JP2009059958A - シリコン基板の加工方法及び液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents

シリコン基板の加工方法及び液体噴射ヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シリコン基板に凹部或いは溝をエッチングにより比較的簡単に形成することができるシリコン基板の加工方法及び液体噴射ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】シリコン基板の表面に保護膜51を形成し、保護膜51の表層をレーザ光を照射して加工することにより凹部115が形成される領域内に加工部52を形成し、加工部52を有する保護膜51が形成されたシリコン基板をエッチング液に浸漬することにより、シリコン基板に凹部115を形成する。
【選択図】図6

Description

本発明は、エッチング液を用いて異方性エッチングすることでシリコン基板を加工するシリコン基板の加工方法及び液滴を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法に関する。
従来から、例えば、圧電素子等の圧力発生手段によって圧力発生室内の液体に圧力を付与することで、ノズルから液滴を吐出する液体噴射ヘッドが知られており、その代表例としては、液滴としてインク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドが挙げられる。そして、このインクジェット式記録ヘッドとしては、圧力発生室が形成された流路形成基板の一方面側に圧電素子等の圧力発生手段が設けられると共に、流路形成基板の他方面側にノズルが穿設されたノズルプレートが接合されたものが知られている。
またこのようなインクジェット式記録ヘッドを構成する部材、例えば、流路形成基板(流路形成板)は、シリコン単結晶基板によって形成されている。具体的には、流路形成基板は、シリコンウェハに複数一体的に形成された後、このシリコンウェハを分割することによって形成されている(例えば、特許文献1参照)。
そして、このようなシリコンウェハには、一般的に、個々のウェハを識別するための識別ナンバーが印字されている。この識別ナンバーは、例えば、シリコンウェハをレーザ加工によって形成された複数の凹部で構成されている。また、識別ナンバーは、例えば、けがき針等によってシリコンウェハに傷を付けることで連続的に印字される。
例えば、流路形成基板には、その厚さ方向に貫通する圧力発生室を含む流路が形成されているが、このような流路は次のように形成される。まず流路形成基板となるシリコンウェハの表面に保護膜を形成し、次いでこの保護膜をレジスト膜等を用いてエッチングすることで、流路に対向する領域に開口部を形成する。そして、この開口部を有する保護膜をマスクとしてシリコンウェハをエッチング液によって異方性エッチングすることで上記流路を形成している。
特開2004−181947号公報
上述したように保護膜に開口部を形成する際、シリコンウェハ(保護膜)の全面にレジストを塗布するが、表面に識別ナンバーが印字されていると、その部分にはレジストが塗布されないことがある。すなわち、識別ナンバーを構成する凹部、或いは溝は比較的小さいため、これら凹部又は溝の内部にまでレジストが入り込まないことがある。このような場合、保護膜に開口部を形成する際に識別ナンバー部分の保護膜もエッチングされてしまう。したがって、保護膜をマスクとしてシリコンウェハをエッチングして流路を形成する際、識別ナンバー部分のシリコンウェハもエッチングされてしまう。このため、識別ナンバーとして機能しなくなるという問題がある。すなわち、シリコンウェハがエッチングされることによって文字がつぶれてしまい視認性が低下してしまうという問題がある。
ところで、例えば、流路形成基板にはノズルプレートが接着剤によって接合されている。このため、流路形成基板のノズルプレートとの接合面には、余分な接着剤を流れ込ませるための逃げ溝が形成されている場合がある。この逃げ溝は、一般的には、圧力発生室等の流路と同様に、保護膜をマスクとして流路形成基板(シリコンウェハ)を異方性エッチングすることによって形成されている。このような手順で形成することで、逃げ溝を高精度に形成することができるが、逃げ溝は圧力発生室等の流路ほど高精度に形成する必要はない。流路形成基板に逃げ溝を形成する場合には、流路と同時に形成することができるため特に問題にはならないが、高い加工精度を必要としない逃げ溝を単独で形成するには製造工程が煩雑過ぎるという問題がある。
勿論、逃げ溝に限らず、あらゆる凹部、或いは溝の形成において、このような問題は存在する。さらにこのような問題は、液体噴射ヘッドの製造方法だけでなく、シリコン基板を加工する場合には、同様に存在する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、シリコン基板に凹部或いは溝をエッチングにより比較的簡単に形成することができるシリコン基板の加工方法及び液体噴射ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、表面が(110)面であるシリコン基板をエッチング液で異方性エッチングすることにより当該シリコン基板に凹部を形成するシリコン基板の加工方法であって、前記シリコン基板の表面に保護膜を形成する工程と、前記保護膜の表層をレーザ光を照射して加工することにより前記凹部が形成される領域内に加工部を形成する工程と、前記加工部を有する前記保護膜が形成された前記シリコン基板を前記エッチング液に浸漬して前記シリコン基板に前記凹部を形成する工程とを有することを特徴とするシリコン基板の加工方法にある。
かかる本発明では、保護膜をマスクとしてシリコン基板を異方性エッチングすることによって凹部を形成する際、例えば、レジスト膜等を形成して保護膜をパターニングする必要がなくなるため、製造工程が簡略化される。
ここで、前記加工部を前記凹部の開口に内接する大きさで形成することが好ましい。加工部の大きさに応じてシリコン基板がエッチングされる領域が決まり、加工部を上記のような大きさで形成することで、凹部の寸法精度が向上する。
また、前記保護膜を形成する工程後に、前記保護膜上にレジスト膜を形成すると共に該レジスト膜をマスクとしてエッチングすることにより前記保護膜に開口部を形成する工程をさらに有し、前記シリコン基板を前記エッチング液に浸漬する工程が、前記開口部が形成された前記保護膜をマスクとして前記シリコン基板をエッチングする工程であることが好ましい。これにより、開口部を有する保護膜をマスクとしたシリコン基板のエッチングと同時に、凹部が形成される。つまり、凹部を形成するための新たな工程を設ける必要がなく、製造工程が煩雑化することがない。
また、前記保護膜が酸化シリコン膜であることが好ましい。これにより、保護膜の加工部をエッチング液によって確実に除去して凹部を形成することができる。
また前記エッチング液が水酸化カリウム水溶液であることが好ましい。これにより、保護膜の加工部をより確実に除去して凹部をさらに良好に形成することができる。
また前記レーザ光が、YAGレーザであることが好ましい。これにより、保護膜に加工部を比較的容易に形成することができる。
このような本発明の加工方法により、具体的には、前記シリコン基板の表面に複数の前記凹部からなる識別ナンバーを印字する。これにより、識別ナンバーを良好に形成することができる。本発明の加工方法では、凹部の加工精度はそれほど高くはないが、高い加工精度が要求されない識別ナンバーであれば、良好に形成することができる。
また前記シリコン基板が他の基板に接着剤によって接着される部材を構成するものである場合、本発明の加工方法により、具体的には、前記接着剤の逃げ溝としての前記凹部を形成する。上記逃げ溝も、高い加工精度が要求されないため、本発明の加工方法によって比較的容易且つ良好に形成することができる。
さらに本発明は、表面が(110)のシリコン基板からなり、ノズルに連通すると共に当該ノズルから液滴を噴射するための圧力が付与される圧力発生室が形成された流路形成基板を少なくとも具備する液体噴射ヘッドの製造方法であって、上述したシリコン基板の加工方法によって前記流路形成基板を加工することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法にある。
かかる本発明では、流路形成基板に、例えば、識別ナンバー、或いは接着剤の逃げ溝等を構成する凹部を比較的容易且つ良好に形成することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る製造方法によって製造されるインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及び断面図である。
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では結晶面方位が(110)であるシリコン単結晶基板からなり、その一方面には酸化膜からなる弾性膜50が形成されている。流路形成基板10には、隔壁11によって区画された複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。
また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向一端部側には、隔壁11によって区画され各圧力発生室12に連通するインク供給路13と連通路14とが設けられている。さらに、連通路14の外側には、各連通路14と連通する連通部15が設けられている。この連通部15は、後述する保護基板30のリザーバ部32と連通して、各圧力発生室12の共通のインク室(液体室)となるリザーバ100の一部を構成する。
ここで、インク供給路13は、圧力発生室12よりも狭い断面積となるように形成されており、連通部15から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。例えば、本実施形態では、インク供給路13は、リザーバ100と各圧力発生室12との間の圧力発生室12側の流路を幅方向に絞ることで、圧力発生室12の幅より小さい幅で形成されている。なお、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。各連通路14は、圧力発生室12の幅方向両側の隔壁11を連通部15側に延設してインク供給路13と連通部15との間の空間を区画することで形成されている。
流路形成基板10の開口面側には、複数のノズル21が穿設されたノズルプレート20が、例えば、接着剤からなる接着層25によって接合されており、各ノズル21は、各圧力発生室12のインク供給路13とは反対側の端部近傍にそれぞれ連通している。このノズルプレート20は、例えば、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板、ステンレス鋼などからなる。なお接着層25は、例えば、熱溶着フィルム等で構成されていてもよい。
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側の面には、上述したように弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、弾性膜50とは異なる材料の酸化膜からなる絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には下電極膜60と、圧電体層70と、上電極膜80とからなる圧電素子300が形成されている。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。本実施形態では、下電極膜60を圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。なお、各圧電素子300の上電極膜80には、例えば、金(Au)等からなるリード電極90がそれぞれ接続され、このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっている。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上には、圧電素子300を接合するための圧電素子保持部31を有する接合基板である保護基板30が、例えば、接着層35によって接合されている。なお、圧電素子保持部31によって画成される空間は、密封されていても、密封されていなくてもよい。また、保護基板30には、複数の圧力発生室12に供給するインクが貯留されるリザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部32が設けられている。このリザーバ部32は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部15と連通されてリザーバ100を構成している。なお、流路形成基板10の連通部15を圧力発生室12毎に複数に分割して、リザーバ部32のみをリザーバとしてもよい。さらに、例えば、流路形成基板10に圧力発生室12のみを設け、流路形成基板10と保護基板30との間に介在する部材(例えば、弾性膜50、絶縁体膜55等)にリザーバと各圧力発生室12とを連通するインク供給路13を設けるようにしてもよい。また、保護基板30には、その厚さ方向に貫通する露出孔33が設けられており、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、この露出孔33内に露出されている。このような保護基板30としては、流路形成基板10と同一の材料である、シリコン単結晶基板を用いている。
さらに、このような保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する有機材料からなり、この封止膜41によってリザーバ部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっており、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段と接続されたインク導入口からインクを取り込み、リザーバ100からノズル21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路(図示なし)からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し圧電素子300を撓み変形させることによって、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル21からインク滴が吐出される。
ここで、このようなインクジェット式記録ヘッドを構成する、例えば、流路形成基板10は、上述したように表面が(110)面であるシリコン単結晶基板からなる。具体的には、例えば、図3に示すように、6インチ程度のシリコンウェハである流路形成基板用ウェハ110に複数一体的に形成された後、すなわち、流路形成基板用ウェハ110をエッチング液によって異方性エッチングすることにより、圧力発生室12、インク供給路13、連通路14及び連通部15を複数形成した後、流路形成基板用ウェハ110を分割することによって形成されている。
そして、このような流路形成基板用ウェハ110には、個々のウェハを識別するための識別ナンバーが印字されるが、例えば、圧力発生室12等の流路を形成することで視認性が低下してしまう虞がある。このため、本実施形態では、圧力発生室12等の流路の形成と同時に、流路形成基板用ウェハをエッチングすることによって識別ナンバーを印字するようにした。この識別ナンバー(「A01」)は、例えば、図4の拡大図に示すように、複数の凹部115によって構成されており、これら各凹部115は、流路形成基板用ウェハ110を異方性エッチングすることによって形成されている。
以下、上述したインクジェット式記録ヘッドの製造方法、特に、流路形成基板用ウェハ110をエッチングすることにより圧力発生室12等の流路を形成すると共に、識別ナンバーを構成する各凹部115を形成する方法について説明する。なお、圧力発生室12等の流路は、実際には、流路形成基板用ウェハ110上に圧電素子300を形成し、流路形成基板用ウェハ110に、保護基板30が複数一体的に形成された保護基板用ウェハ130を接合した後に形成されるが、これらの工程は従来の製造方法と同様であるため、説明は省略する。
流路形成基板用ウェハ110に圧力発生室12等の流路を形成する工程としては、まず図5(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の圧電素子300とは反対側の面に、二酸化シリコンからなる保護膜51を形成する。次いで、図5(b)及び図6に示すように、識別ナンバーを構成する各凹部115が形成される領域の保護膜51の表層に、レーザ加工により加工部52を形成する。つまり、保護膜51の表面にレーザ光200を照射することにより、保護膜51が変質した変質層である加工部52を形成する。この加工部52は、凹部115が形成される領域内に形成されていればよいが、凹部115の開口に内接する大きさで形成されていることが好ましい。例えば、本実施形態では、凹部115の開口に内接する大きさの加工部52をリング状に形成した。また、レーザ光200の種類は特に限定されないが、例えば、YAGレーザが好適に用いられる。
次いで、図5(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の全面、すなわち保護膜の全面にレジストを塗布してレジスト膜210を形成する。上記加工部52は、保護膜51の表層に形成されているため、この加工部52上にもレジストは確実に塗布される。そして、このレジスト膜210を露光・現像することにより、流路形成基板用ウェハ110の圧力発生室12等の流路が形成される領域に所定形状の開口211を形成する。次いで、このレジスト膜210をマスクとして保護膜51をエッチングすることにより、図7(a)に示すように、圧力発生室12等の流路が形成される領域に開口部53を形成して、流路形成基板用ウェハ110の表面を露出させる。その後、レジスト膜は除去する(図7(b))。
次に、図7(c)に示すように、保護膜51をマスクとして流路形成基板用ウェハ110をエッチングすることにより、圧力発生室12等の流路を形成する。具体的には、流路形成基板用ウェハ110を、例えば、水酸化カリウム水溶液(KOH水溶液)等の所定のエッチング液によって異方性エッチングすることによって、圧力発生室12、インク供給路13、連通路14及び連通部15を形成する。このとき、同時に、識別ナンバーを構成する各凹部115も形成される。
流路形成基板用ウェハ110をKOH水溶液等のエッチング液によってエッチングする際、保護膜51はマスクとして機能する。すなわち、保護膜51はこのエッチング液によるエッチングレートが極めて遅く実質的にエッチングされることがない。しかしながら、保護膜51が変質した変質層である加工部52は、上記エッチング液によっても選択的にエッチングされ、図8に示すように、各凹部115が形成される領域の保護膜51には、略円形の開口部54が形成されて流路形成基板用ウェハ110の表面が露出される。その後、この開口部54を介して流路形成基板用ウェハ110がエッチングされて複数の凹部115が形成される。すなわち、流路形成基板用ウェハ110をエッチングして圧力発生室12等の流路を形成する間に、保護膜51の加工部52及び流路形成基板用ウェハの一部が除去されて凹部115が形成される(図7(c))。
詳しくは、流路形成基板用ウェハ110は、上述したように表面が(110)面であるシリコン単結晶基板である。このため、上述したように略円形の開口部54を介してエッチングが開始された場合でも、図9に示すように、(110)面に垂直な第1の(111)面116と、この第1の(111)面と所定角度で交差する第2の(111)面117とが露出されながらエッチングが進んで凹部115が形成される。例えば、本実施形態では、略円形の開口部53を介して流路形成基板用ウェハ110をエッチングしているため、各凹部115は、第1の(111)面116及び第2の(111)面117と、これら第1及び第2の(111)面116,117と所定角度で交差する面118とで構成されている。
その後、流路形成基板用ウェハ110上の保護膜51を、例えば、フッ酸等により除去することで、流路形成基板用ウェハ110の外周部には、複数の凹部115からなる識別ナンバーが印字されることになる(図4参照)。
以上説明したように本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110に圧力発生室12等の流路を形成する際に、複数の凹部115からなる識別ナンバーを印字するようにしたので、圧力発生室12等の流路を形成した後であっても文字がつぶれることがない。また識別ナンバーの文字サイズを比較的大きくすることができる。したがって、識別ナンバーの視認性が向上する。また本実施形態に係る加工方法では、圧力発生室12等の流路を形成する際に、保護膜51にレーザ加工により加工部52を形成する工程のみを追加することで、製造工程を煩雑化することなく各凹部115を良好に形成することができる。
上記のような開口形状の凹部115を形成する場合、通常は、凹部115の開口形状と略一致する開口部を保護膜51に形成した上で流路形成基板用ウェハ110をエッチングすることによって形成していたが、本発明の加工方法では、保護膜51に加工部52を形成するだけでよく、製造効率が大幅に向上する。
なおこのような方法で形成した各凹部115の加工精度は、圧力発生室12等の加工精度に比べると若干劣る場合がある。しかしながら、識別ナンバーを構成する凹部115には、圧力発生室12ほどの加工精度は必要ない。したがって、凹部115は、上述の加工方法によっても良好に形成することができる。勿論、レーザ加工によって加工部52を極めて高精度に形成することができれば、本発明の加工方法によって圧力発生室12等の流路を形成するようにしてもよい。
また上述したように、加工部52を、凹部115の開口に内接する大きさで形成するようにしているため、保護膜51の開口部54も凹部115の開口に内接する大きさで形成される。したがって、この開口部53を介して流路形成基板用ウェハ110を異方性エッチングすることで、凹部115を比較的高精度に形成することができる。
なお、流路形成基板用ウェハ110に圧力発生室12等の流路を形成した後は、流路形成基板用ウェハ110の保護基板用ウェハ130とは反対側の面に、ノズル21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板用ウェハ130にコンプライアンス基板40を接合する。そして、これら流路形成基板用ウェハ110と共に、保護基板用ウェハ130を、図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割する。これにより上述した構造のインクジェット式記録ヘッドが製造される。
以上説明した本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110に識別ナンバーを印字するようにした例を説明したが、勿論、識別ナンバーを印字する基板は、表面が(110)面であるシリコン基板であれば特に限定されない。例えば、本実施形態では、保護基板30も表面が(110)面であるシリコン基板で形成されており、流路形成基板10と同様に、この保護基板30もシリコンウェハである保護基板用ウェハに複数一体的に形成される。そして、保護基板30の圧電素子保持部31、リザーバ部32等も保護基板用ウェハをエッチング液によって異方性エッチングすることによって形成されている。そして、このように保護基板用ウェハに圧電素子保持部31等を形成する際、保護基板用ウェハに同時に識別ナンバーを印字するようにしてもよい。
具体的には、図10(a)に示すように、保護基板用ウェハ130を、例えば、熱酸化することによってその表面に保護膜140を形成し、上述したように凹部131が形成される領域の保護膜140にレーザ加工により加工部141を形成する。次いで、図10(b)に示すように、保護膜140上にレジスト膜210Aを形成し、このレジスト膜210Aをマスクとして保護膜140の所定位置に開口部142を形成する。その後、図10(c)に示すように、このレジスト膜210Aを除去した後、保護膜140をマスクとして保護基板用ウェハ130をエッチングすることによって圧電素子保持部31等を形成する。そして、このように圧電素子保持部31を形成する際に、上述したように保護膜140の加工部141がエッチングにより除去されて開口部143が形成され、さらにこの開口部143から保護基板用ウェハ130の一部が除去されて凹部131が形成される。
また、本実施形態では、流路形成基板用ウェハ110に圧力発生室12等の流路を形成する際、あるいは保護基板用ウェハ130に圧電素子保持部31等を形成する際、識別ナンバーを構成する複数の凹部115,131を、同時に形成するようにしたが、勿論、凹部を単独で形成するようにしてもよい。例えば、上述したように保護膜51,140にレーザ加工により加工部52,142を形成した後、保護膜51,140をパターニングする前に、エッチングにより識別ナンバーを構成する凹部115,131のみを形成するようにしてもよい。そしてその後、圧力発生室12等の流路を別途形成するようにしてもよい。
また、本実施形態の構成では、例えば、流路形成基板10とノズルプレート20とが接着剤からなる接着層25によって接合され、また流路形成基板10と保護基板30とが接着剤からなる接着層35によって接合されている。これらの各基板を接着剤によって接合する際、両基板を加圧した状態で接合するため、余分な接着剤が、圧力発生室12や、リザーバ部32等の流路内に流れ出す虞がある。このため、例えば、図11に示すように、流路形成基板10のノズルプレート20との接合面、或いは図12に示すように、保護基板30の流路形成基板10との接合面には、余分な接着剤が流れ込ませるための複数の逃げ溝250が形成されている場合がある。このような逃げ溝250は、上述した凹部115と同様に、圧力発生室12等の流路ほどの加工精度を必要としない。したがって、流路形成基板10や保護基板30に、このような逃げ溝250を形成する際にも、本発明の加工方法を採用することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、流路形成基板用ウェハや保護基板用ウェハ上に二酸化シリコンからなる保護膜を形成するようにしたが、この保護膜は、二酸化シリコン膜に限定されるものではなく、保護膜に形成した加工部がシリコン基板をエッチングするためのエッチング液によって選択的にエッチングされる材料で形成されていればよい。
また、上述した実施形態においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。さらに上述した液体噴射ヘッドの製造以外であっても、シリコン基板にエッチングにより凹部を形成する場合には、勿論、本発明を採用することができる。
記録ヘッドの一例を示す分解斜視図である。 記録ヘッドの一例を示す平面図及び断面図である。 流路形成基板用ウェハを説明する平面図である。 識別ナンバーを説明する流路形成基板用ウェハの拡大図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 凹部の形成工程を示す平面図である。 一実施形態に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 凹部の形成工程を示す平面図である。 凹部の形成工程を示す平面図である。 保護基板の製造工程を示す断面図である。 流路形成基板の変形例を示す平面図である。 保護基板の変形例を示す平面図である。
符号の説明
10 流路形成基板、 11 隔壁、 12 圧力発生室、 13 インク供給路、 14 連通路、 15 連通部、 20 ノズルプレート、 21 ノズル、 25 、接着層、 30 保護基板、 31 圧電素子保持部、 32 リザーバ部、 33 露出孔、 35 接着層、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 51 保護膜、 52 加工部、 53,54 開口部、 55 絶縁体膜、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 80 上電極膜、 90 リード電極、 100 リザーバ、 110 流路形成基板用ウェハ、 115 凹部、 130 保護基板用ウェハ、 131 凹部、 140 保護膜、 141 加工部、 142 開口部、 200 レーザ光、 210 レジスト膜、 211 開口、 250 溝、 300 圧電素子

Claims (9)

  1. 表面が(110)面であるシリコン基板をエッチング液で異方性エッチングすることにより当該シリコン基板に凹部を形成するシリコン基板の加工方法であって、
    前記シリコン基板の表面に保護膜を形成する工程と、前記保護膜の表層にレーザ光を照射して加工することにより前記凹部が形成される領域内に加工部を形成する工程と、前記加工部を有する前記保護膜が形成された前記シリコン基板を前記エッチング液に浸漬して前記シリコン基板に前記凹部を形成する工程とを有することを特徴とするシリコン基板の加工方法。
  2. 前記加工部を前記凹部の開口に内接する大きさで形成することを特徴とする請求項1に記載のシリコン基板の加工方法。
  3. 前記保護膜を形成する工程後に、前記保護膜上にレジスト膜を形成すると共に該レジスト膜をマスクとしてエッチングすることにより前記保護膜に開口部を形成する工程をさらに有し、前記シリコン基板を前記エッチング液に浸漬する工程が、前記開口部が形成された前記保護膜をマスクとして前記シリコン基板をエッチングする工程であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコン基板の加工方法。
  4. 前記保護膜が酸化シリコン膜であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のシリコン基板の加工方法。
  5. 前記エッチング液が水酸化カリウム水溶液であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のシリコン基板の加工方法。
  6. 前記レーザ光が、YAGレーザであることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のシリコン基板の加工方法。
  7. 前記シリコン基板の表面に複数の前記凹部からなる識別ナンバーを印字することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のシリコン基板の加工方法。
  8. 前記シリコン基板が他の基板に接着剤によって接着される部材を構成するものであり、前記接着剤の逃げ溝として前記凹部を形成することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のシリコン基板の加工方法。
  9. 表面が(110)のシリコン基板からなり、ノズルに連通すると共に当該ノズルから液滴を噴射するための圧力が付与される圧力発生室が形成された流路形成基板を少なくとも具備する液体噴射ヘッドの製造方法であって、
    請求項1〜7の何れか一項に記載のシリコン基板の加工方法によって前記流路形成基板を加工することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015088706A (ja) * 2013-11-01 2015-05-07 大日本印刷株式会社 エッチングマスクの設計方法、構造体の製造方法及びエッチングマスク

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