JP2009143830A - クーリングフィルム製剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】
皮膚に爽快感を与えながら汗が出るのを制御し、体温の異常上昇を防ぐクーリングフィルム製剤を提供する。
【解決手段】
ニトロセルロースを、酢酸3−メチルブチル、又は酢酸イソブチル又はアセトン、或いはこれらの混合物の溶解剤に溶解し、更にエチルアルコールを添加して製剤とし、フィルムの摩擦係数や強度を調整するためにアクリル樹脂、アルキッド樹脂等の樹脂類を適量添加し、皮膚に塗布した後溶剤が揮散し、塗布部位の皮膚上に透明或いは透明のフィルムを形成することにより患部を半密封し、塗布部を皮膜で保護することによって、皮膚角質層を熱の不良導体から良導体に変化させて体内の熱の放散を助長するクーリングフィルム製剤。
【選択図】図2

Description

本発明は、皮膚に冷感を与えるクーリングフィルム製剤に関するものである。
通常の成人の場合、1日必要とされるエネルギーは2400〜3000Kカロリーである。このエネルギーは食べ物などから摂取し、これを体内燃焼させて生命活動を維持している。
体温はこうして発生されているが、その一方で体温の恒常性を保つために、余剰となった熱を対外に放散しなければならない。この放熱システムに皮膚が大きく関わっている。皮膚表面から、目に見えない水蒸気となって汗が逃げていく際に気化熱を奪い、体温の上昇を防いでいる。
表皮の角質層は熱の不良導体であるが、真皮内の毛細血管の循環状態が微妙に変化し、体温を一定に保つように働いている。そうなることで、汗腺の活動も活発化、発汗が促進される。毛細血管の拡張・収縮の外にも、体表面を変化させる働きもある。運動をしたり、暑くなれば皮膚は弛緩して、表面積を広くする。 その結果、よりたくさんの熱を放散させようとする。
この自然の生理機能が働く以上に、体温が上昇する状況(気温が非常に高い、猛烈な運動、気温が非常に高い状況の中での運動や応援)では、より以上の発汗により非常な不快感と共に肌着や衣服(特に襟、胸元)を汚し、肌のベタベタ感がさらなる不快感を招来するのが現状である。このためタオルや濡れタオル等でその都度汗を頻繁に拭き取る必要があった。また、下着を頻繁に着替えることも必要とされた。
このように、従来の汗対策としては乾いたタオル又は濡れタオルで出た汗を拭き取るのが一般的であった。又、汗を出来る限りかかないように薄着をしたり、通気性の良い繊維を使った衣服を着たり、更に肌をむき出しにした服装(例えばノースリーブ、ブイネック等)で対処するしか手段は無かった。
しかし、肌を露出することによって日焼けを招来し、結果として、将来的にシミ、ソバカスや皺の発生といった皮膚への負担を将来的にかけることになる。更に、汗によってシミ、ソバカスや皺の発生頻度とその程度を悪化させると共に衣服を汚し、洗濯の負担と衣服にシミを作る原因ともなる。
この発明が解決しようとする課題は、前記の問題点に鑑みてなされたもので、皮膚に爽快感を与えながら汗が出るのを制御し、体温の異常上昇を防ぐにはどうしたらいいかという点にある。
なお、フィルムを形成する皮膚外用剤として、特許文献1及び特許文献2として、ピロキシリン、アセトン、エタノールと薬効成分を含有させるものが提案されている。更に、ニトロセルロースとエタノールの溶液にヒマシ油を加えた外用組成物が、特許文献3に提案されており、皮膚上に使用する外用剤にオリーブ油を含有させることは、特許文献4、特許文献5として提案されている。
特開平05-58914号公報 特開昭47-39621号公報 特開2003-514835号公報 特開2003-73263号公報 特願2006-160606号
本発明者は、発汗する状況下で、汗をかかずに体温上昇を防ぐには如何なる手段を用いればよいかという点について考察し、実験を重ねた。そして、通常であれば汗をかく条件下であっても、汗をかかないためには皮膚感覚に冷感刺激を与えると同時に、発汗の元である皮膚の汗腺をシールドするために皮膚上にフィルムを形成させる新しい揮散タイプの液剤を試作して実験を重ねた。
この結果、後述する揮散型の新規の液剤を皮膚に適用してみると、有機溶剤の皮膚刺激と揮散により肌に瞬時の冷感を感じた後、使用前は液状であったものが皮膚に薄く塗布した後に皮膚上で薄いフィルムに近い皮膜を形成したことを顕微鏡下で確認した。
本発明者は、この事実を基にして更に研究を重ねた結果、この発明を完成させることができた。
この発明に係るクーリングフィルム製剤は、前記課題を解決したものであって、次のとおりのものである。
すなわち、請求項1の発明は、皮膚の汗腺からの発汗を緩和・低減し、汗による不快感を低減させるクーリングフィルム製剤で、ニトロセルロースを、酢酸3−メチルブチル、又は酢酸イソブチル又はアセトン、或いはこれらの混合物の溶解剤に溶解し、更にエチルアルコールを添加して製剤とし、フィルムの摩擦係数や強度を調整するためにアクリル樹脂、アルキッド樹脂等の樹脂類を適量添加し、皮膚に塗布した後溶剤が揮散し、塗布部位の皮膚上に透明或いは半透明のフィルムを形成することにより患部を半密封し、塗布部を皮膜で保護することによって、皮膚角質層を熱の不良導体から良導体に変化させて体内の熱の放散を助長し、皮膚の汗腺からの発汗を緩和・低減し、汗による不快感を低減させることを特徴とする。
ここで、前記「半密封」とは多少の空気の通気はあるが、液体等の通過は実質上阻止する程度の意味である。
請求項2の発明は、請求項1のクーリングフィルム製剤において、前記溶解剤の中にシソオイル、ゴマ油、エゴマ油、オリーブ油、馬油、ヒノキオイル、ヒマシ油、モルティエレラ油の天然油の内の一種以上を含有し、膜形成時の膜の強度・柔軟性と密封効果を高めることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1のクーリングフィルム製剤において、前記溶解剤の中にl―メントール、ハッカ油、ヒノキチオール、ヒノキ油、dl−カンフル、ユーカリ油、ペパーミントオイル等の皮膚の冷感刺激成分の内の一種以上を含有し、冷感を与えるとともに反射神経系を介して皮膚の冷却効果とその持続性を改善することを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1のクーリングフィルム製剤において、前記溶解剤の中に多価アルコール、セリシン、尿素、尿酸、ヒアルロン酸、加水分解コラーゲンゲル、DMAE(ジメチルアミノエタノール)、レシチン、大豆レシチン、卵黄レシチン、キチン・キトサン等の保湿剤の内の一種以上を含有し、皮膜形成後の皮膚の保湿性を改善することを特徴とする。
ここで、前記多価アルコールとは、アルカンジオール、エリスリトール、グリセリン、キシリトール、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール、ポリグリセリン、D−マンニトール等である。
請求項5の発明は、請求項1のクーリングフィルム製剤において、前記溶解剤の中に紫外線吸収剤の内の一種以上を含有し、被膜形成後の皮膚の日焼けを予防することを特徴とする。
ここで、紫外線吸収剤とは、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、4−tart−ブチル−4´-メトキシジベンゾイルメタン、2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]1,3,5−トリアジン、フラーレン等である。
請求項6の発明は、請求項1のクーリングフィルム製剤において、前記溶解剤の中にポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリグルタミン酸、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等の高分子物質の内の一種以上を含有し、溶液に粘土を付与し、投与時の皮膚への塗布性と被膜形成を容易にすることを特徴とする請求項1のクーリングフィルム製剤である。
このように、本発明の特徴は、ニトロセルロースを、エタノール、酢酸3−メチルブチル、酢酸イソブチル、又はアセトン、或いはこれらの混合物の溶解剤に溶解し、末梢神経の一部である冷感点を刺激する成分(l―メントール等)に加えて、その他の補助成分を配合して製剤としたものであり、皮膚に塗布した後に溶剤が揮散し、l―メントールの刺激により冷感を皮膚に与えると同時に透明、或いは半透明のフィルムを塗布した部位の皮膚上に形成することにより皮膚を半密封して汗腺を封鎖し、発汗による汗の出現を抑制し、肌に対する汗による不快感を解消する。又、非水性であり、水分や汗によって逆に被膜強度が強化するため膜の安定性が高く、皮膚に対する悪影響を及ぼす危険性のある防腐剤や界面活性剤を使用する必要も無い。新製剤としては、皮膚の角質層の役割(外部からの物理的化学的浸襲に対する防御)と発汗の制御と基剤成分(エチルアルコール等)と冷感点刺激作用を有するl―メントール等の刺激剤による冷感刺激作用により冷感を感じながら発汗を予防し、爽快感を味わうことが可能である。
本発明のクーリングフィルム製剤によれば、ニトロセルロースを、酢酸3−メチルブチル、又は酢酸イソブチル、又はアセトン、或いはこれらの混合物の溶解剤に溶解し、更にエチルアルコールを添加した基剤に保湿剤に加えて皮膚に清涼感を与えるl―メントール等の皮膚刺激薬を添加してもよく、皮膚に塗布した後溶剤と皮膚刺激剤が皮膚の抹消神経である冷感点を刺激し、肌に冷感を感じると共に製剤構成成分である有機溶剤が揮散し、透明、或いは半透明のフィルムを皮膚上に形成することにより部位を半密封し、皮膚に存在する汗腺のシールド効果によって皮膚からの、爽快感を与える。更に、皮膚上に形成されたセルロースよりなる被膜が熱の不良導体である角質層を良導体に変えることによって体内の熱を皮膚から放散させ、結果として異常体温の上昇を抑制することが可能となる。
つまり、従来は体温上昇を防止する目的である発汗によって、皮膚上に分泌された汗が揮散し、これにより体温の上昇を抑制すると考えられてきたが、汗自体が角質層を熱の不良導体から良導体に変えることも体内の熱の放散に寄与し、これらが相乗効果的に体温上昇抑制してきたのである。今回は皮膚の角質層上にセルロースの被膜を形成させることによって角質層を熱の不良導体から良導体に変化させることによって、汗をかく状態を回避させ、発汗を抑制する。又、非溶解性フィルムが皮膚を被覆することによってフィルム自体が汗や拭き取りによって流失されることはなく、逆に汗との接触によってより確実なシールド(膜形成)となり、その持続性を維持する。すなわち、部位の皮膚上に形成された被膜が前記課題を解決するための働きをする。
したがって、特に、屋外での使用においては、フルイムによって紫外線から皮膚をガードして日焼け止めの効果も有し、肌に冷感を感じさせるという効果も有するものである。
[実施例1]
本発明のクーリングフィルム製剤の好適な実施例を説明するが、先ず、この実施例の配合比は次の[表1]に示すものである。
[表1][組成比]
ニトロセルロース・・・・・・・・・・・・・・・・ 13.0%
エチルアルコール・・・・・・・・・・・・・・・・・46.0%
酢酸3−メチルブチル・・・・・・・・・・・・・・・ 5.0%
アセトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18.0%
パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル・・・・ ・ 5.0%
4−tart−ブチル−4´-メトキシジベンゾイルメタン・・5.0%
l−メントール・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1.0%
キチン・キトサン・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1.0%
ヒマシ油・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5.0%
シリコーン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1.0%
合計: 100.0%
[調製方法]
上記の組成比になるように本実施例のクーリングフィルム製剤は、次のような手順で調製する。
先ず、ニトロセルロースの5〜15重量%、好ましくは13.0重量%を、酢酸3−メチルブチルの3〜8重量%、好ましくは5.0重量%に溶解させたのち、更にアセトンのアセトン5〜20重量%、好ましくは18.0重量%を添加して、液温30℃にて良く攪拌する。次に、この溶解液にエチルアルコール40〜80重量%、好ましくは46.0重量%を加えて良く攪拌したのち、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル3〜10重量%、好ましくは5.0重量%を、4−tart−ブチル−4´-メトキシジベンゾイルメタン3〜8重量%、好ましくは5重量%を、l−メントール0.5〜2重量%、好ましくは、1.0重量%を、キチン・キトサン0.5〜2重量%、好ましくは1.0重量%を加えて、さらに、ヒマシ油を0.3〜8重量%、好ましくは5.0重量%(0.3重量%以上で膜の柔軟性が増すが、多すぎると却って膜が固くなりすぎる。)を攪拌下に少量ずつ添加し、最後に、シリコーン(ジメチルシリコーンオイル)((信越化学工業(株):シリコーンオイル:KF-96-10CS)、商品名「ジメチコン」粘度10(25℃mm2/S),比重0.935,屈折率1,399,揮発分30(150℃/24h%),流動点−60℃以下,引火点176℃)を0.05〜4重量%、好ましくは1.0重量%が良く(0.05%重量以上から形成された膜の柔軟性が増すが、多すぎると却って膜が固くなりすぎる。)を添加し、一定時間攪拌後、24時間室温放置して製造する。
本実施例では、フィルムの形成素材としてニトロセルロースを、フィルム形成及び溶解剤として酢酸3−メチルブチルとアセトンを、溶解剤としてエチルアルコールを混合して基材としている。さらに、この基材に液状の柔軟剤である油脂であるヒマシ油とシリコーンを皮膜の柔軟性と密封性とを向上させ、皮膚のフィット感を増強させている。
ここで、酢酸3−メチルブチルを添加するのは、ニトロセルロースの溶解性を高めると同時に揮発成分が揮散するときのニトロセルロースの分子間を結合し、膜形成を補助するためである。特に、皮膜形成時の皮膚上での白化現象を避ける場合や、ニトロセルロース増量に伴う強靱な膜を形成する場合には、多少の臭いを有するものの有効である。
また、ジメチルシリコーンオイルを添加するのは形成された皮膜の柔軟性を高めると同時に皮膚への親和性(密着性)を高めるもので、ヒマシ油だけの場合と比較して、これらの機能が飛躍的に向上するが、これは、ジメチルシリコーンオイルがニトロセルロースが分子間結合の空間を補充する、つまり細胞と細胞とを充填する細胞液(保湿成分)として作用するためと考えられる。
[実施例のクーリングフィルム製剤の熱伝導試験]
前記実施例のクーリングフィルム製剤の熱伝導作用・効果を以下の条件で検証した。
(1)被検体
実施例:クーリングフィルム製剤(実施例:以下FS)
比較例1:精製水のみ
比較例2:通常市販の日焼け止めクリーム(D社製:以下DS)
比較例3:無処置(コントロール)
(2) 被験者:成人男性ボランティア(50歳)
(3) 試験方法:
被験者の右前腕腹部を上にして試験台に対して水平に置いた。
被検体FS0.1mlを直径5cmの円形に塗付し、60秒後に塗付した皮膚上に透明の被膜の形成を確認した。次に、直径1mm、長さ14cmの市販の線香1本に着火し、発煙後の着火を確認した後、肌から水平方向で40cmの間隔を起点として、着火した線香を徐々に肌に近づけ初期の熱感を感じる地点での肌と線香との距離間隔をノギスを用いて測定した。同様な操作を線香2本、3本、4本と増加させて行い、肌と線香間の距離間隔([表1]の数値:mm)を測定した。
上記と同様な操作を比較例2(DS)0.1g及び、比較例1の精製水の0.1mlについても実施した。又、コントロールとして比較例3の無処置群についても同様にして操作し、記録した。
(4)試験結果:試験結果を図1の[表1]に示した。
被検体の実施例1(FS)は、線香1本に対して10mmの間隔で反応を示し、2本:18mm、3本:30mm、4本:38mmと線香の本数に相関して反応間隔は拡大した。
これに対して、比較例3の無処置群では線香1本:5mm、2本:7mm、3本:10mm、4本:18mmとFSと比較して約1/2〜1/3の反応間隔を示した。市販の比較例2(DS)と精製水のみの比較例1とは、ほぼ同等の反応間隔を示したが、実施例1(FS)に比較して約1/3の反応間隔であった。
以上の実験結果から、被検体である実施例(FS)は、比較例3の無処置群を含め比較例1の精製水や比較例2の市販品(DS)に比較して、線香に対する反応性が非常に優れたことからクーリングフィルム製剤の塗付により皮膚表面に被膜が形成されたことによって皮膚の熱伝導性が改善されたことが推測された。
[クーリングフィルム製剤の皮膚表面温度測定試験]
クーリングフィルム製剤の皮膚表面温度に対する効果と、それに伴う皮膚感覚(冷感と発汗)を以下の条件で検証した。
(1)被検体
実施例:クーリングフィルム製剤(実施例:以下FS)
比較例1:通常市販の日焼け止めクリーム(D社製:以下DS)
比較例2:精製水のみ
比較例3:無処置(コントロール)
(2)被験者:成人男性ボランティア(53〜56歳)3名
(3)試験方法:
被験者を、一定温度(30℃)にコントロールされた部屋に入室後、上半身の衣類を取り10分間室温に順応させた。実施例1(FS)4mlをコットンペレット製の不織布(9cm×11cm)に含ませた状態で被験者の首筋から頸部にかけて均一になるように塗布した。その後、5分、10分、30分、60分、120分の間隔でサーモグラフ装置を用いて頭部から頸部にかけての皮膚の表面温度を測定すると同時に、被験者の塗付部に関する皮膚感覚(冷感と発汗の程度)を被験者からモニターとして下記の判定基準に従って記録した。
この操作を、比較例1の精製水、比較例2の市販DS、及び、比較例3コントロールについても同一被験者について隔日に実施した。
尚、各試験前に試験の基準値として被検体塗布前の状態を各項目についてモニターした。
(4) 試験結果
試験結果を図2[表2]と、図3の熱画像計測装置での塗布直後(スタート時)の皮膚表面温度の写真1(実際にはカラー写真)と、同、図4の塗布10分後の皮膚表面温度の写真2(実際にはカラー写真)に示した。
図3、及び、図4は、株式会社ニコン製の熱画像計測装置で形式:LAIRD3測定範囲−20〜2000℃、41万画素での皮膚表面温度の写真である。
実施例(FS)を首回りに塗布した状態においては、試験スタート時点での皮膚表面温度(写真1)は32.0℃(実際のカラー写真では首回りは主に黄色)であったが、塗付後5分で34.0℃と2℃上昇し、10分後(写真2)に34.6℃(実際のカラー写真では首回りは主に濃い赤色)に達し、以後60分、120分と34.6℃を維持し、初期値から約2.6℃の皮膚表面温度の上昇が認められた。
皮膚感覚([表2]の下段)のうち、冷感は塗付後5分から120分まで強く感じた(++)の回答を得たが発汗に関しては塗付前に非常にある(++)と回答したが、FS塗布後発汗は全く認められなかった。
これに対して、比較例2の市販DSは、塗付前の皮膚表面温度は32.3℃であったが塗布後29.0℃と約3.3℃下げたが、10分後30.9℃、30分後32.6℃と徐々に塗付前の状態に回復し、以後120分まで初期温度を維持した。
比較例2の皮膚感覚のうち、冷感は塗付後5分で(+)感じられたが、以後120分まで全く感じられなかった。試験前に強く感じていた発汗は塗付後5分で有る(+)であったが10分後には塗付前と同等の強く(非常に)有る(++)にもどり、以後120分まで同じ状態であった。
比較例1の精製水は、塗付前の皮膚表面温度は31.8℃であったが、塗布後5分で28.3℃と約3.5℃下げ、10分でも29.8℃と2℃下げた状態であったが、塗付後30分では試験開始前の温度に近い31.6℃を記録し、60分から120分にかけて31.8度に回復した。
皮膚感覚のうち、冷感は塗付後5分で強く感じる(++)と回答したが10分で冷感は消失し、以後120分まで冷感の無い状態が維持された。発汗に関しては塗付後5分〜10分にかけては無かったが30分後には発汗が有る(+)を感じ、60分後には強く発汗が有る(++)を感じ、以後120分までこの状態が維持された。
比較例3(コントロール)である無処置対照では皮膚表面温度は試験開始前から120分まで終始総ての測定時点で32.0℃を維持した。又、皮膚感覚のうち、冷感は試験期間中全く無く、発汗は試験開始前と同等の強い発汗(非常に有る)(++)が試験終了時の120分まで続いた。
以上の実験結果から、実施例(FS)は、従来の日焼け止め製剤である比較例2の市販DSと異なり、塗付後皮膚表面温度の持続的な上昇とともに冷感維持し、実際の発汗を強く抑制することがわかった。このことから、実施例(FS)皮膚表面からの熱放出を高め、皮膚に存在する末梢神経(冷感点)を刺激することによって中枢神経系を介して皮膚からの発汗を抑制したものと考えられる。
以上のように、本発明の皮膚上にフィルムを形成する実施例のクーリングフィルム製剤は、ニトロセルロースを、酢酸3−メチルブチル、又は酢酸イソブチル、又はアセトン、或いはこれらの混合物の溶解剤に溶解し、更にエチルアルコールを添加した基剤に保湿剤に加えて皮膚に清涼感を与えるl―メントール等の皮膚刺激薬を添加してもよく、皮膚に塗布した後溶剤と皮膚刺激剤が皮膚の抹消神経である冷感点を刺激し、肌に冷感を感じると共に製剤構成成分である有機溶剤が揮散し、透明、或いは半透明のフィルムを皮膚上に形成することにより部位を半密封し、皮膚に存在する汗腺のシールド効果によって皮膚からの、爽快感を与える。更に、皮膚上に形成されたセルロースよりなる被膜が熱の不良導体である角質層を良導体に変えることによって体内の熱を皮膚から放散させ、結果として異常体温の上昇を抑制することが可能となる。
言い換えれば、従来は体温上昇を防止する目的で発汗によって皮膚上に分泌された汗が揮散することによって体温の上昇を抑制すると考えられてきたが、汗自体が角質層を熱の不良導体から良導体に変えることが体内の熱の放散に寄与し、これらが相乗効果的に体温上昇を抑制してきたのである。
本発明では皮膚の角質層上にセルロースの被膜を形成させることによって角質層を熱の不良導体から良導体に変化させることによって、汗をかく状態を回避させ、発汗を抑制する。又、非溶解性フィルムが皮膚を被覆することによってフィルム自体が汗や拭き取りによって流失されることはなく、逆に汗との接触によってより確実なシールド(膜形成)となり、その持続性を維持する。
したがって、特に、屋外での使用においては、フルイムによって紫外線から皮膚をガードして日焼け止めの効果も有し、肌に冷感を感じさせるという効果も有し、副次的作用として、化学的刺激や細菌感染から皮膚を保護する効果も有する。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上述した実施例に限定されるものでないことは勿論である。
本発明の実施例と比較例との熱伝導試験の[表1]の図である。 本発明の実施例と比較例との皮膚表面温度測定試験の[表2]の図である。 熱画像計測装置での塗布直後(スタート時)の皮膚表面温度の写真の図である。 熱画像計測装置での塗布10分後の皮膚表面温度の写真の図である。

Claims (6)

  1. ニトロセルロースを、酢酸3−メチルブチル、又は酢酸イソブチル又はアセトン、或いはこれらの混合物の溶解剤に溶解し、更にエチルアルコールを添加して製剤とし、フィルムの摩擦係数や強度を調整するためにアクリル樹脂、アルキッド樹脂等の樹脂類を適量添加し、皮膚に塗布した後溶剤が揮散し、塗布部位の皮膚上に透明或いは透明のフィルムを形成することにより患部を半密封し、塗布部を皮膜で保護することによって、皮膚角質層を熱の不良導体から良導体に変化させて体内の熱の放散を助長し、皮膚の汗腺からの発汗を緩和・低減し、汗による不快感を低減させることを特徴とするクーリングフィルム製剤。
  2. 前記溶解剤の中にシソオイル、ゴマ油、エゴマ油、オリーブ油、馬油、ヒノキオイル、ヒマシ油、モルティエレラ油の天然油の内の一種以上を含有し、膜形成時の膜の強度・柔軟性と密封効果を高めることを特徴とする請求項1のクーリングフィルム製剤。
  3. 前記溶解剤の中にl―メントール、ハッカ油、ヒノキチオール、ヒノキ油、dl−カンフル、ユーカリ油、ペパーミントオイル等の皮膚の冷感刺激成分の内の一種以上を含有し、冷感を与えるとともに反射神経系を介して皮膚の冷却効果とその持続性を改善することを特徴とする請求項1のクーリングフィルム製剤。
  4. 前記溶解剤の中に多価アルコール、セリシン、尿素、尿酸、ヒアルロン酸、加水分解コラーゲンゲル、DMAE(ジメチルアミノエタノール)、レシチン、大豆レシチン、卵黄レシチン、キチン・キトサン等の保湿剤の内の一種以上を含有し、皮膜形成後の皮膚の保湿性を改善することを特徴とする請求項1のクーリングフィルム製剤。
  5. 前記溶解剤の中に紫外線吸収剤の一種以上を含有し、被膜形成後の皮膚の日焼けを予防することを特徴とする請求項1のクーリングフィルム製剤。
  6. 前記溶解剤の中にポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリグルタミン酸、ポリビニールピロリドン、カルボキシビニルポリマー等の高分子物質の内の一種以上を含有し、溶液に粘土を付与し、投与時の皮膚への塗布性と被膜形成を容易にすることを特徴とする請求項1のクーリングフィルム製剤。
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