以下、図面に基づいて、本発明にかかる冷凍装置の実施形態について説明する。
(1)空気調和装置の構成
図1は、本発明にかかる冷凍装置の一実施形態としての空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、冷房運転と暖房運転を切り換え可能に構成された冷媒回路10を有し、超臨界域で作動する冷媒(ここでは、二酸化炭素)を使用して二段圧縮式冷凍サイクルを行う装置である。
空気調和装置1の冷媒回路10は、主として、圧縮機構2と、切換機構3と、熱源側熱交換器4と、膨張機構5と、利用側熱交換器6と、中間冷却器7とを有している。
圧縮機構2は、本実施形態において、2つの圧縮要素で冷媒を二段圧縮する圧縮機21から構成されている。圧縮機21は、ケーシング21a内に、圧縮機駆動モータ21bと、駆動軸21cと、圧縮要素2c、2dとが収容された密閉式構造となっている。圧縮機駆動モータ21bは、駆動軸21cに連結されている。そして、この駆動軸21cは、2つの圧縮要素2c、2dに連結されている。すなわち、圧縮機21は、2つの圧縮要素2c、2dが単一の駆動軸21cに連結されており、2つの圧縮要素2c、2dがともに圧縮機駆動モータ21bによって回転駆動される、いわゆる一軸二段圧縮構造となっている。圧縮要素2c、2dは、本実施形態において、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素である。そして、圧縮機21は、吸入管2aから冷媒を吸入し、この吸入された冷媒を圧縮要素2cによって圧縮した後に中間冷媒管8に吐出し、中間冷媒管8に吐出された冷媒を圧縮要素2dに吸入させて冷媒をさらに圧縮した後に吐出管2bに吐出するように構成されている。ここで、中間冷媒管8は、圧縮要素2cの前段側に接続された圧縮要素2cから吐出された冷媒を、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入させるための冷媒管である。また、吐出管2bは、圧縮機構2から吐出された冷媒を切換機構3に送るための冷媒管であり、吐出管2bには、油分離機構41と逆止機構42とが設けられている。油分離機構41は、圧縮機構2から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離して圧縮機構2の吸入側へ戻す機構であり、主として、圧縮機構2から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離する油分離器41aと、油分離器41aに接続されており冷媒から分離された冷凍機油を圧縮機構2の吸入管2aに戻す油戻し管41bとを有している。油戻し管41bには、油戻し管41bを流れる冷凍機油を減圧する減圧機構41cが設けられている。減圧機構41cは、本実施形態において、キャピラリチューブが使用されている。逆止機構42は、圧縮機構2の吐出側から切換機構3への冷媒の流れを許容し、かつ、切換機構3から圧縮機構2の吐出側への冷媒の流れを遮断するための機構であり、本実施形態において、逆止弁が使用されている。
このように、圧縮機構2は、本実施形態において、2つの圧縮要素2c、2dを有しており、これらの圧縮要素2c、2dのうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮するように構成されている。
切換機構3は、冷媒回路10内における冷媒の流れの方向を切り換えるための機構であり、冷房運転時には、熱源側熱交換器4を圧縮機構2によって圧縮される冷媒の冷却器として、かつ、利用側熱交換器6を熱源側熱交換器4において冷却された冷媒の加熱器として機能させるために、圧縮機構2の吐出側と熱源側熱交換器4の一端とを接続するとともに圧縮機21の吸入側と利用側熱交換器6とを接続し(図1の切換機構3の実線を参照、以下、この切換機構3の状態を「冷却運転状態」とする)、暖房運転時には、利用側熱交換器6を圧縮機構2によって圧縮される冷媒の冷却器として、かつ、熱源側熱交換器4を利用側熱交換器6において冷却された冷媒の加熱器として機能させるために、圧縮機構2の吐出側と利用側熱交換器6とを接続するとともに圧縮機構2の吸入側と熱源側熱交換器4の一端とを接続することが可能である(図1の切換機構3の破線を参照、以下、この切換機構3の状態を「加熱運転状態」とする)。本実施形態において、切換機構3は、圧縮機構2の吸入側、圧縮機構2の吐出側、熱源側熱交換器4及び利用側熱交換器6に接続された四路切換弁である。尚、切換機構3は、四路切換弁に限定されるものではなく、例えば、複数の電磁弁を組み合わせる等によって、上述と同様の冷媒の流れの方向を切り換える機能を有するように構成したものであってもよい。
このように、切換機構3は、冷媒回路10を構成する圧縮機構2、熱源側熱交換器4、膨張機構5、及び利用側熱交換器6だけに着目すると、圧縮機構2、熱源側熱交換器4、膨張機構5、利用側熱交換器6の順に冷媒を循環させる冷却運転状態と、圧縮機構2、利用側熱交換器6、膨張機構5、熱源側熱交換器4の順に冷媒を循環させる加熱運転状態とを切り換えることができるように構成されている。
熱源側熱交換器4は、冷媒の冷却器又は加熱器として機能する熱交換器である。熱源側熱交換器4は、その一端が切換機構3に接続されており、その他端が膨張機構5に接続されている。熱源側熱交換器4は、空気を熱源(すなわち、冷却源又は加熱源)とする熱交換器であり、本実施形態において、フィンアンドチューブ型の熱交換器が使用されている。そして、熱源としての空気は、熱源側ファン40によって熱源側熱交換器4に供給されるようになっている。尚、熱源側ファン40は、ファン駆動モータ40aによって駆動される。
膨張機構5は、冷媒を減圧する機構であり、本実施形態において、電動膨張弁が使用されている。膨張機構5は、その一端が熱源側熱交換器4に接続され、その他端が利用側熱交換器6に接続されている。また、本実施形態において、膨張機構5は、冷房運転時には、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒を利用側熱交換器6に送る前に減圧し、暖房運転時には、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒を熱源側熱交換器4に送る前に減圧する。
利用側熱交換器6は、冷媒の加熱器又は冷却器として機能する熱交換器である。利用側熱交換器6は、その一端が膨張機構5に接続されており、その他端が切換機構3に接続されている。尚、ここでは図示しないが、利用側熱交換器6には、利用側熱交換器6を流れる冷媒と熱交換を行う加熱源又は冷却源としての水や空気が供給されるようになっている。
中間冷却器7は、中間冷媒管8に設けられており、前段側の圧縮要素2cから吐出されて圧縮要素2dに吸入される冷媒の冷却器として機能する熱交換器である。中間冷却器7は、空気を熱源(すなわち、冷却源)とする熱交換器であり、本実施形態において、フィンアンドチューブ型の熱交換器が使用されている。そして、中間冷却器7は、熱源側熱交換器4と一体化されている。
次に、中間冷却器7が熱源側熱交換器4に一体化された構成について、両者の配置等も含めて、図2〜図4を用いて詳細に説明する。ここで、図2は、熱源ユニット1aの外観斜視図(ファングリルを取り除いた状態)であり、図3は、熱源ユニット1aの右板74を取り除いた状態における熱源ユニット1aの側面図であり、図4は、図3のI部分の拡大図である。尚、以下の説明における「左」及び「右」とは、前板75側から熱源ユニット1aを見た場合を基準とする。
まず、本実施形態において、空気調和装置1は、主として熱源側ファン40、熱源側熱交換器4及び中間冷却器7が設けられた熱源ユニット1aと、主として利用側熱交換器6が設けられた利用ユニット(図示せず)とが接続されることによって構成されている。そして、この熱源ユニット1aは、側方から空気を吸い込んで上方に向かって空気を吹き出す、いわゆる、上吹きタイプのものであり、主として、ケーシング71と、ケーシング71の内部に配置される熱源側熱交換器4及び中間冷却器7等の冷媒回路構成部品や熱源側ファン40等の機器とを有している。
ケーシング71は、本実施形態において、略直方体形状の箱体であり、主として、ケーシング71の天面を構成する天板72と、ケーシング71の外周面を構成する左板73、右板74、前板75及び後板76と、底板77とから構成されている。天板72は、主として、ケーシング71の天面を構成する部材であり、本実施形態において、略中央に吹出開口71aが形成された平面視が略長方形状の板状部材である。天板72には、吹出開口71aを上方から覆うようにファングリル78が設けられている。左板73は、主として、ケーシング71の左面を構成する部材であり、本実施形態において、天板72の左縁から下方に延びる側面視が略長方形状の板状部材である。左板73には、上部を除くほぼ全体に吸入開口73aが形成されている。右板74は、主として、ケーシング71の右面を構成する部材であり、本実施形態において、天板72の右縁から下方に延びる側面視が略長方形状の板状部材である。右板74には、上部を除くほぼ全体に吸入開口74aが形成されている。前板75は、主として、ケーシング71の前面を構成する部材であり、本実施形態において、天板72の前縁から下方向に順に配置された正面視が略長方形状の板状部材から構成されている。後板76は、主として、ケーシング71の後面を構成する部材であり、本実施形態において、天板72の後縁から下方向に順に配置された正面視が略長方形状の板状部材から構成されている。後板76には、上部を除くほぼ全体に吸入開口76aが形成されている。底板77は、主として、ケーシング71の底面を構成する部材であり、本実施形態において、平面視が略長方形状の板状部材である。
そして、中間冷却器7は、熱源側熱交換器4の上方に配置された状態で熱源側熱交換器4と一体化されており、底板77上に配置されている。より具体的には、中間冷却器7は、伝熱フィンを共有することによって熱源側熱交換器4と一体化されている(図4参照)。また、熱源側熱交換器4及び中間冷却器7が一体化されたものは、本実施形態において、平面視が略U字形状の熱交換器パネル70を形成しており、吸入開口73a、74a、76aに対向するように配置されている。また、熱源側ファン40は、天板72の吹出開口71aに対向し、かつ、熱源側熱交換器4及び中間冷却器7が一体化されたもの(すなわち、熱交換器パネル70)の上側に配置されている。本実施形態において、熱源側ファン40は、軸流ファンであり、ファン駆動モータ40aによって回転駆動することによって、吸入開口73a、74a、76aから熱源としての空気をケーシング71内に吸い込んで、熱源側熱交換器4及び中間冷却器7を通過させた後に、吹出開口71aから上方に向けて吹き出すことができるようになっている(図3中の空気の流れを示す矢印を参照)。すなわち、熱源側ファン40は、熱源側熱交換器4及び中間冷却器7の両方に熱源としての空気を供給するようになっている。尚、熱源ユニット1aの外観形状や熱源側熱交換器4及び中間冷却器7が一体化されたもの(すなわち、熱交換器パネル70)の形状は、上述のものに限定されるものではない。このように、中間冷却器7は、熱源側熱交換器4と一体化された熱交換器パネル70を構成しており、この熱交換器パネル70の上部に配置されている。
また、中間冷媒管8には、中間冷却器7をバイパスするように、中間冷却器バイパス管9が接続されている。この中間冷却器バイパス管9は、中間冷却器7を流れる冷媒の流量を制限する冷媒管である。そして、中間冷却器バイパス管9には、中間冷却器バイパス開閉弁11が設けられている。中間冷却器バイパス開閉弁11は、本実施形態において、電磁弁である。この中間冷却器バイパス開閉弁11は、後述の除霜運転のような一時的な運転を行う場合を除いて、基本的には、切換機構3を冷却運転状態にしている際に閉め、切換機構3を加熱運転状態にしている際に開ける制御がなされる。すなわち、中間冷却器バイパス開閉弁11は、冷房運転を行う際に閉め、暖房運転を行う際に開ける制御がなされる。
また、中間冷媒管8には、中間冷却器バイパス管9との接続部から中間冷却器7側の位置(すなわち、中間冷却器7の入口側の中間冷却器バイパス管9との接続部から中間冷却器7の出口側の接続部までの部分)に、冷却器開閉弁12が設けられている。この冷却器開閉弁12は、中間冷却器7を流れる冷媒の流量を制限する機構である。冷却器開閉弁12は、本実施形態において、電磁弁である。この冷却器開閉弁12は、後述の除霜運転のような一時的な運転を行う場合を除いて、基本的には、切換機構3を冷却運転状態にしている際に開け、切換機構3を加熱運転状態にしている際に閉める制御がなされる。すなわち、冷却器開閉弁12は、冷房運転を行う際に開け、暖房運転を行う際に閉める制御がなされる。尚、冷却器開閉弁12は、本実施形態において、中間冷却器7の入口側の位置に設けられているが、中間冷却器7の出口側の位置に設けられていてもよい。
また、中間冷媒管8には、前段側の圧縮要素2cの吐出側から後段側の圧縮要素2dの吸入側への冷媒の流れを許容し、かつ、後段側の圧縮要素2dの吐出側から前段側の圧縮要素2cへの冷媒の流れを遮断するための逆止機構15が設けられている。逆止機構15は、本実施形態において、逆止弁である。尚、逆止機構15は、本実施形態において、中間冷媒管8の中間冷却器7の出口側から中間冷却器バイパス管9との接続部までの部分に設けられている。
さらに、空気調和装置1には、各種のセンサが設けられている。具体的には、熱源側熱交換器4には、熱源側熱交換器4を流れる冷媒の温度を検出する熱源側熱交温度センサ51が設けられている。中間冷却器7の出口には、中間冷却器7の出口における冷媒の温度を検出する中間冷却器出口温度センサ52が設けられている。空気調和装置1には、熱源側熱交換器4及び中間冷却器7の熱源としての空気の温度を検出する空気温度センサ53が設けられている。また、空気調和装置1は、ここでは図示しないが、圧縮機構2、切換機構3、膨張機構5、熱源側ファン40、中間冷却器バイパス開閉弁11、冷却器開閉弁12等の空気調和装置1を構成する各部の動作を制御する制御部を有している。
(2)空気調和装置の動作
次に、本実施形態の空気調和装置1の動作について、図1、図5〜図11を用いて説明する。ここで、図5は、冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図6は、冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図であり、図7は、暖房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図8は、暖房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図であり、図9は、除霜運転のフローチャートであり、図10は、除霜運転開始時における空気調和装置1内の冷媒の流れを示す図であり、図11は、中間冷却器7の除霜が完了した後における空気調和装置1内の冷媒の流れを示す図である。尚、以下の冷房運転、暖房運転及び除霜運転における運転制御は、上述の制御部(図示せず)によって行われる。また、以下の説明において、「高圧」とは、冷凍サイクルにおける高圧(すなわち、図5、図6の点D、D’、Eにおける圧力や図7、図8の点D、D’、Fにおける圧力)を意味し、「低圧」とは、冷凍サイクルにおける低圧(すなわち、図5、図6の点A、Fにおける圧力や図7、図8の点A、Eにおける圧力)を意味し、「中間圧」とは、冷凍サイクルにおける中間圧(すなわち、図5〜図8の点B1、C1、C1’における圧力)を意味している。
<冷房運転>
冷房運転時は、切換機構3が図1の実線で示される冷却運転状態とされる。膨張機構5は、開度調節される。そして、切換機構3が冷却運転状態となるため、冷却器開閉弁12が開けられ、また、中間冷却器バイパス管9の中間冷却器バイパス開閉弁11が閉められることによって、中間冷却器7が冷却器として機能する状態とされる。
この冷媒回路10の状態において、圧縮機構2を駆動すると、低圧の冷媒(図1、図5、図6の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧力まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図1、図5、図6の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、中間冷却器7において、冷却源としての空気と熱交換を行うことで冷却される(図1、図5、図6の点C1参照)。この中間冷却器7において冷却された冷媒は、次に、逆止機構15を通過した後に圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図1、図5、図6の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図5に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、油分離機構41を構成する油分離器41aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、油分離器41aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、油分離機構41を構成する油戻し管41bに流入し、油戻し管41bに設けられた減圧機構41cで減圧された後に圧縮機構2の吸入管2aに戻されて、再び、圧縮機構2に吸入される。次に、油分離機構41において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構42及び切換機構3を通じて、冷媒の冷却器として機能する熱源側熱交換器4に送られる。そして、熱源側熱交換器4に送られた高圧の冷媒は、熱源側熱交換器4において、冷却源としての空気と熱交換を行って冷却される(図1、図5、図6の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒は、膨張機構5によって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の加熱器として機能する利用側熱交換器6に送られる(図1、図5、図6の点F参照)。そして、利用側熱交換器6に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水又は空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図1、図5、図6の点A参照)。そして、この利用側熱交換器6において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、冷房運転が行われる。
このように、空気調和装置1では、圧縮要素2cから吐出された冷媒を圧縮要素2dに吸入させるための中間冷媒管8に中間冷却器7を設けるとともに、切換機構3を冷却運転状態にした冷房運転において、冷却器開閉弁12を開け、また、中間冷却器バイパス管9の中間冷却器バイパス開閉弁11を閉めることによって、中間冷却器7を冷却器として機能する状態にしているため、中間冷却器7を設けなかった場合(この場合には、図5、図6において、点A→点B1→点D’→点E→点Fの順で冷凍サイクルが行われる)に比べて、圧縮要素2cの後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の温度が低下し(図6の点B1、C1参照)、圧縮要素2dから吐出される冷媒の温度も低下することになる(図6の点D、D’参照)。このため、この空気調和装置1では、高圧の冷媒の冷却器として機能する熱源側熱交換器4において、中間冷却器7を設けなかった場合に比べて、冷却源としての水や空気と冷媒との温度差を小さくすることが可能になり、図6の点B1、D’、D、C1を結ぶことによって囲まれる面積に相当する分の放熱ロスを小さくできることから、運転効率を向上させることができる。
<暖房運転>
暖房運転時は、切換機構3が図1の破線で示される加熱運転状態とされる。膨張機構5は、開度調節される。そして、切換機構3が加熱運転状態となるため、冷却器開閉弁12が閉められ、また、中間冷却器バイパス管9の中間冷却器バイパス開閉弁11が開けられることによって、中間冷却器7が冷却器として機能しない状態とされる。
この冷媒回路10の状態において、圧縮機構2を駆動すると、低圧の冷媒(図1、図7、図8の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧力まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図1、図7、図8の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、冷房運転時とは異なり、中間冷却器7を通過せずに(すなわち、冷却されることなく)、中間冷却器バイパス管9を通過して(図1、図7、図8の点C1参照)、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図1、図7、図8の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、冷房運転時と同様、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図7に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、油分離機構41を構成する油分離器41aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、油分離器41aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、油分離機構41を構成する油戻し管41bに流入し、油戻し管41bに設けられた減圧機構41cで減圧された後に圧縮機構2の吸入管2aに戻されて、再び、圧縮機構2に吸入される。次に、油分離機構41において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構42及び切換機構3を通じて、冷媒の冷却器として機能する利用側熱交換器6に送られる。そして、利用側熱交換器6に送られた高圧の冷媒は、利用側熱交換器6において、冷却源としての水又は空気と熱交換を行って冷却される(図1、図7、図8の点F参照)。そして、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒は、膨張機構5によって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の加熱器として機能する熱源側熱交換器4に送られる(図1、図7、図8の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図1、図7、図8の点A参照)。そして、この熱源側熱交換器4において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、暖房運転が行われる。
このように、空気調和装置1では、圧縮要素2cから吐出された冷媒を圧縮要素2dに吸入させるための中間冷媒管8に中間冷却器7を設けるとともに、切換機構3を加熱運転状態にした暖房運転において、冷却器開閉弁12を閉め、また、中間冷却器バイパス管9の中間冷却器バイパス開閉弁11を開けることによって、中間冷却器7を冷却器として機能しない状態にしているため、中間冷却器7だけを設けた場合や上述の冷房運転と同様に中間冷却器7を冷却器として機能させた場合(これら場合には、図7、図8において、点A→点B1→点C1’→点D’→点F→点Eの順で冷凍サイクルが行われる)に比べて、圧縮機構2から吐出される冷媒の温度の低下が抑えられる(図8の点D、D’参照)。このため、この空気調和装置1では、中間冷却器7だけを設けた場合や上述の冷房運転と同様に中間冷却器7を冷却器として機能させた場合に比べて、外部への放熱を抑え、冷媒の冷却器として機能する利用側熱交換器6に供給される冷媒の温度の低下を抑えることが可能になり、図7の点Dと点Fとのエンタルピ差hと点D’と点Fとのエンタルピ差h’との差に相当する分の加熱能力の低下を抑えて、運転効率の低下を防ぐことができる。
以上のように、空気調和装置1では、中間冷却器7だけでなく、冷却器開閉弁12や中間冷却器バイパス管9を設けて、これらを用いて、切換機構3を冷却運転状態にしている際に中間冷却器7を冷却器として機能させ、切換機構3を加熱運転状態にしている際に中間冷却器7を冷却器として機能させないようにしている。このため、空気調和装置1では、冷却運転としての冷房運転時においては、圧縮機構2から吐出される冷媒の温度を低く抑えることができ、加熱運転としての暖房運転時においては、圧縮機構2から吐出される冷媒の温度の低下を抑えることができるようになり、冷房運転時においては、冷媒の冷却器として機能する熱源側熱交換器4における放熱ロスを小さくして、運転効率を向上させることができるとともに、暖房運転時には、冷媒の冷却器として機能する利用側熱交換器6に供給される冷媒の温度の低下を抑えることで加熱能力の低下を抑えて、運転効率の低下を防ぐことができる。
<除霜運転>
この空気調和装置1において、熱源側熱交換器4の熱源としての空気の温度が低い条件で暖房運転を行うと、冷媒の加熱器として機能する熱源側熱交換器4に着霜が生じ、これにより、熱源側熱交換器4の伝熱性能が低下するおそれがある。このため、熱源側熱交換器4の除霜を行う必要がある。
以下、本実施形態の除霜運転について、図9〜図11を用いて詳細に説明する。
まず、ステップS1において、暖房運転時に熱源側熱交換器4に着霜が生じたかどうかを判定する。この判定は、熱源側熱交温度センサ51により検出される熱源側熱交換器4を流れる冷媒の温度や暖房運転の積算時間に基づいて行われる。例えば、熱源側熱交温度センサ51により検出される熱源側熱交換器4における冷媒の温度が着霜が生じる条件に相当する所定温度以下であることが検知された場合、又は、暖房運転の積算時間が所定時間以上経過した場合には、熱源側熱交換器4に着霜が生じているものと判定し、このような温度条件や時間条件に該当しない場合には、熱源側熱交換器4に着霜が生じていないものと判定するものである。ここで、所定温度や所定時間については、熱源としての空気の温度に依存するため、所定温度や所定時間を空気温度センサ53により検出される空気の温度の関数として設定することが好ましい。また、熱源側熱交換器4の入口や出口に温度センサが設けられている場合には、熱源側熱交温度センサ51により検出される冷媒の温度に代えて、これらの温度センサにより検出される冷媒の温度を温度条件の判定に使用してもよい。そして、ステップS1において、熱源側熱交換器4に着霜が生じているものと判定された場合には、ステップS2の処理に移行する。
次に、ステップS2において、除霜運転を開始する。この除霜運転は、切換機構3を加熱運転状態(すなわち、暖房運転)から冷却運転状態に切り換えることで熱源側熱交換器4を冷媒の冷却器として機能させる逆サイクル除霜運転である。しかも、本実施形態では、中間冷却器7として空気を熱源とする熱交換器を採用し、かつ、中間冷却器7を熱源側熱交換器4と一体化させていることから、中間冷却器7にも着霜が生じるおそれがあるため、熱源側熱交換器4だけでなく中間冷却器7にも冷媒を流して中間冷却器7の除霜を行う必要がある。そこで、除霜運転の開始時においては、上述の冷房運転と同様、切換機構3を加熱運転状態(すなわち、暖房運転)から冷却運転状態(すなわち、冷房運転)に切り換えることで熱源側熱交換器4を冷媒の冷却器として機能させるとともに、冷却器開閉弁12を開け、また、中間冷却器バイパス開閉弁11を閉めることによって、中間冷却器7を冷却器として機能させる運転を行う(図10中の冷媒の流れを示す矢印を参照)。
次に、ステップS3において、中間冷却器7の除霜が完了したかどうかを判定する。ここで、中間冷却器7の除霜が完了したかどうかを判定するのは、上述のように、暖房運転の際、中間冷却器バイパス管9によって中間冷却器7を冷却器として機能させないようにしているため、中間冷却器7における着霜量が少なく、熱源側熱交換器4に比べて早く中間冷却器7の除霜が完了するからである。そして、この判定は、中間冷却器7の出口冷媒温度に基づいて行われる。例えば、中間冷却器出口温度センサ52により検出される中間冷却器7の出口冷媒温度が所定温度以上であることが検知された場合には、中間冷却器7の除霜が完了したものと判定し、このような温度条件に該当しない場合には、中間冷却器7の除霜が完了していないものと判定するものである。このような中間冷却器7の出口冷媒温度に基づく判定により、中間冷却器7の除霜が完了したことの検知を確実に行うことができる。そして、ステップS3において、中間冷却器7の除霜が完了したものと判定された場合には、ステップS4の処理に移行する。
次に、ステップS4において、中間冷却器7及び熱源側熱交換器4を除霜する運転から熱源側熱交換器4のみを除霜する運転に移行する。このような中間冷却器7の除霜完了後の運転移行を行うのは、仮に、中間冷却器7の除霜が完了した後にも中間冷却器7に冷媒を流し続けると、中間冷却器7から外部へ放熱が行われて、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の温度が低下してしまい、その結果、圧縮機構2から吐出される冷媒の温度が低くなって、熱源側熱交換器4の除霜能力が低下するという問題が生じてしまうことから、このような問題が生じないようにするためである。そして、このステップS4における運転移行によって、逆サイクル除霜運転による熱源側熱交換器4の除霜を継続しながら、冷却器開閉弁12を閉め、また、中間冷却器バイパス開閉弁11を開けることによって、中間冷却器7を冷却器として機能させないようにした運転が行われる(図11中の冷媒の流れを示す矢印を参照)。これにより、中間冷却器7から外部への放熱が行われないようになるため、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の温度が低くなるのを抑え、その結果、圧縮機構2から吐出される冷媒の温度が低くなるのを抑えて、熱源側熱交換器4の除霜能力が低下するのを抑えることができるようになる。
次に、ステップS5において、熱源側熱交換器4の除霜が完了したかどうかを判定する。この判定は、熱源側熱交温度センサ51により検出される熱源側熱交換器4を流れる冷媒の温度や除霜運転の運転時間に基づいて行われる。例えば、熱源側熱交温度センサ51により検出される熱源側熱交換器4における冷媒の温度が着霜がないとみなせる条件に相当する温度以上であることが検知された場合、又は、除霜運転が所定時間以上経過した場合には、熱源側熱交換器4の除霜が完了したものと判定し、このような温度条件や時間条件に該当しない場合には、熱源側熱交換器4の除霜が完了していないものと判定するものである。ここで、熱源側熱交換器4の入口や出口に温度センサが設けられている場合には、熱源側熱交温度センサ51により検出される冷媒の温度に代えて、これらの温度センサにより検出される冷媒の温度を温度条件の判定に使用してもよい。そして、ステップS5において、熱源側熱交換器4の除霜が完了したものと判定された場合には、ステップS6の処理に移行して、除霜運転を終了し、再び、暖房運転を再開させる処理が行われる。より具体的には、切換機構3を冷却運転状態から冷却運転状態(すなわち、冷房運転)に切り換える処理等が行われる。
以上のように、空気調和装置1では、熱源側熱交換器4を冷媒の冷却器として機能させることで熱源側熱交換器4の除霜を行う除霜運転を行う際に、熱源側熱交換器4及び中間冷却器7に冷媒を流し、中間冷却器7の除霜が完了したことを検知した後に、中間冷却器バイパス管9を用いて、中間冷却器7に冷媒が流れないようにするものである。これにより、空気調和装置1では、除霜運転を行う際に、中間冷却器7の除霜も併せて行うとともに、中間冷却器7から外部へ放熱が行われることによって生じる除霜能力の低下を抑えることができ、また、除霜時間を短縮するのに寄与することができる。
ここで、空気調和装置1では、超臨界域で作動する冷媒(ここでは、二酸化炭素)を使用しているため、中間冷却器7内には臨界圧力Pcp(二酸化炭素では、約7.3MPa)よりも低い中間圧の冷媒が流れ、冷媒の冷却器として機能する熱源側熱交換器4内には臨界圧力Pcpを超える高圧の冷媒が流れる冷房運転等の冷凍サイクルが行われることがあり(図5参照)、この場合には、図12に示されるように、臨界圧力Pcpよりも低い圧力における冷媒の物性と臨界圧力Pcpを超える圧力における冷媒の物性(特に、熱伝導率や定圧比熱)との差異に起因して、中間冷却器7の冷媒側の熱伝達率が冷媒の冷却器として機能する熱源側熱交換器4の冷媒側の熱伝達率に比べて低くなる傾向となる。ここで、図12は、6.5MPaの二酸化炭素を所定の流路断面積を有する伝熱流路内に所定の質量流速で流す場合における熱伝達率の値(中間冷却器7の冷媒側の熱伝達率に対応)と、6.5MPaの二酸化炭素と同一の伝熱流路及び質量流速の条件における10MPaの二酸化炭素の熱伝達率の値(熱源側熱交換器4の冷媒側の熱伝達率に対応)とを示しているが、これを見ると、冷媒の冷却器として機能する熱源側熱交換器4や中間冷却器7内を流れる冷媒の温度範囲(35〜70℃程度)において、6.5MPaの二酸化炭素の熱伝達率の値が10MPaの二酸化炭素の熱伝達率の値よりも低いことがわかる。
このため、本実施形態の空気調和装置1の熱源ユニット1a(すなわち、側方から空気を吸い込んで上方に向かって空気を吹き出すように構成された熱源ユニット)において、仮に、中間冷却器7を熱源側熱交換器4の下方に配置された状態で熱源側熱交換器4と一体化すると、熱源となる空気の流速が小さい熱源ユニット1aの下部に熱源側熱交換器4と一体化された中間冷却器7が配置されることになり、中間冷却器7を熱源ユニット1aの下部に配置することによる中間冷却器7の空気側の熱伝達率の低下の影響と、中間冷却器7の冷媒側の熱伝達率が熱源側熱交換器4の冷媒側の熱伝達率に比べて低くなる影響とが重なり合って、中間冷却器7の総括熱伝達率が低くなり、しかも、熱源側熱交換器4と一体化することとの兼ね合いで中間冷却器7の伝熱面積を大きくする程度にも限界があるため、中間冷却器7の伝熱性能の低下が生じることになるが、本実施形態では、中間冷却器7を熱源側熱交換器4と一体化し、両者が一体化した熱交換器パネル70の上部に中間冷却器7を配置するようにしているため(ここでは、中間冷却器7を熱源側熱交換器4の上方に配置された状態で熱源側熱交換器4と一体化するようにしているため)、熱源となる空気の流速が大きい熱源ユニット1aの上部に中間冷却器7が配置されることになり、中間冷却器7の空気側の熱伝達率が高くなり、その結果、中間冷却器7の総括熱伝達率の低下が抑えられて、中間冷却器7の伝熱性能の低下を抑えることができる。
また、本実施形態の空気調和装置1において、仮に、中間冷却器7を熱源側熱交換器4の下方に配置された状態で熱源側熱交換器4と一体化すると、上述の除霜運転によって融解した水が中間冷却器7の表面に付着することによってアイスアップ現象が生じ易くなるのであるが、本実施形態では、中間冷却器7を熱源側熱交換器4と一体化し、両者が一体化した熱交換器パネル70の上部に中間冷却器7を配置するようにしているため(ここでは、中間冷却器7を熱源側熱交換器4の上方に配置された状態で熱源側熱交換器4と一体化するようにしているため)、除霜運転によって融解して熱源側熱交換器4から滴下した水が中間冷却器7に付着しにくくなり、アイスアップ現象が抑えられて、機器の信頼性を向上させることができる。しかも、上述の除霜運転によって融解した水が中間冷却器7の表面に付着しにくくなることから、上述の除霜運転において、中間冷却器7の除霜時間を非常に短くすることができる。
(3)変形例1
上述の実施形態においては、1台の一軸二段圧縮構造の圧縮機21によって、2つの圧縮要素2c、2dのうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮する二段圧縮式の圧縮機構2が構成されているが、図13に示されるように、1つの圧縮要素が1つの圧縮機駆動モータによって回転駆動される単段圧縮構造の圧縮機を2台直列に接続することによって二段圧縮構造の圧縮機構2が構成されていてもよい。
ここで、圧縮機構2は、圧縮機22と、圧縮機23とを有している。圧縮機22は、ケーシング22a内に、圧縮機駆動モータ22bと、駆動軸22cと、圧縮要素2cとが収容された密閉式構造となっている。そして、圧縮機駆動モータ22bは、駆動軸22cに連結されており、駆動軸22cは、圧縮要素2cに連結されている。また、圧縮機23は、ケーシング23a内に、圧縮機駆動モータ23bと、駆動軸23cと、圧縮要素2dとが収容された密閉式構造となっている。そして、圧縮機駆動モータ23bは、駆動軸23cに連結されており、駆動軸23cは、圧縮要素2dに連結されている。そして、圧縮機構2は、上述の実施形態及びその変形例1、2と同様に、吸入管2aから冷媒を吸入し、この吸入された冷媒を圧縮要素2cによって圧縮した後に中間冷媒管8に吐出し、中間冷媒管8に吐出された冷媒を圧縮要素2dに吸入させて冷媒をさらに圧縮した後に吐出管2bに吐出するように構成されている。
そして、この変形例1の構成においても、上述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(4)変形例2
上述の実施形態及びその変形例においては、図1や図10等に示されるように、2つの圧縮要素2c、2dのうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮する二段圧縮式の圧縮機構2を採用しているが、図14〜図16に示されるように、3つの圧縮要素102c、102d、102eのうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮する三段圧縮式の圧縮機構102を採用してもよい。
まず、図14に示される三段圧縮式冷凍サイクルを行う空気調和装置1の構成について説明する。ここで、空気調和装置1は、上述の実施形態及びその変形例と同様、冷房運転と暖房運転を切り換え可能に構成された冷媒回路110を有し、超臨界域で作動する冷媒(ここでは、二酸化炭素)を使用している。空気調和装置1の冷媒回路110は、主として、三段圧縮式の圧縮機構102と、切換機構3と、熱源側熱交換器4と、膨張機構5と、利用側熱交換器6と、2つの中間冷却器7とを有している。次に、各機器について説明するが、熱源側熱交換器4、膨張機構5、利用側熱交換器6、及び、制御部(図示せず)については、上述の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
図14において、圧縮機構102は、1つの圧縮要素で冷媒を単段圧縮する圧縮機24と、2つの圧縮要素で冷媒を二段圧縮する圧縮機25とが直列に接続されることによって構成されている。圧縮機24は、上述の変形例3における単段圧縮構造の圧縮機22、23と同様、ケーシング24a内に、圧縮機駆動モータ24bと、駆動軸24cと、圧縮要素102cとが収容された密閉式構造となっている。そして、圧縮機駆動モータ24bは、駆動軸24cに連結されており、駆動軸24cは、圧縮要素102cに連結されている。また、圧縮機25は、上述の実施形態における二段圧縮構造の圧縮機21と同様、ケーシング25a内に、圧縮機駆動モータ25cと、駆動軸25cと、圧縮要素102d、102eとが収容された密閉式構造となっている。そして、圧縮機駆動モータ25bは、駆動軸25cに連結されており、この駆動軸25cは、2つの圧縮要素102d、102eに連結されている。そして、圧縮機24は、吸入管102aから冷媒を吸入し、この吸入された冷媒を圧縮要素102cによって圧縮した後に、圧縮要素102cの後段側に接続された圧縮要素102dに吸入させるための中間冷媒管8に吐出するように構成されている。そして、圧縮機25は、この中間冷媒管8に吐出された冷媒を圧縮要素102dに吸入させて冷媒をさらに圧縮した後に、圧縮要素102dの後段側に接続された圧縮要素102eに吸入させるための中間冷媒管8に吐出し、この中間冷媒管8に吐出された冷媒を圧縮要素102eに吸入させて冷媒をさらに圧縮した後に、吐出管102bに吐出するように構成されている。
また、図14に示される構成(すなわち、単段圧縮式の圧縮機24と二段圧縮式の圧縮機25とが直列に接続された構成)に代えて、図15に示されるように、二段圧縮式の圧縮機26と単段圧縮式の圧縮機27とが直列に接続された構成にしてもよい。この場合においても、圧縮機26が圧縮要素102c、102dを有し、圧縮機27が圧縮要素102eを有しているため、図14に示される構成と同様に、3つの圧縮要素102c、102d、102eが直列接続された構成が得られる。尚、圧縮機26は、上述の実施形態における圧縮機21と同様の構成であり、圧縮機27は、上述の変形例1における圧縮機22、23と同様の構成であるため、圧縮要素102c、102d、102eを除く各部を示す符号をそれぞれ26番台や27番台に置き換えることとし、ここでは、説明を省略する。
さらに、図14に示される構成(すなわち、単段圧縮式の圧縮機25と二段圧縮式の圧縮機24とが直列に接続された構成)に代えて、図16に示されるように、3台の単段圧縮式の圧縮機24、28、27が直列に接続された構成にしてもよい。この場合においても、圧縮機24が圧縮要素102cを有し、圧縮機28が圧縮要素102dを有し、圧縮機27が圧縮要素102eを有しているため、図14や図15に示される構成と同様に、3つの圧縮要素102c、102d、102eが直列接続された構成が得られる。尚、圧縮機24、28は、上述の変形例1における圧縮機22、23と同様の構造であるため、圧縮要素102c、102dを除く各部を示す符号をそれぞれ24番台や28番台に置き換えることとし、ここでは、説明を省略する。
このように、本変形例において、圧縮機構102は、3つの圧縮要素102c、102d、102eを有しており、これらの圧縮要素102c、102d、102eのうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮するように構成されている。
中間冷却器7は、各中間冷媒管8に設けられている。すなわち、中間冷却器7の1つは、前段側の圧縮要素102cから吐出されて圧縮要素102dに吸入される冷媒の冷却器として機能する熱交換器として設けられ、もう1つの中間冷却器7は、前段側の圧縮要素102dから吐出されて圧縮要素102eに吸入される冷媒の冷却器として機能する熱交換器として設けられている。そして、これらの中間冷却器7についても、上述の実施形態と同様、熱源側熱交換器4の上方に配置された状態で熱源側熱交換器4と一体化されている(図2〜図4参照)。
また、各中間冷媒管8には、上述の実施形態と同様、中間冷却器7をバイパスするように、中間冷却器バイパス管9が接続されており、この中間冷却器バイパス管9には、切換機構3を冷却運転状態にしている際に閉め、切換機構3を加熱運転状態にしている際に開ける制御がなされる中間冷却器バイパス開閉弁11が設けられている。
また、各中間冷媒管8には、上述の実施形態と同様、中間冷却器バイパス管9との接続部から中間冷却器7側の位置(すなわち、中間冷却器7の入口側の中間冷却器バイパス管9との接続部から中間冷却器7の出口側の接続部までの部分、及び、中間冷却器7の入口側の中間冷却器バイパス管9との接続部から中間冷却器7の出口側の接続部までの部分)に、切換機構3を冷却運転状態にしている際に開け、切換機構3を加熱運転状態にしている際に閉める制御がなされる冷却器開閉弁12が設けられている。
さらに、空気調和装置1には、上述の実施形態と同様、熱源側熱交換器4を流れる冷媒の温度を検出する熱源側熱交温度センサ51と、各中間冷却器7の出口における冷媒の温度を検出する中間冷却器出口温度センサ52と、熱源側熱交換器4及び2つの中間冷却器7の熱源としての空気の温度を検出する空気温度センサ53が設けられている。
次に、本変形例の空気調和装置1の動作について、図14〜図20を用いて説明する。ここで、図17は、変形例2における冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図18は、変形例2における冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図であり、図19は、変形例2における暖房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図20は、変形例2における暖房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。尚、以下の冷房運転、暖房運転及び除霜運転における運転制御は、上述の制御部(図示せず)によって行われる。また、以下の説明において、「高圧」とは、冷凍サイクルにおける高圧(すなわち、図17、図18の点D、D’、Eにおける圧力や図19、図20の点D、D’、Fにおける圧力)を意味し、「低圧」とは、冷凍サイクルにおける低圧(すなわち、図17、図18の点A、Fにおける圧力や図19、図20の点A、Eにおける圧力)を意味し、「中間圧」とは、冷凍サイクルにおける中間圧(すなわち、図17〜図20の点B1、B2、B2’、C1、C1’、C2、C2’における圧力)を意味している。
<冷房運転>
冷房運転時は、切換機構3が図14〜図16の実線で示される冷却運転状態とされる。
膨張機構5は、開度調節される。そして、切換機構3が冷却運転状態となるため、2つの冷却器開閉弁12が開けられ、また、2つの中間冷却器バイパス管9の中間冷却器バイパス開閉弁11が閉められることによって、2つの中間冷却器7が冷却器として機能する状態とされる。
この冷媒回路110の状態において、圧縮機構102を駆動すると、低圧の冷媒(図14〜図18の点A参照)は、吸入管102aから圧縮機構102に吸入され、まず、圧縮要素102cによって中間圧力まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図14〜図18の点B1参照)。この前段側の圧縮要素102cから吐出された中間圧の冷媒は、中間冷却器7において、冷却源としての水又は空気と熱交換を行うことで冷却される(図14〜図18の点C1参照)。この中間冷却器7において冷却された冷媒は、次に、逆止機構15を通過した後に圧縮要素102cの後段側に接続された圧縮要素102dに吸入されて圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図14〜図18の点B2参照)。この前段側の圧縮要素102dから吐出された中間圧の冷媒は、中間冷却器7において、冷却源としての水又は空気と熱交換を行うことで冷却される(図14〜図18の点C2参照)。この中間冷却器7において冷却された冷媒は、次に、圧縮要素102dの後段側に接続された圧縮要素102eに吸入されてさらに圧縮された後に、圧縮機構102から吐出管102bに吐出される(図14〜図18の点D参照)。ここで、圧縮機構102から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素102c、102d、102eによる三段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図17に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構102から吐出された高圧の冷媒は、油分離機構41を構成する油分離器41aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、油分離器41aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、油分離機構41を構成する油戻し管41bに流入し、油戻し管41bに設けられた減圧機構41cで減圧された後に圧縮機構102の吸入管102aに戻されて、再び、圧縮機構102に吸入される。次に、油分離機構41において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構42及び切換機構3を通じて、冷媒の冷却器として機能する熱源側熱交換器4に送られる。そして、熱源側熱交換器4に送られた高圧の冷媒は、熱源側熱交換器4において、冷却源としての空気と熱交換を行って冷却される(図14〜図18の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒は、膨張機構5によって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の加熱器として機能する利用側熱交換器6に送られる(図14〜図18の点F参照)。そして、利用側熱交換器6に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水又は空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図14〜図18の点A参照)。そして、この利用側熱交換器6において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構102に吸入される。このようにして、冷房運転が行われる。
そして、本変形例の構成においては、圧縮要素102cから吐出された冷媒を圧縮要素102dに吸入させるための中間冷媒管8に中間冷却器7を設け、かつ、圧縮要素102dから吐出された冷媒を圧縮要素102eに吸入させるための中間冷媒管8に中間冷却器7を設けるとともに、切換機構3を冷却運転状態にした冷房運転において、2つの冷却器開閉弁12を開け、また、2つの中間冷却器バイパス管9の中間冷却器バイパス開閉弁11を閉めることによって、2つの中間冷却器7を冷却器として機能する状態にしているため、中間冷却器7を設けなかった場合(この場合には、図17、図18において、点A→点B1→点B2’(C2’)→点D’→点E→点Fの順で冷凍サイクルが行われる)に比べて、圧縮要素102cの後段側の圧縮要素102dに吸入される冷媒の温度、及び、圧縮要素102dの後段側の圧縮要素102eに吸入される冷媒の温度が低下し(図18の点B1、C1、B2、C2参照)、圧縮要素102eから吐出される冷媒の温度も低下することになる(図18の点D、D’参照)。このため、本変形例の構成において、高圧の冷媒の冷却器として機能する熱源側熱交換器4において、中間冷却器7を設けなかった場合に比べて、冷却源としての水や空気と冷媒との温度差を小さくすることが可能になり、図18の点B1、B2’(C2’)、D’、D、C2、B2、C1によって囲まれる面積に相当する分の放熱ロスを小さくできることから、運転効率を向上させることができる。しかも、この面積は、上述の実施形態及びその変形例1のような二段圧縮式冷凍サイクルにおける面積よりも大きくなるため、上述の実施形態及びその変形例1に比べて、さらに運転効率を向上させることができる。
<暖房運転>
暖房運転時は、切換機構3が図14〜図16の破線で示される加熱運転状態とされる。膨張機構5は、開度調節される。そして、切換機構3が加熱運転状態となるため、2つの冷却器開閉弁12が閉められ、また、2つの中間冷却器バイパス管9の中間冷却器バイパス開閉弁11が開けられることによって、2つの中間冷却器7が冷却器として機能しない状態とされる。
この冷媒回路110の状態において、圧縮機構102を駆動すると、低圧の冷媒(図14〜図16、図19、図20の点A参照)は、吸入管102aから圧縮機構102に吸入され、まず、圧縮要素102cによって中間圧力まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図14〜図16、図19、図20の点B1参照)。この前段側の圧縮要素102cから吐出された中間圧の冷媒は、冷房運転時とは異なり、中間冷却器7を通過せずに(すなわち、冷却されることなく)、中間冷却器バイパス管9を通過して(図14〜図16、図19、図20の点C1参照)、圧縮要素102cの後段側に接続された圧縮要素102dに吸入されてさらに圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図14〜図16、図19、図20の点B2参照)。この前段側の圧縮要素102dから吐出された中間圧の冷媒も、中間冷却器7を通過せずに(すなわち、冷却されることなく)、中間冷却器バイパス管9を通過して(図14〜図16、図19、図20の点C2参照)、圧縮要素102dの後段側に接続された圧縮要素102eに吸入されてさらに圧縮された後に、圧縮機構102から吐出管102bに吐出される(図14〜図16、図19、図20の点D参照)。ここで、圧縮機構102から吐出された高圧の冷媒は、冷房運転時と同様、圧縮要素102c、102d、102eによる三段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図19に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構102から吐出された高圧の冷媒は、油分離機構41を構成する油分離器41aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、油分離器41aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、油分離機構41を構成する油戻し管41bに流入し、油戻し管41bに設けられた減圧機構41cで減圧された後に圧縮機構102の吸入管102aに戻されて、再び、圧縮機構102に吸入される。そして、この圧縮機構102から吐出された高圧の冷媒は、油分離機構41を構成する油分離器41aに流入し、同伴する冷凍機油が分離される。また、油分離器41aにおいて高圧の冷媒から分離された冷凍機油は、油分離機構41を構成する油戻し管41bに流入し、油戻し管41bに設けられた減圧機構41cで減圧された後に圧縮機構102の吸入管102aに戻されて、再び、圧縮機構102に吸入される。次に、油分離機構41において冷凍機油が分離された後の高圧の冷媒は、逆止機構42及び切換機構3を通じて、逆止機構42及び切換機構3を経由して、冷媒の冷却器として機能する利用側熱交換器6に送られて、冷却源としての水又は空気と熱交換を行って冷却される(図14〜図16、図19、図20の点F参照)。そして、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒は、膨張機構5によって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、冷媒の加熱器として機能する熱源側熱交換器4に送られる(図14〜図16、図19、図20の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水又は空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図14〜図16、図19、図20の点A参照)。そして、この熱源側熱交換器4において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構102に吸入される。このようにして、暖房運転が行われる。
そして、本変形例の構成においては、圧縮要素102cから吐出された冷媒を圧縮要素102dに吸入させるための中間冷媒管8に中間冷却器7を設け、かつ、圧縮要素102dから吐出された冷媒を圧縮要素102eに吸入させるための中間冷媒管8に中間冷却器7を設けるとともに、切換機構3を加熱運転状態にした暖房運転において、2つの冷却器開閉弁12を閉め、また、2つの中間冷却器バイパス管9の中間冷却器バイパス開閉弁11を開けることによって、2つの中間冷却器7を冷却器として機能しない状態にしているため、中間冷却器7だけを設けた場合や上述の冷房運転と同様に中間冷却器7を冷却器として機能させた場合(この場合には、図19、図20において、点A→点B1→点C1’→点B2’→点C2’→点D’→点F→点Eの順で冷凍サイクルが行われる)に比べて、圧縮機構102から吐出される冷媒の温度の低下が抑えられる(図20の点D、D’参照)。このため、本変形例の構成において、中間冷却器7だけを設けた場合や上述の冷房運転と同様に中間冷却器7を冷却器として機能させた場合に比べて、外部への放熱を抑え、冷媒の冷却器として機能する利用側熱交換器6に供給される冷媒の温度の低下を抑えることが可能になり、図19の点Dと点Fとのエンタルピ差hと点D’と点Fとのエンタルピ差h’との差に相当する分の加熱能力の低下を抑えることができるため、上述の実施形態及びその変形例1と同様、運転効率の低下を防ぐことができる。
以上のように、本変形例の構成では、2つの中間冷却器7だけでなく、2つの冷却器開閉弁12や2つの中間冷却器バイパス管9を設けて、2つの冷却器開閉弁12や2つの中間冷却器バイパス管9を用いて、切換機構3を冷却運転状態にしている際に中間冷却器7を冷却器として機能させ、切換機構3を加熱運転状態にしている際に中間冷却器7を冷却器として機能させないようにしている。このため、空気調和装置1では、冷却運転としての冷房運転時においては、圧縮機構102から吐出される冷媒の温度を低く抑えることができ、加熱運転としての暖房運転時においては、圧縮機構102から吐出される冷媒の温度の低下を抑えることができるようになり、冷房運転時においては、冷媒の冷却器として機能する熱源側熱交換器4における放熱ロスを小さくして、運転効率を向上させることができるとともに、暖房運転時には、冷媒の冷却器として機能する利用側熱交換器6に供給される冷媒の温度の低下を抑えることで加熱能力の低下を抑えて、運転効率の低下を防ぐことができる。
<除霜運転>
本変形例の空気調和装置1においても、熱源側熱交換器4の熱源としての空気の温度が低い条件で暖房運転を行うと、冷媒の加熱器として機能する熱源側熱交換器4に着霜が生じ、これにより、熱源側熱交換器4の伝熱性能が低下するおそれがある。このため、熱源側熱交換器4の除霜を行う必要がある。
このため、本変形例においても、上述の実施形態と同様の除霜運転(図9〜図11及びその関連記載)を行う。以下、本変形例の除霜運転について、図14〜図16及び図9を用いて説明する。
まず、ステップS1において、暖房運転時に熱源側熱交換器4に着霜が生じたかどうかを判定する。この判定は、熱源側熱交温度センサ51により検出される熱源側熱交換器4を流れる冷媒の温度や暖房運転の積算時間に基づいて行われる。そして、ステップS1において、熱源側熱交換器4に着霜が生じているものと判定された場合には、ステップS2の処理に移行する。
次に、ステップS2において、除霜運転を開始する。この除霜運転は、切換機構3を加熱運転状態(すなわち、暖房運転)から冷却運転状態に切り換えることで熱源側熱交換器4を冷媒の冷却器として機能させる逆サイクル除霜運転である。しかも、本変形例では、上述の実施形態と同様、中間冷却器7として空気を熱源とする熱交換器を採用し、かつ、2つの中間冷却器7を熱源側熱交換器4と一体化させていることから、これらの中間冷却器7にも着霜が生じるおそれがあるため、熱源側熱交換器4だけでなく中間冷却器7にも冷媒を流して中間冷却器7の除霜を行う必要がある。そこで、除霜運転の開始時においては、上述の冷房運転と同様、切換機構3を加熱運転状態(すなわち、暖房運転)から冷却運転状態(すなわち、冷房運転)に切り換えることで熱源側熱交換器4を冷媒の冷却器として機能させるとともに、冷却器開閉弁12を開け、また、中間冷却器バイパス開閉弁11を閉めることによって、中間冷却器7を冷却器として機能させる運転を行う。
次に、ステップS3において、中間冷却器7の除霜が完了したかどうかを判定する。そして、この判定は、各中間冷却器7の出口冷媒温度に基づいて行われる。このような中間冷却器7の出口冷媒温度に基づく判定により、中間冷却器7の除霜が完了したことの検知を確実に行うことができる。そして、ステップS3において、中間冷却器7の除霜が完了したものと判定された場合には、ステップS4の処理に移行する。
次に、ステップS4において、中間冷却器7及び熱源側熱交換器4を除霜する運転から熱源側熱交換器4のみを除霜する運転に移行する。そして、このステップS4における運転移行によって、逆サイクル除霜運転による熱源側熱交換器4の除霜を継続しながら、冷却器開閉弁12を閉め、また、中間冷却器バイパス開閉弁11を開けることによって、中間冷却器7を冷却器として機能させないようにした運転が行われる。これにより、中間冷却器7から外部への放熱が行われないようになるため、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の温度が低くなるのを抑え、その結果、圧縮機構2から吐出される冷媒の温度が低くなるのを抑えて、熱源側熱交換器4の除霜能力が低下するのを抑えることができるようになる。
次に、ステップS5において、熱源側熱交換器4の除霜が完了したかどうかを判定する。この判定は、熱源側熱交温度センサ51により検出される熱源側熱交換器4を流れる冷媒の温度や除霜運転の運転時間に基づいて行われる。そして、ステップS5において、熱源側熱交換器4の除霜が完了したものと判定された場合には、ステップS6の処理に移行して、除霜運転を終了し、再び、暖房運転を再開させる処理が行われる。より具体的には、切換機構3を冷却運転状態から加熱運転状態(すなわち、暖房運転)に切り換える処理等が行われる。
以上のように、本変形例の空気調和装置1は、上述の実施形態と同様、熱源側熱交換器4を冷媒の冷却器として機能させることで熱源側熱交換器4の除霜を行う除霜運転を行う際に、熱源側熱交換器4及び中間冷却器7に冷媒を流し、中間冷却器7の除霜が完了したことを検知した後に、中間冷却器バイパス管9を用いて、中間冷却器7に冷媒が流れないようにするものであり、これにより、除霜運転を行う際に、中間冷却器7の除霜も併せて行うとともに、中間冷却器7から外部へ放熱が行われることによって生じる除霜能力の低下を抑えることができ、また、除霜時間を短縮するのに寄与することができる。
ここで、本変形例においても、超臨界域で作動する冷媒(ここでは、二酸化炭素)を使用しているため、中間冷却器7内には臨界圧力Pcp(二酸化炭素では、約7.3MPa)よりも低い中間圧の冷媒が流れ、冷媒の冷却器として機能する熱源側熱交換器4内には臨界圧力Pcpを超える高圧の冷媒が流れる冷房運転等の冷凍サイクルが行われることがあり(図17参照)、この場合には、臨界圧力Pcpよりも低い圧力における冷媒の物性と臨界圧力Pcpを超える圧力における冷媒の物性(特に、熱伝導率や定圧比熱)との差異に起因して、中間冷却器7の冷媒側の熱伝達率が冷媒の冷却器として機能する熱源側熱交換器4の冷媒側の熱伝達率に比べて低くなる傾向となる。これに対して、本変形例では、三段圧縮式の圧縮機構102を採用しているため、前段側の圧縮要素102cによって吐出された後に後段側の圧縮要素102dに吸入される冷媒の中間圧(図17の点B1、C1参照)が臨界圧力Pcpよりも低くなっており、ここでは図示しないが、上述の実施形態における中間冷却器7を流れる冷媒の中間圧(図5の点B1、C1及び図12参照)と同様、冷媒の冷却器として機能する熱源側熱交換器4や中間冷却器7内を流れる冷媒の温度範囲(35〜70℃程度)において、この中間冷却器7を流れる中間圧の冷媒の熱伝達率の値が熱源側熱交換器4を流れる高圧の冷媒の熱伝達率の値よりも低くなる。
このため、本変形例においても、中間冷却器7を熱源側熱交換器4と一体化し、両者が一体化した熱交換器パネル70の上部に中間冷却器7を配置するようにしているため(ここでは、中間冷却器7を熱源側熱交換器4の上方に配置された状態で熱源側熱交換器4と一体化するようにしているため)、熱源となる空気の流速が大きい熱源ユニット1aの上部に中間冷却器7が配置されることになり、中間冷却器7の空気側の熱伝達率が高くなり、その結果、中間冷却器7の総括熱伝達率の低下が抑えられて、中間冷却器7の伝熱性能の低下を抑えることができる。また、本変形例では、除霜運転によって融解して熱源側熱交換器4から滴下した水が中間冷却器7に付着しにくくなり、アイスアップ現象が抑えられて、機器の信頼性を向上させることができる。しかも、上述の除霜運転において、中間冷却器7の除霜時間を非常に短くすることができる。
(5)変形例3
上述の実施形態及びその変形例においては、図1、図13〜図16に示されるように、複数の圧縮要素で順次圧縮する多段圧縮式の圧縮機構2や圧縮機構102を一系統だけ有する構成としているが、例えば、能力の大きな利用側熱交換器6が接続される場合や複数の利用側熱交換器6が接続される場合等においては、多段圧縮式の圧縮機構2や圧縮機構102を複数系統並列に接続した並列多段圧縮式の圧縮機構を採用してもよい。
例えば、図21に示されるように、上述の実施形態において、圧縮要素203c、203dを有する二段圧縮式の第1圧縮機構203と圧縮要素204c、204dを有する二段圧縮式の第2圧縮機構204とを並列に接続した構成を有する圧縮機構202を採用した冷媒回路210にすることができる。
第1圧縮機構203は、本変形例において、2つの圧縮要素203c、203dで冷媒を二段圧縮する圧縮機29から構成されており、圧縮機構202の吸入母管202aから分岐された第1吸入枝管203a、及び、圧縮機構202の吐出母管202bに合流する第1吐出枝管203bに接続されている。第2圧縮機構204は、本変形例において、2つの圧縮要素204c、204dで冷媒を二段圧縮する圧縮機30から構成されており、圧縮機構202の吸入母管202aから分岐された第2吸入枝管204a、及び、圧縮機構202の吐出母管202bに合流する第2吐出枝管204bに接続されている。尚、圧縮機29、30は、上述の実施形態における圧縮機21と同様の構成であるため、圧縮要素203c、203d、204c、204dを除く各部を示す符号をそれぞれ29番台や30番台に置き換えることとし、ここでは、説明を省略する。そして、圧縮機29は、第1吸入枝管203aから冷媒を吸入し、この吸入された冷媒を圧縮要素203cによって圧縮した後に中間冷媒管8を構成する第1入口側中間枝管81に吐出し、第1入口側中間枝管81に吐出された冷媒を中間冷媒管8を構成する中間母管82及び第1出口側中間枝管83を通じて圧縮要素203dに吸入させて冷媒をさらに圧縮した後に第1吐出枝管203bに吐出するように構成されている。圧縮機30は、第1吸入枝管204aから冷媒を吸入し、この吸入された冷媒を圧縮要素204cによって圧縮した後に中間冷媒管8を構成する第2入口側中間枝管84に吐出し、第2入口側中間枝管84に吐出された冷媒を中間冷媒管8を構成する中間母管82及び第2出口側中間枝管85を通じて圧縮要素204dに吸入させて冷媒をさらに圧縮した後に第2吐出枝管204bに吐出するように構成されている。中間冷媒管8は、本変形例において、圧縮要素203d、204dの前段側に接続された圧縮要素203c、204cから吐出された冷媒を、圧縮要素203c、204cの後段側に接続された圧縮要素203d、204dに吸入させるための冷媒管であり、主として、第1圧縮機構203の前段側の圧縮要素203cの吐出側に接続される第1入口側中間枝管81と、第2圧縮機構204の前段側の圧縮要素204cの吐出側に接続される第2入口側中間枝管84と、両入口側中間枝管81、84が合流する中間母管82と、中間母管82から分岐されて第1圧縮機構203の後段側の圧縮要素203dの吸入側に接続される第1出口側中間枝管83と、中間母管82から分岐されて第2圧縮機構204の後段側の圧縮要素204dの吸入側に接続される第2出口側中間枝管85とを有している。また、吐出母管202bは、圧縮機構202から吐出された冷媒を切換機構3に送るための冷媒管であり、吐出母管202bに接続される第1吐出枝管203bには、第1油分離機構241と第1逆止機構242とが設けられており、吐出母管202bに接続される第2吐出枝管204bには、第2油分離機構243と第2逆止機構244とが設けられている。第1油分離機構241は、第1圧縮機構203から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離して圧縮機構202の吸入側へ戻す機構であり、主として、第1圧縮機構203から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離する第1油分離器241aと、第1油分離器241aに接続されており冷媒から分離された冷凍機油を圧縮機構202の吸入側に戻す第1油戻し管241bとを有している。第2油分離機構243は、第2圧縮機構204から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離して圧縮機構202の吸入側へ戻す機構であり、主として、第2圧縮機構204から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油を冷媒から分離する第2油分離器243aと、第2油分離器243aに接続されており冷媒から分離された冷凍機油を圧縮機構202の吸入側に戻す第2油戻し管243bとを有している。本変形例において、第1油戻し管241bは、第2吸入枝管204aに接続されており、第2油戻し管243cは、第1吸入枝管203aに接続されている。このため、第1圧縮機構203内に溜まった冷凍機油の量と第2圧縮機構204内に溜まった冷凍機油の量との間に偏りに起因して第1圧縮機構203から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油の量と第2圧縮機構204から吐出される冷媒に同伴する冷凍機油の量との間に偏りが生じた場合であっても、圧縮機構203、204のうち冷凍機油の量が少ない方に冷凍機油が多く戻ることになり、第1圧縮機構203内に溜まった冷凍機油の量と第2圧縮機構204内に溜まった冷凍機油の量との間の偏りが解消されるようになっている。また、本変形例において、第1吸入枝管203aは、第2油戻し管243bとの合流部から吸入母管202aとの合流部までの間の部分が、吸入母管202aとの合流部に向かって下り勾配になるように構成されており、第2吸入枝管204aは、第1油戻し管241bとの合流部から吸入母管202aとの合流部までの間の部分が、吸入母管202aとの合流部に向かって下り勾配になるように構成されている。このため、圧縮機構203、204のいずれか一方が停止中であっても、運転中の圧縮機構に対応する油戻し管から停止中の圧縮機構に対応する吸入枝管に戻される冷凍機油は、吸入母管202aに戻ることになり、運転中の圧縮機構の油切れが生じにくくなっている。油戻し管241b、243bには、油戻し管241b、243bを流れる冷凍機油を減圧する減圧機構241c、243cが設けられている。逆止機構242、244は、圧縮機構203、204の吐出側から切換機構3への冷媒の流れを許容し、かつ、切換機構3から圧縮機構203、204の吐出側への冷媒の流れを遮断するための機構である。
このように、圧縮機構202は、本変形例において、2つの圧縮要素203c、203dを有するとともにこれらの圧縮要素203c、203dのうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮するように構成された第1圧縮機構203と、2つの圧縮要素204c、204dを有するとともにこれらの圧縮要素204c、204dのうちの前段側の圧縮要素から吐出された冷媒を後段側の圧縮要素で順次圧縮するように構成された第2圧縮機構204とを並列に接続した構成となっている。
中間冷却器7は、本変形例において、中間冷媒管8を構成する中間母管82に設けられており、第1圧縮機構203の前段側の圧縮要素203cから吐出された冷媒と第2圧縮機構204の前段側の圧縮要素204cから吐出された冷媒とが合流したものを冷却する熱交換器である。すなわち、中間冷却器7は、2つの圧縮機構203、204に共通の冷却器として機能するものとなっている。このため、多段圧縮式の圧縮機構203、204を複数系統並列に接続した並列多段圧縮式の圧縮機構202に対して中間冷却器7を設ける際の圧縮機構202周りの回路構成の簡素化が図られている。そして、本変形例の中間冷却器7についても、上述の実施形態と同様、熱源側熱交換器4の上方に配置された状態で熱源側熱交換器4と一体化されている(図2〜図4参照)。
また、中間冷媒管8を構成する第1入口側中間枝管81には、第1圧縮機構203の前段側の圧縮要素203cの吐出側から中間母管82側への冷媒の流れを許容し、かつ、中間母管82側から前段側の圧縮要素203cの吐出側への冷媒の流れを遮断するための逆止機構81aが設けられており、中間冷媒管8を構成する第2入口側中間枝管84には、第2圧縮機構203の前段側の圧縮要素204cの吐出側から中間母管82側への冷媒の流れを許容し、かつ、中間母管82側から前段側の圧縮要素204cの吐出側への冷媒の流れを遮断するための逆止機構84aが設けられている。本変形例においては、逆止機構81a、84aとして逆止弁が使用されている。このため、圧縮機構203、204のいずれか一方が停止中であっても、運転中の圧縮機構の前段側の圧縮要素から吐出された冷媒が中間冷媒管8を通じて、停止中の圧縮機構の前段側の圧縮要素の吐出側に達するということが生じないため、運転中の圧縮機構の前段側の圧縮要素から吐出された冷媒が、停止中の圧縮機構の前段側の圧縮要素内を通じて圧縮機構202の吸入側に抜けて停止中の圧縮機構の冷凍機油が流出するということが生じなくなり、これにより、停止中の圧縮機構を起動する際の冷凍機油の不足が生じにくくなっている。尚、圧縮機構203、204間に運転の優先順位を設けている場合(例えば、第1圧縮機構203を優先的に運転する圧縮機構とする場合)には、上述の停止中の圧縮機構に該当することがあるのは、第2圧縮機構204に限られることになるため、この場合には、第2圧縮機構204に対応する逆止機構84aだけを設けるようにしてもよい。
また、上述のように、第1圧縮機構203を優先的に運転する圧縮機構とする場合においては、中間冷媒管8が圧縮機構203、204に共通に設けられているため、運転中の第1圧縮機構203に対応する前段側の圧縮要素203cから吐出された冷媒が中間冷媒管8の第2出口側中間枝管85を通じて、停止中の第2圧縮機構204の後段側の圧縮要素204dの吸入側に達し、これにより、運転中の第1圧縮機構203の前段側の圧縮要素203cから吐出された冷媒が、停止中の第2圧縮機構204の後段側の圧縮要素204d内を通じて圧縮機構202の吐出側に抜けて停止中の第2圧縮機構204の冷凍機油が流出して、停止中の第2圧縮機構204を起動する際の冷凍機油の不足が生じるおそれがある。そこで、本変形例では、第2出口側中間枝管85に開閉弁85aを設け、第2圧縮機構204が停止中の場合には、この開閉弁85aによって第2出口側中間枝管85内の冷媒の流れを遮断するようにしている。これにより、運転中の第1圧縮機構203の前段側の圧縮要素203cから吐出された冷媒が中間冷媒管8の第2出口側中間枝管85を通じて、停止中の第2圧縮機構204の後段側の圧縮要素204dの吸入側に達することがなくなるため、運転中の第1圧縮機構203の前段側の圧縮要素203cから吐出された冷媒が、停止中の第2圧縮機構204の後段側の圧縮要素204d内を通じて圧縮機構202の吐出側に抜けて停止中の第2圧縮機構204の冷凍機油が流出するということが生じなくなり、これにより、停止中の第2圧縮機構204を起動する際の冷凍機油の不足がさらに生じにくくなっている。尚、本変形例においては、開閉弁85aとして電磁弁が使用されている。
また、第1圧縮機構203を優先的に運転する圧縮機構とする場合においては、第1圧縮機構203の起動に続いて第2圧縮機構204を起動することになるが、この際、中間冷媒管8が圧縮機構203、204に共通に設けられているため、第2圧縮機構204の前段側の圧縮要素203cの吐出側の圧力及び後段側の圧縮要素203dの吸入側の圧力が、前段側の圧縮要素203cの吸入側の圧力及び後段側の圧縮要素203dの吐出側の圧力よりも高くなった状態から起動することになり、安定的に第2圧縮機構204を起動することが難しい。そこで、本変形例では、第2圧縮機構204の前段側の圧縮要素204cの吐出側と後段側の圧縮要素204dの吸入側とを接続する起動バイパス管86を設けるとともに、この起動バイパス管86に開閉弁86aを設け、第2圧縮機構204が停止中の場合には、この開閉弁86aによって起動バイパス管86内の冷媒の流れを遮断し、かつ、開閉弁85aによって第2出口側中間枝管85内の冷媒の流れを遮断するようにし、第2圧縮機構204を起動する際に、開閉弁86aによって起動バイパス管86内に冷媒を流すことができる状態にすることで、第2圧縮機構204の前段側の圧縮要素204cから吐出される冷媒を第1圧縮機構203の前段側の圧縮要素204cから吐出される冷媒に合流させることなく、起動バイパス管86を通じて後段側の圧縮要素204dに吸入させるようにして、圧縮機構202の運転状態が安定した時点(例えば、圧縮機構202の吸入圧力、吐出圧力及び中間圧力が安定した時点)で、開閉弁85aによって第2出口側中間枝管85内に冷媒を流すことができる状態にし、かつ、開閉弁86aによって起動バイパス管86内の冷媒の流れを遮断して、通常の冷房運転に移行することができるようになっている。尚、本変形例において、起動バイパス管86は、その一端が第2出口側中間枝管85の開閉弁85aと第2圧縮機構204の後段側の圧縮要素204dの吸入側との間に接続され、その他端が第2圧縮機構204の前段側の圧縮要素204cの吐出側と第2入口側中間枝管84の逆止機構84aとの間に接続されており、第2圧縮機構204を起動する際に、第1圧縮機構203の中間圧部分の影響を受けにくい状態にできるようになっている。また、本変形例においては、開閉弁86aとして電磁弁が使用されている。
また、本変形例の空気調和装置1の冷房運転時、暖房運転時及び除霜運転時の動作は、圧縮機構2に代えて設けられた圧縮機構202によって、圧縮機構202周りの回路構成がやや複雑化したことによる変更点を除いては、上述の実施形態における動作(図1、図5〜図11及びその関連記載)と基本的に同じであるため、ここでは、説明を省略する。
そして、この変形例3の構成においても、上述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、ここでは、詳しい説明を省略するが、二段圧縮式の圧縮機構203、204に代えて、三段圧縮式(例えば、変形例2における圧縮機構102)等のような二段圧縮式よりも多段の圧縮機構を採用してもよいし、また、多段圧縮式の圧縮機構を3系統以上並列に接続した並列多段圧縮式の圧縮機構を採用してもよく、この場合においても、本変形例と同様の効果を得ることができる。
(6)変形例4
上述の実施形態及びその変形例においては、切換機構3によって冷房運転と暖房運転とを切換可能に構成された空気調和装置1において、中間冷却器7を熱源側熱交換器4と一体化し、両者が一体化した熱交換器パネル70の上部に配置された空冷式の中間冷却器7(ここでは、熱源側熱交換器4の上方に配置された状態で熱源側熱交換器4と一体化された空冷式の中間冷却器7)及び中間冷却器バイパス管9を設けて、中間冷却器7及び中間冷却器バイパス管9を用いて、切換機構3を冷却運転状態にしている際に中間冷却器7を冷却器として機能させ、切換機構3を加熱運転状態にしている際に中間冷却器7を冷却器として機能させないようにすることで、冷房運転時においては、冷媒の冷却器として機能する熱源側熱交換器4における放熱ロスを小さくして、運転効率を向上させるとともに、暖房運転時には、外部への放熱を抑えて、加熱能力の低下を抑えるようにしているが、この構成に加えて、熱源側熱交換器4又は利用側熱交換器6において冷却された冷媒を分岐して後段側の圧縮要素2dに戻すための後段側インジェクション管をさらに設けるようにしてもよい。
例えば、図22に示されるように、二段圧縮式の圧縮機構2が採用された上述の実施形態において、膨張機構5に代えてレシーバ入口膨張機構5a及びレシーバ出口膨張機構5bが設けられるとともに、ブリッジ回路17、レシーバ18、後段側インジェクション管19、及び、エコノマイザ熱交換器20が設けられた冷媒回路310にすることができる。
ブリッジ回路17は、熱源側熱交換器4と利用側熱交換器6との間に設けられており、レシーバ18の入口に接続されるレシーバ入口管18a、及び、レシーバ18の出口に接続されるレシーバ出口管18bに接続されている。ブリッジ回路17は、本変形例において、4つの逆止弁17a、17b、17c、17dを有している。そして、入口逆止弁17aは、熱源側熱交換器4からレシーバ入口管18aへの冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。入口逆止弁17bは、利用側熱交換器6からレシーバ入口管18aへの冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。すなわち、入口逆止弁17a、17bは、熱源側熱交換器4及び利用側熱交換器6の一方からレシーバ入口管18aに冷媒を流通させる機能を有している。出口逆止弁17cは、レシーバ出口管18bから利用側熱交換器6への冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。出口逆止弁17dは、レシーバ出口管18bから熱源側熱交換器4への冷媒の流通のみを許容する逆止弁である。すなわち、出口逆止弁17c、17dは、レシーバ出口管18bから熱源側熱交換器4及び利用側熱交換器6の他方に冷媒を流通させる機能を有している。
レシーバ入口膨張機構5aは、レシーバ入口管18aに設けられた冷媒を減圧する機構であり、本変形例において、電動膨張弁が使用されている。また、本変形例において、レシーバ入口膨張機構5aは、冷房運転時には、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒を利用側熱交換器6に送る前に減圧し、暖房運転時には、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒を熱源側熱交換器4に送る前に減圧する。
レシーバ18は、レシーバ入口膨張機構5aで減圧された後の冷媒を一時的に溜めるために設けられた容器であり、その入口がレシーバ入口管18aに接続されており、その出口がレシーバ出口管18bに接続されている。また、レシーバ18には、レシーバ18内から冷媒を抜き出して圧縮機構2の吸入管2a(すなわち、圧縮機構2の前段側の圧縮要素2cの吸入側)に戻すことが可能な吸入戻し管18cが接続されている。この吸入戻し管18cには、吸入戻し開閉弁18dが設けられている。吸入戻し開閉弁18dは、本変形例において、電磁弁である。
レシーバ出口膨張機構5bは、レシーバ出口管18bに設けられた冷媒を減圧する機構であり、本変形例において、電動膨張弁が使用されている。また、本変形例において、レシーバ出口膨張機構5bは、冷房運転時には、レシーバ入口膨張機構5aによって減圧された冷媒を利用側熱交換器6に送る前に低圧になるまでさらに減圧し、暖房運転時には、レシーバ入口膨張機構5aによって減圧された冷媒を熱源側熱交換器4に送る前に低圧になるまでさらに減圧する。
このように、ブリッジ回路17、レシーバ18、レシーバ入口管18a及びレシーバ出口管18bによって、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒が、ブリッジ回路17の入口逆止弁17a、レシーバ入口管18aのレシーバ入口膨張機構5a、レシーバ18、レシーバ出口管18bのレシーバ出口膨張機構5b及びブリッジ回路17の出口逆止弁17cを通じて、利用側熱交換器6に送ることができるようになっている。また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒が、ブリッジ回路17の入口逆止弁17b、レシーバ入口管18aのレシーバ入口膨張機構5a、レシーバ18、レシーバ出口管18bのレシーバ出口膨張機構5b及びブリッジ回路17の出口逆止弁17dを通じて、熱源側熱交換器6に送ることができるようになっている。
後段側インジェクション管19は、熱源側熱交換器4又は利用側熱交換器6において冷却された冷媒を分岐して圧縮機構2の後段側の圧縮要素2dに戻す機能を有している。本変形例において、後段側インジェクション管19は、レシーバ入口管18aを流れる冷媒を分岐して後段側の圧縮要素2dの吸入側に戻すように設けられている。より具体的には、後段側インジェクション管19は、レシーバ入口管18aのレシーバ入口膨張機構5aの上流側の位置(すなわち、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、熱源側熱交換器4とレシーバ入口膨張機構5aとの間、また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、利用側熱交換器6とレシーバ入口膨張機構5aとの間)から冷媒を分岐して中間冷媒管8の中間冷却器7の下流側の位置に戻すように設けられている。この後段側インジェクション管19には、開度制御が可能な後段側インジェクション弁19aが設けられている。後段側インジェクション弁19aは、本変形例において、電動膨張弁である。
エコノマイザ熱交換器20は、熱源側熱交換器4又は利用側熱交換器6において冷却された冷媒と後段側インジェクション管19を流れる冷媒(より具体的には、後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後の冷媒)との熱交換を行う熱交換器である。本変形例において、エコノマイザ熱交換器20は、レシーバ入口管18aのレシーバ入口膨張機構5aの上流側の位置(すなわち、切換機構3を冷却運転状態にしている際には、熱源側熱交換器4とレシーバ入口膨張機構5aとの間、また、切換機構3を加熱運転状態にしている際には、利用側熱交換器6とレシーバ入口膨張機構5aとの間)を流れる冷媒と後段側インジェクション管19を流れる冷媒との熱交換を行うように設けられており、また、両冷媒が対向するように流れる流路を有している。また、本変形例において、エコノマイザ熱交換器20は、レシーバ入口管18aの後段側インジェクション管19の上流側に設けられている。このため、熱源側熱交換器4又は利用側熱交換器6において冷却された冷媒は、レシーバ入口管18aにおいて、エコノマイザ熱交換器20において熱交換される前に後段側インジェクション管19に分岐され、その後に、エコノマイザ熱交換器20において、後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行うことになる。
さらに、本変形例の空気調和装置1には、各種のセンサが設けられている。具体的には、中間冷媒管8又は圧縮機構2には、中間冷媒管8を流れる冷媒の圧力を検出する中間圧力センサ54が設けられている。エコノマイザ熱交換器20の後段側インジェクション管19側の出口には、エコノマイザ熱交換器20の後段側インジェクション管19側の出口における冷媒の温度を検出するエコノマイザ出口温度センサ55が設けられている。
次に、本変形例の空気調和装置1の動作について、図22〜図26を用いて説明する。ここで、図23は、変形例4における冷房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図24は、変形例4における冷房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図であり、図25は、変形例4における暖房運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図であり、図26は、変形例4における暖房運転時の冷凍サイクルが図示された温度−エントロピ線図である。尚、以下の冷房運転、暖房運転及び除霜運転における運転制御は、上述の制御部(図示せず)によって行われる。また、以下の説明において、「高圧」とは、冷凍サイクルにおける高圧(すなわち、図23、図24の点D、D’、E、Hにおける圧力や図25、図26の点D、D’、F、Hにおける圧力)を意味し、「低圧」とは、冷凍サイクルにおける低圧(すなわち、図23、図24の点A、F、F’における圧力や図25、図26の点A、E、E’における圧力)を意味し、「中間圧」とは、冷凍サイクルにおける中間圧(すなわち、図23〜図26の点B1、C1、G、J、Kにおける圧力)を意味している。
<冷房運転>
冷房運転時は、切換機構3が図22の実線で示される冷却運転状態とされる。レシーバ入口膨張機構5a及びレシーバ出口膨張機構5bは、開度調節される。そして、切換機構3が冷却運転状態となるため、冷却器開閉弁12が開けられ、また、中間冷却器バイパス管9の中間冷却器バイパス開閉弁11が閉められることによって、中間冷却器7が冷却器として機能する状態とされる。さらに、後段側インジェクション弁19aも、開度調節される。より具体的には、本変形例において、後段側インジェクション弁19aは、エコノマイザ熱交換器20の後段側インジェクション管19側の出口における冷媒の過熱度が目標値になるように開度調節される、いわゆる過熱度制御がなされるようになっている。本変形例において、エコノマイザ熱交換器20の後段側インジェクション管19側の出口における冷媒の過熱度は、中間圧力センサ54により検出される中間圧を飽和温度に換算し、エコノマイザ出口温度センサ55により検出される冷媒温度からこの冷媒の飽和温度値を差し引くことによって得られる。尚、本変形例では採用していないが、エコノマイザ熱交換器20の後段側インジェクション管19側の入口に温度センサを設けて、この温度センサにより検出される冷媒温度をエコノマイザ出口温度センサ55により検出される冷媒温度から差し引くことによって、エコノマイザ熱交換器20の後段側インジェクション管19側の出口における冷媒の過熱度を得るようにしてもよい。
この冷媒回路310の状態において、圧縮機構2を駆動すると、低圧の冷媒(図22〜図24の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧力まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図22〜図24の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、中間冷却器7において、冷却源としての空気と熱交換を行うことで冷却される(図22〜図24の点C1参照)。この中間冷却器7において冷却された冷媒は、後段側インジェクション管19から後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒(図22〜図24の点K参照)と合流することでさらに冷却される(図22〜図24の点G参照)。次に、後段側インジェクション管19から戻る冷媒と合流した中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図22〜図24の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図23に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、切換機構3を経由して、冷媒の冷却器として機能する熱源側熱交換器4に送られて、冷却源としての空気と熱交換を行って冷却される(図22〜図24の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒は、ブリッジ回路17の入口逆止弁17aを通じてレシーバ入口管18aに流入し、その一部が後段側インジェクション管19に分岐される。そして、後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後に、エコノマイザ熱交換器20に送られる(図22〜図24の点J参照)。また、後段側インジェクション管19に分岐された後のレシーバ入口管18aを流れる冷媒は、エコノマイザ熱交換器20に流入し、後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される(図22〜図24の点H参照)。一方、後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、レシーバ入口管18aを流れる冷媒と熱交換を行って加熱されて(図22〜図24の点K参照)、上述のように、中間冷却器7において冷却された冷媒に合流することになる。そして、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒は、レシーバ入口膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められる(図22〜図24の点I参照)。そして、レシーバ18内に溜められた冷媒は、レシーバ出口管18bに送られて、レシーバ出口膨張機構5bによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、ブリッジ回路17の出口逆止弁17cを通じて冷媒の加熱器として機能する利用側熱交換器6に送られる(図22〜図24の点F参照)。そして、利用側熱交換器6に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水又は空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図22〜図24の点A参照)。そして、この利用側熱交換器6において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、冷房運転が行われる。
そして、本変形例の構成においては、上述の実施形態と同様、切換機構3を冷却運転状態にした冷房運転において、中間冷却器7を冷却器として機能する状態にしていることから、中間冷却器7を設けなかった場合に比べて、熱源側熱交換器4における放熱ロスを小さくできるようになっている。
しかも、本変形例の構成では、後段側インジェクション管19を設けて熱源側熱交換器4から膨張機構5a、5bに送られる冷媒を分岐して後段側の圧縮要素2dに戻すようにしているため、中間冷却器7のような外部への放熱を行うことなく、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の温度をさらに低く抑えることができる(図24の点C1、G参照)。これにより、圧縮機構2から吐出される冷媒の温度がさらに低く抑えられ(図24の点D、D’参照)、後段側インジェクション管19を設けていない場合に比べて、図24の点C1、D’、D、Gを結ぶことによって囲まれる面積に相当する分の放熱ロスをさらに小さくできることから、運転効率をさらに向上させることができる。
また、本変形例の構成では、熱源側熱交換器4から膨張機構5a、5bに送られる冷媒と後段側インジェクション管19を流れる冷媒との熱交換を行うエコノマイザ熱交換器20をさらに設けているため、後段側インジェクション管19を流れる冷媒によって熱源側熱交換器4から膨張機構5a、5bに送られる冷媒を冷却することができ(図23、図24の点E、点H参照)、後段側インジェクション管19及びエコノマイザ熱交換器20を設けない場合(この場合には、図23、図24において、点A→点B1→点C1→点D’→点E→点F’の順で冷凍サイクルが行われる)に比べて、利用側熱交換器6における冷媒の単位流量当たりの冷却能力を高くすることができる。
<暖房運転>
暖房運転時は、切換機構3が図22の破線で示される加熱運転状態とされる。レシーバ入口膨張機構5a及びレシーバ出口膨張機構5bは、開度調節される。そして、切換機構3が加熱運転状態となるため、冷却器開閉弁12が閉められ、また、中間冷却器バイパス管9の中間冷却器バイパス開閉弁11が開けられることによって、中間冷却器7が冷却器として機能しない状態とされる。さらに、後段側インジェクション弁19aも、冷房運転時と同様の過熱度制御によって開度調節される。
この冷媒回路310の状態において、圧縮機構2を駆動すると、低圧の冷媒(図22、図25、図26の点A参照)は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入され、まず、圧縮要素2cによって中間圧力まで圧縮された後に、中間冷媒管8に吐出される(図22、図25、図26の点B1参照)。この前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、冷房運転時とは異なり、中間冷却器7を通過せずに(すなわち、冷却されることなく)、中間冷却器バイパス管9を通過して(図22、図25、図26の点C1参照)、後段側インジェクション管19から後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒(図22、図25、図26の点K参照)と合流することで冷却される(図22、図25、図26の点G参照)。次に、後段側インジェクション管19から戻る冷媒と合流した中間圧の冷媒は、圧縮要素2cの後段側に接続された圧縮要素2dに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される(図22、図25、図26の点D参照)。ここで、圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、冷房運転時と同様、圧縮要素2c、2dによる二段圧縮動作によって、臨界圧力(すなわち、図25に示される臨界点CPにおける臨界圧力Pcp)を超える圧力まで圧縮されている。そして、この圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、切換機構3を経由して、冷媒の冷却器として機能する利用側熱交換器6に送られて、冷却源としての空気と熱交換を行って冷却される(図22、図25、図26の点F参照)。そして、利用側熱交換器6において冷却された高圧の冷媒は、ブリッジ回路17の入口逆止弁17bを通じてレシーバ入口管18aに流入し、その一部が後段側インジェクション管19に分岐される。そして、後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、後段側インジェクション弁19aにおいて中間圧付近まで減圧された後に、エコノマイザ熱交換器20に送られる(図22、図25、図26の点J参照)。また、後段側インジェクション管19に分岐された後のレシーバ入口管18aを流れる冷媒は、エコノマイザ熱交換器20に流入し、後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行って冷却される(図22、図25、図26の点H参照)。一方、後段側インジェクション管19を流れる冷媒は、レシーバ入口管18aを流れる冷媒と熱交換を行って加熱されて(図22、図25、図26の点K参照)、上述のように、前段側の圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒に合流することになる。そして、エコノマイザ熱交換器20において冷却された高圧の冷媒は、レシーバ入口膨張機構5aによって飽和圧力付近まで減圧されてレシーバ18内に一時的に溜められる(図22、図25、図26の点I参照)。そして、レシーバ18内に溜められた冷媒は、レシーバ出口管18bに送られて、レシーバ出口膨張機構5bによって減圧されて低圧の気液二相状態の冷媒となり、ブリッジ回路17の出口逆止弁17dを通じて冷媒の加熱器として機能する熱源側熱交換器4に送られる(図22、図25、図26の点E参照)。そして、熱源側熱交換器4に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、加熱源としての水又は空気と熱交換を行って加熱されて、蒸発することになる(図22、図25、図26の点A参照)。そして、この熱源側熱交換器4において加熱された低圧の冷媒は、切換機構3を経由して、再び、圧縮機構2に吸入される。このようにして、暖房運転が行われる。
そして、本変形例の構成においては、上述の実施形態と同様、切換機構3を加熱運転状態にした暖房運転において、中間冷却器7を冷却器として機能させない状態にしていることから、中間冷却器7だけを設けた場合や上述の冷房運転と同様に中間冷却器7を冷却器として機能させた場合に比べて、外部への放熱を抑え、冷媒の冷却器として機能する利用側熱交換器6に供給される冷媒の温度の低下を抑えることが可能になり、加熱能力の低下を抑えて、運転効率の低下を防ぐことができるようになっている。
しかも、本変形例の構成では、後段側インジェクション管19を設けて利用側熱交換器6から膨張機構5a、5bに送られる冷媒を分岐して後段側の圧縮要素2dに戻すようにしているため、圧縮機構2から吐出される冷媒の温度が低くなり(図26の点D、点D’参照)、これによって、利用側熱交換器6における冷媒の単位流量当たりの加熱能力は小さくなるが(図25の点D、点D’、点F参照)、後段側の圧縮要素2dから吐出される冷媒の流量は増加するため、利用側熱交換器6における加熱能力が確保されて、運転効率を向上させることができる。
また、本変形例の構成では、利用側熱交換器6から膨張機構5a、5bに送られる冷媒と後段側インジェクション管19を流れる冷媒との熱交換を行うエコノマイザ熱交換器20をさらに設けているため、利用側熱交換器6から膨張機構5a、5bに送られる冷媒によって後段側インジェクション管19を流れる冷媒を加熱することができ(図25、図26の点J、点K参照)、後段側インジェクション管19及びエコノマイザ熱交換器20を設けない場合(この場合には、図25、図26において、点A→点B1→点C1→点D’→点F→点E’の順で冷凍サイクルが行われる)に比べて、後段側の圧縮要素2dから吐出される冷媒の流量を増加させることができる。
また、冷房運転及び暖房運転に共通する利点として、本変形例の構成では、エコノマイザ熱交換器20として、熱源側熱交換器4又は利用側熱交換器6から膨張機構5a、5bに送られる冷媒と後段側インジェクション管19を流れる冷媒とが対向するように流れる流路を有する熱交換器を採用しているため、エコノマイザ熱交換器20における熱源側熱交換器4又は利用側熱交換器6から膨張機構5a、5bに送られる冷媒と後段側インジェクション管19を流れる冷媒との温度差を小さくすることができ、高い熱交換効率を得ることができる。また、本変形例の構成では、熱源側熱交換器4又は利用側熱交換器6から膨張機構5a、5bに送られる冷媒がエコノマイザ熱交換器20において熱交換される前に熱源側熱交換器4又は利用側熱交換器6から膨張機構5a、5bに送られる冷媒を分岐するように後段側インジェクション管19を設けているため、エコノマイザ熱交換器20において後段側インジェクション管19を流れる冷媒と熱交換を行う熱源側熱交換器4又は利用側熱交換器6から膨張機構5a、5bに送られる冷媒の流量を少なくすることができ、エコノマイザ熱交換器20における交換熱量を小さくすることができ、エコノマイザ熱交換器20のサイズを小さくすることができる。
<除霜運転>
この空気調和装置1において、熱源側熱交換器4の熱源としての空気の温度が低い条件で暖房運転を行うと、上述の実施形態及びその変形例と同様、冷媒の加熱器として機能する熱源側熱交換器4に着霜が生じ、これにより、熱源側熱交換器4の伝熱性能が低下するおそれがある。このため、熱源側熱交換器4の除霜を行う必要がある。
以下、本変形例の除霜運転について、図27〜図30を用いて詳細に説明する。
まず、ステップS1において、暖房運転時に熱源側熱交換器4に着霜が生じたかどうかを判定する。この判定は、熱源側熱交温度センサ51により検出される熱源側熱交換器4を流れる冷媒の温度や暖房運転の積算時間に基づいて行われる。例えば、熱源側熱交温度センサ51により検出される熱源側熱交換器4における冷媒の温度が着霜が生じる条件に相当する所定温度以下であることが検知された場合、又は、暖房運転の積算時間が所定時間以上経過した場合には、熱源側熱交換器4に着霜が生じているものと判定し、このような温度条件や時間条件に該当しない場合には、熱源側熱交換器4に着霜が生じていないものと判定するものである。ここで、所定温度や所定時間については、熱源としての空気の温度に依存するため、所定温度や所定時間を空気温度センサ53により検出される空気の温度の関数として設定することが好ましい。また、熱源側熱交換器4の入口や出口に温度センサが設けられている場合には、熱源側熱交温度センサ51により検出される冷媒の温度に代えて、これらの温度センサにより検出される冷媒の温度を温度条件の判定に使用してもよい。そして、ステップS1において、熱源側熱交換器4に着霜が生じているものと判定された場合には、ステップS2の処理に移行する。
次に、ステップS2において、除霜運転を開始する。この除霜運転は、切換機構3を加熱運転状態(すなわち、暖房運転)から冷却運転状態に切り換えることで熱源側熱交換器4を冷媒の冷却器として機能させる逆サイクル除霜運転である。しかも、上述の実施形態及びその変形例と同様に、熱源側熱交換器4だけでなく中間冷却器7にも冷媒を流して中間冷却器7の除霜を行う必要があるため、冷却器開閉弁12を開け、また、中間冷却器バイパス開閉弁11を閉めることによって、中間冷却器7を冷却器として機能させる運転を行う(図28中の冷媒の流れを示す矢印を参照)。
一方、逆サイクル除霜運転を採用すると、利用側熱交換器6を冷媒の冷却器として機能させたいのにもかかわらず、利用側熱交換器6を冷媒の加熱器として機能させることになるため、利用側の温度低下が生じるという問題がある。また、逆サイクル除霜運転は、熱源としての空気の温度が低い条件における冷房運転であるため、冷凍サイクルの低圧が低くなり、前段側の圧縮要素2cから吸入される冷媒の流量が減少してしまう。そうすると、冷媒回路310を循環する冷媒の流量が減少し、熱源側熱交換器4を流れる冷媒の流量を確保できなくなるため、熱源側熱交換器4の除霜に時間がかかるという問題も生じる。
そこで、本変形例では、冷却器開閉弁12を開け、また、中間冷却器バイパス開閉弁11を閉めることによって、中間冷却器7を冷却器として機能させる運転を行うとともに、後段側インジェクション管19を用いて、熱源側熱交換器4から利用側熱交換器6に送られる冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻しながら逆サイクル除霜運転を行うようにしている(図28中の冷媒の流れを示す矢印を参照)。しかも、本変形例においては、後段側インジェクション弁19aの開度を、逆サイクル除霜運転を行う直前の暖房運転時における後段側インジェクション弁19aの開度よりも大きくなるように開度制御を行っている。例えば、後段側インジェクション弁19aの全閉状態における開度を0%、かつ、全開状態における開度を100%とし、暖房運転時に後段側インジェクション弁19aが50%以下の開度範囲で制御されている場合には、このステップS2における後段側インジェクション弁19aは、70%程度まで開度が大きくなるように制御され、ステップS3において、中間冷却器7の除霜が完了したと判定されるまで、その開度で固定される。
これにより、中間冷却器7の除霜を行い、そして、後段側インジェクション管19を流れる冷媒の流量を増加させて利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量を減らすとともに、後段側の圧縮要素2dにおいて処理する冷媒の流量を増加させて熱源側熱交換器4を流れる冷媒の流量を確保可能な逆サイクル除霜運転が実現されることになる。しかも、本変形例では、逆サイクル除霜運転を行う直前の暖房運転における後段側インジェクション弁19aの開度よりも大きくなるように開度制御を行っているため、利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量をさらに減らしつつ、熱源側熱交換器4を流れる冷媒の流量をさらに増やすことができるようになっている。
尚、中間冷却器7の除霜が完了するまでの間においては、一時的ではあるが、中間冷却器7を流れる冷媒が凝縮してしまい、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒が湿り状態となり、これにより、後段側の圧縮要素2dで湿り圧縮が生じて圧縮機構2が過負荷状態になるおそれがある。
そこで、本変形例では、ステップS7において、中間冷却器7において冷媒が凝縮したことを検知した場合に、ステップS8において、後段側インジェクション管19を通じて後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒の流量を減らす吸入湿り防止制御を行うようにしている。
ここで、ステップS7における中間冷却器7において冷媒が凝縮したかどうかの判定は、中間冷却器7の出口における冷媒の過熱度に基づいて行われる。例えば、中間冷却器7の出口における冷媒の過熱度がゼロ以下(すなわち、飽和状態)であることが検知された場合には、中間冷却器7において冷媒が凝縮しているものと判定し、このような過熱度条件に該当しない場合には、中間冷却器7において冷媒が凝縮していないものと判定するものである。尚、中間冷却器7の出口における冷媒の過熱度は、本変形例において、中間冷却器出口温度センサ52により検出される中間冷却器7の出口における冷媒の温度から、中間圧力センサ54により検出される中間冷媒管8を流れる冷媒の圧力を換算して得られる飽和温度を差し引くことによって得られる。また、ステップS8においては、後段側インジェクション弁19aの開度が小さくなるように制御することで、後段側インジェクション管19を通じて後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒の流量を減らすことになるが、本変形例では、中間冷却器7において冷媒が凝縮したことを検知する前の開度(ここでは、70%程度)よりも小さい開度(例えば、全閉近く)なるように開度制御が行われる(図29中の冷媒の流れを示す矢印を参照)。
これにより、中間冷却器7の除霜が完了するまでの間に中間冷却器7を流れる冷媒が凝縮した場合であっても、後段側インジェクション管19を通じて後段側の圧縮要素2dに戻される冷媒の流量を一時的に減らし、中間冷却器7の除霜を継続しながら、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の湿りの程度を抑えて、後段側の圧縮要素2dで湿り圧縮が生じて圧縮機構2が過負荷状態になるのを抑えることができるようになっている。
次に、ステップS3において、中間冷却器7の除霜が完了したかどうかを判定する。ここで、中間冷却器7の除霜が完了したかどうかを判定するのは、上述のように、暖房運転の際、中間冷却器バイパス管9によって中間冷却器7を冷却器として機能させないようにしているため、中間冷却器7における着霜量が少なく、熱源側熱交換器4に比べて早く中間冷却器7の除霜が完了するからである。そして、この判定は、中間冷却器7の出口冷媒温度に基づいて行われる。例えば、中間冷却器出口温度センサ52により検出される中間冷却器7の出口冷媒温度が所定温度以上であることが検知された場合には、中間冷却器7の除霜が完了したものと判定し、このような温度条件に該当しない場合には、中間冷却器7の除霜が完了していないものと判定するものである。このような中間冷却器7の出口冷媒温度に基づく判定により、中間冷却器7の除霜が完了したことの検知を確実に行うことができる。そして、ステップS3において、中間冷却器7の除霜が完了したものと判定された場合には、ステップS4の処理に移行する。
次に、ステップS4において、中間冷却器7及び熱源側熱交換器4を除霜する運転から熱源側熱交換器4のみを除霜する運転に移行する。このような中間冷却器7の除霜完了後の運転移行を行うのは、仮に、中間冷却器7の除霜が完了した後にも中間冷却器7に冷媒を流し続けると、中間冷却器7から外部へ放熱が行われて、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の温度が低下してしまい、その結果、圧縮機構2から吐出される冷媒の温度が低くなって、熱源側熱交換器4の除霜能力が低下するという問題が生じてしまうことから、このような問題が生じないようにするためである。そして、このステップS4における運転移行によって、逆サイクル除霜運転による熱源側熱交換器4の除霜を継続しながら、冷却器開閉弁12を閉め、また、中間冷却器バイパス開閉弁11を開けることによって、中間冷却器7を冷却器として機能させないようにした運転が行われる(図30中の冷媒の流れを示す矢印を参照)。これにより、中間冷却器7から外部への放熱が行われないようになるため、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の温度が低くなるのを抑え、その結果、圧縮機構2から吐出される冷媒の温度が低くなるのを抑えて、熱源側熱交換器4の除霜能力が低下するのを抑えることができるようになる。
しかし、中間冷却器7の除霜が完了したことを検知した後に、中間冷却器バイパス管9を用いて(すなわち、冷却器開閉弁12を閉め、また、中間冷却器バイパス開閉弁11を開けて)、中間冷却器7に冷媒が流れないようにすると、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の温度が急激に上昇することになるため、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の密度が小さくなり、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒の流量が減少する傾向になる。このため、中間冷却器7から外部への放熱を防ぐことによる除霜能力を高める作用と、熱源側熱交換器4を流れる冷媒の流量が減少することによる除霜能力を低下させる作用とのバランスで、熱源側熱交換器4の除霜能力が低下するのを抑える効果を十分に得られないおそれがある。
そこで、ステップS4では、中間冷却器バイパス管9を用いて、中間冷却器7に冷媒が流れないようにするとともに、後段側インジェクション弁19aの開度が大きくなるように制御することで、中間冷却器7から外部へ放熱を防ぐとともに、熱源側熱交換器4から利用側熱交換器6に送られる冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻し、熱源側熱交換器4を流れる冷媒の流量を増加させるようにしている。ここで、後段側インジェクション弁19aの開度は、ステップS2において、逆サイクル除霜運転を行う直前の暖房運転時における後段側インジェクション弁19aの開度よりも大きな開度(ここでは、70%程度)となっているが、このステップS4において、さらに大きな開度(例えば、全開近く)まで開ける制御が行われる。
次に、ステップS5において、熱源側熱交換器4の除霜が完了したかどうかを判定する。この判定は、熱源側熱交温度センサ51により検出される熱源側熱交換器4を流れる冷媒の温度や除霜運転の運転時間に基づいて行われる。例えば、熱源側熱交温度センサ51により検出される熱源側熱交換器4における冷媒の温度が着霜がないとみなせる条件に相当する温度以上であることが検知された場合、又は、除霜運転が所定時間以上経過した場合には、熱源側熱交換器4の除霜が完了したものと判定し、このような温度条件や時間条件に該当しない場合には、熱源側熱交換器4の除霜が完了していないものと判定するものである。ここで、熱源側熱交換器4の入口や出口に温度センサが設けられている場合には、熱源側熱交温度センサ51により検出される冷媒の温度に代えて、これらの温度センサにより検出される冷媒の温度を温度条件の判定に使用してもよい。そして、ステップS5において、熱源側熱交換器4の除霜が完了したものと判定された場合には、ステップS6の処理に移行して、除霜運転を終了し、再び、暖房運転を再開させる処理が行われる。より具体的には、切換機構3を冷却運転状態から加熱運転状態(すなわち、暖房運転)に切り換える処理等が行われる。
以上のように、空気調和装置1においても、上述の実施形態及びその変形例と同様の効果が得られる。
しかも、本変形例では、切換機構3を冷却運転状態に切り換えることで熱源側熱交換器4の除霜を行う逆サイクル除霜運転を行う際に、後段側インジェクション管19を用いて、熱源側熱交換器4から利用側熱交換器6に送られる冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻すようにしており、中間冷却器7の除霜が完了したことを検知した後に、中間冷却器バイパス管9を用いて、中間冷却器7に冷媒が流れないようにするとともに、後段側インジェクション弁19aの開度が大きくなるように制御することで、中間冷却器7から外部へ放熱を防ぎ、そして、熱源側熱交換器4から利用側熱交換器6に送られる冷媒を後段側の圧縮要素2dに戻し、熱源側熱交換器4を流れる冷媒の流量を増加させて、熱源側熱交換器4の除霜能力の低下を抑えるようにしている。しかも、利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量を減らすことができるようになっている。
これにより、本変形例では、逆サイクル除霜運転を行う際の除霜能力の低下を抑えることができる。また、逆サイクル除霜運転を行う際の利用側の温度低下を抑えることができる。
また、本変形例では、後段側インジェクション管19が切換機構3を冷却運転状態にしている際に熱源側熱交換器4と膨張機構(ここでは、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒を利用側熱交換器6に送る前に減圧するレシーバ入口膨張機構5a)との間から冷媒を分岐するように設けられているため、膨張機構によって減圧される前の圧力から後段側の圧縮要素2dの吸入側の圧力までの差圧を利用することができるため、後段側の圧縮要素2dに戻す冷媒の流量を増やし易くなり、利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量をさらに減らしつつ、熱源側熱交換器4を流れる冷媒の流量をさらに増やすことができる。
また、本変形例では、切換機構3を冷却運転状態にしている際に熱源側熱交換器4から膨張機構(ここでは、熱源側熱交換器4において冷却された高圧の冷媒を利用側熱交換器6に送る前に減圧するレシーバ入口膨張機構5a)に送られる冷媒と後段側インジェクション管19を流れる冷媒との熱交換を行うエコノマイザ熱交換器20をさらに有しているため、後段側インジェクション管19を流れる冷媒が熱源側熱交換器4から膨張機構に送られる冷媒と熱交換することによって加熱されて、後段側の圧縮要素2dに吸入される冷媒が湿り状態になるおそれが小さくできる。これにより、後段側の圧縮要素2dに戻す冷媒の流量を増やし易くなり、利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量をさらに減らしつつ、熱源側熱交換器4を流れる冷媒の流量をさらに増やすことができる。
また、ここでは、詳しい説明を省略するが、二段圧縮式の圧縮機構2に代えて、三段圧縮式(例えば、変形例2における圧縮機構102)等のような二段圧縮式よりも多段の圧縮機構を採用してもよいし、また、二段圧縮式の圧縮機構2に代えて、変形例3における二段圧縮式の圧縮機構203、204を有する圧縮機構202を採用した冷媒回路410(図31参照)にする等のように、圧縮機構を複数系統並列に接続した並列多段圧縮式の圧縮機構を採用してもよく、この場合においても、本変形例と同様の効果を得ることができる。また、本変形例の空気調和装置1では、レシーバ入口膨張機構5a、レシーバ出口膨張機構5b、レシーバ18、後段側インジェクション管19、又は、エコノマイザ熱交換器20に対する冷媒の流れ方向を、冷房運転及び暖房運転にかかわらず一定させるという観点から、ブリッジ回路17を併せて採用しているが、例えば、冷房運転時又は暖房運転時のいずれか一方だけ後段側インジェクション管19やエコノマイザ熱交換器20を使用する等のように、レシーバ入口膨張機構5a、レシーバ出口膨張機構5b、レシーバ18、後段側インジェクション管19、又は、エコノマイザ熱交換器20に対する冷媒の流れ方向を冷房運転及び暖房運転にかかわらず一定させる必要がない場合には、ブリッジ回路17を省略してもよい。
(7)変形例5
上述の変形例4における冷媒回路310(図22参照)及び冷媒回路410(図31参照)では、1つの利用側熱交換器6が接続された構成となっているが、複数の利用側熱交換器6を接続するとともに、これらの利用側熱交換器6を個別に発停させることができるように構成してもよい。
例えば、図32に示されるように、二段圧縮式の圧縮機構2が採用された変形例4の冷媒回路310(図22参照)において、2つの利用側熱交換器6が接続されるとともに、各利用側熱交換器6のブリッジ回路17側端に対応して利用側膨張機構5cが設けられ、レシーバ出口管18bに設けられていたレシーバ出口膨張機構5bが削除され、さらに、ブリッジ回路17の出口逆止弁17dに代えて、ブリッジ出口膨張機構5dが設けられた冷媒回路510にしたり、また、図33に示されるように、並列二段圧縮式の圧縮機構202が採用された変形例4の冷媒回路410(図31参照)において、2つの利用側熱交換器6が接続されるとともに、各利用側熱交換器6のブリッジ回路17側端に対応して利用側膨張機構5cが設けられ、レシーバ出口管18bに設けられていたレシーバ出口膨張機構5bが削除され、さらに、ブリッジ回路17の出口逆止弁17dに代えて、ブリッジ出口膨張機構5dが設けられた冷媒回路610にしてもよい。
そして、本変形例の構成においては、冷房運転時において、ブリッジ出口膨張機構5dが全閉状態にされる点と、変形例4におけるレシーバ出口膨張機構5bの代わりに、利用側膨張機構5cがレシーバ入口膨張機構5aによって減圧された冷媒を利用側熱交換器6に送る前に低圧になるまでさらに減圧する動作を行う点とが、変形例4における冷房運転時や除霜運転時の動作と異なるが、その他の動作については、変形例4における冷房運転時や除霜運転時の動作(図22〜図24、図27〜図30及びその関連記載)と基本的に同じである。また、暖房運転時においては、各利用側熱交換器6を流れる冷媒の流量を制御するために利用側膨張機構5cの開度調節がなされる点と、変形例4におけるレシーバ出口膨張機構5bの代わりに、ブリッジ出口膨張機構5dがレシーバ入口膨張機構5aによって減圧された冷媒を熱源側熱交換器4に送る前に低圧になるまでさらに減圧する動作を行う点とが、変形例4における暖房運転時の動作と異なるが、その他の動作については、変形例4における暖房運転時の動作(図22、図25、図26及びその関連記載)と基本的に同じである。
そして、本変形例の構成においても、上述の変形例4と同様の作用効果を得ることができる。
また、ここでは、詳しい説明を省略するが、二段圧縮式の圧縮機構2、203、204に代えて、三段圧縮式(例えば、変形例2における圧縮機構102)等のような二段圧縮式よりも多段の圧縮機構を採用してもよい。
(8)変形例6
上述の実施形態及びその変形例においては、中間冷却器7を熱源側熱交換器4と一体化し、両者が一体化した熱交換器パネル70の上部に中間冷却器7を配置するにあたり、図2及び図3に示されるように、中間冷却器7を熱源側熱交換器4の上方に配置された状態で熱源側熱交換器4と一体化するようにしているが、中間冷却器7に流入する冷媒の温度は、熱源側熱交換器4に流入する冷媒の温度よりも低いため、中間冷却器7を流れる冷媒と熱源としての空気との間の温度差が熱源側熱交換器4を流れる冷媒と熱源としての空気との間の温度差よりも確保しにくく、中間冷却器7の伝熱性能の低下が生じやすい傾向にある。
そこで、本変形例では、図34に示されるように、熱交換器パネル70の上部に中間冷却器7を配置するにあたり、熱交換器パネル70の上部のうち熱源としての空気の流れ方向の風上側の部分である上側風上部に配置されるように(すなわち、空気の流れ方向の風下側の部分である風下部に配置されないように)している。
これにより、本変形例では、上述の実施形態及びその変形例における作用効果が得られるとともに、中間冷却器7を流れる冷媒と熱源としての空気との温度差を大きくすることができるため、その結果、中間冷却器7の伝熱性能を向上させることができる。
ここで、本変形例における熱交換器パネル70として、熱源としての空気の流れ方向に対して複数列(ここでは、3列)で、かつ、上下方向に複数段(ここでは、14段)の伝熱管が配列された構成を採用する場合には、例えば、図35に示されるような、中間冷却器7の風下側に配置された2列7段(計14本)の伝熱管を有する第1高温側伝熱流路70aと、第1高温側伝熱流路70aの下側に配置された2列7段(計14本)の伝熱管を有する第2高温側伝熱流路70bと、中間冷却器7の下側に配置された1列4段(計4本)の伝熱管を有する第1低温側伝熱流路70cと、第1低温側伝熱流路70cの下側に配置された1列4段(計4本)の伝熱管を有する第2低温側伝熱流路70dと、第1低温側伝熱流路70cの上側に配置された1列6段(計6本)の伝熱管を有する中間冷却伝熱流路70eとを有する構成にすることができる。
このような伝熱流路70a〜70eを有する熱交換器パネル70では、まず、前段側の圧縮要素から吐出された冷凍サイクルにおける中間圧の冷媒は、中間冷却伝熱流路70eに流入して、熱源としての空気と熱交換を行って冷却された後に、後段側の圧縮要素に送られる。次に、後段側の圧縮要素から吐出された冷凍サイクルにおける高圧、かつ、高温の冷媒は、2つに分岐されて、第1及び第2高温側伝熱流路70a、70bに流入して、中間冷却伝熱流路70eや低温側伝熱流路70c、70dを通過した後の空気と熱交換を行って冷却される。そして、第1高温側伝熱流路70aにおいて冷却された冷媒は、第1低温側伝熱流路70cに流入してさらに冷却され、第2高温側伝熱流路70bにおいて冷却された冷媒は、第2低温側伝熱流路70dに流入して、熱源としての空気と熱交換を行ってさらに冷却され、再び合流した後に、膨張機構等に送られる。
このように、図35に示される熱交換器パネル70では、中間冷却器7を構成する中間冷却伝熱流路70eが、熱交換器パネル70の上部のうち熱源としての空気の流れ方向の風上側の部分である上側風上部に配置されているだけでなく、熱源側熱交換器4が、後段側の圧縮要素から吐出された冷凍サイクルにおける高圧、かつ、高温の冷媒が流れる高温側伝熱流路70a、70bと、高温側伝熱流路70a、70bにおいて冷却された後の冷凍サイクルにおける高圧、かつ、低温の冷媒が流れる低温側伝熱流路70c、70dとを有しており、低温側伝熱流路70c、70dが、高温側伝熱流路70a、70bよりも熱源としての空気の流れ方向の風上側に配置されている(ここでは、高温側伝熱流路70a、70bが、熱交換器パネル70のうち空気の流れ方向の風下側の部分である風下部に配置されており、低温側伝熱流路70c、70dが、熱交換器パネル70のうち中間冷却伝熱流路70eの下側で、かつ、空気の流れ方向の風上側の部分である下側風上部に配置されている)。
このため、図35に示される構成では、上述の作用効果に加えて、高温の冷媒が高温の空気と熱交換し、かつ、低温の冷媒が低温の空気と熱交換するようになり、各伝熱流路70a〜70dにおける冷媒と空気との温度差が均一化されて、熱源側熱交換器4の伝熱性能を向上させることができる。
(9)変形例7
上述の変形例6においては、中間冷却器7(より具体的には、中間冷却伝熱流路70e)が熱交換器パネル70の上側風上部に配置されているため、熱源側熱交換器4(より具体的には、伝熱流路70a〜70d)を空気との熱交換に有利な熱交換器パネル70の風上部に配置するスペースが中間冷却器7の下側の下側風上部に限定されており、熱源側熱交換器4の伝熱性能の低下が生じやすい傾向にある。
そこで、本変形例では、図36に示されるように、変形例6とは異なり、低温側伝熱流路の流路数を2つから1つに減らすことで高温側伝熱流路70a、70bの流路数(ここでは、2つ)よりも少なくし(すなわち、1列8段(計8本)の伝熱管を有する低温側伝熱流路70fのみとし)、高温側伝熱流路70a、70bから低温側伝熱流路70fへ送られる冷媒が低温側伝熱流路70fの流路数(ここでは、1つ)になるように合流した後に、低温側伝熱流路70fに流入するように構成された熱源側熱交換器4を採用している。
これにより、本変形例では、熱交換器パネル70の下側風上部を高温の冷媒に比べて流路抵抗が小さい低温の冷媒が流れる低温側伝熱流路70fとし、かつ、高温側伝熱流路70a、70bから送られる冷媒を合流させて低温側伝熱流路70fに流入させるようにしているため、低温側伝熱流路70fを流れる冷媒の流速を高めて低温側伝熱流路70fにおける熱伝達率を向上させて、熱源側熱交換器4の伝熱性能をさらに向上させることができる。
ここで、本変形例における熱交換器パネル70として、さらに、上下方向の段数を増加させた構成(ここでは、56段)を採用する場合には、例えば、図37に示されるような中間冷却器7の風下側に配置された2列4段(計8本)の伝熱管を有する4つの第1〜第4高温側伝熱流路170a〜170dと、第4高温側伝熱流路170dの下側に配置された2列6段(計12本)の伝熱管を有する4つの第5〜第8高温側伝熱流路170e〜170hと、第8高温側伝熱流路170hの下側に配置された2列8段(計16本)の伝熱管を有する2つの第9及び第10高温側伝熱流路170i、170jと、中間冷却器7の下側に配置された1列6段(計6本)の伝熱管を有する2つの第1及び第2低温側伝熱流路170k、170lと、第2低温側伝熱流路170lの下側に配置された1列8段(計8本)の伝熱管を有する3つの第3〜第5低温側伝熱流路170m〜170oと、第1低温側伝熱流路170kの上側に配置された1列4段(計4本)の伝熱管を有する5つの第1〜第5中間冷却伝熱流路170p〜170tとを有する構成にすることができる。
このような伝熱流路170a〜170tを有する熱交換器パネル70では、まず、前段側の圧縮要素から吐出された冷凍サイクルにおける中間圧の冷媒は、5つに分岐されて、第1〜第5中間冷却伝熱流路170p〜170tに流入して、熱源としての空気と熱交換を行って冷却され、再び合流した後に、後段側の圧縮要素に送られる。次に、後段側の圧縮要素から吐出された冷凍サイクルにおける高圧、かつ、高温の冷媒は、10つに分岐されて、第1〜第10高温側伝熱流路170a〜170jに流入して、中間冷却伝熱流路170p〜170tや低温側伝熱流路170k〜170oを通過した後の空気と熱交換を行って冷却される。そして、第1及び第2高温側伝熱流路170a、170bにおいて冷却された冷媒は、合流して第1低温側伝熱流路170kに送られ、第3及び第4高温側伝熱流路170c、170dにおいて冷却された冷媒は、合流して第2低温側伝熱流路170lに送られ、第5及び第6高温側伝熱流路170e、170fにおいて冷却された冷媒は、合流して第3低温側伝熱流路170mに送られ、第7及び第8高温側伝熱流路170g、170hにおいて冷却された冷媒は、合流して第4低温側伝熱流路170nに送られ、第9及び第10高温側伝熱流路170i、170jにおいて冷却された冷媒は、合流して第5低温側伝熱流路170oに送られる(すなわち、流路数が10つから5つに減少する)。そして、第1〜第5低温側伝熱流路170k〜170oに送られた冷媒は、熱源としての空気と熱交換を行ってさらに冷却され、合流した後に、膨張機構等に送られる。
このように、図37に示される熱交換器パネル70では、図36に示される構成における特徴に加えて、各高温側伝熱流路170a〜170jを構成する伝熱管の段数(すなわち、伝熱管の本数)が下方に向かうにつれて大きくなっており、また、各低温側伝熱流路170k〜170oを構成する伝熱管の段数(すなわち、伝熱管の本数)も下方に向かうにつれて大きくなっており、空気の流速が大きく空気側の熱伝達率が高い熱交換器パネル70の上部に配置された伝熱流路については、伝熱面積を小さくなるようにし、空気の流速が小さく空気側の熱伝達率が低い熱交換器パネル70の下部に配置された伝熱流路については、伝熱面積が大きくなるようにしている。
このため、図37に示される構成では、上述の作用効果に加えて、熱源側熱交換器4の上部と下部との間で伝熱性能のばらつきを生じにくくすることができる。
(10)他の実施形態
以上、本発明の実施形態及びその変形例について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上述の実施形態及びその変形例において、利用側熱交換器6を流れる冷媒と熱交換を行う加熱源又は冷却源としての水やブラインを使用するとともに、利用側熱交換器6において熱交換された水やブラインと室内空気とを熱交換させる二次熱交換器を設けた、いわゆる、チラー型の空気調和装置に本発明を適用してもよい。
また、上述のチラータイプの空気調和装置の他の型式の冷凍装置であっても、冷却運転と加熱運転とを切り換え可能に構成された冷媒回路を有し、超臨界域で作動する冷媒を冷媒として使用して多段圧縮式冷凍サイクルを行うものであれば、本発明を適用可能である。また、冷房運転と暖房運転とが切換可能な空気調和装置ではなく、冷房専用タイプの空気調和装置等のような熱源側熱交換器の除霜運転が不要な冷凍装置に本発明を適用してもよい。この場合であっても、中間冷却器の伝熱性能の低下を防止する効果を得ることができる。
また、超臨界域で作動する冷媒としては、二酸化炭素に限定されず、エチレン、エタンや酸化窒素等を使用してもよい。