JP2009107969A - 塩化ビニルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来公知の熱分解法に比して低温領域での実施が可能な1,2−ジクロロエタンの接触分解により、高転化率、高選択率で塩化ビニルを製造でき、装置の小型化或いはプロセスの簡素化を実現し得る塩化ビニルの製造方法を提供する。
【解決手段】塩素クラスターモリブデンを脱塩化水素触媒として使用し、該触媒の存在下、250乃至540℃の反応温度で1,2−ジクロロエタンの脱塩化水素を行うことにより塩化ビニルを製造することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、1,2−ジクロロエタンを使用し、脱塩化水素により塩化ビニルを製造する方法に関する。
塩化ビニルは、各種のプラスチック成形品に使用されているポリ塩化ビニルのモノマーであり、工業的に極めて利用価値の高い化合物である。
このような塩化ビニルは、例えば1,2−ジクロロエタンを出発原料として用い、通常1〜5MPaの高圧下で、450〜540℃程度の高温で1,2−ジクロロエタンを熱分解する方法により製造されている。しかるに、この熱分解法では、ブタジエン、クロロエタン、コーキングなどの分離困難な副生成物の生成を抑制するために、1,2−ジクロロエタンの転化率(分解率)が50%程度に制限されるという問題がある。1,2−ジクロロエタンの転化率が高くなると、上記のような分離困難な副生成物の生成量が増大してしまうため、その転化率を高めることができないのである。従って、かかる熱分解法では、未反応の1,2−ジクロロエタン量が多く、このため、この製造ラインには、反応器本体以外に、未反応分の回収工程、生成物の分離工程などの煩雑な工程を設ける必要があり、製造時に多大なエネルギーを必要としてしまい、熱分解法に変わる方法が求められているのが現状である。
上記のような熱分解法に代わる方法として、触媒の存在下で1,2−ジクロロエタン(以下、単にEDCと呼ぶことがある)を脱塩化水素反応させることにより塩化ビニルを製造する接触分解法が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、H−Y型あるいはNa、Caイオン交換したY型ゼオライトと、TiCl、SbCl、PClなどのルイス酸との反応生成物からなる触媒を用いてEDCの脱塩化水素を行う接触分解法が提案されている。
また、特許文献2には、上記の触媒として、ZSM−5、シリカライトなどの珪質ゼオライトからなる合成ゼオライトを用いる接触分解法が提案されている。
特許文献3には、オフレタイト−エリオナイト系ゼオライトまたはL型ゼオライトを触媒として用いる接触分解法が提案されている。
特許文献4には、希土類金属塩化物をゼオライトに担持させた触媒を用いる接触分解法が提案されている。
特許文献5には、オフタイト−エリオナイト系ゼオライトとアルカリ金属塩とを混合した触媒を用いる接触分解法が提案されている。
特許文献6には、金属塩化物または金属酸化物を多孔質担体に担持した触媒を用いる接触分解法が提案されている。
特許文献7には、繊維状活性炭を触媒として用いる接触分解法が提案されている。
また、ハロゲンを配位子とする金属クラスターであるハライドクラスターを、1−クロロペンタンの脱ハロゲン化水素触媒として使用する報告もなされている(非特許文献1)。
特開昭54−79209号公報 特開昭58−167526号公報 特開昭60−252433号公報 特開昭61−30号公報 特開平2−256630号公報 特開平8−103657号公報 特開平9−249590号公報 S.Kamiguchi etc.,J.Mol,Catal,A,203,(2003),p.153-163
上記のような特許文献1〜7で提案されている1,2−ジクロロエタンの接触分解により塩化ビニルを製造する方法は、熱分解法に比して反応温度を大幅に低下することが可能となり、また転化率を高くし、且つブタジエン、クロロエタン、コーキングなどの分離困難な副生成物の生成を抑制でき、このため、製造時に必要なエネルギー量を削減でき、また、従来より工業的に用いられている装置の小型化或いはプロセスの簡素化を実現できることが期待される。
しかしながら、上記のような1,2−ジクロロエタンの接触分解による方法は、転化率及び選択率の何れもが未だ不満足であり、さらに、その向上が求められているばかりか、何れも触媒寿命が著しく不満足であり、工業的には実施されていないのが現状である。
また、非特許文献1に開示されているようなハライドクラスターは、熱に対して安定であり、電子的にも極めて安定であるため、触媒として長期間にわたっての安定使用が可能であるという利点を有するが、脱塩化水素反応に対しての触媒活性が不満足であり、転化率や選択率が低く、副生成物が多く発生する。例えば非特許文献1の159頁の表1には、1−クロロペンタンの脱塩化水素触媒として各種のハライドクラスターを用いたときの転換率や選択率が示されており、転換率に関しては62%程度のものも存在するが、その殆どは10%以下であり、また、1−ペンテンへの選択率は最大でも54〜55%程度であり、著しく低い。このため、1,2−ジクロロエタンの脱塩化水素により塩化ビニルを製造する工程でのハライドクラスターの使用は検討されていない。
従って、本発明の目的は、従来公知の熱分解法に比して低温領域での実施が可能な1,2−ジクロロエタンの接触分解により、高転化率、高選択率で塩化ビニルを製造でき、装置の小型化或いはプロセスの簡素化を実現し得る塩化ビニルの製造方法を提供することにある。
本発明者等は、触媒を用いての1,2−ジクロロエタンの接触分解による塩化ビニルの製造法について鋭意研究した結果、各種のハライドクラスターの中でも特に塩素クラスターモリブデンを脱塩化水素触媒として用いることにより、転化率及び選択率を高め、長期間にわたって安定して効率よく塩化ビニルを製造できるという新規知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明によれば、塩素クラスターモリブデンを脱塩化水素触媒として使用し、該触媒の存在下、250乃至540℃の反応温度で1,2−ジクロロエタンの脱塩化水素を行うことにより塩化ビニルを製造することを特徴とする塩化ビニルの製造方法が提供される。
本発明の製造方法においては、
(1)塩素クラスターモリブデンを多孔質担体に担持させて脱塩化水素触媒として使用すること、
(2)前記担体として活性炭、アルミナ、チタニア或いはゼオライトを使用すること、
(3)前記反応温度を300乃至450℃として脱塩化水素を行うこと、
が好適である。
本発明においては、1,2−ジクロロエタン(EDC)の脱塩化水素化触媒として塩素クラスターモリブデンを使用することが重要であり、かかる触媒を用いることにより、低温領域で脱塩素化反応を行うことが可能となり、熱エネルギー的に有利となるばかりか、転化率を高め、未反応のEDC量を低減させ、しかも反応の選択率を向上させ、炭化物のみならず、ブタジエン、アセチレン、エチレン、クロロエタン等の分離困難な副生成物の生成を有効に抑制でき、原料の分離回収や精製などに要する負荷を著しく軽減でき、しかも、触媒寿命が長く、長期間にわたって安定に塩化ビニルを製造でき、工業的実施に極めて有利である。
本発明の製造方法は、1,2−ジクロロエタン(EDC)を出発原料とし、このEDCのガスを所定温度で触媒である塩素クラスターモリブデンと接触させ、脱塩化水素反応によって塩化ビニルを生成せしめるものであり、この反応は、下記式で表される。尚、式中、塩素クラスターモリブデンは、Moクラスターと表記した。
Figure 2009107969
本発明において、脱塩化水素触媒として用いる塩素クラスターモリブデンは、Mo原子により形成された正八面体骨格にCl原子が配位したものであり、配位したCl原子の一部が水に置き換わったものであり、例えば下記一般式(I)又は(II)で表される。
[MoCl14][HO] …(I)
[MoCl12(HO)] …(II)
即ち、上記の塩素クラスターモリブデンでは、塩素原子がモリブデン骨格の外側にゆるく配位した形で存在しており、所定温度に加熱することにより、この塩素原子が脱離し、このクラスター中に空いた配位サイトが形成される。この空いたサイトにEDCの塩素原子が配位し、この結果、EDCの脱塩化水素反応が促進され、転化率や選択率の向上がもたらされる。
本発明では、各種の金属クラスターの中でも塩素クラスターモリブデンを用いることが重要であり、他のクラスターを用いた場合には、本発明のような転化率及び選択率の向上はもたらされない。例えば、後述する実施例及び比較例の実験結果を示す表1から理解されるように、ニオブに塩素原子が配位したクラスターでは、EDCの転化率は41.5%であり、塩化ビニル(VCM)への選択率は、65.3%であるが(比較例3)、本発明にしたがって塩素クラスターモリブデンを用いた場合には、EDCの転化率は約60%以上であり、塩化ビニルへの選択率は、約96%以上であり、著しく高い。また、レニウム(Re)に塩素原子が配位したクラスターでは、EDCの転化率は、85.0%と極めて高いが、塩化ビニルへの選択率は、67.5%とかなり低い。
このように、本発明においては、塩素クラスターモリブデンを脱塩化水素触媒として使用することにより、EDCの転化率を高め、且つ塩化ビニルへの選択率を著しく向上できるのであるが、このような塩素クラスターモリブデンを脱塩化水素触媒としての機能は、他の金属原子に塩素原子が配位したクラスターには認められず、また、EDC(1,2−ジクロロエタン)の脱塩化水素に際して選択的に発揮されるのであり、他のハロゲン化炭化水素からの脱塩化水素では発揮されない。即ち、前述した非特許文献1にも示されているように、1−クロロペンタンのようなハロゲン化炭化水素に塩素クラスターモリブデンを適用した場合には、転化率や選択率は低く、未反応物や副生成物が多く発生してしまう。この理由は明確に解明されていないが、おそらく、前述したクラスターからの塩素原子の離脱により生じた空位のサイトに炭化水素に結合した塩素原子が再配位するという現象は、塩素原子が結合している炭化水素分子や及びクラスターの骨格を形成している金属原子の大きさに影響され、塩素クラスターモリブデンと1,2−ジクロロエタンとの組み合わせが、塩素原子の再配位に最もマッチングしているためではないかと思われる。
上記のような触媒を用いてのEDCの脱塩化水素反応は、例えば該触媒を充填したステンレス製等の反応器に原料であるEDCのガスを連続的に供給する固定床流通方式で実施される。
上記反応に際しては、反応温度を、250〜500℃、特に300〜450℃の範囲に設定される。反応温度が上記範囲よりも低いと、EDCの転化率が低く、収率が低下してしまい、また、未反応のEDCの回収等に要する負荷が大きくなり、工業的実施には不適当である。さらに、反応温度が上記範囲よりも高いと、EDCの転化率は向上しても、アセチレン、炭化物、エチレン、クロロエタンなどの副生成物量が増大し、塩化ビニルの選択率が低下してしまい、収率の低下や精製に要する負荷が大きくなり、やはり工業的実施には不適当となってしまうばかりか、触媒寿命も低下し、頻繁に触媒の交換などが必要となってしまうという問題も生じる。
本発明においては、触媒が充填された反応器をヒーター等により前述した所定温度範囲に加熱しておくが、この反応器の上流側に予熱器を配置し、この予熱器を介してEDCガスを反応器中に連続的に供給することが好適である。即ち、反応器中に供給するEDCガスを、反応器に充填する前に予め適当な温度に加熱しておくことにより、反応速度を高め、EDCガスの供給速度を速くし、生産性を高めることができる。尚、EDCガスの供給速度は、反応器の大きさ(触媒層の長さ)などに応じて、反応が完結するに十分な時間、EDCが触媒と接触し得るように設定される。
反応に際しての圧力は、特に制限されるものではないが、塩化ビニルへの選択性を向上させるためには常圧〜3MPaGの範囲とすることが好適である。
また、塩素モリブデンクラスターは、固体の粉末として、それ単独で触媒として使用することもできるが、多孔質担体に保持して触媒として使用することが、その取り扱い性、コスト等の点で好適である。このような多孔質担体としては、脱塩素化反応に悪影響を与えず、EDCガスの通過を許容し得るような適度な大きさの粒子とすることが可能なものであれば特に制限されないが、一般には、例えばBET比表面積が350g/m以上の比表面積を有する、活性炭、アルミナ、チタニア、シリカ、各種のゼオライト(例えばA型ゼオライト)などが好適に使用することができ、塩素モリブデンクラスターとの親和性が高く、これをしっかりと担持することができ、しかも比表面積の大きなものが安価に得られるという観点から活性炭が最も好適である。また、活性炭は、それ自体で脱塩化水素触媒としての機能が高く、活性炭に塩素モリブデンクラスターを担持して使用することにより、EDCの転化率や塩化ビニルへの選択率を最も高めることができる。
尚、塩素モリブデンクラスターの多孔質担体への担持は、例えば塩素モリブデンクラスターを有機溶媒に懸濁分散させた液或いは塩素モリブデンクラスターの塩酸溶液に、多孔質担体を浸漬した後、乾燥することにより容易に行うことができる。また、塩素モリブデンクラスターを上記の担体に担持して使用する場合、その担持量は、一般に、多孔質担体当り、0.01〜20質量%、特に0.01〜5質量%の範囲が好ましい。
上記の反応器から連続的に排出される反応ガスは、一旦、−10℃に冷却された反応液トラップ槽に導入され、未反応のEDCを液化凝縮し回収した後、脱塩化水素反応により生成した塩化水素をNaOH水溶液等が貯留された除外トラップ槽に導入し除去した後に、それ自体公知の精製工程に導入され、蒸留等により、副生成物が分離され、目的とする塩化ビニルが得られる。
以下に、本発明を実施例及び比較例をもって詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例の脱塩化水素反応による1,2−ジクロロエタン(EDC)の転化率及び塩化ビニルへの選択率は、下記の式により算出した。
転化率(モル%)
=(供給EDC(モル)−未反応EDC(モル))/供給EDC(モル)×100選択率(モル%)
=塩化ビニル(モル)/(供給EDC(モル)−未反応EDC(モル))×100
また、以下の実施例及び比較例では、図1に固定床流通反応装置を使用し、次のようにしてEDCの脱塩化水素反応を実施した。
先ず、この固定床流通反応装置では、内径7.1mm×長さ300mmのステンレス製の管からなる反応器5が配置され、この反応器5内に脱塩化水素触媒が充填されており、反応器5の外側には電気ヒーター4が配設されている。また、反応器5の上流側には、外部にヒーター2が取り付けられた内径2.2mm×長さ2000mmのステンレス製の管からなる予熱器3が配置されており、定量ポンプ1によりEDCが予熱器3に供給され、気化・予熱されたEDCが反応器5中に連続的に供給されるようになっている。また、定量ポンプ1と予熱器3の間の配管には、窒素供給口7が設けられており、流量コントローラ6を介して所定量の窒素ガスが供給されるようになっている。さらに、反応器5の下流側には、反応液トラップ13及び除外トラップ14が配置されており、反応器5から連続的に排出される反応ガスは、反応液トラップ13及び除外トラップ14を介して、生成した塩化ビニルと共に回収されるようになっている。
尚、予熱器3及び反応器5内でのガス温度を所定温度に調整するために、それぞれ、温度センサー12,13が設けられ、反応器5の入り口側には、圧力センサー11が設けられ、反応器5内の圧力を検知し得るようになっている。また、また、反応器5の入り口側及び出口側には、それぞれ、サンプリング口9、8が設けられている。
各実施例及び比較例においては、各例で調製された触媒を10ml充填し、次いで、予熱器を190℃、反応器を400℃の条件下、マスフローコントローラー(6)を用いて100ml/minの量に調節した窒素ガスを窒素供給口(7)から1時間連続的に供給し、触媒の前処理を行った。
次いで、窒素ガスの供給を停止し、予熱器3及び反応器5の温度をそのままの状態に維持し、定量ポンプ1から0.3ml/minの量でEDCを反応器5内に連続的に供給してEDCの脱塩化水素反応を行った。
反応により得られた生成物は、反応器5の出口に取り付けたサンプリング口8より反応後のガスを捕集し、ガスクロマトグラフィーにより分析し、EDCの転化率、塩化ビニルへの選択率を求め、また、副生物の種類及び選択率を求めた。
尚、各例においては、反応器5の入口に取り付けたサンプリング口9より反応器5へ供給されるガスを捕集し、ガスクロマトグラフィーで分析して、予熱器3内で供給EDCの脱塩化水素反応が生じていないことを確認した。
また、上記のような脱塩化水素反応は連続して10時間継続させ、その間30分間隔で生成物の分析を行い、転化率、選択率を求めたところ、EDC転化率の経時変化から、反応開始後約2時間経過後はEDC転化率がほぼ一定となり、定常状態になっていると考えられたため、各実施例及び比較例の実験結果としては、反応開始から8時間後の転化率、選択率をもってこの触媒での転化率、選択率として、表1に示した。
<実施例1>
塩化モリブデン(V)50.0gとモリブデン150.0gを固体の状態でよく混合し、窒素気流中、石英製反応器内で600℃に加熱して8時間反応させ、反応混合物から未反応のモリブデンを除き、さらに20%塩酸で再結晶することにより、塩素クラスターモリブデンを収率52.3%で調製した。
この塩素クラスターモリブデンは、下記式で表される。
(HO)[(MoCl)Cl]・6H
この塩素クラスターモリブデン0.5gを、25%塩酸150mlに溶解させた溶液に多孔質担体として活性炭(BET比表面積;1100g/m)99.5gを加え、緩やかに12時間攪拌しながら塩素クラスターモリブデンを含浸させた。このようにして活性炭に担持された塩素クラスターモリブデンを取り出し、110℃で12時間乾燥させ、塩素クラスターモリブデンが担持された脱塩化水素触媒(触媒A)を調製した。
上記の触媒Aを、前記で示したように反応器5内に充填し、EDCを供給しての脱塩化水素を行い、EDCの転化率及び塩化ビニル(VCM)への選択率等を求め、その結果を表1に示した。
尚、表1において、塩素クラスターモリブデンはMoクラスターとして示した。
<実施例2>
多孔質担体を活性炭に代えてアルミナ(BET比表面積;420g/m)を用いた以外は実施例1と同様にして、塩素クラスターモリブデンが担持された脱塩化水素触媒(触媒B)を調製し、この触媒Bを用いた以外は実施例1と同様にして脱塩化水素反応を行い、転化率、選択率等を求め、その結果を表1に示した。
<実施例3>
多孔質担体を活性炭に代えてチタニア(BET比表面積;480g/m)を用いた以外は実施例1と同様にして、塩素クラスターモリブデンが担持された脱塩化水素触媒(触媒C)を調製し、この触媒Cを用いた以外は実施例1と同様にして脱塩化水素反応を行い、転化率、選択率等を求め、その結果を表1に示した。
<実施例4>
多孔質担体を活性炭に代えてA型ゼオライト(BET比表面積;550g/m)を用いた以外は実施例1と同様にして、塩素クラスターモリブデンが担持された脱塩化水素触媒(触媒D)を調製し、この触媒Dを用いた以外は実施例1と同様にして脱塩化水素反応を行い、転化率、選択率等を求め、その結果を表1に示した。
<実施例5>
多孔質担体を活性炭に代えてシリカ(BET比表面積;400g/m)を用いた以外は実施例1と同様にして、塩素クラスターモリブデンが担持された脱塩化水素触媒(触媒E)を調製し、この触媒Eを用いた以外は実施例1と同様にして脱塩化水素反応を行い、転化率、選択率等を求め、その結果を表1に示した。
<比較例1(ブランク試験)>
反応器5内に触媒を充填せず、触媒を使用しないで実施例1と同様にして脱塩化水素反応を行い、転化率、選択率等を求め、その結果を表1に示した。
<比較例2>
塩素クラスターモリブデンを使用せず、塩素クラスターモリブデンの担持に使用した活性炭のみを触媒として用いた以外は実施例1と同様にして脱塩化水素反応を行い、転化率、選択率等を求め、その結果を表1に示した。
<比較例3>
塩化ニオブ(V)5.0g、ニオブ8.0g、塩化ナトリウム1.6gを固体の状態でよく混合し、窒素気流中、石英製反応器内で850℃に加熱して18時間反応させ、反応混合物から未反応のニオブを除き、さらに20%塩酸で再結晶することにより、塩素クラスターニオブを調製した(収率45.0%)。
この塩素クラスターニオブは下記式で表される。
(HO)[(NbCl12)Cl(HO)]・4H
上記の塩素クラスターニオブを用いた以外は実施例1と同様にして触媒Fを調製し、この触媒Fを用いた以外は実施例1と同様にして脱塩化水素反応を行い、転化率、選択率等を求め、その結果を表1に示した。
尚、表1において、塩素クラスターニオブは、Nbクラスターとして示した。
<比較例4>
塩素クラスターモリブデンに代えて市販の塩素クラスターレニウム(ReCl)を用いた以外は実施例1と同様にして触媒Gを調製し、この触媒Gを用いた以外は実施例1と同様にして脱塩化水素反応を行い、転化率、選択率等を求め、その結果を表1に示した。
尚、表1において、塩素クラスターレニウムは、Reクラスターとして示した。
<比較例5>
塩素クラスターモリブデンに代えて塩化鉄(III)を用い、塩化鉄(III)が活性炭に担持された触媒Hを実施例1と同様にして調製し、この触媒Hを用いた以外は実施例1と同様にして脱塩化水素反応を行い、転化率、選択率等を求め、その結果を表1に示した。
<比較例6>
塩化鉄(III)に代えて酸化鉄(III)を活性炭に担持させた以外は、比較例5と同様にして触媒Iを調製し、この触媒Iを用いた以外は実施例1と同様にして脱塩化水素反応を行い、転化率、選択率等を求め、その結果を表1に示した。
Figure 2009107969
本明細書の実施例および比較例で用いた固定床流通反応装置の説明図である。
符号の説明
1:定量ポンプ
2:予熱器用ヒーター
3:予熱器
4:反応器用ヒーター
5:反応器
6:マスフローコントローラー
7:窒素供給口
8:出口サンプリング口
9:入口サンプリング口
10:温度センサー
11:圧力センサー
12:温度センサー
13:反応液用トラップ
14:除害トラップ

Claims (4)

  1. 塩素クラスターモリブデンを脱塩化水素触媒として使用し、該触媒の存在下、250乃至540℃の反応温度で1,2−ジクロロエタンの脱塩化水素を行うことにより塩化ビニルを製造することを特徴とする塩化ビニルの製造方法。
  2. 塩素クラスターモリブデンを多孔質担体に担持させて脱塩化水素触媒として使用する請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記担体として活性炭、アルミナ、チタニア或いはゼオライトを使用する請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記反応温度を300乃至450℃として脱塩化水素を行う請求項1乃至3の何れかに記載の製造方法。
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