JP2009062403A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂組成物の硬度の向上を図る。
【解決手段】樹脂組成物は、マトリクス樹脂と、そのマトリクス樹脂に分散した中空構造を持つメソポーラス金属酸化物粒子と、を含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及びそれを用いた被覆構造、並びにコーティング剤に関する。
メソポーラスシリカに代表されるメソポーラス金属酸化物粒子は、約2〜50nmのメソ領域の細孔径を持つ規則的な細孔構造を有し、その細孔構造を利用した応用検討が、高選択性触媒、コントロールリリース技術、色素や酵素の固定化或いは安定化等の分野において広く進められている。また、その粒子形状、サイズを制御することによる新機能にも期待が寄せられている。
一方、シリカ系化合物を分散させた樹脂組成物は、シリカ系化合物が安価、無害(低毒性)、汎用性という観点からだけでなく、高硬度、低屈折率、低誘電率、高透明性等の特性の観点から、ハードコート膜、反射防止膜、低誘電率材等の用途として広く使用されている。例えば、コロイダルシリカを分散させた樹脂組成物のハードコート膜は樹脂単独のものよりも強度が高いことが知られている。
特許文献1には、空隙率が30〜90%であり且つ1次粒子平均径が5〜100nmであるメソポーラスシリカ粒子を含有する低屈折率膜形成用塗料により機械的強度、耐擦傷性、透明性に優れた低屈折率膜を得ることができる、と記載されている。
特許文献2には、 基材、中間層、及び構造体の順に積層された積層体において、中間層に、平均一次粒子径が0.01〜0.2μmであるメソポーラスシリカ粒子を含有させることにより、中間層が密着性や可撓性に優れると共に高耐久性を有することとなる、と記載されている。
特開2004−83307号公報 特開2005−119128号公報
本発明の目的は、樹脂組成物の硬度の向上を図ることである。
本発明の樹脂組成物は、マトリクス樹脂と、該マトリクス樹脂に分散した中空構造を持つメソポーラス金属酸化物粒子と、を含有する。
また、本発明の樹脂組成物は、マトリクス樹脂形成材に中空構造を持つメソポーラス金属酸化物粒子を分散させたものを固化させることにより得られるものである。
本発明の被覆構造は、樹脂被膜で被覆されたものであって、
上記樹脂被膜は、マトリクス樹脂と、該マトリクス樹脂に分散した中空構造を持つメソポーラス金属酸化物粒子と、を含有する樹脂組成物で形成されている。
本発明のコーティング剤は、マトリクス樹脂形成材と、該マトリクス樹脂形成材に分散した中空構造を持つメソポーラス金属酸化物粒子と、を含有する。
本発明によれば、中空構造を持つメソポーラス金属酸化物粒子を分散して含有していることにより、その硬度の向上を図ることができる。
以下、実施形態について詳細に説明する。
(樹脂組成物)
本実施形態に係る樹脂組成物は、マトリクス樹脂とそれに分散した中空構造を持つメソポーラス金属酸化物粒子とを含有する。
この樹脂組成物では、中空構造を持つメソポーラス金属酸化物粒子を分散して含有していることにより、その硬度の向上が図られ、また、優れた透明性を得ることができる。特に、高硬度化の観点からは、メソポーラス金属酸化物粒子のメソ細孔内、更には中空部にもマトリクス樹脂が存在していることが好ましい。これは、マトリクス樹脂がメソポーラス金属酸化物粒子のメソ細孔内や中空部に存在することにより、メソポーラス金属酸化物粒子とマトリクス樹脂との結合、相互作用が強固となるため、樹脂組成物の硬度が向上するものであると推察される。なお、そのような構造は、透過型電子顕微鏡(TEM)により直接観察することができる。
マトリクス樹脂としては、特に問わないが、加熱によって硬化する熱硬化性樹脂、紫外線等の光の照射によって硬化する光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が挙げられ、これらのうち特に熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂が好ましい。マトリクス樹脂は、単一種の樹脂で構成されていても、また、複数の樹脂の混合物で構成されていてもいずれでもよい。
熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂としては、例えば、オルソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂、イソフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂、テレフタル酸系不飽和ポリエステル樹脂、脂環式不飽和酸系不飽和ポリエステル樹脂、脂肪式飽和酸系不飽和ポリエステル樹脂、ビスフェノール系不飽和ポリエステル樹脂、含ハロゲン酸系不飽和ポリエステル樹脂、含ハロゲンビスフェノール系不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
フェノール樹脂としては、例えば、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、スチレン系ブロックコポリマー樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、変性ポリフェニレンエーテル(PEE)樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリサルホン樹脂、非晶アリレート樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリエーテルケトン(PEEK)樹脂、液晶ポリマー樹脂、ポリアミドイミド樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、シンジオ系ポリスチレン樹脂等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、α−オレフィンコポリマー樹脂、ポリブテン−1樹脂、ポリメチルペンテン(PMP)樹脂、環状オレフィン系重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、EMAA樹脂、アイオノマー等が挙げられる。
ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン11、ナイロン12等が挙げられる。
熱可塑性ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリブチレンサクシネート(PBS)樹脂、ポリ乳酸(PLA)樹脂等が挙げられる。
フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、パーフルオロアルコキシアルカン(PFE)樹脂、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(PFA)樹脂、エチレン・テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)樹脂、エチレン・クロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)樹脂、テトラフルオロエチレン・パーフルオロジオキソールコポリマー(TFE/PDD)樹脂、ポリフッ化ビニル(PVF)樹脂等が挙げられる。
マトリクス樹脂の重量平均分子量は、200〜100000であることが好ましく、500〜10000であることがより好ましい。
マトリクス樹脂の含有量は、30〜95質量%であることが好ましく、50〜85質量%であることがより好ましい。
メソポーラス金属酸化物粒子は、金属酸化物を主成分する外殻部を有すると共に、その粒子内部が中空構造に構成され、そして、外殻部に内外を連通する多数の細孔が放射状に形成された構造を有する。なお、メソポーラス金属酸化物粒子の外殻部及び粒子内部の中空構造は、透過型電子顕微鏡(TEM)により確認することができる。また、外殻部を構成する金属酸化物は、水素原子の一部がフッ素原子に置換されていてもよい炭素数1〜22の炭化水素基やフェニレン基等の有機基を有していてもよい。
かかる中空構造を持つメソポーラス金属酸化物粒子としては、例えば、メソポーラスシリカ粒子、メソポーラスチタン酸化物粒子、メソポーラスニオブ酸化物粒子等が挙げられる。また、メソポーラス金属酸化物粒子は、2種以上の金属酸化物の混合物で構成されていてもよい。これらのうちメソポーラスシリカ粒子が好ましいが、用途に応じて、シリカ骨格内にAl、Ti、Nb、P、V、Fe、Co、Mo、Ni、Cu、Zn、Gaなど他の金属元素を含有しているものであってもよい。
メソポーラス金属酸化物粒子の平均細孔径は、1〜10nmであることが好ましく、1.3〜5.0nmであることがより好ましく、1.5〜2.5nmが更に好ましい。メソポーラス金属酸化物粒子は、全体のうち平均細孔径の±30%以内の粒子径を有するものが70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。この平均細孔径及びその分布は、窒素吸着測定で得られる窒素吸着等温線からBJH法により求めることができる。
メソポーラス金属酸化物粒子の平均一次粒子径は、20〜2000nmであることが好ましく、50〜1000nmであることがより好ましく、300〜800nmが更に好ましい。メソポーラス金属酸化物粒子は、全体のうち平均一次粒子径の±30%以内の粒子径を有するものが80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが特に好ましい。この平均一次粒子径及びその分布は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた観察写真において、20〜30個の粒子が含まれる5視野中の全粒子の粒子径を測定することにより求めることができる。
メソポーラス金属酸化物粒子の平均中空部径は、10〜1000nmであることが好ましく、50〜800nmであることがより好ましく、200〜500nmが更に好ましい。この平均中空部径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた観察写真において、20〜30個の粒子が含まれる5視野中の全粒子の中空部径を測定することにより求めることができる。
メソポーラス金属酸化物粒子の平均外殻部厚みは、30〜700nmであることが好ましく、50〜500nmであることがより好ましく、70〜400nmであることがさらに好ましい。この平均外殻部厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた観察写真において、20〜30個の粒子が含まれる5視野中の全粒子の外殻部厚みを測定することにより求めることができる。
平均外殻部厚みの平均一次粒子径に対する比(平均外殻部厚み/平均一次粒子径)は、0.01〜0.6であることが好ましく、0.05〜0.5であることがより好ましく、0.1〜0.4であることがさらに好ましい。
メソポーラス金属酸化物粒子の平均凝集粒子径は、0.1〜10μmであることが好ましく、0.2〜1.0μmであることがより好ましい。この平均凝集粒子径は、レーザー散乱粒度分布計を用いて測定された体積基準換算のメジアン径である。
メソポーラス金属酸化物粒子のBET比表面積は、900〜1500m/gであることが好ましく、1000〜1300m/gであることがより好ましい。このBET比表面積は、比表面積・細孔分布測定装置を用い、多点法でBET比表面積を測定することにより求めることができる。
メソポーラス金属酸化物粒子の含有量は、10〜50質量%であることが好ましく、15〜40質量%であることがより好ましい。
メソポーラス金属酸化物粒子には、粒子内部の中空部分に、炭化水素化合物、エステル化合物、炭素数6〜22の脂肪酸、炭素数6〜22のアルコール、シリコーンオイルなどの油剤、香料成分、農薬用基材、医薬用基材等の機能性材料やカチオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー、両性ポリマー等のポリマーが含まれていてもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、その他に、酸化防止剤、光安定剤、耐電防止剤、核剤、難燃剤、可塑剤、安定化剤、着色剤(顔料、染料)抗菌剤、界面活性剤、高屈折率化合物、カップリング剤、離型剤等を含有していてもよい。また、本実施形態に係る樹脂組成物は、中空構造を持つメソポーラス金属酸化物粒子とともに中空構造を持たないメソポーラス金属酸化物粒子をも含有していてもよいが、性能発現の観点から中空構造を持たないメソポーラス金属酸化物粒子を含まないことが好ましい。
以上のメソポーラス金属酸化物粒子の製造方法としては、例えば、以下の第1及び第2の方法が挙げられる。
第1の方法では、(a)下記一般式(1)及び(2)で表される第四級アンモニウム塩から選ばれる1種以上を例えば0.1〜100ミリモル/Lと、加水分解可能で且つ加水分解速度の異なる2種以上の金属酸化物源を例えば0.1〜100ミリモル/Lと、を含有する水溶液を調製する。
[R(CHN] (1)
[R(CHN] (2)
(式中、R及びRのそれぞれは炭素数4〜22の直鎖状又は分岐状アルキル基を示し、Xは1価陰イオンを示す。)
なお、上記一般式(1)で表されるアルキルトリメチルアンモニウム塩としては、例えば、ブチルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド等が、また、上記一般式(2)で表されるジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、例えば、ジブチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド等がそれぞれ挙げられる。
次いで、上記水溶液を例えば10〜100℃の温度に調温して撹拌する。これにより、メソポーラス金属酸化物粒子が析出し、メソポーラス金属酸化物粒子が分散した分散液が得られる。このようなメソポーラス金属酸化物粒子は、加水分解速度の遅い金属酸化物源が油滴となって、内部まで水が入らずに加水分解反応が妨げられる一方、加水分解速度の速い金属酸化物源がその油滴表面で(a)成分を取り込んだ状態で重合反応が進行し、その後、加水分解の遅い金属酸化物源も徐々に加水分解して脱水縮合反応が進行し、これらによって外殻部が形成されると共に、粒子内部に加水分解で生じたアルコールや脱水縮合反応より排出された水が充填されて析出するものであると考えられる。
そして、上記分散液から分散媒から分離した後のメソポーラス金属酸化物粒子を電気炉等により例えば350〜800℃で例えば1〜10時間程度焼成する。これにより、粒子内部に充填されたアルコールや水が揮散するために中空構造を有するメソポーラス金属酸化物粒子が得られる。
なお、中空メソポーラスシリカ粒子を調製するために、加水分解可能で且つ加水分解速度の異なる2種以上の金属酸化物源としてアルコキシシラン化合物を用いる場合、加水分解速度は、アルコキシ基の炭素数やケイ素原子に結合したアルキル基の炭素数の違い、又は、複数のケイ素原子がアルキレンなどの有機結合によって複数のシラン化合物が結合されている複量体の結合の程度によって違えることができる。例えば次の化合物を挙げることができる。
加水分解速度の速いシリカ源としては、例えば、アルコキシ基の炭素数が1〜3であるテトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等)から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、加水分解速度の遅いシリカ源としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ビストリエトキシシリルメタン、ビストリエトキシシリルエタン等から選ばれる1種以上が挙げられる。
第2の方法では、第1の方法における(a)成分を例えば0.1〜100ミリモル/Lと、(b)加水分解可能な金属酸化物源を例えば0.1〜100ミリモル/Lと、(c)疎水性有機化合物を例えば0.1〜100ミリモル/L、或いは、ポリマーを例えば0.01〜10質量%と、を含有する水溶液を調製する。
次いで、上記水溶液を例えば10〜100℃の温度に調温して撹拌する。これにより、メソポーラス金属酸化物粒子が析出し、メソポーラス金属酸化物粒子が分散した分散液が得られる。このようにメソポーラス金属酸化物粒子が析出するのは、疎水性有機化合物或いはポリマーが油滴となり、金属酸化物源がその油滴表面で(a)成分を取り込んだ状態で重合反応が進行し、これによって外殻部が形成されるものと考えられる。
そして、上記分散液から、ろ過法、遠心分離法等の分離方法により、メソポーラス金属酸化物粒子を分離し、水等により洗浄して乾燥させる。これにより、粒子内部の中空部分に、疎水性有機化合物或いはポリマーを含んだメソポーラス金属酸化物粒子が得られる。
また、上記分散液から分散媒から分離した後のメソポーラス金属酸化物粒子を電気炉等により例えば350〜800℃で例えば1〜10時間程度焼成すれば、粒子内部の疎水性有機化合物或いはポリマーが揮散することにより中空構造有するメソポーラス金属酸化物粒子が得られる。
上記の第2の方法の疎水性有機化合物は、水に対する溶解性が低く、水と分相を形成する化合物を意味する。好ましくは、後述する第四級アンモニウム塩の存在下で分散可能な化合物である。このような疎水性有機化合物としては、LogPOWが1以上、好ましくは2〜25の化合物が挙げられる。ここで、LogPとは、化学物質の1−オクタノール/水分配係数であり、logKOW法により計算で求められた値をいう。具体的には、化合物の化学構造を、その構成要素に分解し、各フラグメントの有する疎水性フラグメント定数を積算して求められる(Meylan, W.M. and P.H. Howard. 1995. Atom/fragment contribution method for estimating octanol-water partition coefficients. J. Pharm. Sci. 84: 83-92参照)。かかる疎水性有機化合物としては、例えば、炭化水素化合物、エステル化合物、炭素数6〜22の脂肪酸、炭素数6〜22のアルコール及びシリコーンオイルなどの油剤や、香料成分、農薬用基材、医薬用基材等の機能性材料を挙げることができる。
また、ポリマーとしては、カチオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー及び両性ポリマーから選ばれる1種以上のポリマーであり、エチレン性不飽和モノマーを乳化重合してなるポリマー粒子が好ましい。また実質的に水不溶性のポリマーが用いられる。
第2の方法で金属酸化物粒子として中空メソポーラスシリカを調製する場合、金属酸化物源であるシリカ源としてシラン化合物を用いることが製造上作りやすく、具体的なシラン化合物として、例えば炭素数1〜4のテトラアルコキシシランを用いることができる。
次に、本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法について説明する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、マトリクス樹脂が熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂の場合、硬化前の液状の樹脂材料をマトリクス樹脂形成材とし、それに中空構造を持つメソポーラス金属酸化物粒子を分散させた後、マトリクス樹脂形成材を硬化させて固化させる方法が挙げられる。
マトリクス樹脂が熱可塑性樹脂の場合、(1)マトリクス樹脂材料を加熱により流動性を有する状態(液状という場合もある)にしたものをマトリクス樹脂形成材とし、それに中空構造を持つメソポーラス金属酸化物粒子を分散させた後に冷却して固化させる方法、(2)マトリクス樹脂材料を揮発性溶媒に溶解させたものをマトリクス樹脂形成材とし、それに中空構造を持つメソポーラス金属酸化物粒子を分散させた後に溶媒を揮発させて固化させる方法、(3)流動性のあるモノマー或いは中間重合物をマトリクス樹脂形成材とし、それに中空構造を持つメソポーラス金属酸化物粒子を分散させた後に重合を開始して固化させる方法、(4)重合中であってまだ固化前の流動性のあるものをマトリクス樹脂形成材とし、それに中空構造を持つメソポーラス金属酸化物粒子を分散させ、重合を完了させて固化させる方法が挙げられる。
なお、本出願において「マトリクス樹脂形成材」とは、一定の条件の下で固化してマトリクス樹脂を形成する流動性を有する材料を意味し、例えば、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂の硬化前の液状の樹脂材料、熱可塑性樹脂材料を加熱により流動性を有する状態にしたもの、熱可塑性樹脂材料を揮発性溶媒に溶解させたもの、熱可塑性樹脂の重合前物質或いは重合途中物質等が含まれる。
上記の樹脂組成物の製造方法によれば、マトリクス樹脂が少なくとも一部の中空メソポーラス金属酸化物粒子の中空部に進入した状態となって高硬度化するものと推測される。中空メソポーラス金属酸化物粒子の中空部へのマトリクス樹脂の進入が容易となるという観点からは、マトリクス樹脂形成材が反応を伴って固化することが好ましく、従って、樹脂組成物の製造方法としては、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂の硬化前の液状の樹脂材料でマトリクス樹脂形成材を構成する方法、及び、熱可塑性樹脂の重合前物質或いは重合途中物質でマトリクス樹脂形成材を構成する方法が好ましい。
また、その他に、上記の中空メソポーラス金属酸化物粒子の第2の調製方法において、マトリクス樹脂形成材を油滴として、その油滴表面で第4級アンモニウム塩を取り込んだ状態で金属酸化物源を重合させ、マトリクス樹脂形成材を中空部に含有するメソポーラス金属酸化物粒子を得、焼成することなく、マトリクス樹脂形成材を既に内包した該金属酸化物粒子とマトリックス樹脂形成材とを、混合し固化させることにより樹脂組成物を製造してもよい。
樹脂組成物を特定形態に形成する場合や樹脂組成物を被覆用途に使用する場合は、流動性ないし可撓性を有する状態で成形加工等することが好ましい。
この樹脂組成物を用いれば、当該樹脂組成物で形成された樹脂被膜で被覆された被覆構造を構成することができる。被覆構造は、その用途に依存し、単層でも多層構造でもよく、また、基材の無い自立膜でもよいが、被覆構造の構造安定性の観点から、基材を持つ被覆構造が好ましい。基材の形態もその用途に依存し、基板、ベースフィルム、粒子、繊維などいずれの形態でもよいが、汎用性の観点から、基板、ベースフィルムが好ましい。また基材の材質もその用途に依存し、ガラス、アルミナ、金属、グラファイト、樹脂などいずれの材質でもよいが、汎用性の観点から、ガラス、金属、樹脂が好ましい。
かかる樹脂皮膜で被覆された被覆構造は、汎用性の観点から透明であることが好ましく、例えば、実施例記載の方法で求めたヘイズ値が30%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、10%以下が更に好ましい。また、基材の種類、材質や用途などにも依存するが、かかる樹脂皮膜で被覆された被覆構造は、高硬度であることが好ましく、例えば、実施例記載の方法で求めた鉛筆硬度が4H以上が好ましく、6H以上がより好ましい。
かかる樹脂被膜で被覆された被覆構造は、樹脂被膜に高硬度が要求される用途に適用することができる。また、それに加えて、例えば、メソポーラス金属酸化物がメソポーラスシリカの場合、低屈折率、低誘電率や低熱膨張率が要求される用途等に適用することができる。かかる樹脂被膜で被覆された被覆構造として、具体的には、例えば、被塗装表面の塗装被膜をこの樹脂被膜で構成した構造、レンズ表面のハードコート膜や反射防止膜をこの樹脂被膜で構成した構造、電子部品材料の層間絶縁膜や封止材をこの樹脂被膜で構成した構造等が挙げられる。
そして、上記のような被覆構造を形成するには、液状のマトリクス樹脂形成材と、それに分散した中空構造を持つメソポーラス金属酸化物粒子と、を含有するコーティング剤を用いればよい。具体的には、被覆表面に当該コーティング剤を塗布し、乾燥乃至加熱、光照射すればよい。当該コーティング剤の塗布は、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、スプレー法、グラビアコート法等、常法に従い行うことができる。また、乾燥乃至加熱の温度は、被覆構造の組成、材質や用途にも依存するが、生産性、生産容易性の観点から室温〜300℃が好ましく、50℃〜200℃がより好ましく、70℃〜130℃が更に好ましい。
当該コーティング剤に含まれる中空構造を持つメソポーラス金属酸化物の濃度は、塗布容易性や得られる被覆構造の性能の観点から、0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜40質量%がより好ましく、0.7〜30質量%が更に好ましい。また、当該コーティング剤には溶媒(分散媒)が含まれていてもよく、樹脂の種類などにも依存するが、アルコール溶媒が好ましい。
当該コーティング剤を製造するには、液状のマトリクス樹脂形成材と中空構造を持つメソポーラス金属酸化物粒子とを磁気攪拌、ブレード攪拌、ホモミキサーなどの常法に従い、均一に混合すればよい。得られる樹脂組成物の性能発現の観点から、メソポーラス金属酸化物のメソ細孔や中空部までマトリクス樹脂形成材を浸入させることが好ましく、従って、混合時間は0.5時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。また、脱気処理などにより、メソポーラス金属酸化物のメソ細孔や中空部へのマトリクス樹脂形成材が浸入を促進させてもよい。
コーティング剤は、その他に、酸化防止剤、光安定剤、耐電防止剤、核剤、難燃剤、可塑剤、安定化剤、着色剤(顔料、染料)、抗菌剤、界面活性剤、高屈折率化合物、カップリング剤、離型剤等を含有していてもよい。
(各種測定等の方法)
本実施例における各種測定等の方法は以下の通りである。
<粉末X線回折(XRD)パターンの測定>
粉末X線回折装置(理学電機工業社製 商品名:RINT2500VPC)を用い、X線源:Cu-kα、管電圧:40mA、管電流:40kV、サンプリング幅:0.02°、発散スリット:1/2°、発散スリット縦:1.2mm、散乱スリット:1/2°、及び受光スリット:0.15mmの条件で粉末X線回折測定を行った。走査範囲を回折角(2θ)1〜20°、走査速度を4.0°/分とした連続スキャン法を採用した。なお、測定は、粉砕した試料をアルミニウム板に詰めて行った。
<平均一次粒子径、平均中空部径、及び平均外殻部厚みの測定>
透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子社製 商品名:JEM−2100)を用い、加速電圧160kVで粒子の観察を行った。20〜30個の粒子が含まれる5視野中の全粒子の直径、中空部径、及び外殻部厚みを写真上で実測し、平均一次粒子径、平均中空部径、及び平均外殻部厚みを求めた。なお、観察は、高分解能用カーボン支持膜付きCuメッシュ(応研商事社製 200−Aメッシュ)に付着させた試料から余分なものをブローで除去したものを用いて行った。
<粒子形状の観察>
電解放射型高分解能走査型電子顕微鏡(日立製作所社製 商品名:FE−SEM S−4000)を用いて粒子形状の観察を行った。
<BET比表面積及び平均細孔径の測定>
比表面積・細孔分布測定装置(島津製作所社製 商品名:ASAP2020)を用い、液体窒素を用いた多点法でBET比表面積を測定し、パラメータCが正になる範囲で値を導出した。BET比表面積の導出にはBJH法を採用し、そのピークトップを平均細孔径とした。試料には、250℃の温度条件で5時間の前処理を施した。
<平均凝集粒子径の測定>
レーザー散乱粒度分布計(堀場製作所社製 商品名:LA−920)を用い、相対屈折率1.06、超音波強度7、超音波照射時間1分、循環速度4、分散媒をエタノールとした条件で室温にて測定し、体積基準換算のメジアン径を平均凝集粒子径とした。
(メソポーラスシリカの作製)
<中空メソポーラスシリカ>
2L−セパラフルフラスコに、イオン交換水600部と、メタクリル酸メチル99.5部と、塩化メタクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム0.5部と、を入れ、内温70℃まで昇温させた。
次いで、これに、水溶性開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(和光純薬社製 商品名:V−50)0.5部をイオン交換水5部に溶かした溶液を添加し、3時間加熱撹拌を行った。
その後、さらに75℃で3時間加熱撹拌を行って冷却した後、得られた混合液から凝集物を200メッシュ濾過(目開き約75μm)し、カチオン性ポリマー粒子の懸濁液(固形分(有効分)含有量14%、平均一次粒子径270nm)を得た。
そして、10Lフラスコに、水6000gと、メタノール2000gと、1M水酸化ナトリウム水溶液45gと、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド35gと、上記で作製したカチオン性ポリマー粒子の懸濁液33gとを入れて撹拌した。
次いで、その水溶液に、テトラメトキシシラン34gをゆっくりと加え、5時間撹拌した後、12時間熟成させた。
次いで、得られた白色沈殿物を、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過した後、10Lの水で洗浄し、100℃の温度条件で5時間乾燥した。
続いて、得られた乾燥粉末を、焼成炉(モトヤマ社製 商品名:スーパーバーン)を用いて、エアーフロー(3L/min)しながら1℃/分の速度で600℃まで昇温し、600℃の温度条件で2時間焼成することにより有機成分を除去した。
そして、得られた焼成粉末を、ロータースピードミル(FRITSCH社製 商品名:pulverisettel4)を用いて、乾式解砕(20000rpmで孔径0.2mmスクリーンをパス)することにより、中空メソポーラスシリカ粉末を得た。
この中空メソポーラスシリカ粉末について、粉末X線回折(XRD)のパターンにおける、d=3.0nmの非常に強いXRDピーク、d=1.7nm及びd=1.5nmの弱いXRDピークにより、この中空メソポーラスシリカ粉末のメソ細孔がヘキサゴナル配列を持つことが分かった。
また、SEM観察より、この中空メソポーラスシリカの粒子形状が球状であることが分かった。
さらに、TEM観察より、この中空メソポーラスシリカが中空構造を持ち、平均一次粒子径が590nm、平均中空部径が270nm、平均外殻部厚みが160nmであり、外殻部がヘキサゴナル配列を示す均一なメソ細孔を有し、そのメソ細孔が中空部から粒子外へ放射状に貫通していることが分かった。
また、この中空メソポーラスシリカは、BET比表面積が1120m/g、平均細孔径が1.5nm、平均凝集粒子径が0.70μmであった。
<中実メソポーラスシリカ>
カチオン性ポリマー粒子を添加しなかった以外は上記の中空メソポーラスシリカの作製方法と同様にして、中空構造を有さない中実メソポーラスシリカ粉末を作製した。
この中実メソポーラスシリカ粉末について、粉末X線回折(XRD)のパターンにおける、d=3.0nmの非常に強いXRDピーク、d=1.7nm及びd=1.5nmの弱いXRDピークにより、この中実メソポーラスシリカ粉末のメソ細孔がヘキサゴナル配列を持つことが分かった。
また、SEM観察より、この中実メソポーラスシリカの粒子形状が球状であることが分かった。
さらに、TEM観察より、この中実メソポーラスシリカが中空構造を有さずに中実構造を持ち、平均一次粒子径が500nmであり、ヘキサゴナル配列を示す均一なメソ細孔を有し、そのメソ細孔が粒子中心から粒子外へ放射状に貫通していることが分かった。
また、この中実メソポーラスシリカは、BET比表面積が1200m/g、平均細孔径が1.5nm、平均凝集粒子径が0.65μmであった。
<不定形メソポーラスシリカ>
1Lテフロン容器中に水386gを入れ、その水にドデシルトリメチルアンモニウムブロミド113gと水酸化ナトリウム5.8gとを溶解させた後、この溶液に室温条件で攪拌しながらコロイダルシリカ(日産化学社製 商品名:スノーテックス20)153gを7分かけて滴下した。
次いで、さらに40℃の温度条件で3時間攪拌した後、オートクレーブを用いて140℃の温度条件で44時間熟成を行った。
次いで、得られた白色沈殿物を、ろ紙(No.2)でろ過した後、5Lの水で洗浄し、100℃の温度条件で7時間乾燥した。
続いて、得られた乾燥粉末を、焼成炉(モトヤマ社製 商品名:スーパーバーン)を用いて、エアーフロー(3L/min)しながら5℃/分の速度で600℃まで昇温し、600℃の温度条件で6時間焼成することにより有機成分を除去した。
そして、得られた焼成粉末を、乳鉢にて軽く解砕することにより、不定形メソポーラスシリカを作製した。
この不定形メソポーラスシリカ粉末について、粉末X線回折(XRD)のパターンにおける、d=3.4nmの非常に強いXRDピーク、d=2.0nm及びd=1.7nmの弱いXRDピークにより、この不定形メソポーラスシリカ粉末のメソ細孔がヘキサゴナル配列を持つことが分かった。
また、SEM観察より、この不定形メソポーラスシリカが不定形粒子の凝集体であることが分かった。
さらに、この不定形メソポーラスシリカは、BET比表面積が1100m/g、平均細孔径が2.0nm、平均凝集粒子径が56μmであった。
(コーティング剤の調整及び樹脂被膜の形成)
<実施例1>
室温条件で攪拌下、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レダウコーニング社製)252gとテトラエトキシシラン(東レダウコーニング社製)41gとに、メタノール(和光純薬社製)148gを混合した後、0.01mol/L塩酸(和光純薬社製)103gを30分かけて滴下し、さらに室温条件で24時間攪拌することによりアルコキシシランの酸加水分解を行った。
次いで、この酸加水分解液に、メタノール(和光純薬社製)347gと2−エトキシエタノール(和光純薬社製)103gとシリコーン系界面活性剤(東レダウコーニング社製 商品名:Silwet L-7001)0.44gと硬化触媒アセチルアセトンアルミニウム(和光純薬社製)4.43gとを混合し、さらに室温条件で1時間攪拌を行って液状のシラン系マトリクス樹脂形成材を調製した。
一方、超音波を10分照射して上記中空メソポーラスシリカ0.5gをメタノール9.5gに分散させたメタノール分散液を得た。
そして、室温条件で攪拌下、上記シラン系マトリクス樹脂形成材1.06gにこのメタノール分散液0.20gを添加し、5時間攪拌することにより中空メソポーラスシリカを含有するシラン系コーティング剤を調製した。
このシラン系コーティング剤を、エタノール洗浄したアクリル樹脂基板(アズワン社製 50×25×3mm)上にスピンコーター(エイブル社製)を用いてスピンコート(1000rpm、30秒)した後、75℃の温度条件で20分、さらに110℃の温度条件で1時間加熱して硬化させることにより、中空メソポーラスシリカを30質量%含有するシラン系樹脂被膜を作製した。
<比較例1>
中空メソポーラスシリカの代わりに上記中実メソポーラスシリカを用いた以外は実施例1と同様にしてシラン系樹脂被膜を作製した。
<比較例2>
中空メソポーラスシリカの代わりに上記不定形メソポーラスシリカを用いた以外は実施例1と同様にしてシラン系樹脂被膜を作製した。
<比較例3>
中空メソポーラスシリカの代わりに市販のコロイダルシリカ(日産化学社製 メタノールシリカゾル)を用いた以外は実施例1と同様にしてシラン系樹脂被膜を作製した。
<比較例4>
中空メソポーラスシリカを配合しなかった以外は実施例1と同様にして、シラン系樹脂被膜を作製した。
<実施例2>
4−ビニルシクロヘキセンジオキシド(ポリサイエンス社製 商品名:ERL4206)10g、エポキシ樹脂(ポリサイエンス社製 商品名:DER736)4.0g、ノネニル無水コハク酸(ポリサイエンス社製 商品名:NSA)26gの混合溶液に2−ジメチルアミノエタノール(ポリサイエンス社製 商品名:DMAE)0.40gを添加、室温で5分攪拌して液状のエポキシ系マトリクス樹脂形成材を調製した。
エポキシ系マトリクス樹脂形成材1.2gと上記中空メソポーラスシリカ粉末0.30gを室温下、1時間攪拌することにより、中空メソポーラスシリカを20質量%含有するエポキシ樹脂コーティング剤を調製した。
上記中空メソポーラスシリカを含有するエポキシ樹脂コーティング剤を、アセトン洗浄したスライドガラス(マツナミ社製 商品名:S1111、76×52×1.3mm)上にスピンコーター(エイブル社製)を用いてスピンコート(1000rpm、30秒)した後、70℃の温度条件で1日、さらに100℃の温度条件で5日間加熱して硬化させることにより、中空メソポーラスシリカを含有するエポキシ樹脂被膜を作製した。
<比較例5>
中空メソポーラスシリカの代わりに上記中実メソポーラスシリカを用いた以外は実施例2と同様にしてエポキシ樹脂被膜を作製した。
<比較例6>
中空メソポーラスシリカの代わりに上記不定形メソポーラスシリカを用いた以外は実施例2と同様にしてエポキシ樹脂被膜を作製した。
<比較例7>
中空メソポーラスシリカの代わりに市販の球状シリカ粉末(触媒化成社製 商品名:COSMO55)を用いた以外は実施例2と同様にしてエポキシ樹脂被膜を作製した。
<比較例8>
中空メソポーラスシリカを配合しなかった以外は実施例2と同様にしてエポキシ樹脂被膜を作製した。
(試験評価方法及びその結果)
<試験方法>
−成膜性−
上記実施例1及び2並びに比較例1〜8のそれぞれについて、樹脂被膜の均一性を目視で判断した。そして、外観上、均一である場合を○、不均一である場合を×とした。
−鉛筆硬度−
上記実施例1及び2並びに比較例1〜8のそれぞれについて、JIS K−5400に従い、傷がつかないときの最高の鉛筆硬度を調べた。
−ヘイズ値−
上記実施例1及び比較例1〜4のそれぞれについて、JIS−K7105に規定される積分球式光線透過率測定装置(村上色材研究所社製 商品名:反射透過計HR−100)を用いてヘイズ値を測定した。
<試験評価結果>
試験評価結果を表1に示す。
Figure 2009062403
表1によれば、中空メソポーラスシリカを含有する実施例1及び2、中実メソポーラスシリカを含有する比較例1及び5、並びにシリカゾルを含有する比較例3及び7の樹脂被膜は、成膜性が優れるのに対し、不定形メソポーラスシリカを含有する比較例2及び6並びにシリカを含有しない比較例4及び8の樹脂被膜は、成膜性が劣ることが分かる。
中空メソポーラスシリカを含有する実施例1の樹脂被膜は、鉛筆硬度が6Hであるのに対し、中空メソポーラスシリカを含有しない比較例1〜4は、鉛筆硬度が5H、4H、4H、及び4Hである。また、中空メソポーラスシリカを含有する実施例2の樹脂被膜は、鉛筆硬度が4Hであるのに対し、中空メソポーラスシリカを含有しない比較例5〜8は、鉛筆硬度が3H、2H、2H、及びHBである。従って、中空メソポーラスシリカを含有する実施例の樹脂被膜は、中空メソポーラスシリカを含有しない比較例の樹脂被膜よりも高硬度であることが分かる。
中空メソポーラスシリカを含有する実施例1の樹脂被膜及び中空メソポーラスシリカを含有しない比較例1、3及び4の樹脂被膜は、ヘイズ値が5%、4%、3%、及び3%であって、透明性が優れるのに対し、比較例2の樹脂被膜は、ヘイズ値が42%であって、透明性が劣ることが分かる。
本発明は、樹脂組成物及びそれを用いた被覆構造、並びにコーティング剤について有用である。

Claims (8)

  1. マトリクス樹脂と、該マトリクス樹脂に分散した中空構造を持つメソポーラス金属酸化物粒子と、を含有する樹脂組成物。
  2. 上記メソポーラス金属酸化物粒子がメソポーラスシリカ粒子である請求項1に記載された樹脂組成物。
  3. 上記メソポーラス金属酸化物粒子の平均細孔径が1〜10nmである請求項1又は2に記載された樹脂組成物。
  4. 上記メソポーラス金属酸化物粒子の含有量が10〜50質量%である請求項1乃至3のいずれかに記載された樹脂組成物。
  5. 上記マトリクス樹脂が熱硬化性樹脂である請求項1乃至4のいずれかに記載された樹脂組成物。
  6. マトリクス樹脂形成材に中空構造を持つメソポーラス金属酸化物粒子を分散させたものを固化させることにより得られる樹脂組成物。
  7. 樹脂被膜で被覆された被覆構造であって、
    上記樹脂被膜は、マトリクス樹脂と、該マトリクス樹脂に分散した中空構造を持つメソポーラス金属酸化物粒子と、を含有する樹脂組成物で形成されている被覆構造。
  8. マトリクス樹脂形成材と、該マトリクス樹脂形成材に分散した中空構造を持つメソポーラス金属酸化物粒子と、を含有するコーティング剤。
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