験用素板を30枚用意し、そのうち、24枚の素板の表・裏面4,5全体または表・裏面4,5の一部に対し、前記洗浄工程、ドライエッチング工程、およびAuスパッタリング(S1,S5,S6)工程を同じ条件にて施し、表5に示すように、厚み10nm,30nm,または100nmのAuスパッタ層(貴金属の薄膜層)3を被覆した。残り6枚の素板は、そのままとした。
次に、上記30枚の試験用素板に対し、前記と同じプレス型を用いて、前記同様の金属セパレータを成形した。
次いで、表5に示すように、上記30枚の金属セパレータから、一対のセパレータA,Bの組み合わせを行い、実施例45〜50と比較例21〜29の組を作った。各例の組ごとに、一対のセパレータA,Bの各裏面5で対向する複数の凸部9を隣接させ、これらの頂面に被覆されたAuスパッタ層3,3間に、前記同様の半田ペーストを塗布した後、約200℃のリフロー炉に通して半田(ロウ)付けした。
得られた各例ごとのバイポーラ金属セパレータの一対の金属セパレータA,Bを前記同様に引っ張り、簡単に離れるか、僅かの力で離れた例を「×」とし、強く引っ張っても離れなかった例を「○」として、表5に示した。
Figure 2009152177
表5に示すように、実施例45〜50は、それぞれ一対の金属セパレータA,Bを強く引っ張っても何れも離れなかった。係る結果は、金属セパレータA,B共に、予め厚み10〜30nmのAuスパッタ層3がロウ付けする側の面に被覆されていたため、半田Rと金属セパレータA,Bの基板1とが直に接合された部分を有していたことによる、ものと推定される。
一方、表5に示すように、比較例21〜29は、一対の金属セパレータA,Bが簡単に離れるか、あるいは僅かの力で離れた。このうち、比較例21〜24,28,29は、セパレータA,Bのロウ付けした面にAuスパッタ層3が被覆されておらず、且つCr酸化物を含む不動態皮膜が生成されていたため、前記半田RとセパレータA,Bの基板1とが直に接合されなかったことによる、ものと推定される。更に、※印を付けた比較例25〜27は、ロウ付けはできたが、金属セパレータA,Bを強く引っぱった際に簡単に離れた。該剥離した界面を観察した結果、半田Rが基板1にまで達していず、残っていたAuスパッタ層3を介して半田付け(ロウ付け)されていたことによる、ものと推定された。
前記のような実施例1〜18,22〜50によって、本発明のバイポーラ金属セパレータP3の効果が裏付けられた。
尚、本発明は、前述した形態および実施例に限定されるものではない。
例えば、前記基板となるステンレス鋼は、オーステナイト系のステンレス鋼(例えば、SUS316L、SUS304、SUS321など)の他、オーステナイト・フェライト系、あるいは析出硬化系のステンレス鋼としても良い。
また、前記貴金属の薄膜層は、Auに限らず、Pt、Pd、またはRuの何れか、あるいはこれらをベースとする合金からなるメッキ層などとしても良い。
更に、前記金属セパレータに成形する反応ガスの流路は、対向する一対のヘッダー部の間に、互いに平行な複数の直線形状を呈して配置する形態としても良い。
加えて、一対の金属セパレータをロウ付けするロウ材は、前記半田に限らず、各種の低融点合金からなるペースト、あるいはプリフォーム材としても良い。
本発明に用いる一形態の金属セパレータを示す正面図。 図1中のX−X線の矢視に沿った断面図。 図1中のY−Y線の矢視に沿った断面図。 本発明のバイポーラ金属セパレータの第1の製造方法を示す流れ図。 本発明のバイポーラ金属セパレータの第2の製造方法を示す流れ図。 本発明のバイポーラ金属セパレータの製造工程を示す概略断面図。 図6中の一点鎖線部分Vの一形態を模式的に示す部分拡大断面図。 図6中の一点鎖線部分Vの異なる形態を模式的に示す部分拡大断面図。 本発明の燃料電池用バイポーラ金属セパレータを示す断面図。 上記バイポーラ金属セパレータを用いて単位セルの燃料電池を製作する工程を示す概略図。 上記バイポーラ金属セパレータを用いてスタック型の燃料電池を製作する工程を示す概略図。
符号の説明
1……基板
2……不動態皮膜
3……Auメッキ層/Auスパッタ層(貴金属の薄膜層)
4……表面
5……裏面
6……反応ガスの流路
P2…金属セパレータ
P3…バイポーラ金属セパレータ
R……半田(ロウ材)
S1…洗浄工程
S2…酸処理工程
S3…Auメッキ工程
S4…プレス工程
S5…ドライエッチング工程
S6…Auスパッタリング工程

Claims (5)

  1. ステンレス鋼、Fe−Ni系合金、またはNi基合金からなり、表面および裏面を有し、且つ表面に反応ガスの流路が形成された基板において、表面の全体または少なくとも該表面における反応ガスの流路同士間の凸部の一部に貴金属の薄膜層が被覆され、裏面の全体または少なくとも該裏面におけるロウ付け部分を含む一部に、厚みが0.5〜60nmである貴金属の薄膜層が被覆された一対の燃料電池用金属セパレータと、
    一対の上記燃料電池用金属セパレータが対向する裏面同士を接合するロウ付け部分と、を備え、
    上記ロウ付け部分におけるロウ材の直下には、上記貴金属の薄膜層がなく、且つ係るロウ材と上記基板の表層とが直に接合された接合部分が含まれている、
    ことを特徴とする燃料電池用バイポーラ金属セパレータ。
  2. 前記基板の裏面に被覆される貴金属の薄膜層の厚みは、1〜20nmである、
    請求項1に記載の燃料電池用バイポーラ金属セパレータ。
  3. 前記ロウ付け部分のロウ材と前記基板の表層とが直に接合された接合部分は、前記ロウ材と基板との界面における面積の少なくとも30%以上である、
    請求項1または2に記載の燃料電池用バイポーラ金属セパレータ。
  4. ステンレス鋼、Fe−Ni系合金、またはNi基合金からなる基板において、追って反応ガスの流路が形成される表面の全体またはその一部、および追って前記反応ガスの流路が形成されない裏面の全体またはその一部を洗浄する工程と、
    上記基板の洗浄された表・裏面の全体またはこれらの一部を酸処理して、不動態皮膜を除去する工程と、
    上記基板の不動態皮膜が除去された表・裏面の全体またはこれらの一部に対し、貴金属の薄膜層を上記基板に直に被覆する工程と、
    上記貴金属の薄膜層が被覆された基板をプレス成形して、係る基板の表面に反応ガスの流路を形成する燃料電池用金属セパレータを成形する工程と、
    一対の上記燃料電池用金属セパレータの裏面同士を対向させ、係る裏面間で隣接する貴金属の薄膜層を含む部分同士間にロウ材を配置する工程と、
    上記ロウ材をその融点よりも高い温度に加熱して、該ロウ材に接する貴金属の薄膜層を拡散吸収し、且つ当該ロウ材と隣接する一対の基板とを直にロウ付けする工程と、を含む、
    ことを特徴とする燃料電池用バイポーラ金属セパレータの製造方法。
  5. ステンレス鋼、Fe−Ni系合金、またはNi基合金からなる基板において、追って反応ガスの流路が形成される表面の全体またはその一部、および追って前記反応ガスの流路が形成されない裏面の全体またはその一部を洗浄する工程と、
    上記基板の洗浄された表・裏面の全体またはこれらの一部に対しイオンビームを照射して、不動態皮膜を除去する工程と、
    上記基板の不動態皮膜が除去された表・裏面の全体またはこれらの一部に対し、貴金属をスパッタリングして、上記基板に直に貴金属の薄膜層を被覆する工程と、
    上記貴金属の薄膜層が被覆された基板をプレス成形して、係る基板の表面に反応ガスの流路を形成する燃料電池用金属セパレータを成形する工程と、
    一対の上記燃料電池用金属セパレータの裏面同士を対向させ、係る裏面間で隣接する貴金属の薄膜層を含む部分同士間にロウ材を配置する工程と、
    上記ロウ材をその融点よりも高い温度に加熱して、該ロウ材に接する貴金属の薄膜層を拡散吸収し、且つ当該ロウ材と隣接する一対の基板とを直にロウ付けする工程と、を含む、
    ことを特徴とする燃料電池用バイポーラ金属セパレータの製造方法。
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