JP2009062487A - マイクロカプセル、塗膜形成用樹脂組成物、塗膜及びマイクロカプセルの製造方法 - Google Patents

マイクロカプセル、塗膜形成用樹脂組成物、塗膜及びマイクロカプセルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】溶媒中での分散性に優れるとともに、均一な空孔を有し、表面平滑性の高い塗膜を得ることが可能なマイクロカプセル、該マイクロカプセルを用いた塗膜形成用樹脂組成物、塗膜、及び、マイクロカプセルの製造方法を提供する。
【解決手段】単孔構造を有するシェルに、コア剤として沸点が30〜200℃の物質が内包されたマイクロカプセルであって、平均粒子径が1〜10μm、アスペクト比が1〜1.1、かつ、30〜200℃の所定の温度にて10分間加熱した後の平均粒子径の変化率が100±5%以内であるマイクロカプセル。
【選択図】なし

Description

本発明は、溶媒中での分散性に優れるとともに、均一な空孔を有し、表面平滑性の高い塗膜を得ることが可能なマイクロカプセル、該マイクロカプセルを用いた塗膜形成用樹脂組成物、塗膜、及び、マイクロカプセルの製造方法に関する。
従来、粒子内部に空隙を有する中空粒子は、軽量化、造孔化、断熱性付与、遮音性付与、低誘電性、耐衝撃性付与、剛性改善、風合改良、ひけ防止、塗り性等を改善する目的で射出成形物、押し出し成形物、中空成形物、フィルム成形物等の各種成形体、壁紙、塗料、シーリング剤、粘着剤、靴底、合成皮革、タイヤ、紙、セメント、タイル、建材、人工木材、FRP、多孔質セラミックフィルタ等の極めて広範な分野で利用されている。
こうした中空粒子としては、従来、ガラスバルーン、シラスバルーン等の無機マイクロバルーン、特許文献1に記載されているようなニトリル系ポリマーや塩化ビニリデン等のガスバリア性を有する熱可塑性ポリマーを主成分とする発泡樹脂微粒子や、特許文献2に記載の熱可塑性中空樹脂粒子等が知られている。
また、シート状成形体等の基材に更に多孔質性の塗膜を形成する場合や、壁紙等のシート状成形体同士を貼り合わせる場合にも、中空粒子が用いられている。具体的には、水系媒体中に液体含浸性のない中空粒子を分散させたスラリーを調製した後、該スラリーを基材に塗工し、水系媒体を乾燥させる方法が知られており、このような方法を用いた場合、基材に断熱性やクッション性等の性能を付与することが可能となる。
しかしながら、このような方法では、塗工時に中空粒子がスラリー中で浮遊することによって、中空粒子の分散性が損なわれることから、得られる塗膜に空孔の多い部分や少ない部分が形成され、塗膜の空孔が不均一になるという問題があった。
これに対して、スラリー中での粒子の分散性を維持するため、加熱膨張前の発泡樹脂粒子を分散させたスラリーを塗工後に、乾燥・加熱発泡させて多孔質性の塗膜を形成させる方法も提案されてるが、粒子の発泡により塗膜の表面平滑性が悪化し、意匠性の悪いシートしか得られないという問題があった。
更に、中空粒子の代りに、乾燥工程において除去することが可能な液体を内包させた液体内包型マイクロカプセルを用いる方法が検討されている。
しかしながら、例えば特許文献3に記載の蓄熱粒子を用いた場合、乾燥工程において完全に内包液体を除去することができないなど、従来の液体内包型マイクロカプセルを用いた場合、スラリー中での分散性、乾燥工程後に得られる塗膜の空孔状態、及び、表面の平滑性の何れかが不充分であり、上述した各種の用途の好適に使用できないものであった。
特開平5−285376号公報 特開2001−213727号公報 特開平5−237368号公報
本発明は、上記の現状に鑑み、溶媒中での分散性に優れるとともに、均一な空孔を有し、高い表面平滑性を有する塗膜を得ることが可能なマイクロカプセル、該マイクロカプセルを用いた塗膜形成用樹脂組成物、塗膜、及び、マイクロカプセルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、単孔構造を有するシェルに、コア剤として沸点が30〜200℃の物質が内包されたマイクロカプセルであって、平均粒子径が1〜10μm、アスペクト比が1〜1.1、かつ、30〜200℃の所定の温度にて10分以上加熱した後の平均粒子径の変化率が100±5%以内であるマイクロカプセルである。
以下に本発明を詳述する。
本発明のマイクロカプセルは、沸点が30〜200℃であるコア剤を有する。
上記コア剤としては、沸点が30〜200℃であり、加熱等により容易に蒸散させることができるものであれば特に限定されず、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、水、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ペンタノール、イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、オクタノール、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ニトロメタン、ニトロエタン、アセトニトリル、アニリン、2−ピロリドン、水等が挙げられる。
なかでも、水及び/又は水に対する溶解度が15g/L以上の有機溶剤を用いることが好ましい。具体的には例えば、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ペンタノール、イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、オクタノール、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ニトロメタン、ニトロエタン、アセトニトリル、アニリン、2−ピロリドン等が挙げられる。
上記コア剤は、沸点の下限が30℃、上限が200℃である。30℃未満であると、常温においてコア剤の沸騰が起こり、極めてハンドリング性の悪いものとなる。200℃を超えると、沸点が高すぎるために乾燥工程でコア剤が完全に除去されず、空孔の形成が不充分となることがある。好ましい下限は50℃、好ましい上限は160℃である。
なお、本明細書において、沸点とは1atmでの沸点のことをいう。
本発明のマイクロカプセルにおける上記コア剤の含有量の好ましい下限は50重量%である。50重量%未満であると、例えば、本発明のマイクロカプセルを塗膜形成用樹脂組成物に用いた場合に、マイクロカプセルが浮遊して、マイクロカプセルの分散性が著しく損なわれることがある。好ましい上限は60重量%である。
本発明のマイクロカプセルを構成するシェルは、単孔構造を有する。
上記単孔構造を有することにより、上記シェルの内部に形成された空隙は密閉性に優れたものとなり、各種用途に本発明のマイクロカプセルを用いる場合に、空隙内にバインダー成分や他の成分が侵入して、得られる塗膜の空孔の割合が低下するといった不具合を防止することができる。
なお、本明細書において、「単孔構造」とは、多孔質状等のように複数の空隙を有する場合は含まず、ただ1つの閉じた空隙を有する構造のことをいう。
上記シェルの材質については、単孔構造とすることができ、かつ、上記範囲内の平均粒子径やアスペクト比を実現可能であれば特に限定されず、例えば、架橋性モノマーに由来するセグメントと親水性モノマーに由来するセグメントとを有する共重合体等を用いることができる。
本発明のマイクロカプセルは、空隙率の好ましい下限が50体積%、好ましい上限が95体積%である。上記空隙率が50体積%未満であると、本発明のマイクロカプセルを用いてなる成形体等に軽量化、造孔化、断熱性付与、遮音性付与、クッション性等を充分に付与できないことがある。95体積%を超えると、マイクロカプセルの形状が維持できなかったり、強度を確保できなかったりすることがある。
なお、本明細書において、空隙率とは、マイクロカプセルの全体積に占める、コア剤を除いた空隙部分の体積比のことをいい、例えば、透過型電子顕微鏡で撮影した写真をもとに、平均粒子径(外径)及び平均内孔径を測定し、空隙部分の体積とマイクロカプセルの体積との比を算出することにより測定することができる。
本発明のマイクロカプセルは、23℃における直径が10%変位したときの圧縮弾性率(以下、10%K値ともいう)の好ましい下限が1N/mm、好ましい上限が1000N/mmである。1N/mm未満であると、マイクロカプセルのスラリーを塗工して多孔質性の塗膜を形成する際、塗工工程や塗膜の乾燥工程で粒子が潰れることがあり、1000N/mmを超えると、塗膜の柔軟性が失われて塗膜にひびが入ったり、塗膜に印刷やエンボス加工を施したりする際に、転写性が悪くなることがある。
なお、上記10%K値とは、微小圧縮試験機(例えば、島津製作所社製「PCT−200」等)を用いてダイヤモンド製の直径50μmの円柱の平滑端面で、基材樹脂微粒子を圧縮速度0.27g/秒、最大試験荷重10gで圧縮し、下記式により求められる値である。
K=(3/√2)・F・S−3/2・R−1/2
式中、Fは微粒子の10%圧縮変形における荷重値(kg)を表し、Sは微粒子の10%圧縮変形における圧縮変位(mm)を表し、Rは微粒子の半径(mm)を表す。
本発明のマイクロカプセルは、30〜200℃の所定の温度にて10分間加熱した後の平均粒子径の変化率が100±5%以内である。
上記平均粒子径の変化率が100±5%以内であることは、30〜200℃において加熱膨張することなく、平均粒子径が変化しないことを意味する。30〜200℃において加熱膨張してしまうようなマイクロカプセルを使用すると、マイクロカプセルを塗工した塗膜を乾燥してコア剤を除去し多孔性塗膜を得ようとする際に、膨張した粒子によって塗膜の平滑性が失われてしまう。
なお、上記温度以外の条件については、一般的なシート用乾燥機の運転条件を表す。
また、本発明のマイクロカプセルの平均粒子径の下限は1μm、上限は10μmである。1μm未満であると、本発明のマイクロカプセル同士の凝集が発生して取扱い性に劣り、10μmを超えると、本発明のマイクロカプセルを用いて得られる製品の平滑性が低下する。好ましい下限は1.5μm、好ましい上限は5μmである。
本発明のマイクロカプセルは、アスペクト比(短径の長さに対する長径の長さの比)の下限が1.0、上限が1.1である。アスペクト比が、上記範囲外であると、塗膜を形成する過程において、マイクロカプセルにつぶれやへたりが生じる。また、本発明のマイクロカプセルを用いて得られる製品の平滑性が低下する。なお、上記アスペクト比は、長径の長さを短径の長さで割った値であり、その値が1に近いほど、形状は真球に近くなる。好ましい下限は1.00、好ましい上限は1.05である。
本発明のマイクロカプセルは、架橋性モノマー、25℃における水に対する溶解度が20g/L以上の親水性モノマー及び重合開始剤を含有するモノマー溶液に、沸点が0〜200℃である非重合性物質を添加、攪拌することにより、前記モノマー溶液中に前記非重合性物質からなる液滴が分散した一次乳化液を調製する一次乳化工程、前記一次乳化液を前記モノマー溶液と不溶な溶液中に添加、攪拌することにより、前記非重合性物質を内包するモノマー溶液からなる液滴が、前記モノマー溶液と不溶な溶液中に分散した二次乳化液を調製する二次乳化工程、及び、前記架橋性モノマーと親水性モノマーとを重合させる重合工程を有するマイクロカプセルの製造方法であって、前記一次乳化工程において、前記架橋性モノマーを25重量%以上、前記親水性モノマーを10重量%以上、及び、前記非重合性物質を50重量%以上添加する方法を用いて製造することができる。
このようなマイクロカプセルの製造方法もまた本発明の1つである。
本発明のマイクロカプセルの製造方法では、まず、架橋性モノマー、25℃における水に対する溶解度が20g/L以上の親水性モノマー及び重合開始剤を含有するモノマー溶液に、沸点が0〜200℃である非重合性物質を添加、攪拌することにより、前記モノマー溶液中に前記非重合性物質からなる液滴が分散した一次乳化液を調製する一次乳化工程を行う。
上記架橋性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート及びその異性体、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体等、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
これら架橋性モノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記一次乳化工程において、上記架橋性モノマーの添加量の下限は一次乳化液の全量に対して25重量%である。25重量%未満であると、得られるマイクロカプセルのシェルの架橋が不充分となり、強度が不充分となるため、単孔構造のシェルを有するマイクロカプセルを作製できない。また、加熱等を行った場合に、つぶれやへたりが生じたり、揮発したコア剤により粒子が熱膨張を起こしてしまう。好ましい下限は25重量%、好ましい上限は40重量%である。
上記25℃における水に対する溶解度が20g/L以上である親水性モノマー(以下、単に親水性モノマーともいう)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、マレイン酸等の重合性不飽和結合を有するカルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等の重合性不飽和結合を有するスルホン酸、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ポリオキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。これら親水性モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
上記親水性モノマーの25℃における水に対する溶解度の下限は20g/Lである。20g/L未満であると、単孔構造の粒子が得られにくくなる。
上記一次乳化工程において、上記親水性モノマーの添加量の下限は一次乳化液の全量に対して10重量%である。10重量%未満であると、単孔構造の粒子が得られにくくなる。好ましい下限は10重量%、好ましい上限は25重量%である。
上記非重合性物質としては、架橋性モノマーと親水性モノマーとの反応温度において液状であり、重合反応によって重合せず、かつ、加熱等により容易に蒸散させることができるものであれば特に限定されず、例えば、上記コア剤と同様のものを用いることができる。
上記一次乳化工程において、上記非重合性物質の添加量の下限は一次乳化液の全量に対して50重量%である。50重量%未満であると、得られるマイクロカプセルのシェルが厚くなり、得られるマイクロカプセルの空隙率が低下する。好ましい下限は50重量%、好ましい上限は95重量%である。
上記重合開始剤としては特に限定されず、用いるモノマー成分の種類に応じて適宜選択すればよいが、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジブチルパーオキシジカーボネート、α−クミルパーオキシネオデカノエート等の有機系過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤;レドックス開始剤等が挙げられる。
上記モノマー溶液は、親油性乳化剤を含有することが好ましい。上記親油性乳化剤は、乳化安定性をより向上させる役割を有する。上記親油性乳化剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
本発明のマイクロカプセルの製造方法では、次いで、前記一次乳化液を前記モノマー溶液と不溶な溶液中に添加、攪拌して、前記非重合性物質を内包するモノマー溶液からなる液滴が、前記モノマー溶液と不溶な溶液中に分散した二次乳化液(いわゆる、W/O/W型エマルジョン)を調製する二次乳化工程を行う。
上記モノマー溶液と不溶な溶液としては、上記非重合性物質と同様のものを用いることができる。なお、上記非重合性物質と異なるものを用いてもよい。
上記一次乳化工程及び二次乳化工程においては、モノマー溶液が油滴以外の場所で重合することによる新粒子の発生を抑制するために、上記モノマー溶液や上記モノマー溶液と不溶な溶液に無機塩や水溶性重合禁止剤を添加してもよい。
上記無機塩はモノマー成分の溶解度を低下させ、重合を抑制する働きがある。上記無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。また、上記水溶性重合禁止剤は、溶媒での重合を抑制する目的で添加するものであり、具体的には例えば、亜硫酸ナトリウム、塩化銅、塩化鉄、塩化チタン、ヒドロキノン等が挙げられる。
上記一次乳化工程及び二次乳化工程において、攪拌する方法としては特に限定されず、例えば、ホモミキサー、バイオミキサー、オムニミキサー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー等を用いる従来公知の方法が挙げられる。
本発明のマイクロカプセルの製造方法では、次いで、前記架橋性モノマーと親水性モノマーとを重合させる重合工程を行う。これにより、マイクロカプセルのシェルの部分が形成される。上記重合の方法としては特に限定されず、上記架橋性モノマー及び親水性モノマーの種類により適宜最適な方法を選択すればよいが、通常は加熱することが好ましい。
本発明のマイクロカプセルの製造方法では、上記重合工程を行うことにより、上記モノマー溶液と不溶な溶液中にマイクロカプセルを有するスラリーが得られるが、その後、上記モノマー溶液と不溶な溶液を除去する工程を行ってもよい。
上記モノマー溶液と不溶な溶液を除去する方法としては特に限定されず、例えば、加熱によって乾燥する方法;系全体を減圧する方法等が挙げられる。
このような本発明のマイクロカプセルの製造方法によると、単孔構造を有するシェルに、コア剤として沸点が30〜200℃の物質が内包されたマイクロカプセルであって、平均粒子径が1〜10μm、アスペクト比が1〜1.1、かつ、30〜200℃の所定の温度にて10分間加熱した場合の平均粒子径の変化率が100±5%以内であるマイクロカプセルを製造することができる。
本発明のマイクロカプセル、バインダー樹脂及び溶媒を含有する塗膜形成用樹脂組成物は、例えば、壁紙等の基材に塗工した場合、空孔の形状や分布が均一で、表面の凹凸が少なく高精細な塗膜を形成することができる。このような塗膜形成用樹脂組成物もまた本発明の1つである。
また、本発明の塗膜形成用樹脂組成物を用いてなる塗膜もまた、本発明の1つである。
本発明の塗膜形成用樹脂組成物において、本発明のマイクロカプセルの含有量の好ましい下限は5重量%、好ましい上限は90重量%である。5重量%未満であると、得られる塗膜の空孔の比率が極めて低くなることがあり、90重量%を超えると、塗膜の耐久性が低下することがある。
また、上記バインダー樹脂の含有量の好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は30重量%である。0.1重量%未満であると、塗膜の耐久性が低下することがあり、30重量%を超えると、得られる塗膜の空孔の比率が極めて低くなることがある。
本発明によれば、溶媒中での分散性に優れるとともに、均一な空孔を有し、表面平滑性の高い塗膜を得ることが可能なマイクロカプセル、該マイクロカプセルを用いた塗膜形成用樹脂組成物、塗膜、及び、マイクロカプセルの製造方法を提供できる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)マイクロカプセルの調製
親水性モノマーとしてアクリロニトリル20重量部と、架橋性モノマーとしてポリプロピレングリコールジメタクリレート50重量部(ポリオキシエチレンユニット数=7;日本油脂社製、ブレンマーPDP−400)、トリメチロールプロパントリアクリレート30重量部と、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.25重量部と、親油性乳化剤としてのグリセリンモノステアレート2重量部とを混合・攪拌し、モノマー溶液を調製した。
イオン交換水に、塩化ナトリウムを1重量%、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウムを0.02重量%の濃度となるように添加した塩化ナトリウム・亜硝酸ナトリウム水溶液を調製した。次いで、得られたモノマー溶液に、塩化ナトリウム・亜硝酸ナトリウム水溶液100重量部を添加した後、攪拌分散装置により攪拌し、油中水滴(W/O)型エマルジョンの一次乳化液を調製した。
その後、得られた一次乳化液を、分散剤としてのポリビニルアルコール(PVA)1重量%、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウムを0.02重量%含有するイオン交換水溶液600重量部に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌することにより、水媒体中に水を内包する油滴が分散された(W/O/W)型複合エマルジョンからなる二次乳化液を得た。
攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内を減圧して容器内の脱酸素を行った後、窒素置換して重合器内部を窒素雰囲気とした。その後、二次乳化液を一括投入し、重合器を60℃まで昇温して重合を開始させた。4時間重合させた後、80℃昇温し、1時間の熟成期間をおいた後、重合器を室温まで冷却して、水内包型マイクロカプセルを含有するスラリーを得た。
(2)塗工サンプルの作製
得られた水内包型マイクロカプセル含有スラリー100重量部(マイクロカプセル25重量部、固形分10重量部)と、PVAを20重量%含有する水溶液50重量部とを混合することにより塗膜形成用樹脂組成物を得た。得られた塗膜形成用樹脂組成物を、基材としてのPETシート上にグラビアコートを用いて15μm(固形分)の厚さに塗工した後、熱風ドライヤーにて120℃、1分間加熱乾燥を行うことにより、塗膜を形成した。
(実施例2)
(1)マイクロカプセルの調製
親水性モノマーとしてメタクリル酸25重量部、メタクリロニトリル25重量部と、架橋性モノマーとして、ポリエチレングリコールジメタクリレート(ポリオキシエチレンユニット数=1;日本油脂社製、ブレンマーPDE−50R)10重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート40重量部と、非重合性物質としてノルマルヘキサン145重量部及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3重量部を混合、攪拌し、ノルマルヘキサン分散型の一次乳化液を調製した。
その後、得られた一次乳化液を、分散剤としてのポリビニルアルコール(PVA)1重量%、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウムを0.02重量%含有するイオン交換水溶液370重量部に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌することにより、水媒体中にノルマルヘキサンを内包する油滴が分散された複合エマルジョンからなる二次乳化液を得た。
攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内を減圧して容器内の脱酸素を行った後、窒素置換して重合器内部を窒素雰囲気とした。その後、二次乳化液を一括投入し、重合器を60℃まで昇温して重合を開始させた。4時間重合させた後、重合器を室温まで冷却して、溶剤内包マイクロカプセルを含有するスラリーを得た。
(2)塗工サンプルの作製
得られた溶剤内包マイクロカプセル含有スラリー1750重量部(マイクロカプセル700重量部、固形分285.7重量部)と、PVAを20重量%含有する水溶液50重量部とを混合することにより塗膜形成用樹脂組成物を得た。得られた塗膜形成用樹脂組成物を、基材としてのPETシート上にグラビアコートを用いて15μm(固形分)の厚さに塗工した後、熱風ドライヤーにて120℃、1分間加熱乾燥を行うことにより、塗膜を形成した。
(実施例3)
(1)マイクロカプセルの調製
親水性モノマーとしてアクリロニトリル25重量部と、架橋性モノマーとして、ポリエチレングリコールジメタクリレート(ポリオキシエチレンユニット数=1;日本油脂社製、ブレンマーPDE−50R)25重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート50重量部と、非重合性物質としてシクロヘキサン145重量部、酢酸エチル40重量部及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3重量部を混合、攪拌し、シクロヘキサン分散型の一次乳化液を調製した。
その後、得られた一次乳化液を、分散剤としてのポリビニルアルコール(PVA)1重量%、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウムを0.02重量%含有するイオン交換水溶液300重量部に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌することにより、水媒体中にシクロヘキサンを内包する油滴が分散された複合エマルジョンからなる二次乳化液を得た。
攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内を減圧して容器内の脱酸素を行った後、窒素置換して重合器内部を窒素雰囲気とした。その後、乳化懸濁液を一括投入し、重合器を60℃まで昇温して重合を開始させた。4時間重合した後、重合器を室温まで冷却して、溶剤内包マイクロカプセルを含有するスラリーを得た。
(2)塗工サンプルの作製
得られた溶剤内包マイクロカプセル含有スラリー30重量部(マイクロカプセル15重量部、固形分5.3重量部)及びPVAを20重量%含有する水溶液50重量部を混合することにより塗膜形成用樹脂組成物を得た。得られた塗膜形成用樹脂組成物を、基材としてのPETシート上にグラビアコートを用いて15μm(固形分)の厚さに塗工した後、熱風ドライヤーにて120℃、1分間加熱乾燥を行うことにより、塗膜を形成した。
(実施例4)
(1)マイクロカプセルの調製
実施例3で得られた溶剤内包マイクロカプセルを含有するスラリーを、噴霧乾燥機を用いて乾燥することにより、粉体状の乾燥マイクロカプセルを得た。
(2)塗工サンプルの作製
得られた乾燥マイクロカプセル12.5重量部と、アクリル系樹脂を10重量%含有するトルエン溶液500重量部とを混合することにより塗膜形成用樹脂組成物を得た。得られた塗膜形成用樹脂組成物を、基材としてのPETシート上にグラビアコートを用いて15μm(固形分)の厚さに塗工した後、熱風ドライヤーにて120℃、1分間加熱乾燥を行うことにより、塗膜を形成した。
(比較例1)
モノマー成分として、ポリプロピレングリコールジメタクリレート(ポリオキシプロピレンユニット数=約7;日本油脂社製、ブレンマーPDP−400)50重量部、メタクリル酸メチル30重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート20重量部、非重合性物質としてヘプタン100重量部及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3重量部を混合、攪拌し、ヘプタン分散型の一次乳化液を調製した。
その後、得られた一次乳化液を、分散剤としてのポリビニルアルコール(PVA)1重量%、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウムを0.02重量%含有するイオン交換水溶液400重量部に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌することにより、水媒体中にヘプタンを内包する油滴が分散された複合エマルジョンからなる二次乳化液を得た。
攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内を減圧して容器内の脱酸素を行った後、窒素置換して重合器内部を窒素雰囲気とした。その後、二次乳化液を一括投入し、重合器を60℃まで昇温して重合を開始させた。8時間重合した後、重合器を室温まで冷却して、溶剤内包マイクロカプセルを含有するスラリーを得た。
(2)塗工サンプルの作製
得られた溶剤内包マイクロカプセル含有スラリー100重量部(マイクロカプセル33重量部、固形分17重量部)と、PVAを20重量%含有する水溶液50重量部とを混合することにより塗膜形成用樹脂組成物を得た。得られた塗膜形成用樹脂組成物を、基材としてのPETシート上にグラビアコートを用いて15μm(固形分)の厚さに塗工した後、熱風ドライヤーにて120℃、1分間加熱乾燥を行うことにより、塗膜を形成した。
(比較例2)
(1)マイクロカプセルの調製
親水性モノマーとしてメタクリル酸25重量部、メタクリロニトリル25重量部と、架橋性モノマーとして、ポリエチレングリコールジメタクリレート(ポリオキシエチレンユニット数=1;日本油脂社製、ブレンマーPDE−50R)10重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート40重量部と、非重合性物質としてシクロヘキサン100重量部及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3重量部を混合、攪拌し、シクロヘキサン分散型の一次乳化液を調製した。
その後、得られた一次乳化液を、分散剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量%を含有するイオン交換水溶液1133重量部に加え、超音波ホモジナイザーを用いて攪拌することにより、水媒体中にシクロヘキサンを内包する油滴が分散された複合エマルジョンからなる二次乳化液を得た。
攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内を減圧して容器内の脱酸素を行った後、窒素置換して重合器内部を窒素雰囲気とした。その後、二次乳化液を一括投入し、重合器を60℃まで昇温して重合を開始させた。8時間重合した後、重合器を室温まで冷却して、溶剤内包マイクロカプセルを含有するスラリーを得た。
(2)塗工サンプルの作製
得られた溶剤内包マイクロカプセル含有スラリー300重量部(マイクロカプセル45重量部、固形分22.5重量部)と、PVAを20重量%含有する水溶液50重量部とを混合することにより塗膜形成用樹脂組成物を得た。得られた塗膜形成用樹脂組成物を、基材としてのPETシート上にグラビアコートを用いて15μm(固形分)の厚さに塗工した後、熱風ドライヤーにて120℃、1分間加熱乾燥を行うことにより、塗膜を形成した。
(比較例3)
(1)マイクロカプセルの調製
モノマー成分として、ポリプロピレングリコールジメタクリレート(ポリオキシプロピレンユニット数=約7;日本油脂社製、ブレンマーPDP−400)10重量部、メタクリロニトリル40重量部、メタクリル酸40重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート10重量部、非重合性物質としてノルマルヘキサン145重量部及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3重量部を混合、攪拌し、ノルマルヘキサン分散型の一次乳化液を調製した。
その後、得られた一次乳化液を、分散剤としてのポリビニルアルコール(PVA)1重量%、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウムを0.02重量%含有するイオン交換水溶液455重量部に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌することにより、水媒体中にノルマルヘキサンを内包する油滴が分散された複合エマルジョンからなる二次乳化液を得た。
攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内を減圧して容器内の脱酸素を行った後、窒素置換して重合器内部を窒素雰囲気とした。その後、二次乳化液を一括投入し、重合器を60℃まで昇温して重合を開始させた。8時間重合した後、重合器を室温まで冷却して、溶剤内包マイクロカプセルを含有するスラリーを得た。
(2)塗工サンプルの作製
得られた溶剤内包マイクロカプセル含有スラリー1800重量部(マイクロカプセル630重量部、固形分257重量部)と、PVAを20重量%含有する水溶液50重量部とを混合することにより塗膜形成用樹脂組成物を得た。得られた塗膜形成用樹脂組成物を、基材としてのPETシート上にグラビアコートを用いて15μm(固形分)の厚さに塗工した後、熱風ドライヤーにて120℃、1分間加熱乾燥を行うことにより、塗膜を形成した。
(比較例4)
(1)マイクロカプセルの調製
モノマー成分としてメタクリル酸メチル98重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート2重量部、非重合性物質として50℃にて融解させた脂肪族炭化水素からなるパラフィンワックス(SCP−0028、日本精蝋社製:融点28.1℃)100重量部及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.5重量部を混合、撹拌し、次いで、イオン交換水93.3重量部、分散剤としてDBSNa(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を1.5重量部添加、撹拌して乳化モノマー液を調製した。
重合器にイオン交換水40重量部を投入し、攪拌を開始した。重合器内を減圧して容器内の脱酸素をおこなった後、窒素により圧力を大気圧まで戻して、内部を窒素雰囲気とした後、上記乳化モノマー液を一括投入した。重合槽を80℃まで昇温し重合を開始した。30分で重合を終了し、その後1時間の熟成期間を行った後、重合槽を室温まで冷却して、ワックス内包マイクロカプセルを含有するスラリーを得た。なお、昇温が完了し、重合の開始時より熟成が終了するまでの重合工程に要する時間は、約1.5時間であった。
(2)塗工サンプルの作製
得られたワックス内包マイクロカプセルを含有するスラリー750重量部(マイクロカプセル450重量部、固形分225重量部)と、PVAを20重量%含有する水溶液50重量部とを混合することにより塗膜形成用樹脂組成物を得た。得られたマイクロカプセル組成物を、基材としてのPETシート上にグラビアコートを用いて15μm(固形分)の厚さに塗工した後、熱風ドライヤーにて120℃、1分間加熱乾燥を行うことにより、塗膜を形成した。
(比較例5)
(1)マイクロカプセルの調製
モノマー成分としてアクリロニトリル70重量部、メタクリロニトリル30重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート0.003重量部、非重合性物質としてノルマルペンタン20重量部及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3重量部を混合、攪拌し、ノルマルペンタン分散型の一次乳化液を調製した。
次いで、脱イオン水7300重量部、シリカ分散液(固形分20重量%)1260重量部、重クロム酸カリウム(2.5重量%溶液)45重量部、ポリビニルピロリドン8重量部、塩化ナトリウム2200重量部及び塩酸8.5重量部を混合し、水性混合液を調製した。得られた一次乳化液の全量を、水性混合液に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌し、水性混合液中にノルマルペンタンを内包する油滴が分散された複合エマルジョンからなる二次乳化液を得た。
得られた二次乳化液の全量を、窒素置換した加圧重合器(20L)内に投入し、1.0MPaに加圧して、60℃、16時間反応させた。その後、得られた反応生成物のろ過と水洗とを繰り返すことにより、溶剤内包マイクロカプセルを得た。
(2)塗工サンプルの作製
得られた溶剤内包マイクロカプセル25重量部と、PVAを20重量%含有する水溶液50重量部とを混合することにより塗膜形成用樹脂組成物を得た。得られたマイクロカプセル組成物を、基材としてのPETシート上にグラビアコートを用いて15μm(固形分)の厚さに塗工した後、熱風ドライヤーにて120℃、1分間加熱乾燥を行うことにより、塗膜を形成した。
(比較例6)
(1)マイクロカプセルの調製
比較例4で得られた溶剤内包マイクロカプセルを150℃、1分間加熱し、発泡済みを得た。分級装置を用いて平均粒子径が10μm以上の発泡済みを除外して、分級済マイクロカプセルを得た。
(2)塗工サンプルの作製
得られた分級済マイクロカプセル3重量部及びPVAを20重量%含有する水溶液50重量部を混合することにより塗膜形成用樹脂組成物を得た。得られた塗膜形成用樹脂組成物を、基材としてのPETシート上にグラビアコートを用いて15μm(固形分)の厚さに塗工した後、熱風ドライヤーにて120℃、1分間加熱乾燥を行うことにより、塗膜を形成した。
(比較例7)
(1)マイクロカプセルの調製
比較例5と同様の方法で分級済マイクロカプセルを調製した。
(2)塗工サンプルの作製
得られた分級済マイクロカプセル0.5重量部と、アクリル系樹脂を10重量%含有するトルエン溶液50重量部とを混合することにより塗膜形成用樹脂組成物を得た。得られた塗膜形成用樹脂組成物を、基材としてのPETシート上にグラビアコートを用いて15μm(固形分)の厚さに塗工した後、熱風ドライヤーにて120℃、1分間加熱乾燥を行うことにより、塗膜を形成した。
(評価)
(1)平均粒子径、加熱後の平均粒子径の変化率、短径に対する長径の比
各実施例及び比較例で得られたマイクロカプセル、及び、同サンプルを内温200℃のオーブンで10分間加熱した後のマイクロカプセルを投下型電子顕微鏡で写真撮影し、得られた写真から350個分の写真を無作為に抽出し、長径及び短径を計測した。
そして、長径を粒子径とし、その数平均を平均粒子径とした。また、長径を短径で割ることにより、短径に対する長径の比を算出し、その数平均を計算した。
また、加熱による粒径変化率を下記式(1)を用いて算出した。
200℃10分間加熱後の平均粒子径変化率(%)
=(加熱後の平均粒子径/加熱前の平均粒子径)×100 (1)
(2)空隙率
各実施例及び比較例のマイクロカプセルを透過型電子顕微鏡で写真撮影し、得られた写真から350個分の写真を無作為に抽出し、粒子内孔径を測定し、その数平均を求めた。
そして、得られたマイクロカプセルを真球と仮定して、平均粒子径(外径)及び平均内孔径からそれぞれ体積を求めた後、{(空孔の体積/マイクロカプセルの体積)×100}を算出することにより、空隙率を求めた。
(3)内孔構造状態の観察
コア剤を除去したマイクロカプセルを、エポキシ樹脂に包埋して切削し、その断面を走査型電子顕微鏡により観察した。
(4)10%K値
島津製作所製「PCT−200」を用い、実施例及び比較例で得られたマイクロカプセルの10%K値を下記式(2)により求めた。
K値(N/mm)=(3/21/2)・F・S−3/2・R−1/2 (2)
F:導電性微粒子の10%圧縮変形における荷重値(N)
S:導電性微粒子の10%圧縮変形における圧縮変位(mm)
R:導電性微粒子の半径(mm)
(5)塗膜形成用樹脂組成物の状態
実施例及び比較例で得られた塗膜形成用樹脂組成物の溶液状態を目視にて確認した。
(6)塗膜の内部状態
実施例及び比較例で得られた塗膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、塗膜中の空孔の状態を評価した。
(7)塗膜の表面状態
実施例及び比較例で得られた塗膜の表面をSEMを用いて観察し、表面の平滑性を評価した。平滑性を有する場合を○ 平滑性を有しない場合を×とした。
Figure 2009062487
表1に示すように、実施例1〜4で得られたマイクロカプセルを用いた場合、均一な空孔を有し、表面平滑性に優れる塗膜が得られることがわかる。
一方、比較例1で得られた多孔構造のマイクロカプセルを用いた場合、マイクロカプセルのシェル部分にバインダー樹脂の含浸が起こることによって、形状保持することができず、また、平均粒子径が大きいため、表面平滑性が悪くなっていることがわかる。
比較例2で得られたマイクロカプセルを用いた場合は、シェル部分の架橋度が不足することによって、マイクロカプセルが扁平状に変形し、マイクロカプセルにつぶれが生じることによって空孔形状が不均一となっていた。
比較例3で得られたマイクロカプセルを用いた場合は、内包する溶剤の沸点が高いため、乾燥工程で除去することができず、空孔が得られなかった。
比較例4で得られたマイクロカプセルを用いた場合は、乾燥工程において発泡することによって、表面平滑性の低下が見られた。
比較例5で得られたマイクロカプセルを用いた場合は、塗膜形成用樹脂組成物中でマイクロカプセルの浮遊が見られ、分散性が著しく損なわれたため、塗工することができなかった。なお、比較例5で得られたマイクロカプセルを、比較例6のようにアクリル系樹脂10重量%トルエン溶液で分散させた場合、分散性の問題は解消され、塗工は可能であるが、シェル部分の架橋度が不足することによって、粒子のつぶれが観察された。
本発明によれば、溶媒中での分散性に優れるとともに、均一な空孔を有し、表面平滑性の高い塗膜を得ることが可能なマイクロカプセル、該マイクロカプセルを用いた塗膜形成用樹脂組成物、塗膜、及び、マイクロカプセルの製造方法を提供することができる。

Claims (8)

  1. 単孔構造を有するシェルに、コア剤として沸点が30〜200℃の物質が内包されたマイクロカプセルであって、
    平均粒子径が1〜10μm、
    アスペクト比が1〜1.1、かつ、
    30〜200℃の所定の温度にて10分間加熱した後の平均粒子径の変化率が100±5%以内である
    ことを特徴とするマイクロカプセル。
  2. コア剤は、水及び/又は水に対する溶解度が15g/L以上の有機溶剤であることを特徴とする請求項1記載のマイクロカプセル。
  3. コア剤を50重量%以上含有することを特徴とする請求項1又は2記載のマイクロカプセル。
  4. 23℃におけるK値が1〜1000N/mmであることを特徴とする請求項1、2又は3記載のマイクロカプセル。
  5. 請求項1、2、3又は4記載のマイクロカプセル、バインダー樹脂及び溶媒を含有することを特徴とする塗膜形成用樹脂組成物。
  6. 請求項1、2、3又は4記載のマイクロカプセルを5〜90重量%、バインダー樹脂を0.1〜30重量%含有することを特徴とする請求項5記載の塗膜形成用樹脂組成物。
  7. 請求項5又は6記載の塗膜形成用樹脂組成物を用いてなることを特徴とする塗膜。
  8. 架橋性モノマー、25℃における水に対する溶解度が20g/L以上の親水性モノマー及び重合開始剤を含有するモノマー溶液に、沸点が0〜200℃である非重合性物質を添加、攪拌することにより、前記モノマー溶液中に前記非重合性物質からなる液滴が分散した一次乳化液を調製する一次乳化工程、
    前記一次乳化液を前記モノマー溶液と不溶な溶液中に添加、攪拌することにより、前記非重合性物質を内包するモノマー溶液からなる液滴が、前記モノマー溶液と不溶な溶液中に分散した二次乳化液を調製する二次乳化工程、及び、
    前記架橋性モノマーと親水性モノマーとを重合させる重合工程を有するマイクロカプセルの製造方法であって、
    前記一次乳化工程において、前記一次乳化液の全量に対して、前記架橋性モノマーを25重量%以上、前記親水性モノマーを10重量%以上、及び、前記非重合性物質を50重量%以上添加することを特徴とするマイクロカプセルの製造方法。
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