JP2009085983A - 赤外線レーザ用感光性平版印刷版原版 - Google Patents

赤外線レーザ用感光性平版印刷版原版 Download PDF

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Abstract

【課題】耐薬品性及び耐傷性の両方に優れた赤外線レーザ用感光性平版印刷版原版を提供する。
【解決手段】親水性表面を有する支持体上に、一般式(I)で示される基を側鎖に有する高分子化合物、及び赤外線吸収剤を含有する下層と、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含有する上層と、をこの順に有することを特徴とする赤外線レーザ用感光性平版印刷版原版。
Figure 2009085983

Yは、酸素原子 または −NH− を表し、Xは、酸素原子 または 硫黄原子 を表し、Rは、H または炭素数1〜3のアルキル基を表す。
【選択図】なし

Description

本発明は赤外線レーザ用感光性平版印刷版原版に関し、詳細には、コンピュータ等のデジタル信号に基づいて赤外線レーザ光を走査することにより直接製版可能な、所謂ダイレクト製版可能な赤外線レーザ用感光性平版印刷版原版に関する。
近年におけるレーザの発展は目覚しく、特に近赤外線から赤外線領域に発光領域を持つ固体レーザや半導体レーザでは、高出力・小型化が進んでいる。したがって、コンピュータ等のディジタルデータから直接製版する際の露光光源として、これらのレーザは非常に有用である。
赤外線領域に発光領域を持つ赤外線レーザを露光光源として使用する赤外線レーザ用平版印刷版原版としては、バインダー樹脂と光を吸収し熱を発生するIR染料等とを必須成分とするものが一般的である。このような赤外線レーザ用平版印刷版原版の中でも、ポジ型の記録層を有するものにおいては、赤外線レーザで露光すると、未露光部(画像部)では記録層中のIR染料等が、バインダー樹脂と相互作用することにより、該バインダー樹脂の溶解性を実質的に低下させる溶解阻止剤として働く。一方、露光部(非画像部)では、IR染料等が光を吸収して熱を発生するため、IR染料等とバインダー樹脂との相互作用が弱くなる。したがって、現像時において、露光部(非画像部)がアルカリ現像液に溶解して除去されることにより、平版印刷版が得られる。
このような赤外線レーザ用平版印刷版原版においては、耐薬品性向上、耐傷性向上が技術課題として挙げられる。このうち耐薬品性向上については、例えば、ポリビニルアセタールを使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)が、耐薬品性と耐傷性との両立という観点からは不充分である。また、平版印刷版原版の樹脂層の構造を2層以上にすることが、耐薬品性と耐傷性との両立に有用であると考えられ、例えば、下層にマレイミド化合物を構成成分とする高分子化合物を使用することが提案されているが(例えば、特許文献2参照)、さらなるレベルアップが望まれていた。
米国公開特許2004/0020484号公報 米国公開特許2004/0067432号公報
本発明の目的は、耐薬品性及び耐傷性の両方に優れた赤外線レーザ用感光性平版印刷版原版を提供することにある。
本発明者は鋭意研究の結果、前記課題が、以下の赤外線レーザ用感光性平版印刷版原版により解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の赤外線レーザ用感光性平版印刷版原版は、親水性表面を有する支持体上に、下記一般式(I)で示される基を側鎖に有する高分子化合物、及び赤外線吸収剤を含有する下層と、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含有する上層と、をこの順に有することを特徴とする。
Figure 2009085983
一般式(I)中、Yは、酸素原子 または −NH− を表し、
Xは、酸素原子 または 硫黄原子 を表し、
Rは、H または炭素数1〜3のアルキル基を表す。
なお、ここで「この順に有する」とは、親水性表面を有する支持体上に、少なくとも前記下層と上層とを、この順に備えることを意味し、所望により設けられる他の層(例えば、下塗層など)の存在を否定するものではない。
本発明によれば、耐薬品性及び耐傷性の両方に優れた赤外線レーザ用感光性平版印刷版原版を提供することができる。
[赤外線レーザ用感光性平版印刷版原版]
以下、本発明の赤外線レーザ用感光性平版印刷版原版について詳細に説明する。
本発明の赤外線レーザ用感光性平版印刷版原版(以下、単に「平版印刷版原版」称する場合がある。)は、親水性表面を有する支持体上に、下記一般式(I)で示される基を側鎖に有する高分子化合物、(以下、単に「特定高分子化合物」と称する場合がある。)、及び赤外線吸収剤を含有する下層と、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含有する上層と、をこの順に有することを特徴とする。
Figure 2009085983
一般式(I)中、Yは、酸素原子 または −NH− を表し、
Xは、酸素原子 または 硫黄原子 を表し、
Rは、H または炭素数1〜3のアルキル基を表す。
本発明の平版印刷版原版は、上記の構成を有することにより、耐薬品性及び耐傷性の両方に優れた効果を発揮する。その理由は未だ明らかではないが、本発明における耐薬品性の向上は、下層に特定高分子化合物を含有させ、更に該下層を覆う上層を設けたことにより、溶剤の浸透が遅くなることで達成できたためと推測される。また、耐傷性の向上については、本発明の平版印刷版原版における記録層は2層以上の樹脂層を有して構成されており、該樹脂層中の下層に、高強度の皮膜形成が可能な特定高分子化合物を含有させたことで、樹脂層全体の強度が高まったことに起因すると推測される。これは一般式(I)を側鎖に有することによって分子間水素結合等が強くなったことによるものと考えられる。以下、本発明の平版印刷版原版を構成する各要素について、順次説明する。
〔特定高分子化合物及び赤外線吸収剤を含有する下層〕
本発明の平版印刷版原版における下層は、後述する上層よりも支持体側に設けられる層であり、特定高分子化合物及び赤外線吸収剤を含有することを特徴とする。
(特定高分子化合物)
本発明における特定高分子化合物は、下記一般式(I)で示される基を側鎖に有する高分子化合物である。
Figure 2009085983
一般式(I)中、Yは、酸素原子 または −NH− を表し、
Xは、酸素原子 または 硫黄原子 を表し、
Rは、H または炭素数1〜3のアルキル基を表す。
一般式(I)において、Rの具体例としては、H、CH、C、i−C、n−Cの各基であり、特に好ましいRとしては、Hである。
また、好ましいXは、酸素原子である。
また、一般式(I)の−Y−が主鎖側にあっても、−SO−が主鎖側にあってもよい。
また、側鎖の末端構造としては、置換されていても良い炭素数1〜12のアルキル基、置換されていても良い炭素数2〜15のアリール基、置換されていても良い炭素数3〜18のアルキルアリール基、置換されていても良い炭素数3〜18のアリールアルキル基から任意に選ぶことができる。これらの中で、好ましいものは、置換されていても良い炭素数2〜6のアルキル基、置換されていても良い炭素数2〜10のアリール基、置換されていても良い炭素数4〜12のアルキルアリール基、置換されていても良い炭素数4〜12のアリールアルキル基、である。
上記した側鎖の末端構造の好ましい置換基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、カルボキシル基であり、特に好ましい置換基としてはn−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、フェニル、p−メチルフェニル、p−ヒドロキシフェニル、フェニルメチルである。
また、特定高分子化合物は、その分子中に、一般式(I)で示される基は、同一分子中に、1種のみ含まれていてもよいし、2種類以上が含まれていてもよい。
本発明の特定高分子化合物は、上記一般式(I)で示される基を側鎖に有する重合性モノマーを、単一成分で重合、もしくは他の成分と共重合することにより得ることができる。
上記一般式(I)で示される基を側鎖に有する重合性モノマーは、主として以下の2つの方法により得ることができる。
1つは、末端にOH基を持つ重合性モノマーにスルホニルイソシアネート基を持つ化合物を反応させることにより得られ、この場合YはOとなる。
もう1つは、末端にイソシアネート基を持つ重合性モノマーにスルホンアミド基を持つ化合物を反応させることにより得られ、この場合YはNHとなる。
スルホニルイソシアネート基を持つ化合物、およびスルホンアミド基を持つ化合物は、いずれもアルキル骨格もしくはアリール骨格にこれらの基が結合した形が好ましい。アルキル骨格の場合、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、特に好ましいのはt−ブチル基である。またアリール骨格の場合、好ましくは置換基を有するフェニル基、置換基を有するナフチル基であり、特に好ましくはp−メチルフェニル基である。
上記一般式(I)の側鎖を有する重合性モノマーの例を以下に示す。
Figure 2009085983
Figure 2009085983
Figure 2009085983
Figure 2009085983
Figure 2009085983
また、一般式(I)の側鎖を有する重合性モノマー以外に、任意の重合性モノマーを共重合させてもよい。他の構成成分としては、本発明で用いる高分子化合物の成分と共重合しうるモノマーであれば特に指定はないが、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、スチレン系化合物、マレイミド類、酢酸ビニル、ビニルアルコールをあげることができる。
他の成分を共重合させる場合、高分子化合物中の一般式(I)の側鎖を有する重合性モノマーの比率は、5〜90モル%が好ましく、10〜70モル%がより好ましい。
本願で用いられる高分子化合物の例を以下に示す。
Figure 2009085983
Figure 2009085983
Figure 2009085983
Figure 2009085983
Figure 2009085983
Figure 2009085983
Figure 2009085983
特定分子化合物の重量平均分子量としては、1000以上が好ましく、1000〜300000がより好ましい。
下層に含有される特定分子化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上併用してもよい。
特定高分子化合物は、下層に含有される全固形分中に、10〜99質量%の割合で含まれることが好ましい。
なお、特定高分子化合物が、下層中に10〜30質量%の割合で含まれる場合は、皮膜性の点から、特定高分子化合物と共に、後述する他の高分子化合物を併用することが好ましい。
(赤外線吸収剤)
本発明における下層は赤外線吸収剤を含有する。ここで用いられる赤外線吸収剤としては、波長750nmから1,400nmに吸収極大を有し、この波長の光を吸収し熱を発生する顔料または染料であれば特に制限はなく、赤外線吸収性顔料、赤外線吸収性染料として知られる種々の顔料または染料を用いることができる。
赤外線吸収剤としては、公知の種々の顔料や染料等が好適に挙げられる。前記顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が挙げられる。
前記顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が挙げられる。
前記顔料は、表面処理をせずに用いてもよく、表面処理をほどこして用いてもよい。該表面処理の方法には樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。前記表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)および「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
前記顔料の粒径としては、0.01〜10μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましく、0.1〜1μmが特に好ましい。前記顔料の粒径が、0.01μm未満の場合には、分散物の感光層塗布液中での安定性の点で好ましくないことがあり、一方、10μmを超える場合には、感光層の均一性の点で好ましくない。
前記顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。前記分散には、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等の分散機が用いられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
前記染料としては、市販の染料および文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが挙げられ、例えば、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料などの染料が挙げられる。前記顔料、又は染料のうち赤外光、又は近赤外光を吸収する顔料・染料が、赤外光又は近赤外光を発光するレーザでの利用に適する点で、特に好ましい。
前記赤外光、又は近赤外光を吸収する顔料としては、カーボンブラックが好適に用いられる。また、前記赤外光、又は近赤外光を吸収する染料としては、例えば特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等各公報に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等各公報に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等各公報に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号公報等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号公報記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、前記染料としては、米国特許第5,156,938号公報記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号公報記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)公報記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号各公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号公報に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号各公報に開示されているピリリウム化合物、Epolight III−178、Epolight III−130、Epolight III−125、Epolight V−176A等は特に好ましく用いられる。
また、前記染料として、特に好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料が挙げられる。前記顔料又は染料の添加量としては、印刷版材料全固形分に対し0.01〜50重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより好ましい。前記染料の場合には、0.5〜10重量%が特に好ましく、顔料の場合には、3.1〜10重量%が特に好ましい。前記顔料又は染料の添加量が、0.01重量%未満の場合には、感度が低くなることがある一方、50重量%を超える場合には、感光層の均一性が失われ、記録層の耐久性が悪くなることがある。
(他の高分子化合物)
本発明における下層には、前述の特定高分子化合物以外に、他の高分子化合物を併用することができる。併用する高分子化合物は1種類でも2種類以上でもよい。また上層にも高分子化合物を使用するが、2種類以上の高分子化合物を使用してもよい。ここでは、これらの高分子化合物について記載する。
本発明で使用可能な他の高分子化合物としては、アルカリ性水溶液に可溶もしくは膨潤性の高分子化合物であることが好ましい。このような高分子化合物としては、特定高分子化合物とは異なる高分子化合物であって、下記(1)〜(6)に挙げる酸性基を高分子の主鎖及び/又は側鎖中に有する高分子化合物を挙げることができる。
(1)フェノール基(−Ar−OH)
(2)スルホンアミド基(−SO2NH−R
(3)置換スルホンアミド系酸基(以下、「活性イミド基」という。)
〔−SO2NHCOR、−SO2NHSO2、−CONHSO2
(4)カルボン酸基(−CO2H)
(5)スルホン酸基(−SO3H)
(6)リン酸基(−OPO32
(1)〜(6)として挙げられる酸性基中、Arは置換基を有していてもよい2価のアリール連結基を表し、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基を表す。
(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する高分子化合物としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)フェノール基を有する高分子化合物としては、ノボラック樹脂、キシレノール樹脂、レゾール樹脂等が挙げられ、具体的には、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−、o−、m−/p−混合、m−/o−混合およびo−/p−混合のいずれでもよい。)混合ホルムアルデヒド樹脂、1、2−キシレノール、1、3−キシレノール、1、4−キシレノール、1、5−キシレノール、2、3−キシレノール、2、4−キシレノール樹脂、キシレノール/フェノール混合樹脂、キシレノール/ノボラック混合樹脂、キシレノール/ノボラック/フェノール混合樹脂、およびピロガロールとアセトンとの縮重合体を挙げることができる。また、フェノール基を側鎖に有する化合物を共重合させた高分子化合物を挙げることもでき、フェノール基を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、またはヒドロキシスチレン等を共重合成分とした高分子化合物が挙げられる。
(2)スルホンアミド基を有する高分子化合物としては、例えば、スルホンアミド基を有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成される重合体を挙げることができる。上記のような化合物としては、窒素原子に少なくとも一つの水素原子が結合したスルホンアミド基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物が挙げられる。中でも、アクリロイル基、アリル基、またはビニロキシ基と、置換あるいはモノ置換アミノスルホニル基または置換スルホニルイミノ基と、を分子内に有する低分子化合物が好ましく、例えば、下記一般式(i)〜一般式(v)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2009085983
〔式中、X1、X2は、それぞれ独立に−O−または−NR7を表す。R1、R4は、それぞれ独立に水素原子又は−CH3を表す。R2、R5、R9、R12、及び、R16は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。R3、R7、及び、R13は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。また、R6、R17は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を表す。R8、R10、R14は、それぞれ独立に水素原子又は−CH3を表す。R11、R15は、それぞれ独立に単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。Y1、Y2は、それぞれ独立に単結合又はCOを表す。〕
一般式(i)〜一般式(v)で表される化合物のうち、本発明の重層感材型印刷版原版では、特に、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
(3)活性イミド基を有する高分子化合物としては、例えば、活性イミド基を有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成される重合体を挙げることができる。上記のような化合物としては、下記構造式で表される活性イミド基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物を挙げることができ、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
Figure 2009085983
(4)カルボン酸基を有する高分子化合物としては、例えば、カルボン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。本発明の重層感材型印刷版原版では、特に、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸を好適に使用することができる。
(5)スルホン酸基を有する高分子化合物としては、例えば、スルホン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成単位とする重合体を挙げることができる。
(6)リン酸基を有する高分子化合物としては、例えば、リン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
上述以外にも、(1)〜(6)の酸性基を側鎖に有し、連結基として尿素結合を有する不飽和化合物を用いた重合体も使用可能である。
(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する高分子化合物の中でも、(1)フェノール基、(2)スルホンアミド基、(3)活性イミド基および(4)カルボン酸基を有する高分子化合物が好ましく、特に、(1)フェノール基、(2)スルホンアミド基または(4)カルボン酸基を有する高分子化合物が、最も好ましい。
また、(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する最小構成単位は、特に1種類のみである必要はなく、同一の酸性基を有する最小構成単位を2種以上、または異なる酸性基を有する最小構成単位を2種以上共重合させたものを用いることもできる。
高分子化合物が共重合体である場合は、共重合させる(1)〜(6)より選ばれる酸性基を有する化合物が共重合体中に3モル%以上含まれているものが好ましく、5モル%以上含まれているものがより好ましい。3モル%未満であると、実質的に溶剤を含まないアルカリ性現像液への溶解性が低下してしまう。
前記酸性基を有する重合性モノマーと共重合させるモノマー成分としては、例えば、下記(m1)〜(m11)に挙げるモノマーを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
(m1)2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
以上、例として挙げた他の高分子化合物のうち、下層において特定高分子化合物と併用する他の高分子化合物としては、スルホンアミド基及び/又はカルボン酸基を有する共重合体であることが好ましく、共重合成分としては、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、N−フェニルマレイミドをあげることができる。
以上例としてあげた高分子化合物のうち、下層で併用する高分子化合物としては、スルホンアミド基および/またはカルボン酸基を有する共重合体であることが好ましく、共重合成分としては、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、N−フェニルマレイミドをあげることができる。
また、下層で併用する他の高分子化合物としては、ノボラック樹脂も好適に用いられ、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−、o−、m−/p−混合、m−/o−混合およびo−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂、をあげることができる。併用する高分子化合物は2種類以上であってもよい。
本発明の下層に用いられる高分子化合物が、フェノールホルムアルデヒド樹脂、クレゾールアルデヒド樹脂等の樹脂である場合には、重量平均分子量が500〜20,000であり、数平均分子量が200〜10,000のものが好ましい。それ以外の高分子化合物の場合は、重量平均分子量は2,000以上、数平均分子量が500以上のものが好ましく、更に好ましくは、重量平均分子量が5,000〜300,000で、数平均分子量が800〜250,000であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜10のものである。
本発明においては、高分子化合物の合計添加量としては、30〜99重量%、好ましくは50〜99重量%、特に好ましくは65〜99重量%の添加量で用いられる。高分子化合物の添加量が30重量%未満であると感熱層の耐久性が悪化し、また、99重量%を超えると、特に下層の場合は、後述の赤外線吸収剤の添加量が減少し感度が低下するため、好ましくない。
(その他の成分)
本発明に関する下層などの塗布層には、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。
例えば、下層の溶解性を調節するためには、オニウム塩、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル化合物、多官能アミン化合物等、溶解抑止剤を添加することが好ましく、中でも、オニウム塩、o−キノンジアジド化合物、スルホン酸アルキルエステル等の熱分解性であり、分解しない状態ではアルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質を併用することが、画像部の現像液への溶解阻止性を制御できる点で好ましい。オニウム塩としては、ジアゾニウム塩及び4級アンモニウム塩が特に好ましい。
本発明において用いられるオニウム塩として、好適なものとしては、例えばS.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)、特開平5−158230号公報に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、特開平3−140140号の明細書に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker et al,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第5,041,358号、同第4,491,628号、特開平2−150848号、特開平2−296514号に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello et al,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello et al.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello et al,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello et al,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同3,902,114号、同5,041,358号、同4,491,628号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等があげられる。
これらのオニウム塩の中でも、溶解阻止能や熱分解性の観点から、ジアゾニウム塩及び4級アンモニウム塩が特に好ましい。特に、ジアゾニウム塩としては、特開平5−158230号公報に記載の一般式(I)で示されるジアゾニウム塩や特開平11−143064号公報に記載の一般式(1)で示されるジアゾニウム塩が好ましく、可視光領域の吸収波長が小さい特開平11−143064号公報に記載の一般式(1)で示されるジアゾニウム塩が最も好ましい。また4級アンモニウム塩としては、特開2002−229186号公報に記載〔化5〕〔化6〕中の(1)〜(10)に示される4級アンモニウム塩が好ましい。
オニウム塩の対イオンとしては、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらの中でも特に六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸や2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸のごときアルキル芳香族スルホン酸が好適である。
好適なキノンジアジド類としてはo−キノンジアジド化合物を挙げることができる。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物は、少なくとも1個のo−キノンジアジド基を有する化合物で、熱分解によりアルカリ可溶性を増すものであり、種々の構造の化合物を用いることができる。つまり、o−キノンジアジドは熱分解により結着剤の溶解抑制能を失うことと、o−キノンジアジド自身がアルカリ可溶性の物質に変化することの両方の効果により感材系の溶解性を助ける。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物としては、例えば、J.コーサー著「ライト−センシティブ・システムズ」(John Wiley&Sons.Inc.)第339〜352頁に記載の化合物が使用できるが、特に種々の芳香族ポリヒドロキシ化合物あるいは芳香族アミノ化合物と反応させたo−キノンジアジドのスルホン酸エステル又はスルホン酸アミドが好適である。また、特公昭43−28403号公報に記載されているようなベンゾキノン(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第3,046,120号及び同第3,188,210号に記載されているベンゾキノン−(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好適に使用される。
さらにナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとフェノールホルムアルデヒド樹脂あるいはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルも同様に好適に使用される。その他の有用なo−キノンジアジド化合物としては、数多くの特許に報告され知られている。例えば特開昭47−5303号、特開昭48−63802号、特開昭48−63803号、特開昭48−96575号、特開昭49−38701号、特開昭48−13354号、特公昭41−11222号、特公昭45−9610号、特公昭49−17481号、米国特許第2,797,213号、同第3,454,400号、同第3,544,323号、同第3,573,917号、同第3,674,495号、同第3,785,825号、英国特許第1,227,602号、同第1,251,345号、同第1,267,005号、同第1,329,888号、同第1,330,932号、ドイツ特許第854,890号などの各明細書中に記載されているものをあげることができる。
分解性溶解抑止剤であるオニウム塩、及び/または、o−キノンジアジド化合物の添加量は好ましくは記録層の全固形分に対し、1〜10質量%、更に好ましくは1〜5質量%、特に好ましくは1〜2質量%の範囲である。これらの化合物は単一で使用できるが、数種の混合物として使用してもよい。
o−キノンジアジド化合物以外の添加剤の添加量は、好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは0.1〜2質量%、特に好ましくは0.1〜1.5質量%である。本発明に係る添加剤と結着剤は、同一層へ含有させることが好ましい。
また、分解性を有さない溶解抑止剤を併用してもよく、好ましい溶解抑止剤としては、特開平10−268512号公報に詳細に記載されているスルホン酸エステル、燐酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、芳香族ジスルホン、カルボン酸無水物、芳香族ケトン、芳香族アルデヒド、芳香族アミン、芳香族エーテル等、同じく特開平11−190903号公報に詳細に記載されているラクトン骨格、N,N−ジアリールアミド骨格、ジアリールメチルイミノ骨格を有し着色剤を兼ねた酸発色性色素、同じく特開2000−105454号公報に詳細に記載されている非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。
また、本発明の感光性組成物には、感度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を併用することができる。また、後述する界面活性剤、画像着色剤、および可塑剤も、本発明のポジ型記録層に使用することができる。
環状酸無水物としては米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−4−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。フェノール類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’,4”−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’,3”,4”−テトラヒドロキシ−3,5,3’,5’−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。更に、有機酸類としては、特開昭60−88942号、特開平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類、及びカルボン酸類などが挙げられる。
上記の環状酸無水物、フェノール類、及び有機酸類の記録層中に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
また、これら以外にも、エポキシ化合物、ビニルエーテル類、更には特開平8−276558号公報に記載のヒドロキシメチル基を有するフェノール化合物、アルコキシメチル基を有するフェノール化合物及び本発明者らが先に提案した特開平11−160860号公報に記載のアルカリ溶解抑制作用を有する架橋性化合物等を目的に応じて適宜添加することができる。
また、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼き出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
画像の着色剤としては、前述の塩形成性有機染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性有機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性染料を挙げることができる。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)などを挙げることができる。また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料は特に好ましい。これらの染料は、記録層全固形分に対し、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜3質量%の割合で記録層中に添加することができる。
更に、本発明の感光性組成物には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
〔塗布溶剤及び塗布方法〕
本発明の感光組成物は、溶媒に溶かし適当な支持体上に塗布することにより記録層を製造することができる。また、目的に応じて、後述する保護層、樹脂中間層、バックコート層なども同様にして形成することができる。
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等をあげることができるが、これらに限定されるものではない。これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。
溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。また塗布、乾燥後に得られる支持体上の固形分塗布量は、上層は0.05〜2.0g/m2、下層は0.3〜5.0g/m2がそれぞれ好ましく、より好ましくは上層は0.1〜1.0g/m2、下層は0.5〜3.0g/m2の範囲である。また上層と下層との塗布量の比は、0.05〜1が好ましく、より好ましくは0.1〜0.8の範囲である。
記録層塗布液を塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、感光膜の皮膜特性は低下する。
また、分解性を有さない溶解抑止剤を併用してもよく、スルホン酸エステル、燐酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、芳香族ジスルホン、カルボン酸無水物、芳香族ケトン、芳香族アルデヒド、芳香族アミン、芳香族エーテル等を挙げることができる。
さらに、下層には、感度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を併用することができ、界面活性剤、画像着色剤、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤及び可塑剤も使用することができる。
〔水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含有する上層〕
本発明における上層は、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂(以下、適宜、「アルカリ可溶性樹脂」と称する。)を含有することを特徴とする。以下、本発明における上層が含有する各成分について説明する。
(水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂)
上層に使用可能なアルカリ可溶性樹脂としては、アルカリ性現像液に接触すると溶解する特性を有するものであれば特に制限はないが、高分子中の主鎖及び/又は側鎖に酸性基を含有するモノマーから得られる単独重合体、これらの共重合体、又は、これらの混合物であることが好ましい。
このような酸性基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、特に、(1)フェノール性水酸基、(2)スルホンアミド基、(3)活性イミド基のいずれかの官能基を分子内に有する高分子化合物が挙げられる。例えば、以下のものが例示されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)フェノール性水酸基を有する高分子化合物としては、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,またはm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂やピロガロールアセトン樹脂が挙げられる。フェノール性水酸基を有する高分子化合物としてはこの他に、側鎖にフェノール性水酸基を有する高分子化合物を用いることが好ましい。側鎖にフェノール性水酸基を有する高分子化合物としては、フェノール性水酸基と重合可能な不飽和結合とをそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。
フェノール性水酸基を有する重合性モノマーとしては、フェノール性水酸基有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、またはヒドロキシスチレン等が挙げられる。具体的にはN−(2−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒドロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルアクリレート、o−ヒドロキシフェニルメタクリレート、m−ヒドロキシフェニルメタクリレート、p−ヒドロキシフェニルメタクリレート、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート等を好適に使用することができる。かかるフェノール性水酸基を有する樹脂は、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。更に、米国特許4,123,279号明細書に記載されているように、t−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂のような、炭素数3〜8のアルキル基を置換基として有するフェノールとホルムアルデヒドとの共重合体を併用してもよい。
(2)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、スルホンアミド基を有する重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。スルホンアミド基を有する重合性モノマーとしては、1分子中に、窒素原子上に少なくとも1つの水素原子が結合したスルホンアミド基−NH−SO−と、重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーが挙げられる。その中でも、アクリロイル基、アリル基、またはビニロキシ基と、置換或いはモノ置換アミノスルホニル基または置換スルホニルイミノ基とを有する低分子化合物が好ましい。
(3)活性イミド基を有するアルカリ可溶性樹脂は、活性イミド基を分子内に有するものが好ましく、この高分子化合物としては、1分子中に活性イミド基と重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物が挙げられる。
このような化合物としては、具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
上層が含有するアルカリ可溶性樹脂としては、フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、及び活性イミド基を有する重合性モノマーのうち2種類以上を重合させた高分子化合物であることが好ましい。上記重合性モノマーの共重合比、および重合性モノマーの組み合わせに制限はないが、特にフェノール性水酸基を有する重合性モノマーに、スルホンアミド基を有する重合性モノマー及び/又は活性イミド基を有する重合性モノマーを共重合させる場合には、これら成分の配合重合比は50:50から5:95の範囲にあることが好ましく、40:60から10:90の範囲にあることが特に好ましい。
上層が含有するアルカリ可溶性樹脂が、フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーの単独重合体或いは共重合体の場合、重量平均分子量が2,000以上、数平均分子量が500以上のものが好ましい。更に好ましくは、重量平均分子量が5,000〜300,000で、数平均分子量が800〜250,000であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜10のものである。
特に、上層が含有するアルカリ可溶性樹脂が、フェノールホルムアルデヒド樹脂、または、クレゾールアルデヒド樹脂等である場合には、重量平均分子量が500〜20,000であり、数平均分子量が200〜10,000のものが好ましい。
上層が含有するアルカリ可溶性樹脂としては、未露光部において強い水素結合性を生起し、露光部において一部の水素結合が容易に解除されるといった点から、フェノール性水酸基を有する樹脂が望ましく、フェノール性水酸基を有する樹脂の中でも特に好ましくはノボラック樹脂である。 また、本発明においては、アルカリ性水溶液に対し溶解速度の異なる2種類以上のアルカリ可溶性樹脂を混合して用いてもよく、その場合の混合比は自由である。なお、該フェノール性水酸基を有する樹脂と混合するのに好適なアルカリ可溶性樹脂としては、フェノール性水酸基を有する樹脂と相溶性が低いことから、アクリル樹脂であることが好ましく、更に好ましくはスルホアミド基を有するアクリル樹脂である。
上層の全固形分中におけるアルカリ可溶性樹脂の含有量は、記録層の感度と耐久性の観点から、50〜98質量%の範囲であることが好ましい。なお、この含有量は、アルカリ可溶性樹脂を複数種併用する場合にはその合計量を指す。
上層には、赤外線吸収剤を添加することができる。赤外線吸収剤としては、波長750nmから1,400nmに吸収極大を有し、この波長の光を吸収し熱を発生する染料であれば特に制限はなく、赤外線吸収性染料として知られる種々の染料を用いることができ、具体的には、前記した下層に用いられる赤外線吸収剤として挙げたものと、同様のものを用いることができる。
上層における赤外線吸収剤の含有量としては、上層の全固形分中に0.01〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜30質量%、特に好ましくは1.0〜30質量%の範囲である。上記範囲とすることで感度がより良好となり、上層(上部記録録層)の均一性、耐久性がより良好となる。
上層には、そのインヒビション(溶解抑制能)を高める目的で、現像抑制剤を含有させることが好ましい。
現像抑制剤としては、上層に含有されるアルカリ可溶性樹脂と相互作用を形成し、未露光部においては該アルカリ可溶性樹脂の現像液に対する溶解性を実質的に低下させ、且つ、露光部においては該相互作用が弱まり、現像液に対して可溶となり得るものであれば特に限定はされないが、特に4級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール系化合物等が好ましく用いられる。なお、赤外線吸収剤として、現像抑制剤の機能を有する化合物を用いた場合には、現像抑制剤を添加する必要はない。
4級アンモニウム塩としては、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアリールアンモニウム塩、ジアルキルジアリールアンモニウム塩、アルキルトリアリールアンモニウム塩、テトラアリールアンモニウム塩、環状アンモニウム塩、二環状アンモニウム塩が挙げられる。また、ポリエチレングリコール化合物としては、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリエチレングリコールアルキルエーテル類、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル類、ポリエチレングリコールアリールエーテル類、ポリプロピレングリコールアリールエーテル類、ポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリプロピレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリエチレングリコールグリセリンエステル、ポリプロピレングリコールグリセリンエステル類、ポリエチレンソルビトールエステル類、ポリプロピレングリコールソルビトールエステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコール化エチレンジアミン類、ポリプロピレングリコール化エチレンジアミン類、ポリエチレングリコール化ジエチレントリアミン類、ポリプロピレングリコール化ジエチレントリアミン類が挙げられる。
そのほか、オニウム塩、o−キノンジアジド化合物、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル化合物等の、熱分解性であり、且つ、分解しない状態では、アルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質を併用することが画像部の現像液へのインヒビションの向上を図る点で好ましい。
本発明において用いうるオニウム塩としては、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等が挙げられ、なかでも、ジアゾニウム塩が特に好ましい。また、特に好適なジアゾニウム塩としては特開平5−158230号公報記載のものがあげられる。
好適なキノンジアジド類としてはo−キノンジアジド化合物を挙げることができる。
これらの添加量としては、上層の全固形分中、0.1〜10質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲である。
上層を形成するにあたっては、上記した成分の他、本発明の効果を損なわない限りにおいて、種々の添加剤を添加することができる。
例えば、感度を向上させる目的で酸無水物類、フェノール類、有機酸類を添加してもよく、塗布性良化や現像条件に対する処理の安定性を広げるため、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、シロキサン系化合物、フッ素含有のモノマー共重合体を添加することができ、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができ、さらに塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を添加しても良い。
上層は、通常、上記各成分を溶剤に溶かして、塗布することにより形成することができるが、下層をできるだけ溶解しないものが好ましい。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、トルエン等を挙げることができる。これらの溶剤は単独あるいは混合して使用される。
また、支持体上に上層用塗布液を塗布、乾燥後に得られた上層の固形分塗布量としては、0.05〜2.0g/m2の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.0g/m2の範囲である。
〔支持体〕
本発明の平版印刷版原版における支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、必要な強度、可撓性などの物性を満たすものであれば特に制限はない。支持体としては、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフイルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフイルム等が挙げられる。
平版印刷版原版に適用し得る支持体としては、ポリエステルフイルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフイルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
本発明に適用しうるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いうアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度であり、好ましくは0.12mm〜0.4mmである。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組合せた方法も利用することができる。このうち、少なくとも塩酸電解液中で粗面化する工程を含むことが好ましい。
この様に粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2より少ないと耐刷性が不充分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、先述したような上層及び下層層を含む重層構造の記録層を設けたものであるが、必要に応じて支持体と下層との間に、更に下塗層を設けることができる。この下塗層を設けることで、支持体と記録層との間の下塗層が断熱層として機能し、赤外線レーザの露光により発生した熱が支持体に拡散せず、効率よく使用されることから、高感度化が図れるという利点を有する。下塗層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、アミノ基を有するホスホン酸類、有機ホスホン酸、フェニルリン酸などの有機リン酸、有機ホスフィン酸、アミノ酸類、ヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩及び特開2000−241962号公報に記載の酸基を有する構成成分とオニウム基を有する構成成分とを有する高分子化合物等から選ばれる。下塗層の被覆量は、耐刷性能の点から、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。
−平版印刷版原版の製版処理−
〔露光〕
本発明の平版印刷版原版は、熱により画像形成される。具体的には、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力赤外線レーザによる走査露光などにより画像形成される。なお、本発明の平版印刷版原版は、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光、赤外線ランプ露光などによっても画像形成することができる。
赤外線レーザの出力は、100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましく、記録材料に照射されるエネルギーは10〜500mJ/cmであることが好ましい。
〔現像〕
露光された平版印刷版原版は、実質的に有機溶剤を含まないpH12以上のアルカリ性水溶液で現像されることが好ましい。ここで「実質的に有機溶剤を含まない」とは、環境衛生、安全性、作業性等の観点からみて不都合を生じる程度までは有機溶剤を含有しない、の意味であるが、本発明においては現像液中の有機溶剤の割合が0.5重量%以下であることをいい、好ましくは0.3重量%以下、全く含有しないのが最も好ましい。またpHは12.0以上であるが、より好ましくは12.0〜14.0である。
現像液(以下、補充液も含めて現像液と呼ぶ)には、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤が挙げられる。これらのアルカリ水溶液は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記のアルカリ水溶液の内、本発明による効果が発揮される現像液は、一つは塩基としてケイ酸アルカリを含有した、又は塩基にケイ素化合物を混ぜてケイ酸アルカリとしたものを含有した、いわゆる「シリケート現像液」と呼ばれるpH12以上の水溶液であり、もう一つのより好ましい現像液は、ケイ酸アルカリを含有せず、非還元糖(緩衝作用を有する有機化合物)と塩基とを含有したいわゆる「ノンシリケート現像液」である。
現像液及び補充液には、現像性の促進や抑制、現像カスの分散または、印刷版画像部の親インキ性を高める目的で、必要に応じて、種々の界面活性剤や有機溶剤を添加できる。前記界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤が好ましい。更に、前記現像液及び補充液には、必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤等を加えることができる。
現像液及び補充液を用いて現像処理された平版印刷版原版は、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。後処理としては、これらの処理を種々組合せて用いることができる。
更に自動現像機を用いて現像する場合には、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換する事なく、多量のPS版を処理できることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。
現像液及び補充液を用いて現像処理された印刷版は、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明の感光性組成物を用いた平版印刷版原版の後処理としては、これらの処理を種々組合せて用いることができる。
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化及び標準化のため、印刷版用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷版を搬送する装置と各処理液槽及びスプレー装置からなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
以上のようにして得られた平版印刷版は所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力平版印刷版としたい場合には、所望によりバーニング処理が施される。平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
この様な処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
以下、本発明を実施例に従って説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
〔支持体の作製〕
厚さ0.3mmのJIS−A−1050アルミニウム板を用いて、下記に示す工程を経て処理することで支持体を作製した。
上述のアルミニウム板に温度70℃のNaOH水溶液(濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%)をスプレーしてエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2溶解した。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
次に、温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/リットル水溶液(アルミニウムイオンを5g/リットル含む)、温度35℃であった。交流電源波形は矩形波であり、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で450C/dm2であった。
その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
上記の処理を行ったアルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
続いて、温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
次いで、陽極酸化処理を行った。電解液は、硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度は43℃であった。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。電流密度は約30A/dm2であった。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
更にその後、0.5%のポリビニルホスホン酸水溶液を60℃に加熱した液に、陽極酸化処理したアルミニウム板を5秒間浸漬し、スプレーにて水洗した。
以上のようにして、実施例の感光性平版印刷版原版に用いる支持体を得た。
(下層の形成)
上記で得られた支持体に、下記組成の下層用塗布液Aをワイヤーバーで塗布したのち、140℃に設定した乾燥用オーブンで50秒間乾燥して下層を形成した。乾燥後の下層の塗布量は1.2g/mであった。
<下層用塗布液A>
・高分子化合物(1)
(例示化合物として前記した化合物、a/b=70/30(モル比)、
重量平均分子量60,000) 0.80g
・シアニン染料P(下記構造) 0.15g
Figure 2009085983

・エチルバイオレット 0.05g
・メチルエチルケトン 5.00g
・1−メトキシ−2−プロパノール 5.00g
・N,N−ジメチルホルムアミド 10.00g
(上層の形成)
以上のようにして形成された下層の上に、下記組成の上層用塗布液Aをワイヤーバーで塗布したのち、130℃に設定した乾燥用オーブンで60秒間乾燥して上層を得た。乾燥後の上層の塗布量は0.4g/mであった。
<上層用塗布液A>
・m−クレゾール/p−クレゾール/フェノール=45/30/25(モル比)のノボラック樹脂(重量平均分子量5,000) 0.95g
・シアニン染料P(前記構造) 0.05g
・メチルエチルケトン 10.00g
・1−メトキシ−2−プロパノール 10.00g
このようにして、実施例1の平版印刷版原版(あ)を得た。
[実施例2〜6]
実施例1において、下層の形成に用いた高分子化合物(1)の代わりに、特定高分子化合物の例示化合物として前記した高分子化合物(2)〜(7)をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜6の平版印刷版原版(い)〜(き)を得た。
なお、使用した高分子化合物の詳細を以下に示す。
高分子化合物(2) a/b/c=30/60/10(モル比)
重量平均分子量50,000
高分子化合物(3) a/b/c=40/50/10(モル比)、
重量平均分子量80,000
高分子化合物(4) a/b/c=35/35/30(モル比)、
重量平均分子量70,000
高分子化合物(5) a/b/c=10/60/30(モル比)、
重量平均分子量30,000
高分子化合物(6) a/b/c/d=20/15/45/20(モル比)、
重量平均分子量40,000
高分子化合物(7) a/b/c=15/25/60(モル比)、
重量平均分子量50,000
[実施例8]
実施例4において、下層の形成に用いた高分子化合物(4)の添加量を0.40gに変更し、更に、その他の高分子化合物として、m−クレゾール/p−クレゾール=60/40のノボラック樹脂(重量平均分子量5,000)を0.10g、N−フェニルマレイミド/メタクリルアミド/アクリロニトリル/N−(p−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド=5/10/50/35(モル比)の共重合体(重量平均分子量70,000)を0.30g、それぞれ添加したほかは、実施例1と同様にして、実施例8の平版印刷版原版(く)を得た。
[実施例9]
実施例4において、下層の形成に用いた高分子化合物(4)の添加量を0.60gに変更し、その他の高分子化合物として、m−クレゾール/p−クレゾール=60/40のノボラック樹脂(重量平均分子量5,000)を0.20g、添加した以外は、実施例1と同様にし、実施例9の平版印刷版原版(け)を得た。
[比較例1]
実施例1において、下層の高分子化合物(1)の代わりに、高分子化合物としてN−フェニルマレイミド/メタクリルアミド/メタクリル酸=45/35/20(モル比)の共重合体(重量平均分子量20,000)を用いた以外は、実施例1と同様にし、比較例1の平版印刷版原版(こ)を得た。
[比較例2]
実施例1において、上層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例2の平版印刷版原版(さ)を得た。
<平版印刷版原版の評価>
1.耐薬品性の評価
得られた平版印刷版原版(あ)〜(さ)の各々を、Creo社製Trendsetter3244にて、ビーム強度10.0W、ドラム回転速度250rpmの条件で、175lpi/2400dpiの網点面積率1〜99%のチャートが入ったテストパタ−ンの画像状に描き込み(露光)を行った。
次に、富士フイルム(株)製PSプロセッサーLP−940HIIを用い、現像液温を30℃、現像時間12秒で現像処理、及びガム引き処理を行うことで、平版印刷版を得た。このとき、現像液としては、富士フイルム(株)製の現像液「DT−2」を水で1:8に希釈した液を、また、ガム液としては、富士フイルム(株)製「FG−1」を水で1:1に希釈した液を用いた。
このようにして得られた平版印刷版を用いて印刷を行なった。このとき、印刷機としては、小森コーポレーション(株)製のリスロン印刷機を、インキとしては大日本インキ化学工業(株)製の「バリウスG」の墨インキを、湿し水としては富士写真フイルム(株)製の「IF−102」を水で4%の濃度に希釈した液を、それぞれ用いた。また、5000枚印刷するごとに、富士フイルム(株)製マルチクリーナーで版面を拭くことを行った。上質紙に印刷し、ベタ画像の濃度が薄くなり始めたと目視で認められた時点の印刷枚数により、耐刷性を評価した。数値が大きいほど耐薬品性が良好であることを意味する。結果を表1に示す。
2.耐傷性の評価
得られた平版印刷版原版(あ)〜(さ)を、TOYOSEIKI社製ロータリーアブレーションテスターを用い、250g重の荷重を加えたアブレーザーフェルトCS5で15回転摩擦した。
次に、この版を、現像液として前記現像液「DT−2」を水で1:8に希釈した液を用い、上述の耐薬品性の評価と同じ方法で、現像処理を行った。
このようにして得られた版について、摩擦をかけた部分とかけていない部分をそれぞれマクベス社製濃度計で版面の濃度を測定し、その差の絶対値を算出した。結果を表1に示す。値が大きいほど摩擦による版面のダメージが大きかったことを意味する。
Figure 2009085983
表1に示すように、実施例の平版印刷版原版(あ)〜(け)は、耐薬品性が良好であり、且つ、摩擦前後の濃度変化の値が小さく、耐傷性が良好な平版印刷版原版であった。
一方、下層に特定高分子化合物を含有しない比較例の平版印刷版原版(こ)は、耐傷性に問題はないものの、耐薬品性が劣った平版印刷版原版であった。また、上層を有さない比較例2の平版印刷版原版(さ)は、耐薬品性、耐傷性の何れにも劣った平版印刷版原版であった。
以上の実施例に示したように、本発明により、耐薬品性と耐傷性とのいずれにも優れた平版印刷版原版を得ることができることがわかる。

Claims (1)

  1. 親水性表面を有する支持体上に、下記一般式(I)で示される基を側鎖に有する高分子化合物、及び赤外線吸収剤を含有する下層と、水不溶性且つアルカリ可溶性樹脂を含有する上層と、をこの順に有することを特徴とする赤外線レーザ用感光性平版印刷版原版。
    Figure 2009085983
    一般式(I)中、Yは、酸素原子 または −NH− を表し、
    Xは、酸素原子 または 硫黄原子 を表し、
    Rは、H または炭素数1〜3のアルキル基を表す。
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