JP2009083086A - 刃先交換型切削チップ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、汎用性に優れかつ長く安定した工具寿命を有する刃先交換型切削チップを提供することにある。
【解決手段】本発明の刃先交換型切削チップは、硬質相と、1種以上の鉄系金属からなる結合相とを含む硬質材料からなり、かつ接合部分がなく一体となって構成されているものであって、該刃先交換型切削チップは、複数の刃先を備え、該硬質材料の全体に対する該結合相の濃度をA1質量%として表わす場合、該複数の刃先のうち、該結合相の濃度が最も高くなる刃先におけるその結合相の濃度と、該結合相の濃度が最も低くなる刃先におけるその結合相の濃度との差がA1×0.02質量%未満となることを特徴としている。
【選択図】図1

Description

本発明は、刃先交換型切削チップに関する。
一般に刃先交換型切削チップをはじめとする切削工具として用いられるサーメットや超硬合金は、耐熱亀裂性、耐酸化性、高温硬度、破壊靭性などの特性に優れていることが要求される。現状の切削工具に用いられる超硬合金およびサーメットは、耐熱亀裂性や破壊靭性を改善するために、多くの研究者により様々な工夫がなされてきている。近年の市場ニーズとして、工具の管理コストを減らすため、単一の工具で広範な被削材、切削条件に対応できる切削工具の登場が望まれている。
超硬合金やサーメットのように、硬質相と結合相とから構成され、粉体をプレスして焼結する方法で製造する硬質材料は、硬質相組成はもちろん、合金組織中の硬質相の粒径や結合相量により、その硬度や強度が変わり、それに伴って使用用途も変わる。例えば、断続切削には結合相が多く強度の高い合金が用いられ、一方、高硬度の被削材を連続切削する場合には、結合相が少なく硬度の高い合金を用いるのが一般的である。
一方、切削工具の部位によって硬質材料の特性を変える試みは、従来からなされており、たとえば特開2003−082432号公報(特許文献1)では部位によって結合相量を変える技術、特開平03−043112号公報(特許文献2)では切刃部とシャンク部とで硬質合金の組成を変える技術、特開昭61−191380号公報(特許文献3)では超硬合金にサーメットを溶射する技術、特開昭54−006803号公報(特許文献4)、特開2000−144300号公報(特許文献5)では組成の異なる超硬合金を焼結接合する技術、特開平09−041006号公報(特許文献6)では複数のスラリーを用いて造形する技術がそれぞれ提案されている。しかし、いずれも従来の製造方法に新しい工程を加えるもので、製造コストアップの要因となり、また接合部分の強度不足が発生しており、製造できる形状も限られていた。
さらに、上記のように切削工具の部位により硬質材料の特性を変えると、特定の用途への適用に際しては好適な作用が示されることが期待できるが、その反面、汎用性に欠けることになっていた。前述の通り、工具の管理コストを減らすため、単一の工具で広範な被削材、切削条件に対応でき、しかも長く安定した工具寿命を有する切削工具の登場が望まれており、そのような要求に応える切削工具、特に刃先交換型切削チップの開発が望まれている。
特開2003−082432号公報 特開平03−043112号公報 特開昭61−191380号公報 特開昭54−006803号公報 特開2000−144300号公報 特開平09−041006号公報
本発明は、上記のような現状に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、汎用性に優れかつ長く安定した工具寿命を有する刃先交換型切削チップを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく種々の検討を重ねた結果、刃先交換型切削チップのあらゆる箇所で同等の硬度や強度を有していることが広範囲の使用用途に適応しかつ長く安定した工具寿命を実現するための理想的状態であるとの知見を得、この知見に基づきさらに鋭意検討を重ねることにより、刃先交換型切削チップを構成する硬質材料の結合相の濃度分布に注目し、刃先交換型切削チップの切削に関与する部位において結合相の濃度を可能な限り均一な状態とすることが上記目的に対して最も効果的であるとの更なる知見を得、この知見の下、更に鋭意検討を重ねることによりついに本発明を完成したものである。
すなわち、本発明の刃先交換型切削チップは、硬質相と、1種以上の鉄系金属からなる結合相とを含む硬質材料からなり、かつ接合部分がなく一体となって構成されているものであって、該刃先交換型切削チップは、複数の刃先を備え、該硬質材料の全体に対する該結合相の濃度をA1質量%として表わす場合、該複数の刃先のうち、該結合相の濃度が最も高くなる刃先におけるその結合相の濃度と、該結合相の濃度が最も低くなる刃先におけるその結合相の濃度との差がA1×0.02質量%未満となることを特徴としている。
ここで、該硬質相は、炭化タングステンからなること(このような硬質相を便宜的に「第1硬質相」と記す)が好ましく、また下記のような第1材料と第2材料とからなること(このような硬質相を便宜的に「第2硬質相」と記す)が好ましい。上記第1材料は、炭化タングステンであり、上記第2材料は、周期律表のIVa族元素(Ti、Zr、Hfなど)、Va族元素(V、Nb、Taなど)およびVIa族元素(Cr、Mo、Wなど)からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる、B1型結晶構造を有する固溶体であり、硬質材料の全体に対して0.1質量%以上50質量%以下含まれるものである。
さらに、該硬質相は、周期律表のIVa族元素、Va族元素およびVIa族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる固溶体であり、硬質材料の全体に対して60質量%以上99質量%以下含まれるもの(このような硬質相を便宜的に「第3硬質相」と記す)が好ましい。
また、該刃先交換型切削チップは、その全体の抗磁力をC1とする場合、該結合相の濃度が最も高くなる刃先におけるその抗磁力と、該結合相の濃度が最も低くなる刃先におけるその抗磁力との差がC1×0.04以下となることが好ましい。
本発明の刃先交換型切削チップは、上記の通りの構成を有することにより、種々の被削材および切削条件に対応でき、広範囲の使用用途に適するものである。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、以下の実施の形態の説明では、図面を用いて説明しているが、本願の図面において同一の参照符号を付したものは、同一部分または相当部分を示している。
<刃先交換型切削チップ>
本発明の刃先交換型切削チップは、硬質相と、1種以上の鉄系金属からなる結合相とを含む硬質材料からなり、かつ接合部分がなく一体となって構成されているものであって、複数の刃先を備えている。このような本発明の刃先交換型切削チップは、上面およびそれに平行な断面が多角形または円形(好ましくは、菱形、正方形、三角形、長方形、丸形など)をなす形状を有している(たとえば図1参照)。なお、このような刃先交換型切削チップは、上面の中央に下面まで貫通する孔が設けられている場合もある。
ここで、「接合部分がなく一体となって構成されている」とは、本発明の刃先交換型切削チップが硬質材料(の焼結体)からなる複数のパーツをロウ付けや通電接合のような手段により接合して形成したものではなく、それ自体が一体となった硬質材料により構成されていることを示す。
また「刃先」とは、刃先交換型切削チップのコーナー部分であって、切削に関与する部分をいう。たとえば、図1に表されている刃先交換型切削チップ10の斜線を付した部分が刃先11である。なお、図1において、斜線部分は1つのコーナー部分にのみ付されているが、図1のように上面およびそれに平行な断面が菱形である場合、4つのコーナー部分すべてが刃先となる(便宜的に他の3つのコーナー部分には斜線を付していない)。
なお、上記「コーナー部分」とは、多角形の各辺が交差する交点から各辺方向に延びる所定長さ(tmm)の線分を1辺とする四角形を断面とし、かつその高さ(hmm)が刃先交換型切削チップの上面から下面までの厚みとなる柱状部分をいう(図1参照)。
ここで、上記高さ(hmm)は、刃先交換型切削チップの厚みとなるため必然的に定まるが、長さ(tmm)を具体的な数値によって特定することは困難である。これは、刃先交換型切削チップの形状、被削材の種類等により切削に関与する部分の範囲が異なるためである。よって、この刃先を定義する場合、上述のように「切削に関与する部分」とするのが最も好適であるが、あえてこの長さ(tmm)を規定するならば、それは上記多角形を構成する辺の長さの0.5%以上40%以下とすることができる(なお、この長さは多角形の形状により必ずしも各辺で同じ長さとなるものではない)。
なお、「切削に関与する部分」とは、被削材と接触する部分および被削材と接触はしないが切り屑と接触する部分をいう。
一方、上記「硬質材料」は、硬質相と、1種以上の鉄系金属からなる結合相ととを含む限り、不可避不純物や他の成分が含まれていても差し支えない。すなわち、本発明における硬質材料は、本発明の効果が示される範囲で他の成分の含有を排除するものではない。
<結合相>
本発明の刃先交換型切削チップを構成する硬質材料に含まれる結合相は、1種以上の鉄系金属からなるものである。ここで、本発明において「鉄系金属」とは、鉄(Fe)、コバルト(Co)、およびニッケル(Ni)からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属をいう。また、Cr、V、およびZrについては、Co中に固溶している場合、または金属元素として単独で存在している場合は、結合相を構成する鉄系金属として扱うものとする。
このような結合相は、該硬質材料の全体に対する濃度をA1質量%として表わす場合、0.5質量%≦A1≦40質量%の範囲の濃度で含まれることが好ましい。より好ましくは、その上限が30質量%、さらに好ましくは25質量%、その下限が1質量%、さらに好ましくは2質量%である。硬質材料の全体に対する結合相の濃度が0.5質量%未満の場合、刃先の強度が不足する場合があり、またその濃度が40質量%を超えると耐摩耗性が不足する場合がある。
そしてこのような結合相は、刃先交換型切削チップの複数の刃先のうち、該結合相の濃度が最も高くなる刃先におけるその結合相の濃度と、該結合相の濃度が最も低くなる刃先におけるその結合相の濃度との差がA1×0.02質量%未満となることを特徴としている。より好ましくはA1×0.018質量%未満、さらに好ましくはA1×0.015質量%未満である。上記結合相の濃度の差がA1×0.02質量%を超えると各刃先によって刃先の強度と耐摩耗性とのバランスが異なり工具寿命が不安定となる。また、上記結合相の濃度差の下限値は、小さくなればなる程好ましいため、あえて規定する必要はない。
このように硬質材料中の結合相の濃度分布を規定することにより、種々の被削材および切削条件に対応することが可能となり、刃先交換型切削チップを広範囲の使用用途に適用することが可能となったものである。刃先交換型切削チップを広範囲の用途に適用する場合、種々の被削材や種々の切削条件が適用されることとなるため、刃先交換型切削チップの各部位での強度の不均一性を防止することが必要であり、刃先交換型切削チップのあらゆる箇所で同等の硬度や強度を有していることが理想的である。しかしながら、あらゆる箇所で同等の硬度や強度を付与された刃先交換型切削チップを工業的に生産することは困難が予想されるため、本発明者は刃先交換型切削チップの各部位の中で特に切削に関与する刃先に注目し、各刃先において結合相の濃度を可能な限り均一な状態とすることにより、刃先交換型切削チップを極めて広範囲の使用用途に適用することを可能としたものである。
このように各刃先において結合相の濃度が均一化されたということは、換言するといずれかの刃先部分において強度が低下するという現象を効果的に防止したものであり、このような強度の低下部分が起点となって生じる刃先交換型切削チップの破壊を極めて有効に防止したことにより、上述のように広範囲の使用用途への適用を確保したものである。
<不可避不純物>
本発明の硬質材料に含まれる可能性のある不可避不純物としては、硬質相に起因する不純物や結合相に起因する不純物の他、Al、P、S、Zr、Ti、Ta、Nb、Si、Zn、Mo、B、Ca、Yなどが挙げられる。
このような不可避不純物は、本発明の硬質材料中、それぞれ0.001質量%以上0.3質量%以下含まれることがある。
<硬質相>
本発明の硬質材料に含まれる硬質相は、結合相を上記のように規定する限りその組成等は特に限定されない。たとえば、以下に述べる第1硬質相、第2硬質相、第3硬質相等が好ましいがこれらのみに限定されるものではなく、立方晶窒化硼素やダイヤモンド等を含むこともできる。
<第1硬質相>
本発明の硬質相は、炭化タングステンからなるものとすることが好ましい(第1硬質相)。炭化タングステンを硬質相として含む硬質材料は、一般的に超硬合金と呼ばれる。
炭化タングステンからなる硬質相は、硬質材料の全体に対して60質量%以上99.5質量%以下含まれることが好ましい。より好ましくは、その上限が99質量%、さらに好ましくは98質量%、その下限が65質量%、さらに好ましくは70質量%である。
このような第1硬質相が、硬質材料の全体に対して60質量%未満となると、焼結時に重力の影響による全体的な変形が生じることがあり、また99.5質量%を超えると焼結が進行しにくいことから焼結体の強度が低下する場合がある。
<第2硬質相>
また、本発明の硬質相は、その用途に応じて第1材料と第2材料とからなり、該第1材料は、炭化タングステンであり、該第2材料は、周期律表のIVa族元素、Va族元素およびVIa族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる、B1型結晶構造を有する固溶体であり、硬質材料の全体に対して0.1質量%以上50質量%以下含まれるものであることが好ましい(第2硬質相)。このような第2硬質相を硬質相として含む硬質材料も一般的に超硬合金と呼ばれる。
なお、ここでB1型結晶構造とは、NaCl型結晶構造を意味する。
このような第2材料である固溶体の組成としては、たとえばTaC、NbC、TiC、TiCN、ZrCN、ZrN、ZrC、TaNbC等を挙げることができる。これらの化学式において、各元素間の原子比が特定されていない場合(元素記号のみで表記されている場合)は、その原子比は特に限定されず従来公知の原子比がすべて含まれる(特に断りのない限り他の化学式において同じ)。
第1材料と第2材料の合計は、硬質材料の全体に対して60質量%以上99質量%以下含まれることが好ましい。より好ましくは、その上限が98質量%、さらに好ましくは96質量%、その下限が65質量%、さらに好ましくは70質量%である。
このように第1材料と第2材料の合計が、硬質材料の全体に対して60質量%未満となると、焼結時に重力の影響による全体的な変形が生じることがあり、また99質量%を超えると焼結が進行しにくいことから焼結体の強度が低下する場合がある。
<第3硬質相>
本発明の硬質相は、周期律表のIVa族元素、Va族元素およびVIa族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる固溶体であり、硬質材料の全体に対して60質量%以上99質量%以下含まれるものとすることが好ましい(第3硬質相)。このような第3硬質相を硬質相とする硬質材料は一般的にサーメットと呼ばれる。
このような第3硬質相が、硬質材料の全体に対して60質量%未満となると、焼結時に重力の影響による全体的な変形が生じることがあり、また99質量%を超えると焼結が進行しにくいことから焼結体の強度が低下する場合がある。
このような第3硬質相を構成する固溶体としては、たとえばTi、Ta、Nb、W、Mo、Zr、およびVからなる群より選ばれる少なくとも1以上の元素の炭窒化物からなる固溶体等を挙げることができる。
<抗磁力>
本発明の刃先交換型切削チップは、その全体の抗磁力(Hc、単位:kA/mまたはOe)をC1とする場合、該結合相の濃度が最も高くなる刃先におけるその抗磁力と、該結合相の濃度が最も低くなる刃先におけるその抗磁力との差がC1×0.04以下となることが好ましい。
上述のように本発明においては、硬質材料の各部位、とりわけ各刃先において結合相の濃度を可能な限り等しくすることを目的としたものであるが、それらの部位において結合相の濃度を完全に等しくすることは困難であり、実質的に濃度差を生じることになる。このため、本発明の硬質材料においては、各部位において飽和磁化量(4πσ)が異なり、これにより抗磁力も変化する。
そこで、硬質材料全体の抗磁力(Hc)をC1とする場合、該結合相の濃度が最も高くなる刃先におけるその抗磁力と、該結合相の濃度が最も低くなる刃先におけるその抗磁力との差をC1×0.04以下と規定することにより、種々の被削材および切削条件に対応でき、広範囲の使用用途を有する刃先交換型切削チップを得られることが、本発明者の研究により明らかとなった。
上記抗磁力の差は、より好ましくはC1×0.035以下、さらに好ましくはC1×0.03以下である。上記抗磁力の差がC1×0.04を超えると、焼結体の硬度や切削時の耐熱亀裂性等が変化するため好ましくない。また、上記抗磁力の差の下限値は、小さくなればなる程好ましいため、あえて規定する必要はない。
<製造方法>
上記のような構成を有する本発明の刃先交換型切削チップは、原則として従来公知の刃先交換型切削チップと同様に、原料粉末を粉砕混合し(粉砕混合工程)、それをプレス成型した(成形工程)後、その成形体を焼結すること(焼結工程)により製造される。すなわち、本発明の刃先交換型切削チップは焼結体である。
また、本発明の刃先交換型切削チップは、上記のような焼結工程後、必要に応じてさらに砥石、ブラシ等で加工することにより所定の形状や寸法精度に整えられる。
本発明の刃先交換型切削チップは、上記のように各刃先における結合相の濃度をできる限り均一にしたものであることから、上記のような製造方法において焼結工程の条件を制御したことに特徴がある。すなわち、上記焼結工程において、温度および/または雰囲気を可能な限り均一化したものである。
従来、刃先交換型切削チップの製造時の焼結工程は、焼結炉内の温度および/または雰囲気を均一化する努力がなされていたけれども、それらを均一化することは困難であった。このため、焼結炉内に温度勾配および/または雰囲気勾配が生じた条件下で焼結工程が実行されていたため、その勾配に沿って硬質材料中の結合相が質量移動することにより、結果的に焼結後の硬質材料中において結合相の濃度分布が生じていた。このように結合相の質量移動が生じる詳細なメカニズムは未だ解明されていないものの、上記のような温度勾配中の高温領域において結合相が液相として出現し、その液相に低温領域の結合相が順次溶解していくことにより、上記のような質量移動が生じるものと推測される。
本発明における製造方法は、焼結工程において上記のように焼結炉内の温度および/または雰囲気を可能な限り均一化することにより、従来技術で生じていた結合相の質量移動を防止し、以って硬質材料中において結合相を可能な限り均一に存在させること(特に各刃先において結合相を均一に存在させること)に成功したものである。
以下、図2〜図5を用いて、本発明の焼結工程についてより詳細に説明する。図2は本発明の焼結工程において好適に用いることができる焼結炉100の模式的な上面図であり、図3はその焼結炉100の模式的な断面図(図2の中央部の側面方向からの模式的な断面図)である。これに対して、図4は従来一般的に用いられていた焼結炉200の模式的な上面図であり、図5はその焼結炉200の模式的な断面図(図4の中央部の側面方向からの模式的な断面図)である。なお、図2および図3に示された焼結炉は、本発明の焼結工程において好適に用いることができるものであるが、焼結時の温度および/または雰囲気を均一化できるものであれば、この焼結炉のみに限られるものではなく、いかなる焼結炉を使用しても差し支えない。また、硬質材料中の各刃先において結合相を均一に存在させることができる製造方法であれば、このように焼結時の温度および/または雰囲気を均一化させる方法のみに限られるものではなく、いかなる方法を採用することもできる。
まず、図2および図3に示される焼結炉100(炉壁105内の中央の支持台102上に硬質材料の成形体101が載置されている)は、図4および図5に示される従来の焼結炉200(炉壁205内の中央の支持台202上に硬質材料の成形体201が載置されている)が排気方向を一方向のみ(排気口203が1つのみ)とし、加熱手段もヒーター211および212のように2面のみ(または4面(図示せず)のみ)であり、断熱手段も断熱材204が2面のみに配されている構造であるのに対して、排気方向(排気口103)が六方向であり、加熱手段も支持台102を中心としてその周囲6面を囲うようにして6面のヒーター111、112、113、114、115、116が配置され、さらに断熱材104も支持台102の周囲6面を囲うようにして配置された構造を有する。
すなわち、このような構造を有する図2および図3に示された焼結炉100を用いて硬質材料の成形体101を焼結することにより、成形体101の周囲の温度および雰囲気を極めて精密に制御することができ、もってそれらを均一化できることから硬質材料中の結合相の濃度(特に各刃先における結合相の濃度)を均一化すること(上記A1×0.02質量%未満にすること)が可能となったものである。
そして、特に昇温時における1200℃を超える温度領域および最高保持温度後の冷却時における1300〜1200℃の温度領域において温度を精密に制御することが好ましく、それらの温度領域における上記成形体101の各部位の温度差を2℃以下、より好ましくは1℃以下とすることが好適である。また、上記のように排出口103の設置箇所も6面とすることにより、酸化還元反応や結合相の焼結炉内への飛散を悉く解決することができる。
このようにして、本発明の刃先交換型切削チップを極めて好適に製造することができる。
<刃先交換型切削チップの用途等>
本発明の刃先交換型切削チップは、この種のチップにより切削が可能なあらゆる種類の被削材に対して用いることができ、またその用途もドリル加工用、エンドミル加工用、フライス加工用、旋削加工用、メタルソー加工用、歯切工具加工用、リーマ加工用、タップ加工用、またはクランクシャフトのピンミーリング加工用等の極めて広範囲の用途に用いることができる。
また、本発明の刃先交換型切削チップは、稜線やコーナーに対して面取り加工を行なったり、アール(R)を有するように処理することができる。また、本発明の刃先交換型切削チップは、上面等にチップブレーカと呼ばれる凹凸形状が形成されていても差し支えなく、また形状はネガティブタイプのものであっても、ポジティブタイプのものであっても良い。
さらに本発明の刃先交換型切削チップは、化学蒸着法や物理蒸着法により、その表面部に各種の被覆層を形成することもでき、このような被覆層が形成されていても本発明の上記効果は発揮される。
なお、本発明において結合相の濃度は、電子線マイクロアナライザ(EPMA)、エネルギー分散型蛍光X線分析(EDS)、湿式分析等により測定することができ、特にその分析方法が限定されることはない。たとえば、EPMAやEDSにより測定する場合は、分析する面を切断ラップすることにより行なうことができ、湿式分析する場合は、刃先交換型切削チップから分析対象部位を切断分離することにより行なうことができる。
また、本発明における硬質材料の組成は、EPMA、EDS、WDS(波長分散形X線分光分析)、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析)、ICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析)、ESCA(X線光電子分光分析)、AAS(原子吸光分析)などのような化学分析や各種湿式分析や赤外線吸収分析を併用することにより測定することができる。
また、本発明においてB1型結晶構造等の結晶構造は、X線回折やTEM(透過型電子顕微鏡)による格子像観察により測定することができる。また、本発明において抗磁力は、抗磁力測定機により測定することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
WC89.5質量%、TaC1.5質量%、およびCo10.0質量%からなる組成の原料粉末を、溶媒としてエチルアルコールを用いた湿式条件下で10時間混合粉砕した(粉砕混合工程)。続いて、このように粉砕された混合粉末を1ton/cm2の圧力でプレス成形することにより成形体を得た(成形工程)。
次いで、図2および図3に示した焼結炉100を用いて、上記のようにして得た成形体を下記の条件(焼結条件1〜4)で焼結した(焼結工程)。その後、このようにして得られた焼結された成形体に対してダイヤモンド砥石を用いて研削加工を施すことによりJIS B 4120−1998で規定されるSNMN190608の形状を有する刃先交換型切削チップを得た。この刃先交換型切削チップの刃先処理量は、0.05x−20°のチャンファーホーニングとした。
なお、下記の焼結条件毎に焼結成形体を4個ずつ作製した。
<焼結条件1>
上記の成形体101を支持台102上に載置し、6面のヒーター111〜116を用いて炉内温度を6.0℃/min.の昇温速度で室温から800℃まで加熱することにより成形体101を加熱した。引き続き、6面のヒーター111〜116を用いて炉内温度を3.0℃/min.の昇温速度で800℃から1200℃まで加熱することにより成形体101を加熱した。
次いで、6面のヒーター111〜116間の昇温速度の差が1.0℃/min.以内となるようにこれらのヒーターの昇温速度を精密に制御することにより、炉内温度を0.3℃/min.の昇温速度で1200℃から1380℃まで加熱することにより成形体101を加熱した。その後、1380℃の温度で40分間保持した後、15℃/min.の冷却速度で1200℃まで冷却した後、室温まで冷却することにより成形体101の焼結を完了した。
なお、上記の焼結工程を通して雰囲気は10Pa以下の真空状態とし、上記のヒーターの温度制御は熱電対を用いて行なった。また、1200℃を超える昇温時において、各ヒーター間の温度差が1.0℃を超えることがあればその差が1℃以内になるまで昇温を一旦停止した後、その差が1℃以内となったところで再度昇温させることにした。
この焼結条件1により焼結された成形体101を用いて得られる刃先交換型切削チップを「刃先交換型切削チップNo.11」とする。
<焼結条件2>
上記焼結条件1において、1200℃から1380℃までの加熱を、次の条件とすることを除き、その他はすべて焼結条件1と同様にして成形体101を焼結した。
すなわち、6面のヒーター111〜116間の昇温速度の差が0.5℃/min.以内となるようにこれらのヒーターの昇温速度を精密に制御することにより、炉内温度を0.1℃/min.の昇温速度で加熱する条件を採用した。
この焼結条件2により焼結された成形体101を用いて得られる刃先交換型切削チップを「刃先交換型切削チップNo.12」とする。
<焼結条件3>
上記の成形体101を支持台102上に載置し、4面のヒーター111、113、115、116を用いて炉内温度を6.0℃/min.の昇温速度で室温から800℃まで加熱することにより成形体101を加熱した。引き続き、上記4面のヒーターを用いて炉内温度を3.0℃/min.の昇温速度で800℃から1380℃まで加熱することにより成形体101を加熱した(この間、ヒーターの温度制御は熱電対を用いて行なったが、焼結条件1、2のように各ヒーター間の昇温速度を精密に制御することはしなかった)。
次いで、1380℃の温度で40分間保持した後、4℃/min.の冷却速度で1200℃まで冷却した後、室温まで冷却することにより成形体101の焼結を完了した。
なお、上記の焼結工程を通して雰囲気は10Pa以下の真空状態としたが、排気口103は、図2左側の1箇所のみを使用し、他の5箇所は封鎖して用いた(焼結条件1、2では6箇所の排気口103のすべてを使用した)。また、昇温時において、上記4面のヒーターの温度を測温したところ、1200℃に到達した時点から1380℃の保持終了までの間、最高6℃の温度差を発生していた。
この焼結条件3により焼結された成形体101を用いて得られる刃先交換型切削チップを「刃先交換型切削チップNo.13」とする。
<焼結条件4>
上記の成形体101を支持台102上に載置し、2面のヒーター111、113を用いて炉内温度を6.0℃/min.の昇温速度で室温から800℃まで加熱することにより成形体101を加熱した。引き続き、上記2面のヒーターを用いて炉内温度を3.0℃/min.の昇温速度で800℃から1380℃まで加熱することにより成形体101を加熱した(この間、ヒーターの温度制御は熱電対を用いて行なったが、焼結条件1、2のように各ヒーター間の昇温速度を精密に制御することはしなかった)。
次いで、1380℃の温度で40分間保持した後、4℃/min.の冷却速度で1200℃まで冷却した後、室温まで冷却することにより成形体101の焼結を完了した。
なお、上記の焼結工程を通して雰囲気は10Pa以下の真空状態としたが、排気口103は、図2左側の1箇所のみを使用し、他の5箇所は封鎖して用いた。また、昇温時において、上記2面のヒーターの温度を測温したところ、1200℃に到達した時点から1380℃の保持終了までの間、最高10℃の温度差を発生していた。
この焼結条件4により焼結された成形体101を用いて得られる刃先交換型切削チップを「刃先交換型切削チップNo.14」とする。
<刃先交換型切削チップNo.11〜14>
上記の刃先交換型切削チップNo.11とNo.12とが、本発明の実施例の刃先交換型切削チップであり、刃先交換型切削チップNo.13とNo.14とが比較例の刃先交換型切削チップである。
なお、これらの刃先交換型切削チップは、硬質相と、1種以上の鉄系金属からなる結合相とを含む硬質材料からなり、かつ接合部分がなく一体となって構成されているものであって、複数の刃先を備えている。該硬質相は、第1材料と第2材料とからなり、該第1材料は炭化タングステン(WC)であり、第2材料は炭化タンタル(TaC)である。
そして、この炭化タンタルは、B1型結晶構造を有する固溶体であり、硬質材料の全体に対して1.5質量%含まれている。また、結合相は、1種の鉄系金属であるコバルト(Co)からなっている。
<内接円寸法の測定>
上記の刃先交換型切削チップNo.11、12、13、14について、ダイヤモンド砥石を用いた研削加工を行なう前に、図6に示したa、b、c、d、e、fの6本のラインの部分を、汎用のマイクロメーター(先端測定子サイズ:φ3mm)を用いて刃先交換型切削チップの内接円寸法を測定することにより、その最大値と最小値との差(内接円寸法差という)を求めた。
その結果、内接円寸法差は刃先交換型切削チップNo.11では5μm、刃先交換型切削チップNo.12では9μm、刃先交換型切削チップNo.13では34μm、刃先交換型切削チップNo.14では53μmであった。
このように、本発明の刃先交換型切削チップは、比較例の刃先交換型切削チップに比し、焼結時の収縮に伴う変形量が小さいことは明らかである。
<連続切削試験>
刃先交換型切削チップNo.11〜14を用いて、以下の条件による連続切削試験を行なうことにより、逃げ面平均摩耗量(VB)を測定した。その結果を以下の表1に示す。
なお、連続切削試験は、各刃先交換型切削チップの上面および下面の計8コーナーについて行ない、それらのコーナー中、逃げ面平均摩耗量(VB)の最大値、最小値、および全8コーナーの平均値を求めた。逃げ面平均摩耗量(VB)は、数値が小さいもの程、耐摩耗性に優れていることを示す。
(連続切削試験の条件)
被削材:SCM435(HB=240)丸棒
切削速度:220m/min.
送り:0.26mm/rev.
切込み:2.0mm
湿式/乾式:湿式(水溶性油)
切削時間:6分
<断続切削試験>
連続切削試験に用いたものとは異なる刃先交換型切削チップNo.11〜14を用いて、以下の条件による断続切削試験を行なうことにより、欠損数を測定した。その結果を以下の表1に示す。
なお、断続切削試験は、各刃先交換型切削チップの上面および下面の計8コーナーについて行ない、欠損したコーナー数を欠損数とした。欠損数が少ないもの程、耐欠損性に優れていることを示す。
(断続切削試験の条件)
被削材:SCM435(HB=240)角材
切削速度:110m/min.
送り:0.40mm/rev.
切込み:2.0mm
湿式/乾式:乾式
切削時間:30秒
<結合相濃度の測定>
刃先交換型切削チップNo.11〜14の各々について、図7に示した4つの刃先W、X、Y、Zを切断分離することによりその刃先に含まれる結合相(Co)の濃度(質量%)を超硬工具協会規格(CIS−032(1985))により測定した。その結果を以下の表1に示す。
なお、刃先W、X、Y、Zは、それぞれ図1における所定長さ(tmm)が2.5mmであり、高さ(hmm)が6.35mmである。
また、刃先交換型切削チップの全体の結合相の濃度(硬質材料の全体に対する結合相の濃度)は、上記刃先W、X、Y、Zを切断分離していない刃先交換型切削チップを用いて、超硬工具協会規格(CIS−032(1985))により測定した。なお、このようにして求めた刃先交換型切削チップの全体の結合相の濃度は、上記において刃先W、X、Y、Zを切断分離した残りの部分の刃先交換型切削チップを同様にして測定した値と一致することを確認した。
このようにして、硬質材料の全体に対する結合相の濃度(A1質量%、表1では「全体濃度」と記す)と、4つの刃先W、X、Y、Z中、結合相の濃度が最も高くなる刃先におけるその結合相の濃度(表1では「最大濃度」と記す)と結合相の濃度が最も低くなる刃先における結合相の濃度(表1では「最小濃度」と記す)とを表1に示す。
Figure 2009083086
表1より明らかな通り、本発明の実施例である刃先交換型切削チップNo.11の結合相の全体濃度は10.00質量%であり、最大濃度は10.07質量%であり、最小濃度は9.93質量%であることから、最大濃度と最小濃度との差は0.14質量%であり、これは全体濃度×0.02(すなわち0.2質量%)未満であった。
また、本発明の実施例である刃先交換型切削チップNo.12の結合相の全体濃度は10.00質量%であり、最大濃度は10.02質量%であり、最小濃度は9.98質量%であることから、最大濃度と最小濃度との差は0.04質量%であり、これは全体濃度×0.02(すなわち0.2質量%)未満であった。
これに対して、比較例である刃先交換型切削チップNo.13の結合相の全体濃度は10.00質量%であり、最大濃度は10.14質量%であり、最小濃度は9.87質量%であることから、最大濃度と最小濃度との差は0.27質量%であり、これは全体濃度×0.02(すなわち0.2質量%)を超えていた。
また、比較例である刃先交換型切削チップNo.14の結合相の全体濃度は10.00質量%であり、最大濃度は10.36質量%であり、最小濃度は9.61質量%であることから、最大濃度と最小濃度との差は0.75質量%であり、これも全体濃度×0.02(すなわち0.2質量%)を超えていた。
一方、本発明の実施例の刃先交換型切削チップNo.11およびNo.12は、比較例の刃先交換型切削チップNo.13およびNo.14に比し、耐摩耗性も耐欠損性も優れていた。
このため、刃先交換型切削チップにおいて、該硬質材料の全体に対する結合相の濃度をA1質量%として表わす場合、該結合相の濃度が最も高くなる刃先におけるその結合相の濃度と、該結合相の濃度が最も低くなる刃先におけるその結合相の濃度との差がA1×0.02質量%未満である場合において、優れた耐摩耗性と優れた耐欠損性が示されることが明らかとなった。よって、本発明の刃先交換型切削チップは、長く安定した工具寿命を有することから種々の被削材および切削条件に対応でき、広範囲の使用用途に適するものであることは明らかである。
<実施例2>
実施例1の原料粉末の組成をWC87.2質量%、Cr320.8質量%、およびCo12.0質量%に換えること、およびチップの形状をJIS B 4120−1998で規定されるSNMN250724に換えることを除き、他はすべて実施例1と同様にして刃先交換型切削チップを作製した。
すなわち、焼結条件1により得られる刃先交換型切削チップを「刃先交換型切削チップNo.21」、焼結条件2により得られる刃先交換型切削チップを「刃先交換型切削チップNo.22」、焼結条件3により得られる刃先交換型切削チップを「刃先交換型切削チップNo.23」、焼結条件4により得られる刃先交換型切削チップを「刃先交換型切削チップNo.24」とし、これらを各々4個ずつ製造した。
<刃先交換型切削チップNo.21〜24>
上記の刃先交換型切削チップNo.21とNo.22とが、本発明の実施例の刃先交換型切削チップであり、刃先交換型切削チップNo.23とNo.24とが比較例の刃先交換型切削チップである。
なお、これらの刃先交換型切削チップは、硬質相と、1種以上の鉄系金属からなる結合相とを含む硬質材料からなり、かつ接合部分がなく一体となって構成されているものであって、複数の刃先を備えている。該硬質相は炭化タングステン(WC)である。
また、Cr32はCrとしてCo中に固溶していることとし、結合相は、2種の鉄系金属であるCoとCrとした。
<内接円寸法の測定>
上記の刃先交換型切削チップNo.21、22、23、24について、図6に示した6ラインについて実施例1と同様にして内接円寸法を測定することにより、その最大値と最小値との差(内接円寸法差という)を求めた。
その結果、内接円寸法差は刃先交換型切削チップNo.21では7μm、刃先交換型切削チップNo.22では11μm、刃先交換型切削チップNo.23では42μm、刃先交換型切削チップNo.24では68μmであった。
このように、本発明の刃先交換型切削チップは、比較例の刃先交換型切削チップに比し、焼結時の収縮に伴う変形量が小さいことは明らかである。
<連続切削試験>
刃先交換型切削チップNo.21〜24を用いて、以下の条件による連続切削試験を行なうことにより、逃げ面平均摩耗量(VB)を測定した。その結果を以下の表2に示す。
なお、連続切削試験は、各刃先交換型切削チップの上面および下面の計8コーナーについて行ない、それらのコーナー中、逃げ面平均摩耗量(VB)の最大値、最小値、および全8コーナーの平均値を求めた。逃げ面平均摩耗量(VB)は、数値が小さいもの程、耐摩耗性に優れていることを示す。
(連続切削試験の条件)
被削材:SCM435(HB=240)丸棒
切削速度:170m/min.
送り:0.32mm/rev.
切込み:3.0mm
湿式/乾式:湿式(水溶性油)
切削時間:4分
<断続切削試験>
連続切削試験に用いたものとは異なる刃先交換型切削チップNo.21〜24を用いて、以下の条件による断続切削試験を行なうことにより、欠損数を測定した。その結果を以下の表2に示す。
なお、断続切削試験は、各刃先交換型切削チップの上面および下面の計8コーナーについて行ない、欠損したコーナー数を欠損数とした。欠損数が少ないもの程、耐欠損性に優れていることを示す。
(断続切削試験の条件)
被削材:SCM435(HB=240)角材
切削速度:120m/min.
送り:0.44mm/rev.
切込み:3.0mm
湿式/乾式:乾式
切削時間:30秒
<結合相濃度の測定>
刃先交換型切削チップNo.21〜24の各々について、図7に示した4つの刃先W、X、Y、Zを切断分離することによりその刃先に含まれる結合相(CoとCr)の濃度(質量%)を実施例1と同様にして測定した。その結果を以下の表2に示す。
なお、4つの刃先W、X、Y、Zは、実施例1と同様にそれぞれ図1における所定長さ(tmm)が2.5mmであり、高さ(hmm)が7.94mmである。
このようにして、硬質材料の全体に対する結合相の濃度(A1質量%、表2では「全体濃度」と記す)と、4つの刃先W、X、Y、Z中、結合相の濃度が最も高くなる刃先におけるその結合相の濃度(表2では「最大濃度」と記す)と結合相の濃度が最も低くなる刃先における結合相の濃度(表2では「最小濃度」と記す)とを表2に示す。なお表2中、結合相の濃度はICP−AES分析により測定したCrとCoとの合計濃度(ただしカッコ内の数値はCr単独の濃度)を示す。表2では、光学顕微鏡による組織観察の結果、明瞭なCrの化合物相が認められなかったためCr元素は結合相として計上した。
<抗磁力の測定>
刃先交換型切削チップNo.21〜24の各々について、チップ全体の抗磁力(C1、表2では「抗磁力C1」と記す)を超硬工具協会規格(CIS−031(1985))により測定した。続いて、図7に示した刃先W、X、Y、Zを切断分離することにより各刃先の抗磁力を同規格により測定した。この場合、各刃先交換型切削チップは上記の結合相濃度を測定した刃先交換型切削チップと同じ刃先交換型切削チップを用い、該結合相の濃度が最も高くなる刃先におけるその抗磁力(表2では「抗磁力CHC」と記す)と、該結合相の濃度が最も低くなる刃先におけるその抗磁力(表2では「抗磁力CLC」と記す)とを求め、表2に示す。
Figure 2009083086
表2より明らかな通り、本発明の実施例である刃先交換型切削チップNo.21の結合相の全体濃度は12.68質量%であり、最大濃度は12.75質量%であり、最小濃度は12.61質量%であることから、最大濃度と最小濃度との差は0.14質量%であり、これは全体濃度×0.02(すなわち0.25質量%)未満であった。
また、本発明の実施例である刃先交換型切削チップNo.22の結合相の全体濃度は12.68質量%であり、最大濃度は12.71質量%であり、最小濃度は12.65質量%であることから、最大濃度と最小濃度との差は0.06質量%であり、これは全体濃度×0.02(すなわち0.25質量%)未満であった。
これに対して、比較例である刃先交換型切削チップNo.23の結合相の全体濃度は12.68質量%であり、最大濃度は12.84質量%であり、最小濃度は12.54質量%であることから、最大濃度と最小濃度との差は0.30質量%であり、これは全体濃度×0.02(すなわち0.25質量%)を超えていた。
また、比較例である刃先交換型切削チップNo.24の結合相の全体濃度は12.68質量%であり、最大濃度は13.10質量%であり、最小濃度は12.27質量%であることから、最大濃度と最小濃度との差は0.83質量%であり、これも全体濃度×0.02(すなわち0.25質量%)を超えていた。
一方、本発明の実施例の刃先交換型切削チップNo.21およびNo.22は、比較例の刃先交換型切削チップNo.23およびNo.24に比し、耐摩耗性も耐欠損性も優れていた。
このため、刃先交換型切削チップにおいて、該硬質材料の全体に対する結合相の濃度をA1質量%として表わす場合、該結合相の濃度が最も高くなる刃先におけるその結合相の濃度と、該結合相の濃度が最も低くなる刃先におけるその結合相の濃度との差がA1×0.02質量%未満である場合において、優れた耐摩耗性と優れた耐欠損性が示されることが明らかとなった。よって、本発明の刃先交換型切削チップは、長く安定した工具寿命を有することから種々の被削材および切削条件に対応でき、広範囲の使用用途に適するものであることは明らかである。
なお、本発明の実施例である刃先交換型切削チップNo.21のチップ全体の抗磁力は15.2kA/mであり、抗磁力CHCは15.15kA/mであり、抗磁力CLCは15.33kA/mであることから、抗磁力CHCと抗磁力CLCとの差は0.18kA/mであり、これは全体の抗磁力×0.04(すなわち0.608kA/m)未満であった。
また、本発明の実施例である刃先交換型切削チップNo.22のチップ全体の抗磁力は15.2kA/mであり、抗磁力CHCは15.11kA/mであり、抗磁力CLCは15.28kA/mであることから、抗磁力CHCと抗磁力CLCとの差は0.17kA/mであり、これは全体の抗磁力×0.04(すなわち0.608kA/m)未満であった。
これに対して、比較例である刃先交換型切削チップNo.23のチップ全体の抗磁力は15.2kA/mであり、抗磁力CHCは14.89kA/mであり、抗磁力CLCは15.50kA/mであることから、抗磁力CHCと抗磁力CLCとの差は0.61kA/mであり、これは全体の抗磁力×0.04(すなわち0.608kA/m)を超えていた。
また、比較例である本発明の実施例である刃先交換型切削チップNo.24のチップ全体の抗磁力は15.2kA/mであり、抗磁力CHCは14.71kA/mであり、抗磁力CLCは15.68kA/mであることから、抗磁力CHCと抗磁力CLCとの差は0.97kA/mであり、これは全体の抗磁力×0.04(すなわち0.608kA/m)を超えていた。
このため、刃先交換型切削チップにおいて、その全体の抗磁力をC1とする場合、該結合相の濃度が最も高くなる刃先におけるその抗磁力と、該結合相の濃度が最も低くなる刃先におけるその抗磁力との差がC1×0.04以下となる場合において、優れた耐摩耗性と優れた耐欠損性が示されることが裏付けられ、種々の被削材および切削条件に対応でき、広範囲の使用用途に適するものであることが裏付けられた。
今回の実施例は、光学顕微鏡による組織観察の結果、明瞭なCrの化合物相が認められなかったためCr元素は結合相として計上したが、組織中にCrの化合物相が認められた場合、結合相に存在するCr量のみを結合相として計上する。具体的には、EPMAやTEM−EDS(透過型電子顕微鏡−エネルギー分散型蛍光X線分析装置)にて、スポットサイズを結合相部分のみに絞って分析を行なう方法が挙げられる。
<実施例3>
TiCN47.5質量%、TiC10質量%、TaC2質量%、NbC4質量%、Mo2C8質量%、WC15質量%、Co9質量%、およびNi4.5質量%からなる組成の原料粉末を、溶媒としてエチルアルコールを用いた湿式条件下で12時間混合粉砕した(粉砕混合工程)。続いて、このように粉砕された混合粉末を1ton/cm2の圧力でプレス成形することにより成形体を得た(成形工程)。
次いで、図2および図3に示した焼結炉100を用いて、上記のようにして得た成形体を下記の条件(焼結条件11〜14)で焼結した(焼結工程)。その後、このようにして得られた焼結された成形体に対してダイヤモンド砥石を用いて研削加工を施すことによりJIS B 4120−1998で規定されるSNMN250712の形状を有する刃先交換型切削チップを得た。この刃先交換型切削チップの刃先処理量は、0.1x−25°のチャンファーホーニングとした。
なお、下記の焼結条件毎に焼結成形体を2個ずつ作製した。
<焼結条件11>
上記の成形体101を支持台102上に載置し、6面のヒーター111〜116を用いて炉内温度を6.0℃/min.の昇温速度で室温から800℃まで加熱することにより成形体101を加熱した。引き続き、6面のヒーター111〜116を用いて炉内温度を3.0℃/min.の昇温速度で800℃から1200℃まで加熱することにより成形体101を加熱した。
次いで、6面のヒーター111〜116間の昇温速度の差が1.0℃/min.以内となるようにこれらのヒーターの昇温速度を精密に制御することにより、炉内温度を0.3℃/min.の昇温速度で1200℃から1500℃まで加熱することにより成形体101を加熱した。なお、この加熱時、1000cc/min.の窒素ガスを流して、圧力を0.4kPaの雰囲気とした。その後、1500℃の温度で1時間保持(引き続き1000cc/min.の窒素ガスを流したが、この間の圧力は400Paとした)した後、18℃/min.の冷却速度で1200℃まで冷却した(この冷却時は1000cc/min.のCOガスを流し、圧力は6kPaとした)後、室温まで冷却することにより成形体101の焼結を完了した。
なお、上記の焼結工程を通して窒素ガスおよびCOガスを流していないときの雰囲気は10Pa以下の真空状態とし、上記のヒーターの温度制御は熱電対を用いて行なった。また、1200℃を超える昇温時において、各ヒーター間の温度差が1.0℃を超えることがあればその差が1℃以内になるまで昇温を一旦停止した後、その差が1℃以内となったところで再度昇温させることにした。
この焼結条件11により焼結された成形体101を用いて得られる刃先交換型切削チップを「刃先交換型切削チップNo.31」とする。
<焼結条件12>
上記焼結条件11において、1200℃から1500℃までの加熱を、次の条件とすることを除き、その他はすべて焼結条件11と同様にして成形体101を焼結した。
すなわち、6面のヒーター111〜116間の昇温速度の差が0.5℃/min.以内となるようにこれらのヒーターの昇温速度を精密に制御することにより、炉内温度を0.1℃/min.の昇温速度で加熱する条件を採用した。
この焼結条件12により焼結された成形体101を用いて得られる刃先交換型切削チップを「刃先交換型切削チップNo.32」とする。
<焼結条件13>
上記の成形体101を支持台102上に載置し、4面のヒーター111、113、115、116を用いて炉内温度を6.0℃/min.の昇温速度で室温から800℃まで加熱することにより成形体101を加熱した。引き続き、上記4面のヒーターを用いて炉内温度を3.0℃/min.の昇温速度で800℃から1500℃まで加熱することにより成形体101を加熱した(この間、ヒーターの温度制御は熱電対を用いて行なったが、焼結条件11、12のように各ヒーター間の昇温速度を精密に制御することはしなかった。また、この加熱期間中1200℃〜1500℃までの期間は、1000cc/min.の窒素ガスを流して、圧力を0.4kPaの雰囲気とした。)。
次いで、1500℃の温度で1時間保持した(引き続き1000cc/min.の窒素ガスを流したが、この間の圧力は400Paとした)後、5℃/min.の冷却速度で1200℃まで冷却した(この冷却時は1000cc/min.のCOガスを流し、圧力は6kPaとした)後、室温まで冷却することにより成形体101の焼結を完了した。
なお、上記の焼結工程を通して窒素ガスおよびCOガスを流していないときの雰囲気は10Pa以下の真空状態としたが、排気口103は、図2左側の1箇所のみを使用し、他の5箇所は封鎖して用いた(焼結条件11、12では6箇所の排気口103のすべてを使用した)。また、昇温時において、上記4面のヒーターの温度を測温したところ、1200℃に到達した時点から1500℃の保持終了までの間、最高11.2℃の温度差を発生していた。
この焼結条件13により焼結された成形体101を用いて得られる刃先交換型切削チップを「刃先交換型切削チップNo.33」とする。
<焼結条件14>
上記の成形体101を支持台102上に載置し、2面のヒーター111、113を用いて炉内温度を6.0℃/min.の昇温速度で室温から800℃まで加熱することにより成形体101を加熱した。引き続き、上記2面のヒーターを用いて炉内温度を3.0℃/min.の昇温速度で800℃から1500℃まで加熱することにより成形体101を加熱した(この間、ヒーターの温度制御は熱電対を用いて行なったが、焼結条件1、2のように各ヒーター間の昇温速度を精密に制御することはしなかった。また、この加熱期間中1200℃〜1500℃までの期間は、1000cc/min.の窒素ガスを流して、圧力を0.4kPaの雰囲気とした。)。
次いで、1500℃の温度で1時間保持した(引き続き1000cc/min.の窒素ガスを流したが、この間の圧力は400Paとした)後、5℃/min.の冷却速度で1200℃まで冷却した(この冷却時は1000cc/min.のCOガスを流し、圧力は6kPaとした)後、室温まで冷却することにより成形体101の焼結を完了した。
なお、上記の焼結工程を通して窒素ガスおよびCOガスを流していないときの雰囲気は10Pa以下の真空状態としたが、排気口103は、図2左側の1箇所のみを使用し、他の5箇所は封鎖して用いた。また、昇温時において、上記2面のヒーターの温度を測温したところ、1200℃に到達した時点から1500℃の保持終了までの間、最高20.1℃の温度差を発生していた。
この焼結条件14により焼結された成形体101を用いて得られる刃先交換型切削チップを「刃先交換型切削チップNo.34」とする。
<刃先交換型切削チップNo.31〜34>
上記の刃先交換型切削チップNo.31とNo.32とが、本発明の実施例の刃先交換型切削チップであり、刃先交換型切削チップNo.33とNo.34とが比較例の刃先交換型切削チップである。
なお、これらの刃先交換型切削チップは、硬質相と、1種以上の鉄系金属からなる結合相とを含む硬質材料からなり、かつ接合部分がなく一体となって構成されているものであって、複数の刃先を備えている。該硬質相は、周期律表のIVa族元素、Va族元素およびVIa族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる固溶体であり、硬質材料の全体に対して60質量%以上99質量%以下含まれるもの(すなわち、Ti、Ta、Nb、Mo、およびWの炭窒化物からなる固溶体が硬質材料の全体に対して86.5質量%含まれるもの)である。
また、結合相は、2種の鉄系金属であるCoとNiからなっている。
<内接円寸法の測定>
上記の刃先交換型切削チップNo.31、32、33、34について、図6に示した6ラインについて実施例1と同様にして内接円寸法を測定することにより、その最大値と最小値との差(内接円寸法差という)を求めた。
その結果、内接円寸法差は刃先交換型切削チップNo.31では6μm、刃先交換型切削チップNo.32では10μm、刃先交換型切削チップNo.33では43μm、刃先交換型切削チップNo.34では70μmであった。
このように、本発明の刃先交換型切削チップは、比較例の刃先交換型切削チップに比し、焼結時の収縮に伴う変形量が小さいことは明らかである。
<連続切削試験>
刃先交換型切削チップNo.31〜34を用いて、以下の条件による連続切削試験を行なうことにより、逃げ面平均摩耗量(VB)を測定した。その結果を以下の表3に示す。
なお、連続切削試験は、各刃先交換型切削チップの上面および下面の計8コーナーについて行ない、それらのコーナー中、逃げ面平均摩耗量(VB)の最大値、最小値、および全8コーナーの平均値を求めた。逃げ面平均摩耗量(VB)は、数値が小さいもの程、耐摩耗性に優れていることを示す。
(連続切削試験の条件)
被削材:SCM415(HB=220)丸棒
切削速度:230m/min.
送り:0.22mm/rev.
切込み:1.5mm
湿式/乾式:湿式(水溶性油)
切削時間:10分
<断続切削試験>
連続切削試験に用いたものとは異なる刃先交換型切削チップNo.31〜34を用いて、以下の条件による断続切削試験を行なうことにより、欠損数を測定した。その結果を以下の表3に示す。
なお、断続切削試験は、各刃先交換型切削チップの上面および下面の計8コーナーについて行ない、欠損したコーナー数を欠損数とした。欠損数が少ないもの程、耐欠損性に優れていることを示す。
(断続切削試験の条件)
被削材:SCM435(HB=240)角材
切削速度:90m/min.
送り:0.40mm/rev.
切込み:2.0mm
湿式/乾式:乾式
切削時間:30秒
<結合相濃度の測定>
刃先交換型切削チップNo.31〜34の各々について、図7に示した4つの刃先W、X、Y、Zを切断分離することによりその刃先に含まれる結合相(CoとNi)の濃度(質量%)を実施例1と同様にして測定した。その結果を以下の表3に示す。
なお、4つの刃先W、X、Y、Zは、実施例1と同様にそれぞれ図1における所定長さ(tmm)が2.5mmであり、高さ(hmm)が7.94mmである。
このようにして、硬質材料の全体に対する結合相の濃度(A1質量%、表3では「全体濃度」と記す)と、4つの刃先W、X、Y、Z中、結合相の濃度が最も高くなる刃先におけるその結合相の濃度(表3では「最大濃度」と記す)と結合相の濃度が最も低くなる刃先における結合相の濃度(表3では「最小濃度」と記す)とを表3に示す。なお表3中、結合相の濃度はICP−AES分析により測定したNiとCoとの合計濃度(ただしカッコ内の数値はNi単独の濃度)を示す。
Figure 2009083086
表3より明らかな通り、本発明の実施例である刃先交換型切削チップNo.31の結合相の全体濃度は13.50質量%であり、最大濃度は13.56質量%であり、最小濃度は13.50質量%であることから、最大濃度と最小濃度との差は0.06質量%であり、これは全体濃度×0.02(すなわち0.27質量%)未満であった。
また、本発明の実施例である刃先交換型切削チップNo.32の結合相の全体濃度は13.50質量%であり、最大濃度は13.54質量%であり、最小濃度は13.50質量%であることから、最大濃度と最小濃度との差は0.04質量%であり、これは全体濃度×0.02(すなわち0.27質量%)未満であった。
これに対して、比較例である刃先交換型切削チップNo.33の結合相の全体濃度は13.50質量%であり、最大濃度は13.69質量%であり、最小濃度は13.30質量%であることから、最大濃度と最小濃度との差は0.39質量%であり、これは全体濃度×0.02(すなわち0.27質量%)を超えていた。
また、比較例である刃先交換型切削チップNo.34の結合相の全体濃度は13.50質量%であり、最大濃度は13.91質量%であり、最小濃度は13.07質量%であることから、最大濃度と最小濃度との差は0.84質量%であり、これも全体濃度×0.02(すなわち0.27質量%)を超えていた。
一方、本発明の実施例の刃先交換型切削チップNo.31およびNo.32は、比較例の刃先交換型切削チップNo.33およびNo.34に比し、耐摩耗性も耐欠損性も優れていた。
このため、刃先交換型切削チップにおいて、該硬質材料の全体に対する結合相の濃度をA1質量%として表わす場合、該結合相の濃度が最も高くなる刃先におけるその結合相の濃度と、該結合相の濃度が最も低くなる刃先におけるその結合相の濃度との差がA1×0.02質量%未満である場合において、優れた耐摩耗性と優れた耐欠損性が示されることが明らかとなった。よって、本発明の刃先交換型切削チップは、長く安定した工具寿命を有することから種々の被削材および切削条件に対応でき、広範囲の使用用途に適するものであることは明らかである。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
刃先を明確にした刃先交換型切削チップの斜視図である。 本発明で好適に用いることができる焼結炉の模式的上面図である。 本発明で好適に用いることができる焼結炉の模式的な側面方向の断面図である。 従来用いられていた焼結炉の模式的上面図である。 従来用いられていた焼結炉の模式的な側面方向の断面図である。 内接円寸法を測定するラインを示した刃先交換型切削チップの上面図である。 4つの刃先W、X、Y、Zを有する刃先交換型切削チップの斜視図である。
符号の説明
100,200 焼結炉、101,201 成形体、102,202 支持台、103,203 排出口、104,204 断熱材、105,205 炉壁、111,112,113,114,115,116,211,212 ヒーター。

Claims (5)

  1. 硬質相と、1種以上の鉄系金属からなる結合相とを含む硬質材料からなり、かつ接合部分がなく一体となって構成されている刃先交換型切削チップであって、
    前記刃先交換型切削チップは、複数の刃先を備え、
    前記硬質材料の全体に対する前記結合相の濃度をA1質量%として表わす場合、前記複数の刃先のうち、前記結合相の濃度が最も高くなる刃先におけるその結合相の濃度と、前記結合相の濃度が最も低くなる刃先におけるその結合相の濃度との差がA1×0.02質量%未満となる刃先交換型切削チップ。
  2. 前記硬質相は、炭化タングステンからなる請求項1記載の刃先交換型切削チップ。
  3. 前記硬質相は、第1材料と第2材料とからなり、
    前記第1材料は、炭化タングステンであり、
    前記第2材料は、周期律表のIVa族元素、Va族元素およびVIa族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる、B1型結晶構造を有する固溶体であり、前記硬質材料の全体に対して0.1質量%以上50質量%以下含まれる請求項1記載の刃先交換型切削チップ。
  4. 前記硬質相は、周期律表のIVa族元素、Va族元素およびVIa族元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素と、炭素、窒素、酸素および硼素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素とからなる固溶体であり、前記硬質材料の全体に対して60質量%以上99質量%以下含まれる請求項1記載の刃先交換型切削チップ。
  5. 前記刃先交換型切削チップは、その全体の抗磁力をC1とする場合、前記結合相の濃度が最も高くなる刃先におけるその抗磁力と、前記結合相の濃度が最も低くなる刃先におけるその抗磁力との差がC1×0.04以下となる請求項1〜4のいずれかに記載の刃先交換型切削チップ。
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