JP2009145079A - クロマトグラフィー分析用ストリップ - Google Patents

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Abstract

【課題】クロマトグラフィー分析用ストリップの対照試薬固定部における標識試薬の安定的な検出を可能にし、試験の成否を確実に判定することによって被検出物質の精度の高い測定を可能にすること。
【解決手段】本発明は、液体試料中の被検出物質を検出するクロマトグラフィー分析用ストリップであって、被検出物質に特異的に結合する標識試薬が保持されている標識試薬保持部と、被検出物質に特異的に結合する捕捉試薬が固定化されている捕捉試薬固定部と、標識試薬に特異的に結合する対照試薬が固定化されている対照試薬固定部と、塩化ナトリウムが保持されている塩化ナトリウム保持部と、を備え、標識試薬保持部、捕捉試薬固定部及び対照試薬固定部は、上記液体試料がクロマトグラフィー分析用ストリップの中を毛細管現象によりこの順序で移動するようにクロマトグラフィー分析用ストリップの長手方向に配列され、塩化ナトリウム保持部は、対照試薬固定部の液体試料の移動方向における下流側の端部より上流側に設けられている、クロマトグラフィー分析用ストリップを提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、クロマトグラフィー分析用ストリップに関する。
液体試料中の被検出物質を検出するクロマトグラフィー分析用ストリップは、ラテラルフロー式のメンブレンアッセイに使用する小型のアッセイ装置であり、医療分野において汎用されている。特に、クロマトグラフィー分析用ストリップは、専門の臨床検査設備等を備えていない小規模病院や患者の自宅における簡易診断を可能にし、ウイルスや細菌等による感染症の診断、花粉症等のアレルギーの診断、妊娠の有無の判定、尿検査や血液検査における臨床パラメータの測定等で効果を発揮している。
クロマトグラフィー分析用ストリップとしては、特許文献1〜3に記載の装置が知られており、それぞれ、免疫クロマトグラフィーテストストリップ(特許文献1)、イムノクロマト法テストストリップ(特許文献2)、ラテラルフロー式メンブレンアッセイ装置(特許文献3)と呼ばれている。
例えば、特許文献1に記載された免疫クロマトグラフィーテストストリップでは、吸収パッド(採取部材)に被検出物質を含む液体試料を添加すると、液体試料が毛細管現象によって、被検出物質に特異的に結合する親和性物質が固定化された表示担体(標識試薬)を保持している表示担体繊維ブロック(保持部材)に移動し、そこで被検出物質と表示担体とが結合体を形成して多孔性膜検出部材(検出部材)へと移動し、この結合体が判定領域(捕捉試薬固定部)に固定されている固定化物質(捕捉試薬)によって捕捉され、被検出物質が結合体を構成している表示担体の性質に基づいて検出されるしくみとなっている。
クロマトグラフィー分析用ストリップで使用される標識試薬としては、色素、放射性物質、酵素、金コロイド又は着色ラテックス粒子等の表示担体に、被検出物質に特異的に結合する抗体又は抗原が固定化されたものが、捕捉試薬としては、被検出物質に特異的に結合する抗体又は抗原が使用されるのが一般的である。
また、クロマトグラフィー分析用ストリップでは、標識試薬に特異的に結合するが被検出物質には結合しない対照試薬を固定化したコントロール領域(対照試薬固定部)が、判定領域(捕捉試薬固定部)より液体試料の移動方向における下流側に設けられ、試験成立の可否を判定するのに使用されている(特許文献4)。具体的には、対照試薬固定部は、捕捉試薬固定部より液体試料の移動方向における下流側に設けられているため、対照試薬固定部において標識試薬が捕捉され、コントロールラインが検出された場合には、測定に必要な量の液体試料及び標識試薬が捕捉試薬固定部を通過し、試験が成立したことを意味するが、対照試薬固定部において標識試薬が捕捉されず、コントロールラインが検出されない場合には、たとえ捕捉試薬固定部で被検出物質が検出された場合であっても、測定に必要な量の液体試料及び標識試薬がそこを通過していない可能性があるため、その試験は不成立であるとみなされる。
さらに最近では、対照試薬固定部で検出される色と捕捉試薬固定部で検出される色の強度を比較することにより、陽性又は陰性の判断ができるクロマトグラフィー分析用ストリップが報告されている(特許文献5)。
特開2003−121445号公報 特開2004−161685号公報 特開2004−245831号公報 特開2006−194785号公報 特開2006−265138号公報 ミリポア社、「ラテラルフローテストストリップ開発ガイド」、Lit.No.TB500JA00 2002/12、p.26及び28
しかしながら、クロマトグラフィー分析用ストリップでは、捕捉試薬や対照試薬等の反応試薬を検出部材である多孔性のニトロセルロース膜等に固定化する際、反応試薬を溶解しているバッファーに含まれる成分が問題となる場合がある。すなわち、反応試薬は、バッファーに溶解して検出部材に塗布され、塗布後は加温や送風等によって乾燥されるが、その際、バッファー中の塩濃度が高くなり、水分の蒸発中に化学的相互作用が起こるため、捕捉試薬の被検出物質に対する結合能が低下したり、検出部材上に残った固体残留物が検出部材のフロー特性を変えたりすることがある。
このため、クロマトグラフィー分析用ストリップを使用したメンブレンアッセイ等においては、検出部材に捕捉試薬や対照試薬等を固定化する際、塩化ナトリウムを含むバッファーの使用は避けるべきであるとされている(非特許文献1)。
さらに、クロマトグラフィー分析用ストリップは、添加できる液体試料の量に制限があるため、被検出物質が液体試料中に微量にしか存在しない場合や、液体試料に粘性があって希釈する必要のある場合には、被検出物質を検出するために十分な感度が得られないという問題点がある。このような場合には、検出部材の検出部に捕捉試薬を大量に固定することが考えられるが、非特異的な吸着を導き、擬陽性を生じさせる可能性が高まるため、固定できる捕捉試薬に制限があるのが現状である。
さらに、正確な陽性・陰性判定のためには、対照試薬固定部における標識試薬の安定的な検出が必要であるが、クロマトグラフィー分析用ストリップによる検出に用いる液体試料やバッファー等によっては、対照試薬固定部における標識試薬の検出感度に影響を及ぼすことがあり、標識試薬を検出できない場合がある。
そこで本発明は、クロマトグラフィー分析用ストリップの対照試薬固定部における標識試薬の安定的な検出を可能にし、試験の成否を確実に判定することによって被検出物質の精度の高い測定を可能にすることを目的としている。
上記目的を達成するために、液体試料中の被検出物質を検出するクロマトグラフィー分析用ストリップであって、被検出物質に特異的に結合する標識試薬が保持されている標識試薬保持部と、被検出物質に特異的に結合する捕捉試薬が固定化されている捕捉試薬固定部と、標識試薬に特異的に結合する対照試薬が固定化されている対照試薬固定部と、塩化ナトリウムが保持されている塩化ナトリウム保持部と、を備え、標識試薬保持部、捕捉試薬固定部及び対照試薬固定部は、上記液体試料がクロマトグラフィー分析用ストリップの中を毛細管現象によりこの順序で移動するようにクロマトグラフィー分析用ストリップの長手方向に配列され、塩化ナトリウム保持部は、対照試薬固定部の液体試料の移動方向における下流側の端部より上流側に設けられている、クロマトグラフィー分析用ストリップを提供する。
本発明者らは、鋭意努力した結果、クロマトグラフィー分析用ストリップを用いて液体試料中の被検出物質を検出する際、反応系に塩化ナトリウムを含有させることで、被検出物質を精度良く検出できることを見出した。しかしながら、抗体等のタンパク質をニトロセルロース膜等の検出部材に固定化する場合、タンパク質を溶解するバッファーに塩化ナトリウムを加えることは好ましくないため、対照試薬固定部の液体試料の移動方向における下流側の端部より上流側に、塩化ナトリウムを単独で保持する塩化ナトリウム保持部を設けることを考案した。その結果、クロマトグラフィー分析用ストリップにおける対照試薬固定部の検出感度が安定し、被検出物質の精度の高い測定が可能となることが判明した。
上記クロマトグラフィー分析用ストリップを使用すれば、塩化ナトリウム保持部を設けていないクロマトグラフィー分析用ストリップでは検出が困難な液体試料や展開液を用いた場合であっても、標識試薬の検出感度が向上し、対照試薬固定部において、標識試薬(コントロールライン)の安定した検出が可能となり、被検物質の陽性又は陰性の判断の確実性を高めることができる。
上記クロマトグラフィー分析用ストリップは、上記標識試薬保持部を備える保持部材と、上記捕捉試薬固定部及び上記対照試薬固定部を備える検出部材と、を備え、保持部材及び検出部材は、上記液体試料がこれらの部材の中を毛細管現象によりこの順序で移動するようにクロマトグラフィー分析用ストリップの長手方向に配列され、上記塩化ナトリウム保持部は、対照試薬固定部の上記移動方向における下流側の端部より上流側の検出部材又は保持部材に設けられていることが好ましい。
また、上記クロマトグラフィー分析用ストリップは、液体試料が添加される採取部材と、上記標識試薬保持部を備える保持部材と、上記捕捉試薬固定部及び上記対照試薬固定部を備える検出部材と、上記液体試料を吸い上げる吸収部材と、液不透過性の支持部材と、を備え、採取部材、保持部材、検出部材及び吸収部材は、上記液体試料がこれらの部材の中を毛細管現象によりこの順序で移動するように支持部材上でクロマトグラフィー分析用ストリップの長手方向に配列され、上記塩化ナトリウム保持部は、対照試薬固定部の上記移動方向における下流側の端部より上流側の検出部材、保持部材又は採取部材に設けられていることがさらに好ましい。
上記クロマトグラフィー分析用ストリップを使用すれば、被検出物質の分析能力が向上し、陽性又は陰性の判断の確実性がより高まると同時に、被検出物質の精度の高い測定が可能となる。
さらに、上記の採取部材及び保持部材は、単一の繊維基材を共有していることが好ましい。
採取部材と保持部材とが一体化されることにより、クロマトグラフィー分析用ストリップの強度を高めることができ、採取部材から保持部材への液体試料の移動が容易となる。
上記塩化ナトリウム保持部は、対照試薬固定部の上記移動方向における上流側の端部より上流側に設けられていることが好ましく、クロマトグラフィー分析用ストリップの上記移動方向における上流側の端部から2.5cm以内にあることがより好ましく、2cm以内にあることがさらに好ましく、1.5cm以内にあることが特に好ましい。
この場合、標識試薬の検出感度をさらに高めることができ、塩化ナトリウム保持部が捕捉試薬固定部から離れているため、実際にメンブレンアッセイを開始するまでは、捕捉試薬と塩化ナトリウムとの接触を避けることができ、塩化ナトリウムによる捕捉試薬の変性を防止できる。このことは、対照試薬についても当てはまり、対照試薬と標識試薬との結合力を高めることができ、塩化ナトリウムによる対照試薬の変性を防止できる。対照試薬の検出感度を高める目的では、塩化ナトリウム保持部は、捕捉試薬固定部の上記移動方向における下流側の端部より上流側の検出部材上、対照試薬固定部の上記移動方向における下流側の端部から捕捉試薬固定部の上記移動方向における下流側の端部までの検出部材上、又はその両方にあってもよい。
本発明によれば、塩化ナトリウム保持部を設けていないクロマトグラフィー分析用ストリップでは検出が困難な液体試料や展開液を用いた場合であっても、標識試薬の検出感度が向上し、対照試薬固定部において、標識試薬(コントロールライン)の安定した検出が可能となり、被検物質の陽性又は陰性の判断の確実性を高めることができる。また本発明によれば、捕捉試薬として親和力の弱い抗体しか利用できない場合であっても、塩化ナトリウム保持部を、捕捉試薬固定部の液体試料の移動方向における下流側の端部より上流側に設けることによって、被検出物質及び標識試薬の検出感度を向上させることができ、親和力の弱い抗体しか利用できないために作製されてこなかったクロマトグラフィー分析用ストリップを、被検出物質の検出が可能な状態にして提供できる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、図面の寸法比率についても図示された寸法比率に制限されるものではない。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、特に明記しない限り、「%」は「重量対容量百分率(w/v%)」を表す。
(クロマトグラフィー分析用ストリップ)
本発明のクロマトグラフィー分析用ストリップは、液体試料中の被検出物質を検出するクロマトグラフィー分析用ストリップであって、被検出物質に特異的に結合する標識試薬が保持されている標識試薬保持部と、被検出物質に特異的に結合する捕捉試薬が固定化されている捕捉試薬固定部と、標識試薬に特異的に結合する対照試薬が固定化されている対照試薬固定部と、塩化ナトリウムが保持されている塩化ナトリウム保持部と、を備え、標識試薬保持部、捕捉試薬固定部及び対照試薬固定部は、上記液体試料がクロマトグラフィー分析用ストリップの中を毛細管現象によりこの順序で移動するようにクロマトグラフィー分析用ストリップの長手方向に配列され、塩化ナトリウム保持部は、対照試薬固定部の液体試料の移動方向における下流側の端部より上流側に設けられていることを特徴としている。
「クロマトグラフィー分析用ストリップ」とは、ラテラルフロー式のメンブレンアッセイに使用する小型のアッセイ装置のことであり、アッセイ装置の形状がストリップ形状をしていることから単にテストストリップとも呼ばれるものである。例えば、背景技術に記載した免疫クロマトグラフィーテストストリップ(特許文献1)、イムノクロマト法テストストリップ(特許文献2)、ラテラルフロー式メンブレンアッセイ装置(特許文献3)がこれに含まれる。
上記クロマトグラフィー分析用ストリップは、上記標識試薬保持部を備える保持部材と、上記捕捉試薬固定部及び上記対照試薬固定部を備える検出部材と、を備え、保持部材及び検出部材は、上記液体試料がこれらの部材の中を毛細管現象によりこの順序で移動するようにクロマトグラフィー分析用ストリップの長手方向に配列され、上記塩化ナトリウム保持部は、対照試薬固定部の上記移動方向における下流側の端部より上流側の検出部材又は保持部材に設けられていることが好ましい。
また、上記クロマトグラフィー分析用ストリップは、液体試料が添加される採取部材と、上記標識試薬保持部を備える保持部材と、上記捕捉試薬固定部及び上記対照試薬固定部を備える検出部材と、上記液体試料を吸い上げる吸収部材と、液不透過性の支持部材と、を備え、採取部材、保持部材、検出部材及び吸収部材は、上記液体試料がこれらの部材の中を毛細管現象によりこの順序で移動するように支持部材上でクロマトグラフィー分析用ストリップの長手方向に配列され、上記塩化ナトリウム保持部は、対照試薬固定部の上記移動方向における下流側の端部より上流側の検出部材、保持部材又は採取部材に設けられていることがさらに好ましい。
図1は、本発明のクロマトグラフィー分析用ストリップの第一の実施形態を示す平面図であり、図2は、本発明のクロマトグラフィー分析用ストリップの第一の実施形態を示す側面端面図である。
図1及び図2に示すクロマトグラフィー分析用ストリップ1は、クロマト部材5に、標識試薬保持部12aと、塩化ナトリウム保持部14aと、捕捉試薬固定部14bと、対照試薬固定部14cとを設け、標識試薬保持部12a、捕捉試薬固定部14b及び対照試薬固定部14cは、この順序でクロマトグラフィー分析用ストリップ1の長手方向に配列されている。
塩化ナトリウム保持部14aは、対照試薬固定部14cの上記液体試料の移動方向における下流側(以下、単に「下流側」)の端部より上流側のクロマト部材5に設けられている。
クロマト部材5は、濾紙や多孔性のクロマトグラフィー用部材から構成され、クロマトグラフィー用部材としては、ニトロセルロース膜、酢酸セルロースを含むニトロセルロース膜を例示できる。
クロマトグラフィー分析用ストリップ1を用いて液体試料中の被検出物質を検出する際には、まず、クロマト部材5の液体試料の移動方向における上流側(以下、単に「上流側」)の端部に液体試料を滴下したり、被検動物の体液(例えば、涙液、血液等)を直接接触させたりすることによって、液体試料がクロマトグラフィー分析用ストリップ1に添加される。添加された液体試料は、毛細管現象によって下流側に移動することとなる。
標識試薬保持部12aには、被検出物質に特異的に結合する標識試薬が保持されている。標識試薬としては、表示担体(例えば、色素、放射性物質、酵素、金コロイド又は着色ラテックス粒子等)に、被検出物質に特異的に結合する親和性物質(例えば、被検出物質に特異的に結合する抗体、抗原又はアプタマー等)が固定化されたものが挙げられる。被検出物質の有無の判定に特別な装置等を必要とせず、赤い着色を目視により容易に確認できることより、標識試薬としては、被検出物質に特異的に結合する抗体が固定化された金コロイドが特に好ましい。
標識試薬は、毛細管現象により下流側に移動してきた液体試料中に溶出され、液体試料がさらに下流側に移動する過程で、液体試料中の被検出物質に結合し、被検出物質と標識試薬との結合体(以下、単に「被検出物質結合体」)を形成する。標識試薬保持部12aで形成された被検出物質結合体は、毛細管現象によってさらに下流側へと移動することとなる。
塩化ナトリウム保持部14aは、対照試薬固定部14cの下流側の端部より上流側のクロマト部材5に設けられているが、対照試薬固定部14cの上流側の端部より上流側に設けられていることが好ましく、クロマトグラフィー分析用ストリップ1の上流側の端部から2.5cm以内の領域にあることがより好ましく、1.5cm以内の領域にあることがさらに好ましく、1.0cm以内の領域にあることが特に好ましい。
塩化ナトリウム保持部14aには、塩化ナトリウム溶液がクロマトグラフィー分析用ストリップ1の長手方向に対して垂直な線状に塗布され、乾燥によって塗布された領域に保持されている。塩化ナトリウム保持部14aが捕捉試薬固定部14b内に設けられる場合には、塩化ナトリウム溶液と、以下に記載する捕捉試薬を混合し、その混合液を塗布すればよく、塩化ナトリウム保持部14aが対照試薬固定部14c内に設けられる場合には、塩化ナトリウム溶液と、以下に記載する対照試薬を混合し、その混合液を塗布すればよい。
塗布する塩化ナトリウム溶液の濃度は、3〜30%であることが好ましく、3〜9%であることがより好ましい。また、塩化ナトリウム保持部14aには、塩化ナトリウムが90〜900μg/cm保持されていることが好ましく、90〜270μg/cm保持されていることがさらに好ましい。
捕捉試薬固定部14bには、被検出物質に特異的に結合する捕捉試薬が、クロマトグラフィー分析用ストリップ1の長手方向に対して垂直な線状に固定されている。
捕捉試薬としては、被検出物質に特異的に結合する抗体(例えば、上記標識試薬が有する抗体)又は抗原を例示できるが、被検出物質に特異的に結合し、検出部材14に固定できる物質であれば特に制限はない。
捕捉試薬は、例えば、被検出物質の検出に必要な量の捕捉試薬を溶解させた溶液を捕捉試薬固定部14bに塗布し、30〜60℃で15〜60分間(好ましくは50℃で30分間)乾燥させることによりクロマト部材5上に固定できる。
毛細管現象により捕捉試薬固定部14bに移動してきた被検出物質結合体は、捕捉試薬固定部14bに固定された捕捉試薬によって捕捉されることとなり、被検出物質結合体に含まれる表示担体の性質を利用して被検出物質結合体を検出すれば、被検出物質の有無を判定できる。例えば、標識試薬として、被検出物質に特異的に結合する抗体が固定化された金コロイドを使用した場合には、被検出物質結合体が捕捉されると、捕捉試薬固定部14b上に赤いラインが現れるため、このラインを目視確認すれば、液体試料中に被検出物質が存在すると判定できる。
対照試薬固定部14cには、保持部材12に保持されている標識試薬に特異的に結合する対照試薬が、クロマトグラフィー分析用ストリップ1の長手方向に対して垂直な線状に固定されている。
対照試薬としては、標識試薬に対する抗体、例えば、標識試薬を構成している被検出物質に対する抗体に対する抗体を例示できる。
対照試薬は、例えば、標識試薬の検出に必要な量の対照試薬を溶解させた溶液を対照試薬固定部14cに塗布し、30〜60℃で15〜60分間(好ましくは50℃で30分間)乾燥させることによりクロマト部材5上に固定できる。
毛細管現象により捕捉試薬固定部14bを通過してきた標識試薬は、対照試薬固定部14cに固定された対照試薬によって捕捉されることとなり、標識試薬に含まれる表示担体の性質を利用して標識試薬を検出すれば、被検出物質結合体が捕捉試薬固定部14bを通過したか否かを判定できる。例えば、標識試薬として、被検出物質に特異的に結合する抗体が固定化された金コロイドを使用した場合には、対照試薬固定部14cで標識試薬が捕捉されると、対照試薬固定部14c上に赤いラインが現れるため、このラインを目視確認すれば、被検出物質結合体が捕捉試薬固定部14bを通過し、メンブレンアッセイが正しく行われたことを確認できる。
第一の実施形態に係るクロマトグラフィー分析用ストリップ1は、例えば、以下の(1)〜(5)の工程を含む製造方法により製造できる。
(1)液体試料を添加するクロマト部材5の端部より下流側に標識試薬を保持させ、標識試薬保持部12aを設ける。
(2)標識試薬保持部12aの下流側に、順次、捕捉試薬及び対照試薬をそれぞれ線状に塗布し、捕捉試薬固定部14b及び対照試薬固定部14cを設ける。
(3)クロマト部材5を30〜60℃で15〜60分間乾燥させ、捕捉試薬及び対照試薬をクロマト部材5上に固定する。
(4)対照試薬固定部14c、又は該対照試薬固定部14cの下流側の端部より上流側のクロマト部材5に塩化ナトリウム溶液を塗布し、塩化ナトリウム保持部14aを設ける。
(5)必要に応じて、クロマト部材5を目的とする幅のストリップ状に切断する。
図3は、本発明のクロマトグラフィー分析用ストリップの第二の実施形態を示す平面図であり、図4は、本発明のクロマトグラフィー分析用ストリップの第二の実施形態を示す側面端面図である。
図3及び図4に示すクロマトグラフィー分析用ストリップ1は、採取部材10と、保持部材12と、検出部材14と、吸収部材16と、支持部材18とを備えており、採取部材10、保持部材12、検出部材14及び吸収部材16は、採取部材10に添加された液体試料が、これらの部材の中を毛細管現象によりこの順序で移動するように、支持部材18上でクロマトグラフィー分析用ストリップ1の長手方向に配列されている。
保持部材12には、標識試薬保持部12aが設けられ、検出部材14には、捕捉試薬固定部14bと、対照試薬固定部14cとが設けられている。捕捉試薬固定部14b及び対照試薬固定部14cは、クロマトグラフィー分析用ストリップに添加された液体試料が、この順序で移動するように検出部材14の長手方向に配列されている。
また、塩化ナトリウム保持部14aは、対照試薬固定部14cの下流側の端部より上流側の検出部材14、保持部材12又は採取部材10に設けられている。
採取部材10は、採取部材10に添加された液体試料の移動方向における上流側に、支持部材18からはみ出すように配置され、液体試料の直接採取を容易にする構造をしている。ただし、用途によっては、支持部材18からはみ出さない構造となっていてもよい。
採取部材10は、例えば、ポリエステルやパルプ不織布等の繊維基材、濾紙、ガラスファイバー等から作製されており、液体試料を吸収し、クロマトグラフィー分析用ストリップ1に液体試料をアプライする役割を果たしている。
クロマトグラフィー分析用ストリップ1を用いて液体試料中の被検出物質を検出する際には、まず、採取部材10に液体試料を滴下したり、被検動物の体液(例えば、涙液、血液等)を採取部材10に直接接触させたりすることによって、液体試料が採取部材10に添加される。採取部材10の一部は、保持部材12の一部と互いに重なり合う構造となっているため、採取部材10に吸収された液体試料は、毛細管現象によって下流側に移動し、保持部材12へと移動することとなる。
保持部材12に設けられた標識試薬保持部12aには、被検出物質に特異的に結合する標識試薬が保持されている。標識試薬としては、表示担体(例えば、色素、放射性物質、酵素、金コロイド又は着色ラテックス粒子等)に、被検出物質に特異的に結合する親和性物質(例えば、被検出物質に特異的に結合する抗体、抗原又はアプタマー等)が固定化されたものが挙げられる。被検出物質の有無の判定に特別な装置等を必要とせず、赤い着色を目視により容易に確認できることより、標識試薬としては、被検出物質に特異的に結合する抗体が固定化された金コロイドが特に好ましい。
標識試薬は、毛細管現象により採取部材10から移動してきた液体試料中に溶出され、液体試料がさらに下流側に移動する過程で、液体試料中の被検出物質に結合し、被検出物質結合体を形成する。保持部材12の一部は、検出部材12の一部と互いに重なり合う構造となっているため、保持部材12中で形成された被検出物質結合体は、毛細管現象によってさらに下流側に移動し、検出部材14へと移動することとなる。
検出部材14は、多孔性のクロマトグラフィー用部材から構成され、例えば、ニトロセルロース膜、酢酸セルロースを含むニトロセルロース膜を例示できる。
塩化ナトリウム保持部14aは、対照試薬固定部14cの下流側の端部より上流側の検出部材14、保持部材12又は採取部材10に設けられているが、対照試薬固定部14cの上流側の端部より上流側に設けられていることが好ましく、クロマトグラフィー分析用ストリップ1の上流側の端部から2.5cm以内の領域にあることがより好ましく、1.5cm以内の領域にあることがさらに好ましく、1.0cm以内の領域にあることが特に好ましい。
塩化ナトリウム保持部14aには、塩化ナトリウム溶液がクロマトグラフィー分析用ストリップ1の長手方向に対して垂直な線状に塗布され、乾燥によって塗布された領域に保持されている。塩化ナトリウム保持部14aが捕捉試薬固定部14b内に設けられる場合には、塩化ナトリウム溶液と、以下に記載する捕捉試薬を混合し、その混合液を塗布すればよく、塩化ナトリウム保持部14aが対照試薬固定部14c内に設けられる場合には、塩化ナトリウム溶液と、以下に記載する対照試薬を混合し、その混合液を塗布すればよい。
塗布する塩化ナトリウム溶液の濃度は、3〜30%であることが好ましく、3〜9%であることがより好ましい。また、塩化ナトリウム保持部14aには、塩化ナトリウムが90〜900μg/cm保持されていることが好ましく、90〜270μg/cm保持されていることがさらに好ましい。
検出部材14に設けられた捕捉試薬固定部14bには、被検出物質に特異的に結合する捕捉試薬が、クロマトグラフィー分析用ストリップ1の長手方向に対して垂直な線状に固定されている。
捕捉試薬としては、被検出物質に特異的に結合する抗体(例えば、上記標識試薬が有する抗体)又は抗原を例示できるが、被検出物質に特異的に結合し、検出部材14に固定できる物質であれば特に制限はない。
捕捉試薬は、例えば、被検出物質の検出に必要な量の捕捉試薬を溶解させた溶液を捕捉試薬固定部14bに塗布し、30〜60℃で15〜60分間(好ましくは50℃で30分間)乾燥させることにより検出部材14上に固定できる。
毛細管現象により検出部材14に移動してきた被検出物質結合体は、捕捉試薬固定部14bに固定された捕捉試薬によって捕捉されることとなり、被検出物質結合体に含まれる表示担体の性質を利用して被検出物質結合体を検出すれば、被検出物質の有無を判定できる。例えば、標識試薬として、被検出物質に特異的に結合する抗体が固定化された金コロイドを使用した場合には、被検出物質結合体が捕捉されると、捕捉試薬固定部14b上に赤いラインが現れるため、このラインを目視確認すれば、液体試料中に被検出物質が存在すると判定できる。
検出部材14に設けられた対照試薬固定部14cには、保持部材12に保持されている標識試薬に特異的に結合する対照試薬が、クロマトグラフィー分析用ストリップ1の長手方向に対して垂直な線状に固定されている。
対照試薬としては、標識試薬に対する抗体、例えば、標識試薬を構成している被検出物質に対する抗体に対する抗体を例示できる。
対照試薬は、例えば、標識試薬の検出に必要な量の対照試薬を溶解させた溶液を対照試薬固定部14cに塗布し、30〜60℃で15〜60分間(好ましくは50℃で30分間)乾燥させることによりクロマト部材5上に固定できる。
毛細管現象により検出部材14に移動した標識試薬は、捕捉試薬固定部14bを通過後、対照試薬固定部14cに固定された対照試薬によって捕捉されることとなり、標識試薬に含まれる表示担体の性質を利用して標識試薬を検出すれば、被検出物質結合体が捕捉試薬固定部14bを通過したか否かを判定できる。例えば、標識試薬として、被検出物質に特異的に結合する抗体が固定化された金コロイドを使用した場合には、対照試薬固定部14cで標識試薬が捕捉されると、対照試薬固定部14c上に赤いラインが現れるため、このラインを目視確認すれば、被検出物質結合体が捕捉試薬固定部14bを通過し、メンブレンアッセイが正しく行われたことを確認できる。
吸収部材16は、検出部材14から毛細管現象により移動してきた液体試料及び標識試薬を吸収する働きをするものであれば特に制限はなく、例えば、セルロース製の濾紙等を例示できる。
支持部材18は、ポリエチレンテレフタラート等の液不透過性の素材であれば特に制限はなく、用途に合わせて適宜選択できる。
クロマトグラフィー分析用ストリップ1は、採取部材10、保持部材12、検出部材14及び吸収部材16の各部材が、採取部材10にアプライされた液体試料が毛細管現象によりこの順序で移動するように支持部材18上に接着剤等で固定すれば作製できるが、採取部材10の下流側の端部、保持部材12及び検出部材14の上流側の端部の支持部材18とは反対側の表面を、粘着テープ等で接着し、さらに、検出部材14の下流側の端部、吸収部材16及び支持体18の下流側の端部を、下流側から挟み込むように粘着テープ等で接着して、支持部材18上に各部材を固定することが好ましい。この場合の粘着テープとしては、紙製の粘着テープを例示できる。
第二の実施形態に係るクロマトグラフィー分析用ストリップ1は、例えば、以下の(1)〜(7)の工程を含む製造方法により製造できる。
(1)保持部材12に、標識試薬を保持させ、標識試薬保持部12aを設ける。
(2)支持体18上に、検出部材14を接着又はラミネートにより固定する。
(3)検出部材14上に、捕捉試薬及び対照試薬をそれぞれ線状に塗布し、捕捉試薬固定部14b及び対照試薬固定部14cを設ける。
(4)検出部材14を30〜60℃で15〜60分間乾燥させ、捕捉試薬及び対照試薬を検出部材14上に固定する。
(5)対照試薬固定部14c、又は該対照試薬固定部14cの下流側の端部より上流側の検出部材14、保持部材12若しくは採取部材10、に塩化ナトリウム溶液を塗布し、塩化ナトリウム保持部14aを設ける。
(6)支持体18上に、採取部材10、保持部材12及び吸収部材16を接着する。
(7)このようにして形成した多層構造カードを、目的とする幅のストリップ状に切断する。
図5は、本発明のクロマトグラフィー分析用ストリップの第三の実施形態を示す平面図であり、図6は、本発明のクロマトグラフィー分析用ストリップの第三の実施形態を示す側面端面図である。
図5及び図6に示すクロマトグラフィー分析用ストリップ1は、採取部材10と保持部材12とが一体化し、単一の繊維基材であることを特徴としており、この点以外は、図3及び図4に示された第二の実施形態に係るクロマトグラフィー分析用ストリップ1と同一の構成からなっている。採取部材10と保持部材12とが一体化していることにより、クロマトグラフィー分析用ストリップ1の強度を高めることができ、液体試料が採取部材10から保持部材12へ移動しやすくなる利点がある。
第三の実施形態に係るクロマトグラフィー分析用ストリップ1は、第二の実施形態に係るクロマトグラフィー分析用ストリップ1の製造方法で示した(1)〜(7)の工程により製造できる。
以下、実施例を挙げて本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
図3及び4に示したクロマトグラフィー分析用ストリップから保持部材を除いた形状のハーフストリップを以下の手順で作製し、塩化ナトリウム保持部を設けることによる標識試薬の検出感度の向上効果について試験した。
(実施例1) 対照試薬固定部より上流側の検出部材に塩化ナトリウム保持部を設けることによる標識試薬の検出感度の向上効果:
1)ハーフストリップの作製
まず、図3及び4に示したクロマトグラフィー分析用ストリップの検出部材となるカード型のニトロセルロース膜(HF180MC100;ミリポア社)を用意し、サンプルパッド(採取部材)及びコンジュゲートパッド(保持部材)を貼付する部分を切り離した。
その後、吸収パッド(吸収部材)を貼付する側とは反対側のニトロセルロース膜の下端(フロー開始部)から16mmの位置に、抗ヤギIgG抗体溶液(0.3mg/mL;OEMconcepts社)を1.2μL/cmとなるように分注装置(XYZ3050;BioDot社)で線状に塗布し、対照試薬固定部を設けた。
引き続き、フロー開始部から1.5mmの位置に、0.3、0.9、3又は9%の塩化ナトリウム溶液を3μL/cmとなるように分注装置(XYZ3050;BioDot社)で線状に塗布して塩化ナトリウム保持部を設けた。
その際、塩化ナトリウム保持部を設けないコントロール用ハーフストリップを作製するために、フロー開始部から1.5mmの位置に、塩化ナトリウム溶液の代わりに蒸留水を3μL/cmとなるように分注装置(XYZ3050;BioDot社)で線状に塗布したものも準備した。
その後、対照試薬固定部及び塩化ナトリウム保持部を設けた上記のニトロセルロース膜を50℃で30分間乾燥させて、塗布した抗ヤギIgG抗体をニトロセルロース膜に固定し、引き続き、ニトロセルロース膜をブロッキングバッファー(1% カゼイン/50mM ホウ酸、pH8.5)中に室温で30分間浸漬してブロッキングを行い、洗浄・安定化バッファー(1% スクロース/0.1% コール酸ナトリウム/100mM トリス、pH7.5)で洗浄後に室温で一晩自然乾燥させた。
その後、ニトロセルロース膜のフロー開始部とは反対側の端部に、吸収部材に相当するセルロース製の吸収パッド(ミリポア社)を接着し、横幅が1.5mmとなるように、フロー開始部とは反対側の端部からフロー開始部方向にニトロセルロース膜を切断して、塩化ナトリウム保持量の異なる塩化ナトリウム保持部を設けた各ハーフストリップ及びコントロール用ハーフストリップを作製した。
2)検出感度の測定
金コロイド標識ヤギIgG抗体(金コロイド:田中貴金属社、抗体:Bethyl社)を対照試薬固定部で検出するために、予め調製した金コロイド標識ヤギIgG抗体溶液(OD520nm=10)の15μLを96ウェルプレートの各ウェルに入れ、そこに1μLの蒸留水を加えて希釈した。
ここで、通常のクロマトグラフィー分析用ストリップでは、上記の金コロイド標識ヤギIgG抗体溶液は標識試薬として保持部材に保持され、採取部材に滴下された液体試料が、毛細管現象により保持部材に移動する過程で、液体試料と金コロイド標識ヤギIgG抗体溶液とが混じり合い、液体試料中の被検出物質と金コロイド標識ヤギIgG抗体とが結合体を形成することになるが、本実施例におけるハーフストリップを用いた実験では、保持部材を用いずに、96ウェルプレートのウェル中で上記結合体が形成され、対照試薬固定部に固定された抗ヤギIgG抗体が金コロイド標識ヤギIgG抗体を直接検出するようにデザインされた系であるため、添加される1μLの蒸留水は、クロマトグラフィー分析用ストリップにおいて液体試料によって標識試薬が希釈される割合に相当するように加えられたものである。
その後、各ハーフストリップのフロー開始部を96ウェルプレートの各ウェル中の金コロイド標識ヤギIgG抗体溶液の希釈液に浸漬し、その状態で各ハーフストリップを7分間静置し、金コロイド標識ヤギIgG抗体を対照試薬固定部に移動させた。引き続き、各ハーフストリップのフロー開始部を30μLの蒸留水が入った新しいウェルに移して7分間静置し、金コロイド標識ヤギIgG抗体を対照試薬固定部へと完全に移動させた。
その後、各ハーフストリップは、対照試薬固定部における発色の程度をイムノクロマトリーダー(ICA−1000;浜松ホトニクス社)で測定し、塩化ナトリウム保持部に塗布した塩化ナトリウム溶液濃度との関係を調べた。
図7は、対照試薬固定部より上流側の検出部材に塩化ナトリウム保持部を設けることによる検出感度の向上効果及び該塩化ナトリウム保持部に塗布した塩化ナトリウム溶液濃度と検出感度との関係を調べた結果である。
その結果、コントロール用ハーフストリップ及び0.3又は0.9%の塩化ナトリウム溶液を塗布することによって塩化ナトリウム保持部を設けたハーフストリップにおいても、対照試薬固定部で金コロイド標識ヤギIgG抗体を検出できたが、3%及び9%の塩化ナトリウム溶液を塗布することによって塩化ナトリウム保持部を設けたハーフストリップでは、対照試薬固定部における金コロイド標識ヤギIgG抗体の検出感度が約3〜5倍に増加することが明らかとなった。
以上の結果より、生理食塩水より濃い濃度である3%及び9%の塩化ナトリウム溶液を、対照試薬固定部より液体試料の移動方向における上流側の検出部材に塗布すれば、クロマトグラフィー分析用ストリップによる標識試薬の検出感度が顕著に向上し、被検出物質の精度の高い測定が可能になることが示唆された。
(実施例2) 対照試薬固定部に塩化ナトリウム保持部を設けることによる標識試薬の検出感度の向上効果:
1)ハーフストリップの作製
実施例1と同様に、まず、図3及び4に示したクロマトグラフィー分析用ストリップの検出部材となるカード型のニトロセルロース膜(HF180MC100;ミリポア社)を用意し、サンプルパッド(採取部材)及びコンジュゲートパッド(保持部材)を貼付する部分を切り離した。
その後、吸収パッド(吸収部材)を貼付する側とは反対側のニトロセルロース膜の下端(フロー開始部)から16mmの位置に、最終濃度が0.3、0.9、又は9%となるように塩化ナトリウム溶液を加えた抗ヤギIgG抗体溶液(0.3mg/mL;OEMconcepts社)を1.2μL/cmとなるように分注装置(XYZ3050;BioDot社)で線状に塗布し、対照試薬固定部を設けた。これにより、対照試薬固定部は、同時に塩化ナトリウム保持部に該当することとなり、塩化ナトリウム保持部が対照試薬固定部に設けられたこととなる。
その際、コントロール用ハーフストリップを作製するために、塩化ナトリウムを含んでいない抗ヤギIgG抗体溶液(0.3mg/mL;OEMconcepts社)を、同様に1.2μL/cmとなるように分注装置(XYZ3050;BioDot社)で線状に塗布したものも準備した。
その後、実施例1と同様に、対照試薬固定部を設けた上記のニトロセルロース膜を50℃で30分間乾燥させて、塗布した抗ヤギIgG抗体をニトロセルロース膜に固定し、引き続き、ニトロセルロース膜をブロッキングバッファー(1% カゼイン/50mM ホウ酸、pH8.5)中に室温で30分間浸漬してブロッキングを行い、洗浄・安定化バッファー(1% スクロース/0.1% コール酸ナトリウム/100mM トリス、pH7.5)で洗浄後に室温で一晩自然乾燥させた。
その後、ニトロセルロース膜のフロー開始部とは反対側の端部に、吸収部材に相当するセルロース製の吸収パッド(ミリポア社)を接着し、横幅が1.5mmとなるように、フロー開始部とは反対側の端部からフロー開始部方向にニトロセルロース膜を切断して、塩化ナトリウム保持量の異なる塩化ナトリウム保持部を対照試薬固定部に設けた各ハーフストリップ及びコントロール用ハーフストリップを作製した。
2)検出感度の測定
実施例1と同様に、金コロイド標識ヤギIgG抗体(金コロイド:田中貴金属社、抗体:Bethyl社)を対照試薬固定部で検出するために、予め調製した金コロイド標識ヤギIgG抗体溶液(OD520nm=10)の15μLを96ウェルプレートの各ウェルに入れ、そこに1μLの蒸留水を加えて希釈した。
その後、各ハーフストリップのフロー開始部を96ウェルプレートの各ウェル中の金コロイド標識ヤギIgG抗体溶液の希釈液に浸漬し、その状態で各ハーフストリップを7分間静置し、金コロイド標識ヤギIgG抗体を対照試薬固定部に移動させた。引き続き、各ハーフストリップを30μLの蒸留水が入った新しいウェルに移して7分間静置し、金コロイド標識ヤギIgG抗体を対照試薬固定部へと完全に移動させた。
その後、各ハーフストリップは、対照試薬固定部における発色の程度をイムノクロマトリーダー(ICA−1000;浜松ホトニクス社)で測定し、対照試薬固定部に設けられた塩化ナトリウム保持部における塩化ナトリウム溶液濃度との関係を調べた。
図8は、対照試薬固定部に塩化ナトリウム保持部を設けることによる検出感度の向上効果及び該塩化ナトリウム保持部に塗布した塩化ナトリウム溶液濃度と検出感度との関係を調べた結果である。
その結果、コントロール用ハーフストリップ及び0.3又は0.9%の塩化ナトリウムを含有する抗ヤギIgG抗体溶液を塗布して塩化ナトリウム保持部を設けたハーフストリップにおいても、対照試薬固定部で金コロイド標識ヤギIgG抗体を検出できたが、9%の塩化ナトリウムを含有する抗ヤギIgG抗体溶液を対照試薬固定部に塗布することによって塩化ナトリウム保持部を設けたハーフストリップでは、対照試薬固定部における金コロイド標識ヤギIgG抗体の検出感度が約2倍に増加することが明らかとなった。
以上の結果より、生理食塩水より濃い濃度である9%の塩化ナトリウム溶液を対照試薬固定部に塗布すれば、クロマトグラフィー分析用ストリップによる標識試薬の検出感度が顕著に向上し、被検出物質の精度の高い測定が可能になることが示唆された。
本発明に係るクロマトグラフィー分析用ストリップの第一の実施形態を示す平面図である。 本発明に係るクロマトグラフィー分析用ストリップの第一の実施形態を示す側面端面図である。 本発明に係るクロマトグラフィー分析用ストリップの第二の実施形態を示す平面図である。 本発明に係るクロマトグラフィー分析用ストリップの第二の実施形態を示す側面端面図である。 本発明に係るクロマトグラフィー分析用ストリップの第三の実施形態を示す平面図である。 本発明に係るクロマトグラフィー分析用ストリップの第三の実施形態を示す側面端面図である。 対照試薬固定部より上流側の検出部材に塩化ナトリウム保持部を設けることによる検出感度の向上効果及び該塩化ナトリウム保持部に塗布した塩化ナトリウム溶液濃度と検出感度との関係を調べた結果である。 対照試薬固定部に塩化ナトリウム保持部を設けることによる検出感度の向上効果及び該塩化ナトリウム保持部に塗布した塩化ナトリウム溶液濃度と検出感度との関係を調べた結果である。
符号の説明
1・・・クロマトグラフィー分析用ストリップ、5・・・クロマト部材、10・・・採取部材、12・・・保持部材、12a・・・標識試薬保持部、14・・・検出部材、14a・・・塩化ナトリウム保持部、14b・・・捕捉試薬固定部、14c・・・対照試薬固定部、16・・・吸収部材、18・・・支持部材。

Claims (5)

  1. 液体試料中の被検出物質を検出するクロマトグラフィー分析用ストリップであって、
    前記被検出物質に特異的に結合する標識試薬が保持されている標識試薬保持部と、
    前記被検出物質に特異的に結合する捕捉試薬が固定化されている捕捉試薬固定部と、
    前記標識試薬に特異的に結合する対照試薬が固定化されている対照試薬固定部と、
    塩化ナトリウムが保持されている塩化ナトリウム保持部と、を備え、
    前記標識試薬保持部、前記捕捉試薬固定部及び前記対照試薬固定部は、前記液体試料が前記クロマトグラフィー分析用ストリップの中を毛細管現象によりこの順序で移動するように前記クロマトグラフィー分析用ストリップの長手方向に配列され、
    前記塩化ナトリウム保持部は、前記対照試薬固定部の前記液体試料の移動方向における下流側の端部より上流側に設けられている、
    クロマトグラフィー分析用ストリップ。
  2. 前記標識試薬保持部を備える保持部材と、
    前記捕捉試薬固定部及び前記対照試薬固定部を備える検出部材と、を備え、
    前記保持部材及び前記検出部材は、前記液体試料がこれらの部材の中を毛細管現象によりこの順序で移動するように前記クロマトグラフィー分析用ストリップの長手方向に配列され、
    前記塩化ナトリウム保持部は、前記対照試薬固定部の前記移動方向における下流側の端部より上流側の前記検出部材又は前記保持部材に設けられている、請求項1記載のクロマトグラフィー分析用ストリップ。
  3. 前記液体試料が添加される採取部材と、
    前記標識試薬保持部を備える保持部材と、
    前記捕捉試薬固定部及び前記対照試薬固定部を備える検出部材と、
    前記液体試料を吸い上げる吸収部材と、
    液不透過性の支持部材と、を備え、
    前記採取部材、前記保持部材、前記検出部材及び前記吸収部材は、前記液体試料がこれらの部材の中を毛細管現象によりこの順序で移動するように、前記支持部材上で前記クロマトグラフィー分析用ストリップの長手方向に配列され、
    前記塩化ナトリウム保持部は、前記対照試薬固定部の前記移動方向における下流側の端部より上流側の前記検出部材、前記保持部材又は前記採取部材に設けられている、請求項1記載のクロマトグラフィー分析用ストリップ。
  4. 前記採取部材及び前記保持部材は、単一の繊維基材を共有している、請求項3記載のクロマトグラフィー分析用ストリップ。
  5. 前記塩化ナトリウム保持部は、前記クロマトグラフィー分析用ストリップの前記移動方向における上流側の端部から2.5cm以内の領域にある、請求項1〜4のいずれか一項記載のクロマトグラフィー分析用ストリップ。
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