JP2009142230A - 核酸複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】遺伝子導入活性が高い核酸複合体を提供する。
【解決手段】カチオン性ポリマーと核酸との複合体であって、該複合体中の正電荷量が負電荷量よりも多い複合体に対して、アニオン性ポリマーを吸着させてなることを特徴とする核酸複合体。カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーは、好ましくはN,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、これにカチオン性又はアニオン性ビニル系モノマーを光照射リビング重合させた分岐型重合体よりなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、遺伝子導入剤と核酸とを複合させた核酸複合体に関する。
近年、ヒト疾患の分子遺伝学的要因が明らかになるにつれ、遺伝子治療研究がますます重要視されている。遺伝子治療法は標的とする部位でのDNAの発現を目的としており、いかにDNAを標的部位に到達させるか、いかにDNAを標的部位に効率的に導入し、当該部位で機能的に発現させるかということが重要となる。外来DNAの導入のためのベクターとして、レトロウイルス、アデノウイルス又はヘルペスウイルスを含む多くのウイルスが、治療用遺伝子を運搬するように改変されて、遺伝子治療のヒトの臨床試験に使用されている。しかし感染及び免疫反応の危険性は依然として残されている。
DNAを細胞中に運搬するための非ウイルス系ベクターとして、カチオン性のスター型ポリマーがWO2004/092388及び特開2007−70579に記載されている。
WO2004/092388 特開2007−70579
従来、合成ベクターは遺伝子の搭載量、細胞内への透過性などをパラメターとして遺伝子導入活性の向上を目指して研究開発されてきた。しかしながら、合成ベクターの細胞内への遺伝子の運搬量はウイルスよりもはるかに多いが、実際の遺伝子発現量はウイルスよりも低いことがある。
本発明は、遺伝子導入効率が高い核酸複合体を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)の核酸複合体は、カチオン性ポリマーと核酸との複合体であって、該複合体中の正電荷量が負電荷量よりも多い複合体に対して、アニオン性ポリマーを吸着させてなることを特徴とする。
請求項2の核酸複合体は、請求項1において、該核酸複合体中の正電荷量が負電荷量よりも多いことを特徴とする。
請求項3の核酸複合体は、請求項1又は2において、前記カチオン性ポリマーは、N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、これに少なくともカチオン性モノマーを光照射リビング重合させた分岐型重合体であることを特徴とする。
請求項4の核酸複合体は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記アニオン性ポリマーは、N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、これに少なくともアニオン性モノマーを光照射リビング重合させた分岐型重合体であることを特徴とする。
請求項5の核酸複合体は、請求項3又は4において、N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物は、ベンゼン環を核とし、この核に分岐鎖として3個以上の該N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル基が結合していることを特徴とする。
請求項6の核酸複合体は、請求項3ないし5のいずれか1項において、カチオン性モノマーがアクリル系モノマーであることを特徴とする。
請求項7の核酸複合体は、請求項6において、アクリル系モノマーが3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドであることを特徴とする。
請求項8の核酸複合体は、請求項4ないし7のいずれか1項において、アニオン性モノマーが4−ビニル安息香酸であることを特徴とする。
請求項9の核酸複合体は、請求項1ないし8のいずれか1項において、該核酸複合体中の正電荷量と負電荷量との比が、2:1〜100:1であることを特徴とする。
本発明の核酸複合体が遺伝子導入効率に優れる理由は次の通りであると考えられる。
(1) カチオン性ポリマーはDNA(リン酸残基に由来するアニオン性高分子である)と水溶液中で混合することでイオン複合体を形成する。このイオン複合体にさらにアニオン性ポリマーを添加すると、アニオン性ポリマーがイオン複合体に静電的に吸着し、核酸複合体となる。この核酸複合体は、実使用時の濃度範囲においては約100nm〜200nmのカチオン性の微粒子(正電荷リッチのカチオン性ポリマーと核酸との複合体に対して、カチオン/アニオン比が正電荷リッチとなるように混合するため)として安定して分散している。
(2) 一方、動物細胞の細胞膜は負に帯電しているので、カチオン性の微粒子よりなる核酸複合体は静電的に細胞膜へ吸着される。この時、微粒子の粒子径が100nm〜200nm程度とウイルスのサイズに近似しているため、細胞はこれを細胞内へ取り込み、消化器官にて無毒化を狙う。この消化器官はエンドソームと呼ばれ、強酸性の環境にある。
(3) エンドソーム内に取り込まれた核酸複合体の表層のアニオン性ポリマーは、強酸性雰囲気下でH型へと変化し、疎水性となる。これにより、エンドソーム膜の透過性が向上し、エンドソームから脱出し易くなる。この結果、遺伝子導入活性が向上する。
(4) 細胞の細胞膜やエンドソーム膜は二重リン脂質を主成分に形成されており、疎水性物質は細胞膜を溶解するようにして膜を透過する性質がある。表層のアニオン性ポリマーが上記のように疎水性となった核酸複合体は、細胞の細胞膜と融合するようにして細胞膜を透過する。
なお、アニオン性ポリマーがビニル安息香酸のポリマーの場合、細胞培養の条件(生理的pH=7.4の環境下)ではNa型で親水性であるが、酸性下ではH型となってベンゼン環の疎水性の性質が強く現れる。よって、細胞膜透過時にはあくまでも親水性であり(透過性は従来のものでも十分にあり、細胞膜へ脂質融合しないので細胞毒性は弱くてすむ)、細胞内のエンドソームへ取り込まれた後に(強酸性の環境下で)初めて疎水性となり、エンドソーム膜を効率良く、脂質融合するように透過して核へ外来遺伝子を運搬する。
以下に本発明の核酸複合体の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の核酸複合体は、カチオン性ポリマーと核酸との複合体であって、該複合体中の正電荷量が負電荷量よりも多い複合体に対して、アニオン性ポリマーを吸着させてなることを特徴とするものである。
このカチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーは、好ましくは分岐鎖を有するポリマー材料よりなる。
カチオン性ポリマー材料としては、N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、これに少なくともカチオン性モノマーを光照射リビング重合させた分岐型重合体が好適である。
アニオン性ポリマー材料としては、N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、これに少なくともアニオン性モノマーを光照射リビング重合させた分岐型重合体が好適である。
なお、本明細書において、イニファターとは、光照射によりラジカルを発生させる重合開始剤、連鎖移動剤としての機能と共に、成長末端と結合して成長を停止する機能、さらに光照射が停止すると重合を停止させる重合開始・重合停止剤として機能する分子のことである。
イニファターとなるN,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物としては、ベンゼン環に該N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル基が3個以上分岐鎖として結合しているものが好適であり、具体的には次が例示される。即ち、3分岐鎖化合物としては、1,3,5−トリ(ブロモメチル)ベンゼンとN,N−ジアルキルジチオカルバミン酸ナトリウム(ナトリウムN,N−ジアルキルジチオカルバメート)とをエタノール中で付加反応させて得られる1,3,5−トリ(N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル)ベンゼンであり、4分岐鎖化合物としては、1,2,4,5−テトラキス(ブロモメチル)ベンゼンとN,N−ジアルキルジチオカルバミン酸ナトリウム(ナトリウムN,N−ジアルキルジチオカルバメート)とをエタノール中で付加反応させて得られる1,2,4,5−テトラキス(N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル)ベンゼンであり、6分岐鎖化合物としては、ヘキサキス(ブロモメチル)ベンゼンとN,N−ジアルキルジチオカルバミン酸ナトリウム(ナトリウムN,N−ジアルキルジチオカルバメート)とをエタノール中で付加反応させて得られるヘキサキス(N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル)ベンゼンが挙げられる。なお、ここで、N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル基に含まれるジアルキル部分のアルキル基としては、エチル基等の炭素数2〜18個のアルキル基が好ましいが、フェニル基など芳香族系の炭化水素基であっても構わない。
なお、以下においては、イニファターとして上述のような分岐鎖を有するものを用いて光照射リビング重合を行う場合を例示して、本発明の核酸複合体を説明するが、本発明は何らこの方法に限定されるものではない。
上記のイニファターは、アルコール等の極性溶媒に対しては殆ど不溶であるが、非極性溶媒には易溶である。この非極性溶媒としては炭化水素、ハロゲン化炭化水素が好適であり、特に、ベンゼン、トルエン、クロロホルム又は塩化メチレン、中でも特にトルエンが好適である。
このイニファターに重合させるカチオン性モノマーとしては、アクリル酸誘導体、スチレン誘導体等のビニル系モノマーが好適であり、特に、耐加水分解性に優れることから、3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドCH=CHCONHCN(CHが好ましい。
アニオン性モノマーとしては、フェニルカルボキシル基等のpKaが5以下のアニオン性の官能基を有し、かつ炭素数が3以上の、H型において疎水性の部分を有する重合性モノマーが好適であり、このようなものとしては、例えば、芳香族カルボン酸が好ましく、特に4−ビニル安息香酸(4−カルボキシスチレン)又は3,4−ジメトキシカルボニルスチレンなどのビニルベンゼンカルボン酸が好適である。なお、ビニルベンゼンカルボン酸はその他の置換基を有していてもよい。
イニファターと上記カチオン性モノマー又はアニオン性モノマーとを反応させるには、イニファター及びモノマーを含んでなる原料溶液を調製し、これに光照射することによって、イニファターに対しモノマーが結合した反応生成物を生成させる。この溶液の溶媒としては、アルカン、アルケン、アロマチック、ハロゲン化炭化水素が好適であり、具体的にはベンゼン、トルエン、クロロホルム、四塩化炭素又は塩化メチレンが挙げられ、中でもトルエン又はクロロホルムが好適である。
カチオン性モノマー又はアニオン性モノマーの該原料溶液中の濃度は0.5M以上、例えば0.5〜2.5Mが好適である。イニファターの濃度は0.1〜100mM程度が好適である。
照射する光の波長は300〜400nmが好適であり、例えば低圧水銀灯や高圧水銀灯などを用いることができる。光の照射時間は照射強度にも依存するが、1〜60分程度が好適であり、1μW/cm〜10mW/cm程度の低い照射強度で1分〜30分程度が特に好適である。
この光照射により、反応液中に目的とする分岐型重合体が生成するので、必要に応じ精製して分岐型重合体よりなるカチオン性ホモポリマー又はアニオン性ホモポリマーを得る。
このカチオン性ホモポリマー及びアニオン性ホモポリマーの分子量は分岐鎖の鎖数によるが、各々2,000〜500,000、特に2,000〜150,000、とりわけ2,000〜100,000程度が好ましい。
本発明の別の一態様では、モノマーとして、カチオン性モノマー又はアニオン性モノマーと、非イオン性モノマーとを用いる。この場合のイニファターに対する重合の順序は、任意である。即ち、1つの分岐鎖を構成するカチオン性ブロック又はアニオン性モノマーのブロックと、非イオン性ポリマーブロックの配列順序は任意である。
非イオン性モノマーとしては、N,N−ジメチルアクリルアミド、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールアルキルエステル(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドンなどを用いることができる。非イオン性ポリマーブロックの分子量は、2,000〜500,000が好適である。
本発明の核酸複合体は、このようなカチオン性ポリマーと核酸とを複合させて1次複合体とし、これにアニオン性ポリマーを静電的に吸着させたものである。
カチオン性ポリマーと核酸とを複合させるには、このカチオン性ポリマーの濃度1〜1000μg/mL程度の分散液に対し、常温にて核酸を添加し、混合すればよい。核酸に対してカチオン性ポリマーを過剰量添加して複合化させる。
本発明において、カチオン性ポリマーと核酸との複合体は、これに更にアニオン性ポリマーを吸着させることから、カチオン性ポリマーに由来する正電荷と、核酸に由来する負電荷の比率が好ましくは2:1〜100:1と正電荷過多とする。これにより、この複合体にアニオン性ポリマーを吸着させて得られる核酸複合体が全体として正電荷を帯びることが可能となる。
また、カチオン性ポリマーと核酸との複合体に対するアニオン性ポリマーの吸着量は、カチオン性ポリマーに由来する正電荷と、核酸及びアニオン性ポリマーに由来する負電荷の比率が好ましくは2:1〜100:1と正電荷過多となるようにする。これにより、核酸複合体が全体として正電荷を帯びることにより、細胞膜へ吸着してエンドソームへ移行する。前述の通り、エンドソーム内においてアニオン性ポリマーはH型に変化し、二重リン脂質を主成分とするエンドソーム膜から脱出し易いものとなる。
アニオン性ポリマーブロックがポリカルボキシスチレンの場合、細胞培養の条件(生理的pH=7.4の環境下)ではNa型で親水性であるが、酸性下ではH型となってベンゼン環の疎水性の性質が強く現れる。これによって、細胞膜透過時(細胞培養の条件下)にはあくまでも親水性であり(透過性は上記の通り従来のものでも十分にあり、細胞膜へ脂質融合しないので細胞毒性は弱くてすむ)、細胞内のエンドソームへ取り込まれた後に(強酸性の環境下で)初めて疎水性となり、エンドソーム膜を効率良く、脂質融合するように透過して核へ外来遺伝子を運搬する。
核酸の好ましい例としては、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(HSV1−TK遺伝子),p53癌抑制遺伝子及びBRCA1癌抑制遺伝子やサイトカイン遺伝子としてTNF−α遺伝子,IL−2遺伝子,IL−4遺伝子,HLA−B7/IL−2遺伝子,HLA−B7/B2M遺伝子,IL−7遺伝子,GM−CSF遺伝子,IFN−γ遺伝子及びIL−12遺伝子などのサイトカイン遺伝子並びにgp−100,MART−1及びMAGE−1などの癌抗原ペプチド遺伝子が癌治療に利用できる。
また、VEGF遺伝子,HGF遺伝子及びFGF遺伝子などのサイトカイン遺伝子並びにc−mycアンチセンス,c−mybアンチセンス,cdc2キナーゼアンチセンス,PCNAアンチセンス,E2Fデコイやp21(sdi−1)遺伝子が血管治療に利用できる。また、上記のようなDNAの導入、遺伝子発現のみならず、細胞内のmRNAを破壊するRNA干渉をsiRNAの導入で行うことも可能である。かかる一連の遺伝子は当業者には良く知られたものである。
核酸含有複合体の粒径は50〜400nm、特に100〜200nm程度が好適である。これよりも小さいと、核酸含有複合体内部の核酸にまで酵素の作用が及ぶおそれ、あるいは腎臓にて濾過排出されるおそれがある。また、これよりも大きいと、細胞に導入されにくくなるおそれがある。
核酸は、細胞に導入されることによりその細胞内で機能を発現することができるような形態で用いる。例えばDNAの場合、導入された細胞内で当該DNAが転写され、それにコードされるポリペプチドの産生を経て機能発現されるように当該DNAが配置されたプラスミドとして用いる。好ましくは、プロモーター領域、開始コドン、所望の機能を有する蛋白質をコードするDNA、終止コドンおよびターミネーター領域が連続的に配列されている。
所望により2種以上の核酸をひとつのプラスミドに含めることも可能である。
本発明において、核酸を導入する対象として望ましい「細胞」としては、当該核酸の機能発現が求められるものであり、このような細胞としては、例えば使用する核酸(すなわちその機能)に応じて種々選択され、例えば心筋細胞、平滑筋細胞、繊維芽細胞、骨格筋細胞、血管内皮細胞、骨髄細胞、骨細胞、血球幹細胞、血球細胞等が挙げられる。また、単球、樹状細胞、マクロファージ、組織球、クッパー細胞、破骨細胞、滑膜A細胞、小膠細胞、ランゲルハンス細胞、類上皮細胞、多核巨細胞等、消化管上皮細胞・尿細管上皮細胞などである。
本発明の核酸含有複合体は任意の方法で生体に投与することができる。
当該投与方法としては静脈内又は動脈内への注入が特に好ましいが、筋肉内、脂肪組織内、皮下、皮内、リンパ管内、リンパ節内、体腔(心膜腔、胸腔、腹腔、脳脊髄腔等)内、骨髄内への投与の他に病変組織内に直接投与することも可能である。
この核酸含有複合体を有効成分とする医薬は、更に必要に応じて製剤上許容し得る担体(浸透圧調整剤,安定化剤、保存剤、可溶化剤、pH調整剤、増粘剤等)と混合することが可能である。これら担体は公知のものが使用できる。
また、この核酸含有複合体を有効成分とする医薬は、含まれる核酸の種類が異なる2種以上の核酸含有複合体を含めたものも包含される。このような複数の治療目的を併せ持つ医薬は、多様化する遺伝子治療の分野で特に有用である。
投与量としては、動物、特にヒトに投与される用量は目的の核酸、投与方法および治療される特定部位等、種々の要因によって変化する。しかしながら、その投与量は治療的応答をもたらすに十分であるべきである。
この核酸含有複合体は、好ましくは遺伝子治療に適用される。適用可能な疾患としては、当該複合体に含められる核酸の種類によって異なるが、末梢動脈疾患、冠動脈疾患、動脈拡張術後再狭窄等の病変を生じる循環器領域での疾患に加え、癌(悪性黒色腫、脳腫瘍、転移性悪性腫瘍、乳癌等)、感染症(HIV等)、単一遺伝病(嚢胞性線維症、慢性肉芽腫、α1−アンチトリプシン欠損症、Gaucher病等)等が挙げられる。
また、この核酸複合体の水溶液を基材に塗布などにより付着させ、必要に応じ乾燥させることにより、核酸を担持したポリマーのコーティング等が形成される。
核酸複合遺伝子導入剤を担持させた基材よりなる遺伝子導入材料は、皮下組織、心筋組織、病変組織、病変血管を包囲するようにシート状基材を配置したり、カバードステントのフィルムへ塗布することによって生体内に配置したり、生体外面に粘着テープを用いて貼り付けたりするようにして用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
実施例1
i)イニファターの合成
下記反応式に従って、1,2,4,5−テトラキス(N−Nジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼンを次のようにして合成した。
1,2,4,5−テトラキス(ブロモメチルベンゼン)5.0gとN,N−ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム34.0gをエタノール100mL中へ加え、遮光下で室温で4日間攪拌した。沈殿物を濾過し、3リットルのメタノールへ投入して30分間攪拌して濾過した。この操作を繰り返して合計4回行った。沈殿物をトルエン200mLへ溶解した後、100mLのメタノールを加えて50℃に加温し、冷蔵庫中で15時間保管して再結晶させ、結晶を濾別後に大量のメタノールで洗浄した。結晶を室温で減圧乾燥して、白色の1,2,4,5−テトラサキス(N,N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼンの針状結晶を得た(収率90%)。高速液体クロマトグラフィーにより、原料ピークが消失し、精製物が単一物質であることを確認した。
H NMR(in CDCl)の測定結果はδ1.26−1.31ppm(t,24H,CHCH),δ3.69−3.77ppm(q,8H,N(CHCH),δ3.99−4.07ppm(q,8H,N(CHCH),δ4.57ppm(s,8H,Ar−CH),δ7.49ppm(s,2H,Ar−H)となった。
Figure 2009142230
ii)光重合による4分岐型スター型重合体よりなるカチオン性ホモポリマーの合成
下記反応式に従い、次のようにして、1,2,4,5−テトラキス[(N,N−ジエチルジチオカルバミル)ポリ(3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)−メチル]ベンゼン(以下、pDMAPAAmと記載することがある。)よりなるカチオン性ホモポリマーの合成を行った。
即ち、上記i)により合成した1,2,4,5−テトラサキス(N,N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼン45.6mgを20mLのトルエンへ溶解し、3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(3−N,N−DMAPAAm)3.9gを加えて混合し、全量をトルエンで50mLに調整した。3mm厚軟質ガラスセル中で激しく攪拌しながら高純度窒素ガスで5分間パージした後に、300Wショートアークキセノンランプ(朝日分光社製、MAX−301)で250nm〜400nmの混合紫外線を30分間照射した。照射強度はウシオ電機社のUIT−150にUVD−C405(検出波長範囲320nm〜470nm)を装着して2.5mW/cmに調整した。重合溶液をエバポレーターで濃縮し、ジエチルエーテルで重合物を再沈殿させ、クロロホルム/ジエチルエーテル系で3回再沈殿を繰り返して精製し、エーテルを蒸散させた後に少量の水へ溶解し、0.2μmフィルターで濾過してから凍結乾燥させて4分岐型スター型ホモポリマーpDMAPAAmよりなるカチオン性ホモポリマーを得た(重合率40%)。このものの分子量はGPCにより32,000(Mw/Mn=1.3)と測定された。
H NMR(in DO)の測定結果は、δ1.5−1.8ppm(br,2H,−CHCHCH−),δ2.1−2.2ppm(br,6H,N−CH),δ2.2−2.4ppm(br,2H,CH−N),δ3.0−3.4ppm(br,2H,NH−CH),δ7.4−7.8ppm(br,1H,−NH−)となった。
Figure 2009142230
iii)4分岐型スター型重合体よりなるアニオン性ホモポリマーの光重合による合成
1,2,4,5−テトラキス[(N,N−ジエチルジチオカルバミル)−ポリ(4−カルボキシスチレン)−メチル]ベンゼン(以下、pCSと記すことがある。)の合成を行った。即ち、上記i)で合成した1,2,4,5−テトラサキス(N,N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼン45.6mgを20mLのクロロホルムへ溶解し、4−ビニル安息香酸2.0gを加えて混合し、全量をクロロホルムで50mLに調整した。ii)と同じ手法で光重合を行い、エーテル再沈殿で回収したポリマー成分を真空乾燥後に1N水酸化ナトリウム溶液へ溶解し、0.1N水酸化ナトリウム溶液で3日間、次いで、水で3日間透析した後に凍結乾燥させることでテトラキス{N,N−ジエチルジチオカルバミル−ポリ(4−カルボキシルスチレン)−メチル}ベンゼン(4分岐型pCSポリマー)を得た(重合率30%)。分子量はGPCにより15,000(Mw/Mn=1.3)と測定された。
Figure 2009142230
iv)遺伝子導入実験
細胞にはアフリカミドリサル腎細胞の由来のCOS-1を使用し、DNAにはpGL3コントロールベクターを使用した。COS-1細胞は細胞数を4万個/mLへ調整して24Well培養皿へ播種し、培養24時間後に遺伝子導入を行った。
まず、上記ii)にて合成した4分岐型スター型重合体よりなるカチオン性ホモポリマーとDNAで遺伝子複合体(ポリプレックス)を形成させた。
カチオン性ホモポリマーの単位重量あたりの正電荷量は中和滴定によるイオン交換容量の測定で求めた。DNA中の単位重量あたりの負電荷量は配列マップによる塩基対数(5256ペア)と核酸塩基の平均的分子量(660Da)とから計算した。
このカチオン性ホモポリマー(濃度0.8μg/μLの生理食塩水溶液)60μLをDNA(濃度0.33μg/μLのトリス・HCl緩衝溶液pH=7.4)90μL中に静かに加えて混合し、室温で30分間静置して全量約150μLのポリプレックス(核酸複合体)溶液を得た。この操作によって得られるポリプレックス中のカチオン性ホモポリマーとDNA混合比は、電荷数の関係が正電荷量が負電荷量の30倍と計算できる。この核酸複合体溶液を20μLづつのアリコットに分注し、各アリコットに200μLのOPTI−MEMを加えて混合した。
続いて、上記iii)で合成した4分岐型スター型重合体よりなるアニオン性ホモポリマーをOPTI-MEMへ溶解し、濃度を0.05μg/μLに調整した。この溶液を先に調整し、30分間インキュベートしたポリプレックスのOPTI-MEM分散液220μLへ10〜150μL加えて更に10分間インキュベートし、培養細胞へ加えた。この操作によって、培養細胞の各Wellへそれぞれ0.5μgのDNAが投与されるように溶液濃度が調整されたことになる。
培養3時間後に、OPTI−MEMを除去し、各Wellを1mLのダルベッコPBSで2回洗浄後、完全培地を1mL加えて48時間培養した。
トランスフェクションの48時間後にルシフェラーゼアッセにより遺伝子導入活性の評価を行った(プロメガ社、アッセイキット試薬)。
補正はタンパク濃度で行い、タンパク定量はBioRad社のBradford試薬で行った。結果を図1に示す。
図1の通り、アニオン性ホモポリマー溶液30μLを添加した系(正電荷量:負電荷量=22:1)と、50μL添加した系(正電荷量:負電荷量=18:1)で、活性の向上を認めた。
正電荷量過剰(正電荷量:負電荷量=30:1)で形成され、緩衝溶液中で静電的斥力で安定分散しているポリプレックスへ、後からアニオン性ホモポリマーを加えることで、ポリプレックス表面へのイオン吸着が起こると考えられる。上記した濃度範囲でアニオン性ポリマーをイオン吸着させてもポリプレックスは正電荷を有すると考えられ、ポリプレックスは細胞膜へ吸着するものと考えられる。その後、細胞内のエンドソームに取り込まれたポリプレックスは酸性雰囲気中で表層のポリアニオンがH型へと変化し、疎水性となることで細胞膜の透過性が向上し、エンドソームからの脱出を助ける効果があり、結果、活性が向上したものと推測される。
アニオン性ホモポリマー溶液添加量が100μL以上の系、すなわち、アニオン性ポリマーの吸着量が多いと活性は逆に低下するが、これは、
(1)ポリプレックス表面の正電荷量が減少して、細胞膜への吸着性が消失した
(2)ポリプレックス表面の正電荷量が減少して、静電的斥力の低下から微粒子が凝集した
(3)DNAとのイオン交換などポリプレックスが崩壊した
ことなどが要因として考えられる。
実施例1の遺伝子導入実験結果を示すグラフである。

Claims (9)

  1. カチオン性ポリマーと核酸との複合体であって、該複合体中の正電荷量が負電荷量よりも多い複合体に対して、アニオン性ポリマーを吸着させてなることを特徴とする核酸複合体。
  2. 請求項1において、該核酸複合体中の正電荷量が負電荷量よりも多いことを特徴とする核酸複合体。
  3. 請求項1又は2において、前記カチオン性ポリマーは、N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、これに少なくともカチオン性モノマーを光照射リビング重合させた分岐型重合体であることを特徴とする核酸複合体。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記アニオン性ポリマーは、N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、これに少なくともアニオン性モノマーを光照射リビング重合させた分岐型重合体であることを特徴とする核酸複合体。
  5. 請求項3又は4において、N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物は、ベンゼン環を核とし、この核に分岐鎖として3個以上の該N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル基が結合していることを特徴とする核酸複合体。
  6. 請求項3ないし5のいずれか1項において、カチオン性モノマーがアクリル系モノマーであることを特徴とする核酸複合体。
  7. 請求項6において、アクリル系モノマーが3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドであることを特徴とする核酸複合体。
  8. 請求項4ないし7のいずれか1項において、アニオン性モノマーが4−ビニル安息香酸であることを特徴とする核酸複合体。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項において、該核酸複合体中の正電荷量と負電荷量との比が、2:1〜100:1であることを特徴とする核酸複合体。
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