JP2009075481A - 位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、IPS方式の液晶表示装置の視野角補償フィルムとして好適な、Nz<1.0の位相差フィルムを工業的に高製造効率で製造できる位相差フィルムの製造方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、厚み方向のレターデーション値(Rth)が60nm〜200nmの範囲内である第1位相差層と、上記第1位相差層上に形成され、厚み方向のレターデーション値(Rth)が−300nm〜−50nmの範囲内である第2位相差層とが積層された光学積層体を作製する、光学積層体作製工程と、上記光学積層体を面内方向に延伸する、延伸工程とを有し、Nz係数がNz<1.0である位相差フィルムを作製することを特徴とする、位相差フィルムの製造方法を提供することにより、上記課題を解決するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示装置の視野角特性を改善するために用いられる位相差フィルム、特に、IPS方式の液晶表示装置の視野角特性を改善するために好適に用いられる位相差フィルムの製造方法に関するものである。
液晶表示装置は、その省電力、軽量、薄型等といった特徴を有することから、従来のCRTディスプレイに替わり、近年急速に普及している。一般的な液晶表示装置としては、図3に示すように、入射側の偏光板102Aと、出射側の偏光板102Bと、液晶セル101とを有するものを挙げることができる。偏光板102Aおよび102Bは、所定の振動方向の振動面を有する直線偏光のみを選択的に透過させるように構成されたものであり、それぞれの振動方向が相互に直角の関係になるようにクロスニコル状態で対向して配置されている。また、液晶セル101は画素に対応する多数のセルを含むものであり、偏光板102Aと102Bとの間に配置されている。
このような液晶表示装置は、上記液晶セルに用いられる液晶材料の配列形態により種々の駆動方式を用いたものが知られている。今日、普及している液晶表示装置の主たるものは、TN、STN、VA、IPS、および、OCB等に分類される。なかでも今日においては、上記VA、および、IPSの駆動方式を有するものが広く普及するに至っている。
一方、液晶表示装置は、その特有の問題点として液晶セルや偏光板の屈折率異方性に起因する視野角依存性の問題点がある。この視野角依存性の問題は、液晶表示装置を正面から見た場合と、斜め方向から見た場合とで視認される画像の色味やコントラストが変化してしまう問題である。このような視野角特性の問題は、近年の液晶表示装置の大画面化に伴って、さらにその問題の重大性が増している。
このような視野角依存性の問題を改善するため、現在までに様々な技術が開発されている。その代表的な方法として位相差フィルムを用いる方法がある。このような位相差フィルムを用いる方法は、図4に示すように所定の光学特性を有する位相差フィルム103を、液晶セル101と偏光板102Aおよび102Bとの間に配置することにより、視野角依存性の問題を改善する方法である。この方法は位相差フィルム103を液晶表示装置に組み込むことのみで上記視野角依存性の問題点を改善できることから、簡便に視野角特性に優れた液晶表示装置を得ることが可能な方法として広く用いられるに至っている。
また近年では、図4に例示したように、位相差フィルムと偏光板とを別個に配置する方式ではなく、位相差フィルムを上記偏光板を構成する偏光板保護フィルムとして兼用する方式が主流になってきている。すなわち、図5に例示するように、一般的な液晶表示装置は、液晶セル101の両側に偏光板102A、102Bが配置された構成を有するものであり、上記偏光板102A、102Bは、通常、2枚の偏光板保護フィルム112a、112bによって偏光子111が挟持された構成を有するものである(図5(a))(ここで、説明の便宜上、液晶セル101側に配置されている偏光板保護フィルム112aを「内側の偏光板保護フィルム」と称し、他方の偏光板保護フィルム112bを「外側の偏光板保護フィルム」と称する。)。そして、位相差フィルム103を用いて液晶表示装置の視野角特性を改善する場合、図5(b)に例示するように、上記2枚の偏光板保護フィルム112a、112bのうち、内側の偏光板保護フィルム112aとして位相差フィルム103が用いられた偏光板102A’、102B’を用いることが近年の主流となっている。
ここで、上記位相差フィルムが備える位相差性は、視野角特性を改善する対象となる液晶表示装置の駆動方式等よって適宜決定されるものであるが、なかでも、IPS(In−Plane Switching)方式の液晶表示装置には、Nz係数がNz<1.0である位相差性を備える位相差フィルムが好適に用いられる。ここで、上記Nz係数は、位相差フィルムの屈折率楕円体の形状を規定するパラメーターであり、厚み方向のレターデーション(Rth)および面内レターデーション(Re)によって、Nz=(Rth/Re)+0.5で表されるものである。
従来、一般的に用いられていた位相差フィルムは、Nz係数がNz≦1.0のものが殆どであり、Nz<1.0の位相差フィルムを工業的に作製することができる方法は、殆ど知られていない。
このような中で、Nz<1.0の位相差フィルムを工業的に作製できる方法の一つとして、フィルムを厚み方向に延伸することによって位相差フィルムを作製する方法が知られている(特許文献1)。このような方法はNz係数をNz<1.0以下にする方法として、原理的に忠実な方法ではある。しかしながら、厚み方向に延伸するという特殊な技術を用いていることから均質に延伸することが困難であるという問題点があり、このような方法で作製された位相差フィルムは面内方向の遅相軸の精度が低いという問題点がある。
このような問題点に鑑みると、特性のフィルムを延伸してNz<1.0である位相差フィルムを作製する方法としては、少なくともフィルムを面内方向に延伸する方法を採用することが望ましいといえる。この点、特許文献2には、スチレン系樹脂フィルムを面内方向に延伸することによって、Nz<1.0であるフィルムを作製することができる旨が開示されている。しかしながら、スチレン系樹脂フィルムは耐熱性および機械強度が低いという欠点があることから、位相差フィルムとして実用化されていないのが現状である。
このようなことから、従来、IPS方式の液晶表示装置の視野角補償フィルムとして好適な、Nz<1.0の位相差フィルムを工業的に高製造効率で製造できる製造方法は知られていなかった。
特開平5−297223号公報 特表2002−517583号公報
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、IPS方式の液晶表示装置の視野角補償フィルムとして好適な、Nz<1.0の位相差フィルムを工業的に高製造効率で製造できる位相差フィルムの製造方法を提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、厚み方向のレターデーション値(Rth)が60nm〜300nmの範囲内である第1位相差層と、上記第1位相差層上に形成され、厚み方向のレターデーション値(Rth)が−300nm〜−50nmの範囲内である第2位相差層とが積層された光学積層体を作製する光学積層体作製工程と、上記光学積層体を面内方向に延伸する延伸工程とを有し、Nz係数がNz<1.0である位相差フィルムを作製することを特徴とする、位相差フィルムの製造方法を提供する。
本発明によれば、上記光学積層体作製工程において作製される光学積層体が、厚み方向のレターデーション値がそれぞれ上述した範囲内である第1位相差層および第2位相差層が積層された構成を有するものであることにより、上記延伸工程において当該光学積層体を面内方向に延伸することによって、容易にNz係数がNz<1.0である位相差フィルムを作製することができる。
このため、本発明によればNz<1.0の位相差フィルムを工業的に高製造効率で製造できる位相差フィルムの製造方法を提供することができる。
また本発明においては、面内レターデーション(Re)が50nm<Re<160nmの範囲内であり、かつNz係数が0<Nz<0.6の範囲内であることが好ましい。これにより、本発明により製造される位相差フィルムをIPS方式の液晶表示装置に用いられる視野角補償フィルムとして好適なものにできるからである。
また本発明においては、上記第1位相差層が、透明基板と、上記透明基板上に形成され、光学異方性材料を含有する光学異方性層とを有するものであり、かつ、上記第2位相差層がホメオトロピック配向した液晶材料を含有するものであることが好ましい。上記第1位相差層および上記第2位相差層をこのような構成とすることにより、本発明によって製造される位相差フィルムを、位相差性の発現性に優れたものにできるからである。
本発明の位相差フィルムの製造方法は、IPS方式の液晶表示装置の視野角補償フィルムとして好適な、Nz<1.0の位相差フィルムを工業的に高製造効率で製造できるという効果を奏するものである。
以下、本発明の位相差フィルムの製造方法について詳細に説明する。
上述したように本発明の位相差フィルムの製造方法は、厚み方向のレターデーション値(Rth)が60nm〜200nmの範囲内である第1位相差層と、上記第1位相差層上に形成され、厚み方向のレターデーション値(Rth)が−300nm〜−50nmの範囲内である第2位相差層とが積層された光学積層体を作製する、光学積層体作製工程と、上記光学積層体を面内方向に延伸する、延伸工程とを有し、Nz係数がNz<1.0である位相差フィルムを作製することを特徴とするものである。
このような本発明の位相差フィルムの製造方法について図を参照しながら説明する。図1は本発明の位相差フィルムの製造方法の一例を示す概略図である。図1に例示するように、本発明の位相差フィルムの製造方法は、光学積層体10を作製する光学積層体作製工程と(図1(a))、上記光学積層体10を面内方向に延伸する延伸工程(図1(b))とを、有し、Nz係数がNz<1.0である位相差フィルム20を作製する方法である(図1(c))。
このような例において、本発明の位相差フィルムの製造方法は、上記光学積層体作製工程(図1(a))において作製される光学積層体が、厚み方向のレターデーション値(Rth)が60nm〜200nmの範囲内である第1位相差層1と、上記第1位相差層1上に形成され、厚み方向のレターデーション値(Rth)が−300nm〜−50nmの範囲内である第2位相差層2とが積層された構成を有するものであることを特徴とするものである。
本発明によれば、上記光学積層体作製工程において作製される光学積層体が、厚み方向のレターデーション値がそれぞれ上述した範囲内である第1位相差層および第2位相差層が積層されたものであることにより、上記延伸工程において当該光学積層体を面内方向に延伸することによって、容易にNz係数がNz<1.0である位相差フィルムを作製することができる。
このため、本発明によればNz<1.0の位相差フィルムを工業的に高製造効率で製造できる位相差フィルムの製造方法を提供することができる。
本発明の位相差フィルムの製造方法は、少なくとも上記光学積層体作製工程と、上記延伸工程とを有するものであり、必要に応じて他の工程を有してもよいものである。
以下、本発明に用いられる各工程について順に説明する。
第1 光学積層体作製工程
まず、本発明に用いられる光学積層体作製工程について説明する。本工程は、厚み方向のレターデーション値(Rth)が60nm〜200nmの範囲内である第1位相差層1と、上記第1位相差層1上に形成され、厚み方向のレターデーション値(Rth)が−300nm〜−50nmの範囲内である第2位相差層2とが積層された構成を有する光学積層体を作製する工程である。本発明の位相差フィルムの製造方法は、本工程で作製される光学積層体がこのような構成を有するものであることにより、Nz<1.0の位相差フィルムを工業的に高製造効率で製造できるのである。
以下、本工程によって作製される光学積層体について説明した後、本工程において光学積層体を作製する方法について説明する。
1.光学積層体
本工程によって製造される光学積層体について説明する。上述したとおり本工程によって製造される光学積層体は、所定の厚み方向のレターデーション値を備える第1位相差層および第2位相差層とが積層された構成を有するものである。
(1)第1位相差層
上記第1位相差層は、厚み方向のレターデーション値(Rth)が60nm〜200nmの範囲内であるものである。ここで、上記Rthとしては上記範囲内であれば特に限定されるものではなく、本発明によって製造される位相差フィルムのNz係数を、Nz<1.0にできる範囲内で、後述する第2位相差層のRthの値等に応じて、適宜調整することができるものである。なかでも本工程において形成される第1位相差層のRthは、80nm〜160nmの範囲内であることがより好ましい。
ここで、上記Rthは、第1位相差層の面内方向の遅相軸方向の屈折率をnx、進相軸方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、および第1位相差層の厚みをdとした場合にRth={(nx+ny)/2−nz}×dで表される値である。このようなRthは、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法によって測定することができる。なお、上記Rthは測定する波長によって値が異なる場合があるが、本発明におけるRthは特筆しない限り、波長550nmで測定した値を意味するものとする。
また、本工程において形成される第1位相差層の面内レターデーション(Re)は、後述する延伸工程において、光学積層体が面内方向に延伸されることにより、Nz係数がNz<1.0である位相差フィルムを作製できる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも上記Reは、0nm≦Re<50nmの範囲内であることが好ましく、0nm≦Re<10nmの範囲であることがより好ましい。上記Reがこのような範囲内であることにより、後述する延伸工程において、光学積層体を面内方向に延伸することにより、Nz<1.0を実現することが容易になるからである。
ここで、上記Reは、上記nx、ny、およびdにより、Re=(nx−ny)×dで表される値である。このようなReは、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法によって測定することができる。なお、上記Rehは測定する波長によって値が異なる場合があるが、本発明におけるReは特筆しない限り、波長550nmで測定した値を意味するものとする。
上記第1位相差層の構成としては、後述する延伸工程で面内方向に延伸されることが可能であり、かつ、上述した範囲のRthを実現することができるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本工程において形成される第1位相差層は、透明基板と、上記透明基板上に形成され、光学異方性材料を含有する光学異方性層とを有するものであることが好ましい。上記第1位相差層がこのような構成を有するものであることにより、上記Rthを上述した範囲内にすることが容易になるからである。また、本発明によって製造される位相差フィルムの光学特性発現性を向上させることができるからである。
以下、このような構成を有する第1位相差層について詳細に説明する。
(1)光学異方性層
上記光学異方性層は、後述する透明基板上に形成されるものであり、光学異方性材料を含有することによって、第1位相差層のRthを上述した範囲内にする機能を有するものである。
本工程に用いられる光学異方性材料としては、第1位相差層のRthを上述した範囲内にするできる程度の位相差性を、光学異方性層に付与することができるものであれば特に限定されるものではなく、後述する透明基板の種類等に応じて適宜選択して用いることができるものである。なかでも本工程に用いられる光学異方性材料は、棒状化合物であることが好ましい。棒状化合物は規則的に配列させることにより優れた位相差性を発現できるため、このような棒状化合物を用いることにより、上記光学異方層に所望の位相差性を付与することが容易になるからである。
ここで、本発明における「棒状化合物」とは、分子構造の主骨格が棒状となっている化合物を意味するものとする。
本工程に用いられる棒状化合物としては、分子量が比較的小さい化合物が好ましい。より具体的には、分子量が200〜1200の範囲内である化合物が好ましく、特に400〜1000の範囲内である化合物が好適に用いられる。
なお、上記棒状化合物として重合性官能基を有する材料を用いる場合、上記棒状化合物の分子量は、重合前のモノマーの分子量を示すものとする。
また、本工程に用いられる棒状化合物は、液晶性を示す液晶性材料であることが好ましい。液晶性材料は規則的に配列する特性を備えるため、複屈折Δn(nx−ny)が大きく、光学異方性層に所望の位相差性を付与しやすいからである。
上記液晶性材料としては、ネマチック相、コレステリック相、および、スメクチック相等のいずれの液晶相を示す材料であっても好適に用いることができる。なかでも本工程においては、ネマチック相を示す液晶性材料を用いることが好ましい。ネマチック相を示す液晶性材料は、他の液晶相を示す液晶性材料と比較して規則的に配列させることが容易であるからである。
また、上記ネマチック相を示す液晶性材料としてはメソゲン両端にスペーサを有する材料を用いることが好ましい。メソゲン両端にスペーサを有する液晶性材料は柔軟性に優れるため、このような液晶性材料を用いることにより、本発明に用いられる光学異方性フィルムを透明性に優れたものにできるからである。
さらに、本工程に用いられる棒状化合物は、分子内に重合性官能基を有するものが好適に用いられ、なかでも3次元架橋可能な重合性官能基を有するものがより好適に用いられる。上記棒状化合物が重合性官能基を有することにより、上記棒状化合物を重合して固定することが可能になるため、配列安定性に優れ、位相差性の経時変化が生じにくい光学異方性層を得ることができるからである。
また、本工程においては上記重合性官能基を有する棒状化合物と、上記重合性官能基を有さない棒状化合物とを混合して用いてもよい。
なお、上記「3次元架橋」とは、液晶性分子を互いに3次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることを意味する。
上記重合性官能基としては、例えば、紫外線、電子線等の電離放射線、或いは熱の作用によって重合する重合性官能基を挙げることができる。これら重合性官能基の代表例としては、ラジカル重合性官能基、或いはカチオン重合性官能基等が挙げられる。さらにラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が挙げられ、具体例としては、置換基を有するもしくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等が挙げられる。また、上記カチオン重合性官能基の具体例としては、エポキシ基等が挙げられる。その他、重合性官能基としては、例えば、イソシアネート基、不飽和3重結合等が挙げられる。これらの中でもプロセス上の点から、エチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が好適に用いられる。
さらにまた、上記棒状化合物は液晶性を示す液晶性材料であって、末端に上記重合性官能基を有するものが特に好ましい。このような液晶材料を用いることにより、例えば、互いに3次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることができるため、配列安定性を備え、かつ、光学特性の発現性に優れた光学異方性層を形成することができるからである。
なお、本工程においては片末端に重合性官能基を有する液晶性材料を用いた場合であっても、他の分子と架橋して配列安定化することができる。
本工程に用いられる棒状化合物の具体例としては、下記式(1)〜(6)で表される化合物を例示することができる。
Figure 2009075481
ここで、化学式(1)、(2)、(5)および(6)で示される液晶性材料は、D.J.Broerら、Makromol.Chem.190,3201−3215(1989)、またはD.J.Broerら、Makromol.Chem.190,2250(1989)に開示された方法に従い、あるいはそれに類似して調製することができる。また、化学式(3)および(4)で示される液晶性材料の調製は、DE195,04,224に開示されている。
また、末端にアクリレート基を有するネマチック液晶性材料の具体例としては、下記化
学式(7)〜(17)に示すものも挙げられる。
Figure 2009075481
なお、本工程に用いられる液晶性材料は、1種類のみであってもよく、または、2種以上であってもよい。例えば、上記液晶性材料として、両末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶性材料と、片末端に重合性官能基を1つ以上有する液晶性材料とを混合して用いると、両者の配合比の調整により重合密度(架橋密度)及び光学特性を任意に調整できる点から好ましい。
本工程に用いられる光学異方性層には、上記光学異方性材料以外に他の化合物が含有されていてよい。このような他の化合物としては、例えば、ポリジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、有機変性シロキサン等のシリコン形レベリング剤;ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルビニルエーテル等の直鎖状重合物;フッ素系界面活性剤、炭化水素系界面活性剤等の界面活性剤;テトラフルオロエチレン等のフッ素系レベリング剤;光重合開始剤等を挙げることができる。なかでも、上記光学異方性材料として光照射により重合する重合性官能基を有する棒状化合物を用いる場合に、上記他の化合物として光重合開始剤を含むことが好ましい。
上記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、アデカ社製N1717、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性色素とアスコルビン酸やトリエタノールアミンのような還元剤との組み合わせ等を例示できる。
なお、本工程においては、これらの光重合開始剤を1種類のみで用いてもよく、または、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記光重合開始剤を用いる場合には、光重合開始助剤を併用することが好ましい。本工程に用いることができる光重合開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等の3級アミン類や、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミド安息香酸エチル等の安息香酸誘導体を例示することができるが、これらに限られるものではない。
上記光学異方性層に上記光重合開始剤を含有させる場合、その含有量としては、上記光学異方性材料を所望の時間で重合できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、上記棒状化合物100重量部に対して、1重量部〜10重量部の範囲内が好ましく、特に3重量部〜6重量部の範囲内が好ましい。
さらに上記光学異方性層には、本発明の目的を損なわない範囲内で、下記に示すような化合物を添加することができる。添加できる化合物としては、例えば、多価アルコールと1塩基酸または多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレポリマーに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を互いに反応させた後、その反応生成物に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエーテル、脂肪族または脂環式エポキシ樹脂、アミノ基エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等の光重合性化合物;アクリル基やメタクリル基を有する光重合性の液晶性化合物等が挙げられる。このような化合物を含有することにより本工程によって形成される光学異方性層の機械強度が向上し、安定性が改善される場合がある。
上記光学異方性層の厚みとしては、上記光学異方性材料や、後述する透明基板の種類に応じて、本工程によって形成される第1位相差層の光学特性を所望の値にできる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、0.5μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。
(2)透明基板
次に、本工程に用いられる透明基板について説明する。本工程に用いられる透明基板は、上述した光学異方性層を支持するものである。
本工程に用いられる透明基板としては、後述する延伸工程において延伸することが可能であり、かつ、本工程において作製される第1位相差層のRthを上述した範囲内にできる位相差性を備えるものであれば特に限定されるものではない。
このような透明基板としては、例えば、セルロース誘導体、シクロオレフィン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等のポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリカーボネートからなる透明基板を例示することができる。なかでも本工程においてはセルロース誘導、または、シクロオレフィン系ポリマーからなる透明基板を用いることが好ましい。
本工程に用いられるセルロース誘導体としては、セルロースエステルを用いることが好ましく、さらに、セルロースエステル類のなかでも、セルロースアシレート類を用いることが好ましい。セルロースアシレート類は工業的に広く用いられていることから、入手容易性の点において有利だからである。
上記セルロースアシレート類としては、炭素数2〜4の低級脂肪酸エステルが用いられることが好ましい。このような低級脂肪酸エステルとしては、例えばセルロースアセテートのように、単一の低級脂肪酸エステルのみを含むものでもよく、また、例えばセルロースアセテートブチレートやセルロースアセテートプロピオネートのような複数の脂肪酸エステルを含むものであってもよい。
また、本工程においては、上記低級脂肪酸エステルのなかでもセルロースアセテートを特に好適に用いることができる。また、セルロースアセテートのなかでも平均酢化度が57.5〜62.5%(置換度:2.6〜3.0)のトリアセチルセルロースを用いることが最も好ましい。ここで、酢化度とは、セルロース単位質量当りの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験方法)におけるアセチル化度の測定および計算により求めることができる。
一方、本工程に用いられるシクロオレフィン系ポリマーとしては、環状オレフィン(シクロオレフィン)からなるモノマーのユニットを有する樹脂であれば特に限定されるものではない。このような上記環状オレフィンからなるモノマーとしては、例えば、ノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマー等を挙げることができる。
なお、上記シクロオレフィン系ポリマーとしては、シクロオレフィンポリマー(COP)またはシクロオレフィンコポリマー(COC)のいずれであっても好適に用いることができる。また、本工程に用いられるシクロオレフィン系ポリマーは上記環状オレフィンからなるモノマーの単独重合体であってもよく、または、共重合体であってもよい。
本工程に用いられるシクロオレフィン系ポリマーは、23℃における飽和吸水率が1質量%以下であるものが好ましく、なかでも0.1質量%〜0.7質量%の範囲内であるものが好ましい。このようなシクロオレフィン系ポリマーを用いることにより、本発明によって製造される位相差フィルムを吸水による光学特性の変化や寸法の変化がより生じにくいものとすることができるからである。
ここで、上記飽和吸水率は、ASTMD570に準拠し23℃の水中で1週間浸漬して増加重量を測定することにより求められる。
また、本工程に用いられるシクロオレフィン系ポリマーは、ガラス転移点が100℃〜200℃の範囲内であるものが好ましく、特に100℃〜180℃の範囲内であるものが好ましく、なかでも100℃〜150℃の範囲内であるものが好ましい。ガラス転移点が上記範囲内であることにより、本発明によって製造される位相差フィルムの耐熱性および加工適性を向上させることができるからである。
本工程に用いられるシクロオレフィン系ポリマーからなる透明基板の具体例としては、例えば、Ticona社製 Topas、ジェイエスアール社製 アートン、日本ゼオン社製 ZEONOR、日本ゼオン社製 ZEONEX、三井化学社製 アペルや、これらの透明基板に延伸処理を施したもの等挙げることができる。
本工程に用いられる透明基板の厚みは、本工程において作製される第1位相差層に必要な自己支持性を備えることができる程度であれば特に限定されないが、通常、25μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、なかでも20μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。透明基板の厚みが上記の範囲よりも薄いと、本発明によって製造される位相差フィルムに必要な自己支持性を付与することができない場合があるからである。また、厚みが上記の範囲よりも厚いと、例えば、本発明によって製造される位相差フィルムを裁断加工する際に、加工屑が増加したり、裁断刃の磨耗が早くなってしまう場合があるからである。
本工程に用いられる透明基板の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成であってもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
(2)第2位相差層
次に、本工程によって形成される第2位相差層について説明する。本工程によって形成される第2位相差層は、厚み方向のレターデーション値(Rth)が−300nm〜−50nmの範囲内であるものである。ここで、上記Rthとしては上記範囲内であれば特に限定されるものではなく、本発明によって製造される位相差フィルムのNz係数を、Nz<1.0にできる範囲内で、上述した第1位相差層のRthの値等に応じて、適宜調整されるものである。なかでも本工程において形成される第2位相差層のRthは、−250nm〜−80nmの範囲内であることがより好ましい。ここで、上記Rthは、第1位相差層の面内方向の遅相軸方向の屈折率をnx、進相軸方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、および第1位相差層の厚みをdとした場合にRth={(nx+ny)/2−nz}×dで表される値である。なお、上記Rthの測定方法および測定波長については、上記Rthの場合と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本工程において形成される第2位相差層の面内レターデーション(Re)は、後述する延伸工程において、光学積層体が面内方向に延伸されることにより、Nz係数がNz<1.0である位相差フィルムを作製できる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも上記Reは、0nm≦Re<10nmの範囲内であることが好ましい。
上記Reがこのような範囲内であることにより、後述する延伸工程において、光学積層体を面内方向に延伸することにより、Nz<1.0を実現することが容易になるからである。
ここで、上記Reは、上記nx、ny、およびdにより、Re=(nx−ny)×dで表される値である。なお、上記Reの測定方法および測定波長については、上記Rthの場合と同様であるため、ここでの説明は省略する。
上記第2位相差層の構成としては、後述する延伸工程で面内方向に延伸されることが可能であり、かつ、上述した範囲のRthを実現することができるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本工程において形成される第2位相差層は、ホメオトロピック配向した液晶材料を含有するものであることが好ましい。上記第2位相差層をこのような構成とすることにより、本発明によって製造される位相差フィルムを、位相差性の発現性に優れたものにできるからである。
本工程に用いられる液晶材料としては、第2位相差層内においてホメオトロピック配向を形成することにより、上述した範囲のRthを実現することができるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明に用いられる液晶材料は、重合性官能基を有するものであることが好ましい。このような液晶材料を用いることにより、重合性官能基を介して互いに重合させることができるため、本工程によって形成される第2位相差層の機械強度を向上することができるからである。また、第2位相差層中における液晶材料のホメオトロピック配向安定性も向上させることができるからである。
上記重合性官能基としては、紫外線、電子線等の電離放射線、或いは熱の作用によって重合する各種重合性官能基を用いることができる。これら重合性官能基の代表例としては、ラジカル重合性官能基、或いはカチオン重合性官能基等が挙げることができる。
上記ラジカル重合性官能基の代表例としては、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が挙げられ、具体例としては、置換基を有するもしくは有さないビニル基、アクリレート基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基を包含する総称)等が挙げられる。
また、上記カチオン重合性官能基の具体例としては、エポキシ基等が挙げられる。
さらに上記以外の重合性官能基としては、例えば、イソシアネート基、不飽和3重結合等が挙げられる。
なかでも本工程においては、これらの重合性官能基のなかでもプロセス上の点から、エチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が好適に用いられる。
本工程に用いられる液晶材料は、上記重合性官能基を複数有するものであってもよく、または、1つのみを有するものであってもよい。
本工程に用いることができる液晶材料としては、垂直配向膜を使用することなく、ホメオトロピック配向を形成できるホメオトロピック配向性を有するもの(第1の液晶材料)と、単独ではホメオトロピック配向を形成することができないが、垂直配向膜を使用することによりホメオトロピック配向を形成できるもの(第2の液晶材料)と、を挙げることができる。本工程においては、上記第1の液晶材料はもちろんのこと、上記第2の液晶材料であっても好適に用いることができる。
なお、本工程において上記第2の液晶材料を用いる場合は、第2位相差層において上記液晶材料をホメオトロピック配向させるために、通常、上述した第1位相差層と第2位相差層との間に液晶材料をホメオトロピック配向させる配向規制力を有する配向層を用いたり、または、第3位相差層中に上記液晶材料をホメオトロピック配向させる機能を有する配向制御化合物を用いる方法が用いられる。上記配向制御化合物については、例えば、特開平10−319408号公報等に記載されている。
また、ガラス基板等の他の基板上に上記第2の液晶材料がホメオトロピック配向した第2位相差層を別途形成した後、これを剥離して上記第1位相差層上に積層する転写法も用いることができる。このような転写法において、上記他の基板上に第2位相差層を形成する方法については、例えば、特開2003−177242号公報等に開示されている。
上記第1の液晶材料としては、垂直配向膜を使用することなくホメオトロピック配向を形成することができ、第2位相差層に所望の位相差性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。このような上記第1の液晶材料としては、例えば、正の屈折率異方性を有する液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニットと、非液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニットとを含有する側鎖型液晶ポリマーや、上記液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニットと脂環族環状構造を有する液晶性フラグメント側鎖を含有するモノマーユニットとを含有する側鎖型液晶ポリマー等の液晶ポリマーを挙げることができる。このような液晶ポリマーとしては、例えば、特開2003−121853号公報、特開2002−174725号公報、および、特開2005−70098号公報に記載されているような化合物を挙げることができる。
一方、上記第2の液晶材料としては、垂直配向膜等を使用することによりホメオトロピック配向を形成することができ、第2位相差層に所望の位相差性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、ネマチック相を示すネマチック液晶材料が好適に用いられる。
本工程に用いられる上記第2の液晶材料の具体例としては、例えば、特表平10−508882号公報、特開2003−287623号公報に記載されているような化合物を挙げることができる。なかでも本工程においては、上記第2の液晶材料として、上記式(1)〜(17)で表される化合物を好適に用いることができる。
また、本発明に用いられる上記第2の液晶材料としては、例えば、特開平10−319408号公報に記載されているような化合物を挙げることができる。なかでも本工程においては、以下の化学式で表される化合物を好適に用いることができる。
Figure 2009075481
上記式において、xは1〜12であり、Zは1,4−フェニレン基または1,4−シクロヘキシレン基であり、Rはハロゲンまたはシアノであるか、あるいは炭素原子1〜12個を有するアルキル基またはアルコキシ基であり、そしてLは、H、ハロゲンまたはCNであるか、あるいは炭素原子1〜7個を有するアルキル基、アルコキシ基またはアシル基である。
なお、上記液晶材料として重合性官能基を有する化合物を用いた場合、本発明に用いられる位相差層に含有される液晶材料は、上記重合性官能基を介して重合された重合物となる。
本工程に用いられる液晶材料は1種類でもよく、または、2種類以上であってもよい。また、2種類以上の液晶材料を用いる場合、上記第1の液晶材料と、上記第2の液晶材料とを混合して用いてもよい。
本工程おいて形成される第2位相差層が、上述した液晶材料を含有するものである場合、上記第2位相差層には、上記液晶材料以外の他の化合物が含まれていてもよい。このような他の化合物としては、第2位相差層における上記液晶材料の配列状態や、第2位相差層の光学特性発現性を損なわないものであれば特に限定されるものではなく、本発明によって製造される位相差フィルムの用途等に応じて適宜選択して用いることができる。本工程に用いられる上記他の化合物としては、例えば、上記液晶材料のホメオトロピック配向形成を補助する配向制御化合物を挙げることができる。このような配向制御化合物を用いることにより、上記第2態様の液晶材料を用いることが可能になるという利点がある。また、上記第1態様の液晶材料を用いる場合であっても、このような配向制御化合物を用いることによりホメオトロピック配向の規則性を向上できるという利点がある。
上記配向制御化合物としては、第2位相差層に所望のホメオトロピック配向規制力を付与できるものであれば特に限定されるものではない。このような配向制御化合物としては、界面活性剤を好適に用いることができる。界面活性剤は第2位相差層において、空気界面に偏在し、分子の特定の方向を第2位相差層側に向けて配列することができるため、第2位相差層に上記ホメオトロピック配向規制力を容易に付与することができるからである。
上記界面活性剤としては、例えば、スルホネート界面活性剤を挙げることができ、特に、フッ素化スルホネート界面活性剤が好適に用いられる。上記フッ化スルホネート界面活性剤の具体例としては、例えば、商品名 FC−4430、FC−4432(いずれも3M Company製)を挙げることができる。
また、上記他の化合物としては、例えば、重合開始剤、重合禁止剤、可塑剤、界面活性剤、および、シランカップリング剤等を挙げることができる。
(3)光学積層体
上述したように、本工程において形成される光学積層体は上記第1位相差層と上記第2位相差層とが積層された構成を有するものである。このような光学積層体の具体的な構成としては、後述する延伸工程において面内方向に延伸されることにより、Nz<1.0である位相差フィルムを製造できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本工程に用いられる光学積層体は、上記第1位相差層が、上述した透明基板と、上記透明基板上に形成され、光学異方性材料を含有する光学異方性層とを有するものであり、かつ、上記第2位相差層が、上述したホメオトロピック配向を形成した液晶材料を含有するものであることが好ましい。上記第1位相差層および上記第2位相差層をこのような構成とすることにより、本発明によって製造される位相差フィルムを、IPS方式の液晶表示装置の視野角補償フィルムとして好適に用いられるものにできるからである。
このような構成を有する光学積層体について図を参照しながら説明する。図2は本工程によって作製される光学積層体の一例を示す概略図である。図2に例示するように、本工程によって形成される光学積層体10は、透明基板1aと、上記透明基板1a上に形成され、光学異方性材料を含有する光学異方性層1bとを有する第1位相差層1と、上記第1位相差層1上に形成され、ホメオトロピック配向した液晶材料を含有する第2位相差層2とを有するものであることが好ましい。
ここで、本工程によって作製される光学積層体10がこのような構成を有するものである場合、上記第1位相差層1上に上記第2位相差層2が形成されている態様としては、図2(a)に例示するように、透明基板1a上に第2位相差層2が形成されている態様であってもよく、あるいは、図2(b)に例示するように上記光学異方性層1b上に第2位相差層2が形成されている態様であってもよい。
2.光学積層体の作製方法
次に、本工程に置いて光学積層体を作製する方法について説明する。本工程において光学積層体を作製する方法としては、上述した第1位相差層および第2位相差層を備える光学積層体を作製することができる方法であれば特に限定されるものではなく、上記第1位相差層および第2位相差層の構成に応じて適宜決定することができる。このような方法としては、例えば、次のような方法を挙げることができる。
第1の方法は、透明基板を用い、光学異方性材料を含有する光学異方性層形成用塗工液を上記透明基板上に塗工することにより第1位相差層作製する第1位相差層形成工程と、上記第1位相差層形成工程によって作製された第1位相差層上に、上記液晶材料を含有する第2位相差層形成用塗工液を塗工することにより、上記第1位相差層上に第2位相差層を形成する位相差層形成工程とを有する方法である。
第2の方法は、透明基板を用い、上記光学異方性材料を含有する光学異方性層形成用塗工液を上記透明基板上に塗工することにより第1位相差層を作製する第1位相差層形成工程と、垂直配向膜を備える基板上に、液晶材料を含有する第2位相差層を形成した後、上記第2位相差層のみを上記第1位相差層上に粘着剤を介して接着させる第2位相差層形成工程とを有する方法である。
第2 延伸工程
次に、本発明における延伸工程について説明する。本工程は上記光学積層体作製工程において作製された光学積層体を面内方向に延伸することにより、Nz係数がNz<1.0である位相差フィルムと得る工程である。
本工程において上記光学積層体を面内方向に延伸する倍率としては、Nz係数をNz<1.0にすることができる程度であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、Nz係数が、0<Nz<0.6となる程度に上記光学積層体を延伸することが好ましい。さらに、本工程において上記光学積層体を延伸する延伸倍率は、延伸後の光学積層体の面内レターデーション(Re)を、50nm〜160nmの範囲内、より好ましくは、70nm〜140nmの範囲内にすることができる範囲内であることが好ましい。これにより、本発明により製造される位相差フィルムをIPS方式の液晶表示装置に用いられる視野角補償フィルムとして好適なものにできるからである。
具体的な延伸倍率は、上記光学積層体を構成する第1位相差層および第2位相差層の構成等に応じて適宜決定することができる。
本工程において上記光学積層体を延伸する態様としては、上記光学積層体の延伸方向が面内方向であれば特に限定されるものではない。したがって、延伸の態様は一軸延伸であってもよく、あるいは、2軸延伸であってもよい。
また本工程において上記光学積層体を延伸する方法としては、延伸後のNz係数をNz<1.0にできる範囲内であれば特に限定されるものではない。本工程に用いられる方法としては、例えばロール延伸法、長間隙沿延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法等の任意の延伸方法により適宜行うことができる。
また、本工程において延伸される光学積層体は、延伸に際しては例えばガラス転移点温度以上、溶融温度(乃至は融点温度)以下などに加熱されることが好ましい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
次に、実施例を示すことにより本発明についてさらに具体的に説明する。
1.実施例1
下記式(I)で表されるネマチック液晶材料をシクロヘキサノンに15重量%溶解させ、TACフィルム(富士フイルム株式会社製、商品名:TF80UL)から成る透明基板の表面にバーコーティングにより塗工し、50℃で4分加熱して溶剤を除去した後、塗工面に紫外線を照射することにより、第1位相差層を形成した。ここで、上記第1位相差層の厚み方向のレターデーション(Rth)は、140nmであった。
Figure 2009075481
次に、下記式(A)、(B)で表される液晶材料を、式(A)で表される側鎖型ポリマー80質量%と、下記式(B)で表される重合性液晶20質量%との液晶混合物、光重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製、イルガキュア907、液晶混合物に対して5質量%)を、トルエン溶液に固形分20質量%になるように溶解させ、更にレベリング剤を添加した。第1位相差層の透明基材側に、バーコーターにて塗工した後、100℃で1分間乾燥し、そのまま室温まで冷却することにより、上記液晶混合物をホメオトロピック配向させた。さらに100mJ/cmのUVにて硬化させ、第2位相差層を形成し、光学積層体を得た。ここで、上記第2位相差層の厚み方向レターデーション(Rth)は、―130nmであった。
Figure 2009075481
次に、上記光学積層体を延伸実験装置により延伸倍率が1.2倍となるように160℃で加熱しながら面内方向にテンター延伸して位相差フィルムを作製した。この時、作製した位相差フィルムの面内レターデーション(Re)は120nmであり、Nz係数は、Nz=0.4であった。
2.実施例2
下記式(II)、(III)で表される液晶材料を用い、式(II)および(III)で表される重合性液晶材料を2:1でシクロヘキサノンに15質量%溶解させ、TACフィルム(富士フイルム株式会社製、商品名:TF80UL)から成る透明基板の表面にバーコーティングにより塗工し、50℃で4分加熱して溶剤を除去した後、塗工面に紫外線を照射することにより、第1位相差層を形成した。ここで、上記第1位相差層の厚み方向のレターデーション(Rth)は、80nmであった。
Figure 2009075481
下記式(C)、(D)、および、(E)に示される液晶材料を含有する光学異方性材料、光重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社製、イルガキュア907、光学異方性材料に対して5質量%)を、トルエン溶液に固形分20質量%になるように溶解させ、更にレベリング剤を添加した。次いで、垂直配向膜が形成されたガラス基板上に塗布し、60℃で2分間乾燥し、ホメオトロピック配向させ、100mJ/cmのUVにて硬化させた。この時、第2位相差層のRth=―250nmとなるように膜厚を調整した。
次いで、上記第2位相差層をガラス基板から剥離し、粘着剤を介して実施例2に記載の第1位相差層の透明基材側に貼り合せることにより光学積層体を作製した。
Figure 2009075481
次に、上記光学積層体を延伸実験装置により延伸倍率が1.15倍となるように150℃で加熱しながら面内方向にテンター延伸して位相差フィルムを作製した。この時、作製した位相差フィルムの面内レターデーション(Re)は70nmであり、Nz係数は、Nz=0.3であった。
3.実施例3
実施例2と同様の方法により光学積層体を作製した。このとき、作製された光学積層体の第1位相差層および第2位相差層の光学特性は、それぞれRth=160nm、Rth=−180nmであった。
次に、延伸倍率を1.3倍としたこと以外は、作製した光学積層体を実施例2と同様の方法により延伸し、位相差フィルムを作製した。この時、作製した位相差フィルムの面内レターデーション(Re)は110nmであり、Nz係数は、Nz=0.35であった。
4.比較例1
実施例1と同様の方法により光学積層体を作製した。このとき、作製された光学積層体の第1位相差層および第2位相差層の光学特性は、それぞれRth=80nm、Rth=−40nmであった。
次に、延伸倍率を1.15倍としたこと以外は、作製した光学積層体を実施例1と同様の方法により延伸し、位相差フィルムを作製した。この時、作製した位相差フィルムの面内レターデーション(Re)は70nmであり、Nz係数は、Nz=2.8であった。
5.比較例2
実施例2と同様の方法により光学積層体を作製した。このとき、作製された光学積層体の第1位相差層および第2位相差層の光学特性は、それぞれRth=200nm、Rth=−40nmであった。
次に、延伸倍率を1.15倍としたこと以外は、作製した光学積層体を実施例2と同様の方法により延伸し、位相差フィルムを作製した。この時、作製した位相差フィルムの面内レターデーション(Re)は160nmであり、Nz係数は、Nz=1.2であった。
本発明の位相差フィルムの製造方法の一例を示す概略図である。 本発明における光学積層体作製工程によって作製される光学積層体の一例を示す概略図である。 一般的な液晶表示装置の一部を模式的に例示する概略図である。 位相差フィルムが用いられた液晶表示装置の一部を模式的に例示する概略図である。 位相差フィルムの使用態様の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 … 第1位相差層
1a … 透明基板
1b … 光学異方性層
2 … 第2位相差層
10 … 光学積層体
101 … 液晶セル
102A,102B,102A’,102B’ … 偏光板
103 … 位相差フィルム
111 … 偏光子
112a,112b … 偏光板保護フィルム

Claims (3)

  1. 厚み方向のレターデーション値(Rth)が60nm〜200nmの範囲内である第1位相差層と、前記第1位相差層上に形成され、厚み方向のレターデーション値(Rth)が−300nm〜−50nmの範囲内である第2位相差層とが積層された光学積層体を作製する、光学積層体作製工程と、
    前記光学積層体を面内方向に延伸する、延伸工程とを有し、
    Nz係数がNz<1.0である位相差フィルムを作製することを特徴とする、位相差フィルムの製造方法。
  2. 面内レターデーション(Re)が50nm<Re<160nmの範囲内であり、かつNz係数が0<NZ<0.6の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の位相差フィルムの製造方法。
  3. 前記第1位相差層が、透明基板と、前記透明基板上に形成され、光学異方性材料を含有する光学異方性層とを有するものであり、かつ、前記第2位相差層がホメオトロピック配向した液晶材料を含有するものであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の位相差フィルムの製造方法。
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