JP2009150023A - ポリトリメチレンテレフタレート繊維 - Google Patents

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智之 市川
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【課題】製糸時の工程の汚れが少なく、従来から問題となっていた先染め加工や仮撚加工に代表される後加工でのオリゴマの析出の極めて少ないポリトリメチレンテレフタレート繊維を提案する。
【解決手段】繰り返し単位の90wt%以上がトリメチレンテレフタレートからなり、界面活性剤を0.01〜1wt%含むポリエステル繊維であって、100℃、60分の乾熱処理後の繊維表面へのオリゴマ析出量が0.01〜1wt%であることを特徴とするポリエステル繊維。
【選択図】なし

Description

本発明は製糸時の工程の汚れが少なく、従来から問題となっていた先染め加工や仮撚加工に代表される後加工でのオリゴマの析出の極めて少ないポリトリメチレンテレフタレート繊維に関する。
ポリトリメチレンテレフタレート(以下PTTと称することがある)は、繊維としたときに、伸長回復性が高く、かつ、初期引張抵抗度が低いのでソフト性に優れるという特徴を持っている。加えてその易染性により、ポリエチレンテレフタレート(以下PETと称することがある)繊維の欠点を補うことのできる魅力あるポリエステル繊維として近年の検討は盛んである。
検討が盛んであるもうひとつの理由として、PTT繊維も万能ではなく、短所も存在することが挙げられる。そのひとつが、PTT繊維はPET繊維に比較してオリゴマの析出量が多いことである。チップを溶融、製糸する工程で発生し製糸工程を汚染し、生産性を低下させるばかりでなく、先染め糸として染色加工を実施した場合や、仮撚加工、織編物製造工程などの後工程における熱付与時にオリゴマが析出し粉吹き状の欠点となるため大きな問題である。例えば、仮撚加工においては熱セットヒーターでの150〜200℃程度の熱付与によりヒーターに白粉が付着し糸切れとなる問題、巻取り前に設置された交絡ノズルへの白粉の付着による交絡不良、糸切れの問題、仮撚加工糸の白粉の析出の問題がある。
このオリゴマ析出の問題に対し、検討もなされている。特許文献1には得られたPTT繊維を界面活性剤を溶解した水溶液で処理することにより表面に付着したオリゴマを除去している。しかし、この方法では繊維内部のオリゴマの除去はできず、また、後工程での熱付与にて発生するオリゴマに対しては効果がないため問題の解決とはならなかった。また、特許文献2には、工程の安定を得るために環状ダイマー(オリゴマ)の含有率を低く抑えることが記載されている。環状ダイマー量を低く抑えたとしても、ポリマ重合段階での低下は限度があり、やはり、PET繊維に対してオリゴマ析出が多いことには変化がない。
したがって、魅力的な繊維であるPTT繊維を工業的に大量生産に適したオリゴマ発生の非常に少ない繊維とする技術が強く求められていた。
特開2007−224428号公報(特許請求の範囲) 特再WO99/11845号公報(特許請求の範囲)
本発明は、製糸時の工程の汚れが少なく、従来から問題となっていた先染め加工や仮撚加工に代表される後加工でのオリゴマの析出の極めて少ないポリトリメチレンテレフタレート繊維を提案するものである。
本発明は、繰り返し単位の90wt%以上がトリメチレンテレフタレートからなり、界面活性剤を0.01〜1wt%含むポリエステル繊維であって、100℃、60分の乾熱処理後の繊維表面へのオリゴマ析出量が0.01〜1wt%であることを特徴とするポリエステル繊維である。
本発明は、従来から問題となっていたPTT繊維のオリゴマ析出を解消したものであり、先染め加工や仮撚加工に代表される後加工での熱付与を受けても白粉の発生のない、PTT繊維、PTT織編物を得ることができるものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル繊維は、繰り返し単位の90wt%以上がトリメチレンテレフタレートであるポリトリメチレンテレフタレートからなり、テレフタル酸を主たる酸成分とし、1,3−プロパンジオールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルである。
本発明のPTTは、10モル%以下の割合で他の共重合成分を含むものであってもよく、共重合可能な化合物としては、例えばイソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのジオール類を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、必要に応じて、艶消し剤として二酸化チタン、滑剤としてシリカ微粒子やアルミナ微粒子、抗酸化剤としてヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などを添加してもよい。また、分子量の指標である固有粘度は0.6〜1.5dl/gであることが好ましい。PTTの分子量が高いほど、溶融紡糸における繊維の細化挙動が安定化し、糸切れが起こりにくくなるため好ましい。一方で分子量を適度な範囲に抑えることで、溶融した時の急激な分子量低下が抑えられ、紡糸パック、紡糸口金装置内での溶融流動が安定化し、界面活性剤の分散性が向上するため好ましい。固有粘度は下限について0.8以上であることがより好ましく、上限については1.3以下であることがより好ましい。
また、本発明のポリエステル繊維は、界面活性剤を0.01〜1wt%含むものである。0.01wt%以上含むことにより、オリゴマの析出抑制効果が発現する。0.02wt%以上が好ましく、0.03wt%以上が最も好ましい。一方、1wt%以下であることで曵糸性、配向結晶化を阻害することなく、得られる繊維物性が良好なものとなる。より好ましい範囲は0.8wt%以下であり、0.5wt%以下とすることが最も好ましい。
界面活性剤とは、一つ分子の中に親水基(水との親和性が高い原子団)と疎水基(水との親和性が低い原子団)とを併せ持つものであり、親水基が電離してイオン(電荷をもつ原子団)となるイオン性界面活性剤と、イオン化しない非イオン(ノニオン)界面活性剤が挙げられる。またイオン性界面活性剤には、電離したときにマイナスイオンとなるアニオン界面活性剤、プラスイオンとなるカチオン界面活性剤、そして系のpHによってマイナスにもプラスにも電離する両性界面活性剤が挙げられ、本発明の界面活性剤にはこれら全てが該当し、これらの界面活性剤を1種単独で用いてもよいし、複数種併用してもよい。
本発明のアニオン界面活性剤としては、カルボン酸型、スルホン酸型、硫酸エステル型、リン酸エステル型が挙げられる。
アニオン界面活性剤の中では、スルホン酸型が好ましく、中でも直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が特に好ましい。直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、デシルベンゼンスルホン酸塩、ウンデシルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、トリデシルベンゼンスルホン酸塩、テトラデシルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。
アニオン界面活性剤の対イオンとしてはナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属イオン、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノ−ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノ−ルアミンなど)を挙げることができる。
本発明のカチオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩型、第4級アンモニウム塩型を挙げることができ、アルキルアミン塩型としては、モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩、等を挙げることができる。また第4級アンモニウム塩型としては、塩化(または臭化、よう化)トリメチルアンモニウム、塩化(または臭化、よう化)ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、等を挙げることができる。
本発明の両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、イミダゾリン誘導型、グリシン型、アミンオキシド型が挙げられ、カルボキシベタイン型としては、アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、等を挙げることができる。イミダゾリン誘導型としては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチル・イミダゾリウムベタイン、等を挙げることができる。グリシン型としては、アルキル(またはジアルキル)ジエチレントリアミノ酢酸、等を挙げることができる。アミンオキシド型としては、アルキルアミンオキサイド、等を挙げることができる。
本発明のノニオン界面活性剤としては、エステル型、エーテル型、エステル・エーテル型、アルカノールアミド型が挙げられる。エステル型としては、グリセリン脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステル、等を挙げることができる。エーテル型としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、等を挙げることができる。エステル・エーテル型としては、脂肪酸ポリエチレングリコール、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、等を挙げることができる。アルカノールアミド型としては、脂肪酸アルカノールアミド、等を挙げることができる。
界面活性剤の添加方法については、PTTチップへ予め添加しておく方法、溶融直前に添加する方法、個別に溶融して口金から吐出する直前に添加する方法が挙げられるが、自由度を考慮した場合、溶融直前に添加する方法が最も好ましい。
さらに、本発明のポリエステル繊維は、100℃、60分の乾熱処理後の繊維表面へのオリゴマ析出量が0.01〜1wt%である。
なお、オリゴマ析出量の測定は以下の手順で行うものとする。
・ 繊維が巻きつけられたチーズ状パッケージ、またはパーンを100℃の乾熱オーブンにて60分間、熱処理を実施する。
・ チーズ状パッケージまたはパーンを乾熱オーブンより取り出し、24時間、室温放置する。
・ φ8mmのセラミック棒3本を10mm間隔で設置し、セラミック棒の隙間に繊維を通し、500m/分の速度にて走行させる。1000gの繊維を走行させ、セラミック棒に付着した白色付着物を採取する。なお、セラミック棒から落下する付着物を捕捉するために、セラミック棒の下にエタノールを入れた捕捉箱を設置する(図1)。
・ すべての白色付着物を採取し、エタノールに入れる。
・ 不溶解物を濾過し、乾燥後重量を測定する。
・ 繊維1000gに対する付着物重量の割合をオリゴマ析出量とする。
オリゴマ析出量は1wt%以下である必要がある。1wt%以下とすることで従来にないほどの白粉析出の少ないPTT繊維となり、口金やローラー等の製糸工程の汚れを抑制することができ、その後の仮撚加工や編物、織物の工程における欠点の発生、トラブルを抑制できる。また、天然繊維との交織、交編を考えた場合、天然繊維を痛めずに染色するという観点からポリエステル繊維の先染めが実施される場合があるが、先染め実施時のオリゴマの析出は交織、交編前に白粉が析出してしまっているために、その後の交織、交編工程の汚染が問題となる。この点についても本発明により解消できる。また、仮撚加工時の熱セットヒーターの汚れが抑制され加工性が飛躍的に向上するほか、発生した白粉により交絡ノズル等が汚れ、交絡数が減少するというトラブルも解消できる。より好ましいオリゴマ析出量は0.8wt%以下であり、0.7wt%以下がもっとも好ましい。
オリゴマ析出量は0wt%であることが理想であるが、PTT繊維のオリゴマの析出を完全に抑えることは困難であり、0.01wt%が下限と言える。
オリゴマ析出量を0.01〜1wt%とするためには、先述した界面活性剤を添加することが重要である。また、添加した界面活性剤は繊維全体に分散させることが好ましく、口金吐出孔から吐出される直前に分散させることが好ましい。分散させる方法としては、ミキサーにより混練する方法、口金吐出孔の直上に不織布フィルターを設置する方法が挙げられる。ミキサーによる混練はマクロなものであり、不織布フィルターによる混練はミクロなものであり、両者を組み合わせることが最も好ましい。不織布フィルターはSUSパウダー焼結タイプが好ましいと言え、2μm〜10μmの濾過精度のものを使用することで効果が上がる。
PTT繊維の製造に関しては、界面活性剤の添加、界面活性剤の分散以外につては、公知の技術にて製糸することが可能である。未延伸糸を一旦巻き取ってから延伸する、いわゆる2工程法、一旦巻取ることなく連続して延伸する直接紡糸延伸法、高速で紡糸する高速紡糸法、部分配向糸を得る方法などが挙げられ、いずれにおいても効果を発揮する。特に2工程法においては未延伸糸状態での保管時もオリゴマの発生を抑制することができる。
本発明のPTT繊維は、従来のPTT繊維と同様の条件にて使用することができ、ソフト性に富んだ発色性の豊かな布帛を得ることができる。
以下、実施例を挙げて具体的に説明する。なお、実施例の主な測定値は以下の方法で測定した。
(1)極限粘度
極限粘度[η]は、溶媒として、オルソクロロフェノールを用い、30℃で粘度を測定し、次の定義式に基づいて求められる値である。ここで、Cは溶液の濃度、ηrは相対粘度(溶媒の粘度に対する、ある濃度Cにおける溶液の粘度の比率)である。
Figure 2009150023
(2)環状ダイマー量
試料300mgを秤量して100ml容量の三角フラスコに投入した。そしてヘキサフルオロイソプロパノール50ml、クロロホルム50ml同士を混合して均一溶液を調整し、三角フラスコに10ml添加した。そして室温にて三角フラスコを5時間振り混ぜて試料を溶解させた。その後クロロホルムを5ml加えて混合し、さらにアセトニトリル80mlを徐々に加えた。この混合溶液をガラスフィルターで吸引濾過し、濾液を200mlメスフラスコに入れて、アセトニトリルを加えて200ml溶液とした。そしてこの溶液を孔径0.45μmのディスクフィルターで濾過し、測定溶液を調整した。
該溶液について、HPLC測定を実施し、得られたクロマトグラムにおける環状ダイマーに帰属するピークの面積(A)を算出し、下記の式より環状ダイマーの含有量を求めた。
環状ダイマーの液中濃度(mg/l)=3.63×10―5×A
環状ダイマー量(wt%)=環状ダイマーの液中濃度(mg/l)×0.2(l)/300(mg)×100
HPLCの測定条件を下記に示す。
装置:島津LC−10AD(systeml)
カラム:Inertsil ODS−3 3.0×250mm
移動相:アセトニトリル/水/(70/30)
流速:0.7ml/分
検出器:242nm
カラム温度:45℃
導入量:5μl
ここでAを液中での環状ダイマーの濃度に換算する回帰式を下記の手順で求めた。すなわち、標準試料として純度95%の環状ダイマーを用い、該環状ダイマーを10.7mg秤量し、クロロホルム25mlに定容したものを標準原液とした(純度100%の環状ダイマーの液中濃度は409μg/ml)。そして該標準溶液にアセトニトリルを加えて、純度100%の環状ダイマーの液中濃度が、80μg/ml、40μg/ml、20μg/ml、10μg/mlの4種類の希釈標準溶液を作製した。そしてそれぞれの希釈標準溶液について、HPLC測定を行い、環状ダイマーの液中濃度と、ピーク面積との関係から、回帰式を得た。
(3)オリゴマ析出量
オリゴマ析出量は以下の(A)〜(E)の手順にて求めた。
(A)繊維が巻きつけられたチーズ状パッケージ、またはパーンを100℃の乾熱オーブンにて60分間、熱処理を実施する。
(B)チーズ状パッケージまたはパーンを乾熱オーブンより取り出し、24時間、室温放置する。
(C)φ8mmのセラミック棒3本を10mm間隔で設置し、セラミック棒の隙間に繊維を通し、500m/分の速度にて走行させる。合計1000gの繊維を走行させ、セラミック棒に付着した白色付着物を採取する。なお、セラミック棒から落下する付着物を捕捉するために、セラミック棒の下にエタノールを入れた捕捉槽を設置する(図1)。
(D)すべての白色付着物を採取し、エタノールに溶解する。
(E)不溶解物を濾過し、乾燥後重量を測定する。
繊維1000gに対する付着物重量の割合をオリゴマ析出量とする。
(4)強度、伸度
JIS L1013(1999)8.5項「引張強さおよび伸び率」に従って、つかみ間隔20cm、引張速度50%/分で測定した。
(5)口金吐出孔汚れ
ポリエステル繊維を168時間連続で製糸し、製糸後の口金吐出孔の汚れ状況について観察を実施した。経験年数3年以上の評価者3名の合議によって3段階で評価した。合格レベルは△以上である。なお、製糸性に影響があるレベルとは1tあたりの糸切れ数が平均3回を越えるレベルを指標している。
○:吐出孔付近の白色汚れは観察できない
△:吐出孔付近の白色汚れは見られるものの、製糸性に影響を与えるレベルではない
×:吐出孔付近の白色汚れが顕著に現れており、製糸性に影響を与えるものである。
(6)仮撚加工糸満管率
ポリエステル繊維の8kgのパッケージを用い、ウレタンディスクによるフリクション方式仮撚加工(インドロー仮撚、加工速度400m/分、延伸倍率は仮撚加工糸の伸度が40%になるように調整、第1ヒーター温度150℃、第2ヒーター温度130℃)を行い、交絡処理を行った後巻き取った。2kg巻の仮撚加工糸を4本採取し、100本のポリエステル繊維から400本の仮撚加工糸へ分割仮撚した。400本の仮撚加工糸のうち、糸切れせずに2kgの仮撚加工糸を採取できた割合を算出した。90%以上を合格とした。
(7)交絡数減衰率
仮撚加工機のうち、1錘のみを使用し、(6)項と同様の条件にてポリエステル繊維の8kgのパッケージ5本を連続して加工を実施した。分割された20本の仮撚加工糸のうち、最初の4本の加工糸の交絡数の平均値をCFS、最後の4本の加工糸の交絡数の平均値をCFEとして、次式により算出した。90%以上を合格とした。
交絡数減衰率(%)=CFS/CFE×100
なお、交絡数は繊維1mあたりに存在する交絡点の個数であり、ROTHSCHILD INSTRUMENTS社製エンタングルメントテスターR2060を用い、糸速5m/min、トリップレベル15cNでの触針トリップ回数30回に達する長さ(開繊長)を測定し、下記式より算出した。
交絡数=30/(30回トリップするまでの開繊長合計(m))
実施例1
界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸リチウム(DBS−Li)を用いた。固有粘度1.1のPTTを用い、溶融直前にDBS−Liを0.5wt%ブレンドし、エクストルーダーにて溶融した。計量ポンプにて計量した後、口金パック流入直前にノリタケ社製スタティックミキサー10段にて混練を実施し、パック内にて濾過精度10μmのファイバー焼結タイプ不織布フィルターにて濾過を実施した後、口金吐出孔よりポリマ吐出させた。吐出されたポリマは2000m/分にて回転するネルソン型引取ホットロールにて引き取り、同時に60℃の予熱温度にて加熱した後、巻取ることなく連続して4800m/分にて回転するネルソン型熱処理ホットロールに引き回すことで2.4倍の延伸を実施した。熱処理ホットロールにて150℃の熱処理を実施したのち、巻取り張力が0.2cN/dtexとなるように巻取り速度を調整し、56dtex、24フィラメントのPTT繊維を得た。
得られたPTT繊維のオリゴマ析出量は0.09wt%であった。この繊維を評価した結果、環状ダイマー量は2.7wt%と決して少なくはなかったが、口金吐出孔の汚れ、仮撚加工糸の満管率、および、交絡数減衰率は良好であった。結果を表1に示す。
実施例2〜3
DBS−Li量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にしてPTT繊維を得た。得られたPTT繊維の物性は表1の通りであり、いずれも環状ダイマー量は少なくないものの、良好な結果を得た。実施例2においてはオリゴマ析出量が0.8wt%であり、口金吐出孔の汚れがやや見られたが、問題となるものではなく、そのほかの特性も良好であった。
比較例1
界面活性剤を添加しないほかは実施例1と同様にしてPTT繊維を得た。オリゴマ析出量が2.2wt%と多く、環状ダイマー量は実施例1と同一であったが、口金吐出孔汚れ、仮撚加工糸満管率、交絡数減衰率とも劣るものとなった。界面活性剤を添加しない場合はオリゴマの多くが繊維表面に析出する結果となった。
比較例2
特開2007−224428号公報を参考にし、比較例1にて得られた繊維パッケージを100℃に加熱した1wt%のDBS−Li水溶液に6時間浸し、水洗の後、120℃の窒素雰囲気下で4時間乾燥した。
乾燥後の繊維パッケージは変形が激しく、実用に耐えないものであったが、評価を実施した。オリゴマ析出量は比較例1よりも減少したものの、多いレベルであり、変形の激しさも相まって仮撚加工性は劣悪であった。この処理方法は効果が小さいことに加え、実用的ではないことがわかった。
実施例4
パック内にて濾過精度5μmのパウダー焼結タイプ不織布フィルターを用い濾過した以外は実施例2と同様にしてPTT繊維を得た。界面活性剤の分散効果が高いため、添加率は低いものの非常に良好な結果となった。
実施例5
界面活性剤としてポリオキシメチレンオレイルエーテルを用い、添加率を0.5wt%とした以外は実施例1と同様にしてPTT繊維を得た。界面活性剤の効果により良好な結果となった。
Figure 2009150023
オリゴマ析出量測定に使用する装置の概要図である。
符号の説明
1:繊維パッケージまたはパーン
2:繊維
3:セラミック棒
4:エタノール槽

Claims (1)

  1. 繰り返し単位の90wt%以上がトリメチレンテレフタレートからなり、界面活性剤を0.01〜1wt%含むポリエステル繊維であって、100℃、60分の乾熱処理後の繊維表面へのオリゴマ析出量が0.01〜1wt%であることを特徴とするポリエステル繊維。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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