JP2009096138A - 導電性積層シート - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた成形性、剛性、耐折強度を有する生分解性樹脂からなる導電性積層シートを提供する。
【解決手段】本発明の導電性積層シートは、熱可塑性樹脂(A)及び導電剤(B)を含む層(I層)と、ポリスチレン系樹脂(C)、ポリ乳酸系樹脂(D)、及びエラストマー(E)を含む層(II層)とを有することを特徴とする。前記I層は、表面層及び裏面層として形成し、前記II層は中間層として形成するのが好ましい。前記I層中に、導電剤(B)は、層中に1質量%以上30質量%以下、前記II層中に、ポリ乳酸系樹脂(D)は、層中に10質量%以上50質量%以下、エラストマー(E)は、層中に5質量%以上20質量%以下の割合で配合するのがよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、キャリアテープなどに用いる導電性積層シートに関する。
プラスチックは今や生活と産業のあらゆる分野に浸透しており、全世界の年間生産量は約1億トンにも達している。その大半は使用後廃棄されており、これが地球環境を乱す原因の一つとして認識されてきた。そのため、枯渇性資源の有効活用が近年重要視され、再生可能資源の利用が重要な課題となっている。現在、その解決策として最も注目されているが植物原料プラスチックの利用である。植物原料プラスチックは、非枯渇資源を利用し、プラスチック製造時における枯渇性資源の節約を図ることができるだけでなく、優れたリサイクル性を備えている。
植物原料プラスチックの中でも特に、ポリ乳酸系樹脂は澱粉の発酵により得られる乳酸を原料とし、化学工学的に量産可能であり、かつ、透明性・剛性等が優れていることから、ポリスチレンやABSの代替材料として、様々な用途への展開が期待されている。しかしながら、ポリ乳酸系樹脂は耐熱性、耐衝撃性に乏しいため、これらが要求される用途に用いることは非常に困難である。
ポリ乳酸系樹脂に代表される生分解性樹脂からなるキャリアテープとして、例えば、下記特許文献1には、ポリ乳酸と、ポリアルキルアルカノエート系樹脂と無機充填剤、導電性フィラーからなる生分解性導電シート、下記特許文献2には、生分解性プラスチックからなる電子部品包装用キャリアテープ、下記特許文献3には、生分解性プラスチックからなるベース層と、該ベース層の表面を被覆する導電性材料の被覆層からなる電子部品包装用リール、下記特許文献4には、12質量%以下の導電性付与剤を含有する乳酸系ポリマーからなる基材層の少なくとも片面に、17〜40質量%の導電性付与剤を含有する乳酸系ポリマーからなる導電性付与層を形成した導電性乳酸系ポリマー積層体が開示されている。
特開平11−039945号公報 特開平11−152179号公報 特開2000−085837号公報 特開2000−355089号公報 特開2005−060637号公報 特開2005−264086号公報 特開2006−328318号公報
上記公報に記載されているようなポリ乳酸を代表とする生分解性樹脂からなるキャリアテープは、十分な耐熱性を付与するため、後工程による結晶化処理が必要となる。しかし、結晶化処理を行うことで2次加工性が低下するため、キャリアテープのポケット部の成形条件の範囲が狭くなるだけでなく、均一なポケットの成形が困難となる。
このように従来の技術においては、生分解性樹脂からなるキャリアテープでは、十分な耐熱性、成形性を満足するものを提供することは非常に困難であった。
そこで、本発明の目的は、優れた成形性、剛性、耐折強度を有する生分解性樹脂からなる導電性積層シートを提供することにある。
本発明は、下記(1)〜(11)の構成を採用するものである。
(1)熱可塑性樹脂(A)及び導電剤(B)を含む層(I層)と、ポリスチレン系樹脂(C)、ポリ乳酸系樹脂(D)、及びエラストマー(E)を含む層(II層)とを有することを特徴とする導電性積層シート。
(2)前記I層で表面層及び裏面層を形成し、前記II層で中間層を形成することを特徴とする(1)に記載の導電性積層シート。
(3)前記I層中における導電剤(B)の配合量は、1質量%以上30質量%以下、また、前記II層中におけるポリ乳酸系樹脂(D)の配合量は、10質量%以上50質量%以下、エラストマー(E)の配合量は、5質量%以上20質量%以下であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の導電性積層シート。
(4)エラストマー(E)が、スチレン系エラストマーであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の導電性積層シート。
(5)前記I層中に、さらにポリ乳酸系樹脂(D)を10質量%以上50質量%以下、エラストマー(E)を5質量%以上20質量%以下の割合で配合してなることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の導電性積層シート。
(6)前記II層中に、さらに導電剤(B)を0.1質量%以上10質量%以下の割合で配合してなることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の導電性積層シート。
(7)ポリ乳酸系樹脂(D)中に占めるD−乳酸の割合が、3質量%以上97質量%以下であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の導電性積層シート。
(8)熱可塑性樹脂(A)が、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)であることを特徴とする請求項(1)〜(7)のいずれかに記載の導電性積層シート。
(9)前記I層の一層の厚みが、2μm以上50μm以下であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の導電性積層シート。
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載の導電性積層シートを成形してなる成形体。
(11)(1)〜(9)のいずれかに記載の導電性積層シートを成形してなるキャリアテープ。
本発明の導電性積層シートは、優れた導電性を有するだけでなく、耐熱性、成形性、剛性、耐折強度にも優れたものとなる。
より詳細には、本発明の導電性積層シートは、剛性に優れるため、従来使用されてきたポリスチレン系の導電性積層シートと比較して薄肉化が可能である。これにより、導電性積層シートとして使用する樹脂の量を削減でき、また、植物原料プラスチックを使用しているため、より一層の廃棄物削減に寄与できる。
さらに、本発明の導電性積層シートは、耐熱性にも優れており、現在一般的に使用されている導電性積層シートと同様の用途に広く用いることができる。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本発明の導電性積層シートは、熱可塑性樹脂(A)及び導電剤(B)を含む層(I層)と、ポリスチレン系樹脂(C)、ポリ乳酸系樹脂(D)、及びエラストマー(E)を含む層(II層)とを有することを特徴とするものである。
前記I層を表面層又は/及び裏面層とし、前記II層を中間層として形成するのが好ましい。この場合、中間層は、少なくとも一層有していればよく、二層、三層などの構成とすることもできる。
具体的には、表面層/中間層の二層からなる構成、表面層/中間層/裏面層の三層からなる構成などが好ましい。
(熱可塑性樹脂(A))
本発明の熱可塑性樹脂(A)としては、耐熱性、成形性等の点から、芳香族ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂等を用いることができる。この中でも、本発明の中間層との接着性、耐熱性を考慮すると、芳香族ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂を用いることが好ましく、成形性、耐衝撃性も考慮に入ると、ポリスチレン系樹脂を用いることがより好ましい。
(導電剤(B))
本発明の導電剤(B)としては、例えば、導電性カーボン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ノンジウム等を用いることができる。これらは単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、成形性や成形後の抵抗率等の点から、導電性カーボンが好ましい。この導電性カーボンとしては、例えば、ケッチェンブラックEC、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。これらの中でも、少量の添加量で高い導電性が得られる点で、ケッチェンブラックECを用いることがより好ましい。ケッチェンブラックECを使用した場合、添加量が少量で済むため、導電性積層シートの機械的性質の低下が少なくなる。
上記導電剤(B)の平均粒子径は、0.01μm以上10μm以下であることが好ましく、0.05μm以上5μm以下であることがより好ましい。0.01μm未満では、樹脂中での分散性が悪く、10μmを超えると、得られる積層シートの機械物性、特に、耐折強度が低下する場合がある。
(ポリスチレン系樹脂(C))
本発明のポリスチレン系樹脂(C)としては、種々のポリスチレン、あるいは、混合物を用いることができるが、その中でも特に、スチレン系重合体中に共役ジエン系炭化水素重合体粒子又はアクリルゴム粒子が分散された耐衝撃性ポリスチレンを用いることが好ましい。耐衝撃性ポリスチレン(以下、「HIPS」という)は、スチレン系重合体中に共役ジエン系炭化水素重合体粒子又はアクリルゴム粒子が分散したものであり、スチレン系重合体のもろさをゴム成分で改善したものである。このスチレン系重合体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン等の単独重合体、及び、これらの成分からなる共重合体、さらにスチレン系炭化水素以外の共重合可能なモノマーを含む共重合体等を用いることができ、これらの混合物でもよい。かかる共重合可能なモノマーとしては、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、クロロエチルビニルエーテルなどを用いることができる。
また、上記共役ジエン系炭化水素重合体粒子は、常温でゴム弾性を示すものであればよく、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等の単独重合体、それらの共重合体、共役ジエン系炭化水素以外の共重合可能なモノマー、例えば、スチレンモノマーを含む共重合体等があり、熱可塑性エラストマーでもよい。HIPSの重合形態としては、ラジカル重合、アニオン重合等、通常の重合形態によればよい。HIPSの代表的なものとしては、PSジャパン社製HIPSシリーズ、住友化学社製「スミブライトDJ」シリーズ等がある。
(ポリ乳酸系樹脂(D))
本発明のポリ乳酸系樹脂(D)は、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸及びD−乳酸である、ポリ(DL−乳酸)やこれらの混合体をいい、さらには、α−ヒドロキシカルボン酸やジオール/ジカルボン酸との共重合体であってもよい。この時、ポリ乳酸系樹脂(D)におけるD−乳酸の割合は任意の量とすることができるが、成形性を考慮に入れた場合、D−乳酸の割合が3質量%以上97%質量以下であることが好ましく、5質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。かかる範囲から外れる場合、成形時、あるいは、保管時の雰囲気によりポリ乳酸系樹脂の結晶化が進行し、成形条件が狭くなる場合がある。ポリ乳酸系樹脂の代表的なものとしては、三井化学社製「レイシア」シリーズ、Nature Works社製「Nature Works」シリーズなどがある。
ポリ乳酸系樹脂の重合法としては、縮重合法、開環重合法など公知のいずれの方法を採用することができる。例えば、縮重合法ではL−乳酸またはD−乳酸、あるいはこれらの混合物を直接脱水縮重合して任意の組成を持ったポリ乳酸系樹脂を得ることができる。
また、開環重合法では乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤等を用いながら、選ばれた触媒を使用してポリ乳酸系重合体を得ることができる。ラクチドにはL−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2量体であるD−ラクチド、さらにL−乳酸とD−乳酸からなるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより任意の組成、結晶性をもつポリ乳酸系樹脂を得ることができる。
さらに、耐熱性を向上させるなどの必要に応じ、ポリ乳酸系樹脂の本質的な性質を損なわない範囲、すなわち、ポリ乳酸系樹脂成分を90質量%以上含有する範囲で、少量共重合成分としてテレフタル酸のような非脂肪族ジカルボン酸及び/又はビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のような非脂肪族ジオールを用いてもよい。さらにまた、分子量増大を目的として少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物などを使用できる。
ポリ乳酸系樹脂に共重合される上記の他のヒドロキシカルボン酸単位としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシn−酪酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシ−カルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類を用いることができる。
ポリ乳酸系樹脂に共重合される上記脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール,1,4−シクロヘキサンジメタノール等を用いることができる。また、上記脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸およびドデカン二酸等を用いることができる。
ポリ乳酸系樹脂(D)の重量平均分子量の好ましい範囲としては、5万から40万、好ましくは10万から25万であり、この範囲を下回る場合は実用物性がほとんど発現されず、上回る場合には、溶融粘度が高すぎて成形加工性に劣る。
(エラストマー(E))
本発明のエラストマー(E)としては、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー等を用いることができ、1種または2種以上の混合物が用いることができる。中でも、スチレン系エラストマー、エステル系エラストマーあるいはこれらの混合物が好ましい。
(スチレン系エラストマー)
本発明のスチレン系エラストマーとしては、スチレン成分とエラストマー成分からなり、スチレン成分を10質量%以上50質量%以下、好ましくは15質量%以上30質量%以下の割合で含有する樹脂を用いることができる。このエラストマー成分としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンなどの共役ジエン系炭化水素等があり、より具体的には、スチレンとブタジエンとの共重合体(SBS)エラストマー、スチレンとイソプレンとの共重合体(SIS)エラストマー等がある。スチレン系エラストマーの具体例としては、例えば、クラレ社製「ハイブラー」シリーズ等がある。
また、前記スチレン系エラストマーとしては、SBSエラストマーやSISエラストマーに水素を添加した樹脂(SEBS、SEPS)を用いることもできる。水素を添加したエラストマーの具体例としては、例えば、旭化成ケミカルズ社製「タフテックH」シリーズ等がある。
さらに、前記スチレン系エラストマーとしては、エラストマー成分が多く含まれる変性スチレン系エラストマーを用いることもでき、中でも、SEBS及びSEPSの変性体をより好ましく用いることができる。具体的には、無水マレイン酸変性SEBS、無水マレイン酸変性SEPS、エポキシ変性SEBS、エポキシ変性SEPSなどが挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。変性スチレン系樹脂の具体例としては、水添スチレン系熱可塑性エラストマーに反応性の高い官能基で変性したポリマーである旭化成ケミカルズ社製「タフテックM1943」やJSR社製「ダイナロン8630P」やエポキシ化熱可塑性エラストマーであるダイセル化学社製「エポフレンド」シリーズ等がある。
(エステル系エラストマー)
本発明のエステル系エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントとして高融点・高結晶性の芳香族ポリエステル、ソフトセグメントとして非晶性ポリエステルや非晶性ポリエーテルのブロック共重合体を用いることができる。
(スチレン系エラストマーとエステル系エラストマーの混合物)
本発明のエラストマー(E)としては、上記スチレン系エラストマーと上記エステル系エラストマーを混合したものも含まれ、これは、特許3381488号公報や特許3702704号公報に開示されている。実際に販売されている製品としては、三菱化学社製プリマロイA1600、A1700シリーズ等がある。
(配合)
熱可塑性樹脂(A)及び導電剤(B)を含む層(I層)中における導電剤(B)の配合量としては、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上25質量%以下がより好ましく、10質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。導電剤(B)の配合量が1質量%以上であれば導電性の効果が十分に現れ、30質量%以下であればシートの機械物性、特に、耐折強度を十分に満たすことができる。
ポリスチレン系樹脂(C)、ポリ乳酸系樹脂(D)、及びエラストマー(E)を含む層(II層)中におけるポリ乳酸系樹脂(D)の配合量としては、10質量%以上50質量%以下が好ましく、20質量%以上40質量%以下がより好ましく、25質量%以上35質量%以下がさらに好ましい。ポリ乳酸系樹脂(D)の配合量が10質量%以上であればシートに剛性を十分に与え、50質量%以下であれば耐熱性や機械強度を十分に満たすことができる。
前記II層中におけるエラストマー(E)の配合量としては、5質量%以上20質量%以下が好ましく、7質量%以上18質量%以下がより好ましく、10質量%以上15質量%以下がさらに好ましい。エラストマー(E)の配合量が5質量%以上であれば機械物性、特に、耐折強度を向上する効果が十分に得られ、20質量%以下であればシートの剛性や耐熱性を十分に満たすことができる。
前記I層中にポリ乳酸系樹脂(D)を、好ましくは10質量%以上50質量%以下、より好ましくは20質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは25質量%以上35質量%以下の割合で配合することにより、シートの剛性を必要に応じて向上することができる。
前記I層中にエラストマー(E)を、好ましくは5質量%以上20質量%以下、より好ましくは7質量%以上18質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上15質量%以下の割合で配合することにより、機械物性を損なうことなく優れた導電性を付与することができる。
前記II層中に導電剤(B)を、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下、より好ましくは1質量%以上8質量%以下、さらに好ましくは3質量%以上6質量%以下の割合で配合することにより、必要に応じてさらに導電性を向上することができる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、架橋剤、可塑剤、結晶化促進剤、顔料、染料などの添加剤を配合することができる。
(製造方法)
本発明の導電性積層シートの製造方法としては、特に制限されないが、溶融押出法等を用いることができる。この口金としては、ダイ、Iダイ、丸ダイ等があげられる。シートの厚みとしては、実用上0.05mm以上3mm以下が好ましく、0.1mm以上1mm以下がより好ましい。前記I層の一層の厚みは、2μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましい。前記II層の一層の厚みは100μm以上600μm以下が好ましく、150μm以上450μm以下がより好ましい。
また、熱可塑性樹脂(A)、導電剤(B)、ポリスチレン系樹脂(C)、ポリ乳酸系樹脂(D)、エラストマー(E)、添加剤を混合する方法としては、あらかじめ全ての原料をコンパウンドしてペレット化したもの、あるいは、全ての原料をドライブレンドしたものを、フイードブロックやマルチマニホールドダイを有する共押出設備等を用い、積層シートの作製を行う。この時、熱可塑性樹脂(A)、導電剤(B)、ポリスチレン系樹脂(C)、ポリ乳酸系樹脂(D)、エラストマー(E)、添加剤の配合比率によって樹脂の粘度が変化するため、混練条件は適宜調整する必要があるが、樹脂温度として、180℃以上220℃以下でシートの作製を行うことが好ましい。
このようにして得られた導電性積層シートの表面抵抗率は、10〜10Ωの範囲にあることが好ましい。表面抵抗率を10Ω以上とすると、電子部品の端子が導通してショートするおそれがなくなり、10Ω以下とすると、十分な導電性を得ることができ、静電気の発生を抑制することができる。
得られた導電性積層シートから成形体を得るには、この導電性積層シートを赤外線ヒータ、熱板ヒータ、熱風などにより成形温度に予熱し熱成形する。成形温度としては、組成により適宜調整が必要になるが、105℃以上130℃以下の範囲が好ましく、110℃以上125℃以下の範囲がより好ましい。成形温度が105℃未満では、シートが十分に軟質化せず成形が困難な場合があり、成形温度が130℃を超える場合は、予熱中にシートがドローダウン(自重で垂れ下がる)することにより、均一な成形体が得られにくい場合がある。
熱成形の方法としては真空成形法、圧空成形法、雄雌型成形法、成形雄型に沿ってシートを変形した後に成形雄型を拡張する方法等がある。これらの成形方法により、各種の成形体とすることができる。特にキャリアテープとして使用すると、十分な導電性、耐熱性耐折強度、成形性を有するので好ましい。
以下に実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。まず、実施例及び比較例における物性値の測定・評価方法を以下に示す。
(耐折強度)
ASTM D2176に基づき、長さ120mm、幅15mm、厚さ0.3mmの試験片を作製し、東洋精機製作所製MIT耐折疲労試験機を用いてMD、TD両方向についてMIT耐折強度の測定を行った。この時、折り曲げ角度135度、折り曲げ速度175cpm、測定荷重9.8Nにて試験を行った。耐折強度はMD、TD共に700回以上を合格とする。
(軟化温度)
JIS K7196に基づき、長さ50mm、幅50mm、厚さ0.3mmの試験片を作製し、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製TMA120Cを用いて軟化温度の測定を行った。この時、測定荷重0.5N、昇温速度5℃/minにて試験を行った。軟化温度は80℃以上を合格とする。
(引張弾性率)
JIS K7127に基づき、長さ400mm、幅10mm、厚さ0.3mmの試験片を作製し、インテスコ社製万能材料試験機MODEL205を用いてMD、TD両方向について引張弾性率の測定を行った。この時、雰囲気温度23℃、引張速度5mm/minにて測定を行った。引張弾性率はMD、TD共に1500MPa以上を合格とする。
(表面抵抗率)
JIS K7194に基づき、長さ100mm、幅100mm、厚さ0.3mmの試験片を作製し、23℃、50%RHに90時間静置した後、表面抵抗測定器ロレスターHP(三菱化学(株)製、型式:MCP−T410)を用いて、シートのキャスト面の表面抵抗率の測定を行った。表面抵抗率は1×10Ω〜1×10Ωの範囲にあるものを合格とする。
(成形性)
φ100mm、深さ30mm、絞り比0. 3の成形金型(金型温度25℃)を用いて圧空成形(空気圧:2kg/cm)を行い、成形体の型賦形状態を観察し、3段階で評価を行った。評価基準は、良好な形態の成形体が形成されている場合を「○」、実用可能なレベル程度の場合を「△」、不良形状の成形体の場合を「×」で示した。
次に、本発明の実施例及び比較例に用いた各原料を以下に示す。
(熱可塑性樹脂(A))
A−1:PSジャパン社製475D(HIPS)
A−2:三菱エンジニアリングプラスチックス社製ユーピロンH4000
(ポリカーボネート)
(導電剤(B))
B−1:インターナショナル社製ケッチェン・ブラックEC
(ポリスチレン系樹脂(C))
C−1:PSジャパン社製475D(HIPS)
(ポリ乳酸系樹脂(D))
D−1:Nature Works社製Nature Works 4060D
(D−乳酸の割合:14.0質量%)
D−2:Nature Works社製Nature Works 4042D
(D−乳酸の割合:4.3質量%)
(エラストマー(E))
E−1:クラレ社製ハイブラー7125(SIS)
E−2:三菱化学社製プリマロイA1700N(ポリブチレンテレフタレート・ポリテトラメチレングリコールエーテル・スチレン共重合体)
E−3:旭化成ケミカルズ社製タフテックH1041(SEBS)
E−4:日本油脂社製モディパーA4200(ポリ(エチレン−stat−メタクリル酸グリシジル)−ポリメタクリル酸メチルグラフト共重合体)
(実施例1)
熱可塑性樹脂(A)としてA−1、及び、導電剤(B)としてB−1を質量比80:20の割合で混合した後、二軸押出機に供給し、溶融混練してストランド状に吐出した後、ペレタイザーでペレット状に粉砕し、表面層及び裏面層用原料ペレットを得た。
次に、ポリスチレン系樹脂(C)としてC−1、ポリ乳酸系樹脂(D)としてD−1、及び、エラストマー(E)としてE−1を質量比60/30/10の割合で混合し、二軸押出機に供給し、溶融混練してストランド状に吐出した後、ペレタイザーでペレット状に粉砕し、中間層用原料ペレットを得た。
上記の表面層及び裏面層用原料ペレットと中間層用原料ペレットとを各単軸押出機に供給し、1つのTダイから押し出し、厚さが、表面層及び裏面層各10μm、中間層280μmとなる積層シートを作製した。得られたシートについて、耐折強度、軟化温度、引張弾性率、表面抵抗率の測定、及び、成形性の評価を行った結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1の中間層のエラストマーをE−2に変更した以外は実施例1と同様の方法で積層シートの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1の中間層のエラストマーをE−3に変更した以外は実施例1と同様の方法で積層シートの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1の中間層のエラストマーをE−4に変更した以外は実施例1と同様の方法で積層シートの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1の表面層及び裏面層の熱可塑性樹脂(A)をA−2に変更した以外は実施例1と同様の方法で積層シートの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1の表面層及び裏面層のA−1、及び、B−1の混合比を90:10とした以外は実施例1と同様の方法で積層シートの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1の中間層のC−1、D−1、及び、E−1の混合比を55:30:15とした以外は実施例1と同様の方法で積層シートの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例1の中間層のC−1、D−1、及び、E−1の混合比を80:10:10とした以外は実施例1と同様の方法で積層シートの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例9)
実施例1の表面層及び裏面層をA−1、B−1、D−1、及び、E−1の混合物とし、A−1、B−1、D−1、及び、E−1の混合比を50:30:10:10とした以外は実施例1と同様の方法で積層シートの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例10)
実施例1において表面層及び裏面層の厚みを各20μm、中間層の厚みを260μmとした以外は実施例1と同様の方法で積層シートの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例11)
実施例1において表面層及び裏面層の厚みを各30μm、中間層の厚みを240μmとした以外は実施例1と同様の方法で積層シートの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例12)
実施例1においてポリ乳酸系樹脂(D)としてD−2を用いた以外は実施例1と同様の方法で積層シートの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1の中間層をC−1、及び、D−1を混合比で70:30とした以外は実施例1と同様の方法で積層シートの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1の中間層をC−1のみとした以外は実施例1と同様の方法で積層シートの作製、及び、評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2009096138
(結果)
実施例1〜12の導電性積層シートは、耐折強度、軟化温度、引張弾性率、表面抵抗率、成形性の全ての項目で満足する結果が得られ、実用上問題のないものであった。これに対し、比較例1の導電性積層シートは、TD方向の耐折強度がなく、比較例2の導電性積層シートは、引張弾性率が低く、実用できるものではなかった。

Claims (11)

  1. 熱可塑性樹脂(A)及び導電剤(B)を含む層(I層)と、ポリスチレン系樹脂(C)、ポリ乳酸系樹脂(D)、及びエラストマー(E)を含む層(II層)とを有することを特徴とする導電性積層シート。
  2. 前記I層で表面層及び裏面層を形成し、前記II層で中間層を形成することを特徴とする請求項1に記載の導電性積層シート。
  3. 前記I層中における導電剤(B)の配合量は、1質量%以上30質量%以下、また、前記II層中におけるポリ乳酸系樹脂(D)の配合量は、10質量%以上50質量%以下、エラストマー(E)の配合量は、5質量%以上20質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性積層シート。
  4. エラストマー(E)が、スチレン系エラストマー、エステル系エラストマー、あるいはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性積層シート。
  5. 前記I層中に、さらにポリ乳酸系樹脂(D)を10質量%以上50質量%以下、エラストマー(E)を5質量%以上20質量%以下の割合で配合してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性積層シート。
  6. 前記II層中に、さらに導電剤(B)を0.1質量%以上10質量%以下の割合で配合してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性積層シート。
  7. ポリ乳酸系樹脂(D)中に占めるD−乳酸の割合が、3質量%以上97質量%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性積層シート。
  8. 熱可塑性樹脂(A)が、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性積層シート。
  9. 前記I層の一層の厚みが、2μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性積層シート。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電性積層シートを成形してなる成形体。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電性積層シートを成形してなるキャリアテープ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014193560A (ja) * 2013-03-29 2014-10-09 Sumitomo Bakelite Co Ltd 多層シートおよび、それを用いた電子部品包装用キャリアテープ

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