JP2009126887A - シリコーン樹脂の製造方法 - Google Patents

シリコーン樹脂の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、多官能モノマーを用いてラジカル重合を行う際に、分子量制御が容易で、かつ再現性よく、機械的特性、耐熱性、低誘電率などに優れたシリコーン樹脂を製造することができるシリコーン樹脂の製造方法、製造されたシリコーン樹脂を含む膜形成用組成物、および組成物より得られる絶縁膜を提供することを目的とする。
【解決手段】一般式(1)で表されるシロキサン構造を分子内に2以上有する多官能モノマーと溶媒とを含む溶液に、ラジカル重合開始剤およびラジカル重合禁止剤を、それぞれ連続的または断続的に供給しながら重合反応を行うシリコーン樹脂の製造方法:
Figure 2009126887

(一般式(1)中、Rはビニル基またはエチニル基を表す。Xは、O−またはアルキル基を表す。)。
【選択図】なし

Description

本発明は、シリコーン樹脂の製造方法に関し、さらに詳しくは、多官能モノマーを重合する際の分子量制御が容易で、再現性よくシリコーン樹脂を得ることができるシリコーン樹脂の製造方法に関する。また、本発明は、上記の方法を用いて製造されたシリコーン樹脂、そのシリコーン樹脂を含む膜形成用組成物、およびその組成物より得られる絶縁膜に関する。
半導体材料には、必要とされる特性に応じて、無機材料、有機材料などが、様々な部分で用いられている。例えば、従来、半導体素子などにおける層間絶縁膜として、気相成長(CVD)法などの真空プロセスで形成されたシリカ(SiO)膜が多用されている。しかし、無機材料系の膜の中で最も低い誘電率を示すCVD−SiO2膜でも、誘電率は約4程度である。また、低誘電率CVD膜として最近検討されているSiOF膜の誘電率は約3.3〜3.5であるが、この膜は吸湿性が高く、使用しているうちに誘電率が上昇するという問題があった。
一方、有機材料系の層間絶縁膜として、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミドなどのポリマーが広く知られている。また、そのほかにポリアリーレンエーテルを基本主鎖とする高耐熱性ポリマーが知られている(特許文献1)。しかしながら、これらの有機材料は、低誘電性、低吸水性、耐久性および耐加水分解性などの諸要求性能の観点からは、必ずしも満足できるものではなかった。特に、半導体素子用の層間絶縁膜として有機材料を適用する場合、優れた機械的特性、耐熱性が要求されている。
米国特許6509415号明細書
上記のような高性能化に対して、重合性基を2以上有する多官能モノマーを用いてポリマー合成を行うことにより、機械的特性、耐熱性などに優れたポリマーを得ることができると期待できる。しかし、多官能モノマーを使用する場合は、以下のような問題があった。
通常、多官能モノマーを使用して重合反応(特に、ラジカル反応)を行うと、重合の進行とともに多官能モノマーによるポリマー間の架橋が進行し、重合後期には重量平均分子量などの急激な上昇が起こり、分子量の制御が非常に難しいという問題があった。また、このような架橋が過度に進行した高分子量のポリマーは、溶媒を取り込んで不溶性のゲルとなるため取り扱いにくく、平坦性が要求される薄膜のような成形体への応用には不適であった。
また、多官能モノマーを使用する場合は、温度や溶媒中の残存酸素濃度など重合反応条件の微小な変化により、重合反応のバッチ毎に得られるポリマーの重量平均分子量や分子量分布に差が生じ易いという欠点があった。そのため、ロッド間の品質にバラツキが生じやすく、再現性という観点からさらなる改良が必要であった。特に、絶縁膜などの薄膜などに応用する場合、同一条件で製膜してもロッド間で膜厚に差が現れ、製品の品質が安定しないという問題があった。
本発明は、上記のような問題点に鑑みて、多官能モノマーを用いてラジカル重合を行う際に、分子量制御が容易で、かつ再現性よく、機械的特性、耐熱性、低誘電率などに優れたシリコーン樹脂を製造することができるシリコーンの製造方法、製造されたシリコーン樹脂を含む膜形成用組成物、および該組成物より得られる絶縁膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、上記課題が下記の<1>〜<5>の構成により解決されることを見出した。
<1>一般式(1)で表されるシロキサン構造を分子内に2以上有する多官能モノマーと溶媒とを含む溶液に、ラジカル重合開始剤およびラジカル重合禁止剤を、それぞれ連続的または断続的に供給しながら重合反応を行うシリコーン樹脂の製造方法:
Figure 2009126887

(一般式(1)中、Rはビニル基またはエチニル基を表す。Xは、O−またはアルキル基を表す。)。
<2>前記多官能モノマーが、4以上のラジカル重合性基を有する<1>に記載のシリコーン樹脂の製造方法。
<3>前記多官能モノマーが、一般式(2)で表されるカゴ型シロキサンである<1>または<2>に記載のシリコーン樹脂の製造方法:
一般式(2)
(RSiO3/2n―m(RSiO3/2
(一般式(2)中、Rはビニル基またはエチニル基を表す。Rはアルキル基、アリール基、または以下の一般式(3)で表される基を表す。nは6以上の整数を表す。mは 0〜n以下の整数を表す。):
Figure 2009126887

(一般式(3)中、Lはアルキレン基、−O−、−Si(R11)(R12)−、または、これらを組み合わせた2価の連結基を表す。R11およびR12はアルキル基を表す。Rは水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。*はケイ素原子との結合位置を表す。)。
<4><1>〜<3>のいずれかに記載のシリコーン樹脂の製造方法により製造されるシリコーン樹脂と有機溶媒とを含む膜形成用組成物。
<5><4>に記載の膜形成用組成物により得られる絶縁膜。
本発明によれば、多官能モノマーを用いてラジカル重合を行う際に、分子量制御が容易で、かつ再現性よく、機械的特性、耐熱性、低誘電率などに優れたシリコーン樹脂を製造することができるシリコーン樹脂の製造方法、製造されたシリコーン樹脂を含む膜形成用組成物、および該組成物より得られる絶縁膜を提供することができる。なお、該組成物を用いることにより膜厚再現性よく絶縁膜を得ることができる。
以下に本発明に係るシリコーン樹脂の製造方法、製造されたシリコーン樹脂を含む膜形成組成物、およびその組成物を用いて得られる絶縁膜について詳細に説明する。
本発明に係るシリコーン樹脂の製造方法は、一般式(1)で表されるシロキサン構造を分子内に2以上有する多官能モノマーと溶媒とを含む溶液に、ラジカル重合開始剤およびラジカル重合禁止剤を、それぞれ連続的または断続的に供給しながら重合反応を行う方法である。
<多官能モノマー>
本発明で使用される多官能モノマーは、一般式(1)で表されるシロキサン構造を分子内に2以上有するモノマーであり、ビニル基やエチニル基などのラジカル重合性基を2以上有する。モノマーがケイ素と酸素とでなるシロキサン構造を持つことにより、優れた耐熱性や低誘電性などを備えたポリマーが得られる。
Figure 2009126887

(一般式(1)中、Rはビニル基またはエチニル基を表す。Xは、O−またはアルキル基を表す。)
一般式(1)中、Rはビニル基またはエチニル基を表す。これらの基は、ラジカル重合性基として作用する。分子量制御のしやすさの観点より、Rはビニル基が好ましい。
一般式(1)中、XはO−またはアルキル基を表す。製造されるシリコーン樹脂の耐熱性の観点より、O−が好ましい。Xで表されるアルキル基は、直鎖、分岐または環状でもよく、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であってもよい。炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜6がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基などが挙げられる。
本発明で使用される多官能モノマーは、通常、分子内にラジカル重合性基としてビニル基および/またはエチニル基を2〜80個有し、好ましくは3〜40個有し、4〜20個有するのが好ましい。ラジカル重合性基が上記範囲内であれば、得られるシリコーン樹脂の耐熱性、機械的特性などが向上する。
本発明で使用される多官能モノマーの分子量は、60〜10000が好ましく、100〜3000がより好ましく、200〜1500がより好ましい。分子量制御や溶媒への溶解性などの観点から、上記範囲が好ましい。
本発明で使用される一般式(1)で表されるシロキサン構造を分子内に2以上有する多官能モノマーの好ましい態様としては、耐熱性、機械的特性が優れるという観点から、下記一般式(2)で表されるカゴ型シロキサン(カゴ型シルセスキオキサンとも称する)が挙げられる。シルセスキオキサンとは、各ケイ素原子が3個の酸素原子と結合し、各酸素原子が2個のケイ素原子と結合している構造(ケイ素原子数に対する酸素原子数が1.5)の化合物である。なお、カゴ構造は、共有結合した原子で形成された複数の環によって容積が定まり、容積内に位置する点は環を通過せずには容積から離れることができないような構造を指す。
一般式(2)
(RSiO3/2n―m(RSiO3/2
(一般式(2)中、Rはビニル基またはエチニル基を表す。Rはアルキル基、アリール基、または以下の一般式(3)で表される基を表す。nは6以上の整数を表す。mは0〜n以下の整数を表す。)
Figure 2009126887

(一般式(3)中、Lはアルキレン基、−O−、−Si(R11)(R12)−、または、これらを組み合わせた2価の連結基を表す。R11およびR12はアルキル基を表す。Rは水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。*はケイ素原子との結合位置を表す。)
一般式(2)中、Rはビニル基またはエチニル基を表す。分子量制御のしやすさの観点より、Rはビニル基が好ましい。
一般式(2)中、Rはアルキル基(直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、炭素数1〜10が好ましい。例えば、メチル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどがあり、好ましくはメチルである。)、アリール基(炭素数6〜20が好ましい。例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルなどがある。)、または以下の一般式(3)で表される基を表す。
一般式(3)中、L1は、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜2)、−O−、−Si(R11)(R12)−、または、これらを組み合わせた2価の連結基を表し、好ましくはアルキレン基で、より好ましくはエチレン基またはプロピレン基である。R11およびR12は、それぞれ独立に、アルキル基を表す。炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、特にメチル基が好ましい。
一般式(3)中、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基(直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、炭素数1〜10が好ましい。例えば、メチル、t−ブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどがあり、好ましくはメチルである。)、またはアリール基(炭素数6〜20が好ましい。例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルなどがある)を表し、好ましくはフェニル基である。
一般式(2)中、nは6以上の整数を表し、好ましくは8〜20であり、さらに好ましくは8〜12であり、特に好ましくは8である。mは0〜n以下の整数を表し、好ましくは0〜4で、さらに好ましくは0〜2である。例えば、nが8で、mが0の場合は以下のように表すことができる。
Figure 2009126887
一般式(2)で表されるカゴ型シロキサンの中で、好ましくはnが8〜14で、mが0のカゴ型シロキサンで、より好ましくはnが8〜14で、mが0で、Rがビニル基であるカゴ型シロキサンで、さらに好ましくはnが8または10で、mが0で、Rがビニル基であるカゴ型シロキサンである。
本発明で使用される多官能モノマーの別の好ましい態様としては、下記一般式(4)で表される環状シロキサンである。
Figure 2009126887

(一般式(4)中、Rはビニル基またはエチニル基を表す。Rはアルキル基を表す。lは4〜16の整数を表す。)
一般式(4)中、Rはビニル基またはエチニル基を表す。分子量制御のしやすさの観点より、Rはビニル基が好ましい。
一般式(4)中、Rはアルキル基を表す。Rで表されるアルキル基は、直鎖、分岐または環状でもよく、ビシクロアルキル基のように多環アルキル基であってもよい。炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜6がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基などが挙げられる。
一般式(4)中、lは4〜16の整数を表し、好ましくは4〜8で、さらに好ましくは4である。
多官能モノマーの具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009126887
Figure 2009126887
Figure 2009126887

本発明において多官能モノマーは一種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、上記の多官能モノマーに加えて単官能モノマーを用いてもよい。単官能モノマーとは、ラジカル重合性基を一つだけ有するモノマーである。単官能モノマーとしては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、アクリル酸エステル類などが挙げられる。
本発明で使用される多官能モノマーは、市販のものを使用してもよいし、公知の方法で合成してもよい。
<溶媒>
本発明で多官能モノマーとともに用いられる溶媒は、多官能モノマーが必要な濃度で溶解可能であり、かつ得られるシリコーン樹脂の特性に悪影響を与えないものであればどのような溶媒でもよい。例えば、水や、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノンなどのケトン系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、メチルベンゾエートなどのエステル系溶剤(分子内にエステル基を有する溶媒を意味する)、ジブチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、1,4−ジ−t−ブチルベンゼン、1,3,5−トリエチルベンゼン、1,3,5−トリ−t−ブチルベンゼン、4−t−ブチル−オルトキシレン、1−メチルナフタレン、1,3,5−トリイソプロピルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤、N−メチルピロリジノン、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンなどのハロゲン系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤などが挙げられる。これらの中で、より好ましい溶剤はエステル系溶剤であり、中でも、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、メチルベンゾエートであり、特に好ましくは、酢酸エチル、酢酸ブチルである。これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。なお、重合反応時に重合開始剤を分解させるのに必要な温度まで加熱するため、溶媒の沸点は75℃以上であることが好ましい。
本発明において、溶液中の多官能モノマーの含有量は、通常、0.5〜30質量%であり、好ましくは1〜20質量%で、より好ましくは2〜10質量%である。多官能モノマーの含有量が上記範囲内であれば、分子量制御がしやすく、ポリマーのゲル化が抑制される。
<ラジカル重合開始剤>
本発明で用いられるラジカル重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤を使用することができるが、特に有機過酸化物または有機アゾ系化合物が好ましく用いられる。中でも、使用時の安全性の観点から、有機アゾ系化合物が好ましい。ラジカル重合開始剤は1種のみ、または2種以上を混合して用いてもよい。
有機過酸化物としては、例えば、日本油脂株式会社より市販されているパーヘキサHなどのケトンパーオキサイド類、パーヘキサTMHなどのパーオキシケタール類、パーブチルH−69などのハイドロパーオキサイド類、パークミルD、パーブチルC、パーブチルDなどのジアルキルパーオキサイド類、ナイパーBWなどのジアシルパーオキサイド類、パーブチルZ、パーブチルLなどのパーオキシエステル類、パーロイルTCPなどのパーオキシジカーボネート、ジイソブチリルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4−t−ブチルクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジコハク酸パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレレート、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーイキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メタンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、o−クロロベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、トリス−(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコールビス(t−ブチルパーオキシカーボネート)、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、アルケマ吉冨社より市販されているルペロックス11などが好ましく用いられる。
有機アゾ系化合物としては、例えば、和光純薬工業株式会社で市販されているV−30、V−40、V−59、V−60、V−65、V−70などのアゾニトリル化合物類、VA−080、VA−085、VA−086、VF−096、VAm−110、VAm−111などのアゾアミド化合物類、VA−044、VA−061などの環状アゾアミジン化合物類、V−50、VA−057などのアゾアミジン化合物類、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)、1−〔(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ〕ホルムアミド、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシブチル)プロピオンアミド〕、2,2’−アゾビス〔N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド〕、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオアミド)、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕ジスルフェートジヒドレート、2,2’−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン}ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス〔2−〔2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン〕、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン〕テトラヒドレート、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)などが好ましく用いられる。
<ラジカル重合禁止剤>
本発明で使用されるラジカル重合禁止剤としては、フェノール系化合物、ニトロソアミン系化合物、亜リン酸エステル系化合物を挙げることができる。中でも、フェノール系化合物が好ましく、特に3,5−キシレノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノールまたは4−メトキシフェノールなどの単核フェノールが好ましい。ラジカル重合禁止剤は1種のみ、または2種以上を混合して用いてもよい。
フェノール系化合物としてはモノフェノール系化合物、ビスフェノール系化合物、高分子型フェノール系化合物を用いることができる。具体的には、パラヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキノンモノメチルエーテル、p−アミノフェノール、3,5−キシレノール、2,6−ジイソプロピルフェノール、2−t−ブチルヒドロキシアニゾル、4−t−ブチルヒドロキシアニゾル、4−t−ブチルピロカテコール、2,4―ビス(1,1−ジメチル−プロピルフェノール)、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−メタ−クレゾール)、4,4’−メチレンビス(6−t―ブチル−オルト−クレゾール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)および2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4−メトキシフェノールなどが挙げられる。
ニトロソアミン系化合物としては、N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソ−N−シクロヘキシルアニリン、N−ニトロソ−N−メチルアニリンなどが挙げられる。
亜リン酸エステル系化合物としては、トリフェニルフォスファイト、トリス(ノニルフェニルフォスファイト)、トリエチルフォスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)フォスファイト、トリデシルフォスファイト、トリス(トリデシル)フォスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)フォスファイト、ジフェニルモノデシルフォスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)フォスファイト、ジラウリルハイドロゲンフォスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジフォスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラフォスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、トリステアリルフォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトなどが挙げられる。
<ラジカル重合開始剤およびラジカル重合禁止剤の供給方法>
本発明では、シロキサン構造を2以上有する多官能モノマーと溶媒とを含む溶液に、上記のラジカル重合開始剤およびラジカル重合禁止剤を、それぞれ連続的または断続的に供給しながら重合反応を行う。
本発明において多官能モノマーを含む溶液に供給されるラジカル重合開始剤の使用量は、通常、多官能モノマーに対して0.01〜200モル%であり、分子量制御の観点より、好ましくは0.05〜80モル%で、より好ましくは0.1〜40モル%である。使用量が少なすぎると重合が進行せず、使用量が多すぎると分子量制御が難しい。
本発明において多官能モノマーを含む溶液に供給されるラジカル重合禁止剤の使用量は、ラジカル重合開始剤の使用量とのモル比(ラジカル重合禁止剤/ラジカル重合開始剤)で、0.2〜240であることが好ましく、より好ましくは0.5〜160で、さらに好ましくは1.0〜80である。上記範囲内であれば、より再現性よくシリコーン樹脂を製造することができる。
多官能モノマーを含む溶液へのラジカル重合開始剤とラジカル重合禁止剤の供給は、5分〜48時間かけて行うのが好ましく、20分〜12時間かけて行うのがより好ましい。供給する時間が短すぎると分子量の制御が難しく、長すぎると生産性の点から好ましくない。
多官能モノマーを含む溶液へのラジカル重合開始剤とラジカル重合禁止剤の供給速度は、それぞれの使用量を所定時間内に供給できるように調節されるが、一定の供給速度が好ましい。
ラジカル重合開始剤とラジカル重合禁止剤の供給は、それぞれ連続的であってもよく、断続的であってもよい。分子量制御の観点からは、両者が連続的であることが好ましい。また、一方が連続的で、他方が断続的のように異なる供給方法であってもよい。連続的な場合、供給速度は一定のままでもよいし、段階的に変化させてもよく、重合系内でのラジカル濃度を一定にする観点から、供給速度は一定が好ましい。断続的な場合は、使用するラジカル重合開始剤またはラジカル重合禁止剤を所定回数(好ましくは2〜50回、より好ましくは2〜20回)に分けて一定時間間隔で供給する。
ラジカル重合開始剤とラジカル重合禁止剤の供給は、固体状または液体状のラジカル重合開始剤、ラジカル重合禁止剤を直接、多官能モノマーを含む溶媒に供給してもよいし、溶媒に溶解させ、該溶液を滴下するなどの方法で供給してもよい。作業安全性や操作性の観点から、ラジカル重合開始剤、ラジカル重合禁止剤を溶媒に溶解させ、該溶液を滴下する方法が好ましい。なお、滴下する方法の場合、上述のように液滴を連続的または断続的に滴下してもよい。ラジカル重合開始剤、ラジカル重合禁止剤を溶解させる溶媒としては、上記で説明した溶媒を用いることができる。ラジカル重合開始剤または/およびラジカル重合禁止剤の溶液中での含有量は、使用量や多官能モノマー量によって適宜好適な範囲が選択されるが、好ましくは0.001〜70質量%、より好ましくは0.01〜30質量%である。
ラジカル重合開始剤とラジカル重合禁止剤の供給開始時間に関しては、(1)多官能モノマーを含む溶液に両者を同時に供給し始めてもよいし、(2)両者の供給の開始時が異なっていてもよい。(2)の場合は、ラジカル重合開始剤とラジカル重合禁止剤との供給時間の一部が重複していればよい。例えば、一方を先に供給し始め、一定時間後に他方を供給し始めてもよい。なお、上記(1)および(2)の場合も、それぞれの供給終了時が異なっていてもよい。
上記(1)のラジカル重合開始剤とラジカル重合禁止剤とを同時に供給し始める場合は、両者を予備混合して一緒に供給してもよいし、両者を同一の溶媒に溶解させて一緒に供給してもよいし、別々の溶媒に溶解させ別々に供給してもよい。別々に供給する場合は、それぞれの供給速度は同じであっても異なっていてもよく、供給速度が同じほうが分子量制御の観点から好ましい。
上記(2)のラジカル重合開始剤とラジカル重合禁止剤との供給開始時が異なる場合、どちらを先に供給し始めてもよいが、重合開始剤が重合系内で分解してラジカルを発生するまでに一定の時間が必要であるため、ラジカル重合開始剤を先に供給し始めたほうが好ましい。
ラジカル重合開始剤とラジカル重合禁止剤との供給に関しては、両者を同時に供給し始めて、同時に終了するのが、分子量制御の観点から好ましい。
<重合反応条件>
本発明における多官能モノマーを含む溶液の反応液温度は、ラジカル重合開始剤、多官能モノマー、溶媒の種類などによって異なるが、好ましくは0〜200℃で、より好ましくは40〜170℃で、さらに好ましくは70〜140℃である。多官能モノマーを含む溶液からなる反応液を、ラジカル重合開始剤の1時間半減温度以上に保ち、上述のようにラジカル重合開始剤およびラジカル重合禁止剤を連続的に供給する方法が、分子量制御および再現性の観点から好ましい。
本発明で重合反応時間は、ラジカル重合開始剤、多官能モノマー、溶媒の種類などによって異なるが、好ましくは0.25〜50時間、より好ましくは0.5〜20時間、特に好ましくは1〜10時間の範囲である。重合反応は、上記のラジカル重合開始剤とラジカル重合禁止剤の供給終了後も、一定時間重合温度を維持しながら熟成し、残存する未反応モノマーを反応させることが好ましい。重合反応終了時に残存している未反応モノマーは仕込み量の25%質量以下が好ましく、20%質量以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
重合反応は、酸素による重合開始剤の不活性化を抑制するために不活性ガス雰囲気下(例えば窒素、アルゴンなど)で行われることが好ましい。反応時の酸素濃度は好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下、特に好ましくは20ppm以下である。また、重合反応は攪拌条件下でも無攪拌条件下でもよいが、攪拌条件下で行われることが好ましい。攪拌条件は、溶媒の種類や反応温度などにより適宜最適な条件が選択される。
重合反応終了時のシリコーン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、耐熱性、機械的特性、成膜性などの観点から、20000〜250000であることが好ましく、30000〜200000であることがより好ましく、40000〜170000であることがさらに好ましい。重合反応終了時のシリコーン樹脂には、重量平均分子量(Mw)が3000000以上の成分を実質的に含まないことが好ましく、2000000以上の成分を実質的に含まないことがより好ましく、1000000以上の成分を含まないことがさらに好ましい。製造されたシリコーン樹脂が上記範囲内であれば、後述する絶縁膜として好適に使用できる。重量平均分子量(Mw)は、公知のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算重量平均分子量である。
本発明で重量平均分子量の標準偏差は、小さいほうが好ましく、この値が小さいと製造ロッド間での重量平均分子量のバラツキが小さいことを意味する。本発明で重量平均分子量の標準偏差は、多官能モノマーの種類や供給速度など同一条件で本発明に係るシリコーン樹脂の製造を10回以上行い、得られたそれぞれの重量平均分子量の平均値を用いて算術される。本発明において上述した(重量平均分子量の標準偏差)/(重量平均分子量の平均値)の値が、0.1以下が好ましく、0.09以下がより好ましく、0.08以下がさらに好ましい。上記(重量平均分子量の標準偏差)/(重量平均分子量の平均値)の値が0.1を超えると、それぞれ製造されたシリコーン樹脂を用いて絶縁膜を作成する際に、製造ロッド間での絶縁膜の膜厚差、つまり膜厚の標準偏差がより大きくなる。そのため、最適な膜厚となるようにスピンコートなどの条件を設定しても、製造ロッド間ごとに膜厚が異なってきて、絶縁性能にも差が現れ、品質安定性の観点から好ましくない。例えば、200〜800nmの絶縁膜を製造する際には、品質安定性の観点から、製造ロッド間での膜厚の標準偏差は10nm以下が好ましく、5nm以下がさらに好ましい。なお、上記(重量平均分子量の標準偏差)/(重量平均分子量の平均値)の値は、小さければ小さいほどよく、特に下限はない。
重合反応終了後、シリコーン樹脂は再沈などの公知の方法により精製してもよい。例えば、反応液を濃縮後、シリコーン樹脂の貧溶媒を反応液中に加え、シリコーン樹脂を沈殿させ、ろ過により回収して乾燥する方法である。また、反応終了後のシリコーン樹脂を含んだ反応液の溶媒量を調整し、必要な成分を加え、後述する膜形成組成物として直接用いてもよい。
<膜形成組成物>
本発明のシリコーン樹脂を含んだ膜形成組成物は、絶縁膜の形成に好適に用いることができる。例えば、精製したシリコーン樹脂を適当な溶媒に溶解させて膜形成組成物を製造し、その後、基板上に塗布して絶縁膜を形成させることができる。
膜形成組成物に含まれる溶媒としては、例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、ジメチルイミダゾリジノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、イソプロパノール、エチレンカーボネート、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどが好ましい。上記の中でも、好ましい溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレンカーボネート、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、キシレン、メシチレン、ジイソプロピルベンゼンを挙げることができる。これらの溶剤を単独あるいは混合して使用することができる。
本発明の膜形成組成物中の全固形分濃度は、使用目的に応じて適宜調整されるが、好ましくは1〜30質量%であり、より好ましくは2〜20質量%である。膜形成組成物の全固形分濃度が上記範囲内であると、塗膜の膜厚が適当な範囲となり、塗布液の保存安定性もより優れるものとなる。なお、全固形分とは、後述する添加剤を含めた、この膜形成組成物を用いて得られる膜を構成する全成分に相当する。
本発明の膜形成組成物には、不純物としての金属含量が充分に少ないことが好ましい。膜形成組成物の金属濃度はICP−MS法にて高感度に測定可能であり、その場合の遷移金属以外の金属含有量は好ましくは30ppm以下、より好ましくは3ppm以下、特に好ましくは300ppb以下である。また、遷移金属に関しては酸化を促進する触媒能が高く、プリベーク、熱硬化プロセスにおいて酸化反応によって本発明で得られた膜の誘電率を上げてしまうという観点から、含有量がより少ないほうがよく、好ましくは10ppm以下、より好ましくは1ppm以下、特に好ましくは100ppb以下である。膜形成組成物の金属濃度は、本発明の膜形成組成物を用いて得た膜に対して全反射蛍光X線測定を行うことによっても評価できる。X線源としてW(タングステン)線を用いた場合、金属元素としてK、Ca、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pdが観測可能であり、それぞれ100×1010cm−2以下が好ましく、より好ましくは50×1010cm−2以下、特に好ましくは10×1010cm−2以下である。また、ハロゲンであるBrも観測可能であり、残存量は10000×1010cm−2以下が好ましく、より好ましくは1000×1010cm−2以下、特に好ましくは400×1010cm−2以下である。また、ハロゲンとしてClも観測可能であるが、CVD装置、エッチング装置等へダメージを与えるという観点から残存量は100×1010cm−2以下が好ましく、より好ましくは50×1010cm−2以下、特に好ましくは10×1010cm−2以下である。
さらに、本発明の膜形成用組成物には、得られる膜の特性(耐熱性、誘電率、機械強度、塗布性、密着性など)を損なわない範囲で、ラジカル発生剤、コロイド状シリカ、界面活性剤、シランカップリング剤、密着剤などの添加剤を添加してもよい。
本発明の膜形成用組成物は、コロイド状シリカを含有していてもよい。例えば、高純度の無水ケイ酸を親水性有機溶媒若しくは水に分散した分散液であり、通常、平均粒径5〜30nm、好ましくは10〜20nm、固形分濃度が5〜40質量%のものである。
本発明の膜形成用組成物は、界面活性剤を含有していてもよい。例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤などが挙げられ、さらにシリコーン系界面活性剤、含フッ素系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、アクリル系界面活性剤が挙げられる。本発明に用いることができる界面活性剤は、一種類でもよいし、二種類以上でもよい。界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、含フッ素系界面活性剤、アクリル系界面活性剤が好ましく、特にシリコーン系界面活性剤が好ましい。本発明に用いることができる界面活性剤の含有量は、膜形成塗布液の全量に対して、0.01〜1質量%以下であることが好ましく、0.1〜0.5質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明において、シリコーン系界面活性剤とは、少なくとも1原子のSi原子を含む界面活性剤である。本発明に使用するシリコーン系界面活性剤としては、いかなるシリコーン系界面活性剤でもよく、アルキレンオキシドおよびジメチルシロキサンを含む構造であることが好ましい。下記化学式を含む構造であることがさらに好ましい。
Figure 2009126887

上記式中、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、xは1〜20の整数であり、a、bはそれぞれ独立に2〜100の整数である。また、Rが複数存在する場合、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
本発明に用いることができるシリコーン系界面活性剤としては、例えばBYK306、BYK307(ビックケミー社製)、SH7PA、SH21PA、SH28PA、SH30PA(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、TroysolS366(トロイケミカル社製)などを挙げることができる。
本発明に用いることができるノニオン系界面活性剤としては、いかなるノニオン系界面活性剤でもよい。例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアリールエーテル類、ポリオキシエチレンジアルキルエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリオキシエチレン類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体などを挙げることができる。
本発明に用いることができる含フッ素系界面活性剤としては、いかなる含フッ素系界面活性剤でもよい。例えば、パーフルオルオクチルポリエチレンオキシド、パーフルオルデシルポリエチレンオキシド、パーフルオルドデシルポリエチレンオキシドなどが挙げられる。
本発明に用いることができるアクリル系界面活性剤としては、いかなるアクリル系界面活性剤でもよい。例えば、(メタ)アクリル酸系共重合体などが挙げられる。
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲で、いかなるシランカップリング剤を使用してもよい。シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノグリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。本発明に用いることができるシランカップリング剤は、一種類単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲で、いかなる密着促進剤を使用してもよい。密着促進剤としては、例えば、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、アルミニウムモノエチルアセトアセテートジイソプロピレート、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフエニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフエニルジメトキシシラン、フエニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール、ビニルトリクロロシラン、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、チオ尿素化合物などを挙げることができる。官能性シランカップリング剤が密着促進剤として好ましい。密着促進剤の使用量は、全固形分100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、特に0.05〜5質量部であることがより好ましい。
本発明では、膜の機械強度の許す範囲内で、空孔形成因子を使用して膜を多孔質化し、低誘電率化を図ることができる。空孔形成剤となる添加剤としての空孔形成因子としては、特に限定はされないが、非金属化合物が好適に用いられ、膜形成用塗布液で使用される溶剤との溶解性、膜との相溶性を同時に満たすことが必要である。
空孔形成剤としてはポリマーも使用することができる。空孔形成剤として使用できるポリマーとしては、例えば、ポリビニル芳香族化合物(ポリスチレン、ポリビニルピリジン、ハロゲン化ポリビニル芳香族化合物など)、ポリアクリロニトリル、ポリアルキレンオキシド(ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドなど)、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム、ポリウレタン、ポリメタクリレート(ポリメチルメタクリレートなど)またはポリメタクリル酸、ポリアクリレート(ポリメチルアクリレートなど)およびポリアクリル酸、ポリジエン(ポリブタジエンおよびポリイソプレンなど)、ポリビニルクロライド、ポリアセタール、およびアミンキャップドアルキレンオキシド、その他、ポリフェニレンオキシド、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリテトラヒドロフラン、ポリシクロヘキシルエチレン、ポリエチルオキサゾリン、ポリビニルピリジン、ポリカプロラクトン等であってもよい。
特にポリスチレンは、空孔形成剤として好適に使用できる。ポリスチレンはとしては、たとえば、アニオン性重合ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、未置換および置換ポリスチレン(たとえば、ポリ(α−メチルスチレン))が挙げられ、未置換ポリスチレンが好ましい。
また、この空孔形成剤の沸点若しくは分解温度は、好ましくは100〜500℃、より好ましくは200〜450℃、特に好ましくは250〜400℃である。分子量としては、好ましくは200〜50,000、より好ましくは300〜10,000、特に好ましくは400〜5,000である。添加量は、膜形成用組成物の固形分に対して、好ましくは0.5〜75質量%、より好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%である。
上述した本発明の膜形成用組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、上記製造方法により得られたシリコーン樹脂、溶媒、ならびに必要に応じて各任意成分を加えて、混合ミキサーなどのかくはん機を用いて十分にかくはんする方法を用いることができる。本発明の膜形成用組成物はフィルターろ過により、不溶物、ゲル状成分などを除いてから膜形成に用いることが好ましい。その際に用いるフィルターの孔径は0.001〜0.2μmが好ましく、孔径0.005〜0.05μmがより好ましく、孔径孔径0.005〜0.03μmが最も好ましい。フィルターの材質はPTFE、ポリエチレン、ナイロンが好ましく、ポリエチレンおよびナイロンがより好ましい。
<膜形成>
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、膜形成用組成物をスピンコーティング法、ローラーコーティング法、ディップコーティング法、スキャン法、スプレー法、バー塗布法などの任意の方法により、シリコンウエハ、SiO2ウエハ、SiNウエハ、ガラス、プラスチックフィルムなどの基板に塗布した後、溶剤を必要に応じて加熱処理で除去することにより形成することができる。基板に塗布する方法としては、スピンコーティング法,スキャン法によるものが好ましい。特に好ましくは,スピンコーティング法によるものである。スピンコーティングについては、市販の装置を使用できる。例えば,クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)などが好ましく使用できる。スピンコート条件としては、いずれの回転速度でもよいが、膜の面内均一性の観点より、300mmシリコン基板においては1300rpm程度の回転速度が好ましい。また組成物溶液の吐出方法においては、回転する基板上に組成物溶液を吐出する動的吐出、静止した基板上へ組成物溶液を吐出する静的吐出のいずれでもよいが、膜の面内均一性の観点より、動的吐出が好ましい。また、組成物の消費量を抑制する観点より、予備的に組成物の主溶剤のみを基板上に吐出して液膜を形成した後、その上から組成物を吐出するという方法を用いることもできる。スピンコート時間については特に制限はないが、スループットの観点から180秒以内が好ましい。また、基板の搬送の観点より、基板エッジ部の膜を残存させないための処理(エッジリンス、バックリンス)をすることも好ましい。
熱処理の方法は、特に限定されないが、一般的に使用されているホットプレート加熱、ファーネス炉を使用した加熱方法、RTP(Rapid Thermal Processor)などによるキセノンランプを使用した光照射加熱などを適用することができる。好ましくは、ホットプレート加熱、ファーネスを使用した加熱方法である。ホットプレートとしては市販の装置を好ましく使用でき、クリーントラックシリーズ(東京エレクトロン製)、D−スピンシリーズ(大日本スクリーン製)、SSシリーズあるいはCSシリーズ(東京応化工業製)などが好ましく使用できる。ファーネスとしては、αシリーズ(東京エレクトロン製)などが好ましく使用できる。
本発明の組成物は、基板上に塗布した後に硬膜することが好ましい。硬膜とは、基板上の組成物を硬化し、膜に溶剤耐性を与えることを意味する。硬膜の方法としては、加熱処理(焼成)することが特に好ましい。例えば、シリコーン樹脂中に残存するビニル基の後加熱時の重合反応が利用できる。この後加熱処理の条件は、好ましくは100〜450℃、より好ましくは200〜420℃、特に好ましくは350℃〜400℃で、好ましくは1分〜2時間、より好ましくは10分〜1.5時間、特に好ましくは30分〜1時間の範囲である。後加熱処理は数回に分けて行っても良い。また、この後加熱は酸素による熱酸化を防ぐために窒素雰囲気下で行うことが特に好ましい。
また、本発明では加熱処理ではなく高エネルギー線を照射することでシリコーン樹脂中に残存するビニル基またはエチニル基の重合反応を起こして硬膜しても良い。高エネルギー線とは、電子線、紫外線、X線などが挙げられるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。高エネルギー線として、電子線を使用した場合のエネルギーは0〜50keVが好ましく、より好ましくは0〜30keV、特に好ましくは0〜20keVである。電子線の総ドーズ量は好ましくは0〜5μC/cm2、より好ましくは0〜2μC/cm2 、特に好ましくは0〜1μC/cm2である。電子線を照射する際の基板温度は0〜450℃が好ましく、より好ましくは0〜400℃、特に好ましくは0〜350℃である。圧力は好ましくは0〜133kPa、より好ましくは0〜60kPa、特に好ましくは0〜20kPaである。本発明のシリコーン樹脂の酸化を防止するという観点から、基盤周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、電子線との相互作用で発生するプラズマ、電磁波、化学種との反応を目的に酸素、炭化水素、アンモニアなどのガスを添加してもよい。本発明における電子線照射は複数回行ってもよく、この場合は電子線照射条件を毎回同じにする必要はなく、毎回異なる条件で行ってもよい。高エネルギー線として紫外線を用いてもよい。紫外線を用いる際の照射波長領域は190〜400nmが好ましく、その出力は基板直上において0.1〜2000mWcm−2が好ましい。紫外線照射時の基板温度は250〜450℃が好ましく、より好ましくは250〜400℃、特に好ましくは250〜350℃である。本発明のシリコーン樹脂の酸化を防止するという観点から、基盤周囲の雰囲気はAr、He、窒素などの不活性雰囲気を用いることが好ましい。また、その際の圧力は0〜133kPaが好ましい。
上記の加熱処理と高エネルギー線処理照射を、同時に、または順次行うことにより硬膜してもよい。
本発明の膜形成組成物を用いて形成される絶縁膜の膜厚は、乾燥膜厚として、1回塗りで厚さ0.05〜1.5μm程度、2回塗りでは厚さ0.1〜3μm程度の塗膜とすることができる。絶縁膜として好ましい膜厚は、0.02〜10μm、より好ましくは0.04〜2μmである。膜厚が薄すぎると絶縁性が十分でなく、膜厚が厚すぎると効果が飽和しており経済的でない、クラックを発生しやすい等の弊害がある。
多官能モノマーとしてカゴ型シロキサンなどを用いた場合は、カゴ構造が焼成時に分解しないために、組成物および絶縁膜の製造中にSi原子に求核攻撃する基(例えば、水酸基、シラノール基など)が実質的に存在しないことが好ましい。
より具体的には、本発明の組成物を、例えばスピンコート法により、基板(通常は金属配線を有する基板)上に塗布し、予備熱処理を行うことにより溶媒を乾燥させ、次いで300〜430℃の温度で最終熱処理(アニール)を行うことにより低誘電率の絶縁膜を形成できる。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、半導体用層間絶縁膜として使用する際、その配線構造において、配線側面にはメタルマイグレーションを防ぐためのバリア層があっても良く、また、配線や層間絶縁膜の上面底面にはCMPでの剥離を防ぐキャップ層、層間密着層の他、エッチングストッパー層などがあってもよく、さらには層間絶縁膜の層を必要に応じて他種材料で複数層に分けても良い。
本発明の膜形成組成物を用いて得られる絶縁膜は、他の含Si絶縁膜または有機膜と積層構造を形成させて用いてもよい。炭化水素系の膜と積層して用いることが好ましい。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、銅配線あるいはその他の目的でエッチング加工をすることができる。エッチングとしてはウエットエッチング、ドライエッチングのいずれでもよいが、ドライエッチングが好ましい。ドライエッチングは、アンモニア系プラズマ、フルオロカーボン系プラズマのいずれもが適宜使用できる。これらプラズマにはArだけでなく、酸素、窒素、水素、ヘリウムなどのガスを用いることができる。また、エッチング加工後に、加工に使用したフォトレジストなどを除く目的でアッシングすることもでき、さらにはアッシング時の残渣を除くため、洗浄することもできる。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、銅配線加工後に、銅めっき部を平坦化するためCMP(化学的機械的研磨)をすることができる。CMPスラリー(薬液)としては,市販のスラリー(例えば、フジミ製、ロデールニッタ製、JSR製、日立化成製等)を適宜使用できる。また、CMP装置としては市販の装置(アプライドマテリアル社製,荏原製作所製など)を適宜使用することができる。さらにCMP後のスラリー残渣除去のため、洗浄することができる。
本発明の膜形成用組成物を使用して得られる膜は、多様の目的に使用することが出来る。例えば、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAMなどの半導体装置、マルチチップモジュール多層配線板などの電子部品における絶縁皮膜として好適であり、半導体用層間絶縁膜、エッチングストッパー膜、表面保護膜、バッファーコート膜の他、LSIにおけるパッシベーション膜、α線遮断膜、フレキソ印刷版のカバーレイフィルム、オーバーコート膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜などとして使用することが出来る。また、光学装置用の表面保護膜、反射防止膜、位相差膜としても用いることができる。
本発明においては、上述のようにラジカル重合開始剤とラジカル重合禁止剤を、それぞれ供給しながら重合反応を行うことにより所望のシリコーン樹脂を製造することができる。本発明の詳細な機構については不明であるが、ラジカル重合開始剤とラジカル重合禁止剤の両者を所定量ずつ供給することにより、分子量の増加が緩やかな重合初期で重合効率を低下させずに、分子量が急峻に増加しやすい重合後期に重合効率を低下させると推測される。例えば、ラジカル重合禁止剤を反応系中に含めておき、ラジカル重合開始剤を供給する場合は、反応初期ではラジカル重合禁止剤が多量に系中に存在するため重合が過度に抑制され、得られるポリマーの分子量が小さくなると予想される。一方、反応が進むにつれラジカル重合禁止剤の濃度が減ってくると、重合が過度に進行し、分子量の制御が難しくなるとともに高分子量体またはゲルができてしまう。結果として、分子量分布が非常に広くなると共に、ロッド間での再現性が得られにくくなると推測される。
多官能モノマーの中でも、カゴ型シルセスキオキサンは、その特異な立体形状によりラジカル重合性基が隣接しているため、容易に架橋するなど過度の重合が進行しやすいと推測されポリマー製造時に再現性が得られにくいが、本願の製造方法はそのようなモノマーにも有効に適用できる。また、カゴ型シルセスキオキサンから製造されるシリコーン樹脂は、カゴ構造による耐熱性、機械的特性などの向上が期待されると共に、多数のラジカル重合性基を持つため硬化膜の架橋密度が上昇しさらなる性能向上が期待できる。一方、電子部品などの量産工程においては、非常に精密な加工が要求されるとともに、各ロッド間での品質安定性が強く求められる。本発明で製造されるシリコーン樹脂は、各ロッド間でのバラツキが少ないため、半導体素子の絶縁膜など高い品質安定性が要求される用途に非常に有用である。
<合成例1>
例示化合物(I−d)(アルドリッチ社製)2.4gを酢酸ブチル72mlに加えた。窒素気流中で、加熱還流しながら(反応液温度127℃)、重合開始剤として和光純薬工業社製V−601(ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート))、10時間半減温度66℃)100mgと4−メトキシフェノール 800mgを酢酸ブチル50mlで希釈した液を毎分0.08mlの速度で連続的に滴下した。330分間滴下した後、滴下を終了し、さらに1時間加熱還流した。反応液を35℃で8gまで減圧濃縮した後、メタノール50mlを加え、固形分をろ取した後、乾燥し、シリコーン樹脂(A−1)2.1gを得た。上記と同様の操作を別々に9回行い、シリコーン樹脂(A−2)〜(A−10)を得た。
<合成例2>
例示化合物(I−i)(ゲレスト社製)2.4gを酢酸ブチル30mlに加えた。窒素気流中で、加熱還流しながら(反応液温度127℃)、重合開始剤として和光純薬工業社製V−601(10時間半減温度66℃)100mgを酢酸ブチル50mlで希釈した液を毎分0.08mlの速度で連続的に滴下した。同時に、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール 8gを酢酸ブチル50mlに溶解した液を毎分0.04mlの速度で滴下した。200分間滴下した後、滴下を終了し、さらに1時間加熱還流した。反応液を35℃で8gまで減圧濃縮した後、メタノール50mlを加え、固形分をろ取した後、乾燥し、シリコーン樹脂(B−1)1.8gを得た。上記と同様の操作を別々に9回行い、シリコーン樹脂(B−2)〜(B−10)を得た。
<比較合成例>
例示化合物(I−d)(アルドリッチ社製)2.4gを酢酸ブチル72mlに加えた。窒素気流中で、加熱還流しながら(反応液温度127℃)、重合開始剤として和光純薬工業社製V−601(10時間半減温度66℃)100mgを酢酸ブチル50mlで希釈した液を毎分0.08mlの速度で連続的に滴下した。30分間滴下した後、滴下を終了し、さらに1時間加熱還流した。反応液を35℃で8gまで減圧濃縮した後、メタノール50mlを加え、固形分をろ取した後、乾燥し、シリコーン樹脂(C−1)2.1gを得た。上記と同様の操作を別々に9回行い、シリコーン樹脂(C−2)〜(C−10)を得た。
<実施例1>
シリコーン樹脂(A―1)〜(A―10)をGPCで分析し、モノマーより分子量が大きい部分についての各シリコーン樹脂の重量平均分子量Mw、Mwの平均値、Mwの標準偏差を計算した。GPC分析は、Waters2695およびShodex製GPCカラムKF−805Lを使用し、カラム温度40℃で、溶出溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流量で測定を行い、Mwは標準ポリスチレンを用いて作製した検量線を用いて計算した。また、シリコーン樹脂(A―1)〜(A―10)各1gをプロピレングリコールメチルエーテルアセテート10mlに溶解させ、膜形成用組成物を作成し、回転数1300rpmで4インチシリコンウエハー上に塗布した後、ホットプレート上で130℃で1分間、ついで200℃で1分間、基板を乾燥し、さらに窒素雰囲気のクリーンオーブン中で400℃で30分間加熱することによって塗膜を作製した。膜厚をウーラム社製分光エリプソメーター(VASE)を用いて測定し、比誘電率はフォーディメンジョンズ社製水銀プローブを用いて測定した(測定温度25℃)。結果を表1に示す。
Figure 2009126887
<実施例2>
シリコーン樹脂(B―1)〜(B―10)について上記<実施例1>と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2009126887
<比較例>
シリコーン樹脂(C―1)〜(C―10)について上記<実施例1>と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2009126887
上記結果より、Mwの標準偏差の比較から、本発明のシリコーン樹脂の製造方法を用いると、Mwの標準偏差の値が小さいことがわかる。このことより、一定の重量平均分子量をもつシリコーン樹脂を再現性よく製造することができることがわかる。また、膜厚の標準偏差の比較から、本発明のシリコーン樹脂の製造方法を用いると、製造バッチの違いによる塗布膜厚のバラツキの小さい絶縁膜を製造することができることがわかる。

Claims (5)

  1. 一般式(1)で表されるシロキサン構造を分子内に2以上有する多官能モノマーと溶媒とを含む溶液に、ラジカル重合開始剤およびラジカル重合禁止剤を、それぞれ連続的または断続的に供給しながら重合反応を行うシリコーン樹脂の製造方法:
    Figure 2009126887

    (一般式(1)中、Rはビニル基またはエチニル基を表す。Xは、O−またはアルキル基を表す。)。
  2. 前記多官能モノマーが、4以上のラジカル重合性基を有する請求項1に記載のシリコーン樹脂の製造方法。
  3. 前記多官能モノマーが、一般式(2)で表されるカゴ型シロキサンである請求項1または2に記載のシリコーン樹脂の製造方法:
    一般式(2)
    (RSiO3/2n―m(RSiO3/2
    (一般式(2)中、Rはビニル基またはエチニル基を表す。Rはアルキル基、アリール基、または以下の一般式(3)で表される基を表す。nは6以上の整数を表す。mは 0〜n以下の整数を表す。):
    Figure 2009126887

    (一般式(3)中、Lはアルキレン基、−O−、−Si(R11)(R12)−、または、これらを組み合わせた2価の連結基を表す。R11およびR12はアルキル基を表す。Rは水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。*はケイ素原子との結合位置を表す。)。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のシリコーン樹脂の製造方法により製造されるシリコーン樹脂と有機溶媒とを含む膜形成用組成物。
  5. 請求項4に記載の膜形成用組成物により得られる絶縁膜。
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