JP2009074144A - アルミニウム管の陽極酸化処理装置及び陽極酸化処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】管の表面に陽極酸化皮膜を形成できてササクレ状凸欠陥のないアルミニウム管の製造が可能となると共に、陽極酸化処理を高い処理効率で且つ低コストで行うことができるアルミニウム管の陽極酸化処理装置を提供する。
【解決手段】この発明の陽極酸化処理装置は、多孔連通構造の多孔質軟質体2と、アルミニウム管Pを支持する支持体3とを備え、支持体3に支持されたアルミニウム管Pの外周面の少なくとも一部が、多孔質軟質体2に接触するように又は近接するように配置されていることを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】この発明の陽極酸化処理装置は、多孔連通構造の多孔質軟質体2と、アルミニウム管Pを支持する支持体3とを備え、支持体3に支持されたアルミニウム管Pの外周面の少なくとも一部が、多孔質軟質体2に接触するように又は近接するように配置されていることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
この発明は、例えば複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置のOPC感光ドラム用の基体等として用いられる表面品質に優れたアルミニウム管を製造するための陽極酸化処理装置及び陽極酸化処理方法に関する。
なお、この明細書において、「アルミニウム」の語は、アルミニウム及びその合金を含む意味で用いる。
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置の感光ドラムの基体として用いられるアルミニウム管は、その表面に均一なOPC(有機光導電体)塗膜を形成させる必要があることから、鏡面に近い表面状態であることが要求される。
従来は、アルミニウム管を切削することによって鏡面仕上げが行われていたが、切削用刃具の調整や管理が容易でない上に作業に熟練を要することから、大量生産には適さないという問題があった。
そこで、近年では、アルミニウム圧延板をしごき加工したDI管、アルミニウム押出素管をしごき加工したEI管、アルミニウム押出素管を引き抜き加工したED管などの無切削管が、感光ドラム用基体として多く用いられるようになってきている。中でも、ED管は、他の無切削管とは異なり、10本以上の管を1加工で生産できるので大量生産に適しており、市場拡大に伴う大量消費に対応し得るものとして注目されている。
ED管は、一般に、アルミニウム製のビレットを押出してアルミニウム押出素管を得た後、該押出素管を所定長さに切断し、これを引き抜き加工することによって外径、内径、管壁の肉厚が所定値に規定されたアルミニウム管を得、次いで切断、端部の面取り加工、洗浄を順次行い、さらに寸法及び外観の検査を経て、製造されている。
上記ED管からなる感光ドラム用基体は、高度の表面平滑性と寸法精度を有していることが求められるが、無切削加工であるために、押出加工のダイスラインに起因したスジ状欠陥や、引き抜き加工の潤滑油押し込みに起因したオイルピット等の微細な表面欠陥を有している。
とりわけ、微小なアルミニウム片が表面に付着した押出素管が引き抜かれて発生する鱗片状の表面欠陥は、超音波洗浄や、OPC塗工時の熱の影響等によって立ち上がってササクレ状の凸欠陥を生じやすかった。このようなササクレ状凸欠陥が感光ドラム用基体の表面に存在すると、感光ドラムを構成して一様帯電した際に、該ササクレ状凸欠陥がリーク(漏電)の起点になりやすいという問題があった。
このようなササクレ状凸欠陥の発生を防止する技術として、押出ダイスのベアリング部の周方向における中心線平均粗さRa(Y)と押出方向における中心線平均粗さRa(X)との関係が、Ra(Y)<Ra(X)に設定された押出ダイスを用いて押出加工を行ってアルミニウム押出素管を製造することによって、ササクレ状凸欠陥の原因になっている押出素管表面での微小なアルミニウム片の付着(発生)を抑制する方法が公知である(特許文献1参照)。この方法により、ED管表面でのササクレ状凸欠陥の発生を抑制することができるものの、稀にササクレ状凸欠陥が発生することがあり、ササクレ状凸欠陥の発生を確実に防止できるには至っていなかった。
特開平8−267122号公報
本発明者は、微小なアルミニウム片が表面に付着した押出素管が引き抜き加工されて発生することのある鱗片状の表面欠陥がたとえ発生していても、この鱗片状表面欠陥が、その後の超音波洗浄や、OPC塗工時の熱の影響等によって立ち上がることのないように、アルミニウム管の表面に陽極酸化皮膜を形成せしめることを着想した。即ち、陽極酸化皮膜の形成によってアルミニウム引抜管(ED管)の表面を硬化せしめる(硬くする)ことによって鱗片状表面欠陥が立ち上がらないようにし、これによってササクレ状凸欠陥の発生を確実に防止することを着想した。
ところで、このような陽極酸化皮膜を形成するには、陽極酸化処理を行わなければならないが、この陽極酸化処理はできるだけ安価に行われることが強く要請されるところである。
アルミニウム材の陽極酸化処理は、一般に、電解槽内の電解液中にアルミニウム材及び対極板を浸漬し、アルミニウム材を陽極、対極板を陰極にして通電することによって、行われるが、アルミニウム材を取付治具に取り付けるのに非常に手間と時間がかかるものであり、これらが陽極酸化処理に要するコストを高くする要因になっていた。従って、このような従来の電解槽を用いる陽極酸化処理手法は、この感光ドラム基体用アルミニウム管の製造にそのまま適用するのは困難であった。
また、ED管からなる感光ドラム用基体は、連続して大量に生産されているので、陽極酸化処理装置は、生産ラインの流れの中に容易に組み込むことのできるコンパクトなものでなければならないし、生産ラインの流れに対応するべく高速で処理できるものでなければならないが、従来の電解槽を用いる陽極酸化処理装置では、このような要求に応えることは到底できなかった。
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、管の表面に陽極酸化皮膜を形成できてササクレ状凸欠陥のないアルミニウム管の製造が可能となると共に、陽極酸化処理を高い処理効率で且つ低コストで行うことができる、アルミニウム管の陽極酸化処理装置及び陽極酸化処理方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1]電解液が含浸された多孔質軟質体と、
アルミニウム管を支持する支持体と、
を備え、
前記支持体に支持されたアルミニウム管の外周面の少なくとも一部が、前記多孔質軟質体に接触するように又は近接するように配置され、
前記多孔質軟質体から流れ出して前記アルミニウム管の外周面に接触した電解液を介してアルミニウム管に通電が行われるものとなされていることを特徴とするアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
アルミニウム管を支持する支持体と、
を備え、
前記支持体に支持されたアルミニウム管の外周面の少なくとも一部が、前記多孔質軟質体に接触するように又は近接するように配置され、
前記多孔質軟質体から流れ出して前記アルミニウム管の外周面に接触した電解液を介してアルミニウム管に通電が行われるものとなされていることを特徴とするアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
[2]前記支持体に支持されたアルミニウム管の外周面における前記多孔質軟質体との接触位置が経時的に移動するように構成されている前項1に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
[3]前記支持体は、前記アルミニウム管を周方向に回転しないように支持固定するものとなされ、
前記多孔質軟質体は、外形形状が略円柱形状に形成され、
前記多孔質軟質体は、該多孔質軟質体の外周面の周方向の一部と、前記支持体に支持固定されたアルミニウム管の外周面の周方向の一部とが互いに接触した状態を維持しながら、前記支持体に支持固定されたアルミニウム管の周囲を周回移動するものとなされ、該周回移動によって、前記アルミニウム管の外周面における前記多孔質軟質体との接触位置が経時的に該管の周方向に移動するものとなされている前項2に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
前記多孔質軟質体は、外形形状が略円柱形状に形成され、
前記多孔質軟質体は、該多孔質軟質体の外周面の周方向の一部と、前記支持体に支持固定されたアルミニウム管の外周面の周方向の一部とが互いに接触した状態を維持しながら、前記支持体に支持固定されたアルミニウム管の周囲を周回移動するものとなされ、該周回移動によって、前記アルミニウム管の外周面における前記多孔質軟質体との接触位置が経時的に該管の周方向に移動するものとなされている前項2に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
[4]前記多孔質軟質体は、前記周回移動の際に該軟質体の中心軸線を自転軸として自転するものとなされ、該自転によって、前記多孔質軟質体の外周面における前記アルミニウム管との接触位置が経時的に該軟質体の周方向に移動するものとなされている前項3に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
[5]前記多孔質軟質体は回転しないように固定され、前記支持体に支持されたアルミニウム管は該管の中心軸線を自転軸として自転するものとなされ、該自転によって、前記アルミニウム管の外周面における前記多孔質軟質体との接触位置が経時的に該管の周方向に移動するものとなされている前項2に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
[6]前記多孔質軟質体は、外形形状が略円柱形状に形成されると共に該軟質体の中心軸線を自転軸として自転するものとなされ、
前記支持体に支持されたアルミニウム管は、該管の中心軸線を自転軸として自転するものとなされ、
前記多孔質軟質体及び前記アルミニウム管の自転によって、アルミニウム管の外周面における前記多孔質軟質体との接触位置が経時的に該管の周方向に移動するものとなされている前項2に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
前記支持体に支持されたアルミニウム管は、該管の中心軸線を自転軸として自転するものとなされ、
前記多孔質軟質体及び前記アルミニウム管の自転によって、アルミニウム管の外周面における前記多孔質軟質体との接触位置が経時的に該管の周方向に移動するものとなされている前項2に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
[7]前記多孔質軟質体は略円筒形状に形成され、該多孔質軟質体の中空内部空間に、前記支持体に支持されたアルミニウム管が内挿状態に配置されている前項1に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
[8]前記多孔質軟質体及び前記アルミニウム管のうちの少なくともいずれか一方がその中心軸線を自転軸として自転するものとなされている前項7に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
[9]前記多孔質軟質体の外周面の周方向の一部に当接する状態に配置されたスクレーパーをさらに備えることを特徴とする前項3、4または6に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
[10]前記支持体は、前記アルミニウム管をその中心軸線方向が略上下方向になる態様で支持するものであり、
前記多孔質軟質体は、その中心軸線方向が略上下方向になるように配置されている前項3〜9のいずれか1項に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
前記多孔質軟質体は、その中心軸線方向が略上下方向になるように配置されている前項3〜9のいずれか1項に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
[11]前記多孔質軟質体に電解液が連続して供給されるものとなされている前項1〜10のいずれか1項に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
[12]前記多孔質軟質体は略円筒形状に形成され、該多孔質軟質体の中空内部空間に、管壁に複数の吐出孔が設けられた通液管が内挿状態に配置され、該通液管に電解液が連続して供給されるものとなされている前項11に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
[13]前記通液管は少なくとも表面が電気伝導性材料で形成され、該通液管が陰極側の電気接点部を構成し、前記支持体は少なくとも表面が電気伝導性材料で形成され、該支持体が陽極側の電気接点部を構成する前項12に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
[14]前記通液管は、少なくとも表面の一部が、Au、Pt、Zr、Ti、Al及びCからなる群より選ばれる1種または2種以上の電気伝導性材料で形成され、該通液管が陰極側の電気接点部を構成し、
前記支持体は、少なくとも表面の一部が、Au、Pt、Zr、Ti、Al及びCからなる群より選ばれる1種または2種以上の電気伝導性材料で形成され、該支持体が陽極側の電気接点部を構成する前項12に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
前記支持体は、少なくとも表面の一部が、Au、Pt、Zr、Ti、Al及びCからなる群より選ばれる1種または2種以上の電気伝導性材料で形成され、該支持体が陽極側の電気接点部を構成する前項12に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
[15]前記多孔質軟質体として、連続気泡構造の発泡樹脂成形体が用いられている前項1〜14のいずれか1項に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
[16]前記多孔質軟質体の表面から流れ出て電解に供された後の電解液を回収する回収タンクをさらに備え、該回収タンクに回収された電解液に、濾過、温度調整及び濃度調整のうちの少なくとも1つの操作を行った後、該電解液を前記多孔質軟質体に供給するものとなされている前項1〜15のいずれか1項に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
[17]アルミニウム管の外周面の少なくとも一部に、電解液が含浸された多孔連通構造の多孔質軟質体を近接状態に配置することによって、該軟質体の表面から流れ出た電解液を前記アルミニウム管の外周面の少なくとも一部に接触させ、この接触状態で通電して電解を行うことによって、前記アルミニウム管の外周面に陽極酸化皮膜を形成することを特徴とするアルミニウム管の陽極酸化処理方法。
[18]アルミニウム管の外周面の少なくとも一部に、電解液が含浸された多孔連通構造の多孔質軟質体を接触させた状態で通電して電解を行うことによって、前記アルミニウム管の外周面に陽極酸化皮膜を形成することを特徴とするアルミニウム管の陽極酸化処理方法。
[19]前記アルミニウム管の外周面における前記多孔質軟質体の接触位置を経時的に移動させながら前記電解を行う前項18に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理方法。
[20]前記アルミニウム管の外周面と前記多孔質軟質体との接触位置の近傍に電解液の液溜まりを形成せしめ、この液溜まり形成状態で前記電解を行う前項18または19に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理方法。
[21]前記電解液として、硫酸、リン酸、シュウ酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、リン酸/硝酸混合物及びリン酸/硫酸混合物からなる群より選ばれる1種の化合物を含有してなる電解液を用いる前項17〜20のいずれか1項に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理方法。
[22]前記アルミニウム管として、Al−Mn系合金、Al−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金及び純Alからなる群より選ばれる1種の材料からなる管を用いる前項17〜21のいずれか1項に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理方法。
[23]前項17〜22のいずれか1項に記載の陽極酸化処理方法で陽極酸化処理して得られた、外周面にササクレ状凸欠陥が実質的に存在しないアルミニウム管からなることを特徴とする感光ドラム基体。
[1]の発明では、支持体に支持されたアルミニウム管の外周面の少なくとも一部が、電解液が含浸された多孔質軟質体に接触するように又は近接するように配置されていることで、多孔質軟質体から滲み出した電解液がアルミニウム管の外周面の少なくとも一部に接触してここで微小な電解セルが形成されるので、該接触電解液を介して通電することでアルミニウム管の外周面を陽極酸化処理することができる。しかして、このような陽極酸化処理によりアルミニウム管の外周面に陽極酸化皮膜を形成することによってこのアルミニウム管の外周面が硬化するので、鱗片状表面欠陥は立ち上がらなくなる(即ちササクレ状凸欠陥が発生しない)。即ち、この陽極酸化処理の後に、例えば洗浄のための超音波照射やOPC塗工時の加熱等を行っても、ササクレ状凸欠陥が発生するのを十分に防止できる。従って、本発明の陽極酸化処理装置による陽極酸化処理が施されて製造されたアルミニウム管は、ササクレ状凸欠陥がなくて表面品質に優れており、従って例えばこのアルミニウム管を基体にして構成された感光ドラムに一様帯電した際にリークは生じ難いものとなる。
また、本発明の陽極酸化処理装置では、陽極酸化処理を行うに際し、従来のような大きな電解槽は不要であるので、装置全体の設置スペースを格段に小さくできる利点がある。また、大きな電解槽を用いる場合に必要であった枠付け作業も不要となるので、高い処理効率で陽極酸化処理することができる。このように、本発明の陽極酸化処理装置は、コンパクトに設計できると共に、陽極酸化処理を高い処理効率で行うことができるので、連続生産ラインの流れの中に容易に組み込むことが可能である(インラインで陽極酸化処理を行うことが可能である)。
[2]の発明では、支持体に支持されたアルミニウム管の外周面における多孔質軟質体との接触位置が経時的に移動するように構成されているから、多孔質軟質体に含浸された電解液が接触位置及びその近傍で滲み出して液溜まりが形成されるものとなり、該電解液の液溜まりが形成された状態で電解が行われるので、即ちこの電解液の液溜まりを介して電解が行われるので、電解効率をより向上させることができる。また、アルミニウム管の外周面における多孔質軟質体との接触位置が経時的に移動するので、アルミニウム管の外周面に存在する取れ易い付着物を擦り落とすことができ、これによりアルミニウム管の外周面が清浄化され、より均質な陽極酸化皮膜をアルミニウム管の外周面に形成することができる。
[3]の発明では、外形形状が略円柱形状の多孔質軟質体の外周面の周方向の一部と、アルミニウム管の外周面の周方向の一部とが互いに接触した状態を維持しながら、アルミニウム管の周囲を多孔質軟質体が周回移動するので、アルミニウム管の外周面の周方向に順次陽極酸化皮膜を形成することができる。
[4]の発明では、多孔質軟質体におけるアルミニウム管との接触位置が経時的に周方向に移動するので、多孔質軟質体の外周面の偏摩耗を十分に防止することができる。
[5]の発明では、アルミニウム管の外周面における多孔質軟質体との接触位置が経時的に周方向に移動するので、アルミニウム管の外周面の周方向に順次陽極酸化皮膜を形成することができる。また、回転不能に固定された状態の多孔質軟質体にアルミニウム管を自転により接触させる構成であるから、多孔質軟質体の外形形状の制約が少なくて済むという利点もある。例えば多孔質軟質体の横断面形状としては、円形の他、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形等の多角形形状等を採用することも可能である。
[6]の発明では、多孔質軟質体及びアルミニウム管の双方の回転方向や回転速度を自在に選択して両者の外周面の周速度差を適宜設定することによって、例えば電解液の液溜まりの位置やその液量を変えることが可能であるし、陽極酸化皮膜の成膜速度も自在に設定することが可能である。
[7]の発明では、略円筒形状の多孔質軟質体の中空内部空間にアルミニウム管が内挿状態に配置されているから、アルミニウム管の外周面と多孔質軟質体との接触面積及び該接触領域での電解液量が格段に大きくなるので、陽極酸化皮膜の成膜速度を向上させることができ、陽極酸化処理の処理効率を向上させることができる。
[8]の発明では、多孔質軟質体及び前記アルミニウム管のうちの少なくともいずれか一方がその中心軸線を自転軸として自転するものとなされているから、これらの回転速度を自在に選択することによって、陽極酸化皮膜の成膜速度も自在に設定することが可能である。
[9]の発明では、多孔質軟質体の外周面の周方向の一部に当接する状態に配置されたスクレーパーをさらに備えているから、多孔質軟質体の外周面に付いた塵や汚れが、アルミニウム管の外周面に転移することを十分に防止することができ、より高品質の陽極酸化皮膜を形成することができる。
[10]の発明では、アルミニウム管及び多孔質軟質体ともにその中心軸線方向が略上下方向になるように配置されているので、電解に供された後の電解液(劣化液)を順次下方に移動させることができる利点がある。
[11]の発明では、多孔質軟質体に電解液が連続して供給されるので、前記微小電解セルにおける電解液量を増大させることができ、電解効率をさらに向上させることができる。
[12]の発明では、略円筒形状に形成された多孔質軟質体の中空内部空間に、管壁に複数の吐出孔が設けられた通液管が内挿状態に配置されているから、多孔質軟質体の略全体にわたって安定して電解液を連続供給することができる。
[13]の発明では、通液管の表面の電気伝導性材料が陰極側の電気接点部を構成し、支持体の表面の電気伝導性材料が陽極側の電気接点部を構成するから、電気接点部形成用の新たな構成部材(部品)をわざわざ設ける必要がない。
[14]の発明では、通液管の表面の電気伝導性材料が陰極側の電気接点部を構成し、支持体の表面の電気伝導性材料が陽極側の電気接点部を構成するから、電気接点部形成用の新たな構成部材(部品)をわざわざ設ける必要がない。また、前記電気伝導性材料として、Au、Pt、Zr、Ti、Al及びCからなる群より選ばれる1種または2種以上の電気伝導性材料が用いられているから、電気接点部で溶損することがなく、電気接点部としての機能を長期にわたって維持できる。
[15]の発明では、多孔質軟質体として、連続気泡構造の発泡樹脂成形体が用いられているから、電解液による劣化が少なく、電解液保持媒体としての機能を長期にわたって維持できる。
[16]の発明では、電解に供された後の電解液を多孔質軟質体に再供給する構成であるにもかかわらず、濾過操作を行って再供給する場合には電解液の汚れを効果的に除去できるし、温度調整操作を行って再供給する場合には陽極酸化皮膜の膜質の変動を抑制できるし、濃度調整操作を行って再供給する場合には陽極酸化皮膜の成膜のばらつきを抑制できる。
[17]の発明では、アルミニウム管の外周面の少なくとも一部に、電解液が含浸された多孔連通構造の多孔質軟質体を近接状態に配置することによって、該軟質体の表面から流れ出た電解液を前記アルミニウム管の外周面の少なくとも一部に接触させ、この接触状態で通電して電解を行うので、アルミニウム管を陽極酸化処理することができる。しかして、アルミニウム管の外周面を陽極酸化処理することによって該外周面が硬化するので、鱗片状表面欠陥は立ち上がらなくなる(即ちササクレ状凸欠陥が発生しない)。即ち、この陽極酸化処理の後に、例えば洗浄のための超音波照射やOPC塗工時の加熱等を行っても、ササクレ状凸欠陥が発生するのを十分に防止できる。従って、本発明の陽極酸化処理方法による陽極酸化処理が施されて得られたアルミニウム管は、ササクレ状凸欠陥がなくて表面品質に優れており、従って例えばこのアルミニウム管を基体にして構成された感光ドラムに一様帯電した際にリークは生じ難いものとなる。
また、本発明の陽極酸化処理方法では、陽極酸化処理を行うに際し、従来のような大きな電解槽は不要であるので、装置スペースを格段に小さくできる利点がある。また、大きな電解槽を用いる場合に必要であった枠付け作業も不要となるので、高い処理効率で陽極酸化処理することができる。このように、本発明の陽極酸化処理方法は、装置をコンパクトに設計できるし、陽極酸化処理を高い処理効率で行うことができるので、連続生産ラインの流れの中に容易に組み込むことが可能である(インラインで陽極酸化処理を行うことが可能である)。
[18]の発明では、アルミニウム管の外周面の少なくとも一部に、電解液が含浸された多孔連通構造の多孔質軟質体を接触させた状態で通電して電解を行うので、前記接触位置及びその近傍において、多孔質軟質体に含浸された電解液が滲み出してこの小領域において電解セルが形成されるので、該小領域の電解液を媒体としてアルミニウム管を効率良く陽極酸化処理することができる。しかして、アルミニウム管の外周面を陽極酸化処理することによって該外周面が硬化するので、鱗片状表面欠陥は立ち上がらなくなる(即ちササクレ状凸欠陥が発生しない)。即ち、この陽極酸化処理の後に、例えば洗浄のための超音波照射やOPC塗工時の加熱等を行っても、ササクレ状凸欠陥が発生するのを十分に防止できる。従って、本発明の陽極酸化処理方法による陽極酸化処理が施されて得られたアルミニウム管は、ササクレ状凸欠陥がなくて表面品質に優れており、従って例えばこのアルミニウム管を基体にして構成された感光ドラムに一様帯電した際にリークは生じ難いものとなる。
また、本発明の陽極酸化処理方法では、陽極酸化処理を行うに際し、従来のような大きな電解槽は不要であるので、装置スペースを格段に小さくできる利点がある。また、大きな電解槽を用いる場合に必要であった枠付け作業も不要となるので、高い処理効率で陽極酸化処理することができる。このように、本発明の陽極酸化処理方法は、装置をコンパクトに設計できるし、陽極酸化処理を高い処理効率で行うことができるので、連続生産ラインの流れの中に容易に組み込むことが可能である(インラインで陽極酸化処理を行うことが可能である)。
[19]の発明では、アルミニウム管の外周面における多孔質軟質体の接触位置を経時的に移動させながら電解を行うので、アルミニウム管の外周面に存在する取れ易い付着物を擦り落とすことができ、これによりアルミニウム管の外周面が清浄化され、より均質な陽極酸化皮膜をアルミニウム管の外周面に形成することができる。
[20]の発明では、上記接触位置の近傍に電解液の液溜まりを形成せしめ、この状態で電解を行うから、即ちこの電解液の液溜まりを介して電解を行うので、電解効率をより向上させることができる。
[21]の発明では、電解効率をさらに向上させることができる。
[22]の発明では、アルミニウム管として、Al−Mn系合金、Al−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金及び純Alからなる群より選ばれる1種の材料からなる管を用いるので、陽極酸化皮膜の成膜速度を向上させることができると共に陽極酸化皮膜の膜質もより均一化できる。
[23]の発明に係る感光ドラム基体は、外周面にササクレ状凸欠陥が実質的に存在しないから、この感光ドラム基体の外周面に感光層(OPC等)が被覆形成されてなる感光ドラムは、一様帯電した際にリークは生じ難いものとなる。
この発明に係る、アルミニウム管の陽極酸化処理装置(1)の一実施形態を図1に示す。図1において、(2)は多孔質軟質体、(3)は支持体、(6)は回収タンクである。この発明の陽極酸化処理装置(1)は、感光ドラム基体用アルミニウム管の陽極酸化処理に好適に用いられる。
前記支持体(3)は、感光ドラム基体用アルミニウム管(P)を支持するための支持体であり、本実施形態では、略円柱体形状に形成されている。前記支持体(3)は、その中心軸線方向が略上下方向になる態様で安定状態に固定されている(図1、2参照)。前記アルミニウム管(P)は、前記支持体(3)の外側に外嵌されることによって、該管(P)の周方向に回転しないように安定状態に支持体(3)に支持固定されている。即ち、前記支持体(3)は、前記アルミニウム管(P)をその中心軸線方向が略上下方向になる態様で且つ管(P)が周方向に回転しないように安定状態に支持固定している。なお、前記支持体(3)は、該支持体(3)の外周面を前記アルミニウム管(P)の内面により強く当接せしめてアルミニウム管(P)をより安定状態に支持固定するために、筒状形状に形成してその周方向に複数個に分割すると共に、これら各分割片(支持体)を径方向における内方側から外方側に向けて付勢するバネ手段を具備せしめた構成としても良い。
前記支持体(3)にセットされるアルミニウム管(陽極酸化処理対象のアルミニウム管)(P)としては、アルミニウム押出素管に引き抜き加工を行うことによって得られた引抜管(アルミニウムED管)等が挙げられる。より具体的には、感光ドラム基体用アルミニウムED管を例示できる。
前記多孔質軟質体(2)としては、例えば多孔連通構造を備えた保水性の多孔質軟質体等が挙げられる。本実施形態では、前記多孔質軟質体(2)は略円筒形状に形成され、該多孔質軟質体(2)の中空内部空間(2a)に通液管(4)が内挿状態に配置され(図1〜3参照)、該通液管(4)によって前記多孔質軟質体(2)は周方向に回転しないように安定状態に支持固定されている。しかして、前記支持体(3)に支持固定されたアルミニウム管(P)の外周面の周方向の少なくとも一部が、前記多孔質軟質体(2)に接触するように配置されている。
前記通液管(4)は、図3に示すように、一端(図3で上端)に導入口(4b)を有し、他端(図3で下端)が閉塞されていると共に、管壁には多数の吐出孔(4a)が形成されている。しかして、ポンプ(11)を駆動させることによって、前記導入口(4b)を介して前記通液管(4)内に電解液を連続して供給すると、電解液は前記通液管(4)の吐出孔(4a)から吐出されて多孔質軟質体(2)の内部の多孔連通構造に侵入して通過した(含浸された)後、多孔質軟質体(2)の外周面から外方に流れ出る。
前記多孔質軟質体(2)の外周面から外方に流れ出た電解液は、アルミニウム管(P)の外周面における前記接触位置及びその近傍領域で接触してここで微小な電解セルが形成されるので、該接触電解液を媒体としてアルミニウム管(P)を陽極酸化処理することができる。
前記通液管(4)は、少なくとも表面の一部が電気伝導性材料で形成されており、該通液管(4)が陰極側の電気接点部を構成する一方、前記支持体(3)は、少なくとも表面の一部が電気伝導性材料で形成されており、該支持体(3)が陽極側の電気接点部を構成している(図1参照)。これら両極の電気接点部の間で通電することにより電解を行い、前記支持体(3)に支持されたアルミニウム管(P)の外周面に陽極酸化皮膜を形成せしめる。
前記多孔質軟質体(2)及び前記支持体(3)の下方位置に、多孔質軟質体(2)から流れ出て電解に供されたのちに下方に落下する電解液を受け取るための樋構造の受液部(7)が配置されている。また、前記受液部(7)の下方位置に回収タンク(6)が配置されており、前記受液部(7)で受容した電解液は、前記回収タンク(6)内に送液されるものとなされている(図1参照)。
図1において、(8)は、回収電解液処理手段である。この回収電解液処理手段(8)は、前記回収タンク(6)に回収された電解液に、濾過、温度調整及び濃度調整を行う装置である。即ち、前記回収タンク(6)内に回収された電解液は、前記回収電解液処理手段(8)に送液され、該回収電解液処理手段(8)において濾過、温度調整及び濃度調整が行われた後、前記回収タンク(6)内に戻される(図1参照)。前記回収タンク(6)内の電解液は、ポンプ(11)によって前記通液管(4)を介して前記多孔質軟質体(2)に再供給されるのであるが、前記濾過操作が施されていることによって電解液の汚れを効果的に除去することができ、前記温度調整操作が施されていることによって陽極酸化皮膜の膜質の変動を抑制することができ、前記濃度調整操作が施されていることによって陽極酸化皮膜の成膜のばらつきを抑制することができる。
しかして、上記陽極酸化処理装置(1)におけるアルミニウム管(P)と多孔質軟質体(2)の相対移動態様については複数の実施形態が挙げられるので、以下図面を参照しつつ順次説明する。
[第1実施形態]
この第1実施形態では、図4に示すように、前記多孔質軟質体(2)は、該多孔質軟質体(2)の外周面の周方向の一部と、前記支持体(3)に支持固定されたアルミニウム管(P)の外周面の周方向の一部とが互いに接触した状態を維持しながら、前記支持体(3)に支持固定されたアルミニウム管(P)の周囲を周回移動するものとなされている。なお、前記多孔質軟質体(2)の周回移動は、該軟質体(2)に内挿されてこれ(2)を支持固定している通液管(4)を周回駆動制御することによって行われる。
この第1実施形態では、図4に示すように、前記多孔質軟質体(2)は、該多孔質軟質体(2)の外周面の周方向の一部と、前記支持体(3)に支持固定されたアルミニウム管(P)の外周面の周方向の一部とが互いに接触した状態を維持しながら、前記支持体(3)に支持固定されたアルミニウム管(P)の周囲を周回移動するものとなされている。なお、前記多孔質軟質体(2)の周回移動は、該軟質体(2)に内挿されてこれ(2)を支持固定している通液管(4)を周回駆動制御することによって行われる。
このように多孔質軟質体(2)が周回移動することにより、アルミニウム管(P)の外周面の周方向に順次陽極酸化皮膜を形成することができる。この時、アルミニウム管(P)の外周面における多孔質軟質体(2)との接触位置が経時的に(即ち軟質体が周回移動することにより)該管(P)の周方向に移動するので、多孔質軟質体(2)に含浸された電解液が前記接触位置及びその近傍で滲み出して液溜まり(Q)が形成されるものとなり(図4参照)、該電解液の液溜まり(Q)が形成された状態で電解が行われるので、即ちこの電解液の液溜まり(Q)を介して電解が行われるので、電解効率をより向上させることができる。
なお、上記第1実施形態では、前記多孔質軟質体(2)が周回移動する過程において、多孔質軟質体(2)の外周面におけるアルミニウム管(P)との接触位置は、常に同一箇所になっている(周方向に移動はしない)。
[第2実施形態]
この第2実施形態では、前記多孔質軟質体(2)は、該多孔質軟質体(2)の外周面の周方向の一部と、前記支持体(3)に支持固定されたアルミニウム管(P)の外周面の周方向の一部とが互いに接触した状態を維持しながら、前記支持体(3)に支持固定されたアルミニウム管(P)の周囲を周回移動するものとなされている。この構成は、前記第1実施形態と同様である。このように多孔質軟質体(2)が周回移動することにより、アルミニウム管(P)の外周面の周方向に順次陽極酸化皮膜を形成することができる。この時、アルミニウム管(P)の外周面における多孔質軟質体(2)との接触位置が経時的に(即ち軟質体が周回移動することにより)該管(P)の周方向に移動するので、多孔質軟質体(2)に含浸された電解液が前記接触位置及びその近傍で滲み出して液溜まり(Q)が形成されるものとなり(図5参照)、該電解液の液溜まり(Q)が形成された状態で電解が行われるので、即ちこの電解液の液溜まり(Q)を介して電解が行われるので、電解効率をより向上させることができる。
この第2実施形態では、前記多孔質軟質体(2)は、該多孔質軟質体(2)の外周面の周方向の一部と、前記支持体(3)に支持固定されたアルミニウム管(P)の外周面の周方向の一部とが互いに接触した状態を維持しながら、前記支持体(3)に支持固定されたアルミニウム管(P)の周囲を周回移動するものとなされている。この構成は、前記第1実施形態と同様である。このように多孔質軟質体(2)が周回移動することにより、アルミニウム管(P)の外周面の周方向に順次陽極酸化皮膜を形成することができる。この時、アルミニウム管(P)の外周面における多孔質軟質体(2)との接触位置が経時的に(即ち軟質体が周回移動することにより)該管(P)の周方向に移動するので、多孔質軟質体(2)に含浸された電解液が前記接触位置及びその近傍で滲み出して液溜まり(Q)が形成されるものとなり(図5参照)、該電解液の液溜まり(Q)が形成された状態で電解が行われるので、即ちこの電解液の液溜まり(Q)を介して電解が行われるので、電解効率をより向上させることができる。
加えて、この第2実施形態では、図5に示すように、前記多孔質軟質体(2)は、前記周回移動の際に該軟質体(2)の中心軸線を自転軸として自転駆動するように制御されており、このような自転によって、多孔質軟質体(2)の外周面における前記アルミニウム管(P)との接触位置が経時的に該軟質体(2)の周方向に移動するものとなされている。これにより、多孔質軟質体(2)の外周面の偏摩耗(外周面の周方向の一部だけが摩耗する現象)を十分に防止することができる利点がある。
[第3実施形態]
この第3実施形態では、図6(a)に示すように、前記多孔質軟質体(2)は回転しないように前記通液管(4)に支持固定され、前記支持体(3)に支持固定されたアルミニウム管(P)は該管(P)の中心軸線を自転軸として自転駆動するように制御されており、このような自転によって、アルミニウム管(P)の外周面における前記多孔質軟質体(2)との接触位置が経時的に該管(P)の周方向に移動するものとなされている。このようにアルミニウム管(P)が多孔質軟質体(2)に接触しつつ自転することにより、アルミニウム管(P)の外周面の周方向に順次陽極酸化皮膜を形成することができる。この時、多孔質軟質体(2)に含浸された電解液が前記アルミニウム管(P)との接触位置及びその近傍で滲み出して液溜まり(Q)が形成されるものとなり(図6(a)参照)、該電解液の液溜まり(Q)が形成された状態で電解が行われるので、即ちこの電解液の液溜まり(Q)を介して電解が行われるので、電解効率をより向上させることができる。
この第3実施形態では、図6(a)に示すように、前記多孔質軟質体(2)は回転しないように前記通液管(4)に支持固定され、前記支持体(3)に支持固定されたアルミニウム管(P)は該管(P)の中心軸線を自転軸として自転駆動するように制御されており、このような自転によって、アルミニウム管(P)の外周面における前記多孔質軟質体(2)との接触位置が経時的に該管(P)の周方向に移動するものとなされている。このようにアルミニウム管(P)が多孔質軟質体(2)に接触しつつ自転することにより、アルミニウム管(P)の外周面の周方向に順次陽極酸化皮膜を形成することができる。この時、多孔質軟質体(2)に含浸された電解液が前記アルミニウム管(P)との接触位置及びその近傍で滲み出して液溜まり(Q)が形成されるものとなり(図6(a)参照)、該電解液の液溜まり(Q)が形成された状態で電解が行われるので、即ちこの電解液の液溜まり(Q)を介して電解が行われるので、電解効率をより向上させることができる。
なお、この第3実施形態は、自転するアルミニウム管(P)を、回転不可能に固定された状態の多孔質軟質体(2)に接触させる構成であるから、多孔質軟質体(2)の外形形状の制約が少なくて済む。従って、例えば多孔質軟質体(2)の横断面形状としては、図6(a)のような円形の他、図6(b)のような四角形形状(2X)を採用することも可能であるし、さらには三角形、五角形、六角形、八角形等の多角形形状等を採用することも可能である。
[第4実施形態]
この第4実施形態では、図7に示すように、前記多孔質軟質体(2)は、該軟質体(2)の中心軸線を自転軸として自転駆動するように制御される一方、前記支持体(3)に支持されたアルミニウム管(P)は、該管(P)の中心軸線を自転軸として自転駆動するように制御されており、このような多孔質軟質体(2)及びアルミニウム管(P)の自転によって、アルミニウム管(P)の外周面における多孔質軟質体(2)との接触位置が経時的に該管(P)の周方向に移動するものとなされているので、アルミニウム管(P)の外周面の周方向に順次陽極酸化皮膜を形成することができる。この時、多孔質軟質体(2)に含浸された電解液が前記アルミニウム管(P)との接触位置及びその近傍で滲み出して液溜まり(Q)が形成されるものとなり(図7参照)、該電解液の液溜まり(Q)が形成された状態で電解が行われるので、即ちこの電解液の液溜まり(Q)を介して電解が行われるので、電解効率をより向上させることができる。
この第4実施形態では、図7に示すように、前記多孔質軟質体(2)は、該軟質体(2)の中心軸線を自転軸として自転駆動するように制御される一方、前記支持体(3)に支持されたアルミニウム管(P)は、該管(P)の中心軸線を自転軸として自転駆動するように制御されており、このような多孔質軟質体(2)及びアルミニウム管(P)の自転によって、アルミニウム管(P)の外周面における多孔質軟質体(2)との接触位置が経時的に該管(P)の周方向に移動するものとなされているので、アルミニウム管(P)の外周面の周方向に順次陽極酸化皮膜を形成することができる。この時、多孔質軟質体(2)に含浸された電解液が前記アルミニウム管(P)との接触位置及びその近傍で滲み出して液溜まり(Q)が形成されるものとなり(図7参照)、該電解液の液溜まり(Q)が形成された状態で電解が行われるので、即ちこの電解液の液溜まり(Q)を介して電解が行われるので、電解効率をより向上させることができる。
なお、前記多孔質軟質体(2)の自転は、該軟質体(2)に内挿されてこれ(2)を支持固定している通液管(4)を自転駆動制御することによって行われる。また、アルミニウム管(P)の自転は、該管(P)に内挿されてこれ(P)を支持固定している支持体(3)を自転駆動制御することによって行われる。
また、この第4実施形態では、略板状のスクレーパー(5)の先端縁が、自転駆動する多孔質軟質体(2)の外周面の周方向の一部に当接する状態に配置されている(図7参照)から、多孔質軟質体(2)の外周面に付いた塵や汚れを該スクレーパー(5)の先端縁で除去することができ、これにより塵や汚れがアルミニウム管(P)の外周面に転移することを十分に防止することができる。
なお、図7に示した構成では、多孔質軟質体(2)の自転方向とアルミニウム管(P)の自転方向は同一の回転方向(図7では両者ともに反時計回り方向)になるように構成されているが、多孔質軟質体(2)の自転方向とアルミニウム管(P)の自転方向が逆の回転方向(いずれか一方が反時計回り方向で他方が時計回り方向)になるように構成されていても良い。
また、この第4実施形態では、多孔質軟質体(2)及びアルミニウム管(P)の双方の回転方向や回転速度を自在に選択して両者(2)(P)の外周面の周速度差を適宜設定することによって、例えば液溜まり(Q)の位置やその液量を変えることが可能であるし、陽極酸化皮膜の成膜速度も自在に設定することが可能である。
次に、前記支持体(3)に支持されたアルミニウム管(P)と、多孔質軟質体(2)との相互配置形態の変形例を図8、9に示す。この図8、9に示す構成では、多孔質軟質体(2Y)は略円筒形状に形成され、該多孔質軟質体(2Y)の中空内部空間に、支持体(3)に支持されたアルミニウム管(P)が内挿状態に配置されている。また、前記アルミニウム管(P)の外周面と前記多孔質軟質体(2Y)の内周面とが接触するように配置されている。また、前記多孔質軟質体(2Y)の外周面を被覆する態様で外筒体(21)が配置されている。前記外筒体(21)は、少なくとも表面が電気伝導性材料で形成されている。この外筒体(21)が陰極側の電気接点部を構成し、前記支持体(3)が陽極側の電気接点部を構成している。前記外筒体(21)の下端位置には導入管(23)が接続され、前記外筒体(21)の上端縁の一部にV字状の排出溝(22)が形成されている。電解液は、前記導入管(23)を介して前記多孔質軟質体(2Y)に供給され、この多孔質軟質体(2Y)の内部の多孔連通構造に侵入して上方に向けて通過した後、前記外筒体(21)の上端縁の排出溝(22)から外方に流れ出る。こうして外筒体(21)内は電解液で満たされているので、前記多孔質軟質体(2Y)の内部に常に電解液が供給される。なお、前記排出溝(22)から外方に流れ出た電解液は、前記受液部(7)を介して回収タンク(6)に回収される。しかして、前記多孔質軟質体(2Y)及び前記アルミニウム管(P)は、いずれもその中心軸線を自転軸として自転駆動するように制御されている。本構成では、アルミニウム管(P)の外周面と多孔質軟質体(2)との接触面積及び該接触領域での電解液量が格段に増大するので、陽極酸化皮膜の成膜速度を向上させることができるし、陽極酸化処理の処理効率も向上させることができる。
なお、図9では、多孔質軟質体(2Y)の自転方向とアルミニウム管(P)の自転方向は、逆の回転方向になるように構成されているが、同一の回転方向(両者ともに反時計回り方向又は両者ともに時計回り方向)になるように構成されていても良い。
また、図9では、多孔質軟質体(2Y)及びアルミニウム管(P)の両方が自転駆動するものとなされているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、多孔質軟質体(2Y)が回転不能に固定され、アルミニウム管(P)だけが自転駆動するように構成されていても良いし、或いはアルミニウム管(P)が回転不能に固定され、多孔質軟質体(2Y)だけが自転駆動するように構成されていても良い。或いはまた、多孔質軟質体(2Y)及びアルミニウム管(P)の両方が回転不能に固定された構成であっても良い。
しかして、上記各実施形態の陽極酸化処理装置(1)は、いずれも、アルミニウム管(P)の外周面に陽極酸化皮膜を形成することができ、該皮膜の形成によって、アルミニウム管(P)の外周面が硬化するので、該外周面に鱗片状表面欠陥が存在しても該鱗片状表面欠陥が立ち上がってササクレ状凸欠陥が発生することを十分に防止できる。即ち、この陽極酸化処理装置(1)で陽極酸化処理して製造されたアルミニウム管(P)に、例えば洗浄のための超音波照射やOPC塗工時の加熱等を行っても、ササクレ状凸欠陥が発生するのを十分に防止できる。このように、前記陽極酸化処理装置(1)による陽極酸化処理が施されて得られたアルミニウム管(P)は、ササクレ状凸欠陥がなくて表面品質に優れているので、例えば該アルミニウム管(P)を基体にして構成された感光ドラムに対して一様帯電した際にリーク(漏電)は生じ難いものとなる。
また、前記陽極酸化処理装置(1)では、陽極酸化処理を行うに際し、従来のような大きな電解槽は不要であるので、装置全体の設置スペースを格段に小さくできる利点がある。また、大きな電解槽を用いる場合に必要であった枠付け作業等の煩雑な人手作業も不要となるので、高い処理効率で陽極酸化処理することができる。このように、本発明の陽極酸化処理装置(1)は、コンパクトに設計することができると共に陽極酸化処理を高い処理効率で行うことができるので、例えば感光ドラム基体用アルミニウム管(P)の連続生産ラインの流れの中に容易に組み込むことが可能であり、このようにインラインで陽極酸化処理を行うことができる。
上記実施形態では、通液管(4)又は外筒体(21)は、少なくとも表面の一部が電気伝導性材料で形成されることによって該通液管(4)又は外筒体(21)が陰極側の電気接点部を構成し、また支持体(3)は、少なくとも表面の一部が電気伝導性材料で形成されることによって該支持体(3)が陽極側の電気接点部を構成していたが、これら電気接点になるための電気伝導性材料としては、特に限定されるものではないが、Au、Pt、Zr、Ti、Al及びCからなる群より選ばれる1種または2種以上の電気伝導性材料が好適である。Au、Pt、Zr、Ti、Al及びCからなる群より選ばれる1種または2種以上の電気伝導性材料を用いて電気接点部を構成した場合には、電気接点部で溶損することがなく、電気接点部としての機能を長期にわたって維持できる。
この発明において、前記多孔質軟質体(2)(2X)(2Y)としては、多孔連通構造を備えた保水性の多孔質軟質体であればどのようなものでも使用できる。中でも、連続気泡構造の発泡樹脂成形体が好適である。前記連続気泡構造の発泡樹脂成形体の樹脂素材としては、特に限定されないが、例えばPVA(ポリビニルアルコール)、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、海綿等が挙げられる。
また、前記電解液としては、硫酸、リン酸、シュウ酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、リン酸/硝酸混合物またはリン酸/硫酸混合物を含有してなる電解液が好ましく用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、前記アルミニウム管(P)としては、Al−Mn系合金、Al−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金または純Alからなる管が、陽極酸化皮膜の成膜速度を向上させることができると共に該皮膜の膜質もより均一化できる点で、好ましく用いられるが、特にこれら例示のものに限定されるものではない。
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
<実施例1>
Mn:1.12質量%、Si:0.11質量%、Fe:0.39質量%、Cu:0.16質量%、Zn:0.01質量%、Mg:0.02質量%を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなるビレットを、押出温度520℃、押出速度5m/分で押出加工することによって、アルミニウム押出素管(外径32mm、管壁厚さ1.5mm)を得た。
Mn:1.12質量%、Si:0.11質量%、Fe:0.39質量%、Cu:0.16質量%、Zn:0.01質量%、Mg:0.02質量%を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなるビレットを、押出温度520℃、押出速度5m/分で押出加工することによって、アルミニウム押出素管(外径32mm、管壁厚さ1.5mm)を得た。
得られたアルミニウム押出素管を切断機で切断して長さ2.2mの押出素管を多数本得た。これら多数本の押出素管の表面を倍率10倍のルーペで観察し、これらの中から表面に微小アルミニウム片(アルミニウム滓)が付着しているものを選別した。
前記選んだ押出素管を引き抜き加工することによって、鱗片状表面欠陥を有したアルミニウムED管(外径24mm、管壁厚さ0.8mm)を得た。なお、得られたED管の外周面における鱗片状表面欠陥が存在する位置には、これ以降の表面の変化を追跡できるように、印を付けた。
次に、前記アルミニウムED管(P)を、前述した図1の陽極酸化処理装置(1)の支持体(3)に支持固定せしめた(図2参照)。なお、陽極酸化処理装置(1)において、通気管(4)はTi製であり、支持体(3)はTi製であり、多孔質軟質体(2)は連続気泡構造の発泡ポリウレタン製であり、電解液としては、硫酸150g/L、溶存Alが10g/Lの電解液を用いた。前記陽極酸化処理装置(1)におけるアルミニウムED管(P)と多孔質軟質体(2)の相対移動態様は、図4に示す態様になるように設定されている。しかして、前記陽極酸化処理装置(1)を用いて電解液の液溜まり(Q)が存在した状態で3A/dm2で2分間の通電を行うことによって、アルミニウムED管(P)の外周面に陽極酸化皮膜を形成して、感光ドラム基体用アルミニウム管を製造した。
なお、多孔質軟質体(2)の反時計回りの周回移動の周回速度を12周/分に設定した(図4参照)。
<実施例2>
前記陽極酸化処理装置(1)におけるアルミニウムED管(P)と多孔質軟質体(2)の相対移動態様を図5に示す態様になるように設定した以外は、実施例1と同様にして、アルミニウムED管の外周面に陽極酸化皮膜を形成して、感光ドラム基体用アルミニウム管を製造した。
前記陽極酸化処理装置(1)におけるアルミニウムED管(P)と多孔質軟質体(2)の相対移動態様を図5に示す態様になるように設定した以外は、実施例1と同様にして、アルミニウムED管の外周面に陽極酸化皮膜を形成して、感光ドラム基体用アルミニウム管を製造した。
なお、多孔質軟質体(2)の反時計回りの周回移動の周回速度を12周/分に設定し、多孔質軟質体(2)の時計回りの回転(自転)速度を20rpmに設定した(図5参照)。
<実施例3>
前記陽極酸化処理装置(1)におけるアルミニウムED管(P)と多孔質軟質体(2)の相対移動態様を図6に示す態様になるように設定した以外は、実施例1と同様にして、アルミニウムED管の外周面に陽極酸化皮膜を形成して、感光ドラム基体用アルミニウム管を製造した。
前記陽極酸化処理装置(1)におけるアルミニウムED管(P)と多孔質軟質体(2)の相対移動態様を図6に示す態様になるように設定した以外は、実施例1と同様にして、アルミニウムED管の外周面に陽極酸化皮膜を形成して、感光ドラム基体用アルミニウム管を製造した。
なお、アルミニウムED管(P)の反時計回りの回転(自転)速度を15rpmに設定した(図6参照)。
<実施例4>
前記陽極酸化処理装置(1)におけるアルミニウムED管(P)と多孔質軟質体(2)の相対移動態様を図7に示す態様になるように設定した以外は、実施例1と同様にして、アルミニウムED管の外周面に陽極酸化皮膜を形成して、感光ドラム基体用アルミニウム管を製造した。
前記陽極酸化処理装置(1)におけるアルミニウムED管(P)と多孔質軟質体(2)の相対移動態様を図7に示す態様になるように設定した以外は、実施例1と同様にして、アルミニウムED管の外周面に陽極酸化皮膜を形成して、感光ドラム基体用アルミニウム管を製造した。
なお、アルミニウムED管(P)の反時計回りの回転(自転)速度を30rpmに設定し、多孔質軟質体(2)の反時計回りの回転(自転)速度を30rpmに設定した(図7参照)。
<実施例5>
前記陽極酸化処理装置(1)におけるアルミニウムED管(P)と多孔質軟質体(2)の相対移動態様を図8、9に示す態様になるように設計した以外は、実施例1と同様にして、アルミニウムED管の外周面に陽極酸化皮膜を形成して、感光ドラム基体用アルミニウム管を製造した。
前記陽極酸化処理装置(1)におけるアルミニウムED管(P)と多孔質軟質体(2)の相対移動態様を図8、9に示す態様になるように設計した以外は、実施例1と同様にして、アルミニウムED管の外周面に陽極酸化皮膜を形成して、感光ドラム基体用アルミニウム管を製造した。
なお、アルミニウムED管(P)の時計回りの回転(自転)速度を20rpmに設定し、多孔質軟質体(2)の反時計回りの回転(自転)速度を5rpmに設定した(図9参照)。
<比較例1>
陽極酸化処理をしないものとした以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム管(陽極酸化皮膜なし)を得た。
陽極酸化処理をしないものとした以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム管(陽極酸化皮膜なし)を得た。
<比較例2>
硫酸150g/L、溶存Alが10g/Lの電解液を電解槽に入れ、この電解槽内の電解液に、鱗片状表面欠陥を有したアルミニウムED管(外径24mm、管壁厚さ0.8mm)を浸漬し、この浸漬状態で3A/dm2で15分間の通電を行うことによって、アルミニウムED管の外周面に陽極酸化皮膜を形成した。
硫酸150g/L、溶存Alが10g/Lの電解液を電解槽に入れ、この電解槽内の電解液に、鱗片状表面欠陥を有したアルミニウムED管(外径24mm、管壁厚さ0.8mm)を浸漬し、この浸漬状態で3A/dm2で15分間の通電を行うことによって、アルミニウムED管の外周面に陽極酸化皮膜を形成した。
上記のようにして外周面に陽極酸化皮膜が形成された実施例1〜5及び比較例2のアルミニウム管と、皮膜が形成されていない比較例1のアルミニウム管に対して、それぞれ下記評価法に基づいて表面品質の評価を行った。その結果を表1に示す。
<表面品質評価法>
得られたアルミニウム管を純水に浸漬し、この浸漬状態で35kHzの超音波を3分間照射した後、アルミニウム管を取り出し、該アルミニウム管の表面を倍率10倍のルーペで目視観察し、ササクレ状凸欠陥(鱗片状表面欠陥が立ち上がったもの)の有無を調べる。
得られたアルミニウム管を純水に浸漬し、この浸漬状態で35kHzの超音波を3分間照射した後、アルミニウム管を取り出し、該アルミニウム管の表面を倍率10倍のルーペで目視観察し、ササクレ状凸欠陥(鱗片状表面欠陥が立ち上がったもの)の有無を調べる。
表1から明らかなように、この発明の実施例1〜5の陽極酸化処理装置による陽極酸化処理を経て得られたアルミニウム管は、表面にササクレ状凸欠陥がなく、表面品質に優れていた。また、実施例1〜5の陽極酸化処理装置は、短い陽極酸化処理時間で皮膜を形成できるので、高い処理効率を有しており、連続生産ラインの流れの中に組み込むことも容易に可能である。
これに対し、陽極酸化処理を行わなかった比較例1では、アルミニウム管は、表面にササクレ状凸欠陥が発生しており、表面品質に劣っていた。また、従来の電解槽を備えた陽極酸化処理装置で陽極酸化処理した比較例2では、皮膜形成のための陽極酸化処理時間は長い時間を要しているので、連続生産ラインの流れの中に組み込むことは困難である。
この発明の陽極酸化処理装置や陽極酸化処理方法で処理して製造されたアルミニウム管は、表面品質に優れているので、例えば複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置のOPC感光ドラム用基体として好適に用いられる。即ち、この発明の陽極酸化処理装置や陽極酸化処理方法は、表面品質に優れた感光ドラム基体用アルミニウム管の製造に好適に用いられる。
1…陽極酸化処理装置
2…多孔質軟質体
2a…中空内部空間
3…支持体
4…通液管
4a…吐出孔
5…スクレーパー
6…回収タンク
P…アルミニウム管
Q…液溜まり
2…多孔質軟質体
2a…中空内部空間
3…支持体
4…通液管
4a…吐出孔
5…スクレーパー
6…回収タンク
P…アルミニウム管
Q…液溜まり
Claims (23)
- 電解液が含浸された多孔質軟質体と、
アルミニウム管を支持する支持体と、
を備え、
前記支持体に支持されたアルミニウム管の外周面の少なくとも一部が、前記多孔質軟質体に接触するように又は近接するように配置され、
前記多孔質軟質体から流れ出して前記アルミニウム管の外周面に接触した電解液を介してアルミニウム管に通電が行われるものとなされていることを特徴とするアルミニウム管の陽極酸化処理装置。 - 前記支持体に支持されたアルミニウム管の外周面における前記多孔質軟質体との接触位置が経時的に移動するように構成されている請求項1に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
- 前記支持体は、前記アルミニウム管を周方向に回転しないように支持固定するものとなされ、
前記多孔質軟質体は、外形形状が略円柱形状に形成され、
前記多孔質軟質体は、該多孔質軟質体の外周面の周方向の一部と、前記支持体に支持固定されたアルミニウム管の外周面の周方向の一部とが互いに接触した状態を維持しながら、前記支持体に支持固定されたアルミニウム管の周囲を周回移動するものとなされ、該周回移動によって、前記アルミニウム管の外周面における前記多孔質軟質体との接触位置が経時的に該管の周方向に移動するものとなされている請求項2に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。 - 前記多孔質軟質体は、前記周回移動の際に該軟質体の中心軸線を自転軸として自転するものとなされ、該自転によって、前記多孔質軟質体の外周面における前記アルミニウム管との接触位置が経時的に該軟質体の周方向に移動するものとなされている請求項3に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
- 前記多孔質軟質体は回転しないように固定され、前記支持体に支持されたアルミニウム管は該管の中心軸線を自転軸として自転するものとなされ、該自転によって、前記アルミニウム管の外周面における前記多孔質軟質体との接触位置が経時的に該管の周方向に移動するものとなされている請求項2に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
- 前記多孔質軟質体は、外形形状が略円柱形状に形成されると共に該軟質体の中心軸線を自転軸として自転するものとなされ、
前記支持体に支持されたアルミニウム管は、該管の中心軸線を自転軸として自転するものとなされ、
前記多孔質軟質体及び前記アルミニウム管の自転によって、アルミニウム管の外周面における前記多孔質軟質体との接触位置が経時的に該管の周方向に移動するものとなされている請求項2に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。 - 前記多孔質軟質体は略円筒形状に形成され、該多孔質軟質体の中空内部空間に、前記支持体に支持されたアルミニウム管が内挿状態に配置されている請求項1に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
- 前記多孔質軟質体及び前記アルミニウム管のうちの少なくともいずれか一方がその中心軸線を自転軸として自転するものとなされている請求項7に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
- 前記多孔質軟質体の外周面の周方向の一部に当接する状態に配置されたスクレーパーをさらに備えることを特徴とする請求項3、4または6に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
- 前記支持体は、前記アルミニウム管をその中心軸線方向が略上下方向になる態様で支持するものであり、前記多孔質軟質体は、その中心軸線方向が略上下方向になるように配置されている請求項3〜9のいずれか1項に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
- 前記多孔質軟質体に電解液が連続して供給されるものとなされている請求項1〜10のいずれか1項に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
- 前記多孔質軟質体は略円筒形状に形成され、該多孔質軟質体の中空内部空間に、管壁に複数の吐出孔が設けられた通液管が内挿状態に配置され、該通液管に電解液が連続して供給されるものとなされている請求項11に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
- 前記通液管は少なくとも表面が電気伝導性材料で形成され、該通液管が陰極側の電気接点部を構成し、前記支持体は少なくとも表面が電気伝導性材料で形成され、該支持体が陽極側の電気接点部を構成する請求項12に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
- 前記通液管は、少なくとも表面の一部が、Au、Pt、Zr、Ti、Al及びCからなる群より選ばれる1種または2種以上の電気伝導性材料で形成され、該通液管が陰極側の電気接点部を構成し、
前記支持体は、少なくとも表面の一部が、Au、Pt、Zr、Ti、Al及びCからなる群より選ばれる1種または2種以上の電気伝導性材料で形成され、該支持体が陽極側の電気接点部を構成する請求項12に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。 - 前記多孔質軟質体として、連続気泡構造の発泡樹脂成形体が用いられている請求項1〜14のいずれか1項に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
- 前記多孔質軟質体の表面から流れ出て電解に供された後の電解液を回収する回収タンクをさらに備え、該回収タンクに回収された電解液に、濾過、温度調整及び濃度調整のうちの少なくとも1つの操作を行った後、該電解液を前記多孔質軟質体に供給するものとなされている請求項1〜15のいずれか1項に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理装置。
- アルミニウム管の外周面の少なくとも一部に、電解液が含浸された多孔連通構造の多孔質軟質体を近接状態に配置することによって、該軟質体の表面から流れ出た電解液を前記アルミニウム管の外周面の少なくとも一部に接触させ、この接触状態で通電して電解を行うことによって、前記アルミニウム管の外周面に陽極酸化皮膜を形成することを特徴とするアルミニウム管の陽極酸化処理方法。
- アルミニウム管の外周面の少なくとも一部に、電解液が含浸された多孔連通構造の多孔質軟質体を接触させた状態で通電して電解を行うことによって、前記アルミニウム管の外周面に陽極酸化皮膜を形成することを特徴とするアルミニウム管の陽極酸化処理方法。
- 前記アルミニウム管の外周面における前記多孔質軟質体の接触位置を経時的に移動させながら前記電解を行う請求項18に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理方法。
- 前記アルミニウム管の外周面と前記多孔質軟質体との接触位置の近傍に電解液の液溜まりを形成せしめ、この液溜まり形成状態で前記電解を行う請求項18または19に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理方法。
- 前記電解液として、硫酸、リン酸、シュウ酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、リン酸/硝酸混合物及びリン酸/硫酸混合物からなる群より選ばれる1種の化合物を含有してなる電解液を用いる請求項17〜20のいずれか1項に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理方法。
- 前記アルミニウム管として、Al−Mn系合金、Al−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金及び純Alからなる群より選ばれる1種の材料からなる管を用いる請求項17〜21のいずれか1項に記載のアルミニウム管の陽極酸化処理方法。
- 請求項17〜22のいずれか1項に記載の陽極酸化処理方法で陽極酸化処理して得られた、外周面にササクレ状凸欠陥が実質的に存在しないアルミニウム管からなることを特徴とする感光ドラム基体。
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JP2007245634A JP2009074144A (ja) | 2007-09-21 | 2007-09-21 | アルミニウム管の陽極酸化処理装置及び陽極酸化処理方法 |
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2007
- 2007-09-21 JP JP2007245634A patent/JP2009074144A/ja active Pending
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