JP2009097351A - エンジンの冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気式サーモスタット弁を用いてボア壁温度を制御することにより燃費効果を向上させるとともに、フェールセーフを達成できるエンジンの冷却装置を提供する。
【解決手段】主冷却水回路85のウォータポンプ15上流側に設けられ、開弁時には冷却水を主冷却水通路側に、閉弁時には冷却水を第1バイパス通路17側に流通させる第1サーモスタット弁25と、該ウォータポンプ15下流側に設けられ、開弁時には冷却水を主冷却水通路側に、閉弁時には冷却水を第2バイパス通路23側に流通させる電気式の第2サーモスタット弁27とを備えたエンジンの冷却装置1である。第1サーモスタット弁25は第2サーモスタット弁27よりも開弁開始温度が高く且つ全開温度が低く設定されている。第2サーモスタット弁27は、冷却水の温度及び電気ヒータ89の温度のうち高い方の温度に応じて開弁量が変化する。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンの冷却装置に関するものである。
従来から、シリンダブロック及びシリンダヘッドにウォータジャケットをそれぞれ形成し、冷却水の温度が低いときはシリンダブロックのウォータジャケットを迂回してシリンダヘッドのウォータジャケットにのみ冷却水を流通させ、さらに、冷却水の温度が高くなるとラジエータを介して冷却水を循環させるエンジンの冷却装置が知られている(例えば、特許文献1及び2)。このエンジンの冷却装置によれば、冷間始動時にシリンダヘッドと冷却水との熱交換が積極的に行われることから、冷却水の早期昇温を図れるとともに、シリンダブロックのウォータジャケットには冷却水が流通しないことから、シリンダブロックのシリンダライナ温度を速やかに上昇させることができる。したがって、冷間始動時における暖機運転が速やかに完了するとともに、シリンダブロックにおける燃費の低減を図ることができる。
この種のエンジンの冷却装置は、ラジエータへの冷却水の流通を制御するメインサーモスタット弁とは別に、冷却水等の温度に応じてシリンダブロック又はシリンダヘッドのウォータジャケットへの冷却水の流通を切り換えるサブサーモスタット弁を備えており、冷却水等の温度が所定温度以上になるとこのサブサーモスタット弁が開弁し、冷却水がシリンダブロックのウォータジャケットへ流通するよう構成されている。これにより、昇温したシリンダブロックが過度に高温となることが抑制されるので、シリンダブロックにおけるオイル消費の増加や、シリンダライナの焼き付き等を抑制できる。
このようなサブサーモスタット弁として、ワックス(熱膨張体)を内蔵したワックス・ペレット型のものが用いられることがあるが、ワックス・ペレット型サーモスタット弁では、冷却水の温度によりサブサーモスタット弁を開閉させてボア壁温度を制御するため、シリンダブロックのボア壁温度を適温に制御できないおそれがある。このため、燃費効果を向上させるためにシリンダブロックのボア壁温度の制御性を重視する場合には、温度センサにより検出したボア壁温度に基づいて、電力によって弁を開閉させる電気式サーモスタット弁が用いられる。
電気式サーモスタット弁にはモータ等の動力源を用いて弁を開閉させるものもあるが、動力源を用いるとサーモスタット弁自体のコストが上昇することから、従来のワックス・ペレット型サーモスタット弁に電気ヒータを取り付けて、このヒータの加熱によりワックスを膨張させて弁を開閉させるものが用いられることが多い。
特開平10−110654号公報 特開平6−193443号公報
ところで、上記エンジンの冷却装置においてサブサーモスタット弁として電気式サーモスタット弁を用いる場合、サブサーモスタット弁のワックスの開度特性は、図13に示すように、同じ開弁量(弁通路の面積)を得るためには、サブサーモスタット弁(図13の点線)の感温部の温度がメインサーモスタット弁(図13の実線)の感温部の温度よりも高くなるように設定される。このようにサブサーモスタット弁の開度特性を設定することにより、冷却水の温度によってサブサーモスタット弁がメインサーモスタット弁よりも先に開弁するのを防止できる。したがって、電気ヒータの加熱によるサブサーモスタット弁の開弁量の調整が可能となるので、シリンダライナ温度を高精度で制御することができる。
しかしながら、上記のようにサブサーモスタット弁の開度特性を設定すると、電気配線の断線等により電気ヒータが故障してサブサーモスタット弁を加熱できない場合には、サブサーモスタット弁が全く開かずシリンダブロックのウォータジャケットに冷却水が流れなくなる。そして、シリンダライナ温度が高温になっているにも拘わらず、シリンダブロックのウォータジャケットに冷却水が流通しない状態が続くと、エンジンのオーバーヒートを招くおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エンジンの冷却装置において、電気式サーモスタット弁を用いてボア壁温度を制御することにより燃費効果を向上させるとともに、フェールセーフを達成できる技術を提供することにある。
第1の発明は、シリンダブロックのウォータジャケット、シリンダヘッドのウォータジャケット、ラジエータ、ウォータポンプが冷却水の循環方向においてこの順に介設された主冷却水回路と、上記主冷却水回路に設けられ、ラジエータを迂回する第1バイパス通路と、上記主冷却水回路のウォータポンプ下流側から分岐し、上記シリンダブロックのウォータジャケットを迂回して上記シリンダヘッドのウォータジャケットと連通する第2バイパス通路とを備え、冷間始動時に冷却水を上記第1及び第2バイパス通路に流通させるエンジンの冷却装置であって、上記主冷却水回路の上記ウォータポンプ上流側に設けられ、冷却水の温度に応じて開閉し、開弁時には冷却水を上記主冷却水回路側に流通させる一方、閉弁時には冷却水を上記第1バイパス通路側に流通させる第1サーモスタット弁と、上記主冷却水回路の上記ウォータポンプ下流側に設けられ、電気ヒータを有する電気式第2サーモスタット弁とをさらに備え、上記第2サーモスタット弁は、冷却水の温度及び上記電気ヒータの温度のうち高い方の温度に応じて開閉し、開弁時には冷却水を上記主冷却水回路側に流通させる一方、閉弁時には冷却水を上記第2バイパス通路側に流通させるように構成され、上記第1サーモスタット弁の開弁開始温度が上記第2サーモスタット弁の開弁開始温度よりも高く設定されている一方、上記第1サーモスタット弁の全開温度が上記第2サーモスタット弁の全開温度よりも低く設定されていることを特徴とするものである。
第1の発明では、第1サーモスタット弁の開弁開始温度が第2サーモスタット弁の開弁開始温度よりも高く設定されるとともに、第2サーモスタット弁は冷却水の温度及び電気ヒータの温度のうち高い方の温度に応じて開弁量が変化する。これにより、電気ヒータが故障しても、冷却水の温度により第2サーモスタット弁が開弁するので、シリンダブロックのウォータジャケットに冷却水を流通させることができる。したがって、電気ヒータの故障時に最低限の走行状態を確保する、いわゆるリンプホームが可能となる。
また、第1サーモスタット弁の全開温度が第2サーモスタット弁の全開温度よりも低く設定されているので、温間域におけるボア壁温度を電気ヒータ加熱により高精度で制御することができる。
これらにより、シリンダブロックにおける燃費効果を向上させるとともに、フェールセーフを達成できる。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記第2サーモスタット弁の感温部の温度に対する開度特性線の傾きは、複数段階に変化して大きくなるものであり、該第2サーモスタット弁の開弁開始温度よりも高く且つ上記第1サーモスタット弁の開弁開始温度よりも低い第1所定温度未満では最も小さく、上記第1サーモスタット弁の開弁開始温度よりも高く且つ該第2サーモスタット弁の全開温度よりも低い第2所定温度以上では最も大きく、上記第2サーモスタット弁の開度特性線が、上記第1所定温度以上上記第2所定温度未満の温度範囲において上記第1サーモスタット弁の開度特性線と、上記ボア壁温度を高温に保持できるような開度量で交差していることを特徴とするものである。
第2の発明では、第2サーモスタット弁の感温部の温度が第1所定温度未満のときは、第2サーモスタット弁の開度特性線の傾きが小さいので、シリンダブロックのウォータジャケットへの冷却水の流通量が少なくなる。これにより、冷間始動時にシリンダブロックを高温に保持することができるとともに、シリンダヘッドと冷却水との熱交換が積極的に行われるので冷却水を早期に昇温させることができる。したがって、冷間始動時における暖機運転を速やかに完了させるとともに、冷間始動時における燃費の低減を図ることができる。
また、第2サーモスタット弁の感温部の温度が第2所定温度以上のときは、第2サーモスタット弁の開度特性線の傾きが大きいので、電気ヒータによる加熱温度を極めて高温にすることなくシリンダブロックのウォータジャケットへの冷却水の流通量を増大させることができる。これにより、ボア壁温度を制御する際の省電力化を図ることができる。
さらに、第2サーモスタット弁の感温部の温度に対する開度特性線が、第1サーモスタット弁の感温部の温度に対する開度特性線と第1所定温度以上第2所定温度未満の温度範囲においてボア壁温度を高温に保持できるような開度量で交差しているので、該温度範囲ではシリンダブロックのウォータジャケットに流通する冷却水が過度に増大するのを防ぐことができる。したがって、電気ヒータ加熱によるボア壁温度の制御精度を向上させることができる。
第3の発明は、上記第2の発明において、上記シリンダブロックのボア壁部に設けられ、ボア壁温度を検出する温度センサと、上記温度センサにより検出されたボア壁温度に応じて上記電気ヒータを作動させて上記第2サーモスタット弁の開弁量を調整することにより、上記ボア壁温度を所定の目標ボア壁温度に近づけるように制御する制御手段とをさらに備え、上記制御手段は、上記ボア壁温度が上記目標ボア壁温度よりも低い下限制御温度未満のときは、上記電気ヒータを作動させないことにより上記ボア壁温度を制御せず、上記ボア壁温度が上記下限制御温度以上で且つ上記目標ボア壁温度よりも高い上限制御温度以下のときは、上記電気ヒータを作動させて該電気ヒータの温度を上記第1所定温度以上上記第2所定温度未満とすることにより上記ボア壁温度をフィードバック制御し、且つ上記ボア壁温度が上記上限制御温度以上のときは、上記電気ヒータを作動させて該電気ヒータの温度を上記第2所定温度以上とすることにより上記ボア壁温度をフィードフォアード制御するように構成されていることを特徴とするものである。
これにより、ボア壁温度を制御しないときはフェールセーフを達成し、ボア壁温度をフィードバック制御するときは高精度の制御を行うとともに、ボア壁温度をフィードフォアード制御するときは省電力化を図ることができる。
第4の発明は、上記第1〜3のいずれか1つの発明において、上記第2サーモスタット弁は、冷却水を上記主冷却水回路側に流通させるための流通孔が形成された弁座と、弁体とを有し、上記弁座と上記弁体との間には、上記流通孔に冷却水を流通させるための弁通路が形成され、上記弁体は、上記第2サーモスタット弁の開弁時に、上記弁座から離れるように変位して上記弁通路を開くことにより冷却水を上記主冷却水回路側に流通させる一方、上記第2サーモスタット弁の閉弁時に、上記弁座に当接して上記流通孔を塞ぐことにより冷却水を上記第2バイパス通路側に流通させ、感温部の温度の変化に伴う上記第2サーモスタット弁の開弁時の上記弁通路の面積変化率は、複数段階に変化して大きくなるものであり、第1所定温度未満では最も小さく、第2所定温度以上では最も大きく設定されていることを特徴とするものである。
このように第2サーモスタット弁の弁通路の面積変化率を複数段階に変化させて大きくすることにより、シリンダブロックのウォータジャケットへの冷却水の流通量を複数段階に変化させて大きくすることができる。したがって、冷却装置の構造を複雑にすることなく、フェールセーフを達成し、ボア壁温度を高精度で制御し、且つ省電力化を図ることができる。
第5の発明は、上記第4の発明において、上記弁座は、上記流通孔が形成された円環状の弁座板を有し、上記弁体は、上記第2サーモスタット弁の閉弁時に上記弁座板に当接する円環状の底壁部と、該底壁部の内周縁部から弁体変位方向に延びて該内周縁部から離れるに従って径方向内側に傾斜し、上記流通孔に対し弁体変位方向に抜き差し可能な略筒状の立壁部とを有し、上記立壁部は、弁体変位方向における底壁部側に位置する第1立壁部と、弁体変位方向における底壁部側とは反対側に位置するとともに該第1立壁部よりも径方向内側に大きく傾斜する第2立壁部とからなり、上記弁通路は、上記弁座板と上記第1立壁部又は第2立壁部との間に形成されるものであり、上記第1立壁部及び第2立壁部は、上記第2サーモスタット弁の開弁時に上記弁座板から離れるように変位して上記弁通路を開き、上記第1立壁部の弁体変位方向長さが、上記第2サーモスタット弁の感温部の温度が上記第1所定温度のときに該第1立壁部が上記流通孔から抜けるような長さに設定され、上記第2立壁部の弁体変位方向長さが、上記第2サーモスタット弁の感温部の温度が上記第2所定温度のときに該第2立壁部が上記流通孔から抜けるような長さに設定されていることを特徴とするものである。
第5の発明によれば、第2サーモスタット弁の弁体に内側に2段階に傾斜した略筒状の弁体壁部を備えるだけの簡単な構造で、弁通路面積変化率を3段階に変化させて大きくすることができる。
本発明によれば、電気ヒータが故障しても冷却水の温度により第2サーモスタット弁が開弁するので、フェールセーフを達成できるとともに、温間域におけるボア壁温度を電気ヒータ加熱により高精度で制御することができるので、シリンダブロックにおける燃費効果を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
−冷却装置の全体構成−
図1は、本実施形態に係るエンジンの冷却装置1の構成を模式的に示す。この冷却装置1は、エンジンの本体部3を構成するシリンダブロック5及びシリンダヘッド7にそれぞれ形成された冷却水通路としてのウォータジャケット9,11と、外気によって冷却水を冷やすために車両の前部等に配設されたラジエータ13と、冷却水を循環させるウォータポンプ15と、感温部の温度(以下感温温度という)が高くなると開弁して冷却水の循環系統を切り換える第1及び第2サーモスタット弁25,27とを備えている。本発明で言うところの主冷却水回路85とは、シリンダブロック5のウォータジャケット9、シリンダヘッド7のウォータジャケット11、ラジエータ13及びウォータポンプ15を冷却水の循環方向においてこの順に介設したものである。
上記シリンダブロック5のウォータジャケット9は、4つのシリンダs1〜s4の外周を囲むようにシリンダブロック5の気筒列方向のほぼ全体に亘って形成されている。
また、シリンダブロック5のウォータジャケット9は、このシリンダブロック5のトップデッキに形成された連通孔部5aと、シリンダヘッド7のボトムデッキに形成された連通孔部7aとを介して、シリンダヘッド7のウォータジャケット11に連通している。このため、シリンダブロック5のウォータジャケット9を流れる冷却水は、順次シリンダヘッド7のウォータジャケット11に流通するようになっている。
上記シリンダヘッド7のウォータジャケット11は、各シリンダs1〜s4の吸排気ポートやプラグホール(図示せず)の外周を包み込むようにしてシリンダヘッド7の気筒列方向のほぼ全体に亘って形成されている。
シリンダヘッド7のウォータジャケット11の流出口11aと、ウォータポンプ15の吸入口15aとは、上記第1サーモスタット弁25を介して、2系統のルートで接続されている。第1のルートは、シリンダヘッド7のウォータジャケット11の流出口11aと上記ラジエータ13とを接続する第1冷却水通路19、ラジエータ13と第1サーモスタット弁25とを接続する第2冷却水通路21、及び第1サーモスタット弁25と上記ウォータポンプ15の吸入口15aとを接続する第3冷却水通路17を順に通るものである。
また、第2のルートは、第1サーモスタット弁25の閉弁時に第1サーモスタット弁25内に形成され、ラジエータ13を迂回する第1バイパス通路(弁通路)71(図4参照)、及び第3冷却水通路17を通るものである。なお、第3冷却水通路17には、冷却水を導入して空調風との間で熱交換して暖房風とする暖房用熱交換器としてのヒータコア29と、冷却水と変速機(図示せず)の潤滑油との間で熱交換するオイルウォーマ31とが備えられている。
上記ウォータポンプ15の吐出口15bは、上記第2サーモスタット弁27を介して、シリンダブロック5のウォータジャケット9の流入口9aと接続されている。さらに、ウォータポンプ15の吐出口15bは、第2バイパス通路23によりシリンダヘッド7のウォータジャケット11の流入口11bとも接続されている。この第2バイパス通路23は、ウォータポンプ15下流側の第2サーモスタット弁27を介して分岐し、且つシリンダブロック5のウォータジャケット9を迂回してシリンダヘッド7のウォータジャケット11と連通している。
冷却装置1は、シリンダブロック5のボア壁温度を検出する温度センサ87と、第2サーモスタット弁27を加熱する電気ヒータ89と、ボア壁温度を制御する制御手段としてのエンジンコントロールユニット(以下、ECUという)91とをさらに備えている。
上記温度センサ87は、シリンダブロック5のウオータジャケット9において、2番シリンダs2に対応するボア壁部に(即ち、気筒列方向の端部に位置する1番、4番シリンダs1,s4以外のいずれか1つのシリンダに対応付けて)配設されており、これにより、ウオータジャケット5の温度差がかなり大きくなる状態でも、その平均的な温度を検出できるようになっている。
上記電気ヒータ89は、後述する第2サーモスタット弁の感温ケース53(図6及び図7参照)内に配置されており、感温ケース53内の熱膨張体を直接加熱するようになっている。
上記ECU91は、周知の如くCPUやメモリ、I/Oインターフェース回路、ドライバ回路等を備えて、エンジンの運転制御のために各シリンダs1〜s4毎の燃料噴射制御や点火時期制御を行うものであるが、これに加えて、エンジンの温度及び負荷状態に応じて、電気ヒータ89を作動させるようになっている。
以上のように構成されたエンジンの冷却装置1における冷却水の全体的な流れは、主冷却水回路85のウォータポンプ15上流側に設けられた第1サーモスタット弁25及びウォータポンプ15下流側に設けられた第2サーモスタット弁27の開閉に応じて、図2及び図3に模式的に示すように変化する。
図2は、第1サーモスタット弁(メインサーモスタット弁)25及び第2サーモスタット弁(サブサーモスタット弁)27がともに開いているときの冷却水の流れを示している。ウォータポンプ15から吐出された冷却水は、第2サーモスタット弁27を通り、シリンダブロック5のウォータジャケット9に送られる。そして、冷却水はシリンダブロック5のウォータジャケット9内を流れるとともにシリンダヘッド7のウォータジャケット11にも流れ、第1冷却水通路19を通ってラジエータ13に至る。ラジエータ13で冷却された冷却水は、第2冷却水通路21、第1サーモスタット弁25、及び第3冷却水通路17を順に通ってウォータポンプ15に戻る。つまり、第1及び第2サーモスタット弁25,27がともに開いているときは、冷却水は主冷却水回路85を循環する。
図3は、第1及び第2サーモスタット弁25,27がともに閉じているときの冷却水の流れを示している。ウォータポンプ15から吐出された冷却水は、第2サーモスタット弁27及び第2バイパス通路23を順に通って、シリンダヘッド7のウォータジャケット11に送られる。そして、シリンダヘッド7のウォータジャケット11から流出した冷却水は、第1バイパス通路71及び第3冷却水通路17を順に通ってウォータポンプ15に戻る。
−サーモスタット弁の構成−
以下、上記第1及び第2サーモスタット弁25,27の構成を詳細に説明する。
<第1サーモスタット弁>
第1サーモスタット弁25は、冷却水の温度に応じて開閉するワックス・ペレット型サーモスタット弁であり、図4はその閉弁時の状態を、また図5はその開弁時の状態をそれぞれ示している。第1サーモスタット弁25は、第2冷却水通路21の一部を構成するパイプ状のハウジング33内に取り付けられていて、第1サーモスタット弁25の開弁時に冷却水を弁通路65を介して第3冷却水通路17(主冷却水回路85側)に流通させる主弁部35と、第1サーモスタット弁25の閉弁時に冷却水を第1バイパス通路71を介して第3冷却水通路17に流通させるバイパス弁部37とを有しており、該第1サーモスタット弁25をハウジング33に固定するサーモスタット基体部39と、このサーモスタット基体部39に対し後述する弁体変位方向に相対変位するサーモスタット本体部41とを備えている。
上記サーモスタット基体部39は、ハウジング33に取り付けられるとともに主弁部35の一部をなす弁座43と、この弁座43よりもシリンダヘッド7側(弁体変位方向一方側)に設けられたスプリング支持部45と、弁座43に対しスプリング支持部45とは反対側(弁体変位方向他方側)に設けられた軸支持部47とを備えている。
上記弁座43は、円環状の支持板43aと円環状の弁座板43cと略筒状の立壁部43bとを有している。
上記支持板43aは、その外周縁部がハウジング33に埋め込まれることにより、該ハウジング33に固定されている。上記弁座板43cは、その外径が支持板43aの内径よりも小さく、支持板43aと平行に且つ支持板43aよりも弁体変位方向一方側に配置さている。この弁座板43cの内周縁が冷却水を主冷却水回路85側に流通させるための流通孔49を区画している。上記立壁部43bは、支持板43aの内周縁と弁座板43cの外周縁とを全周に亘って連結している。換言すれば、弁座43は、弁体変位方向他方側端部に外側に延出するフランジ(支持板43a)を有するとともに弁体変位方向一方側端部に内側に延出するフランジ(弁座板43c)を有する略円錐筒状をなしている。
上記スプリング支持部45及び上記軸支持部47は支持板43aを介してハウジング33に取り付けられている。これらの支持部45,47はともに骨組構造体であり、冷却水の流通を遮らない構造となっている。
一方、上記サーモスタット本体部41は、ピストンロッド51と感温ケース(感温部)53とを備えている。
上記ピストンロッド51は、弁体変位方向に延びており、その弁体変位方向他方側端部が軸支持部47に固定されていて、弁座板43cに対し垂直にかつ流通孔49を貫通するように配置されている。また、ピストンロッド51の弁体変位方向一方側端部には有底筒状のシール部材57が装着されている。
上記感温ケース53は有底有蓋円筒状の胴部59を有し、その底部(弁体変位方向他方側端部)には貫通孔59aが形成されるとともに、蓋部(弁体変位方向一方側)には円筒軸方向に延びるロッド部59bが突設されている。この貫通孔59aにはシール部材57で覆われたピストンロッド51が挿入されており、これにより、感温ケース53がピストンロッド51に沿ってロッド軸方向(弁体変位方向)に移動可能となっている。シール部材57と感温ケース53の間には、熱膨張体であるワックス55が充填されている。
さらに、感温ケース53は、その胴部59に略円環板状の主弁体61を備えるとともに、そのロッド部59bに略円環板状のバイパス弁体63を備えている。
上記主弁体61は、その内周縁部が胴部59に固定されるとともに、上記弁座板43cと略同じ外径を有している。主弁体61は、上記弁座43とともに上記主弁部35を構成しており、感温ケース53の移動に伴って弁開閉方向(弁体変位方向)に変位する。主弁体61の弁体変位方向一方側面には、上記スプリング支持部45に支持された主スプリング67が取り付けられている。これにより、感温ケース53は主スプリング67によって常時弁体変位方向他方側に付勢されている。
上記バイパス弁体63はロッド部59bに移動可能に取り付けられるとともに、シリンダヘッド7側のパイプ状のハウジング69の内径よりも大きな外径を有しており、シリンダヘッド7側のハウジング69の段差部69aとともにバイパス弁部37を構成する。バイパス弁体63は、胴部59の蓋部とバイパススプリング73で接続されており、このバイパススプリング73により常時弁体変位方向一方側に付勢される一方、ロッド部59bに固定されたストッパーリング75によりロッド部59bから抜けないようになっている。
上記ワックス55は、感温ケース53を介して伝わる冷却水の温度が高くなったときには膨張し、冷却水の温度が低くなったときには収縮する。ワックス55の充填量は、冷却水の温度が第3所定温度T3以上のときは主弁体61がワックス55の膨張力により主スプリング67の付勢力に抗して弁座板43cから離れるように弁体変位方向一方側に変位し、かつ、冷却水の温度が第3所定温度T3未満のときは主弁体61が主スプリング67の付勢力により弁座板43cに当接するような値に設定されている。
以上のように構成された第1サーモスタット弁25は、冷却水の温度が第3所定温度T3未満のときは、図4に示すように、主スプリング67の付勢力により主弁部35が閉弁するとともにバイパス弁部37が開弁して、冷却水を第1バイパス通路71に流通させる。より具体的には、以下の通りである。
冷却水の温度が第3所定温度T3未満のときはワックスが膨張しないので感温ケース53は移動しない。このため、主弁体61が主スプリング67の付勢力によって弁座板43cに当接して流通孔49を塞ぐことにより、主弁部35が閉弁する。このとき、バイパス弁体63がハウジング69の段差部69aから離れるように弁体変位方向他方側に変位しており、ハウジング69の段差部69aとの間の弁通路71が開くことにより、バイパス弁部37が開弁する。これらにより、第1サーモスタット弁25が閉弁し、冷却水が第1バイパス通路71を通って第3冷却水通路17側に流通する。
一方、第1サーモスタット弁25は、冷却水の温度が第3所定温度T3以上のときは、図5に示すように、ワックス55の膨張力により主弁部35が開弁するとともにバイパス弁部37が閉弁して、冷却水を第1冷却水通路19に流通させる。より具体的には、以下の通りである。
冷却水の温度が第3所定温度T3以上のときはワックスが膨張するので、主スプリング67の付勢力に抗して感温ケース53が弁体変位方向一方側に移動する。このため、主弁体61がワックス55の膨張力によって弁座板43cから離れるように弁体変位方向一方側に変位して弁座板43cとの間の弁通路65を開き流通孔49に冷却水が流通されることにより、主弁部35が開弁する。このとき、バイパス弁体63がハウジング69の段差部69aに当接することにより、バイパス弁部37が閉弁する。これらにより、第1サーモスタット弁25が開弁し、冷却水が第1冷却水通路19及び第2冷却水通路21を通って第3冷却水通路17(主冷却回路85側)に流通する。
ここで、主弁部35の弁通路65は、弁座板43cの流通孔49に冷却水を流通させるために、主弁体61が弁体変位方向一方側に移動することにより弁座板43cと主弁体61との間に形成される通路であり、その通路面積は、弁体変位方向(弁開閉方向)における弁座板43cと主弁体61との間隔、すなわち、弁座板43cに対する主弁体部61の変位量に比例して大きくなる。
<第2サーモスタット弁>
第2サーモスタット弁27は、主弁体79の形状及び感温ケース53内に電気ヒータが内蔵されている点が第1サーモスタット弁25と異なるものである。以下、第1サーモスタット弁25と異なる点について説明する。なお、図6及び図7では、電気ヒータ89やその電気配線等は、図を見易くするために図示を省略している。
第2サーモスタット弁27は、電気ヒータ89を有し、冷却水の温度及び上記電気ヒータ89の温度のうち高い方の温度に応じて開閉する電気式サーモスタット弁であり、図6はその閉弁時の状態を、また図7はその開弁時の状態をそれぞれ示している。第2サーモスタット弁27は、ウォータポンプ15とシリンダブロック5のウォータジャケット9との接続部を構成するパイプ状のハウジング77内に取り付けられており、第2サーモスタット弁27の開弁時に冷却水を弁通路81に通してシリンダブロック5のウォータジャケット9側(主冷却水回路側)に流通させる主弁部35と、第2サーモスタット弁27の閉弁時に冷却水を弁通路87に通して第2バイパス通路23側に流通させるバイパス弁部37とを有している。
第2サーモスタット弁27のワックス55は、その感温温度が上記第3所定温度T3よりも極めて低い第4所定温度T4以上のときに膨張するように設定されている。また、第2サーモスタット弁27には、ピストンロッド51の弁体変位方向一方側を覆うロッドカバー93が設けられており、該ロッドカバー93内には上記ECU91と電気ヒータ89とを接続する電気配線が収められている。電気ヒータ89は、胴部59の底部(弁体変位方向一方側端部)とワックス55との間に配置され、ロッドカバー93内の電気配線を介して送られるECU91からの電気信号によりワックス55を加熱する。
第2サーモスタット弁27は、感温ケース53の胴部59に略円錐筒状の主弁体79を備えている。主弁体79は、弁座43とともに主弁部35を構成するものであり、略円環状の頂壁部79aと円環状の底壁部79cと略筒状の立壁部79bとを有している。
上記頂壁部79aは、その内周縁部が胴部59に固定され且つ弁座板43cの内径よりも小さい外形を有している。上記底壁部79cは、弁座板43cと同形同大であり、頂壁部79aと平行に且つ頂壁部よりも弁体変位方向他方側(シリンダブロック5側と反対側)に配置されている。上記立壁部79bは、頂壁部79aの外周縁と底壁部79cの内周縁とを全周に亘って連結している。
立壁部79bは、弁体変位方向の底壁部79c側から頂壁部79a側に向かうほど、すなわち、底壁部79cの内周縁部から離れるに従って筒径方向内側に傾斜しており、流通孔49に対し弁体変位方向(弁開閉方向)に抜き差し可能になっている。この立壁部79bは、弁体変位方向他方側(底壁部79c側)に位置する第1立壁部79b1と、弁体変位方向一方側(頂壁部79a側)位置する第2立壁部79b2とからなっており、第2立壁部79b2は第1立壁部79b1よりも径方向内側に大きく傾斜している。第1立壁部79b1の弁体変位方向長さは、第2サーモスタット弁27の感温温度が第4所定温度T4よりも高く且つ第3所定温度T3よりも低い第1所定温度T1のときに第1立壁部79b1が流通孔49から抜けるような長さに設定されている。また、第2立壁部79b2の弁体変位方向長さは、第2サーモスタット弁27の感温温度が第3所定温度T3よりも高く且つ第2サーモスタット弁27の全開(最大開弁)温度(第6所定温度T6)よりも低い第2所定温度T2のときに第2立壁部79b2が流通孔49から抜けるような長さに設定されている。さらに、第1立壁部79b1及び第2立壁部79b2の傾斜角は、弁体変位方向に対し45度以下の緩い傾斜角となっている。
頂壁部79aの弁体変位方向他方側面にはスプリング支持部45に支持された主スプリング67が取り付けられており、これにより、感温ケース53は常時弁体変位方向一方側(シリンダブロック5側)に付勢されている。
以上のように構成された第2サーモスタット弁27は、その感温温度が第4所定温度T4未満のときは、図6に示すように、主スプリング67の付勢力により主弁部35が閉弁するとともにバイパス弁部37が開弁して、冷却水を第2バイパス通路23に流通させる。より具体的には、以下の通りである。
第2サーモスタット弁27の感温温度が第4所定温度T4未満のときはワックスが膨張しないので感温ケース53は移動しない。このため、底壁部79cが主スプリング67の付勢力によって弁座板43cに当接するとともに立壁部79bが流通孔49に差し込まれて流通孔49を塞ぐことにより、主弁部35が閉弁する。このとき、バイパス弁体63が第2バイパス通路23の段差部23aから離れるように弁体変位方向一方側に変位しており、該段差部23aとの間の弁通路87が開くことにより、バイパス弁部37が開弁する。これらにより、第2サーモスタット弁27が閉弁し、冷却水が第2バイパス通路23側に流通する。
一方、第2サーモスタット弁27の感温温度が第4所定温度T4以上のときは、ワックス55の膨張力により主弁部35が開弁するとともにバイパス弁部37が閉弁して、冷却水をシリンダブロック5のウォータジャケット9に流通させる。より具体的には、以下の通りである。
第2サーモスタット弁27の感温温度が第4所定温度T4以上のときはワックスが膨張するので、主スプリング67の付勢力に抗して感温ケース53が弁体変位方向他方側に移動する。このため、感温温度が第1所定温度T1以下のときには第1立壁部79b1が、また感温温度が第2所定温度T2以下のときには第2立壁部79b2が、ワックス55の膨張力によって弁座板43cから順次抜ける(離れる)ように弁体変位方向他方側に変位して弁座板43cとの間の弁通路81を開き流通孔49に冷却水が流通されることにより、主弁部35が開弁する。このとき、バイパス弁体63は第2バイパス通路23の段差部69a側に変位することにより、バイパス弁部37は若干閉じ加減の開弁状態となる。これらにより、第2サーモスタット弁27が開弁し、冷却水がシリンダブロック5のウォータジャケット9側(主冷却回路85側)に流通する。
ここで、主弁部35の弁通路81は、弁座板43cの流通孔49に冷却水を流通させるために、主弁体79が弁体変位方向他方側に移動することにより弁座板43cと立壁部79b(第1立壁部79b1又は第2立壁部79b2)との間に形成される通路である。そして、弁通路81の通路面積は、弁座板43cに対する主弁体79の変位量に比例して大きくなるのではなく、弁座板43cの径方向における、弁座板43cと第1立壁部79b1又は第2立壁部79b2との間隔に比例して大きくなる。さらに、立壁部79bの傾斜角が主弁体79の変位方向に対し45度以下であることから、弁座板43cの径方向における、弁座板43cと第1立壁部79b1又は第2立壁部79b2との間隔は、弁体変位方向における弁座板43cに対する主弁体79の変位量よりも小さくなる。
第2サーモスタット弁27の感温温度が第1所定温度T1になると、第1立壁部79b1が流通孔49から抜けて、弁通路81が弁座板43cと第1立壁部79b1よりも径方向内側に傾斜した第2立壁部79b2との間に形成されることから、主弁部35の弁通路面積変化率が大きくなる。そして、感温温度が第2所定温度T2になると、第2立壁部79b2が流通孔49から抜けることから、主弁部35の弁通路面積は、第1サーモスタット弁25と同様に、弁座板43cに対する主弁体79の変位量に比例して大きくなる。すなわち、感温温度の変化に伴う第2サーモスタット弁27の開弁時の弁通路81の面積変化率は、3段階に変化して大きくなるものであり、感温温度が第1所定温度T1未満では最も小さく、第2所定温度T2以上では最も大きく設定されている。したがって、第2サーモスタット弁27の感温温度に対する開度特性線の傾きは、3段階に変化して大きくなり、感温温度が第1所定温度T1未満では最も小さく、感温温度が第2所定温度T2以上では最も大きくなる。
−サーモスタット弁の特性−
以下、上記第1及び第2サーモスタット弁25,27の特性について詳細に説明する。
図8は、感温温度に対する第1及び第2サーモスタット弁25,27の弁通路面積の変化を示す図であり、図中の実線は第1サーモスタット弁25の特性を、図中の点線は第2サーモスタット弁27の特性をそれぞれ示している。
図8に示すように、第1サーモスタット弁25の開弁開始温度(第3所定温度T3)は第2サーモスタット弁27の開弁開始温度(第4所定温度T4)よりも高く設定されている一方、第1サーモスタット弁25の全開温度(第5所定温度T5)は第2サーモスタット弁27の全開温度(第6所定温度T6)よりも低く設定されている。
第1サーモスタット弁25の開弁開始温度を第2サーモスタット弁27の開弁開始温度よりも高く設定するのは、電気ヒータ89の故障時に冷却水がシリンダブロック5のウォータジャケット9に流れなくなるのを回避するためである。仮に第1サーモスタット弁25が第2サーモスタット弁27よりも先に開弁すると、第2サーモスタット弁27にはラジエータ13により冷却された冷却水が流れることから、第2サーモスタット弁27が開かなくなり、シリンダライナ温度が高温になってエンジンのオーバーヒートを招くおそれがある。そこで、本実施形態では、第2サーモスタット弁27を第1サーモスタット弁25よりも先に開弁させて、フェールセーフを達成できるようにしている。
一方、第1サーモスタット弁25の全開温度を第2サーモスタット弁27の全開温度よりも低く設定するのは、第2サーモスタット弁27が第1サーモスタット弁25よりも先に全開するを防ぎ、電気ヒータ89の加熱による第2サーモスタット弁27の開度量の調整が困難となるのを防止するためである。
ここで、第6所定温度T6は第5所定温度T5よりも4℃以上高く設定することが望ましい。その理由は、以下の通りである。
サーモスタット弁25,27に内蔵されるワックス55は不純物を含有させることにより、開弁開始温度や全開温度を調整することができるが、設定温度に対しプラスマイナス2℃程度の誤差が不可避的に生じる場合がある。このため、例えば、第6所定温度T6と第5所定温度T5との差を3℃に設定した場合に、第1サーモスタット弁25がプラス2℃の誤差を有し、第2サーモスタット弁27がマイナス2℃の誤差を有していると、第2サーモスタット弁27の全開温度が第1サーモスタット弁25の全開温度よりも高くなり、第2サーモスタット弁27が第1サーモスタット弁25よりも先に全開するおそれがある。したがって、第6所定温度T6と第5所定温度T5の差を4℃以上とすることにより、第1サーモスタット弁25がプラス2℃の誤差を有し、第2サーモスタット弁27がマイナス2℃の誤差を有しているときでも、電気ヒータ89の加熱による第2サーモスタット弁27の開度量の調整を可能としている。
また、第2サーモスタット弁27の感温温度に対する開度特性線の傾きは、感温温度が高くなるに従って3段階に変化して大きくなり、感温温度が第1所定温度T1未満では最も小さく、感温温度が第2所定温度T2以上では最も大きくなる。さらに、第2サーモスタット弁27の感温温度に対する開度特性線は、第1所定温度T1以上第2所定温度T2未満の温度範囲において第1サーモスタット弁の感温温度に対する開度特性線とボア壁温度を高温に保持できるような開度量(小さい開度量)で交差するように設定されている。その理由は、以下の通りである。
本実施形態の冷却装置1では、冷却水の温度が第1所定温度T1よりもさらに低い第4所定温度T4のときに第2サーモスタット弁27の開弁を開始させている。このように第2サーモスタット弁27を早期に開弁させることにより、電気配線の断線等により電気ヒータ89が故障してもフェールセーフを達成し、リンプホームが可能となる。しかしながら、シリンダブロック5が高温になっていない状態で、シリンダブロック5のウォータジャケット9に冷却水を流通させると、シリンダブロック5の昇温が促進されない。そこで、感温温度が第1所定温度T1未満のときは第2サーモスタット弁27の開弁時の冷却水流量変化率を小さくして、冷間始動時におけるシリンダブロック5のウォータジャケット9への冷却水の流通量を少なくしたのである。
また、第2サーモスタット弁27の感温温度が第1所定温度T1以上のときは第1所定温度T1未満のときよりもシリンダブロック5のウォータジャケット9に流通させる冷却水の量を増やし積極的にボア壁温度の制御を行うが、第2サーモスタット弁27の開度特性を大きくし過ぎると、ボア壁温度を高温に保持し難くなるとともに、制御精度を高めることが困難となる。つまり、第2サーモスタット弁27の感温温度に対する冷却水流量変化率を大きくし過ぎると、ボア壁温度が直ちに下降するとともに、ボア壁温度を目標温度に近づけるために電気ヒータ89の温度を少し上昇させるだけで、シリンダブロック5のウォータジャケット9に大量の冷却水が流通するので、温度の微調整が困難となるのである。したがって、第2サーモスタット弁27の感温温度に対する開度特性線の傾きを第1所定温度T1未満のときよりも大きくする一方、第2サーモスタット弁27の感温温度に対する開度特性線が、第1所定温度T1以上第2所定温度T2未満の温度範囲において第1サーモスタット弁の感温温度に対する開度特性線とボア壁温度を高温に保持できるような開度量で交差するように設定したのである。
さらに、シリンダブロック5のボア壁温度が目標温度よりも極めて高い場合には、シリンダブロック5のウォータジャケット9に流通させる冷却水を直ぐに増大させる必要があるが、第2サーモスタット弁27の感温温度に対する開度特性線の傾きが小さいと、第2サーモスタット弁27を全開させるまでに時間がかかり応答遅れによる信頼性の低下を招くとともに、大量の電力を消費することになる。そこで、第2サーモスタット弁27の感温温度に対する開度特性線の傾きを、第2所定温度T2以上では最も大きく設定して、信頼性を確保するとともに、省電力化を図っているのである。
−ボア壁温度の制御方法−
図9は、シリンダブロック5のボア壁温度とその制御方法との関係を模式的に示す図である。本発明のエンジンの冷却装置1では、シリンダブロック5における燃費効率の最大化を図るために、上記ECU91が、上記温度センサ87により検出されるボア壁温度に応じて該ボア壁温度の制御方法を決定し、この決定された制御方法に従って第2サーモスタット弁27の開弁量を調整することにより、シリンダブロック5のボア壁温度を所定の目標ボア壁温度t1に近づけるように制御する。より具体的には、以下の通りである。
ECU91は、上記温度センサ87により検出されたシリンダブロック5の実ボア壁温度、及び充填効率を信号として受ける。そしてエンジンの始動前に入力されている目標ボア壁温度t1に基づき、目標ボア壁温度t1よりも所定温度Δtだけ温度が低い下限制御温度t2(t1−Δt)と、目標ボア壁温度t1よりも所定温度Δtだけ温度が高い上限制御温度t3(t1+Δt)とを設定する。
そして、検出された実ボア壁温度が下限制御温度t2未満のときは、フラグFをオフの状態にする(F=0)。このとき、ECU91はボア壁温度を制御しないことを決定し、上記電気ヒータ89を作動させず第2サーモスタット弁27の感温部を加熱しない。ただし、Fが0のときでも、シリンダブロック5が高負荷で使用されており、充填効率が第1基準値を超えている場合には、ボア壁温度をフィードフォアード制御する。
また、実ボア壁温度が下限制御温度t2以上上限制御温度t3以下のときは、フラグFをオンの状態にする(F=1)。このとき、ECU91はボア壁温度をフィードバック制御することを決定し、電気ヒータ89を作動させて該電気ヒータ89の温度を上記第1所定温度T1以上上記第2所定温度T2未満とし、第2サーモスタット弁27の感温部を加熱することによりフィードバック制御を行う。フィードバック制御にはPI制御則が用いられ、目標ボア壁温度t1に対する応答性をP項(比例項)によって高めるとともに、P項による残偏差をI項(積分項)によって収束させることにより、実ボア壁温度を目標ボア壁温度t1に近づける。ただし、Fが1のときでも、シリンダブロック5が高負荷で使用されており、充填効率が第2基準値を超えている場合には、ボア壁温度をフィードフォアード制御する。
さらに、実ボア壁温度が上限制御温度t3を超えているときは、フラグFをオンの状態にする(F=2)。このとき、ECU91はボア壁温度をフィードフォアード制御することを決定し、ECU91は電気ヒータ89を作動させて該電気ヒータ89の温度を第2所定温度T2以上とすることによりフィードフォアード制御を行う。
−制御装置の動作−
以下に、図10に示すフローチャートを用いながら、ECU91の動作について説明する。
まず、ステップS1では、シリンダブロック5の目標ボア壁温度t1を設定する。本実施形態における目標ボア壁温度t1は150℃である。また、所定温度Δtは10℃に設定されており、下限制御温度t2は140℃、上限制御温度t3は160℃となる。次に、ステップ2では、温度センサ87により検出されたシリンダブロック5の実ボア壁温度、及び充填効率を読み込む。
続くステップS3において、温度センサ87により検出された実ボア壁温度が下限制御温度t2未満であるか、具体的には、実ボア壁温度が140℃未満であるか否かを判定する。実ボア壁温度が140℃未満(ステップS3の判定結果がYES)の場合には、ボア壁温度の制御を実行する必要がないことから、ステップS5に進んで制御フラグFをオフの状態にする(F=0)。実ボア壁温度が140℃以上(ステップS3の判定結果がNO)の場合には、ステップS4に進んで実ボア壁温度が上限制御温度t3、すなわち、160℃以下であるか否かを判定する。
実ボア壁温度が160℃以下(ステップS4の判定結果がYES)である場合には、燃費効率を向上させるためにボア壁温度を目標ボア壁温度t1に収束させるべき状態であることから、ステップS6に進んで制御フラグFをオンの状態にする(F=1)。実ボア壁温度が160℃を超えている(ステップS4の判定結果がNO)場合には、シリンダブロック5のボア壁を直ぐに冷却すべき状態であることから、ステップS7に進んで制御フラグFをオンの状態にする(F=2)。ステップS5〜7において制御フラグFのオンオフ状態が決定されると、ステップS8に進み、目標ボア壁温度t1と実ボア壁温との差である偏差の計算を実行する。
続くステップS9において、制御フラグFが0であるか否かを判定する。ステップS9の判定結果がNOの場合には、ステップS10に進んで制御フラグFが1であるか否かを判定する。ステップS10の判定結果がNOの場合、すなわち、Fが2の場合には、ステップS15に進んで、第2サーモスタット弁27の開度量(開弁量)を強制的に大きくできる値であるFF項(フィードフォアード項)が出力される。これにより、電気ヒータ89の温度が第2所定温度T2以上となり、第2サーモスタット弁27の開度量が直ぐに大きくなる。そして、シリンダブロック5のウォータジャケット9に流通する冷却水が増大して、シリンダブロック5が冷却される。
一方、ステップS9での判定結果がYESの場合でも、ステップS11において充填効率が第1基準値(本実施形態では0.80)以上と判定されると、シリンダブロック5が高負荷で使用されていると判断され、ステップS15に進みFF項が出力される。同様に、ステップS14において充填効率が第2基準値(本実施形態では0.75)以上と判定されると、ステップS15に進みFF項が出力される。
ステップS11の判定結果がYESの場合には、続くステップS12において、I項が0と設定され、偏差の積分値がリセットされる。そして、ステップS13において、出力が0とされボア壁温度を制御しないことになる。したがって、電気ヒータ89による加熱が行われず、第2サーモスタット弁27は冷却水の温度に従って開閉する。
また、ステップS14の判定結果がYESの場合には、続くステップS15において、前回I項と、偏差にIゲインを乗じた値との和としてI項が計算される。ここで、前回I項とは、図10のスタートからリターンまでの制御を1回の制御動作とし、仮に現在の制御動作をn回目の制御動作とすると、n−1回目の制御動作におけるI項に相当する。したがって、n−1回目の制御動作における制御フラグFが0のときにはステップS12においてI項がリセットされるので、n回目の制御動作における前回I項は0となる。また、n−1回目の制御動作における制御フラグFが1のときにはステップS15において計算されたI項が、n回目の制御動作における前回I項となる。さらに、n−1回目の制御動作における制御フラグFが2のときにはI項は何ら変更されない(保管される)ので、n−2回目以前のI項がn回目の制御動作における前回I項となる。
続くステップS16において、ステップS15で計算されたI項と、偏差にPゲインを乗じた値との和が出力される。これにより、電気ヒータ89の温度が第1所定温度T1以上第2所定温度T2未満の範囲で制御されて第2サーモスタット弁27が開閉し、シリンダブロック5が冷却又は除冷され、シリンダブロック5の実ボア壁温度が目標ボア壁温度t1に近づく。
ステップS13、ステップS15又はステップS16において出力が実行された後は、再びスタートに戻る。
−冷却装置の作用−
以下、上記のように構成されたエンジンの冷却装置1の動作を説明する。
冷却水の温度が低いエンジンの冷間始動時には、図4及び図6に示すように、第1及び第2サーモスタット弁25,27が主スプリング67の付勢力により閉じている。ウォータポンプ15から吐出された冷却水は、図3に示すように、シリンダブロック5のウォータジャケット9を迂回して、第2サーモスタット弁27及び第2バイパス通路23を順に通って、シリンダヘッド7のウォータジャケット11に送られる。シリンダヘッド7のウォータジャケット11から流出した冷却水は、第1バイパス通路71及び第3冷却水通路17を順に通ってウォータポンプ15に戻る。
シリンダヘッド7との熱交換により冷却水の温度が第4所定温度T4まで上昇すると、第2サーモスタット弁27が開弁を開始する。第2サーモスタット弁27に内蔵されたワックス55の膨張力により主弁体79が弁座43から離れるように変位すると、第1立壁部79b1と弁座板43cとの間の弁通路81が開き徐々にその通路面積が大きくなっていく。このとき、ウォータポンプ15から吐出された冷却水は、図11に示すように、そのほとんどが第2バイパス通路23を通ってシリンダヘッド7のウォータジャケット11に送られるが(図11の太線矢印)、シリンダブロック5のウォータジャケット9にも少量の冷却水が送られる(図11の細線矢印)。
冷却水の温度がさらに上昇し第3所定温度T3になると、図5に示すように、第1サーモスタット弁25がワックス55の膨張力により開弁する。このとき、ウォータポンプ15から吐出され、主としてシリンダヘッド7のウォータジャケット11を流れた冷却水は、第1冷却水通路19を通ってラジエータ13に至る。
シリンダブロック5の温度が上昇し、そのボア壁温度が下限制御温度t2よりも高く、且つ上限制御温度t3よりも低い温度になると、ECU91によるフィードバック制御が開始される。このとき、電気ヒータ89は、その温度が第1所定温度T1以上第2所定温度T2未満となるように制御される。そして、第2サーモスタット弁27の第2立壁部79b2と弁座板43cとの間の弁通路81が開き徐々にその通路面積が大きくなっていく。この温度範囲内で第2サーモスタット弁27の開弁量を調整することにより、シリンダブロック5のウォータジャケット9への冷却水の流通量を調整してボア壁温度をボア壁目標温度t1に近づける。
シリンダブロック5の温度が上昇し、ボア壁温度が上限制御温度t3よりも高くなると、ECU91がボア壁温度をフィードフォアード制御する。このとき電気ヒータ89の温度が第2所定温度T2以上となるように制御される。第2サーモスタット弁27の感温温度が第2所定温度T2に達すると、第2サーモスタット弁27のワックス55の膨張力により主弁体79が弁座43から離れるように変位して、第2立壁部79b2が弁座板43cから抜けて弁通路面積が急激に大きくなる。このとき、ウォータポンプ15から吐出された冷却水は、図2に示すように、シリンダブロック5のウォータジャケット9に送られ、連通孔部5a,7aを通ってシリンダヘッド7のウォータジャケット11に送られる。そして、シリンダヘッド7のウォータジャケット11を流れた冷却水は、ラジエータ13を介してウォータポンプ15に戻る。
−効果−
本実施形態では、第1サーモスタット弁27の開弁開始温度T3が第2サーモスタット弁27の開弁開始温度T4よりも高く設定されるとともに、第2サーモスタット弁27は冷却水の温度及び電気ヒータ89の温度のうち高い方の温度に応じて開弁量が変化する。これにより、電気ヒータ89が故障しても、冷却水の温度により第2サーモスタット弁27が開弁するので、シリンダブロック5のウォータジャケット9に冷却水を流通させることができる。したがって、電気ヒータ89の故障時に最低限の走行状態を確保する、いわゆるリンプホームが可能となる。
また、第1サーモスタット弁25の全開温度T5が第2サーモスタット弁27の全開温度T6よりも低く設定されているので、温間域におけるボア壁温度を電気ヒータ加熱により高精度で制御することができる。これらにより、シリンダブロック5における燃費効果を向上させるとともに、フェールセーフを達成できる。
さらに、第2サーモスタット弁27の感温温度が第1所定温度T1未満のときは、第2サーモスタット弁27の開度特性線の傾きが小さいので、シリンダブロック5のウォータジャケット9への冷却水の流通量が少なくなる。これにより、冷間始動時にシリンダブロック5を高温に保持することができるとともに、シリンダヘッド7と冷却水との熱交換が積極的に行われるので冷却水を早期に昇温させることができる。したがって、冷間始動時における暖機運転を速やかに完了させるとともに、冷間始動時における燃費の低減を図ることができる。
また、第2サーモスタット弁27の感温温度が第2所定温度T2以上のときは、第2サーモスタット弁27の開度特性線の傾きが大きいので、電気ヒータ89による加熱温度を極めて高温にすることなくシリンダブロック5のウォータジャケット9への冷却水の流通量を増大させることができる。これにより、ボア壁温度を電気ヒータ加熱により制御する際の省電力化を図ることができる。
さらに、第2サーモスタット弁27の感温温度に対する開度特性線が、第1サーモスタット弁25の感温温度に対する開度特性線と第1所定温度T1以上第2所定温度T2未満の温度範囲においてボア壁温度を高温に保持開度量で交差しているので、該温度範囲ではシリンダブロック5のウォータジャケット9に流通する冷却水が過度に増大するのを防ぐことができる。したがって、電気ヒータ加熱によるボア壁温度の制御精度を向上させることができる。
本実施形態では、ECU91は、ボア壁温度を制御しないときは電気ヒータ89を作動させず、ボア壁温度をフィードバック制御するときは電気ヒータ89の温度を第1所定温度T1以上第2所定温度T2未満とし、且つボア壁温度をフィードフォアード制御するときは電気ヒータ89の温度を第2所定温度T2以上とする。これにより、ボア壁温度を制御しないときはフェールセーフを達成し、ボア壁温度をフィードバック制御するときは高精度の制御を行うとともに、ボア壁温度をフィードフォアード制御するときは省電力化を図ることができる。
また、第2サーモスタット弁27の弁通路81の面積変化率を3段階に変化させて大きくすることにより、シリンダブロック5のウォータジャケット9への冷却水の流通量を3段階に変化させて大きくすることができる。したがって、冷却装置1の構造を複雑にすることなく、フェールセーフ性を達成し、ボア壁温度を高精度で制御し、且つ省電力化を図ることができる。
さらに、第2サーモスタット弁27の主弁体79に内側に2段階に傾斜した略筒状の弁体壁部79bを備えるだけの簡単な構造で、弁通路面積変化率を3段階に変化させて大きくすることができる。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、ピストンロッド51が固定された電気式サーモスタット弁27を用いたが、電気式サーモスタット弁27の構造は上記実施形態に限定されず、冷却水の温度及び上記電気ヒータ89の温度のうち高い方の温度に応じて開閉し、且つ弁通路面積変化率を複数段階に変化させて大きくできるものであれば、他の様々な構造を採用することができる。
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明は、サーモスタット弁を備えたエンジンの冷却装置等について有用である。
実施形態1に係るエンジンの冷却装置の構成を模式的に示す図である。 第1及び第2サーモスタット弁が開いているときの冷却水の流れを示す図である。 第1及び第2サーモスタット弁が閉じているときの冷却水の流れを示す図である。 閉弁時の第1サーモスタット弁を示す図である。 開弁時の第1サーモスタット弁を示す図である。 閉弁時の第2サーモスタット弁を示す図である。 開弁時の第2サーモスタット弁を示す図である。 冷却水の温度に対する第1及び第2サーモスタット弁の弁通路面積の変化を示す図である。 ボア壁温度とその制御方法との関係を模式的に示す図である。 制御装置の動作を示すフローチャートである。 第2サーモスタット弁の感温温度が第1所定温度未満のときの冷却水の流れを示す図である。 従来の冷却装置における電気式サブサーモスタット弁の感温温度に対する開度特性とメインサーモスタット弁の感温温度に対する開度特性との関係を示す図である。
符号の説明
1 エンジンの冷却装置
5 シリンダブロック
7 シリンダヘッド
9 シリンダブロックのウォータジャケット
11 シリンダヘッドのウォータジャケット
13 ラジエータ
15 ウォータポンプ
23 第2バイパス通路
25 第1サーモスタット弁
27 第2サーモスタット弁
43 弁座
43c 弁座板
49 流通孔
71 弁通路(第1バイパス通路)
79 主弁体(弁体)
79b 立壁部
79b1 第1立壁部
79b2 第2立壁部
79c 底壁部
81 弁通路
85 主冷却水回路
87 温度センサ
89 電気ヒータ
91 ECU(制御手段)
T1 第1所定温度
T2 第2所定温度
T3 第3所定温度(第1サーモスタット弁の開弁開始温度)
T4 第4所定温度(第2サーモスタット弁の開弁開始温度)
T5 第5所定温度(第1サーモスタット弁の全開温度)
T6 第6所定温度(第2サーモスタット弁の全開温度)
t1 目標ボア壁温度
t2 下限制御温度
t3 上限制御温度

Claims (5)

  1. シリンダブロックのウォータジャケット、シリンダヘッドのウォータジャケット、ラジエータ、ウォータポンプが冷却水の循環方向においてこの順に介設された主冷却水回路と、上記主冷却水回路に設けられ、ラジエータを迂回する第1バイパス通路と、上記主冷却水回路のウォータポンプ下流側から分岐し、上記シリンダブロックのウォータジャケットを迂回して上記シリンダヘッドのウォータジャケットと連通する第2バイパス通路とを備え、冷間始動時に冷却水を上記第1及び第2バイパス通路に流通させるエンジンの冷却装置であって、
    上記主冷却水回路の上記ウォータポンプ上流側に設けられ、冷却水の温度に応じて開閉し、開弁時には冷却水を上記主冷却水回路側に流通させる一方、閉弁時には冷却水を上記第1バイパス通路側に流通させる第1サーモスタット弁と、
    上記主冷却水回路の上記ウォータポンプ下流側に設けられ、電気ヒータを有する電気式第2サーモスタット弁とをさらに備え、
    上記第2サーモスタット弁は、冷却水の温度及び上記電気ヒータの温度のうち高い方の温度に応じて開閉し、開弁時には冷却水を上記主冷却水回路側に流通させる一方、閉弁時には冷却水を上記第2バイパス通路側に流通させるように構成され、
    上記第1サーモスタット弁の開弁開始温度が上記第2サーモスタット弁の開弁開始温度よりも高く設定されている一方、上記第1サーモスタット弁の全開温度が上記第2サーモスタット弁の全開温度よりも低く設定されていることを特徴とするエンジンの冷却装置。
  2. 請求項1記載のエンジンの冷却装置において、
    上記第2サーモスタット弁の感温部の温度に対する開度特性線の傾きは、
    複数段階に変化して大きくなるものであり、
    該第2サーモスタット弁の開弁開始温度よりも高く且つ上記第1サーモスタット弁の開弁開始温度よりも低い第1所定温度未満では最も小さく、
    上記第1サーモスタット弁の開弁開始温度よりも高く且つ該第2サーモスタット弁の全開温度よりも低い第2所定温度以上では最も大きく、
    上記第2サーモスタット弁の開度特性線が、上記第1所定温度以上上記第2所定温度未満の温度範囲において上記第1サーモスタット弁の開度特性線と、上記ボア壁温度を高温に保持できるような開度量で交差していることを特徴とするエンジンの冷却装置。
  3. 請求項2記載のエンジンの冷却装置において、
    上記シリンダブロックのボア壁部に設けられ、ボア壁温度を検出する温度センサと、
    上記温度センサにより検出されたボア壁温度に応じて上記電気ヒータを作動させて上記第2サーモスタット弁の開弁量を調整することにより、上記ボア壁温度を所定の目標ボア壁温度に近づけるように制御する制御手段とをさらに備え、
    上記制御手段は、
    上記ボア壁温度が上記目標ボア壁温度よりも低い下限制御温度未満のときは、上記電気ヒータを作動させないことにより上記ボア壁温度を制御せず、
    上記ボア壁温度が上記下限制御温度以上で且つ上記目標ボア壁温度よりも高い上限制御温度以下のときは、上記電気ヒータを作動させて該電気ヒータの温度を上記第1所定温度以上上記第2所定温度未満とすることにより上記ボア壁温度をフィードバック制御し、
    且つ上記ボア壁温度が上記上限制御温度以上のときは、上記電気ヒータを作動させて該電気ヒータの温度を上記第2所定温度以上とすることにより上記ボア壁温度をフィードフォアード制御するように構成されていることを特徴とするエンジンの冷却装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のエンジンの冷却装置において、
    上記第2サーモスタット弁は、冷却水を上記主冷却水回路側に流通させるための流通孔が形成された弁座と、弁体とを有し、
    上記弁座と上記弁体との間には、上記流通孔に冷却水を流通させるための弁通路が形成され、
    上記弁体は、上記第2サーモスタット弁の開弁時に、上記弁座から離れるように変位して上記弁通路を開くことにより冷却水を上記主冷却水回路側に流通させる一方、上記第2サーモスタット弁の閉弁時に、上記弁座に当接して上記流通孔を塞ぐことにより冷却水を上記第2バイパス通路側に流通させ、
    感温部の温度の変化に伴う上記第2サーモスタット弁の開弁時の上記弁通路の面積変化率は、複数段階に変化して大きくなるものであり、第1所定温度未満では最も小さく、第2所定温度以上では最も大きく設定されていることを特徴とするエンジンの冷却装置。
  5. 請求項4記載のエンジンの冷却装置において、
    上記弁座は、上記流通孔が形成された円環状の弁座板を有し、
    上記弁体は、上記第2サーモスタット弁の閉弁時に上記弁座板に当接する円環状の底壁部と、該底壁部の内周縁部から弁体変位方向に延びて該内周縁部から離れるに従って径方向内側に傾斜し、上記流通孔に対し弁体変位方向に抜き差し可能な略筒状の立壁部とを有し、
    上記立壁部は、弁体変位方向における底壁部側に位置する第1立壁部と、弁体変位方向における底壁部側とは反対側に位置するとともに該第1立壁部よりも径方向内側に大きく傾斜する第2立壁部とからなり、
    上記弁通路は、上記弁座板と上記第1立壁部又は第2立壁部との間に形成されるものであり、
    上記第1立壁部及び第2立壁部は、上記第2サーモスタット弁の開弁時に上記弁座板から離れるように変位して上記弁通路を開き、
    上記第1立壁部の弁体変位方向長さが、上記第2サーモスタット弁の感温部の温度が上記第1所定温度のときに該第1立壁部が上記流通孔から抜けるような長さに設定され、
    上記第2立壁部の弁体変位方向長さが、上記第2サーモスタット弁の感温部の温度が上記第2所定温度のときに該第2立壁部が上記流通孔から抜けるような長さに設定されていることを特徴とするエンジンの冷却装置。
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