JP2009088138A - 負分散ミラーおよび負分散ミラーを備えたモード同期固体レーザ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】大きな負群速度分散を生じさせることができ、かつ固体レーザ装置の出力ミラーとして利用可能な負分散ミラーを実現する。
【解決手段】基板6上に誘電体多層膜構造7を有するミラーとして、所定の波長の光Lに対して、分散量を−100fsec2〜−1000fsec2とし、かつ、反射率が97%〜99.5%とし、多層膜構造7が、相対的に高い屈折率を有する層および相対的に低い屈折率を有する層が交互に積層されてなり、所定の波長の中心波長をλとしたとき、各層の光学膜厚がλ/8〜λ/2の範囲でランダムに変化しているものとする。
【選択図】図6

Description

本発明は負分散ミラーおよびその負分散ミラーを備えた固体レーザ装置に関し、特に小型で短パルス動作が可能なソリトン型のモード同期固体レーザ装置に関するものである。
従来、半導体レーザ(LD)を励起光源とし、希土類イオンあるいは遷移金属イオンを添加した固体レーザ媒質(レーザ結晶、セラミクス、ガラス)を用いた固体レーザ装置が活発に開発されてきている。その中でも、ピコ秒からフェムト秒領域のいわゆる短パルス光を発生する短パルスレーザ装置は、医療、バイオ、機械産業、計測など、多岐にわたる応用分野が模索、提案され、実証を経て、一部実用化されている。
この種のレーザ装置は、モード同期と呼ばれる動作により短パルスを発生している。モード同期とは、簡単に言えば、レーザ発振の際、周波数領域で見ると多数の縦モードの位相が全て同期しており(相対位相差=0)、このため縦モード間のマルチモード干渉により、時間領域では極めて短いパルスとなる現象である。
特に、CW(連続発振)モード同期の一つの形態であるソリトン型モード同期では、レーザ共振器内の負の群速度分散と主にレーザ媒質での自己位相変調が組み合わさって、フェムト秒領域のパルス発生を可能としている。
このソリトン型モード同期を実現する固体レーザ装置は、基本的に、固体レーザ媒質、可飽和吸収ミラーおよび負群速度分散素子を共振器内に備えて構成される。なお、以下において、負群速度分散を単に負分散と称す場合もある。
従来、負群速度分散素子としては、プリズム対、回折格子対、負分散ミラーなどの1つもしくは複数の組み合わせが用いられている。
負分散ミラーとしては、長波長側の光と短波長側の光との侵入深さの違いを利用して負分散補償を行うチャープ型のミラーと、全反射ミラーと部分反射ミラー間での光の干渉を利用して負分散補償を行うGTI(Gires-Tournois干渉計)型のミラーとが挙げられる。
チャープ型ミラーの典型例としては、相対的に高い屈折率を有する高屈折率層と、相対的に低い屈折率を有する低屈折率層とが交互に積層されたミラーにおいて、高屈折率層の光学膜厚および低屈折率層の光学膜厚がそれぞれ積層方向に直線的に変化するように積層されているもの(例えば、非特許文献1参照)が挙げられる。
一方GTI型ミラーは、誘電体多層膜の内部に共振構造を備えたことを特徴とするものであり(例えば、非特許文献2参照)、多層膜内部にキャビティ層を2層備えたダブルGTI構造のミラー(特許文献1参照)や、キャビティ層はないが共振構造を有するよう、多層膜を構成する各層の光学膜厚は何らかの規則に沿った変化をするように構成されているミラー(特許文献2)などが提案されている。
また、特許文献3には、2種類以上の異なる屈折率層を交互に積層した誘電体多層膜スタックが2スタック以上積層され、各スタックの中心波長が異なるようにすることで2次のみならず、3次以上の分散補償を行うことを特徴とする誘電体多層膜が提案されており、特許文献4には、可視光帯域における反射率が95%以上であり、最外膜の屈折率が最外膜直下の膜の屈折率よりも低く、負群速度分散を生じさせるよう構成された多層膜ミラーが提案されている。
さらに、モード同期固体レーザ装置の小型化のために、特許文献5においては、レーザ媒質、可飽和吸収体、あるいは出力ミラーにチャープミラーコーティングを備えることが提案されている。
特表2002−528906号公報 特表2002−523797号公報 特開平2−23302号公報 特開2000−138407号公報 特開平11-168252号公報 R. Szipoecs他、Optics Letters, Vol.19, 201(1994) IEEE Transaction on Quantum Electronics, vol. 22, no.1 (1986) pp. 182-185
本発明者らは、ソリトン型のモード同期固体レーザ装置の小型化を図るに当たり、従来よりも大きな負の分散量を補償することができ、かつ出力ミラーとしての反射率を有する負分散ミラーが必要であることを見いだした。
特許文献5においては、出力ミラーに負分散機能を持たせるものが提案されているが、特許文献5では、出力ミラーとして用いる場合の光透過率、負分散量などについての具体的な記載がされておらず、また、ミラーを構成する膜について具体的な記載がない。特許文献4においても、出力ミラーに誘電体多層膜を設けることによって周波数チャープ補償ができる旨の記載があるが、具体的な実施例として挙げられている多層膜の負分散量は非常に小さいため1素子のみでは十分な負分散が得られず、また、反射率は99.9%以上でほぼ100%のものであることから、ほとんど出力光が得られず、出力ミラーとしての機能が十分でない。
本発明は、上記事情に鑑みて、大きな負群速度分散を生じさせることができ、かつ固体レーザ装置の出力ミラーとして利用可能な負分散ミラーを提供することを目的とする。また、本発明は、小型かつ低コストで、安定性の高い、フェムト秒領域のCWモード同期を実現できるモード同期固体レーザ装置を提供することを目的とする。
本発明の負分散ミラーは、基板上に誘電体多層膜構造を有するミラーであって、
所定の波長の光に対して、分散量が−100fsec2〜−1000fsec2であり、かつ、反射率が97%〜99.5%であり、
前記多層膜構造が、相対的に高い屈折率を有する層および相対的に低い屈折率を有する層が交互に積層されてなり、前記所定の波長の中心波長をλとしたとき、各層の光学膜厚がλ/8〜λ/2の範囲でランダムに変化しているものであることを特徴とするものである。
「ランダムに変化」とは、従来技術の項で説明した、チャープミラーのように高屈折率層の光学膜厚および低屈折率層の光学膜厚がそれぞれ積層方向に直線的に変化するように積層されているものや、各層の光学膜厚が何らかの規則に沿った変化をするように積層されている層膜構造を含まないことを意味する。
またここで、分散量が−100fs2〜−1000fs2であるとは、−100fs2以上、−1000fs2以下の範囲内の所定の値であることを意味し、同様に反射率が97%〜99.5%であるとは、97%以上、99.5%以下の範囲内の所定の値であることを意味する。
前記基板として凹面を有するものを用い、前記多層膜構造を該凹面に設けることが好ましい。
前記所定の波長が10nm以上の帯域幅を有するものであること、すなわち、10nm以上の帯域幅に対して分散量が−100fs2〜−1000fs2の範囲の所定値、かつ、反射率が97%〜99.5%の範囲の所定値であることが望ましい。
前記所定の波長の中心波長は、所望の値に設定可能であるが、特に、1000nm〜1100nmの範囲、あるいは700nm〜900nmの範囲にあることが好ましい。
前記高い屈折率を有する層は、例えば、Ti、Zr、Hf、Nb、Al、Zn、Y、Sc、La、Ce、PrまたはTaの酸化物、およびZnの硫化物から選ばれる1つ、または、これらの1つもしくは複数を含む混合物または化合物からなるものとすることができる。ここで、1つもしくは複数を含む混合物または化合物とは、先に列挙している酸化物、硫化物以外のものを含んでもよいが、ここに挙げた酸化物、硫化物の1つもしくは複数を主要成分として(全体の50重量%以上)含むものとする。
また、前記低い屈折率を有する層は、Siの酸化物、およびCa、Li、Mg、Na、Th、Al、Hf、La、YまたはZrのフッ化物から選ばれる1つ、または、これらの1つもしくは複数を含む混合物または化合物からなるものとすることができる。ここで、1つもしくは複数を含む混合物または化合物とは、先に列挙している酸化物、フッ化物以外のものを含んでもよいが、ここに挙げた酸化物、フッ化物の1つもしくは複数を主要成分として(全体の50重量%以上)含むものとする。
本発明のモード同期固体レーザ装置は、共振器と、該共振器内に配置された固体レーザ媒質と、前記共振器内に配置されたモード同期素子とを備え、前記共振器の一端を構成する出力ミラーが、上述の本発明の負分散ミラーであることを特徴とするものである。ここで、上記「共振器内に配置された」とは、その素子自体が共振器の終端を構成している場合も含むものである。モード同期素子としては、半導体可飽和吸収ミラー(SESAM)、カーモード同期素子やカーボンナノチューブを用いた可飽和吸収ミラーなどを用いることができる、可飽和吸収ミラーにより共振器の一端を構成してもよい。
本発明の光パルス分散補償装置は、本発明の負分散ミラーが少なくとも2つ、互いの多層膜構造が対向するように配置されてなることを特徴とするものである。ここで、「互いの多層膜構造が対向する」とは、一方の負分散ミラーの多層膜構造を備えた面に入射した光が、該面で反射し、他方の負分散ミラーの多層膜構造を備えた面に入射するように配置されていることを意味する。
本発明の非線形光学イメージ装置は、蛍光標識された被測定物質を含むサンプルに励起光を照射することにより前記サンプルから生じる蛍光を、前記サンプルに対して前記励起光の照射位置を相対的に2次元もしくは3次元に走査させつつ検出して2次元もしくは3次元イメージを取得する非線形光学イメージ装置であって、前記励起光を出力する光源として、本発明のモード同期固体レーザ装置を備えたことを特徴とするものである。
本発明のレーザ加工装置は、被加工物上にレーザ光を照射して該被加工物の加工を行うレーザ加工装置であって、前記レーザ光を出力する光源として、本発明のモード同期固体レーザ装置を備えたことを特徴とするものである。
本発明の負分散ミラーは、所定の波長の光に対して、分散量が−100fs2〜−1000fs2であり、かつ、反射率が97%〜99.5%であることから、これをモード同期固体レーザ装置の共振器の一端を構成する出力ミラーとして好適に用いることができる。この負分散ミラーは、モード同期固体レーザ装置の構成に応じて分散量を−100fs2〜−1000fs2の範囲の任意の値に設計可能であり、分散量は従来の負分散ミラーと比較して十分に大きいものであることから、単体で十分な負分散補償が可能である。また、反射率を97%〜99.5%の範囲で任意の値に設計可能であり、3%〜0.5%の光を透過させるものであるため出力ミラーとして十分機能する。本発明の負分散ミラーを出力ミラーとして利用することにより、共振器内に1つまたは複数の負分散素子を備える必要がないため、モード同期固体レーザ装置を小型に構成することができる。
また、本発明の負分散ミラーは、分散量の絶対値が非常に大きいものであることから、単なる負分散素子としても有効に用いることができる。
キャビティ層が、高い屈折率を有する層、あるいは低い屈折率を有する層と同一の材料で構成されていれば、製造時における材料および工程数の増加を抑制しコストアップを防ぐことができる。
本発明のモード同期固体レーザ装置は、共振器の一端を構成する出力ミラーとして本発明の負分散ミラーを備えたことにより、装置全体とし部品を大幅に低減し、小型化することができることから、低コストに構成することができると共に、レーザ出力の安定化を達成することができる。
本発明の光パルス分散補償装置は、本発明の負分散ミラーを用いることで、従来一般的に使用されている回折格子対による分散補償装置に対し、光路長を短くすることができロスを抑え低いパワー損失で分散補償を行うことができる。更に、回折格子対よりも大幅に小型化することも可能である。
本発明の非線形光学イメージング装置は、本発明のモード同期固体レーザ装置を光源として備えていることから、全体構成を小型化することができ、かつ安定な励起光を得ることができるため、高い画像精度のイメージング画像の取得が可能である。
本発明のレーザ加工装置は、発明のモード同期固体レーザ装置を光源として備えていることから、全体構成を小型化することができ、かつ安定なパルスレーザビームを得ることができるため、精度の高いレーザ加工を行うことができる。
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明する。
<負分散ミラー>
図1は、本発明の第1の実施形態の負分散ミラー1の構成を示す模式図である。
本実施形態の負分散ミラー1は、ガラス基板3上に誘電体多層膜構造4を有するミラーであり、多層膜構造4が、相対的に高い屈折率n1を有する層および相対的に低い屈折率n2を有する層が交互に積層されてなるものである。
多層膜構造4の各層は、基板3側から、第1層、第2層・・・第(k−1)層、第k層、第(k+1)層、・・・n層の順で積層されている。各層の光学膜厚はλ/8〜λ/2の範囲のものであり、各層間でその光学膜厚の変化量に特段の規則性を有さず、光学膜厚はランダムに変化している。なお、各層の光学膜厚は層の屈折率nと層の膜厚d(nm)の積n・dで表されるものである。
負分散ミラー1は、所定の波長の光Lに対して、分散量が−100fs2〜−1000fs2の範囲にあり、かつ、反射率が97%〜99.5%の範囲にある。ここで、所定の波長の光Lは10nm以上の帯域幅を有する、すなわち、ミラー1は、10nm以上の帯域幅の光に対して分散量が−100fs2〜−1000fs2の範囲の所定の値を示し、反射率が97%〜99.5%の範囲の所定の値を示すものであり、これらの範囲で任意に設定可能である。
高屈折率層は、具体的には、Ti、Zr、Hf、Nb、Al、Zn、Y、Sc、La、Ce、PrまたはTaの酸化物、およびZnの硫化物から選ばれる1つ、または、これらの1つもしくは複数を含む混合物または化合物から構成することができる。
低屈折率層は、Siの酸化物、およびCa、Li、Mg、Na、Th、Al、Hf、La、YまたはZrのフッ化物から選ばれる1つ、または、これらの1つもしくは複数を含む混合物または化合物から構成することができる。
尤も、低屈折率層、高屈折率層は相対的に低いあるいは相対的に高い屈折率の誘電体から構成されていればよく、既知のいかなる材料を用いてもよい。
所定の波長の中心波長λは、1000nm〜1100nmあるいは、700nm〜900nmの範囲の任意の波長で設定すればよく、その任意の波長λに応じて各層の光学膜厚は設定される。
次に、具体的な層構成例を挙げる。図2A〜図5Aは、設計例1〜4についてそれぞれ所定の中心波長に対する各層の光学膜厚を示すものであり、図2B〜図5Bはそれぞれ図2A〜図5Aに示した設計例1〜4の層構成で達成される反射率および負分散量を示すグラフである。設計例1〜3は中心波長λ=1045nmとして、設計例4は中心波長λ=800nmとして設計したものであり、いずれもシミュレーションにより得たものである。
図2A〜図5Aにおいて、横軸は層番号を示し、縦軸はλ/4で規格化した光学膜厚(4nd/λ)を示している。最も基板側の層が第1層であり、最も空気側の層が第48層あるいは50層である。図2B〜図5Bの横軸は所定の光の波長(nm)であり、縦軸は反射率(%)および負分散量(fs2)を示している。
図2A〜図4Aに示す設計例1〜3の多層膜構造は、第1層から第48層までの層から構成され、図5Aに示す設計例4の多層膜構造は、第1層から第50層までの層から構成されている。各層のλ/4で規格化した光学膜厚は1を基準に0.5以上、2未満の範囲である。
図2Bは、図2Aで示した膜構成のミラーでは、1045nmを中心波長として、少なくとも±5nmの範囲においては、反射率=98.5%かつ負分散量=−1000fs2を満たす特性を有していることを示している。
図3Bは、図3Aで示した膜構成のミラーでは、1045nmを中心波長として、少なくとも±5nmの範囲においては、反射率=99.5%かつ負分散量=−500fs2を満たす特性を有していることを示している。
図4Bは、図4Aで示した膜構成のミラーでは、1045nmを中心波長として、少なくとも±5nmの範囲においては、反射率=97%かつ負分散量=−250fs2を満たす特性を有していることを示している。
図5Bは、図5Aで示した膜構成のミラーでは、800nmを中心波長として、少なくとも±5nmの範囲においては、反射率=98.5%かつ負分散量=−1000fs2を満たす特性を有していることを示している。
多層膜構造を構成する層の数は48または50に限られるものではない。また、上記の設計例においては中心波長λ=1045nmもしくは800nmとしたが、中心波長は任意に設定可能である。モード同期固体レーザ装置に用いる場合、1μm帯(1000nm〜1100nm)あるいは0.8μm帯(700nm〜900nm)に中心波長があるものが好適に用いられる。
中心波長λ、−100fs2〜−1000fs2の範囲の所望の分散量、97%〜99.5%の範囲の所望の反射率を設定し、その他の初期条件として、層数、屈折率(膜材料)、キャビティ層をどのあたりに設けるかおよびミラー層を何層ぐらいにするかなどの膜構成、おおよその膜厚(ミラー機能層を構成する各層については中心波長λ/4付近、キャビティ層については中心波長の整数倍λ/4×nの光学膜厚とするなど)を設定してから、コンピュータシミュレーション(薄膜計算ソフト「Essential Macleod」を用いたシミュレーション)を行う。その後これらの初期条件は手動またはコンピュータにより自動的に修正されながら前述の設計例のような層構造を得ることができる。
本発明の負分散ミラーをモード同期固体レーザ装置の出力ミラーとして適応する場合、図6に示す第2の実施形態の負分散ミラー5のような、凹面を有するガラス基板6の凹面上に所定の波長の光Lに対して多層膜構造7を備えたものが好適である。多層膜構造7の構成は先に説明した第1の実施形態と同様であり、相対的に高い屈折率n1を有する層および相対的に低い屈折率n2を有する層が交互に積層されてなるものであり、所定の波長の光Lに対して、分散量が−100fs2〜−1000fs2の範囲にあり、かつ、反射率が97%〜99.5%の範囲のものである。具体的には、前述の設計例1〜4のような膜構成とすればよい。
所定の波長の光Lは、固体レーザ媒質から出力され、共振器内で共振する光であり、負分散ミラー5が適応されるモード同期固体レーザ装置の構成により定められる。例えば、固体レーザ媒質としてYb:KYW(K(WO4)2)を用いる場合であれば、λ=1045nmであり、固体レーザ媒質としてYb:KGW(Gd(WO4)2)を用いる場合、λ=1040nmであり、その他、Yb:YAGではλ=1050nm、Yb:Y2O3ではλ=1076nm、Alexandrite(BeAl2O4:Cr3+)ではλ=750nm、Cr3+:LiSrAlF6ではλ=850nm、Cr3+:LiCaAlF6ではλ=850nm、Ti:Al2O3ではλ=800nmなどである。
なお、ガラス基板6の多層膜構造が設けられる面に対向する面に多層膜構造7を透過した光が基板6の凹面に対向する面で反射するのを防止するための反射防止膜8が設けられている。多層膜構造7の積層面側からミラーに入射される光Lに対する反射率が97〜99.5%であり、3〜0.5%の成分が反射防止膜8側へ透過する。
図6に示す負分散ミラーをモード同期固体レーザ装置の出力ミラーとして用いることにより、固体レーザ装置を小型に構成することができ、フェムト秒帯の安定なパルスレーザ発振を得ることができる。
次に、図6に示す負分散ミラーを備えたモード同期固体レーザ装置について説明する。
図7は、本発明の一実施形態によるソリトン型モード同期固体レーザ装置を示す概略側面図である。図示の通りこのモード同期固体レーザ装置は、励起光10を発する半導体レーザ11と、励起光10を共振器内に入力させる励起光学系12と、共振器の一方の終端を構成する凹面出力ミラーとして機能する前述の図6で説明した負分散ミラー5と、共振器の他方の終端を構成するSESAM(半導体可飽和吸収ミラー)16と、共振器内部に配置された固体レーザ媒質15と、共振器内で共振する発振光18を反射して出力ミラーおよびSESAMへ導光する凹面ミラー19とを備えている。凹面ミラー19は、入射された励起光10を透過すると共に、発振光18を反射するダイクロイックミラーとしての機能を備えている。
本実施形態において、固体レーザ媒質15としては一例としてYb:KYW結晶が用いられている。半導体レーザ11としては、上記の固体レーザ媒質15を励起する励起光10を発するものが用いられている。
以上の構成においては、半導体レーザ11から出力され、励起光学系12により凹面ミラー19の裏面から入力され、該凹面ミラー19を透過して共振器内に入射された励起光10が固体レーザ媒質15に入力され、固体レーザ媒質15が励起され、それにより発生した所定の波長の光(ここでは、中心波長1045nm)が共振器の作用で発振する。レーザ発振光18は負分散ミラー5を一部透過し外部に出力光18aとして取り出される。
ここでは、レーザ共振器内の出力ミラー5に設けられている負分散素子17の作用による負の群速度分散と、主に固体レーザ媒質15での自己位相変調が組み合わさって、フェムト秒領域のパルス発振光18aが得られる。より詳しくは、SESAM16によりモード同期が始動してパルスを維持安定化させるとともに、群速度分散と自己位相変調がバランスすることによるソリトンパルス形成を経てモード同期パルスの急峻化が起こり、フェムト秒クラスの安定したソリトンパルス発生が可能となる。
図7に示すモード同期固体レーザ装置においては、分散量が-800fs2、反射率が98.3%の負分散ミラー5が好適である。
なお、モード同期固体レーザ装置において、ソリトンモードパルス発振を安定に生じさせるために、負分散ミラーに必要とされる分散量は、固体レーザ媒質、共振器内に配置される光学素子の配置、共振器長などの共振器構造により決定することができる。
図8は、第2の実施形態のモード同期レーザ装置の概略構成を示す模式図である。本モード同期レーザ装置は、励起光10を発する半導体レーザ11と、励起光10を共振器内に入力させる励起光学系12と、この励起光学系12により共振器の外部から共振器光軸に斜めに入射された励起光10を、固体レーザ媒質15に向けて反射すると共に、共振器内で共振する発振光18を透過する、共振器内に配されたダイクロイックミラー14と、共振器の一方の終端を構成する負分散ミラー5と、共振器の他方の終端を構成するSESAM16と、このSESAM16および負分散ミラー5で構成される共振器の内部に配置された固体レーザ媒質15とから構成されている。共振器内には、終端を構成する可飽和吸収ミラー15および出力ミラー5以外に発振光を反射するミラーを備えず、共振器は直線型共振器構造である。固体レーザ媒質15とSESAM16とは近接配置されている。
以上の構成においては、半導体レーザ11から出力され、励起光学系12により共振器光軸に対して斜めに入射された励起光10がダイクロイックミラー14により反射されて固体レーザ媒質15に入力され、固体レーザ媒質15が励起され、それにより発生した所定の波長の光が共振器の作用で発振する。レーザ発振光18は出力ミラー5を一部透過し外部に出力光18aとして取り出される。本構成の装置においては、共振器内で共振するレーザ発振光18のビームウエストがSESAM16上にのみ形成されている。
図8に示すモード同期固体レーザ装置のより具体的な構成例を説明する。固体レーザ媒質15として、Ybイオンを母材であるセラミックス媒質YAGに添加したYb:YAG媒質を用いる。Yb:YAG媒質の蛍光スペクトル中の1050nmを発振光とする。
ここで、Yb:YAG媒質15は、Ybイオンが20at%添加された1mm厚のものであり、このYb:YAG媒質15の両面には、波長940nmの励起光10、波長1050nm帯の発振光18のいずれの光をも良好に透過するコーティングが施されている。
SESAM16としては、BATOP社製の変調深さ(modulation depth)が0.4%、飽和フルエンス(Saturation fluence)が120μJ/cm2のものを用いる。
負分散ミラー5の凹面の曲率半径は30mmであり、負分散ミラー5とSESAM16は、負分散ミラー5のミラー表面とSESAM16のミラー表面間で定義される共振器長が30mm(空気中)となるように配置されており、Yb:YAG媒質15はSESAM16との距離dが6mmとなる位置に配置されている。
半導体レーザ11としては、波長940nmの発光幅100μm、出力2Wのブロードエリア型を用いる。励起光学系12は集光レンズであり、Yb:YAG媒質15中での励起光のビーム直径が100μm程度となるものを用いる。集光レンズ12は、共振器光路をカットしないようダイクロイックミラー14に近接させ配置されており、この集光レンズ12により、励起光10は、Yb:YAG媒質15の厚み方向中心近傍にビームウエストがくるように集光される。
ダイクロイックミラー14は、ブリュースタ角入射において、波長940nmの励起光10を良好に反射し、波長1050nm帯の発振光18を良好に透過するコーティングが施された1mm角の厚さ0.3mmの石英板であり、Yb:YAG媒質15に近接して配置されている。
本モード同期固体レーザ装置においては、励起光10によって励起されYb:YAG媒質15から発せられた波長1050nm帯の光が負分散ミラー5とSESAM16との間で共振し、SESAM16によってモードロックされ、負分散ミラー5から出力光(パルスレーザ)18aとして出力される。
凹面出力ミラーとして機能する負分散ミラー5は、共振器内で生じる正の群速度分散を補償し、共振器全体での群速度分散が完全補償された状態(群速度分散=0)、あるいは共振器内の群速度分散が負となる状態(群速度分散<0)とする負の群速度分散を生じさせるものである。このような負分散ミラー5を備えることにより、ソリトンモード同期を誘起することができ、ピコ秒以下のパルス幅を有するパルス光を得ることができる。
例えば、図8のモード同期固体レーザ装置の共振器内において−1000fs2の群速度分散を有する負分散ミラー5を備えることによって、共振器内における全体の群速度分散−950fs2とし、800fsのパルス幅を持ったパルスレーザ光を得ることができる。
一般的にYbドープ固体レーザ媒質はFsat,Lが大きいため、モード同期閾値が大きく、共振器長Lが30mmと短いと共振器内パルスエネルギーが小さくなるため、通常はこのような短い共振器長とするとモード同期がかからない。しかし、上記のように共振器内の群速度分散補償を行い、ソリトンモード同期と呼ばれる状態を形成することによって、モード同期閾値を低減させることができ、30mmという短い共振器長であってもモード同期をかけることができた。
このように、本発明の負分散ミラーを出力ミラーとすることにより、非常に小型な、フェムト秒帯パルス発振が可能なモード同期固体レーザ装置を構成することができる。共振器を構成する光学素子の数を抑制することができるため、共振器として安定になり、また、大きな負分散補償を行うことができることから、ソリトンパルス発振も安定に行うことができる。
固体レーザ媒質としては、Yb:Y2O3あるいはNd:YVO4の他、NdやYbイオンが各種母材に添加されてなる、たとえば、Nd:GdVO4、Nd:YAG、Nd:glass、Yb:YAG、Yb:KY(WO4)2、Yb:KGd(WO4)2、Yb:Gd2SiO5、Yb:Y2SiO5等を始めとする各種の母材と組み合わせた固体レーザ媒質を用いることができる。また、添加するイオンもNdやYbイオンに限らず、全ての希土類イオン、さらにはCrおよびTiなどの遷移金属イオンに適用可能である。
なお、本発明の負分散ミラーは、光パルス分散補償装置として利用することができ、また、本発明の負分散ミラーを備えたモード同期固体レーザ装置は、非線形光学イメージング装置およびレーザ加工装置などの光源として好適に用いることができる。
<非線形光学イメージング装置>
図9は、本発明のモード同期固体レーザ装置を用いた非線形光学イメージング装置(多光子顕微鏡)の概略構成を示すものである。
本非線形光学イメージング装置は、可動ステージ上に載置された、蛍光標識された被測定物質を含むサンプルに励起光を照射することにより励起されるサンプルからの蛍光を、可動ステージによりサンプル上の励起光集光位置を2次元的あるいは3次元的に移動させつつ検出し、2次元イメージあるいは3次元イメージを取得するものである。
本実施形態に非線形光学イメージング装置は、サンプル35が載置され、サンプル35をx−y面内および深さ方向に移動させる可動ステージ36と、励起光としてのパルスレーザビームを出力する、例えば、図8に示した構成のモード同期固体レーザ装置31と、パルスレーザビームを拡大するレンズ対32と、パルスレーザビームをサンプル35に向けて反射すると共に、サンプル35からの蛍光を透過するダイクロイックミラー33と、パルスレーザビームをサンプル35上に集光すると共に、サンプル35からの蛍光を収集する対物レンズ34と、サンプル35からの蛍光を検出するフォトマル38と、フォトマル38に蛍光を集光するレンズ37とを備えている。
モード同期固体レーザ装置31からのパルスレーザビームはレンズ対32により拡大され、ダイクロイックミラー33により反射されて対物レンズ34へ照射される。対物レンズ34を通過したパルスレーザビームは可動ステージ36上に配置されたサンプル35上に集光され、多光子吸収によってサンプル35を励起する。サンプル35からの蛍光は対物レンズ34により収集され、ダイクロイックミラー33を通過後、レンズ37によりフォトマル38に集光される。可動ステージ36をx-yの面内方向およびzの深さ方向に動かし、3次元的に微小領域を励起し蛍光を取得していくことで3次元イメージングを行うことが可能となる。
従来の非線形イメージング装置の光源として用いられている従来のモード同期固体レーザ装置は、装置全体が大きく内部構造が複雑であるため、高価格であり、出力の安定性も低いものであった。そのため、イメージング装置が高コスト化してしまうことや、取得イメージが劣化してしまう問題があった。しかし、本発明のモード同期固体レーザ装置は小型かつ低コストで、出力高安定性であるため、このモード同期固体レーザ装置を非線形イメージング装置の光源として用いることで、イメージング装置の低コスト化および取得イメージの高精細化が可能となる。
<非線形光学イメージング装置の実施形態の設計変更例>
図10は図9の非線形光学イメージング装置の変更例を示す図である。本設計変更例の非線形光学イメージング装置は、図10の非線形光学イメージング装置においてパルスレーザビームの光路上に本発明の負分散ミラー対からなる光パルス分散補償装置40を備えたものである。モード同期固体レーザ装置31からのパルスレーザビームはサンプル35に集光される前に複数の光学部品を反射および透過する。その際、それら光学部材のもつ群速度分散(通常正分散)によってパルスレーザビームのパルス幅が大きく広がってしまう。そのためサンプル35に集光されるパルスビームレーザのピークパワーが低下して、励起光の低下に伴い蛍光強度が低下してしまい、結果的に取得イメージが劣化してしまう場合がある。そこで、図10に示すように、本発明の負分散ミラー対からなる光パルス分散補償装置40をパルスビームレーザの光路上に配し、非線形光学イメージング装置を構成する光学部材の群速度分散を前もって補正することで、サンプルにもとのパルス幅のままでパルスレーザビームを集光できるため、高精細なイメージングが可能となる。
<光パルス分散補償装置>
図11は、上記非線形光学イメージング装置に備えられる、本発明の負分散ミラーを備えた光パルス分散補償装置40の概略構成を示す図である。
本実施形態の光パルス分散補償装置40は、例えば、石英基板上に設計例1の多層膜構造が形成されてなる負分散ミラー41が2枚並行に配置された構造であり、負分散ミラー41間をパルスビームレーザ42が多重反射するようになっている。パルスビームレーザ42はミラー41間を多重反射することにより非線形光学イメージング装置内で生じる正の群速度分散を補償することができる。
具体的には、図9の非線形光学イメージング装置において、パルスレーザビームがサンプル35に集光するまでに被る群速度分散は8000fs2であるため、-1000fs2の分散をもつミラー41で8回反射させることで分散補償を行った。その結果、モード同期固体レーザ装置31から出力された直後のパルス幅と同等のパルス幅でパルスレーザビームをサンプル35に集光することが可能となり、高精細なイメージングを行うことができた。
<レーザ加工装置>
図12は、本発明のモード同期固体レーザ装置を光源として備えたレーザ加工装置の概略構成を示す図である。
本実施形態のレーザ加工装置は、加工対象である金属薄膜などの被加工物59が載置され、被加工物59をx−y面内および深さ方向に移動させる可動ステージ60と、励起光としてのパルスレーザビームを出力する、例えば、図8に示した構成のモード同期固体レーザ装置51と、モード同期固体レーザ装置51からのパルスレーザビームのパルス繰り返し周波数を変換するパルスピッカー52と、分散補償とパルス幅の伸縮を行う、パルスストレッチャ53、再生増幅器54およびパルスコンプレッサ55からなるチャープパルス増幅器56と、増幅器56を経て入射したパルスレーザビームを反射してサンプルへ導光するミラー57と、サンプル上にパルスレーザビームを集光するレンズ58とを備えている。
モード同期固体レーザ装置51からのパルスレーザビームはパルスピッカー52により、パルスの繰返し周波数を1kHzにされた後に、パルスストレッチャ53、Yb:KYWからなる再生増幅器54、パルスコンプレッサ55からなるチャープパルス増幅器56に入射される。パルスストレッチャ53およびパルスコンプレッサ55は回折格子対によって構成されており、この回折格子対によってパルスの群速度分散を制御し、パルス幅の伸縮を行う。
なお、回折格子対の代わりに、本発明の、基板上に多層膜構造を備えた負分散ミラー対を用いてもよい。本発明の負分散ミラー対を用いれば、パルス幅の伸縮を回折格子対よりも低いパワー損失で行うことができ、また、回折格子対よりも小型に構成することも可能である。このように、本発明の負分散ミラーは単なる負分散素子として、正の負分散が大きくなることによるパルスレーザビームのパルス幅の広がりが問題となるような光学系を備えた装置において分散補償するために用いることもできる。
モード同期固体レーザ装置51から出力されたパルスレーザビームの、例えば250fsのパルス幅をパルスストレッチャ53によって100psと大きく引き伸ばした後、Yb:KYWからなる再生増幅器54によってパルスエネルギー5mJまで増幅し、パルスコンプレッサ55によって300fsまでパルス圧縮を行った。その結果、ピークパワー16GWのパルスレーザビームを得ることができた。チャープパルス増幅器56からのパルスレーザビームを可動ステージ60上の金属薄膜である被加工物59に集光することで高精度な微細穴あけ加工ができた。
従来のレーザ加工装置の光源として用いられている従来のモード同期固体レーザ装置は、本発明のモード同期固体レーザ装置と比較して装置全体が大きく内部構造が複雑であるため、高価格であり、出力の安定性も低いものであった。そのため、レーザ加工装置が高コスト化してしまうことや、加工精度が劣化してしまう問題があった。しかし、本発明のモード同期固体レーザ装置は小型かつ低コストで、出力高安定性であるため、このモード同期固体レーザ装置をレーザ加工装置に用いることで、レーザ加工装置の低コスト化および高い精度での加工が可能となる。
本発明の一実施形態による負分散ミラーの構成を示す模式図 本発明の負分散ミラーの膜構成の設計例1 設計例1の負分散ミラーにおける反射率および分散量を示すグラフ 本発明の負分散ミラーの膜構成の設計例2 設計例2の負分散ミラーにおける反射率および分散量を示すグラフ 本発明の負分散ミラーの膜構成の設計例3 設計例3の負分散ミラーにおける反射率および分散量を示すグラフ 本発明の負分散ミラーの膜構成の設計例4 設計例4の負分散ミラーにおける反射率および分散量を示すグラフ 出力ミラーとして用いられる負分散ミラーの構成を示す模式図 本発明の第一の実施形態のモード同期固体レーザ装置の概略構成を示す模式図 本発明の第二の実施形態のモード同期固体レーザ装置の概略構成を示す模式図 本発明の非線形光学イメージング装置の実施形態を示す概略構成図 図9に示した実施形態の設計変更例を示す図 本発明の光パルス分散補償装置の実施形態を示す概略構成図 本発明のレーザ加工装置の実施形態を示す概略構成図
符号の説明
1、5 負分散ミラー
3 ガラス基板
4、7 多層膜構造
6 凹面ガラス基板
8 反射防止膜
10 励起光
11 半導体レーザ
12 励起光学系
13、14 ダイクロイックミラー
15 固体レーザ媒質
16 SESAM(半導体可飽和吸収ミラー)
18 固体レーザ発振光
18a 出力光
19 凹面ミラー

Claims (11)

  1. 基板上に誘電体多層膜構造を有するミラーであって、
    所定の波長の光に対して、分散量が−100fsec2〜−1000fsec2であり、かつ、反射率が97%〜99.5%であり、
    前記多層膜構造が、相対的に高い屈折率を有する層および相対的に低い屈折率を有する層が交互に積層されてなり、前記所定の波長の中心波長をλとしたとき、各層の光学膜厚がλ/8〜λ/2の範囲でランダムに変化しているものであることを特徴とする負分散ミラー。
  2. 前記基板が凹面を有するものであり、前記多層膜構造が該凹面に設けられていることを特徴とする請求項1記載の負分散ミラー。
  3. 前記分散量および前記反射率が、前記所定の波長が、10nm以上の帯域幅を有するものであることを特徴とする請求項1または2記載の負分散ミラー。
  4. 前記所定の波長の中心波長が、1000nm〜1100nmの範囲にあることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の負分散ミラー。
  5. 前記所定の波長の中心波長が、700nm〜900nmの範囲にあることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の負分散ミラー。
  6. 前記高い屈折率を有する層が、
    Ti、Zr、Hf、Nb、Al、Zn、Y、Sc、La、Ce、PrまたはTaの酸化物、およびZnの硫化物から選ばれる1つ、
    または、これらの1つもしくは複数を含む混合物または化合物
    からなるものであることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の負分散ミラー。
  7. 前記低い屈折率を有する層が、
    Siの酸化物、およびCa、Li、Mg、Na、Th、Al、Hf、La、YまたはZrのフッ化物から選ばれる1つ、
    または、これらの1つもしくは複数を含む混合物または化合物
    からなるものであることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の負分散ミラー。
  8. 共振器と、
    該共振器内に配置された固体レーザ媒質と、
    前記共振器内に配置された可飽和吸収体とを備え、
    前記共振器の一端を構成する出力ミラーが、請求項1から請求項7いずれか1項記載の負分散ミラーであることを特徴とするモード同期固体レーザ装置。
  9. 請求項1から7いずれか1項記載の負分散ミラーが少なくとも2つ、互いの多層膜構造が対向するように配置されてなることを特徴とする光パルス分散補償装置。
  10. 蛍光標識された被測定物質を含むサンプルに励起光を照射することにより前記サンプルから生じる蛍光を、前記サンプルに対して前記励起光の照射位置を相対的に2次元もしくは3次元に走査させつつ検出して2次元もしくは3次元イメージを取得する非線形光学イメージ装置であって、
    前記励起光を出力する光源として、請求項8記載のモード同期固体レーザ装置を備えたことを特徴とする非線形光学イメージ装置。
  11. 被加工物上にレーザ光を照射して該被加工物の加工を行うレーザ加工装置であって、
    前記レーザ光を出力する光源として、請求項8記載のモード同期固体レーザ装置を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
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