JP2009097598A - 滑り軸受およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高・低荷重何れの荷重下においても優れた摺動性および耐摩耗性を有する滑り軸受を提供する。
【解決手段】略円筒状をなす滑り軸受において、焼結金属で形成される軸受本体2の内周には樹脂部3が部分的に設けられる。軸受本体2の内周には、焼結金属製の第1軸受面4が形成されると共に、第1軸受面4より小径の第2軸受面5が樹脂部3に形成される。かつ、滑り軸受は、その内周に挿通した軸8からのラジアル荷重に応じて、第2軸受面5でラジアル荷重が支持される状態と、第1軸受面でラジアル荷重が支持される状態とを有するように構成される。
【選択図】図4
【解決手段】略円筒状をなす滑り軸受において、焼結金属で形成される軸受本体2の内周には樹脂部3が部分的に設けられる。軸受本体2の内周には、焼結金属製の第1軸受面4が形成されると共に、第1軸受面4より小径の第2軸受面5が樹脂部3に形成される。かつ、滑り軸受は、その内周に挿通した軸8からのラジアル荷重に応じて、第2軸受面5でラジアル荷重が支持される状態と、第1軸受面でラジアル荷重が支持される状態とを有するように構成される。
【選択図】図4
Description
本発明は滑り軸受およびその製造方法に関する。
滑り軸受には、その摺動面を金属で形成したものの他、樹脂被膜により摺動面を形成したものが知られている。樹脂製の摺動面を有する滑り軸受は、金属製の滑り軸受と比べて低コストに製造可能であり、また、軸などの相手材を摩耗させるおそれも少ないことから、多くの用途に使用されている。
また、樹脂製の滑り軸受は、その用途や目的に応じて摺動面の改質が可能であり、例えば、母材となる樹脂に黒鉛、二硫化モリブデン等の固体潤滑剤を配合することで摺動性の向上を図り、あるいはガラス繊維、炭素繊維等の補強材を配合することで耐摩耗性の向上を図ったものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2006−194397号公報
しかしながら、上述の滑り軸受では、摺動面が樹脂材料で形成される関係上、金属材料に比べて強度や耐久性に劣る点は否めない。そのため、高荷重下では耐摩耗性が低下し、また、樹脂被膜が剥がれ易くなるなど、同条件下での使用には適さないのが現状である。
特に、運転中に軸から受けるラジアル荷重が変動する用途にこの種の軸受を用いる場合、あるいは振動や衝撃等、何らかの原因で急激にラジアル荷重が増加した場合に上述の滑り軸受では十分な軸受性能を発揮することが困難である。
すなわち、高荷重下では耐久性が要求される一方で、低荷重下では高速回転での支持を想定してむしろ摺動性(低摩擦特性)が重視される傾向にあることから、ラジアル荷重に合せて異なる材料組成が要求される。そのため、既存の滑り軸受では、高・低荷重時双方の要求特性を満たすことは困難である。
以上の事情に鑑み、本発明では、高・低荷重何れの荷重下においても優れた摺動性および耐摩耗性を有する滑り軸受を提供することを技術的課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、金属製の軸受本体の内周に第1軸受面および第2軸受面を有する滑り軸受であって、第1軸受面は軸受本体の内周面で構成され、第2軸受面は軸受本体の内周に設けられた樹脂部の表面で構成され、かつ、第2軸受面は第1軸受面よりも小径に形成されており、軸受本体の内周に挿通された軸からのラジアル荷重に応じて、ラジアル荷重を第2軸受面で支持する状態と、ラジアル荷重を第1軸受面で支持する状態とを有する滑り軸受を提供する。
上記構成の滑り軸受によれば、軸が相対的に小径の樹脂製の第2軸受面と優先的に摺動接触するため、第2軸受面でラジアル荷重を支持する状態は、ラジアル荷重が比較的小さい場合に生じる。また、軸からのラジアル荷重で相対的に変形が容易な樹脂部が圧縮されて第2軸受面が拡径する向きに変形することにより、金属製の第1軸受面でラジアル荷重が支持されることから、第1軸受面による支持状態は、ラジアル荷重が比較的大きい場合に生じることになる。これにより、低荷重に適した組成で樹脂製の軸受面を形成すると共に、高荷重に適した組成で金属製の軸受面を形成することができる。以上より、高荷重下においても、あるいは低荷重下においても優れた摺動性および耐摩耗性を有する滑り軸受を提供することができる。
ここで、第2軸受面を有する樹脂部としては、例えば軸受本体の内周面上に樹脂で被覆形成した被膜状のものが考えられる。あるいは、軸受本体の内周に凹部を形成し、この凹部に充填形成されたものが考えられる。
上述の如く凹部に樹脂部を充填形成することで、第2軸受面を有する樹脂部に、第2軸受面と第1軸受面との内径寸法差の分の厚みに加えて凹部の深さ分の厚みをもたせることができる。そのため、同じ荷重であっても樹脂部の圧縮量、言い換えると第2軸受面の拡径量を大きくすることができる。従って、凹部の深さを変更することにより第1軸受面との摺動接触の有無を調整することができ、例えば僅かな荷重の変動であっても実質的に使用される軸受面を的確に変更することができる。
また、第2軸受面を形成する樹脂には、摺動性を有するものである限りにおいて種々の樹脂材料を使用することができるが、より一層の潤滑性、低トルク性等を考慮するのであれば、潤滑成分を含有している樹脂が好適である。具体的には、母材となる樹脂材料に固体潤滑剤や潤滑油を配合することもできる。あるいは、発泡樹脂などの多孔質構造を有する樹脂や、潤滑油との親和性に優れる樹脂、多孔質シリカなどの多孔質構造を有する充填材を配合した樹脂を採用することも可能である。
また、凹部について言えば、その形状を溝状とし、溝状の凹部が軸受本体の少なくとも一端面にまで延びている構成とするのが好ましい。一端面にまで延びる凹部を設けた軸受本体であれば、射出成形時のゲート位置を軸受本体の一端側に配置することができるので、成形し易い。また、複数の凹部それぞれに樹脂部を射出成形する際も、一端側に設けたゲートから各々の凹部へと溶融樹脂を供給する態様を採ることができるので好ましい形態といえる。
上記構成の滑り軸受は、例えば内周に第1軸受面および凹部を有する軸受本体を焼結金属で形成し、その後、凹部に樹脂部を射出成形して樹脂部に第2軸受面を形成することにより製造することができる。このように軸受本体を焼結金属で形成すれば、射出成形時、凹部の表面に形成された多数の開孔を介して溶融樹脂が内部に流れ込んだ状態で固化するので、樹脂部と軸受本体との間で高い固着力を得ることができる。
また、軸受本体を焼結金属で形成する場合、第1軸受面をサイジングした後に凹部に樹脂部を射出成形することもできる。あるいは、凹部に樹脂部を射出成形した後に、焼結金属製の第1軸受面と、第2軸受面となる樹脂部の表面とを共にサイジングする手順を採ることも可能である。
先に第1軸受面をサイジングした軸受本体をインサート部品として樹脂部を射出成形することで、第1軸受面と成形金型とを密着させた状態で射出成形が行われる。これにより溶融樹脂が第1軸受面と成型金型との隙間に流れ込む事態を回避して、精度よく樹脂部を成形することができる。また、凹部に樹脂部を射出成形した後に双方の軸受面をサイジングするようにすれば、成形時収縮等により生じた樹脂部の形状精度の狂いをサイジングで矯正することができるので、狙い通りの軸受面形状、特に軸受面の内径寸法を調整することができる。なお、樹脂部の成形前にサイジングを行う場合であっても、凹部についてはサイジングせずにおいておくのが好ましい。凹部の表面開孔に樹脂が流れ込むことによるアンカー効果を確実に得るためである。
以上より、本発明によれば、高・低荷重何れの荷重下においても優れた摺動性および耐摩耗性を有する滑り軸受を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る滑り軸受1の縦断面図を示している。同図における滑り軸受1は略円筒状をなし、焼結金属で形成される軸受本体2と、軸受本体2の内周に部分的に設けられた樹脂部3とからなる。軸受本体2の内周には、図示は省略するが、支持すべき軸の外周面と摺動する焼結金属製の第1軸受面4が形成されると共に、第1軸受面4より小径の第2軸受面5が樹脂部3に形成される。
図2は、図1に示す滑り軸受1の横断面図を示している。同図に示すように、軸受本体2の内周には軸方向に延びる複数の溝状の凹部6が形成されており、これら複数の凹部6に樹脂部3が充填形成されている。従い、この実施形態では、焼結金属製の第1軸受面4が樹脂製の第2軸受面5によって複数に分断された状態で軸受本体2の内周に配設されている。
図3は、図2に示す滑り軸受1の凹部6周辺を拡大した断面図を示している。この実施形態では、軸受本体2は焼結金属で形成されているため、凹部6の表面(ここでは内側面6a,6aと底面6b)には多数の開孔が存在すると共に、この表面は面粗さオーダーの凹凸を有する。これに対して、凹部6に隣接する第1軸受面4は、凹部6の表面に比べて平滑であり、また、表面開孔の割合も小さい。
上記構成の滑り軸受1の内周に軸8を挿入し回転させることで、軸8が滑り軸受1の第1軸受面4と第2軸受面5との少なくとも一方により支持される。ここで、図4(a)は、樹脂部3に形成された第2軸受面5により軸8からのラジアル荷重が支持される状態を示している。また、図4(b)は、焼結金属製の軸受本体2に形成した第1軸受面4により軸8からのラジアル荷重が支持される状態を示している。以下、双方の支持状態を詳細に説明する。
軸8からのラジアル荷重が比較的小さい場合、軸8の外周面8aは相対的に小径の第2軸受面5と優先的に摺動接触し、これにより軸8が第2軸受面5のみによって回転支持される。これに対して、軸8からのラジアル荷重が大きい場合、相対的に変形の容易な樹脂部3が軸8からのラジアル荷重を受けて半径方向に圧縮され、樹脂部3の内側に形成された第2軸受面5が外径側に変位(拡径)する。そして、当該ラジアル荷重が所定値に達した時点では、第2軸受面5を押し広げた状態の軸8の外周面8aが第1軸受面4と接触を開始する。このように、軸8からのラジアル荷重に応じて、言い換えると、第2軸受面5の拡径量に応じて、第2軸受面5によるラジアル荷重の支持と、第1軸受面4によるラジアル荷重の支持とが適宜に選択実現される。
この際、上述の如き支持状態が達成されるよう、軸受本体2や樹脂部3の設計がなされる。具体的には、第1軸受面4と第2軸受面5との内径寸法差(この図示例でいえば、凸曲面状をなす第2軸受面5の最小内接円半径と第1軸受面4の内径との差)や凹部6の深さ(例えば、0.2mm程度)、ひいてはこれらから定まる樹脂部3の半径方向厚み、もしくは、隣合う樹脂部3(第2軸受面5)間の円周方向間隔、樹脂部3の材料組成(剛性)などを、予め想定されるラジアル荷重の大きさや軸の外径に応じて設定することで、上述の支持状態が実現される。
また、この際、想定される温度範囲内における樹脂部3と軸受本体2双方の膨張・収縮を考慮して、樹脂部3の厚みや、軸受本体2の凹部6が形成される部分の厚み等を設定することも可能である。具体的には、樹脂部3における{樹脂材料の線膨張係数(単位:℃-1)}×{樹脂部3の半径方向厚み(単位:μm)}を0.15以下とすることで、より好ましくは0.13以下とすることで、さらに好ましくは0.10以下とすることで、樹脂部3の半径方向への膨張量と凹部6の拡径量とがほぼ釣り合う。その結果、樹脂部3の内側に設けた第2軸受面5の温度変化による寸法変化を小さく抑えて、高い軸受精度を維持することができる。
上記構成の滑り軸受1は、例えば原料となる金属粉末を圧粉成形する工程、圧粉成形体を焼結する工程、焼結体にサイジングを施す工程、および焼結体に樹脂部3を射出成形する工程とを経ることで製造することができる。この際、樹脂部3を射出成形するための凹部6は、例えば圧粉成形時に形成することができる。
圧粉成形には、例えばCu系やFe系、Cu−Fe系の金属粉末を原料粉末として用いることができる。また、樹脂部3の耐油性を考慮して、軸受本体2に潤滑油を含浸しないで使用する場合には、黒鉛や二硫化モリブデン等の粉末状固体潤滑剤を金属粉末に配合したものを原料粉末として用いることも可能である。もちろん、樹脂部3が十分な耐油性を備えた材料で形成されているのであれば、固体潤滑剤を配合せずとも、軸受本体2の内部に潤滑油を含浸させることで第1軸受面4の潤滑性を確保することができる。
また、樹脂部3には、種々の樹脂材料を使用することができ、特に摺動性に優れた材料を好適に使用することができる。固体潤滑剤や潤滑油を配合することも可能である。具体的には、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等のポリエチレン樹脂、変性ポリエチレン樹脂、水架橋ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ウレタン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂等を例示することができる。また、上記樹脂材料から選ばれた2種以上の材料の混合物、すなわちポリマーアロイなどを使用することもできる。
上記例示の樹脂材料のうち、低摩擦性の観点からポリエチレン樹脂が非常に好ましく、また、耐摩耗性の観点から超高分子量成分を含むポリエチレン樹脂が非常に好ましい。
また、上記樹脂材料に配合可能な固体潤滑剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、黒鉛、二硫化モリブデン、窒化硼素、二硫化タングステン等一般的な固体潤滑剤、スピンドル油、冷凍機油、タービン油、マシン油、ダイナモ油等の鉱油、炭化水素油、エステル油、ポリグリコール油、シリコーン油、フッ素化油等の合成油、一般に使用されている潤滑油等の油が挙げられる。また、これらの油を焼結金属製の軸受本体2に含浸させることで、第1軸受面の潤滑性向上を図ることも可能である。含浸は、真空含浸等の方法で行なうことができる。
この他、上記樹脂材料には、摩擦・摩耗特性を改善させたり、線膨張係数を小さくするために、適当な充填材を添加することもできる。具体的には、ガラス繊維、カーボン繊維、ピッチ系炭素繊維、ポリアクリロ二トリル系(PAN系)炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、ポリエステル繊維、ボロン繊維、炭化珪素繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、金属繊維、アスベスト、石英ウール等の繊維類やこれらを布状に編んだもの、炭酸カルシウムやタルク、シリカ、クレー、マイカ等の鉱物類、硼酸アルミニウムウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー等の無機ウィスカー類、カーボンブラック、黒鉛、ポリイミド樹脂やポリベンゾイミダゾール等の各種耐熱性樹脂が添加可能である。さらに、熱伝導性を向上させる目的で、カーボン繊維、金属繊維、黒鉛粉末、酸化亜鉛等を添加することもできる。炭酸リチウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、リン酸リチウム、リン酸カルシウム等のリン酸塩等を配合することもできる。
なお、本発明の効果を阻害しない配合量で一般合成樹脂に広く適用し得る添加剤を併せて配合することもできる。例えば離型剤、難燃剤、帯電防止剤、耐候性改良剤、酸化防止剤、着色剤等の工業用添加剤を適宜添加してもよく、これらを添加する方法も特に限定されるものではない。
さらに、第2軸受面5の潤滑性を確保できる限りにおいて、中間製品または最終製品の段階で、アニール処理等の化学的または物理的な処理による性質改善のための変性も可能である。
また、軸受本体2を焼結金属で形成する場合、軸受本体2に潤滑油等の液状潤滑剤を含浸して使用することができるが、この際、樹脂部3として発泡により内部に連通する多孔質構造を持たせた樹脂や、潤滑油との親和性に優れる樹脂、潤滑油を混合した状態で固化させることで分子間に潤滑油を保持させ、徐々に潤滑油が滲み出る物性をもたせた樹脂、多孔質構造を有する充填材を配合した樹脂等を採用することができる。
上記多孔質構造を有する充填材を配合した樹脂として、母材となる樹脂材料に連通孔を有する充填材を配合したものがあり、具体的には多孔質シリカ等の多孔質粉末等を挙げることができる。多孔質シリカとして好ましいものは、非晶質の二酸化ケイ素を主成分とする粉末である。例えば、一次粒子径が15nm以上の微粒子の集合体である沈降性シリカ、特開2000−143228号等に開示されている、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含有したケイ酸アルカリ水溶液を有機溶媒中で乳化し、二酸化炭素でゲル化させることにより得られる粒子径が3〜8nmの一次微粒子の集合体である真球状多孔質シリカ等が挙げられる。
本発明においては、粒子径が3〜8nmの一次微粒子が集合して真球状シリカ粒子を形
成した多孔質シリカが、連通孔を有しているため特に好ましい。連通孔を有する多孔質シリカであれば、樹脂内で潤滑油の導通路として作用するため、他の潤滑成分含有手段と比べて非常に優れた摩擦性(動摩擦係数が小さい)を得ることができ、また、軸受面への潤滑油の滲み出しも良好である。この真球状シリカ粒子の平均粒子径は、0.5〜100μmが好ましく、取扱い易さや摺動特性の付与を考慮した場合、1〜20μmが特に好ましい。
成した多孔質シリカが、連通孔を有しているため特に好ましい。連通孔を有する多孔質シリカであれば、樹脂内で潤滑油の導通路として作用するため、他の潤滑成分含有手段と比べて非常に優れた摩擦性(動摩擦係数が小さい)を得ることができ、また、軸受面への潤滑油の滲み出しも良好である。この真球状シリカ粒子の平均粒子径は、0.5〜100μmが好ましく、取扱い易さや摺動特性の付与を考慮した場合、1〜20μmが特に好ましい。
このような真球状多孔質シリカとしては、旭硝子(株)製;サンスフェア、鈴木油脂工業(株)製;ゴッドボール等が挙げられる。また、多孔質バルク状シリカとしては、(株)東海化学工業所製;マイクロイド等が挙げられる。
粒子径が3〜8nmの一次微粒子が集合した真球状シリカ粒子は、比表面積が200〜
900m2/g、好ましくは300〜800m2/g、細孔容積が1〜3.5ml/g、細孔径が5〜30nm、好ましくは20〜30nm、吸油量が150〜400ml/100g、好ましくは300〜400ml/100gの特性を有することが好ましい。また、水に浸漬した後に再度乾燥しても、上記細孔容積および吸油量が浸漬前の90%以上を保つことが好ましい。なお、上記の比表面積および細孔容積は窒素吸着法により、吸油量はJIS K 5101に準じて測定した値である。
900m2/g、好ましくは300〜800m2/g、細孔容積が1〜3.5ml/g、細孔径が5〜30nm、好ましくは20〜30nm、吸油量が150〜400ml/100g、好ましくは300〜400ml/100gの特性を有することが好ましい。また、水に浸漬した後に再度乾燥しても、上記細孔容積および吸油量が浸漬前の90%以上を保つことが好ましい。なお、上記の比表面積および細孔容積は窒素吸着法により、吸油量はJIS K 5101に準じて測定した値である。
上記真球状シリカ粒子として、その内部と外表面とがシラノール(Si−OH)で覆われているものが好ましい。潤滑剤を内部に保持しやすくなるためである。さらに、この種の多孔質シリカに対しては、母材に適した有機系・無機系等の表面処理を行なうことが可能である。また、粒子の形状は特に限定されず、平均粒子径、比表面積、吸油量等が上記真球状シリカ粒子の範囲内であれば、非球状多孔質シリカであっても使用できる。なお、摺動相手材への攻撃性や混練性の観点から、球状、真球状の粒子がより好ましい。
樹脂部3が充填形成される凹部6は、上述の如く軸受本体2の圧粉成形と同時に形成する他、焼結後、樹脂部3の射出成形の前にサイジングと同時に形成することもできるが、本実施形態のようにアンカー効果による樹脂部3との密着性を得ようとするのであれば、圧粉成形の段階で凹部6を形成しておくのが望ましい。樹脂部3の成形により切削粉を軸受本体2内部に封じ込めることができ、もしくは後処理により容易に切削粉を除去できる等、切削粉の発生が特に問題とならないのであれば、機械加工により凹部6を形成することも可能である。
また、密着性の観点から、射出成形の前に軸受本体2のサイジングを行う場合、凹部6の表面を除いて行うのがよい。焼結後サイジング前であれば凹部6の表面に多数の開孔が存在するためである。また、表面に面粗さオーダーの凹凸が残った状態で樹脂部3の射出成形を行うことによっても樹脂との固定力が増すためである。
また、樹脂部3の軸方向への抜け止めを図るための手段として、樹脂部3の軸方向一端もしくは両端に大径部を設けることも有効である。例えば図1に示すように、環状をなし、両端で軸受本体2と係合する大径部7を、各凹部6内に射出成形された複数の樹脂部3と連続して形成することができる。このように複数の樹脂部3を大径部7と合せて形成することにより、各樹脂部3を大径部7で連結すると共に、樹脂部3の軸受本体2からの抜け止めを図ることができる。
また、樹脂部3や凹部6は、例示の形態に限られることなく、種々の形態を採ることが可能である。図5はその一例を示すもので、同図に示す滑り軸受11において、軸受本体12の内周に形成される凹部16の形状、および凹部16に充填形成される樹脂部13の形状は、図1に示す滑り軸受1の凹部6および樹脂部3と異なっている。
具体的には、凹部16は傾斜溝状をなし、その両端がそれぞれ軸受本体12の両端面に開口する位置まで延びている。図5では、複数の傾斜溝状の凹部16が互いに並列配置されており、これら複数の凹部16に上記樹脂を射出成形することで凹部16と同数の樹脂部13が形成される。この際、凹部16の断面形状は、凹部16の成形性を考慮して略三角形状とするのが好ましい。
上述の如く凹部16および樹脂部13を形成することで、複数の第1軸受面14と、第1軸受面14より小径の複数の第2軸受面15とがそれぞれ形成される。この構成であれば、内周に挿通された軸が樹脂製の第2軸受面15と複数箇所で摺動接触することになるので、第2軸受面15と軸の接触領域が適度に分散される。これにより、第2軸受面15の耐久性を向上させて滑り軸受11の使用寿命を延ばすことが可能となる。あるいは、図示は省略するが、1本の傾斜溝状の凹部をスパイラル状に周回配置させ、このスパイラル状の凹部に樹脂部を充填形成することによっても、上述の作用と同様の作用を得ることが可能である。
また、図1や図5に例示の滑り軸受1,11では、何れも第2軸受面5,15が凸曲面状をなしているが、特にこの形状に限られることはない。軸8の外径や第1軸受面4の内径、樹脂部3(第2軸受面5)の間隔にもよるが、例えば凸半円状や凸円弧状、あるいは凹円弧状等の断面輪郭をなす第2軸受面5、もしくは樹脂部3とすることも可能である。
なお、図に例示の凹部6,16は何れも軸受本体2,12の軸方向両端に開口した形状をなしているが、一端のみに開口した形状であってもよい。また、凹部6,16の形状も特に溝形状に限られるものではない。圧粉成形時あるいはサイジング時に成形可能である限りにおいて、あるいは樹脂部を充填形成可能な限りにおいて種々の形状をなす凹部を形成することが可能である。
また、樹脂部は必ずしも凹部に形成する必要はない。ラジアル荷重に応じてその軸受形態を変更(軸受面を選択)可能である限りにおいて、種々の形態が可能である。軸受本体の真円状内周面に部分的に樹脂部を被覆形成することも可能である。ただし、この場合には、樹脂部との密着性を考慮して軸受本体を焼結金属で形成したほうがよい。あるいは、樹脂部との密着性が確保できるのであれば、あるいは軸との摺動性(低摩擦性)が確保できるのであれば軸受本体を内部空孔の無い金属材料で形成することも可能である。
以上の説明より、本実施形態はもちろん、本発明に係る滑り軸受であれば、高荷重と低荷重何れの荷重下においても優れた摺動性および耐摩耗性を発揮することができる。そのため、上述の如く、回転開始時から徐々にラジアル荷重が増加する負荷形態や、突発的に増加する形態などに好適に使用できる。また、受ける荷重の大きさが異なる複数の箇所に同一種類の滑り軸受を使用する場合などにも好適に使用することができる。
1、11 滑り軸受
2、12 軸受本体
3、13 樹脂部
4、14 第1軸受面
5、15 第2軸受面
6、16 凹部
7 大径部
8 軸
2、12 軸受本体
3、13 樹脂部
4、14 第1軸受面
5、15 第2軸受面
6、16 凹部
7 大径部
8 軸
Claims (7)
- 金属製の軸受本体の内周に第1軸受面および第2軸受面を有する滑り軸受であって、
前記第1軸受面は前記軸受本体の内周面で構成されると共に前記第2軸受面は前記軸受本体の内周に設けられた樹脂部の表面で構成され、かつ、前記第2軸受面は前記第1軸受面よりも小径に形成されており、
前記軸受本体の内周に挿通された軸からのラジアル荷重に応じて、該ラジアル荷重を前記第2軸受面で支持する状態と、前記ラジアル荷重を前記第1軸受面で支持する状態とを有する滑り軸受。 - 前記軸受本体の内周に凹部が形成され、該凹部に、前記樹脂部が充填形成されている請求項1に記載の滑り軸受。
- 前記樹脂部が潤滑成分を含有している請求項1に記載の滑り軸受。
- 前記凹部は溝状をなし、該溝状の凹部が前記軸受本体の少なくとも一端面にまで延びている請求項2に記載の滑り軸受。
- 請求項1に記載の滑り軸受の製造方法であって、
内周に前記第1軸受面および凹部を有する前記軸受本体を焼結金属で形成し、前記凹部に前記樹脂部を射出成形することで前記樹脂部に前記第2軸受面を形成する滑り軸受の製造方法。 - 焼結金属で形成した前記軸受本体の前記第1軸受面をサイジングした後に、前記樹脂部の前記凹部への射出成形を行う請求項5に記載の滑り軸受の製造方法。
- 前記凹部に前記樹脂部を射出成形した後に、前記第1軸受面と、前記第2軸受面となる前記樹脂部の表面とを共にサイジングする請求項5に記載の滑り軸受の製造方法。
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