JP2009142287A - フラズルドヌクレオチド配列、発現生成物、組成物および用途 - Google Patents
フラズルドヌクレオチド配列、発現生成物、組成物および用途 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】WA628をはじめとするフラズルド(frazzled)蛋白ファミリーの、それをコードするDNA、それらを得る方法、およびそれらの使用方法の提供。
【解決手段】該蛋白を用いて組織および器官における因子の発現および/または組織および器官の分化を誘導してもよく、特に、種々の組織および器官の形成、成長、分化、増殖および/または維持を誘導してもよい。該蛋白は、例えば、脳、肺、膵臓、肝臓、脾臓、腎臓、小腸および/または他の組織および器官を包含する種々の組織および器官の細胞形成、成長、分化、増殖および/または維持の欠陥に関連した種々の疾患の治療において有用である。該蛋白は、他の組織再生および分化因子の活性増強にも有用である。特に、該蛋白は、造血の転調、ならびに腸、脳および筋肉組織の発達の転調において有用である。
【選択図】なし
【解決手段】該蛋白を用いて組織および器官における因子の発現および/または組織および器官の分化を誘導してもよく、特に、種々の組織および器官の形成、成長、分化、増殖および/または維持を誘導してもよい。該蛋白は、例えば、脳、肺、膵臓、肝臓、脾臓、腎臓、小腸および/または他の組織および器官を包含する種々の組織および器官の細胞形成、成長、分化、増殖および/または維持の欠陥に関連した種々の疾患の治療において有用である。該蛋白は、他の組織再生および分化因子の活性増強にも有用である。特に、該蛋白は、造血の転調、ならびに腸、脳および筋肉組織の発達の転調において有用である。
【選択図】なし
Description
本発明は、フラズルド(frazzled)蛋白ファミリー、このファミリーのメンバーをコードするDNA、それらを得る方法、およびそれらの使用方法に関する。これらの蛋白を用いて組織および器官における因子の発現および/または組織および器官の分化を誘導してもよく、特に、種々の組織および器官の形成、成長、分化、増殖および/または維持を誘導してもよい。これらの蛋白は、例えば、脳、肺、膵臓、肝臓、脾臓、腎臓、小腸および/または他の組織および器官を包含する種々の組織および器官の細胞形成、成長、分化、増殖および/または維持の欠陥に関連した種々の疾患の治療において有用である。これらの蛋白は、他の組織再生および分化因子の活性増強にも有用である。特に、これらの蛋白は、造血の転調、ならびに腸、脳および筋肉組織の発達の転調において有用である。
造血系、腸、ニューロン、脳および筋肉組織のごとき組織および器官の形成、増殖、分化および維持に関与する分子の検索が広く行われている。なぜなら、これらの組織の変性またはダメージを包含する症状、ならびにこれらのプロセスの欠陥に関連した種々の疾患の治療に有用な因子に対する必要性が非常に大きいからである。本発明は、本発明は、フリズルド(frizzled)蛋白のリガンド結合ドメインに対する相同性を有するファミリーであるフラズルドと命名された蛋白のファミリーに関する。
フリズルドと命名されたファミリーのいくつかの蛋白の構造は、すでに詳細に調べられている。フリズルド蛋白ファミリーのメンバーは、ショウジョウバエにおいてウィングレス(Wg)蛋白に結合することが示されている(非特許文献1参照)。哺乳動物および他の種において、フリズルドファミリーの蛋白は、Wnt遺伝子のファミリーにより生じる蛋白に結合することが示されている膜結合受容体分子である(非特許文献2参照)。Wnt遺伝子は細胞増殖および分化において多数の役割を果たしており、種々の成体および胚の組織および器官、例えば、脳、肺、膵臓、肝臓、脾臓、腎臓、小腸および/または他の組織および器官において発現される。
いくつかのフリズルド関連遺伝子(frzbs)が同定されており、それらはフリズルド類似蛋白、すなわち、膜ドメインの大部分を欠損する受容体をコードしている。frzbsはWntシグナルに対する可溶性アンタゴニスとして機能すると仮定されている。Hoangらは、主として成長中の長骨の軟骨コア中で発現されるフリズルドホモログ(frzbと命名された)を同定し、それは哺乳動物の骨格の形態形成に関与していると考えられた(非特許文献3参照)。フリズルドファミリーの蛋白をコードする遺伝子とは異なり、frzb遺伝子は7個の膜貫通ドメインを含んでいない。ウシおよびヒトのFrzbは94%の同一性を有する。Ratnerらは、マウスの目のcDNAライブラリーにおいて、分泌フリズルド関連蛋白(sFRP−1、SFRP−2、およびsFRP−3)をコードする3つのDNA配列を同定した(非特許文献4参照)。Wangらは、アミノ末端のフリズルドモチーフを含み、可溶性で分泌性の、Frzbのアフリカツメガエルホモログを単離した(非特許文献5参照)。それはWnt−8(腹側インデューサー)に結合しこれを阻害し、直接的細胞外結合を介するWntシグナリングの機能上の阻害剤として作用することも見いだされた。Leynsらは、分泌蛋白Frzb−1を同定し、それはやはりフリズルドの細胞外ドメインに類似した配列を有していた(非特許文献6参照)。
Bhanot et al., Nature, 382: 225-230 (1996)
Wang et al., J. Biol. Chem., 271: 4468-4476 (1996)
Hoang et al., J. Biol. Chem., 271: 26131 (1996)
Ratner et al., PNAS 94: 2859 (1997)
Wang et al., Cell 88: 757 (1997)
Leyns et al., Cell 88: 747 (1997)
組織および器官における因子の発現および/または組織および器官の分化を誘導する蛋白を見出すこと。特に、種々の組織および器官の形成、成長、分化、増殖および/または維持を誘導する蛋白を見出すことが本発明の解決課題であった。
本発明は、フラズルドと命名された新規蛋白ファミリーの新規メンバーをコードする新規DNA配列を提供する。特別な具体例において、本発明は、WG67−16、WG67−19およびWA628(これらに限らない)を包含するフラズルド蛋白をコードする新規DNA配列を提供する。ヌクレオチド配列およびこれらのDNAによりコードされる対応アミノ酸配列を配列表に示す。詳細には、本発明は、配列番号:1のヌクレオチド44から889まで、配列番号:3のヌクレオチド8から850まで、および配列番号:5のヌクレオチド80から967まで、ならびに配列番号:13〜18のアミノ酸配列をコードする配列を含むヌクレオチド配列からなる群より選択されるDNA配列を含む、フラズルド蛋白をコードする単離DNA配列;ならびに上記のものから容易に得ることができ、フラズルド活性を保持している上記ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列のフラグメントおよび変種を包含する。さらに本発明は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でこれらの配列にハイブリダイゼーションし、フラズルド活性を示す蛋白をコードする配列を包含する。目下好ましい具体例において、例えば、最初の低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件(6X SSC,0.5% SDS,約60℃で一晩のごとき)およびその後のより高いストリンジェンジー洗浄条件(2X SSC,0.1% SDS,約20℃のごとき)、あるいはさらに高い洗浄ストリンジェンシー(0.1X SSC,0.1% SDS,約65℃で1時間未満のごとき)を使用する条件を包含するストリンジェントな条件下で、これらの配列は配列番号:15、16、17および/または18にハイブリダイゼーションする。
また本発明は、例えば、造血系、腸、ニューロン、筋肉、脳、肺、膵臓、肝臓、脾臓、腎臓、小腸および/または他の組織および器官を包含する種々の成体および胚の組織および器官の形成、増殖、分化、および維持のための方法を提供する。また、本発明蛋白を用いて、種々の成体および胚の組織および器官における因子の発現および/またはかかる組織および器官の分化を誘導してもよく、特に、種々の組織および器官の形成、成長、分化、増殖および/または維持を誘導してもよい。特に、本発明は、造血系、腸、ニューロン、脳および筋肉組織の形成を誘導する方法であって、スラズルド蛋白ファミリーのメンバーである少なくとも1種の蛋白を含む組成物を前駆細胞に投与することを含む方法を提供する。本発明蛋白は、例えば、造血系、腸、ニューロン、筋肉、脳、肺、膵臓、肝臓、脾臓、腎臓、小腸および/または他の組織および器官を包含する成体および胚の組織および器官の細胞形成、成長、分化、増殖および/または維持における欠陥に関連した種々の疾患の治療において有用である。また、それらの蛋白は、種々の成体および胚の組織および器官の細胞形成、成長、分化、増殖および/または維持の転調においても有用である。これらの蛋白は、他の組織および器官の再生および分化因子の活性の増強にも有用である。
本発明により、フラズルド(frazzled)蛋白ファミリー、このファミリーのメンバーをコードするDNA、それらを得る方法、およびそれらの使用方法が提供される。これらの蛋白を用いて組織および器官における因子の発現および/または組織および器官の分化を誘導してもよく、特に、種々の組織および器官の形成、成長、分化、増殖および/または維持を誘導してもよい。これらの蛋白は、例えば、脳、肺、膵臓、肝臓、脾臓、腎臓、小腸および/または他の組織および器官を包含する種々の組織および器官の細胞形成、成長、分化、増殖および/または維持の欠陥に関連した種々の疾患の治療において有用である。これらの蛋白は、他の組織再生および分化因子の活性増強にも有用である。特に、これらの蛋白は、造血の転調、ならびに腸、脳および筋肉組織の発達の転調において有用である。
好ましい具体例において、これらの方法において有用な組成物は、配列番号:2、4および/または6のアミノ酸配列を有する蛋白、ならびに配列番号:13、14、15、16、17および/または18のアミノ酸配列を含む蛋白を含有する。1の具体例において、本発明の方法は、インビボにおいて患者に組成物を投与することを含む。別法として、本発明の方法は、インビトロにおいて細胞に組成物を投与して、造血系、腸、ニューロン、脳および筋肉組織を回復させ、ついで、これを患者に投与することを含む。組成物は、投与用の適当な担体をさらに含有していてもよい。
他の具体例において、本発明は、発現制御配列に作動するように連結された上記DNA分子を含むベクター、ならびにこれらのベクターで形質転換された宿主細胞を包含する。さらに他の具体例において、本発明は、精製フラズルド蛋白WG67−16、WG67−19およびWA628ならびにフラズルド蛋白WG67−16、WG67−19およびWA628を含有する組成物の製造方法を包含する。これらの方法は、上記のごときフラズルド蛋白をコードするDNA配列で形質転換された宿主細胞を培養し、ついで、培地から該フラズルド蛋白を回収し、精製する工程を含んでいてもよい。さらに本発明は、上記方法により製造されるフラズルドポリペプチド、ならびに上記DNA配列によりコードされるアミノ酸配列を含むWG67−16、WG67−19およびWA628のごとき精製フラズルドポリペプチドを包含する。本発明蛋白は、配列番号:2、4、6、13、14、15、16、17および/または18のアミノ酸配列またはその一部分を含んでいてもよく、あるいは約30ないし35kDの分子量を有するWG67−16、WG67−19およびWA628のごときフラズルド蛋白(配列番号:2、4、6、13、14、15、16、17および/または18のアミノ酸配列またはその一部分を含み、フラズルド蛋白活性を有する)のアミノ酸配列またはその一部分を含んでいてもよい。
配列の説明
配列番号:1はWG67−16の2190個のヌクレオチドの配列であり、コーディング配列は44から889までである。
配列番号:2は配列番号:1によりコードされる281個のアミノ酸の配列である。
配列番号:3はWG67−19の1140個のヌクレオチドの配列であり、コーディング配列は8から850までである。
配列番号:4は配列番号:3によりコードされる280個のアミノ酸の配列である。
配列番号:5はWA628−5の1146個のヌクレオチドの配列であり、コーディング配列は80から967までである。
配列番号:6は配列番号:5によりコードされる295個のアミノ酸の配列である。
配列番号:7はWG67−SPの502個のヌクレオチドの配列である。
配列番号:8は挿入された認識部位である。
配列番号:9は挿入された認識部位である。
配列番号:10は挿入された認識部位である。
配列番号:11および12は、本発明のヌクレオチド配列の単離に使用するプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号:13は本発明の特定のフラズルド蛋白に含まれるコンセンサスアミノ酸配列であり、1番目のXaaはAlaまたはSerであり、2番目のXaaはMetまたはLeuであり、3番目のXaaはTyrまたはPheであり、4番目のXaaはIleまたはValである。
配列番号:14は本発明の特定のフラズルド蛋白に含まれるコンセンサスアミノ酸配列であり、1番目のXaaはSerまたはIleであり、2番目のXaaはAspまたはLysである。
配列番号:15〜17は本発明の特定のフラズルド蛋白に含まれるコンセンサスアミノ酸配列である。
配列番号:18は本発明の特定のフラズルド蛋白に含まれるコンセンサスアミノ酸配列であり、1番目のXaaはLysまたはArgであり、2番目のXaaはAsnまたはHisである。
配列番号:1はWG67−16の2190個のヌクレオチドの配列であり、コーディング配列は44から889までである。
配列番号:2は配列番号:1によりコードされる281個のアミノ酸の配列である。
配列番号:3はWG67−19の1140個のヌクレオチドの配列であり、コーディング配列は8から850までである。
配列番号:4は配列番号:3によりコードされる280個のアミノ酸の配列である。
配列番号:5はWA628−5の1146個のヌクレオチドの配列であり、コーディング配列は80から967までである。
配列番号:6は配列番号:5によりコードされる295個のアミノ酸の配列である。
配列番号:7はWG67−SPの502個のヌクレオチドの配列である。
配列番号:8は挿入された認識部位である。
配列番号:9は挿入された認識部位である。
配列番号:10は挿入された認識部位である。
配列番号:11および12は、本発明のヌクレオチド配列の単離に使用するプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号:13は本発明の特定のフラズルド蛋白に含まれるコンセンサスアミノ酸配列であり、1番目のXaaはAlaまたはSerであり、2番目のXaaはMetまたはLeuであり、3番目のXaaはTyrまたはPheであり、4番目のXaaはIleまたはValである。
配列番号:14は本発明の特定のフラズルド蛋白に含まれるコンセンサスアミノ酸配列であり、1番目のXaaはSerまたはIleであり、2番目のXaaはAspまたはLysである。
配列番号:15〜17は本発明の特定のフラズルド蛋白に含まれるコンセンサスアミノ酸配列である。
配列番号:18は本発明の特定のフラズルド蛋白に含まれるコンセンサスアミノ酸配列であり、1番目のXaaはLysまたはArgであり、2番目のXaaはAsnまたはHisである。
寄託物の説明
WG67−16 DNA配列を含む2つのプラスミドpWG67−16/CS2+およびpWG67−16/pED6を用いてイー・コリ(E. coli)株を形質転換し、American Type Culture Collection (ATCC) 12301 Parklawn Drive, Rockville, MD 20852に、1997年5月9日に寄託し、ATCC受託番号98432を付与された。この寄託はブダペスト条約の規定を完全に満たすものである。
WG67−16 DNA配列を含む2つのプラスミドpWG67−16/CS2+およびpWG67−16/pED6を用いてイー・コリ(E. coli)株を形質転換し、American Type Culture Collection (ATCC) 12301 Parklawn Drive, Rockville, MD 20852に、1997年5月9日に寄託し、ATCC受託番号98432を付与された。この寄託はブダペスト条約の規定を完全に満たすものである。
WG67−19 DNA配列を含むプラスミドpWG67−19を用いてイー・コリ(E. coli)株を形質転換し、American Type Culture Collection (ATCC) 12301 Parklawn Drive, Rockville, MD 20852に、1997年5月13日に寄託し、ATCC受託番号98434を付与された。この寄託はブダペスト条約の規定を完全に満たすものである。
WA628 DNA配列を含むプラスミドpWA628−5を用いてイー・コリ(E. coli)株を形質転換し、American Type Culture Collection (ATCC) 12301 Parklawn Drive, Rockville, MD 20852に、1997年5月9日に寄託し、ATCC受託番号98430を付与された。この寄託はブダペスト条約の規定を完全に満たすものである。
発明の詳細な説明
本明細書の用語「フラズルド蛋白」とは、フリズルド蛋白ファミリーの細胞外結合ドメインに対する配列相同性を有するヒトのフラズルド蛋白のメンバーをいい、Hfz3、Hfz5およびHfz7ならびに他のヒトのフラズルド蛋白、さらに他の種に見出され、Wang et al., J. Biol. Chem., 271: 4468-4476 (1996)に記載されたような他の種由来のフリズルド蛋白に対する相同性を有するフラズルド蛋白を包含する。フラズルド蛋白ファミリーの特定のメンバーは、配列番号:2、4および/または6および/または配列番号:13〜18に示すアミノ酸配列を有するWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白であり、あるいはまた他の種に見出されるこれらの蛋白のホモログである。フラズルド関連蛋白は、ショウジョウバエ、アフリカツメガエル、シー・エレガンス(C. elegans)、ゼブラダニオ、ならびにラット、マウスおよびヒトを包含する他の種にも存在する。「フラズルド蛋白」は、対立遺伝子変種または突然変異もしくは欠失により誘発された変種のごときフラズルド蛋白の変種、ならびにフラズルドまたはフリズルド蛋白のフラグメントも包含する(該変種およびフラグメントはフラズルド活性、好ましくはWntまたはWnt様蛋白のごとき蛋白に対する結合能、あるいはフリズルド蛋白のごとき膜結合受容体への結合能を保持している)。
本明細書の用語「フラズルド蛋白」とは、フリズルド蛋白ファミリーの細胞外結合ドメインに対する配列相同性を有するヒトのフラズルド蛋白のメンバーをいい、Hfz3、Hfz5およびHfz7ならびに他のヒトのフラズルド蛋白、さらに他の種に見出され、Wang et al., J. Biol. Chem., 271: 4468-4476 (1996)に記載されたような他の種由来のフリズルド蛋白に対する相同性を有するフラズルド蛋白を包含する。フラズルド蛋白ファミリーの特定のメンバーは、配列番号:2、4および/または6および/または配列番号:13〜18に示すアミノ酸配列を有するWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白であり、あるいはまた他の種に見出されるこれらの蛋白のホモログである。フラズルド関連蛋白は、ショウジョウバエ、アフリカツメガエル、シー・エレガンス(C. elegans)、ゼブラダニオ、ならびにラット、マウスおよびヒトを包含する他の種にも存在する。「フラズルド蛋白」は、対立遺伝子変種または突然変異もしくは欠失により誘発された変種のごときフラズルド蛋白の変種、ならびにフラズルドまたはフリズルド蛋白のフラグメントも包含する(該変種およびフラグメントはフラズルド活性、好ましくはWntまたはWnt様蛋白のごとき蛋白に対する結合能、あるいはフリズルド蛋白のごとき膜結合受容体への結合能を保持している)。
本明細書の用語「フラズルド活性」とは、本発明のフラズルド蛋白、例えば、WG67−16、WG67−19およびWA628により示される1またはそれ以上の活性をいう。詳細には、「フラズルド活性」は、WntまたはWnt様蛋白への結合能を包含し、よって、フリズルド蛋白受容体のごとき蛋白受容体へのWntまたはWnt様蛋白の結合を調節する能力を包含しうる。1のかかるWnt結合アッセイはBhanot, Nature 382: 225 (1996)に記載されている。簡単に説明すると、フラズルド活性を有する蛋白をコードする配列で形質転換された細胞を、WntまたはWnt様蛋白を含有するならし培地とともにインキュベーションする。結合したWnt蛋白を、例えば、抗Wnt抗体、例えば蛍光抗体とともにインキュベーションした後、可視化する。
さらに「フラズルド活性」は、細胞および/または組織、例えば結合組織、器官の形成、分化、増殖および/または維持ならびに創傷の治癒を調節する能力を包含しうる。詳細には、「フラズルド活性」は、造血系、腸、ニューロン、膵臓、軟骨、脳および筋肉(骨格筋および心筋の両方)組織の形成、成長、増殖、分化および/または維持を促進および/または抑制する能力を包含する。「フラズルド活性」は、本明細書記載のアッセイにおけるフラズルド蛋白の活性も包含する。
また本発明は、フラズルド活性を保持している、配列番号:2、4および/または6、および/または配列番号:13、14、15、16、17および/または18に示すフラズルドWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白のアミノ酸配列の蛋白変種および機能的フラグメントを包含する。また本発明は、上記のWG67−16、WG67−19およびWA628のごとき精製フラズルド蛋白に対する抗体も包含する。本発明組成物は、治療量の、1種またはそれ以上の上記のフラズルドWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白のごときフラズルド蛋白を含む。そのうえ、治療組成物は、フラズルドおよびWntおよび/またはWnt様蛋白の有効な組み合わせを含む。
CHO細胞のごとき哺乳動物細胞により発現されるWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白は、種々のN末端を有するWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白の活性種の混成集団として存在すると考えられる。一部には、Von Heginjeシグナルペプチド推定アルゴリズムによれば、WG67の最初の15ないし18個のアミノ酸およびWA628の最初の24ないし26個のアミノ酸は成熟ペプチド分泌のためのシグナリングに関与しているようである。活性種はシグナルペプチドを含んでいてもよく、活性のあるWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白をコードするDNA配列は、シグナルペプチド領域をコードするそれらのDNA配列を含んでいてもよい。
さらにもう1つの具体例において、本発明は、遺伝子調節を変化させる必要のある患者における遺伝子調節を変化させる方法であって、有効量の上記組成物を該患者に投与することを含む方法を包含する。例えば、膵臓の遺伝子に対する調節の変化を、Wnt蛋白による受容体蛋白への結合、例えば本発明のフラズルドWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白とWnt蛋白との間の結合を刺激または抑制することにより行ってもよい。よって、WG67−16、WG67−19およびWA628を包含するフラズルド蛋白ファミリーは、フリズルド受容体蛋白のごとき受容体蛋白に対するWnt遺伝子の結合相互作用を調節することができる。
また本発明は、プロモーターまたオペレーターのごとき組織特異的または誘導可能な調節配列に連結された、本発明のコーディングDNA配列および他のフラズルドコーディング配列を含むハイブリッドまたは融合ベクターも包含する。本発明の好ましい具体例において、フラズルドWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白のコーディング配列が、造血系、腸、脳および筋肉組織あるいは軟骨細胞および/または軟骨組織において選択的に発現される遺伝子由来の1またはそれ以上のプロモーター、エンハンサーおよび/または調節エレメントに、作動可能に連結される。例えば、II型コラーゲンエンハンサー、プロモーターは、間葉組織凝結および軟骨形成中に軟骨において発現されることが知られている。Metsaranta et al., Dev. Dynamics, 204: 202-210 (1996); Li et al., Genes Decelop., 9: 2821-2830 (1986)。本発明において有用なもう1つの調節エレメントはテナスシン(tenascin)Cプロモーターである。テナスシンCは関節軟骨において発現される。Pacifici et al., Matrix Biol., 14: 689-698 (1996)。さらに、WG67−16、WG67−19およびWA628のごときフラズルド蛋白をコードするDNA配列を、軟骨細胞および/または軟骨組織において選択的に産生されるプロテオグリカンコア蛋白由来の1またはそれ以上の調節配列に、作動可能に連結してもよい。本発明の他の好ましい具体例において、WG67−16、WG67−19およびWA628蛋白のごときフラズルド蛋白のコーディング配列が、IDX遺伝子から単離されたプロモーターに作動可能に連結される。このプロモーターは膵臓細胞および組織において選択的に発現される。よって、IDXプロモーターがWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白のごときフラズルド蛋白をコードするDNA配列に作動可能に結合されているハイブリッドDNAベクターは、膵臓組織における蛋白の選択的発現に有用であり、例えば、Wnt蛋白とその受容体蛋白との間の結合、例えば発現されたWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白のごときフラズルド蛋白とWnt蛋白との間の結合を刺激または抑制することによる、患者における膵臓病の治療または膵臓の遺伝子調節の変化に有用である。他の組織選択的調節エレメントおよび誘導可能エレメントを用いたベクターも、本発明のWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白のごときフラズルド蛋白の選択的または誘導可能な発現に有用である。
本発明のもう1つの態様は、医薬上許容される賦形剤または担体中の治療上有効量の、ラットまたはヒトのフラズルドWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白のごときフラズルド蛋白を含有する医薬組成物を提供する。本発明のこれらの組成物を、種々の異なる成体および胚の組織および器官における因子の発現および/またはかかる組織および器官の分化を誘導するために、そして特に、種々の組織および器官の形成、成長、分化、増殖およびお/または維持を誘導するために使用してもよく、さらに造血系、腸、ニューロン、脳および筋肉組織および軟骨細胞および/または軟骨表現型の形成に使用してもよい。さらにこれらの組成物を用いて、ベータ細胞およびランゲルハンス島に典型的に見出される他の細胞タイプ、ならびに例えば、造血系、腸、ニューロン、筋肉、脳、肺、膵臓、肝臓、腎臓、小腸および/または他の組織および器官を包含する種々の成体および胚の組織および器官の形成、成長、増殖、分化および/または維持を促進および/または抑制してもよい。WG67−16、WG67−19およびWA628蛋白のごときフラズルド蛋白を含む組成物を用いて、分化した組織または器官を構成する細胞(例えば膵臓細胞)へと分化しうる前駆細胞または膵臓幹細胞のごとき幹細胞を処理して、かかる細胞、組織または器官の形成、分化、増殖および/または維持を促進してもよい。かかる細胞の形成および維持方法は、例えば、WO93/00441に記載されており、参照によりその開示を本明細書に記載されているものとみなす。
本発明組成物は、WG67−16、WG67−19およびWA628のごときフラズルド蛋白のメンバーのほかに、表皮成長因子(EGF)、繊維芽細胞成長因子(FGF)、形質転換成長因子(TGF−αおよびTGF−β)、アクチビン、インヒビン、骨形態形成蛋白(BMP)およびインスリン様成長因子(IGF)のごとき成長因子を包含する治療上有用な作用剤を含んでいてもよい。組成物は適当なマトリックス、例えば、組成物を支持し、軟骨細胞および/または軟骨組織の成長のための表面を提供するためのマトリックスを含んでいてもよい。マトリックスは、フラズルドWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白を除々に放出させるものであってもよく、さらに/あるいはフラズルドWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白を提供するための適当な環境を用意するものであってもよい。
WG67−16、WG67−19およびWA628蛋白のごときフラズルド蛋白のメンバーを含有する組成物を、多くの組織欠損の治療方法、ならびに種々のタイプの組織および創傷の治癒および維持方法に使用してもよい。治療可能な組織および創傷としては、軟骨のみならず表皮、神経、筋肉(心筋を包含)、骨、腱および靭帯のごとき他の結合組織、および他の組織および創傷、ならびに膵臓、肝臓、脾臓、肺、脳、心臓および腎臓組織のごとき他の器官等がある。本発明のこれらの方法は、かかる組織の形成、創傷の治癒または組織の修復を要する患者に有効量のWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白のごときフラズルド蛋白のメンバーを投与することを含む。フラズルド蛋白WG67−16、WG67−19およびWA628を含有する組成物を用いて、リューマチ性関節炎、骨関節炎のごとき症状、および軟骨組織の他の異常、あるいは膵臓、肝臓、脾臓、心臓、脳、および腎臓組織のごとき組織および器官、ならびに他の組織および器官に関連した他の症状を治療または予防することができる。これらの方法は、本発明蛋白を少なくとも1種の他の蛋白、例えばEGF、FGF、TGF−α、TGF−β、BMP、アクチビン、インヒビンおよびIGFのごとき成長因子と組み合わせて投与することを含んでもよい。
本発明のさらなる態様は、WG67−16、WG67−19およびWA628蛋白のごときフラズルド蛋白のメンバーの発現をコードするDNA配列である。かかる配列は、配列番号:1、3、5および/または7において5’から3’方向へと示されるヌクレオチド配列を包含するが、遺伝コードの縮重を除いてはこれらのDNA配列と同一であり、配列番号:2、4、6、13、14、15、16、17および/または18のアミノ酸配列を含む蛋白をコードするDNA配列も包含される。厳密な条件下で配列番号:1、3、5および/または7のDNA配列にハイブリダイゼーションし、かつ1またはそれ以上のWnt蛋白に対する結合能を有する蛋白、および/またはインスリン産生ベータ細胞のごとき膵臓細胞、または例えば、造血系、腸、ニューロン、筋肉、脳、肺、脾臓、腎臓、小腸および/または他の組織および器官を包含する種々の成体および胚の組織および器官の形成、成長、増殖、分化、維持を促進および/または抑制する能力のある蛋白をコードしているDNA配列も本発明に包含される。好ましいDNA配列は、厳密な条件下[T. Maniatis et al, Molecular Cloning (A Laboratory Manual), Cold Spring Harbor Laboratory (1982), 387〜389ページ参照]でハイブリダイゼーションするDNA配列を包含する。かかるDNA配列が、配列番号:2、4および/または6に示すアミノ酸配列に対して少なくとも約80%の相同性、より好ましくは少なくとも約90%の相同性を有するポリペプチドをコードしていることが一般的に好ましい。また、配列番号:13および/または14に対して80%よりも高い相同性を有するDNA配列も好ましく、配列番号:15、16、17および/または18に対して80%またはそれよりも高い相同性を有するDNA配列も好ましい。結局、配列番号:1、3、5および/または7の配列の対立遺伝子または他の変種は、かかるヌクレオチド変化がペプチド配列の変化を引き起こすか否かにかかわらず、そのペプチド配列がやはりフラズルド活性を有している場合には、本発明に包含される。また本発明は、フラズルド蛋白の活性を保持しているポリペプチドをコードする、配列番号:2、4および/または6のWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白のごときフラズルド蛋白ファミリーのメンバーをコードするDNA配列の機能的フラグメントも包含する。配列番号:2、4および/または6に示されるような本発明のWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白のごときフラズルド蛋白ファミリーのメンバーの特定の変種またはフラグメントがフラズルド活性を維持しているかどうかを調べることは、本明細書記載のアッセイを用いて通常的に行われる。
本発明DNA配列は、例えば、細胞集団中の他のフラズルド蛋白をコードするmRNAの検出のためのプローブとして有用である。本発明DNA配列は、後で説明する遺伝子治療用ベクターの調製にも有用である。
本発明のさらなる態様は、発現制御配列に作動可能に結合した上記DNA配列を含むベクターを包含する。本発明のWG67−16、WG67−19およびWA628のごとき組み換えフラズルド蛋白ファミリーのメンバーの新規製造方法にこれらのベクターを使用してもよく、該方法において、発現制御配列に作動可能に結合されたWG67−16、WG67−19およびWA628のごときフラズルド蛋白ファミリーのメンバーをコードするDNA配列で形質転換された細胞系が適当な培地で培養され、フラズルド蛋白ファミリーの蛋白が培地から回収され、精製される。この方法は、ポリペプチド発現用宿主細胞として、よく知られた多くの原核細胞および真核細胞の両方を使用することができる。ベクターを遺伝子治療用途に使用してもよい。かかる使用において、ベクターをエクスビボにおいて患者の細胞中にトランスフェクションし、細胞を患者に再導入する。別法として、ベクターをインビボにおいて標的化トランスフェクションにより患者に導入してもよい。
本発明の好ましい具体例において、フラズルドWG67−16、WG67−19およびWA628のコーディング配列に作動可能に結合したプロモーターおよび/またはエンハンサーのごとき1またはそれ以上の本来的および/または本来的なものでない調節エレメントを用いてベクターを調製して、所望細胞組織において、および/または発達中の所望時期において、フラズルドWG67−16、WG67−19およびWA628を発現させる。例えば、発達中にベータ細胞を包含する膵臓細胞において構成的に発現されることが知られており、十分に特徴が知られているIDX遺伝子由来のプロモーターエレメントを用いてベクターを構築してもよい。IDX遺伝子由来のプロモーターをフラズルドのコーディング配列に作動可能に結合させ、WO93/00441に記載のように膵臓幹細胞のごとき適当な細胞を形質転換することにより、これらの細胞においてフラズルドWG67−16、WG67−19およびWA628を発現させることができ、かくして、インスリンを分泌しうる膵臓ベータ細胞のごとき細胞の形成、成長、増殖、分化および/または維持についての所望の効果をインビトロまたはインビボのいずれかにおいて促進することができる。
本発明のさらなる態様はWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白のごときフラズルド蛋白ファミリーのメンバーの蛋白またはポリペプチドである。かかるポリペプチドは、配列番号:2、4、6、13、14、15、16、17および/または18に示す配列を含むアミノ酸配列、あるいは天然に存在する対立遺伝子変種ならびにフラズルドの能力(例えば、造血系、腸、ニューロン、脳および筋肉組織ならびに軟骨細胞および/または軟骨組織および/または膵臓または他の器官の組織(例えば、造血系、腸、ニューロン、筋肉、肝臓、脾臓、肺、心臓、脳および腎臓)の形成、成長、増殖、分化および/または維持を促進および/または抑制する能力であって、フラズルド蛋白に特徴的なもの)を保持している他の蛋白変種を包含する配列番号:2、4、6、13、14、15、16、17および/または18のアミノ酸配列の変種を有することにより特徴づけられる。好ましいポリペプチドは、配列番号:2、4および/または6に示すWG67−16、WG67−19およびWA628のごときフラズルド蛋白ファミリーのメンバーのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%の相同性を有するポリペプチドを包含する。結局、配列番号:2、4および/または6の配列の対立遺伝子変種または他の変種は、かかるアミノ酸変化が突然変異、化学的変換、あるいはポリペプチド作成のためのDNA配列の変更によってなされたものであるかどうかにかかわらず、ペプチド配列がやはりフラズルド活性を有しているかぎり、本発明に包含される。また本発明は、フラズルド蛋白の活性を保持している、配列番号:2、4および/または6に示すフラズルド蛋白ファミリーのメンバーWG67−16、WG67−19およびWA628のアミノ酸配列のフラグメントも包含する。当業者は、当該分野で知られた方法を用いてフラズルドWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白のかかる変種およびフラグメントを容易に得ることができ、本明細書実施例に記載のごとくそれらの活性を容易にアッセイすることができる。
本発明の精製蛋白を用い、当該分野で知られている抗体生成法を用いて、WG67−16、WG67−19およびWA628蛋白のごときフラズルド蛋白ファミリーのメンバーおよび/または他の関連蛋白に対するモノクローナルまたはポリクローナルな抗体を得てもよい。よって、本発明は、ヒトフラズルド蛋白に対する抗体も包含する。抗体は、フラズルド蛋白WG67−16、WG67−19およびWA628の精製、あるいはインビトロまたはインビボでフラズルド蛋白の効果を抑制または防止することに有用でありうる。フラズルド蛋白WG67−16、WG67−19およびWA628は、胚の細胞および/または幹細胞の成長および/または分化の誘導に有用でありうる。よって、本発明の蛋白または組成物は、胚の細胞または幹細胞のごとき細胞集団を処理して細胞の成長および/または分化を促進、豊富化または抑制することに有用でありうる。例えば、フラズルド蛋白WG67−16、WG67−19およびWA628は、細胞集団を処理して、軟骨細胞、軟骨組織、他の結合組織および/または膵臓起源の再応のごとき他の細胞、あるいは例えば、造血系、腸、ニューロン、筋肉、脳、肺、膵臓、肝臓、脾臓、腎臓、小腸および/または他の組織および器官を包含する種々の成体および胚の組織および器官を形成、分化、増殖および/または維持を促進および/または抑制することに有用でありうる。処理された細胞集団は、とりわけ、後で説明する遺伝子治療用途に有用でありうる。
WG67−16、WG67−19およびWA628のフラズルド遺伝子が分泌性因子をコードしているようであり、それゆえ、WntおよびWnt様蛋白と結合可能な可溶性受容体を提供し、かくして、Wnt蛋白によるシグナルトランスダクションを開始および/またはブロックするということは、特に興味深い。よって、WG67−16、WG67−19およびWA628を包含するフラズルド遺伝子遺伝子ファミリーは、フリズルド受容体蛋白のごとき受容体蛋白に対するWnt遺伝子の結合相互作用を調節する可能性がある。膵臓および他の器官におけるWnt遺伝子の存在および/または発現に伴うこれらの蛋白のシグナルトランスダクション調節活性は、WG67−16、WG67−19およびWA628のごときフラズルド蛋白が、組織および器官の分化に対する重要なレギュレーターであり、組織および器官の誘導、形成、成長、分化、増殖および/または維持に関与している可能性があることを示唆する。よって、本発明蛋白は、創傷の治癒ならびに器官の修復および再生プロセス、あるいはまた組織の分化、例えば胚の発達において有用でありうる。特に、フラズルド蛋白WG67−16、WG67−19およびWA628が造血系、腸、ニューロン、脳および筋肉組織ならびに軟骨細胞および/または軟骨組織の誘導、形成、成長、分化、増殖および/または維持ならびに修復に有用でありうることが、本発明者により観察された。よって、これらの蛋白およびそれらを含む組成物は、骨関節炎、リューマチ性関節炎および関節軟骨欠損のごとき軟骨の疾病の治療、ならびに細胞の形成、成長、分化、増殖および/または維持の促進および/または抑制、例えば軟骨細胞および/または軟骨組織の形成において有用でありうる。
本発明のフラズルド蛋白は、配列番号:1、3、5および/または7の配列に類似した配列によりコードされる因子を包含するが、該因子中には自然発生的(例えば、ポリペプチド中のアミノ酸変化を引き起こしうるヌクレオチド配列中の対立遺伝子変異)あるいは人工的に作成されたした修飾または欠失が存在している。例えば、合成ポリペプチドが、配列番号:2、4および/または6のアミノ酸残基の一連の配列を全体的または部分的に複製したものであってもよい。これらの配列は、1次、2次、または3次構造およびコンホーメーション的特質をWG67−16、WG67−19およびWA628のごときフラズルドポリペプチドと共有することによって、それらに共通した生物学的特性を有する可能性がある。よって、本来のフラズルドポリペプチドのこれらの修飾体および欠失体を、治療プロセスにおいて天然のフラズルドポリペプチドの生物学的活性置換体として用いてもよい。フラズルドおよびフラズルドの変種またはフラグメントを本明細書記載のアッセイに供することにより、フラズルドWG67−16、WG67−19およびWA628の変種またはフラグメントがフラズルドの生物学的活性を有しているかどうかを容易に決定することができる。例えば、変種またはフラグメントを競合結合アッセイに用いてWnt遺伝子への結合を試験してもよく、あるいはWntまたはWnt様蛋白への結合を試験してもよい。
本明細書記載のフラズルド蛋白WG67−16、WG67−19およびWA628の配列の他の特別な変異は糖鎖付加部位の修飾を包含する。これらの修飾はO−結合またはN−結合糖鎖付加部位を含むものであってもよい。例えば、糖鎖付加の不存在またはごく部分的な糖鎖付加は、アスパラギン結合糖鎖付加認識部位の置換または欠失により生じる。アスパラギン結合糖鎖付加認識部位は、細胞の適当な糖鎖付加酵素により特異的に認識されるトリペプチド配列を含む。これらのトリペプチド配列は、アスパラギン−X−スレオニンまたはアスパラギン−X−セリンであり、通常にはXはいずれかのアミノ酸である。糖鎖付加認識部位の1番目または3番目のアミノ酸位置の一方または両方における種々のアミノ酸置換または欠失(および/または2番目の位置におけるアミノ酸欠失)は、修飾トリペプチド配列において糖鎖付加を生じさせない。かかるフラズルドWG67−16、WG67−19およびWA628の変種は本発明の範囲内である。さらに、フラズルド蛋白の細菌による発現は、糖鎖付加部位が未修飾であっても、糖鎖付加されていない蛋白を生じるであろう。フラズルドWG67−16、WG67−19およびWA628のかかる細菌により産生されたバージョンは本発明の範囲内である。
また本発明は、他の蛋白性物質をコードするDNA配列が結合しておらず、WG67−16、WG67−19およびWA628のごときフラズルド蛋白の発現をコードしている新規DNA配列をも包含する。これらのDNA配列は、配列番号:1、3、5および/または7に5’から3’方向に示したDNA配列、ならびに配列番号:15、16、17および/または18のコンセンサスアミノ酸配列を包含するヌクレオチド配列、ならびにストリンジェントな条件下(例えば、0.1X SSC, 0.1% SDS, 65℃; T. Maniatis et al, Molecular Cloning (A Laboratory Manual), Cold Spring Harbor Laboratory (1982), 387-389ページ参照)でそれらにハイブリダイゼーションする配列であってフラズルド活性を有する蛋白をコードしている配列を包含する。本明細書の用語「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、最初は低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件(6x SSC,0.5% SDS,約60℃のごとき)に一晩付し、ついで、より高いストリンジェンシーの洗浄条件(2X SSC,0.1% SDS,約20℃のごとき)に付すか、またはさらに高いストリンジェンシーの洗浄(0.1X SSC,0.1% SDS,約65℃、1時間未満のごとき)を行うことをいう。
同様に、配列番号:1、3、5および/または7の配列によりコードされるフラズルド蛋白WG67−16、WG67−19およびWA628をコードするDNA配列、あるいは配列番号:2、4、6および/または配列番号:15、16、17および/または18のアミノ酸配列を含むフラズルド蛋白またはWG67−16、WG67−19およびWA628をコードするDNA配列は、遺伝学的コードの縮重または対立遺伝子変異(種の集団中における天然に存在する塩基変化であり、アミノ酸変化を生じさせるものであっても、生じさせないものであってもよい)によりコドン配列が異なっていても、本明細書記載の新規因子をコードする。コードされるポリペプチドの活性、半減期または産生を増大させるための点突然変異または誘発された修飾(挿入、欠失および置換を包含)により引き起こされる配列番号:1、3、5および/または7のDNA配列における変異も本発明に包含される。
本発明のもう1つの態様は、WG67−16、WG67−19およびWA628のごときフラズルド蛋白の新規製造方法を提供する。本発明方法は、本発明のWG67−16、WG67−19およびWA628のごときフラズルド蛋白をコードするDNA配列で形質転換された適当な細胞系を、調節配列の制御下において培養することを含む。形質転換宿主細胞を培養して、WG67−16、WG67−19およびWA628のごときフラズルド蛋白を培地から回収し精製する。精製蛋白は、同時産生される他の蛋白ならびに他の混入物質を実質的に含まない。別法として、適当な細胞系を、フラズルドをコードする配列およびWntもしくはWnt様蛋白をコードする配列(これらの配列は別々のベクター上にあってもよく、あるいは1つのベクター上にあってもよい)で同時トランスフェクションすることができる。
適当な細胞または細胞系はチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)のごとき哺乳動物細胞であってもよい。適当な哺乳動物宿主細胞ならびに形質転換、培養、増幅、スクリーニング、生成物の製造および精製方法の選択は当該分野において知られている。例えば、Gething and Sambrook, Nature, 293:620-625 (1981)あるいはKaufman et al, Mol. Cell. Biol., 5(7):1750-1759 (1985)またはHowleyらの米国特許第4,419,446号参照。もう1つの適当な哺乳動物細胞系は本明細書の実施例に記載されているサルCOS−1細胞系である。哺乳動物細胞CV−1も適当であるかもしれない。
細菌細胞も適当な宿主でありうる。例えば、種々のイー・コリ株(例えばHB101、MC1061)はバイオテクノロジーの分野において宿主細胞としてよく知られている。ビー・ズブチリス(B. subtilis)、シュードモナス(Pseudomonas)、他のバチルス等をこの方法に使用してもよい。細菌細胞における蛋白の発現には、一般的には、フラズルドのシグナルペプチドをコードするDNAは必要ない。
当業者に知られた多くの酵母細胞株も、本発明ポリペプチド発現のための宿主細胞として利用できる。さらに、所望ならば、本発明方法において昆虫細胞を宿主として用いてもよい。例えば、Miller et al, Genetic Engineering, 8:277-298 (Plenum Press 1986)およびその中で引用された文献参照。
本発明のもう1つの態様は、WG67−16、WG67−19およびWA628のごときフラズルドポリペプチドの発現方法に使用するベクターを提供する。好ましくは、ベクターは、本発明新規因子をコードする上記の新規DNA配列の全長を含む。さらに、ベクターは、フラズルド蛋白配列の発現を可能にする適当な発現制御配列を含む。あるいはまた、上記修飾配列を含むベクターも本発明の具体例である。さらに、フラズルドプロペプチドシグナルペプチド配列を欠失させ、他のフラズルド蛋白のプロペプチドシグナルペプチドまたは他の適当なプロペプチドをコードする配列に置き換えることにより、配列番号:1、3、5および/または7の配列またはWG67−16、WG67−19およびWA628のごときフラズルド蛋白をコードする他の配列を処理して、WG67−16、WG67−19およびWA628のごとき成熟フラズルド蛋白を発現させることもできる。よって、本発明は、WG67−16、WG67−19およびWA628ポリペプチドのごときフラズルド蛋白をコードするDNA配列に正しい読み枠において結合している、フラズルドファミリーのメンバー由来のプロペプチドシグナルペプチドをコードするキメラDNA分子を包含する。適当には、ホモダイマーおよびヘテロダイマー等を包含する一般的な多量体形態となるように配列を配置することができる。
ベクターを細胞系の形質転換法に使用してもよく、ベクターは、選択された宿主における複製および発現を指令しうる、本発明コーディング配列に作動可能に結合された調節配列を含む。かかるベクターの調節配列は当業者に知られており、宿主細胞に応じて選択できる。かかる選択は通常のことであり、本発明の一部を形成しない。
ラット、ヒトまたは他の哺乳動物のフラズルド蛋白を製造するために、それをコードするDNAを適当な発現ベクター中に移行させ、慣用的な遺伝子工学的手法により哺乳動物細胞または他の好ましい真核細胞または原核細胞宿主中に導入する。生物学的に活性のある組み換えヒトフラズルドを得るための好ましい発現系は安定に形質転換された哺乳動物細胞であると考えられる。
当業者は、配列番号:1、3、5および/または7の配列、またはフラズルド蛋白をコードする他のDNA配列または他の修飾配列ならびにpCD(Okayama et al., Mol. Cell Biol., 2:161-170 (1982))、pJL3、pJL4(Gough et al., EMBO J., 4:645-653 (1985))およびpMT2 CXMのごとき既知ベクターを用いることにより、哺乳動物発現ベクターを構築することができる。
哺乳動物発現ベクターpMT2 CXMはp91023(b)(Wong et al., Science 228:810-815, 1985)の誘導体であり、テトラサイクリン耐性遺伝子のかわりにアンピシリン耐性遺伝子を含み、さらにcDNAクローン挿入のためのXhoI部位を含むことにおいて異なっている。pMT2 CXMの機能的エレメントはすでに記載されており(Kaufman, R.J., 1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:689-693)、アデノウイルスVA遺伝子、72bpのエンハンサーを含むSV40複製開始点、5’スプライス部位およびアデノウイルス後期mRNA上に存在するアデノウイルス三分節リーダー配列の大部分を含むアデノウイルス大後期プロモーター、3’スプライスアクセプター部位、DHFRインサート、SV40初期ポリアデニル化部位(SV40)、ならびにイー・コリ中での増殖に必要なpBR322配列を含んでいる。
受託番号ATCC 67122としてthe American Type Culture Collection (ATCC), Rockville, MD (USA)に寄託されたpMT−VWFのEcoRI消化によりプラスミドpMT2 CXMを得る。EcoRI消化によりpMT2−VWFに存在するcDNAインサートを切り出し、pMT2を直鎖状とし、それをライゲーション(ligation)し、これを用いてイー・コリHB101またはDH−5を形質転換してアンピシリン耐性とすることができる。慣用的方法によりプラスミドpMT2 DNAを調製することができる。ついで、ループアウト/イン突然変異(Morinaga, et al., Biotechnology 84: 636 (1984))を用いてpMT2 CXMを構築する。これにより、SV40複製開始点およびpMT2エンハンサー配列の近傍のHindIII部位に対応した塩基1075〜1145が除去される。さらに、下記配列:
配列番号:8: 5' PO-CATGGGCAGCTCGAG-3'
をヌクレオチド1145に挿入する。この配列は制限エンドヌクレアーゼXhoI認識部位を含む。pMT23と命名されたpMT2 CXMの誘導体は制限エンドヌクレアーゼPstI、Eco1 RI、SalIおよびXhoIの認識部位を含む。慣用的方法によりプラスミドpMT2 CXMおよびpMT23 DNAを調製してもよい。
配列番号:8: 5' PO-CATGGGCAGCTCGAG-3'
をヌクレオチド1145に挿入する。この配列は制限エンドヌクレアーゼXhoI認識部位を含む。pMT23と命名されたpMT2 CXMの誘導体は制限エンドヌクレアーゼPstI、Eco1 RI、SalIおよびXhoIの認識部位を含む。慣用的方法によりプラスミドpMT2 CXMおよびpMT23 DNAを調製してもよい。
pMT21に由来するpEMC2β1は本発明の実施に適するかもしれない。pMT21はpMT2に由来し、pMT2はpMT2−VWFに由来する。上記のごとく、EcoRI消化によりpMT−VWF中に存在するcDNAインサートを切り出し、pMT2を直鎖状とし、これをライゲーションし、これを用いてイー・コリHB101またはDH5を形質転換させてアンピシリン耐性とすることができる。慣用的方法によりプラスミドpMT2 DNAを調製することができる。
pMT21は下記の2つの修飾によりpMT2に由来するものである。第1は、cDNAクローニング用のG/Cテイリング由来の19個のG残基の伸長部分を含む、76bpのDHFR cDNA5’非翻訳領域が欠失されている。このプロセスにおいて、XhoI部位が挿入されてDHFRのすぐ上流に下記配列:
配列番号:9: 5’-CTGCAGGCGAGCCTGAATTCCTCGAGCCATCATG-3'
PstI Eco RI XhoI
が得られる。第2は、EcoRVおよびXbaI消化、DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメントでの処理、およびClaIリンカー(CATCGATG)へのライゲーションにより単一のClaI部位が導入されている。これにより、250bpのセグメントがアデノウイルス関連RNA(VAI)領域から欠失されるが、VAI RNA遺伝子発現または機能は妨げられない。pMT21をEcoRIおよびXhoIで消化して、ベクターpEMC2B1を得るために使用する。
配列番号:9: 5’-CTGCAGGCGAGCCTGAATTCCTCGAGCCATCATG-3'
PstI Eco RI XhoI
が得られる。第2は、EcoRVおよびXbaI消化、DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメントでの処理、およびClaIリンカー(CATCGATG)へのライゲーションにより単一のClaI部位が導入されている。これにより、250bpのセグメントがアデノウイルス関連RNA(VAI)領域から欠失されるが、VAI RNA遺伝子発現または機能は妨げられない。pMT21をEcoRIおよびXhoIで消化して、ベクターpEMC2B1を得るために使用する。
EcoRIおよびPstIでの消化により、EMCVリーダーの一部をpMT2−ECAT1(S.K. Jung, et al, J. Virol 63:1651-1660 (1989))から得て、2752bpのフラグメントを生じさせる。このフラグメントをTaqIで消化して、508bpのEcoRI−TaqIフラグメントを得て、これを低融点アガロースゲル電気泳動により精製する。下記の配列:
配列番号:10:
5'CGAGGTTAAAAAACGTCTAGGCCCCCCGAACCACGGGGACGTGGTTT
TaqI
TCCTTT GAAAAACACGATTGC-3'
XhoI
を有する68bpのアダプターおよびその相補鎖を合成する。
配列番号:10:
5'CGAGGTTAAAAAACGTCTAGGCCCCCCGAACCACGGGGACGTGGTTT
TaqI
TCCTTT GAAAAACACGATTGC-3'
XhoI
を有する68bpのアダプターおよびその相補鎖を合成する。
これは5’TaqI突出末端および3’XhoI突出末端を有する。この配列はEMCウイルスリーダー配列のヌクレオチド763から827までに合致する。また、EMCウイルスリーダー中の位置10のATGがATTに変化しており、その後にXhoI部位がある。pMT21 EcoRI−XhoIフラグメント、EMCウイルスEcoRI−TaqIフラグメント、および68bpのオリゴヌクレオチドアダプターTaqI−XhoIアダプターのスリーウェイライゲーション(three way ligation)によりベクターpEMC2β1が得られる。このベクターは、哺乳動物細胞において所望cDNAを高レベルで発現させるように適切に関連づけられたSV40複製開始点およびエンハンサー、アデノウイルス大後期プロモーター、アデノウイルス三分節リーダー配列の大部分のcDNAコピー、小さなハイブリッド介在配列、SV40ポリアデニル化シグナルおよびアデノウイルスVAI遺伝子、DHFRおよびβ−ラクタマーゼマーカーならびにEMC配列を含む。
ベクター構築物はフラズルドWG67−16、WG67−19およびWA628 DNA配列の修飾を含んでいてもよい。例えば、コーディング領域の5’および3’末端にある非コーディングヌクレオチドを除去することによりフラズルドWG67−16、WG67−19およびWA628 cDNAを修飾することができる。欠失された非コーディングヌクレオチドを、発現に有利であることが知られている他の配列に置き換えてもよく、置き換えなくてもよい。これらのベクターを、WG67−16、WG67−19およびWA628蛋白のごときフラズルドの発現のために適当な宿主細胞中に形質転換する。さらに、フラズルドWG67−16、WG67−19およびWA628コーディングプロペプチドシグナル配列を欠失させ、他の蛋白の完全なシグナルペプチドをコードする配列に置き換えることにより、配列番号:1、3、5および/または7の配列、またはフラズルド蛋白をコードする他の配列をコードする他の配列を処理して、WG67−16、WG67−19およびWA628蛋白のごとき成熟フラズルド蛋白のメンバーを発現させることができる。
当業者は、コーディング配列に隣接する哺乳動物の調節配列を細菌配列に置換することにより、配列番号:1、3、5および/または7の配列を処理して、細菌細胞により細胞内または細胞外発現される細菌ベクターを作成することができる。例えば、コーディング配列をさらに処理することができる(例えば、他の既知リンカーを連結、あるいは非コーディング配列を欠失させることにより修飾、あるいは既知方法によりヌクレオチドを変化させる)。ついで、WG67−16、WG67−19およびWA628のごときフラズルド蛋白ファミリーのメンバー修飾されたコーディング配列を、T. Taniguchi et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA, 77:5230-5233 (1980)に記載されたような方法を用いて既知細菌ベクター中に挿入することができる。ついで、この典型的な細菌ベクターを細菌宿主中に形質転換し、それにより蛋白を発現させることができる。WG67−16、WG67−19およびWA628のごときフラズルドを細菌細胞の細胞外で発現させるための方法としては、例えば、欧州特許出願EPA 第177343号参照。さらに、本発明のフラズルド蛋白、ならびにフラズルド/Wnt複合体を、当業者に知られたチオレドキシン融合物として発現させることができ、それはUSPN第5646016号および公開(1995年6月15日)されたWO95/16044に記載されている。
昆虫細胞での発現のために、同様の操作を行って昆虫ベクターを構築することができる(例えば、出願公開された欧州特許出願第155476号記載の方法参照)。本発明因子を酵母により細胞内または細胞外発現させるために、酵母の調節配列を用いて酵母ベクターを構築してもよい(例えば、公開されたPCT出願WO86/00639および欧州特許出願EPA 第123289号参照)。
本発明のWG67−16、WG−19およびWA628蛋白のごときフラズルド蛋白を哺乳動物細胞において高レベルで産生させる方法は、WG67−16、WG−19およびWA628のごとき異型遺伝子の多数のコピーを含む細胞の構築を包含してもよい。異型遺伝子を増幅可能マーカー、例えばジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子に連結し、Kaufman and Sharp, J. Mol. Biol., 159:601-629 (1982)の方法に従ってメトトレキセート(MTX)濃度を上昇させつつ増殖させて、増大した遺伝子コピーを含む細胞を選択することができる。このアプローチを多くの異なる細胞タイプについて用いることができる。
例えば、発現を可能にする他のプラスミドの配列に作動可能に結合された本発明のフラズルドファミリーのメンバーWG67−16、WG67−19およびWA628のDNA配列を含むプラスミドならびにDHFR発現プラスミドpAdA26SV(A)3[Kaufman and Sharp, Mol. Cell. Biol., 2:1304 (1982)]を、リン酸カルシウム共沈およびトランスフェクション、エレクトロポレーションまたはプロトプラスト融合を包含する種々の方法により同時にDHFR欠損CHO細胞中に導入することができる。透析されたウシ胎児血清を含有するアルファ培地中での選択に関してDHFR発現形質転換体を選択し、ついで、Kaufman et al., Mol Cell Biol., 5:1750 (1983)に記載のごとくMTX濃度を上昇させつつ(例えば、逐次的に0.02、0.2、1.0、ついで5μMのMTX)増殖させることにより、増殖に関して選択する。形質転換体をクローン化し、本明細書記載のアッセイの1つにより、生物学的に活性のあるフラズルドWG67−16、WG67−19およびWA628の発現をモニターする。フラズルド蛋白の発現はMTXレベルの上昇に伴って増大するはずである。35Sメチオニンまたはシステインを用いるパルスラベリングおよびポリアクリルアミドゲル電気泳動のごとき当該分野で知られた標準的方法を用いてフラズルド蛋白を特徴づける。同様の方法により他の関連フラズルド蛋白を得ることができる。
フラズルド活性を示す本発明の蛋白は、ヒトおよび他の動物における造血系、腸、ニューロン、脳および筋肉組織、あるいは軟骨細胞および/または軟骨組織、ならびに膵臓組織、ならびに他の器官組織の誘導、形成、成長、分化、増殖および/または維持ならびに治癒に適用される。フラズルド蛋白を用いるかかる調合物は、リューマチ性関節炎および骨関節炎および軟骨に対する外傷の治療、ならびに膵臓腫瘍、糖尿病および他の膵臓組織の疾病の予防において予防的使用をしてもよい。フラズルド蛋白により誘導される、ベータ細胞、ランゲルハンス島、および膵臓表現型の他の細胞のドゥノボ形成は、先天性の、外傷により誘導される、あるいは腫瘍学的な組織欠損または症状の修復に貢献する。WG67−16、WG67−19およびWA628のごときフラズルド蛋白を膵臓病、および他の組織および器官の修復プロセスに使用してもよい。かかる作用剤は、適当な幹細胞を誘引する環境を提供し、膵臓形成細胞の成長および増殖を刺激し、あるいは膵臓形成細胞の前駆細胞の分化を誘導する可能性があり、さらに他の組織および器官の再生を助ける可能性がある。本発明のフラズルドポリペプチドは膵臓炎または糖尿病のごとき器官の疾病の治療にも有用でありうる。
本発明蛋白を創傷の治癒および関連組織の修復に使用してもよい。創傷のタイプは、熱傷、切り傷および潰瘍を包含するが、これらに限らない(創傷の治癒および関連組織の修復については例えば、PCT公開WO84/01106参照)。さらに本発明蛋白はニューロン、星状細胞および/またはグリア細胞の生存率を高め、それゆえ、移植ならびにニューロンの生存率および修復の低下を示す症状の治療において有用であると考えられる。さらに本発明蛋白は、神経、表皮、筋肉、骨、軟骨、腱および靭帯のごとき結合組織のごとき他のタイプの組織、ならびに造血系、腸、ニューロン、脳および筋肉組織および膵臓、肝臓、脾臓、肺、心臓、脳および腎臓組織に関連した症状の治療に有用でありうる。本発明蛋白は食物の添加物として、あるいは細胞培養培地の添加物としても価値を有する。この用途には、蛋白を無傷の状態で使用してもよく、あるいは前消化して、より容易に吸収される添加物としてもよい。
本発明蛋白は、フラズルドファミリーの蛋白に特徴的な他の有用な特性も有しうる。かかる特性は、血管形成、化学走性および/または化学誘引特性、および分化応答、細胞増殖応答、および細胞の付着、移動を包含する応答、および細胞外マトリックスに対する影響を包含する。これらの特性は、本発明蛋白を創傷の治癒、繊維症の抑制および瘢痕組織形成の抑制のための有効な作用剤としている。本発明蛋白は、インスリン、グルカゴンまたは他の内分泌もしくは外分泌ホルモンのごとき貴重なホルモンを分泌しうる細胞の形成の誘導にも有用でありうる。
本発明のさらなる態様は、軟骨および結合組織の疾病、ならびに膵臓病、糖尿病、および膵臓組織の疾病または疾患に関連した他の症状の治療方法ならびに治療用組成物である。さらに本発明は、創傷の治癒および組織の修復のための治療方法ならびに組成物を包含する。かかる組成物は、医薬上許容される賦形剤、担体またはマトリックスと混合された治療上有効量の少なくとも1種の本発明のフラズルド蛋白を含む。さらに本発明組成物はニューロンおよびグリア細胞の生存率を高め、それゆえ、移植ならびにニューロンの生存率低下を示す症状の治療に有用であると考えられる。
本発明蛋白は、他の関連蛋白および成長因子と協奏的に、あるいはおそらく相乗的に作用うしうると考えられる。それゆえ、本発明のさらなる治療方法および組成物は、骨形態形成蛋白(BMP)を包含するTGF−βスーパーファミリーの蛋白のメンバー、成長および分化因子(GDF)および他の蛋白のごとき、治療量の少なくとも1種の他の蛋白を伴った治療量の本発明の少なくとも1種のフラズルド蛋白を含む。組成物は、表皮成長因子(EGF)、繊維芽細胞成長因子(FGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、形質転換成長因子(TGF−αおよびTGF−β)、アクチビン、インヒビン、およびk−繊維芽細胞成長因子(kFGF)、副甲状腺ホルモン(PHT)、白血病抑制因子(LIF/HILDA/DIA)、インスリン様成長因子(IGF−IおよびIGF−II)のごとき他の作用剤および成長因子を含んでいてもよい。これらの作用剤の一部を本発明に使用してもよい。
pH、等張性、安定性等において生理学的に許容されるかかる蛋白組成物の処方は当業者に明らかである。またフラズルド蛋白における種特異性が欠乏しているために獣医学的用途にも、本発明治療組成物は目下のところ価値を有する。詳細には、本発明のフラズルド蛋白でのかかる治療に適した対象は、ヒトのほかには家畜およびサラブレッドのウマである。
治療方法は、組成物を局所的、全身的、または局部的に、注射または移植のごとき方法で投与することを包含する。投与する場合、本発明に使用する治療組成物は、もちろん、パイロジェン不含で、生理学的に許容される形態である。さらに、望ましくは、組成物をカプセル封入してもよく、あるいは他の組織のダメージ部位へのデリバリーのために粘性のある形態として注射してもよい。局所的投与は創傷の治癒および組織の修復に適しているかもしれない。本発明方法において、上記組成物に含有されていてもよいフラズルド蛋白以外の治療上有用な作用剤を、フラズルド組成物のかわりに、あるいはそれに加えて、同時または逐次投与してもよい。
移植には、好ましくは、組成物は、フラズルドWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白を膵臓または他の組織のダメージ部位にデリバリーすることのできるマトリックスを含む。マトリックスは、フラズルドWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白および/または他の蛋白を除々に放出するほか、細胞を浸潤させるためにそれらの蛋白を正しく提供し、適切な環境を提供する。かかるマトリックスは、現在他の移植医療に使用されている材料から作られてもよい。マトリックス材料の選択は、生体適合性、生分解性、機械的特性、美容上の外観および界面特性に基づいて行われる。フラズルドWG67−16、WG67−19およびWA628組成物の個々の適用により、適切な処方が決定される。
例えば、形成が望まれる組織量、組織ダメージ部位、ダメージを受けた組織の状態、創傷のサイズ、ダメージを受けた組織のタイプ、患者の年齢、性別、食事、感染症の重さ、投与期間ならびに他の臨床的要因のごときフラズルドWG67−16、WG67−19およびWA628蛋白の作用を変化させる種々の要因を担当医が考慮することにより、投与規則が決定されるであろう。復元に用いるマトリックスおよび組成物中のWG67−16、WG67−19およびWA628のごときフラズルドのタイプに応じて用量は変更されうる。IGF I(インスリン様増殖因子I)のごとき他の既知成長因子の添加もまた、用量に影響しうる。
組織の成長および/または修復を定期的に評価することにより、進展をモニターすることができる。例えば、X線、組織形態学的試験およびテトラサイクリン標識により進展をモニターすることができる。
以下の実施例は、WG67−16、WG67−19およびWA628蛋白のごときフラズルド蛋白ファミリーのメンバーの回収、特徴付けおよび使用、ならびにヒトフラズルドおよび他のフラズルド蛋白を回収するためのDNAの使用、ヒト蛋白の取得、および組み換え法による蛋白の発現において、本発明の実施を説明する。
実施例1−ハイブリダイゼーションによるアフリカツメガエルのフラズルドcDNAの単離
アフリカツメガエルWA628−5、WG67−16およびWG67−19の全長cDNAを、プラスミドベクターCS2+中に構築されたdT−プライムドcDNAライブラリーから単離した。cDNAをアフリカツメガエルの胚(段階11.5〜12)から調製した。WA628およびWA67のクローンを単離するために使用したプローブ配列はそれぞれ以下のものであった:
配列番号:11: 5'-ATACATAGATTGCGAGCCACACGCCAA-3' および
配列番号:12: 5'-ACGCACTTGGTGGATAATCCAATGTCA-3
DNAプローブを32Pで放射性標識し、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション/洗浄条件下でアフリカツメガエルのdT−プラムドcDNAライブラリーをスクリーニングするために使用して、WA628およびWG67遺伝子の配列を含むクローンを同定した。
アフリカツメガエルWA628−5、WG67−16およびWG67−19の全長cDNAを、プラスミドベクターCS2+中に構築されたdT−プライムドcDNAライブラリーから単離した。cDNAをアフリカツメガエルの胚(段階11.5〜12)から調製した。WA628およびWA67のクローンを単離するために使用したプローブ配列はそれぞれ以下のものであった:
配列番号:11: 5'-ATACATAGATTGCGAGCCACACGCCAA-3' および
配列番号:12: 5'-ACGCACTTGGTGGATAATCCAATGTCA-3
DNAプローブを32Pで放射性標識し、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション/洗浄条件下でアフリカツメガエルのdT−プラムドcDNAライブラリーをスクリーニングするために使用して、WA628およびWG67遺伝子の配列を含むクローンを同定した。
約80000個のライブラリーの形質転換体を、プレート1枚あたり約4000個の形質転換体の密度で選択プレートに撒いてWA628をスクリーニングした。ライブラリーの約171000個の形質転換体を、プレート1枚あたり約3800個の形質転換体の密度で選択プレートに撒いてWG67をスクリーニングした。形質転換したコロニーのニトロセルロースレプリカを、高ストリンジェンシー条件下の標準的なハイブリダイゼーションバッファー(6X SSC,0.5% SDS,5Xデンハーツ,10mM EDTA,pH8,100mg/mlパン酵母リボ核酸)中で32P標識DNAプローブとハイブリダイゼーションさせた(65℃で2時間)。ハイブリダイゼーションから2時間後、ハイブリダイゼーション溶液からフィルターを取り、高ストリンジェンシー条件下で洗浄した(2X SSC,0.5% SDS,21℃で5分;ついで、2X SSC,0.1% SDS,21℃で15分;ついで、2回目の2X SSC,0.1% SDS,21℃で15分;ついで、2X SSC,0.1% SDS,65℃で10分)。
フィルターをプラスチックラップで包み、−80℃で3日間、増強スクリーンを用いてX線フィルムに曝した。オートラジオグラフを現像し、種々の強度のハイブリダイゼーション陽性形質転換体を確認した。これらの陽性クローンを拾い、選択培地中で5時間増殖させ、低密度(プレート1枚あたり約100コロニー)でプレートに撒いた。
コロニーのニトロセルロースレプリカを、高ストリンジェンシー条件下の標準的なハイブリダイゼーションバッファー(6X SSC,0.5% SDS,5Xデンハーツ,10mM EDTA,pH8,100mg/mlパン酵母リボ核酸)中で32P標識DNAプローブとハイブリダイゼーションさせた(65℃で2時間)。ハイブリダイゼーションから2時間後、ハイブリダイゼーション溶液からフィルターを取り、高ストリンジェンシー条件下で洗浄した(2X SSC,0.5% SDS,21℃で5分;ついで、2X SSC,0.1% SDS,21℃で15分;ついで、2回目の2X SSC,0.1% SDS,21℃で15分;ついで、2X SSC,0.1% SDS,65℃で10分)。フィルターをプラスチックラップで包み、−80℃で3日間、増強スクリーンを用いてX線フィルムに曝した。オートラジオグラフを現像し、種々の強度のハイブリダイゼーション陽性形質転換体を確認した。精製されたハイブリダイゼーション陽性クローンの細菌ストックを調製し、プラスミドDNAを単離した。cDNAの配列を決定した。cDNAインサートはハイブリダイゼーションに使用したDNAプローブの配列を含んでいた。
WG67−19は、それが1のコドン(すなわち、WG67−19全長配列の塩基対47〜49にある3塩基GCC(1アミノ酸分))を除去する欠失を有しているという点で、WG67−SP(sEST配列)およびWG67−16から変化したものであった。WG67−16は、それが配列中の35塩基(塩基対42〜76)を欠いているという点で、得られたWG67−SP(sEST配列)(配列番号:7)から変化したものであった。これにより開始Metが欠失され、それゆえ発現前の修復が必要となる。WG67−16およびWG67−19は、WG67−19の塩基対764におけるそれらの3’末端において多様であり、その多様性のポイントから28アミノ酸後方で終結する。COS発現系において、WG67−19は分泌蛋白を生成する。
実施例2−軟骨活性アッセイ
A. W−20細胞の説明
インジケーター細胞系としてのW−20骨髄基質細胞の使用は、BMP蛋白での処理後のこれらの細胞の骨芽細胞への変換に基づく[Thies et al., Journal of Bone and Minaral Research, 5: 305 (1990);およびThieset al., Endocrinology, 130: 1318 (1992)]。詳細には、W−20細胞は、マサチューセッツ州ボストンのチルドレンズホスピタル(Children’s Hospital)のD. Nathan博士の研究室の研究者により成体マウスから取られたクローン化された骨髄基質細胞系である。ある種のBMP蛋白でのW−20細胞の処理は、(1)アルカリ性ホスファターゼ産生増加、(2)PTHにより刺激されるcAMPの誘導、および(3)細胞によるオステオカルシン(osteocalcin)合成の誘導を引き起こす。(1)および(2)は骨芽細胞の表現形に関連した特徴を示すが、オステオカルシン合成能は成熟骨芽細胞によってのみ示される特性である。さらにそのうえ、現在まで、我々は、BMPで処理した場合のみ起こるW−20基質細胞の骨芽細胞様への変換を観察してきた。この様式において、BMP処理されたW−20細胞により示されるインビトロ活性は、BMPについて知られているインビボでの骨形成活性と相関がある。
新規骨誘導分子のBMP活性を比較することにおいて有用な2種のインビトロでの分析を以下に説明する。
A. W−20細胞の説明
インジケーター細胞系としてのW−20骨髄基質細胞の使用は、BMP蛋白での処理後のこれらの細胞の骨芽細胞への変換に基づく[Thies et al., Journal of Bone and Minaral Research, 5: 305 (1990);およびThieset al., Endocrinology, 130: 1318 (1992)]。詳細には、W−20細胞は、マサチューセッツ州ボストンのチルドレンズホスピタル(Children’s Hospital)のD. Nathan博士の研究室の研究者により成体マウスから取られたクローン化された骨髄基質細胞系である。ある種のBMP蛋白でのW−20細胞の処理は、(1)アルカリ性ホスファターゼ産生増加、(2)PTHにより刺激されるcAMPの誘導、および(3)細胞によるオステオカルシン(osteocalcin)合成の誘導を引き起こす。(1)および(2)は骨芽細胞の表現形に関連した特徴を示すが、オステオカルシン合成能は成熟骨芽細胞によってのみ示される特性である。さらにそのうえ、現在まで、我々は、BMPで処理した場合のみ起こるW−20基質細胞の骨芽細胞様への変換を観察してきた。この様式において、BMP処理されたW−20細胞により示されるインビトロ活性は、BMPについて知られているインビボでの骨形成活性と相関がある。
新規骨誘導分子のBMP活性を比較することにおいて有用な2種のインビトロでの分析を以下に説明する。
B. W−20アルカリ性ホスファターゼ分析のプロトコール
W−20細胞を、96ウェルの組織培養プレートにウェルあたり200μlの培地(10%熱不活性化ウシ胎児血清、2mMグルタミンおよび100ユニット/mlペニシリン+100μg/mlストレプトマイシンを含有するDME)中10000個の割合で撒く。95%空気、5%CO2のインキュベーター中37℃において細胞を一晩付着させる。マルチチャンネルピペッターで各ウェルから200μlの培地を除去し、10%熱不活性化ウシ胎児血清、2mMグルタミンおよび1%ペニシリン−ストレプトマイシンを含有するDME中の同体積の試験試料で置換した。試験物質を3系で分析する。試験試料および標準をW−20インジケーター細胞とともに24時間インキュベーションする。24時間後、37℃のインキュベーターからプレートを取り出し、試験培地細胞をから除去する。W−20細胞層をウェルあたり200μlのカルシウム/マグネシウム不含リン酸緩衝化セイラインで3回洗浄し、これらの洗液を捨てる。ガラス製装置で蒸留された50μlの水を各ウェルに添加し、次いで、分析プレートを急速に冷凍するためにドライアイス/エタノール浴に置く。凍結したら、分析プレートをドライアイス/エタノール浴から取り出し、37℃で融解させる。この工程を2回以上繰り返して全部で3回の凍結融解工程を行う。工程終了後、膜結合アルカリ性ホスファターゼを測定に供する。50μlの分析混合物(50mMグリシン、0.05% Triton X-100、4mM MgCl2、5mM リン酸p−ニトロフェノール、pH=10.3)を各分析ウェルに添加し、次いで、分析プレートを、1分間に60回振盪しながら37℃で30分インキュベーションする。30分間のインキュベーションの終わりに、100μlの0.2N NaOHを各ウェルに添加し、分析プレートを氷上に置くことにより反応を停止する。各ウェルの分光学的吸光度を405ナノメーターの波長において読む。次いで、これらの値を既知標準と比較して各試料のアルカリ性ホスファターゼ活性の評価を行う。既知量のリン酸p−ニトロフェノールを用いると、吸光度値が得られる。既知量のBMPに関する吸光度値を決定し、単位時間あたり開裂されたリン酸p−ニトロフェノールのμモル数に変換する。ついで、これらの値を用いて、既知量のフラズルド蛋白の活性をBMP−2の活性と比較する。
W−20細胞を、96ウェルの組織培養プレートにウェルあたり200μlの培地(10%熱不活性化ウシ胎児血清、2mMグルタミンおよび100ユニット/mlペニシリン+100μg/mlストレプトマイシンを含有するDME)中10000個の割合で撒く。95%空気、5%CO2のインキュベーター中37℃において細胞を一晩付着させる。マルチチャンネルピペッターで各ウェルから200μlの培地を除去し、10%熱不活性化ウシ胎児血清、2mMグルタミンおよび1%ペニシリン−ストレプトマイシンを含有するDME中の同体積の試験試料で置換した。試験物質を3系で分析する。試験試料および標準をW−20インジケーター細胞とともに24時間インキュベーションする。24時間後、37℃のインキュベーターからプレートを取り出し、試験培地細胞をから除去する。W−20細胞層をウェルあたり200μlのカルシウム/マグネシウム不含リン酸緩衝化セイラインで3回洗浄し、これらの洗液を捨てる。ガラス製装置で蒸留された50μlの水を各ウェルに添加し、次いで、分析プレートを急速に冷凍するためにドライアイス/エタノール浴に置く。凍結したら、分析プレートをドライアイス/エタノール浴から取り出し、37℃で融解させる。この工程を2回以上繰り返して全部で3回の凍結融解工程を行う。工程終了後、膜結合アルカリ性ホスファターゼを測定に供する。50μlの分析混合物(50mMグリシン、0.05% Triton X-100、4mM MgCl2、5mM リン酸p−ニトロフェノール、pH=10.3)を各分析ウェルに添加し、次いで、分析プレートを、1分間に60回振盪しながら37℃で30分インキュベーションする。30分間のインキュベーションの終わりに、100μlの0.2N NaOHを各ウェルに添加し、分析プレートを氷上に置くことにより反応を停止する。各ウェルの分光学的吸光度を405ナノメーターの波長において読む。次いで、これらの値を既知標準と比較して各試料のアルカリ性ホスファターゼ活性の評価を行う。既知量のリン酸p−ニトロフェノールを用いると、吸光度値が得られる。既知量のBMPに関する吸光度値を決定し、単位時間あたり開裂されたリン酸p−ニトロフェノールのμモル数に変換する。ついで、これらの値を用いて、既知量のフラズルド蛋白の活性をBMP−2の活性と比較する。
C. オステオカルシンRIAプロトコール
W−20細胞を、24ウェルのマルチウェル組織培養ディッシュの各ウェルに、2mlのDME(10%熱不活性化ウシ胎児血清、2mMグルタミンを含有)中106個となるように撒く。95%空気、5%CO2中37℃において細胞を一晩付着させる。翌日、培地を、2mlの全体積中10%ウシ胎児血清、2mMグルタミンおよび試験物質を含有するDMEに交換する。各試験物質を3系のウェルに入れる。試験物質をW−20細胞とともに合計96時間(48時間目に同じ培地で培地交換)インキュベーションする。96時間のインキュベーションの終わりに、各ウェルから50μlの試験培地を取り、マウスオステオカルシンについてのラジオイムノ分析を用いてオステオカルシン産生について分析を行う。分析の詳細は、マサチューセッツ州02072、スタウトン、ペイジ・ストリート378のバイオメディカル・テクノロジーズ・インコーポレイテッド(Biomedical Techologies Inc.)により製造されたキットに説明がある。分析のための試薬は、製品番号BT−431(マウスオステオカルシン標準)、BT−432(ヤギ抗−マウスオステオカルシン)、BT−431R(ヨウ素化されたマウスオステオカルシン)、BT−415(正常ヤギ血清)およびBT−414(ロバ抗−ヤギIgG)として見いだされる。BMP処理に応答したW−20細胞により合成されたオステオカルシンについてのRIAを、製造者により提供されるプロトコールに記載されたようにして行う。
試験試料に関して得られた値をマウスオステオカルシンの既知標準に関する値と比較し、既知量のBMP−2での処理に応答してW−20細胞により産生されたオステオカルシン量と比較する。
W−20細胞を、24ウェルのマルチウェル組織培養ディッシュの各ウェルに、2mlのDME(10%熱不活性化ウシ胎児血清、2mMグルタミンを含有)中106個となるように撒く。95%空気、5%CO2中37℃において細胞を一晩付着させる。翌日、培地を、2mlの全体積中10%ウシ胎児血清、2mMグルタミンおよび試験物質を含有するDMEに交換する。各試験物質を3系のウェルに入れる。試験物質をW−20細胞とともに合計96時間(48時間目に同じ培地で培地交換)インキュベーションする。96時間のインキュベーションの終わりに、各ウェルから50μlの試験培地を取り、マウスオステオカルシンについてのラジオイムノ分析を用いてオステオカルシン産生について分析を行う。分析の詳細は、マサチューセッツ州02072、スタウトン、ペイジ・ストリート378のバイオメディカル・テクノロジーズ・インコーポレイテッド(Biomedical Techologies Inc.)により製造されたキットに説明がある。分析のための試薬は、製品番号BT−431(マウスオステオカルシン標準)、BT−432(ヤギ抗−マウスオステオカルシン)、BT−431R(ヨウ素化されたマウスオステオカルシン)、BT−415(正常ヤギ血清)およびBT−414(ロバ抗−ヤギIgG)として見いだされる。BMP処理に応答したW−20細胞により合成されたオステオカルシンについてのRIAを、製造者により提供されるプロトコールに記載されたようにして行う。
試験試料に関して得られた値をマウスオステオカルシンの既知標準に関する値と比較し、既知量のBMP−2での処理に応答してW−20細胞により産生されたオステオカルシン量と比較する。
D.ローゼン改変サムパス−レディアッセイ
Sampath and Reddi, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80: 6591-6595 (1983)に記載されたラット骨形成アッセイの改変バージョンを用いて骨および/または軟骨および/または他の結合組織におけるBMP蛋白の活性を評価する。サムパス−レディ法のエタノール沈殿工程を、アッセイすべきフラクションを水に対して透析(組成物が溶液の場合)または限界濾過(組成物が懸濁液の場合)することに置き換える。次いで、溶液または懸濁液を0.1%TFAに対して平衡化させる。得られた溶液を20mgのラットのマトリックスに添加する。蛋白処理していない疑似ラットマトリックス試料は対照として役立つ。この材料を凍結し、凍結乾燥して得られた粉末を5番のゼラチンカプセルに封入する。21〜49日齢のロング・エバンズ・ラット(Long Evans rat)の腹胸部の皮下にカプセルを移植する。インプラントを7〜14日後に取る。各インプラントの半分をアルカリ性ホスファターゼアッセイ[Proc. Natl. Acad. Sci., 69: 1601 (1972)]に用いる。
Sampath and Reddi, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80: 6591-6595 (1983)に記載されたラット骨形成アッセイの改変バージョンを用いて骨および/または軟骨および/または他の結合組織におけるBMP蛋白の活性を評価する。サムパス−レディ法のエタノール沈殿工程を、アッセイすべきフラクションを水に対して透析(組成物が溶液の場合)または限界濾過(組成物が懸濁液の場合)することに置き換える。次いで、溶液または懸濁液を0.1%TFAに対して平衡化させる。得られた溶液を20mgのラットのマトリックスに添加する。蛋白処理していない疑似ラットマトリックス試料は対照として役立つ。この材料を凍結し、凍結乾燥して得られた粉末を5番のゼラチンカプセルに封入する。21〜49日齢のロング・エバンズ・ラット(Long Evans rat)の腹胸部の皮下にカプセルを移植する。インプラントを7〜14日後に取る。各インプラントの半分をアルカリ性ホスファターゼアッセイ[Proc. Natl. Acad. Sci., 69: 1601 (1972)]に用いる。
各インプラントのもう半分を固定し、組織学的分析用に処理する。1ミクロンのグリコメタクリレート切片をフォン・コッサおよび酸フクシンで染色して各インプラントにおいて誘導された骨および軟骨の形成の評点をつける。+1ないし+5は、新たな骨および/または軟骨細胞ならびにマトリックスにより占められたインプラントの各組織学的切片の面積を表す。+5の評点は、インプラントの50%よりも多くの部分が、インプラントにおける蛋白の直接の結果として生成された新たな骨および/または軟骨であることを示す。評点+4、+3、+2および+1は、それぞれ、インプラントの40%、30%、20%および10%よりも多くの部分が新たな軟骨および/または骨を含んでいることを示す。
別法として、同じ方向に集密になった線維芽細胞の高密度の束の存在により容易に認識される胚性の腱に似た組織の出現についてインプラントを検査する[腱/靭帯様組織は、例えば、Ham and Cormack, Histology (JB Lippincott Co.), 1979,pp.367-369に記載されており、その開示を参照により本明細書に記載されているものとみなす]。フラズルド蛋白含有インプラントにおいて腱/靭帯様組織を観察する、さらなるアッセイにおいてこれらの知見は再現されうる。フラズルド蛋白をこの活性に関して評価してもよい。
ノーザン分析を用いて、種々の細胞系に対する影響について蛋白を試験することができる。適当な細胞系は、E13マウス肢芽由来の細胞系を包含する。蛋白での処理から10日後、組織分化の状態について表現型を組織学的に調べる。さらに、蛋白で処理した細胞由来のmRNAのノーザン分析を、骨、軟骨および/または腱/靭帯に関する下記マーカーの1つまたはそれ以上を包含する種々のマーカーについて行うこともできる。
マーカー 骨 軟骨 腱/靭帯
オステオカルシン + − −
アルカリ性ホスファターゼ + − −
プロテオグリカンコア蛋白 +/−1 + +2
I型コラーゲン + + +
II型コラーゲン +/−1 + +2
デコリン + + +
エラスチン +/−3 ? +
1−初期にマーカーが観察され、成熟骨組織が形成されるにつれマーカーが見られなくなる。
2−マーカーは腱の部位に依存し、骨界面において最強。
3−低レベルのマーカーが見られる。
マーカー 骨 軟骨 腱/靭帯
オステオカルシン + − −
アルカリ性ホスファターゼ + − −
プロテオグリカンコア蛋白 +/−1 + +2
I型コラーゲン + + +
II型コラーゲン +/−1 + +2
デコリン + + +
エラスチン +/−3 ? +
1−初期にマーカーが観察され、成熟骨組織が形成されるにつれマーカーが見られなくなる。
2−マーカーは腱の部位に依存し、骨界面において最強。
3−低レベルのマーカーが見られる。
実施例3−全層性関節軟骨修復モデル
成体ウサギの大腿−膝蓋関節における全層性関節軟骨欠損モデルを用いて、軟骨および骨の修復に対するフラズルド蛋白の影響力を評価する。成体ニュージーランドシロウサギを麻酔し、滅菌下での外科的処置に備える。関節軟骨を経て庵骨下の骨中に至る3x3mmの欠損を、膝関節の膝蓋溝にドリルで作成する。欠損は、そのまま放置、コラーゲンスポンジを充填(対照)、あるいは有効量(例えば、10μg)の試験(実験)フラズルド蛋白を浸したコラーゲンスポンジを充填する。切開部を閉じ、カゴの中で4週間自由に運動させる。4週間後、動物を人道的に安楽死させ、関節軟骨/軟骨下の骨の欠損を、修復組織の組織構造、量、および質について組織学的に評価する。
成体ウサギの大腿−膝蓋関節における全層性関節軟骨欠損モデルを用いて、軟骨および骨の修復に対するフラズルド蛋白の影響力を評価する。成体ニュージーランドシロウサギを麻酔し、滅菌下での外科的処置に備える。関節軟骨を経て庵骨下の骨中に至る3x3mmの欠損を、膝関節の膝蓋溝にドリルで作成する。欠損は、そのまま放置、コラーゲンスポンジを充填(対照)、あるいは有効量(例えば、10μg)の試験(実験)フラズルド蛋白を浸したコラーゲンスポンジを充填する。切開部を閉じ、カゴの中で4週間自由に運動させる。4週間後、動物を人道的に安楽死させ、関節軟骨/軟骨下の骨の欠損を、修復組織の組織構造、量、および質について組織学的に評価する。
4週間後、試験フラズルド蛋白を含有する修復組織を、対照と比較して、軟骨下の骨の加速された治癒の徴候について調べる。軟骨下の骨の上に新たに形成された修復軟骨は、正常ヒアリン関節軟骨に類似した構造的特徴および染色特性を示す細胞を含む。正常ヒアリン関節軟骨と矛盾しない特性を有する軟骨を再生させる骨軟骨欠損中の組織の能力を改善させる活性について、フラズルド蛋白を試験する。
実施例4−胚発達アッセイ
多くの誘導性相互作用が生じている原腸胚段階のXenopus laevisの胚に由来する組織を用いて活性をアッセイする。これらは神経外胚葉および中胚葉の誘導、すなわち、筋肉および血液前駆細胞の誘導を包含する。新規遺伝子を胚において異所的に発現させ(マイクロインジェクションされたmRNAとして)、結果を分析することにより、新規遺伝子の活性をアッセイすることができる。本発明のフラズルド蛋白を活性について分析した。
多くの誘導性相互作用が生じている原腸胚段階のXenopus laevisの胚に由来する組織を用いて活性をアッセイする。これらは神経外胚葉および中胚葉の誘導、すなわち、筋肉および血液前駆細胞の誘導を包含する。新規遺伝子を胚において異所的に発現させ(マイクロインジェクションされたmRNAとして)、結果を分析することにより、新規遺伝子の活性をアッセイすることができる。本発明のフラズルド蛋白を活性について分析した。
A.インシトゥハイブリダイゼーション
アルビノ胚を種々の段階において集め、固定し、プロテイナーゼKで透過性にし、プレハイブリダイゼーションさせた。ついで、それらをジゴキシゲニン標識リボプローブと一晩ハイブリダイゼーションさせた。胚を洗浄し、RNase AおよびT1で処理してバックグラウンドを除去し、Boehringer Mannheim Blocking Reagentでブロックした。胚をアルカリ性ホスファターゼ抱合抗ジゴキシゲニン抗体とともに、室温で4時間インキュベーションし、徹底的に洗浄し、ついで、アルカリ性ホスファターゼ基質を用いる発色反応を行った。ついで、胚を再固定し、写真用に脱色してバックグラウンドを除去した。
アルビノ胚を種々の段階において集め、固定し、プロテイナーゼKで透過性にし、プレハイブリダイゼーションさせた。ついで、それらをジゴキシゲニン標識リボプローブと一晩ハイブリダイゼーションさせた。胚を洗浄し、RNase AおよびT1で処理してバックグラウンドを除去し、Boehringer Mannheim Blocking Reagentでブロックした。胚をアルカリ性ホスファターゼ抱合抗ジゴキシゲニン抗体とともに、室温で4時間インキュベーションし、徹底的に洗浄し、ついで、アルカリ性ホスファターゼ基質を用いる発色反応を行った。ついで、胚を再固定し、写真用に脱色してバックグラウンドを除去した。
B.胚全体におけるゲイン−オブ−ファンクション表現型
WG67をコードする合成RNAまたはこの遺伝子を発現するDNA構築物を注入された胚は成長しない。孵化段階までには、筋肉形成が阻止され、腸体積の増大が顕著となる。この増大は腸の延長によるものであるかもしれない。なぜなら、腸ループの増加がみられるからである。
WG67をコードする合成RNAまたはこの遺伝子を発現するDNA構築物を注入された胚は成長しない。孵化段階までには、筋肉形成が阻止され、腸体積の増大が顕著となる。この増大は腸の延長によるものであるかもしれない。なぜなら、腸ループの増加がみられるからである。
WA628を注入された胚は頭部形成の抑制が示される。ある程度の腸の拡大がみられるが、WG67を注入した場合よりもはるかに劇的でない。WG67とWA628との間の活性プロファイルにおけるこの相違を適切に用いて、有効にしたい組織における変化を特異的に指令することができる。
C.WG67およびWA628の異所性発現の効果
WA628またはWG67をもとに調製した合成RNAを2細胞段階の胚に注入し、対照の胚が尾の発生段階に達した時点(受精後24時間)で胚を集めて分析した。WA628は、前脳および目のごとき前部構造を胚から消失させ、後脳の拡張および神経堤の移動抑制を引き起こす。WG67は明らかに胚の腹側組織を消失させ、前脳およびセメント腺(頤原基)のごとき背側構造の過剰形成を引き起こす。これらの表現型は、wnt蛋白により媒介されるシグナルトランスダクション経路に拮抗することにより引き起こされる可能性がある。
WA628またはWG67をもとに調製した合成RNAを2細胞段階の胚に注入し、対照の胚が尾の発生段階に達した時点(受精後24時間)で胚を集めて分析した。WA628は、前脳および目のごとき前部構造を胚から消失させ、後脳の拡張および神経堤の移動抑制を引き起こす。WG67は明らかに胚の腹側組織を消失させ、前脳およびセメント腺(頤原基)のごとき背側構造の過剰形成を引き起こす。これらの表現型は、wnt蛋白により媒介されるシグナルトランスダクション経路に拮抗することにより引き起こされる可能性がある。
D.胚全体のアッセイ
インビトロ合成された、キャップの付いたRNA50pgまたは100pgを、2細胞または4細胞段階のカエルの胚にマイクロインジェクションした。β−ガラクトシダーゼRNAをトレーサーとして含ませて、注入したRNAの拡散の程度を調べた。X−gal染色によりβ−gal RNAの生成物を組織化学的に可視化した。これらのマイクロインジェクションの標的領域は、2または4細胞のうち1の細胞の背側周辺帯または腹側周辺帯であった。胚を放置して所望段階まで発達させて、ついで、収穫して固定し、X−gal染色および写真をとった。
インビトロ合成された、キャップの付いたRNA50pgまたは100pgを、2細胞または4細胞段階のカエルの胚にマイクロインジェクションした。β−ガラクトシダーゼRNAをトレーサーとして含ませて、注入したRNAの拡散の程度を調べた。X−gal染色によりβ−gal RNAの生成物を組織化学的に可視化した。これらのマイクロインジェクションの標的領域は、2または4細胞のうち1の細胞の背側周辺帯または腹側周辺帯であった。胚を放置して所望段階まで発達させて、ついで、収穫して固定し、X−gal染色および写真をとった。
E.発現プロファイル
WG67発現は接合的である。それは常に腹側中心線から60〜90°の四分円に限定される。初期原腸胚において、WG67発現は外胚葉後部および中胚葉後部に限定される。初期神経胚までには、発現はより前部に移り、そこで心臓原基と重複する。WG67は、将来的に血液形成領域となる中胚葉およびその上の外胚葉でも発現される。
WG67発現は接合的である。それは常に腹側中心線から60〜90°の四分円に限定される。初期原腸胚において、WG67発現は外胚葉後部および中胚葉後部に限定される。初期神経胚までには、発現はより前部に移り、そこで心臓原基と重複する。WG67は、将来的に血液形成領域となる中胚葉およびその上の外胚葉でも発現される。
WA628発現は主として接合的であり、前脳領域において後期神経胚により発現される。
F.アニマルキャップアッセイ
2細胞段階の胚の1の細胞の動物極に50ないし400pgのキャップしたRNAをマイクロインジェクションした。グロビンRNAを対照として使用した。胚を放置して段階8まで発達させた。胚の動物極の細胞を顕微解剖し(アニマルキャップ)、無傷の子孫が得られるまで培養し、マイクロインジェクションしない胚を段階14または19まで到達させた。同じRNA(実験系またはグロビン)をマイクロインジェクションした15個のアニマルキャップをプールし、全RNA調製に備えた。5個の無傷の胚を胚の対照全RNAの調製に使用した。ランダムヘキサマーをcDNA用プライマーとして使用して、これらのRNA試料を逆転写した。これらのDNA試料を、32P−dCTP存在下で遺伝子特異的プライマーペアーを用いるPCRに供して、元のRNA試料中の対応mRNAの存在についてアッセイした。使用プライマーペアーおよびサイクル数を従来通り最適化した。ついで、これらのPCR反応の生成物をポリアクリルアミドゲルで分離した。
2細胞段階の胚の1の細胞の動物極に50ないし400pgのキャップしたRNAをマイクロインジェクションした。グロビンRNAを対照として使用した。胚を放置して段階8まで発達させた。胚の動物極の細胞を顕微解剖し(アニマルキャップ)、無傷の子孫が得られるまで培養し、マイクロインジェクションしない胚を段階14または19まで到達させた。同じRNA(実験系またはグロビン)をマイクロインジェクションした15個のアニマルキャップをプールし、全RNA調製に備えた。5個の無傷の胚を胚の対照全RNAの調製に使用した。ランダムヘキサマーをcDNA用プライマーとして使用して、これらのRNA試料を逆転写した。これらのDNA試料を、32P−dCTP存在下で遺伝子特異的プライマーペアーを用いるPCRに供して、元のRNA試料中の対応mRNAの存在についてアッセイした。使用プライマーペアーおよびサイクル数を従来通り最適化した。ついで、これらのPCR反応の生成物をポリアクリルアミドゲルで分離した。
形成された組織のタイプの変化が観察され、造血、脳形成、腸形成、および同時に起こる筋肉組織抑制における本発明のフラズルドの役割が示される。
実施例5−フラズルドホモログのクローニング
他の種、特にヒトはアフリカツメガエルのフラズルドのDNA配列のホモログを有している。例えば、ヒトのフラズルドをコードするDNA配列は、当該分野において知られた種々の方法により単離される。それゆえ、本発明は、ヒトのフラズルドをコードするDNA配列およびそれらを得る方法を包含する。かかる方法は、アフリカツメガエルのフラズルドのヌクレオチド配列またはその一部分をプローブの設計において使用して、標準的方法を用いてヒト遺伝子のライブラリーまたはそのコーディング配列もしくはフラグメントをスクリーニングするものである。
他の種、特にヒトはアフリカツメガエルのフラズルドのDNA配列のホモログを有している。例えば、ヒトのフラズルドをコードするDNA配列は、当該分野において知られた種々の方法により単離される。それゆえ、本発明は、ヒトのフラズルドをコードするDNA配列およびそれらを得る方法を包含する。かかる方法は、アフリカツメガエルのフラズルドのヌクレオチド配列またはその一部分をプローブの設計において使用して、標準的方法を用いてヒト遺伝子のライブラリーまたはそのコーディング配列もしくはフラグメントをスクリーニングするものである。
本発明方法によれば、アフリカツメガエルの配列またはその一部分を、ストリンジェンシーを減じた条件下(例えば、0.2X SSC,0.1% SDS,50℃)でヒトゲノムライブラリーをスクリーニングするためのプローブとして使用し、あるいは類似のヒトフラズルド蛋白を合成するヒト細胞系または組織を同定するためのプローブとして使用する。かかるプローブを用いてStratageneカタログ番号945200またはClontechカタログ番号HL1067jのごときヒトゲノムライブラリーをスクリーニングして、陽性のものを単離し、それらのDNA配列を決定することができる。
ヒトのコーディング配列をプローブとして用いて、フラズルドRNAを合成するヒト細胞系または組織を同定する。別法として、アフリカツメガエルのコーディング配列をプローブとして用いて、かかるヒト細胞系または組織を同定する。簡単に説明すると、選択した細胞または組織源からRNAを抽出し、ホルムアミドアガロースゲルで電気泳動を行うか、あるいはホルムアミドと反応させてニトロセルロースに直接スポットする。ついで、ストリンジェンシーを減じた条件下で、ニトロセルロースを、アフリカツメガエルまたはヒトのフラズルドのコーディング配列由来のプローブとハイブリダイゼーションさせる。フラズルド mRNAの特に適当な源であるヒト細胞系および組織は、例えば、筋肉、骨格筋、心筋、胎盤、脳および神経組織を包含する。さらなる源は、肺、膵臓、肝臓、腎臓、精巣、小腸ならびに他の細胞系および組織を包含する。別法として、アフリカツメガエルのフラズルドコーディング配列を用いて、特異的増幅反応を行うために使用されるプライマー間に存在する領域にあるフラズルドコーディング配列の一部分を特異的に増幅するオリゴヌクレオチドプライマーを設計する。アフリカツメガエルおよびヒトのフラズルド配列を用いて、mRNA、cDNAまたはゲノムDNA鋳型から対応ヒトフラズルドコーディング配列を特異的に増幅することができる。上記のいずれかの方法により陽性の源が同定されたならば、オリゴ(dT)セルロースカラムクロマトグラフィーによりmRNAを選択し、cDNAを合成し、確立された方法により、λgt10または当業者に知られた他のバクテリオファージベクター(例えば、ZAP)中にクローンする。
バクテリオファージベクター中にクローンされた、すでに確立されているヒトcDNAまたはゲノムライブラリーに対して、上記のオリゴヌクレオチドプライマーによる増幅反応を行うことも可能である。そのような場合、ヒトフラズルド蛋白の一部分をコードする特異的に増幅されたDNA生成物を生じるライブラリーを、フラズルドをコードする増幅されたDNAのフラグメントをプローブとして用いて直接スクリーニングする。
フラズルドファミリーの蛋白のなかで高度に保存されているアミノ酸配列を含む領域を同定し、個々のフラズルド蛋白の対応領域の類似性に基づいてこれらの高度に保存された領域のコンセンサスアミノ酸配列を構築する。かかる保存された配列のアミノ酸配列に基づいて設計されたオリゴヌクレオチドプライマーは、ヒトのフラズルドをコードする配列の特異的増幅を可能にする。かかる2つのコンセンサスアミノ酸配列を以下に示すが、最初のものはあまり限定的でない。
コンセンサスアミノ酸配列(1):
配列番号:13:
Phe-Leu-Cys-Ala/Ser-Met/Leu-Tyr/Phe-Ala-Pro-Ile/Val-Cys
およびコンセンサスアミノ酸配列(2):
配列番号:14:
Trp-Pro-Glu-Ser/Ile-Leu-Asp/Lys
ここに、X/Yはその位置にいずれのアミノ酸残基が存在してもよいことを示す。
コンセンサスアミノ酸配列(1):
配列番号:13:
Phe-Leu-Cys-Ala/Ser-Met/Leu-Tyr/Phe-Ala-Pro-Ile/Val-Cys
およびコンセンサスアミノ酸配列(2):
配列番号:14:
Trp-Pro-Glu-Ser/Ile-Leu-Asp/Lys
ここに、X/Yはその位置にいずれのアミノ酸残基が存在してもよいことを示す。
さらなる4つのコンセンサスアミノ酸配列は下記の配列番号:15〜18を包含する。例えば、WA628ホモログを識別するためには、以下のようにアミノ酸150から155
配列番号:15: Thr-Ile-Thr-Asn-Asp-Thr
までに対する縮重した17量体を設計する。
配列番号:15: Thr-Ile-Thr-Asn-Asp-Thr
までに対する縮重した17量体を設計する。
例えば、WG67ホモログを識別するためには、以下のようにアミノ酸141から146まで
配列番号:16: Lys-Glu-Tyr-Gln-Tyr-Ala
に対する縮重した17量体、
あるいは以下のようにアミノ酸141から149まで
配列番号:17: Lys-Glu-Tyr-Gln-Tyr-Ala-Tyr-Lys-Glu
に対する縮重した27量体を設計する:
配列番号:16: Lys-Glu-Tyr-Gln-Tyr-Ala
に対する縮重した17量体、
あるいは以下のようにアミノ酸141から149まで
配列番号:17: Lys-Glu-Tyr-Gln-Tyr-Ala-Tyr-Lys-Glu
に対する縮重した27量体を設計する:
さらにもう1つの例として、WA628およびWG67の両方のホモログを識別するには、WA628のアミノ酸288から293までならびにWG67−19のアミノ酸275から280まで
配列番号:18: Trp-Lys/Arg-Asn/His-His-Lys-Cys
に対するすべての可能な17量体プローブ混合物を設計する。
配列番号:18: Trp-Lys/Arg-Asn/His-His-Lys-Cys
に対するすべての可能な17量体プローブ混合物を設計する。
配列番号:13、14、15、16、17および/または18のアミノ酸配列をコードする縮重オリゴヌクレオチドプライマーを自動DNA合成装置で合成する。これらのオリゴヌクレオチドをプライマーとして用い、当業者に知られた標準的なPCR増幅法を用いて、ヒトゲノムDNAまたはヒトcDNAから特定のヌクレオチド配列を特異的に増幅することができる。増幅反応生成物はヒトのフラズルドをコードする配列であると同定される。標準的な分子的方法を用い、これらの増幅生成物を用いてcDNAライブラリーをスクリーニングし、完全なヒトフラズルドコーディング配列を含むクローンを得る。
当業者に知られたさらなる方法を用いて、本発明のヒトまたは他の種のフラズルド蛋白を単離することもできる。
当業者に知られたさらなる方法を用いて、本発明のヒトまたは他の種のフラズルド蛋白を単離することもできる。
実施例6−胚性幹細胞アッセイ
多くの使用可能な胚性幹細胞系の成長および分化に対するインビトロでの本発明のフラズルド蛋白の影響を、容易にアッセイすることができる。1のかかる細胞系はES−E14TG2であり、メリーランド州ロックビルのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)から入手することができる。
多くの使用可能な胚性幹細胞系の成長および分化に対するインビトロでの本発明のフラズルド蛋白の影響を、容易にアッセイすることができる。1のかかる細胞系はES−E14TG2であり、メリーランド州ロックビルのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)から入手することができる。
アッセイを行うために、100ユニットのLIF存在下で細胞を増殖させて未分化状態に維持する。先ず、LIFを除去し、懸濁液中で細胞を凝集させる(胚様体として知られる)ことによりアッセイをセットアップする。3日後、胚様体をゼラチン被覆プレートに撒き(PCR分析用の12ウェルプレート、免疫細胞化学用の24ウェルプレート)、アッセイすべき蛋白で細胞を処理する。細胞に栄養を与え、蛋白性因子で2〜3日ごとに処理する。15%ウシ胎児血清(FBS)補足培地またはより少量のFBSを含有するCDM制限培地中でアッセイを行えるように細胞を適合させてもよい。
処理期間(7〜21日の範囲)の最後に、細胞からRNAを集め、下記マーカーについて定量的多系PCRにより分析する:brachyury(中胚葉マーカー)、AP−2(外胚葉マーカー)、およびHNF−3(内胚葉マーカー)。免疫細胞化学によれば、神経細胞(グリア細胞およびニューロン細胞)、筋肉細胞(心筋細胞、骨格筋細胞および平滑筋細胞)の分化、ならびにプロテオグリカンコア蛋白(軟骨)およびサイトケラチン(表皮)のごとき種々の他の表現型マーカーを検出することができる。これらの細胞は、LIFが除去された場合、自発的に分化する傾向があるので、未処理対照と比較することにより結果を常に定量する。
上記説明は本発明の目下好ましい具体例を詳細に説明する。これらの説明を考慮すれば、本発明の実施に際し、多くの修飾および変更が当業者によりなされると考えられる。それらの修飾および変更は本発明の一部であり、添付した請求の範囲に包含されると確信する。
本明細書で引用されたすべての刊行物および特許出願の開示を、参照により本明細書に記載されているものとみなす。
本明細書で引用されたすべての刊行物および特許出願の開示を、参照により本明細書に記載されているものとみなす。
本発明は、医薬品や研究試薬等の分野において利用可能である。
Claims (35)
- 形態形成を転調させる蛋白をコードしており、配列番号:5のヌクレオチド80から967までを含む単離DNA。
- 形態形成を転調させる蛋白をコードしており、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で請求項1のDNAにハイブリダイゼーションする単離DNA。
- 形態形成を転調させる蛋白をコードしており、配列番号:6のアミノ酸配列をコードするヌクレオチドを含む単離DNA。
- 形態形成を転調させる蛋白をコードしており、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で請求項3のDNAにハイブリダイゼーションする単離DNA。
- 発現制御配列に作動するように連結された請求項1のDNAを含むベクター。
- 発現制御配列に作動するように連結された請求項3のDNAを含むベクター。
- 請求項5のベクターで形質転換された宿主細胞。
- 請求項6のベクターで形質転換された宿主細胞。
- 配列番号:5のヌクレオチド80から967までを必須としてなる単離DNA。
- 発現制御配列に作動するように連結された請求項9のDNAを含むベクター。
- 請求項10のベクターで形質転換された宿主細胞。
- WA628をコードする単離DNA。
- DNAコーディング配列の5’側の適当なプロペプチドシグナルペプチドをコードしておりDNAコーディング配列にイン・フレームで連結されているヌクレオチド配列をさらに含む、請求項12記載の単離DNA。
- 発現制御配列に作動するように連結された請求項13のDNAを含むベクター。
- 請求項14のベクターで形質転換された宿主細胞。
- 配列番号:5のヌクレオチド80から867までからなる単離DNA。
- ATCC 98430のpWA628−5のフラズルドDNAを含む単離DNA。
- 下記工程:
(a)請求項1記載のDNAで形質転換された宿主細胞を培養し、ついで
(b)フラズルド蛋白を回収する
を含む、フラズルド蛋白の製造方法。 - 下記工程:
(a)請求項3記載のDNAで形質転換された宿主細胞を培養し、ついで
(b)フラズルド蛋白を回収する
を含む、フラズルド蛋白の製造方法。 - 下記工程:
(a)配列番号:5を含むDNAで形質転換された宿主細胞を培養し、ついで
(b)フラズルド蛋白を回収する
を含む、フラズルド蛋白の製造方法。 - 下記工程:
(a)WA628をコードするDNAで形質転換された宿主細胞を培養し、ついで
(b)WA628を回収する
を含む、WA628の製造方法。 - 配列番号:5のヌクレオチド80から967までによりコードされるアミノ酸配列を含む精製フラズルドポリペプチド。
- 請求項1のDNAによりコードされる精製フラズルドポリペプチド。
- 請求項3のDNAによりコードされる精製フラズルドポリペプチド。
- 配列番号:6のアミノ酸配列を含む精製フラズルド蛋白。
- 請求項23の精製フラズルドポリペプチドに対する抗体。
- 精製WA628に対する抗体。
- 請求項1のDNAによりコードされる有効量のフラズルド蛋白を用いて、インビトロにおいて細胞の形成、成長、分化、増殖および維持を誘導する方法。
- 請求項1のDNAによりコードされるフラズルド蛋白を用いて、インビトロにおいて前駆細胞からの軟骨細胞および/または軟骨組織の形成を誘導する方法。
- 有効量のWA628を投与することを含む、インビトロにおいて細胞の発達を転調させる方法。
- 該細胞が造血系、腸、ニューロンおよび筋肉からなる群より選択される組織である請求項30の方法。
- WA628が請求項1のDNAによりコードされている請求項30の方法。
- WA628が請求項2のDNAによりコードされている請求項30の方法。
- 請求項1のDNAによりコードされている有効量のフラズルド蛋白を投与する工程を含む、インビトロにおいてwnt遺伝子の効果を転調させる方法。
- 請求項3のDNAによりコードされている有効量のフラズルド蛋白を投与する工程を含む、インビトロにおいてwnt遺伝子の効果を転調させる方法。
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