JP2009073931A - 樹脂粉粒体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 溶媒を効率的に除去しながら粉粒体化する樹脂粉粒体の製造方法であって、1mm以下の粒径を持つ樹脂粉粒体を提供する。
【解決手段】 イソブチレン系重合体を含有する溶液から、該溶液に水溶性高分子、及び水を加え、撹拌により液−液分散させながら、加熱により溶媒を除去する工程(1)により樹脂粉粒体を得ることを特徴とする樹脂粉粒体の製造方法により達成できる。水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、メチルセルロースなどが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】 イソブチレン系重合体を含有する溶液から、該溶液に水溶性高分子、及び水を加え、撹拌により液−液分散させながら、加熱により溶媒を除去する工程(1)により樹脂粉粒体を得ることを特徴とする樹脂粉粒体の製造方法により達成できる。水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、メチルセルロースなどが好ましい。
【選択図】 図1
Description
本発明は、溶媒を効率的に除去しながら粉粒体化する樹脂粉粒体の製造方法、特にスチレン系ブロック共重合体からなる樹脂粉粒体の製造方法に関する。
イソブチレンとスチレン等の芳香族ビニル系単量体とをカチオン重合することにより、イソブチレンを主成分とする重合体ブロックと芳香族ビニル系単量体を主成分とする重合体ブロックからなるイソブチレン系ブロック共重合体の製造法については、例えば、米国特許第4946899号(特許文献1)明細書に、塩化メチルとメチルシクロヘキサンを組み合わせた混合溶媒中での製造方法が開示されている。
また特公平7−59601号公報(特許文献2)にも、塩化メチレンとヘキサンからなる混合溶媒中で、イソブチレン重合体ブロックとスチレン重合体ブロックからなるイソブチレン系ブロック共重合体の製造方法が開示されている。
一般に、ゴム状重合体の回収方法には、薄膜蒸発機や押出機による溶媒除去後水中カット方式でペレット化する方法やスチームストリッピングによって粉粒体化する方法が採用されているケースが多い。
スチームストリッピングによる粉粒体の製造法としては、重合体溶液を分散剤を含む熱水中に注入し、溶媒を揮発、回収する方法が一般的であり、分散剤の例としては、ポリカルボン酸塩(特許文献3)、曇点を溶媒除去温度以上に持つノニオン性界面活性剤(特許文献4)などが挙げられる。
しかしながら、イソブチレン系ブロック共重合体は、樹脂の粘着性が高く、硬度が低いという特徴を持つエラストマーであり、そのため熱水処理中の樹脂の融着を防止するために工夫を必要とし、真球状かつ平均粒径1mm以下の粒子を得ることは泡立ちの少ないノニオン性界面活性剤でも困難であった。
このようにイソブチレン系ブロック共重合体から真球状かつ平均粒径1mm以下の樹脂粉粒体を製造するにあたっての諸問題を解決し、粉粒体製品を安定的に生産する製造プロセスの開発が望まれていた。
米国特許第4946899号
特公平7−59601号公報
特開昭49−53991号公報
特開2004−155880号公報
本発明は、上記現状に鑑み、品質をほとんど劣化させずにブロッキング性に優れたイソブチレン系重合体、特にイソブチレン系ブロック共重合体の樹脂粉粒体を安定的に製造できる方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、重合体溶液から溶媒を除去することにより樹脂粉粒体を製造する方法であって、重合体を含有する溶液に水溶性高分子及び水を加えた後、撹拌により液−液分散させながら加熱により溶媒を除去する工程(1)により樹脂粉粒体を得ることを特徴とする、樹脂粉粒体の製造方法に関する。なお本発明の工程(1)は、撹拌により液−液分散させながら加熱により溶媒を除去する工程をいう。
好ましい実施態様としては、前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールまたはメチルセルロースあるいはそれらの混合物であることを特徴とする製造方法に関する。
好ましい実施態様としては、工程(1)の溶媒除去温度が、70℃以上、130℃未満であることを特徴とする製造方法に関する。
好ましい実施態様としては、前記重合体が、芳香族ビニル系単量体を主成分とするブロックを有することを特徴とする製造方法に関する。
好ましい実施態様としては、前記重合体が、少なくとも1種の芳香族ビニル系単量体とイソブチレン単量体を含有する単量体成分を重合させて得られるイソブチレン系重合体であることを特徴とする製造方法に関する。
好ましい実施態様としては、前記重合体が、(A)イソブチレンを主体として構成される重合体ブロックと、(B)芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロック、からなるブロック共重合体であることを特徴とする製造方法に関する。
好ましい実施態様としては、イソブチレン系重合体溶液の溶媒が、炭素数3〜8の1級及び/又は2級のモノハロゲン化炭化水素と脂肪族及び/又は芳香族炭化水素との混合溶媒であることを特徴とする製造方法に関する。
本発明によると、イソブチレン系重合体から溶媒を除去することによって得られる樹脂粉粒体の乾燥後のブロッキング性を品質劣化なく改善することができる。
本発明の重合体は、溶液重合によって得られる重合体であれば特に限定はないが、(A)イソブチレンを主体として構成される重合体ブロックと、(B)芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックからなるイソブチレン系共重合体が好ましく、具体的には、イソブチレンと芳香族ビニル系単量体などの単量体をルイス酸触媒の存在下で開始剤と共にカチオン重合して得られるものが好適に使用できる。
(A)のイソブチレンを主体として構成される重合体ブロックは、通常、イソブチレン単位を60重量%以上、好ましくは80重量%以上含有する重合体ブロックである。また、(B)の芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロックは、通常、芳香族ビニル系単量体単位を60重量%以上、好ましくは80重量%以上含有する重合体ブロックである。
芳香族ビニル系単量体としては特に限定されず、例えば、スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、インデン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、コストの面から、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン又はこれらの混合物が特に好ましい。
本発明におけるルイス酸触媒は、カチオン重合に使用できるものであれば特に限定されず、TiCl4、BCl3、BF3、AlCl3、SnCl4等のハロゲン化金属を挙げることができるが、なかでも四塩化チタン(TiCl4)が好ましい。
上記カチオン重合において用いられる重合溶媒としては特に限定されず、ハロゲン化炭化水素からなる溶媒、非ハロゲン系の溶媒又はこれらの混合物を用いることができる。好ましくは、炭素数3〜8の1級及び/又は2級のモノハロゲン化炭化水素と脂肪族及び/又は芳香族炭化水素との混合溶媒である。
上記炭素数3〜8の1級及び/又は2級のモノハロゲン化炭化水素としては特に限定されず、塩化メチル、塩化メチレン、1−クロロブタン、クロロベンゼンなどを挙げることができる。この中でも、イソブチレン系ブロック共重合体の溶解度、分解による無害化の容易さ、コスト等のバランスから、1−クロロブタンが好適である。
また、上記脂肪族及び/又は芳香族系炭化水素としては特に限定されず、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン等が挙げられる。メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン及びトルエンからなる群より選ばれる1種以上が特に好ましい。
なお、カチオン重合の際に用いる開始剤としては、下記式(I)で表される化合物を用いるのが好ましい。
(CR1R2X)nR3 (I)
[式中、Xは、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルコキシ基若しくはアシロキシ基を表す。R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6の1価炭化水素基を表し、R1とR2は同一であっても異なっていてもよい。R3は多価芳香族炭化水素基又は多価脂肪族炭化水素基を表す。nは1〜6の自然数を示す。]
上記一般式(I)の化合物の具体例としては、1,4−ビス(α−クロル−イソプロピル)ベンゼン[C6H4(C(CH3)2Cl)2]が挙げられる[なお、1,4−ビス(α−クロル−イソプロピル)ベンゼンはジクミルクロライドとも呼ばれる]。
[式中、Xは、ハロゲン原子又は炭素数1〜6のアルコキシ基若しくはアシロキシ基を表す。R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜6の1価炭化水素基を表し、R1とR2は同一であっても異なっていてもよい。R3は多価芳香族炭化水素基又は多価脂肪族炭化水素基を表す。nは1〜6の自然数を示す。]
上記一般式(I)の化合物の具体例としては、1,4−ビス(α−クロル−イソプロピル)ベンゼン[C6H4(C(CH3)2Cl)2]が挙げられる[なお、1,4−ビス(α−クロル−イソプロピル)ベンゼンはジクミルクロライドとも呼ばれる]。
イソブチレン系ブロック共重合体の重合に際しては、更に必要に応じて電子供与体成分を共存させることもできる。このような化合物として、例えば、ピリジン類、アミン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、又は、金属原子に結合した酸素原子を有する金属化合物等を挙げることができる。
実際の重合を行うに当たっては、各成分を冷却下、例えば−100℃以上0℃未満の温度で混合する。エネルギーコストと重合の安定性を釣り合わせるために、特に好ましい温度範囲は−80℃〜−30℃である。
またイソブチレン系ブロック共重合体の数平均分子量にも特に制限はないが、流動性、加工性、物性等の面から、30000〜500000であることが好ましく、50000〜400000であることが特に好ましい。
重合後のイソブチレン系ブロック共重合体を含有する重合体溶液は、水またはアルカリ水と接触させて、触媒を失活して反応を停止させた後、引き続き水洗を行い、触媒残査や金属イオンを抽出、除去して、精製ドープを得ることができる。
失活及び水洗温度は特に制限されるものではないが、常温〜100℃の範囲が好ましい。また、失活及び水洗に使用する水量は、特に限定されるものではないが、重合体溶液に対する水の体積比が1/10〜10の範囲が好ましい。
このようにして得られた精製重合体溶液は、引き続き、粉粒体化工程(1)に供される(クラム化工程とも呼ばれる)。重合体溶液中の樹脂濃度は、必要に応じて重合に使用した溶媒を加え、10〜60重量%として粉粒体化することが望ましい。ドープ濃度が低い場合には、フラッシュ蒸発、薄膜式蒸発、撹拌槽、濡れ壁式等の蒸発機を単独あるいは複数用いることにより所望濃度に調整することができる。また、重合体溶液濃度が高い場合には、溶剤で希釈することにより所望濃度に調整することができる。
このようにして得られた精製重合体溶液、すなわち触媒を失活、除去したイソブチレン系ブロック共重合体を含有する重合終了後の溶液に、水溶性高分子(ポリビニルアルコール等)、及び水を加え、撹拌により液−液分散させながら、加熱により溶媒を除去する工程(1)により樹脂粉粒体を得ることができる。加える水の量は、特に制限はないが、液−液分散のしやすさ等から重合体溶液に対し、0.5〜4倍の容積として加えるのが好ましい。
水溶性高分子としては、乳化作用、保護コロイド作用、分散作用を持つものであれば特に限定されないが、例えば、アラビアガム、カラギーナン、グアガム、ローカストビーンガム、ペクチン、トラガント、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)、キサンタンガム、デキストリンなどの多糖類、ゼラチン、カゼイン、コンドロイチン硫酸ナトリウムなどのタンパク質類、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、カチオン化セルロースなどのセルロース類、リン酸化デンプンなどのデンプン類、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールなどのアルギン酸類、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボシキビニルポリマー、ポリアクリル酸アミド、アクリルアミド/アクリレート共重合体などのアクリル酸類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、PVP/VA(ポリビニルピロリドン/ビニルアセテート)共重合体などのビニル系重合体類、その他ポリエチレングリコール、カチオン化グアガム、ヒアルロン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、あるいは2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、コスト面からメチルセルロース、ポリビニルアルコールが好ましい。加える水溶性高分子の量は、特に制限はないが、重合体に対し0.05重量部から5重量部が好ましい。0.05重量部以下では分散剤としての特性が十分発揮できず、粒子が形成されない。また、5重量部を超えると重合体の物性低下、粉粒体化における泡立ちの問題が顕著になり好ましくない。
また、工程(1)においてブロッキング性をさらに向上させるために滑剤を併用することもできる。滑剤は、樹脂加工時に樹脂に滑性を付与するための滑剤や成形体を金型などから取り出しやすくするための離型剤などを例示できる。滑剤の具体例としては炭酸カルシウム、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、金属石鹸、ポリオレフィン、シリカ、フッ素樹脂、タルクなどをあげることができ、これらのなかで1種または2種以上組み合わせてもよい。これらは工程(1)において溶媒除去前に用いてもよいし、溶媒除去後に粉粒体スラリーに添加する方法で用いてもよい。加える滑剤の量は、特に制限はないが、重合体に対し0重量部から5重量部が好ましい。5重量部を超えると重量体の物性低下が顕著になり好ましくない。
炭酸カルシウムの例としては、平均粒子径0.5〜15ミクロンの軽質炭酸カルシウム、重炭酸カルシウムのような単体の他、これに飽和脂肪酸あるいは界面活性剤により処理を加えたもの、あるいはマグネシウム、シリケート等を配合したものを挙げることができる。
脂肪酸アミドの例としては、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミドなどを挙げることができる。
脂肪酸エステルの例としては、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、ベヘニン酸メチル、ラウリン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸オクチルなどを挙げることができる。
金属石鹸の例としてはカリウム、ナトリウム、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、バリウム等を用いた各金属石鹸を挙げることができる。
ポリオレフィンの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテンなどのポリオレフィン類の粉末状のものを挙げることができる。これらの中から選ばれた少なくとも1種を使用する。中でもポリプロピレン粉末が好ましく使用できる。
シリカの例としては、粉末状の乾式シリカ、湿式シリカなどを挙げることができる。これらの中でも、シリカ表面の水酸基をモノメチルトリクロロシランまたはジメチルジクロロシラン等と反応させた疎水性の無水無定型シリカが好ましい。
フッ素樹脂の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・フッ化ビニリデン共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体およびポリモノクロルトリフルオロエチレンなどをあげることができる。これらの中から選ばれた少なくとも1種を使用する。中でも、PTFE粉末が好ましく使用される。
本発明で重合体溶液と水をポリビニルアルコール存在下で液−液分散させ、引き続き、加熱による溶媒の除去を行う工程(1)により、粉粒体が良好に形成される。撹拌による液−液分散、及び溶媒除去に用いられる装置としては攪拌機を備えた容器が好適に用いられる。攪拌翼の形状には特に制約はなく、スクリュー翼、プロペラ翼、アンカー翼、パドル翼、傾斜パドル翼、タービン翼、大型格子翼等の任意の翼を使用することができる。これらは、同一の攪拌槽を用いて液−液分散操作と溶媒除去操作を行うこともできるし、予め液−液分散操作を実施して分散液を形成させた後に引き続き溶媒除去を複数の攪拌槽を用いて行うこともできる。
工程(1)の液温度は、特に限定されないが、溶媒と水の共沸点以上であることが好ましい。ただしその共沸点未満でも容器内を減圧下にすれば容易に溶媒を除去することができる。具体的には、70℃以上、130℃未満が好ましく、80℃以上、110℃未満がさらに好ましい。70℃以下であると、溶剤除去速度が低下し生産効率の面で好ましくない。また130℃以上であると非イオン界面活性剤の働きがなくなり安定した液−液分散系を形成できない。
得られた樹脂粉粒体を含む水溶液は、引き続きスチームを通気させるスチームストリッピング操作による工程(2)を経ることにより、残留する溶媒をさらに除去することもできる。スチームストリッピングに用いる容器は蒸気を導入する配管が接続されていればよく、懸濁及び溶媒除去操作と同様に撹拌容器に蒸気を導入する方法が好適に使用される。また、スチームストリッピングの操作は、溶媒除去に引き続き同一の槽で蒸気を通気し実施することもできるし、別途ストリッピング槽を設けて引き続き実施することもできる。また、連続方式として、通気撹拌槽を1槽以上連結させる場合や、棚段方式で蒸気と樹脂スラリーを接触させることによりストリッピングを行うこともできる。
スチームストリッピング後の樹脂粉粒体を含む水溶液は、以下説明する工程(3)により、脱水、乾燥される。樹脂粉粒体を含む水溶液から樹脂粉粒体を回収するためには、各種濾過機、遠心分離機などによる脱水操作を用いることができる。本操作による脱水後の樹脂粉粒体の含水率は、特に制限されるものではないが、10〜50重量%とすることが、乾燥あるいはペレット化でのエネルギー効率の点で有効である。
得られた含水樹脂粉粒体は、溝型撹拌乾燥機などの伝導伝熱式乾燥機あるいは流動乾燥機などの熱風受熱式乾燥機などを用いて乾燥することにより、製品粉粒体とすることができる。製品粉粒体中の水分は特に制限されるものではないが、1%未満とするのが好ましい。
また、上述した脱水後の含水樹脂粉粒体、または乾燥後の製品粉粒体を脱揮機構を有する押出機を用いて樹脂ペレットとして製品化することができる。脱揮機構を有する押出機としては、ベント機構を有する単軸、二軸押出機を用いることができ、特に、二軸押出機が脱溶媒、脱モノマー効率の点から好適に使用される。押出機より排出される樹脂は、ストランドカット、水中カット、ホットカット方式等により最終製品とすることもできる。
なお上記の通り、本発明の重合体は、溶液重合によって得られる重合体であれば特に制限なく、従来公知の重合体を使用することが可能である。本発明の重合体としては、例えば、一般にスチレン系熱可塑性エラストマーとよばれているブロック共重合体やスチレン−ブタジエンゴム(SBR)を挙げることができる。スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−エチレンブチレン共重合体−スチレン(S−EB−S)、スチレン−エチレンプロピレン共重合体−スチレン(S−EP−S)、スチレン−ブタジエン−スチレン(S−B−S)、スチレン−イソプレン−スチレン(S−I−S)、スチレン−イソブチレン−スチレン(S−IB−S)を挙げることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
本実施例に示すブロック共重合体の分子量および引張強度は以下に示す方法で測定した。
分子量:Waters社製GPCシステム(カラム:昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)、移動相:クロロホルム)。数平均分子量はポリスチレン換算で表記した。
得られた樹脂粉粒体の粒径は、目視で確認した。
(製造例)
撹拌機付き20L反応容器に、1−クロロブタン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)3.70kg、ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)1.92kg、p−ジクミルクロライド2.90gを加えた。反応容器を−70℃に冷却した後、N,N−ジメチルアセトアミド2.18g、イソブチレン844gを添加した。さらに四塩化チタン85gを加えて重合を開始し、−70℃で溶液を撹拌しながら2時間反応させた。次いで反応溶液にスチレン408gを添加し、さらに30分間反応を続け、重合体溶液を得た。
撹拌機付き20L反応容器に、1−クロロブタン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)3.70kg、ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)1.92kg、p−ジクミルクロライド2.90gを加えた。反応容器を−70℃に冷却した後、N,N−ジメチルアセトアミド2.18g、イソブチレン844gを添加した。さらに四塩化チタン85gを加えて重合を開始し、−70℃で溶液を撹拌しながら2時間反応させた。次いで反応溶液にスチレン408gを添加し、さらに30分間反応を続け、重合体溶液を得た。
得られた重合体溶液を大量の水中へあけて反応を停止させた。反応停止後、分液ロートで重合体溶液相と水相を分離した。同様の方法で重合体溶液相の水洗を2回行った後、水層が中性になっているのを確認してから重合体溶液相を払い出し、重合体溶液を得た。
GPC分析を行ったところ、数平均分子量が100,000、分子量分布が1.14であった。
(実施例1)
図1に示すような、槽容積50リットル、内径30cmの耐圧攪拌装置に、純水12.5リットルおよび製造例で得た重合体溶液12.5リットルを仕込み、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製KH−17)を5.1g添加した。撹拌翼には翼径15cmの2段4枚傾斜パドルを用いて、400rpmで攪拌しながら蒸気を撹拌槽に導入することで昇温した。
図1に示すような、槽容積50リットル、内径30cmの耐圧攪拌装置に、純水12.5リットルおよび製造例で得た重合体溶液12.5リットルを仕込み、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業(株)製KH−17)を5.1g添加した。撹拌翼には翼径15cmの2段4枚傾斜パドルを用いて、400rpmで攪拌しながら蒸気を撹拌槽に導入することで昇温した。
撹拌槽内温が70℃に到達した時点で溶媒ガスが揮発し、耐圧撹拌装置に付設したコンデンサに導入し、逐次溶媒を回収した。撹拌槽内温が99℃となった時点で蒸気供給を停止した。内温が50℃まで低下するのを待って攪拌を停止し、撹拌槽内に生成した樹脂スラリーを回収した(工程(1))。回収した樹脂スラリー中の粉粒体は約500μmの粒径を持つ粒子であった。回収した樹脂スラリーを再度撹拌槽に戻し、密閉してスチームストリッピングを行った(工程(2))。ストリッピング条件は120℃を60分間維持しながら撹拌槽下部より吹き込む方法を採用した。
この樹脂スラリーを遠心脱水し、箱型乾燥機で100℃雰囲気下2時間乾燥して樹脂粉粒体を得た。
表1に示すように、得られた樹脂粉粒体は真球状の樹脂粉粒体であった。
(実施例2)
工程(1)においてポリビニルアルコールではなくメチルセルロース(信越化学工業(株)製MS−400)を添加した以外は実施例1と同様に実施した。
工程(1)においてポリビニルアルコールではなくメチルセルロース(信越化学工業(株)製MS−400)を添加した以外は実施例1と同様に実施した。
表1に併せて示すように、得られた樹脂粉粒体は得られた樹脂粉粒体は約500μmの粒径を持つ真球状の樹脂粉粒体であった。
(比較例1)
工程(1)においてポリビニルアルコールではなくパルミチン酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)を添加した以外は実施例1と同様に実施した。
工程(1)においてポリビニルアルコールではなくパルミチン酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)を添加した以外は実施例1と同様に実施した。
表1に併せて示すように、溶剤蒸発時の泡立ちが激しく、樹脂粉粒体が得られなかった。
1 耐圧攪拌槽
2 原料仕込みライン
3、4 ジャケット温水ライン
5 コンデンサ
6 溶媒回収ライン
7 蒸気吹き込みライン
2 原料仕込みライン
3、4 ジャケット温水ライン
5 コンデンサ
6 溶媒回収ライン
7 蒸気吹き込みライン
Claims (7)
- 重合体を含有する溶液に水溶性高分子及び水を加えた後、撹拌により液−液分散させながら加熱により溶媒を除去する工程(1)により樹脂粉粒体を得ることを特徴とする、樹脂粉粒体の製造方法。
- 前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールまたはメチルセルロースあるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
- 工程(1)の溶媒除去温度が、70℃以上、130℃未満であることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
- 前記重合体が、芳香族ビニル系単量体を主成分とするブロックを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
- 前記重合体が、少なくとも1種の芳香族ビニル系単量体とイソブチレン単量体を含有する単量体成分を重合させて得られるイソブチレン系重合体であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂粉粒体の製造方法。
- 前記重合体が、
(A)イソブチレンを主体として構成される重合体ブロックと、
(B)芳香族ビニル系単量体を主体として構成される重合体ブロック、
からなるブロック共重合体であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の樹脂粉粒体の製造方法。 - 前記重合体を含有する溶液の溶媒が、炭素数3〜8の1級及び/又は2級のモノハロゲン化炭化水素と脂肪族及び/又は芳香族炭化水素との混合溶媒である請求項1から6のいずれか1項に記載のイソブチレン系樹脂粉粒体の製造方法。
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