JP2009137437A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】エアーシール性、リムずれ性能およびタイヤの耐久性能を高度に維持しながら操縦安定性をさらに向上させる空気入りラジアルタイヤを提供する。
【解決手段】本発明の空気入りラジアルタイヤは、チェーファー部を備えた空気入りラジアルタイヤであって、チェーファー部は、ゴム成分と、該ゴム成分100質量部に対して2質量部以上20質量部以下の繊維状フィラーと、を少なくとも含むチェーファー用ゴム組成物により形成されたチェーファーゴムからなり、チェーファーゴムは、タイヤ周方向の複素弾性率E* aとタイヤラジアル方向の複素弾性率E* bとの比E* a/E* bが1.5以上であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、空気入りラジアルタイヤに関する。
近年、自動車の装備や性能の充実に加え、高速道路を含む道路網の拡充などにより、タイヤに対するより安定した操縦特性、特に高速走行における安定した操縦特性(高い制動性能)や、よりよい乗り心地性が要求されている。タイヤにおいて操縦安定性を改善するためには、一般にタイヤを構成するゴムとリムとの密着性を高めることが考えられる。この具体的な方法として、たとえばチェーファー部を構成するゴムを高剛性化する方法が知られている。
しかしながら、チェーファー部を構成するゴムを高剛性化するのみでは、チェーファーが本来有すべきであるエアシール性(空気非透過性)が悪化するという問題がある。
他方、ゴム組成物の剛性を向上させ、また、加工性や発熱特性などを改善する方法として、トレッドゴムやサイドウォールゴムに紙繊維を配合する(特許文献1、2など)ことが提案されているが、リムとのチェーフィング部分という特殊な部位への適用については全く検討されていない。
特開2006−213193号公報 特開2006−306955号公報
本発明は、上記のような現状に鑑みなされたものであって、エアシール性、リムずれ性能およびタイヤの耐久性能を高度に維持しながら操縦安定性をさらに向上させる空気入りラジアルタイヤを提供することを目的とする。
本発明の空気入りラジアルタイヤは、チェーファー部を備えた空気入りラジアルタイヤであって、チェーファー部は、ゴム成分と、該ゴム成分100質量部に対して2質量部以上20質量部以下の繊維状フィラーと、を少なくとも含むチェーファー用ゴム組成物により形成されたチェーファーゴムからなり、チェーファーゴムは、タイヤ周方向の複素弾性率E* aとタイヤラジアル方向の複素弾性率E* bとの比E* a/E* bが1.5以上であることを特徴とする。
また、チェーファー用ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して0.1〜5質量部のシランカップリング剤を含むことが好ましい。
本発明の空気入りラジアルタイヤは、特定の配合を有するチェーファー用ゴム組成物からなるチェーファーの上記複素弾性率の比を特定の範囲とすることにより、エアシール性、リムずれ性能および耐久性能を高度に維持しながら操縦安定性をさらに向上させることができるものである。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
<空気入りラジアルタイヤ>
本発明の空気入りラジアルタイヤは、チェーファー部を備えたものである。すなわち、本発明の空気入りラジアルタイヤは、後述の特定のチェーファー用ゴム組成物からなるチェーファーゴムにより構成されるチェーファー部を備えればよく、その他のタイヤ構成部位は特に限定されるものではない。
本発明の空気入りラジアルタイヤの代表的な構造を模式的に示す図1にしたがい説明する。
すなわち、本発明の空気入りラジアルタイヤTは、図1に例示されるように、トレッド部3と、そのトレッド部3からタイヤ半径方向内方に延びるサイドウォール部2と、各サイドウォール部2の内方端に位置するビード部1とを備える構造を有するのが一般的である。また、ビード部1間にはカーカス5が架け渡され、このカーカス5の外側かつトレッド部3の内側に、タガ効果を有してトレッド部3を補強するブレーカー6(ベルト層)が配される。
なお、上記カーカス5は、カーカスコードをタイヤ赤道COに対して、たとえば70〜90°の角度で配列する1枚以上のカーカスプライから形成され、このカーカスプライは、上記トレッド部3からサイドウォール部2を経てビード部1のビードコア7の廻りをタイヤ軸方向の内側から外側に折返されて係止(図1中、5a)される。
上記ブレーカー6は、ベルトコードをタイヤ赤道COに対して、たとえば40°以下の角度で配列した2枚以上のベルトプライからなり、各ベルトコードがプライ間で交差するよう向きを違えて重置している。
またビード部1の構造をより詳細に図2に示す。このようにビード部には、上記ビードコア7から半径方向外方に延びるビードエイペックスゴム4が配されるとともに、上記カーカス5を構成するカーカスプライの係止5a部分外側に配されたクリンチゴム9と、ビード部がリムと接触する部分を包囲し、ビード部をリムとの接触摩擦から保護するチェーファー用ゴム組成物からなるチェーファー部8とを少なくとも備える。
このような本発明の空気入りラジアルタイヤは、乗用車用、トラック・バス用、重機用等、種々の用途に適用され得る。
<チェーファー部>
本発明のチェーファー部は、ゴム成分と、このゴム成分100質量部に対して2質量部以上20質量部以下の繊維状フィラーと、を少なくとも含むチェーファー用ゴム組成物により形成されるチェーファーゴムからなり、かつ、このチェーファーゴムは、タイヤ周方向の複素弾性率E* aとタイヤラジアル方向の複素弾性率E* bとの比E* a/E* bが1.5以上である。なお、タイヤラジアル方向とは、タイヤ周方向に対して直角となる方向をいう。ここで、チェーファー部は、図2に示すようにビードコア7の周りを折り返す構造をとるが、上記複素弾性率とは、チェーファー部のタイヤ中心からトレッド方向に伸びる方向(またはトレッド部からタイヤ中心に向かう部分)についてタイヤ周方向およびタイヤラジアル方向を規定するものである。また、チェーファー部のリムと接触するタイヤ半径に類垂直の部分は、チェーファー部の上記タイヤ中心からトレッド方向に伸びる方向と同一の配向性を有するものである。
一般に自動車の操縦安定性を向上させるためにはタイヤを高剛性化することが有効であるが、単に高剛性化するのみでは乗り心地性能を低下させてしまう可能性がある。また、高剛性化するには、チェーファー部を構成するゴムの剛性を高くすることが有効であるが、チェーファー部特有のエアシール性や、リムとの耐磨耗性を維持したものとする必要がある。本発明は、チェーファー部を構成するゴム組成物に繊維状フィラーを配合しタイヤの総合的な高剛性化を行なって操縦安定性を確保するとともに、タイヤラジアル方向における剛性がタイヤ周方向に比べて低くなるようチェーファー部を構成するゴム組成物の複素弾性率の比を特定の範囲に設定した場合に、チェーファーゴムとしてのエアシール性を良好に保つことができ、リムずれを抑制し、かつ、タイヤの操縦安定性を向上させることができるものである。
複素弾性率の比E* a/E* bが1.5以上である場合、エアシール性を良好に保つことができ、かつリムずれを抑制することができ、操縦安定性を向上させることができる。また、チェーファー部における耐摩耗性を十分に備え、さらに低発熱特性を有するチェーファー用ゴム組成物となる。上記E* a/E* bは、1.6以上であることがより好ましい。また、上記E* a/E* bは、10以下であることがより好ましく、さらに9以下であることが好ましい。E* a/E* bが10以下であれば、エアシール性を良好に保つことができ、リムずれを抑制し操縦安定性を良好に維持できるとともに、耐摩耗性等の耐久性能の極端な低下が回避され、上記各特性のバランスに優れたチェーファー用ゴムとしてより好適である。
本発明においては、上記の複素弾性率E* aが10MPa以上50MPa以下であることが好ましい。E* aが10MPa以上である場合、チェーファー部は十分な剛性を有するために操縦安定性が良好となり、50MPa以下である場合乗り心地性能および耐久性能を損なうおそれが少ない。また本発明においては、上記の複素弾性率E* bが4MPa以上11MPa以下であることが好ましい。E* bが4MPa以上である場合、操縦安定性が良好であり、E* bが11MPa以下である場合、乗り心地性能および耐久性能を損なうおそれが少なく、上記のように各特性のバランスを良好なものとすることができる。
ここで、本発明において複素弾性率とは、温度70℃、周波数10Hz、初期歪10%、動歪±2%の条件で粘弾性スペクトロメーターを用いて測定し求められる値をいう。
本発明において、上記のようなチェーファー部におけるタイヤ周方向とタイヤラジアル方向との複素弾性率の異方性の付与は、E* a/E* bを上記範囲に設定することができれば特に限定されるものではないが、たとえばチェーファー用ゴム組成物をシート状に押出し成形する際の押出し条件の調整によりチェーファー用ゴム組成物に配合された繊維状フィラーの配向性を制御する方法などにより行なうことができる。具体的には、たとえば上記押出し成形により、繊維状フィラーが上記のように配向したゴム組成物からなるシートを、チェーファー部のタイヤ周方向がタイヤラジアル方向に比べてより高剛性となるように配向性の高い方向が、タイヤ周方向となるように配することにより制御することができる。
<チェーファー用ゴム組成物>
上記チェーファー部を形成するチェーファー用ゴム組成物は、ゴム成分と、該ゴム成分100質量部に対して2質量部以上20質量部以下の繊維状フィラーとを含む。このようなチェーファー用ゴム組成物は、ゴム成分と繊維状フィラーとを上記範囲内において含む限り他の成分を含んでいても差し支えない。
<ゴム成分>
本発明のチェーファー用ゴム組成物において使用されるゴム成分としては、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等が挙げられ、これらのうち1種類または2種類以上を含むことが好適である。なお、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)とは、エチレン−プロピレンゴム(EPM)に第三ジエン成分を含むものである。ここで第三ジエン成分としては、たとえば炭素数5〜20の非共役ジエンが挙げられ、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエンおよび1,4−オクタジエンや、1,4−シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエンなどの環状ジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、2−メタリル−5−ノルボルネンおよび2−イソプロペニル−5−ノルボルネンなどのアルケニルノルボルネン等が好ましく例示できる。
ここで、上記天然ゴムとしては、従来天然ゴムとして知られるものであればいずれのものも含まれ、原産地等は限定されない。このような天然ゴムは、シス1,4ポリイソプレンを主体として含むが、トランス1,4ポリイソプレンを含むこともできる。したがって、上記天然ゴムには、シス1,4ポリイソプレンを主体として含む天然ゴムの他、たとえば南米産アカテツ科のゴムの一種であるバラタ等、トランス1,4イソプレンを主体として含む天然ゴムも含まれる。このような天然ゴムを1種または2種以上含むことができる。なお、このような天然ゴムには、上記のような天然ゴムを変性または精製した変性天然ゴムも含まれる。たとえば、エポキシ化天然ゴム(ENR)、脱蛋白天然ゴム(DPNR)等が含まれる。
一方、上記合成ゴムとしては、たとえばスチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンイソプレン共重合体ゴム、イソプレンゴム(IR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、イソブチレンとp−メチルスチレンとの共重合体のハロゲン化物などを挙げることができる。このような合成ゴムを1種または2種以上含むことができる。これらの合成ゴムのなかでも、チェーファー部に適用し、上記各種特性を維持させるためには、NR、BRを用いることが好ましい。
なお、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)とは、エチレン−プロピレンゴム(EPM)に第三ジエン成分を含むものである。ここで第三ジエン成分としては、たとえば炭素数5〜20の非共役ジエンが挙げられ、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエンおよび1,4−オクタジエンや、1,4−シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエンなどの環状ジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、2−メタリル−5−ノルボルネンおよび2−イソプロペニル−5−ノルボルネンなどのアルケニルノルボルネン等が例示できる。
上記チェーファー用ゴム組成物に含まれるゴム成分としては、天然ゴムと合成ゴムとを含むことが好ましい。ゴム成分が天然ゴムと合成ゴムとを含む場合、これらの配合比率は、天然ゴムに対する合成ゴムの配合比率を10質量%以上70質量%以下とすることが好ましく、20質量%以上60質量%以下とすることがより好ましい。このような配合比率のゴム成分を採用することにより、繊維状フィラーを配合した状態であっても、チェーファー部に要求される特有のエアシール性や、リムとの耐磨耗性を向上させることができ、操縦安定性を向上させるという本発明の効果が顕著である。天然ゴムに対する合成ゴムの配合比率が10質量%未満であったり、70質量%を超える場合には、このような特性をバランスよく保つことが困難となる場合がある。
<繊維状フィラー>
本発明のチェーファー用ゴム組成物に含まれる繊維状フィラーは、上記ゴム成分100質量部に対して2質量部以上20質量部以下含まれる。繊維状フィラーの配合がゴム成分100質量部に対して2質量部以上であれば、チェーファー部の補強効果(高剛性化効果)が十分に得られ、20質量部以下であれば、チェーファー部が硬くなり過ぎることによるエアシール性やリムずれ性能の低下、それによる乗り心地性能の悪化、および引張強度の低下等による耐久性能の低下の虞がない。繊維状フィラーの配合量は、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上でありる。また、繊維状フィラーの配合量は18質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である。
このようにチェーファー部に繊維状フィラーを配合することにより、タイヤの高剛性化を実現できるとともに、上記のようにこの繊維状フィラーを配合したゴム組成物の複素弾性率比を特定の範囲とすることで、チェーファーとしての各種特性に優れたチェーファー用ゴム組成物を提供することができる。また、繊維状フィラーの種類および配合量を適宜設定することにより、このようなチェーファー部を構成するゴム組成物の複素弾性率比および所望の特性を簡便かつ任意に制御することができる。
本発明で用いられる繊維状フィラーとは、短繊維をいい、たとえば平均長さLが5μm以上であり、かつ平均長さLと平均径Dの比L/Dが10以上である短繊維が好ましい。
上記平均長さLは、10〜1000μmの範囲内であることがより好ましい。該平均長さLが5μm以上である場合、上記のようにチェーファー用ゴム組成物としての諸特性を優れたものとすることができる。また、上記繊維状フィラーの平均長さLが1000μm以下である場合、ゴム組成物中における繊維状フィラーの分散不良やゴム組成物の物性の不均一を良好に防止し、分散性および配向性に優れたゴム組成物とすることができる。
また繊維状フィラーの平均径Dは、たとえば0.05〜800μmの範囲内、さらに1〜400μmの範囲内、さらに10〜200μmの範囲内であることが好ましい。該平均径Dが5μm以上である場合、上記のようにチェーファー用ゴム組成物としての諸特性を優れたものとすることができる。また、上記繊維状フィラーの平均径Dが800μm以下である場合、ゴム組成物中における繊維状フィラーの分散不良やゴム組成物の物性の不均一が良好に防止される。
そして、本発明においては、該平均長さLと該平均径Dとの比L/Dが10以上、さらに20〜2000の範囲内であることが好ましい。上記の比L/Dが10以上である場合、上記のような優れた諸特性の発現に寄与することができ、2000以下である場合、ゴム組成物中における繊維状フィラーの分散やゴム組成物の物性不均一を良好な状態に維持することができる。
なお、本発明における繊維状フィラーの平均長さLおよび平均径Dは、たとえば走査型電子顕微鏡を用いて撮影された画像から画像解析によって測定される値より算出する方法で評価される。いずれもゴム組成物に配合する前の形状が上記範囲内にあれば、本発明の効果が十分に発現するものである。
このような繊維状フィラーとしては、たとえばカーボン繊維、紙繊維、有機繊維等の繊維状フィラーを挙げることができる。
ここで、カーボン繊維としては、たとえば単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、炭素繊維などを用いることができる。
また、紙繊維としては、クラフトパルプ、セミケミカルパルプ、機械パルプ等のパルプ化法で得られるパルプ、ケナフ、バガス、竹、コットン、海藻等を由来とする非木材パルプ、使用済コピー用紙、古新聞紙、古段ボール紙等の古紙を脱墨して得られる古紙パルプ、等から得られる原料紙の1種または2種以上の混合物を用いて調製されたものを挙げることができる。たとえばクラフト紙粉砕品等の物理的強度が比較的大きい紙繊維が好ましく用いられる。クラフト紙とは、クラフトパルプ(KP)を抄紙して得られる紙の全般を指し、未晒クラフト紙および晒クラフト紙を含む。クラフトパルプは、化学パルプに分類されるものの主流であり、一般に比較的長い繊維長を有することから、クラフト紙は強度に優れる紙として包装用途等に広く使用される。クラフトパルプとしては針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプのいずれも使用できるが、針葉樹クラフトパルプは繊維長が比較的長いため好ましい。
このようなクラフトパルプは、一般に以下のような方法で製造される。まず原料となるチップの不純物を除去するとともに、厚みや長さ等を一定範囲内に均一化する。次にチップを苛性ソーダ、硫化ソーダ等の薬品で、たとえば150〜160℃程度の高温で蒸煮し、チップ中の主にリグニンを溶出させ、パルプ化する。溶出リグニンおよび薬品をパルプと分離するための洗浄工程を経た後、該パルプをたとえば酸素およびアルカリで処理すること等により、パルプ中の残存リグニンをさらに溶出させる。最後に異物除去、洗浄を行ない、未晒クラフトパルプを得ることができる。未晒クラフトパルプはさらに漂白工程を経ることによって晒クラフトパルプとされることができる。未晒クラフトパルプを抄紙することにより未晒クラフト紙、晒クラフトパルプを抄紙することにより晒クラフト紙をそれぞれ製造することができる。
一方、有機繊維としては、たとえばビニロン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維などを挙げることができる。
<その他の成分>
本発明のチェーファー用ゴム組成物は、上記の各成分以外に他の成分を含んでいても差し支えない。このような他の成分としては、たとえばカーボンブラック、白色充填剤、シランカップリング剤、加硫剤(硫黄)、加硫促進剤、加硫助剤、架橋剤、架橋促進剤、老化防止剤、充填剤、ワックス、オイル、軟化剤、可塑剤、カップリング剤等、タイヤ用または一般のゴム組成物用に配合される従来公知の各種配合剤または添加剤を本発明の上記効果に悪影響を及ぼさない範囲内で適宜配合することができる。
本発明においては、上記の各種配合剤の中でも特にシランカップリング剤を配合することが好ましい。このようなシランカップリング剤は、ゴム成分100質量部に対して0.1〜5質量部配合することが好ましい。この場合、上記繊維状フィラー(特に紙繊維等の多糖に含まれる水酸基)とシランカップリング剤とが反応することにより、ゴム組成物により良好な補強効果がもたらされる。よって、本発明におけるチェーファー用ゴム組成物にシランカップリング剤を配合した場合、上記チェーファー用ゴム組成物としての特性を損なうことなく、タイヤの耐摩耗性(すなわち耐久性能)および操縦安定性を顕著に向上させることができる。ゴム成分100質量部に対してシランカップリング剤の配合量が0.1質量部以上である場合、耐摩耗性および操縦安定性の向上効果が良好に得られる。またシランカップリング剤の配合量が5質量部以下である場合、ゴムの混練、押出工程での焼け(スコーチ)が生じる危険性が少ない。
上記シランカップリング剤としては、反応効率、加工時の分散性等の点で特に含硫黄シランカップリング剤が好ましく用いられる。好ましい含硫黄シランカップリング剤としては、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイル−テトラスルフィド、トリメトキシシリルプロピル−メルカプトベンゾチアゾールテトラスルフィド、トリエトキシシリルプロピル−メタクリレート−モノスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイル−テトラスルフィド、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
その他のシランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等を使用することができる。
本発明では、用途に応じてその他のカップリング剤、例えばアルミネート系カップリング剤、チタン系カップリング剤を単独またはシランカップリング剤と併用して使用することも可能である。
<製造方法>
本発明の空気入りラジアルタイヤは、上記のチェーファー用ゴム組成物を用いて、従来公知の方法により極めて良好な加工性で製造される。すなわち、上記構成のチェーファー用ゴム組成物を混練りし、未加硫の段階でタイヤのチェーファー部の形状に合わせて押出し加工し、タイヤの他の部材とともに、タイヤ成形機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、本発明の空気入りタイヤを極めて加工性良く得ることができる。
なお、上記で説明した通り、このようなチェーファー部におけるタイヤ周方向とタイヤラジアル方向との複素弾性率の異方性の付与は、E* a/E* bを上記範囲に設定することができれば特に限定されるものではないが、たとえばチェーファー用ゴム組成物をシート状に押出し成形する際の押出し条件の調整によりチェーファー用ゴム組成物に配合された繊維状フィラーの配向性を制御する方法などにより行なうことができる。具体的には、たとえば上記押出し成形により、繊維状フィラーが上記のように配向したゴム組成物からなるシートを、チェーファー部のタイヤ周方向がタイヤラジアル方向に比べてより高剛性となるように配向性の高い方向が、タイヤ周方向となるように配することにより制御することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1〜3および従来例1〜2>
<チェーファー用ゴム組成物の作製>
表1に示す配合に従い、神戸製鋼所(株)製1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤を除く配合成分を、上記ミキサーにおける充填率が58%になるように充填し、回転数80rpmで150℃で5分間混練りした。ついで、得られた混練り物に硫黄、加硫促進剤を表1に示す配合量で加えた後、2軸オープンロールを用いて、90℃で5分間混練りし、実施例1〜3および従来例1〜2の混練り状態のチェーファー用ゴム組成物を得た。
Figure 2009137437
表1中、実施例および比較例で使用した各種配合成分の詳細は以下のとおりである。
NR:天然ゴム(タイ製、「RSS#3」)
BR:ブタジエンゴム(「VCR」、宇部興産社製)
カーボンブラック:「N220」、三菱化学社製
繊維状フィラーA:カーボン繊維(「MLD−300」、東レ社製
繊維状フィラーB:紙繊維(クラフト紙粉砕品)(「ミルファイブ100」、三共精粉社製、平均長さL=10μm、L/D=100)
繊維状フィラーC:有機繊維(ビニロン繊維)(「クラレビニロン」(冷凍粉砕品)、クラレ社製、平均長さL=200μm、L/D=10)
シランカップリング剤:「Si266」、デグサ社製
ワックス:「サンノックN」、大内新興化学工業社製
老化防止剤:「オゾノン6C」、精工化学社製
ステアリン酸:日本油脂社製
酸化亜鉛:「銀嶺R」、東邦亜鉛社製
硫黄:粉末硫黄、鶴見化学社製
加硫促進剤:「ノクセラーNS」(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)、大内新興化学工業社製
<空気入りラジアルタイヤの作製>
上記で得られた各チェーファー用ゴム組成物を用いて各ゴムシート(厚み:1.0mm、大きさ:50mm×1240mm)を作製後、これを他の部材とともに張り合わせ、150℃で35分間、25kgfでプレス加硫することにより、実施例1〜3および従来例1〜2の空気入りラジアルタイヤ(サイズ:195/65R15)を作製した。
このような空気入りラジアルタイヤは、図1に示したような構造を有しており、その詳細は以下の通りである。
<空気入りラジアルタイヤの構造>
カーカス:材料 ポリエステル(1500デニール)
構成 1500デニール/2(1670dtex/2)
エンズ 50コード/50mm
ベルト層:材料 スチールコード、
構造 1×4×0.27、エンズ 40コード/50mm
角度 22°×22°
<評価>
実施例および従来例において得られたチェーファー用ゴム組成物および該チェーファー用ゴム組成物を備える空気入りラジアルタイヤについて、以下の性能評価を行なった。その結果を表1に示す。
<複素弾性率>
上記で得られたシート状のゴム組成物から短冊状試料(幅4mm×長さ30mm×厚み1.5mm)を作製し、岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、温度70℃、周波数10Hz、初期歪10%、動歪±2%の条件で損失正接tanδを測定した。この値から、タイヤ周方向の複素弾性率E* aとタイヤラジアル方向の複素弾性率E* bとを求めた。これらの比E* a/E* bを算出した。その結果を表1に示す。
<引張り強度>
JIS−K6251に準じて、上記で得られた空気入りラジアルタイヤのチェーファー部から引張り方向がタイヤ周方向に対して平行となるように3号ダンベルを用いてサンプルを打ち抜き、引張り試験を実施して破断時の引張強度を測定し、破断伸び(EB)%を求めた。その結果を表1に示す。
<硬度>
デュロAタイプ硬度計を用い、JIS−K−6253に準じ硬度を測定した。その結果を表1に示す。
<操縦安定性>
上記得られた空気入りラジアルタイヤを車に装着し、テストコースにて40〜100km/hで走行し、操縦安定性(ハンドル応答性、剛性感、グリップ性)および乗り心地性能についてテストドライバーによるフィーリング試験を実施した。その試験の評価は10点満点法で行ない、3人のドライバーの平均値を、従来例2の空気入りラジアルタイヤを「6」とする指数により表わした。それぞれ数値が大きいほど操縦安定性および乗り心地性能が良いことを表わす。その結果を表1に示す。
<転がり抵抗>
得られた各空気入りラジアルタイヤを用いて、台上試験により転がり抵抗値を測定し、従来例2における測定値を100としたときの指数を表1に示す。数値が小さいほうが、転がり抵抗が低いことを表わしている。
<リムずれ評価>
上記得られた各空気入りラジアルタイヤについて、トラクション試験機を用いて、速度100km/hr、加重400kgf、エアー圧200kPaのの条件で、タイヤをロックさせ引きずった際のリムのずれの有無を目視にて確認した。
<評価結果>
表1より明らかなように、実施例の空気入りラジアルタイヤは従来例の空気入りラジアルタイヤに比べ、転がり抵抗が低減しており、リムずれの全くない操縦安定性に優れたものであった。このように、本発明における特定のチェーファー用ゴム組成物により形成され、タイヤ周方向の複素弾性率E* aとタイヤラジアル方向の複素弾性率E* bとの比E* a/E* bが1.5以上に設定されているチェーファー部を備える空気入りラジアルタイヤは、チェーファー部としての特性に優れ、その結果操縦安定性を示すことが確認された。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の空気入りラジアルタイヤの一例を示す概略断面図である。 本発明の空気入りラジアルタイヤのチェーファー部付近の構造の概略を示す断面図である。
符号の説明
1 ビード部、2 サイドウォール部、3 トレッド部、4 ビードエイペックスゴム、5 カーカス、6 ブレーカー、7 ビードコア、8 チェーファー部、9 クリンチゴム。

Claims (2)

  1. チェーファー部を備えた空気入りラジアルタイヤであって、
    前記チェーファー部は、ゴム成分と、該ゴム成分100質量部に対して2質量部以上20質量部以下の繊維状フィラーと、を少なくとも含むチェーファー用ゴム組成物により形成されたチェーファーゴムからなり、
    前記チェーファーゴムは、タイヤ周方向の複素弾性率E* aとタイヤラジアル方向の複素弾性率E* bとの比E* a/E* bが1.5以上である空気入りラジアルタイヤ。
  2. 前記チェーファー用ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して0.1〜5質量部のシランカップリング剤を含む請求項1記載の空気入りラジアルタイヤ。
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