JP2009084727A - ゴム−スチールコード複合体、その製造方法およびそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】複撚り構造のコードにおいて、コード径を増大させることなく、コード単体の破断強度と強力密度とを併せて向上することで、加硫後におけるコード強力の保持を図ったゴム−スチールコード複合体、その製造方法およびそれを用いた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】スチールコードがゴム中に埋設されてなるゴム−スチールコード複合体である。スチールコードが、複数本のフィラメント1を層撚り構造に撚り合わせてなるストランドの複数本を、コア11と、少なくとも1層のシース12とからなる層撚り構造に撚り合わせてなる複撚り構造を有する。スチールコードの最外層シースストランド12の外接円が、隣接ストランド間で互いに接触した状態にあり、かつ、少なくとも最外層シースストランド12のすぐ内側に位置するストランド層の周囲におけるゴム被覆率が、50%以上である。
【選択図】図1
【解決手段】スチールコードがゴム中に埋設されてなるゴム−スチールコード複合体である。スチールコードが、複数本のフィラメント1を層撚り構造に撚り合わせてなるストランドの複数本を、コア11と、少なくとも1層のシース12とからなる層撚り構造に撚り合わせてなる複撚り構造を有する。スチールコードの最外層シースストランド12の外接円が、隣接ストランド間で互いに接触した状態にあり、かつ、少なくとも最外層シースストランド12のすぐ内側に位置するストランド層の周囲におけるゴム被覆率が、50%以上である。
【選択図】図1
Description
本発明は、ゴム−スチールコード複合体、その製造方法およびそれを用いた空気入りタイヤ(以下、単に「複合体」、「製造方法」および「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、空気入りタイヤや工業用ベルト等の各種ゴム物品の補強材として使用されるゴム−スチールコード複合体、その製造方法およびそれを用いた空気入りタイヤに関する。
一般に、建設車両用のスチールラジアルタイヤは、凹凸の激しい不整地等で大きな荷重負荷の下で使用される。そのため、その骨格部材となるスチールコードには、非常に高い破断強度が必要とされる。
このように、大荷重に対する耐久性が必要とされるスチールコードの基本構造は、複数本のフィラメントを撚り合わせたストランドを複数本用意し、これらをさらに撚り合わせることにより得られる複撚り構造となる。
従来のスチールコードにおいて、破断強度を向上させるためには、スチールコードの断面積を大きくする必要があるが、スチールの使用量を多くすると、それだけ重量が重くなり、空気入りタイヤに適用した場合、製品重量の増加が不具合となる。これに対し、重量増加を抑制するために、スチールフィラメントのカーボン組成や加工率を調整などすることにより、フィラメントの抗張力を大きくして、断面積を増やすことなく高い破断強度のスチールコードを得ることが行われている。
しかし、複撚り構造のコードの場合、スチールコード全体の破断荷重よりも低い荷重で内部のフィラメントが先行的に切れてしまい、破断強度に寄与するフィラメントの有効断面積が減少してしまう。そのため、フィラメントの抗張力を大きくして破断強度を高めようとしても、抗張力の上昇分だけの破断強度の向上が得られないという問題があった。スチール製のフィラメントが先行的に切れてしまう理由は、撚り線に対し破断強度に近い大きな荷重がかかったときの撚り締りに起因する締め付け圧力が、引張り荷重を負担しているスチール製のフィラメントに側方からの作用を及ぼすためであり、これは、締め付け応力が集中するスチール製のフィラメント同士の交差接触点に発生する現象である。
スチールコードの改良に係る技術としては、例えば、特許文献1に、金属コアストランドと、その周囲に設けられるスチール要素の少なくとも1つの隣接層からなるスチールコードにおいて、金属コアストランドを所定の最小厚みを有するポリマー材料によって被覆することで、上記フィラメントの先行破断の抑制効果とともに、高いコード破断強度を得る技術が開示されている。また、特許文献2には、金属製のコアフィラメントと金属製のシースフィラメントとを層撚り構造に撚り合わせて1本のストランドとし、複数本のこのストランドを、コアストランドとシースストランドとからなる層撚り構造に撚り合わせて1本のスチールコードとした複撚り構造のスチールコードにおいて、コアストランドの表層に非金属フィラメントをスパイラル巻付けすることで、コアストランド周囲へのゴム被覆を可能としたゴム物品補強用スチールコードが開示されている。
特表2004−522864号公報(特許請求の範囲等)
特開2005−248374号公報(特許請求の範囲等)
上述のように、コアストランドの周囲に被覆層がなく、シースストランドとコアストランドとが接触している構造のコードにおいては、コード全体の破断に先立って内部フィラメントの先行破断が生じ、強度に寄与する有効断面積が減少する結果、コード全体の破断強度が低下するという問題がある。この内部フィラメントの先行破断を改善するための従来技術としては、上記特許文献1,2に記載されているように、コアストランドの周囲に、被覆層を完全に被覆する手法がある。
しかしながら、このようにコアストランド表層をポリマ−で完全に被覆すると、被覆部分の厚みや、コアストランドのスパイラル巻付けの厚みのために、コード径が太くなってしまうという新たな問題があった。
その結果、コード単体の破断強度で見れば強度向上を達成できるものの、コード断面部分の円面積で破断強度を除した強力密度の観点からすると、ロスが発生してしまう。ゴム物品を補強するゴムとコードとの複合体においては、コードを平面に並べシート状とする段階で、この強力密度が高いほど、より軽量または高強度な製品を作ることに有利となる。
そこで本発明の目的は、複撚り構造のコードにおいて、コード径を増大させることなく、コード単体の破断強度と強力密度とを併せて向上することで、加硫後におけるコード強力の保持を図ったゴム−スチールコード複合体、その製造方法およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ゴム−スチールコード複合体の最外層シースのすぐ内側に位置するストランドの周囲におけるゴム被覆率を所定値以上とすることで、シースフィラメントの締め付け圧力を分散させて、コード径を増大させることなくコード強力の保持を図ることが可能となることを見出し、また、加硫時の加硫圧を所定に調整することでかかる複合体が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のゴム−スチールコード複合体は、スチールコードがゴム中に埋設されてなるゴム−スチールコード複合体であって、該スチールコードが、複数本のフィラメントを層撚り構造に撚り合わせてなるストランドの複数本を、コアと、少なくとも1層のシースとからなる層撚り構造に撚り合わせてなる複撚り構造を有するゴム−スチールコード複合体において、
前記スチールコードの最外層シースストランドの外接円が、隣接ストランド間で互いに接触した状態にあり、かつ、少なくとも該最外層シースストランドのすぐ内側に位置するストランド層の周囲におけるゴム被覆率が、50%以上であることを特徴とするものである。なお、本発明における最外層シースストランドの外接円とは、ストランドの撚り角等の影響によりストランド長手方向とコード長手方向とが若干ずれを生ずることにより、若干の楕円形状のような概略円形となる場合を含む。
前記スチールコードの最外層シースストランドの外接円が、隣接ストランド間で互いに接触した状態にあり、かつ、少なくとも該最外層シースストランドのすぐ内側に位置するストランド層の周囲におけるゴム被覆率が、50%以上であることを特徴とするものである。なお、本発明における最外層シースストランドの外接円とは、ストランドの撚り角等の影響によりストランド長手方向とコード長手方向とが若干ずれを生ずることにより、若干の楕円形状のような概略円形となる場合を含む。
本発明の複合体においては、前記スチールコードが2層以上のシースを有し、かつ、該スチールコードの最外層シースストランドのすぐ内側に位置するストランドの、さらに内側に位置するストランド層の周囲におけるゴム被覆率が、50%以上であることが好ましい。
また、本発明のゴム−スチールコード複合体の製造方法は、スチールコードがゴム中に埋設されてなるゴム−スチールコード複合体の製造方法であって、該スチールコードが、複数本のフィラメントを層撚り構造に撚り合わせてなるストランドの複数本を、コアと、少なくとも1層のシースとからなる層撚り構造に撚り合わせてなる複撚り構造を有するゴム−スチールコード複合体の製造方法において、
前記スチールコードを未加硫ゴムに埋設した後、加硫圧3.0MPa以上で加硫することを特徴とするものである。
前記スチールコードを未加硫ゴムに埋設した後、加硫圧3.0MPa以上で加硫することを特徴とするものである。
本発明の製造方法においては、前記加硫圧を3MPa〜10MPaとすることが好ましい。
さらに、本発明の空気入りタイヤは、上記本発明のゴム−スチールコード複合体を補強材として用いたことを特徴とするものである。
本発明によれば、上記構成としたことにより、コード径を増大させることなく加硫後の強力を保持した複撚り構造のゴム−スチールコード複合体およびその製造方法を実現することが可能となった。したがって、かかる本発明のゴム−スチールコード複合体を用いることで、従来に比し軽量かつ高強度を満足する空気入りタイヤを得ることができる。
以下、本発明の好適実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本発明の一好適実施形態に係るゴム−スチールコード複合体の概略断面図を示す。図示するゴム−スチールコード複合体は、スチールコード10がゴム20中に埋設されてなり、スチールコード10が、27本のフィラメント1を層撚り構造に撚り合わせてなるストランドの7本を、コア11と、1層のシース12とからなる層撚り構造に撚り合わせてなる複撚り構造を有している。なお、図中、コードの外形部を実線で示す(図2〜6において同様)。
図1に、本発明の一好適実施形態に係るゴム−スチールコード複合体の概略断面図を示す。図示するゴム−スチールコード複合体は、スチールコード10がゴム20中に埋設されてなり、スチールコード10が、27本のフィラメント1を層撚り構造に撚り合わせてなるストランドの7本を、コア11と、1層のシース12とからなる層撚り構造に撚り合わせてなる複撚り構造を有している。なお、図中、コードの外形部を実線で示す(図2〜6において同様)。
本発明の複合体においては、スチールコード10の最外層シースストランド12の外接円が、隣接ストランド間で互いに接触した状態にあり、かつ、少なくとも最外層シースストランド12のすぐ内側に位置するストランド層、図示する例ではコアストランド11の全体の周囲におけるゴム被覆率が、50%以上である点が重要である。
これにより、複撚りコードの引張り荷重負担時に特有なシースストランドの締め付け圧力を、その内側のストランドの周囲に被覆したゴムの作用で分散することができる。ストランド最外層フィラメントへの応力集中を分散させることで、フィラメントの先行破断を抑制することができるので、コード破断強度の低下を抑制することが可能となる。ここで、前述したように、ゴム被覆率を高めても、コード径を増大させたのでは、強力密度向上分が相殺されて低減するが、本発明では、最外層シースストランド12の外接円を隣接ストランド間で互いに接触した状態として、コード径を増大させないものとしているので、コード破断強度の低下を抑制しつつ、強力密度を向上することができる。これはすなわち、図3に示す従来のコード100のように、コア101の周囲にナイロンフィラメント103を配置して、この部分にゴム被覆部104を設けることで上記本発明に係るゴム被覆率を高めた場合、コード径の増大に伴い、隣接するシースストランド102間には必然的に隙間が生ずることになるが、本発明はこのような場合を含まないとの意味である。また、単に、図4に示すようなコードで、意図的にコアストランド径を太くしたような場合や、シースストランド本数を減らした場合も同様である。最外層シースストランドの外接円が、隣接シースストランド間で非接触状態であると、コード断面積に占めるスチールの割合が少なくなるため、コード破断強力が不十分となる。
また、本発明の複合体において、スチールコードが2層以上のシースを有する場合には、その最外層シースストランドのすぐ内側に位置するストランドの、さらに内側に位置するストランド層の周囲にも、ゴムがゴム被覆率50%以上で被覆された状態とすることで、その部分のフィラメントの先行破断が抑制されるため、コード破断強度のさらなる向上を図ることができる。
本発明においては、上記最外層シースストランドのすぐ内側に位置するストランド層、または、さらにその内側に位置するストランド層のいずれについても、その周囲におけるゴム被覆率が50%未満であると、ゴムによる締め付け圧力の分散作用が小さくなり、十分な効果が得られない。このゴム被覆率は、高ければ高いほど効果的である。
本発明の複合体は、上記複撚り構造のコードにおいて上記ゴム被覆率に関する条件を満足するものであれば、その具体的なコード構造や、使用するフィラメント径、コード径、撚りピッチ等については、特に制限されるものではなく、所望に応じ適宜選定することが可能である。例えば、図1に示す例では、シース12の周囲にスパイラルフィラメント2が配置されているが、これはなくてもよい。
本発明の複合体は、上記複撚り構造を有するスチールコードを未加硫ゴムに埋設した後、加硫圧3.0MPa以上で加硫することにより、容易に得ることが可能である。この加硫圧が3.0MPaより低いと、十分な効果を発揮するゴム被覆率を得ることができない。この加硫圧は、好適には、3MPa〜10MPaの範囲である。
本発明の空気入りタイヤは、上記本発明の複合体を、補強材として、例えば、カーカスコードやベルトコード等に適用してなるものであり、これにより、従来に比し軽量かつ高強度のタイヤとすることができる。本発明のタイヤにおいては、上記本発明の複合体を補強材として用いる以外の点については特に制限されるものではなく、常法に従い適宜構成することが可能である。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
<実施例1>
図1に示すような7×(3+9+15)+1の複撚り構造を有するゴム−スチールコード複合体を、下記表1中に示す条件に従い製造した。図示するように、実施例1の複合体では、コアストランドの周囲にゴム被覆がある。
<実施例1>
図1に示すような7×(3+9+15)+1の複撚り構造を有するゴム−スチールコード複合体を、下記表1中に示す条件に従い製造した。図示するように、実施例1の複合体では、コアストランドの周囲にゴム被覆がある。
<比較例1>
図3に示すような7×(3+9+15)+1の複撚り構造を有するゴム−スチールコード複合体を、下記表1中に示す条件に従い製造した。図示するように、比較例1の複合体では、コアストランドの周囲にナイロンラッピング103が施されており、この部分にゴム104が被覆されている。この比較例1の複合体は、ナイロンモノフィラメント103のラッピングを施すことでスチールコード内にあらかじめ隙間を確保しておき、加硫時にこの隙間にゴムが満たされることにより製造された。
図3に示すような7×(3+9+15)+1の複撚り構造を有するゴム−スチールコード複合体を、下記表1中に示す条件に従い製造した。図示するように、比較例1の複合体では、コアストランドの周囲にナイロンラッピング103が施されており、この部分にゴム104が被覆されている。この比較例1の複合体は、ナイロンモノフィラメント103のラッピングを施すことでスチールコード内にあらかじめ隙間を確保しておき、加硫時にこの隙間にゴムが満たされることにより製造された。
<従来例1>
図4に示すような7×(3+9+15)+1の複撚り構造を有するゴム−スチールコード複合体を、下記表1中に示す条件に従い製造した。図示するように、従来例1の複合体では、コアストランド周囲にゴム被覆がない。
図4に示すような7×(3+9+15)+1の複撚り構造を有するゴム−スチールコード複合体を、下記表1中に示す条件に従い製造した。図示するように、従来例1の複合体では、コアストランド周囲にゴム被覆がない。
<実施例2>
図2に示すような(3+7)+6×(3+7)+12×(3+7)の複撚り構造を有するゴム−スチールコード複合体を、下記表1中に示す条件に従い製造した。図示するように、実施例2の複合体では、コアストランドの周囲にゴム被覆がある。
図2に示すような(3+7)+6×(3+7)+12×(3+7)の複撚り構造を有するゴム−スチールコード複合体を、下記表1中に示す条件に従い製造した。図示するように、実施例2の複合体では、コアストランドの周囲にゴム被覆がある。
<比較例2>
図5に示すような(3+7)+6×(3+7)+12×(3+7)の複撚り構造を有するゴム−スチールコード複合体を、下記表1中に示す条件に従い製造した。図示するように、比較例2の複合体では、コアストランドの周囲にナイロンラッピング203,303が施されており、この部分にゴム204,304が被覆されている。この比較例2の複合体は、ナイロンモノフィラメント203,303のラッピングを施すことでスチールコード内にあらかじめ隙間を確保しておき、加硫時にこの隙間にゴムが満たされることにより製造された。
図5に示すような(3+7)+6×(3+7)+12×(3+7)の複撚り構造を有するゴム−スチールコード複合体を、下記表1中に示す条件に従い製造した。図示するように、比較例2の複合体では、コアストランドの周囲にナイロンラッピング203,303が施されており、この部分にゴム204,304が被覆されている。この比較例2の複合体は、ナイロンモノフィラメント203,303のラッピングを施すことでスチールコード内にあらかじめ隙間を確保しておき、加硫時にこの隙間にゴムが満たされることにより製造された。
<従来例2>
図6に示すような(3+7)+6×(3+7)+12×(3+7)の複撚り構造を有するゴム−スチールコード複合体を、下記表1中に示す条件に従い製造した。図示するように、従来例2の複合体では、コアストランド周囲にゴム被覆がない。
図6に示すような(3+7)+6×(3+7)+12×(3+7)の複撚り構造を有するゴム−スチールコード複合体を、下記表1中に示す条件に従い製造した。図示するように、従来例2の複合体では、コアストランド周囲にゴム被覆がない。
上記の各複合体につき、コード1本における引張り破断強度を測定し、それぞれ、以下に示す比較指数にて表示した。また、スパイラルフィラメントを除いたコード径から計算されるコード断面部分の円面積で破断強度を除した強力密度を求め、同様に比較指数にて表示した。なお、実施例1および比較例1については従来例1、実施例2および比較例2については従来例2を基準とした。その結果を、下記の表1中に併せて示す。
<引張り破断強度の測定(破断力試験)>
破断力試験とは、具体的には、JIS G3510およびJIS Z2241に準拠した引張り試験であり、この引張り試験において、コードが破断に至るまでの最大引張り荷重を求めて、各複合体の破断強度とした。
破断力試験とは、具体的には、JIS G3510およびJIS Z2241に準拠した引張り試験であり、この引張り試験において、コードが破断に至るまでの最大引張り荷重を求めて、各複合体の破断強度とした。
(破断強度比較指数)=指数計算対象のコード破断強度(N)/従来例コードの破断強度(N)×100
(強力密度比較指数)=指数計算対象のコード強力密度/従来例コードの強力密度×100
(強力密度比較指数)=指数計算対象のコード強力密度/従来例コードの強力密度×100
<ゴム被覆率>
各複合体のゴム被覆率は、以下のようにして測定した。まず、各複合体を解して、ゴム被覆率を測定するストランド層をコードの最外面に出した。このストランド層全体の側面部を写真撮影し、このサンプルの写真中において、サンプル面積に占めるゴム被覆面積の割合を、ゴム被覆率とした。
各複合体のゴム被覆率は、以下のようにして測定した。まず、各複合体を解して、ゴム被覆率を測定するストランド層をコードの最外面に出した。このストランド層全体の側面部を写真撮影し、このサンプルの写真中において、サンプル面積に占めるゴム被覆面積の割合を、ゴム被覆率とした。
上記表1に示すように、比較例1,2は、従来例1,2よりもそれぞれ破断強度は向上しているものの、コード径が増大しているため、強力密度向上分が少なくなっている。これに対し、実施例1,2では、コード径の増大をなくしたため、比較例対比強力密度が向上していることが確かめられた。
また、タイヤの骨格を構成する補強材に、上記各ゴム−スチールコード複合体を適用して、中間材料であるトリート(シート状部材)状態における比較を行った(図7参照、図中の符号30はゴム−スチールコード複合体、31はゴムを示す)。コード間隔xとコーティングゴムの上下ゲージt1、t2は同一として、各複合体を適用した効果を試算した。軽量化の目安としてはトリート厚みTを比較し、薄いほど軽量であるものとした。また、高強度化の目安としては単位幅あたりのトリート強度を比較し、トリート強度が高いほど高強度とした。その結果を、従来例を100とする指数にて、下記の表2中に示す。
上記表2に示すように、実施例1、2の複合体を用いたトリート材では、いずれも軽量性を保ちつつ、高強度化が実現されていることが確かめられた。
以上のように、複撚り構造を有するスチールコードとゴムとの複合体において、少なくとも最外層シースストランドのすぐ内側のストランド層の周囲におけるゴム被覆率を50%以上としたことにより、コード径の増大(強力密度ロス)を抑えつつ、コード単体の破断強度を向上できることが明らかである。この複合体をタイヤ等のゴム物品に使用する場合には、コード径の増大が抑制されていることからより多くのコードを同一平面内に並べることができ、また、補強層の厚みや体積を低減する効果も得ることができる。これにより、ゴム物品の強度向上および軽量化を両立することができる。さらに、これを骨格部材とすることで、軽量・高耐久なタイヤ製品を提供することが可能である。
1 フィラメント
2 スパイラルフィラメント
10,100 スチールコード
11,101 コア
12 シース(最外層シースストランド)
20 ゴム
30 ゴム−スチールコード複合体
31 ゴム
102 シースストランド
103,203,303 ナイロンフィラメント(ナイロンラッピング)
104,204,304 ゴム被覆部(ゴム)
2 スパイラルフィラメント
10,100 スチールコード
11,101 コア
12 シース(最外層シースストランド)
20 ゴム
30 ゴム−スチールコード複合体
31 ゴム
102 シースストランド
103,203,303 ナイロンフィラメント(ナイロンラッピング)
104,204,304 ゴム被覆部(ゴム)
Claims (5)
- スチールコードがゴム中に埋設されてなるゴム−スチールコード複合体であって、該スチールコードが、複数本のフィラメントを層撚り構造に撚り合わせてなるストランドの複数本を、コアと、少なくとも1層のシースとからなる層撚り構造に撚り合わせてなる複撚り構造を有するゴム−スチールコード複合体において、
前記スチールコードの最外層シースストランドの外接円が、隣接ストランド間で互いに接触した状態にあり、かつ、少なくとも該最外層シースストランドのすぐ内側に位置するストランド層の周囲におけるゴム被覆率が、50%以上であることを特徴とするゴム−スチールコード複合体。 - 前記スチールコードが2層以上のシースを有し、かつ、該スチールコードの最外層シースストランドのすぐ内側に位置するストランドの、さらに内側に位置するストランド層の周囲におけるゴム被覆率が、50%以上である請求項1記載のゴム−スチールコード複合体。
- スチールコードがゴム中に埋設されてなるゴム−スチールコード複合体の製造方法であって、該スチールコードが、複数本のフィラメントを層撚り構造に撚り合わせてなるストランドの複数本を、コアと、少なくとも1層のシースとからなる層撚り構造に撚り合わせてなる複撚り構造を有するゴム−スチールコード複合体の製造方法において、
前記スチールコードを未加硫ゴムに埋設した後、加硫圧3.0MPa以上で加硫することを特徴とするゴム−スチールコード複合体の製造方法。 - 前記加硫圧を3MPa〜10MPaとする請求項3記載のゴム−スチールコード複合体の製造方法。
- 請求項1または2記載のゴム−スチールコード複合体を補強材として用いたことを特徴とする空気入りタイヤ。
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2007
- 2007-09-28 JP JP2007253920A patent/JP2009084727A/ja active Pending
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