JP2009059954A - ディスク型リアクトル - Google Patents

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Chio Ishihara
千生 石原
Kazuo Asaka
一夫 浅香
Satoru Kanzaki
哲 神崎
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Abstract

【課題】より効率の高いディスク型リアクトルを提供するとともに、組立が容易かつ短時間に行えるディスク型リアクトルを提供する。
【解決手段】ディスク型リアクトルを、絶縁処理された平角導線を厚さ方向に重ねて巻回し、軸方向の巻幅が小さく、径方向の巻厚さを大きくした扁平なディスク状コイル1と、圧粉磁心で構成され、かつ前記ディスク状コイル1の両側面を拘束する側面拘束部21と、前記ディスク状コイル1の外周面を拘束する外周拘束部22と、前記ディスタ状コイルの内周に突出する内周突出部23とからなる鉄心とを備えたものとする。
【選択図】図3

Description

本発明は、平角導線を用い大電流でリアクタンス容量が比較的小さい場合に適したディスク型リアクトルに関する。
絶縁処理された平角導線を厚さ方向に重ねて巻回し、軸方向の巻幅が小さく、径方向の巻厚さを大きくした扁平なディスク状コイルを用い、鉄心を該コイルの両端側および外周面に密着させて、該コイルの直径方向に囲んだディスク型リアクトルが知られている(特許文献1)。このようなディスク型リアクトルは、コイルの表面積が大きく、かつ鉄心による熱遮蔽の影響が少ない構造であり、コイルが外気に直接接触して冷却効果を高めることができ、平角導線に流れる電流値を大きくすることができる。また、コイルの巻厚さが大きく、コイルを通る磁束によるリアタタンスを有効に利用することができる。
図6は、特許文献1のディスク型リアクトルの一例であり、絶縁処理された平角導線を厚さ方向に重ねて巻回したディスク状コイル1と、コイル1の直径方向に、コイル1の両端側に密着させて囲む鉄心201、およびコイル1の外周面に密着させて囲む鉄心202とからなる鉄心200により構成される。特許文献1においては、鉄心として積層珪素鋼板を用い、鉄心201と鉄心202は、積層珪素鋼板の積層方向を図6のように配置されて鉄心200が構成され、積層方向の厚さがディスク状コイルの内径より小さく構成される。積層珪素鋼板は、複数の圧延方向に結晶の容易磁化方向を揃えた方向性珪素鋼板を絶縁膜を介して積層させたものであり、鉄心として広く用いられているものである。
また、図7は、図6のディスク型リアクトルの作製方法を示す模式図であり、予め絶縁処理された平角導線を厚さ方向に重ねて巻回したディスク状コイル1を用意し、コイル1を囲むように、積層方向を図7のように揃えて切り出した鉄心201および鉄心202を配して、鉄心201の端部を鉄心202に当接させるとともに、溶接してディスク型リアクトルを組み立てる。
実公平5−34090号公報
リアクトルには、L−i(インダクタンス−電流)特性およびL−f(インダクタンス−周波数)特性が重要であり、上記のディスク型リアクトルは優れた特性を有するものであるが、近年では、より一層の大電流、高周波数側、高磁場側においてもL(インダクタンス)値が低下せず、安定したL−i特性およびL−f特性を示すことが望まれている。
また、Siは、ヒステリシス損を低減し、また電気抵抗を増加させる作用を有するとともに、磁性の経時変化による劣化を抑える作用を有することから、上記のディスク型リアクトルの鉄心に用いられる。しかしながら、Siは、微量の添加でFeのマトリックスを著しく硬化させる作用も併せて有する。このため、珪素鋼板は、硬く、曲げ加工による造形には不向きなものである。現在は上記のディスク型リアクトルを組み立てるにあたり、珪素鋼板を打ち抜き、積層して鉄心201および鉄心202の各鉄心を組み立てた後、4部材を溶接して1つの鉄心として組み立てており、組み立て工程に時間がかかることが課題となっている。
さらに、現在のディスク型リアクトルは、上記のように組み立てられるため、打ち抜いた珪素鋼板を積層する際のばらつき、および各々の鉄心を溶接する際のばらつきにより、寸法のばらつきが大きいことが問題となっている。このため現在のディスク型リアクトルにおいては、組み立て後、L値を測定して規格の範囲内にあることを確認して出荷している。
そこで、本発明は、大電流、高周波数側、高磁場側においてもL(インダクタンス)値が低下せず、安定した特性を示すとともに、組立が容易かつ短時間に行え、かつ寸法精度に優れたディスク型リアクトルを提供することを日的とする。
上記課題を解決するため本発明のディスク型リアクトルは、絶縁処理された平角導線を厚さ方向に重ねて巻回し、軸方向の巻幅が小さく、径方向の巻厚さを大きくした扁平なディスク状コイルと、圧粉磁心で構成され、かつ前記ディスク状コイルの両側面を拘束する側面拘束部と、前記ディスク状コイルの外周面を拘束する外周拘束部と、前記ディスク状コイルの内周に突出する内周突出部とからなる鉄心とを備えたことを特徴とする。
また、前記側面拘束部におけるディスク状コイルの軸方向の断面積Sを、前記外周拘束部におけるディスク状コイルの径方向の断面積Sに対して0.9〜1.1倍の大きさとし、かつ、前記内周突出部におけるディスク状コイルの径方向の断面積Sを、前記側面拘束部におけるディスク状コイルの軸方向の断面積Sに対して、1.8〜2.2倍の大きさとすることを好ましい態様とする。さらに、前記圧粉磁心のFeの占積率が75〜95%であることを好ましい態様とする。
本発明のディスク型リアクトルの鉄心として用いる圧粉磁心としては、表面に絶縁性被膜を形成した純鉄粉末と、絶縁性の樹脂粉末もしくは無機接着剤とからなるもの、Si量が3〜8.5質量%、残部がFeおよび不可避不純物からなる珪素鉄粉末、またはセンダスト粉末と、絶縁性の樹脂粉末もしくは無機接着剤とからなるもの、あるいはアモルファス磁性粉末を圧粉成形後、熱処理して作製したアモルファス圧粉磁心を用いることを好ましい態様とする。
本発明のディスク型リアクトルは、大電流、高周波数側、高磁場側においてもL(インダクタンス)値が低下せず、安定したL−i特性およびL−F特性を得ることが可能となる。また、圧粉磁心は複雑な鉄心形状も容易に、かつ精度良く造形できることから、リアクトルの組立が容易な形状に造形することにより、手間と時間のかかる溶接作業を廃して短時間に容易に組立を行うことが可能となるとともに、得られるディスク型リアクトルの寸法精度も安定したものとなる。
以下、本発明のディスク型リアクトルの好ましい実施の形態について説明する。本発明のディスク型リアクトルは、鉄心を従来用いられていた積層珪素鋼板ではなく、圧粉磁心により製造する。また、ディスク状コイルの内周面にも鉄心を配置している。もちろん、圧粉磁心により鉄心を製造するという技術思想及びその鉄心をディスク状コイルの内周面に配置するという技術思想は、従来なかったものであり、本発明者等の鋭意研究により実現することができた。以下、詳細に説明する。
既に、図6にて示した特許文献1のディスク型リアクトルは、ディスク状コイル1の両端面および外周面について鉄心2を配直して磁気回路を構成していた。しかし、ディスク状コイル1の内周面については空心となっている。本発明者等が研究したところ、ディスク型リアクトルのインダクタンスLは、ディスク状コイル1の巻き線数N、鉄心22の断面積S、鉄心間のギャップ1、真空の透磁率μとの間に下記関係式(数1)が近似的に成り立つことを見出した(図6参照)。
Figure 2009059954
本関係式(数1)より、インダクタンスLを大きくするためには、ディスク状コイル1の巻き線数Nを大きくする、鉄心22の断面積を大きくする、もしくはギャップ1を小さくする必要がある。しかしながら、ディスタ状コイル1の巻き線数Nを大きくしたり、鉄心22の断面積を大きくしたりすると、ディスク型リアクトル自体が大型化することとなるため、小型のリアクトルが要求されるような状況では不適当である。その一方で、上記のディスク型リアクトルにおいて、ギャップ1はディスク状コイル1の幅、すなわち平角導線の幅に相当することから、単にギャップ1を小さくしたのでは、平角導線を用いることによる電流値を大きくする効果が薄れることとなる。
これらのことから、本発明者等は、ディスク状コイル1の幅を小さくすることなく、ギャップ1を小さくする手法について研究し、ディスク型リアクトルにおいて、ディスク状コイル1の内周面にも鉄心を突出させて配置することで、ディスク状コイル1の幅を小さくすることなく、ギャップ1を小さくすることができることを見出した。
しかしながら、上記のディスク型リアクトルにおいて、積層珪素鋼板により、ディスク状コイル1の内周面に突出させる鉄心を形成する場合には、磁気回路を構成できるように積層方向を鉄心21と同方向に配向する必要があるが、このような積層方向では積層珪素鋼板によって内周面に突出する鉄心を形成することが事実上不可能である。
このためディスク状コイル1の内周面に突出させる鉄心について、本発明者等が研究したところ、鉄心を圧粉磁心により構成すれば、コイル1の両端側に密着させて囲む鉄心21、コイル1の外周面に密着させて囲む鉄心22、およびディスク状コイル1の内周面に突出させる鉄心を一体に形成できること、さらに、ディスク状コイル1の内周面に突出させる鉄心を、圧粉磁心により構成することでギャップ1そのものをなくすることができることを見出した。すなわち、圧粉磁心は、その製法に起因して、内部に気孔を有するものであるが、この圧粉磁心内部の気孔がギャップ1として作用するため、特別にギャップ1を設けることなくディスク状コイル1の内周面に突出させる鉄心を構成できることを見出した。また、ギャップ1を設ける必要がないことからギャップ1のばらつきを考慮せずにディスク型リアクトルを組み立てることができるとともに、L−i特性およびL−f特性もばらつきのない安定した値が得られる。
また、鉄心を圧粉磁心で構成するにあたり、ディスク状コイルの両側面を拘束する側面拘束部と、ディスク状コイルの外周面を拘束する外周拘束部と、ディスク状コイルの内周に突出する内周突出部とを一体に成形できるため、組み立て時のばらつきを小さくすることができ、精度良くディスク型リアクトルを組み立てることができる。
本発明は、これらの知見により為されたものであり、以下、図を参照して本発明のディスク型リアクトルの説明を行う。
図1は、本発明のディスク型リアクトルを構成するディスク状コイルの一実施形態であり、ディスク状コイル1は、絶縁処理された平角導線11を厚さ方向に重ねて巻回したものであり、軸方向の巻幅が小さく、後方向の巻厚さを大きく形成されている。このように平角導線11を予め巻回しておいてディスク状コイル1として用意しておくことで、鉄心に導線を巻回す手間を省くことができる。
図2は、本発明のディスク型リアクトルを構成する圧粉磁心からなる鉄心の一実施形態であり、図2(a)は正面図、図2(b)は側面図である。本実施形態においては、圧粉磁心2aは、ディスク状コイル1の両側面を拘束する側面拘束部21と、ディスク状コイル1の外周面を拘束する外周拘束部22と、ディスク状コイル1の内周に突出する内周突出部23とを有している。
圧粉磁心は、純鉄粉末等の軟磁性粉末に絶縁性の樹脂粉末または無機接着剤を混合した混合粉を圧粉成形し、加熱処理して絶縁性の樹脂または無機接着剤により軟磁性粉末を結着したものである。軟磁性粉末の表面に燐酸化合物被膜を形成して絶縁性を向上した鉄粉等を用いることもある。このような圧紛磁心は、所望の外形形状を形成する型孔を有する金型と、各部を形成する上下パンチとにより原料となる混合粉末を圧粉成形することで圧粉磁心の造形を行う。このため、複雑な形状の鉄心も容易に成形することができる。
ただし、金型と上下パンチで圧粉成形する都合上、鋭角部を設けると金型あるいはパンチが欠け易いため、その場合は鋭角部をなくす必要がある。このため、圧粉磁心2aの内周突出部23については、図2(b)の一点鎖線のように円形に形成することが好ましいが、パンチが鋭角となるため、幅dの逃げ部を設ける必要がある。この逃げ部の幅dは、2〜3mmとすることが好ましい。
上記のようにして造形された圧粉体は、加熱処理されて、樹脂粉末により軟磁性粉末同士が結着されて圧粉磁心となる。圧粉磁心の内部では、粉末の隙間が微細な気孔として残留するため、この微細な気孔が上記関係式(数1)のギャップ1として作用する。ただし、圧粉磁心のFeの占積率が75%を下回ると、従来密度はFeの占積率に依存するため、磁束密度が乏しくなる。一方、圧粉磁心のFeの占積率が95%を超えると、気孔がギャップ1として作用し難くなり、ディスク状コイルに大電流を流した際に発生する高磁場中で高いL値を得ることができなくなる。このため、圧粉磁心のFeの占積率としては75〜95%とすることが好ましい。
本発明のディスク型リアクトルは、図3に示すように、上記の圧粉磁心2aを2個用い、これらを鉄心部22および鉄心部23を向き合わせるとともに、その間にディスク状コイル1を挟んで組み合わせて、図4に示すように組み立てられる。なお、圧粉磁心2aの外周拘束部22もしくは内周突出部23に貫通孔24を設けておくと、ディスク型リアクトルを組み立てる際に、貫通孔24にシャフト31等を挿入しボルト32等により一対の圧粉磁心2aを締結してディスク型リアクトルを組み立てることができる。このようにディスク型リアクトルを組み立てると、組立作業が容易かつ短時間で行える。図4は、内周突出部23に上下二つの貫通孔24を設け、二本のシャフト31と二個のボルト32で一対の圧粉磁心2aを締結した例である。
上記のようにして組み立てられたディスク型リアクトルは、鉄心が圧粉磁心で構成され、かつディスク状コイル1を側面拘束部21と外周拘束部22とにより拘束するとともに、ディスク状コイル1の内周に内周突出部23が形成されて磁気回路を構成するものとなり、磁末の漏れを抑制して磁気特性を向上させたものとなる。
上記のディスク型リアクトルにおいては、図5に示すように、側面拘束部21におけるディスク状コイル1の軸方向の断面積Sと、外周拘束部22におけるディスク状コイル1の径方向の断面積Sを0.9〜1.1倍(最も好ましくは1.0倍)の大きさとすると、側面拘束部21と外周拘束部22を通る磁束が等しくなる。また、内周突出部23におけるディスク状コイル1の径方向の断面積Sが、側面両拘束部21におけるディスク状コイル1の軸方向の断面積Sに対して、1.8〜2.2倍(最も好ましくは2.0倍)の大きさとすると、側面拘束部21と内周突出部23を通る磁束が等しくなる。したがって、側面拘束部21の断面積Sを外周拘束部22の断面積Sに対して0.9〜1.1倍の大きさとし、かつ、内周突出部23の断面積Sを側面拘束部21の断面積Sに対して1.8〜2.2倍の大きさとすると、ディスク状コイル1により発生する磁束を有効に活用することができる。
なお、ディスク型リアクトルのための圧粉磁心の原料としては、純鉄粉末を用いると、純鉄粉末が軟質で圧粉成形により圧粉体密度を向上させることができること、および純鉄粉末はFeそのものであることからFeの占積率を大きくして、磁束密度を大きくすることができるので好適である。また、ディスク型リアクトルを高周波領域で使用する場合には、Si量が3〜6.5質量%程度の珪素鉄粉末や、センダスト粉末を用いると、上記のSiの作用により圧粉磁心の固有抵抗を大きくすることができ、鉄損の低い圧粉磁心とすることができる。
さらに、アモルファス磁性粉末からなる圧粉磁心は、適切な熱処理を施すと、ほとんどヒステリシス現象が認められなくなるためヒステリシス損を非常に小さくすることができる。このため、アモルファス磁性粉末からなる圧粉磁心は鉄損を小さくすることができる。また、低磁場から高磁場まで優れたリアクトル特性を示す。
このような特性を有するアモルファス磁性粉末から成る圧粉磁心は、次のようにして作製される。原料となるアモルファス磁性粉末は、Fe−Si−B系の溶湯を急冷凝固して作製した後、粉末表面にSiO等の無機系絶縁被膜で被覆したものである。このようなアモルファス磁性粉末を金型により圧粉成形して圧粉体とする。圧粉成形時には、圧粉体密度が5.0〜6.0Mg/mになるように圧粉成形することが好ましい。圧粉体密度が5.0Mg/mに満たない場合は、透磁率が低くなり過ぎてリアクトルとして不適当である。一方、6.0Mg/mを超えると低磁場側での透磁率は高くなるものの、高磁場側では磁束密度が飽和して透磁率が小さくなる。なお、アモルファス磁性粉末においては、圧粉体強度を高めるため、少量の樹脂粉末を添加して用いても差し支えない。
上記の圧粉体に熱処理を施して圧粉磁心が得られる。熱処理条件は、非還元性雰囲気中とし、400〜500℃で10〜30分間とすることが好ましい。熱処理温度が400℃に満たない場合、および熱処理時間が10分に満たない場合には、圧粉成形において粉末に蓄積した歪みの除去が不完全となりヒステリシス損が大きくなる。一方、熱処理温度が500℃を超える場合、および熱処理時間が30分を超える場合には、アモルファス(非晶質)磁性粉末が結晶化し始めて、アモルファス磁性粉末の特徴である低ヒステリシス損の効果が損なわれることとなる。
上記のアモルファス磁性粉末からなる圧粉磁心においては、アモルファス磁性粉未の粒径が微細であるほど、圧粉磁心の初透磁率が低くなり、高磁場側での透磁率の低下を抑制できる。このためアモルファス磁性粉末の粒径は、150μm以下(90メッシュの篩目を通過する大きさ)であることが好ましく、53μm以下(270メッシュの篩目を通過する大きさ)であるとより好ましい。しかしながらアモルファス磁性粉末の粒径が25μm以下(600メッシュの篩目を通過する大きさ)とすると、原料粉末の圧縮性が著しく低下して、5.0Mg/m3以上に圧粉成形することが難しくなるため、好ましくない。
上記の純鉄粉末等の軟磁性粉末と絶縁性の樹脂からなる圧粉磁心や、上記のアモルファス磁性粉末からなる圧粉磁心においては、リアクトルの強度を高めるためワニスを含浸し効果処理してもよい。ワニスは200℃以上の耐熱性を有する樹脂であり、硬化処理は、非還元性雰囲気中、100℃以上で行うことが好ましい。
表面にノーメックス絶縁紙からなる絶縁被膜を設けた幅10mm、厚さが2mmの平角導線を厚さ方向に巻回して外径100mm、内径50mmのディスク状コイル1を用意した。
本発明例として、表面に燐酸、硼酸、マグネシアからなる絶縁被膜を形成した純鉄粉末に、1質量%のポリイミド樹脂粉未を添加した原料粉未を、常温にて金型成形により圧粉体密度が7.0Mg/mとなるよう圧粉成形し、得られた圧粉体を200℃、300分間の熱処理を施して図8に示す形状の圧粉磁心Aを2個作製した。図8には( )内に各部の寸法をmm単位で示す。作製した2個の圧粉磁心Aの外周拘束部22および内周突出部23を対向させてディスク状コイル1をはさみ込み、内周突出部23に形成した貫通孔24にシャフト31を通し、シャフト31両端よりボルト32で圧粉磁心Aを締結してディスク型リアクトルA1Aを組み立てた。組立に要した時間は約5分であった。
もう一つの本発明例として、組成がSi:5.3質量%、B:3質量%および残部がFeおよび不可避不純物であるアモルファス磁性粉末の表面をSiOで被覆した粉末を、常温にて金型成形により圧粉体密度が5.2Mg/mとなるよう圧粉成形し、得られた圧粉体を450℃、10分間の熱処理を施して図8に示す形状の圧粉磁心Bを2個作製した。作製した2個の圧粉磁心Bの外周拘束部22および内周突出部23を対向させてディスク状コイル1を挟み込み、内周突出部23に形成した貫通孔24にシャフト31を通し、シャフト31両端よりボルト32で圧粉磁心Bを締結してディスク型リアクトルB1Bを組み立てた。組立に要した時間は約5分であった。
比較例として、本発明例と同様にして、形状のみ図9のように変更した圧粉磁心Cを2個作製した。つまり、圧粉磁心Cは、外周拘束部を設けるものの、内周突出部を設けない。作製した圧粉磁心Cを用い、本発明例と同様にしてディスク型リアクトルC1Cを組み立てた。よって、ディスク型リアクトルC1Cは鉄心の素材として圧粉磁心Cを用いるものの、コイル内周が従来のように空心である。組立に要した時間は、本発明と同じく約5分であった。
従来例として、3質量%のSiを含有する厚さが0.3mmの珪素鋼板を絶縁被膜を介して積層させた積層珪素鋼板を用意し、15mm×40mm×積層方向の厚さ40mmの板材Iを2枚、および15mm×100mm×積層方向の厚さ40mmの厚さ40mmの板材IIを2枚、用意した積層珪素鋼板より切り出して鉄心用板材を作製した。作製した板材Iをディスク状コイルの上下面、板材IIをディスク状コイルの両側面に配し、それぞれの板材IIの両端で板材Iに溶接してディスク型リアクトルD1Dを組み立てた。組立に要した時間は約180分であった。
以上より、鉄心として圧粉磁心を用いる本発明例のディスク型リアクトルA1Aは、組立に要する時間が、従来の積層珪素鋼板を溶接して組み立てる場合(ディスク型リアクトルD1D)に比して、格段に短くて済むことがわかる。
また、上記のように作製したディスク型リアクトルA1A〜D1Dを用いて、インダクタンスを測定した結果を表1および図10に示す。なお、表1および図10にはディスク型リアクトルA1AをA,ディスク型リアクトルB1BをB、比較例のディスク型リアクトルC1CをC、従来例のディスク型リアクトルD1DをDとして示す。
Figure 2009059954
表1および図10より、鉄心の素材として圧粉磁心を用いるとともに、コイル内周に内周突出部を設けて鉄心を配した本発明例のディスタ型リアクトルA(A1A)は、従来例の積層珪素鋼板を用い、コイル内周が空心のディスク型リアクトルD(D1D)に比して、L値が約2〜3倍の高い値を示しており、また、コイルに流れる信号周波数が高くなるほどその比が大きくなっていることがわかる。一方、鉄心の素材として圧粉磁心を用いるものの、コイル内周が従来のように空心のディスク型リアクトルC(C1C)は、従来例のディスク型リアクトルD(D1D)とほぼ同等のL値である。この結果より、ディスク状コイルの内周に鉄心を配することにより、高磁場、高周波領域までインダクタンスLが向上することがわかる。
また、従来例のディスク型リアクトルDは、周波数が500Hz〜100kHzの範囲でL値が40%程度低下し、比較例のディスク型リアクトルCはL値が25%程度低下しているが、本発明例のディスク型リアクトルAは、同じ周波数の範囲でL値の低下が10%程度と高周波領域におけるL値の低下量が小さくなっている。
また、表1および図10よりアモルファス磁性粉末からなる圧粉磁心を用いたディスク型リアクトルB(B1B)は、L値が通常の圧粉磁心を用いたディスク型リアクトルAよりも高い値を示しており、アモルファス磁性粉末からなる圧粉磁心を用いることにより、より一層、リアクトル特性を向上させることができることがわかる。
本発明のディスク型リアクトルは、低磁場から高磁場まで優れた特性を示し、産業機械用インバータや一般電源用インバータ等のリアクトルとして有用である。
本発明のディスク型リアクトルを構成するディスク状コイルの模式図である。 本発明のディスク型リアクトルを構成する圧粉磁心からなる鉄心の一実施形態の模式図であり、図2(a)は、正面図、図2(b)は側面図である。 本発明のディスク型リアクトルの組立状態を説明する模式図である。 本発明のディスク型リアクトルの模式図である。 本発明のディスク型リアクトルの側面拘束部21の断面図S、外周拘束部22の断面積S、内周突出部23の断面積Sを説明する模式図である。 従来の積層珪素鋼板によるディスク型リアタトルの摸式図である。 図6の従来のディスク型リアクトルの組立状態を説明する模式図である。 実施例における本発明例のディスク型リアクトルを構成する圧粉磁心の形状を示す模式図である。 実施例における比較例のディスク型リアクトルを構成する圧粉磁心の形状を示す模式図である。 実施例における各ディスク型リアクトルのL−f特性を示すグラフである。
符号の説明
1・・・・ディスク状コイル
2・・・・鉄心
2a・・・圧粉磁心
21・・・側面拘束部
22・・・外周拘束部
23・・・内周突出部

Claims (6)

  1. ディスク型リアクトルにおいて、
    絶縁処理された平角導線を厚さ方向に重ねて巻回し、軸方向の巻幅が小さく、径方向の巻厚さを大きくした扁平なディスク状コイルと、
    圧粉磁心で構成され、かつ前記ディスク状コイルの両側面を拘束する側面拘束部と、前記ディスク状コイルの外周面を拘束する外周拘束部と、前記ディスク状コイルの内周に突出する内周突出部とからなる鉄心と
    を備えることを特徴とするディスク型リアクトル。
  2. ディスク状コイルの軸方向に沿った前記側面拘束部の断面積S、ディスク状コイルの径方向に沿った前記外周拘束部の断面積S、およびディスク状コイルの径方向に沿った前記内周突出部の断面積Sについて、SがSに対して0.9〜1.1倍の大きさであり、かつ、SがSに対して1.8〜2.2倍の大きさであることを特徴とする請求項1に記載のディスク型リアクトル。
  3. 前記圧粉磁心のFeの占積率が、75〜95%であることを特徴とする請求項1または2記載のディスク型リアクトル。
  4. 前記圧粉磁心が、表面に絶縁性被膜を形成した純鉄粉末と、絶縁性の樹脂粉末もしくは無機接着剤とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のディスク型リアクトル。
  5. 前記圧粉鉄心が、Si量が3〜6.5質量%、残部がFeおよび不可避不純物からなる珪素鉄粉末、またはセンダスト粉末と、絶縁性の樹脂粉末もしくは無機接着剤とからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のディスク型リアクトル。
  6. 前記圧粉鉄心が、アモルファス磁性粉末を圧粉成形後、熱処理して作製したアモルファス圧粉磁心であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のディスク型リアクトル。
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