JP5944622B2 - 遺伝子導入剤組成物 - Google Patents
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Description
ウイルスベクターによる遺伝子導入は、アデノウイルス、アデノ付随ウイルス、センダイウイルス、レトロウイルスなどを改変(野生型ウイルスを無毒化し、目的の核酸を挿入して作成)し、細胞へ作用させることで外来遺伝子を細胞へ導入する技術であり、当業者の間で広く行われている。
非ウイルスベクターは高分子ポリマーやカチオン性脂質と核酸で形成させた複合体を細胞へ取り込ませる食作用を利用したものが多く、他にはエレクトロポレーションや金コロイド銃など機械的に細胞膜を突き破って核酸を挿入する技術もある。
特に、造血幹細胞、筋芽細胞、骨芽細胞、ES細胞、iPS細胞などの幹細胞や神経細胞、心筋細胞など食作用の少ない細胞へはほとんど導入ができなかった。
このため、従来、生体(動物)での使用例もウイルスベクターによる研究が主流で、高分子ベクターによる生体内使用は報告がほとんどなされていないのが実状である。これは、株化細胞(試験管での実験用に、容易に培養が可能で継代による細胞の性質の変化がないように処理された細胞)には高分子ベクターも適用が可能であるものの、Priamry細胞(動物の臓器などから採取された直後の細胞)にはほとんど遺伝子導入ができないことによる。
(1) 新種のウイルスを作成してしまう危険性(例えば、(1)一般にウイルスベクターの作成の前に組換え遺伝子を作成するが、この組換え遺伝子の作成の際に目的遺伝子に突然変異が入ってしまうことやE1領域の消化が十分でなく自己増殖能が残ってしまうなどの危険性や、(2)ウイルスベクターの継代中、ウイルス遺伝子の複製過程でパッケージング細胞のDNAとの相同組換えによってE1領域を取得し、自己増殖能を獲得したウイルスが産生してしまう可能性など)や研究者自身が感染する危険性がある。
(2) −70℃以下の温度で保存しても経時性に力価(タイター)が低下してしまうので、高力価とするために使用前に力価の確認試験や再調製や精製の工程が必要であり、感染力の強いウイルスベクターの調製には多大な時間や労力コストを必要とする。
(3) ウイルス自体にサイズがあるので、物理的に内部へ挿入できる核酸のサイズに限界があり、大きなDNAなどは挿入できない。
(4) ウイルスベクターは細胞膜表面の受容体(例えばCAR(コサッキー・アデノウイルス・レセプター))を介して侵入するため、受容体を持っていない細胞へは使用できない。
(5) 組換え遺伝子実験として承認申請などが必要なケースが多く、企画から実験を行うまでに多大な時間や専用の施設が必要になる。
本発明では、アデノウイルスが(残骸であっても)カチオン性ポリマーと核酸との複合体のエンドソーム脱出を助けている。
(2) カチオン性ポリマーベクターの核酸複合体の表面にアデノウイルス(残骸であっても)が吸着し、該核酸複合体が受容体を介して細胞へ侵入できるようになっている、及び/又は、アデノウイルス単体が受容体を介して細胞内へ侵入する際に、カチオン性ポリマーベクターの核酸複合体が便乗して細胞内へ取り込まれている。
(3) エンドソームからの脱出にアデノウイルスが機能している。
(4) アデノウイルス由来のタンパク中にカチオン性ポリマーベクターが運搬した核酸の転写を促進する成分が存在する。
(5) アデノウイルスへの感染によって細胞増殖が促進され、カチオン性ポリマーベクターが核内へ進入できる唯一のタイミングである二核細胞期にある細胞数が増えている。
TCID50/mL(TCID50は統計学的50%細胞変性終末点)以上である必要はなく、106TCID50/mL程度の極く低活量で十分にアデノウイルス併用による上記効果を得ることができる。即ち、実質的にアデノウイルスが機能しないような低濃度での使用で遺伝子導入活性の向上効果が得られ、また、減菌ないし失活させたアデノウイルス(残骸)やアデノウイルスの分解断片でも効果を得ることができると考えられ、このように、極少量のアデノウイルスや減菌ないしは失活したアデノウイルス、アデノウイルスの分解断片でも有効であることから、ウイルスベクターの欠点である要事再調製、力価確認、精製などの労力が必要であるという問題や、感染の危険性の問題は、解消ないしは軽減される。また、導入目的の遺伝子はカチオン性ポリマーベクターの核酸複合体に搭載することから、導入しようとする核酸のサイズに制約を受けることはない。
本発明の遺伝子導入剤組成物は、カチオン性ポリマー、核酸、及びアデノウイルスの少なくとも一部を含むことを特徴とし、通常、核酸とカチオン性ポリマーとの複合体に対してアデノウイルスが吸着したものの水分散液として提供される。
本発明で用いるカチオン性ポリマーは、カチオン性ビニル系モノマーを主体とするポリマー鎖(以下、「カチオン性ポリマー鎖」と称す。)を有するものであり、ここで「カチオン性ビニル系モノマーを主体とする」とは、カチオン性ポリマー鎖を構成するビニル系モノマー由来の構成単位の50モル%以上、特に80〜100モル%がカチオン性ビニル系モノマー由来の構成単位であることをさす。
これらのその他のビニル系モノマーを用いる場合、カチオン性ポリマー鎖はブロックコポリマー鎖であっても、ランダムコポリマー鎖であってもよい。
得られるカチオン性ポリマーの分子量を高めるために、後掲の実施例1のように、カチオン性ビニル系モノマーのみを用いて2段階以上の光重合を行って、高分子量のカチオン性ポリマーを製造することもできる。
(1) カチオン性ポリマーと核酸とのイオン結合が不十分で核酸複合体が形成されない、及び/又は、核酸複合体中の核酸の凝集が不十分で酵素反応から保護できない。
(2) 核酸複合体表面のζ電位(ゼーター電位)が低く、細胞膜への吸着性が低くなってしまったり核酸複合体へのアデノウイルスの吸着が起こらなくなったりしてしまう。
などの不具合が考えられ、好ましくない。逆にカチオン性ポリマーの濃度が高過ぎると細胞毒性を惹起する可能性があるので好ましくはない。
本発明においては、遺伝子導入剤組成物中にカチオン性ポリマーと共にアデノウイルスを含むことを特徴とする。
このため、本発明の遺伝子導入剤組成物のアデノウイルスの含有量は、カチオン性ポリマー1gあたりに換算して、アデノウイルス10×1012TCID50以下、特に10×1010TCID50以下、例えば1×107TCID50〜1×1010TCID50とすることが好ましい。
アデノウイルス使用量(TCID50)=A×M/K
A:用いたアデノウイルス含有液のタイター(TCID50/mL)
K:カチオン性ポリマー/核酸複合体を含む液中のカチオン性ポリマー量(g)
M:カチオン性ポリマー/核酸複合体を含む液に混合したアデノウイルス含有液量(mL)
核酸は、細胞に導入されることによりその細胞内で機能を発現することができるような形態で用いる。例えばDNAの場合、導入された細胞内で当該DNAが転写され、それにコードされるポリペプチドの産生を経て機能発現されるように当該DNAが配置されたプラスミドとして用いる。好ましくは、プロモーター領域、開始コドン、所望の機能を有する蛋白質をコードするDNA、終止コドンおよびターミネーター領域が連続的に配列されている。
単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(HSV1−TK遺伝子)、p53癌抑制遺伝子及びBRCA1癌抑制遺伝子やサイトカイン遺伝子としてTNF−α遺伝子、IL−2遺伝子、IL−4遺伝子、HLA−B7/IL−2遺伝子、HLA−B7/B2M遺伝子、IL−7遺伝子、GM−CSF遺伝子、IFN−γ遺伝子及びIL−12遺伝子などのサイトカイン遺伝子並びにgp−100、MART−1及びMAGE−1などの癌抗原ペプチド遺伝子が癌治療に利用できる。
本発明の遺伝子導入剤組成物を製造するには、まず、カチオン性ポリマーと核酸とを複合化させて核酸複合体とし、ここへアデノウイルスを添加して混合することが好ましい。
遺伝子導入剤としてカチオン性ポリマーとアデノウイルスを用いる本発明の遺伝子導入方法では、上述のようにして調製された遺伝子導入剤組成物と細胞とを血清存在下で接触させることにより細胞に遺伝子を導入する。核酸複合体と細胞とを血清存在下で接触させることにより、細胞に負担をかけることなく核酸を細胞に移行させることができる。
朝日分光社製300WキセノンランプMAX−301(アルカリガラスセルを使用することでフィルター機能を得、波長330〜400nmの混合光を照射することに相当する)
<照射強度計>
ウシオ電機社製積算光度計UIT−150に受光センサーUVD−405を装着して使用
<GPC>
移動相:DMF+30mM LiBr (関東化学社製)
装置:島津製作所社製LC−10Avp
カラム:Shodex社製Asahipack GF−710HQとAsahipack GF−510HQを連結
検量線:Shodex社製PEG標準品TSKシリーズ
<NMR>
Varian社製Gemini−300
<反応容器>
アルカリガラス製3mm厚直方体ガラスセル
<凍結乾燥設備>
EYELA社製FUD−2200とULVAC社製真空ポンプGCD−136X
<分子量分画>
装置:島津製作所社製LC−10Avp
カラム:Shodex社製GPCK−2005+GPC K−2004
移動相:クロロホルム+30mM トリエチルアミン
アデノウイルスは、市販の組換えアデノウイルス作製キットを使用した。完全長DNA(LacZをコード)を挿入してプラスミドを作成し、293細胞へプラスミドを導入して作製し(以下「Adウイルス」又は「Adv」と記す。)。
また、導入用の核酸には市販のホタルルシフェラーゼをコードするプラスミドDNAを使用した。
{6分岐スター型カチオン性ポリマーの合成}
(1) 6分岐イニファターの合成
イニファターとしての1,2,3,4,5,6−ヘキサキス(N,N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼンを次のようにして合成した。
2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートをモノマーとして用い、上記1,2,3,4,5,6−ヘキサキス(N,N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼンよりなる6分岐スター型カチオン性ポリマーの合成を以下の2段重合で行った。
ここへ2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート7.9gを加えて溶解し、クロロホルムで全量を50mLとし、上記と同じ操作を行った(2段目重合)。
上記再沈殿を6回繰り返し、室温で1時間真空乾燥後、ベンゼンへ溶解して48時間凍結乾燥して精製した。
1H−NMR(in chloroform−d1):δ0.8−1.2ppm(br,3H,−CH3,m/r=1/2),δ1.6−2.0ppm(br,2H,−CH2−CH3−),δ2.2−2.4ppm(br,6H,N−CH3),δ2.5−2.7ppm(br,2H,CH2−N),δ4.0−4.2ppm(br,2H,O−CH2)。
上記(2)で合成した、Mn=25,000の6分岐スター型カチオン性ポリマーをサイズ排除カラムにて分画した。
分画後は、上記と同様の手法で精製し、凍結乾燥して、Mn=150,000(Mw/Mn=1.1)の超高分子量単分散分画を得た。
細胞には株化細胞であるヒト子宮頚部ガン由来のHela細胞とヤギ胎児由来の心筋線維芽細胞の初代細胞(以下「FSHfb」と記す。)を使用した。
細胞は細胞数を4万個/mLに調整して24Well培養皿へ播種し、培養24時間後に遺伝子導入を行った。
この6分岐スター型カチオン性ポリマーを生理食塩水へ溶解して濃度を0.26μg/μLへ調整した。DNAはTE緩衝溶液中へ溶解して濃度を0.33μg/μLに調整した。6分岐スター型カチオン性ポリマー溶液60μLとDNA溶液90μLを混合して30分間インキュベートした。混合比は電荷数の関係が陽電荷数が陰電荷数の10倍となるように(CA比=10)調整したことになる。
TCID50/mL)を0μL(添加せず),10μL,20μL,40μL,60μL又は80μL混合してからOPTI−MEM培養液100μLへ加えて混合し、30分間インキュベートしてからそれぞれ培養細胞へ加えた(いずれのWellにも0.5μgのDNAが投与されるように添加量を調整した)。
各Adウイルス溶液添加量におけるカチオン性ポリマー1gあたりに換算したAdウイルス添加量は以下の通りである。
添加量0μL=0 TCID50
添加量10μL=3.8×109 TCID50
添加量20μL=7.5×109 TCID50
添加量40μL=1.5×1010 TCID50
添加量60μL=2.3×1010 TCID50
添加量80μL=3.0×1010 TCID50
FSHfbへの導入結果を図1に示す。Hela細胞への導入結果を図2に示す。
{直鎖型カチオン性ポリマーの合成}
実施例1において、1,2,3,4,5,6−ヘキサキス(ブロモメチル)ベンゼンの代りにクロロメチルベンゼンを用い、カチオン性ポリマー鎖を1本のみ有する直鎖型カチオン性ポリマーを合成した。
細胞にはヤギ胎児由来の心筋線維芽細胞の初代細胞(FSHfb)を使用した。
細胞は細胞数を4万個/mLに調整して24Well培養皿へ播種し、培養24時間後に遺伝子導入を行った。
上記で得た直鎖型カチオン性ポリマー(Mn=25,000)中の単位重量あたりの陽電荷数は、該直鎖型カチオン性ポリマーを構成するモノマー単位(2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)の分子量156から計算して求めた。一方、DNA中の単位重量あたりの陰電荷数は配列MAPによる塩基対数と核酸塩基の平均的分子量660とから計算した。
この直鎖型カチオン性ポリマーをDNAと150μLのTE緩衝溶液中で混合して30分間インキュベートした。混合比は電荷数の関係が陽電荷数が陰電荷数の10倍となるように(CA比=10)調整した(直鎖型カチオン性ポリマーを15.8μg、DNAを3.0μg)。
この150μL溶液に、1/20濃度に希釈したAdウイルス溶液(6×106
TCID50/mL)を60μL(直鎖型カチオン性ポリマー1gあたりに換算したAdウイルス混合量は2.3×1010 TCID50)混合してからOPTI−MEM培養液100μLへ加えて混合し、30分間インキュベートしてから培養細胞へ加えた(いずれのWellにも0.5μgのDNAが投与されるように添加量を調整した)。3時間の培養の後、OPTI−MEMを除去し、PBSで洗浄した後に完全培地を加えてさらに48時間培養を行った。48時間後にルシフェラーゼアッセイキットにより遺伝子導入活性の評価を行った。補正は総タンパク濃度で行い、総タンパク定量はBio Rad社のBradford試薬で行った。
FSHfbへの導入結果を図3に示す。
直鎖型カチオン性ポリマーの代りに、実施例1の(2)で得た6分岐スター型カチオン性ポリマー(Mn=25,000)を用いたこと以外は、参考例と同様にして遺伝子導入実験を行い、結果を図3に示した。
核酸複合体を用いず、Adウイルスのみを用い、Adウイルス溶液(6×106TCID50/mL)を60μLをOPTI−MEM培養液100μLへ加えて混合し、30分間インキュベートしてから培養細胞へ加えたこと以外は、参考例と同様にして遺伝子導入実験を行い、結果を図3に示した。
市販のキットで作製したAdウイルスを未精製又は精製の状態で濃度を1/20濃度に希釈して使用した。精製は以下のようにして行なった。
225mm2フラスコで293細胞培養し、6×106TCID50/mLのAdウイルス液300μLと5%FCS含有DMEM培地5mLを加えて37℃で4日間培養した。培養溶液を3000rpm、4℃で15分間遠心分離し、沈殿を超音波処理で粉砕し10,000rpm、4℃で15分間遠心分離した。このウイルス原液を4.0Mの塩化セシウム溶液と2.2Mの塩化セシウム溶液の密度勾配遠心法により分離し、両セシウム溶液の中間に配置されたウイルスバンドを採取し、PBS溶液で透析して塩化セシウムを除去して精製ウイルス溶液を得た。力価は3×108TCID50/mLとなった。さらに未精製品を1/80,1/160,1/320,1/640,又は1/1280濃度に希釈することで力価を下げて遺伝子導入活性を比較評価する実験を行った。
細胞は細胞数を4万個/mLに調整して24Well培養皿へ播種し、培養24時間後に遺伝子導入を行った。
実施例1の上記(2)で得た6分岐スター型カチオン性ポリマー(Mn=25,000)中の単位重量あたりの陽電荷数は、該6分岐スター型カチオン性ポリマーを構成するモノマー単位(2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)の分子量156から計算して求めた。一方、DNA中の単位重量あたりの陰電荷数は配列MAPによる塩基対数と核酸塩基の平均的分子量660とから計算した。
この6分岐スター型カチオン性ポリマーをDNAと150μLのTE緩衝溶液中で混合して30分間インキュベートした。混合比は電荷数の関係が陽電荷数が陰電荷数の15倍となるように(CA比=15)調整した。
この150μL溶液に、上記希釈したAdウイルス溶液をそれぞれ60μL混合してからOPTI−MEM培養液100μLへ加えて混合し、30分間インキュベートしてから培養細胞へ加えた(各Wellに0.5μgのDNAを投与した)。3時間の培養の後、OPTI−MEMを除去し、PBSで洗浄した後に完全培地を加えてさらに48時間培養を行った。48時間後にルシフェラーゼアッセイキットにより遺伝子導入活性の評価を行った。補正(規格化)は総タンパク濃度で行い、総タンパク定量はBio Rad社のBradford試薬で行った。
FSHfbへの導入結果を図4に示す。
精製品1/20倍希釈:6.3×1012TCID50
未精製品1/20倍希釈:7.6×108TCID50
未精製品1/80倍希釈:1.9×108TCID50
未精製品1/160倍希釈:9.5×107TCID50
未精製品1/320倍希釈:4.8×107TCID50
未精製品1/640倍希釈:2.4×107TCID50
未精製品1/1280倍希釈:1.2×107TCID50
図1〜4より次のことが分かる。
また、図1と図3との結果から、同じ6分岐スター型構造でも、分子量が高い方が高い遺伝子導入活性を得られる可能性が高いことが分かる。
また、Adウイルス単体での活性の評価ではホタルルシフェラーゼの活性は認められず、今回の実施例で使用したAdウイルスへ挿入したLacZ(β−ガラクトシダーゼ)が非特異的にホタルルシフェラーゼ活性評価反応に寄与していないことも示された。
Claims (6)
- カチオン性ビニル系モノマーを主体とするポリマー鎖(以下、「カチオン性ポリマー鎖」と称す。)を4本以上有するスター型カチオン性ポリマー、核酸、及び、アデノウイルスを培地中で宿主細胞とともに培養し、培養物を超音波処理及び遠心分離して得られる画分である未精製のアデノウイルスを含むことを特徴とする遺伝子導入剤組成物。
- 請求項1において、前記カチオン性ポリマーは、ベンゼン環を核とし、この核に分岐鎖としての前記カチオン性ポリマー鎖が結合したものであることを特徴とする遺伝子導入剤組成物。
- 請求項1または2において、前記未精製のアデノウイルスは、失活した個体を含むことを特徴とする遺伝子導入剤組成物。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記カチオン性ポリマー1gあたりに換算して、アデノウイルス10×1012TCID50以下を混合してなることを特徴とする遺伝子導入剤組成物。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記カチオン性ポリマーと核酸とを複合化させてなる核酸複合体に更に未精製のアデノウイルスの少なくとも一部を混合してなることを特徴とする遺伝子導入剤組成物。
- カチオン性ビニル系モノマーを主体とするポリマー鎖(以下、「カチオン性ポリマー鎖」と称す。)を4本以上有するスター型カチオン性ポリマーと、アデノウイルスを培地中で宿主細胞とともに培養し、培養物を超音波処理及び遠心分離して得られる画分である未精製のアデノウイルスとを併用することを特徴とするインビトロでの遺伝子導入方法。
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