JP2009084593A - Cu−Cr−Si系合金箔 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁波シールド材に好適に用いられるCu−Cr−Si系圧延銅合金箔。
【解決手段】質量率でCr:0.15〜0.50%、Si:0.02〜0.15%を含有すると共に、残部がCu及び不可避的不純物からなる銅合金箔であって、Cr、Si添加量の質量比Cr/Siが3.5〜8.0であり、銅母相中に存在する析出物の平均粒子径が10nm〜100nmである高導電性電気・電子部品用Cu−Cr−Si系合金箔であって、銅合金箔中に含有する直径0.5μm〜2.0μmであるCr炭化物が10個/mm2以下、2.0μm以上の炭化物が0個/mm2であり、箔の厚さ(t)が6〜10μm、厚さ(t)に対する箔表面の最大高さ(Ry)の比(Ry/t)が0.2以下、銅合金箔の平均再結晶粒径が10μm未満である銅合金箔、並びに最終圧延終了後に銅箔温度で200〜600℃×0.1〜180分の焼鈍を行うことによって前記析出物、再結晶組織を形成するその製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、Cu−Cr−Si系合金箔に関し、詳細には電磁波シールド材に好適に用いられるCu−Cr−Si系圧延銅合金箔に関する。
電磁波シールド材には、電磁波シールド特性の他、シールド対象の電子機器、電線、FPC(フレキシブルプリント回路基板)等の形状や用途に合せて折り曲げ等の加工性ができること、繰り返し変形を受ける場所に使用する場合は疲労特性に優れること、使用環境下で腐食を起こさないことが要求されている。
現在、電磁波シールド用材料としては、カーボンペースト、銀ペースト、錫めっき銅線、アルミニウム箔、純銅箔などが使用されている。例えば、ワイヤーのシールド材として、芯線をより合わせてシールド箔で覆い、その上から樹脂で被覆している。通常シールド箔に接着剤を塗布して樹脂コーティングすることが多い。しかし、カーボンペーストは金属と比較してシールド特性に劣る欠点があり、銀ペーストは高価であり、使用環境によっては腐食によってシールド性が劣る。アルミニウム箔は高周波ではシールド性が銅より劣り且つ腐食されやすい。錫めっき銅線は線を編みこんでシールド材とするため、網目が粗いとシールド性に劣り、網目を細かくすると製造性に劣るという欠点がある。
銅箔は他のシールド材と比較して電磁波シールド特性に優れるだけでなく、銅箔表面に錫めっきなどの表面処理を施すと耐海水腐食性も向上するため、高シールド性及び耐腐食性を要求される用途に使用されている。銅箔には圧延銅箔と電解銅箔があり、電磁波シールド特性に大きな差はないが、圧延銅箔は焼鈍を行うと組織が再結晶化し、折り曲げ加工性や屈曲性などの疲労特性が向上する。しかし、大容量の電流が印可される比較的太い電線のシールドには圧延銅箔でも柔軟性が不足するので、高密度軟銅線を使用したシールド線が使用されている。
一方、大量の電磁波シールド材を使用する自動車等の場合、材料重量を減らす観点から銅箔は薄いほうが好ましい。しかし、銅箔が10μm以下まで薄くなると、剛性が小さくなる上、疲労特性向上を目的として圧延銅箔を再結晶化させるとさらに剛性が低下するため取扱いに難がある。又、銅箔が薄くなると引張、曲げ加工性や疲労特性に及ぼす表面粗さの影響が大きくなり、表面が粗いと圧延銅箔を用いても引張、曲げ加工性や屈曲性などの疲労特性が低下する。
このような圧延銅箔の引張加工性を改善する技術として、再結晶粒の粒径を50μm以上とすることが開示されている(特許文献1参照)。又、屈曲性を改善する技術として、再結晶粒の粒径を5〜20μm以上とすることが開示されている(特許文献2参照)。さらに、焼鈍でなく強加工により、粒径1μm以下の微細な動的再結晶を得る技術が開示されている(特許文献3参照)。又、銅を合金化したCu−Cr−Zr系銅合金で銅箔の剛性を上げるための技術が公開されている(特許文献4、5参照)。さらにCu−Cr−Zr系銅合金より生産性に優れたCu−Cr−Si系合金が開示されている(特許文献6参照)。
特開平9−53162号公報 特開平11−286760号公報 特開2002−356728号公報 特開平7−258806号公報 特開2002−38226号公報 特願2006−265361号明細書
しかしながら、特許文献1〜3記載の技術の場合、それぞれ、再結晶後の銅箔は変形しやすく、結晶粒の制御だけでは剛性に限界があり、加工する際に変形が生じて歩留り低下、生産性低下等の原因となる。特に厚みが10μm以下の銅箔においてこれらの問題が顕著になる。
又、特許文献4、5、6記載の合金組成では剛性は保たれるが再結晶温度が高くなるため、通常は最終圧延終了後に再結晶することなく圧延組織のまま使用されている。そのため、ハードディスクサスペンション用フレキシブルプリント回路基板など低ひずみ−高サイクルの繰り返し変形を受ける場所での使用には向いているが、ワイヤーハーネス用電磁波シールド用など高ひずみを伴う繰り返し変形、引張、曲げ加工を受ける場合に亀裂が生じる問題がある。又、これらの合金はCrを含有するため、亀裂の起点となるCr炭化物が存在し、特に箔の厚みが10μm以下であるとき、疲労特性、引張、曲げ加工性が著しく劣化する。
そして、特許文献1〜6記載の技術の場合、強加工(圧延)時のオイルピット等により銅箔の表面粗さが増大し、表面粗さに起因して引張特性、曲げ加工特性や疲労特性が低下するおそれがある。
そこで、本発明は上記の課題を解決するため、箔にした際の剛性及び加工特性に優れた圧延銅合金箔の提供を目的とする。
本発明者らは種々検討した結果、Cu−Cr−Si合金箔で粗大なCr炭化物を少なくし、表面形状を平滑にした上で再結晶組織および析出物を制御することで上記課題を解決できることを見出した。本発明は下記構成を有する。
(1)質量率でCr:0.15〜0.50%、Si:0.02〜0.15%を含有すると共に、残部がCu及び不可避的不純物からなる銅合金箔であって、Cr、Si添加量の質量比Cr/Siが3.5〜8.0であり、銅母相中に存在する析出物の平均粒子径が10nm〜100nmである高導電性電気・電子部品用Cu−Cr−Si系合金箔であって、銅合金箔中に含有する直径0.5μm〜2.0μmであるCr炭化物が10個/mm2以下、2.0μm以上のCr炭化物が0個/mm2であり、箔の厚さ(t)が6〜10μm、厚さ(t)に対する箔表面の最大高さ(Ry)の比(Ry/t)が0.2以下、銅合金箔の平均再結晶粒径が10μm未満であることを特徴とする銅合金箔。
(2)最終圧延終了後に銅箔温度で200〜600℃×0.1〜180分の焼鈍を行うことによって前記析出物、再結晶組織を形成する(1)記載の銅合金箔の製造方法。
本発明の銅合金箔は、薄く、かつ剛性及び加工特性に優れ、ハーネス用のシールド材等高ひずみの引張、曲げ及び繰り返し変形を受ける用途において好適に使用でき、部品の軽量化、小型化に非常に寄与することができる。
以下、本発明に係る銅合金箔の実施の形態について説明する。なお、本発明において%とは、特に断らない限り質量%を示すものとする。
<組成>
Cr、Si
本発明の合金は、溶体化処理後、時効させることにより、銅母相中にCrシリサイド析出物が析出して強度向上に寄与するとともに高シールド性をも備えるものである。Crは、含有量が0.15%未満ではその添加効果が得られず、0.50%を超える添加で更なる強度の向上は得られない。Siは、含有量が0.02%未満ではその添加効果が得られず、0.15%を超える添加で更なる強度上昇は得られず、多量の添加は電磁波シールド性や導電性を低下させる。
又、Cr、Siの組成比が適正でないと、Crシリサイド析出物が効率的に析出せず、強度が向上しないばかりか、組成比が大きすぎる場合にはCrが過剰、組成比が小さすぎる場合にはSiが過剰となり、導電率を下げる。即ち、Cr/Siが3.5未満、8.0より大きい場合、強度は向上せずに電磁波シールド性、導電率は低下する。
<析出物の平均粒径>
本発明は、銅母相中に存在する析出物の微細化により強度の向上を図ることを特徴とする。本発明の析出物は主にCr珪化物(シリサイド)、Cr炭化物から構成される。この場合、析出物の粒子径と粒子の分布状態に依存して析出強化により得られる強度が決まり、粒子径が10nm未満と小さすぎる場合、変形に対する抵抗効果が小さくなるため強度が低下し、粒子径が100nmより大きくなると粒子分布が疎になるためやはり強度が低下する。本発明の銅母相中に存在する析出物は、平均粒径が10nm〜100nmであり高強度の達成に寄与している。好ましくは15nm〜50nmである。
<Cr炭化物>
Crは、上述のようにCrシリサイド析出物による高強度化を図る目的で添加される。しかしながら、Crは炭化物を形成しやすく、形成された炭化物が粗大化すると、銅箔製造において、引張、曲げ、繰り返し変形等の際に亀裂の原因となったりする。
そこで、本発明では、銅母相中の直径0.5〜2.0μmのCr炭化物に着目した。Cr炭化物は銅母相中でCr276、Cr73、Cr32といった形態をとる。これらの炭化物はすべてC含有率が質量率で5%以上である。従って、本発明では、X線マイクロアナライザ(EPMA)分析の結果、Crを含有しかつC含有率が5質量%以上である介在物をCr炭化物とした。このとき、Cu成分は介在物全体の量から除いて考える。Cr炭化物の直径が0.5μm未満の場合、変形の際の亀裂を生じる原因にもなりにくい。直径0.5〜2.0μmのCr炭化物が10個/mm2以下である場合、屈曲性が向上し、亀裂の発生も減少することから、本発明では直径0.5〜2.0μmのCr炭化物は10個/mm2以下とした。Cr炭化物は少なければ少ないほどいいが、現実的に0.01個/mm2未満にすることは難しい。尚、Cr炭化物が1.0μm以上のCr炭化物は0.1個/mm2未満であることが好ましく、2.0μm以上のCr炭化物は0個/mm2である。
<銅箔の厚みと表面形状>
本発明では、銅合金箔の厚み(t)を6〜10μmとし、表面の最大高さ(Ry)に対するRy/tの値を0.2以下とする。
銅合金箔の厚みはJIS C6511で規定された重量法で測定できる。
本発明の表面粗さRyは、JIS B0601で規定された最大高さであり、その測定手段として、本発明では例えば接触式表面粗さ計を使用する。尚、SPM(走査型プローブ顕微鏡)は、微小な領域での微細な凹凸であって加工性に影響するものでないため、本発明では適切でない。
銅合金箔の厚み(t)を10μm以下とする理由は、同一曲げ半径の加工である場合、箔が薄いほど箔表面の歪量が小さくなり、加工性が向上し、更に、以下に述べるように、箔の厚みが10μm以下になると、表面粗さによる加工性等への影響が顕著になり、表面粗さを低減することによる効果が大きくなるからである。又、軽量化を要求される分野、例えば自動車分野等でも好適に使用することができる。厚みを6μm以上としたのは、本発明の組成を有する合金箔は剛性が高く、6μm未満の厚みまで良好な形状を整えたまま圧延することが困難であるためである。
上記したように表面粗さが小さいほど加工性等が向上するが、目的とする表面粗さ範囲は箔の厚みと相対的に変化するので、本発明ではRy/tの範囲を規定する。Ry/tが0.2より大きくなると、引張り、曲げや繰り返し変形の際の亀裂発生の起点となり破断伸びが著しく低下する。Ry/tは小さいほどよく、曲げ性の良好な箔が得られる。しかし、表面粗さ測定機の検出限界があるため、Ry/tが0.01未満の測定は一般に難しい。
<再結晶組織の結晶粒径>
本発明の銅合金箔は、組織全体が再結晶して箔の加工性が向上されており、その平均再結晶粒径を10μm未満とすることにより、箔の剛性も向上されている。一般的に、平均再結晶粒径を1μm未満に小さくするのは工業的に困難である。
製造方法
本発明の銅合金箔の製造工程の順序は、溶解鋳造、均質化焼鈍、熱間圧延、溶体化処理、時効処理、冷間圧延、歪取焼鈍である。なお、冷間圧延は、時効処理の後だけではなく、熱間圧延、溶体化処理、歪取焼鈍後にも必要に応じて行うことができる。
本発明では、上記の製造工程のうち、溶解において溶湯内部に不活性ガスを入れることによりCr炭化物を排除することができる。これは、不活性ガスが溶湯内から外部へ放出されるのと同時にCr炭化物も随伴して溶湯外部へ放出されるためと考えられる。
又、Cr炭化物は、Tiを50ppm以下添加した後、溶湯内部に不活性ガスを入れることによっても排除することができる。Tiを添加するとTiの炭化物が形成され、形成されたTi炭化物は溶湯内から溶湯表面に浮上し、取り除かれるので、Crの歩留りを落とさずにCr炭化物の形成を防止できる。Tiを50ppmより多く添加すると鋳造後のインゴットにTi又はTi炭化物が混入するので50ppm以下とする。尚、通常Tiは介在物の原因となる場合が多く、銅箔など介在物を低減することが望まれる用途においては避けられてきた元素であるが、本発明ではTiは50ppm以下という少量で添加しており、例えば添加直後に不活性ガスを溶湯内部へ放出する手法を採用することにより介在物を減少させている。
又、合金中への炭素の混入を避けてCr炭化物の形成を防止するためには、潤滑油等を含む溶解鋳造の原材料は脱脂し、溶解鋳造工程における溶湯表面の木炭被膜は行わず、炭素を含む部材は溶解鋳造工程で使用しない。
本発明の最終圧延では、加工度をη3.0以上とし、粗さを制御するための圧延条件を設定する。通常、オイルピットの生成を制御してRyを小さくための圧延では、素材表面状況、圧延ロールの直径、圧延ロール面の粗さ、圧下率、圧延速度、圧延油の粘度等の圧延条件の調節が行なわれる。なお、ηはη=ln(A0/A)であり、A0:加工前の断面積、A:加工後の断面積である。
更に、例えば、特開2006−281249号公報に記載されているように、圧延時の圧延ロールと被圧延材料間に入り、潤滑の役割をする油の量を制御することでも、オイルピットの成長を抑制して平滑な圧延面を広くもつ銅箔を製造できる。尚、同公報では圧延油粘度として40℃の動粘度が規定されているが、本発明では20℃の粘度においても同等の粘度となるようにしてもよい。圧延速度、銅箔の強度、圧延ロール噛込角は、銅内部へ歪みを蓄積するための制御因子として自由度を広く持ちたいので、これらを制御する代わりに、低い動粘度でも圧延油粘度が低いものを用いるのがよく、例えば、20℃での動粘度が6.0cSt以下である圧延油を用いることが好ましい。
最終圧延終了後に銅箔温度で200〜600℃×0.1〜180分の焼鈍を行うことによって、本発明の銅合金箔が製造できる。ここで、最終圧延とは熱処理後に所望の厚みまで加工するための圧延のことであり、最終圧延以降の製造工程で圧延加工は行われない。
本発明の箔の厚みが6〜10μmと非常に薄いため、最終圧延で圧延加工度および圧延温度を制御した場合、上記焼鈍で再結晶と時効処理とを同時に行うことができる。
上記最終圧延後の焼鈍は、樹脂と接着して使用する場合に接着剤もしくは樹脂を硬化させるための焼鈍で再結晶、時効処理を兼ねることができ、製造工程を簡略化させるだけではなく、樹脂フィルムを接合する際にはまだ圧延組織であるため、剛性も非常に高くしわになりにくく取扱いが容易となる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<銅合金箔の製造>
電気銅あるいは無酸素銅を主原料とし、表1に示す成分組成で配合し、溶解炉にて溶解し、実施例1〜7では鋳造する直前にアルゴンガス5ml/(min・kg)を溶湯下部から4分間注入した。ガスは溶湯に溶けないので泡を立てて溶湯上部から放出される。実施例4はアルゴンガスを入れる前にTiを50ppm投入した。アルゴンガスを入れた直後に鋳造してインゴットを作製した。鋳造の際は溶湯表面に浮いている酸化物、炭化物等がインゴットに混入しないようにした。
次に、インゴットを700℃〜1000℃の温度で1時間以上均質化焼鈍した後に、熱間圧延を行った。次に熱処理、冷間圧延、熱処理、冷間圧延を順次行い、最終膜厚を6〜10μmまで加工した。
ここでの熱処理とは700℃〜1000℃で保持した後急冷し、圧延の変形抵抗を小さくするための焼き鈍しと、Crシリサイドの溶体化処理とを兼ねたものである。Crシリサイドは冷間圧延の変形抵抗になり、しいては表面粗さの制御を困難にさせるので、冷間圧延前の熱処理で銅母相中に固溶させた。
最終圧延では、加工度をη3.0以上とし、粗さを制御するための圧延条件を設定し、20℃での動粘度が6.0cSt以下である圧延油を用いた。
最終圧延終了後に200〜600℃×0.1〜180分の焼鈍を行い、Crシリサイドの析出、銅母相の再結晶を行った。焼鈍は銅箔温度で300〜600℃、10〜180秒加熱した後に連続的に200℃〜400℃で1〜180分の焼鈍を行った。
(1)析出物の平均粒子径の測定
上記で得られた板材試料について、TEM(透過型電子顕微鏡)暗視野像(倍率10万〜20万倍)で金属組織を観察し、析出物の大きさを測定した。本発明では観察像(一視野0.6μm2を有する複数(30個程度)の視野中)の最長径を析出物の粒子径と定義し、無作為に選択された複数(50個以上)の視野から1000個以上の析出物について測定して平均値を得た。測定は5nm以下の析出物については測定が困難であるため測定の対象外とし、1000nm以上の析出物は溶体化、時効処理で析出したものではないためにやはり測定の対象外とした。
(2)Cr炭化物の測定
上記で最終膜厚まで加工した材料を電解研磨で軽くエッチングした後に、電界放出型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で観察し、一視野650μm2中に(×50視野)(3000倍)観察される析出物の最長径をその析出物の粒子径とみなし、粒子径が2μm以上の介在物についてEPMAで分析し、Crが検出され、Cが5質量%以上のものをCr炭化物と定義し(マトリックスであるCu成分は介在物全体の量から除いて考える)、単位面積当たりのCr炭化物個数を算出した。
(3)再結晶後の結晶粒径
銅箔表面を電解研磨した後、1500倍程度の倍率電子顕微鏡のBSE像を得た。像の1視野を100×70μm程度とし、これを30視野観察し、切断法(JIS H 0501)によって平均結晶粒径を求めた。
(4)試料表面のRy
JIS B 0601に従ってRyを測定した。
(5)引張強さ、伸びの測定
JIS C6511に従い、各実施例及び比較例の試料の圧延平行方向について引張試験を行い、引張強さ(TS)、伸びを測定した。短冊状の試験片(12.7×150mm)とし、引張速度50mm/minで測定を行った。
(6)加工性、疲労特性
JIS C5016に規定するMIT屈曲試験により、各試料の加工性、疲労特性を評価した。MIT屈曲試験の評価方法は例えば特開2006−307288号公報に記載されている。
得られた結果を表1及び2に示す。
Figure 2009084593
表1の発明例1〜8において、本発明の実施形態に係る圧延銅合金箔は、強度が高く加工性に優れ、引張、屈曲性に優れた合金箔であることがわかる。発明例1〜8では2.0μm以上の炭化物個数は0個であった。また、シールド性能は関西電子振興センター考案のKEC法(磁界モード)にて測定したところ、全ての発明例において100MHzで60dB以上のシールド効果があり、十分なシールド効果があった。
比較例では下記表2に示す成分組成で配合し、溶解炉にて溶解し、比較例1、2、4、5、6はアルゴンガス注入、比較例3、7はアルゴンガス注入なしでインゴットを作製した。次に、比較例1、3、5はインゴットを700℃〜1000℃の温度で1時間以上均質化焼鈍した後に、熱間圧延を行った。次に溶体化処理、冷間圧延、時効処理、冷間圧延を順次行い、最終膜厚を6〜10μmまで加工した。比較例2、4、6、7は熱処理、冷間圧延、熱処理、冷間圧延を順次行い、最終膜厚を8μmまで加工した後に再結晶焼鈍、時効処理を行った。
Figure 2009084593
Ry/tが0.2を越える比較例1、4、直径0.5μm〜1.0μmであるCr炭化物が10個/mm2を越える比較例3、7、再結晶組織ではない比較例1、3、5は、全て引張の破断伸びが低く、さらにMIT屈曲試験においてもすぐ破断した。析出物の平均粒子径が100nmを越える比較例2、平均結晶粒径が10μmを超える比較例6、Cr/Si比が8.0を超える比較例8及び3.5未満である比較例9は引張強度が低く、剛性が無い。2.0μm以上の炭化物が2個/mm2ある比較例10は、引張の破断伸びが低く、MIT屈曲試験においてもすぐ破断した。また、比較例1〜7及び10では100MHzで60dB以上のシールド効果があったが、比較例8、9ではCr/Si比が適正な範囲にないため、導電率が低く、シールド性能が低下し、100MHzで60dB未満であった。
これらの結果から、本発明の構成要件を全て満たさない場合、本発明の目的とする良好な特性が得られないことが明らかである。

Claims (2)

  1. 質量率でCr:0.15〜0.50%、Si:0.02〜0.15%を含有すると共に、残部がCu及び不可避的不純物からなる銅合金箔であって、Cr、Si添加量の質量比Cr/Siが3.5〜8.0であり、銅母相中に存在する析出物の平均粒子径が10nm〜100nmである高導電性電気・電子部品用Cu−Cr−Si系合金箔であって、銅合金箔中に含有する直径0.5μm〜2.0μmであるCr炭化物が10個/mm2以下、2.0μm以上のCr炭化物が0個/mm2であり、箔の厚さ(t)が6〜10μm、厚さ(t)に対する箔表面の最大高さ(Ry)の比(Ry/t)が0.2以下、銅合金箔の平均再結晶粒径が10μm未満であることを特徴とする銅合金箔。
  2. 最終圧延終了後に銅箔温度で200〜600℃×0.1〜180分の焼鈍を行うことによって前記析出物、再結晶組織を形成する請求項1記載の銅合金箔の製造方法。
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