JP2009104775A - 対物光学素子及び光ピックアップ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】対物光学素子10は、非球面形状の光学面に形成される複数の回折輪帯20からなり、回折輪帯の光学面に、この輪帯を通過する所定の光束に対して光路差を付与する光路差付与構造30を備える。また、回折輪帯の光学面は、光路差付与構造が無い場合に、波長λ1の光束のL次回折光と波長λ2の光束のM次回折光が最大の回折効率を有するよう回折さ.れる、所定の非球面形状の光学面に対して実質的な傾きをもつ構造を有する。また、光路差付与構造は、回折光に対して、波長λ1の光束の−N次回折光と、波長λ2の光束の(−N+1)次回折光あるいは(−N−1)次回折光が最大の回折効率を有する光路差を付与する。
【選択図】図2
Description
DVD用記録再生装置では、650nmの半導体レーザを使用したときの対物レンズの光デイスク側の開口数NAを0.6〜0.65としている。DVDはトラックピッチ0.74μm、最短ビット長0.4μmであり、CDのトラックピッチ1.6μm、最短ピット長0.83μmに対して半分以下に高密度化されている。また、DVDにおいては、光ディスクが光軸に対して傾いたときに生じるコマ収差を小さく抑えるために、保護基板厚は0.6mmとCDの保護基板厚の半分になっている。
さらに半導体レーザの短波長化が進み、波長400nm程度の青紫色半導体レーザ光源と、像側開口数(NA)を0.85程度まで高めた対物レンズを用いた保護基板厚0.1mm程度の高密度光ディスク(以下、「高密度DVD」という。)や、像側開口数(NA)を0.65程度とした対物レンズを用いた保護基板厚0.6mm程度の高密度DVDの研究・開発が進んでいる。
上記特許文献1及び特許文献2には、平板状のホログラム光学素子と屈折型の対物レンズとを別体に備える光ピックアップ装置が開示されている。
これら装置は、例えば、二種類の波長のうち一方の波長の光束に関してはホログラム光学素子を透過させた後、対物レンズを介して所定のディスク上に集光させ、他方の波長の光線に関してはホログラム光学素子を通過する際に発散するように回折させた後、回折光のうちの−1次回折光を対物レンズを介して所定の光ディスク上に集光させることにより、一つの対物レンズで2種類の光ディスクに対して情報の記録/再生を行なうものである。
この装置は、中央領域において、波長635nmの光束を透過させる一方で波長780nmの光束を回折させる。また、周辺領域において、波長635nmの光束を透過させる一方で、波長780nmの光束を回折により実質的に遮断する。
このように、波長635nmの光束を全て対物レンズに入射させ、波長780nmの光束のうち中央領域を通過する光束のみを発散するように回折させて対物レンズに入射させることにより、一つの対物レンズで2種類の光ディスクに対して情報の記録/再生を行なうものである。
ここで、回折効率はホログラム光学素子に形成する凹凸の段数により決定されるものであり、透過光の回折効率をほぼ100%とした場合における回折光の回折効率には限界があり(例えば、4段構造では約81%、5段構造では約88%、6段構造では約91%程度)、情報の記録用に使用する場合、回折光の光量が不十分なものとなる問題や、凹凸の段数を増やすことにより金型の加工、成形が困難になるという問題がある。
また、光束をホログラム光学素子で発散するように回折させるので、全光量に対して利用に供される光量の割合が小さくなり、光量低下を招くという問題があった。
また、平板状のホログラム光学素子を用いることから、ホログラム光学素子の表面に形成する階段状の凹凸(干渉縞パタン)の数が多くなり、製造工程が複雑化するという問題があった。
また、広義にはその光学素子とともに、アクチュエータによって少なくともその光軸方向に移動可能な光学素子を指すものとする。
また、対物光学素子としては、単一のレンズのみで構成されているものに限定されず、複数のレンズを光軸方向に組み合わせて構成されるレンズ群をまとめて対物光学素子としてもよい。
使用基準温度とは、対物光学素子及び光ピックアップ装置が使用される環境の温度変化範囲内にある、常温(10〜40℃程度)のことである。
また、光情報記録媒体とはCD、DVD、CD−R、MD、MO、高密度DVD等の所定の波長の光束を用いて情報の再生及び/又は記録を行なう一般的な光ディスクを指す。
また、本発明における対物光学素子及び光ピックアップ装置は、情報の記録だけあるいは再生だけを行うために用いるものであってもよいし、記録と再生の両方を行うために用いるものであってもよい。
また、回折輪帯は光学面上の全域に形成されている必要は無く、例えば、光軸を中心とした所定の領域のみに形成されていても良い。
また、所定の非球面形状の光学面とは、各回折輪帯の始点を結んでできる仮想の非球面形状からなる光学面のことをいう。
また、所定の非球面形状の光学面に対する実質的な傾きをもつ光学面とは、例えば、光軸を含む平面(子午断面)でその断面をみた場合に鋸歯状あるいは光軸方向に沿った階段状となったもの等の回折輪帯構造となる光学面のことをいう。
なお、回折効率とは回折輪帯により生じる回折光の光量の比率を表すもので、全次数の回折光の回折効率の和は1となる。
また、最大の回折効率を有するL次(M次)回折光とは、使用基準波長λ1(λ2)の光が対物光学素子に入射したときに、回折光の回折効率が理論的に他の次数と比較して最大となる回折次数L(M)における回折光を指す。
また、本明細書において、対物光学素子の像側の開口数とは、対物光学素子のうち最も光情報記録媒体側に位置するレンズ面の開口数を指すものである。
また、開口数とは、光ピックアップ装置に設けられた絞りやフィルタ等の絞り機能を有する部品又は部材や、対物光学素子が備える回折輪帯などによって、最良像点におけるスポットの形成に寄与する光束が制限された結果として定義される開口数である。
従って、使用基準波長λ1の光束の(L−N)次相当の回折光が第1の光情報記録媒体に出射され、波長λ2の光束の(M−N+1)次相当の回折光あるいは(M−N−1)次相当の回折光が第2の光情報記録媒体に出射されることになる。
このように、対物光学素子に形成した回折輪帯と光路差付与構造との二段階で各波長の光束の回折次数を実質的に変化させることができるので、各光束の回折次数を適宜変化させて、光情報記録媒体の種類に応じた十分な光量を有する回折光を得ることができる。また、回折効率や回折次数に対する設計の自由度を増大させることができる。
また、光情報記録媒体への情報の再生及び/又は記録用として回折光を用いるので、各種収差(軸上色収差、温度特性収差等)を精度良く補正することができる。
従って、回折輪帯を有する光学素子と、例えばホログラム光学素子のような光路差付与構造を有する光学素子とを別体に配置する場合と比較して、光ピックアップ装置を小型化できると共に、偏心や像高特性の悪化を防止できる。
また、平板状のホログラム光学素子のように、階段形状の不連続面を光軸に対して直交する平面上に形成する場合と比較して、階段形状の不連続面の総数又は回折輪帯の数を少なくすることができ、製造工程数を削減することができる。
請求項3記載の発明は、請求項1に記載の対物光学素子であって、前記回折輪帯の光学面が有する、前記所定の非球面形状の光学面に対して実質的な傾きをもつ構造が、光軸方向に沿った階段状の不連続面であり、前記光路差付与構造が、光軸方向に沿った階段状の不連続面からなることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の対物光学素子であって、前記所定の非球面形状が、光軸を中心とする略円形の中央領域と、中央領域の外周を覆う周辺領域とに区分され、中央領域に前記回折輪帯を備え、周辺領域に光路差付与構造を備えることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の対物光学素子であって、前記所定の非球面形状が、光軸を中心とする略円形の中央領域と、中央領域の外周を覆う周辺領域とに区分され、中央領域に前記回折輪帯を備え、周辺領域に光束を屈折させる屈折構造を備えることを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の対物光学素子であって、L=Nであることを特徴とする。
請求項11記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の対物光学素子であって、M=Nであることを特徴とする。
請求項12記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の対物光学素子であって、L=M=Nであることを特徴とする。
請求項13に記載の発明によれば、請求項1〜12のいずれか一項と同様の効果を得られると共に、対物光学素子に対して第1の波長λ1の光束と第2の波長λ2の光束が共に発散光として入射した場合に、球面収差及び/又は波面収差を補正した状態で所定の光情報記録媒体に集光させる。
従って、従来の無限系の光ピックアップ装置において用いられていた、光源からの出射光束を平行光化させて対物光学素子に入射させるためのコリメータレンズ等の光学素子が不要となり、装置の小型化や低コスト化を達成できる。
なお、対物光学素子が波面収差を0.05λrms以内に収められるよう補正した状態で集光させることが望ましい。
請求項14に記載の発明によれば、請求項1〜13のいずれか一項と同様の効果を得られる。
また、一般的に、光源から対物光学素子までの距離が遠くなると光量のロスが大きくなるので、結像倍率mは可能な限り小さくすることが望ましいが、一方で、結像倍率mが小さすぎると温度変化やトラッキングに基づく収差の発生量が大きくなるという問題がある。そこで、上記範囲内に結像倍率を収めることにより、光量の確保と収差の抑制を同時に達成することが可能となる。
また、カップリングレンズが不要となるので、光ピックアップ装置の部品点数の削減や、カップリングレンズの取付け誤差に起因する各種収差の発生を防止することができる。
なお、結像倍率mを−0.148≦m≦−0.117の範囲内とすることがより好ましい。
従って、使用基準波長λ1の光束の(L−N)次相当の回折光が第1の光情報記録媒体に出射され、波長λ2の光束の(M−N+1)次相当の回折光あるいは(M−N−1)次相当の回折光が第2の光情報記録媒体に出射されることになる。
このように、対物光学素子に形成した回折輪帯と光路差付与構造との二段階で各波長の光束の回折次数を実質的に変化させることができるので、各光束の回折次数を適宜変化させて、光情報記録媒体の種類に応じた十分な光量を有する回折光を得ることができる。また、回折効率や回折次数に対する設計の自由度を増大させることができる。
請求項17に記載の発明によれば、請求項16と同様の効果を得られると共に、対物光学素子に対して第1の波長λ1の光束と第2の波長λ2の光束が共に発散光として入射した場合に、球面収差及び/又は波面収差を補正した状態で所定の光情報記録媒体に集光させる。
従って、従来の無限系の光ピックアップ装置において用いられていた、光源からの出射光束を平行光化させて対物光学素子に入射させるためのコリメータレンズ等の光学素子が不要となり、装置の小型化や低コスト化を達成できる。
なお、対物光学素子が波面収差を0.05λrms以内に収められるよう補正した状態で集光させることが望ましい。
請求項18に記載の発明によれば、請求項16又は17と同様の効果を得られると共に、光量の確保と収差の抑制を同時に達成することが可能となる。
また、カップリングレンズが不要となるので、光ピックアップ装置の部品点数の削減や、カップリングレンズの取付け誤差に起因する各種収差の発生を防止することができる。
なお、結像倍率mを−0.148≦m≦−0.117の範囲内とすることがより好ましい。
この際の対物レンズ10による波長λ1の光束に対する作用については後述する。
そして、情報記録面6で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び対物レンズ10、絞り9を介して、ビームスプリッタ8で反射され、シリンドリカルレンズ11により非点収差が与えられ、凹レンズ12を経て、光検出器13上ヘ入射し、光検出器から出カされる信号を用いて、DVD2に記録された情報の読み取り信号が得られる。
この際の対物レンズ10による波長λ1の光束に対する作用については後述する。
そして、情報記録面6で情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び対物レンズ10、絞り9を介して、ビームスプリッタ8で反射され、シリンドリカルレンズ11により非点収差が与えられ、凹レンズ12を経て、光検出器13上ヘ入射し、光検出器13から出力される信号を用いて、CD4に記録された情報の読み取り信号が得られる。
具体的には、対物レンズ10には、光軸Lを中心とした、所定の非球面形状の光学面に対して実質的な傾きをもつ鋸歯状の不連続面である複数の回折輪帯20が形成されており、さらに、各回折輪帯20の光学面上には、これら回折輪帯20を通過する光束に対して所定の光路差を付与する、光軸に沿った階段状の不連続面31(段差)からなる光路差付与構造30が形成されている。
図3(a)、(b)中に実線で示す線は、各回折輪帯20の光学面上に形成されている、各回折輪帯20を通過する光束に対して所定の光路差を付与する階段状の不連続面31(段差)の外形を含む、実際のレンズ形状を表すものである。
なお、図2、図4〜図7においても、図3と同様に、上述した各形状を一点鎖線、二点鎖線及び実線で表している。
各段差31の深さd1(光軸L方向の長さ)は、波長λ2に対する対物レンズ10の屈折率をnとした場合に、λ2/(n−1)で表される値とほぼ等しくなっており、一つの段差31を通過する波長λ2の光束と、その隣の段差31を通過する波長λ2の光束との間に、ほぼ1波長λ2に相当する光路差が生じ、かつ波面のずれが生じない長さに設定されている。
また、各段差の表面31a(光学機能面)の形状は、図3中に二点鎖線で示した鋸歯状の回折輪帯20の表面の形状を、各段差31に対応する区間で分割して、光軸L方向に平行移動させた形状に近似したものとなっている。
例えば、波長λ1(650nm)の光束が対物光学素子に入射した場合、図3の領域A〜Eを通過することにより、各光束にはそれぞれ、780nm−650nm=130nm、つまり2/5πラジアンの位相差が実質的に付与されることになり、結果的に波長λ1の光束の位相が変化して、回折するようになっている。
一方、波長λ2(780nm)の光束が入射した場合、図3の領域A〜Eを通過することにより、各光束にはそれぞれ1波長λ2に相当する位相差が付与されることになり、領域A〜Eを通過した光束間に生じる位相差はほぼゼロとなる。従って、波長λ2の光束は、光路差付与構造30によっては実質的に回折せずに、そのまま透過するようになっている。
次に、上記実施の形態で示した光ピックアップ装置1及び対物光学素子10の第1の実施例について説明する。
本実施例においては、図2に示すように、両面非球面の単レンズである対物光学素子としての対物レンズ10の一方(光源側)の光学面10a上であって、光軸Lから一定高さ以下(本実施例においては1.54mm以下)の範囲A1(以下、「中央領域A1」という。)に回折輪帯20と光路差付与構造30を備えるものである。
また、光源側の光学面10a上であって、中央領域A1以外の範囲A2(以下、「周辺領域A2」という。)は、回折輪帯20及び光路差付与構造30を備えておらず、通常の屈折レンズとしての機能を有している。
一つの回折輪帯20に形成されている各段差31は、光軸Lから離れるに従って光源側に突出するように形成されている。
表1、表2に対物レンズのレンズデータを示す。
表1中の面No.2、2´、3はそれぞれ、対物レンズ10の光源側の光学面10aのうち、光軸Lからの高さhが1.54mm以下の中央領域A1、光軸Lからの高さが1.54mm以上の周辺領域A2、対物レンズ10の光情報記録媒体側の光学面10bを示しており、面番号4、5はそれぞれ、光情報記録媒体の保護基板の表面、記録層を表している。また、Riは曲率半径、diは第i面から第i+1面までの光軸方向の変位、niは各面の屈折率を表している。
次に、上記実施の形態で示した光ピックアップ装置1及び対物光学素子10の第2の実施例について説明する。
本実施例においても、上記実施例1と同様に、図2に示すような両面非球面の単レンズである対物光学素子としての対物レンズ10の一方(光源側)の光学面10a上であって、光軸から1.60mm以下の中央領域A1に回折輪帯20と光路差付与構造30を備えるものである。
また、周辺領域A2は、回折輪帯20及び光路差付与構造30を備えておらず、通常の屈折レンズとしての機能を有している。
一つの回折輪帯20に形成されている各段差31は、光軸Lから離れるに従って光源側に突出するように形成されている。
表4、表5に対物レンズのレンズデータを示す。
次に、上記実施の形態で示した光ピックアップ装置1及び対物光学素子10の第3の実施例について説明する。
本実施例においては、図4に示すように、両面非球面の単レンズである対物光学素子としての対物レンズ10の一方(光源側)の光学面10aのほぼ全面に回折輪帯20と光路差付与構造30を備えるものである。
一つの回折輪帯20に形成されている各段差31は、光軸Lから離れるに従って光源側に突出するように形成されている。
表6、表7に対物レンズのレンズデータを示す。
次に、本発明の光学素子及び光ピックアップ装置の第4の実施例について、図9を用いて説明する。
光ピックアップ装置70は、第一の光情報記録媒体80(本実施例においてはDVD)に対して第一の半導体レーザ71(光源)から波長λ1(=655nm)の光束を出射し、第二の光情報記録媒体81(本実施例においてはCD)に対して第二の半導体レーザ72(光源)から波長λ2(=785nm)の光束を出射する。そして、これら光束を対物レンズ10(対物光学素子)に発散光として入射させ、所定の光情報記録媒体の情報記録面80a、81aに集光させることによって、各種情報の記録や記録した情報の読み取りを行なうものである。
なお、第一の半導体レーザ71と第二の半導体レーザ72は光源としてユニット化されているため、図9には、各半導体レーザから出射される波長λ1の光束と波長λ2の光束をまとめて実線で表すものとする。
そして、情報記録面80aで情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び対物レンズ10、絞り75、ハーフミラー74を通過し、回折格子(図示せず)を通過して光検出器76上ヘ入射し、光検出器76から出カされる信号を用いて、DVD80に記録された情報の読み取り信号が得られる。
そして、情報記録面81aで情報ピットにより変調されて反射した光束は、再び対物レンズ10、絞り75、ハーフミラー74を通過し、回折格子(図示せず)を通過して光検出器76上ヘ入射し、光検出器76から出カされる信号を用いて、CD81に記録された情報の読み取り信号が得られる。
一つの回折輪帯20に形成されている各段差31は、光軸Lから離れるに従ってレンズ内部に落ち込むように形成されている。
各段差31の深さd1(光軸L方向の長さ)は、波長λ2の1波長分の光路差が生じる深さとなっている。つまり、一つの分割面31を通過する波長λ2の光束と、その隣の分割面31を通過する波長λ2の光束との間に、波長λ2のほぼ倍の光路差が生じ、かつ波面のずれが生じない長さに設定されている。
また、周辺領域A2に鋸歯状の回折輪帯40を備える、この回折輪帯による、周辺領域A2を通過する波長λ1の光束の1次回折光の回折効率がほぼ100%となるように設定されている。
表8、表9に対物レンズのレンズデータを示す。
図5に示す対物光学素子は、上記実施例1及び2に示した対物光学素子と比較すると、両面非球面の単レンズである対物光学素子としての対物レンズ10の一方(光源側)の光学面10a上の中央領域A1に回折輪帯20と光路差付与構造30を備え、周辺領域A2が通常の屈折レンズとして機能する点は一致するが、一つの回折輪帯20に形成されている各段差31が、光軸Lから離れるに従って光情報記録媒体側に突出する、即ち、光軸Lから離れるに従ってレンズ内部に落ち込むように形成されている点が異なる。
1 光ピックアップ装置
2 第1の光情報記録媒体
4 第2の光情報記録媒体
10 対物光学素子
20 回折輪帯
30 光路差付与構造
31 階段状の不連続面(段差)
70 光ピックアップ装置
71 第1の光源
72 第2の光源
80 第1の光情報記録媒体
81 第2の光情報記録媒体
Claims (18)
- 使用基準波長λ1の光束を用いて保護基板厚t1の第1の光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行い、使用基準波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて保護基板厚t2(t2≧t1)の第2の光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置の対物光学素子であって、
所定の非球面形状の光学面に形成される、光軸を中心とした複数の回折輪帯からなり、前記複数の回折輪帯のうち少なくとも一つの回折輪帯の光学面に、この輪帯を通過する所定の光束に対して定められた光路差を付与する光路差付与構造を備え、
前記回折輪帯の光学面は、光路差付与構造が無いと仮定した場合、使用基準波長λ1の光束のL次(L≠0)回折光が最大の回折効率を有するよう回折され、使用基準波長λ2の光束のM次(M≠0)回折光が最大の回折効率を有するよう回折される、前記所定の非球面形状の光学面に対して実質的な傾きをもつ構造を有し、
前記光路差付与構造は、前記回折光に対して、使用基準波長λ1の光束の−N次回折光が最大の回折効率を有する光路差を付与し、前記使用基準波長λ2の光束の(−N+1)次回折光あるいは(−N−1)次回折光が最大の回折効率を有する光路差を付与することを特徴とする対物光学素子。 - 請求項1に記載の対物光学素子であって、
前記回折輪帯の光学面が有する、前記所定の非球面形状の光学面に対して実質的な傾きをもつ構造が、鋸歯状の不連続面であり、
前記光路差付与構造が、光軸方向に沿った階段状の不連続面からなることを特徴とする対物光学素子。 - 請求項1に記載の対物光学素子であって、
前記回折輪帯の光学面が有する、前記所定の非球面形状の光学面に対して実質的な傾きをもつ構造が、光軸方向に沿った階段状の不連続面であり、
前記光路差付与構造が、光軸方向に沿った階段状の不連続面からなることを特徴とする対物光学素子。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の対物光学素子であって、
前記所定の非球面形状が、光軸を中心とする略円形の中央領域と、中央領域の外周を覆う周辺領域とに区分され、
中央領域に前記回折輪帯を備え、
周辺領域に鋸歯状の回折輪帯を備えることを特徴とする対物光学素子。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の対物光学素子であって、
前記所定の非球面形状が、光軸を中心とする略円形の中央領域と、中央領域の外周を覆う周辺領域とに区分され、
中央領域に前記回折輪帯を備え、
周辺領域に光路差付与構造を備えることを特徴とする対物光学素子。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の対物光学素子であって、
前記所定の非球面形状が、光軸を中心とする略円形の中央領域と、中央領域の外周を覆う周辺領域とに区分され、
中央領域に前記回折輪帯を備え、
周辺領域に光束を屈折させる屈折構造を備えることを特徴とする対物光学素子。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の対物光学素子であって、
前記回折輪帯の数が3から20のいずれかであることを特徴とする対物光学素子。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の対物光学素子であって、
前記光路差付与構造が使用基準波長λ2の光束に対して使用基準波長λ2の整数倍の光路差を付与することを特徴とする対物光学素子。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の対物光学素子であって、
L=Mであることを特徴とする対物光学素子。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の対物光学素子であって、
L=Nであることを特徴とする対物光学素子。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の対物光学素子であって、
M=Nであることを特徴とする対物光学素子。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の対物光学素子であって、
L=M=Nであることを特徴とする対物光学素子。 - 請求項1〜12のいずれか一項に記載の対物光学素子であって、
前記使用基準波長λ1の光束と使用基準波長λ2の光束が共に発散光として入射し、これら使用基準λ1の光束と使用基準波長λ2の光束を球面収差及び/又は波面収差を補正した状態で所定の光情報記録媒体に集光させることを特徴とする対物光学素子。 - 請求項1〜13のいずれか一項に記載の対物光学素子であって、
結像倍率mが、
−0.295≦m≦−0.049
であることを特徴とする対物光学素子。 - 請求項1〜14のいずれか一項に記載の対物光学素子であって、
光源側の光学面の近軸の曲率半径をR1、光情報記録媒体側の光学面の近軸の曲率半径をR2としたとき、
−3.2<R2/R1<−1.9
であることを特徴とする対物光学素子。 - 使用基準波長λ1の光束を保護基板厚t1の第1の光情報記録媒体に対して集光させ、使用基準波長λ2(λ2>λ1)の光束を保護基板厚t2(t2≧t1)の第2の光情報記録媒体に対して集光させる対物光学素子を備え、情報の再生及び/又は記録を行う光ピックアップ装置であって、
前記対物光学素子が、所定の非球面形状の光学面に形成される、光軸を中心とした複数の回折輪帯からなり、前記複数の回折輪帯のうち少なくとも一つの回折輪帯の光学面に、この輪帯を通過する所定の光束に対して定められた光路差を付与する光路差付与構造を備え、
前記回折輪帯の光学面は、光路差付与構造が無いと仮定した場合、使用基準波長λ1の光束のL次(L≠0)回折光が最大の回折効率を有するよう回折され、使用基準波長λ2の光束のM次(M≠0)回折光が最大の回折効率を有するよう回折される、前記所定の非球面形状の光学面に対して実質的な傾きをもつ構造を有し、
前記光路差付与構造は、前記回折光に対して、前記使用基準波長λ1の光束の−N次回折光が最大の回折効率を有する光路差を付与し、前記使用基準波長λ2の光束の(−N+1)次回折光あるいは(−N−1)次回折光が最大の回折効率を有する光路差を付与することを特徴とする光ピックアップ装置。 - 請求項16に記載の光ピックアップ装置であって、
前記対物光学素子に前記第1の波長λ1の光束と第2の波長λ2の光束が共に発散光として入射し、これら第1の波長λ1の光束と第2の波長λ2の光束を球面収差及び/又は波面収差を補正した状態で所定の光情報記録媒体に集光させることを特徴とする光ピックアップ装置。 - 請求項16又は17に記載の光ピックアップ装置であって、
結像倍率mが、
−0.295≦m≦−0.049
であることを特徴とする光ピックアップ装置。
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